JP2017065117A - インクジェット記録方法、及び、インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録方法、及び、インクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】インク組成物の浸み出しが少なく、アルコール耐性及び高温耐性に優れた印刷物を得ることができるインクジェット記録方法、及び、インクジェット記録装置を提供すること。
【解決手段】エチレン性不飽和基を有するポリマー粒子、顔料、及び、水を含み、かつ、重合開始剤を含まないか又は重合開始剤の含有量が0質量%を超え0.1質量%以下であるインクを、インクジェットヘッドを用いて基材上に吐出する吐出工程、吐出された上記インクにおける上記水の少なくとも一部を除去して上記インクを乾燥させる乾燥工程、並びに、乾燥された上記インクをエレクトロンビームによって硬化させる硬化工程をこの順に含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録方法、及び、インクジェット記録装置に関する。
画像データ信号に基づき、紙などの基材に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。
インクジェット方式は、印刷装置が安価であり、かつ、印刷時に版を必要とせず、必要とされる画像部のみにインクを吐出し基材上に直接画像形成を行うため、インクを効率よく使用でき、特に小ロット生産の場合にランニングコストが安い。更に、騒音が少なく、画像記録方式として優れており、近年注目を浴びている。
中でも、紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインクジェットインク(放射線硬化型インクジェット記録用インク組成物)は、紫外線などの放射線の照射によりインクの成分の大部分が硬化するため、溶剤系インクと比べて乾燥性に優れ、また、画像がにじみにくいことから、種々の基材に印字できる点で優れた方式である。
従来のインクとしては、特許文献1又は2に記載のものが挙げられる。
特開平8−218018号公報 特表2014−529637号公報
本発明が解決しようとする課題は、インク組成物の浸み出しが少なく、アルコール耐性及び高温耐性に優れた印刷物を得ることができるインクジェット記録方法、及び、インクジェット記録装置を提供することである。
本発明の上記課題は下記の<1>、又は、<8>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<7>及び<9>〜<13>と共に以下に記載する。
<1> エチレン性不飽和基を有するポリマー粒子、顔料、及び、水を含み、かつ、重合開始剤を含まないか又は重合開始剤の含有量が0質量%を超え0.1質量%以下であるインクを、インクジェットヘッドを用いて基材上に吐出する吐出工程、吐出された上記インクにおける上記水の少なくとも一部を除去して上記インクを乾燥させる乾燥工程、並びに、乾燥された上記インクをエレクトロンビームによって硬化させる硬化工程をこの順に含むことを特徴とするインクジェット記録方法、
<2> 上記ポリマー粒子がポリウレタンを含有する、<1>に記載のインクジェット記録方法、
<3> エレクトロンビームの加速電圧が150kV以下であり、かつ、上記硬化工程における乾燥された上記インクのエレクトロンビームの吸収線量が30kGy以下である、<1>又は<2>に記載のインクジェット記録方法、
<4> 上記吐出工程の前に、凝集剤を含む処理液を基材に付与する処理液付与工程を更に含む、<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
<5> 上記ポリマー粒子の含有量が、上記吐出工程における上記インク中のエチレン性不飽和化合物の全質量に対し、99質量%以上である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
<6> 上記吐出工程における上記インクが、分子量1,000未満のエチレン性不飽和化合物を含まないか、又は、分子量1,000未満のエチレン性不飽和化合物の含有量が、上記インクの全質量に対し、0質量%を超え0.1質量%以下である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
<7> 上記乾燥工程が、熱乾燥させる工程である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
<8> インクジェットヘッド、乾燥手段及びエレクトロンビーム源を順に配置した基材搬送装置と、エチレン性不飽和基を有するポリマー粒子、顔料、及び、水を含み、かつ、重合開始剤を含まないか又は重合開始剤の含有量が0質量%を超え0.1質量%以下であるインクとを備えることを特徴とするインクジェット記録装置、
<9> 上記エレクトロンビーム源におけるエレクトロンビームの加速電圧が150kV以下であり、かつ、乾燥された上記インクがエレクトロンビームの吸収線量30kGy以下で硬化可能である、<8>に記載のインクジェット記録装置、
<10> 上記インクジェットヘッドよりも基材の搬送方向上流に、凝集剤を含む処理液を基材に付与する処理液付与手段を有する、<8>又は<9>に記載のインクジェット記録装置、
<11> 上記ポリマー粒子の含有量が、上記インク中のエチレン性不飽和化合物の全質量に対し、99質量%以上である、<8>〜<10>のいずれか1つに記載のインクジェット記録装置、
<12> 上記インクが、分子量1,000未満のエチレン性不飽和化合物を含まないか、又は、分子量1,000未満のエチレン性不飽和化合物の含有量が、上記インクの全質量に対し、0質量%を超え0.1質量%以下である、<8>〜<11>のいずれか1つに記載のインクジェット記録装置、
<13> 上記乾燥手段が、熱乾燥器を有する、<8>〜<12>のいずれか1つに記載のインクジェット記録装置。
本発明によれば、インク組成物の浸み出しが少なく、アルコール耐性及び高温耐性に優れた印刷物を得ることができるインクジェット記録方法、及び、インクジェット記録装置を提供することができた。
本発明に好適に用いられるインクジェット記録装置の一例を示す模式図である。 実施例において画質評価に用いられた画像の1つである。 実施例において画質評価に用いられた画像の別の1つである。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本発明において、数値範囲を表す「下限〜上限」の記載は、「下限以上、上限以下」を表し、「上限〜下限」の記載は、「上限以下、下限以上」を表す。すなわち、上限及び下限を含む数値範囲を表す。
更に、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
「(メタ)アクリレート」等は、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等と同義であり、以下同様とする。
また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本発明において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
(インクジェット記録方法)
本発明のインクジェット記録方法は、エチレン性不飽和基を有するポリマー粒子、顔料、及び、水を含み、かつ、重合開始剤を含まないか又は重合開始剤の含有量が0質量%を超え0.1質量%以下であるインクを、インクジェットヘッドを用いて基材上に吐出する吐出工程、吐出された上記インクにおける上記水の少なくとも一部を除去して上記インクを乾燥させる乾燥工程、並びに、乾燥された上記インクをエレクトロンビームによって硬化させる硬化工程をこの順に含むことを特徴とする。
従来の放射線硬化型のインクジェット記録方法により得た印刷物は、硬化膜からインク組成物である未反応のモノマー、重合開始剤、重合開始剤残渣等が移動するという問題があり、特に、食品包装用等のパッケージ印刷に使用する場合には、パッケージ内包物に移行する量、いわゆるマイグレーション(浸み出し)量が多いという問題があった。また、硬化膜の臭気が強く、内包物や周囲の食品に臭いが移るという問題もあった。
これに対して、特開2008−68516号公報等に記載のように、硬化光源として発光ダイオード(LED)光源を用い低酸素濃度化で硬化させる方法が知られている。この場合、硬化後に残存する未反応のモノマーをほぼ無くすことができるが、重合開始剤、及び、重合開始剤の分解物はインク膜中に残存し、パッケージ内容物中に移行してしまうことを本発明者は見いだした。
一方、硬化型ではないインクでは、上記のような問題が起こる可能性は低いが、基材への定着性を確保することが難しい。定着性を確保するためにラテックスを含有させた水性インクが知られている。しかし、このようなラテックスのガラス転移温度(Tg)は低くする必要があり、レトルト食品用の基材に印刷した時には、レトルト食品製造過程におけるレトルト殺菌等の高温での煮沸によりインクが軟化し、画質の劣化が発生してしまうこと、また、殺菌を目的とするアルコールでの払拭でも画像が落ちてしまうことを本発明者は見いだした。
本発明者が詳細な検討を行った結果、エチレン性不飽和基を有するポリマー粒子、顔料、及び、水を含み、かつ、重合開始剤を含まないか又は重合開始剤の含有量が0質量%を超え0.1質量%以下であるインクを使用し、乾燥及びエレクトロンビームによる硬化を行うことにより、臭気及びインク組成物のマイグレーションが少なく、アルコール耐性及び高温耐性に優れた印刷物を得ることができることを本発明者は見いだした。
なお、インク組成物のマイグレーション(浸み出し)とは、インク組成物中の成分、及び/又は、インク組成物中の成分に由来する化合物が浸み出すことをいう。
<吐出工程>
本発明のインクジェット記録方法は、エチレン性不飽和基を有するポリマー粒子、顔料、及び、水を含み、かつ、重合開始剤を含まないか又は重合開始剤の含有量が0質量%を超え0.1質量%以下であるインクを、インクジェットヘッドを用いて基材上に吐出する吐出工程を含む。
本発明に用いるインクの詳細については、後述する。
本発明のインクジェット記録方法に用いられる基材(記録媒体、支持体等)としては、特に制限なく、公知の基材を使用することができる。
これらの中でも、食品軟包装基材としては、透明な基材であることが好ましい。
なお、本発明において「透明」とは、可視光線透過率が80%以上を意味するものとし、可視光線透過率が90%以上であることが好ましい。また、透明な基材は、透明であれば、着色していてもよいが、無色透明の基材であることが好ましい。
基材として具体的には、例えば、ガラス、石英、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、アクリル樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ナイロン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール等)等が挙げられる。
また、透明な基材としては、これら樹脂が2種以上混合したものであってもよいし、また、これら樹脂が2層以上積層したものであってもよい。
中でも、基材としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂及びポリアミド樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂からなる画像形成面を有する基材であることが好ましく、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレン、ポリプロピレン及びナイロンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂からなる画像形成面を有する基材であることがより好ましく、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレン、ポリプロピレン及びナイロンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂からなる基材であることが更に好ましい。
ポリエチレンとしては、LDPE(低密度ポリエチレン)、MDPE(中密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、ポリプロピレンとしては、CPP(無延伸ポリプロピレン)、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)、KOP(ポリ塩化ビニリデンコートOPP)、AOP(PVAコートOPP)、ポリエチレンテレフタラートとしては、二軸延伸ポリエステル、ナイロンとしては、ON(延伸ナイロン)、KON(延伸ナイロン)、CN(無延伸ナイロン)が好ましく用いられる。
その他、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合フィルム)、PVA(ビニロン),EVOH(ポリビニルアルコール)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン、サラン)、セロハン(PT、MST、Kセロ)、ZX(ゼクロン(ポリアクリロニトリル、PAN))、PS(ポリスチレン、スチロール)との組み合わせを用いることも好ましい。
用途により、基材は最適な素材が選択される。また、多層構造のフィルムとすることで、各素材の特徴が組み合わされたフィルムを基材として用いることもできる。
また、基材の強度向上、酸素遮断等の目的で、AL(アルミニウム箔)、VMフィルム(アルミ蒸着フィルム、透明蒸着フィルム)等を多層構造に組み込むことも可能である。
また、近年、樹脂を、平行した2つ以上のスリットから共に押出し、成膜すると同時にラミネートまで行う、共押出しフィルムも好ましく使用される。フィルム状にできないような数μmという薄いものでも最大5〜7層まで積層可能なので、いろいろな性能及び用途のフィルムがつくられている。
上記基材の厚さとしては、特に制限はないが、1〜500μmであることが好ましく、2〜200μmであることがより好ましく、5〜100μmであることが更に好ましく、10〜90μmであることが特に好ましい。
吐出工程においては、インクジェットヘッドを用いて、インクを基材上に吐出する。
インクをインクジェット法により吐出する手段としては、インクジェットヘッドを用いることが好ましい。
インクジェットヘッドとしては、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、及び、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式のものが好適である。
本発明のインクジェット記録方法に用いることができるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、エレクトロンビーム照射手段を有し、かつ目的とする解像度を達成し得る公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。
本発明のインクジェット記録方法に用いることができるインクジェット記録装置としては、後述する本発明のインクジェット記録装置を好適に用いることができる。
また、本発明のインクジェット記録方法は、シングルパス方式でインクの吐出を行うことが好ましい。
本発明で用いることができるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、エレクトロンビーム源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、インクを含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは8〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320×320〜4,000×4,000dpi、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpi、更に好ましくは600×600〜1,200×1,200dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
本発明のインクジェット記録方法に用いるインクとして、1種のみを使用する場合には、インクの単位面積当たりの総打滴量は、0.001〜10g/m2であることが好ましく、0.01〜9g/m2であることがより好ましく、0.5〜8g/m2であることが特に好ましい。
本発明のインクジェット記録方法に用いるインクとして、2種以上を使用する場合には、インクの単位面積当たりの総打滴量は、0.001〜10g/m2であることが好ましく、0.01〜9g/m2であることがより好ましく、0.5〜8g/m2であることが特に好ましい。
吐出されるインクを一定温度にすることが好ましいことから、インクジェット記録装置は、インク温度の安定化手段を備えることが好ましい。一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てが対象となる。すなわち、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。
温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体が外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、あるいは、熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うと共に、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
吐出時におけるインクの温度はできるだけ一定に保つことが好ましい。よって、本発明において、インクの温度の制御幅は、好ましくは設定温度の±5℃、より好ましくは設定温度の±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
また、本発明のインクジェット記録方法においては、インクを1種単独で使用しても、2種以上を使用してもよい。
本発明のインクジェット記録方法において使用するインクの少なくとも1種が、エチレン性不飽和基を有するポリマー粒子、顔料、及び、水を含み、かつ、重合開始剤を含まないか又は重合開始剤の含有量が0質量%を超え0.1質量%以下であるインクであればよいが、本発明のインクジェット記録方法において使用するインクの全てがいずれも、エチレン性不飽和基を有するポリマー粒子、顔料、及び、水を含み、かつ、重合開始剤を含まないか又は重合開始剤の含有量が0質量%を超え0.1質量%以下であるインクであることが好ましい。
例えば、カラー画像を形成する場合は、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの各色インクを少なくとも使用することが好ましく、ホワイト、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの各色インクを使用することがより好ましい。
また、ライトマゼンタやライトシアン等の淡色インク、オレンジ、グリーン及びバイオレット等の特色インク、メタリックインク等を使用してもよい。
また、本発明のインクジェット記録方法は、上記特定インク以外のインクとして、クリアインクを用いてもよい。
本発明のインクジェット記録方法において、2種以上のインクを使用する場合、吐出する各インクの順番は、特に限定されるわけではないが、明度の低いインクから基材に吐出することが好ましく、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックを使用する場合には、ブラックから基材に吐出することが好ましく、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの順で基材上に吐出することが好ましい。また、これにホワイトを加えて使用する場合にはブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ホワイトの順で基材上に吐出することが好ましい。更に、本発明はこれに限定されず、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイトのインクとの計7色が少なくとも含まれるインクセットを好ましく使用することもでき、その場合には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、ホワイトの順で基材上に吐出することが好ましい。
<乾燥工程>
本発明のインクジェット記録方法は、上記吐出工程において吐出されたインクにおける水の少なくとも一部を除去して上記インクを乾燥させる乾燥工程を含む。
上記乾燥工程に用いる乾燥方法としては、インクにおける水の少なくとも一部を除去可能であれば、特に制限はないが、熱乾燥、減圧乾燥、及び/又は、気流による乾燥(風乾)が好ましく挙げられる。
中でも、上記乾燥工程においては、少なくとも熱乾燥を行うことが好ましい。
上記熱乾燥時の加熱温度は、使用する有機溶剤の沸点等にも依存するが、基材の表面温度が30℃〜90℃となることが好ましく、40℃〜80℃となることがより好ましく、50℃〜80℃となることが更に好ましい。
また、上記熱乾燥時の加熱時間は、インクの吐出量や使用する有機溶剤の沸点等にも依存するが、0.05〜10秒間であることが好ましく、0.1〜5秒間であることがより好ましく、0.1〜3秒間であることが更に好ましい。
上記熱乾燥に用いる加熱手段としては、特に制限はなく、ヒーター等の公知の熱乾燥器を用いることができる。
上記減圧乾燥時の気圧は、インクにおける水の少なくとも一部を除去可能であれば、特に制限はない。
上記減圧乾燥に用いる減圧手段としては、特に制限はなく、真空ポンプ等の公知の減圧手段を用いることができる。
上記風乾に用いる送風手段としては、特に制限はなく、ファンや送風機等の公知の送風手段を用いることができる。
また、上記風乾においては、乾燥空気や乾燥窒素等の乾燥気体を送風してもよい。
本発明のインクジェット記録方法において、2種以上のインクを使用する場合、上記乾燥工程は、1種のインクの吐出毎に行っても、使用する全てのインクの吐出が終了した後に行ってもよいが、使用する全てのインクの吐出が終了した後に行うことが好ましい。
<硬化工程>
本発明のインクジェット記録方法は、上記乾燥工程において乾燥されたインクをエレクトロンビームによって硬化させる硬化工程を含む。
本発明のインクジェット記録方法において、2種以上のインクを使用する場合、上記硬化工程は、1種のインクの吐出及び乾燥毎に行っても、使用する全てのインクの吐出及び乾燥が終了した後に行ってもよいが、使用する全てのインクの吐出及び乾燥が終了した後に行うことが好ましい。
なお、エレクトロンビームは、上記2種以上のインクを付与し積層している場合でも、最下層(基材に接するインク)まで届くものと考えられる。
エレクトロンビーム(電子線)とは、電子の粒子線である。
上記硬化工程に用いるエレクトロンビーム露光手段としては、特に制限はなく、公知のエレクトロンビーム照射装置やエレクトロンビーム加速器を用いることができる。
エレクトロンビーム照射装置及びエレクトロンビーム加速器としては、スキャニング方式、ダブルスキャニング方式、又は、カーテンビーム方式が採用でき、好ましくは比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式を採用できる。
上記硬化工程におけるエレクトロンビームの加速電圧は、150kV以下であることが好ましく、30〜150kVであることがより好ましく、50〜130kVであることが更に好ましく、70〜110kVであることが特に好ましく、80〜110kVであることが最も好ましい。上記範囲であると、基材由来の低分子化合物の発生を抑制でき、また、得られる印刷物における臭気及びインク組成物のマイグレーションがより少ない。
上記硬化工程におけるエレクトロンビームは、上記乾燥されたインクにおける吸収線量が30kGy以下となるように照射することが好ましく、5〜30kGyとなるように照射することがより好ましく、10〜30kGyとなるように照射することが特に好ましい。上記範囲であると、基材由来の低分子化合物の発生を抑制でき、得られる印刷物における臭気及びインク組成物のマイグレーションがより少なく、また、エネルギーの効率に優れ経済的にも優れる。
硬化工程において、エレクトロンビームの照射は、1回のみ行っても、2回以上行ってもよいが、1回のみ行うことが好ましい。また、エレクトロンビームの照射を2回以上行う場合、照射するエレクトロンビームは、総吸収線量が、30kGy以下となるように照射することが好ましい。
エレクトロンビームの照射時間は、上記吸収線量を満たす範囲であれば、特に制限はない。
エレクトロンビームを照射する印刷物まわりの雰囲気は、特に制限はないが、酸素濃度を2体積%以下とすることが好ましく、酸素濃度を1体積%以下とすることがより好ましく、酸素濃度300ppm以下にすることが更に好ましい。上記範囲であると、硬化性、特に表面硬化性に優れる。また、上記酸素濃度の調整は、窒素パージにより行われることが好ましい。
エレクトロンビーム照射装置、及び、その運転条件などについては、「UV・EB硬化技術」(1982年、(株)総合技術センター発行)や「低エネルギー電子線照射の応用技術」(2000年、(株)シーエムシー発行)などに記載されている公知のものを用いることができる。
また、本発明のインクジェット記録方法における基材の搬送速度、すなわち、印刷速度は、5〜300m/minであることが好ましく、20〜200m/minであることがより好ましく、25〜100m/minであることが更に好ましく、25〜75m/minであることが特に好ましい。本発明のインクジェット記録方法によれば、上記のような高速印刷時においても、臭気及びインク組成物のマイグレーションが少なく、アルコール耐性及び高温耐性に優れた印刷物を得ることができる。
<ラミネート加工工程>
本発明のインクジェット記録方法は、上記硬化工程の後に、基材の硬化したインクを有する面上に接着層及びラミネートフィルムを少なくとも形成するラミネート加工工程を更に含むこともできる。
また、上記ラミネート加工工程は、基材の硬化したインクを有する面の全面に接着層及びラミネートフィルムを形成するラミネート加工工程であることがより好ましい。
ラミネート加工により、印刷物からのインク成分の溶出、ブロッキング、並びに、残留モノマーの揮発及び溶出をより抑制でき、特に食品パッケージ用として、好ましく使用できる。
接着層としては、特に制限はなく、公知の接着剤を、公知の方法により塗布して形成することが可能である。
ラミネートフィルムとしては、樹脂フィルムが好適に用いられ、ポリエチレンテレフタラートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、トリアセチルセルロースフィルムが例示できる。また、それらのフィルムは2軸延伸されていてもよい。
ラミネート加工工程においては、接着層を画像上に形成した後にラミネートフィルムを貼り合わせても、先にラミネートフィルムに接着層を付与した後に画像上に貼り合わせてもよい。
ラミネート加工の方法としては、特に制限なく公知の方法が使用できるが、ドライラミネ−ションが例示できる。
基材に樹脂フィルムを用いた場合、選択するラミネート加工の方法にもよるが、基材のラミネート加工が行われる面に使用されている樹脂フィルムと接着性が高い樹脂フィルムを使用することが好ましい。
<表面処理工程>
本発明のインクジェット記録方法は、上記吐出工程の前に、基材の少なくとも1方の面を表面処理する表面処理工程を更に含むことが好ましい。
上記表面処理工程における表面処理としては、特に制限はなく、所望に応じて、公知の表面処理を行うことができるが、親水化処理が好ましく、コロナ処理がより好ましく挙げられる。
基材の表面を親水化処理、特にコロナ処理することにより、基材とインクとの密着性、及び、画質が向上する。
本発明のインクジェット記録方法における基材の表面処理は、事前に表面処理された基材を使用してもよいが、表面処理手段を備えたインクジェット記録装置を使用してもよいが、表面処理手段を備えたインクジェット記録装置を使用することが好ましい。
<処理液付与工程>
本発明のインクジェット記録方法は、上記吐出工程の前に、凝集剤を含む処理液を基材に付与する処理液付与工程を更に含むことが好ましい。
本発明に用いる処理液の詳細については、後述する。
処理液の付与は、塗布法、インクジェット法、浸漬法などの公知の方法を適用して行なうことができる。塗布法としては、バーコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、等を用いた公知の塗布方法によって行なうことができる。インクジェット法の詳細については、既述の通りである。
処理液付与工程は、特定インクを用いた吐出工程の前又は後のいずれに設けてもよい。本実施形態においては、吐出工程の前に処理液付与工程を設けた態様が好ましい。
具体的には、基材上に、特定インクを付与する前に、予め特定インク中の成分(後述するポリマー粒子等)を凝集させるため処理液を付与しておき、基材上に付与された処理液に接触するように特定インクを付与して画像化する態様が好ましい。これにより、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い画像が得られる。
また、本発明のインクジェット記録方法が上記表面処理工程を含む場合、処理液付与工程は、表面処理工程の後に含むことが好ましい。
処理液の付与量としては、特に制限はないが、好ましくは、凝集剤の付与量が0.1g/m以上となる量とすることができる。中でも、凝集剤の付与量が0.2〜2.0g/mとなる量が好ましい。凝集剤の付与量が0.1g/m以上であると、特定インクの種々の使用形態に応じ良好な高速凝集性が保てる。また、凝集成分の付与量が2.0g/m以下であることは、付与した基材の表面性に影響(光沢の変化等)を与えない点で好ましい。
また、本発明においては、処理液付与工程後に吐出工程を設け、処理液を基材上に付与した後、特定インクが付与されるまでの間に、基材上の処理液を乾燥する処理液乾燥工程を更に設けてもよい。これにより、にじみ防止及びインク着色性向上の効果が得られ、その結果、色濃度及び色相の良好な可視画像を記録できる。処理液の乾燥の手段及び方法の好ましい態様は、先述した乾燥工程の好ましい態様における、画像の乾燥の手段及び方法と同様である。
乾燥は、ヒーター等の公知の加熱手段やドライヤ等の送風を利用した送風手段、あるいはこれらを組み合わせた手段により行える。加熱方法としては、例えば、基材の処理液の付与面と反対側からヒーター等で熱を与える方法や、基材の処理液の付与面に温風又は熱風をあてる方法、赤外線ヒーターを用いた加熱法などが挙げられ、これらの複数を組み合わせて加熱してもよい。
本発明のインクジェット記録方法は、上述した以外の他の工程を含んでいてもよい。
他の工程としては、特に制限はなく、公知の工程を含むことができる。
<インク>
本発明のインクジェット記録方法は、エチレン性不飽和基を有するポリマー粒子、顔料、及び、水を含み、かつ、重合開始剤を含まないか又は重合開始剤の含有量が0質量%を超え0.1質量%以下であるインク(以下、「特定インク」ともいう。)を少なくとも用いる。本発明において、特定インクは、実質的に重合開始剤を含まないことが好ましい。
本発明において、特定インクは、エチレン性不飽和基を有するポリマー粒子及び顔料が水又は水を主成分とする溶剤に分散されたものであることが好ましい。なお、本発明において、特定インク等の組成物の主成分とは、その組成物の50質量%以上を占める成分のことをいう。
本発明のインクジェット記録方法は、特定インクを少なくとも1種用いればよいが、用いる全てのインクが特定インクであることが好ましい。
本発明に用いられる特定インクは、エレクトロンビームにより硬化可能な水性インクである。
上記特定インクは、重合開始剤を含まないか、又は、重合開始剤の含有量が、特定インクの全質量に対して、0質量%を超え0.1質量%以下であり、重合開始剤を含まないか、又は、重合開始剤の含有量が、特定インクの全質量に対して、0質量%を超え0.05質量%以下であることが好ましく、重合開始剤を含まないことがより好ましい。上記態様であると、臭気及びヘプタン抽出物がより少ない印刷物を得ることができる。
また、上記特定インクは、分子量1,000未満のエチレン性不飽和化合物を含まないか、又は、分子量1,000未満のエチレン性不飽和化合物の含有量が、特定インクの全質量に対し、0質量%を超え0.1質量%以下であることが好ましい。すなわち、特定インクは、分子量1,000未満のエチレン性不飽和化合物を実質的に含まないことが好ましく、分子量1,000未満のエチレン性不飽和化合物を含まないか、又は、分子量1,000未満のエチレン性不飽和化合物の含有量が、特定インクの全質量に対して、0質量%を超え0.05質量%以下であることがより好ましく、分子量1,000未満のエチレン性不飽和化合物を含まないことが特に好ましい。上記態様であると、臭気及びヘプタン抽出物がより少ない印刷物を得ることができる。
本発明における特定インクは、インクの吐出性の観点から、粒径が1μm以上の粒子を含まないか、又は、粒径が1μm以上の粒子の含有量が、特定インクの全質量に対し、0質量%を超え0.01質量%以下であることが好ましく、粒径が1μm以上の粒子を含まないことがより好ましい。
上記粒子の材質としては特に限定されず、例えば、樹脂、有機物、無機物、これらの化合物や混合物等が挙げられる。
上記粒子の粒径としては、粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、観察画像における粒子の投影面積から得られた円相当径を用いることができる。
〔水〕
本発明に用いられる特定インクは水を含有する。
水の含有量には特に制限はないが、水の含有量は、特定インクの全質量に対し、例えば50質量%以上とすることができる。
上記水の含有量は、特定インクの全量に対して、50質量%以上80質量%以下が好ましく、より好ましくは50質量%以上75質量%以下であり、更に好ましくは50質量%以上70質量%以下である。
〔エチレン性不飽和基を有するポリマー粒子〕
上記特定インクは、エチレン性不飽和基を有するポリマー粒子(以下、「特定ポリマー粒子」ともいう。)を含む。
特定ポリマー粒子の粒径は、体積平均粒径で1nm〜400nmの範囲であることが好ましく、1nm〜200nmの範囲であることがより好ましく、10nm〜100nmの範囲であることが更に好ましい。
体積平均粒径が1nm以上であれば、製造適性が向上し、また、体積平均粒径が400nm以下であれば、特定インクの保存安定性が向上する。
ここで、特定ポリマー粒子の体積平均粒径は、光散乱を用いた粒度分布測定装置(例えば、日機装(株)製のナノトラックUPA(登録商標) EX150)によって測定された値を指す。
本発明における特定ポリマー粒子の重量平均分子量(Mw)は、10,000以上であり、30,000以上であることが好ましく、100,000以上であることがより好ましい。重量平均分子量の上限は特に限定されないが、1,000,000以下であることが好ましく、500,000以下であることがより好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン換算値として測定された値である。上記GPCは、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgel(登録商標)、Super Multipore HZ−H(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて行う。
また、GPCは、試料濃度を0.45質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、RI(Refractive Index、示差屈折率)検出器を用いて行う。
検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
特定ポリマー粒子のガラス転移温度(Tg)は、40℃以上であることが好ましい。
特定ポリマー粒子のガラス転移温度の上限は、250℃であることが好ましい。
特定ポリマー粒子のガラス転移温度は、好ましくは50℃以上230℃以下の範囲である。
例えば、特定インクを後述する処理液と共に基材上に付与して画像を形成する場合には、特定ポリマー粒子は、処理液又は処理液を乾燥させた領域と接触した際に、特定インク中において分散不安定化して凝集し、増粘することにより特定インクを固定化する機能を有することが好ましい。
これにより、画像の耐擦性がより向上する。更に、画像ムラがより抑制される。更に、特定インクの基材への密着性及び画像の耐傷性がより向上する。
特定ポリマー粒子のガラス転移温度は、通常用いられる方法によって適宜制御することができる。例えば、特定ポリマー粒子を構成するモノマー(重合性化合物)の種類やその構成比率、特定ポリマー粒子を構成するポリマーの分子量等を適宜選択することで、特定ポリマー粒子のガラス転移温度を所望の範囲に制御することができる。
本明細書中において、特定ポリマー粒子のガラス転移温度は、実測によって得られる測定Tgを適用する。
具体的には、測定Tgとしては、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の示差走査熱量計(DSC)EXSTAR6220を用いて通常の測定条件で測定された値を意味する。但し、ポリマーの分解等により測定が困難な場合には、下記の計算式で算出される計算Tgを適用する。計算Tgは下記の式(1)で計算されるものである。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi) ・・・(1)
ここで、計算対象となるポリマーはi=1からnまでのn種のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。但し、Σはi=1からnまでの和をとる。なお、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は、Polymer Handbook (3rd Edition) (J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用する。
特定ポリマー粒子におけるエチレン性不飽和基としては、特に制限はないが、(メタ)アクリロキシ基が好ましい。
特定ポリマー粒子が有するエチレン性不飽和基の数は、特に制限はないが、2〜100であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜6であることが更に好ましい。
特定ポリマー粒子としては、例えば、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂から選ばれる樹脂により形成される特定ポリマー粒子を用いることができる。これらの樹脂は、エチレン性不飽和基を有する。
特定ポリマー粒子の形成に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニル樹脂(例:塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、又はポリビニルブチラール等)、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂(例:フタル酸樹脂等)、アミノ材料(例:メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等)がエチレン性不飽和基を有するように変性された樹脂が挙げられる。
また、特定ポリマー粒子を形成する樹脂は、上記に例示された樹脂を構成する構造単位を2種以上含む共重合体であってもよく、2種以上の樹脂の混合物であってもよい。また、特定ポリマー粒子自体が2種以上の樹脂の混合物からなるもののみならず、2種以上の樹脂が例えば、コア/シェルのように積層されてなる複合樹脂粒子であってもよい。
上記の中でも、基材への密着性に優れるインクが得られ、また、アルコール耐性及び高温耐性により優れた印刷物を得ることができる観点から、特定ポリマー粒子はポリウレタンを含有することが好ましい。
エチレン性不飽和基を有するポリウレタンは、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて水酸基又はイソシアネート基を有するポリウレタンを得た後、上記ポリウレタンを水酸基及び(メタ)アクリロキシ基を有する化合物又はイソシアネート基及び(メタ)アクリロキシ基を有する化合物と反応させることにより得ることができる。
本発明に用いられる特定ポリマー粒子は、乾燥工程後、硬化工程前において、水又は水を主成分とする溶剤に再分散可能な粒子であることが好ましい。
上記態様によれば、インクの乾燥物の固着によるノズル詰まりを抑制でき、またノズルのクリーニングが容易となる。
特定ポリマー粒子が水又は水を主成分とする溶剤に再分散可能であるか否かは、水摩擦試験により確認することが可能である。
特定ポリマー粒子、顔料、界面活性剤を含む試験用インクを基材上に配置し、熱乾燥により乾燥させた後に室温に戻すことにより、インク膜を得る。その後、水を染みこませたリントフリーの布を用い、インク膜を1度だけ軽く拭き取ることにより、顔料が支持体上に残っていることが肉眼により確認できない場合に、特定ポリマー粒子は再分散可能であると判断する。
特定ポリマー粒子としては市販品を使用してもよい。市販品としては、以下に示すものが例示できる。
エチレン性不飽和基を有するポリウレタンとしては、例えば、BASF社製のGM0868−VP等が挙げられる。
ダイセルオルネクス(株)製UCECOAT7571、UCECOAT7571、UCECOAT7655、第一工業製薬(株)製スーパーフレックスR−5002等が挙げられる。また、エチレン性不飽和基を有するポリウレタンとしては、公知文献(Progress in Organic Coatings,2006, 55, 291−295)に記載の化合物を水に分散し使用することも可能である。
特定ポリマー粒子は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
上記特定インクにおける特定ポリマー粒子の含有量は、特定インクの全質量に対して、1〜50質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましく、5〜25質量%であることが更に好ましい。
また、上記特定インクにおける特定ポリマー粒子の含有量は、特定インクの全固形分に対して、10〜98質量%であることが好ましく、20〜95質量%であることがより好ましく、30〜90質量%であることが特に好ましい。
なお、特定インクにおける全固形分とは、水及び水溶性溶剤を除いた量である。
また、上記特定インクにおける特定ポリマー粒子の含有量は、特定インク中のエチレン性不飽和化合物(エチレン性不飽和基を有する化合物)の全質量に対し、99質量%以上であることが好ましく、99.5質量%以上であることがより好ましく、99.9質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
特定ポリマー粒子は、水に分散した分散物として特定インクに添加されることが好ましい。また、特定インクに添加された後、特定インク内で再度分散することが好ましい。顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各分散装置を用いることができる。
〔顔料〕
顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機顔料、無機顔料のいずれであってもよい。また、着色顔料としてブラック顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料及びイエロー顔料を用いてもよい。顔料は、水にほとんど不溶であるか又は難溶である顔料であることが、インク着色性の点で好ましい。
顔料は、エレクトロンビームによる硬化反応の感度を低下させないという観点から、重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。
また、本発明に用いられる顔料は、顔料の表面の少なくとも一部が樹脂(以下、「被覆樹脂」ともいう。)によって被覆された構造の、樹脂被覆顔料が好ましい。これにより、特定インクの分散安定性が向上し、形成される画像の品質が向上する。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、キレート染料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが更に好ましい。
有機顔料を用いる場合、有機顔料の平均粒径は、透明性・色再現性の観点から小さい方がよいが、耐光性の観点からは大きい方が好ましい。これらを両立する観点から、平均粒径は10nm〜200nmが好ましく、10nm〜150nmがより好ましく、10nm〜120nmが更に好ましい。また、有機顔料の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布を持つもの又は単分散の粒径分布を持つもののいずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つ有機顔料を2種以上混合して使用してもよい。
顔料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
顔料の特定インク中における含有量としては、画像濃度の観点から、特定インクに対して、1質量%〜20質量%が好ましく、2質量%〜10質量%がより好ましい。
−被覆樹脂−
樹脂被覆顔料における被覆樹脂としては、分散剤が好ましい。
分散剤としては、ポリマー分散剤、又は低分子の界面活性剤型分散剤のいずれでもよい。
また、ポリマー分散剤は、水溶性の分散剤、又は非水溶性の分散剤のいずれでもよい。
低分子の界面活性剤型分散剤については、例えば、特開2011−178029号公報の段落0047〜0052に記載された公知の低分子の界面活性剤型分散剤を用いることができる。
ポリマー分散剤のうち、水溶性分散剤としては、親水性高分子化合物が挙げられる。例えば、天然の親水性高分子化合物では、アラビアガム、トラガントガム、グアーガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子等が挙げられる。
また、天然物を原料に修飾した親水性高分子化合物では、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子等が挙げられる。
更に、合成系の親水性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子、非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、第四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物、セラック等の天然高分子化合物等が挙げられる。
これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンアクリル酸のホモポリマーや、他の親水基を有するモノマーとの共重合体などのように、カルボキシル基が導入された水溶性分散剤が親水性高分子化合物として好ましい。
ポリマー分散剤のうち、非水溶性分散剤としては、疎水性部と親水性部の両方を有するポリマーを用いることができる。親水性構成単位としては、酸性基を有する構成単位であることが好ましく、カルボキシル基を有する構成単位であることがより好ましい。水不溶性樹脂としては、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
より具体的には、例えば、特開2005−41994号公報、特開2006−273891号公報、特開2009−84494号公報、特開2009−191134号公報等に記載の水不溶性樹脂を本発明においても好適に用いることができる。
ポリマー分散剤の重量平均分子量は、3,000〜100,000が好ましく、より好ましくは5,000〜50,000であり、更に好ましくは5,000〜40,000であり、特に好ましくは10,000〜40,000である。
なお、ポリマー分散剤の重量平均分子量は、前述の特定ポリマー粒子の重量平均分子量と同様の方法によって求められた値を指す。
ポリマー分散剤は、自己分散性、及び処理液が接触した場合の凝集速度の観点から、カルボキシル基を有するポリマーを含むことが好ましく、カルボキシル基を有し、酸価が130mgKOH/g以下のポリマーであることが好ましく、酸価が25mgKOH/g〜120mgKOH/gのポリマーがより好ましい。特に、本発明における特定インクを、特定インク中の成分を凝集させる処理液と共に用いる場合には、カルボキシル基を有し、かつ酸価が25mgKOH/g〜100mgKOH/gのポリマー分散剤が有効である。処理液については、後述する。
顔料(p)と分散剤(s)との混合質量比(p:s)としては、1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、1:0.125〜1:2の範囲がより好ましく、更に好ましくは1:0.125〜1:1.5である。
顔料を被覆する被覆樹脂の特定インク全質量に対する含有量は、0.5質量%〜3.0質量%が好ましく、1.0質量%〜2.8質量%がより好ましく、1.2質量%〜2.5質量%が更に好ましい。
被覆樹脂と上記無機塩との質量比(被覆樹脂/無機塩)は、インクの減粘抑制及び画像の面アレ抑制の観点から、10〜250が好ましく、15〜200がより好ましく、30〜150が更に好ましい。
樹脂被覆顔料(分散状態での顔料)の体積平均粒径(二次粒径)としては、10nm〜200nmが好ましく、10nm〜150nmがより好ましく、10nm〜100nmが更に好ましい。体積平均粒径が200nm以下であると、色再現性が良好になり、インクジェット法で打滴する際の打滴特性が良好になる。体積平均粒径が10nm以上であると、耐光性が良好になる。また、色材の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ色材を二種以上混合して使用してもよい。ここで、分散状態での顔料の体積平均粒径は、インク化した状態での平均粒径を示すが、インク化する前段階のいわゆる濃縮インク分散物についても同様である。
ここで、樹脂被覆顔料の体積平均粒径は、前述の特定ポリマー粒子の体積平均粒径と同様の方法によって求められた値を指す。
また、樹脂被覆顔料において顔料を被覆している樹脂は、架橋剤により架橋されていることが好ましい。
即ち、樹脂被覆顔料は、架橋剤によって架橋された樹脂により、顔料の表面の少なくとも一部が被覆されている樹脂被覆顔料であることが好ましい。
架橋剤によって架橋された樹脂により顔料の表面の少なくとも一部が被覆されている樹脂被覆顔料については、特開2012−162655号公報の、段落0029〜0048、段落0110〜0118、及び段落0121〜0129、並びに、特開2013−47311号公報の段落0035〜0071の記載を適宜参照できる。
架橋剤としては、樹脂と反応する部位を2つ以上有している化合物であれば、特に限定されないが、中でもカルボキシ基との反応性に優れている点から、好ましくは2つ以上のエポキシ基を有している化合物(2官能以上のエポキシ化合物)である。
架橋剤として、具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−へキサンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等が挙げられ、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルが好ましい。
架橋剤としては市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、Denacol EX−321、EX−821、EX−830、EX−850、EX−851(ナガセケムテックス(株)製)等を用いることができる。
架橋剤の架橋部位(例えばエポキシ基)と樹脂の被架橋部位(例えばカルボキシ基)のモル比は、架橋反応速度、架橋後の分散液安定性の観点から、1:1〜1:10が好ましく、1:1〜1:5がより好ましく、1:1〜1:1.5が最も好ましい。
〔界面活性剤〕
本発明に用いられる特定インクは、必要に応じて、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤は、例えば表面張力調整剤として用いることができる。
界面活性剤としては、分子内に親水部と疎水部とを合わせ持つ構造を有する化合物を有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及びベタイン系界面活性剤のいずれも使用することができる。更に、上述したポリマー分散剤を界面活性剤としても用いてもよい。
界面活性剤としては、インクの打滴干渉抑制の観点から、ノニオン性界面活性剤が好ましく、中でもアセチレングリコール誘導体(アセチレングリコール系界面活性剤)がより好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール及び2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキシド付加物等を挙げることができ、これから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの化合物の市販品としては、例えば、日信化学工業(株)製のオルフィンE1010などのEシリーズを挙げることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤以外の界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤が好ましい。フッ素系界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤が挙げられ、この中でアニオン系界面活性剤がより好ましい。アニオン系界面活性剤の例としては、Capstone FS30、Capstone FS31、Capstone FS63、Capstone FS61(Dupont社製)、フタージェント100、フタージェント110、フタージェント150((株)ネオス社製)、CHEMGUARD S−760P(Chemguard Inc.社製)等が挙げられる。
界面活性剤(表面張力調整剤)を特定インクに含有する場合、界面活性剤はインクジェット方式により特定インクの吐出を良好に行う観点から、特定インクの表面張力を20mN/m〜60mN/mに調整できる範囲の量を含有することが好ましく、表面張力の点からはより好ましくは20mN/m〜45mN/mであり、更に好ましくは25mN/m〜40mN/mである。
ここで、特定インクの表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用い、液温25℃の条件下で測定された値を指す。
本発明における特定インクが界面活性剤を含む場合、界面活性剤の具体的な量には特に限定はないが、特定インクの全量に対し、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%〜10質量%であり、更に好ましくは0.1質量%〜3質量%である。
〔尿素〕
本発明における特定インクは尿素を含有することができる。
尿素は、保湿機能が高いため、固体湿潤剤としてインクの望ましくない乾燥又は凝固を効果的に抑制することができる。
更に本発明における特定インクは、前述のコロイダルシリカと尿素とを含むことでインクジェットヘッド等のメンテナンス性(拭き取り作業性)がより効果的に向上する。
本発明における特定インクにおける尿素の含有量は、メンテナンス性(拭き取り作業性)を向上させる観点等からは、1質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましく、3質量%以上10質量%以下が更に好ましい。
本発明における特定インクが、尿素と、後述するコロイダルシリカと、を含有する場合、尿素の含有量と、コロイダルシリカの含有量の比率としては特に制限はないが、コロイダルシリカに対する尿素の含有比率(尿素/コロイダルシリカ)が5〜1,000であることが好ましく、10〜500であることがより好ましく、20〜200であることが更に好ましい。
〔コロイダルシリカ〕
本発明における特定インクは、必要に応じ、コロイダルシリカを含有していてもよい。
これにより、インクの連続吐出時の安定性をより向上させることができる。
コロイダルシリカは、平均粒径が数100nm以下のケイ素を含む無機酸化物の微粒子からなるコロイドである。コロイダルシリカは、主成分として二酸化ケイ素(その水和物を含む)を含み、少量成分としてアルミン酸塩(アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウムなど)を含んでいてもよい。
またコロイダルシリカには、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム等の無機塩類やテトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機塩類が含まれていてもよい。これらの無機塩類及び有機塩類は、例えば、コロイドの安定化剤として作用する。
コロイダルシリカについては、例えば、特開2011−202117号公報の段落0043〜0050の記載を適宜参照することができる。
また、本発明における特定インクは、必要に応じ、コロイダルシリカに代えて、又は、コロイダルシリカに加えて、ケイ酸アルカリ金属塩を含有してもよい。ケイ酸アルカリ金属塩については、特開2011−202117号公報の段落0052〜0056の記載を適宜参照することができる。
本発明における特定インクがコロイダルシリカを含む場合、コロイダルシリカの含有量は、特定インクの全量に対し、0.0001質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜3質量%がより好ましく、0.02質量%〜0.5質量%が更に好ましく、0.03質量%〜0.3質量%が特に好ましい。
〔水溶性高分子化合物〕
本発明における特定インクは、必要に応じて、水溶性高分子化合物を含有してもよい。
水溶性高分子化合物としては特に限定はなく、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の公知の水溶性高分子化合物を用いることができる。
また、水溶性高分子化合物としては、後述する処理液に含まれることがある特定高分子化合物や、特開2013−001854号公報の段落0026〜0080に記載された水溶性高分子化合物も好適である。
本明細書中において、「水溶性」とは、水に一定濃度以上溶解できる性質を指す。「水溶性」としては、25℃の水100gに対して5g以上(より好ましくは10g以上)溶解する性質が好ましい。
本発明における特定インクが水溶性高分子化合物を含有する場合、水溶性高分子化合物の含有量は、特定インク全量に対し、0.0001質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜3質量%がより好ましく、0.02質量%〜0.5質量%が更に好ましく、0.03質量%〜0.3質量%が特に好ましい。
〔消泡剤〕
本発明における特定インクは、必要に応じ、消泡剤を含有していてもよい。
消泡剤としては、例えばシリコーン系化合物(シリコーン系消泡剤)、プルロニック系化合物(プルロニック系消泡剤)等が挙げられ、これらの中でも、シリコーン系消泡剤が好ましい。
シリコーン系消泡剤としては、ポリシロキサン構造を有するシリコーン系消泡剤が好ましい。
消泡剤としては、市販品を用いることができる。
市販品としては、BYK−012、017、021、022、024、025、038、094(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、KS−537、KS−604、KM−72F(以上、信越化学工業(株)製)、TSA−739(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、オルフィンAF104(日信化学工業(株)製)等が挙げられる。
本発明における特定インクが消泡剤を含有する場合、消泡剤の含有量は、特定インク全量に対し、0.0001質量%〜1質量%が好ましく、0.001質量%〜0.1質量%がより好ましい。
〔無機塩〕
本発明における特定インクは、必要に応じ、無機塩を含有していてもよい。
これにより、形成された画像の面アレが抑制される。
ここで、面アレとは、画像の明るい領域(ハイライト)と暗い領域(シャドウ)の中間の領域(中間調領域)において、特定インクの濃度の高い部分と低い部分が偏在して、荒れているように見える現象のことをいう。
「面アレ」は、従来の「にじみ」や「スジ」のような特定インクの局部的な凝集不足により生じる現象ではなく、基材上に処理液が不均一に分布することによる凝集不均一に起因する現象である。
無機塩としては、塩酸塩又は硝酸塩が好ましい。
中でも、インクの減粘抑制及び面アレ抑制に優れるという点から、1価の塩が好ましく、アルカリ金属塩がより好ましく、塩化リチウム、硝酸リチウム、塩化カリウム、又は硝酸カリウムが更に好ましい。
無機塩は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明における特定インクが無機塩を含有する場合、特定インク中における無機塩の含有量(2種以上の場合には合計の含有量)には特に限定はないが、特定インクの全量に対し、0.01質量%〜0.1質量%が好ましく、0.02質量%〜0.1質量%がより好ましく、0.03質量%〜0.1質量%が特に好ましい。
〔ワックス粒子〕
本発明に係る特定インクは、ワックス粒子の少なくとも1種を含有することができる。これにより、耐擦性をより向上させることができる。
ワックス粒子としては、例えば、カルナバワックス、キャンデリワックス、みつろう、ライスワックス、ラノリン等の植物系、動物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト等の鉱物系ワックス、カーボンワックス、ヘキストワックス、ポリオレフィンワックス、ステアリン酸アミド等の合成ワックス、α−オレフィン・無水マレイン酸共重合体、等の天然ワックス又は合成ワックスの粒子あるいはこれらの混合粒子等が挙げられる。
ワックスは、分散物の形で添加されることが好ましく、例えば、エマルジョンなどの分散物として特定インク中に含有することができる。分散物とする場合の溶剤としては水が好ましいが、これに限定されるものではなく、例えば通常用いられている有機溶剤を適宜選択して分散時に使用することができる。有機溶剤については、特開2006−91780号公報の段落0027の記載を参照することができる。
ワックス粒子は、1種単独であるいは複数種を混合して用いることができる。
ワックス粒子は上市されている市販品を用いてもよい。市販品の例として、ノプコートPEM17(サンノプコ(株)製)、ケミパールW4005(三井化学(株)製)、AQUACER515、AQUACER593(いずれもビックケミー・ジャパン(株)製)等が挙げられる。
上記のうち、好ましいワックスとしては、カルナバワックス、ポリオレフィンワックスが好ましく、耐擦性の点で、特に好ましくはカルナバワックスである。
本発明に係る特定インクがワックス粒子を含有する場合、特定ポリマー粒子とワックス粒子との含有比率としては、特定ポリマー粒子:ワックス粒子=1:5〜5:1の範囲(固形分比)であることが好ましい。含有比率が上記の範囲内であると、画像の耐擦性に優れる。
〔重合禁止剤〕
上記特定インクは、保存性、及び、ヘッド詰まりの抑制という観点から、重合禁止剤を含んでいてもよい。
重合禁止剤としては、ニトロソ系重合禁止剤や、ヒンダードアミン系重合禁止剤、ヒンダードフェノール系重合禁止剤、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。
重合禁止剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
重合禁止剤の含有量は、特定インクの全質量に対し、0.001〜2質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましく、0.02〜0.8質量%であることが特に好ましい。
〔水溶性溶剤〕
上記特定インクは、水溶性溶剤を含有してもよい。
水溶性溶剤としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、トリメチロールプロパン)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶剤(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。
水と併用する水溶性溶剤としては、メタノール、エタノール、n−ブタノール、イソプロパノール、t−ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノt−ブチルエーテル)、n−ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノn−ブチルエーテル)が例示され、イソプロピルアルコール、t−ブチルセロソルブ、n−ブチルセロソルブが好ましい。
なお、上記水溶性溶剤は、2種類以上を併用してもよい。
水溶性溶剤の含有量は、特定インク全質量に対し、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
−乾燥防止剤−
上記特定インクが乾燥することによる、インクジェットノズルの目詰まりを防止する観点から、特定インクは、乾燥防止剤(湿潤剤)を含有することが好ましい。
乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性溶剤が好ましい。具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又は、エチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又は、エチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又は、ブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また、上記の乾燥防止剤は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。上記の特定インクが、乾燥防止剤を含有する場合、上記乾燥防止剤の含有量は、上記の特定インクの全質量に対して、1質量%〜10質量%であることが好ましい。
〔その他の成分〕
本発明の特定インクは、上記成分に加えて必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、例えば、固体湿潤剤、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
また、上記特定インクは、水、特定ポリマー粒子、及び、顔料、並びに、任意に、界面活性剤、尿素、コロイダルシリカ、水溶性高分子化合物、消泡剤、無機塩、ワックス粒子、重合禁止剤、水溶性溶剤、及び、乾燥防止剤の総合計量が99質量%以上であるインクであることが好ましく、水、特定ポリマー粒子、及び、顔料、並びに、任意に、界面活性剤、尿素、コロイダルシリカ、水溶性高分子化合物、消泡剤、無機塩、ワックス粒子、重合禁止剤、水溶性溶剤、及び、乾燥防止剤からなるインクであることがより好ましい。
〔特定インクの物性〕
特定インクの物性には特に制限はないが、以下の物性であることが好ましい。
特定インクは、凝集速度及びインクの分散安定性の観点から、25℃(±1℃)におけるpHが7.5以上であることが好ましい。
特定インクのpH(25℃±1℃)は、7.5〜13が好ましく、7.5〜10がより好ましい。
本発明の特定インクの粘度としては、凝集速度の観点から、0.5〜25mPa・sの範囲が好ましく、1〜12mPa・sの範囲がより好ましい。
粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD.製)を用いて30℃の条件下で測定されるものである。
特定インクの25℃(±1℃)における表面張力としては、60mN/m以下であることが好ましく、20〜50mN/mであることがより好ましく、25〜45mN/mであることが更に好ましい。特定インクの表面張力が上記範囲内であると、基材におけるカールの発生が抑えられ有利である。表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用い、プレート法により25℃の条件下で測定されるものである。
<処理液>
本発明における処理液は、凝集剤を含む。凝集剤とはインク中の分散状態にある顔料粒子、ポリマー粒子を寄り集まらせ、分散状態を破壊する作用を持った化合物であり、このような作用を持った化合物であればいかなる化合物も本発明に適用できる。
〔凝集剤〕
本発明に用いられる凝集剤としては、カチオン性ポリマー、酸性化合物、及び、多価金属塩、等が挙げられ、組成物のマイグレーションが少ないという観点から、カチオン性ポリマーを含むことが好ましい。
また、上記凝集剤としては、特定インク中の特定ポリマー粒子を凝集させる化合物であることが好ましい。
−カチオン性ポリマー−
カチオン性ポリマーとしては、カチオン性界面活性剤が好適に挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、第一級、第二級、又は第三級アミン塩型の化合物が好ましい。このアミン塩型の化合物の例として、塩酸塩若しくは酢酸塩等の化合物(例えば、ラウリルアミン、ヤシアミン、ステアリルアミン、ロジンアミンなど)、第四級アンモニウム塩型化合物(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウムなど)、ピリジニウム塩型化合物(例えば、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムブロマイドなど)、イミダゾリン型カチオン性化合物(例えば、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリンなど)、高級アルキルアミンのエチレンオキシド付加物(例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミンなど)を挙げることができる。また、ポリアリルアミン類を用いてもよい。これらのほか、所望のpH領域でカチオン性を示す両性界面活性剤も使用可能であり、例えば、アミノ酸型の両性界面活性剤、R−NH−CHCH−COOH型の化合物(Rはアルキル基等を表す。)、カルボン酸塩型両性界面活性剤(例えば、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなど)、硫酸エステル型、スルホン酸型、又はリン酸エステル型等の両性界面活性剤、等が挙げられる。
カチオンポリマーとしては水溶性であること、又は油溶性であっても水に微粒子状態で分散していることが好ましい。このようなカチオンポリマーを用いることによって処理液も水系の処理液とすることができる。また、水擦過性向上の観点からは油溶性で水に微粒子状態で分散していることが好ましい。
カチオンポリマーの分子量としては10,000以上であり、30,000以上であることが好ましく、100,000以上であることがより好ましい。重量平均分子量の上限は特に限定されないが、1,000,000以下であることが好ましく、500,000以下であることがより好ましい。測定方法は特定のポリマーの分子量を測定した場合と同様である。
カチオンポリマーの具体例としては、水溶性カチオンポリマーはシャロール DC−303P(第一工業製薬(株)製)、シャロール DC−902P(第一工業製薬(株)製)、HP137A(センカ(株)製)、ユニセンスFPA100L(センカ(株)、Poly(diallyldimethyl ammonium chloride)(Aldrich(株)製)、などが挙げられ、カチオンポリマーの微粒子水分散物としてはアクリットUV−319SX(大成ファインケミカル(株)製)、アクリットUV−223SX(大成ファインケミカル(株)製)、アクリットUV−550CS(大成ファインケミカル(株)製)などが挙げられる。本発明はこれらの化合物に限定されない。また、これらの化合物は複数種を混合して用いることができ、水溶性カチオンポリマーとカチオンポリマーの微粒子水分散物とを混合して用いることもできる。また他の凝集剤、例えば後述の酸、多価金属を併用することもできる。
−酸性化合物−
酸性化合物としては、特定インクのpHを低下させ得る酸性物質が挙げられる。
酸性化合物としては、有機酸性化合物及び無機酸性化合物のいずれを用いてもよく、有機酸性化合物及び無機酸性化合物を2種以上併用してもよい。
−有機酸性化合物−
有機酸性化合物としては、酸性基を有する有機化合物が挙げられる。
酸性基としては、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、及びカルボキシ基等を挙げることができる。本発明において酸性基は、特定インクの凝集速度の観点から、リン酸基又はカルボキシ基であることが好ましく、カルボキシ基であることがより好ましい。
カルボキシ基を有する有機化合物(有機カルボン酸)は、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸(好ましくは、DL−リンゴ酸)、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、フタル酸、4−メチルフタル酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩(例えば多価金属塩)等が好ましい。これらの化合物は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
有機カルボン酸としては、特定インクの凝集速度の観点から、2価以上のカルボン酸(以下、多価カルボン酸ともいう。)であることが好ましく、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、4−メチルフタル酸、及びクエン酸から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、及びクエン酸が更に好ましい。
また、酸としても水溶性酸ポリマー、油溶性酸ポリマーの水分散物を使用することもインクから内容物への移行が少ないという観点からは好ましい態様である。
有機酸性化合物は、pKaが低いことが好ましい。
これにより、カルボキシ基等の弱酸性の官能基で分散安定化している特定インク中の顔料や特定ポリマー粒子などの粒子の表面電荷を、よりpKaの低い有機酸性化合物と接触させることにより減じ、分散安定性を低下させることができる。
処理液に含まれる有機酸性化合物は、pKaが低く、水に対する溶解度が高く、価数が2価以上であることが好ましく、特定インク中の粒子を分散安定化させている官能基(例えば、カルボキシ基等)のpKaよりも低いpH領域に高い緩衝能を有する2価又は3価の酸性物質であることがより好ましい。
−無機酸性化合物−
無機酸性化合物としては、リン酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、塩酸などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。無機酸性化合物としては、画像部の光沢ムラの発生抑制とインクの凝集速度の観点から、リン酸が最も好ましい。
リン酸は、カルシウム塩(リン酸カルシウム)とした場合の水への溶解度(25℃)が0.0018g/水100gと小さい。したがって、処理液に含まれる無機酸性化合物がリン酸であると、カルシウム塩が溶解せず固定化され、画像部表面に発生する光沢ムラの発生を抑制する効果に優れる。
特に、基材として炭酸カルシウムを含有するコート層を有する基材を使用した場合、処理液に含まれる無機酸性化合物としてはリン酸が有利である。
−多価金属塩−
処理液は、凝集剤として、多価金属塩を使用してもよい。
多価金属塩については、例えば、特開2011−042150号公報の段落0155に記載されている多価金属塩を用いることができる。
処理液に含まれる凝集剤の総量は、特に制限はないが、特定インクの凝集速度の観点から、処理液の全量に対し、5〜70質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることがより好ましい。
酸性化合物として有機酸性化合物と無機酸性化合物とを併用する場合において、有機酸性化合物と無機酸性化合物との含有比は、凝集速度と光沢ムラ抑制の観点から、有機酸性化合物の含有量に対する無機酸性化合物の含有量が、5〜50モル%であることが好ましく、10〜40モル%であることがより好ましく、15〜35モル%であることが更に好ましい。
〔水溶性高分子化合物〕
処理液は、水溶性高分子化合物を含んでもよい。
ここでいう水溶性高分子量化合物はインクを凝集する働きの無いものである。カチオン性基や酸性基を有さないものが選ばれる。水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の公知の水溶性高分子化合物を用いることができる。
また、水溶性高分子化合物としては、後述する特定高分子化合物や、特開2013−001854号公報の段落0026〜0080に記載された水溶性高分子化合物も好適である。
水溶性高分子化合物の重量平均分子量には特に限定はないが、例えば10,000〜100,000とすることができ、好ましくは20,000〜80,000であり、より好ましくは30,000〜80,000である。
また、処理液中における水溶性高分子化合物の含有量には特に限定はないが、処理液の全量に対し、0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜4質量%がより好ましく、0.1〜2質量%が更に好ましく、0.1〜1質量%が更に好ましい。
含有量が0.1質量%以上であれば、インク滴の広がりをより促進でき、含有量が10質量%以下であれば、処理液の増粘をより抑制できる。また、含有量が10質量%以下であれば、処理液中の泡に起因する処理液の塗布ムラをより抑制できる。
水溶性高分子化合物としては、イオン性基(好ましくはアニオン性基)を有する親水性の構造単位(好ましくは、モノマー単位)を含む高分子化合物(以下、「特定高分子化合物」ともいう。)が好ましい。これにより、基材に付与されたインク滴の広がりをより促進することができ、画像のざらつきが更に抑制される。
特定高分子化合物におけるイオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ボロン酸基、アミノ基、アンモニウム基、又はこれらの塩等が挙げられる。中でも、好ましくは、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、又はこれらの塩であり、より好ましくは、カルボキシル基、スルホン酸基、又はこれらの塩であり、更に好ましくは、スルホン酸基又はその塩である。
イオン性基(好ましくはアニオン性基)を有する親水性の構造単位としては、イオン性基(好ましくはアニオン性基)を有する(メタ)アクリルアミド化合物に由来する構造単位が好ましい。
水溶性高分子化合物中におけるイオン性基(好ましくはアニオン性基)を有する親水性の構造単位の含有量としては、水溶性高分子化合物の全質量中、例えば10〜100質量%とすることができ、10〜90質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることが更に好ましく、20〜40質量%であることが更に好ましい。
特定高分子化合物としては、上述のイオン性基(好ましくはアニオン性基、特に好ましくはスルホン酸基)を有する親水性の構造単位の少なくとも一種に加え、疎水性の構造単位の少なくとも一種を含むことがより好ましい。疎水性の構造単位を含むことにより、特定高分子化合物が処理液表面に更に存在しやすくなるため、基材に付与されたインク滴の広がりがより促進され、画像のざらつきが更に抑制される。
疎水性の構造単位としては、(メタ)アクリル酸エステル(好ましくは、(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜4のアルキルエステル)に由来する構造単位が好ましい。
特定高分子化合物における疎水性の構造単位の含有量は、特定高分子化合物の全質量中、例えば10〜90質量%とすることができ、30〜90質量%であることが好ましく、50〜90質量%であることがより好ましく、60〜80質量%であることが更に好ましい。
〔水〕
本発明に用いられる処理液は、水を含有することが好ましい。
水の含有量は、処理液の全質量に対して、好ましくは50〜90質量%であり、より好ましくは60〜80質量%である。
〔水溶性溶剤〕
処理液は、水溶性溶剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。
水溶性溶剤として、具体的には、本発明の特定インクが含むことができる水溶性溶剤を、処理液においても同様に用いることができる。
中でも、カール抑制の観点から、ポリアルキレングリコール又はその誘導体であることが好ましく、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールから選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
水溶性溶剤の処理液における含有量としては、塗布性などの観点から、処理液全体に対して3質量%〜20質量%であることが好ましく、5質量%〜15質量%であることがより好ましい。
〔界面活性剤〕
処理液は、界面活性剤を含んでもよい。
界面活性剤は、表面張力調整剤として用いることができる。表面張力調整剤としては、低分子量のノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ベタイン界面活性剤等が挙げられる。中でも、特定インクの凝集速度の観点から、カチオン性界面活性剤が好ましい。
界面活性剤としては、特開昭59−157636号公報の第37〜38頁及びリサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)に界面活性剤として挙げた化合物も挙げられる。また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載のフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤等も挙げられる。
処理液における界面活性剤の含有量としては特に制限はないが、処理液の表面張力が50mN/m以下となるような含有量であることが好ましく、20mN/m〜50mN/mとなるような含有量であることがより好ましく、30mN/m〜45mN/mとなるような含有量であることが更に好ましい。
〔その他の添加剤〕
処理液は、必要に応じ、上記以外のその他の添加剤を含んでいてもよい。
処理液に含有され得るその他の添加剤としては、前述した特定インクに含有され得るその他の添加剤と同様である。
−処理液の物性−
処理液は、特定インクの凝集速度の観点から、25℃(±1℃)におけるpHが0.01以上7以下であることが好ましい。凝集剤としてカチオン性ポリマー、多価金属を用いる場合には1以上7以下が好ましく、2以上6以下が更に好ましい。一方、酸性化合物を用いる場合には0.01以上0.5以下が好ましく、0.05以上0.3以下が更に好ましい。
処理液の粘度としては、特定インクの凝集速度の観点から、0.5〜25mPa・sの範囲が好ましく、1〜13mPa・sの範囲がより好ましい。粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD.製)を用いて25℃の条件下で測定されるものである。
処理液の25℃(±1℃)における表面張力としては、60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m〜50mN/mであることがより好ましく、30mN/m〜45mN/mであることが更に好ましい。処理液の表面張力が上記範囲内であると、基材におけるカールの発生が抑えられ有利である。処理液の表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用い、プレート法によって測定されるものである。
(インクジェット記録装置)
本発明のインクジェット記録装置は、インクジェットヘッド、乾燥手段及びエレクトロンビーム源を順に配置した基材搬送装置と、エチレン性不飽和基を有するポリマー粒子、顔料、及び、水を含み、かつ、重合開始剤を含まないか又は重合開始剤の含有量が0質量%を超え0.1質量%以下であるインクとを備えることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録装置における上記インクは、上記特定インクと同義であり、好ましい態様も同様である。
また、本発明のインクジェット記録装置における好ましい態様は、上述した本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の好ましい態様と同様である。
また、本発明のインクジェット記録装置は、シングルパス方式のインクジェット記録装置であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録装置における基材搬送装置には、基材の搬送方向上流から下流に向かって、インクジェットヘッド、乾燥手段、エレクトロンビーム源の順で配置されている。
インクジェットヘッド、乾燥手段、エレクトロンビーム源、及び、基材搬送装置としてはそれぞれ、公知のものを用いることができる。
上記エレクトロンビーム源におけるエレクトロンビームの加速電圧は、150kV以下であることが好ましく、30〜150kVであることがより好ましく、50〜130kVであることが更に好ましく、70〜110kVであることが特に好ましく、80〜110kVであることが最も好ましい。上記範囲であると、基材由来の低分子化合物の発生を抑制でき、また、得られる印刷物における臭気及びインク組成物のマイグレーションがより少ない。
また、乾燥された上記インクがエレクトロンビームの吸収線量30kGy以下で硬化可能であることが好ましく、吸収線量5〜30kGyで硬化可能であることがより好ましく、吸収線量10〜30kGyで硬化可能であることが特に好ましい。上記範囲であると、基材由来の低分子化合物の発生を抑制でき、得られる印刷物における臭気及びインク組成物のマイグレーションがより少なく、また、エネルギーの効率に優れ経済的にも優れる。
本発明のインクジェット記録装置は、上記インクジェットヘッドよりも基材の搬送方向上流に、凝集剤を含む処理液を基材に付与する処理液付与手段を有することが好ましい。
本発明のインクジェット記録装置が後述する親水化処理機を有する場合、本発明のインクジェット記録装置は、処理液付与手段を親水化処理機よりも基材の搬送方向下流に有することが好ましい。
本発明のインクジェット記録装置に用いられる処理液は、上記処理液と同義であり、好ましい態様も同様である。
処理液付与装置としては、インクジェットヘッドでもよいし、塗布ローラなど、公知の処理液を塗布する手段であってもよい。
また、本発明のインクジェット記録装置は、上記処理液付与装置よりも基材の搬送方向下流、かつ、上記インクジェットヘッドよりも基材の搬送方向上流に、処理液乾燥手段を有してもよい。処理液乾燥手段としては、上述の乾燥手段と同義であり、好ましい態様も同様である。
本発明のインクジェット記録装置は、備える全てのインクがいずれも、エチレン性不飽和基を有するポリマー粒子、顔料、及び、水を含み、かつ、重合開始剤を含まないか又は重合開始剤の含有量が0質量%を超え0.1質量%以下であるインク(特定インク)であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録装置は、基材表面を親水化する親水化処理機を有することが好ましく、コロナ処理機を有することがより好ましい。上記態様であると、親水化処理を行っていない基材を用いた場合であっても、得られる印刷物における基材とインクとの密着性、及び、画質が向上する。
また、本発明のインクジェット記録装置は、親水化処理機、インクジェットヘッド、乾燥手段及びエレクトロンビーム源を順に配置した基材搬送装置を備えることが好ましく、コロナ処理機、インクジェットヘッド、乾燥手段及びエレクトロンビーム源を順に配置した基材搬送装置を備えることがより好ましく、コロナ処理機、処理液付与手段、処理液乾燥手段、インクジェットヘッド、乾燥手段及びエレクトロンビーム源を順に配置した基材搬送装置を備えることが更に好ましい。
また、本発明のインクジェット記録装置における乾燥手段は、熱乾燥器を少なくとも有することが好ましく、熱乾燥器であることがより好ましい。上記態様であると、乾燥性に優れるだけでなく、コストや省スペース性にも優れる。
本発明のインクジェット記録装置における基材搬送装置としては、ロールツーロール(Roll to Roll)方式の搬送装置であることが好ましい。
図1は、本発明で好ましく使用されるインクジェット記録装置の一例を示す模式図である。
基材14の搬送手段である、送り出しローラー12及び巻き取りローラー24により張架された基材14は、送り出しローラー12から巻き取りローラー24へと搬送される。まず、コロナ処理機16により基材14の表面がコロナ処理される。続いて、処理液付与手段28により、基材に処理液が付与され、処理液付与手段28の搬送方向下流に設置された処理液乾燥手段である熱乾燥器26により、付与された処理液から少なくとも一部の水が除去され、乾燥される。その後、各色のインクを吐出するインクジェットヘッド18K、18C、18M、18Yにて、各色のインク(K:ブラック、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン)が吐出され、インクジェットヘッド18Yのすぐ後に設置された乾燥手段である熱乾燥器20により、吐出されたブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンインクから少なくとも一部の水が除去され、乾燥される。最後に、エレクトロンビーム(EB)硬化装置22により、基材へエレクトロンビームが照射され、乾燥された上記インクが硬化される。
EB硬化装置22は、例えば、エレクトロンビーム源が不活性ガスブランケットに囲まれており、不活性ガス配管を介して不活性ガス発生装置に接続しており、不活性ガス発生装置を稼働させると、ブランケット内の空気は不活性ガスに置換される態様が好ましく挙げられる。不活性ガスは、窒素などを利用することができる。
(印刷物)
本発明の印刷物は、本発明のインクジェット記録方法により形成された印刷物、又は、本発明のインクジェット記録装置を用いて形成された印刷物である。
また、本発明の印刷物は、本発明のインクジェット記録方法により形成された印刷物、又は、本発明のインクジェット記録装置を用いて形成された印刷物の上に、更に接着層、及び、ラミネートフィルムをこの順で有することが好ましい。
上記接着層及びラミネートフィルムは、上記ラミネート工程において説明した接着層、及び、ラミネートフィルムと同義であり、好ましい態様も同様である。
(実施例)
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、以下の記載における「部」とは「質量部」を示し、「%」とは「質量%」を示すものとする。
<インクの調製>
表1に示す割合で、各素材をミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて、室温(25℃)で4,000回転/分にて20分撹拌混合し、インクEx1、Ex2、Comp.Ex1〜Comp.Ex3をそれぞれ調製した。表1に示す各成分の含有量の単位は、質量部である。なお、表1中、「−」の記載は、該当する成分を含有していないことを示している。また、表1中の粘度及び表面張力は、上述の方法により測定した。
Figure 2017065117
表1に記載の化合物の詳細は下記に示す通りである。
<特定ポリマー粒子>
・GM0868−VP(ポリウレタン(メタ)アクリレートの水分散物、固形分38質量%、BASF社製)
・BayHydrol UV2689/1XP(ポリウレタン(メタ)アクリレートの水分散物、固形分42質量%、Bayer社製)
・O−106:(UV硬化型水溶解性ポリビニルアルコール水溶液、中京油脂(株)製 固形分20.4質量%)
・WBR2101(ウレタンラテックス水溶液、大成ファインケミカル(株)製 固形分26.0%)
<乾燥防止剤>
・2−メチル−1,3−プロパンジオール(Perstorp社製)
<界面活性剤>
・Capstone FS31(フッ素系界面活性剤、Dupont社製)
<増粘剤>
・Additol VXW 6360(Allnex社製)
<重合開始剤>
・重合開始剤1(合成品、下記構造の化合物)
Figure 2017065117
重合開始剤1は特開2000−186242号公報の段落0067〜0071及び0112〜0115に記載された方法に準じて合成した。
<顔料分散物>
・Projet Cyan APD 1000(シアン顔料分散物、富士フイルム(株)製)
<水>
・純水(和光純薬工業(株)製)
(実施例1)
<サンプル作製、評価>
上記インクEx1を図1に示す装置でポリエチレンテレフタレート(PET)基材に描画し、乾燥後、エレクトロンビーム(EB)硬化装置 EZCure I(岩崎電気(株)製)を用い硬化させ、印刷物を得た。このときエレクトロンビーム(EB)の加速電圧は110kV、線量は30kGy、印刷物まわりの酸素濃度が300ppm以下になるように窒素パージをして行った。なお、実施例1においては、図1中の処理液付与装置28及び熱乾燥器26を用いた処理液の塗布及び乾燥は行わなかった。
インクジェットヘッドは、Sambaヘッド(富士フイルムダイマティックス社製、1,200npi(1インチ当たりのノズル数、1インチは2.54cm)、最小液滴サイズ2plであり4階調の吐出量を有する(吐出量の階調 なし、小滴:2pl、中滴:7pl、大滴:9pl))を用いた。
基材は、太閤ポリエステルフイルムFE2001(厚さ12μm、フタムラ化学(株)製)を用いた。基材の搬送速度は50m/minとした。
インクEx1を使用し、下記評価方法による評価を行った。各項目の評価結果は表3に記載した。
1.臭気
上記装置により、1,200dpi×1,200dpiで網点面積率100%の画像を描画し、乾燥後、硬化して描画サンプル(印刷物)を作成した。網点面積率100%部分では100%中滴を使用した。
得られた描画サンプルについて、20人で官能評価を行い、以下の基準で評価した。
1:全く臭気を感じない
2:ほとんど臭気を感じない
3:わずかに臭気を感じる
4:臭気を感じる
5:非常に臭気を感じる
2.インク組成物のマイグレーション(抽出量)
臭気評価と同様の描画サンプルを作成した。
ヘプタン50ccで100cmの描画サンプルを抽出し、抽出物の合計量を測定した。抽出物の合計量による評価基準を以下に示す。なお、抽出物の合計量が少ないほど、インク組成物のマイグレーションは少ないといえる。
1:5ppb未満
2:5ppb以上10ppb未満
3:10ppb以上100ppb未満
4:100ppb以上1ppm未満
5:1ppm以上
3.アルコール耐性
臭気評価と同様の描画サンプルを作成した。
100%エタノール液を綿棒につけ、得られた描画サンプルの表面を擦った。評価基準を以下に示す。
1:サンプルの色落ちが確認できない。綿棒にも色移りがない。
2:サンプルの色落ちが確認できない。綿棒に僅かに色移りがある。
3:僅かにサンプルの色落ちが確認できる。綿棒に色移りがある。
4:サンプルの色落ちが確認でき、基材面の露出が見られる。綿棒に色移りがある。
4.高温耐性
臭気評価と同様の描画サンプルを作成した。
高圧(2気圧)下120℃の熱湯中で4分間煮沸を行った。評価基準を以下に示す。
1:全く変化が無い。煮沸直後に紙(C2紙、富士ゼロックス(株)製)を当てても色が全く移らない。
2:画像ににじみが発生するが気にならない。煮沸直後に紙(C2紙、富士ゼロックス(株)製)を当てても色が全く移らない。
3:にじみが発生する。煮沸直後に紙(C2紙、富士ゼロックス(株)製)を当てると色が移る。
5.線品質
各色で0.05pt(17.64μm)のラインを描画し、以下の観点で評価を行った。
1:30μm未満の太さで描画できる。線の太さが均一である。
2:線の太さが30μm以上である。線の太さが均一である。
3:線の太さが30μm以上であり、線の太さが不均一である。
6.画質
図2及び図3に示す画像を描画し、画質の評価を行った。
この場合の描画条件は1,200dpi×1,200dpiであり、ハイライト部分は2pl、シャドウ部分は6plで打滴され、その間に段階的に中滴が増えていくというカラーマネージメントとなっている。描画された画像について、20人で官能評価を実施した。評価基準を以下に示す。評価結果は表3に記載した。
1:画像のぼやけ、にじみがなく良好な画質である。
2:僅かに画像のぼやけ、にじみがあるが気にならない。
3:画像のぼやけ、にじみがあり、気になる。
4:画像のぼやけ、にじみが大きい。
(実施例2)
使用するインクをEx2に変更した以外は実施例1と同様にサンプルを作成し、評価した。
(比較例1)
使用するインクをComp.Ex1に変更した以外は、実施例1と同様にサンプルを作製し、評価した。評価結果は表3に記載した。
(比較例2)
実施例1のエレクトロンビーム(EB)硬化装置を(株)ミヤコシ製MJP20Wで用いられている窒素パージLED光源(HOYA CANDEO OPTRONICS 社製LED光源(中心波長:385nm,出力:4W)に窒素ガス発生装置2NT−8.2(コフロック(株)製)を接続し、基材と光源との間を5mmの間隔として、そこに窒素ガスを充填させた光源ユニット)に変更し、それ以外は実施例1と同様にサンプルを作成し、評価した。
(比較例3)
比較例2と同様に、エレクトロンビーム(EB)硬化装置を(株)ミヤコシ製MJP20Wで用いられている窒素パージLED光源に変更し、更に使用するインクをComp.Ex1に変更した以外は、実施例1と同様にサンプルを作成し、評価した。
(比較例4)
使用するインクをComp.Ex2に変更した以外は、実施例1と同様にサンプルを作製し、評価した。評価結果は表3に記載した。
(実施例3)
<処理液の調製>
下記表2に記載の各成分を混合し、処理液を調製した、表2に記載の数値は、各成分の含有量(質量部)を示している。なお、表2中の粘度及び表面張力は、上述の方法により測定した。
Figure 2017065117
表2に記載の各成分の詳細は、下記の通りである。
〔カチオン性ポリマー〕
・ユニセンスFPA100L(固形分濃度27質量%、センカ(株)製)
〔水〕
・純水(和光純薬工業(株)製)
<サンプル作製、評価>
上記実施例1のインクジェット描画の前に、図1中の処理液付与装置28としてアニロックスローラーを用い、1μmの塗布厚で上記処理液を付与した以外は、実施例1と同様にサンプル作製、評価を行った。なお、実施例3においては、図1中の熱乾燥器26を用いた処理液の乾燥は行わなかった。
Figure 2017065117
(実施例4)
<吐出性評価>
上記インクEx1、Ex2又はComp.Ex3を用い、網点面積率100%で、100m連続で印字したところ、インクEx1及びEx2を用いた例においては、初期から最後まで良好に印字できることが確認できた。一方で、インクComp.Ex3は全く吐出ができなかった。
(実施例5)
インクEx1と同様に、下記表4に記載の組成のインクEx3〜Ex6を調製した。その後、インクEx3〜Ex6を用いて、それぞれ実施例1と同様にサンプル作成、評価を行った、インクEx3〜Ex6のいずれの例についても、評価結果は実施例1と同様であった。なお、表4中、「−」の記載は、該当する成分を含有していないことを示している。また、表4中の粘度及び表面張力は、上述の方法により測定した。
Figure 2017065117
表4に記載のうち、上記に記載のない各成分の詳細は、下記の通りである。
<特定ポリマー粒子>
・UCECOAT7571(脂肪族ウレタンアクリレート化合物、固形分濃度35質量%、ダイセルオルネクス(株)製)
・UCECOAT7849(脂肪族ウレタンアクリレート化合物、固形分濃度35質量%、ダイセルオルネクス(株)製)
・UCECOAT7655(脂肪族ウレタンアクリレート化合物、固形分濃度35質量%、ダイセルオルネクス(株)製)
・スーパーフレックスR5002(ポリエステル系ウレタン樹脂、固形分納後39.5質量% 第一工業製薬(株)製)
(実施例6)
処理液1と同様に、下記表5に記載の組成の処理液2〜処理液5を調製した。なお、表5中、「−」の記載は、該当する成分を含有していないことを示している。また、表5中の粘度及び表面張力は、上述の方法により測定した。
Figure 2017065117
表5に記載のうち、上記に記載のない各成分の詳細は、下記の通りである。
<凝集剤>
〔カチオン性ポリマー〕
・シャロール DC−902P(ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、第一工業製薬(株)製)
・アクリット UV−319SX(カチオンアクリルエマルジョン、大成ファインケミカル(株)製)
〔酸性化合物〕
・リンゴ酸 (和光純薬工業(株)製)
〔多価金属塩〕
・硝酸カルシウム (和光純薬工業(株)製)
処理液2〜処理液5を用いて、実施例3と同様に試験及び評価を行った。評価結果は表6に記載した。
Figure 2017065117
10:インクジェット記録装置、12:送り出しローラー、14:基材、16:コロナ処理機、18K:ブラックインク用インクジェットヘッド、18C:シアンインク用インクジェットヘッド、18M:マゼンタインク用インクジェットヘッド、18Y:イエローインク用インクジェットヘッド、20:熱乾燥器、22:EB硬化装置、24:巻き取りローラー、26:熱乾燥器、28:処理液付与手段

Claims (13)

  1. エチレン性不飽和基を有するポリマー粒子、顔料、及び、水を含み、かつ、重合開始剤を含まないか又は重合開始剤の含有量が0質量%を超え0.1質量%以下であるインクを、インクジェットヘッドを用いて基材上に吐出する吐出工程、
    吐出された前記インクにおける前記水の少なくとも一部を除去して前記インクを乾燥させる乾燥工程、並びに、
    乾燥された前記インクをエレクトロンビームによって硬化させる硬化工程をこの順に含むことを特徴とする
    インクジェット記録方法。
  2. 前記ポリマー粒子がポリウレタンを含有する、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. エレクトロンビームの加速電圧が150kV以下であり、かつ、前記硬化工程における乾燥された前記インクのエレクトロンビームの吸収線量が30kGy以下である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記吐出工程の前に、凝集剤を含む処理液を基材に付与する処理液付与工程を更に含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記ポリマー粒子の含有量が、前記吐出工程における前記インク中のエチレン性不飽和化合物の全質量に対し、99質量%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記吐出工程における前記インクが、分子量1,000未満のエチレン性不飽和化合物を含まないか、又は、分子量1,000未満のエチレン性不飽和化合物の含有量が、前記インクの全質量に対し、0質量%を超え0.1質量%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記乾燥工程が、熱乾燥させる工程である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. インクジェットヘッド、乾燥手段及びエレクトロンビーム源を順に配置した基材搬送装置と、
    エチレン性不飽和基を有するポリマー粒子、顔料、及び、水を含み、かつ、重合開始剤を含まないか又は重合開始剤の含有量が0質量%を超え0.1質量%以下であるインクとを備えることを特徴とする
    インクジェット記録装置。
  9. 前記エレクトロンビーム源におけるエレクトロンビームの加速電圧が150kV以下であり、かつ、乾燥された前記インクがエレクトロンビームの吸収線量30kGy以下で硬化可能である、請求項8に記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記インクジェットヘッドよりも基材の搬送方向上流に、凝集剤を含む処理液を基材に付与する処理液付与手段を有する、請求項8又は9に記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記ポリマー粒子の含有量が、前記インク中のエチレン性不飽和化合物の全質量に対し、99質量%以上である、請求項8〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  12. 前記インクが、分子量1,000未満のエチレン性不飽和化合物を含まないか、又は、分子量1,000未満のエチレン性不飽和化合物の含有量が、前記インクの全質量に対し、0質量%を超え0.1質量%以下である、請求項8〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  13. 前記乾燥手段が、熱乾燥器を有する、請求項8〜12のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
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