JP2017061863A - 高圧燃料供給ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】
高圧燃料供給ポンプにおいて、吸入弁体の高応答化を実現しつつ、且つ、可動子が衝突する際の衝突力の低減を同時に達成することを目的とする。
【解決手段】
燃料を加圧するための加圧室と加圧室の吸入側に設けられ燃料流路の開閉を行う電磁吸入弁機構とを備え、電磁吸入弁機構は、磁気吸引力によって移動する可動子と、可動子の一部を収容して燃料溜まりを形成し可動部の移動により体積が増減する可動子収容室と、可動子とは分離された構造の吸入弁体とを有する高圧燃料供給ポンプにおいて、可動子は可動子収容室の内部と外部とを連通する燃料通路302a,302bを備え、燃料通路302a,302bは、可動子が閉弁方向に移動する場合に出口側となる燃料通路部302bが、可動子の移動方向に垂直な仮想平面Sに対して傾斜するように設けられている。
【選択図】図5
高圧燃料供給ポンプにおいて、吸入弁体の高応答化を実現しつつ、且つ、可動子が衝突する際の衝突力の低減を同時に達成することを目的とする。
【解決手段】
燃料を加圧するための加圧室と加圧室の吸入側に設けられ燃料流路の開閉を行う電磁吸入弁機構とを備え、電磁吸入弁機構は、磁気吸引力によって移動する可動子と、可動子の一部を収容して燃料溜まりを形成し可動部の移動により体積が増減する可動子収容室と、可動子とは分離された構造の吸入弁体とを有する高圧燃料供給ポンプにおいて、可動子は可動子収容室の内部と外部とを連通する燃料通路302a,302bを備え、燃料通路302a,302bは、可動子が閉弁方向に移動する場合に出口側となる燃料通路部302bが、可動子の移動方向に垂直な仮想平面Sに対して傾斜するように設けられている。
【選択図】図5
Description
本発明は、高圧燃料供給ポンプにおいて、燃料の吐出量を調節する電磁吸入弁機構を備える高圧燃料供給ポンプに関する。
加圧燃料を内燃機関へと供給する高圧燃料供給ポンプは、噴射器によって内燃機関の燃焼室内へ燃料が直接噴射される直接噴射運転に基づいた燃料供給系に使用される。内燃機関の燃焼室内へ直接噴射される加圧燃料は、高圧燃料供給ポンプによって加圧・供給される。このため、高圧燃料供給ポンプは、消費される燃料の量に応じて、吐出する燃料の量を調節する必要がある。
例えば特開2013−32750号公報(特許文献1)では、プランジャロッドを介して動作する電磁式駆動吸入弁を備えた高圧燃料供給ポンプにおいて、プランジャロッドを閉弁方向に吸引動作するための第一電流供給領域と、プランジャロッドが開弁方向に移動する速度を緩和するための第二電流供給領域と、その間にポンプ上死点をまたぐ形で制限電流領域を設ける。こうすることにより、吸入行程中におけるプランジャの移動距離と、衝突速度とを低減し、制御精度よく騒音を低減することができる(要約参照)。
また、特開2012−36886号公報(特許文献2)では、電磁吸入弁のソレノイドへの供給電流として、高い値(制御電流値IC1)の区間と低い値(制御電流値IC2)の区間とを設定することで、運転ノイズ(電磁吸入弁の吸入弁部材と弁座との衝突音)を低減している(要約参照)。
特に乗用車において、エンジンがアイドル運転しているときは高圧燃料供給ポンプの作動音が目立つことから、さらなる騒音の低減方法を見出す努力が継続されている。特許文献1や特許文献2はいずれも高圧燃料供給ポンプの動作音の低減に関するものであり、この動作音の低減を制御(ソレノイドへの通電方法)によって成し遂げようとするものである。また、吸入弁部材(バルブ)の衝突部には、耐久性の観点から工業用メッキなどを採用する場合が多く、高コストとなっているのに加えて、品質の観点からも、作動時の衝突力を低減することが望まれている。
このように衝突力の低減への試みが続けられている一方で、高圧燃料供給ポンプの吐出流量制御性の観点から、電磁式駆動吸入弁(電磁吸入弁)には高応答も求められている。しかしながら、作動音及び衝突力の低減のためには衝突速度を低減することが求められ、高応答化のためには衝突速度を増大することが求められ、作動音及び衝突力の低減の要求と高応答化の要求とは、相反する要求となりがちである。
そこで、本発明は、高圧燃料供給ポンプにおいて、可動子(プランジャロッド)が固定子と衝突する際の衝突力を低減しつつ、可動子の高応答化を同時に達成することを目的とする。
上記目的を達成するために,本発明の高圧燃料供給ポンプは、
燃料を加圧するための加圧室と前記加圧室の吸入側に設けられ燃料流路の開閉を行う電磁吸入弁機構とを備え、前記電磁吸入弁機構は、磁気吸引力によって移動する可動子と、前記可動子の一部を収容して燃料溜まりを形成し前記可動部の移動により体積が増減する可動子収容室と、前記可動子とは分離された構造の吸入弁体とを有する高圧燃料供給ポンプにおいて、
前記可動子は、前記可動子収容室の内部と外部とを連通する燃料通路を備え、
前記燃料通路は、前記可動子が閉弁方向に移動する場合に出口側となる燃料通路部が、前記可動子の移動方向に垂直な仮想平面に対して傾斜するように設けられている。
燃料を加圧するための加圧室と前記加圧室の吸入側に設けられ燃料流路の開閉を行う電磁吸入弁機構とを備え、前記電磁吸入弁機構は、磁気吸引力によって移動する可動子と、前記可動子の一部を収容して燃料溜まりを形成し前記可動部の移動により体積が増減する可動子収容室と、前記可動子とは分離された構造の吸入弁体とを有する高圧燃料供給ポンプにおいて、
前記可動子は、前記可動子収容室の内部と外部とを連通する燃料通路を備え、
前記燃料通路は、前記可動子が閉弁方向に移動する場合に出口側となる燃料通路部が、前記可動子の移動方向に垂直な仮想平面に対して傾斜するように設けられている。
本発明によれば、可動子が動作を開始する際には流体力のアシストにより高速移動を可能とする一方で、可動子が固定子と衝突する際には流体抵抗により衝突力を低減させる。これにより、可動子と固定子との衝突力を低減しつつ、可動子の高応答化を同時に達成することができる。
本発明のその他の構成、作用、効果は以下の実施例において詳細に説明する。
以下、図面を用いて、本発明の実施例について説明する。
以下、図1〜図3を用いて、本発明の第一実施例を説明する。
まず図1の全体概略図を用いてシステムの構成と動作を説明する。図1は、高圧燃料供給ポンプの全体の構成を模式的に示したシステム概略図である。
破線で囲まれた部分が高圧燃料供給ポンプのポンプ本体を示し、この破線の中に示されている機構、部品はポンプ本体1に一体に組み込まれていることを示す。燃料タンク20の燃料はフィードポンプ21によって汲み上げられ、吸入配管28を通してポンプ本体1の吸入ジョイント10aに送られる。吸入ジョイント10aを通過した燃料は、圧力脈動低減機構9、吸入通路10dを介して、容量可変機構を構成する電磁吸入弁機構30の吸入ポート30aに至る。
電磁吸入弁機構30は電磁コイル30bを備え、この電磁コイル30bが通電されていない状態では、可動子(プランジャロッド)30cが図1の右方に移動した状態であり、ばね33は圧縮されていない状態である。この状態では、可動子30cの先端に取り付けられた吸入弁体31がポンプ本体1の加圧室11につながる吸入口32を開いている。すなわち、ばね33の付勢力により、吸入弁体31は可動子30cを介して開弁方向に付勢され、吸入口32は開いた状態となっている。
具体的には以下のように動作する。
後述するカム5の回転により、ピストンプランジャ(以下、単にプランジャと呼ぶ)2が図1の下方に変位する吸入行程にある時は、加圧室11の容積は増加し、加圧室11内の燃料圧力が低下する。この行程で加圧室11内の燃料圧力が吸入通路10d(吸入ポート30a)の圧力よりも低くなり、吸入ポート30aから吸入口32を通り、燃料が加圧室11内に流れ込む。
プランジャ2が吸入行程を終了し、圧縮行程(図1の上方へ移動する状態)に移る時、依然として吸入弁体31は開弁したままである。加圧室11の容積は、プランジャ2の圧縮運動に伴い減少するが、この状態では、一度加圧室11に吸入された燃料が、再び開弁状態の吸入弁体31を通して吸入通路10d(吸入ポート30a)へと戻されるので、加圧室11の圧力が上昇することは無い。この行程を戻し行程と称す。この状態にて、エンジンコントロールユニット27(以下ECUと称す)からの制御信号が電磁吸入弁機構30に印加されると、電磁吸入弁機構30の電磁コイル30bには電流が流れ、磁気吸引力により可動子30cが図1の左に移動し、ばね33が圧縮される。その結果、吸入弁体31も図1の左に移動し、吸入口32が閉じられる。
吸入口32が閉じると、このときから加圧室11の燃料圧力はプランジャ2の上昇運動と共に上昇する。そして、加圧室11の燃料圧力が燃料吐出口12の圧力以上になると、吐出弁機構8を介して加圧室11に残っている燃料の高圧吐出が行われ、吐出された燃料はコモンレール23へと供給される。この行程を吐出行程と称す。すなわち、プランジャ2の圧縮行程(下始点から上始点までの間の上昇行程)は、戻し行程と吐出行程とからなる。
この状態で、ECU27からの制御信号を解除して、電磁コイル30bへの通電を断つと、可動子30cに働いている磁気吸引力は一定の時間後(磁気的、機械的遅れ時間後)に消去される。可動子30cにはばね33による付勢力が働いているので、図1の右方向に移動しようとする。しかし、プランジャ2の圧縮行程中は加圧室11内の圧力が高く、その圧力によって吸入弁体31は閉弁状態が維持される。そのため可動子30cはECU27からの制御信号が解除された後でも、プランジャ2の圧縮行程中は図1の左に移動した状態が維持される。
プランジャ2の圧縮行程が終了し、再び吸入行程が開始されると、加圧室11内の圧力が下がり、弁体31は図1の右に移動し、吸入口32が開かれる。これに伴い可動子30cも図1の右に移動する。
電磁吸入弁機構30の電磁コイル30bへの通電を開始するタイミングを制御することで、吐出される高圧燃料の量を制御することができる。電磁コイルへ30bへの通電を開始するタイミングを早くすれば、圧縮行程中の戻し行程の割合が小さくなり、吐出行程の割合が大きくなる。すなわち、吸入通路10d(吸入ポート30a)に戻される燃料が少なくなり、高圧吐出される燃料は多くなる。一方、入力電圧を開始するタイミングを遅くすれば、圧縮工程中の、戻し工程の割合が大きくなり、吐出工程の割合が小さくなる。すなわち、吸入通路10dに戻される燃料が多くなり、高圧吐出される燃料は少なくなる。電磁コイルへ30bへの通電を解除するタイミングは、ECUからの指令によって制御される。以上のように、電磁コイル30bへの通電を解除するタイミングを制御することで、高圧吐出される燃料の量を内燃機関が必要とする量に制御することが出来る。
加圧室11の出口には吐出弁機構8が設けられている。吐出弁機構8は吐出弁シート8a、吐出弁8b、吐出弁ばね8cを備え、加圧室11と燃料吐出口12に燃料差圧が無い状態では、吐出弁8bは吐出弁ばね8cによる付勢力で吐出弁シート8aに圧着され閉弁状態となっている。加圧室11の燃料圧力が、燃料吐出口12の燃料圧力よりも大きくなった時に始めて、吐出弁8bは吐出弁ばね8cに逆らって開弁し、加圧室11内の燃料は燃料吐出口12を経てコモンレール23へと高圧吐出される。
かくして、燃料吸入口10aに導かれた燃料はポンプ本体1の加圧室11にてプランジャ2の往復動によって必要な量が高圧に加圧され、燃料吐出口12からコモンレール23に圧送される。
コモンレール23には、インジェクタ24、圧力センサ26が装着されている。インジェクタ24は、内燃機関の気筒数に合わせて装着されており、エンジンコントロールユニット(ECU)27の制御信号にてしたがって開閉弁して、燃料をシリンダ内に噴射する。
ポンプ本体1にはさらに、吐出弁8bの下流側と加圧室11とを連通するリリーフ通路100Aが吐出流路とは別に吐出弁をバイパスして設けられている。リリーフ通路100Aには燃料の流れを吐出流路から加圧室11への一方向のみに制限するリリーフ弁102が設けられている。リリーフ弁102は、押付力を発生するリリーフばね104によりリリーフ弁シート101に押付けられており、加圧室内とリリーフ通路内との間の圧力差が規定の圧力以上になるとリリーフ弁102がリリーフ弁シート101から離れ、開弁するように設定されている。
インジェクタ24の故障等によりコモンレール23等に異常高圧が発生した場合、リリーフ通路100Aと加圧室11の差圧がリリーフ弁102の開弁圧力以上になると、リリーフ弁102が開弁する。リリーフ弁102の開弁により、異常高圧となった燃料はリリーフ通路100Aから加圧室11へと戻され、コモンレール23等の高圧部配管が保護される。
以下に高圧燃料供給ポンプの構成及び動作を、図2を用いてさらに詳しく説明する。図2は高圧燃料供給ポンプの正面から見た断面図である。
ポンプ本体1には中心に加圧室11が形成されており、さらに加圧室11に燃料を供給するための電磁吸入弁機構30と、加圧室11から吐出通路12に燃料を吐出するための吐出弁機構8とが設けられている。
プランジャ2の進退運動をガイドするシリンダ6が加圧室11に臨むようにして取り付けられている。シリンダ6は外周がシリンダホルダ7で保持され、ポンプ本体1に固定される。シリンダ6は加圧室内で進退運動するプランジャ2をその進退運動方向に沿って摺動可能に保持する。
プランジャ2の下端には、エンジンのカムシャフトに取り付けられたカム5の回転運動を上下運動に変換し、プランジャ2に伝達するタペット3が設けられている。これによりカム5の回転運動に伴い、プランジャ2を上下に進退(往復)運動させることができる。ダンパカバー14には、ポンプ内で発生した圧力脈動が燃料配管28へ波及するのを低減する圧力脈動低減機構9が設置されている。
圧力脈動低減機構9を通った燃料は吸入通路10b、吸入ポート30aの順に流れ、吸入口32を通って加圧室11内へ流れる。先述の通り、電磁吸入弁機構30は電磁コイル30bを備え、この電磁コイル30bが通電されていない状態では可動子30cが図1の右方に移動した状態で、ばね33が圧縮されていない状態である。この状態では、可動子30cの先端に取り付けられた吸入弁体31が加圧室11につながる吸入口32を開いている。このばね33の付勢力により、吸入弁体31は開弁方向に付勢され吸入口32は開いた状態となっている。
プランジャ2の圧縮期間中に制御信号が電磁吸入弁機構30に印加されると電磁吸入弁機構30の電磁コイル30bには電流が流れ、磁気吸引力により可動子30cが図1の左に移動し、ばね33が圧縮される。この時可動子30cは固定子34に衝突するまで移動し、固定子34に衝突した際に衝撃音が発生する。
一般論として、衝突する物体の速度が速ければ速いほど衝突音は大きくなる。これは可動子と固定子との衝突にも当てはまる。従って、可動子30cが固定子34と衝突して発せされる音は、可動子30cの移動速度を遅くすることで低減できる。また、当然のことではあるが、衝突衝撃力も衝突する物体の速度が速ければ速いほど大きくなる。従って、可動子30cが固定子34と衝突するときの衝撃力は、可動子30cの移動速度を遅くすることで低減できる。
可動子30cの移動速度を遅くするためには、電磁コイル30bによる磁気吸引力を小さくすることが考えられる。しかし磁気吸引力を小さくすると可動子30cの動き(移動)に時間がかかってしまい、吸入弁体31が所定の応答時間で吸入口32を開閉できなくなってしまう。従って、吸入弁体31が所定の応答時間を維持しつつ、衝突力を低減させるためには、可動子30cが固定子34と衝突する直前に減速することが望ましい。
本実施例では、可動子30cと吸入弁体31とは別体で構成されている。吸入弁体31が開弁位置(図2の状態)から閉弁方向に移動して吸入弁シート35に当接すると、吸入弁体31の閉弁方向への移動は止められる。吸入弁体31の閉弁方向への移動が止められた後、可動子30cは吸入弁体31から分離してさらに閉弁方向に移動を継続する。そして可動子30cが固定子34に当接すると、可動子30cは閉弁方向への移動を止められる。すなわち、本実施例の構造では、吸入弁体31が閉弁位置に到達した後、可動子30cが固定子34に当接するまでの間に、可動子30cの移動する距離(すなわち時間的余裕)がある。なお、吸入弁体31は吸入弁体付勢ばね36により吸入弁シート35に当接する方向に付勢されており、閉弁位置に到達して可動子30cから分離した吸入弁体31は閉弁状態を維持する。
そこで本発明では、吸入弁体31が閉弁位置に到達した後、可動子30cが固定子34に当接するまでの間の時間的余裕を利用する。すなわち、可動子30cは、吸入弁体31が所定の位置(閉弁位置)に移動するまでは、流体力のアシストにより高速に移動し、且つ、吸入弁31体が閉弁位置に達して停止した後、可動子30cは、流体力のアシストが徐々に低下して減速するようにした。これにより、可動子30cは、吸入弁体31が開弁位置に移動するまでは高速に移動することができ、固定子34と衝突する前に減速することができる。本発明では、上記を実現する手段を、制御を用いずに構造のみによって実現しているため、制御手法に依存せずに効果を得ることができることも利点として挙げられる。
以下に図3を用いて第一実施例の詳細を説明する。図3は、本発明の第一実施例における電磁吸入弁の詳細な断面図である。なお、図3では、第一実施例における可動子30cと固定子34とそれを支持する部材とに関しての詳細な断面を示している。
第一実施例においては、図3の破線で示す領域の中で可動子30cと固定部材とによって形成される、燃料によって満たされたスペースを空洞部301と定義する。空洞部301は、固定子34を収容するハウジング部材37と、固定子34と、可動子30cの支持部材306とで仕切られた空間(可動子30cの収容室)の体積から、収容された可動子30c部分の体積を除いた残余の空間の体積を有する。
空洞部301は可動子30cが移動を開始する前と移動した後で、体積が変化し、変化した体積分の燃料が空洞部301を出入りする。この燃料が空洞部301を出入りできるように、空洞部301と吸入ポート30aの間をつなぐ通路(入口通路)302aと通路(出口通路)302bとを可動子30cに設ける。可動子30cが磁気吸引力によって図3の左に移動すると、空洞部301から燃料が押し出される。押し出された燃料は303の矢印に示す流れのように通路302a、302bを通り吸入ポート30aに流れる。ここで可動子30cに設けた通路302aの吸入ポート30aへの出口通路302bを、出口通路302bの入口を通り可動子30cの移動方向と垂直な仮想平面Sに対して、閉弁時の移動方向側とは逆側に傾いた任意の傾きθ1(>0)をもつように設ける。すなわち、出口通路302bは、仮想平面Sに対して、固定子34が設けられた側とは反対側(吸入弁体31が設けられた側)に傾いている。これにより、出口通路302bの入口は、出口に対して、固定子34が設けられた側(閉弁時の移動方向側)にあり、出口通路302bの出口は入口に対して吸入弁体31が設けられた側(閉弁時の移動方向側とは反対側)に位置する。
そうすることによって、可動子30cが移動するにつれて移動する方向と逆方向へと燃料が排出されるため、作用反作用の関係から、可動子30cは流体力のアシストを受け、高速移動が可能となる。
さらに、吸入弁体31が吸入弁シート35に当接する位置からさらに可動子30cが閉弁方向に移動することにより、可動子30cの支持部材306と出口通路302bの出口とが重なる構成にする。すなわち、可動子30cは、プランジャロッド部30caが支持部材306の貫通孔306aに挿通されており、出口通路302bの出口が貫通孔306aの内周面と対向して塞がれるようにする。この時、出口通路302bを流れている燃料の流路が、支持部材306によって塞がれることで狭くなる。つまり、空洞部301から吸入ポート30aまでの燃料の流路面積が、可動子30cが移動したことで減少する構成となっている。すなわち、出口通路302bの出口の開口面積は、吸入弁体31が吸入弁シート35に当接した位置から可動子30cがさらに閉弁方向に移動する段階で、減少するように構成されている。このため、可動子30cが固定子34と接触する際には、可動子30cは流体ダンピングにより減速することとなる。
本発明は、出口通路302bの方向を可動子30cの移動方向とは逆側に傾けることにより移動開始時の高応答化を達成しつつ、可動子30cが移動するにつれて支持部材306と出口通路302bの出口とが重なる構成にすることにより固定子34との衝突時の減速を実現している。このように、本実施例では、一般的に相反する特性である高応答と減速効果の両者について、上記の通り制御によらず構造のみによって実現することができる。
なお、上述した入口通路302a、出口通路302b及びその入り口と出口とは、可動子30cが閉弁方向に移動するときの燃料の流れ方向に基づいて、「入口」及び「出口」を定義している。この定義は、以下の実施例でも同様とする。
以下、図4を用いて、本発明の第二実施例を説明する。図4は、本発明の第二実施例における電磁吸入弁の詳細な断面図である。なお、図4では、第二実施例における可動子30cと固定子34とそれを支持する部材に関しての詳細な断面を示している。また、第一実施例と同じ構成には同じ符号を付し、説明を省略する。
第二実施例においても、図3と同様に、図4の破線で示す領域の中で可動子30cと固定部材(ハウジング部材37、固定子34及び支持部材306)によって形成される、燃料によって満たされたスペースを空洞部301と定義し、空洞部301と吸入ポート30aとの間をつなぐ通路(入口通路)302aと通路(出口通路)302cとを可動子30cに設ける。ここで、第二実施例においては、可動子30cに設けた入口通路302aの吸入ポート30aへの出口通路302cを、出口通路302cの入口を通り可動子30cの移動方向と垂直な仮想平面Sに対して、閉弁時の移動方向側に傾いた任意の傾きθ2(<0)をもつように設ける。これは、第一実施例の出口通路302bの向きとは逆方向となる。すなわち、出口通路302cは、仮想平面Sに対して、固定子34が設けられた側(吸入弁体31が設けられた側とは反対側)に傾いている。これにより、出口通路302cの入口は、出口に対して、吸入弁体31が設けられた側(閉弁時の移動方向側とは反対側)にあり、出口通路302bの出口は入口に対して固定子34が設けられた側(閉弁時の移動方向側)に位置する。
そうすることによって、可動子30cが移動するにつれて可動子30cが移動する方向へと燃料が噴出されるため、作用反作用の関係から、可動子30cは作用反作用の関係から噴出力に応じた流体抵抗を受けることとなる。ここで、可動子30cが移動を開始する際には出口通路302cの出口と支持部材306の間には十分な距離がある一方で、移動するにつれて両者の距離が近づき、出口通路302cから噴出される燃料の流体抵抗力の効果が大きくなっていく。従って、移動開始時も固定子34との衝突直前も出口通路302cから噴出される燃料により得られる流体力はどちらも減速方向ではあるが、移動開始時よりも固定子34との衝突直前のほうが支持部材306との関係により流体抵抗が大きくなる。このため、相対的に考えると可動子30cは固定子34との衝突直前で減速しているのと同様の効果を得ていることとなる。
また、第二実施例においても可動子30cが図4の左方向へと移動した際に、可動子30cの支持部材306と出口通路302cの出口とが重なる構成にすることは第一実施例と同様であり、同様の効果を奏する。
以下、図5を用いて、本発明の第三実施例を説明する。図5は、本発明の第三実施例における電磁吸入弁の詳細な断面図である。なお、図5では、第三実施例における可動子30cと固定子34とそれを支持する部材に関しての詳細な断面を示している。また、第一実施例と同じ構成には同じ符号を付し、説明を省略する。
第三実施例においても、図5の破線で示す領域の中で可動子30cと固定部材(ハウジング部材37、固定子34及び支持部材306)によって形成される、燃料によって満たされたスペースを空洞部301と定義する。また、第一実施例、第二実施例と同様に、空洞部301と吸入ポート30aとの間をつなぐ通路を可動子30cに設けるが、第三実施例においては、出口通路302b,302cの入口を通り可動子30cの移動方向と垂直な仮想平面Sに対して、閉弁時の移動方向側とは逆側(反対側)に傾いた任意の傾きθ1(>0)をもつように設けられた流路302bと、仮想平面Sに対して、可動子30cの閉弁時の移動方向側に傾いた任意の傾きθ2(<0)をもつように設けられた流路302cとの両方を有する。すなわち、本実施例では、第一実施例の構成と第二実施例の構成とを併せ持つ。
さらに、可動子30cの移動開始時には、出口通路302bの出口は支持部材306の貫通孔306aの外側にあり、吸入ポート30a内に位置している。可動子30cが閉弁方向(図5の左方向)に移動して、吸入弁体31が吸入弁シート35に当接した後、出口通路302bの出口は支持部材306の貫通孔306aの内周面と対向して重なる。すなわち、出口通路302bの出口の開口面積は、吸入弁体31が吸入弁シート35に当接した位置から可動子30cがさらに閉弁方向に移動する段階で、減少するように構成されている。
また、出口通路302cの出口は、可動子30cの移動開始時には、支持部材306の貫通孔306aの内周面と対向して重なる位置にある。可動子30cが閉弁方向(図5の左方向)に移動して、吸入弁体31が吸入弁シート35に当接した後、出口通路302bの出口は支持部材306の貫通孔306aの外側に出て、空洞部301の空間(燃料溜まり)に連通した状態となる。すなわち、出口通路302cの出口の開口面積は、吸入弁体31が吸入弁シート35に当接した位置から可動子30cがさらに閉弁方向に移動する段階で、増加するように構成されている。
前記構成とすることにより、移動開始時には、出口通路302bより噴出される燃料による流体力アシストにより、可動子30cは加速される。また、吸入弁体31が閉弁した後には、出口通路302bは閉口するために、出口通路302bによる流体力のアシストが無くなる。一方で、出口通路302cが空洞部301の空間(燃料溜まり)に開口し始めるため、出口通路302cからの燃料噴出の反力による流体抵抗により、可動子30cの減速が始まることとなる。
以上のように、第三実施例によれば、高圧燃料供給ポンプとして重要な性能である吸入弁体31が閉弁するまでの期間の高応答性を確保しつつ、吸入弁体31の閉弁後から可動子30cが固定子34と衝突するまでの期間は可動子30cを減速させることが可能となり、可動子30cと固定子34との衝突部の耐久性能の向上や衝突音の低減などを実現することが可能である。
上述した各実施例においては、閉弁時に可動子30cが固定子34に当接する構成としたが、可動子30cはハウジング部材37側に設けた固定部、すなわちストッパに当接する構成としてもよい。
なお、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…高圧燃料ポンプ本体、2…ピストンプランジャ、3…タペット、8…吐出弁機構、9…圧力脈動低減機構、10a…吸入ジョイント、10b…吸入通路、11…加圧室、12…燃料吐出口、20…燃料タンク、21…フィードポンプ、23…コモンレール、28…吸入配管、30…電磁吸入弁機構、30a…吸入ポート、30b…電磁コイル、30c…可動子、30ca…可動子30cのプランジャロッド部、31…吸入弁体、33…ばね、34…固定子、102…リリーフ弁、302a,302b,302c…可動子31cに設けられた燃料通路、303…燃料通路302a,302b,302cを流れる燃料流れ、306…支持部材、306a…支持部材306の貫通孔。
Claims (7)
- 燃料を加圧するための加圧室と前記加圧室の吸入側に設けられ燃料流路の開閉を行う電磁吸入弁機構とを備え、前記電磁吸入弁機構は、磁気吸引力によって移動する可動子と、前記可動子の一部を収容して燃料溜まりを形成し前記可動部の移動により体積が増減する可動子収容室と、前記可動子とは分離された構造の吸入弁体とを有する高圧燃料供給ポンプにおいて、
前記可動子は、前記可動子収容室の内部と外部とを連通する燃料通路を備え、
前記燃料通路は、前記可動子が閉弁方向に移動する場合に出口側となる燃料通路部が、前記可動子の移動方向に垂直な仮想平面に対して傾斜するように設けられていることを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。 - 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
前記燃料通路部は、前記燃料通路部の出口が前記燃料通路部の入口よりも閉弁時における前記可動子の移動方向側とは反対側に位置するように傾斜していることを特徴とする高圧燃料ポンプ。 - 請求項2に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
前記燃料通路部の前記出口の開口面積は、前記吸入弁体がシート部に当接した位置から前記可動子がさらに閉弁方向に移動する段階で、減少するように構成されていることを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。 - 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
前記燃料通路部は、前記燃料通路部の出口が前記燃料通路部の入口よりも閉弁時における前記可動子の移動方向側に位置するように傾斜していることを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。 - 請求項4に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
前記燃料通路部の前記出口の開口面積は、前記吸入弁体がシート部に当接した位置から前記可動子がさらに閉弁方向に移動する段階で、減少するように構成されていることを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。 - 請求項2に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
前記燃料通路は、前記燃料通路部を第一の燃料通路部として備えると共に、前記可動子が閉弁方向に移動する場合に出口側となる第二の燃料通路部を備え、
前記第二の燃料通路部は、
前記第二の燃料通路部の出口が前記第二の燃料通路部の入口よりも閉弁時における前記可動子の移動方向側に位置するように傾斜していることを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。 - 請求項6に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
前記第一の燃料通路部の前記出口の開口面積は、前記吸入弁体がシート部に当接した位置から前記可動子がさらに閉弁方向に移動する段階で、減少するように構成されており、
前記第二の燃料通路部の前記出口の開口面積は、前記吸入弁体がシート部に当接した位置から前記可動子がさらに閉弁方向に移動する段階で、増加するように構成されていることを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
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JP2015186525A JP2017061863A (ja) | 2015-09-24 | 2015-09-24 | 高圧燃料供給ポンプ |
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JP (1) | JP2017061863A (ja) |
-
2015
- 2015-09-24 JP JP2015186525A patent/JP2017061863A/ja active Pending
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