JP2017054030A - 撮像装置、シェーディング補正方法 - Google Patents

撮像装置、シェーディング補正方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レンズの種類に関わらず液晶調光素子を適切に利用できるようにする。
【解決手段】レンズ鏡筒2を装着するマウント部と、マウント部にレンズ鏡筒2が装着された際に、レンズ鏡筒2内のレンズ系を介して入射される入射光の調光を行う液晶調光素子11と、液晶調光素子11を介した入射光を光電変換して撮像画像信号を生成する撮像素子12と、を撮像装置1の本体内に備えるようにする。そして入射光の光軸方向において、マウント部、液晶調光素子11、撮像素子12の順の位置関係となるように配置する。
【選択図】図4

Description

本技術は液晶調光素子を有する撮像装置についての技術分野に関する。
特開2002−82358号公報 特開2000−196953号公報
デジタルスチルカメラやビデオカメラ等として普及している撮像装置は、レンズと、レンズの光軸上に設けられた撮像素子とを有している。これらレンズと撮像素子との間には調光素子が設けられており、これによりレンズから撮像素子に向かう光の量が調整される。
調光素子としては液晶調光素子が知られている。液晶調光素子を搭載する撮像装置においては、ND濃度を無段階に可変させたり、諸条件に応じて自動調光を行うことができるようにされている。
上記特許文献1には液晶調光装置及び撮像装置についての構成及び動作が開示されている。
上記特許文献2にはカメラシステムにおいて、レンズに応じてレベルの異なるシェーディングを補正する技術が開示されている。
ところで、液晶調光素子をレンズ交換式撮像装置システムに用いた例は知られていなかった。
そこで本開示では、レンズ交換式の撮像装置において、より有効な調光素子の配置を提案する。
本技術に係る撮像装置は、交換レンズを装着するマウント部と、前記マウント部に交換レンズが装着された際に、該交換レンズ内のレンズ系を介して入射される入射光の調光を行う液晶調光素子と、前記液晶調光素子を介した入射光を光電変換して撮像画像信号を生成する撮像素子とを備え、入射光の光軸方向において被写体側から、前記マウント部、前記液晶調光素子、前記撮像素子の順の位置関係となるように配置されている。
即ち交換レンズを装着する撮像装置の本体内に、調光素子を配置する。
上記した本技術に係る撮像装置においては、前記撮像素子から出力される撮像画像信号に対して、前記液晶調光素子によって生ずるシェーディングを補正する第1の補正処理を行う信号処理部を備えていることが考えられる。
即ち液晶調光素子を配置することによって生ずるシェーディングが撮像画像において生じないように、撮像画像信号に対する補正を行う。
また上記した本技術に係る撮像装置においては、前記信号処理部は、前記撮像素子から出力される撮像画像信号に対して、前記レンズ系によって生ずるシェーディングを補正する第2の補正処理も行うことが考えられる。
これによりレンズ系に起因するシェーディングについても対応する。
上記した本技術に係る撮像装置においては、射出瞳距離と、前記液晶調光素子の透過率とに基づいて、前記第1の補正処理のための補正値を設定する制御部を備えることが考えられる。
液晶を用いた素子では入射される光線と液晶分子の相互作用で撮像画像にシェーディングが生じる。この液晶調光素子に起因するシェーディングは、射出瞳距離と透過率に応じて変化する。そこで射出瞳距離と透過率に応じて補正値を決める。
上記した本技術に係る撮像装置においては、前記マウント部に装着された交換レンズとの間で通信を行う通信部を備え、前記制御部は、前記通信部による通信によって交換レンズから射出瞳距離の情報を取得することが考えられる。
射出瞳距離の情報を交換レンズから通信で取得することで、レンズ交換が行われても、装着されたレンズに応じた射出瞳距離の情報を得ることができる。
上記した本技術に係る撮像装置においては、前記制御部は、所定時間間隔で前記通信部による交換レンズとの通信を実行させ、射出瞳距離の情報を取得することが考えられる。
所定時間間隔で通信を行うことで、逐次、射出瞳距離の情報を得ることができる。
上記した本技術に係る撮像装置においては、前記制御部は前記液晶調光素子の透過率を可変制御する構成が考えられる。
制御部が液晶調光素子の透過率を可変制御するものであれば、制御部は、特に透過率の情報を外部から取得しなくとも、透過率の制御値により、現在の液晶調光素子の透過率を把握することができる。
上記した本技術に係る撮像装置においては、前記マウント部に通信端子が設けられ、前記マウント部に交換レンズが装着された際に、前記通信端子が該交換レンズの通信端子と接触されることで、前記通信部と装着された交換レンズとの間の通信路が形成されることが望ましい。
交換レンズとの間で、接触状態で通信することで、安定した通信を逐次行うことができ、シェーディング補正も適切に実行できる。
上記した本技術に係る撮像装置においては、前記液晶調光素子は、入射光経路から待避可能とされることが考えられる。
液晶調光素子を待避させることで、透過率を最大とすることができる。
また上記した本技術に係る撮像装置においては、前記液晶調光素子が待避した状態では、入射光経路にクリアガラスが挿入されることが考えられる。
またクリアガラスを挿入することで、液晶調光素子が入っている場合の光学的状態に近い状態を得る。
また前記液晶調光素子は、待避した状態において、入射光の光軸方向にみて、前記マウント部におけるマウントリングと重なる位置状態となる。これにより外形形状の大型化を抑制する。
また前記クリアガラスは、前記液晶調光素子が入射光経路に挿入されている際には入射光経路から待避されるとともに、入射光の光軸方向にみて、前記マウント部におけるマウントリングと重なる位置状態となる。これも外形形状の大型化を抑制する。
本技術に係るシェーディング補正方法は、上述のマウント部と、液晶調光素子と、撮像素子と、信号処理部とを備えた撮像装置におけるシェーディング補正方法として、射出瞳距離の情報と、前記液晶調光素子の透過率とに基づいて、前記補正処理のための補正値を設定するシェーディング補正方法である。
これにより液晶調光素子によるシェーディングが撮像画像に生じないように適切な補正値で補正を行う。
本技術によれば、レンズ交換式の撮像装置において撮像装置側に液晶調光素子を備えるようにしたため、各種の交換レンズ側に調光素子を設ける必要はなく、また撮像装置本体内で液晶調光素子の自動制御に好適である。
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
本技術の実施の形態の撮像装置の説明図である。 実施の形態の撮像装置の交換レンズを外した状態の正面図である。 実施の形態の撮像装置の液晶調光素子の配置を示した断面図である。 実施の形態の撮像装置の内部構成のブロック図である。 実施の形態の液晶調光素子の説明図である。 実施の形態の液晶調光素子の透過率計算の説明図である。 液晶調光素子によるシェーディング量の説明図である。 液晶調光素子によるシェーディングの説明図である。 実施の形態の補正テーブルの説明図である。 実施の形態のシェーディング補正のための機能構成の説明図である。 実施の形態の制御部の処理のフローチャートである。 実施の形態の制御部の動作タイミングの説明図である。
以下、実施の形態を次の順序で説明する。
<1.撮像装置の構造>
<2.内部構成>
<3.シェーディング補正>
<4.まとめ及び変形例>
<1.撮像装置の構造>
図1A、図1Bに実施の形態の撮像装置の概略構造を示す。
図1Aは撮像装置1と、撮像装置1に装着可能な交換レンズの1つとしてのレンズ鏡筒2を示している。図示する撮像素子1、レンズ鏡筒2の外観形状は一例に過ぎない。本実施の形態は、基本的にレンズ交換型のビデオカメラ、或いはデジタルスチルカメラとされる。
図1Bに、撮像装置1のカメラ本体内に液晶調光素子11及び撮像素子12が配置されることを模式的に示している。
レンズ鏡筒2側には、ズームレンズ、フォーカスレンズを含む複数のレンズ等の光学部品によるレンズ系21が設けられている。本実施の形態では、レンズ鏡筒2が撮像装置1に装着された際に、レンズ系21を介した入射光が、撮像装置1側の液晶調光素子11で調光されて撮像素子12に受光される構成を採っている。
なお図1Cには、レンズ交換型でない、レンズ一体型の撮像装置1Aの場合を示しており、当然ながらこの場合、レンズ系21も撮像装置1の本体内に配置される。このような一体型カメラの場合でも、液晶調光素子11は有用であり、それについては変形例で後述する。
図2は撮像装置1の正面図であり、図3A、図3Bは、図2のA−A断面の一部として撮像素子12までの光学系部分を示したものである。
図2は、レンズ鏡筒2を装着していない状態の正面図であるので、正面側にレンズ鏡筒2を装着するためのマウント部80が表出している。
マウント部80を構成するマウントリング80aに沿った内周側には、端子部85が設けられている。端子部85は複数の電気接点とされており、撮像装置1が接続されたレンズ鏡筒2と通信を行うための通信端子として機能する。この撮像装置1に対応するレンズ鏡筒2には、装着状態で、端支部85の各電気接点と接触する電気接点が設けられており、この接触状態により撮像装置1とレンズ鏡筒2の通信経路が形成される。
マウントリング80aの内周側には、入射光を取り入れる開口部分としてカバーガラス81が配置される。なお、これは一例であり、カバーガラス81を設けない構成もある。
カバーガラス81の周囲は入射光が遮蔽されるモールド部86とされている。カバーガラス81から光軸方向に向かっては、図3A、図3Bに示す構成が配置されている。
図3Aは液晶調光素子11が入射光経路から待避している状態、図3Bは液晶調光素子11が入射光経路に配置されている状態の一例を、それぞれ示している。
例えば通常は液晶調光素子11を図3Bのように配置して、液晶調光素子11による調光機能を発揮させる。これに対し入射光量を増加させたい場合、図3Aのように液晶調光素子11を待避させることで、ほぼ100%透過の状態とすることができる。
図3Bの状態では、入射光の進行方向(光軸方向)の順に、カバーガラス81、液晶調光素子11、オプティカルローパスフィルタ83、撮像素子12が配置される。なお液晶調光素子11とオプティカルローパスフィルタ83の配置の順番は逆であってもよい。
図3Aの状態では、入射光の進行方向の順に、カバーガラス81、クリアガラス82、オプティカルローパスフィルタ83、撮像素子12が配置された状態となる。
なおクリアガラス82とオプティカルローパスフィルタ83の配置の順番は逆であってもよい。
この例では、図3Aの状態では、液晶調光素子11が空間R1に待避し、図3Bの状態では、クリアガラス82が空間R2に待避するものとしている。
図3Aの液晶調光素子11の退避時では、液晶調光素子11はカバーガラス81とは光軸方向の位置が重ならない位置に移動し、移動後は少なくともマウントリング80aと光軸方向の位置が重なる位置となる。さらにその状態において液晶調光素子11は、モールド部86とも光軸方向の位置が重なっている。
液晶調光素子11の待避した状態の位置が、このようにマウントリング80a及びモールド部86と光軸方向に見て(被写体側から見て)重なる位置とされていることとすることで、空間R1を小さくできる。つまり、より図面上上方へ液晶調光素子11を待避させると、光軸と垂直方向に空間R1を広げる必要が生ずるが、待避位置を図のようにしていること空間R1を最小限の広さとすることができる。
また図3Bの状態では、クリアガラス82がマウントリング80aと光軸方向の位置が重なる位置となる。さらにその状態においてマウントリング80aは、モールド部86とも光軸方向の位置が重なっている。
クリアガラス82の待避した状態の位置が、このようにマウントリング80a及びモールド部86と光軸方向に見て(被写体側から見て)重なる位置とされていることとすることで、空間R2を小さくできる。つまり、より図面上下方へクリアガラス82を待避させると、光軸と垂直方向に空間R2を広げる必要が生ずるが、待避位置を図のようにしていること空間R2を最小限の広さとすることができる。
この例では、液晶調光素子11が入射光経路から待避した際にクリアガラス82が入射光経路に配置されるものとしているが、これは液晶調光素子11を待避させたときでも、液晶調光素子11が入っている場合の光学的な状態に近い状態にするためである。このためクリアガラス82は、材質の屈折率を考慮した光学長を両者で合わせる機能を有する。
また、液晶調光素子11はホルダ11aによって保持され、クリアガラス82はホルダ82aによって保持されている。そしてホルダ11a,82aが連結された状態で、上下に連動することで、液晶調光素子11の挿入/退避が行われる。
この機構により、液晶調光素子11とクリアガラス82の移動を一体的に実行でき、液晶調光素子11の退避及び退避からの復帰のための機構の容易化や、入射光経路への液晶調光素子11とクリアガラス82の入れ替え動作の安定化が図られる。
なお、クリアガラス82の待避方向(待避位置)は、撮像素子12を挟んで液晶調光素子11の待避方向(待避位置)と180度反対側であってもよいし、90度異なる方向に待避されるようにする場合もある。さらにクリアガラス82の待避方向(待避位置)は、液晶調光素子11の待避方向(待避位置)と同じ方向(位置)に待避する場合もあり得る。
<2.内部構成>
図4に実施の形態の撮像装置1の内部構成を示す。同時に撮像装置1に装着されるレンズ鏡筒2も示している。
撮像装置1は、液晶調光素子11、撮像素子(イメージャ)12、カメラ信号処理部13、記録部14、出力部15、電源部16、カメラ制御部30、メモリ部31、調光駆動回路32、レンズ駆動回路33、通信部34を有する。
なお図示は省略したが、表示部や操作部などのユーザインターフェースのための構成も備えていることが通常である。
レンズ鏡筒2におけるレンズ系21は、カバーレンズ、ズームレンズ、フォーカスレンズ等のレンズや絞り機構を備える。このレンズ系21により、被写体からの光(入射光)が導かれ、撮像装置1における液晶調光素子11を介して撮像素子12に集光される。
液晶調光素子11は、入射光の光量調整を行う。液晶調光素子11の構成は後述する。
撮像素子12は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)型、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型などとして構成される。
この撮像素子12では、受光した光を光電変換して得た電気信号について、例えばCDS(Correlated Double Sampling)処理、AGC(Automatic Gain Control)処理などを実行し、さらにA/D(Analog/Digital)変換処理を行う。そしてデジタルデータとしての撮像信号を、後段のカメラ信号処理部13に出力する。
カメラ信号処理部13は、例えばDSP(Digital Signal Processor)等により画像処理プロセッサとして構成される。このカメラ信号処理部13は、撮像素子12からのデジタル信号(撮像画像信号)に対して、各種の信号処理を施す。例えばカメラ信号処理部20は、前処理、同時化処理、YC生成処理、解像度変換処理、コーデック処理等を行う。
前処理では、撮像素子12からの撮像画像信号に対して、R,G,Bの黒レベルを所定のレベルにクランプするクランプ処理や、R,G,Bの色チャンネル間の補正処理等を行う。
同時化処理では、各画素についての画像データが、R,G,B全ての色成分を有するようにするデモザイク処理を施す。
YC生成処理では、R,G,Bの画像データから、輝度(Y)信号および色(C)信号を生成(分離)する。
解像度変換処理では、各種の信号処理が施された画像データに対して、解像度変換処理を実行する。
コーデック処理では、解像度変換された画像データについて、例えば記録用や通信用の符号化処理を行う。
特に本実施の形態の場合、カメラ信号処理部13は、例えば上記の前処理の段階で、液晶調光素子11を介した入射光を撮像することで発生するシェーディングを補正するための補正処理や、レンズ系21に起因したシェーディングを補正するための補正処理も行う。
記録部14は、例えば不揮発性メモリからなり、静止画データや動画データ等の画像ファイル(コンテンツファイル)や、画像ファイルの属性情報、サムネイル画像等を記憶する。
画像ファイルは、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)、TIFF(Tagged Image File Format)、GIF(Graphics Interchange Format)等の形式で記憶される。
記録部15の実際の形態は多様に考えられる。例えば記録部15は、撮像装置10に内蔵されるフラッシュメモリでもよいし、撮像装置10に着脱できるメモリカード(例えば可搬型のフラッシュメモリ)と該メモリカードに対して記録再生アクセスを行うカード記録再生部による形態でもよい。また撮像装置10に内蔵されている形態としてHDD(Hard Disk Drive)などとして実現されることもある。
出力部15は、外部機器との間のデータ通信やネットワーク通信を有線又は無線で行う。
例えば外部の表示装置、記録装置、再生装置等に対して撮像画像データ(静止画ファイルや動画ファイル)の送信出力を行う。
また出力部15はネットワーク通信部であるとして、例えばインターネット、ホームネットワーク、LAN(Local Area Network)等の各種のネットワークによる通信を行い、ネットワーク上のサーバ、端末等との間で各種データ送受信を行うようにしてもよい。
電源部16は、例えば内蔵したバッテリーの電圧、或いは商用交流電源に接続したACアダプタにより変換されて入力される直流電圧を電源として、各部に必要な電源電圧を生成し、動作電圧として供給する。
カメラ制御部30はCPU(Central Processing Unit)を備えたマイクロコンピュータ(演算処理装置)により構成される。
メモリ部31は、カメラ制御部30が処理に用いる情報等を記憶している。例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなど包括的に示している。メモリ部31はカメラ制御部30としてのマイクロコンピュータチップに内蔵されるメモリ領域であってもよいし、別体のメモリチップにより構成されてもよい。
カメラ制御部30はメモリ部31のROMやフラッシュメモリ等に記憶されたプログラムを実行することで、この撮像装置1全体を統括的に制御する。
例えばカメラ制御部30は、撮像素子12のシャッタスピードの制御、カメラ信号処理部13における各種信号処理の指示、ユーザの操作に応じた撮像動作や記録動作、記録した画像ファイルの再生動作、ズーム、フォーカス、露光調整等のカメラ動作、ユーザインターフェース動作等について、必要各部の動作を制御する。
メモリ部31におけるRAMは、CPUの各種データ処理の際の作業領域として、データやプログラム等の一時的な格納に用いられる。
メモリ部31におけるROMやフラッシュメモリ(不揮発性メモリ)は、CPUが各部を制御するためのOS(Operating System)や、画像ファイル等のコンテンツファイルの他、各種動作のためのアプリケーションプログラムや、ファームウエア等の記憶に用いられる。
また本例においては、例えばフラッシュメモリに後述するシェーディング補正のための補正テーブルが記憶される。
調光駆動回路32は液晶駆動信号SP1,SP2により、液晶調光素子を駆動して透過率を変更する。調光駆動回路32は例えばカメラ制御部30からの明るさ指示に基づいて、液晶駆動信号SP1,SP2の振幅レベルを設定し、液晶調光素子11に出力する。
なお、液晶駆動信号SP1,SP2として2系統の液晶駆動信号を示しているのは、実施の形態の一例として後述するように液晶調光素子11が2層構造であり、各液晶層の駆動を行うためである。
レンズ駆動回路33は、カメラ制御部30の指示(調光制御信号SG1)に基づいてレンズ鏡筒2の駆動系23の駆動信号を出力する。
レンズ鏡筒2の駆動部23は、例えばレンズ系21におけるフォーカスレンズやズームレンズを駆動するモータ、絞り機構を駆動するモータ等を備える。レンズ駆動回路33はこれらのモータの駆動信号を出力し、レンズ鏡筒2において所要の動作を実行させる。
通信部34は、レンズ鏡筒2との間の通信を行う。
レンズ鏡筒2においては、例えばマイクロコンピュータによる通信/制御部22が搭載されており、カメラ制御部30は、通信部34を介して通信/制御部22と各種のデータ通信が可能とされる。本実施の形態の場合、カメラ制御部30Lは、通信部22による通信により、レンズ鏡筒2におけるレンズ系21の射出瞳距離の情報を取得する。
なお、通信部34と通信/制御部22の間の通信や、レンズ駆動回路33から駆動系23へのモータ駆動信号の供給は、図2に示した端子部85(及び図示しないレンズ鏡筒2側の端子部)を介した有線接続で行われる。
このような撮像装置1に搭載される液晶調光素子11について説明する。
液晶調光素子11はゲスト−ホスト型液晶(GH:Guest Host)セルを用いる調光装置とされる。
図5に液晶調光素子11の構造を示す。
液晶調光素子11は、ガラス基板41,42,43が設けられ、調光する光の進行方向(矢印L)に対して2つの液晶層45,48を有する。
まずガラス基板41,42が図示のようにシール材49を介して配置され、その間に一方の液晶層45が形成される。ガラス基板41,42のそれぞれの液晶層側には透明電極膜44a,44bが設けられる。また液晶層45の両面側には配光膜46,46が設けられる。
またガラス基板42,43についても図示のようにシール材49を介して配置され、その間に他方の液晶層48が形成される。ガラス基板42,43のそれぞれの液晶層側には透明電極膜47a,47bが設けられる。また液晶層48の両面側には配光膜46,46が設けられる。
例えばシール材49は、液晶層45,46を側面側から封止する。このシール材49は例えばエポキシ接着剤やアクリル接着剤等の接着剤からなる。
なお、図5は断面方向で構造を示しているが、液晶調光素子11としては、他にも図示していない封止部、スペーサを有する。
スペーサは液晶層45,48のセルギャップを一定に保持するために配置される場合もある。例えば樹脂材料またはガラス材料等が用いられる。
封止部は液晶を封入する際の封入口であり、その後に液晶を外部から封止する。
この液晶調光素子11において、配向膜46は例えばポリイミド等の高分子材料で、予め所定の方向にラビング処理が施されることで液晶分子の配向方向が設定される。
液晶層45,48にはゲストーホスト型の液晶分子のほか所定の色素分子(二色性染料分子)を含有している。GH型の液晶は、電圧印加時における液晶分子の長軸方向の相違により、ネガ型のものとポジ型がある。例えばポジ型のGH型液晶は、電圧無印加時(OFF状態)には液晶分子の長軸方向が光軸に対して垂直となり、電圧印加時(ON状態)には液晶分子の長軸方向が光軸に対して平行となる。
この液晶調光素子11の2つの液晶層45,48にはそれぞれ上下電極(透明電極膜44a,44bと透明電極膜47a,47b)があり、計4つの信号で駆動される。即ち液晶駆動信号SP1の正極レベル・負極レベルと、液晶駆動信号SP2の正極レベル・負極レベルが印加される。
液晶は耐久性確保のため交流反転が必須であり、各液晶層45,48の2つの電極には2相のクロックがそれぞれ供給される。つまり、ある周波数のクロックパルスとされた液晶駆動信号SP1について、その信号と反転信号が透明電極膜44a,44bに印加される。また同じくある周波数のクロックパルスとされた液晶駆動信号SP2について、その信号と反転信号が透明電極膜47a,47bに印加される。
ある周波数、振幅の液晶駆動信号SP1,SP2を与えられた液晶調光素子11はその液晶種類により、振幅を大きくするにしたがい透過率が高くなる。もしくは振幅を大きくするにしたがい透過率が低くなる。
つまりカメラ制御部30が、明るさの指示値である調光制御信号SG1を調光駆動回路32に与え、調光駆動回路32が、その指示に応じた振幅の液晶駆動信号SP1,SP2を出力することで、液晶調光素子11による透過率が可変され、調光動作が実行される。
液晶調光素子11の透過率の計算モデルを図6Aに示す。
各値は次のとおりとする。
ベクトルa:入射光の光線のベクトル
ベクトルb:入射側の液晶層45の液晶分子(色素)のベクトル
ベクトルb’:出射側の液晶層48の液晶分子(色素)のベクトル
Ii:光線強度
t:入射側の液晶層45のγ=90°のときの透過率
t’:出射側の液晶層48のγ’=90°のときの透過率
α:入射側の液晶分子の配光角
γ:入射側の液晶分子の仰角
α’:出射側の液晶分子の配光角
γ’:出射側の液晶分子の仰角
なお図6Bにはα、α’をX−Y平面で示し、図6Cにはγ、γ’をX−Z平面で示している。
この場合、各ベクトルは、

として表される。
そして色素を透過する光線強度は、光線ベクトルと色素ベクトルの内積となるため、液晶調光素子11の透過率Tは、

となる。
<3.シェーディング補正>
上述のように本実施の形態の撮像装置1は、レンズ交換式カメラである。そして液晶調光素子11が撮像装置1(カメラ本体)のレンズ光学系で撮像素子12の前に配置されている。なお、液晶調光素子11は液晶駆動信号SP1,SP2の電圧が高くなるほど透過率が高くなるモードにて説明する。
液晶調光素子11の撮像画像に及ぼすシェーディングでは、カメラ光学系の中で、液晶調光素子11に入射される光線と、液晶調光素子11の印加電圧で変わる液晶分子の間の角度により撮像素子12上への透過量が決まる。
このとき光線の始点となるポイントは、図7Aに示すように、液晶調光素子11の平面上法線の光軸上でレンズから撮像素子12までの光学系で決まる射出瞳の位置PS1(射出瞳距離Z)となる。その位置PS1から液晶調光素子11を介して撮像素子12の撮像面上の各ポイントに入射される光の量は、上記のように各ポイントに相当する入射光線と液晶分子の角度の内積で計算される。
このような原理で作成した撮像素子12の撮像面上のイメージでの光量シェーディング計算値は、実際に同一条件の光学系が出力する画像でのシェーディングとよい相関で一致する。
図7Bは、縦軸をシェーディング量、横軸を射出瞳距離とした特性を示している。各曲線は透過率TR1〜TR7として液晶調光素子11の透過率が異なる場合において、射出瞳距離とシェーディング量の関係を示したものである。
図からわかるように、シェーディング量は、射出瞳距離と透過率に対して相関性をもっている。
したがって射出瞳と液晶調光素子11の状態で補正するシェーディングマップデータを得ることができる。
図8Aは、射出瞳距離Z=33mm、透過率25%の場合のシェーディング量の実測値とシミュレーション結果を、等高線で示している。
また図8Bは、射出瞳距離Z=50mm、透過率25%の場合のシェーディング量の実測値とシミュレーション結果を示している。
例えばこのように射出瞳距離Zと透過率の組み合わせにおいて、撮像画像上のシェーディング量が把握できることから、射出瞳距離Zと透過率TRの組み合わせ毎に、シェーディング補正のための補正係数テーブルが生成できることが理解される。
図9で補正係数テーブルの例を説明する。
図9Aは、1つの補正係数テーブルHTを示している。この例は、撮像画像信号の1フィールドの画素数を(M×N)個としたときに、各画素に対応してM×N個の補正係数群(k00〜kMN)を有するテーブルとしたものである。各画素に対応する補正係数kは、図8に示したシェーディング量に応じて決められるようにする。
図9Bは、1画面上の画素をブロック化し、ブロックB毎に補正係数を設定した補正係数テーブルHTの例である。つまり1つのブロックB内の各画素に対しては、補正係数値が同じとする例である。
シェーディング量は、図8のように画素の位置に応じて決まるため、ある程度の画素をブロック化しても、補正精度はさほど低下しない。そこで、図9BのようにブロックB毎に補正係数kを設定してもよい。これによりテーブルに要する記憶容量の低減や処理負担の削減が可能となる。ブロックBのサイズ(画素数)は多様に考えられる。
例えばこの図9A、図9Bのような補正係数テーブルHTを、射出瞳距離Zと透過率の組み合わせ毎に用意する。
例えば図9Cのように、射出瞳距離Z=100mmについて、透過率TR1,TR2,TR3・・・のそれぞれの場合に対応して、補正係数テーブルHTを用意する。
さらに射出瞳距離Zが、90mm、80mm・・・の各場合も同様に、透過率毎に補正係数テーブルHTを用意する。
なお、射出瞳距離Zと透過率TRの全ての組み合わせについて補正係数テーブルHTを設けることは現実的ではない。例えば射出瞳距離Z=100mm、99mm、98mm・・・、透過率TR=100%、99%、98%・・・の組み合わせで補正係数テーブルHTを用意するようにすると、補正係数テーブルHTの数が膨大になる。
そこで、例えば図9Cのように、射出瞳距離と透過率のそれぞれについて、或るポイント毎で組み合わせを設定して、補正係数テーブルHTを用意する。該当しない状況の場合は補正係数を補間処理で生成するようにすればよい。
例えば透過率TR1で、射出瞳距離Z=95mmの場合、(Z=100mm/TR1)の補正係数テーブルHTと、(Z=90mm/TR1)の補正係数テーブルHTを用い、各補正係数kを、この2つの補正係数テーブルHTに記憶された補正係数値からの補間処理で生成するようにする。
ところで、補正係数テーブルHTは、実際に画素やブロックB毎の補正係数kを記憶したテーブルとするほか、補正係数kを所定の演算処理で求める演算式として記憶されるものであってもよい。即ち、射出瞳距離と透過率の関係に応じて、各画素に対応する補正係数kが得られる情報であれば、どのような形式の情報でもかまわない。
以下、本実施の形態のシェーディング補正動作について説明する。
図10は、カメラ信号処理部13におけるシェーディング補正のための構成と、カメラ制御部30におけるシェーディング補正のための機能構成を示している。
カメラ信号処理部13には、撮像画像信号S1に対して、液晶調光素子11に起因するシェーディングを補正するための係数乗算器71と、レンズ鏡筒2側のレンズ系21に起因するシェーディングを補正するための係数乗算器72を備えている。
係数乗算器71,72は、撮像画像信号S1の各画素値に対して、補正係数k、kLを乗算する。
なお補正係数kは、図9のように液晶調光素子11に対応するシェーディング補正のために用意された補正係数テーブルHTに基づいてカメラ信号処理部13に供給される各画素に対する補正係数である。
補正係数kLは、詳述は避けるが、レンズ系21に対応するシェーディング補正のために用意された補正係数テーブルに基づいてカメラ信号処理部13に供給される各画素に対する補正係数である。
係数乗算器71,72は、例えばカメラ信号処理部13としてのDSPにおける信号処理過程での1つの乗算手順として実現されるが、これらがハードウエアとしての乗算器により形成されてもよい。
カメラ制御部30には、液晶調光素子11に対応するシェーディング補正のための機能として、補正値出力部61、補正値設定部62、情報取得部63が、例えばソフトウエアによる演算手順として設けられる。
またカメラ制御部30には、レンズ系21に対応するシェーディング補正のための機能として、補正値出力部64、補正値設定部65、情報取得部66が、例えばソフトウエアによる演算手順として設けられる。
またカメラ制御部30には、通信部34を介したレンズ鏡筒2との通信を制御する通信処理部68が例えばソフトウエアで実現される機能として設けられる。
またカメラ制御部30には、調光駆動回路32に明るさレベルを指示する調光制御信号SG1を出力する調光制御部67が例えばソフトウエアで実現される機能として設けられる。
メモリ部31には、上述した補正係数テーブルHTとしてのテーブル群が記憶されている。なお、この例では、レンズ系21に対応するシェーディング補正のためのテーブル群と、液晶調光素子11に対応するシェーディング補正のためのテーブル群が、それぞれ記憶されているとする。
液晶調光素子11に対応するシェーディング補正のための機能として、情報取得部63は、透過率TRの情報と射出瞳距離Zの情報を取得する。
液晶調光素子11の透過率は、カメラ制御部30自身が調光制御部67の機能により調光制御信号SG1により指示する。従って、情報取得部63は、調光制御信号SG1を逐次確認すれば、現在の液晶調光素子11の透過率TRを把握できる。
また情報取得部63は、射出瞳距離Zの情報を通信処理部68から取得する。通信処理部68が、通信部34による通信を逐次実行させることで、現在の射出瞳距離Zの情報がレンズ鏡筒2から取得できる。
補正値設定部62は、情報取得部63が取得した射出瞳距離Zと透過率TRの情報に応じて、補正値を設定する処理を行う。
例えばメモリ部31に記憶した補正係数テーブルHTのうちで、射出瞳距離Z及び透過率TRの組み合わせに応じた補正係数テーブルHTを特定し、その補正係数テーブルHTにおける各画素の補正係数kを取得する。或いは、上述したように複数の補正係数テーブルHTの補正係数kを用いて補間処理を行って、現在の射出瞳距離Z、透過率TRに応じた、各画素の補正係数kを生成する。
補正値出力部61は、補正値設定部62が設定した補正係数、例えば1フィールドの各画素に対する補正係数kを、順次撮像画像信号S1のタイミングに合わせてカメラ信号処理部13に供給し、係数乗算器71の乗算処理を実行させる。
これらの機能により実現されるカメラ制御部30の処理例を図11に示す。
カメラ制御部30は図11の処理を、撮像素子12による撮像動作(光電変換動作)が行われている期間、繰り返し実行する。つまり撮像素子12の動作が開始されてから、ステップS102で撮像終了(撮像装置1の光電変換動作の終了)と判断されるまでの期間である。通常、撮像素子12の動作が開始されるのは、撮像モードで撮像装置1の電源がオンとされるタイミングである。
カメラ制御部30はステップS100で、現在、液晶調光素子11が待避状態(図3Aの状態)であるか否かを確認する。待避状態であれば、当然ながら液晶調光素子11に対応する補正処理は実行せず、ステップS102の監視を行う。
液晶調光素子11が待避状態ではない期間には、カメラ制御部30はステップS101で通信タイミングを確認し、またステップS102で撮像終了の確認を行う。
例えばカメラ制御部30は、レンズ鏡筒2との通信を一定期間毎に行うものとする。ステップS101では、当該定期的な通信タイミングを確認する。
通信タイミングと判断したときは、カメラ制御部30はステップS103で、通信部34によるレンズ鏡筒2との通信を実行させる。そして通信結果として、射出瞳距離Zの情報を受信する。
ステップS104でカメラ制御部30は現在の液晶調光素子11の透過率TRを把握する。これは、直近の調光制御信号SG1の指示値を確認すればよい。
ステップS105でカメラ制御部30は、補正値を設定する。即ち上述のように射出瞳距離Zと透過率TRに応じた補正係数テーブルHTの特定、又は補間処理により、撮像画像信号S1の各画素値に与える補正係数k(k00〜kMN)を設定する。
そしてステップS106でカメラ制御部30は、設定した補正係数kを、カメラ信号処理部13に出力する補正係数としてセットする。この補正係数k(k00〜kMN)は所定タイミングでカメラ信号処理部13に供給される。
このような処理で実行されるシェーディング補正の動作タイミングの例を図12に示す。
図12Aは撮像画像信号S1の1フィールド期間(垂直同期タイミング)を示している。
カメラ制御部30は、例えば図12Bに示すように、撮像画像信号S1の1フィールドタイミングに同期してレンズ鏡筒2との通信を行うものとする。
図12Cはカメラ制御部30の補正値設定処理、図12Dは補正値(補正係数k00〜kMN)の出力処理を示している。即ち、1フィールド期間おきの通信処理により射出瞳距離Zを取得し、射出瞳距離Z及び透過率TRに応じて補正値設定処理を行う。
設定した補正値は、次のフィールド期間にカメラ信号処理部13に供給される。これにより、或るフィールド期間で設定した補正値が、次のフィールド期間の撮像画像信号S1に乗算されてシェーディング補正が行われることになる。
なお、このタイミング例は一例である。通信間隔は多様に考えられる。例えばnフィールド期間おきに通信を行う場合、通信後に設定した補正係数kを、撮像画像信号S1の続くnフィールドの期間については共通に使用するようにすればよい。
また、必ずしも撮像画像信号S1に同期した通信を行わなくてもよい。
また、カメラ制御部30は、射出瞳距離Zが変化の;可能性があるときにレンズ鏡筒2に通信を行うようにしてもよい。例えばレンズ鏡筒2の装着時や、ズーム指示時などである。
ところで、略同様のシェーディング補正動作が、レンズ系21に起因するシェーディング補正としても行われる。レンズ系21に起因するシェーディング量は、射出瞳距離Z及び絞り機構の絞り値ISとの相関性がある。
そこで情報取得部66は、絞り値ISと射出瞳距離Zの情報を、レンズ鏡筒2との通信により取得する。
補正値設定部65は、情報取得部66が取得した射出瞳距離Zと絞り値ISの情報に応じて、補正値を設定する処理を行う。
例えばメモリ部31に記憶した補正係数テーブルのうちで、射出瞳距離Z及び絞り値ISの組み合わせに応じた補正係数テーブルを特定し、その補正係数テーブルにおける各画素の補正係数を取得する。或いは補間処理を行って各画素の補正係数を生成する。
補正値出力部64は、補正値設定部65が設定した補正係数、例えば1フィールドの各画素に対する補正係数kLをカメラ信号処理部13に供給し、係数乗算器72の乗算処理を実行させる。
このようにレンズ系21に起因するシェーディングについても補正を行うことで、液晶調光素子11に起因するシェーディングと併せて、シェーディングの影響を解消もしくは低減した撮像画像を得ることができ、撮像画像の高品質化を実現できる。
<4.まとめ及び変形例>
以上の実施の形態では、次のような効果が得られる。
実施の形態の撮像装置1は、交換レンズとしてのレンズ鏡筒2を装着するマウント部80と、マウント部80にレンズ鏡筒2が装着された際に、該レンズ鏡筒2のレンズ系21を介して入射される入射光の調光を行う液晶調光素子11と、液晶調光素子11を介した入射光を光電変換して撮像画像信号を生成する撮像素子12とを備えている。
レンズ交換式の撮像装置を考えると、調光素子を交換レンズ側に配置することが通常に考えられる。しかしながら液晶調光素子を交換レンズに内蔵する場合、自動調光等の機能を実現するためには、全ての交換レンズに調光素子を設けることや、交換レンズの種類に応じた調光素子を用意しなければならない。
これに対して本実施の形態では、交換レンズを装着する撮像装置1の本体内に、液晶調光素子11を配置する。これによりレンズ交換式の撮像装置1において、多様なレンズ系21との組み合わせで調光機能を実現することができる。
特にこの場合、入射光の光軸方向において被写体側から、マウント部80、液晶調光素子11、撮像素子12の順の位置関係となるように配置されていることで、調光動作に適した配置状態が得られる。
また、もし液晶調光素子11をレンズ鏡筒2側に配置すると、交換レンズとしてのレンズ鏡筒自体の外形・外装に影響をあたえ、デザインの制約も生ずる。例えば、従来の交換レンズのラインナップに液晶調光素子11を内蔵する仕様・機能を追加すると、交換レンズ自体の外形・外装を大きく変化させなければならないことが想定される。
本実施の形態では、レンズ鏡筒2側にこのような影響を与えることなしに、可変NDフィルタやNDを使用した場合と同等の露光制御が可能となるなどのメリットを享受できる。
また液晶調光素子11をレンズに配置すると、接続されるカメラ本体側の回路にて液晶調光素子の使用を制限される。したがってレンズ交換式カメラシステムにおいて、液晶調光素子11を幅広く使用するには液晶調光素子11を撮像装置1の本体内に配置することのメリットは大きい。
また撮像装置1は、撮像素子12から出力される撮像画像信号S1に対して、液晶調光素子11によって生ずるシェーディングを補正する第1の補正処理(係数乗算器71の処理)を行う信号処理部13を備えている。
液晶調光素子11を配置することによって生ずるシェーディングが撮像画像において生じないように撮像画像信号に対する第1の補正処理を行うことで、液晶調光素子に起因する撮像画像の画質低下を回避することができる。
また信号処理部13は、レンズ系21によって生ずるシェーディングを補正する第2の補正処理(係数乗算器72の処理)も行うようにしている。
即ち上記の第1の補正処理に加えてレンズ系21に起因するシェーディングに対する第2の補正処理も行われる。
これにより撮像画像におけるシェーディングを解消又は低減し、撮像画像の高品質化を実現できる。
またカメラ制御部30は、射出瞳距離Zと、液晶調光素子11の透過率TRとに基づいて、第1の補正処理、即ち液晶調光素子11に起因するシェーディングに対する補正処理のための補正値を設定する。
入射光の光線の角度と、液晶分子の角度の関係においてシェーディング状態が現れる。この入射光の角度については射出瞳距離によって決まり、液晶分子の角度は透過率に応じたものとなる。
従って液晶調光素子11に起因するシェーディングは、射出瞳距離Zと透過率TRに応じて変化するものとなる。そこで射出瞳距離Zと透過率TRに応じて補正値を決めることで、液晶調光素子11に起因するシェーディングに対する補正処理が適正に機能し、撮像画像の画質向上を実現できる。
一般的に液晶層(45,48)にゲストーホスト型の液晶分子のほか所定の色素分子(二色性染料分子)を含有する液晶調光素子11では、その液晶分子の傾く方向と入射された光線の角度で出力光強度が決まる。
このことは即ち、カメラ光学系においてラビング等の配向方向をもつ液晶調光素子11を介して撮像を行うと、その配向方向に依存する方向にシェーディングが発生する。
液晶の分子の角度は電圧を印加して透過率を可変設定することに連動して変化する。したがって液晶の透過率に対して補正を行うことが必要となる。
また一方、入射光の角度は液晶調光素子11の前面にあるレンズ光学系にて決定する。比較的、射出瞳距離Zが長いレンズ光学系では動作上、入射角度の変化は小さくシェーディング補正量も小さい。一方で広角レンズなど射出瞳距離Zが短いレンズ光学系では原理的に微妙なズーム変化に対して入射角度変化は大きく、シェーディング量も大きくなる。
つまり、様々な射出瞳距離Zに対応するレンズ交換式の撮像装置1における液晶調光素子11のシェーディングには、液晶調光素子11の透過率のみに対応しただけでは、正しく補正ができない。
そのため上述のように射出瞳距離Zと透過率TRに応じて補正値設定することが好適となる。
これにより、レンズ交換式カメラシステムにおいて、液晶調光素子11を撮像装置1の本体側に配置した場合に、複数の交換レンズ(レンズ鏡筒2)に対応した液晶調光素子11独自のシェーディング現象による画像のユニフォーミティ劣化を生じさせることをなくすことができる。
実施の形態では、レンズ鏡筒2との間で通信を行う通信部34を備え、カメラ制御部30は、通信部34による通信によってレンズ鏡筒2から射出瞳距離Zの情報を取得するようにしている。
射出瞳距離Zの情報を交換レンズから通信で取得することで、レンズ交換が行われても、装着されたレンズに応じた射出瞳距離の情報を得ることができる。
これによりレンズ交換に関わらず、装着された交換レンズに応じて適切なシェーディング補正が可能となる。
上述のように透過率TRと、射出瞳距離Zに応じてシェーディング補正を行うには、交換レンズ毎にその入射角に基づいた補正値データを用意することが必要となるほか、ズーム位置で入射角の異なる交換レンズもある。また交換レンズにおいてレンズシェーディング補正を行う場合には交換レンズ側にレンズ制御回路を配置している。
これらの事情を鑑みると、装着されたレンズ鏡筒2から、通信で射出瞳距離Zを取得することは、非常に効率的かつ正確な補正を可能とすることになる。
またカメラ制御部30は、所定時間間隔で通信部34によるレンズ鏡筒2との通信を実行させ、射出瞳距離Zの情報を取得する。
所定時間間隔で通信を行うことで、逐次、射出瞳距離の情報を得ることができる。
これによりズームレンズ移動による射出瞳距離の変化にも対応して適切なシェーディング補正が可能となる。
なお実施の形態では、液晶調光素子11は図5のように液晶層45,48を有する2層構造としたが、これは一例である。1つの液晶層による1層構造の液晶調光素子を用いても良い。
またカメラ制御部30は、液晶調光素子11の透過率TRを可変制御する。即ち調光制御信号SG1により調光駆動回路32を制御する。
カメラ制御部30が液晶調光素子11の透過率TRを可変制御するものであれば、カメラ制御部30は特に透過率TRの情報を外部から取得しなくとも、透過率の制御値により、現在の液晶調光素子11の透過率を把握することができる。従って補正値設定処理のための透過率の検出処理が容易化される。
また撮像装置1においては、マウント部80に通信用の端子部85が設けられ、マウント部80にレンズ鏡筒2が装着された際に、端子部85がレンズ鏡筒2の通信用の端子部と接触される。これにより通信部34と装着されたレンズ鏡筒2との間の通信路が形成される。このようにレンズ鏡筒2との間で、接触状態で通信することで、安定した通信を逐次行うことができ、シェーディング補正も適切に実行できる。
また撮像装置1においては、液晶調光素子11は、入射光経路から待避可能とされる。
また液晶調光素子11が待避した状態では、入射光経路にクリアガラス82が挿入される構造としている。
液晶調光素子11を待避させることで、透過率を最大とすることができる。また液晶調光素子11の待避時に、入射光経路にクリアガラス82を挿入することで、液晶調光素子11が入っている場合の光学的状態に近い状態を得ることができる。これにより液晶調光素子11の入射光経路上での有無に応じた光学特性の変化を抑え、液晶調光素子11の待避有無に関わらず画像品質を安定化させる。
また液晶調光素子11は、待避した状態において、入射光の光軸方向にみて、マウント部80におけるマウントリング80aと重なる位置状態となる。これにより待避のための空間R1に必要な広さを抑制できるため撮像装置1の筐体の外形形状の大型化を抑制することができる。
またクリアガラス82は、液晶調光素子11が入射光経路に挿入されている際には入射光経路から待避されるとともに、入射光の光軸方向にみて、マウントリング80aと重なる位置状態となる。これにより待避のための空間R2に必要な広さを抑制できるため撮像装置1の筐体の外形形状の大型化を抑制することができる。
なお実施の形態の撮像装置1はレンズ交換式のカメラシステムとしての例で説明したが、本開示の技術は図1Cのようなレンズ一体型カメラについても適用可能である。
即ちズームレンズ位置によって射出瞳距離Zが変化する場合、それに応じてシェーディング補正値を設定することが望ましい。
従って、レンズ一体型の撮像装置であって、そのレンズ系のもつ特性として射出瞳距離が例えば50mm以下で、かつ操作においてレンズの射出瞳距離が変化し、液晶調光素子を本体に使用しているものを想定する。
射出瞳距離が例えば50mm以下とするのは、射出瞳が短いレンズ光学系では原理的に微妙なズーム変化に対して入射角度変化が大きく、シェーディング量も大きくなるためである。
このようなレンズ一体型の撮像装置では、レンズ系の射出瞳距離を確認して、その情報および液晶調光素子11の透過率設定に対応した補正値に基づいてシェーディング補正を行うことが好適である。
なお、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
なお本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)交換レンズを装着するマウント部と、
前記マウント部に交換レンズが装着された際に、該交換レンズ内のレンズ系を介して入射される入射光の調光を行う液晶調光素子と、
前記液晶調光素子を介した入射光を光電変換して撮像画像信号を生成する撮像素子と、を備えた
撮像装置。
(2)前記撮像素子から出力される撮像画像信号に対して、前記液晶調光素子によって生ずるシェーディングを補正する第1の補正処理を行う信号処理部を備えた、
上記(1)に記載の撮像装置。
(3)前記信号処理部は、前記撮像素子から出力される撮像画像信号に対して、前記レンズ系によって生ずるシェーディングを補正する第2の補正処理も行う、
上記(2)に記載の撮像装置。
(4)射出瞳距離と、前記液晶調光素子の透過率とに基づいて、前記第1の補正処理のための補正値を設定する制御部を備えた
上記(2)に記載の撮像装置。
(5)前記マウント部に装着された交換レンズとの間で通信を行う通信部を備え、
前記制御部は、前記通信部による通信によって交換レンズから射出瞳距離の情報を取得する
上記(4)に記載の撮像装置。
(6)前記制御部は、所定時間間隔で前記通信部による交換レンズとの通信を実行させ、射出瞳距離の情報を取得する
上記(5)に記載の撮像装置。
(7)前記制御部は前記液晶調光素子の透過率を可変制御する
上記(4)乃至(6)のいずれかに記載の撮像装置。
(8)前記マウント部に通信端子が設けられ、
前記マウント部に交換レンズが装着された際に、前記通信端子が該交換レンズの通信端子と接触されることで、前記通信部と装着された交換レンズとの間の通信路が形成される
上記(5)又は(6)に記載の撮像装置。
(9)前記液晶調光素子は、入射光経路から待避可能とされる
上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の撮像装置。
(10)前記液晶調光素子が待避した状態では、入射光経路にクリアガラスが挿入される
上記(9)に記載の撮像装置。
(11)前記液晶調光素子は、待避した状態において、入射光の光軸方向にみて、前記マウント部におけるマウントリングと重なる位置状態となる
上記(9)に記載の撮像装置。
(12)前記クリアガラスは、前記液晶調光素子が入射光経路に挿入されている際には入射光経路から待避されるとともに、入射光の光軸方向にみて、前記マウント部におけるマウントリングと重なる位置状態となる
上記(10)に記載の撮像装置。
(13)交換レンズを装着するマウント部と、
前記マウント部に交換レンズが装着された際に、該交換レンズ内のレンズ系を介して入射される入射光の調光を行う液晶調光素子と、
前記液晶調光素子を介した入射光を光電変換して撮像画像信号を生成する撮像素子と、 前記撮像素子から出力される撮像画像信号に対して、前記液晶調光素子によって生ずるシェーディングを補正する補正処理を行う信号処理部と、
を備えた撮像装置におけるシェーディング補正方法として、
射出瞳距離の情報と、前記液晶調光素子の透過率とに基づいて、前記補正処理のための補正値を設定する
シェーディング補正方法。
1…撮像装置、2…レンズ鏡筒、11…液晶調光素子、12…撮像素子、13…カメラ信号処理部、14…記録部、15…出力部、30…カメラ制御部、31…メモリ部、32…調光駆動回路、34…通信部、81…カバーガラス、82…クリアガラス、85…端子部

Claims (13)

  1. 交換レンズを装着するマウント部と、
    前記マウント部に交換レンズが装着された際に、該交換レンズ内のレンズ系を介して入射される入射光の調光を行う液晶調光素子と、
    前記液晶調光素子を介した入射光を光電変換して撮像画像信号を生成する撮像素子と、を備え、
    入射光の光軸方向において被写体側から、前記マウント部、前記液晶調光素子、前記撮像素子の順の位置関係となるように配置されている
    撮像装置。
  2. 前記撮像素子から出力される撮像画像信号に対して、前記液晶調光素子によって生ずるシェーディングを補正する第1の補正処理を行う信号処理部を備えた、
    請求項1に記載の撮像装置。
  3. 前記信号処理部は、前記撮像素子から出力される撮像画像信号に対して、前記レンズ系によって生ずるシェーディングを補正する第2の補正処理も行う、
    請求項2に記載の撮像装置。
  4. 射出瞳距離と、前記液晶調光素子の透過率とに基づいて、前記第1の補正処理のための補正値を設定する制御部を備えた
    請求項2に記載の撮像装置。
  5. 前記マウント部に装着された交換レンズとの間で通信を行う通信部を備え、
    前記制御部は、前記通信部による通信によって交換レンズから射出瞳距離の情報を取得する
    請求項4に記載の撮像装置。
  6. 前記制御部は、所定時間間隔で前記通信部による交換レンズとの通信を実行させ、射出瞳距離の情報を取得する
    請求項5に記載の撮像装置。
  7. 前記制御部は前記液晶調光素子の透過率を可変制御する
    請求項4に記載の撮像装置。
  8. 前記マウント部に通信端子が設けられ、
    前記マウント部に交換レンズが装着された際に、前記通信端子が該交換レンズの通信端子と接触されることで、前記通信部と装着された交換レンズとの間の通信路が形成される
    請求項5に記載の撮像装置。
  9. 前記液晶調光素子は、入射光経路から待避可能とされる
    請求項1に記載の撮像装置。
  10. 前記液晶調光素子が待避した状態では、入射光経路にクリアガラスが挿入される
    請求項9に記載の撮像装置。
  11. 前記液晶調光素子は、待避した状態において、入射光の光軸方向にみて、前記マウント部におけるマウントリングと重なる位置状態となる
    請求項9に記載の撮像装置。
  12. 前記クリアガラスは、前記液晶調光素子が入射光経路に挿入されている際には入射光経路から待避されるとともに、入射光の光軸方向にみて、前記マウント部におけるマウントリングと重なる位置状態となる
    請求項10に記載の撮像装置。
  13. 交換レンズを装着するマウント部と、
    前記マウント部に交換レンズが装着された際に、該交換レンズ内のレンズ系を介して入射される入射光の調光を行う液晶調光素子と、
    前記液晶調光素子を介した入射光を光電変換して撮像画像信号を生成する撮像素子と、 前記撮像素子から出力される撮像画像信号に対して、前記液晶調光素子によって生ずるシェーディングを補正する補正処理を行う信号処理部と、
    を備えた撮像装置におけるシェーディング補正方法として、
    射出瞳距離の情報と、前記液晶調光素子の透過率とに基づいて、前記補正処理のための補正値を設定する
    シェーディング補正方法。
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