はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明群を手段n(n=1,2,3…)として区分して示し、それらを必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、本実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
(手段1)「複数の回胴を回転させた後に、この回胴を停止させることで遊技を行う遊技機において、
上記回胴停止時に生ずる上記回胴駆動モータの滑動量を含めて、次の回胴駆動時における上記駆動モータの励磁相が制御されることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、回胴の初期回転時における駆動モータの励磁相(初期励磁相)としては、回胴つまり駆動モータの滑動量を考慮して定められる。この滑動量を考慮することで、本来の初期励磁相とのずれがほぼ解消されるようになり、回転始動時の安定性を確保できる。回転始動の安定を確保することで、ゲームへの集中力が増し、遊技者の興趣を増進させることができる。
(手段2)「手段1において、滑動量とは回胴駆動モータにブレーキをかけたときから駆動モータの回転が実際に停止するまでの間の回転量であることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、回胴駆動モータにブレーキをかけたときから駆動モータの回転が実際に停止するまでの間の回転量(いわゆる滑りに相当する回転角)である駆動モータの滑動量から初期励磁相を定めるので、安定した回転始動を実現できる。
(手段3)「手段1において、上記駆動モータに対してブレーキをかけたときに生ずる滑動量より導かれた補正量に相当する励磁相に基づいて初期励磁相が決定されることを特徴とする遊技機。」
この遊技機において、駆動モータにロータ回転位置検出手段が設けられていないときには、ロータ滑動量に相当するステップ角数を計測し得ないので、滑動量より導かれた補正量を利用して励磁相が定められる。
(手段4)「手段3において、滑動量より導かれる補正量は計測値に基づいて算出されることを特徴とする遊技機。」
この遊技機において、滑動量より導かれる補正量は駆動モータを駆動して得た計測値に基づいて算出することで、より正確な補正量を算出でき、安定した回転始動を実現できる。
計測値としては、第1に、滑動量のほぼ中心値を利用することができる。同一の駆動モータに対して所定回数分だけ滑動量を計測する。滑動量の計測値は分散するので、分散した計測値のほぼ中心値(ステップ角数に相当する相数)を求める。求められたこの中心値を補正量つまりその駆動モータの滑動量として活用する。この滑動量のほぼ中心値よりも1ステップ角分加えてステップ角数分だけ進んだ励磁相に相当する励磁相が、次回の初期励磁相として選ばれる。ブレーキをかけたときの滑動量は異なり、ばらつき、分散するのが普通であるが、そのばらつきや分散はある範囲内に収まることが確認できたので、滑動量のほぼ中心値を用いることで、実際の滑動量との開き(差分)が少なくなり、脱調や回転の不安定性をもたらすようなことはない。
第2に、計測値としては滑動量の中心値ではなく、滑動量の平均値を使用することでもよい。つまり、複数回に亘り滑動量の計測を行い、そのときに得られる分散した計測値の平均値(ステップ角数に相当する相数)が滑動量として使用される。
(手段5)「手段3において、上記補正量は上記滑動量を示す正規分布のピーク値を利用することを特徴とする遊技機。」
この遊技機において、滑動量の計測値はほぼ正規分布となるので、そのピーク値を補正量(補正値)として利用することもできる。補正量としてこのピーク値を用いることで、脱調や不安定な初期回転を一掃できる。
(手段6)「手段4において、計測値に基づいて算出される励磁相は、励磁順が偶数ステップで循環するとき、2ステップずつ励磁相を順次変化させたときに回転始動が最も安定する励磁相が選択され、この励磁相に基づいて上記初期励磁相が設定されることを特徴とする遊技機。」
この遊技機において、偶数、例えば8ステップで励磁順が循環して、元の励磁順に戻るような励磁シーケンスであるときには、2ステップずつ励磁相を変えて、その都度その回転始動時の状況を判断する。その結果、回転始動が最も安定した励磁相を次回以降の初期励磁相として設定することで、脱調を起こすことなく安定した初期回転を実現できる。ここに、このようにして求めた初期励磁相と、ブレーキをかけたときの励磁相との差分のロータ回転量が駆動モータの滑動量(中心値)となる。
(手段7)「手段1において、上記駆動モータに回転位置検出手段が設けられ、この回転位置検出手段からの回転位置検出信号が、上記駆動モータ停止時における滑動量として使用されることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、駆動モータに回転位置の検出手段が設けられているので、この検出手段からの検出信号によって滑動量に相当するステップ角数が判る。ブレーキをかけたときの励磁相からステップ角数分だけ滑動して進んだ次の励磁相が初期励磁相となる。滑動量に相当するステップ角数を正確に検出できるので、本来の初期励磁相を用いて駆動モータを初期励磁でき、より安定した初期駆動を実現できる。
(手段8)「手段7において、上記回転位置検出手段はロータリーエンコーダであることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、ロータリーエンコーダを用いることで、ブレーキをかけたタイミングからの滑動量に相当するステップ角の情報(エンコーダ出力)が即座に得られるので、このステップ角情報を利用して次回の初期励磁相を正確に確定できる。特に、ロータリーエンコーダとしてアブソリュートエンコーダを使用する場合には、駆動モータが停止しているときはもちろんのこと、駆動モータに対する電源を立ち上げたときでも、ロータの回転位置を検出できるから、例えば駆動モータのロータを手回しして停止時の回転位置と始動時の回転位置が相違するときでも、始動時の回転位置を確実に検出できるため、励磁相の連続性を担保でき、安定した回転始動を実現できる。
(手段9)「手段7において、上記回転位置検出手段は、複数の回転位置検出センサを有し、これら複数の回転位置検出センサが上記回胴の回転方向に沿って配置されることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、複数の回転位置検出センサを回胴の回転方向に沿って適宜配置し、これら複数の回転位置検出センサからの出力を利用することで、ブレーキをかけてからのロータの滑動量に相当するステップ角数を検出できる。
(手段10)「手段1において、上記駆動モータは、1−2相励磁方式を採用した2相ステッピングモータであることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、駆動モータはステッピングモータであるので、高トルク、高停止精度が得られる。この他に、1−2相励磁方式であるので、1相励磁と2相励磁の2タイプの組み合わせによって8種類(8ステップ)の励磁順が定まり、滑動量に相当するステップ角数分だけ進ませる励磁相の特定が容易になる。
(手段11)「手段10において、上記駆動モータの初期励磁相は2相励磁であることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、初期励磁相(高トルク励磁相)として2相励磁を行うことで、高トルクの回転トルクを得ることができると共に、高停止精度を確保できる。ロータの滑動量のほぼ中心値に相当するステップ角数分だけ進ませた励磁相の次の励磁相が、2相励磁にあたらない場合でも、初期励磁相は2相励磁とする。1−2相励磁の場合には、励磁相が狂ったとしても1相分であり、1相分の励磁相のずれは十分に吸収できるからである。しかし、通常の場合、ブレーキをかけたときステッピングモータは1相励磁のところで停止している場合が多いので、実際には滑動量のほぼ中心値に相当するステップ角数分だけ進ませた励磁相の次の励磁相が2相励磁となるように、そのほぼ中心値を設定しておくことになる。回転位置検出手段でロータの回転位置(回転角)を検出した場合でも、初期励磁が2相励磁となるように初期励磁相が設定されることになる。
(手段12)「手段1において、上記回胴駆動モータのモータ加速時、少なくとも上記駆動モータのロータの回転揺れが抑えられるまでの間、励磁信号を印加する初期励磁相に対する励磁状態をホールドするようにしたことを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、駆動モータの回転子(ロータ)の加速初期における不定回転(回転の揺れや回転むらを含む短期振動を言う。以下回転揺れという)が収まるまで初期励磁状態をホールド(固定)し、回転揺れが収まってから次の回転トルクを得る励磁信号を印加するように、励磁信号を印加する割り込みタイミングを制御したため、励磁信号の抜けによる脱調がなくなると共に、回転揺れによる回転の不安定性を回避できる。これによって、遊技者の興趣を逸らすことなく遊技に没頭できる遊技機を提供できる。
2相励磁の場合には1相励磁よりも高トルクが得られるので、この高トルクの発生によって初期励磁から2回目の加速励磁を行うまでの時間(割り込み間隔)を多少短めに設定してあったとしても、回転子の回転揺れに対する収束が早くなり、これによって安定した回転トルクを付与できる。
(手段13)「手段12において、初期励磁相となる加速期間を第1の加速期間とするとき、この第1の加速期間は上記回転子の回転揺れが収束する最短時間に選定されることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、第1の加速期間である初期励磁期間を、回転子(ロータ)の回転揺れが収束する最短時間に選定することで、次の加速への移行時間を最少とすることができるから、駆動モータの安定加速による定速回転への到達時間を最短とすることができ、スタートボタンを押してからストップボタンを押すまでの待機時間を可及的に短くできる。これで遊技者のスピーディーなボタン操作を担保できる。
初期励磁から次の励磁信号の割り込みは、ロータの回転揺れによって多少相違する。回転揺れが180〜190msecで収束するような場合で、駆動モータのステップ間隔が、時間に換算して1.49msec程度であるときには、この時間1.49msecが励磁信号の割り込み最小時間となるから、大凡130割り込み分の時間(約193.7msec)が第1の加速期間として選定される。したがって、次の励磁信号の出力タイミングは130割り込み後となる。
初期励磁としての第1の加速期間は130割り込み分あるので、ロータの停止位置が強制的に変更されているような場合でもロータの振動を吸収でき、したがってこのような特殊の場合でも回転の安定性が阻害されるおそれはない。
(手段14)「手段13において、第1の加速期間から定速回転に至るまでの加速期間を第2の加速期間としたとき、この第2の加速期間はほぼ第1の加速期間に選定されることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、第2の加速期間を第1の加速期間に近い時間に設定することで、安定加速による定速回転に至るまでの時間を短縮できる。実際には、完全に第1の加速期間と同じではなく、第1の加速期間よりも僅かに短い期間に設定されている。ロータの回転が安定しているので定速回転に至るまでの時間をこのように短くしても脱調や回転揺れが発生して駆動モータの回転が不安定になるおそれはない。
(手段15)「手段14において、第2の加速期間では、1相励磁と2相励磁の励磁割り込み周期を順次短くすることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、定速回転に至るにしたがって1相励磁と2相励磁の励磁割り込み周期が短くなるように制御したので、第2の加速期間が短くても十分な加速を得ることができると共に、励磁割り込み周期が漸次短くなるようにしたので、安定した高速加速状態で定速回転にスムーズに遷移させることができる。
(手段16)「手段14において、第2の加速期間の最後は最小割り込み間隔で1相励磁と2相励磁が順次切り替わる1−2相励磁にして定速回転に遷移することを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、第2の加速期間の終わりを、最小割り込み間隔で1相励磁と2相励磁が順次切り替わる1−2相励磁とすることで、手段14の構成と相俟ってよりスムーズに定速回転に遷移できる。
(手段17)「手段1において、回胴駆動処理がタイマー割り込み処理の一部として設定されているとき、回胴駆動処理以外の処理の終了を待たずに、上記駆動モータに対する励磁信号を上記駆動モータ側に出力するようにしたことを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、定期的な割り込み処理内では、回胴駆動処理以外に多数の処理があったとしても、これらの回胴駆動処理以外の処理に要する処理時間を待たずに、最小の割り込み周期に同期させて励磁信号を入出力ポートに出力することができる。したがって、駆動モータは常にこの割り込み周期に同期して励磁されることになるから、非常に安定した回転駆動を実現できる。
因みに、回胴駆動処理以外の処理を待って励磁信号を入出力処理回路(入出力ポート)に出力させると、それらの処理に要する時間の長短によって入出力処理回路への出力タイミングが基準の割り込み周期に対して長くなったり、短くなったりしてしまう。この時間変動分だけ駆動モータに対する励磁信号の割り込み周期が変動することになるから、割り込み周期に同期した相励磁を実現できず、結果として不安定な回転駆動となってしまうからである。定期的な割り込み処理はタイマー割り込み処理で実現できる。
(手段18)「手段1から手段17の何れかにおいて、遊技機はパチンコ機である。」ここに、パチンコ機はその基本構成として操作ハンドルを備えると共に、この操作ハンドルの操作に応じて遊技球を所定の遊技領域に発射させ、遊技球が遊技領域内の所定の位置に配置された作動口に入賞することを必要条件として表示装置における図柄の変動表示が開始するようになされたものであり、また特別遊技状態発生中には、遊技領域内の所定の位置に配置された入賞口が所定の態様で開放されることによって遊技球を入賞可能として、その入賞個数に応じた有価価値が付与されるようになされた遊技機である。有価価値は景品球として還元することもできれば、磁気カードなどのカード状記録媒体を利用して有価価値に相当する有価情報を書き込むことでもよい。
パチンコ機には、少なくとも多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技球を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態との2種類の遊技態様が存在する。
(手段19)「手段1から手段17の何れかにおいて、遊技機はスロットマシンであること。」ここに、スロットマシンはその基本構成として、遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始されると共に、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは所定時間経過することにより図柄の変動が停止されるようになされ、停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段を備えた遊技機である。
上述した遊技機には、少なくとも多数個の遊技媒体を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技媒体を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の2種類の遊技態様が存在する。この種遊技機において使用される遊技媒体はコイン、メダル等がその代表例として挙げられる。
(手段20)「手段1から手段17の何れかにおいて、遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させた遊技機であること。」このような遊技機(複合機)はその基本構成として、遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の識別情報からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、さらに操作レバーなどの始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始されると共に、ストップボタンなどの停止用操作手段の操作に起因して、或いは所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段を備え、遊技媒体として遊技球を使用するとともに、識別情報の変動開始に際しては所定数の遊技球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの遊技球が払い出されるように構成された遊技機である。
上述した遊技機には、少なくとも多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技球を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の2種類の遊技態様が存在する。
次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。図1は本発明の一実施形態であるスロットマシン10の前面扉を閉じた状態の斜視図、図2はスロットマシン10の前面扉を開いた状態の斜視図、図3はスロットマシン10の電気的接続を例示するブロック図である。
この実施の形態として適用したスロットマシン10は、前面扉12がその左側を回動軸として本体11に回動自在に取り付けられ、前面扉12を閉じると施錠装置20により前面扉12が施錠される。
前面扉12には、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりする上部ランプ13と、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を報知したりするスピーカ14,14と、機種名などが表示された上段プレート15と、左回胴Lと中回胴Mと右回胴Rをそれぞれ透視可能な遊技パネル30と、略中段付近にて各種ボタン51,53〜56,61〜63やスタートレバー52やメダル投入口57が設けられた操作部50と、機種名や遊技に関わるキャラクタなどが表示された下段プレート16と、メダル払出口17から払い出されたメダルを受けるメダル受け皿18とが装着されている。スロットマシン10の本体内部には、電源ボックス85(図3参照)や、制御装置70(図3参照)が装着されている。
遊技パネル30は、左回胴L、中回胴M、右回胴Rの停止中または回転中の様子を外部に露出する露出窓31L,31M,31Rと、露出窓31Lの左側に配置された5つのベットランプ32,33,33,34,34と、この露出窓31L,31M,31Rの下側に配設された3つの表示部(クレジット枚数表示部35、ゲーム数表示部36および払出枚数表示部37)とを備えている。
露出窓31L,31M,31Rは、それぞれ停止中の左回胴L、中回胴M、右回胴Rにつき縦に3つの図柄を露出可能な大きさに形成されている。このため、各回胴L,M,Rがすべて停止している状態では、3×3=9(図柄)が遊技者に表示される。そして、図1にて一点鎖線で表示した上段、中段、下段の水平ラインおよび一対の対角ラインの合計5本のラインが、ベットされるメダル数に応じて適宜有効化される。露出窓31L、31M、31Rは1つにまとめて、共通の露出窓とすることもできる。
なお、有効化されたラインを「有効ライン」といい、予め定められた賞を付与する組合せが有効ラインに揃うことを「入賞」という。但し、停止した左回胴Lの3つの図柄のうち有効ライン上の図柄に「チェリー」が存在するとき、これも「入賞」という。
左回胴L、中回胴M、右回胴Rは同様のユニットにより構成されているため、ここでは左回胴Lを例に挙げて図4および図5に基づいて説明する。図4は左回胴Lの組立斜視図、図5は左回胴Lに巻かれたシール47の展開図である。左回胴Lは、円筒状のかごを形成する円筒骨格部材40の外周面に21個の図柄(識別要素)が等間隔ごとに描かれたシール47が巻かれたものであり、円筒骨格部材40のボス部41が円盤状のボス補強板42を介して左回胴用ステッピングモータ71Lの駆動軸に取り付けられている。
左回胴用ステッピングモータ71Lは、図2に示す本体11の内部に垂設されたモータプレート43にねじ43aで固定されており、このモータプレート43には発光素子と受光素子とが一対となった回胴インデックスフォトセンサ(回転位置検出センサ)44が設置されている。回胴インデックスセンサ44を構成する一対のフォトセンサ(図示はしない)は、所定の間隔を保持してその上下に配される。
左回胴Lと一体化されたボス補強板42には、半径方向に延び出したセンサカットバン45の基端部45bがねじ45cで固定されている。このセンサカットバン45の先端部45aは、略90°屈曲されて回胴インデックスフォトセンサ44の両素子の間隙を通過できるように位置合わせがなされている。そして、左回胴Lが1回転するごとにセンサカットバン45の先端部45aの通過を回胴インデックスフォトセンサ44が検出し、検出の都度制御装置70に検出信号を出力するため、制御装置70はこの検出信号に基づいて左回胴Lの角度位置を1回転ごとに確認し補正できる。なお、各回胴に巻かれたシール47は、それぞれに描かれた図柄の順序や発生頻度が異なったものが使用される。
ステッピングモータ71Lは、504パルスの駆動信号(励磁信号)により左回胴Lが1周するように設定されており、このパルスによって回転位置が制御される。すなわち、左回胴Lが1周すると21図柄が順々に露出窓31Lから露出するため、ある図柄から次の図柄へ切り替えるには24パルス(=504パルス÷21図柄)を要する。そして、回胴インデックスフォトセンサ44の検出信号が出力された時点からのパルス数により、どの図柄が露出窓31Lから露出しているかを認識したり任意の図柄を露出窓31Lから露出させたりすることができる。
図6はステッピングモータ71Lの動作原理を示す接続図である。ステッピングモータ71Lとしてこの実施の形態では、1−2相励磁方式を採用したハイブリッド(HB)型の2相ステッピングモータを使用した場合である。ステッピングモータはハイブリッド型や2相に限らず、4相あるいは5相のステッピングモータなど、種々のステッピングモータを使用することができる。
ハイブリッド型のステッピングモータ71Lは周知のように中央に配置されたロータ(回転子)60と、このロータ60の周囲に配された第1〜第4ポール601〜604から構成される。
ロータ60は、N極に着磁された手前側ロータ60aと、S極に着磁された奥側ロータ60bとで構成され、手前側ロータ60aの周囲に設けられた歯(小歯)と歯の間に、奥側ロータ60bの周囲に設けられた歯が位置するように1/2ピッチだけ相対的にずらされた状態で回転軸に取り付けられている。そして、手前側ロータ60aと奥側ロータ60bとの間には筒状磁石(図示はしない)が取着されている。
第1と第3ポール601,602には図7に示すように、励磁コイルL0とL2がバイファイラ巻きされ、励磁コイルL0の巻き終わり端と励磁コイルL2の巻き始め端とが結線されて、ここに所定の直流電源+B(例えば+24ボルト)が印加される。同じく、第2と第4ポール602,604にも、励磁コイルL1とL3がバイファイラ巻きされ、励磁コイルL1の巻き終わり端と励磁コイルL3の巻き始め端とが結線されて、ここに上述した直流電源+Bが印加される。
ここで、上述したように第1の励磁コイルL0に励磁信号を印加して、第1ポール601をS極に励磁すると共に、第3ポール603をN極に例示する相をA相とし、第3の励磁コイルL2に励磁信号を印加して、第1ポール601をN極に励磁すると共に、第3ポール603をS極に励磁する相をA−相とし、さらに第2の励磁コイルL1に励磁信号を印加して、第2ポール602をS極に励磁すると共に、第4ポール604をN極に励磁する相をB相とし、第4の励磁コイルL3に励磁信号を印加して、第2ポール602をN極に励磁すると共に、第4ポール604をS極に励磁する相をB−相と称する。
そして、1相励磁駆動方式の場合、A相、B相、A−相およびB−相に対して順次励磁信号を印加することでロータ60を時計方向(又は反時計方向)に回転駆動することができる。
つまり、例えばまずA相に通電すると、S極になった第1ポール601の突起と手前側ロータ60aの歯、N極になった第3ポール603の突起と奥側ロータ60bの歯とがそれぞれ吸引力により向き合い、次にB相に通電すると、S極になった第2ポール602の突起と手前側ロータ60aの歯、N極になった第4ポール604の突起と奥側ロータ60bの歯とがそれぞれ吸引力により向き合い、次にA−相に通電すると、N極になった第1ポール601の突起と奥側ロータ60bの歯、S極になった第3ポール603の突起と手前側ロータ60aの歯とがそれぞれ吸引力により向き合い、次にB−相に通電すると、N極になった第2ポール602の突起と奥側ロータ60bの歯、S極になった第4ポール604の突起と手前側ロータ60aの歯とがそれぞれ吸引力により向き合う。この順序で励磁することにより、ロータ60は図6において時計方向に回転する(1相励磁駆動)。
これに対して、この実施の形態では、1相励磁と2相励磁とを交互に行う1−2相励磁駆動が採用されている。1−2相励磁駆動では以下の(1)〜(8)の励磁シーケンス(励磁順序)に従って励磁が行われる。
すなわち、図8にも示すように、1−2相励磁駆動は、(1)A相に通電し(1相励磁)、(2)A相とB相の両方に通電し(2相励磁)、以下同様に(3)B相に通電し、(4)B相とA−相の両方に通電し、(5)A−相に通電し、(6)A−相とB−相の両方に通電し、(7)B−相に通電し、(8)B−相とA相の両方に通電し、その後(1)に戻るような駆動方式である。この1−2相励磁駆動を採用することにより、1ステップあたりの角度変化は、1相励磁駆動の1ステップあたり約0.714°となる。
ステッピングモータ71L、71M、71Rに対する駆動信号は、図8に示すように励磁相を決定する励磁相パターンデータ(以下励磁データという)としてモータドライバー712に与えられる。この励磁データは図3に示すRAM76に格納されており、後述する回胴制御処理ルーチン内で、タイマー割り込み処理によってCPU72からの指令に基づいて入出力処理回路80に出力されることになる。この励磁データによってステッピングモータ71L、71M、71Rに対する励磁相が定まり、その励磁相に対して励磁信号(電流)が通電される。
回転開始時つまり初期励磁時に上述の励磁順が狂うと、後述するように場合によっては脱調したり、回転が不安定になったりする。
図1に示すように1枚ベットランプ32は、中段水平ラインの左横に配設され、2枚ベットランプ33,33は上段水平ラインおよび下段水平ラインの左横に配設され、3枚ベットランプ34,34は一対の対角ラインの左横に配設されている。各ベットランプ32,33,33,34,34が点灯する時期については、後述するメダルをベットする手順の中で説明する。
クレジット枚数表示部35は、後述するクレジット機能が有効なときにスロットマシン内部に貯留されている枚数を表示するものであり、ゲーム数表示部36は、例えばビッグボーナス時にあと何回JAC(ジャック)インできるかとかJACゲーム時にあと何回JAC図柄成立が残っているかといった回数を表示するものであり、払出枚数表示部37は、有効ライン上に同じ図柄が揃って入賞したときに払い出された枚数を表示するものである。
操作部50は、前面部に設けられたクレジットボタン51、スタートレバー52、左回胴用ストップボタン53、中回胴用ストップボタン54、右回胴用ストップボタン55および返却ボタン56と、水平段部に設けられたメダル投入口57、1枚ベットボタン61、2枚ベットボタン62およびマックスベットボタン63とを備えている。
クレジットボタン51は、1度押されるとオン状態になり、もう1度押されるとオフ状態になり、その後押しボタン操作が行われるごとにオンオフが切り替わるトグル式に構成されている。クレジットボタン51がオフ状態のときには、クレジット枚数表示部35の表示が消え、メダル投入口57から投入されたメダルや入賞したときに払い出されるメダルはメダル払出口17からメダル受け皿18へ払い出される。また、クレジットボタン51がオン状態のときには、クレジット枚数表示部35に数字(オンからオフになったときには「0」)が表示され、クレジット機能が有効となる。ここで、クレジット機能とは、メダル投入口57から投入された枚数がマックスベット数(ここでは3枚)を越えたときにその越えた枚数分をスロットマシン内部に貯留する機能であり、貯留枚数がクレジット枚数表示部35に表示される。クレジット枚数表示部35に1枚以上表示されているときにクレジットボタン51を押してオフ状態にすると、表示されていた枚数分のメダルがメダル払出口17からメダル受け皿18へ払い出され、メダルが払い出されるごとにクレジット枚数表示部35の数値が1ずつディクリメントされ、その数値がゼロになったあと表示が消える。
スタートレバー52は、遊技者がゲームを開始するときに手で押し操作するレバーであり、手が離れたあと元の位置に自動復帰する。メダルがベットされているときにこのスタートレバー52が操作されると、スタートスイッチ52a(図3参照)がオンされてスタート指令が発生し、このスタート指令によって各回胴L,M,Rが一斉に回転し始める。
左回胴用ストップボタン53、中回胴用ストップボタン54、右回胴用ストップボタン55は、それぞれ回転中の左回胴L、中回胴M、右回胴Rを停止させるときに遊技者が指で押すためのボタンであり、各ボタン53,54,55が押されるとそれに連動して左回胴用ストップスイッチ53a、中回胴用ストップスイッチ54a、右回胴用ストップスイッチ55a(図3参照)がオンされて停止指令が発生する。各ストップボタン53,54,55は、各回胴が等速回転している間、図示しないランプにより点灯表示され、回転が停止すると消灯される。
返却ボタン56は、メダル投入口57に投入されたメダルが詰まったときに押されるボタンであり、このボタンが押されると詰まったメダルがメダル払出口17から返却される。メダル投入口57は、メダルを投入するための入口であり、投入されたメダルは内部に設けられたホッパ86へ通じる貯留用通路91か、メダル払出口17へ通じる払出用通路92のいずれかへ導かれる。貯留用通路91と払出用通路92の切替はメダル通路切替ソレノイド66によって行われる。
各ベットボタン61,62,63は、ゲームスタート前にそのゲームでベットするメダル枚数を決めるためのボタンである。ここで、メダルをベットする手順について説明する。クレジットボタン51がオフ状態のとき(クレジット枚数表示部35が消灯しているとき)か、クレジットボタン51がオン状態で貯留枚数もベット枚数もゼロのとき(クレジット枚数表示部35に「0」が表示されているとき)に、メダル投入口57からメダルが投入されるとベットされる。
すなわち、1枚目のメダルがメダル投入口57に投入されると、1枚ベットランプ32が点灯しこれに対応する中段水平のラインが有効ラインとなり、2枚目のメダルがメダル投入口57に投入されると、更に2枚ベットランプ33,33が点灯しこれに対応する上段水平および下段水平のラインを含む合計3本のラインが有効ラインとなり、3枚目のメダルがメダル投入口57に投入されると、更に3枚ベットランプ34,34が点灯しこれに対応する一対の対角ラインを含む合計5本のラインが有効ラインとなる。
また、4枚以上のメダルがメダル投入口57に投入されると、クレジットボタン51がオフのときつまりクレジット機能が有効でないときには、メダル払出口17からメダル受け皿18へメダルが返却されるが、クレジットボタン51がオンのときつまりクレジット機能が有効なときには、有効ラインはそのままで投入されたメダルの枚数分だけスロットマシン内部に貯留され、クレジット枚数表示部35に貯留枚数が表示される。このクレジット枚数は上限枚数が決められており(例えば50枚)、それを越える枚数のメダルが投入されたときにはメダル払出口17からメダル受け皿18へ返却される。
メダルが3枚以上貯留されているときに、1枚ベットボタン61が押されるとクレジット枚数表示部35に表示されている数値が1つディクリメントされると共に1枚ベットランプ32が点灯して中段水平のラインが有効ラインとなり、2枚ベットボタン62が押されるとクレジット枚数表示部35に表示されている数値が2つディクリメントされると共に1枚ベットランプ32および2枚ベットランプ33,33が点灯して合計3本のラインが有効化され、マックスベットボタン63が押されるとクレジット枚数表示部35に表示されている数値が3つディクリメントされると共に全ベットランプ32,33,33,34,34が点灯して合計5本の有効ラインが有効化される。
一方、メダルが2枚貯留されているときに、1枚ベットボタン61や2枚ベットボタン62が押されると先ほどと同様に動作するが、マックスベットボタン63が押されると2枚ベットボタン62が押されたときと同様に動作し、メダルが1枚だけ貯留されているときに、1枚ベットボタン61が押されると先ほどと同様に動作するが、2枚ベットボタン62やマックスベットボタン63が押されると1枚ベットボタン61が押されたときと同様に動作する。
図2に示すように電源ボックス85は、電源スイッチ81やリセットスイッチ82や設定キー挿入孔83などを備えている。電源スイッチ81は、オンされるとCPU72を始めとする各部に電源を供給する。リセットスイッチ82は、オンされた状態で電源スイッチ81がオンされるとRAM76の内容がリセットされ、単にオンされるとエラー状態がリセットされる。設定キー挿入孔83は、図示しない設定キーを挿入することにより設定キースイッチ83a(図3参照)がオン状態となり、スロットマシン10の設定状態を「設定1」から「設定6」まで変更できる。
ホッパ86は、メダルを貯留する補助タンク87と、補助タンク87内のメダルを払出用通路92に通じる開口93を介してメダル払出口17へ払い出す払出装置88とから構成されている。この払出装置88は、ホッパ駆動モータ65(図3参照)によって図示しないメダル送出用回転板を回転させながらメダルを開口93へ送り出す。
図3に示すように制御装置70は、CPU72を中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPU72には電源を供給する電源ボックス85や所定周波数の矩形波を出力するクロック回路78が接続されている他に、処理プログラムを記憶するROM74や、一時的にデータを記憶するRAM76や、入出力処理回路80がバス79によって接続されている。
カウンタ77は、回胴L、M、Rの回転状態を検出するために使用されるもので、1回転ごとにリセットされ、24ステップごとにインクリメントされる図柄カウンタと、1ステップごとにインクリメントされ、24ステップでリセットされる図柄オフセットカウンタとで構成されている。
制御装置70には、回胴インデックスフォトセンサ44からの検出信号、リセットスイッチ82からのリセット信号、設定キースイッチ83aからのオンオフ信号、ベットボタン61,62,63に連動する各ベットスイッチ61a,62a,63aからのベット信号、クレジットボタン51に連動するクレジットスイッチ51aからのオンオフ信号、スタートレバー52に連動するスタートスイッチ52aからのスタート指令信号、左、中、右回胴用ストップボタン53,54,55に連動する左、中、右回胴用ストップスイッチ53a,54a,55aからの停止指令信号、ホッパ86から払い出されるメダルを検出する払出センサ64からの検出信号、左回胴L,中回胴M,右回胴Rを駆動する左、中、右回胴用ステッピングモータ71L,71M,71Rからの位置検出信号などが入出力処理回路80を介して入力される。
制御装置70からは、上部ランプ13や1枚〜3枚ベットランプ32,33,34への点灯信号、クレジット枚数表示部35やゲーム数表示部36や払出枚数表示部37への表示信号、払出装置88に払出動作を行わせるホッパ駆動モータ65への駆動信号、左回胴L、中回胴M、右回胴Rを駆動する左、中、右回胴用ステッピングモータ71L,71M,71Rへの駆動信号、メダル投入口57に投入されたメダルをホッパ86へ導くかメダル払出口17へ導くかを制御するメダル通路切替ソレノイド66への駆動信号、スピーカ14から発生する効果音などを制御する音声用制御装置84へのコマンド信号、液晶ディスプレイ15の表示内容を制御する表示用制御装置94へのコマンド信号などが入出力処理回路80を介して出力される。なお、制御装置70はクレジット枚数をカウントするクレジットカウンタなどの各種カウンタを備えている。
ところで、スロットマシンの回胴駆動モータとして上述したステッピングモータ71(71L、71M、71R)を使用する場合にあっては、図9に示すような駆動特性が要求される。この駆動特性は、スタートボタン(スタート用操作レバーでもよい)が操作されてからステッピングモータ71が回転を始め、一定の定速回転に至るまでの加速期間Taと、定速回転期間Tbと、ストップボタン53〜55の操作に関連して所定のすべり(図柄調整用として使用されるすべり)を含めた停止期間Tcに分けられる。加速期間Taをいくらにしなければならないかという規制はないのに対して、ストップボタン53〜55が操作されていないときは、加速期間Taに定速期間Tbを加えた時間は30秒以上でなければならないという規制がある。停止期間Tcもストップボタン53〜55を操作してから最大約190msec以内に駆動モータに対する励磁相を固定することが要求されている。
加速期間Taにあっては、できるだけ早く定速回転状態に移行させる必要があり、そのためにはステッピングモータ71に対する励磁相への割り込み(励磁相である1相励磁から2相励磁への切り替えおよび2相励磁から1相励磁への切り替えを言う)を早めればよいが、そうすると上述したように脱調や回転の不安定性を助長することにもなりかねない。したがって脱調や回転の不安定性をもたらさないで最短の加速処理を実現する最適な割り込み処理を行う必要がある。
割り込み処理によって励磁信号を励磁コイルに印加するに当たり、励磁相への適切な割り込みタイミングを設定する必要があり、そのためには特にモータ加速時、少なくともロータ60の回転揺れが抑えられるまでの間、励磁信号を印加する初期励磁相に対する励磁状態をホールドする。
基本的には、初期励磁(初速ゼロのときの励磁)の状態をある程度まで維持しないと脱調や回転の不安定性が解消しにくいことを考慮する。これは、初期励磁によって発生する吸引力によって、ロータ60の歯がポール601〜604の歯側に吸引されるときに発生するロータ60の回転揺れ(微少振動)の収束程度に係ってくる。回胴L、M、Rのイナーシャーなどによっても相違するが、実験によれば、30msecで1往復(サイクル)する揺れが5〜6往復位繰り返してからロータ60が停止したので、回転揺れをなくしながら加速処理を行うには、少なくとも初期励磁をしてから150〜180msecの時間が、同一励磁相によって固定(ホールド)する時間として必要になることが判明した。
ここで、上述したCPU72に対する最小のタイマー割り込み時間が1.49msecに設定されているときで、回転揺れが停止するまでに要する時間が180msec程度であるときには、この時間を超えた最小の安定時間が初期励磁相を固定する時間として設定されることになる。この実施の形態では、この最小安定時間つまり初期励磁保持時間として、1.49msec×130割り込み=193.7msecに設定した。これよりも短い時間つまり、回転揺れが停止するまでに要する時間にほぼ等しい時間である1.49msec×121割り込み=180.29msecを初期励磁保持時間として選ぶことも可能である。
130割り込みの期間は連続して励磁されるように、図8に示す励磁信号用の励磁データ(この例では励磁順2に示す励磁データ09H)(Hはヘキサデシマル表示)がモータドライバ712に出力される。
この初期励磁を行う加速期間を第1の加速期間とし、定速回転に至るまでの加速期間を第2の加速期間とすれば、第2の加速期間はほぼこの第1の加速期間に選定される。第2の加速期間でロータ60を急速に加速する。この例では、第2の加速期間は第1の加速期間より短く設定されている。
加速期間として317.37msec程度に設定したときには、83割り込みに相当する123.67msecが第2の加速期間に選定され、この第2の加速期間で所定の回転数となるように励磁相への割り込み処理が実行される。そのため、第2の加速期間では励磁信号の励磁相への割り込み処理が頻繁に行われる。
また、初期励磁の励磁相を1相励磁とするか、2相励磁とするかが問題となる。ロータ60つまり回胴L、M、Rの回転がゼロである初期励磁は、高トルクでこのロータ60を回転させる必要があるから、初期励磁の励磁相の選択は、1相励磁でもよいが、1相励磁よりもさらに高トルクが得られる2相励磁がより好ましいことになる。これは以下に示すような理由による。
まずステッピングモータとして1−2相励磁方式を採用したハイブリッド(HB)型の2相ステッピングモータでは、加速時の初期励磁相としては、1相励磁の他に2相励磁が考えられる。1相励磁は特定の励磁相のみを駆動するもので、この1相励磁によって初速時の回転トルクを得る。これに対して2相励磁は特定の2つの励磁相を同時に駆動するもので、2相励磁によって初速時の回転トルクを得る。
回胴の大きさやイナーシャーなどによっても相違するが、通常のスロットマシンの場合には、1相励磁でも回胴を初速ゼロから加速させることは可能である。しかし、1相励磁の場合にはそれだけ発生する回転トルクも小さいので、十分な初速が得られない場合があるし、スムーズな回転を期待し得ない場合もある。十分な初速が得られないときは脱調し易くなり、また遊技者の観点からすると、加速時間はできるだけ短い方が遊技者の興趣を逸らせない点で好ましいと言える。
また、回胴にブレーキをかけてから実際に回胴が停止するまでには、所定のステップ角分だけ滑って停止するので、このように多少ずれた角度で停止しているとき、このずれ分を含めて回胴を回転させるときはこの角度ずれ分を吸収しつつ加速処理を行う必要があるので、できるだけ初期励磁での電磁的吸引力が大きい方が好ましい。
2相励磁の場合には、1相励磁よりも吸引力が大きいので、発生する回転トルクもその分だけ大きくなり、これは結果的に加速から定速回転に至るまでの加速時間を1相励磁の場合より短縮できることになる。また、回胴を停止させたときのすべりが発生していても、発生する吸引力が大きいのでこの回転角度ずれに伴う回転揺れを素早く吸収できる。したがってこれらのことを総合的に勘案すると、初期励磁は1相励磁より2相励磁の方が好ましいことになる。
初期励磁を2相励磁に設定した場合で、しかも加速期間を便宜的に第1と第2の加速期間に割り当てたとき、第2の加速期間で所定の回転数まで短時間に到達させるための励磁相への割り込みタイミングとしては、図10に示すようなタイミング例が好適である。
図10において、第1の加速期間は初期励磁期間であり、この実施の形態では上述のように2相励磁を行う。2相励磁は例えば図8の励磁順のうち、最も早い励磁順2を選ぶことができる。勿論、駆動モータの回転停止時の励磁相によっては、異なる励磁順(励磁順4、励磁順6または励磁順8)となることがある。
1.49msecごとの割り込みタイミングで割り込んで励磁信号を印加してからは130割り込み分(193.7msec)、この励磁状態を保持する。
第2の加速期間では、1−2相励磁を交互に繰り返すが、励磁相への割り込みタイミング、換言すれば相励磁の保持期間として、図10のように1相励磁の励磁保持期間と2相励磁の励磁保持期間とが細かく制御される。この実施の形態では、第2の加速期間に突入すると、2相励磁に続く1相励磁(図10では励磁順3)が8割り込み分行われ、したがって8割り込み分の相励磁保持が行われ、その次の2相励磁は7割り込み分だけ(励磁順4)行われるように、割り込みが漸次短くなるように設定して励磁時間を短縮すると共に、最後には最小の割り込み間隔で励磁相が順次切り替わる通常の1−2相励磁に遷移できるような割り込みに設定されている。
したがって図10のように、第2の加速期間の最後の励磁相が2相励磁であって、これが1割り込みであるときには、次の定速回転期間の最初の励磁相は1相励磁であって、しかも最小の割り込み間隔である1割り込みとなる。このように第2の加速期間での割り込み処理タイミングを、定速回転に近づくにつれ順次短くすることで、高速な加速処理を短時間で実現することができると共に、定速回転へのスムーズな移行が可能になる。
図10に示す第2の加速期間は、全体の加速期間がほぼ317.37msecに設定されているときの例であるので、全体の加速期間がこれとは異なる値に設定されているときには、その値に応じて第2の加速期間が選定され、それに応じて図10に示す割り込み処理とは異なった割り込み処理が行われることは言うまでもない。
回胴に対する駆動制御処理は、後述する図14に示すようにCPU72に対するタイマー割り込み処理ルーチン内で行われ、この駆動制御処理ルーチンも各種の処理ルーチンのループ内で処理され、全ての処理が終了した段階で処理結果を示す情報が図3に示す入出力処理回路(入出力ポート)80に与えられる。しかし、割り込み処理によるこれらの処理時間は発生する事象によって相違するものであるから、回胴を駆動するための励磁信号の出力タイミングもこの割り込み処理時間による影響を受けることになる。
その結果、最小割り込み時間(1.49msec)ごとに割り込みを行って、1相励磁あるいは2相励磁に必要な励磁信号用のデータ(例えば図8に示すような8ビットデータ(ヘキサデシマル表示))を入出力処理回路80を経由してモータドライバ712に出力しようとしても、その出力間隔を均一にすることができない。つまり出力間隔が、他の割り込み処理時間の長短によって僅かに変動してしまう。これではより安定した回胴回転を実現できない。
これを解決するには、他のタイマー割り込み処理の処理時間を待たずに、入出力処理回路80側に励磁信号用のデータを出力することで、データ出力間隔の均一化を図る。こうすれば、他の割り込み処理時間の多少に拘わらず、常に一定の間隔で励磁信号用データをモータドライバ712側に出力することができる。これによって相励磁タイミングが一定となり、ステッピングモータ71L、71M、71Rの回転が安定するから回胴L、M、Rの安定回転によって、遊技者を遊技に集中させることができるようになる。
続いて、回胴L、M、Rの停止処理(ブレーキ処理)について説明する。ストップボタンが操作されてからは、すべり処理(後述するように1〜4図柄分の回転処理)を含め、図1111に示す規定時間ts(=190msec)以内に回胴L、M、Rを停止させなければならない。そのため、この実施の形態では停止処理のときには、1−2相励磁から4相励磁に切り替える。4相励磁によって全てのポール601〜604に吸引力が作用するので、回転が乱調せずにスムーズに回胴L、M、Rを停止させることができる。
1−2相励磁から4相励磁に切り替えるタイミング(割り込み)は、2相励磁の直後である。これはステッピングモータ71L、71M、71Rは1相励磁よりも2相励磁のときの方が回転位置が特定し易いため、2相励磁の直後に停止処理を行った方が停止位置精度を高めることができるからである。
ところで、上述したようにストップボタン53,54,55の何れかが操作されると、予め定められた図柄でそれぞれの回胴L、M、Rが停止するタイミングに、駆動モータ71L、71M、71Rに対してブレーキがかけられる。ブレーキをかけるタイミングになるとそのときの励磁相は上述したように4相励磁であるので、全ての相が同時に励磁される。
ロータ60や回胴にはイナーシャーがあるので、例えば図12に示すようにA相のタイミングにブレーキをかけたとしても、このA相でロータ60は停止せず、所定のステップ角だけ滑動してから停止するのが普通である。1ステップ角は1つの励磁相に励磁信号を与えたときの回転角であるから、例えばnステップ角だけ滑動して停止したときには、回胴を回転させるために次に励磁する励磁相は、A相からnステップ角だけ進んだ励磁相であって、図12のように4ステップ角数分だけ滑ってロータ60が停止したときには、その次の励磁相である(A−相とB−相)の励磁相が、次の回転時における励磁相となる。この本来の初期励磁相に励磁信号を与えることで、より安定な始動を期待できる。
従来では、ブレーキをかけたタイミングの励磁相しか把握できないので、ブレーキをかけたタイミングの励磁相の次の励磁相を、次回回転時における初期励磁相としている場合が多い。ブレーキをかけたタイミングの励磁相しか把握できないのは、駆動モータ71のロータ回転位置(ロータ回転角)を把握する手段が設けられていないからである。
そのため、従来ではブレーキをかけたときの励磁相を基準にして、次回の回胴回転時における初期励磁相を決めていたので、滑動量によっては脱調(正方向や逆方向での回転停止)や、不安定な初期回転となることがある。例えば図12に示すように4ステップ角ほど励磁相が離れてしまうと、このような現象が発生し易くなることが諸種の実験によって確認できた。回胴の回転初期に発生するこのような現象は、遊技者の興趣を削ぐことにもなり兼ねない。
理想的には、図12および図8にそれぞれ示すように、1相励磁であるA相のタイミングでブレーキがかかり、それから4相分進んだ励磁相(A−相)のところでロータ60が停止したとすると、次の回転では4相分だけ進んだ励磁相の次が初期励磁相となり、この初期励磁相は常に2相励磁である。したがって図8(図12も同じ)の場合における次の初期励磁相は励磁順6で示される励磁相(A−相とB−相)となる。
こうすることで、励磁順が全く同じか、±1ステップ角分だけのずれで励磁することができるので、回転始動時に発生し易い回転停止などの脱調現象や不安定な回転を回避できる。2相励磁の期間の中でこの4相分を吸収するときには、第1の加速期間を長くすることなく滑動量を吸収できる。この初期励磁相の設定処理は、駆動モータ71が止まった時点で行うこともできれば、初期励磁を行うときの励磁信号読み出し時、つまり回転始動時に行ってもよい。
このように駆動モータ停止時に発生する滑動を含めて次の回転の励磁を制御するには、ロータの滑動量より導かれる補正量の検出用として駆動モータにロータ回転位置の検出手段が備えられている場合と、備えられていない場合が考えられるので、それぞれ以下に示すような方策が考えられる。
回転位置の検出手段が備えられていない場合には、滑動量を直接測る手段がない。その場合には、第1に同一の駆動モータに対してブレーキ処理を何度か繰り返し、そのときの滑動量を計測する。滑動量の計測値は分散するので、分散した計測値のほぼ中心値やその平均値(何れもステップ角数に相当する相数)を求める。そして求められた中心値(又は平均値。以下同様)をブレーキをかけてからの滑動量として使用する。滑動量はあまり大きくはばらついたり、分散したりしないことが諸種の実験によって確認されているので、中心値を使用しても実際の滑動量との差は僅少である。そのため、滑動量としてこの中心値を利用し、中心値分よりの1ステップ角分だけ進ませた励磁相を使用することで、ブレーキをかけたときから実際に停止したところまでの滑動量を吸収する。実際には、滑動量=nステップ角数は、n=3〜7位でばらつくので、その中心値としては4ステップ角数あるいは5ステップ角数位になる。
算出された滑動量の中心値は例えば図3に示すRAM76に格納しておくことができ、全ての回胴L、M、Rを回転するときにその情報を初期励磁相に加算したもの、換言すれば中心値よりも1ステップ角分だけ進ませた励磁相が、本来の初期励磁相として使用される。算出された滑動量の中心値は、駆動モータ制御プログラムの中に固定データとして用意しておくこともできる。この場合には、直ちに初期励磁相が設定され、設定された初期励磁相に対する励磁データが出力されることになる。
このように滑動量のほぼ中心値に相当する相数だけ予め進めた励磁相を、次の初期励磁相として設定することで、励磁相が大幅に飛ぶことがなくなり、その結果として回転始動時における脱調や不安定な回転状態を回避できる。滑動量のほぼ中心値を用いることで、駆動モータに回転位置検出手段が装備されていなくても安定した初期回転を実現できる。
ロータの滑動量のほぼ中心値に相当するステップ角数分だけ進ませた励磁相の次の励磁相が、2相励磁にあたらない場合でも、初期励磁相は2相励磁とする。1−2相励磁の場合には、励磁相が狂ったとしても1相分であり、1相分の励磁相のずれは十分に吸収できるからである。しかし、通常の場合、ブレーキをかけたときステッピングモータは1相励磁のところで停止している場合が多いので、実際には滑動量のほぼ中心値に相当するステップ角数よりも1ステップ角分だけ進ませた励磁相が2相励磁となるように、そのほぼ中心値を設定しておくことになるから、上述した例ではそのほぼ中心値は4ステップ角数となる。
滑動量の計測は、スロットマシンに装備される3つの駆動モータ71のそれぞれに対して行って、それぞれのほぼ中心値を利用することもできれば、駆動モータ71の特性のばらつきが僅少であるときには、1つの駆動モータ例えば71Lに対して滑動量の実験を行い、そこで得た滑動量を全ての駆動モータに適用することもできる。
計測値はほぼ正規分布するので、そのピーク値を滑動量より導かれる補正量(補正値)として利用することもできる。あるいはまた、励磁順が偶数ステップで循環するとき、2ステップずつ励磁相を順次変化させたときに回転始動が最も安定する励磁相に基づいて初期励磁相を設定することもできる。1−2相励磁のステッピングモータの場合には、8ステップで励磁順が循環して、元の励磁順に戻るような励磁シーケンスで、励磁順が偶数ステップで循環するので、2ステップずつ励磁相を変えて、その都度その回転始動時の状況を判断する。例えば、
(1)ブレーキをかけたときの励磁相よりも2ステップ(実際には3ステップ角数)だけ進ませた励磁相を初期励磁相として駆動する。
(2)ブレーキをかけたときの励磁相よりもさらに2ステップ(実際には5ステップ数)だけ進ませた励磁相を初期励磁相として駆動する。
(3)ブレーキをかけたときの励磁相よりもさらに2ステップ(実際には7ステップ数)だけ進ませた励磁相を初期励磁相として駆動する。
このように初期励磁相をそれぞれ変えたときの、回転始動時の安定性を観測し、回転始動が最も安定した励磁相を次回以降の初期励磁相として設定する。このような手法によって求めた励磁相に基づいて初期励磁相を設定しても、脱調を起こすことなく安定した初期回転を実現できる。このようにして求めた初期励磁相とブレーキをかけたときの励磁相との差分のロータ回転量が、駆動モータの滑動量より導かれる補正値として利用できるからである。
駆動モータ71に回転位置検出手段が設けられている場合には、この検出手段からの出力を利用して初期励磁相が算出される。この場合には図4に示すように駆動モータ71(71L、71M、71R)に対し回転位置検出センサ44の他に、回転位置検出センサとして機能するこの例ではロータリーエンコーダ71REを付設すればよい。
ロータリーエンコーダ71REとしては、アブソリュートエンコーダ、インクリメンタルエンコーダの何れかが使用される。アブソリュートエンコーダの場合には、スロットマシンの装置電源立ち上げ時(電源オン時)も現在の位置を検出できる。インクリメンタルエンコーダの場合には、装置電源の立ち上げ時には現在位置は判らないが、1回だけ駆動モータを回転させて原点を検出すれば、この原点からのパルス数を数えることで現在位置を検出できる。
ロータリーエンコーダ71REの分解能は、少なくとも駆動モータ71のステップ数(後述するようにこの例では504ステップ)以上必要である。好ましくは、ステップ数と同じか整数倍の分解能である方が、エンコーダ出力を単純に利用してステップ角を算出できるから制御し易くなる。
ロータリーエンコーダ71REを使用することで、シール47に描かれた図柄の位置および図柄内の回転角をそれぞれ把握できるから、図8のようにブレーキをかけたときの励磁相を基準にしたロータ60の滑動量をこのロータリーエンコーダ出力から検出できる。
例えばA相でブレーキをかけたときには、図8の(使用例1)に示すようにそのときのロータリーエンコーダ出力REaをRAM76に一旦保存すると共に、ロータ60が停止したときのロータリーエンコーダ出力REbを利用して、その差分(ΔRE=REb−REa)から滑動量、つまりすべりステップ角数が算出される。
ロータリーエンコーダ出力REがステップ角に対して1:1で対応したパルスとして出力される場合には、ブレーキをかけたときからのパルス数は滑動量のステップ角数に相当する。このパルス数分だけ進んだ励磁相を初期励磁相としてセットすれば、ブレーキをかけたときの励磁相と実際にロータ60が停止した位置に対応した励磁相とがずれているときでも、ロータ60が止まった位置に対応する励磁相を初期励磁相としてセットできるから、上述したと同じように安定した初期回転を実現できる。初期励磁期間およびその終了励磁相の調整に関しては回転位置検出手段を持たない上述の例と同じである。
差分から滑動量を検出する代わりに次のような手段も採り得る。図8の(使用例2)に示すように、ブレーキをかけてロータ60が止まったところでのロータリーエンコーダ出力REbを一旦メモリする。ロータ60の1回転は504パルスである。図8に示すように一巡する励磁順は8ステップであるから、504/8=63ステップでロータ60が1回転する。そのため、例えば1ステップ角が1パルスに相当するロータリーエンコーダ出力REが得られるときには、(REb/8)の余りを算出することで、どの励磁順のときにロータ60が停止したかが判る。停止したこの励磁順の次の励磁順に相当する励磁相が次回の初期励磁相となる。これらの演算処理がCPU72で行なわれて次回転の初期励磁相が求められる。ロータリーエンコーダ71REでロータ60の滑動量を検出した場合には、初期励磁相が確定するので、確定した励磁相が初期励磁相として使用されることは言うまでもない。初期励磁相の設定処理は、駆動モータ71が止まった時点(回転停止時)で行うこともできれば、初期励磁を行うときの次の励磁信号読み出し時(回転始動時)に行ってもよい。
回転始動時に初期励磁相を決定するときには、次のような問題にも対処できる。例えば、スロットマシンが設置された遊技店においては、従業員などが開店前にロータ60を手で回して、3つの図柄とも特定の図柄(レギュラーボーナス用の図柄やビックボーナス用の図柄など)となるように揃えておき、開店と同時に遊技を楽しむ遊技者に対して、ビックチャンスへの期待度を高めるような手法を採る遊技店がある。このような場合においては、ブレーキをかけたときに停止したロータ回転位置(停止時回転位置)とは全く違った回転位置でロータ60が止まっている。
ロータリーエンコーダ71REとしてアブソリュートエンコーダを使用する場合には、駆動モータ71が停止している場合はもちろん、電源立ち上げ時でも、ロータの回転位置を検出できるから、停止時回転位置と始動時回転位置とが相違する場合でも、回転始動時にロータリーエンコーダ71REのエンコーダ出力、つまり始動時回転位置におけるエンコーダ出力を検出すれば、このエンコーダ出力から初期励磁相を簡単に決定でき、意図的にロータ60が回動されたような場合でも、安定した回転始動を実現できる。
ロータリーエンコーダ71REの他に、回転位置検出センサ44を設け、この回転位置検出センサ44からの出力で後述するカウンタ77を動作させれば、このカウンタ出力に基づいて図柄位置などを把握できる。図4はロータリーエンコーダ71REと回転位置検出センサ44の双方が装備されている実施の形態である。
ここで、1本のシール47には21個の図柄(図5参照)が描かれている。ステッピングモータ71として252ステップ×2=504ステップで1回転するモータが使用されたとすると、1図柄を回転させるには、504/21=24ステップ分の回転角が必要になる。図4には回胴に対する回転位置検出センサ44が設けられている。回転位置検出センサ44の検出出力でクリアするカウンタ77を備え、24ステップごとに+1だけインクリメントすれば、カウンタの値(図柄番号という)が図柄と対応し、その値が「21」で回胴1周分となる。また、1ステップは図柄の単位回転角に等しいことから、このステップ数(図柄オフセット)によって図柄の回転位置を把握できる。なお、本例ではカウンタ77は図柄カウンタと図柄オフセットカウンタとで構成されているものとする。
回転位置検出手段はロータリーエンコーダ71RE以外でもよい。例えば複数の回転位置検出センサで構成することもできる。これら複数の回転位置検出センサを例えば回胴L、M、Rの回転方向に沿って、半径方向および円周方向での取り付け位置をそれぞれ変えながら配置することで、数ステップ角単位で、あるいは1ステップ角単位でその回転位置を検出することができる。
ロータの回転位置検出手段を設ける場合には初期励磁相を確定できるので、脱調などを起こしにくくなる。これに伴って、第1の加速期間は上述の場合よりも大幅に短縮できる。例えば10割り込み程度にしても十分な効果が得られる。
このような回転制御処理および停止制御処理は何れも後述するように回胴制御処理ルーチンS230(図14参照)内で行われることになる。
次に、この実施の形態であるスロットマシン10の動作について説明する。制御装置70のCPU72は、電源オフの状態から電源オンの状態になると、図13に示す電源投入処理を開始する。この電源投入処理ではまず、電源ボックス85のリセットスイッチ82が押された状態で電源スイッチ81がオンされたか否かを判定する(ステップS100)。リセットスイッチ82が押された状態で電源スイッチ81がオンされたときには、それまでのRAM76の内容をクリアし(ステップS110)、復電フラグをリセット(=0)する(ステップS120)。この復電フラグは、電源オフ時にセット(=1)されるフラグである。すなわち、電源オフ時には復電フラグがセットされ、そのときの状態が停電発生情報としてRAM76に記憶され、その停電発生情報はバックアップ電源によって保持される。
ステップS120で復電フラグをリセットしたあと、あるいは、ステップS100でリセットスイッチ82が押されずに電源スイッチ81がオンされたときには、電源ボックス85の設定キー挿入孔83に図示しない設定キーが挿入されて設定キースイッチ83aがオンされたか否かを判定する(ステップS130)。設定キースイッチ83aがオンされたときには、この設定スイッチ83aによって6段階の設定状態(「設定1」〜「設定6」)のいずれかを選択できるため、どの設定状態が選択されたかを判定した上で、選択された設定状態に応じた内部処理を実行する(ステップS140)。その後、RAM76に記憶されていた内容をクリアし(ステップS150)、復電フラグをリセットする(ステップS160)。
ステップS160で復電フラグをリセットしたあとか、あるいは、ステップS130で設定キースイッチ83aがオンされなかったときには、復電フラグがセットされているか否かを判定し(ステップS170)、復電フラグがセットされているときにはRAM76に保存されている停電発生情報に基づいて電源がオフになる前の状態に復帰させる復電処理を行い(ステップS180)、その後本ルーチンを終了する。
一方、ステップ170で復電フラグがセットされていなかったときには、そのままこの電源処理ルーチンを終了する。この復電処理により、例えば停電して電源がオフになったとしても復電したときに電源がオフになる前の状態に復帰する。
[メインフロー]
続いて、スロットマシン10のメインフローについて説明する。制御装置70のCPU72は、電源投入処理終了後に図14に示すメインフローを開始する。このメインフローでは、まず、メダルがベットされているか否かを判定する(ステップS200)。メダルがベットされているときには、続いてスタートレバー52が操作されてスタートスイッチ52aがオンとなりスタート指令が発生したか否かを判定し(ステップS210)、スタート指令が発生したときには、図15の抽選処理ルーチン(ステップS220)、図16の回胴制御処理ルーチン(ステップS230)、図17のメダル払出処理ルーチン(ステップS240)、図18の特別状態処理ルーチン(ステップS245)を順に実行したあと、それぞれの処理で生成されたデータを入出力処理回路80に出力する(ステップS247)。ただし、回胴制御処理ルーチンS230おいて処理されたデータは、他の処理ルーチンの結果を待たずに入出力処理回路80に出力される。
入出力処理回路80への出力処理が終了するとステップS200に戻る。一方、ステップS200でメダルがベットされていないときや、ステップS210でスタート指令が発生していないときには、ステップS200に戻る。
[抽選処理ルーチン]
抽選処理ルーチンでは、図15に示すように、制御装置70のCPU72は、まず、ベットされたメダルの枚数やスロットマシン10の現在の設定状態や小役確率の高低などに基づいて、当否決定用乱数テーブルを選択する(ステップS250)。ここで、ベットされたメダルの枚数は、1〜3枚のいずれかであり、枚数が多いほど役の抽選確率が高くなるような乱数テーブルが選択され、例えば3枚ベットされたときの確率は1枚ベットされたときの確率の3倍よりも高くなるような乱数テーブルが選択される。
また、スロットマシン10の設定状態は、図示しない設定キーを用いてセットされた「設定1」〜「設定6」のいずれかであり、「設定1」のときに役の抽選確率が最も低い乱数テーブルが選択され、「設定6」のときに役の抽選確率が最も高い乱数テーブルが選択される。さらに、小役確率については高低2種類存在し、現在の出玉率が所定の期待値を下回っているときには高い方の乱数テーブルが選択され、所定の期待値を上回っているときには低い方の乱数テーブルが選択される。
続いて、このようにして選択された乱数テーブルに、今回スタートスイッチ52aがオンされたときに乱数カウンタよりラッチした乱数を照らして役の抽選を行う(ステップS260)。そして、役に当選したか否かを判定し(ステップS270)、役に当選していないときにはそのままこのルーチンを終了し、役に当選したときにはその役に応じた当選フラグをセットすると共に図柄を揃えるべき有効ラインを決定し(ステップS280)、回胴停止制御用のスベリテーブルを決定してこれをRAM76のスベリテーブル格納エリアに記憶する(ステップS290)。ここでスベリテーブルとは、ストップボタンが押されたタイミングにおける所定の有効ライン上の図柄と、その有効ライン上に停止されるべき図柄(予め選択決定された役などに応じた図柄)とが異なる場合に、その停止させるべき図柄を所定の有効ライン上で止まるように回胴をどれだけ滑らせるかを定めたテーブルである。
[回胴制御処理ルーチン]
回胴制御処理ルーチンでは、図16に示すように、制御装置70のCPU72は、まず、ウエイト処理を行う(ステップS300)。このウエイト処理は、前回のゲームにおいて回胴の回転が開始した時点から所定時間(例えば4.1秒)が経過するまで今回のゲームにおいて回胴の回転を開始せずに待機(ウエイト)する処理である。このため、遊技者がベットしてスタートレバー52を操作したとしても、直ちに左、中、右回胴L,M,Rが回転しないことがある。このウエイト処理に続いて後述する回胴回転処理を行い(ステップS310)、左、中、右回胴L,M,Rのそれぞれに対し図9に示すような駆動特性となるように回転処理を行う。
ロータの回転位置検出手段を設けていない場合には、第1の加速期間は滑動量を考慮に入れた2相励磁を130割り込み分行い、第2の加速期間は1相励磁と2相励磁を所定の割り込み分だけ順次交互に行って加速する。このときRAM76を参照して補正用の回転位置情報(固定値)を読み出し、この回転位置情報を回転制御情報に加算する。回胴L、M、Rが定速回転しているときの励磁信号用データの出力タイミングは、回胴制御処理以外の処理を待たずに、上述したようにタイマー割り込み処理タイミングに同期して行われる。
図4のように回転位置検出手段としてロータリーエンコーダ71REを使用する場合にあっては、補正用回転位置情報としては、ロータリーエンコーダ71REで得られた補正用のエンコード値がRAM76内に保存されているので、このエンコード値を利用して回胴L、M、Rの回転が制御されることになる。この場合には、上述したように図10に示す加速処理とは異なる加速処理となる。
回胴を加速すると共に定速回転させるときは、図14に示す他の処理ルーチン(ステップS220、ステップS230などの処理ルーチン)の処理結果を待つことなく、入出力処理回路80に、これから励磁すべき励磁相に対する励磁データが最小割り込み単位に同期して出力される。図8に示す励磁データはRAM76にストアされたデータが利用される。
続いて、左、中、右回胴用ストップボタン53,54,55のいずれかが押されて停止指令が発生したか否かを判定し(ステップS320)、停止指令が発生していないときには予め定められた最大回転時間(例えば40秒)を経過したか否かを判定し(ステップS330)、最大回転時間を経過していないときには再びステップS320へ戻り、最大回転時間を経過したときには回転中のすべての回胴を強制的に停止させる強制停止処理を、2相励磁直後に4相励磁に切り替えて行う(ステップS340)。停止処理したときは、その都度図柄番号および図柄オフセット用のカウンタ77(図3参照)の値(図柄番号と、図柄オフセット値)がRAM76に保存される。
一方、ステップS320で左、中、右回胴用ストップボタン53,54,55のいずれかが押されて停止指令が発生したときには回胴停止実行処理を行う(ステップS350)。この回胴停止実行処理では、左、中、右回胴用ストップボタン53,54,55のうち今回押されたストップボタンに対応する回胴を停止させる。回胴停止は上述したと同じように2相励磁直後に4相励磁に切り替えて行う。4相励磁への切り替えによってストップボタン53,54,55に対応したステッピングモータ71L、71M、71Rは一種の回生モードとなる。
役の抽選で役に当選して当選フラグがセットされていたときには、RAM76のスベリテーブル格納エリアに格納されたスベリテーブルを参照して、可能な限り当選した役が所定の有効ライン上に並ぶようにする。例えば、下段水平ライン上に図柄「ベル」が並ぶという役に当選したときに、図柄「ベル」が上段水平ラインに停止するタイミングでボタンが押されたときには、図柄2つ分だけ回転させて下段水平ラインに停止するように滑らせる。但し、滑らせることのできる範囲は予め決められている(例えば最大で図柄4つ分)ため、ストップボタンを押したタイミングによっては下段水平ライン上に図柄「ベル」が停止しないこともある。なお、前出の強制停止処理においても当選フラグがセットされているときにはこれと同様の処理を行う。
続いて、今回の停止指令が第1停止指令か否かつまり3つの回胴のすべてが回転しているときにストップボタンが押されたか否かを判定し(ステップS360)、第1停止指令のときには、スベリテーブル変更処理を行う(ステップS370)。このスベリテーブル変更処理では、例えば当選した有効ライン上で役を揃えようとしたときに役の複合が発生するか否かを判定し、役の複合が発生しないときにはこの処理を抜け、役の複合が発生するときには当選した有効ラインを別の有効ラインに変更すると共に変更後の有効ラインにあったスベリテーブルに変更し、この処理を抜ける。
ここで、役の複合とは、例えば中段水平ライン上で図柄「ベル」を揃えようとしたときに左回胴にて図柄「チェリー」が下段水平ライン上に表れる場合のように複数の役が同時に発生する場合をいう。なお、図柄「チェリー」以外の図柄は所定の有効ライン上で揃ったときに役が発生するが、図柄「チェリー」は露出窓31L、31M、31Rから露出している左回胴Lの3つの図柄のうち一つが図柄「チェリー」のときには他の回胴M、Rの図柄にかかわらず役が発生する。また、スベリテーブル変更処理は役の複合を回避するとき以外にも行われることがある。
一方、ステップS360で今回の停止指令が第1停止指令でないときには、第2停止指令か否かつまり3つの回胴L、M、Rのうち1つの回胴が停止し2つの回胴が回転しているときにストップボタンが押されたか否かを判定し(ステップS380)、第2停止指令のときには停止目判定処理を行う(ステップS390)。
停止目判定処理では、2つの回胴が停止したときにその2つがボーナス図柄(例えば「7」など)で揃うか否かを判定し、揃わなかったときにはそのままこの処理を抜け、揃ったときには音声用制御装置84を介してスピーカ14,14から効果音等を発生させ、その後この処理を抜ける。この停止目判定処理ではボーナス図柄が2つ揃う以外の別の条件が成立したか否かを判定してもよいし、効果音以外の演出を行ってもよい。
そして、ステップS340の強制停止処理のあとか、ステップS370のスベリテーブル変更処理のあとか、若しくはステップS390の停止目判定処理のあとか、又はステップS380で今回の停止指令が第2停止指令でなかったときは、左、中、右回胴L,M,Rのすべての回転が停止したか否かを判定し(ステップS400)、左、中、右回胴L,M,Rのいずれかの回転が停止していないときには再びステップS320へと戻り、左、中、右回胴L,M,Rのすべての回転が停止したときには払出判定処理を行い(ステップS410)、このルーチンを終了する。払出判定処理では、役が有効ライン上に並んでいるか否かを判定し、役が有効ライン上に並んでいないときにはRAM76の払出予定数格納エリアにゼロをセットし、役が有効ライン上に並んでいるときにはその役が当選した役と一致しているか否かを判定し、一致していないときには上部ランプ13等によりエラー表示を行うと共に払出予定数格納エリアにゼロをセットし、一致しているときには払出予定数格納エリアに15枚を上限として格納する。
[メダル払出処理ルーチン]
メダル払出処理ルーチンでは、図17に示すように、制御装置70のCPU72は、まず、払出数カウンタのカウント値(払出数ともいう)と払出予定数格納エリアに格納された数値(払出予定数ともいう)とが一致しているか否かを判定し(ステップS430)、払出数と払出予定数とが一致していないときには、クレジットボタン51の操作によりクレジットスイッチ51aがオンされたか否かを判定し(ステップS435)、オンされたときにはクレジットカウンタのカウント値が上限に達しているか否かを判定し(ステップS440)、上限に達していないときにはクレジットカウントのカウント値および払出数をそれぞれ1だけインクリメントする(ステップS450)。これによりクレジット枚数表示部35および払出枚数表示部37の枚数がそれぞれ1だけインクリメントされる。一方、クレジットスイッチ51aがオフのとき、あるいは、クレジットカウンタのカウント値が上限に達しているときには、ホッパ駆動モータ65を駆動して払出装置88によりメダルをホッパ86からメダル払出口17を介してメダル受け皿18へ払い出させると共に(ステップS460)、ホッパ86に取り付けられた払出センサ64のメダル検出信号に応じて払出数を1だけインクリメントする(ステップS470)。これにより払出枚数表示部37の枚数が1だけインクリメントされる。そして、ステップS450またはステップS470で払出数を1だけインクリメントしたあと、再びステップS430に戻る。ステップS430で払出数と払出予定数とが一致したときには、ホッパ駆動モータ65を停止させ(ステップS480)、このルーチンを終了する。なお、払出数や払出枚数表示部37は次回スタートレバー52が操作されたときにリセットされる。
[特別状態処理ルーチン]
この実施の形態では、図14に示すようにサブルーチン処理の中に、特別状態処理ルーチン(ステップS245)が含まれている。以下にこの特別状態処理について説明するが、その説明に先立ち、ボーナスゲームについて説明する。
レギュラーボーナス(以下「RB」という)ゲームは、23回のJACゲームで構成されている。JACゲームは、1枚ベットのみ許されるゲームであり、JAC図柄(ここではリプレイ図柄で代用)が有効ライン上に揃う確率つまりJAC図柄成立の確率が非常に高いゲームである。JACゲームでJAC図柄が成立すると最大枚数(ここでは15枚)のメダルが払い出される。そして、JAC図柄が8回成立すると、JACゲームが12回に達する前であってもRBゲームが終了する。一方、ビッグボーナス(以下「BB」という)ゲームは、30回の小役ゲームと3回のJACインとから構成されている。小役ゲームとは高確率で小役当り(有効ライン上に図柄「ベル」などが揃う)になるゲームであり、JACインとは12回のJACゲームに突入することを意味し、小役ゲーム中にJAC図柄が有効ライン上に揃うとJACインが成立する。JACゲームはRBゲームの場合と同様である。また、3回目のJACインによるJACゲームが終了すると小役ゲームが30回に達する前であってもBBゲームは終了し、30回の小役ゲームが終了するとJACインが3回に達する前であってもBBゲームは終了する。
さて、特別状態処理では、図18に示すように、制御装置70のCPU72は、まず、遊技状態がボーナス状態か否かを判定し(ステップS500)、遊技状態がボーナス状態でないときには、ボーナス図柄・リプレイ図柄判定処理を行う(ステップS524)。このボーナス図柄・リプレイ図柄判定処理では、図19に示すように、まず、役の抽選でRBに当選してRB当選フラグがセットされたか否かを判定し(ステップS700)、セットされているときには今回有効ライン状にRB図柄(例えば図柄「BAR」)が揃ったか否かを判定し(ステップS710)、RB図柄が揃っていなかったときには不規則フラグをセットし(ステップS730)、この処理を終了する。この不規則フラグは、次回回胴の回転を開始する際に不規則な動作を行わせることを指示するためのフラグである。一方、今回有効ライン上にRB図柄が揃っていたときには、RB当選フラグ及び不規則フラグをリセットしRB設定フラグをセットしてボーナス状態の1種であるRB状態とし、(表1)のRBゲーム初期設定処理を実行し(ステップS720)、このルーチンを終了する。
ステップS700でRB当選フラグがセットされていないときには、役の抽選でBBに当選してBB当選フラグがセットされたか否かを判定し(ステップS740)、セットされているときには今回有効ライン上にBB図柄(例えば図柄「7」)が揃ったか否かを判定し(ステップS750)、BB図柄が揃っていないかったときには前記不規則フラグをセットし(ステップS730)、この処理を終了する。一方、今回有効ライン上にBB図柄が揃ったときには、BB当選フラグ及び不規則フラグをリセットしBB設定フラグをセットしてボーナス状態の一種であるBB状態とし、(表1)のBBゲーム初期設定処理を実行し(ステップS760)、このルーチンを終了する。
ステップS740でBB当選フラグがセットされていなかったときには、リプレイ図柄判定処理を実行する(ステップS770)。即ち、役の抽選でリプレイに当選してリプレイ当選フラグがセットされ且つ有効ライン上にリプレイ図柄が揃ったか否かを判定し、否定判定されたときにはこのルーチンを終了し、肯定判定されたときにはリプレイ当選フラグをセットしてリプレイ状態としてこのルーチンを終了する。リプレイ状態では、メインフローのステップS200で前回ベットした枚数が強制的にベットされるが、遊技者のメダルは消費されない。
なお、(表1)中、残小役ゲームカウンタは小役ゲームの残りゲーム数(残小役ゲーム数ともいう)を表し、残JACインカウンタはJACイン可能な残り回数(残JACイン回数ともいう)を表し、残JAC成立カウンタはJAC図柄が成立可能な残り回数(残JAC成立数ともいう)を表し、残JACゲームカウンタはJACゲームの残りゲーム数(残JACゲーム数ともいう)を表す。残小役ゲーム数や、残JACイン回数や、残JAC成立数、残JACゲーム数は、適宜、ゲーム数表示部36に表示される。ちなみに、役の抽選で小役またはリプレイに当選して小役当選フラグまたはリプレイ当選フラグがセットされたときには、そのゲームで小役図柄またはリプレイ図柄を有効ライン上に揃えられないとこれらの当選フラグはリセットされるが、役の抽選でRBまたはBBに当選してRB当選フラグまたはBB当選フラグがセットされたときには、そのゲームでRB図柄またはBB図柄を有効ライン上に揃えられなかったとしてもこれらの当選フラグは次回に持ち越される。
さて、図18に戻り、ステップS500で遊技状態がボーナス状態のときにはそのボーナス状態がRB状態か否かを判定し(ステップS502)、RB状態でないときつまりBBゲームの小役ゲーム中のときにはJAC図柄が有効ライン上に揃ったか否かを判定し(ステップS504)、JAC図柄が有効ライン上に揃ったときにはRB状態になる(BB状態と併存)と共に(表1)のBB中RBゲーム初期設定処理を行い(ステップS506)、このルーチンを終了する。一方、ステップS504でJAC図柄が有効ライン上に揃わなかったときには、BB状態で小役ゲームが1ゲーム消化されたことになるため、残小役ゲーム数を1ディクリメントし(ステップS508)、その残小役ゲーム数がゼロになったか否かを判定し(ステップS510)、ゼロでないときにはこのルーチンを終了し、ゼロのときには各種設定フラグやBB設定フラグや各種カウンタなどを適宜リセットしたりエンディング処理を行ったりする特別遊技状態終了処理を行い(ステップS526)、このルーチンを終了する。
ステップS502で遊技状態がRB状態のときには、JAC図柄が有効ライン上に揃ったか否かを判定し(ステップS512)、JAC図柄が有効ライン上に揃ったときには残JAC成立数を1ディクリメントする(ステップS514)。その後、あるいは、ステップS512でJAC図柄が有効ライン上に揃わなかったときには、それぞれJACゲームを1つ消化したことになるため残JACゲーム数を1ディクリメントする(ステップS516)。続いて、残JAC成立数か残JACゲーム数のいずれかがゼロになったか否かを判定し(ステップS518)、いずれもゼロになっていないとき、つまりJAC図柄がまだ8回成立しておらず、JACゲームも12回消化されていないときには、そのままこのルーチンを終了する。
一方、いずれかがゼロになっていたとき、つまりJAC図柄が8回成立したかJACゲームが12回消化されたときには、JACインが1回消化されたことになるため残JACイン回数を1ディクリメントし(ステップS520)、続いてその残JACイン回数がゼロか否かを判定し(ステップS522)、ゼロのときには前出の特別遊技状態終了処理を行い(ステップS526)、このルーチンを終了する。ちなみに、役の抽選でRBに当選したあとRB図柄が有効ライン上で揃ってRB当選フラグがセットされた場合には、当初の残JACイン回数が1(表1参照)であるからステップS520でゼロになり、ステップS522で必ず肯定判定され、特別遊技状態終了処理にてRB設定フラグがリセットされる。
一方、ステップS522で残JACイン回数がゼロでないとき、つまりBB状態でJACインが3回消化されていないときには、RB設定フラグをリセットするRB状態終了処理を行ったあと(ステップS523)、今回JACインしたときに小役ゲームを1ゲーム消化しているため残小役ゲーム数を1ディクリメントし(ステップS508)、続いてその残小役ゲーム数がゼロになったか否かを判定し(ステップS510)、残小役ゲーム数がゼロのときには前出の特別遊技状態終了処理を行い(ステップS526)、このルーチンを終了する。一方、残小役ゲーム数がゼロでないときにはBB状態での小役ゲームが30回に達しておらず且つJACインも3回に達していないため、このルーチンを終了する。このとき、RB状態は解消されるがBB状態は継続される。
このようにこの発明では、複数の回胴を回転させた後に、この回胴を停止させることで遊技を行う遊技機において、回胴停止時に生ずる回胴の滑動量を含めて、次の回胴回転時における回胴に対する駆動モータの励磁相を制御するようにしたものである。
これによれば、回胴の初期回転時における駆動モータの励磁相としては、回胴つまり駆動モータの滑動量より導かれた補正量を考慮することで、本来の初期励磁相とのずれがほぼ解消されるようになり、初期回転の安定性を確保できる。初期回転の安定を確保することで、ゲームへの集中力が増し、遊技者の興趣を増進させることができるなどの特徴を有する。
駆動モータに回転位置検出手段が設けられていないときには、滑動量に相当するステップ角を計測し得ないので、滑動量のほぼ中心値を利用し、この滑動量のほぼ中心値に相当するステップ角数分だけ進んだ励磁相の次の励磁相が、次回の初期励磁相として選ばれる。
ブレーキをかけたときの滑動量はばらつくのが普通であるが、そのばらつきはある範囲内に収まることが確認できたので、分散した計測値のほぼ中心値(ステップ角数に相当する相数)を用いることで、実際の滑動量との開き(差分)が少なくなり、脱調や回転の不安定性をもたらすようなことはない。滑動量の計測値は正規分布するからそのピーク値を滑動量のほぼ中心値として設定したり、例えば2ステップずつ励磁相をずらして回転させたときの回転状態から適切な初期励磁相を設定することもできる。滑動量の中心値の代わりに、分散した計測値の平均値(ステップ角数に相当する相数)を利用することもできる。
回転位置検出手段が設けられた駆動モータを使用する場合には、この回転位置検出手段からの回転位置検出信号を、駆動モータ停止時における滑動量より導かれた補正量(補正信号)として使用するものである。
これによれば、この検出手段からの検出信号によって滑動量に相当するステップ角数あるいは回転停止時のステップ角が判る。滑動量に相当するステップ角数などを正確に検出できるので、本来の初期励磁相を用いて駆動モータを初期励磁でき、より安定した初期駆動を実現できる。
回転位置検出手段はロータリーエンコーダが好適である。ロータリーエンコーダを利用すると、回胴の1周分の回転位置を全て検出できる。ロータリーエンコーダによってブレーキをかけたタイミングからの滑動量に相当するステップ角数の情報(エンコーダ出力)が即座に得られるので、このステップ角数情報や、回転停止時のステップ角位置を利用して次回の初期励磁相を正確に確定できる。ロータリーエンコーダでも、特にアブソリュートエンコーダを使用する場合には、駆動モータの停止後に、意図的にロータが回されたようなときでも、手回し分を含めたそのときの滑動量、換言すれば駆動モータの始動時回転位置を検出できるので、安定始動を実現できる初期励磁相を確実に設定できる。
ロータリーエンコーダ以外の回転位置検出手段としては、複数の回転位置検出センサを回胴の回転方向に沿って配置することでも実現できる。これによれば、複数の回転位置検出センサを回胴の回転方向に沿って適宜配置し、これら複数の回転位置検出センサの出力を利用することで、ブレーキをかけてからのロータの滑動量に相当するステップ角数を検出できるので、ロータリーエンコーダと同じように初期励磁相を求めることができる。検出センサの場合にはロータリーエンコーダよりも安価に回転位置検出手段を実現できる。
駆動モータは、1−2相励磁方式を採用した2相ステッピングモータが使用される。駆動モータはステッピングモータであるので、高トルク、高停止精度が得られる。この他に、1−2相励磁方式であるので、1相励磁と2相励磁の2タイプの組み合わせによって8種類の励磁シーケンス(励磁順)が定まり、滑動量に相当するステップ角だけ進ませる励磁相の特定が容易になる。ステッピングモータとしては、この他に3−4相励磁方式を採用した4相ステッピングモータあるいは4−5相励磁方式を採用した5相のステッピングモータなどを利用することもできる。
1−2相ステッピングモータを使用するときの初期励磁相は2相励磁が採用される。2相励磁によって、高トルクの回転トルクを得ることができると共に、高停止精度を確保できるからである。
ロータの滑動量のほぼ中心値や平均値に相当するステップ角数分だけ進ませた励磁相が、2相励磁にあたらない場合でも、初期励磁相は2相励磁に設定される。1−2相励磁の場合には、励磁相が狂ったとしても1相分であり、1相分の励磁相のずれは十分に吸収できるからである。ブレーキをかけたときステッピングモータは通常1相励磁のところで停止している場合が多いので、実際には滑動量のほぼ中心値に相当するステップ角数分だけ進ませた励磁相が2相励磁となるように、そのほぼ中心値を設定する。回転位置検出手段でロータの回転位置を検出した場合でも、初期励磁が2相励磁となるように初期励磁相が設定される。
回胴駆動モータのモータ加速時には、少なくとも駆動モータのロータの回転揺れが抑えられるまでの間、励磁信号を印加する初期励磁相に対する励磁状態をホールドする。
これによれば、駆動モータの回転子(ロータ)の加速初期における回転揺れが収まるまで初期励磁状態をホールド(固定)し、回転揺れが収まってから次の回転トルクを得る励磁信号を印加するように、励磁信号を印加する割り込みタイミングを制御したので、励磁信号の抜けによる脱調がなくなると共に、回転揺れによる回転の不安定性を回避できる。これによって、遊技者の興趣を逸らすことなく遊技に没頭できる遊技機を提供できる。
初期励磁相となる加速期間を第1の加速期間とするとき、この第1の加速期間は上記ロータの回転揺れが収束する最短時間に選定されると共に、このとき与えられる初期励磁相は滑動量に相当する励磁相分だけ進ませた励磁相である。
第1の加速期間である初期励磁期間は、ロータの回転揺れが収束する最短時間に選定されているので、次の加速への移行時間を最少とすることができ、駆動モータの安定加速による定速回転への到達時間を最短とすることができる。これによって、スタートボタンを押してからストップボタンを押すまでの待機時間を可及的に短くできる。これで遊技者のスピーディーなボタン操作を担保できる。
また、初期励磁としては、滑動量に相当する励磁相分だけ進ませた励磁相であるので、滑動量を吸収しながら加速させることができる。そして初期励磁相である第1の加速期間は130割り込み分あるので、店員による強制設定のように、ロータの停止位置が強制的に変更されたような場合でもロータの振動を吸収でき、したがってこのような特殊の場合でも回転の安定性が阻害されるおそれはない。
第1の加速期間から定速回転に至るまでの加速期間を第2の加速期間としたとき、この第2の加速期間はほぼ第1の加速期間に選定される。第2の加速期間を第1の加速期間に近い時間に設定することで、安定加速による定速回転に至るまでの時間を短縮できる。
第2の加速期間では、1相励磁と2相励磁の励磁割り込み周期が順次短くなるように制御される。定速回転に至るにしたがって1相励磁と2相励磁の励磁割り込み周期が短くなるように制御したので、第2の加速期間が短くても十分な加速を得ることができると共に、励磁割り込み周期が漸次短くなるようにしたので、安定した高速加速状態で定速回転にスムーズに遷移させることができる。
第2の加速期間の最後は最小割り込み間隔で1相励磁と2相励磁が順次切り替わる1−2相励磁にして定速回転に遷移させる。こうすることで、よりスムーズに定速回転に遷移できる。
回胴駆動処理がタイマー割り込み処理の一部として設定されているときには、回胴駆動処理以外の処理の終了を待たずに、駆動モータに対する励磁信号を駆動モータ側に出力させる。
これによれば、定期的な割り込み処理内では、回胴駆動処理以外に多数の処理があったとしても、これらの回胴駆動処理以外の処理に要する処理時間を待たずに、最小の割り込み周期に同期させて励磁信号を入出力ポートに出力することができる。したがって、駆動モータは常にこの割り込み周期に同期して励磁されることになるから、非常に安定した回転駆動を実現できる。
上述した遊技機はパチンコ機である。パチンコ機はその基本構成として操作ハンドルを備えると共に、この操作ハンドルの操作に応じて遊技球を所定の遊技領域に発射させ、遊技球が遊技領域内の所定の位置に配置された作動口に入賞することを必要条件として表示装置における図柄の変動表示が開始するようになされたものであり、また特別遊技状態発生中には、遊技領域内の所定の位置に配置された入賞口が所定の態様で開放されることによって遊技球を入賞可能として、その入賞個数に応じた有価価値が付与されるようになされた遊技機である。
有価価値は景品球として還元することもできれば、磁気カードなどのカード状記録媒体を利用して有価価値に相当する有価情報を書き込むことでもよい。パチンコ機には、少なくとも多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技球を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態との2種類の遊技態様が存在する。
上述した遊技機はスロットマシンである。スロットマシンはその基本構成として、遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始されると共に、ストップボタンの操作に起因して、或いは所定時間経過することにより図柄の変動が停止されるようになされ、停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段を備えた遊技機である。
この遊技機には、少なくとも多数個の遊技媒体を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技媒体を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の2種類の遊技態様が存在する。この種遊技機において使用される遊技媒体はコイン、メダル等がその代表例として挙げられる。
上述した遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させた遊技機である。このような遊技機(複合機)はその基本構成として、遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の識別情報からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、さらに操作レバーなどの始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始されると共に、ストップボタンなどの停止用操作手段の操作に起因して、或いは所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段を備え、遊技媒体として遊技球を使用するとともに、識別情報の変動開始に際しては所定数の遊技球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの遊技球が払い出されるよう構成された遊技機である。
この遊技機には、少なくとも多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技球を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の2種類の遊技態様が存在する。
この発明は上述した実施の形態の遊技機に何等限定されるものではなく、この発明の技術的範囲に属する限り、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
例えば回胴の個数は2個以上であればよく、回胴を含む表示装置も縦型、横型を問わない。回胴の回転方向も同一方向に揃える必要はなく、互いに逆回転するような回胴を有する遊技機にもこの発明を適用できる。いわゆるAタイプのスロットマシンに限らず、Bタイプ、Cタイプ、AタイプとCタイプの複合タイプ、BタイプとCタイプの複合タイプなど、どのようなスロットマシンにこの発明を適用してもよく、さらにはスロットマシンとパチンコ機とを複合した複合機にこの発明を適用してもよく、何れの場合であっても上述した実施の形態と同様の作用効果を奏することは明らかである。
上述した滑動量はあくまでも説明の便宜上使用した数値であるので、この滑動量に限定されることはない。