JP2017067297A - 木ねじ - Google Patents

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鈴木 一生
Kazuo Suzuki
一生 鈴木
吉典 角田
Yoshinori Tsunoda
吉典 角田
宮本 慎介
Shinsuke Miyamoto
慎介 宮本
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Abstract

【課題】防水用途の高粘性ゴムと木材とを合わせて貫通させる用途においても挿入トルクの増加を抑える木ねじを得ること。【解決手段】回転力を受ける頭部11と、軸部12と、ねじ先部13とを備え、ねじ先部13及び軸部12に跨るねじを有する木ねじ10であって、ねじ先部13は、軸方向に延びるV字形状の溝16が形成されており、ねじは、ねじ山を有し、ねじ山の部分での直径をD1、軸部12のシャンク12aの直径をD3とした場合に、1.65>(D1/D3)>1.55の関係を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は、家屋の防水性を損なわずに、家屋の外部に機器を据え付けて固定するために用いる木ねじに関する。
従来、家屋の外部に家屋の防水性を損なわずに太陽電池等の発電機器、太陽熱温水器、電波信号受信アンテナ、屋外照明器具、エアコンディショナー室外機等の機器を据え付けて固定するために木ねじが使用されている。
特許文献1に開示されるような二条ねじは、ねじ1回転当たりの進み角度が大きいため、作業時間を短縮できるが、挿入トルクが大きいため、電動トルクドライバの出力トルクを高く設定する必要がある。一方で、木材の硬度にはバラツキがあるため、高い出力トルクに設定してねじ締め作業を行うと、木ねじを打ち込まれた木材が破壊されてねじが空転してしまい、木ねじの保持力を得られないという問題がある。
挿入トルクを軽減させることを目的とした手法として、特許文献2のように、木ねじ先端をドリル形状に形成することによって、木材やコンクリートを切削する機能を付与し、挿入トルクを軽減させる方法がある。また、木ねじの腐食を防止する手法として、特許文献3のように、表面を樹脂でコーティングする方法がある。
特許第4886214号公報 特許第4684169号公報 特開2002−323021号公報
しかしながら、上記特許文献2によれば、防水用途の高粘性ゴムと木材又はコンクリートとを合わせて貫通させる用途においては、高粘性ゴムが先端のドリル部にまとわりついてドリル部の溝に高粘性ゴムが詰まり、木屑やコンクリートの破片を掻き出す機能を十分に発揮できず、挿入トルクを軽減できなくなる問題があった。
また、特許文献3によれば、先端をドリル形状としても、ドリル部の切削機能を有する鋭利な角の部分を樹脂が覆ってしまうため、ドリル部の穿孔性が低下するという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、防水用途の高粘性ゴムと木材とを合わせて貫通させる用途においても挿入トルクの増加を抑える木ねじを得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、回転力を受ける頭部と、軸部と、ねじ先部とを備え、ねじ先部及び軸部に跨るねじを有する木ねじであって、ねじ先部は、軸方向に延びる溝が形成されている。ねじは、ねじ山を有し、ねじ山の部分での直径をD、軸部のシャンクの直径をDとした場合に、1.65>(D/D)>1.55の関係を満たす。
本発明によれば、防水用途の高粘性ゴムと木材又はコンクリートとを合わせて貫通させる用途においても挿入トルクの増加を抑えることができるという効果を奏する。
図1は、本発明にかかる木ねじの実施の形態の構成を示す側面図である。 図2は、本発明にかかる木ねじの実施の形態の構成を示す上面図である。 図3は、軸部の拡大図である。 図4は、ねじ先部での木ねじの断面図である。 図5は、木ねじ、ワッシャ及び防水パッキンを組み合わせた締結部材の側面図である。 図6は、ワッシャ及び防水パッキンを軸部の一番頭部側まで挿入した状態の締結部材を示す図である。 図7は、家屋の屋根上にブラケットを載せた状態を示す断面図である。 図8は、第1、第2及び第3の防水シートを貫通した木ねじが木材に達した状態を示す図である。 図9は、第1、第2及び第3の防水シートの破片がV字形状の溝に入る様子を模式的に示す図である。 図10は、木ねじをねじ込み終えた状態を示す図である。 図11は、木ねじをねじ込み終えた時の防水パッキンの状態を示す断面図である。 図12は、第1のねじ山の部分での直径と引抜強度の平均及び標準偏差σとの関係を示す図である。
以下に、本発明にかかる木ねじの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態.
図1は、本発明にかかる木ねじの実施の形態の構成を示す側面図である。図2は、本発明にかかる木ねじの実施の形態の構成を示す上面図である。木ねじ10は、頭部11、軸部12及びねじ先部13を有する。頭部11は、六角形であり、十字穴111が設けられている。このため、木ねじ10は、レンチ及びドライバのどちらを用いても締めたり、緩めたりできる。頭部11の座面112はフランジ状に張り出している。軸部12は、シャンク12aが円柱状となっている。ねじ先部13は、全とがり先形状となっており、シャンク13aは円錐形状となっている。ねじ先部13から軸部12に亘って、第1のねじ山14及び第2のねじ山15からなる二条ねじが形成されている。図3は、軸部の拡大図である。二条ねじは、第1のねじ山14の部分での直径Dが、第2のねじ山15の部分での直径Dよりも大きく形成されている。
頭部11の首下113は、軸部12のシャンク12aから頭部11に向かって直径がDからDへ増大するようにテーパ状に形成されている。首下113の根元の直径Dは、第1のねじ山14の部分での直径Dよりも大きくなっている。
ねじ先部13には、ねじ先部13のシャンク13aの回転軸を中心に回転対称かつ等間隔に、V字形状の溝16が四つ設けられている。V字形状の溝16のうちの少なくとも一つは、木ねじ10を打ち込む木材の厚さと同等以上の長さを有している。なお、V字形状の溝16は、軸部12まで達していても良い。図4は、ねじ先部での木ねじの断面図であり、図1におけるIV−IV線に沿った断面を示す。V字形状の溝16は、底部16aの稜線がなだらかな円弧形状となっている。V字形状の溝16は、ねじ先部13側よりも頭部11側の方が、シャンク13a中心から底部16aの稜線までの距離が長くなっている。換言すると、V字形状の溝16は、底が円弧状であり、頭部11側ほど浅くなっている。V字形状の溝16の縁16bは、エッジ状となっている。
木ねじ10は、木ねじ10を打ち込む木材の厚さをTとしたとき、2D>T、かつ、1.65>(D/D)>1.55を満たす関係となっている。この条件を満たすことにより、打ち込んだ木材からの引抜強度の値の大きさと値のバラツキの小ささとを両立させることができるが、これについては、後段で説明する。
木ねじ10は、全面が樹脂層17で覆われており、耐候性が高められている。なお、耐候性を高める目的の上では、樹脂層17は木ねじ10の全面に設けられている必要はなく、少なくとも先端側の木材を貫通して突出する部分と、頭部11とに設けられていればよい。
実施の形態にかかる木ねじ10は、ワッシャ21及び防水パッキン22と組み合わせて締結部材として用いられる。図5は、木ねじ、ワッシャ及び防水パッキンを組み合わせた締結部材の側面図である。ワッシャ21及び防水パッキン22は、この順で木ねじ10の軸部12に通される。図6は、ワッシャ及び防水パッキンを軸部の一番頭部側まで挿入した状態の締結部材を示す図である。
ワッシャ21は、ステンレス鋼を材料として形成されており、内径はDである。なお、ワッシャ21の材料としては、金属材料であればステンレス以外(鉄等)であっても良い。ワッシャ21の内径Dは、木ねじ10の第1のねじ山14の部分での直径Dよりも大きく、かつ、木ねじ10の首下113の根元の直径Dよりも小さくなっている(D>D>D)。D>D>Dであるため、ワッシャ21は木ねじ10の首下113のテーパの途中で止まり座面112に当接するまで挿入することはできないようになっている。防水パッキン22は、天然ゴムやニトリルゴムなどの公知の一般的な樹脂材料を原料として形成されており、防水パッキン22の内径Dは、木ねじ10の首下113の根元の直径Dよりも小さくなっている(D>D)。
厚さ12mmの木材に打ち込む場合の実施の形態にかかる締結部材の各部の寸法の一例を挙げると、木ねじ10は、第1のねじ山14の部分での直径D=6.3mm、第2のねじ山15の部分での直径D=5mm、軸部12のシャンク12aの直径D=4mm、首下113の根元の直径D=6.7mmであり、V字形状の溝16は四つ、V字の開き角度は約60°、V字形状の溝16の長さは略12mmである。ワッシャ21は、内径D=6.5mmである。防水パッキン22は、内径D=4.8mmである。なお、これらの値はあくまでも一例であり、本発明はこれらの値に限定されることはない。
実施の形態にかかる締結部材は、家屋の屋根の上に物品(太陽電池モジュールの据付用のブラケットなど)を固定する際に用いられる。図7は、家屋の屋根上にブラケットを載せた状態を示す断面図である。家屋の屋根は、木材30、第1の防水シート40、第1の屋根材50、第2の屋根材60及び第3の屋根材70を備えており、ブラケット100を設置するに当たって、第2の防水シート80及び第3の防水シート90が追加されている。
木材30は、合板などであり、厚さT=9mm以上である。木材30は、野地板として家屋の屋根に設けられている。
第1の防水シート40は、ゴム・アスファルト系の屋根下地用途の防水シートであり、野地板である木材30の上に敷かれている。
第1、第2及び第3の屋根材50,60,70は、化粧スレートであり、互いの一部を重ね合わせるようにして第1の防水シート40の上に葺かれ、不図示のねじを用いて木材30に一部が固定されている。第2の屋根材60及び第3の屋根材70には、ブラケット100を設置するのに当たって、ドリル加工などによって下穴61,71が形成されている。
ブラケット100は、取付用穴101を備えており、取付用穴101が第2の屋根材60及び第3の屋根材70の下穴61,71と重なるように設置され、木ねじ10で第3の屋根材70の上に固定される。ブラケット100には、不図示の太陽電池モジュールが後に固定される。
第2の防水シート80は、ゴム・アスファルト系などの防水シートであり、第2の屋根材60と第3の屋根材70との隙間を広げて挿入される。第2の防水シート80は、第2の屋根材60及び第3の屋根材70の下穴61,71への雨水の侵入を防止する。
第3の防水シート90は、ブチルゴムで形成されている。第3の防水シート90は、ブラケット100の取付用穴101からの雨水の侵入や、ブラケット100の裏を通り第3の屋根材70の下穴71へ入る雨水の侵入を防止する。なお、第1の防水シート40、第2の防水シート80及び第3の防水シート90は、必要に応じて設ければよい。第1の防水シート40、第2の防水シート80及び第3の防水シート90は、いずれか1種類のみ設けても良いし、3種類とも設けても良い。
第1、第2及び第3の防水シート40,80,90には、木ねじ10の挿入前に下穴加工は実施されていない。
図8は、第1、第2及び第3の防水シートを貫通した木ねじが木材に達した状態を示す図である。図9は、第1、第2及び第3の防水シートの破片がV字形状の溝に入る様子を模式的に示す図である。木ねじ10は、取付用穴101及び下穴61,71に挿入された上で回転させられることで、V字形状の溝16の縁16bが第1、第2及び第3の防水シート40,80,90を切削し、第1、第2及び第3の防水シート40,80,90を突き破る。木ねじ10が第1、第2及び第3の防水シート40,80,90を突き破る際にねじ先部13や軸部12にまとわりついたゴム片110は、V字形状の溝16に入り込む。V字形状の溝16は、頭部11側ほど浅くなっているため、V字形状の溝16に入り込んだゴム片110は、頭部11側へ排出される。したがって、第1、第2及び第3の防水シート40,80,90を貫通した木ねじ10が木材30を穿つ際には、V字形状の溝16が目詰まりを起こしていないため、穿孔性を損なうことがない。
V字形状の溝16は、木材30の厚さとほぼ同じ長さで設けられているため、木材30に穴を穿つ際にも、V字形状の溝16に入り込んだゴム片110や木屑が木ねじ10の頭部11側へ排出される。これにより、木材30に締め込んだ木ねじ10と木材30との間に木屑が噛み込みにくくなり、木ねじ10が緩むことを防止できる。
第1のねじ山14及び第2のねじ山15の谷部は、樹脂層17で覆われており、金属表面処理又は金属生地素材の木ねじよりも表面摩擦抵抗が大きいため、高粘性の第1、第2及び第3の防水シート40,80,90がまとわりつきやすい。このため、木材30に打ち込まれた木ねじ10と木材30との間にも高粘性の第1、第2及び第3の防水シート40,80,90が薄く入り込みやすくなり、木ねじ10と木材30との間に侵入する雨水を防止する効果が得られる。一方で、V字形状の溝16の木材切削機能を有する角(縁16b)が樹脂層17で覆われ、かつ、木ねじ10の表面にまとわりついた第1、第2及び第3防水シート40,80,90によって挿入トルクが増大するが、V字形状の溝16を四つ設けることにより、V字形状の溝16が一つの場合と比較して略四倍の切削能力が得られるため、穿孔性に優れ、挿入トルクの増大を抑制できる。したがって、木材30に対する引抜強度を高めるためにねじ山外形を大きく形成しても、挿入トルクの増加を抑えることができる。
図10は、木ねじをねじ込み終えた状態を示す図である。防水パッキン22は、ワッシャ21とブラケット100との間に挟まれている。図11は、木ねじをねじ込み終えた時の防水パッキンの状態を示す断面図である。D>Dであるため、ワッシャ21は、首下113のテーパの途中で止まっており、木ねじ10の首下113とワッシャ21との間に隙間が空いていない状態となっている。また、D>Dであるため、防水パッキン22には木ねじ10のテーパ状の首下113が、穴を押し広げるようにして挿入される。これにより、木ねじ10の首下113からワッシャ21の内側を通って雨水が侵入することを防止できる。
実施例として、ステンレス鋼を材料とし、第1のねじ山の部分での直径D=6.3mm、第2のねじ山の部分での直径D=5mm、軸部のシャンク12aの直径D=4mm、首下の根元の直径D=6.7mmとして木ねじを形成した。ねじ先部には開き角度約60°のV字形状の溝を四つ形成し、各々の溝の長さは概ね12mmとした。木ねじの全面には、金属亜鉛層、特殊化成皮膜層、及びポリエステル系材料を使った表面焼成層をこの順に形成した。
比較例1として、V字形状の溝を一つとし、その他を実施例と同様とした木ねじを作成した。
比較例2として、V字状形状の溝を設けず、その他を実施例と同様とした木ねじを作成した。
厚さ12mmの構造用合板を用いて試験片を作成し、実施例、比較例1又は比較例2の木ねじを、トルク管理が可能である一般的な電動ドライバでねじ込み、ねじが締まるトルク値及び空転が生じるトルク値を測定した。ねじが締まるトルク値及び空転が生じるトルク値を測定結果を表1に示す。
Figure 2017067297
V字形状の溝の数に関わらず空転トルクはほぼ一定の値であるが、挿入トルクはV字形状の溝が4本の場合に最も小さくなっている。このため、V字形状の溝の数を増やすことで、木ねじをねじ込む際のトルクの管理幅を広く設定できる。また、挿入トルクの最大値は、V字形状の溝の本数によらずほぼ同じであるが、挿入トルクの最小値は、V字形状の溝が四つの方がV字形状の溝が一つの場合よりも小さくなっている。これにより、V字形状の溝は四つ以上設けることが好ましいことが確認できた。
次に、木ねじの引抜強度について検証した。厚さ12mmの構造用合板を用いて試験片を作成した。試験片の中心に実施例の木ねじを、野地面と首下との間に隙間を空けて電動ドライバを用いて試験片にねじ込み、木ねじの頭部をチャックして引っ張り荷重を印加した。
比較例3として、第1のねじ山の部分での直径D=6.7mmとし、その他の部分を実施例と同様とした木ねじを作成し、実施例の木ねじと同様に電動ドライバを用いて試験片にねじ込み、木ねじの頭部をチャックして引っ張り荷重を印加した。
比較例4として、第1のねじ山の部分での直径D=6.4mm、第2のねじ山の部分での直径D=6.4mmとし、その他の部分を実施例と同様とした木ねじを作成し、実施例の木ねじと同様に電動ドライバを用いて試験片にねじ込み、木ねじの頭部をチャックして引っ張り荷重を印加した。
比較例5として、第1のねじ山の部分での直径D=5.6、軸部のシャンク12aの直径D=3.5mmとし、その他の部分を実施例と同様とした木ねじを作成し、実施例の木ねじと同様に電動ドライバを用いて試験片にねじ込み、木ねじの頭部をチャックして引っ張り荷重を印加した。
比較例6として、第1のねじ山の部分での直径D=5.15mmとし、V字形状の溝を一つとした木ねじを作成し、実施例の木ねじと同様に電動ドライバを用いて試験片にねじ込み、木ねじの頭部をチャックして引っ張り荷重を印加した。なお、比較例6は、現在家屋の屋根等への物品の固定に一般的に使用されている木ねじに相当する。
引抜強度の測定結果を表2に示す。
Figure 2017067297
実施例及び比較例3〜6を基に、第1のねじ山の高さと引抜強度との関係を検討した。図12は、第1のねじ山の部分での直径と引抜強度の平均及び標準偏差σとの関係を示す図である。第1のねじ山の部分での直径Dが大きくなるに従い、引抜強度は線形的に増加し、D=6.7mmの比較例3の場合は現行比で30%、D=6.3mmの実施例の場合は現行比で20%程度強度が向上した。
比較例3と実施例とを比較すると、平均値は比較例3が上回るものの、バラツキ(標準偏差)が大きくなっている。これは、第1のねじ山の高さが高すぎることで試験片(母材)を破壊していることが要因と考えられる。比較例3は、ねじ込み時の試験片の割れも実施例よりも大きかった。
比較例4と実施例とでは、第1のねじ山の部分での直径Dがほぼ同じ値であるため、引抜強度はほぼ同等であるが、第1のねじ山の部分での直径Dと第2のねじ山の部分での直径Dとが等しい比較例4の方がねじ込み時の割れが大きい傾向にあった。
実施例は、2D(=12.6)<T、かつ、(D/D)=1.58であり、引抜強度の値が大きく、値のバラツキも小さい。比較例3は、(D/D)=1.68(>1.65)であり、引抜強度のバラツキが大きい。比較例5は、2D(=11.2)<Tであり、引抜強度が小さい。比較例6は、2D(=10.3)<T、かつ、(D/D)=1.29(<1.55)であり、引抜強度が小さい。
上記の結果を基に、木ねじを打ち込む木材の厚さをTとしたとき、2D>T、かつ、1.65>(D/D)>1.55という関係を満たすようにすることで、引抜強度の値の大きさと値のバラツキの小ささとを両立させることができることが確認できた。
なお、上記の実施の形態では、ねじ先部にV字形状の溝が四つ設けられた構成を例としたが、V字形状の溝は四つ以上であれば任意の数とすることができる。また、上記の例では、ねじ込み対象を構造用合板としたが、コンクリートの型枠用や他の合板、あるいは、切削された長方形の薄い木片を重ねて高温圧縮した構造用木質ボード、小径木などを細かく切削した木材の小片に接着剤を加え、高温、高圧で成形したパーティクルボード、木片とセメントを混練圧縮成型した硬質木片セメント板等の木を主成分とした他の材料であっても同様の効果が得られる。
実施の形態にかかる木ねじは、挿入トルクと空転トルクの差が大きいため、電動ドライバのトルクばらつきや、木ねじを打ち込む箇所の違いによる木材密度のばらつきによる木ねじ空転が生じにくく、空転した、木ねじが木材を破壊してできた隙間を通じて家屋等の内部に雨水等が侵入することを防止でき、家屋等の耐久性を高めることができる。また、引抜強度が向上するため、木ねじ及びこれに付随して使用するワッシャや防水パッキンなどの使用数を減らすことができ、原材料の減量化を実現できる。
以上のように、本発明にかかる木ねじは、引抜強度が強く、かつ、挿入トルクが小さい点で有用であり、特に、家屋の屋根などの防水シートが設置された箇所に、家屋の防水性を損なわないように物品を固定するのに適している。
10 木ねじ、11 頭部、12 軸部、12a,13a シャンク、13 ねじ先部、14 第1のねじ山、15 第2のねじ山、16 V字形状の溝、16a 底部、16b 縁、17 樹脂層、21 ワッシャ、22 防水パッキン、30 木材、40 第1の防水シート、50 第1の屋根材、60 第2の屋根材、61,71 下穴、70 第3の屋根材、80 第2の防水シート、90 第3の防水シート、100 ブラケット、101 取付用穴、110 ゴム片、111 十字穴、112 座面、113 首下。

Claims (4)

  1. 回転力を受ける頭部と、軸部と、ねじ先部とを備え、前記ねじ先部及び前記軸部に跨るねじを有する木ねじであって、
    前記ねじ先部は、軸方向に延びる溝が形成されており、
    前記ねじは、ねじ山を有し、
    前記ねじ山の部分での直径をD、前記軸部のシャンクの直径をDとした場合に、
    1.65>(D/D)>1.55
    の関係を満たすことを特徴とする木ねじ。
  2. 前記ねじは、前記ねじ山が第1のねじ山及び第2のねじ山を有する二条ねじであり、
    前記第1のねじ山の部分の直径が前記Dであり、前記第2のねじ山の部分の直径は、前記Dよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の木ねじ。
  3. 前記溝はV字形状であり、前記ねじ先部のみに形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の木ねじ。
  4. 前記軸部のねじ込み対象部材を貫通して突出する部分及び前記ねじ先部を少なくとも覆う樹脂層を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の木ねじ。
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