JP2017061685A - 芳香族ポリエーテルケトン硬化物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンを硬化してなる芳香族ポリエーテルケトン硬化物およびその製造方法を提供する。【解決手段】下記構造式(1)で表される繰り返し単位を備える溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンを、架橋剤および任意の活性化剤と混合して加熱することにより硬化してなる芳香族ポリエーテルケトン硬化物。構造式(1)において、Xはベンゾフェノンまたはジベンゾイル芳香族化合物であり、ジベンゾイル芳香族化合物において、Aは芳香環またはベンゾフェノンである。Yは1,1’−ビ−2−ナフトールもしくはその置換誘導体、またはビスフェノールフルオレンもしくはその置換誘導体である。Zはオキシビフェニレン基、フルオレンビフェニレン基、アミノビフェニレン誘導基、またはメチルビフェニレンもしくはそのアルキル置換基である。【化1】【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族ポリエーテルケトン硬化物およびその製造方法に関し、より詳細には、溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンを硬化してなる芳香族ポリエーテルケトン硬化物およびその製造方法に関する。
芳香族ポリエーテルケトンは、耐熱性、機械的特性、耐薬品性、難燃性等において良好な特性を有する高性能高分子である。例えば、スーパーエンジニアリングプラスチックの代表的な樹脂として知られているポリエーテルエーテルケトン(PEEK(登録商標))は、ガラス転移温度(Tg)143℃、融点(Tm)343℃と、特に優れた耐熱性を有する高分子である。その特長を活かして、PEEK(登録商標)は、自動車部品やポンプ・配管部品、輸送機器用シーリング部品等の幅広い用途で使用されている。
一般に、樹脂の特性は、その分子構造と密接に関係している。PEEK(登録商標)の場合、樹脂合成用のモノマーとして使用される4,4’−ジフルオロベンゾフェノンおよびヒドロキノンは、いずれも平面構造を有しているため、重合反応による分子鎖伸長によって結晶性高分子となる。その結果、良好な耐熱性や耐薬品性等の特性を示す。一方で、このような分子構造に起因して、PEEK(登録商標)をはじめとする芳香族ポリエ−テルケトンは有機溶剤への溶解性が乏しく、塗料および塗装などの実用面では生産性、成形加工性、製品性状などに関しては改良の余地がある。例えば塗料生産プロセスとしては、塗料成分を配合、混合して高せん断力を有す混合機で分散した後、押し出し機に装入して溶融混練し、冷却後に粗粉砕し次いで微粉砕して分級して粒子径および粒径分布を整えて塗料製品とするなど大掛かりで、高価格の設備装置を必要とし、またプロセスおよび装置の関係で少量生産が困難である。塗装などの成形加工性では、平均粒径約20〜40μmの粒子を塗着し溶融して製膜するので、塗膜表面の平滑性、鏡面仕上げなどが困難であり、均一な薄膜コーティングが得られにくく、塗膜にピンホールが発生しやすい。またPEEK(登録商標)は成形収縮率が大きく、塗膜として使用する場合は、塗膜の剥がれ、クラックなどが発生し易く、成形加工面で工夫が必要である。
そこでこれまでにも、PEEK(登録商標)等の芳香族ポリエーテルケトンの有機溶剤への溶解性を改善することを目的とした検討が行われてきている。例えば、非特許文献1では、分子構造としてねじれ構造を有する2,2’−二置換−1,1’−ビナフチル単位を有し、反応性基としてフッ素原子を有するモノマーと芳香族ジオール(例えば、ヒドロキノン、4,4’−オキシビスフェノール、4,4’−ヒドロキシベンゾフェノン)とを用いた重合反応により、上記ビナフチル単位の6,6’−位で分子鎖伸長した、溶剤可溶性が改善された芳香族ポリエーテルケトンが提案されている。この芳香族ポリエーテルケトンは、数μm程度の厚みの薄膜フィルムとして適用し得る程度の可塑性を有している。しかしながら、より実用的な観点からは、芳香族ポリエ−テルケトンが元来有する良好な特性を損なうことなく、実用用途での配合組成物の生産性、成形加工性、最終製品特性に優れた芳香族ポリエ−テルケトンが求められている。
そこで、本発明者等は、これまでに、反応成分および得られるポリマーの立体構造を鋭意検討した結果、有機溶剤に可溶な芳香族ポリエーテルケトンを合成する技術を見出している(非特許文献2)。すなわち、反応成分としては反応活性に優れかつ規則的な繰り返し単位を有する高分子量重合体の合成が容易であるとともに、溶剤可溶性にも優れたねじれ構造を有する高分子量重合体の生成に至っている。
Maeyama et al., Polymer Journal, 2005, 37, 707-710 菊地大介・土橋悟・前山勝也、平成26年度化学系学協会東北大会講演予稿集、第126頁、公益社団法人日本化学会
このような有機溶剤に可溶な高分子量重合体を塗料用ビヒクルとして使用すると、塗料製造プロセス、製造装置、塗装加工性、塗膜外観、塗膜性能などの点で有利である。すなわち、塗料製造装置のコンパクト化、塗装作業性での塗膜鏡面仕上げ、均一な薄膜コーティング、ピンホールレスなどの塗装加工性に優れている。しかしながら、塗装後の塗膜の実使用面では、溶剤可溶性は必要ではなく、むしろ被塗物の保護という点では有機溶剤への不溶化、塗膜硬度および摩擦強度などが求められるため、この点について未だ改良の余地があった。
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンを硬化させることによって、有機溶剤に不溶であり、かつ塗膜の熱的特性および機械的特性の向上を可能とする芳香族ポリエーテルケトン硬化物およびその製造方法を提供することを課題としている。
本発明者等は、上記の課題を解決するために、溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンを硬化させるための反応系、架橋剤、活性化剤(触媒)、および反応条件等を種々検討した結果、より簡便に硬化物の作製が可能であり、かつ熱的特性および機械的特性に優れた塗膜が得られることを知見し、さらに研究を重ね、本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1]下記構造式(1)で表される繰り返し単位を備える溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンを硬化してなる芳香族ポリエーテルケトン硬化物。
Figure 2017061685
[上記式中、Xは下記構造式(X−1)、(X−2)で表されるグループから選択され
Figure 2017061685
(式中、Aは下記構造式(A−1)、(A−2)で表されるグループから選択される)、
Figure 2017061685
Yは下記構造式(Y−1)、(Y−2)で表されるグループから選択され
Figure 2017061685
(式中、Rはアルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基のいずれか1種以上であり、nは0、1または2である)、
Zは下記構造式(Z−1)、(Z−2)、(Z−3)、(Z−4)、(Z−5)で表されるグループから選択される(但し、Yが(Y−2)である場合には(Z−2)を除く)
Figure 2017061685
(式中、R’およびR’’はそれぞれアルキル基である)]
[2][1]の芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法であって、前記溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンと、芳香族アルデヒドまたは芳香族ジアルデヒドと、プロトン酸とを混合して加熱することを特徴とする芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法。
[3][1]の芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法であって、前記溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンと、芳香族ジアミンおよびルイス酸とを混合して加熱することを特徴とする芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法。
[4][1]の芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法であって、前記溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンと、構造式(OCN−J−NCO)で表されるジイソシアナートとを混合して加熱することを特徴とする芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法。[上記式中、Jは下記構造式(J−1)、(J−2)、(J−3)で表されるグループから選択される
Figure 2017061685
(式中、mは3〜8の整数である)]
[5][1]の芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法であって、前記溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンと、構造式(RSi(OR’)4−m)で表されるアルコキシシランとを混合して加熱することを特徴とする芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法。
[上記式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、R’は炭素数1〜10のアルキル基であり、mは0〜2の整数である]
[6][1]の芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法であって、前記溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンと、構造式(OCHCH−CH−Q−CH−CHCHO)で表されるエポキシドおよび酸触媒もしくはアミン触媒とを混合して加熱することを特徴とする芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法。
[上記式中、Qは下記構造式(Q−1)、(Q−2)、(Q−3)、(Q−4)、(Q−5)で表されるグループから選択される
Figure 2017061685
(式中、mは0〜12の整数であり、nは0〜2の整数であり、Rは水素原子またはメチル基である)]
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトン>
本発明において、溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンは、下記構造式(1)で表される繰り返し単位を備える。
Figure 2017061685
構造式(1)において、Xはベンゾフェノン(X−1)またはジベンゾイル芳香族化合物(X−2)であり、このジベンゾイル芳香族化合物(X−2)において、Aは芳香環(A−1)またはベンゾフェノン(A−2)である。なお、ベンゾフェノン(X−1)またはジベンゾイル芳香族化合物(X−2)の芳香環の水素原子は、本発明の効果を阻害しない範囲で、任意の置換基によって置換されていてもよい。好ましい実施形態において、Xはベンゾフェノン(X−1)である。
なお、Xとしては、上記(X−1)、(X−2)の他に、2つ以上の芳香環を有し、少なくとも1つのベンゾイル基を有する任意の化合物を適用することができる。
Yは1,1’−ビ−2−ナフトールもしくはその置換誘導体(Y−1)、またはビスフェノールフルオレンもしくはその置換誘導体(Y−2)である。構造式(Y−1)および(Y−2)において、置換基Rはアルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基のいずれか1種以上であり、好ましくは、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜3のアルキルオキシ基のいずれか1種以上である。置換基の数nは0、1または2である。より優れた耐熱性を有する芳香族ポリエーテルケトンを得る観点からは、置換基の数nは0であることが好ましい。なお、置換基の数nが1または2の場合には、合成の容易さの観点からは、置換基Rの位置は、(Y−1)については6,6’−位であることが好ましく、(Y−2)については2,7−位であることが好ましい。好ましい実施形態において、Yは1,1’−ビ−2−ナフトール(Y−1)である。
なお、Yとしては、上記(Y−1)、(Y−2)の他に、芳香環同士の立体障害に起因するねじれ構造を有する任意の芳香族ジオールを適用することができる。
Zはオキシビフェニレン基(Z−1)または(Z−3)、フルオレンビフェニレン基(Z−2)、アミノビフェニレン誘導基(Z−4)、またはメチルビフェニレンもしくはそのアルキル置換基(Z−5)である。構造式(Z−4)および(Z−5)において、R’およびR’’はそれぞれアルキル基である。耐熱性を維持する観点からは、R’は炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、炭素数1のアルキル基であることがより好ましい。溶解性を維持する観点からは、R’’は炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素数3〜5のアルキル基であることがより好ましい。好ましい実施形態において、Zは重合反応性に特に優れているオキシビフェニレン基(Z−1)である。
なお、Zとしては、上記(Z−1)〜(Z−4)の他に、互いのフェノール部位が共役により繋がっていない任意のビフェノール化合物を適用することができる。
溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンは、上記構造式(1)で表される繰り返し単位中のXの4位が、Zのフェノール基によって分子鎖伸長される。すなわち、繰り返し単位間の単結合は、Xの4位とZのフェノール基との間に形成されている。
溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンは、構造式(F−X−F)で表される芳香族ジフルオロ化合物と、構造式(H−Y−H)で表される第一の芳香族ジオール化合物および構造式(HO−Z−OH)で表される第二の芳香族ジオール化合物とを反応させることにより、製造することができる。
例えば、芳香族ジフルオロ化合物と第一の芳香族ジオール化合物と第二の芳香族ジオール化合物とを予め一緒に反応容器に加えて、これら三成分の反応を行う(ワンステップ合成)。このような溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンのワンステップ合成による製造方法は、一例として、以下の反応スキームで表すことができる。なお、式中のX、YおよびZは上記と同義である。また、ワンステップ合成においては、上記構造式(1)で表される繰り返し単位を備える芳香族ポリエーテルケトンの他に、構造式(1)におけるYとZの配列がXを介して交互に繰り返された構造とは異なる生成物も得られるが、当該生成物も、目的の芳香族ポリエーテルケトンと同様に本発明の芳香族ポリエーテルケトン硬化物の原料として用いることができる。
Figure 2017061685
また、例えば、芳香族ジフルオロ化合物と第一の芳香族ジオール化合物との反応を行い、次いで、この反応生成物と第二の芳香族ジオール化合物との反応を行う(ワンポット合成、ステップワイズ合成)。なお、この場合において、上述した芳香族ジフルオロ化合物と第一の芳香族ジオール化合物との反応生成物については、単離精製操作を行ってもよく(ステップワイズ合成)、また、当該反応生成物の単離精製操作を行わずに第二の芳香族ジオール化合物との反応を行ってもよい(ワンポット合成)。このような溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンのワンポット合成およびステップワイズ合成による製造方法は、一例として、以下の反応スキームで表すことができる。なお、式中のX、YおよびZは上記と同義である。また、ワンポット合成においては、上記構造式(1)で表される繰り返し単位を備える芳香族ポリエーテルケトンの他に、構造式(1)におけるYとZの配列がXを介して交互に繰り返された構造とは異なる生成物も得られるが、当該生成物も、目的の芳香族ポリエーテルケトンと同様に本発明の芳香族ポリエーテルケトン硬化物の原料として用いることができる。
Figure 2017061685
Figure 2017061685
このような溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンは、有機溶剤への溶解性に優れているため、塗料生産性、塗装加工性、塗膜形成性などに優れている。すなわち塗料生産面では粉体塗料用の生産設備のような大掛かりな射出成形機や加熱、電気などの動力が必要なく、攪拌翼を有する小型な混合槽に配合成分を装入し混合して、必要に応じてサンドミルなどの混合分散機で処理することにより塗料の生産が可能になる。さらに、粉体塗料と比較した場合の塗装加工性に関しては、粉体塗料特有の粒子径および粒径分布などに起因する塗料搬送性、流動性、ガン詰まりなどのトラブルや、塗装時の塗料粒子脱落などが無くなり、塗膜表面外観についても平滑性、鏡面仕上げ、極薄膜の皮膜形成等が可能になると期待される。本発明では、これらの生産性、操作性を維持したまま、塗膜焼付け時に鎖延長、架橋・硬化反応を導入して、溶剤への不溶化、更なる塗膜強度の向上を図ることを目的としている。
<芳香族ポリエーテルケトン硬化物>
本発明の芳香族ポリエーテルケトン硬化物は、上記溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンを硬化してなる。より具体的には、本発明の芳香族ポリエーテルケトン硬化物は、上記構造式(1)で表される繰り返し単位を備える溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンの高分子主鎖間で、または高分子末端水酸基を介して、架橋構造が導入されることによって硬化してなる。これにより、溶剤可溶性の芳香族ポリエーテルケトンの有機溶媒への溶解性が大きく低下し、硬化による不溶化が達成される。
<芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法>
本発明の芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法は、概括すると、上記構造式(1)で表される繰り返し単位を備える溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンを、架橋剤および任意の活性化剤と混合して加熱することを特徴とする。以下、具体的な実施形態について、詳細に説明する。
<第一の実施形態:ノボラック架橋型芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法>
本実施形態では、上記の溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンと、アルデヒドおよびプロトン酸とを混合して加熱することにより、溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンの高分子主鎖間に架橋構造を導入する。
アルデヒドとしては、脂肪族アルデヒド、芳香族アルデヒドなどを用いることができる。また、アルデヒドはモノアルデヒドに限定されず、アルデヒド基が2つ以上の化合物であってもよく、例えば、ジアルデヒドを用いることもできる。プロトン酸としては、酢酸、リン酸、ほう酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、希硫酸、トシル酸などが挙げられ、用いるアルデヒドの種類等に応じて適宜選択される。プロトン酸は1種類を単独で使用してもよく、2種類以上混合して使用してもよい。なお、プロトン酸を2種類以上混合して使用する場合、その体積比は適宜調整することができる。また、プロトン酸の酸強度は強い方が好ましく、用いるアルデヒドの種類等に応じて適宜調整される。
好ましい実施形態において、上記アルデヒドは芳香族アルデヒドまたは芳香族ジアルデヒドである。芳香族アルデヒドは、電子求引性基(例えば、カルボニル基、ニトロ基等)を有する置換芳香族アルデヒドが好ましく、中でも、p−ニトロベンズアルデヒドを用いると硬化率が良く好ましい。芳香族ジアルデヒドとしては、例えば、ベンゼン−1,4−ジカルボキシアルデヒド(テレフタルアルデヒド)を用いると硬化率が良く好ましい。また、本実施形態において、プロトン酸としてトシル酸を用いると、より高い温度での硬化反応が可能であるため好ましい。なお、プロトン酸としては、トシル酸のみに限定されず、塩酸、希硫酸を用いることもできる。プロトン酸の酸強度は強い方が好ましい。本実施形態により、溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンの高分子主鎖間に、メチン(−CH(CW)−)架橋構造(式中、Wは任意の電子求引性基またはアルデヒド基を表す。)が導入される。
<第二の実施形態:アゾメチン架橋型芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法>
本実施形態では、上記の溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンと、芳香族ジアミンおよびルイス酸とを混合して加熱することにより、溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンの高分子主鎖間に架橋構造を導入する。
芳香族ジアミンとしては、構造式(HN−G−NH)で表される芳香族ジアミン(式中、Gは下記構造式(G−1)または(G−2)を表す。)を用いることができる。
Figure 2017061685
例えば、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−ジフェニルエーテルジアミンなどが挙げられるが、中でも、1,4−ジフェニルエーテルジアミンが反応性の観点で好適である。ルイス酸としては、塩化リチウム、リチウムトリフラート、塩化マグネシウム、マグネシウム(II)トリフラート、塩化アルミニウム(III)、アルミニウム(III)トリフラート、塩化スズ(IV)、塩化チタン(IV)、スカンジウム(III)トリフラート、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、塩化ホウ素、スズ(II)トリフラート、銀(I)トリフラートなどの金属ハロゲン化物あるいは金属トリフルオロメタンスルホン酸塩が挙げられる。中でも、塩化アルミニウム(III)およびスカンジウム(III)トリフラートは、取り扱いが簡便であり、得られる硬化物の有機溶剤への不溶化率に優れるため好ましい。
本実施形態では、溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンのケトンカルボニル基の一部が、芳香族ジアミンのアミン部位と縮合反応を生じ、アゾメチン(>C=N−G−N=C<)構造に変化することで、溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンの高分子主鎖間に架橋構造が導入される。
<第三の実施形態:ウレタン架橋型芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法>
本実施形態では、上記の溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンと、構造式(OCN−J−NCO)で表されるジイソシアナートとを混合して加熱することにより、溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンの高分子末端水酸基を介して架橋構造を導入する。上記式中、Jは下記構造式(J−1)、(J−2)、(J−3)で表されるグループから選択され、構造式(J−3)においてmは3〜8の整数である。
Figure 2017061685
すなわち、ジイソシアナートとしては、芳香族ジイソシアナート、脂肪族ジイソシアナートを用いることができる。ジイソシアナートは、単独で用いてもよく、あるいはイソシアヌレート変性体、もしくは活性水素化合物との反応によるアダクト体として用いてもよい。例えば、1,4−フェニレンジイソシアナート、トルエンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、メチレンジフェニルイソシアナート、およびそれらのイソシアヌレート体などが挙げられる。中でも、1,4−フェニレンジイソシアナートが反応性の観点で好適である。なお、活性化剤として、一般に公知のウレタン硬化触媒を使用してもよく、例えば、アミン触媒、有機金属触媒(有機スズ化合物、有機チタン化合物など)が好ましい。
本実施形態では、溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンの水酸基末端の一部が、ジイソシアナートのイソシアナート部位と反応し、ウレタン(−NHCOO−)構造に変化することで、溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンの高分子末端水酸基を介して架橋構造が導入され、さらに、ウレタン結合導入による強い水素結合ネットワークが形成されることにより、芳香族ポリエーテルケトンの硬化による不溶化が達成される。
<第四の実施形態:シリコーン架橋型芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法>
本実施形態では、上記の溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンと、構造式(RSi(OR’)4−m)で表されるアルコキシシランとを混合して加熱することにより、溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンの高分子末端水酸基を介して架橋構造を導入する。上記式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、R’は炭素数1〜10のアルキル基であり、mは0〜2の整数である。
例えば、mが0である場合には、アルコキシシランは、構造式(Si(OR’))で表されるテトラアルコキシシランである。テトラアルコキシシランにおけるアルコキシ基(OR’)のR’は、炭素数1〜10のアルキル基であり、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数2のエチル基がより好ましい。すなわち、テトラアルコキシシランとしては、テトラエトキシシラン(Si(OC)が最も好適である。また、アルコキシシランとして好ましい例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジエトキシシランなどが挙げられる。なお、活性化剤として、酸触媒(トシル酸水和物など)、有機チタン酸触媒(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート、チタンテトラノルマルブトキシドなど)、塩基アミン触媒(2−ジメチルアミノエタノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−セン(DBU))などを使用してもよい。
本実施形態では、溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンの末端水酸基とアルコキシシランとが反応し、ケイ素原子に結合しているアルコキシ基のうちの2〜4つが芳香族ポリエーテルケトン末端水酸基とが縮合反応することにより、(−OSiR(OR)2−mO−)(Rは炭素数1〜3のアルキル基または水素原子であり、mは0〜4の整数である。)に変化することで架橋構造が導入される。なお、本実施形態では、硬化剤としてのアルコキシシランのアルコキシ基の数を変えることにより、分岐数を2から4まで変化させることができ、芳香族ポリエーテルケトンの架橋割合を調整することができる。
<第五の実施形態:エポキシ架橋型芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法>
本実施形態では、上記の溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンと、構造式OCHCH−CH−Q−CH−CHCHO)で表されるエポキシドとを混合してすることにより、溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンの高分子末端水酸基を介して架橋構造を導入する。上記式中、Qは下記構造式(Q−1)、(Q−2)、(Q−3)、(Q−4)、(Q−5)で表されるグループから選択される。構造式(Q−1)においてRは水素原子またはメチル基であり、mは0〜12の整数である。構造式(Q−2)においてnは0〜2の整数である。
Figure 2017061685
エポキシドとしては特に限定されないが、ビスフェノールA型およびビスフェノールF型のジグリシジルエーテルが好ましい。なお、活性化剤として、酸触媒、アミン触媒を使用してもよい。酸触媒としては、トシル酸などが挙げられる。アミン触媒としては、2−ジメチルアミノエタノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−セン(DBU)、トリエチレンジアミン(DABCO)などが挙げられる。中でも、求核性の強い第三級アミンが好ましく、トリエチレンジアミン(DABCO)を用いると硬化率が良く好ましい。
本実施形態では、溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンの水酸基末端の一部が、エポキシドのエポキシド部位と反応することで、溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンの高分子末端水酸基を介してジオール(−OCHCH(OH)−CH−Q−CH−CH(OH)CHO−)架橋構造が導入される。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
まず、本実施例で使用する芳香族ポリエーテルケトンの合成を説明する。
Figure 2017061685
<芳香族ポリエーテルケトンPKFLの合成>
300mlセパラブルフラスコに四つ口カバーを取り付け、中央の口に撹拌羽根、その他の口に、温度計、冷却管をそれぞれ取り付け、残った口を投入口とした。投入口よりN−メチル−2−ピロリドン(NMP)72.13gを仕込み、攪拌しながら1,1’−ビ−2−ナフトール(38.45g,134.4mmol)、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(58.62g,268.8mmol)および炭酸カリウム(27.83g,201.7mmol)を添加した。窒素置換後、140℃で4時間攪拌・反応した。その後、185℃まで昇温させてから、炭酸カリウム(27.83g,201.7mmol)を添加し、予めNMP72gにビスフェノールフルオレン(47.06g,134.4mmol)を溶かした溶液を滴下し、185℃で4時間反応した。この反応混合物を大過剰の水の入ったビーカーに滴下して固体を析出させた。この固体を吸引濾集した後、NMP150gに温めながら溶解させた。
得られたNMP溶液を、大過剰のアセトンの入ったビーカーに滴下して、固体を析出させた。この固体を吸引濾集し、アセトンで洗浄して、目的物の芳香族ポリエーテルケトン127g(収率95%)を得た。NMR測定結果より上記の構造であることが確認された。
GPC測定より、平均分子量はポリスチレン換算で、Mn=12500、Mw=33900と見積もられた。
<実施例1>
ノボラック架橋型芳香族ポリエーテルケトン硬化物の作製
50mLサンプル瓶に、PKFL30%NMP溶液16.4gを入れ,次に、テレフタルアルデヒド10%NMP溶液4.9gとトシル酸一水和物10%NMP溶液6.4gを加え、更にNMP2.6gを加え固形分20%溶液を作製した。
得られた溶液から、スポイトを使用して、溶液1.0gを直径30mmのペトリシャーレに入れた。溶液を入れたペトリシャーレを150℃で30分乾燥後、さらに240℃で24時間焼成し、冷却後、硬化物の質量を秤量した(202.3mg)。
このシャーレにNMP(2mL)を加え、NMP洗浄操作後、210℃で24時間乾燥後の質量を量り(165.9mg)、不溶化率を算出した。本実施例で得られた硬化物のNMP不溶化率は82.0%であった。
<実施例2>
アゾメチン架橋型芳香族ポリエーテルケトン硬化物の作製
50mLサンプル瓶に、PKFL30%NMP溶液18.0gを入れ,次に、4,4’−ジフェニルエーテルジアミン10%NMP溶液5.4gと塩化アルミニウム1%NMP溶液2.7gを加え、更にNMP3.7gを加え,固形分20%溶液を作製した。
得られた溶液から、スポイトを使用して、溶液1.0gを直径30mmのペトリシャーレに入れた。溶液を入れたペトリシャーレを150℃で30分乾燥後、さらに240℃で30分焼成し、冷却後、硬化物の質量を秤量した(200.3mg)。
このシャーレにNMP(2mL)を加え、NMP洗浄操作後、210℃で24時間乾燥後の質量を量り(188.5mg)、不溶化率を算出した。本実施例で得られた硬化物のNMP不溶化率は94.1%であった。
<実施例3>
ウレタン架橋型芳香族ポリエーテルケトン硬化物の作製
ペトリシャーレに、PKFL20%NMP溶液1.0gを入れ,次に、ブロック型イソホロンジイソシアナートのPMA溶液(三井化学製、タケネートB−807N)1mLを加え、均一な溶液が得られるまでかき混ぜる。ペトリシャーレにふたを軽くしてから徐々に加熱をし、170度で30分乾燥後、さらに220℃で3時間焼成し、冷却後、硬化物を得た。この硬化物にNMP(2mL)を加え、NMP洗浄操作後、210℃で24時間乾燥後の硬化物の質量を量り(146.0 mg)、不溶化率を算出した。本実施例で得られた硬化物のNMP不溶化率は73.0%であった。
<実施例4>
シリコーン架橋型芳香族ポリエーテルケトン硬化物の作製
50mLサンプル瓶に、PKFL30%NMP溶液15.5gを入れ,次に、テトラエトキシシラン10%NMP溶液10.0gと1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−セン2.5%NMP溶液1.5gを加え、更にNMP1.8gを加え固形分20%溶液を作製した。
得られた溶液から、スポイトを使用して、溶液1.0gを直径30mmのペトリシャーレに入れた。溶液を入れたペトリシャーレを150℃で30分乾燥後、さらに270℃で1時間焼成し、冷却後、硬化物の質量を秤量した(201.7mg)。
このシャーレにNMP(2mL)を加え、NMP洗浄操作後、210℃で24時間乾燥後の質量を量り(99.0mg)、不溶化率を算出した。本実施例で得られた硬化物のNMP不溶化率は49.1%であった。
<実施例5>
エポキシ架橋型芳香族ポリエーテルケトン硬化物の作製
50mLサンプル瓶に、PKFL30%NMP溶液14.7gを入れ,次に、オルト−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学製、エポトートYDCN−704)30%NMP溶液4.4gとトリエチレンジアミン10%NMP溶液2.2gを加え、更にNMP8.4gを加え固形分20%溶液を作製した。
得られた溶液から、スポイトを使用して、溶液1.0gを直径30mmのペトリシャーレに入れた。溶液を入れたペトリシャーレを150℃で30分乾燥後、さらに210℃で3時間焼成し、冷却後、硬化物の質量を秤量した(201.3mg)。
このシャーレにNMP(2mL)を加え、NMP洗浄操作後、210℃で24時間乾燥後の質量を量り(179.9mg)、不溶化率を算出した。本実施例で得られた硬化物のNMP不溶化率は89.4%であった。
以下の表1に、実施例1〜5で得られた芳香族ポリエーテルケトン硬化物の作製条件およびNMP不溶化率をまとめて示す。なお、実施例1〜5で原料として使用したPKFL(比較例)は、NMPに対する溶解性に優れており、NMP不溶化率は0.0%である。
Figure 2017061685
表1からも理解されるように、実施例1〜5で得られた芳香族ポリエーテルケトン硬化物は、有機溶媒に対する溶解性が低下していることが確認された。
次に、実施例1〜5の芳香族ポリエーテルケトン硬化物を用いて、以下に示すようにして硬化塗膜を作製し、特性評価を行った。また、比較例として、実施例1〜5で原料として使用したPKFLを用いて同様に硬化塗膜を作製し、特性評価を行った。
[硬化塗膜の作製]
PKFL4.0gを含むNMP溶液10.0gを30mLサンプル瓶に入れ、実施例1〜5に示した各硬化剤・活性化剤を加え、さらにNMPを加えて全量が20gになるように溶液を作成した。この溶液を、塗装用エアーガン(アネスト岩田(株)製 スプレーガン W−101)でアルミ板(A1050P)の表面に塗布した。塗布後、各硬化剤の硬化温度に合わせて乾燥、焼成することにより乾燥塗膜を得た。
[熱的性質]
示差走査熱量計(Perkin Elmer製 DSC−4000)を用い、窒素気流下、40℃から300℃まで昇温速度を10K/minとして、DSC測定を行い、ガラス転移点を測定した。
[外観評価]
目視にて外観を観察評価し、塗膜厚さを測定した。
[機械的特性]
(1)鉛筆硬度測定
JIS K‐5600−5−4「塗料一般試験方法‐第5部:塗膜の機械的性質‐第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」にて測定した。鉛筆は三菱ハイユニを使用した。
(2)基材との密着性評価
JIS K‐5600−5−6「塗料一般試験方法‐第5部:塗膜の機械的性質‐第6節:付着性(クロスカット法)」に準じて測定した。等間隔スペーサー使用、1mm間隔、セロハンテープ(登録商標)使用、剥離回数20回。結果は当該JISに示す分類0〜分類5にて評価した。
(3)耐摩耗性評価
JIS K‐5600−5−9「塗料一般試験方法‐第5部:塗膜の機械的性質‐第9節:耐摩耗性(摩耗輪法)」にて測定した。摩耗輪はCS−17、荷重は500g、回転数500回にて摩耗試験を行い、塗膜減量(mg)を測定した。
[電気的性質]
(1)表面抵抗率評価
表面抵抗測定器(シムコジャパン株式会社製、シムコ表面抵抗計 モデルST-4)にて表面抵抗率を測定した。電圧100V、測定時間30秒。測定面積50mm(電極長)×50mm(電極間隔)。
[実用特性]
(1)耐溶剤性評価
ASTM D 4752-03「Standard Test Method for Measuring MEK Resistance of Ethyl Silicate(Inorganic) Zinc−Rich Primers by Solvent Rub」に準じて測定した。試験溶剤としてNMPを用いた。日本薬局方ガーゼを16枚重ね、1ポンドハンマーの先端に固定した。固定したガーゼに試験溶剤を染み込ませ、往復距離20cm、往復速度1往復/秒にて塗膜を摩擦した。塗膜が溶解し、基材が露出して見えるまで摩擦を繰り返した。60往復以上の時は60往復で試験を停止し、ガーゼに試験溶剤を再度染み込ませてから試験を再開した。結果は、「基材露出までの回数」で評価した。
以下の表2に硬化塗膜の特性評価結果をまとめて示す。
Figure 2017061685
表2から理解されるように、溶剤可溶型芳香族ポリエーテルケトンを主鎖結合型架橋剤または末端水酸基結合型架橋剤と反応させることによって得られた塗膜では、溶剤浸漬テストで不溶化現象が見られ、また溶剤を用いたワイプテストで溶剤による塗膜の溶解除去性への抵抗性がみられた。
また、塗膜強度の目安として塗膜断面強度を鉛筆硬度で比較すると、実施例に示される塗膜はいずれも硬度が向上しており、また塗膜表面の摩擦・磨耗抵抗性を磨耗試験により評価した結果は磨耗減量が少なくなっており、塗膜強度が向上していることが分かる。

Claims (6)

  1. 下記構造式(1)で表される繰り返し単位を備える溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンを硬化してなる芳香族ポリエーテルケトン硬化物。
    Figure 2017061685
    [上記式中、Xは下記構造式(X−1)、(X−2)で表されるグループから選択され
    Figure 2017061685
    (式中、Aは下記構造式(A−1)、(A−2)で表されるグループから選択される)、
    Figure 2017061685
    Yは下記構造式(Y−1)、(Y−2)で表されるグループから選択され
    Figure 2017061685
    (式中、Rはアルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基のいずれか1種以上であり、nは0、1または2である)、
    Zは下記構造式(Z−1)、(Z−2)、(Z−3)、(Z−4)、(Z−5)で表されるグループから選択される(但し、Yが(Y−2)である場合には(Z−2)を除く)
    Figure 2017061685
    (式中、R’およびR’’はそれぞれアルキル基である)]
  2. 請求項1に記載の芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法であって、前記溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンと、芳香族アルデヒドまたは芳香族ジアルデヒドと、プロトン酸とを混合して加熱することを特徴とする芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法。
  3. 請求項1に記載の芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法であって、前記溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンと、芳香族ジアミンおよびルイス酸とを混合して加熱することを特徴とする芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法。
  4. 請求項1に記載の芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法であって、前記溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンと、構造式(OCN−J−NCO)で表されるジイソシアナートとを混合して加熱することを特徴とする芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法。
    [上記式中、Jは下記構造式(J−1)、(J−2)、(J−3)で表されるグループから選択される
    Figure 2017061685
    (式中、mは3〜8の整数である)]
  5. 請求項1に記載の芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法であって、前記溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンと、構造式(RSi(OR’)4−m)で表されるアルコキシシランとを混合して加熱することを特徴とする芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法。
    [上記式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、R’は炭素数1〜10のアルキル基であり、mは0〜2の整数である]
  6. 請求項1に記載の芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法であって、前記溶剤可溶性芳香族ポリエーテルケトンと、構造式(OCHCH−CH−Q−CH−CHCHO)で表されるエポキシドおよび酸触媒もしくはアミン触媒とを混合して加熱することを特徴とする芳香族ポリエーテルケトン硬化物の製造方法。
    [上記式中、Qは下記構造式(Q−1)、(Q−2)、(Q−3)、(Q−4)、(Q−5)で表されるグループから選択される
    Figure 2017061685
    (式中、mは0〜12の整数であり、nは0〜2の整数であり、Rは水素原子またはメチル基である)]
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