JP2017057296A - 発泡成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、均一な気泡が内部に形成され、かつ外観が良好で、発泡倍率の高い発泡成形体の製造方法を提供することである。【解決手段】 本発明の発泡成形体の製造方法は、熱可塑性樹脂からなる外殻とそれに内包されかつ加熱することによって気化する発泡剤とから構成される熱膨張性微小球と、基材成分とを含有する組成物を温度(Ta)で加熱加工する工程(A)と、工程(A)で得られた加工物を温度(Tb)で発泡成形する工程(B)とを含み、該温度(Ta)と該温度(Tb)が下記式(1)の関係にあり、前記熱膨張性微小球が、その膨張開始温度(Ts0)が下記式(2)の関係を満たし、かつ温度(Ta)で3分間加熱処理した際の膨張開始温度(Ts1)が下記式(3)の関係を満たすものである、−5℃≦Tb−Ta≦25℃ 式(1)5℃≦Ts0−Ta≦20℃ 式(2)20℃≦Tb−Ts1≦50℃ 式(3)【選択図】 図1

Description

本発明は、発泡成形体の製造方法に関する。
現在、熱可塑性樹脂からなる外殻と、それに内包される発泡剤とから構成された熱膨張性微小球は、熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマー等に添加し、熱膨張性微小球を発泡させて樹脂成形体を軽量化する軽量化材や、樹脂バインダーに添加し、発泡させることにより意匠性付与や嵩増し剤として用いられている。
例えば、一般的な熱膨張性微小球と熱可塑性樹脂とを加熱混練して熱膨張性微小球のマスターバッチを作成し、そのマスターバッチを使用して発泡成形体を製造する方法が開示されている(特許文献1)。この方法では、熱膨張性微小球が膨張しないよう、発泡成形体の成形温度よりも非常に低い温度にて熱可塑性樹脂と混練しており、より効率的に熱膨張性微小球と熱可塑性樹脂を混練し、マスターバッチを作成するためには、混練時の温度を上げて作成しなければならない。しかし、混練時の温度を上げてしまうと、熱膨張性微小球がマスターバッチ製造時に膨張してしまうため、発泡成形体製造時に熱膨張性微小球が破壊され、発泡成形体の発泡倍率が低くなる問題が生じる。
また、一般的な熱膨張性微小球とガラス繊維及び有機繊維等を水に分散し、抄造後に乾燥して熱膨張性微小球を含有した不織布を作成し、その後、作成した不織布を加熱して発泡成形体を製造する例が開示されている(特許文献2)。この方法では、熱膨張性微小球が膨張しないよう、発泡成形体の成形温度よりも非常に低い温度にて抄造した熱膨張性微小球を含有した不織布を乾燥しているため、より効率的に不織布を乾燥する為には乾燥時の温度を上げなければならない。しかし、乾燥時の温度を上げてしまうと、熱膨張性微小球が不織布の乾燥時に膨張してしまうため、発泡成形体製造時に膨張した熱膨張性微小球が収縮する「ヘタリ」の現象が起こり、発泡成形体の表面で凹みが発生し、発泡成形体の表面が損なわれる問題が生じる。
特開2000−17103号公報 特開2012−107350号公報
本発明の目的は、均一な気泡が内部に形成され、かつ外観が良好で、発泡倍率の高い発泡成形体の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、熱膨張性微小球と塩化ビニル系樹脂を除く基材成分とを含有する組成物を加熱加工する際の温度(Ta)と、得られた加工物を発泡成形する際の温度(Tb)とを近接させたときに、温度(Ta)及び温度(Tb)に対して特定の関係を有する膨張開始温度を持つ熱膨張性微小球を用いれば、本願課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の発泡成形体の製造方法は、熱可塑性樹脂からなる外殻とそれに内包されかつ加熱することによって気化する発泡剤とから構成される熱膨張性微小球と、基材成分とを含有する組成物を温度(Ta)で加熱加工する工程(A)と、前記工程(A)で得られた加工物を温度(Tb)で発泡成形する工程(B)とを含み、前記温度(Ta)と前記温度(Tb)が下記式(1)の関係にある発泡成形体の製造方法であって、前記熱膨張性微小球が、その膨張開始温度(Ts0)が下記式(2)の関係を満たし、かつ温度(Ta)で3分間加熱処理した際の膨張開始温度(Ts1)が下記式(3)の関係を満たすものである。
−5℃≦Tb−Ta≦25℃ 式(1)
5℃≦Ts0−Ta≦20℃ 式(2)
20℃≦Tb−Ts1≦50℃ 式(3)
本発明の発泡成形体の製造方法は、次の1)〜9)から選ばれる少なくとも一つをさらに満足すると好ましい。
1)前記温度(Ta)が150℃〜180℃である。
2)前記熱膨張性微小球が、その最大膨張温度(Tmax0)が下記式(4)の関係を満たし、かつ温度(Ta)で3分間加熱処理した際の最大膨張温度(Tmax1)が下記式(4)の関係を満たすものである。
0℃≦Tmax0−Tb≦30℃ 式(4)
0℃≦Tmax1−Tb≦20℃ 式(5)
3)前記熱可塑性樹脂が、ニトリル系単量体を含む重合性成分を重合して得られる。
4)前記重合性成分に占めるニトリル系単量体の重量割合が80重量%以上である。
5)前記重合性成分に占めるカルボキシル基含有単量体の重量割合が10重量%未満である。
6)前記発泡剤が、炭素数13以上の炭化水素を含有する。
7)前記発泡剤が、さらに炭素数11以下の炭化水素を含有し、発泡剤に占める、炭素数13以上の炭化水素と炭素数11以下の炭化水素の合計の重量割合が70重量%超であり、炭素数12の炭化水素の重量割合が30重量%未満である。
本発明の製造方法では、均一な気泡が内部に形成され、かつ外観が良好で、発泡倍率の高い発泡成形体が製造可能となる。
熱膨張性微小球の一例を示す概略図である。
[発泡成形体の製造方法]
本発明の発泡成形体の製造方法は、熱膨張性微小球と、塩化ビニル系樹脂を除く基材成分(以下、単に基材成分ということがある)とを含有する組成物を温度(Ta)で加熱加工する工程(A)と、工程(A)で得られた加工物を温度(Tb)で発泡成形する工程(B)とを含む製造方法である。以下、詳細に説明する。
(工程(A))
工程(A)は、熱膨張性微小球と塩化ビニル系樹脂を除く基材成分とを含有する組成物を温度(Ta)で加熱加工する工程である。熱膨張性微小球及び基材成分の詳細に関しては後述する。加熱加工としては、温度(Ta)で加工する工程であれば、特に限定はないが、例えば、加熱混練、加熱プレス、加熱乾燥、加熱成形、これらの組合せ等を挙げることができる。
工程(A)としては、例えば、熱膨張性微小球と基材成分とを含有する組成物を加熱混練する工程(A1)、熱膨張性微小球と基材成分とを含有する組成物を加熱プレスする工程(A2)、熱膨張性微小球と基材成分とを含有する組成物を加熱乾燥する工程(A3)、熱膨張性微小球と基材成分とを含有する組成物を加熱成形する工程(A4)等を挙げることができる。工程(A)は、これら工程(A1)〜(A4)のうちの1つであってもよく、複数含んでいてもよい。また、式(2)の関係からも明らかなように、工程(A)は、熱膨張性微小球が発泡する工程を含まない。
工程(A1)における加熱混練する方法としては、特に限定はないが、ニーダー、ロール、ミキシングロール、ミキサー、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機等により混合することが好ましい。
工程(A1)の一つの例としては、熱膨張性微小球、基材成分及びその他必要な成分をあらかじめリボンミキサーにより混合し、次にダイを備えた二軸押出機を使用して、基材成分の溶融温度以上の温度(Ta)で、得られた混合物を溶融混練し、ダイにて適切な形状に押出し、得られた混練物を空冷後、更に適切な形状に加工し熱膨張性微小球のマスターバッチを製造する工程が挙げられる。製造したマスターバッチを使用し、必要に応じて基材成分を追加、混合して、単軸押出機、二軸押出機、射出成形機等にて発泡成形体が製造可能である。発泡成形の詳細については、工程(B)で説明する。
工程(A1)の他の例としては、高速混練可能なハイスピードミキサーを使用して熱膨張性微小球、基材成分及びその他必要な成分を混練し、混練時に発生する摩擦熱等により温度(Ta)になるまで加熱混練して、パウダーコンパウンドを製造する工程が挙げられる。各成分のミキサーへの投入に関しては、全成分を投入してから混練を始めてもよく、基材成分及びその他必要な添加剤を投入、混練後に適宜、熱膨張性微小球を投入してもよい。
製造したパウダーコンパウンドを単軸押出機や二軸押出機等に供給し発泡成形することにより、発泡成形体を製造することが可能である。また、製造したパウダーコンパウンドをニーダー、単軸押出機、二軸押出機等を使用して造粒し、単軸押出機、二軸押出機、射出成形機等に供給し発泡成形することにより、発泡成形体を製造することが可能である。発泡成形の詳細については、工程(B)で説明する。
工程(A2)の一つの例としては、無機繊維又は有機繊維、基材成分及びその他必要な成分により構成された不織物に、熱膨張性微小球を均一に付着するように散布し、基材成分の溶融温度以上、熱膨張性微小球の膨張開始温度以下の温度(Ta)で、熱プレスを実施して、板状の熱膨張性微小球と基材成分を含有した熱膨張性板状物を製造する工程が挙げられる。製造した熱膨張性板状物をオーブン内で加熱することにより、発泡成形体を製造することが可能である。発泡成形の詳細については、工程(B)で説明する。
工程(A3)における加熱乾燥する方法としては、特に限定はないが、熱風ドライヤー、赤外線ヒーター等により乾燥する方法が挙げられる。
工程(A3)の一つの例としては、熱膨張性微小球、無機繊維又は有機繊維、基材成分及びその他必要な成分を水に分散させた後、抄造機にて脱水、抄造し、その後、基材成分の溶融温度以上、熱膨張性微小球の膨張開始温度以下の温度(Ta)で、抄造した組成物を熱風ドライヤーにて乾燥することで、熱膨張性不織物を製造する工程が挙げられる。製造した不織物を熱風オーブン内で発泡成形することにより、発泡成形体を製造することが可能である。発泡成形の詳細については、工程(B)で説明する。
工程(A4)の一つの例としては、熱膨張性微小球(熱膨張性微小球のマスターバッチでもよい)、基材成分及びその他必要な成分をあらかじめリボンミキサーにより混合し、次にダイを備えた押出機を使用して、基材成分の溶融温度以上の温度(Ta)で、得られた混合物を溶融混練し、ダイにて適切な形状に押出して、熱膨張性成形物を製造する工程があげられる。製造した成形物は、熱風ドライヤーにて発泡成形することにより、発泡成形体を製造することが可能である。発泡成形の詳細については、工程(B)で説明する。
なお、工程(A)で得られた加工物としては、パウダーコンパウンド、マスターバッチ、熱膨張性板状物、熱膨張性不織物、熱膨張性成形物等を挙げることができる。
また、温度(Ta)とは、熱膨張性微小球と基材成分を含む組成物を加熱加工する際の温度をいい、例えば、熱膨張性微小球と基材成分とを溶融混練し混練物を製造する際の温度、熱膨張性微小球と基材成分を含む組成物を加熱乾燥し加工物を製造する際の温度をいう。
温度(Ta)は、熱膨張性微小球と基材成分の混練効率、乾燥効率、熱膨張性微小球の膨張抑制の点から、好ましくは150〜180℃、より好ましくは152〜170℃、さらに好ましくは155〜165℃である。該温度が150℃未満の場合、熱膨張性微小球と基材成分の混練、成形が不十分になること、熱膨張性板状物を製造する際に基材成分の溶融が不十分となり平滑な板状物が製造できないこと、熱膨張性不織物を製造する際に、乾燥が不十分となるため、発泡成形体の外観を損なうこと等がある。一方、該温度が180℃超の場合、熱膨張性微小球が混練時に膨張してしまうことがある。
基材成分100重量部に対する熱膨張性微小球の重量割合は、好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは0.3〜45重量部、さらに好ましくは0.5〜40重量部である。但し、熱膨張性微小球と基材成分を溶融混練してマスターバッチを製造する場合は、基材成分100重量部に対する熱膨張性微小球の重量割合は、好ましくは25〜399重量部、より好ましくは50〜300重量部、さらに好ましくは66〜190重量部である。
工程(A1)での熱膨張性微小球と基材成分との混練時間は、好ましくは0.1〜30分、より好ましくは0.3〜20分、さらに好ましくは0.5〜10分、特に好ましくは0.7〜3分である。該混練時間が0.1分未満であると、熱膨張性微小球と基材成分との混練が不十分になることがある。一方、混練時間が30分より長くなると、作業効率が低下し生産性に問題が生じることがある。
工程(A2)での熱膨張性微小球、無機繊維又は有機繊維、及び基材成分からなる不織物の熱プレス時間は、好ましくは0.1〜30分、より好ましくは0.3〜20分、さらに好ましくは0.5〜10分、特に好ましくは0.7〜3分である。該熱プレス時間が0.1分未満であると、基材成分の溶融が不十分となり熱膨張性板状物が製造できないことがある。一方、熱プレス時間が30分より長くなると、作業効率が低下し生産性に問題が生じることがある。
工程(A3)での熱膨張性微小球、無機繊維又は有機繊維、及び基材成分からなる不織物の乾燥時間は、好ましくは0.1〜30分、より好ましくは0.3〜20分、さらに好ましくは0.5〜10分、特に好ましくは0.7〜3分である。該乾燥時間が0.1分未満であると、不織物の乾燥が不十分になることがある。一方、乾燥時間が30分より長くなると、作業効率が低下し生産性に問題が生じることがある。
工程(A4)での熱膨張性微小球と基材成分からなる熱膨張性成形体の成形時間は、好ましくは0.1〜30分、より好ましくは0.3〜20分、さらに好ましくは0.5〜10分、特に好ましくは0.7〜3分である。該成形時間が0.1分未満であると、成形体中の熱膨張性微小球が均一に混合できなくなることがある。一方、成形時間が30分より長くなると、作業効率が低下し生産性に問題が生じることがある。
(基材成分)
基材成分とは、発泡成形体を構成する成分であって、成形により一定の形を付与することを可能とする成分である。本発明で用いる基材成分は、塩化ビニル系樹脂を除くものである。ここで、塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニル単量体のみを重合性成分として重合した樹脂、塩化ビニル単量体を主成分(重合性成分に占める塩化ビニル単量体の重量割合が50重量%以上100重量%未満をいう)として酢酸ビニル単量体等の塩化ビニル単量体以外の重合性単量体を含有する重合性成分を重合させた樹脂をいう。
基材成分としては特に限定はないが、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンーブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム、シリコンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等のゴム類;エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン等の熱硬化性樹脂;ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等のワックス類;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、変性ポリオレフィン、アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリスチレン(PS)等の熱可塑性樹脂;エチレン系アイオノマー、ウレタン系アイオノマー、スチレン系アイオノマー等のアイオノマー樹脂;オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマー;PBS、PHA、澱粉樹脂等のバイオプラスチック;変性シリコン系、ウレタン系、ポリサルファイド系、アクリル系、シリコン系、ポリイソブチレン系、ブチルゴム系等のシーリング材料;ウレタン系、エチレン−酢酸ビニル共重合物系、塩化ビニル系、アクリル系の塗料成分等が挙げられる。
これらの中でも、熱膨張性微小球と基材成分の混練効率の点から、好ましくはゴム類、ワックス類、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、バイオプラスチックである。
また、基材成分の形状としては、特に限定はないが、粉状や粒状、ペレット状、繊維状が好ましい。
基材成分の軟化温度又は溶融温度は、熱膨張性微小球との混練効率の点から、好ましくは40〜180℃、より好ましくは60〜170℃である。基材成分の軟化温度又は溶融温度が40℃より低い場合、製造した混練物が互いに接着しやすくなる。基材成分の軟化温度又は溶融温度が180℃より高い場合、混練物の製造が困難になることがある。
(その他成分)
熱膨張性微小球と基材成分以外にも、必要に応じて、無機繊維、有機繊維、無機系充填材、有機系充填材、可塑剤、滑剤、加硫剤、加硫促進剤、着色剤、帯電防止剤、安定剤等の各種添加剤を含有していてもよい。その場合、熱膨張性微小球及び基材成分に対して、第三成分として各種添加剤を添加してもよい。
無機繊維としては特に限定はないが、ガラス繊維;炭素繊維;ボロン繊維;ステンレス繊維、鉄繊維、アルミニウム繊維等の金属繊維;鉱物繊維等が挙げられる。
これらの中でも、コストや強度の点でガラス繊維や金属繊維が好ましい。
基材成分100重量部に対する無機繊維の重量割合は、好ましくは0.4〜250重量部、より好ましくは1〜200重量部、さらに好ましくは5〜150重量部である。無機繊維の重量割合が0.4重量部未満であると、発泡成形体の強度が低下することがある。また、250重量部超であると、発泡成形体が脆くなることがある。
有機繊維としては特に限定はないが、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維;アラミド繊維;ポリアミド繊維;ケナフ、麻、綿、羊毛、絹等の天然繊維;ポリビニルアルコール繊維;アセチルセルロース繊維;再生セルロース繊維;木材;非木材パルプ等が挙げられる。これらの中でも、コストや強度の点でポリエステル繊維やポリアミド繊維、ケナフ、天然繊維、木材等が好ましい。
基材成分100重量部に対する有機繊維の重合割合は、好ましくは0.4〜250重量部、より好ましくは1〜200重量部、さらに好ましくは5〜150重量部である。有機繊維の重量割合が0.4重量部未満であると、発泡成形体の強度が低下することがある。また、250重量部超であると、発泡成形体が脆くなることがある。
無機充填材としては、特に限定はないが、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどの金属水和物、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、三酸化アンチモンなどの金属酸化物、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属硫酸塩、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸金属塩、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、タルク、マイカ、ワラスナイト、ガラスビーズ、カーボンブラック等が挙げられる。
可塑剤としては、特に限定はないが、フタル酸ジイソノニル(DINP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ブチルオクチルフタレート(BOP)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、トリメット酸トリオクチル(TOTM)、リン酸トリクレシル(TCP)、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等を挙げることができる。
安定剤とは、フェノール系安定剤、硫黄系安定剤、リン系安定剤、有機スズ系安定剤、鉛系安定剤、カルシウム−亜鉛系安定剤、カルシウム−亜鉛系安定剤等の酸化防止剤や、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系安定剤などの光安定剤や、ハイドロタルサイトのことである。
滑剤としては、特に限定はないが、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸カルシウムなどの金属石鹸、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、流動パラフィンなどの炭化水素系ワックス、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどのアミド系ワックス、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリルステアレート、ステアリン酸ブチルなどのエステル系ワックス、ステアリン酸などの脂肪酸系ワックス、ステアリルアルコールなどの高級アルコール系ワックスなどが挙げられる。
加硫剤としては、特に限定はないが、硫黄、塩化硫黄、二塩化硫黄、4,4’−ジチオジモルフォリン、カプロラクタムジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド類、アルキルフェノールジスルフィドレジン類、高分子多加硫剤等の硫黄系加硫剤、ジクルミパーオキサイド、1,1−ジ(t−ヘキシル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等の過酸化物系加硫剤、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、m−フェニレンジマレイミド、メタクリル酸亜鉛、アクリル酸亜鉛等が挙げられる。
加硫促進剤としては、特に限定はないが、ヘキサメチレンテトラミン、n−ブチルアルデヒドアニリン、N,N’−ジフェニルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、1−o−トリルビグアニド、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィドジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛等が挙げられる。
着色剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、カオリン、クロム黄、フタロシアニンブルー、赤鉛などが挙げられる。
帯電防止剤としては、特に限定はないがアニオン系帯電防止剤、非イオン系帯電防止剤などが挙げられる。
(工程(B))
工程(B)は、工程(A)で得られた加工物を温度(Tb)で発泡成形する工程である。発泡成形する方法としては、特に限定はないが、射出成形、異型等の押出成形、カレンダー成形、インフレーション成形、中空成形、混練成形、圧縮成形、真空成形、熱成形等である。工程(B)としては、以下の工程(B1)〜(B3)等を挙げることができる。工程(B)は、これら工程(B1)〜(B3)のうちの1つであってもよく、複数含んでいてもよい
工程(B1)の一つの例としては、押出成形により発泡成形体を製造する工程が挙げられえる。押出成形は、シリンダー部にヒーター及び熱電対を備え、工程(A1)により製造した熱膨張性微小球と基材成分との混練物(加工物)を供給するための原料供給口を装備し、シリンダー内部には混練物をさらに混練しながら原料供給口から押出し方向へ移動させるためのスクリューが設置した押出成形機を使用する例が挙げられる。
シリンダー内に供給された混練物はスクリューの回転シリンダー内で基材成分の軟化温度又は溶融温度以上の温度(Tb)に加熱されることにより溶融混練物となり、目的の形状に成形可能で、ヒーター及び熱電対を備えたダイを経て、押出し成形され、発泡成形体が得られる。ここで、温度(Tb)とは、混練物が成形機のシリンダー内を移動する時の混練物の温度をいう。
また、工程(B1)としては、前述の熱膨張性微小球と基材成分とのマスターバッチを使用する場合、必要に応じて基材成分を追加し、均一に分散するようにリボンミキサーやタンブラーなどで混合してから成形機の供給口に供給し、発泡成形体を製造する方法も挙げることができる。
工程(B2)の一つの例としては、工程(A2)又は工程(A3)にて製造した熱膨張性板状物又は熱膨張性不織物を、含有する基材成分の軟化温度又は溶融温度以上の温度(Tb)にて熱風オーブンを使用して発泡成形体を製造する方法が挙げられる。
工程(B3)の一つの例としては、工程(A4)にて製造した熱膨張性成形体の表面が、基材成分の軟化温度又は溶融温度以上の温度(Tb)となるように熱風照射機を使用して熱風を吹き付けて発泡成形体を製造する方法が挙げられる。この工程では、アルミニウム板やステンレス板等の遮熱可能な金属板等で成形品表面の一部を覆うことで、覆った部分は熱膨張性微小球が膨張せず、その他の部分においては熱膨張性微小球が膨張し、意匠性を熱膨張性成形体に持たせることも可能である。
温度(Tb)は、発泡成形体の発泡倍率の点から、好ましくは160〜220℃、より好ましくは170〜200℃、さらに好ましくは175〜195℃である。該温度が160℃未満の場合、熱膨張性微小球の膨張が不十分となり、目標の発泡倍率が得られないことがある。一方、該温度が220℃超の場合、気化した発泡剤が熱膨張性微小球の外殻より外部へ抜け、熱膨張性微小球が収縮する「ヘタリ」の現象が起こり、目標の発泡倍率が得られないことがある。
また、工程(B1)において押出成形機にベントが設けられている場合、ベントを閉じた状態で成形を行うことが望ましい。ベントを開放した状態では、ベントより溶融混練物が押出され、軽量な発泡成形体が得られにくいことがある。
また、押出成形においては、ダイ直前に設けられたベントに真空ポンプ等を接続し、廃棄して、混練時に発生したボイドを抜くことも可能である。
工程(B1)において、混練物(加工物)を原料供給口へ投入してから、シリンダー内を通過し、ダイから押し出されるまでの工程時間は、好ましくは0.1〜20分、より好ましくは1〜15分、さらに好ましくは1.5〜10分である。工程時間が0.1分未満であると、熱膨張性微小球への加熱が不足し、熱膨張性微小球が十分に膨張しないことがある。工程時間が20分より長くなると、作業効率が低下し生産性に問題が生じることがある。
工程(B2)において、熱膨張性板状物又は熱膨張性不織物を熱風オーブンにて加熱する工程時間は、好ましくは0.1〜20分、より好ましくは1〜15分、さらに好ましくは1.5〜10分である。工程時間が0.1分未満であると、熱膨張性微小球への加熱が不足し、熱膨張性微小球が十分に膨張しないことがある。工程時間が20分より長くなると、作業効率が低下し生産性に問題が生じることがある。
工程(B3)において、熱膨張性成形体を熱風照射機にて加熱する工程時間は、好ましくは0.1〜20分、より好ましくは1〜15分、さらに好ましくは1.5〜10分である。工程時間が0.1分未満であると、熱膨張性微小球への加熱が不足し、熱膨張性微小球が十分に膨張しないことがある。工程時間が20分より長くなると、作業効率が低下し生産性に問題が生じることがある。
(TaとTbの関係について)
本発明の発泡成形体の製造方法は、上記の温度(Ta)と温度(Tb)が下記式(1)の関係にあるものである。
−5℃≦Tb−Ta≦25℃ 式(1)
このように温度(Ta)と温度(Tb)が近接するような場合でもあっても本願課題を解決できるのは、後述するように、温度(Ta)及び温度(Tb)に対して特定の関係を有する膨張開始温度を持つ熱膨張性微小球を用いるためである。
本発明の発泡成形体の製造方法において、Tb−Taの下限値は、−5℃であり、好ましくは0℃、より好ましくは5℃である。Tb−Taが−5℃未満の場合、工程(B)において熱膨張性微小球の膨張が不十分となり発泡成形体の発泡倍率が低くなってしまう。同様に、Tb−Taの上限値は、25℃であり、より好ましくは20℃、さらに好ましくは15℃である。Tb−Taが25℃超の場合、加熱加工が不十分となる。例えば、工程(A1)、工程(A4)においては、熱膨張性微小球と基材成分の混練、混合が不十分となる。工程(A2)においては、基材成分の溶融が不十分となり、熱膨張性板状物を製造できないことがある。さらに工程(A2)では熱膨張性不織物の乾燥が不十分となってしまい、乾燥工程時間がながくなることがあり、熱膨張性微小球と基材成分との加熱加工が不十分となる。
(熱膨張性微小球)
熱膨張性微小球は、図1に示すように、熱可塑性樹脂からなる外殻(シェル)11と、それに内包され且つ加熱することによって気化する発泡剤(コア)12とから構成される熱膨張性微小球である。この熱膨張性微小球はコア−シェル構造をとっており、熱膨張性微小球は微小球全体として熱膨張性(微小球全体が加熱により膨らむ性質)を示す。
本発明の発泡成形体の製造方法に用いる熱膨張性微小球は、その膨張開始温度(Ts0)が下記式(2)の関係を満たし、かつ温度(Ta)で3分間加熱処理した際の膨張開始温度(Ts1)が下記式(3)の関係を満たすものである。温度(Ta)と温度(Tb)を近接させた上で、温度(Ta)及び温度(Tb)に対して所定の温度特性を有する熱膨張性微小球を用いることにより、均一な気泡が内部に形成され、かつ外観が良好で、発泡倍率の高い発泡成形体を製造することが可能となる。
5℃≦Ts0−Ta≦20℃ 式(2)
20℃≦Tb−Ts1≦50℃ 式(3)
式(2)は、工程(A)において膨張すること無く、温度(Ta)にて基材成分と十分に加熱加工が可能となる熱膨張性微小球の熱的特性を示すものである。
式(3)は、工程(A)で得られた加工物の工程(B)における温度(Tb)と、当該加工物に含まれる熱膨張性微小球を想定した膨張開始温度(Ts1)との差であり、工程(B)にて発泡倍率の大きい発泡成形体を製造するために必要な熱膨張性微小球の熱的特性を示すものである。
ここで、膨張開始温度(Ts0)とは、加熱処理する前の熱膨張性微小球の膨張開始温度をいう。また、膨張開始温度(Ts1)とは、温度(Ta)で3分間加熱処理した後の膨張開始温度をいう。後述の実施例で測定方法を詳しく説明する。
Ts0−Taの下限値は、5℃であり、好ましくは7℃、より好ましくは10℃である。Ts0−Taが5℃未満の場合、工程(A)で加熱加工する時に熱膨張性微小球が膨張してしまう。同様に、Ts0−Taの上限値は、20℃であり、好ましくは18℃、より好ましくは15℃である。Ts0−Taが20℃超の場合、加熱加工が不十分となる。例えば、工程(A1)、工程(A4)において、熱膨張性微小球と基材成分の混練、混合が不十分となる。また、工程(A2)においては基材成分の溶融が不十分となり、熱膨張性板状物の製造できないことがある。さらに工程(A2)では熱膨張性不織物の乾燥が不十分となってしまい、乾燥工程時間がながくなることがあり、熱膨張性微小球と基材成分との加熱加工が不十分となる。
Tb−Ts1の下限値は、20℃であり、好ましくは23℃、より好ましくは27℃である。Tb−Ts1が20℃未満の場合、熱膨張性微小球の膨張が不十分となり、発泡成形体の膨張倍率が低くなる。同様に、Tb−Ts1の上限値は、50℃であり、好ましくは47℃、より好ましくは45℃である。Tb−Ts1が50℃超の場合、熱膨張性微小球が「ヘタリ」の状態となり発泡成形体の発泡倍率が低くなる。
発泡成形体の発泡倍率の点から、熱膨張性微小球は、その最大膨張温度(Tmax0)が下記式(4)の関係を満たし、かつ温度(Ta)で3分間加熱処理した際の最大膨張温度(Tmax1)が下記式(4)の関係を満たすものであることが好ましい。
0℃≦Tmax0−Tb≦30℃ 式(4)
0℃≦Tmax1−Tb≦20℃ 式(5)
式(4)および式(5)は、工程(A)前後での熱膨張性微小球の最大膨張温度と工程(A)で得られた加工物の工程(B)における温度(Tb)との差であり、工程(B)にて発泡倍率の大きい発泡成形を製造するために必要な熱膨張性微小球の熱的特性を示している。
ここで、最大膨張温度(Tmax0)とは、加熱処理する前の熱膨張性微小球の最大膨張温度をいう。また、最大膨張温度(Tmax1)とは、温度(Ta)で3分間加熱処理した後の最大膨張温度をいう。後述の実施例で測定方法を詳しく説明する。
Tmax0−Tbの下限値は、0℃であり、好ましくは2℃、より好ましくは5℃である。Tmax0−Tbが0℃未満の場合、熱膨張性微小球が「ヘタリ」の状態となり発泡成形体の発泡倍率が低くなることがある。同様に、Tmax0−Tbの上限値は、30℃であり、好ましくは20℃、より好ましくは17℃、さらに好ましくは15℃である。Tmax0−Tbが30℃超の場合、熱膨張微小球の膨張が不十分になり、発泡成形体の発泡倍率が低くなることがある。
Tmax1−Tbの下限値は、0℃であり、好ましくは1℃、より好ましくは3℃である。Tmax1−Tbが0℃未満の場合、熱膨張性微小球が「ヘタリ」の状態となり発泡成形体の発泡倍率が低くなることがある。同様に、Tmax1−Tbの上限値は、20℃であり、好ましくは15℃、より好ましくは10℃である。Tmax1−Tbが20℃超の場合、熱膨張微小球の膨張が不十分になり、発泡成形体の発泡倍率が低くなることがある。
熱膨張性微小球の膨張開始温度(Ts0)は、上記の式(2)及び(3)を満足する範囲であれば特に限定されないが、好ましくは170〜200℃、より好ましくは173〜198℃、さらに好ましくは175〜195℃、特に好ましくは178〜193℃である。熱膨張性微小球の膨張開始温度が170℃未満であると十分な耐熱性が得られないことがある。一方、熱膨張性微小球の膨張開始温度が200℃を超えると十分な膨張倍率が得られないことがある。
熱膨張性微小球の膨張開始温度(Ts1)は、上記の式(3)を満足する範囲であれば特に限定されないが、好ましくは130〜170℃、より好ましくは135〜165℃、さらに好ましくは138〜160℃、特に好ましくは140〜158℃である。熱膨張性微小球の膨張開始温度が130℃未満であると十分な耐熱性が得られず、熱膨張性微小球が「ヘタリ」の状態となり目標の発泡倍率にならないことがある。一方、熱膨張性微小球の膨張開始温度が170℃を超えると、十分な膨張倍率が得られないことがある。
熱膨張性微小球の最大膨張温度(Tmax0)については、上記の式(4)及び(5)を満足する範囲であれば特に限定はないが、好ましくは185〜210℃、より好ましくは187〜208℃、さらに好ましくは190〜205℃、特に好ましくは192〜200℃である。熱膨張性微小球の最大膨張温度が185℃未満であると十分な耐熱性が得られないことがある。一方、熱膨張性微小球の最大膨張温度が210℃を超えると十分な膨張倍率が得られないことがある。
熱膨張性微小球の最大膨張温度(Tmax1)については、上記の式(5)を満足する範囲であれば特に限定はないが、好ましくは160〜200℃、より好ましくは170〜197℃、さらに好ましくは175〜195℃、特に好ましくは180〜192℃である。熱膨張性微小球の最大膨張温度が160℃未満であると、十分な耐熱性が得られず、熱膨張性微小球が「ヘタリ」の状態となり目標の発泡倍率の成形体が得られないことがある。一方、熱膨張性微小球の最大膨張温度が200℃を超えると、十分な膨張倍率が得られないことがある。
温度(Tb)は、発泡成形体の発泡倍率の点から、好ましくは160〜220℃、より好ましくは170〜200℃、さらに好ましくは175〜195℃である。該温度が160℃未満の場合、熱膨張性微小球の膨張が不十分となり、目標の発泡倍率が得られないことがある。一方、該温度が220℃超の場合、気化した発泡剤が熱膨張性微小球の外殻より外部へ抜け、熱膨張性微小球が収縮する「ヘタリ」の現象が起こり、目標の発泡倍率が得られないことがある。
外殻を構成する熱可塑性樹脂及びそれに内包される発泡剤の組み合わせにより、式(2)、(3)、(4)、(5)を満たす熱膨張性微小球を調製することができる。その結果、工程(A)で膨張せずに基材成分と十分に混練することができ、工程(B)にて発泡倍率の高い成形品が製造可能となる。
熱可塑性樹脂については、特に限定はないが、例えば、塩化ビニリデン共重合体、(メタ)アクリル酸系共重合体等の不飽和カルボン酸系共重合体、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体の不飽和カルボン酸エステル系共重合体、(メタ)アクリロニトリル系共重合体のニトリル系共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリロニトリル系共重合体等の不飽和カルボン酸−ニトリル系共重合体等が挙げられる。また、発泡剤については、特に限定はないが、例えば、ブタンやヘキサン、オクタンなどの沸点が200℃以下の発泡剤を1種もしくは2種以上組み合わせて熱膨張性微小球に内包させるか、200℃以下の発泡剤と、例えばドデカン、トリデカン等、沸点が200℃より高い発泡剤を2種以上組み合わせることが挙げられる。熱可塑性樹脂及び内包剤の詳細に関しては、以下に説明する。
重合性成分は、重合することによって、熱膨張性微小球の外殻を形成する熱可塑性樹脂となる成分である。重合性成分は、単量体成分を必須とし架橋剤を含むことがある成分である。単量体成分は、重合性二重結合を1個有するラジカル重合性単量体を意味し、付加重合可能な成分である。また、架橋剤は重合性二重結合を複数有するラジカル重合性単量体を意味し、橋架け構造を熱可塑性樹脂に導入する成分である。
重合性成分は、熱膨張性微小球のガスバリア性の点から、ニトリル系単量体を含むことが好ましい。ニトリル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル等が挙げられる。ニトリル系単量体は、熱膨張性微小球の耐熱性の点から、アクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリルを含有することが好ましく、メタクリロニトリルを必須に含有することが好ましい。
ニトリル系単量体に占めるメタクリロニトリルの重量割合は、好ましくは25〜50重量%、より好ましくは30〜40重量%、さらに好ましくは32〜38重量%である。
重合性成分に占めるニトリル系単量体の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85〜100重量%、さらに好ましくは90〜99重量%、特に好ましくは93〜98重量%である。該重量割合が80重量%未満の場合、耐熱性が低下し工程(A)時に膨張してしまうことがある。
重合性成分は、膨張挙動をコントロールしやすくなる点から、(メタ)アクリル酸エステル系単量体をさらに含んでもよい。なお、(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを意味する。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、特に限定はないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
重合性成分に占める(メタ)アクリル酸エステル系単量体の重量割合は、特に限定はないが、好ましくは20重量%未満、より好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%、特に好ましくは0.8〜2重量%である。該重量割合が20重量%以上の場合、熱膨張性微小球の耐熱性が低下し、発泡成形体の発泡倍率が低下することがある。
重合性成分は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記のニトリル系単量体や(メタ)アクリル酸エステル系単量体以外の他の単量体を含んでもよい。当該単量体としては、(メタ)アクリル酸アミド系単量体、スチレン系単量体、カルボキシル基含有単量体を挙げることができる。さらには、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル系単量体;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフイン系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;ビニルメチルケトン等のビニルケトン系単量体;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル系単量体;ビニルナフタリン塩等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸アミド系単量体としては、特に限定はないが、アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド等が挙げられる。
スチレン系単量体としては、特に限定はないが、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、p−ニトロスチレン、クロロメチルスチレン等が挙げられる。
カルボキシル基含有単量体としては、遊離カルボキシル基を1分子当たり1個以上有するものであれば特に限定はないが、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸等の不飽和ジカルボン酸;不飽和ジカルボン酸の無水物;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル等の不飽和ジカルボン酸モノエステル等が挙げられる。これらのカルボキシル基含有単量体は、1種又は2種以上を併用してもよい。カルボキシル基含有単量体は、一部又は全部のカルボキシル基が重合時や重合後に中和されていてもよい。
カルボキシル基含有単量体のカルボキシル基と反応する単量体としては、特に限定はないが、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ビニルグリシジルエーテル、プロペニルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、p−ヒドロキシスチレン等を挙げることができる。
重合性成分に占めるカルボキシル基含有単量体の重量割合は10重量%未満であることが好ましく、9重量%以下であることがより好ましい。重合性成分にカルボキシル基含有単量体が10%以上含まれると、熱膨張性微小球の耐熱性が向上し、工程(A)で膨張は抑制可能であるが、工程(B)にて膨張倍率が不十分となることがある。
重合性成分は、上述のとおり、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤を用いて重合することにより、得られる熱膨張性微小球では、内包された発泡剤の熱膨張時における保持率(内包保持率)の低下が抑制され、効果的に熱膨張させることができる。
架橋剤としては、特に限定はないが、例えば、ジビニルベンゼン等の芳香族ジビニル化合物;メタクリル酸アリル、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアネート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、PEG#200ジ(メタ)アクリレート、PEG#400ジ(メタ)アクリレート、PEG#600ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラアクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサアクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物等を挙げることができる。これらの架橋剤は、1種又は2種以上を併用してもよい。
架橋剤はなくてもよいが、その量については特に限定はなく、単量体成分100重量部に対して0〜3.0重量部であると好ましく、さらに好ましくは0.02〜1.5重量部、特に好ましくは0.02〜1.0重量部である。架橋剤が3.0重量部より多いと、熱膨張性微小球の膨張性が低下し、発泡成形体の発泡倍率が低くなることがある。
発泡剤は、加熱することで気化する成分であり、熱膨張性微小球の熱可塑性樹脂からなる外殻に内包されることによって、熱膨張性微小球は微小球全体として熱膨張性(微小球全体が加熱により膨らむ性質)を示すようになる。
発泡剤は特に限定されないが、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ナノデカン等の直鎖状炭化水素;イソブタン、イソペンタン、イソヘキサン、イソヘプタン、イソオクタン、イソノナン、イソデカン、イソドデカン、3−メチルウンデカン、イソトリデカン、4−メチルドデカン、イソテトラデカン、イソペンタデカン、イソヘキサデカン、2,2,4,4,6,8,8−ヘプタメチルノナン、イソヘプタデカン、イソオクタデカン、イソナノデカン、2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン等の分岐状炭化水素;シクロドデカン、シクロトリデカン、ヘキシルシクロヘキサン、ヘプチルシクロヘキサン、n−オクチルシクロヘキサン、シクロペンタデカン、ノニルシクロヘキサン、デシルシクロヘキサン、ペンタデシルシクロヘキサン、ヘキサデシルシクロヘキサン、ヘプタデシルシクロヘキサン、オクタデシルシクロヘキサン等の炭化水素;石油エーテル;それらのハロゲン化物;ハイドロフルオロエーテル等の含弗素化合物;テトラアルキルシラン;加熱により熱分解してガスを生成する化合物等が挙げられる。発泡剤は、直鎖状、分岐状、脂環状のいずれでもよく、脂肪族であるものが好ましい。
これらの発泡剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
工程(A)での膨張を抑制する点から、発泡剤は、炭素数13以上の炭化水素を含有することが好ましい。発泡剤に占める炭素数13以上の炭化水素の重量割合は、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは5〜33重量%、さらに好ましくは10〜25重量%である。
発泡剤は、さらに炭素数11以下の炭化水素を含有することが好ましい。発泡剤に占める炭素数11以下の炭化水素の重量割合は、好ましくは47〜85重量%、より好ましくは55〜80重量%、さらに好ましくは60〜75重量%である。
工程(A)での膨張を抑制し、工程(B)で高い膨張倍率を得る点から、発泡剤に占める炭素数13以上の炭化水素と炭素数11以下の炭化水素の合計の重量割合は、好ましくは70重量%超、より好ましくは73重量%超、さらに好ましくは80重量%超である。
熱膨張性微小球の膨張開始温度(Ts1)を調整し、工程(B)で高い膨張倍率を得る点から、発泡剤に占める炭素数12の炭化水素の重量割合は、好ましくは30重量%未満、より好ましくは27重量%未満、さらに好ましくは20重量%未満である。
発泡剤の内包率は、熱膨張性微小球の重量に対する熱膨張性微小球に内包された発泡剤の重量の百分率で定義される。発泡剤の内包率については、特に限定されないが、熱膨張性微小球の重量に対して、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜45重量%、さらに好ましくは5〜40重量%、特に好ましくは10〜30重量%である。
熱膨張性微小球の平均粒子径については特に限定されないが、好ましくは0.5〜200μm、より好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは3〜80μm、特に好ましくは7〜60μm、最も好ましくは10〜50μmである。平均粒子径が0.5μmより小さい場合、熱膨張性微小球の膨張性能が低くなることがある。一方、平均粒子径が200μmより大きい場合、反応安定性が低下する可能性があり、生産効率が悪化する場合がある。
熱膨張性微小球の粒度分布の変動係数CVは、特に限定されないが、好ましくは50%以下、さらに好ましくは45%以下、特に好ましくは40%以下である。変動係数CVは、以下に示す計算式(1)及び(2)で算出される。
Figure 2017057296
(式中、sは粒子径の標準偏差、<x>は平均粒子径、xはi番目の粒子径、nは粒子の数である。)
熱膨張性微小球の最大膨張倍率は、特に限定されないが、好ましくは3倍以上、より好ましくは10倍以上、さらにより好ましくは20倍以上、特に好ましくは30倍以上、さらに好ましくは50倍以上、最も好ましくは70倍以上である。一方、最大膨張倍率の上限値は、好ましくは200倍である。
熱膨張性微小球の製造方法は、重合性成分と、発泡剤と、重合開始剤とを含有する油性混合物を水性分散媒中に分散させ、前記重合性成分を重合させる工程(以下では、重合工程ということがある。)を含む製造方法である。
重合開始剤としては、特に限定はないが、ごく一般に用いられる過酸化物やアゾ化合物等を挙げることができる。
過酸化物としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジベンジルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール;クメンハイドロパーキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等のパーオキシエステルを挙げることができる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1‘−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等を挙げることができる。
重合開始剤の重量割合については、重合性成分100重量部に対して、好ましくは0.05〜10重量%であり、さらに好ましくは0.1〜8重量%、最も好ましくは0.2〜5重量%である。当該重量割合が0.05重量%未満である場合、重合されない重合性成分が残存し、熱膨張性微小球の流動性が悪くなることがある。当該重量割合が10重量%を超える場合、耐熱性が低下する。
熱膨張性微小球の製造方法では、油性混合物を水性分散媒中に分散させた水系懸濁液を調製し、重合性成分を重合させる。
水性分散媒は、油性混合物を分散させるイオン交換水等の水を主成分とする媒体であり、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールや、アセトン等の親水性有機性の溶媒をさらに含有してもよい。本発明における親水性とは、水に任意に混和できる状態であることを意味する。水性分散媒の使用量については、特に限定はないが、重合性成分100重量部に対して、100〜1000重量部の水性分散媒を使用するのが好ましい。
水性分散媒は、電解質をさらに含有してもよい。電解質としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、炭酸ナトリウム等を挙げることができる。これらの電解質は、1種又は2種以上を併用してもよい。電解質の含有量については、特に限定はないが、水性分散媒100重量部に対して0.1〜50重量部含有するのが好ましい。
水性分散媒は、水酸基、カルボン酸(塩)基及びホスホン酸(塩)基から選ばれる親水性官能基とヘテロ原子とが同一の炭素原子に結合した構造を有する水溶性1,1−置換化合物類、重クロム酸カリウム、亜硝酸アルカリ金属塩、金属(III)ハロゲン化物、ホウ酸、水溶性アスコルビン酸類、水溶性ポリフェノール類、水溶性ビタミンB類及び水溶性ホスホン酸(塩)類から選ばれる少なくとも1種の水溶性化合物を含有してもよい。なお、本発明における水溶性とは、水100gあたり1g以上溶解する状態であることを意味する。
水性分散媒中に含まれる水溶性化合物の量については、特に限定はないが、重合性成分100重量部に対して、好ましくは0.0001〜1.0重量部、さらに好ましくは0.0003〜0.1重量部、特に好ましくは0.001〜0.05重量部である。水溶性化合物の量が少なすぎると、水溶性化合物による効果が十分に得られないことがある。また、水溶性化合物の量が多すぎると、重合速度が低下したり、原料である重合性成分の残存量が増加したりすることがある。
水性分散媒は、電解質や水溶性化合物以外に、分散安定剤や分散安定補助剤を含有していてもよい。
分散安定剤としては、特に限定はないが、例えば、第三リン酸カルシウム、複分解生成法により得られるピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウムや、コロイダルシリカ、アルミナゾル、水酸化マグネシウム等を挙げることができる。これらの分散安定剤は、1種又は2種以上を併用してもよい。
分散安定剤の配合量は、重合性成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、さらに好ましくは0.5〜20重量部である。
分散安定補助剤としては、特に限定はないが、例えば、高分子タイプの分散安定補助剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤を挙げることができる。これらの分散安定補助剤は、1種又は2種以上を併用してもよい。
水性分散媒は、例えば、水(イオン交換水)に、水溶性化合物とともに、必要に応じて分散安定剤及び/又は分散安定補助剤等を配合して調製される。重合時の水性分散媒のpHは、水溶性化合物、分散安定剤、分散安定補助剤の種類によって適宜決められる。
熱膨張性微小球の製造方法では、水酸化ナトリウムや、水酸化ナトリウム及び塩化亜鉛の存在下で重合を行ってもよい。
本発明の製造方法では、所定粒子径の球状油滴が調製されるように油性混合物を水性分散媒中に懸濁分散させる。
油性混合物を懸濁分散させる方法としては、例えば、ホモミキサー(例えば、特殊機化工業株式会社製)等により攪拌する方法や、スタティックミキサー(例えば、株式会社ノリタケエンジニアリング社製)等の静止型分散装置を用いる方法、膜懸濁法、超音波分散法等の一般的な分散方法を挙げることができる。
次いで、油性混合物が球状油滴として水性分散媒に分散された分散液を加熱することにより、懸濁重合を開始する。重合反応中は、分散液を攪拌するのが好ましく、その攪拌は、例えば、単量体の浮上や重合後の熱膨張性微小球の沈降を防止できる程度に緩く行えばよい。
重合温度は、重合開始剤の種類によって自由に設定されるが、好ましくは30〜100℃、さらに好ましくは40〜90℃の範囲で制御される。反応温度を保持する時間は、1〜20時間程度が好ましい。重合初期圧力については特に限定はないが、ゲージ圧で0〜5MPa、さらに好ましくは0.1〜3MPaの範囲である。
熱膨張性微小球の製造方法では、重合後のスラリー(熱膨張性微小球含有分散液)に金属塩を添加し、カルボキシル基とイオン架橋を形成させてもよく、金属を含有する有機化合物で表面処理してもよい。
金属塩は、2価以上の金属カチオンが好ましく、例えばAl、Ca、Mg、Fe、Ti、Cu等が挙げられる。添加のしやすさから、水溶性が好ましいが、非水溶性でも構わない。金属含有有機化合物は、表面処理効率より、水溶性であると好ましく、周期表3〜12に属する金属を含有する有機化合物であると、耐熱性がさらに向上するため好ましい。
得られたスラリーを遠心分離機、加圧プレス機、真空脱水機等により濾過し、含水率10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%、更に好ましくは20〜40重量%のケーキ状物とし、ケーキ状物を、棚型乾燥機、間接加熱乾燥機、流動乾燥機、真空乾燥機、振動乾燥機、気流乾燥機等により乾燥し、含水率6重量%以下、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは4重量%以下の乾燥粉体とする。
イオン性物質の含有量を低減させる目的で、ケーキ状物を水洗及び/又は再分散後に再濾過し、乾燥させても構わない。また、スラリーを噴霧乾燥機、流動乾燥機等により乾燥し、乾燥粉体を得てもよい。
[発泡成形体]
本発明の製造方法で得られた発泡成形体は、均一に独立した気泡が内部又は表面付近に形成され、かつ外観が良好で、発泡倍率の高いものである。
本発明の発泡成形体の均一に独立した気泡の割合(独立気泡率)は、特に限定はないが、好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上、特に好ましくは65%以上、最も好ましくは80%以上である。均一に独立した気泡率の上限値は100%である。均一に独立した気泡率が50%未満であると、連通気泡が多くなり、得られた発泡成形体の強度が弱くなるため好ましくない。一方で、均一に独立した気泡率が高い発泡成形体は、強度に優れ、また、断熱性にすぐれた発泡成形体となり、好ましい。なお、独立気泡率の評価方法は、実施例で説明する。
本発明の発泡成形体の表面の凹みは、好ましくは15カ所以下、より好ましくは5か所未満である。表面の凹凸が15カ所より多くなると、得られた発泡成形体の外観が不良で、強度が弱くなることがあり、好ましくない。発泡成形体の表面の凹凸が5か所未満であると、得られた発泡成形体の外観が良好で、強度も優れているため好ましい。なお、表面状態の評価方法は、実施例で説明する。
本発明の発泡成形体の発泡倍率は、好ましくは1.2〜4倍、より好ましくは1.3〜3倍である。発泡倍率が4倍超であると、得られた発泡成形体の強度が低くなることがある。なお、発泡倍率の評価方法は、実施例で説明する。
本発明の発泡成形体において、熱膨張成微小球によって発泡成形体内部に造孔された気泡径は、好ましくは30〜400μm、より好ましくは50〜300μm、さらに好ましくは70〜250μmである。発泡成形体の気泡径が30μmよりも小さい場合は、得られた発泡成形体の発泡倍率が低くなることがある。一方、発泡成形体の気泡径が400μmよりも大きい場合、得られた発泡成形体の強度が低くなることがある。なお、気泡径の評価方法は、実施例で説明する。
本発明の発泡成形体は、例えば、軽量で断熱性に優れているため、床材や壁材、埋め込みのパネル材等の建築資材、自動車のバンパーやインパネ等の内外装材、電化製品部品等の用途に特に好適である。
以下に、本発明の発泡成形体の製造方法の実施例について、具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、断りのない限り、「%」とは「重量%」を意味するものである。
また、以下で用いる熱膨張性微小球、実施例および比較例で成形した発泡成形体について次に示す要領で物性の評価を行った。熱膨張性微小球を単に微小球ということがあり、発泡成形体を単に成形体ということがある。
〔平均粒子径と粒度分布の測定〕
レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC社製、HEROS&RODOS)を使用した。乾式分散ユニットの分散圧は5.0bar、真空度は5.0mbarで乾式測定法により測定し、D50値を平均粒子経とした。
〔含水率の測定〕
測定装置として、カールフィッシャー水分計(MKA−510N型、京都電子工業株式会社)を用いて測定した。
〔膨張開始温度(Ts0)および最大膨張温度(Tmax0)の測定〕
測定装置として、DMA(DMA Q800型、TA instruments社製)を使用した。微小球0.5mgを直径6.0mm(内径5.65mm)、深さ4.8mmのアルミカップに入れ微小球層の上部にアルミ蓋(直径5.6mm、0.1mm)をのせて試料を準備した。その試料に上から加圧子により0.01Nの力を加えた状態でサンプル高さを測定した。加圧子により0.01Nの力を加えた状態で、20℃から300℃まで10℃/minの昇温速度で加熱し、加圧子の垂直方向における変位量を測定した。正方向への変位開始温度を膨張開始温度(Ts0)とし、最大変位量を示したときの温度を最大膨張温度(Tmax0)として測定した。
〔膨張開始温度(Ts1)および最大膨張温度(Tmax1)の測定〕
アルミ箔で縦12cm、横13cm、高さ9cmの底面の平らな箱を作成し、その中に、微小球1.0gを均一になるように入れ、ギア式オーブン中に入れ、所定の温度(Ta)で3分加熱した微小球について、上記測定方法で膨張開始温度(Ts1)および最大膨張温度(Tmax1)を測定した。
〔発泡倍率〕
熱膨張成微小球を含まずに成形した成形体の比重を発泡成形体の比重で除した値を算出し、発泡倍率とした。成形体の比重はK−7112 A法(水中置換法)に準拠した方法により測定を実施した。
〔気泡状態〕
電子顕微鏡(SEM)装置を用いて、得られた成形体断面の気泡状態の確認を行った。30倍で撮影したSEM写真から、単位面積あたりに占める独立気泡の割合を算出し、以下の評価基準に基づいて判定した。
◎:均一独立(独立気泡率80%以上)
○:ほぼ均一独立(独立気泡率が50%以上80%未満)
×:不均一(独立気泡率が50%未満)
〔表面状態〕
得られた成形体表面の縦15cm、横15cmの範囲を目視により確認し、以下の評価基準に基づいて判定。
○:良好(ガス抜けや分散不十分による凹が5カ所未満の表面荒れのない状態)
△:やや不良(ガス抜けや分散不十分による凹が5〜10カ所の表面荒れがやや確認される状態)
×:不良(ガス抜けや分散不十分による凹が10カ所より多く、表面荒れが確認される状態)
〔熱膨張性微小球の調製〕
〔製造例1〕
イオン交換水600gに、塩化ナトリウム120g、シリカ有効成分20重量%であるコロイダルシリカ45g、ジエタノールアミン−アジピン酸縮合物3g及びエチレンジアミン四酢酸・4Na塩2%水溶液2gを加え、pHを2.8〜3.2に調整し、水性分散媒を調製した。
これとは別に、アクリロニトリル155g、メタクリロニトリル79g、メタアクリル酸メチル15g、エチレングリコールジメタクリレート1g、2−2’−アゾビスイソブチロニトリル1.5g、イソペンタン8g、イソオクタン32g、イソドデカン5g、イソヘキサンデカン25gを混合して油性混合物を調整した。
水性分散媒と油性混合物を混合し、得られた混合物をホモミキサー(特殊機化工業社製、TKホモミキサー)により分散して、懸濁液を調製した。この懸濁液を容量1.5リットルの加圧反応器に移して窒素置換をしてから反応初期圧0.5MPaにし、80rpmで攪拌しつつ重合温度60℃で20時間重合した。重合後に得られた重合液を濾過、乾燥して、熱膨張性微小球1を得た。得られた熱膨張性微小球1の物性を表1に示す。
〔製造例2〜12〕
製造例1で用いた各種成分および量を、表1に示すものに変更する以外は製造例1と同様にして熱膨張性微小球2〜12をそれぞれ得た。得られた熱膨張性微小球2〜12のそれぞれの物性を表1に示す。なお、表1の各種成分の略号の詳細を表2に示す。
Figure 2017057296
Figure 2017057296
次に、製造例1〜12にて調製した微小球を使用し、発泡成形体を作製した。
〔実施例1−1〕
ポリプロピレン(日本ポリプロピレン社製、ノバテックPP MA3H)100重量部とタルク(日本タルク社製、ミクロエースP−3、平均粒子径5.0μm)30重量部、酸変性ポリプロピレン樹脂(三洋化成社製、ユーメックス1010)10重量部、製造例1で得られた微小球1を6重量部配合し、ハイスピードミキサー(アーステクニカ社製、FS10型)でTa=180℃になるまで加熱混合して原材料の混練物を得た。
得られた原材料の混練物を押出成形機であるラボプラストミル(東洋精機社製)の原料供給口から供給し、シリンダー内での混練物の温度(Tb)を195℃、Tダイ(幅150mm、リップ厚み1.7mm)の温度を195℃とし、スクリュー回転数40rpmで溶融混合物を押出し、板状発泡成形体(幅148mm、厚み1.6mm)を得た。
〔実施例1−2〜1−7、比較例1−1〜1−5〕
実施例1−1において、微小球1、混合温度(Ta)、シリンダー内での混練物の温度(Tb)、Tダイの温度を表3に示すものに変更する以外は実施例1−1と同様にして、各発泡成形体を得た。得られた各発泡成形体について、起泡状態、表面状態、発泡倍率の評価をした。その結果を表3に示す。
Figure 2017057296
〔実施例2−1〕
50重量部の製造例3にて作成した微小球3、2重量部の流動性パラフィンオイル(PW−200)および48重量部の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、UJ370、融点121℃、MFR=16g/10min)をリボンミキサーでブレンドし、ラボプラストミル(東洋精機社製)のシリンダー温度及びダイ温度(Ta)をすべて175℃とし、回転数30rpmで直径2mmのストランド状に押出した。得られたストランドを空冷した後、ペレタイザーにて長さ4mmの俵状のペレットとし、熱膨張性微小球3を50重量%含有したマスターバッチを得た。
得られたマスターバッチと低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、UJ960、融点126℃、MFR=5g/10min)とを、重量比4:96で混合し、樹脂混合物とした。このとき、樹脂成分と発泡成分との混合割合は2:98であった。
押出成形機であるラボプラストミル(東洋精機社製)を準備し、その原料供給口から樹脂混合物を供給した。シリンダー内での溶融混練物の温度(Tb)を185℃、Tダイ(幅150mm、リップ厚み1.7mm)の温度を185℃とし、スクリュー回転数40rpmで溶融混合物を押出し、板状発泡成形体(幅145mm、厚み1.6mm)を得た。
〔実施例2−2〜2−8、比較例2−1〜2−5〕
実施例2−1において、各種成分及びその配合量並びに各種温度を表4に示すものに変更する以外は実施例2−1と同様にして、各発泡成形体を得た。得られた各発泡成形体について、起泡状態、表面状態、発泡倍率の評価をした。その結果を表4に示す。
Figure 2017057296
〔実施例3−1〕
50重量%のガラス繊維、45重量%のポリプロピレン樹脂繊維、5重量%のポリプロピレン樹脂粒子で構成された不織物(ウェブ)を100重量部準備し、そこに10重量部の製造例1で得られた微小球1を均一に付着するよう散布し、基材成分と熱膨張性微小球の混合物を得た。
得られた混合物を温度(Ta)180℃に加熱した熱プレス機により3分間、プレス盤の間隔を1mm、0.5MPaで加熱、加圧した。その後、2mmのクリアランスを設けた冷却盤間に配置して冷却し、熱膨張性板状物を得た。
得られた熱膨張性板状物を熱風オーブンにて温度(Tb)190℃で加熱し、厚みが15mm、表面の凹みが殆ど確認されない発泡成形体が得られた。
この時の微小球1のTs1は150℃、Tmax1は195℃、Tb−Taは10℃、Ts0−Taは19℃、Tb−Ts1は40℃、Tmax0−Tbは19℃、Tmax1−Tbは5℃となった。
〔実施例3−2〕
60重量部のガラス繊維、15重量部のポリエチレンテレフタラート樹脂繊維、15重量部のポリエチレン樹脂繊維、10重量部の製造例5で得られた微小球5を水中で分散、混合し、その後カチオン性エポキシ樹脂を10部添加して混合した。その後、抄造機にて脱水、抄造し、熱風ドライヤーにて温度(Ta)165℃、5分間加熱して乾燥し、ポリエチレン樹脂繊維を溶融させてガラス繊維、ポリプロピレン樹脂繊維、微小球5を接着させ、厚み0.3mmの熱膨張性不織物を得た。得られた熱膨張性不織物を熱風オーブンにて温度(Tb)185℃で加熱し、厚みが1.1mm、表面の凹みが殆ど確認されない発泡成形体が得られた。
この時の微小球1のTs1は138℃、Tmax1は185℃、Tb−Taは20℃、Ts0−Taは15℃、Tb−Ts1は47℃、Tmax0−Tbは8℃、Tmax1−Tbは0℃となった。
〔実施例3−3〕
オレフィン系エラストマー(住友化学製、エスポクレックス4855)100重量部、0.5重量部の流動性パラフィンオイル(PW−200)、製造例3で得られた微小球3を8部配合し、リボンミキサーでブレンドし、樹脂混合物を得た。
押出成形機であるラボプラストミル(東洋精機社製)を準備し、その原料供給口から樹脂混合物を供給した。シリンダー内での溶融混練物および、Tダイ(幅150mm、リップ厚み1.7mm)の温度(Ta)を175℃とし、スクリュー回40rpmで溶融混合物を押出し、板状熱膨張性成形体(幅148mm、厚み1.6mm)を得た。
得られた板状熱膨張性成形体を表面温度(Tb)が185℃となるように熱風照射機を使用して熱風を吹き付け、成形体表面全体がマット調となった発泡成形体が得られた。発泡成形体表面部分をSEMにて観察した結果、均一に独立した気泡が形成されており、気泡径は160μmであった。
この時の微小球3のTs1は142℃、Tmax1は188℃、Tb−Taは10℃、Ts0−Taは14℃、Tb−Ts1は43℃、Tmax0−Tbは15℃、Tmax1−Tbは3℃となった。
表3、4、実施例3−1、3−2、3−3からわかるように、式(1)、(2)、(3)のいずれも充足する条件で得られた実施例の発泡成形体は、式(1)、(2)、(3)のいずれかを充足しない条件で得られた比較例の発泡成形体と比較して、成形性、起泡状態、表面状態、発泡倍率のいずれも優れていることがわかる。
11 熱可塑性樹脂からなる外殻
12 発泡剤

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂からなる外殻とそれに内包されかつ加熱することによって気化する発泡剤とから構成される熱膨張性微小球と、塩化ビニル系樹脂を除く基材成分とを含有する組成物を温度(Ta)で加熱加工する工程(A)と、
    前記工程(A)で得られた加工物を用いて、温度(Tb)で発泡成形する工程(B)とを含み、
    前記温度(Ta)と前記温度(Tb)が下記式(1)の関係にある発泡成形体の製造方法であって、
    前記熱膨張性微小球が、その膨張開始温度(Ts0)が下記式(2)の関係を満たし、かつ温度(Ta)で3分間加熱処理した際の膨張開始温度(Ts1)が下記式(3)の関係を満たすものである、
    発泡成形体の製造方法。
    −5℃≦Tb−Ta≦25℃ 式(1)
    5℃≦Ts0−Ta≦20℃ 式(2)
    20℃≦Tb−Ts1≦50℃ 式(3)
  2. 前記温度(Ta)が150℃〜180℃である、請求項1に記載の発泡成形体の製造方法。
  3. 前記熱膨張性微小球が、その最大膨張温度(Tmax0)が下記式(4)の関係を満たし、かつ温度(Ta)で3分間加熱処理した際の最大膨張温度(Tmax1)が下記式(4)の関係を満たすものである、請求項1又は2に記載の発泡成形体の製造方法。
    0℃≦Tmax0−Tb≦30℃ 式(4)
    0℃≦Tmax1−Tb≦20℃ 式(5)
  4. 前記熱可塑性樹脂が、ニトリル系単量体を含む重合性成分を重合して得られる、請求項1〜3のいずれかに記載の発泡成形体の製造方法。
  5. 前記重合性成分に占めるニトリル系単量体の重量割合が80重量%以上である、請求項4に記載の発泡成形体の製造方法。
  6. 前記重合性成分に占めるカルボキシル基含有単量体の重量割合が10重量%未満である、請求項4又は5に記載の発泡成形体の製造方法。
  7. 前記発泡剤が、炭素数13以上の炭化水素を含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の発泡成形体の製造方法。
  8. 前記発泡剤が、さらに炭素数11以下の炭化水素を含有し、
    発泡剤に占める、炭素数13以上の炭化水素と炭素数11以下の炭化水素の合計の重量割合が70重量%超であり、炭素数12の炭化水素の重量割合が30重量%未満である、請求項7に記載の発泡成形体の製造方法。
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