JP2017055751A - 弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法 - Google Patents

弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017055751A
JP2017055751A JP2015186115A JP2015186115A JP2017055751A JP 2017055751 A JP2017055751 A JP 2017055751A JP 2015186115 A JP2015186115 A JP 2015186115A JP 2015186115 A JP2015186115 A JP 2015186115A JP 2017055751 A JP2017055751 A JP 2017055751A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
raw material
material liquid
milk
weakly acidic
protein
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2015186115A
Other languages
English (en)
Inventor
由春 奈良原
Yoshiharu Narahara
由春 奈良原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Meiji Co Ltd
Original Assignee
Meiji Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Meiji Co Ltd filed Critical Meiji Co Ltd
Priority to JP2015186115A priority Critical patent/JP2017055751A/ja
Publication of JP2017055751A publication Critical patent/JP2017055751A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Dairy Products (AREA)
  • Grain Derivatives (AREA)
  • Jellies, Jams, And Syrups (AREA)

Abstract

【課題】 タンパク質の凝集が抑制され、風味や食感が良好であり、品質や物性が安定した、乳成分を含む弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法を提供する。【解決手段】 本発明の弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法は、乳成分を含む原料液にクエン酸塩を配合する工程と、原料液に増粘剤を配合する工程と、原料液のpHを弱酸性に調整する工程と、原料液を殺菌する工程とを含み、原料液中の脂肪/タンパク質の重量比が1.8以下であるので、製造過程においてタンパク質の凝集を抑制することができる。【選択図】 なし

Description

本発明は、弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法に関し、より詳細には、タンパク質の凝集が抑制され、風味や食感が良好であり、品質や物性が安定した、弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法に関する。
弱酸性(たとえば、pH領域=5.1〜6.5)のゲル状乳加工品として、たとえばフルーツ、コーヒー、ヨーグルトおよびチーズなどの風味を持つチルド乳加工品などがある。このような弱酸性のゲル状乳加工品は、弱酸性であるために酸味が適度であり、酸味と甘味のバランスが良い自然な乳風味を有する。
しかし、一般的に、乳タンパク質などの乳成分を含む弱酸性のゲル状乳加工品では、製造過程において、たとえば弱酸性のpH環境下で加熱殺菌する際などに、乳タンパク質が顕著に凝集してしまうなどの問題があった。そのため、一般的に、酸性(pH領域=4.5以下)および中性(pH領域=6.6〜7.3)のゲル状乳加工品については商業的に安定して製造できていたのに対し、弱酸性のゲル状乳加工品については商業的に安定して製造できていなかった。
弱酸性の乳加工品の製造方法において乳タンパク質の熱安定性を高めるため、引用文献1には、タンパク質に対して脂肪分を質量比で4倍以上かつリン酸塩を質量比で0.24倍以上含有した混合原料を熱処理することが開示されている。この方法により、乳タンパク質の熱安定性を高めることができる。しかし、この方法では、脂肪分が少ない乳加工品への適用が困難であり、またリン酸塩の添加量が多いため風味を改善する必要があった。
また、引用文献2には、タンパク質含有ゲル状飲食品の弱酸性域における凝集物形成を抑制するため、タンパク質の保護作用を有する安定剤として使用されるカラギーナンを添加することが開示されている。ここで、弱酸性の乳加工品において、タンパク質濃度が1重量%程度の低濃度であれば、引用文献2に記載のようにカラギーナンを添加することにより、原料液を超高温(UHT)殺菌(約130〜140℃、数秒間)などにより加熱殺菌した場合にも、タンパク質の凝集を抑制することも可能である。しかし、弱酸性の乳加工品では、一般的に、通常のプリンのような美味しさやコク味を付与するために、約2重量%を超えるタンパク質濃度が必要である。タンパク質濃度が約2重量%を超える弱酸性の乳加工食品では、カラギーナンを添加した場合にも、原料液を超高温(UHT)殺菌(約130〜140℃、数秒間)などにより加熱殺菌する際にタンパク質が凝集するおそれが高い。
特開2005-073576号公報 特開2013-215148号公報
上述したように、従来の方法では、脂肪分が少ない弱酸性のゲル状乳加工品やタンパク質濃度が約2重量%を超える弱酸性のゲル状乳加工品において、製造過程でのタンパク質の凝集を抑制することが困難である。そのため、従来の方法では、弱酸性のゲル状乳加工品の安定した品質を確保することができない。
乳タンパク質などの乳成分を含む弱酸性のチルドデザートなどのゲル状乳加工品を商業的に安定して製造できれば、酸味が適度であり、酸味と甘味のバランスが良い自然な乳風味のゲル状乳加工品を提供することができる。たとえば、フルーツ、コーヒー、ヨーグルトおよびチーズなどの風味との相性が良いゲル状乳加工品を提供することができる。
本発明は、タンパク質の凝集が抑制され、風味や食感が良好であり、品質や物性が安定した、乳成分を含む弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、クエン酸塩を配合するとともに、タンパク質に対する脂肪の割合を所定の割合に調節することによって、タンパク質の凝集を抑制できることを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づき本発明を完成させた。
すなわち本発明は、乳成分を含む原料液にクエン酸塩を配合する工程と、原料液に増粘剤を配合する工程と、原料液のpHを弱酸性に調整する工程と、原料液を殺菌する工程とを含み、原料液中の脂肪/タンパク質の重量比が1.8以下である、弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法を提供する。
また本発明は、上記製造方法において、原料液を均質化する工程をさらに含む、弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法を提供する。
また本発明は、乳成分、クエン酸塩および増粘剤を含み、脂肪/タンパク質の重量比が1.8以下である、弱酸性のゲル状乳加工品を提供する。
また本発明は、上記製造方法によって製造された、弱酸性のゲル状乳加工品を提供する。
また本発明は、乳成分を含む原料液にクエン酸塩を配合する工程と、原料液に増粘剤を配合する工程と、原料液のpHを弱酸性に調整する工程と、原料液を殺菌する工程とを含み、原料液中の脂肪/タンパク質の重量比が1.8以下である、弱酸性のゲル状乳加工品においてタンパク質の凝集を抑制する方法を提供する。
本発明によれば、弱酸性のゲル状乳加工品の製造過程においてタンパク質の凝集を抑制することができるため、風味や食感が良好であり、品質や物性が安定した、弱酸性のゲル状乳加工品を製造することができる。
〔弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法〕
本発明の一つの態様において、弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法は、弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法であって、乳成分を含む原料液にクエン酸塩を配合する工程と、原料液に増粘剤を配合する工程と、原料液のpHを弱酸性に調整する工程と、記原料液を殺菌する工程とを含み、原料液中の脂肪/タンパク質の重量比が1.8以下である。
本明細書において「弱酸性」とは、乳の等電点〜中性の範囲のpHであること、たとえばpHが5.1〜6.5であることをいう。本明細書において「ゲル状乳加工品」とは、生乳、牛乳または乳製品などを主原料としたゲル状の加工品をいい、たとえばプリンやゼリーなどの半固形状または固形状の製品を含む。本発明の弱酸性のゲル状乳加工品は、たとえばフルーツ、コーヒー、ヨーグルトおよびチーズなどの風味を持つチルドタイプの製品を含む。
本発明の弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法は、乳成分を含む原料液にクエン酸塩を配合する工程を含む。
本明細書において「原料液」とは、弱酸性のゲル状乳加工品の原料となる組成物であり、乳成分を含む。乳成分は、たとえば、生乳、牛乳、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、全脂濃縮乳、脱脂濃縮乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、乳清(ホエイ)、ホエイパウダー、脱塩ホエイ、脱塩ホエイパウダー、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)、ホエイタンパク質分離物(WPI)、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン、乳タンパク質濃縮物(MPC)、カゼイン、ナトリウムカゼイネート、カルシウムカゼイネート、クリーム、発酵クリーム、コンパウンドクリーム、クリームパウダー、バター、発酵バター、バターミルク、バターミルクパウダーおよびバターオイル等を含む。原料液は、乳成分を2種以上で含んでもよい。
本発明において、原料液中の脂肪/タンパク質の重量比は、1.8以下であればよく、好ましくは1.5以下である。また、原料液中の脂肪/タンパク質の重量比は、特に限定されないが、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上である。本明細書において、「脂肪/タンパク質の重量比」は、原料液に含まれる脂肪の重量/該原料液に含まれるタンパク質の重量の比を表す。脂肪/タンパク質の重量比が上述した範囲であれば、弱酸性のゲル状乳加工品の製造過程においてタンパク質の凝集を効果的に抑制することができる。
クエン酸塩として、たとえばクエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸鉄およびクエン酸鉄ナトリウムなどを用いることができ、好ましくはクエン酸三ナトリウムである。
本発明において、原料液中のタンパク質/クエン酸塩の重量比は、特に限定されないが、20以下であってもよく、好ましくは16以下、より好ましくは12.5以下である。また、タンパク質/クエン酸塩の重量比は、特に限定されないが、好ましくは1以上、より好ましくは5以上である。タンパク質/クエン酸塩の重量比は、原料液に含まれるタンパク質の重量/該原料液に添加されるクエン酸塩の重量の比を表す。タンパク質/クエン酸塩の重量比が上述した範囲であれば、弱酸性のゲル状乳加工品の製造過程においてタンパク質の凝集をさらに効果的に抑制することができる。また、クエン酸塩の配合量は、たとえば、0.15重量部以上1.0重量部以下、好ましくは0.15重量部以上0.5重量部以下であってもよい。
クエン酸塩は、原料液に含まれる他の成分と同時に原料液に配合されてもよいし、他の成分が配合される前または後に単独で原料液に配合されてもよい。
本発明の弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法はまた、原料液に増粘剤を配合する工程を含む。原料液に増粘剤を配合する工程は、クエン酸塩を配合する工程の前、クエン酸塩を配合する工程の後およびクエン酸塩を配合する工程と同時のいずれに行ってもよい。増粘剤は、原料液に含まれる他の成分と同時に原料液に配合されてもよいし、他の成分が配合される前または後に単独で原料液に配合されてもよい。増粘剤には、たとえばカラギーナン、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびその塩、ペクチン並びにグアーガムなどを用いることができ、好ましくはカラギーナンである。
本発明の弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法は、原料液にゲル化剤を配合する工程をさらに含んでもよい。原料液にゲル化剤を配合する工程は、クエン酸塩を配合する工程の前、クエン酸塩を配合する工程の後およびクエン酸塩を配合する工程と同時のいずれに行ってもよい。ゲル化剤は、原料液に含まれる他の成分と同時に原料液に配合されてもよいし、他の成分が配合される前または後に単独で原料液に配合されてもよい。ゲル化剤には、たとえばゼラチンおよび寒天などを用いることができる。
原料液は、さらに、たとえば、水、脂質、タンパク質、糖類、多糖類、香味成分、香料、色素、ミネラル(塩類)、ビタミンおよびその他の食品用添加物等を含んでもよい。
本発明の弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法はまた、原料液のpHを弱酸性に調整する工程を含む。原料液のpHを弱酸性に調整する工程は、クエン酸塩を配合する工程の前、クエン酸塩を配合する工程の後、増粘剤を配合する工程の前および増粘剤を配合する工程の後のいずれに行ってもよいが、より正確にpHを調整するため、好ましくはクエン酸塩を配合する工程および増粘剤を配合する工程の後に行うことができる。原料液のpHを弱酸性に調整する方法としては、たとえば酸性材料を混合させることにより弱酸性に調整する方法を用いることができる。酸性材料は、たとえば、クエン酸、コハク酸、グルコン酸、酒石酸および乳酸などのpH調整剤であってもよい。また、酸性材料は、酸性を呈する香味成分であってもよく、たとえば、イチゴ、ブドウ、パイナップル、リンゴ、柑橘類、ベリー類、バナナおよびマンゴーなどの果汁類;コーヒー、ココア、紅茶、抹茶および緑茶などの茶類;トマト、ニンジンおよびほうれん草などの野菜汁類;並びに上述した果汁類、茶類および野菜汁類のエキスおよびフレーバーなどを含む。
本発明の弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法はまた、原料液を殺菌する工程を含む。原料液を殺菌する工程は、クエン酸塩を配合する工程の前、クエン酸塩を配合する工程の後、増粘剤を配合する工程の前、増粘剤を配合する工程の後、原料液のpHを弱酸性に調整する工程の前および原料液のpHを弱酸性に調整する工程の後のいずれに行ってもよいが、手間を少なくする観点から、好ましくはクエン酸塩を配合する工程、増粘剤を配合する工程および原料液のpHを弱酸性に調整する工程の後に行うことができる。原料液を殺菌する方法として、特に限定されないが、たとえば、加熱殺菌する方法および高圧殺菌する方法などを利用することができる。加熱殺菌する場合には、食品分野において通常で用いられる方法および設備により加熱殺菌することができ、たとえば、低温保持殺菌法(LTLT)、高温保持殺菌法(HTLT)、高温短時間殺菌法(HTST)および超高温瞬間殺菌法(UHT)などの方法を用いることができる。また、加熱殺菌する場合には、たとえば、間接加熱式殺菌機(プレート式殺菌機およびチューブ式殺菌機等)、直接加熱式殺菌機(スチームインジェクション式殺菌機およびスチームインフュージョン式殺菌機等)、通電加熱式殺菌機、レトルト殺菌機、撹拌・調温の機能付きのタンクおよび撹拌・調温・減圧・均質化の機能付きのタンクなどの設備を用いることができる。原料乳を殺菌する温度および時間は、適宜設定することができる。
本発明の製造方法は、原料液を均質化する工程をさらに含んでもよい。本明細書において「原料液を均質化する」とは、原料液に含まれるタンパク質および/または脂質によって構成される粒子を細かく粉砕(微細化)することをいう。原料液を均質化する工程は、たとえば、クエン酸塩を配合する工程の前、クエン酸塩を配合する工程の後、増粘剤を配合する工程の前、増粘剤を配合する工程の後、原料液のpHを弱酸性に調整する工程の前、原料液のpHを弱酸性に調整する工程の後、原料液を殺菌する工程の前および原料液を殺菌する工程の後のいずれにおいて行ってもよい。手間を少なくして製造工程を簡略化する等の観点から、原料液を均質化する工程は、好ましくは、原料液を殺菌する工程の前(直前)に行うことができる。原料液を均質化する工程では、食品分野において通常で用いられる方法および設備を用いることができ、たとえば、ホモミキサー(乳化機)、ホモゲナイザー(均質機)、ホモディスパーおよび撹拌・調温・減圧・均質化の機能付きのタンクなどの設備を用いることができる。
本発明の製造方法は、原料液または製造された弱酸性のゲル状乳加工品を容器に充填する工程をさらに含んでもよい。容器に充填する工程は、原料液を殺菌する工程より前および原料液を殺菌する工程の後のいずれにおいて行ってもよいが、加熱履歴の効率の観点から、好ましくは原料液を殺菌する工程の後に行うことができる。なお、容器は、弱酸性のゲル状乳加工品(デザート)の製造において一般的に用いられる容器であることができ、たとえば、プラスチック製、ガラス製、金属製および紙製等の容器を用いることができる。弱酸性のゲル状乳加工品には乳が含まれるため、風味の保持の観点から、好ましくは光透過性が低い容器を用いることができる。
〔弱酸性のゲル状乳加工品〕
また、本発明は、弱酸性のゲル状乳加工品を提供する。本発明の弱酸性のゲル状乳加工品は、乳成分、クエン酸塩および増粘剤を含む。乳成分、クエン酸塩および増粘剤としては、上述した弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法の説明において例示したものを使用することができる。
本発明の弱酸性のゲル状乳加工品において、脂肪/タンパク質の重量比は、1.8以下であればよく、好ましくは1.5以下である。また、原料液中の脂肪/タンパク質の重量比は、特に限定されないが、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上である。脂肪/タンパク質の重量比が上述した範囲であれば、弱酸性のゲル状乳加工品の製造過程においてタンパク質の凝集を効果的に抑制することができる。
本発明の弱酸性のゲル状乳加工品において、タンパク質/クエン酸塩の重量比は、特に限定されないが、たとえば20以下であればよく、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、さらに好ましくは13以下である。また、タンパク質/クエン酸塩の重量比は、特に限定されないが、好ましくは1以上、より好ましくは5以上である。タンパク質/クエン酸塩の重量比がこのような範囲であれば、弱酸性のゲル状乳加工品の製造過程においてタンパク質の凝集をさらに効果的に抑制することができる。また、クエン酸塩の配合量は、たとえば、0.15重量部以上1.0重量部以下、好ましくは0.15重量部以上0.5重量部以下であってもよい。
本発明の弱酸性のゲル状乳加工品は、ゲル化剤をさらに含んでもよい。ゲル化剤としては、上述した弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法の説明において例示したものを使用することができる。また、本発明の弱酸性のゲル状乳加工品は、さらに、たとえば、水、脂質、タンパク質、糖類、多糖類、香味成分、香料、色素、ミネラル(塩類)、ビタミンおよびその他の食品用添加物等を含んでもよい。
また、本発明は、乳成分、クエン酸塩および増粘剤を含み、脂肪/タンパク質の重量比が1.8以下であり、かつタンパク質の凝集が抑制されている、弱酸性のゲル状乳加工品を提供する。本明細書において「タンパク質の凝集が抑制されている」とは、目視したときに凝集物が見られず、外観が良好であることをいう。
本発明の弱酸性のゲル状乳加工品は、容器詰めされた態様であることができる。容器は、弱酸性のゲル状乳加工品(デザート)において一般的に用いられる容器であることができ、たとえば、プラスチック製、ガラス製、金属製および紙製等の容器を用いることができる。
本発明の弱酸性のゲル状乳加工品は、上述した本発明の弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法によって製造することができる。すなわち、本発明の弱酸性のゲル状乳加工品は、乳成分を含む原料液にクエン酸塩を配合する工程と、原料液に増粘剤を配合する工程と、原料液のpHを弱酸性に調整する工程と、原料液を殺菌する工程とを含み、原料液中の脂肪/タンパク質の重量比が1.8以下である、弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法によって製造することができる。
〔タンパク質の凝集を抑制する方法〕
また、本発明は、弱酸性のゲル状乳加工品においてタンパク質の凝集を抑制する方法を提供する。本発明のタンパク質の凝集を抑制する方法は、乳成分を含む原料液にクエン酸塩を配合する工程を含む。また、本発明のタンパク質の凝集を抑制する方法は、原料液に増粘剤を配合する工程を含む。また、本発明のタンパク質の凝集を抑制する方法は、原料液のpHを弱酸性に調整する工程を含む。また、本発明のタンパク質の凝集を抑制する方法は、原料液を殺菌する工程を含む。また、本発明のタンパク質の凝集を抑制する方法において、原料液中の脂肪/タンパク質の重量比が1.8以下である。本発明のタンパク質の凝集を抑制する方法は、原料液を均質化する工程をさらに含んでもよい。クエン酸塩を配合する工程、原料液に増粘剤を配合する工程、原料液のpHを弱酸性に調整する工程、原料液を殺菌する工程および原料液を均質化する工程は、本発明の製造方法の説明において上述したように行うことができる。
本明細書において「タンパク質の凝集を抑制する」とは、タンパク質の凝集、凝固または沈殿などを抑制することをいう。また、「タンパク質の凝集を抑制する」とは、殺菌などの加熱工程における「焦げ付き等を抑制する」と言い換えることができる。
本発明のタンパク質の凝集を抑制する方法によれば、弱酸性のゲル状乳加工品の製造過程においてタンパク質の凝集を抑制することができるため、風味や食感が良好であり、品質や物性が安定した、弱酸性のゲル状乳加工品を提供することができる。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔耐熱性試験〕
各実施例において、耐熱性試験(熱安定性試験)は以下の方法で行った。
試料(チルドデザート原料液);5mlを、専用のバイアル瓶(容量;20ml)に注入してから密封した後に、この専用のバイアル瓶を、オイルバス(温度;130℃)に浸漬して、3分間振動させながら保持した。そして、目視にて凝集の状態を確認し、凝集が見られなかった場合には「良好」、凝集が見られた場合には「不良」と評価した。
〔実施例1〕
(原料液の調製)
弱酸性のチルドデザート(ゲル状乳加工品)の原料液1-1〜原料液1-4を調製した(実験区1-1〜実験区1-4)。原料液1-1〜原料液1-4の配合割合を表1に示した。
具体的には、まず、実験区1-1では、牛乳;70重量部および水;21.68重量部を混合して、40℃程度に加温し、実験区1-2では、牛乳;70重量部および水;21.58重量部を混合して、40℃程度に加温し、実験区1-3では、牛乳;70重量部および水;21.48重量部を混合して、40℃程度に加温し、実験区1-4では、牛乳;70重量部および水;21.38重量部を混合して、40℃程度に加温した。次いで、実験区1-1〜実験区1-4の全てにおいて、砂糖;6重量部、寒天;0.32重量部、デキストリン;1.8重量部およびカラギーナン;0.06重量部を混合した。さらに、実験区1-2では、クエン酸三Na;0.1重量部を混合し、実験区1-3では、クエン酸三Na;0.2重量部を混合し、実験区1-4では、クエン酸三Na;0.3重量部を混合した。
その後、実験区1-1〜実験区1-4において、必要量のクエン酸水溶液(10重量%)を使用して、pHを5.5に調整した。次いで、60℃程度に加温した後に、ホモミキサーで予備乳化(7000rpm、5分間)し、ホモゲナイザーで均質化(15MPa)して、弱酸性のチルドデザートの原料液1-1〜原料液1-4を調製した。
ここで、実験区1-1(原料液1-1)は、特開2013-215148(特許文献2)に記載のように従来のカラギーナンを添加する方法を使用した比較例である。実験区1-2(原料液1-2)、実験区1-3(原料液1-3)、実験区1-4(原料液1-4)では、乳由来のタンパク質/クエン酸三Naの重量比がそれぞれ24.5、12.25、8.17であった。
Figure 2017055751
(耐熱性試験)
弱酸性のチルドデザートの原料液1-1(実験区1-1)〜原料液1-4(実験区1-4)について耐熱性試験(熱安定性試験)を行った。耐熱性試験の結果を表2に示した。
耐熱性試験の結果、実験区1-1(原料液1-1)および実験区1-2(原料液1-2)では、凝集が観察された(「不良」)。一方、実験区1-3(原料液1-3)および実験区1-4(原料液1-4)では、凝集が見られなかった(「良好」)。
これらの結果から、乳由来のタンパク質が2重量部以上の場合には、従来のカラギーナンを添加する方法ではタンパク質の凝集を抑制できなかった。これに対し、クエン酸三Naを配合した場合には、乳由来のタンパク質が2重量部以上の場合でも、品質や物性が安定した弱酸性のチルドデザートを製造できることが確認された。
Figure 2017055751
〔実施例2〕
(原料液の調製)
弱酸性のチルドデザート(ゲル状乳加工品)の原料液2-1〜原料液2-4を調製した(実験区2-1〜実験区2-4)。原料液2-1〜原料液2-4の配合割合を表3に示した。
具体的には、実験区2-1〜実験区2-4の全てにおいて、牛乳;50重量部および水;41.48重量部を混合して、40℃程度に加温した。次いで、砂糖;6重量部、寒天;0.32重量部、デキストリン;1.8重量部、カラギーナン;0.06重量部およびクエン酸三Na;0.2重量部を混合した。
その後、実験区2-1〜実験区2-4の全てにおいて、必要量のクエン酸水溶液(10重量%)を使用して、実験区2-1ではpHを6.0に調整し、実験区2-2ではpHを5.6に調整し、実験区2-3ではpHを5.3に調整し、実験区2-4ではpHを5.0に調整した。次いで、60℃程度に加温した後に、ホモミキサーで予備乳化(7000rpm、5分間)し、ホモゲナイザーで均質化(15MPa)して、弱酸性のチルドデザートの原料液2-1〜原料液2-4を調製した。
ここで、実験区2-1(原料液2-1)〜実験区2-4(原料液2-4)では、乳由来のタンパク質/クエン酸三Naの重量比が8.75であった。
Figure 2017055751
(耐熱性試験)
弱酸性のチルドデザートの原料液2-1(実験区2-1)〜原料液2-4(実験区2-4)について耐熱性試験(熱安定性試験)を行った。耐熱性試験の結果を表4に示した。
耐熱性試験の結果、実験区2-1(原料液2-1)、実験区2-2(原料液2-2)および実験区2-3(原料液2-3)では、凝集が見られなかった(「良好」)。一方、実験区2-4(原料液2-4)では凝集が観察された(「不良」)。
これらの結果から、クエン酸三Naを配合したとき、pHが約5.2〜6.0の範囲において、品質や物性が安定した弱酸性のチルドデザートを製造できることが確認された。
Figure 2017055751
〔実施例3〕
(原料液の調製)
弱酸性のチルドデザート(ゲル状乳加工品)の原料液3-1〜原料液3-4を調製した(実験区3-1〜実験区3-4)。原料液3-1〜原料液3-4の配合割合を表5に示した。
具体的には、実験区3-1では、水;76.1重量部を約40℃に加温し、実験区3-2では、水;71.9重量部を約40℃に加温し、実験区3-3では、水;68.2重量部を約40℃に加温し、実験区3-4では、水;64.4重量部を約40℃に加温した。次いで、実験区3-1では、脱脂粉乳;5.6重量部およびクリーム;6.5重量部を混合し、実験区3-2では、脱脂粉乳;5.3重量部およびクリーム;11.0重量部を混合し、実験区3-3では、脱脂粉乳;5.0重量部およびクリーム;15.0重量部を混合し、実験区3-4では、脱脂粉乳;4.8重量部およびクリーム;19.0重量部を混合した。さらに、実験区3-1〜実験区3-4の全てにおいて、砂糖;11重量部、寒天;0.3重量部、カラギーナン;0.2重量部およびクエン酸三Na;0.3重量部を混合した。
その後、実験区3-1〜実験区3-4において、必要量のクエン酸水溶液(10重量%)を使用して、pHを5.5に調整した。次いで、約60℃に加温した後に、ホモミキサーで予備乳化(7000rpm、5分間)し、ホモゲナイザーで均質化(15MPa)して、弱酸性のチルドデザートの原料液3-1〜原料液3-4を調製した。
ここで、実験区3-1(原料液3-1)、実験区3-2(原料液3-2)、実験区3-3(原料液3-3)、実験区3-4(原料液3-4)では、脂肪/タンパク質の重量比がそれぞれ0.86、1.48、2.08、2.68であった。
Figure 2017055751
(耐熱性試験)
弱酸性のチルドデザートの原料液3-1(実験区3-1)〜原料液3-4(実験区3-4)について耐熱性試験(熱安定性試験)を行った。耐熱性試験の結果を表6に示した。
耐熱性試験の結果、実験区3-1(原料液3-1)および実験区3-2(原料液3-2)では、凝集が観察されなかった(「良好」)。一方、実験区3-3(原料液3-3)および実験区3-4(原料液3-4)では、凝集が観察された(「不良」)。
これらの結果から、乳由来のタンパク質が約2〜3重量部であり、クエン酸三Naが約0.30重量部であり、かつカラギーナンが約0.2重量部のとき、脂肪/タンパク質の重量比が約1.8以下の場合に、タンパク質が凝集せず、品質や物性が安定した、弱酸性のチルドデザートを製造できることが確認された。
Figure 2017055751
本発明は、タンパク質の凝集が抑制され、風味や食感が良好であり、品質や物性が安定した、乳成分を含む弱酸性のゲル状乳加工品を製造できるため、種々の弱酸性のゲル状乳加工品の製造に好適に利用できる。

Claims (6)

  1. 乳成分を含む原料液にクエン酸塩を配合する工程と、
    前記原料液に増粘剤を配合する工程と、
    前記原料液のpHを弱酸性に調整する工程と、
    前記原料液を殺菌する工程と
    を含み、
    前記原料液中の脂肪/タンパク質の重量比が1.8以下である、弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法。
  2. 前記原料液を均質化する工程をさらに含む、請求項1に記載の弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法。
  3. 乳成分、クエン酸塩および増粘剤を含み、脂肪/タンパク質の重量比が1.8以下である、弱酸性のゲル状乳加工品。
  4. 容器詰めされた、請求項3に記載の弱酸性のゲル状乳加工品。
  5. 請求項1または2に記載の製造方法によって製造された、請求項3または4に記載の弱酸性のゲル状乳加工品。
  6. 乳成分を含む原料液にクエン酸塩を配合する工程と、
    前記原料液に増粘剤を配合する工程と、
    前記原料液のpHを弱酸性に調整する工程と、
    前記原料液を殺菌する工程と
    を含み、
    前記原料液中の脂肪/タンパク質の重量比が1.8以下である、弱酸性のゲル状乳加工品においてタンパク質の凝集を抑制する方法。


JP2015186115A 2015-09-19 2015-09-19 弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法 Withdrawn JP2017055751A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015186115A JP2017055751A (ja) 2015-09-19 2015-09-19 弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015186115A JP2017055751A (ja) 2015-09-19 2015-09-19 弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017055751A true JP2017055751A (ja) 2017-03-23

Family

ID=58388647

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015186115A Withdrawn JP2017055751A (ja) 2015-09-19 2015-09-19 弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017055751A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6600622B2 (ja) 弱酸性の乳飲料の製造方法
KR102069396B1 (ko) 유 미네랄-강화 액상 유제품 및 상기 유 미네랄-강화 액상 유제품의 제조 방법
JPH06217689A (ja) 乳組成物およびその製造方法
KR20100027985A (ko) 열 안정성 크림 강화 농축 액상 유제품
CN107257629B (zh) 用于制备包含乳清蛋白的粘性组合物的方法
JP2020503849A (ja) 遊離二価カチオンタンパク質凝集体を有する飲料製品及びその製造方法
JP7256800B2 (ja) 改善された質感/口当たりを有するクリーマー及びその製造方法
JP6639043B2 (ja) 高タンパク質ヨーグルト様発酵乳の製造方法
WO2001030170A1 (fr) Procede de production de boissons acides contenant du lait basses calories
US20180177215A1 (en) Creamers with improved texture/mouthfeel and method of making thereof
JP2022529440A (ja) 乳製品および方法
JP3657679B2 (ja) 発酵乳製品デザート及びその製造法
CN106061276B (zh) 改进的饮料及制备方法
JP2017055749A (ja) 弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法
CN106470553B (zh) 用于乳饮品的浓缩物
JP6494928B2 (ja) 乳成分を含有する飲食品
KR20180030411A (ko) 제어된 단백질 응집물에 의한 개선된 질감을 갖는 무지방 즉석 음료
JP5955615B2 (ja) 弱酸性のタンパク質含有ゲル状飲食品
JP2017055751A (ja) 弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法
JP2017055750A (ja) 弱酸性のゲル状乳加工品の製造方法
EP0807385A2 (en) Acid stable pourable alternative creams
JP2020524983A (ja) 改善されたテクスチャー/口当たりを有するクリーマー及びその製造方法
JP7372113B2 (ja) 常温保存酸乳食品の製造方法及び物性安定性向上方法、並びに酸乳食品の加熱殺菌方法
JP6928431B2 (ja) タンパク質含有容器詰飲料およびその製造方法
CA3004140C (en) Concentrate for milky beverages, beverage capsule and method of making beverage with capsule

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180827

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180907

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20180925