以下の説明においては、図中に記した矢印に従って、上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義する。
まず、図1を参照して、本実施形態に係る空調システム20が設けられる建物1の構成について説明する。
本実施形態に係る建物1は、二階建ての一軒家である。建物1は、基礎2、土台3、外壁部4、一階床部5、二階床部6及び屋根7等を具備する。
基礎2は、建物1の自重を地盤Gに伝えて建物1を地盤Gに固定するためのものである。基礎2は、ベース部2a及び立ち上がり部2b等を具備する。ベース部2aは、その下部が地盤G内に配置されて建物1の底面を形成する。立ち上がり部2bは、ベース部2aの外縁部から上方向に延びるように形成される。
土台3は、基礎2の立ち上がり部2bの上面に配置される部材(角材)である。土台3は、アンカーボルト(不図示)によって立ち上がり部2bに固定される。
外壁部4は、建物1の外壁を成す部材である。外壁部4は、基礎2及び土台3の上方に配置される。外壁部4は、土台3等に固定される。外壁部4は、内装面材4a、面部材4b及び外装面材4c等を具備する。内装面材4aは、外壁部4の最も屋内側に配置される板状の部材である。面部材4bは、内装面材4aよりも屋外側に配置される板状の部材である。外装面材4cは、外壁部4の最も屋外側に配置される板状の部材である。内装面材4aと面部材4bとの間、並びに面部材4bと外装面材4cの間には、後述する断熱材25が介装される。
一階床部5は、建物1の一階部分の床を成す部材である。一階床部5は、合板等によって構成され、土台3に固定される。一階床部5は、板面を上下方向に向けて配置される。一階床部5の床面5a(上面)は、地盤面GLよりも上方に配置される。
二階床部6は、建物1の二階部分の床を成す部材である。二階床部6は、合板等によって構成され、外壁部4の上下中途部に配置される胴差部(不図示)に固定される。二階床部6は、板面を上下方向に向けて配置される。
屋根7は、建物1の上部に設けられる切妻屋根である。屋根7は、小屋梁(不図示)等によって支持される。
このように構成される建物1の内部には、床下空間8及び屋内空間9等が形成される。
床下空間8は、建物1の床下に形成される空間である。すなわち、床下空間8は、基礎2と一階床部5とで囲まれた空間である。
屋内空間9は、建物1の床上に形成される空間である。屋内空間9には、一階空間9a及び二階空間9bが含まれる。
一階空間9aは、建物1の一階部分を形成する空間である。すなわち、一階空間9aは、外壁部4と一階床部5と二階床部6とで囲まれた空間である。一階空間9aは、床下空間8の上方に配置される。一階空間9aは、空調システム20によって温度調節される。
二階空間9bは、建物1の二階部分を形成する空間である。すなわち、二階空間9bは、外壁部4と二階床部6と屋根7とで囲まれた空間である。
次に、図2を参照して、一階空間9aの内部構成について簡単に説明する。
図2に示すように、一階空間9aには、玄関10、土間収納11、リビング12、ダイニングキッチン13、トイレ14、浴室15及び階段16等が設けられる。
玄関10は、一階空間9aの右前端部に配置される。玄関10の右部には、靴等を収納するための収納部10aが設けられる。
土間収納11は、玄関10の左方に配置される。土間収納11には、物品等を収納するための収納部11aが設けられる。
リビング12は、玄関10の左後方に配置される。本実施形態において、リビング12には、その床面が他の部分の床面よりも低くなるようなダウンフロアが採用されている。
ダイニングキッチン13は、リビング12の後方(一階空間9aの後部)に配置される。ダイニングキッチン13は、リビング12と繋がっている。ダイニングキッチン13には、シンク等を有するキッチンカウンター13a及び収納部13bが設けられる。また、ダイニングキッチン13には、テーブル13c及び椅子13dが配置される。
トイレ14は、ダイニングキッチン13の左方に配置される。トイレ14は、間仕切り及びドアによってダイニングキッチン13と区画される。
浴室15は、トイレ14の左方に配置される。浴室15は、間仕切り及びドアによってトイレ14と区画される。
階段16は、リビング12の左方に配置される。階段16には、上り下りの途中で180°向きを変える折り返し階段が採用されている。階段16は、その右前部が一階床部5と接続されると共に、その右後部が二階床部6(図1(a)参照)と接続される。
次に、図3から図6までを参照して、空調システム20の構成について説明する。
空調システム20は、床下空間8の空気を一階空間9aに導入して一階空間9aの温度を調節するためのものである。図3及び図4に示すように、空調システム20は、放熱器21、ファン22、吹出口23、エアコン24、断熱材25及び制御装置26を具備する。
放熱器21は、床下空間8を暖めるためのものである。放熱器21は、床下空間8に設けられる。放熱器21は、ダイニングキッチン13の下方に間隔を空けて四つ設けられると共に、リビング12の左下方に一つ(合計五つ)設けられる。放熱器21は、本体21a及び一対の温水ダクト21bを具備する。なお、放熱器21は全て同じように構成される。このため、以下では、リビング12の左下方に設けられる放熱器21を例に挙げて、放熱器21の構成について説明する。
本体21aは、基礎2のベース部2aに載置される。本体21aは、熱媒体である温水を内部で流通させることで、床下空間8の空気と温水とで熱交換させる。これによって、本体22aは、床下空間8の空気を加熱する。
一対の温水ダクト21bは、一端部が本体21aと接続されると共に、他端部が後述するエアコン24の室外機24bと接続される(図6参照)。
図3及び図5に示すように、ファン22は、床下空間8の空気を一階空間9aに送出するためのものである。ファン22は、リビング12の左方及びダイニングキッチン13の左端部に一つずつ(合計二つ)設けられる。ファン22は、本体22a、グリル22b及びダクト22cを具備する。なお、ファン22は全て同じように構成される。このため、以下では、リビング12の左方に設けられるファン22を例に挙げて、ファン22の構成について説明する。
本体22aは、床下空間8に配置される。本体22aは、モータ(不図示)によってプロペラ(不図示)を回転させ、後述する吹出口23(図5においては右方向)に向けて空気を送り出す。
グリル22bは、一階床部5の床面5aに設けられ、床下空間8と一階空間9aとを連通する。
ダクト22cは、その一端部がグリル22bと接続されると共に、その他端部が本体22aと接続される。
このように構成されるファン22は、前記モータを駆動させて本体22aを動作させることによって、グリル22b及びダクト22cを介して一階空間9aの空気を床下空間8に吸引する。そして、ファン22は、当該吸引した空気を吹出口23に向けて送り出す。
吹出口23は、床下空間8の空気を一階空間9aに導入するためのものである。吹出口23は、土間収納11の後部及びダイニングキッチン13の右後端部に一つずつ(合計二つ)設けられる。すなわち、吹出口23は、放熱器21及びファン22に対して離れた位置に配置される。吹出口23は、一階床部5の床面5aに設けられ、床下空間8と一階空間9a(土間収納11及びダイニングキッチン13)とを連通する。
エアコン24は、リビング12の温度を調節するためのものである。図3及び図6に示すように、エアコン24は、室内機24a、室外機24b及び一対の冷媒ダクト24cを具備する。
室内機24aは、リビング12(外壁部4)に設けられる。室内機24aは、冷媒とリビング12の空気とで熱交換させると共に、当該熱交換させた空気をリビング12に供給する。
室外機24bは、屋外に設けられる。室外機24bは、エアコン24の動作(冷暖房)時に、冷媒を圧縮して冷媒の温度を上昇させる。また、室外機24bは、冷媒と屋外の空気とを熱交換させる。
本実施形態に係る室外機24bは、一対の温水ダクト21bを介して放熱器21の本体21aと接続され、放熱器21の本体21aとの間で温水を循環可能に構成される。室外機24bは、温水をヒータ(不図示)によって加熱すると共に、当該加熱した温水をポンプ(不図示)によって放熱器21に供給する。このように、本実施形態に係る室外機24bは、放熱器21を動作させる放熱器21の室外機としても機能する。
一対の冷媒ダクト24cは、その一端部が室内機24aと接続されると共にその他端部が室外機24bと接続される。冷媒は、一対の冷媒ダクト24cを介して室内機24aと室外機24bとの間で循環される。
断熱材25は、屋内と屋外との間の熱移動を抑制するためのものである。図6に示すように、断熱材25は、屋内側基礎断熱材25a、屋外側基礎断熱材25b、屋内側外壁断熱材25c及び屋外側外壁断熱材25dを具備する。
屋内側基礎断熱材25aは、基礎2の立ち上がり部2bの屋内側に取り付けられる。屋外側基礎断熱材25bは、基礎2の立ち上がり部2bの屋外側に取り付けられる。このように、本実施形態では、基礎2を屋内側及び屋外側の両方から断熱するようにして、基礎2における断熱効果を高くしている。
屋内側外壁断熱材25cは、外壁部4の内装面材4aと面部材4bとの間に介装される。屋外側外壁断熱材25dは、面部材4bと外装面材4cとの間に介装される。このように、本実施形態では、屋内側外壁断熱材25cと屋外側外壁断熱材25dとで外壁部4を二重に断熱するようにして、外壁部4における断熱効果を高くしている。
図3に示す制御装置26は、空調システム20の動作を制御するためのものである。制御装置26は、リビング12(外壁部4)に設けられる。制御装置26は、主としてCPU等の演算処理装置、RAMやROM等の記憶装置、並びにタッチパネル等の入出力装置等により構成される。制御装置26は、図示せぬ時計部を具備し、当該時計部を用いて現在の月日を確認することができる。また、制御装置26は、現在の月日に応じて空調システム20を動作させるための種々のプログラム等を前記記憶装置に格納している。このような制御装置26は、例えば、HEMS(Home Energy Management System)によって構成される。
制御装置26は、ファン22の本体22aと電気的に接続される。制御装置26は、ファン22に信号を送信することで、ファン22を動作させたり当該動作を停止させたりすることができる。
制御装置26は、エアコン24の室内機24aと電気的に接続される。制御装置26は、室内機24aに信号を送信することで、エアコン24を動作させたり当該動作を停止させたりすることができる。
制御装置26は、エアコン24の室外機24bと電気的に接続される。制御装置26は、室外機24bに信号を送信することで、放熱器21を動作させたり当該動作を停止させたりすることができる。
次に、空調システム20の動作について説明する。
空調システム20は、冬季、春季及び秋季、並びに夏季でその動作が異なる。このため、以下では、まず、図7等を参照して冬季における空調システム20の動作について説明する。なお、図7から図9においては、動作している放熱器21を斜線で示している。
ここで、冬季とは、予め設定されて制御装置26に記憶される期間である。冬季は、月単位で設定され、1年の中で月の平均気温が低い3つの月(3ヶ月)が設定される。本実施形態において冬季には、12月、1月及び2月が設定される。
制御装置26は、前記時計部を用いて現在の月日を確認し、当該確認結果に基づいて現在の月が冬季であるか否かを判断する。そして、制御装置26は、冬季であると判断した場合に冬季に応じた制御を行う。
図7に示す冬季において、床下空間8の自然温度(放熱器21等で温度調節しない場合の温度)は、一般的に14〜15℃である。すなわち、床下空間8の自然温度は、屋外の温度及び一階空間9aの自然温度よりも高いものの、冬季において居住者が快適と感じる温度(20℃程度)よりも低くなる。
そこで、制御装置26は、冬季において全ての放熱器21を動作させる。これにより、制御装置26は、温水との熱交換によって床下空間8の空気を加熱して、床下空間8を暖める。
また、制御装置26は、冬季において全てのファン22を動作させる(図3参照)。これにより、図5及び図7に示すように、ファン22は、床下空間8で空気の流れを作り、放熱器21で暖められた空気(放熱器21周辺の空気)を放熱器21から離れた場所に送り出す。
こうして、放熱器21で暖められた空気は、吹出口23に送られて、吹出口23から一階空間9a(土間収納11及びダイニングキッチン13)に導入される。これによれば、自然温度よりも高い床下空間8の空気を一階空間9aに導入することができるため、冬季において一階空間9aを快適な温度に調節することができる。
また、制御装置26は、冬季においてエアコン24を動作させ、室内機24aからリビング12及びリビング12と繋がったダイニングキッチン13(一階空間9a)に暖かい空気を送り出す。これによれば、制御装置26は、床下空間8から導入される空気と室内機24aから送り出される空気とで、リビング12及びダイニングキッチン13を効果的に暖めることができる。また、エアコン24の負荷を減らしてエアコン24の出力を下げることができるため、エアコン24の消費電力を下げることができる(省エネ効果を得ることができる)。
また、空調システム20によれば、ファン22によって床下空間8で強制的に(機械的に)空気の流れを作ることができる(風量を確保できる)ため、吹出口23の形状が小さくても十分な量の空気を一階空間9aに導入することができる。これによれば、床下空間8と一階空間9aとの温度差によって生じる対流だけで一階空間9aに空気を導入する場合と比較して、吹出口23の形状を小さくすることができる。
これによって、吹出口23を目立ち難くすることができるため、一階空間9aの美観を向上することができる。また、吹出口23にゴミや埃等が入り難くすることができるため、吹出口23からゴミや埃等が落下することを防止するための対策(例えば、フィルターの設置等)を簡素なものにすることができる。
ここで、床下空間8には、間仕切りが設けられていない。すなわち、床下空間8は、その全域が繋がった一つの空間となっている。このため、ファン22によって送り出された空気(暖められた空気)は、床下空間8の全域に流されることとなる。また、吹出口23の形状が小さくなることで、吹出口23の形状が大きい場合に比べて、当該吹出口23の設置場所の自由度が高まる。
すなわち、空調システム20によれば、吹出口23の設置場所の自由度が高まる結果、一階空間9aのより広範囲に床下空間8の空気(暖められた空気)を導入することが可能となるため、一階空間9aの広範囲を快適な温度に調節することができる。これによれば、一階空間9aのドアにアンダーカット等を設けて一階空間9aの各場所(ダイニングキッチン13やトイレ14等)を互いに連通することなく、一階空間9aの全域を快適な温度に調節することもできる。
また、床下空間8にファン22を設けることで、吹出口23の下方(近傍)に放熱器21を配置することなく、放熱器21で暖めた空気を吹出口23から一階空間9aに導入可能となる。これによって、放熱器21と吹出口23とを離して配置することができるため、放熱器21及び吹出口23のレイアウト自由度を向上することができる。
また、空調システム20においては、ファン22で一階空間9aの空気を床下空間8に吸引する(床下空間8に給気する)ようにしている。これによって、床下空間8の空気を一階空間9aに排気する場合よりも、一階空間9aに導入される空気の流れ(風)を弱くして、居住者に不快感を与え難くしている。
図3に示すように、本実施形態においては、ダイニングキッチン13(すなわち、居住者が日常多く居ることが想定される居室空間)の下方に放熱器21を配置している。これによれば、放熱器21で暖められた床下空間8の空気によってダイニングキッチン13の床面(一階床部5の床面5aの一部)を暖めることができる。
次に、図8等を参照して春季及び秋季における空調システム20の動作について説明する。
ここで、春季及び秋季とは、予め設定されて制御装置26に記憶される期間である。春季及び秋季は、月単位で設定され、1年の中で月の平均気温が中間となる3つの月(3ヶ月)がそれぞれ設定される。なお、本実施形態において、春季には、3月、4月及び5月が設定される。また、本実施形態において秋季には、9月、10月及び11月が設定される。
制御装置26は、前記時計部を用いて現在の月日を確認し、当該確認結果に基づいて現在の月が春季又は秋季であるか否かを判断する。そして、制御装置26は、春季又は秋季であると判断した場合に春季及び秋季に応じた制御を行う。
図8に示す春季及び秋季において、床下空間8の自然温度は、一般的に24〜25℃である。すなわち、床下空間8の自然温度は、春季及び秋季において居住者が快適と感じる温度(25℃程度)に近い温度となる。
制御装置26は、このような春季及び秋季において全ての放熱器21の動作を停止させる。また、制御装置26は、エアコン24の動作も停止させる。
制御装置26は、このような状態で全てのファン22を動作させる(図3参照)。これによって、床下空間8の空気(暖められていない空気)は、ファン22によって吹出口23に送られて、吹出口23から一階空間9aに導入される。このように、制御装置26は、床下空間8の自然温度が居住者が快適と感じる温度と大差がない春季及び秋季において、ファン22を動作させ、床下空間8の空気をそのまま一階空間9aに導入することで一階空間9aを快適な温度に調節することができる。
これによれば、春季及び秋季において動作させる機器を最小限に留めることができるため、温度調節に要する消費電力を下げることができる。
次に、図9等を参照して夏季における空調システム20の動作について説明する。
ここで、夏季とは、予め設定されて制御装置26に記憶される期間である。夏季は、月単位で設定され、1年の中で月の平均気温が高い3つの月(3ヶ月)が設定される。なお、本実施形態において夏季には、7月、8月及び9月が設定される。
制御装置26は、前記時計部を用いて現在の月日を確認し、当該確認結果に基づいて現在の月が夏季であるか否かを判断する。そして、制御装置26は、夏季であると判断した場合に冬季に応じた制御を行う。
図9に示す夏季において、床下空間8の自然温度は、一般的に24〜25℃である。すなわち、床下空間8の自然温度は、夏季において居住者が快適と感じる温度(25℃程度)に近い温度となる。
制御装置26は、このような夏季において全ての放熱器21の動作を停止させる。制御装置26は、このような状態で全てのファン22を動作させる(図3参照)。これによって、床下空間8の空気(暖められていない空気)は、ファン22によって吹出口23に送られて、吹出口23から一階空間9aに導入される。このように、制御装置26は、床下空間8の自然温度が居住者が快適と感じる温度と大差がない夏季において、床下空間8の空気をそのまま一階空間9aに導入する。これによって、一階空間9aに冷たい風を導入して一階空間9aの快適な温度に調節することができる。
また、制御装置26は、夏季においてエアコン24を動作させ、室内機24aからリビング12及びダイニングキッチン13に冷たい空気を送り出す。これによれば、制御装置26は、床下空間8から導入される空気と室内機24aから送り出される空気とで、リビング12及びダイニングキッチン13を効果的に冷やすことができる。また、エアコン24の負荷を減らしてエアコン24の消費電力を下げることができる。
以上のように、空調システム20によれば、1年を通して一階空間9aの温度を安定させる(居住者が快適と感じる温度で維持する)ことができる。また、エアコン24を具備する空調システム20によれば、居住者がエアコン24を手動操作することで一時的な温度変化(例えば、多くの来客がある場合等)に対応することが可能となる。
また、図1(b)に示すように、本実施形態においては、屋内側基礎断熱材25a及び屋外側基礎断熱材25bによって基礎2における断熱効果を高くしている。これによれば、床下空間8の保温効果を高めることができるため、床下空間8と屋外との温度差が大きい冬季及び夏季において床下空間8の温度変化を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態においては、屋内側外壁断熱材25c及び屋外側外壁断熱材25dによって外壁部4における断熱効果を高くしている。これによれば、一階空間9aの保温効果を高めることができるため、一階空間9aと屋外との温度差が大きい冬季及び夏季において、一階空間9aの温度変化を効果的に抑制することができる。
以上の如く、本実施形態に係る空調システム20は、建物1の床下空間8に設置され、空気を加熱する放熱器21(加熱装置)と、前記床下空間8よりも上方に配置される屋内空間9の一階空間9aに前記床下空間8の空気を送出するファン22と、前記一階空間9aの床面5aに形成され、前記床下空間8の空気を前記ファン22により前記一階空間9aに導入する吹出口23と、を具備するものである。
このように構成することにより、ファン22によって床下空間8に空気の流れを作ることができるため、吹出口23の形状を小さくすることができる。また、放熱器21によって、床下空間8が過剰に乾燥することなく床下空間8を暖めることができる。また、このような床下空間8の空気によって一階空間9aを暖めることで、一階空間9aが過剰に乾燥することなく一階空間9aを暖めることができる。さらに、ファン22によって放熱器21で暖めた空気を床下空間8の全域に送り出すことができるため、床下空間8の全体を暖めることができる。
また、前記放熱器21及び前記ファン22の動作を制御可能な制御装置26をさらに具備し、前記制御装置26は、冬季において、前記放熱器21を動作させると共に、前記ファン22を動作させて前記床下空間8の空気を前記吹出口23を介して前記一階空間9aに送出し、夏季において、前記放熱器21の動作を停止させると共に、前記ファン22を動作させて前記床下空間8の空気を前記吹出口23を介して前記一階空間9aに送出するものである。
このように構成することにより、床下空間8の自然温度が居住者が快適と感じる温度よりも低い冬季において、放熱器21で暖めた床下空間8の空気を一階空間9aに導入することができる。また、床下空間8の自然温度が居住者が快適と感じる温度と大差がない夏季において、床下空間8の空気をそのまま一階空間9aに導入することができる。これによって、冬季及び夏季に一階空間9aを快適な温度に調節することができる。
また、前記一階空間9aに配置される室内機24aと、当該室内機24aとの間で冷媒が流通可能に接続される室外機24bとを有するエアコン24をさらに具備し、前記室外機24bは、前記放熱器21との間で熱媒体が流通可能に接続され、前記熱媒体を加熱可能に構成されるものである。
このように構成することにより、エアコン24の室外機24bを放熱器21の室外機としても用いることができるため、室外機を一つにまとめて省スペース化することができる。
また、本実施形態においては、屋外の温度と居住者が快適と感じる温度との差が大きい冬季及び夏季において、エアコン24を動作させるようにしている。これによって、一階空間9aを快適な温度に調節し易くすることができる。
また、前記ファン22は、前記一階空間9aの空気を前記床下空間8に吸引するものである。
このように構成することにより、一旦温度調節された一階空間9aの空気を床下空間8に導入することができるため、ファン22の吸引によって生じる床下空間8の温度変化を抑制することができる。これによって、一階空間9aの温度調節をし易くすることができる。
また、前記建物1の基礎2の屋内側に配置される屋内側基礎断熱材25aと、前記基礎2の屋外側に配置される屋外側基礎断熱材25bと、をさらに具備するものである。
このように構成することにより、床下空間8を形成する基礎2の断熱効果を高めることができる。これによって、床下空間8の保温効果を高めて、屋外の空気による温度変化を抑制することができる。
また、前記一階空間9aは、前記建物1の一階部分を形成するものである。
このように構成することにより、床下空間8のすぐ上方の空間に床下空間8の空気を導入することができるため、床下空間8の空気を一階空間9aに簡単に送ることができる。
特に、冬季においては一階空間9aは冷え易いため、より実効的に温風(床下空間8で暖められた空気)送出の効果を享受できる。
また、前記放熱器21は、前記一階空間9aに形成されるダイニングキッチン13(居室空間)の下方に配置されるものである。
このように構成することにより、放熱器21で加熱された床下空間8の空気によって、ダイニングキッチン13の床面を暖めることができる。
また、人が滞在する時間の比較的長いダイニングキッチン13の床面を暖めることで、床暖房(放熱器21によって床面5aを暖めることによる暖房)の効果をより実効的に得ることができる。
なお、本実施形態に係る放熱器21は、加熱装置の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る一階空間9aは、屋内空間の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るダイニングキッチン13は、居室空間の実施の一形態である。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態において、建物1は、一軒家であるものとしたが、建物1の種類はこれに限定されるものでなく、集合住宅等であってもよい。
また、建物1に設けられる屋根7の形状は切妻屋根に限るものではなく、種々の形状の屋根を適用することが可能である。
また、本実施形態において、冬季には、12月、1月及び2月が設定されるものとしたが、これに限定されるものでない。冬季には、建物1の場所等に応じて適宜の期間を設定することが可能である。例えば、寒冷地の建物1に空調システム20が設けられる場合、冬季に11月、12月、1月、2月及び3月を設定してもよい。また、春季、夏季及び秋季においても、冬季と同様に、建物1の場所等に応じて適宜の期間を設定することが可能である。
また、本実施形態において、冬季、春季、夏季及び秋季は、月単位で設定されるものとしたが、これに限定されるものでなく、日単位で設定されるものであってもよい。例えば、冬季は、12月15日から3月14日までであってもよい。また、春季、夏季及び秋季においても、冬季と同様に、日単位で設定されるものであってもよい。
また、本実施形態において、制御装置26は、冬季等(月)に応じて空調システム20の動作を制御するものとしたが、これに限定されるものでない。制御装置26は、例えば、屋外の温度に応じて空調システム20の動作を制御してもよい。このような場合において、空調システム20は、屋外の気温を測定可能な温度計を具備していてもよい。また、制御装置26は、放熱器21及びエアコン24を動作させるか否かの判断基準となる温度(閾値)を予め記憶していてもよい。
また、本実施形態においては、温水を循環させる放熱器21によって床下空間8を暖めるものとしたが、床下空間8を暖める手段はこれに限定されるものでなく、例えば、床下空間8に配置されて熱を発生させるヒータ等であってもよい。
また、リビング12には、ダウンフロアが採用されていなくてもよい。このような場合において、放熱器21は、床下空間8にバランスよく配置されていてもよい。また、放熱器21は、リビング12の下方に配置されてリビング12の床面を暖めてもよい。
また、放熱器21の配置は、本実施形態に限定されるものでない。放熱器21は、例えば、床下空間8の中央部に集中的に配置されていてもよい。また、放熱器21は、床下空間8の屋外側に分散して配置されていてもよい。
また、本実施形態において、ファン22は、一階空間9aの空気を床下空間8に吸引するものとしたが、ファン22の吸引対象はこれに限定されるものでなく、例えば、屋外の空気を吸引するものであってもよい。また、ファン22は、床下空間8から一階空間9aへ空気を排気するものであってもよい。
また、放熱器21及びファン22の個数(設置台数)は特に限定するものではなく、それぞれ任意の個数を設置することが可能である。
また、本実施形態において、空調システム20は、エアコン24を具備するものとしたが、これに限定されるものでなく、エアコン24を具備していなくてもよい。
また、本実施形態において、空調システム20は、断熱材25を具備するものとしたが、これに限定されるものでなく、断熱材25を具備していなくてもよい。
また、本実施形態において、エアコン24の室外機24bは、放熱器21の室外機としても機能するものとしたが、これに限定されるものでない。すなわち、空調システム20は、放熱器21の室外機とエアコン24の室外機24bとをそれぞれ具備するものであってもよい。
また、本実施形態において、断熱材25は、屋内側基礎断熱材25a及び屋外側基礎断熱材25bを具備するものとしたが、これに限定されるものでない。断熱材25は、屋内側基礎断熱材25a又は屋外側基礎断熱材25bの少なくともいずれか一方を具備していればよい。
また、本実施形態において、断熱材25は、屋内側外壁断熱材25c及び屋外側外壁断熱材25dをそれぞれ具備するものとしたが、これに限定されるものでない。断熱材25は、屋内側外壁断熱材25c又は屋外側外壁断熱材25dの少なくともいずれか一方を具備していればよい。