JP2017054582A - 炭素材、及び、非水系二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2では、球状黒鉛に更に球形化処理を施すことにより、黒鉛粒子内の結晶配向を抑制させ、充放電時の膨れを低減させる技術が開示されている。また、特許文献3では、鱗片黒鉛を球形化して得られた球形化黒鉛を等方的に加圧することにより、粒子内空隙をなくして高密度化された等方性の高い黒鉛を製造することにより、高速充放電特性、及びサイクル特性を向上させる技術が開示されている。
きなくなり粒子内のLiイオン挿入脱離サイトを効率的に利用できなくなるため低温入出力特性が不十分であった。
本発明にかかる炭素材が前記効果を奏する理由については、次の様に考えている。
すなわち、粒子内細孔を粒子内に均一に分散させることにより、電解液が粒子内部へスムーズ且つ効率的に行き渡ることが可能になるため、充放電の際に、粒子外周部だけでなく粒子内部に存在するLiイオン挿入脱離サイトを有効且つ効率的に利用することが可能になり、高容量且つ良好な低温入出力特性を得ることが出来たと考えられる。
<1>複数の炭素材料からなる造粒粒子を含有する非水系二次電池用炭素材であって、前記非水系二次電池用炭素材の断面SEM画像から前記造粒粒子を任意に30粒子選択した際に、下記測定方法で表される分散度Dの30粒子の平均値が60%以上である、非水系二次電池用炭素材。
(測定方法)
断面SEM画像を用いて測定対象となる造粒粒子の短軸及び長軸を20分割する格子を引く。格子の升目を用いて、下記定義のように造粒粒子を区画化し、下記式Aを用いてそれぞれの区画毎に空隙面積の期待値Eを算出し、下記式Bを用いて造粒粒子の分散度Dを算出する。
但し、断面SEM画像は、加速電圧10kVで取得された反射電子像である。
(造粒粒子の区画の定義)
前記格子の各升目の領域の内、造粒粒子の部分及び/又は造粒粒子内の空隙が存在する領域を区画と定義する。造粒粒子の粒子境界外部は区画から除外される。
(式A)
対象の区画における空隙面積の期待値E[μm2]= (対象の造粒粒子1粒子の内部
空隙の総面積[μm2] )/(対象の造粒粒子1粒子の断面積[μm2] )×(対象の区画の面積[μm2] )
(式B)
分散度D(%)=((対象の区画内の空隙の総面積[μm2] )/(対象の区画にお
ける空隙面積の期待値E[μm2] )が0.5以上を満たす区画の面積の総和[μm2
] )/(対象の造粒粒子1粒子の全区画の面積の総和[μm2] )×100
<2>前記造粒粒子はレーザー回折で測定された体積基準平均粒子径X、断面SEM画像から計測された円形相当径X1の関係が|X1−X|/X1≦0.2である、<1>に記
載の非水系二次電池用炭素材。
<3>前記造粒粒子はフロー式粒子像分析装置で測定された円形度Rと、断面SEM画像から計測された円形度R1との関係が|R−R1|≦0.1である、<1>又は<2>に記載の非水系二次電池用炭素材。
<4>タップ密度が0.7g/cm3以上である、<1>乃至<3>の何れかに記載の非水系二次電池用炭素材。
<5>前記炭素材のフロー式粒子像分析より求められる円形度が0.88以上である、<1>乃至<4>の何れかに記載の非水系二次電池用炭素材。
<6>前記黒鉛粒子が鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、及び塊状黒鉛を造粒処理した球状黒鉛粒子
である、<1>乃至<5>の何れかに記載の非水系二次電池用炭素材。
<7>前記造粒処理が、少なくとも衝撃、圧縮、摩擦、及びせん断力のいずれかの力学的エネルギーを付与する処理である、<6>に記載の非水系二次電池用炭素材。
<8>前記造粒処理が、ケーシング内で高速回転する回転部材を備え、ケーシング内に複数のブレードを設置したローターを有する装置において、該ローターが高速回転することによって、内部に導入された黒鉛に対して衝撃、圧縮、摩擦、及びせん断力のいずれかを与えることで造粒する処理である、<7>又は<8>に記載の非水系二次電池用炭素材。<9>リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備える非水系二次電池であって、該負極が集電体と該集電体上に形成された負極活物質層とを備え、該負極活物質層が<1>乃至<8>の何れかに記載の炭素材を含有する、非水系二次電池。
本発明の非水系二次電池用炭素材は、粒子内細孔が粒子内に均一に分散していることを特徴とする非水系二次電池用炭素材である。
本発明のリチウムイオンを吸蔵・放出可能な非水系二次電池用炭素材は、特に限定されないが、例えば、黒鉛、黒鉛化度の小さい炭素質物等の炭素材であり、中でも商業的に容易に入手可能であり、理論上372mAh/gの高い充放電容量を有し、さらには他の負極用活物質を用いた場合と比較して高電流密度での充放電特性の改善効果が大きい黒鉛であることが好ましい。さらに黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛等が挙げられ、高容量且つ高電流密度での充放電特性が良好な点から天然黒鉛であることがより好ましい。
また、黒鉛としては不純物の少ないものが好ましく、不純物の少ない黒鉛は公知である種々の精製処理を施すことで得ることができる。
天然黒鉛の中でも、例えば、鱗状、鱗片状、又は塊状の天然黒鉛、高純度化した鱗片状
黒鉛、後述する球形化処理した天然黒鉛(以降、球形化天然黒鉛とよぶことがある)等が挙げられる。中でも、炭素材の内部に好適な緻密な細孔を形成させることができ、優れた粒子の充填性や充放電負荷特性を発揮するという観点から好ましい。
焼成温度は、2500℃以上、3200℃以下の範囲とすることができ、焼成の際、珪素含有化合物やホウ素含有化合物などを黒鉛化触媒として用いることもできる。
非晶質炭素としては、例えば、バルクメソフェーズを焼成した粒子や、炭素質物前駆体を不融化処理し、焼成した粒子が挙げられる。
非晶質炭素は結晶化度の程度に応じて、焼成温度は600℃以上とすることができ、好ましくは900℃以上、より好ましくは950℃以上であり、通常2500℃未満とすることができ、好ましくは2000℃以下、より好ましくは1400℃以下の範囲である。
また、本発明の非水系二次電池用炭素材は、酸化物やその他金属を含んでいてもよい。その他金属としては、Sn、Si、Al、BiなどのLiと合金化可能な金属が挙げられる。
本発明の非水系二次電池用炭素材の製造方法は特に制限はないが、達成手段の一つとしては、少なくとも衝撃、圧縮、摩擦、及びせん断力のいずれかの力学的エネルギーを付与して原料炭素材を造粒し、前記造粒工程は、下記1)及び2)の条件を満足する造粒剤の存在下で行うことにより得ることができる。
1)前記原料炭素材を造粒する工程時に液体
2)造粒剤が有機溶剤を含む場合、有機溶剤の内、少なくとも1種は引火点を有さない、又は引火点を有する場合には該引火点が5℃以上である。
上記方法にて造粒処理を施すと、規定の物性の造粒剤により黒鉛粒子間の液架橋付着力が生じ、炭素材粒子同士がより強固に付着することが可能となるため、Liイオン挿入脱離サイトが多い微粉が、造粒処理した炭素材(以降、造粒炭素材と称す。)となる母材に付着、及び/又は造粒炭素材粒子に内包された構造を取り易くなるため、Li挿入脱離サイトが多い造粒炭素材を製造することが可能となる。
これらの結果、より強固に微粉が付着する為、粒子表面の凹凸が少なくなり、規定の式の範囲内の値を有する炭素材を有することが可能となる。
(第1工程)原料炭素材の粒度を調整する工程
(第2工程)原料炭素材と造粒剤とを混合する工程
(第3工程)原料炭素材を造粒する工程
(第4工程)造粒剤を除去する工程
(第5工程)造粒炭素材を高純度化する工程
以下、これら工程について説明する。
本発明で用いる原料炭素材は特に限定されず、前述した人造黒鉛や天然黒鉛を使用することが出来る。中でも、結晶性が高く高容量であることから天然黒鉛を使用することが好ましい。天然黒鉛としては、例えば、鱗状、鱗片状、塊状又は板状の天然黒鉛が挙げられ、中でも、鱗片状黒鉛が好ましい。
原料炭素材の平均粒径(d50)を上記範囲に調整する方法として、例えば(天然)黒鉛粒子を粉砕、及び/または分級する方法が挙げられる。
に、10μm以下の黒鉛粒子を得る場合には、気流式粉砕機や旋回流式粉砕機を用いることが好ましい。
原料炭素材に含まれる灰分は、炭素材の全質量に対して、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下であり、更に好ましくは0.1質量%以下である。また、灰分の下限は1ppm以上であることが好ましい。
原料炭素材のアスペクト比は、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、特に好ましくは15以上である。また、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下、更に好ましくは100以下、特に好ましくは50以下である。アスペクト比は、後述する方法により測定する。アスペクト比が上記範囲内にあると、粒径が100μm程度の大きな粒子が出来難く、一方で一方向からの加圧をした際に接触面積が適度なため、強固な造粒炭素材を得易くなる。アスペクト比が大きすぎると粒径が100μm程度の大きな粒子ができやすい傾向があり、小さすぎる粒子は、一方向からの加圧をした際に接触面積が小さいため、強固な造粒体が形成されない傾向があり、また粒子を造粒しても鱗片状黒鉛の小さい比表面積が反映して、比表面積が30m2/gを超える造粒体となる傾向がある。
されている。すなわち、タップ密度を上げるためには、粒子の形状に丸みを帯びさせて球状に近づけ、粒子表面のささくれや欠損を除き平滑さを保つことが重要である。粒子形状が球状に近づき粒子表面が平滑であると、粉体の充填性も大きく向上する。原料炭素材のタップ密度は、好ましくは0.1g/cm3以上であり、より好ましくは0.15g/cm3以上であり、更に好ましくは0.2g/cm3以上であり、特に好ましくは0.3g/cm3以上である。タップ密度は実施例で後述する方法により測定する。
、球形化処理の際に粒子間の静電引力が大きくなるため粒子間付着力が増し、微粉が母材に付着、及び球形化粒子に内包された状態となりやすく好ましい。また、疎水性造粒剤を用いる場合の濡れ性低下を防ぐことができる。
0℃以上、最も好ましくは350℃であり、また通常1500℃以下、好ましくは1000℃以下、より好ましくは800℃以下、更に好ましくは600℃以下である。低すぎると、水分量を十分に低減できなくなる傾向があり、高すぎると、生産性の低下、コスト増大を招く傾向がある。
熱処理の雰囲気は、大気雰囲気などの活性雰囲気、もしくは、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気などの不活性雰囲気があげられ、200℃〜300℃で熱処理する場合には特段制限はないが、300℃以上で熱処理を行う場合には、黒鉛表面の酸化を防止する観点で、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気などの不活性雰囲気が好ましい。
本発明の実施形態で用いる造粒剤は、1)前記原料炭素材を造粒する工程時に液体及び2)造粒剤が有機溶剤を含まないか、有機溶剤を含む場合、有機溶剤の内、少なくとも1種は引火点を有さない、又は引火点を有するときには該引火点が5℃以上、の条件を満足するものである。
本発明の実施形態においては、原料炭素材間を造粒剤が液架橋することによる原料炭素材間の液架橋付着力の強さはγcosθ値に比例する(ここで、γ:液の表面張力、θ:液と粒子の接触角)。すなわち、原料炭素材を造粒する際に、造粒剤は原料炭素材との濡れ性が高いことが好ましく、具体的にはγcosθ値>0となるようにcosθ>0となる造粒剤を選択するのが好ましく、造粒剤の下記測定方法で測定した黒鉛との接触角θが90°未満であることが好ましい。
HOPG表面に1.2μLの造粒剤を滴下し、濡れ広がりが収束して一秒間の接触角θの変化率が3%以下となったとき(定常状態ともいう)の接触角を接触角測定装置(協和界面社製自動接触角計DM−501)にて測定する。ここで、25℃における粘度が500cP以下の造粒剤を用いる場合には25℃における値を、25℃における粘度が500cPより大きい造粒剤を用いる場合には、粘度が500cP以下となる温度まで加温した温度における接触角θの測定値とする。
30°以下であることが特に好ましく、20°以下であることが最も好ましい。
造粒剤の表面張力γは、表面張力計(例えば、協和界面科学株式会社製DCA−700)を用いてWilhelmy法により測定する。
また造粒剤の、25℃における粘度が1cP以上100000cP以下であることが好ましく、5cP以上10000cP以下であることがより好ましく、10cP以上8000cP以下であることが更に好ましく、50cP以上6000cP以下であることが特に好ましい。粘度が上記範囲内にあると、原料炭素材を造粒する際に、ローターやケーシングとの衝突などの衝撃力による付着粒子の脱離を妨ぐことが可能となる。
コールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、メトキシプロパノール、メトキシプロピル−2−アセテート、メトキシメチルブタノール、メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、などのグリコール類誘導体類や、1,4−ジオキサンなどのエーテル類や、ジメチルホルムアミド、ピリジン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどの含窒素化合物、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどの含ハロゲン化合物、及びそれらの混合物などがあげられ、例えばトルエンのような引火点が低い物は含まれない。これら有機溶剤は単体で造粒剤としても用いることが出来る。なお、本明細書において、引火点は、公知の方法により測定できる。
炭素材は、原料炭素材に衝撃圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を与えることにより球形化処理(以下、造粒とも称する)を施したものであることが好ましい。また、該球形化黒鉛は、複数の鱗片状又は鱗状黒鉛、及び磨砕された黒鉛微粉からなるものであることが好ましく、特に複数の鱗片状黒鉛からなるものであることが特に好ましい。
この工程に用いる装置としては、例えば、衝撃力を主体に、原料炭素材の相互作用も含めた圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を繰り返し与える装置を用いることができる。
具体的には、ケーシング内部に多数のブレードを設置したローターを有し、そのローターが高速回転することによって、内部に導入された原料炭素材に対して衝撃、圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を与え、表面処理を行なう装置が好ましい。また、原料炭素材を循環させることによって機械的作用を繰り返し与える機構を有するものであるのが好ましい。
また原料炭素材を造粒する工程においては、原料炭素材を、その他の物質存在下で造粒してもよく、その他の物質としては、例えばリチウムと合金化可能な金属或いはその酸化物、鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、磨砕された黒鉛微粉、非晶質炭素、及び生コークスなどが挙げられる。原料炭素材以外の物質と併せて造粒することで様々なタイプの粒子構造の非水系二次電池用炭素材を製造できる。
球形化処理の際には、処理中の鱗片状黒鉛が吸湿しないよう、低湿度雰囲気下で行うことが好ましい、また処理中に機械処理のエネルギーにより鱗片状黒鉛表面の酸化反応が進行して酸性官能基が導入されることを防ぐことを目的として不活性雰囲下で球形化処理を行うことが好ましい。
本発明の実施形態においては、前記造粒剤を除去する工程を有していてもよい。造粒剤を除去する方法としては、例えば、溶剤により洗浄する方法や、熱処理により造粒剤を揮発・分解除去する方法が挙げられる。
熱処理温度は、好ましくは60℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは200℃以上、より更に好ましくは300℃以上、特に好ましくは400℃以上、最も好ましくは500℃であり、好ましくは1500℃以下、より好ましくは1000℃以下、更に好ましくは800℃以下である。上記範囲内にあると、十分に造粒剤を揮発・分解除去でき生産性を向上できる。
熱処理の雰囲気は、大気雰囲気などの活性雰囲気、もしくは、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気などの不活性雰囲気があげられ、200℃〜300℃で熱処理する場合には特段制限はないが、300℃以上で熱処理を行う場合には、黒鉛表面の酸化を防止する観点で、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気などの不活性雰囲気が好ましい。
本発明においては、造粒炭素材を高純度化する工程を有していてもよい。造粒炭素材を高純度化する方法としては、硝酸や塩酸を含む酸処理を行う方法が挙げられ、活性の高い硫黄元となりうる硫酸塩を系内に導入することなく黒鉛中の金属、金属化合物、無機化合
物などの不純物を除去できるため好ましい。
浸漬温度は、通常25℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは、60℃以上である。水系の酸を用いる場合の理論上限は水の沸点である100℃である。この温度が低すぎると、上記不純物を十分に除去できなくなる傾向がある。
前記処理黒鉛と水との混合割合は、通常100:10以上、好ましくは100:30以上、より好ましくは、100:50以上、更に好ましくは、100:100以上であり、また100:1000以下、好ましくは100:700以下、より好ましくは100:500以下、更に好ましくは100:400以下である。多すぎると生産効率が低下する傾
向があり、少なすぎると残留不純物・酸分が増大する傾向になる。
また、水洗浄処理をバッチ式にて行う場合は、純水中での攪拌−ろ過の処理工程を複数回繰り返して洗浄行うことが不純物・酸分除去の観点から好ましい。上記処理は、上述した処理黒鉛のpHが上記範囲になるように繰り返し行ってもよい。通常、1回以上、好ましくは2回以上、より好ましくは、3回以上である。
本発明の実施形態では、造粒炭素材に、さらに原料炭素材より結晶性が低い炭素質物を添着する工程を有していてもよい。すなわち、前記炭素材に炭素質物を複合化することができる。この工程によれば、電解液との副反応抑制や、急速充放電性の向上できる炭素材を得ることができる。
造粒炭素材への炭素質物添着(複合化)処理は炭素質物となる有機化合物と、造粒炭素材を混合し、非酸化性雰囲気下、好ましくは窒素、アルゴン、二酸化炭素などの流通下に加熱して、有機化合物を炭素化又は黒鉛化させる処理である。
また、分解系重質油を熱処理することで得られるエチレンタールピッチ、FCCデカントオイル、アシュランドピッチなどの熱処理ピッチ等を挙げることができる。さらにポリ塩化ビニル、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等のビニル系高分子と3−メチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、3,5−ジメチルフェノールホルムアルデヒド樹脂等の置換フェノール樹脂、アセナフチレン、デカシクレン、アントラセンなどの芳香族炭化水素、フェナジンやアクリジンなどの窒素環化合物、チオフェンなどのイオウ環化合物などを挙げることができる。また、固相で炭素化を進行させる有機化合物としては、セルロースなどの天然高分子、ポリ塩化ビニリデンやポリアクリロニトリルなどの鎖状ビニル樹脂、ポリフェニレン等の芳香族系ポリマー、フルフリルアルコール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂等熱硬化性樹脂やフルフリルアルコールのような熱硬化性樹脂原料などを挙げることができる。これらの中でも石油系重質油が好ましい。
結晶構造と同等の結晶構造に達しない温度であり、通常は高くても3500℃である。加熱温度の上限は3000℃、好ましくは2000℃、より好ましくは1500℃に止めるのが好ましい。
形状は任意であるが、平均粒径は、通常2〜50μmであり、5〜35μmが好ましく、特に8〜30μmである。上記粒径範囲となるよう、必要に応じて、解砕及び/又は粉砕及び/又は分級を行う。
炭素質物複合炭素材中の炭素質物の含有量は、原料となる造粒炭素材に対して、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3%以上、更に好ましくは0.7質量%以上、特に好ましくは1質量%以上、最も好ましくは1.5質量%以上であり、であり、また前記含有量は、通常20質量%以下、好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、特に好ましくは7質量%以下、最も好ましくは5質量%以下である。
一方、含有量が小さすぎると、被覆による効果が得られにくくなる傾向がある。
炭素質物の含有量(質量%)=[(w2−w1)/w1]×100
(w1を造粒炭素材の質量(kg)、w2を炭素質物複合炭素材の質量(kg)とする)
方法を用いることができる。
炭素微粒子の体積平均粒子径(d50)は、通常0.01μm以上10μm以下であり、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.07μm以上であり、更に好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは8μm以下、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは1μm以下である。
炭素微粒子が、1次粒子が集合・凝集した2次構造を有する場合、1次粒子径が3nm以上500nm以下であればその他の物性や種類は特に限定されないが、1次粒子径は、好ましくは3nm以上、より好ましくは15nm以上であり、更に好ましくは30nm以上であり、特に好ましくは40nm以上であり、また、好ましくは500nm以下、より好ましくは200nm以下、更に好ましくは100nm以下、特に好ましくは70nm以下である。炭素微粒子の1次粒子径は、SEM等の電子顕微鏡観察やレーザー回折式粒度分布計などによって測定することができる。
具体的に、炭素微粒子は特に限定されないが、石炭微粉、気相炭素粉、カーボンブラック、ケッチェンブラック、フラーレン、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ
、カーボンナノウォールなどナノ構造をもつ物質等が挙げられる。この中でもカーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックであると、低温下においても入出力特性が高くなり、同時に安価・簡便に入手が可能という利点がある。
「造粒炭素材」100質量部に対し、「炭素微粒子」は、通常0.01質量部以上、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、通常20質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
また、本発明では、極板の配向性、電解液の浸透性、導電パス等を向上させ、サイクル特性、極版膨れ等の改善を目的とし、前記造粒炭素材とは異なる炭素材料を混合することができる(以下、前記造粒炭素材に、前記造粒炭素材とは異なる炭素材料を混合して得られた炭素材を「混合炭素材」と呼ぶことがある)。
天然黒鉛としては、例えば、高純度化した炭素材や球形化した天然黒鉛を用いることができる。本発明でいう高純度化とは、通常、塩酸、硫酸、硝酸、弗酸などの酸中で処理する、若しくは複数の酸処理工程を組み合わせて行なうことにより、低純度天然黒鉛中に含まれる灰分や金属等を溶解除去する操作のことを意味し、通常、酸処理工程の後に水洗処理等を行ない高純度化処理工程で用いた酸分の除去をする。また、酸処理工程の代わりに2000℃以上の高温で処理することにより、灰分や金属等を蒸発、除去しても構わない。また、高温熱処理時に塩素ガス等ハロゲンガス雰囲気で処理することにより灰分や金属等を除去しても構わない。更にまた、これらの手法を任意に組み合わせて用いても良い。
天然黒鉛のBET比表面積は、通常1m2/g以上、好ましくは2m2/g以上、また、通常30m2/g以下、好ましくは15m2/g以下の範囲である。比表面積がこの範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
人造黒鉛の体積基準平均粒径は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm、更に好ましくは30μm以下の範囲である。この範囲であれば、極板膨れの抑制や工程性が良好となるため好ましい。
い。
また、人造黒鉛のタップ密度は、通常0.6g/cm3以上、0.7g/cm3以上が好ましく、0.8g/cm3以上がより好ましく、0.85g/cm3以上が更に好ましい。また、通常1.5g/cm3以下、1.4g/cm3以下が好ましく、1.3g/cm3以下がより好ましい。この範囲であれば、極板膨れの抑制や工程性が良好となるため好ましい。
被覆黒鉛の体積基準平均粒径は、通常5μm以上、好ましくは8μm以上、より好ましくは10μm以上、特に好ましくは12μm以上また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下、特に好ましくは30μm以下の範囲である。平均粒径がこの範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
また、被覆黒鉛のタップ密度は、通常0.6g/cm3以上、0.7g/cm3以上が好ましく、0.8g/cm3以上がより好ましく、0.85g/cm3以上が更に好ましい。また、通常1.3g/cm3以下、1.2g/cm3以下が好ましく、1.1g/cm3以下がより好ましい。タップ密度がこの範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
非晶質炭素の体積基準平均粒径は、通常5μm以上、好ましくは12μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。この範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
また、非晶質炭素のタップ密度は、通常0.6g/cm3以上、0.7g/cm3以上が好ましく、0.8g/cm3以上がより好ましく、0.85g/cm3以上が更に好ましい。また、通常1.3g/cm3以下、1.2g/cm3以下が好ましく、1.1g/cm3以下がより好ましい。タップ密度がこの範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
、より好ましくは0.4以上、1.6以下、更に好ましくは0.6以上、1.4以下である。この範囲であれば、高容量であると同時に、Liと酸素との結合による不可逆容量を低減させることが可能となる。
前記造粒炭素材と前記造粒炭素材とは異なる炭素材料を混合するために用いる装置としては、特に制限はないが、例えば、回転型混合機の場合:円筒型混合機、双子円筒型混合機、二重円錐型混合機、正立方型混合機、鍬形混合機、固定型混合機の場合:螺旋型混合機、リボン型混合機、Muller型混合機、Helical Flight型混合機、
Pugmill型混合機、流動化型混合機等を用いることができる。
本発明の非水系二次電池用炭素材は、複数の炭素材料からなる造粒粒子を含有し、更に粒子断面に特徴を有しており、本発明の分散度は、粒子断面の画像から特定される。
本発明において、複数の炭素材料からなる造粒粒子とは、造粒粒子が少なくとも2つ以上の黒鉛粒子を含むことをいう。
非水系二次電池用炭素材が含有する造粒粒子は、複数の炭素材料からなるものであれば特に限定されないが、レーザー回折で測定された体積基準平均粒径X、断面SEM画像から計測された円形相当径X1の関係|X1−X|/X1が、通常0.2以下であり、好ま
しくは0.15以下、より好ましくは0.1以下である。
|X1−X|/X1が大きすぎる場合、代表的な粒子を選択できず、全体の傾向を表現
できない可能性がある。
断面SEM画像から計測された円形相当径X1は、粒子周長L[μm]を用いて以下の式1であらわされる。
が、通常0.1以下、好ましくは0.08以下、より好ましくは0.06以下である。
|R−R1|が大きすぎる場合、粒子境界を正しくとらえておらず、過大に評価しているため正しく解析ができない可能性がある。
断面SEM画像からから計測された円形度R1は、画像から求めた粒子面積S[μm2]
、周長L[μm]を用いて以下の式2から算出される。
粒子断面の画像は、SEM(走査電子顕微鏡)を用いて加速電圧10kVで取得された反射電子像を用いる。粒子断面画像を得る方法は特に制限されないが、非水系二次電池用炭素材を含む極板、非水系二次電池用炭素材の塗布膜を用いて集束イオンビーム(FIB)やイオンミリングにより切断し、粒子断面を切り出した後、SEMを用いて粒子断面画像を取得する。
この加速電圧であれば、SEMの画像において反射二次電子像の違いにより、非水系二次電池用炭素材の有する空隙領域とそれ以外の領域との識別が容易となる。また、撮像倍率は通常500倍以上、より好ましくは1000倍以上、更に好ましくは2000倍であり、通常10000倍以下である。上記の範囲であれば、非水系二次電池用炭素材の1粒子の全体像が取得可能である。解像度は200dpi(ppi)以上、好ましくは256dpi(ppi)以上である。また、画素数は800ピクセル以上で評価することが好ましい。
非水系二次電池用炭素材は、断面SEM画像から複数の炭素材料からなる造粒粒子を任意に30粒子選択した際に、下記測定方法で表される分散度Dの30粒子の平均値が通常60%以上であり、好ましくは61%以上、より好ましくは62%以上、通常90%以下、好ましくは85%以下、より好ましくは80%以下である。
断面SEM画像を用いて測定対象となる造粒粒子の短軸及び長軸を20分割する格子を作成する。格子の升目を用いて、下記定義のように造粒粒子を区画化し、下記式(A)を用いてそれぞれの区画毎に空隙面積の期待値Eを算出し、下記式(B)を用いて造粒粒子
の分散度Dを算出する。
図1のように断面SEM画像を用いて測定対象となる造粒粒子の短軸及び長軸を20分割する格子を引く。この際の画像は粒子長軸と画像に平行である必要がある。
前記格子の各升目の領域の内、造粒粒子の部分及び/又は造粒粒子内の空隙が存在する領域を区画と定義する。造粒粒子の粒子境界外部は区画から除外される。格子が粒子境界によって分割されるものは図2のように二つに分割さされたもののうち粒子を含む側の領域を区画と定義する。
格子および粒子境界で分割された区画について各々の区画面積に対応した空隙面積の期待値Eを下記式Aから求める。
(式A)
対象の区画における空隙面積の期待値E[μm2]= (対象の造粒粒子1粒子の内部
空隙の総面積[μm2] )/(対象の造粒粒子1粒子の断面積[μm2] )×(対象の区画の面積[μm2] )
粒子境界によって分割された区画の期待値Eはその面積に応じて格子の升目の期待値Eよりも小さく計算される。
粒子内部の空隙の分散度を表す指標である分散度Dは下記式Bから算出する。
(式B)
分散度D(%)=((対象の区画内の空隙の総面積[μm2] )/(対象の区画にお
ける空隙面積の期待値E[μm2] )が0.5以上を満たす区画の面積の総和[μm2
] )/(対象の造粒粒子1粒子の全区画の面積の総和[μm2] )×100
分散度Dとは、ごく微小な空隙面積を有する区画を除外し、空隙が粒子内部全体に分散しているかを表す指標となる。
なお、非水系二次電池用炭素材の上記式(A)及び上記式(B)は、下記の(a)〜(d)を考慮し算出する。
粒子境界の区切りの仕方は、たとえばフリーハンドで実施しても、多角形に近似してもよいが、境界をうまく分割する方法でなくてはならない。特に制限はないが、粒子の形状を示す興味領域(ROI: region of interest)をもれのないように粒子とその他の領域の境界を区切る必要がある。境界が単純な楕円ではなくではなく、複雑な形状になっている場合は、たとえば境界を等間隔で任意の数で区切って粒子領域を多角形で近似してもよい。ただしフロー式粒子像分析装置で測定された円形度Rを逸脱しないような境界の取り方を行う。ここで逸脱しないとはフロー式粒子像分析装置で測定された球形化度R、断面SEM画像から計測された球形化度R1の関係が|R−R1|≦0.1となるようにすることである。また導電性の乏しいバインダーで塗布した電極を用いる場合、本発明の測定条件では境界が判別しにくいものもある。これは粒子の断面の奥に粒子の側面が見えている場合に、バインダーの導電性不良のため起こる現象である。そのような場合は加速電圧を下げて境界を明瞭にした像を別でとって境界を判断する必要がある。
。各升目の重量を同一と仮定し、1〜N番まで番号を付ける。そして以下の式3によって造粒粒子の重心の座標を求める。
を任意の画像ソフトで実施してもよく、区切られるメッシュが任意の図形で各々の重心を定義できるのであれば以下の式4で求めてもよい。
次に、求めた重心を通り前述定めた境界で区切られる任意の線分のうち最も長いものを長軸と定義する。また重心を通り前述定めた境界で区切られる任意の線分のうち長軸と直行するものを短軸と定義する。
空隙領域とそれ以外の炭素粒子領域が明確に分かれるように2値化処理を行うことが好ましい。2値化の方法は特に制限はないが、粒子内空隙と炭素部が明確に分かれる方法でなくてはならない。2値化処理は、SEM像のように8bitのグレースケールの画像を対
象とする場合、輝度を二つに分割し、分割した2つの画像を2つの値(8bitなら0と2
55に分割など)することを指す。2値化は任意の画像処理ソフトで実施すればよい。閾値で区切る際そのアルゴリズムには種々の方法があるが、たとえばモード法やISOData法
などがあり、空隙部と炭素部を明瞭に分割できる手法を用いればよい。また2値化ができる像でなくてはならない。2値化ができる像とはこの場合空隙部の輝度と炭素部の輝度がある閾値で明瞭に分かれる像を指す。画像の中には加工の精度で表面が荒れていたり、断面がななめを向いていたり、コントラスト、明るさの設定等の要因で空隙部と炭素部の輝度が近い場合がある。そのような像は2値化した際本来とは異なる空隙分布を示すことがあるので解析対象から除外するのが好ましい。たとえば図3は真ん中の黒鉛部の表面があれている模様で輝度が低く、細かい空隙の輝度も高くなるような画像である。そのような図で細かいものを拾って2値化させようとすると炭素部も空隙と表現されて、逆に炭素部に空隙がない輝度を閾値とすれば本来空隙であろう細かい空隙は表示できなくなる。このような粒子は選定しないことが好ましいが、代表的な断面の可能性もあるので、このように2値化しにくいSEM像では解析せず、画像の取り直し、明るさやコントラストの調整を実施することが必要になる。
このようにして算出された空隙領域及び空隙以外の粒子内領域それぞれの面積は、pixel単位で近似して計算を行い実単位に換算するものとする。
2値化処理した画像において、各造粒粒子の短軸及び長軸を20分割する升目を作成す
る。升目の配置の仕方であるが、造粒粒子の長軸及び短軸に平行になるように配置すればよい。
造粒粒子の短軸及び長軸を20分割した、全400個の升目に対して、それぞれ上記式Aより求められる期待値Eを算出する。期待値Eが0.5以上の区画の面積の総和を算出し、上記式Bより分散度Dを算出する。
抽出した造粒粒子30粒子に対し、それぞれ分散度Dを算出し、30粒子の分散度Dの平均値を算出する。
・タップ密度
本発明の炭素材のタップ密度は通常0.70g/cm3以上、より好ましくは0.75g/cm3以上、更に好ましくは0.80g/cm3以上、特に好ましくは0.85g/cm3以上、好ましくは1.3g/cm3以下であり、より好ましくは1.2g/cm3以下であり、更に好ましくは1.1g/cm3以下である。
上記範囲内であると、充填性が良好で、粒子間空隙にも適切な空隙を空けられるため、粒子内空隙と粒子間空隙で適切な空間を配置でき、より高い出力を出すことができる。
本発明の炭素材の体積基準平均粒径X(「d50」とも記載する)は好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは8μm以上である。また平均粒径d50は、通常50μm以下、好ましくは40μm以下、より好ましくは35μm以下、更に好ましくは30μm以下、特に好ましくは25μm以下である。平均粒径d50が小さすぎると、前記炭素材を用いて得られる非水系二次電池の不可逆容量の増加、初期電池容量の損失を招く傾向があり、一方平均粒径d50が大きすぎるとスラリー塗布における筋引きなどの工程不都合の発生、高電流密度充放電特性の低下、低温入出力特性の低下を招く場合がある。
本発明の炭素材の下記式で表されるラマンR値は、通常0.01以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.25以上、特に好ましくは0.3以上、最も好ましくは0.35以上である。また、ラマンR値の上限に特に制限はないが、通常1以下、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下、更に好ましくは0.5以下である。
IB/1580cm-1付近のピークPAの強度IA
なお、本明細書において「1580cm−1付近」とは1580〜1620cm-1の
範囲を、「1360cm−1付近」とは1350〜1370cm-1の範囲を指す。
ラマンR値が上記範囲内であれば、炭素材粒子表面の結晶性が適度であるため、Liイオン挿入脱離サイトが十分に存在できるため、良好な低温入出力特性と放電容量を持つ炭素材が得られる傾向がある。
定セル内へ自然落下させることで試料充填し、測定セル内にアルゴンイオンレーザー光を照射しながら、測定セルをこのレーザー光と垂直な面内で回転させながら測定を行なう。測定条件は以下の通りである。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
本発明の炭素材のBET法により測定した比表面積(SA)は、好ましくは1m2/g以上、より好ましくは5m2/g以上、更に好ましくは8m2/g以上、最も好ましくは12m2/g以上、最も好ましくは13m2/g以上である。また、好ましくは30m2/g以下、より好ましくは20m2/g以下、更に好ましくは17m2/g以下である。比表面積が上記範囲内であると、Liが出入りする部位を十分確保することができるため高速充放電特性出力特性に優れ、活物質の電解液に対する活性も適度抑えることができるため、初期不可逆容量が大きくならず、高容量電池を製造できる傾向にある。
本発明の炭素材の円形度は、0.88以上、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.91以上、更に好ましくは0.92以上である。また、円形度は好ましくは1以下、より好ましくは0.98以下、更に好ましくは0.97以下である。円形度が上記範囲内であると、非水系二次電池の高電流密度充放電特性の低下を抑制できる傾向にある。なお、円形度は以下の式で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)
本発明の炭素材の、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)は、好ましくは0.335nm以上、0.340nm未満である。ここで、d値はより好ましくは0.339nm以下、更に好ましくは0.337nm以下である。d002値が上記範囲内にあると、黒鉛の結晶性が高いため、初期不可逆容量が増加を抑制する傾向にある。ここで、0.335nmは黒鉛の理論値である。
なお、Lcの下限は黒鉛の理論値である。
本発明の実施形態に係る非水系二次電池用負極(以下適宜「電極シート」ともいう。)は、集電体と、集電体上に形成された負極活物質層とを備えると共に、活物質層は少なくとも本発明の炭素材とを含有することを特徴とする。更に好ましくはバインダを含有する。
のを用いることが好ましい。その種類は特に制限されないが、具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体などが挙げられる。このようなオレフィン性不飽和結合を有するバインダを用いることにより、活物質層の電解液に対する膨潤性を低減することができる。中でも入手の容易性から、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
本発明においては、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダも、本発明の効果が失われない範囲において、上述のオレフィン性不飽和結合を有するバインダと併用することができる。オレフィン性不飽和結合を有するバインダに対する、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの混合比率は、好ましくは150質量%以下、より好ましくは120質量%以下の範囲である。
オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの例としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉、カラギナン、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)等の増粘多糖類、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリ
エーテル類、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のポリ酸、或いはこれらポリマーの金属塩、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのアルカン系ポリマー及びこれらの共重合体などが挙げられる。
スラリーを集電体上に塗布した後、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上、また、好ましくは200℃以下、より好ましくは195℃以下の温度で、乾燥空気又は不活性雰囲気下で乾燥し、活物質層を形成する。
活物質層における炭素材の密度は、用途により異なるが、容量を重視する用途では、好ましくは1.55g/cm3以上、より好ましくは1.6g/cm3以上、更に好ましくは1.65g/cm3以上、特に好ましくは1.7g/cm3以上である。また、好ましくは1.9g/cm3以下である。密度が上記範囲内であると、単位体積あたりの電池の容量は充分確保でき、レート特性も低下し難くなる。
本発明の非水系二次電池、特にリチウムイオン二次電池の基本的構成は、従来公知のリチウムイオン二次電池と同様であり、通常、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備える。負極としては、上述した本発明の炭素材を用いた負極を用いる。
正極活物質としては、リチウムイオンなどのアルカリ金属カチオンを充放電時に吸蔵、放出できる金属カルコゲン化合物などが挙げられる。金属カルコゲン化合物としては、バナジウムの酸化物、モリブデンの酸化物、マンガンの酸化物、クロムの酸化物、チタンの酸化物、タングステンの酸化物などの遷移金属酸化物、バナジウムの硫化物、モリブデンの硫化物、チタンの硫化物、CuSなどの遷移金属硫化物、NiPS3、FePS3等の遷移金属のリン−硫黄化合物、VSe2、NbSe3などの遷移金属のセレン化合物、Fe0.25V0.75S2、Na0.1CrS2などの遷移金属の複合酸化物、LiCoS2、LiNiS2などの遷移金属の複合硫化物等が挙げられる。
導電剤としては、活物質に適量混合して導電性を付与できるものであれば特に制限はないが、通常、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉末、各種の金属の繊維、粉末、箔などが挙げられる。
電解質(「電解液」と称することもある)としては、非水系溶媒にリチウム塩を溶解させた非水系電解液や、この非水系電解液に有機高分子化合物等を添加することによりゲル状、ゴム状、または固体シート状にしたものなどが用いられる。
状カーボネート類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類などが挙げられる。
また、上述の非水系電解液に有機高分子化合物を含ませ、ゲル状、ゴム状、或いは固体シート状にして使用する場合、有機高分子化合物の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物;ポリエーテル系高分子化合物の架橋体高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニルアルコール系高分子化合物;ビニルアルコール系高分子化合物の不溶化物;ポリエピクロルヒドリン;ポリフォスファゼン;ポリシロキサン;ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリルなどのビニル系高分子化合物;ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート)、ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート−co−メチルメタクリレート)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン)等のポリマー共重合体などが挙げられる。
質量%以下の範囲である。上記添加剤の含有量が多過ぎると、初期不可逆容量の増加や低温特性、レート特性の低下等、他の電池特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
また、電解質として、リチウムイオン等のアルカリ金属カチオンの導電体である高分子固体電解質を用いることもできる。高分子固体電解質としては、前述のポリエーテル系高分子化合物にリチウムの塩を溶解させたものや、ポリエーテルの末端水酸基がアルコキシドに置換されているポリマーなどが挙げられる。
本発明の非水系二次電池の形態は特に制限されない。例としては、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等が挙げられる。また、これらの形態の電池を任意の外装ケースに収めることにより、コイン型、円筒型、角型等の任意の形状及び大きさにして用いることができる。
実施例又は比較例の黒鉛質粒子を用い、活物質層密度1.35±0.03g/cm3の
活物質層を有する極板を作製した。具体的には、負極材50.00±0.02gに、1質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩水溶液を50.00±0.02g(固形分換算で0.500g)、及び重量平均分子量27万のスチレン・ブタジエンゴム水性ディスパージョンを固形分換算で0.5gを、キーエンス製ハイブリッドミキサーで5分間撹拌し、30秒脱泡してスラリーを得た。
mに塗布し、直径20cmのローラを用いてロールプレスして、活物質層の密度が1.60±0.03g/cm3になるよう調整し電極シートを得た。
上記方法で作製した電極シートを直径12.5mmの円盤状に打ち抜き、リチウム金属箔を直径14mmの円板状に打ち抜き対極とした。両極の間には、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合溶媒(容積比=3:7)に、LiPF6を1mol/
Lになるように溶解させた電解液を含浸させたセパレータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置き、2016コイン型電池をそれぞれ作製した。
上記方法で作製した電極シートを4cm×3cmに切り出し負極とし、NMCからなる正極を同面積で切り出し、負極と正極の間にはセパレータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置き、組み合わせた。エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶媒(容積比=3:3:4)に、LiPF6を1.2mol/Lになるように溶解させた電解液を250μl注液してラミネート型電池を作製した。
上述の方法で作製した非水系二次電池(2016コイン型電池)を用いて、下記の測定方法で電池充放電時の容量を測定した。
0.05Cの電流密度でリチウム対極に対して5mVまで充電し、さらに5mVの一定電圧で電流密度が0.005Cになるまで充電し、負極中にリチウムをドープした後、0.1Cの電流密度でリチウム対極に対して1.5Vまで放電を行った。引き続き同電流密度で2回目の充放電を行い、この2サイクル目の放電容量を本材料の放電容量とした。
上記非水電解液二次電池の作製法により作製したラミネート型非水電解液二次電池を用いて、下記の測定方法で低温出力特性を測定した。
充放電サイクルを経ていない非水電解液二次電池に対して、25℃で電圧範囲4.1V〜3.0V、電流値0.2C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする、以下同様)にて3サイクル、電圧範囲4.2V〜3.0V、電流値0.2Cにて(充電時には4.2Vにて定電圧充電をさらに2.5時間実施)2サイクル、初期充放電を行った。
フロー式粒子像分析装置(東亜医療電子社製FPIA−2000)を使用し、円相当径による粒径分布の測定および平均円形度の算出を行った。分散媒としてイオン交換水を使用し、界面活性剤としてポリオキシエチレン(20)モノラウレートを使用した。円相当径とは、撮影した粒子像と同じ投影面積を持つ円(相当円)の直径であり、円形度とは、相当円の周囲長を分子とし、撮影された粒子投影像の周囲長を分母とした比率である。測定した相当径が1.5〜40μmの範囲の粒子の円形度を平均し、円形度Rとした。
界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(例として、ツィーン20(登録商標)が挙げられる)の0.2質量%水溶液10mLに、炭素材0.01gを懸濁させ、これを測定サンプルとして市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えばHORIBA製LA−920)に導入し、測定サンプルに28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、前記測定装置において体積基準のメジアン径(d50)として測定した。
粉体密度測定器を用い、直径1.6cm、体積容量20cm3の円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して本発明の炭素材を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の質量から求めた密度として定義した。
炭素材の断面SEM画像は次のように測定した。炭素材を含有する極板は上記の性能評価用電池の作製と同様の極板を用いた。まず、クロスセクションポリッシャー(日本電子(株)製 IB−09020CP)を用い、電極断面を加工した。加工した電極断面は、SEM((株)日立ハイテクノロジーズ製 SU−70)で反射電子像を取得した。なお、SEM取得条件は加速電圧10kV、倍率1000倍であり、解像度256dpiにて1粒子が取得できる範囲の像を得た。その後、上述の分散度の測定方法及び条件に従い、150μm×100μmのSEM画像を2つ用いて|X1−X|/X1≦0.2、|R−
R1|≦0.1を満足する粒子を30個以上抽出した。その上、2値化ができる像として黒鉛部の平均輝度が80以上空間部の輝度が平均して65以下の粒子を30粒子選定した。
画像処理ソフトimageJにて、多角形近似で粒子境界をくくり粒子境界とした。このとき粒子形状に合わせて15角形以上になるようにした。粒子外の領域はすべてのpixelで輝
度255になるように処理した。
断面SEM画像から観察される炭素材の空隙領域と空隙以外の領域は、画像ソフトimageJを用い、閾値が輝度80〜85で設定して2値化した。
多角形の粒子境界の線分の長さの合計値を粒子周長L[μm]として下記式から算出した。
粒子境界として設定された多角形の面積をSとして、上記で算出した粒子周長Lから下記式で算出した。
取得したSEM画像から上記条件(1)及び(2)を満足する任意の造粒粒子を30粒子選択し、下記式Bで表される分散度Dをそれぞれの粒子に対して算出した。30粒子の分散度Dから、平均値を算出した。なお、対象の区画における空隙面積の期待値Eは、下記式Aより算出される。
分散度D(%)=((対象の区画内の空隙の総面積[μm2] )/(対象の区画にお
ける空隙面積の期待値E[μm2] )が0.5以上を満たす区画の面積の総和[μm2
] )/(対象の造粒粒子1粒子の全区画の面積の総和[μm2] )×100
(式A)
対象の区画における空隙面積の期待値E[μm2]= (対象の造粒粒子1粒子の内部
空隙の総面積[μm2] )/(対象の造粒粒子1粒子の断面積[μm2] )×(対象の区画の面積[μm2] )
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を乾式旋回流式粉砕機により粉砕し、d50が8.1μm、Tapが0.39g/cm3、水分量0.08質量%の鱗片状天然黒鉛を得た。得られた鱗片状天然黒鉛100gに造粒剤として流動パラフィン(和光純薬工業社製、一級、25℃における物性:粘度=95cP、接触角=13.2°、表面張力=31.7
mN/m、rcosθ=30.9)を12g添加して撹拌混合した後、得られたサンプルをハンマーミル(IKA社製MF10)で回転数3000rpmにて解砕混合し、造粒剤が添着した鱗片状天然黒鉛を得た。得られた造粒剤が均一に添着した鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型にて、球形化処理中に生成する微粉を母材に付着、及び球形化粒子に内包させながら、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による球形化処理を行い、不活性ガス中で720℃で熱処理を施すことで、d50が12.9μmの球形化黒鉛を得た。前記測定法でd50、Tap、円形度、分散度D、放電容量、低温出力特性を測定した。結果を表1、表2に示す。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を乾式気流式粉砕機により粉砕し、d50が6μm、Tapが0.13g/cm3、水分量0.08質量%の鱗片状天然黒鉛を得た。得られた鱗片状天然黒鉛100gに造粒剤としてパラフィン系オイル(流動パラフィン、和光純薬工業社製、一級、25℃における物性:粘度=95cP、接触角=13.2°、表面
張力=31.7mN/m、rcоsθ=30.9)を12g添加して撹拌混合した後、得られたサンプルをハンマーミル(IKA社製MF10)で回転数3000rpmにて解砕混合し、造粒剤が均一に添着した鱗片状天然黒鉛を得た。得られた造粒剤が均一に添着した鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型にて、球形化処理中に生成する微粉を母材に付着、及び球形化粒子に内包させながら、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による球形化処理を行い、不活性ガス中で720℃熱処理を施すことで、d50が9.2μmの球形化黒鉛を得た。実施例1同様の測定を行った結果を表1、表2に示す。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を粉砕機により乾式旋回流式粉砕機により粉砕し、d50が6μm、Tapが0.38g/cm3、水分量0.08質量%の鱗片状天然黒鉛を得た。得られた鱗片状天然黒鉛100gに造粒剤としてパラフィン系オイル(流動パラフィン、和光純薬工業社製、一級、25℃における物性:粘度=95cP、接触角=1
3.2°、表面張力=31.7mN/m、rcоsθ=30.9)を12g添加して撹拌混合した後、得られたサンプルをハンマーミル(IKA社製MF10)で回転数3000rpmにて解砕混合し、造粒剤が均一に添着した鱗片状天然黒鉛を得た。得られた造粒剤が均一に添着した鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型にて、球形化処理中に生成する微粉を母材に付着、及び球形化粒子に内包させながら、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による球形化処理を行い、不活性ガス中で720℃熱処理を施すことで、d50が9.9μmの球形化黒鉛を得た。実施例1同様の測定を行った結果を表1、表2に示す。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型にて、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による球形
化処理を行った。得られたサンプルには母材に付着、及び球形化粒子に内包されていない状態の鱗片黒鉛状微粉が多く存在していることが確認された。このサンプルを分級し、上記鱗片黒鉛状微粉を除去し、d50が10.8μmの球形化黒鉛を得た。実施例1同様の測定を行った結果を表1、表2に示す。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型にて、ローター周速度85m/秒で5分間の機械的作用による造粒処理を行った。得られたサンプルには母材に付着、及び造粒粒子に内包されていない状態の鱗片黒鉛状微粉が多く存在していることが確認された。このサンプルを分級により上記鱗片黒鉛状微粉を除去して、d50が15.4μmの造粒炭素材を得た。実施例1同様の測定を行った結果を表1、表2に示す。
実施例1で得られた熱処理前の球形化天然黒鉛と非晶質炭素前駆体としてコールタールピッチを混合し、不活性ガス中で1300℃熱処理を施した後、焼成物を解砕・分級処理することにより、黒鉛粒子と非晶質炭素とが複合化した複層構造炭素材を得た。焼成収率から、得られた複層構造炭素材において、球形化黒鉛質粒子と非晶質炭素との質量比率(球形化黒鉛質粒子:非晶質炭素)は1:0.08であることが確認された。実施例1同様の測定を行った結果を表3、表4に示す。
比較例1で得られた球形化天然黒鉛と非晶質炭素前駆体としてコールタールピッチを混合し、不活性ガス中で1300℃熱処理を施した後、焼成物を解砕・分級処理することに
より、黒鉛粒子と非晶質炭素とが複合化した複層構造炭素材を得た。焼成収率から、得られた複層構造炭素材において、球形化黒鉛質粒子と非晶質炭素との質量比率(球形化黒鉛質粒子:非晶質炭素)は1:0.065であることが確認された。実施例1同様の測定を行った結果を表3、表4に示す。
Claims (9)
- 複数の炭素材料からなる造粒粒子を含有する非水系二次電池用炭素材であって、前記非水系二次電池用炭素材の断面SEM画像から前記造粒粒子を任意に30粒子選択した際に、下記測定方法で表される分散度Dの30粒子の平均値が60%以上である、非水系二次電池用炭素材。
(測定方法)
断面SEM画像を用いて測定対象となる造粒粒子の短軸及び長軸を20分割する格子を引く。格子の升目を用いて、下記定義のように造粒粒子を区画化し、下記式Aを用いてそれぞれの区画毎に空隙面積の期待値Eを算出し、下記式Bを用いて造粒粒子の分散度Dを算出する。
但し、断面SEM画像は、加速電圧10kVで取得された反射電子像である。
(造粒粒子の区画の定義)
前記格子の各升目の領域の内、造粒粒子の部分及び/又は造粒粒子内の空隙が存在する領域を区画と定義する。造粒粒子の粒子境界外部は区画から除外される。
(式A)
対象の区画における空隙面積の期待値E[μm2]= (対象の造粒粒子1粒子の内部
空隙の総面積[μm2] )/(対象の造粒粒子1粒子の断面積[μm2] )×(対象の区画の面積[μm2] )
(式B)
分散度D(%)=((対象の区画内の空隙の総面積[μm2] )/(対象の区画にお
ける空隙面積の期待値E[μm2] )が0.5以上を満たす区画の面積の総和[μm2
] )/(対象の造粒粒子1粒子の全区画の面積の総和[μm2] )×100 - 前記造粒粒子はレーザー回折で測定された体積基準平均粒径X、断面SEM画像から計測された円形相当径X1の関係が|X1−X|/X1≦0.2である、請求項1に記載の
非水系二次電池用炭素材。 - 前記造粒粒子はフロー式粒子像分析装置で測定された円形度R、断面SEM画像から計測された円形度R1の関係が|R−R1|≦0.1である、請求項1又は2に記載の非水系二次電池用炭素材。
- タップ密度が0.7g/cm3以上である、請求項1乃至3の何れか1項に記載の非水系二次電池用炭素材。
- 前記炭素材のフロー式粒子像分析より求められる円形度が0.88以上である、請求項1乃至4の何れか1項に記載の非水系二次電池用炭素材。
- 前記黒鉛粒子が鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、及び塊状黒鉛を造粒処理した球状黒鉛粒子である、請求項1乃至5の何れか1項に記載の非水系二次電池用炭素材。
- 前記造粒処理が、少なくとも衝撃、圧縮、摩擦、及びせん断力のいずれかの力学的エネルギーを付与する処理である、請求項6に記載の非水系二次電池用炭素材。
- 前記造粒処理が、ケーシング内で高速回転する回転部材を備え、ケーシング内に複数のブレードを設置したローターを有する装置において、該ローターが高速回転することによって、内部に導入された黒鉛に対して衝撃、圧縮、摩擦、及びせん断力のいずれかを与えることで造粒する処理である、請求項6又は7に記載の非水系二次電池用炭素材。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備える非水系二次
電池であって、該負極が集電体と該集電体上に形成された負極活物質層とを備え、該負極活物質層が請求項1乃至8の何れか1項に記載の炭素材を含有する、非水系二次電池。
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