JP2017053690A - 摺動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】煩雑な作業を行うことなく、摺動面間に存在する透明膜の膜厚を計測することができるようにする。
【解決手段】透明摺動材42と反射摺動材48とは、荷重を受けながら相対運動し、液体膜46は、透明摺動材42と反射摺動材48との間に存在し、透明摺動材42及び液体膜46は、光を透過する材質から構成され、反射摺動材48は、光を反射する材質から構成される。白色光源22からの光を、バンドパスフィルタを用いて3波長の単色光から構成される光にし、透明摺動材42と液体膜46とを透過させて反射摺動材48へ照射して光干渉を生じさせ、カメラ32は、生じた光干渉における、波長が異なる2以上の光の各々の輝度を計測する。演算装置60は、カメラ32によって計測された2以上の光の各々の輝度に基づいて、液体膜46の膜厚を計算する。
【選択図】図7

Description

本発明は、透明膜の膜厚を計測する摺動装置に関する。
従来より、摺動面の透明膜厚さ計測の中でも油膜厚さ計測に特化した摺動装置が知られている(非特許文献1、2)。膜厚計測の基本原理は光干渉法である。油中において、部分反射膜(クロム)及び保護膜(シリカ)がコートされた透明ディスク(ガラス、サファイア)で鋼球を摩擦し、摺動面間に油膜を形成する。透明ディスク越しに鋼球の摺動面へ白色光を照射する。この白色光はブロードなスペクトルを持っており、波長制御されていない。すると照射した光の一部はクロム膜に反射され、残りはシリカ層内、油膜内を通り鋼球に反射して戻ることで光の光路差が生まれて、光干渉が生じる。この干渉色を、デジタルカラーCCDカメラを用いて撮影し、撮像を、画像集録ボードを用いてコンピュータへRGB輝度分布として取り込む。これらのRGB輝度分布を画像処理によりHSV輝度分布に変換し、その中のH(Hue,色相)の分布を用いる。
また、事前に膜厚が既知の透明膜試料を用いて実験的に作成した色相−膜厚の較正表を用いて、色相分布を膜厚分布に変換する。
P. M. CANN et.al, "The Development of a Spacer Layer Imaging Method (SLIM) for Mapping Elastohydrodynamic Contacts ", TRIBOLOGY TRANSACTIONS, Vol. 39(1996), 4, 915-921 「EHL極薄膜厚計測システム」、インターネット<URL:http://mail.shima-tra.co.jp/jp/products/topics/ehl071201.pdf>
上記の非特許文献1に記載の技術では、干渉色を透明膜厚さへ変換するには、色相−膜厚の較正表を作成しなくてはならない。作成には、膜厚が既知かつ連続的に変化する透明膜を用意し、それを、油膜計測を行いたい試験片と同一の分光反射率、すなわち同様の色と反射率を持つ材料と光干渉用の透明ディスクで挟んで、光干渉を生じさせる必要がある。これを実現するには様々な方法があるが、代表的な方法は油膜計測に用いる試験片と同一の分光反射率を持つ球を用意し、それをディスクに押し当て、透明膜として球とディスク間のすき間(空気膜厚さ)を用いる方法である。接触点ではすき間がゼロであること、また接触点からのすき間分布は球の曲率から算出できることから、膜厚が既知となり干渉色の色相と膜厚を紐付けることができる。しかしながら、非特許文献1にも示されるように色相−膜厚の関係は複雑な曲線であり、ある程度の細かい間隔ですき間値と色相値を計測しなくてはいけないため、非常に煩雑な作業になる。さらに、試験片の色や油の色、また光学系(カメラやレンズ、照明)が変化する度に較正曲線を作成し直さなくてはならない。
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたもので、煩雑な作業を行うことなく、透明膜の膜厚を計測することができる摺動装置を得ることが目的である。
本発明に係る摺動装置は、第1の摺動材料、第2の摺動材料、透明膜、光検出器、光源、及び演算装置を備えた摺動装置であって、前記第1の摺動材料と前記第2の摺動材料とは、荷重を受けながら相対運動し、前記透明膜は、前記第1の摺動材料と前記第2の摺動材料との間に存在し、前記第1の摺動材料及び前記透明膜は、光を透過する材質から構成され、前記第2の摺動材料は、光を反射する材質から構成され、前記光源からの光を、前記第1の摺動材料と前記透明膜とを透過させて前記第2の摺動材料へ照射して光干渉を生じさせ、前記光検出器は、前記生じた光干渉後の光から単色光と見なせる程度に狭い波長幅の光の輝度を計測し、その際に計測する波長数は2以上であり、前記演算装置は、前記光検出器によって計測された前記2以上の光の各々の輝度に基づいて、前記透明膜の膜厚を計算する。
本発明に係る摺動装置では、前記光源からの光を、前記第1の摺動材料と前記透明膜とを透過させて前記第2の摺動材料へ照射して光干渉を生じさせ、前記光検出器は、前記生じた光干渉後の光から単色光と見なせる程度に狭い波長幅の光の輝度を計測し、その際に計測する波長数は2以上である。そして、前記演算装置は、前記光検出器によって計測された前記2以上の光の各々の輝度に基づいて、前記透明膜の膜厚を計算する。
このように、光源からの光を、前記第1の摺動材料と前記透明膜とを透過させて前記第2の摺動材料へ照射して光干渉を生じさせ、生じた光干渉における、波長が異なる2以上の光の各々の輝度を計測し、前記光検出器によって計測された前記2以上の光の各々の輝度に基づいて、前記透明膜の膜厚を計算することにより、煩雑な作業を行うことなく、透明膜の膜厚を計測することができる。
本発明に係る演算装置は、前記光検出器によって計測された前記2以上の光の各々の輝度に基づいて、前記2以上の光の各々の輝度と前記透明膜の膜厚との関係、及び前記透明膜の膜厚を計算するようにすることができる。
本発明に係る光検出器は、複数の計測点について、前記2以上の光の各々の輝度を計測し、前記演算装置は、前記光検出器によって前記計測点の各々について計測された前記2以上の光の各々の輝度に基づいて、前記2以上の光の各々の輝度と前記透明膜の膜厚との関係を表す関係式であって、前記計測点の各々における前記透明膜の膜厚、及び前記計測点の各々において同一であると仮定した測定環境由来の未知変数を含む関係式に対して、連立方程式を解くか、又は最適化手法により、前記計測点の各々における前記透明膜の膜厚、及び前記測定環境由来の未知変数を求めるようにすることができる。
上記の測定環境由来の未知変数は、前記2以上の光の各々の表面光強度、及び前記2以上の光の各々の、前記透明膜による吸光が生じない場合の裏面光強度を含むようにすることができる。
上記の測定環境由来の未知変数は、前記透明膜の、前記2以上の光の各々に対する吸光係数を含むようにすることができる。これにより、透明膜に着色があっても、膜厚を計測することができる。
上記の前記測定環境由来の未知変数は、前記透明膜の、前記2以上の光の各々に対する屈折率を含むようにすることができる。これにより、透明膜が、油膜などの屈折率の波長依存性の大きい材質であっても、膜厚を計測することができる。
上記の関係式は、以下の式で表わされる。
ただし、jは、前記2以上の光の各々に割り当てた番号を表し、iは、前記複数の計測点の各々に割り当てた番号を表し、I(i,j)は、前記光検出器によってi番目の計測点について計測されたj番目の光の輝度を表し、I(j)は、j番目の光の表面光強度を表し、I(j)は、j番目の光の、前記透明膜による吸光が生じない場合の裏面光強度を表し、α(j)は、前記透明膜のj番目の光に対する吸光係数を表し、n(j)は、前記透明膜のj番目の光に対する屈折率を表し、t(i)は、i番目の計測点における前記透明膜の膜厚を表し、λ(j)は、j番目の光の波長を表す。
上記の2以上の光の波長は200nm〜4,000nmである。
上記の透明膜は液体膜である。
上記の演算装置は、前記光検出器によって前記複数の計測点のうちの一部の計測点の各々について計測された前記2以上の光の各々の輝度に基づいて、前記関係式に対して、連立方程式を解くか、又は最適化手法により、前記計測点の各々における前記透明膜の膜厚、及び前記測定環境由来の未知変数を求め、前記光検出器によって前記複数の計測点のうちの残りの計測点の各々について計測された前記2以上の光の各々の輝度、及び前記求められた前記測定環境由来の未知変数に基づいて、前記計測点の各々について、前記2以上の光の各々の波長に対する、前記関係式を満たす前記計測点における前記透明膜の膜厚の候補値を求め、前記2以上の光の各々の波長に対する前記計測点における前記透明膜の膜厚の候補値から、波長間の合致法を用いて前記計測点における前記透明膜の膜厚値を決定することができる。
上記の摺動装置は、前記光源から照射された光の光路上であって、前記光源と前記第1の摺動材料との間に設けられた、前記2以上の光の各々の波長を透過するバンドパスフィルタを更に含むようにすることができる。
上記の摺動装置は、前記光干渉を生じた光の光路上であって、前記光検出器と前記第1の摺動材料との間に設けられた、前記2以上の光の各々の波長を透過するバンドパスフィルタ、又は前記2以上の光の各々に分光する光分光器を更に含むようにすることができる。
以上説明したように本発明に係る摺動装置は、光源からの光を、前記第1の摺動材料と前記透明膜とを透過させて前記第2の摺動材料へ照射して光干渉を生じさせ、生じた光干渉における、波長が異なる2以上の光の各々の輝度を計測し、前記光検出器によって計測された前記2以上の光の各々の輝度に基づいて、前記透明膜の膜厚を計算することにより、煩雑な作業を行うことなく、透明膜の膜厚を計測することができる、という優れた効果を有する。
光干渉が生じる様子を示す図である。 膜厚を計測する原理を説明するための図である。 輝度と膜厚の関係を示すグラフである。 吸収係数が0の場合における輝度と膜厚の関係、および強度が0.4の場合の波長470nmの膜厚候補値を示すグラフである。 吸収係数が0でない場合における輝度と膜厚の関係、および強度が0.4の場合の波長470nmの膜厚候補値を示すグラフである。 合致法を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る膜厚計測システムの構成を示す図である。 3波長バンドパスフィルタの透過特性を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る膜厚計測システムの演算装置の構成を示す機能ブロック図である。 本発明の実施形態に係る演算装置によって実行される膜厚計測処理ルーチンを示す図である。 シリコンウェーハーの模式図である。 シリコンウェーハー凹部の基油膜による干渉像を示す図である。 I1(j)とI2(j)を導出した結果を示す図である。 基油膜の膜厚分布および3次元形状測定機で測定した深さ分布の断面を比較した結果を示す図である。 数nmオーダ、数十nmオーダ、数百nmオーダの3水準において、凹部の平均膜厚と平均深さをプロットした結果を示す図である。 鏡面研磨した鋼円板による干渉像を示す図である。 計測点の位置を示す図である。 I1(j)とI2(j)を導出した結果を示す図である。 干渉像から膜厚分布に変換した結果を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
<本実施の形態の原理>
<透明膜の定義>
本実施の形態では、摺動材料の間に存在する透明膜の厚さ分布を計測可能な膜厚計測システムについて説明するが、その前に透明膜の定義を記す。本実施の形態において透明膜とは、水の膜のような透過による光の減衰をほぼ生じない膜のみを意味するのではなく、エンジン油の膜のような透過による光の減衰を生じる膜、すなわち着色透明膜も意味する。さらに、摺動面間に存在する光を透過する領域という意味において、液体や固体が含まれない場合の摺動面間のすき間も意味する。具体例としては、空気中や真空中で表面粗さを持つ表面同士が摺動する場合における表面粗さの谷部などである。本実施の形態では、特に指示の無い場合、透明膜は上記を意味する。
<透明膜厚さ分布計測の重要性>
機械要素の摺動部では、多くの場合において摺動面間に透明膜が存在する。例えば、多くの摺動部は油などの液体で潤滑されており、それらの液体は多くの場合に透明であるため、摺動面間には透明膜が存在する。また、摺動材料と周囲の物質の化学反応により摺動材料表面に透明膜が形成されることがある。具体例としては、エンジン油中で鋼を摩擦した場合におけるZnDTPの反応被膜や大気中で鋼を摩擦した場合における酸化膜が挙げられる。これらはいずれも透明である。さらに、摺動面間に物体としての透明膜は存在しないが光を透過する領域が存在する場合がある。具体例としては、空気中や真空中で表面粗さを持つ表面同士が摺動する場合における表面粗さの谷部などである。このような場合においても、その領域の厚さ分布を計測することは有益である。なぜなら膜厚ゼロ点の分布は真実接触点分布を意味するためである。
これらの透明膜厚さ分布は摩擦特性に影響するため、透明膜厚さ分布を計測することは摺動部設計において重要である。
<光干渉法>
透明膜厚さ分布、特に油膜厚さ分布の測定方法として広く普及している手法に「光干渉法」がある。これは光の干渉を用いて透明膜厚さを計測する手法である。
光干渉法の原理を図1に示す。摺動材の一方を、光を透過する材質で構成し、もう一方の摺動材の材料を光を反射する材質で構成する。以下、これらの摺動材をそれぞれ“透明摺動材”、“反射摺動材”と記す。光源から透明摺動材を透過させて透明膜越しにもう一方の摺動材へ光を照射する。このとき、透明摺動材と透明膜の屈折率差を適切に設定し、その界面で光を一部反射し一部透過するようにする。屈折率差が小さく反射が十分に生じない場合には、透明摺動材の透明膜と接する表面に部分反射膜を成膜する場合もある。
透明膜を透過した光は反射摺動材で反射され、再び透明膜および透明摺動材を透過して光源方向に戻る。ここで、透明摺動材−透明膜界面で反射された光を“表面光”、反射摺動材で反射された光を“裏面光”と記す。表面波と裏面波は光路差が生じるため光干渉を生じ、反射摺動材表面を透明摺動材側から透明膜越しに光検出器(カメラ等)で観察すると、光干渉が観察される。この光干渉の色(波長と輝度)には光路差、すなわち透明膜厚さが影響するため、干渉色から透明膜厚さに関する情報が得られる。これが光干渉法の原理である。
<従来技術の課題>
従来技術の課題は、光干渉法で得た干渉色から膜厚への変換方法である。色と膜厚の較正を事前に実験的に作成しなくてはならないが、それが非常に煩雑である。
また、事前に膜厚が既知の透明膜試料を用いて実験的に作成した色相−膜厚の較正表を用いて、色相分布を膜厚分布に変換する。上記非特許文献1に記載されているように、色相は膜厚に対して周期関数であり、膜厚増加に対する干渉色の色相は干渉の次数と同じ約250nm周期で同じ色相が現れ(周期250nmの周期関数である)、その周期が約250nmであるため、膜厚の測定範囲の大きさは250nmに限定され、膜厚測定範囲が狭い。
<本発明の実施の形態の概略>
本発明の実施の形態の、摺動面間の透明膜の厚さ分布計測機能を備えた膜厚計測システムは、従来技術の課題を解決すべく「干渉色から透明膜厚さへ変換に用いる較正」を、煩雑な実験による事前作成を要せずに作成することを特徴とする。具体的には、光干渉を記述する光学の数式と計測結果から作成する。このとき、作成した較正は表ではなく数式となる。
この較正数式の作成方法の概略を述べる。まず、単一の波長の光(以下,単色光)において光干渉における輝度と膜厚(光路差)の関係は数式で記述することができる。この数式には測定環境由来の未知変数(照射光の波長、透明膜の光学特性,反射摺動材の色など)が4つ含まれており、較正として用いるにはこれらの未知変数を導出する必要がある。本発明の実施の形態の特徴は、これらの未知変数を計測結果(干渉色分布)から導出することである。このとき、未知変数は干渉色分布内で一定という仮定、すなわち「干渉色分布は各波長での干渉による輝度の強め合い・弱め合いのみに寄る」という仮定をおく。すると未知変数は計測点に依らなくなるので、計測点を複数選択して十分な数の数式を作成すると、連立方程式の解決もしくは誤差を最小化する最適化手法により数式中の未知変数と膜厚を決定できる。
さらに先の数式は単色光における輝度と膜厚を記述したものであるため、光検出器は光干渉後の光を単色光と見なせる程度の分解能で分光して、各波長の輝度を独立して計測する必要がある。これには光検出器が分光器を備える、照射光を単色光から構成する等の方法があるが、本実施の形態では後者を採用する。これは、現在の分光器ではカメラ画像のような2次元空間の1点ごとの分光スペクトルを得られるものは存在しなかったためである。そのため、従来技術との相違点として,照射光をブロードなスペクトルの白色光ではなく波長が既知の2つ以上の単色光から構成している。また光検出器は各単色光の輝度を独立して計測する。さらに、未知変数を導出するには計測点1点において2つ以上の波長について数式が必要であるため、照射光は2つ以上の単色光から構成する。
本発明の実施の形態の基本構成を図2に示す。従来の光干渉法の構成に加えて「照射光に含まれる各波長の輝度を独立して計測する光学系」および「干渉色を膜厚へ変換する較正を計測結果から生成するアルゴリズムを備えた演算装置」が必要となる。
<干渉色を膜厚へ変換する較正を生成する原理>
干渉色の輝度値から膜厚への較正数式の作成は、以下の2ステップで行われる。
第1ステップでは、干渉色分布において複数計測点を選択し、干渉色理論式と計測値のフィッティングにより未知変数と選択した計測点の膜厚を導出する。第2ステップでは、膜厚候補値の算出と合致法による真値決定を行う。
<干渉色理論式と測定値のフィッティングによる未知変数導出>
較正を計測結果から自動的に生成するためには、本計測が行われる環境(照明、透明膜の光学特性、反射摺動材の色など)に依存する未知変数を計測結果から導出する必要がある。具体的には、各波長において、表面波の強度、透明膜による減衰が生じない場合の裏面波の強度、透明膜の減衰係数、及び透明膜の屈折率からなる4つの未知変数を導出する必要がある。
本干渉色解析の特徴は、1点での計測結果からこれらを導出するのではなく、これらが干渉色分布内において一定であると仮定して、複数点での計測結果から導出することである。
<干渉色理論式>
m個の単色光から構成される照射光を用いて、画像内のp個の測定点(画像のピクセル数に相当する。一般的なカメラを用いた場合には数百万〜数千万のピクセルである)の透明膜厚さを測定する場合を考える。任意の測定点に割り当てた番号をi(i=1〜p)、単色光に割り当てた番号をj(j=1〜m)とすると、測定点iにおいて測定される波長jの干渉後の輝度I(i,j)と、測定点iにおける透明膜厚さt(i)の関係は式(1)で表される。以下、式(1)を“干渉色理論式”と記す。

(1)
ただし、I(j)はj番目の単色光の表面光強度、I(j)はj番目の単色光の透明膜による吸光が生じない場合の裏面光強度、α(j)は透明膜のj番目の単色光に対する吸光係数、n(j)は透明膜のj番目の単色光に対する屈折率、λ(j)は、予め求められたj番目の単色光の波長である。
干渉色理論式をI=I=1/4、α=0、n=1、λ=470nm,560nm,600nmの条件でプロットした結果を図3に示す。このように、未知変数が導出できれば色(各単色光の輝度値)と膜厚の較正曲線を得ることが出来る。
<干渉色理論式の導出>
干渉色理論式は光学の公式の組み合わせから導出されるものである。まずは、空間の1点における1つの波長の光による干渉について考える。今回の計測のように2つの光路差を持つ光が干渉に対して支配的になる場合は、干渉光の輝度は式(2)で表される(非特許文献3(ヘクト光学II −波動工学- 第4版,丸善,P.157(2002))を参照)。

(2)
ここで、I、Iはそれぞれ表面波、裏面波の輝度であり、δは2つの波の位相差[rad.]である。
2つの波の位相差[rad.]は、光路差[m]を波長[m]で割り2πを掛けたものである。本測定系の場合、光路差は透明膜の光学膜厚の2倍であるから、透明膜の物理膜厚をt、透明膜の屈折率をnとすると、δは以下の式(3)で表される。

(3)
式(3)を式(2)に代入すると、式(4)が得られる.

(4)
次に、透明膜による干渉光の吸光(輝度減衰)を考慮する。光の減衰は式(5)で表される(非特許文献4(ヘクト光学I −基礎と幾何工学- 第4版,丸善,P.197(2002))を参照)。

(5)
ここで、αは吸光係数、Lは光が透明膜中を通る距離(透過距離)である。式(5)において、透明膜を透過した光はI2であり、その透過距離は物理膜厚の2倍であるから、I2をI2e-α*2tとすればよい。すると式(6)が導出される.

(6)
次に各未知変数が計測点iと波長jのいずれの関数であるかについて述べる。前述したように、本解析手法の特徴として「表面波の強度I1」、「透明膜による減衰が生じない場合の裏面波の強度I2」、「透明膜の減衰係数α」、「透明膜の屈折率n」は面内で一定と仮定している.これは、摺動材料の色ムラがある場合を除き、多くの摺動面において実用上問題ない範囲で成り立つ仮定である。また色ムラがある場合においても、未知変数を求めるために使用する計測点を同一色の中でのみ設定し膜厚分布も同一色の中であれば解析値に問題なく、色ムラがある場合においても本計測手法は有効性は損なわれるものではない。
この仮定より、式(6)においてI1,I2,α,nは計測点iには依存せず波長jに依存するため、jのみの関数となる。一方、膜厚tは波長jに依存せず計測点iに依存するため、iのみの関数となる。計測される干渉輝度はi, jの両方に依存する。これらの考えを式(6)に導入すると、干渉色理論式を得ることが出来る。
<未知変数を導出可能な計測点数の条件>
未知変数の数をX(X=1〜4である。上記ケースでは未知変数の数は4だが実験的に未知変数を求めると数は減るためXとした)とする。計測点数をk、波長数をmとすると、未知変数の数はXm + k個となる。1点からm個の輝度値が得られるため、必要条件はX×m + k ≦ m×kとなり、以下の式(8)を満たす測定点数が必要であることがわかる。

(8)
本実施の形態では、測定点に依存しない未知変数X=4、波長数m=3であるから、6点あれば求まることになる。もちろんこれ以上の計測点がある方がより精度高く未知変数を求めることができる。
また、波長数m=1だと未知変数の数Xに関わらず、計測点数kを増やしても条件を満たさないことがわかる。よって、本計測手法を用いる上では波長数2以上が必須となる。
<最小二乗法によるフィッティングを用いた計測値と干渉色理論式の誤差を最小にする未知変数の導出>
式(8)を満たす数の計測点を選択した後は、各計測点において干渉色理論式に則って計測輝度値と4つの未知変数および膜厚の関係式を作成する。それらの関係式において計測値と干渉色理論式の誤差の二乗和を最も小さくするように(最小二乗法)フィッティングを行うことで、4つの未知変数と各計測点での膜厚を同時に導出する。最小二乗法を用いた最適化を行う場合、導出したい最適値は大域最小値(global minimum)であるが、初期値の設定によっては局所最小値(local minimum)を選んでしまう。そのため、解析精度を向上すべく、未知変数の導出を行う際には選択した各計測点に対して膜厚の真値に近い初期値を入力する。これらの初期値は摺動面の油膜厚さ分布や周辺の色情報、図3で示したカラーチャート(計測環境が変化しても膜厚増加に伴う色変化の傾向は大きく変化しない)などを考慮すると、おおよそ真値に近い値を入力することができる。経験的には、初期値が真値から±100nm程度異なっていても真値に到達することがわかっており、初期値の設定はそこまでの厳密さを要するものではない。また解析精度を向上させるには膜厚測定範囲を適切に設定する、すなわち必要以上に広く設定しないことも重要である。
<膜厚候補値の算出と合致法による真値決定(第2ステップ)>
第1ステップの手法は、未知変数の導出に用いる計測点が増えると計算負荷が増すため、画像の全領域(測定点数=カメラ画素数のため,数百万〜数千万)を第1ステップのみで解析するのは不適切である。よって、第1ステップにおいて未知変数の導出に用いる計測点数は数十個程度に留め、第2ステップでは第1ステップで導出した未知変数を用いて、残りの計測点に対し、各波長の輝度から膜厚への変換を行う。具体的には、導出した未知変数と各点・各波長の輝度値から式(1)における膜厚の候補値を各計測点について求め、それを波長間の合致法を用いて真値を決定する手法である。第2ステップでは、第1ステップのように複数計測点の膜厚値を同時に決定するのではなく、各計測点の膜厚値を1点ずつ決定する。
<膜厚候補値の算出>
ここでは第1ステップによりI1(j),I2(j),α(j),n(j)は既知になっているため、式(1)を用いると膜厚tと輝度Iの関係が既知になる。図4に透明膜による減衰が生じない(α=0)場合の膜厚tと輝度Iの関係を示し、図5に、透明膜による減衰が生じる(α>0)場合の膜厚tと輝度Iの関係を示す。図4、図5中では強度が0.4の場合の波長470nmの膜厚候補値を示してある。減衰が生じない場合には膜厚候補値は式(1)にα=0を代入し変形した式(7)を用いて解析的に求めることができる。一方、減衰が生じる場合には膜厚候補値を解析的に求める式は見つかっておらず、数値計算によって求める必要がある。もちろん解析的に求める式が見つかればそれを用いても良い。

(7)
<各波長間の位相合致法による膜厚推定>
上記のように算出された膜厚候補値から、合致法(非特許文献5(尾藤,産総研計量標準報告, Vol.4, No.1 (2005))を参照)を用いて真値を決定する。合致法とは、図6で示すように、3波長の膜厚候補値の差が最も少ない値を膜厚の真値として選ぶ手法である。合致法においても、周期的に3波長の候補値が近い膜厚が出現するため、解析精度を向上させるには膜厚測定範囲を適切に設定する、すなわち必要以上に広く設定しないことが重要である。また今回は3つの単色光を用いているが、波長数が増えると波長間の候補値が近い膜厚が出現する周期(間隔)が広がるため、解析精度は向上する。
<システム構成>
本発明の実施形態に係る膜厚計測システム10について、図7〜図10に基づいて説明する。
図7に示すように膜厚計測システム10は、光学系20、摺動系40、及び演算装置60を備えている。
<光学系>
光学系20は、白色光源22、ライトガイド24、3波長バンドパスフィルタ26、ハーフミラー28、レンズ30、及びカメラ32を備えている。
白色光源22から照射された白色光が、ライトガイド24に入射され、ライトガイド24の途中に設けられた、3波長を透過する3波長バンドパスフィルタ26を透過した、3波長の単色光から構成される照射光が、ハーフミラー28で反射して、摺動系40へ入射される。
摺動系40で反射された光が、ハーフミラー28を透過して、カメラ32に入射される。
カメラ32は、摺動系40で生じた光干渉における、3波長の光の各々の輝度を計測する。
本発明の実施の形態と従来技術と比較した場合の大きな相違点は、照射光が波長が既知の単色光から構成されることである。本実施の形態では、照射光を構成する単色光として波長が470nm,560nm,600nmの3波長を選択する。これらは一般的なカラーカメラのRGBの分光感度を考慮し、一般的なカラーカメラを光検出器として用いるためである。これらの単色光から構成される照射光はブロードなスペクトルを持つ白色光(キセノンフラッシュランプ)を、3波長バンドパスフィルタ26を用いて特定の波長のみ透過させることにより実現する。図8に、3波長バンドパスフィルタ26の透過スペクトルの一例を示す。各単色光の半値全幅(FWHM)は約10nmである。本計測法を用いるうえでは半値全幅は少ないほどよいが、半値全幅10nmの単色光を用いた場合でも妥当な結果が得られている。なお、本実施の形態では照射光を単色光のみから構成するためにバンドパスフィルタを用いたが、単色光を発する光源、例えばLEDやレーザーを組み合わせることによって実現しても良い。
本実施の形態では、照射する光の波長にこれらの可視光を用いた場合を例に説明するが、本計測原理は可視光に限定されるものではなく、任意の波長を持つ光(電磁波)に対しても本計測原理は成立する。ただし、200nm以下の光は真空紫外光と呼ばれ大気による吸収が生じるため、扱いが難しい。また4000nm以上の光(中赤外〜遠赤外線、電波)は輻射により室温の物体からでも放射されているため、干渉光と輻射光の区別が困難となり、解析する上で障害がある。よって、単色光を構成する波長範囲としては200nm〜4000nmが望ましい。
本実施の形態では単色光の数は3を用いているが、後述するように単色光の数は2以上であれば本計測原理は成立する
また、本実施の形態では、カメラ32として、3CCDデジタルカラーカメラ(JAI社製 AT200-CL)を用いる。これは分光感度の重複、すなわち470nm(Blue)や600nm(Red)の光が560nm(Green)の受光素子に輝度としてカウントされること、を避けるためである。なお、この分光感度の重複は補正可能であり、補正すれば分光感度の重複があるカメラ(1CCDカメラなど)も用いることができる。
撮像はフレームグラバーを介して演算装置60に取り込んでいる。演算装置60に取り込んだ画像はHSVに変換せず、RGB輝度分布のまま、すなわち波長470nm,560nm,600nmの単色光の輝度分布として解析に供試する。撮像のRGBのビット深度は8ビット(256階調)である。
本実施の形態では光検出器として2次元光検出器であるカメラを用いた場合を例に説明するが、本計測の原理は2次元検出器を用いた場合に限定されるものではない。後述するように、本計測原理を適用するには条件として同一面内で複数計測点のデータが必要であるが、1次元検出器を用いて時間方向に複数点測定しても条件を満たすためである。
<摺動系>
摺動系40は、透明摺動材42、部分反射膜44、透明保護膜45、液体膜46、反射摺動材48、摺動試験機50を備えている。
液体膜46は、透明摺動材42と反射摺動材48との間に存在し、透明摺動材42の光学系20側と反対側に設けられた透明保護膜45と液体膜46とは接触しており、反射摺動材48と液体膜46とは接触している。
透明摺動材42及び液体膜46は、3波長の光を透過し、反射摺動材48は3波長の光を反射する。光学系20からの入射された照射光を、透明摺動材42と液体膜46とを透過させて反射摺動材48へ照射して光干渉を生じさせる。
摺動試験機50は、透明摺動材42を回転させ、透明摺動材42と反射摺動材48とは荷重を受けながら相対運動する。
本実施の形態では、液体膜46として潤滑油の膜を用いる。潤滑油の種類は炭化水素系の基油(SK Lubricants(R)社製 Yubase4)である。無色透明であり光の吸収は生じない。なお、本実施の形態では、透明膜として液体膜46を用いたが、上述した透明膜の定義に当てはまるものであれば本計測原理は適用可能であり、液体膜に限定されるものではない。
また、本実施の形態では、透明摺動材42として、可視光に対して透明かつ高強度・高耐摩耗な材質である単結晶サファイアを用いる。本実施の形態では可視光の光を用いているため、サファイアや石英ガラスなど可視光に対する透明体に限定されるが、用いる単色光の波長域が変われば、用いることのできる材料も変化し、本測定手法は可視光に対して透明な材料に限定されるものではない。例えば単色光の波長として赤外光域を用いた場合、シリコンやゲルマニウムを透明摺動材42として用い、光検出器として赤外線カメラを用いることでも本原理は実現できる。本実施の形態では、サファイア−潤滑油間の反射が十分ではなかったため、サファイアである透明摺動材42の表面にクロムの部分反射膜44をコートした。さらに、部分反射膜44の上にシリカ(SiO2)の透明保護膜45を150nm(物理膜厚)コートした。これは摺動中にクロムの部分反射膜44が剥がれるのを防ぐとともに、油膜厚さをプラス方向にオフセット(底上げ)することが目的である。シリカの透明保護膜45は可視光に対して透明であるため、計測される膜厚値は油膜厚に加えてシリカ膜厚が加えられた値となるからである。オフセットさせる狙いを以下に示す。
本実施の形態の計測手法は、輝度と膜厚の較正数式を用いて輝度から膜厚への変換を行う。この輝度の変化は式(1)や3に示すようにコサイン曲線になる。すると曲線のピークやボトムでは膜厚の変化に対する輝度の変化が乏しくなり、解析精度(分解能やノイズに対するロバスト性)が低下する。1つの波長の輝度値がピークやボトムであっても他の波長の輝度値がそれ以外(斜面部)であれば問題にならないが3波長ともピークやボトムにあると解析精度の低下が問題となる。このような領域が図3における0nm近傍や120nm近傍に現れるため、このような領域を避けて測定するためにシリカの透明保護膜45をコートし、油膜厚さを150nm(物理膜厚)オフセットしている。
また、本実施の形態では、反射摺動材48として、鏡面研磨した炭素鋼を用いる。なお、光干渉を生み出すことができれば、反射摺動材48の表面粗さや材質は限定されるものではない。
また、本実施の形態では、摺動試験機50として、図7に示すように、ディスク・オン・ディスク型摺動試験機を用いる。ディスク・オン・ディスク型摺動試験機は、回転する透明摺動材42を所定荷重で反射摺動材48である円板試験片に押し付け、面接触形態における連続すべり条件での摩擦を行う試験機である。摺動面の透明膜厚さ分布と同時に摩擦係数や垂直荷重も計測可能である。
<演算装置>
演算装置60は、CPU、後述する膜厚計測処理ルーチンのプログラムを記憶したROM、データ等を記憶するRAM、及びこれらを接続するバスを含んで構成されている。演算装置60は、カメラ32から入力された画像に基づいて、膜厚を計測し、計測結果を出力部70により出力する。
演算装置60をハードウエアとソフトウエアとに基づいて定まる機能実現手段毎に分割した機能ブロックで説明すると、図9に示すように、画像取得部62、未知変数導出部64、及び膜厚値決定部66を備えている。
画像取得部62は、カメラ32から入力された、光干渉分布を表す画像を取得し、3波長の各々についての各計測点(各画素)の輝度を得る。
未知変数導出部64は、画像取得部62によって取得された画像に基づいて、一部の計測点の各々について、3波長の光の各々の輝度と液体膜46の膜厚との関係を表す関係式であって、当該計測点における液体膜46の膜厚、及び面内で同一であると仮定した測定環境由来の未知変数を含む関係式である上記式(1)に対して、最小二乗法などの最適化手法により、一部の計測点の各々における液体膜46の膜厚、及び測定環境由来の未知変数を求める。
膜厚値決定部66は、画像取得部62によって取得された画像、及び求められた測定環境由来の未知変数に基づいて、残りの計測点の各々について、上記式(7)に従って、3波長に対する、上記式(1)の関係式を満たす当該計測点における液体膜46の膜厚の候補値を求め、3波長に対する当該計測点における液体膜46の膜厚の候補値から、波長間の合致法を用いて当該計測点における液体膜46の膜厚値を決定する。
<膜厚計測システムの作用>
次に、本実施の形態に係る膜厚計測システム10の作用を説明する。
まず、摺動試験機50により、透明摺動材42が回転して、透明摺動材42と反射摺動材48とが荷重を受けながら相対運動しているときに、白色光源22からの白色光が、3波長バンドパスフィルタ26に入射され、3波長バンドパスフィルタ26を透過した3波長の単色光からなる照射光が、ハーフミラー28で反射して、摺動系40に入射される。3波長の単色光からなる照射光の一部は、部分反射膜44と液体膜46との界面で反射し、3波長の単色光からなる照射光の一部は、透明摺動材42と部分反射膜44との界面で反射して、光干渉が生じているとき、カメラ32によって光干渉分布を撮像し、カメラ32によって撮像する毎に、画像が演算装置60に入力される。
そして、入力された画像の各々について、演算装置60によって、図10に示す膜厚計測処理ルーチンが実行される。
まず、ステップ100において、カメラ32から入力された処理対象の画像から、各測定点(各画素)における3波長の各々の輝度を取得する。
そして、ステップ102において、一部の計測点の各々について、3波長の各々に対し、上記ステップ100で取得した当該計測点の輝度を用いた上記式(1)の関係式を用意し、最適化手法により、3波長の各々の単色光の表面光強度I(j)、3波長の各々の単色光の液体膜46による吸光が生じない場合の裏面光強度I(j)、液体膜46の3波長の各々の単色光に対する吸光係数α(j)、液体膜46の3波長の各々の単色光に対する屈折率n(j)、一部の計測点の各々の液体膜46の膜厚t(i)を求める。
次のステップ104では、残りの計測点から、対象の測定点を選択する。ステップ106では、上記ステップ100で取得した当該計測点の3波長の輝度、上記ステップ102で求めた、3波長の各々の単色光の表面光強度I(j)、3波長の各々の単色光の液体膜46による吸光が生じない場合の裏面光強度I(j)、液体膜46の3波長の各々の単色光に対する吸光係数α(j)、液体膜46の3波長の各々の単色光に対する屈折率n(j)を用いた上記式(1)の関係式を満たす、対象の測定点における液体膜46の膜厚の候補値を、3波長の各々に対して上記式(7)に従って算出する。
ステップ108では、上記ステップ106で3波長の各々に対して算出した対象の測定点における液体膜46の膜厚の候補値から、対象の測定点における液体膜46の膜厚値を決定する。
ステップ110では、上記ステップ104〜ステップ108の処理を、残りの計測点の全てについて終了したか否かを判定する。残りの計測点のうち、上記ステップ104〜ステップ108の処理を実行していない計測点が存在する場合には、上記ステップ104へ戻り、当該計測点を対象の測定点として選択する。一方、上記ステップ104〜ステップ108の処理を、残りの計測点の全てについて終了した場合には、ステップ112へ進む。
ステップ112では、上記ステップ102で算出した、一部の計測点の各々の液体膜46の膜厚、及び上記ステップ108で決定した、一部の計測点の各々の液体膜46の膜厚を、出力部70により出力して、処理を終了する。
<実験例>
<静的条件での透明膜厚さの検定>
本実施の形態における計測手法の有効性を示すには、導出された透明膜厚さの妥当性を示す必要がある。そこで、膜厚が既知の試料を、本実施の形態の計測手法で計測し、それらの膜厚値を比較した。
<試料と干渉象>
膜厚が既知の透明膜は、深さが既知の凹部に基油を入れることで準備した。透明膜が摺動を受けない静的な測定であれば、透明膜厚さは凹部の深さと同一になるからである。この深さが既知の凹部はシリコンウェーハーをエッチングすることで準備した。図11にシリコンウェーハーの模式図を示す。凹みの面方向の形状は一辺が約700μmの正方形であり、深さ水準は数nmオーダ、数十nmオーダ、数百nmオーダの3水準を用いた。このシリコンウェーハーの凹部に基油を入れて透明摺動材に押し付け、その際の干渉像を撮影した。
一方、凹みの深さ測定には白色干渉式の3次元形状測定機(Zygo(R)社製 Newview)を用いた。測定は大気中で実施した。
図12にシリコンウェーハー凹部(深さ数百nmオーダ)の基油膜による干渉像を示す。なお、図12は撮像から凹部周辺のみを切り出した画像である。
<未知変数の導出>
未知変数を導出すべく、凹部を含む撮像全体から19点計測点を選定した。ここで本実験で用いた透明膜は基油であり、可視光域で吸収を持たない(減衰係数≒0)ため、減衰係数α(j)は予めゼロ(α(470nm)=α(560nm)=α(600nm)=0)として解析している。また屈折率も波長依存性は大きくないため、全ての波長における透明膜の屈折率n(j)を1.46(n(470nm) = n(560nm) = n(600nm) = 1.46)とした。よって導出する変数はI1(j)とI2(j)の2変数になる。
図13に、上記の実施の形態で説明したアルゴリズムを用いてI1(j)とI2(j)を導出した結果を示す。I1、I2の輝度値は8bit(256階調)における輝度値を意味する。このように複数計測点の輝度値から、実験的な較正を必要とせず、変数を導出することができた。これらの変数を用いて数nmオーダ、数十nmオーダの凹部による基油膜も解析した。
<比較結果>
図14に数百nmオーダの凹部による基油膜の膜厚分布および3次元形状測定機で測定した深さ分布の断面を比較した結果を示す。両者は良く一致していることがわかる。また図15に数nmオーダ、数十nmオーダ、数百nmオーダの3水準において、凹部の平均膜厚と平均深さをプロットした結果を示す。これらが同値であれば、図15中に示したY=Xの直線上に並ぶ。図15では、3水準において各プロットはY=Xの直線上に並んでおり、白色干渉式の3次元形状計測機を用いて計測した深さと、本実施の形態の計測法を用いて計測した透明膜厚さは良く一致していた。この結果より、本実施の形態の計測手法から算出された透明膜厚さは妥当であることがわかる。
また従来技術では光学膜厚で250nmの範囲しか解析できなかった。光学膜厚250nmを物理膜厚に換算すると、今回用いた潤滑油(屈折率:1.46)ではおよそ170nmになる。数百nmオーダの凹部を用いた計測ではおよそ230nmの膜厚まで計測できているため、本実施の形態の計測手法では従来技術よりも広い膜厚範囲が解析出来ていることが分かる。
<摺動時の透明膜厚さ計測>
次に、摺動面に存在する透明膜として一般的な潤滑油膜を用いて膜厚を測定した結果について説明する。
<試料>
反射摺動材には鏡面研磨した鋼(炭素鋼)を用いた。形状はΦ5mmの円板とした。ただし、摺動面は完全な平面ではなく、特殊な研磨により非常に大きな曲率(SR1000相当)を持った中高形状(球形状)とした。これは、摺動試験として望ましくない試験片端部での片当たりを防ぐためと、後述する弾性流体潤滑計算による透明膜厚の計算をするためである。透明膜としては先ほどと同様に基油膜を用いた。摺動条件はすべり速度3.0m/s、荷重2000N、油温80℃である。
図16に鏡面研磨した鋼円板による干渉像を示す。馬の蹄のような模様が観察されるが、これは馬蹄形状と呼ばれる平板と球の間の流体膜厚分布は馬蹄形状と呼ばれ、中央部の膜厚が厚く、左右端および後端が薄くなる形になることが知られている。本実験例では図中の枠で囲った範囲を解析した。
<未知変数の導出>
未知変数の導出に用いた計測点は図17で示す51点である。図17中において左部の部分(光学膜厚が450nm周辺の領域)に多くの計測点を選択しているのは、この膜厚では各波長の輝度値が先述したピーク・ボトムにあたるからである(470nmがピークで560nmと600nmがボトムになっている)。このような場所では適切な未知変数を導出するために多くの計測点を選択する必要がある。
これらの51点の計測点を用いて、先の静的試験同様、吸収係数はゼロ、屈折率も1.46 として I1(j)とI2(j)を求めた。その結果を図18に示す。
<油膜厚さ分布>
図19に、図18の未知変数を用いて干渉像から膜厚分布に変換した結果を示す。まず定性的な分布形状に着目すると馬蹄形状となっており、摺動面の油膜厚さ分布として妥当な形状であることがわかる。次に定量的な膜厚値に着目する。摺動面において最大となる中央部の平均膜厚は約400nmであり、最小となる左右端部の膜厚は約140nmであった。これより、先述の静的な計測結果と同様に、従来技術よりも広い膜厚範囲で干渉像から膜厚分布への変換が可能であることが分かる。
<潤滑計算による膜厚との比較>
膜厚値の妥当性を検討すべく、弾性流体潤滑(EHL)計算による中央部平均膜厚と比較をした。EHL計算には、一般的に用いられるChittenden-Dowsonの式を用いた(非特許文献6(Chittenden, R. J., Dowson, D., Dunn, J. F., Taylor, C.M.: Proc. Roy. Soc. London, A397 (1985) 271)を参照)。Chittenden-Dowsonの式を以下の式(9)に示す。

(9)
ただし、Rxは合成曲率半径(摺動方向)[mm]、Ryは、合成曲率半径(摺動直交方向)[mm]、Wは、垂直荷重[N]、uは、平均摺動速度[m/s]、hcは、中央部油膜厚さ[μm]、βは、圧力粘度指数[Pa-1]、η0は、大気圧粘度[Pa・s]、Eは、合成弾性係数[Pa]である。圧力粘度指数は、非特許文献7(畑ら,トライボロジスト,Vol.55 No.9 (2010))の結果を参考に算出した。その際の油温は80℃として計算した。
本試験条件を中央部平均油膜厚さは415nmであり、解析結果と概ね一致する。よって、本実施の形態の計測法は摺動時の透明膜厚においても有効であることが分かる。なお実験値が計算値より小さい理由としては、温度の影響が考えられる。計算では設定油温である80℃を用いたが、実験では摺動面における油温は摺動により80℃以上になるからである。
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る膜厚計測システムによれば、白色光源からの光を、バンドパスフィルタを用いて3波長の単色光から構成される光にし、透明摺動材と液体膜とを透過させて反射摺動材へ照射して光干渉を生じさせ、生じた光干渉における、3波長の光の各々の輝度を計測し、計測された3波長の光の各々の輝度に基づいて、液体膜の膜厚を計算することにより、実験による事前の干渉色・輝度−膜厚のキャリブレーションなどの煩雑な作業を行うことなく、液体膜の膜厚を計測することができる。また、膜厚測定範囲を向上させることができる。
また、未知変数として、透明膜の、3波長の光の各々に対する吸光係数を含むことにより、透明膜に着色があっても、膜厚を計測することができる。また、未知変数として、透明膜の、3波長の光の各々に対する屈折率を含むようにすることにより、透明膜が、油膜などの材質であっても、膜厚を計測することができる。
なお、上記の実施の形態では、一部の計測点について、上記式(1)の関係式から、連立方程式を解くか、最適化手法により、膜厚を算出する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。計測点の数が少ない場合には、全ての計測点について、上記式(1)の関係式から、連立方程式を解くか、最適化手法により、膜厚を算出するようにしてもよい。
また、3波長バンドパスフィルタを透過した照射光を、摺動系に入射する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、白色光源からの白色光を、摺動系に入射し、摺動系からの反射光を、3波長バンドパスフィルタ又は分光器を介してカメラにより撮像してもよい。
10 膜厚計測システム
20 光学系
22 白色光源
26 3波長バンドパスフィルタ
28 ハーフミラー
32 カメラ
40 摺動系
42 透明摺動材
44 部分反射膜
45 透明保護膜
46 液体膜
48 反射摺動材
50 摺動試験機
60 演算装置
62 画像取得部
64 未知変数導出部
66 膜厚値決定部
第1の発明に係る摺動装置は、第1の摺動材料、第2の摺動材料、透明膜、光検出器、光源、及び演算装置を備えた摺動装置であって、前記第1の摺動材料と前記第2の摺動材料とは、荷重を受けながら相対運動し、前記透明膜は、前記第1の摺動材料と前記第2の摺動材料との間に存在し、前記第1の摺動材料及び前記透明膜は、光を透過する材質から構成され、前記第2の摺動材料は、光を反射する材質から構成され、前記光源からの光を、前記第1の摺動材料と前記透明膜とを透過させて前記第2の摺動材料へ照射して光干渉を生じさせ、前記光検出器は、複数の計測点について、前記生じた光干渉後の光から単色光と見なせる程度に狭い波長幅の光の輝度を計測し、その際に計測する波長数は2以上であり、前記演算装置は、前記光検出器によって前記計測点の各々について計測された前記2以上の光の各々の輝度に基づいて、前記2以上の光の各々の輝度と前記透明膜の膜厚との関係を表す関係式であって、前記計測点の各々における前記透明膜の膜厚、及び前記計測点の各々において同一であると仮定した測定環境由来の未知変数を含む関係式から、前記計測点の各々における前記透明膜の膜厚、及び前記測定環境由来の未知変数を求め、前記透明膜は液体膜である。
第2の発明に係る摺動装置は、第1の摺動材料、第2の摺動材料、透明膜、光検出器、光源、及び演算装置を備えた摺動装置であって、前記第1の摺動材料と前記第2の摺動材料とは、荷重を受けながら相対運動し、前記透明膜は、前記第1の摺動材料と前記第2の摺動材料との間に存在し、前記第1の摺動材料及び前記透明膜は、光を透過する材質から構成され、前記第2の摺動材料は、光を反射する材質から構成され、前記光源からの光を、前記第1の摺動材料と前記透明膜とを透過させて前記第2の摺動材料へ照射して光干渉を生じさせ、前記光検出器は、複数の計測点について、前記生じた光干渉後の光から単色光と見なせる程度に狭い波長幅の光の輝度を計測し、その際に計測する波長数は2以上であり、前記演算装置は、前記光検出器によって前記計測点の各々について計測された前記2以上の光の各々の輝度に基づいて、前記2以上の光の各々の輝度と前記透明膜の膜厚との関係を表す関係式であって、前記計測点の各々における前記透明膜の膜厚、及び前記計測点の各々において同一であると仮定した測定環境由来の未知変数を含む関係式から、前記計測点の各々における前記透明膜の膜厚、及び前記測定環境由来の未知変数を求め、前記測定環境由来の未知変数は、前記透明膜の、前記2以上の光の各々に対する吸光係数、及び前記透明膜の、前記2以上の光の各々に対する屈折率の少なくとも一方を含む。
第1の発明及び第2の発明に係る摺動装置では、前記光源からの光を、前記第1の摺動材料と前記透明膜とを透過させて前記第2の摺動材料へ照射して光干渉を生じさせ、前記光検出器は、複数の計測点について、前記生じた光干渉後の光から単色光と見なせる程度に狭い波長幅の光の輝度を計測し、その際に計測する波長数は2以上である。そして、前記演算装置は、前記光検出器によって前記計測点の各々について計測された前記2以上の光の各々の輝度に基づいて、前記透明膜の膜厚を計算する。
上記の摺動装置は、前記光干渉を生じた光の光路上であって、前記光検出器と前記第1の摺動材料との間に設けられた、前記2以上の光の各々の波長を透過するバンドパスフィルタ、又は前記2以上の光の各々に分光する光分光器を更に含むようにすることができる。
上記の光源を、フラッシュランプとすることができる。
第3の発明に係る摺動装置は、第1の摺動材料、第2の摺動材料、液体膜、光検出器、フラッシュランプ、及び演算装置を備えた摺動装置であって、前記第1の摺動材料と前記第2の摺動材料とは、荷重を受けながら相対運動し、前記液体膜は、前記第1の摺動材料と前記第2の摺動材料との間に存在し、前記第1の摺動材料及び前記液体膜は、光を透過する材質から構成され、前記第2の摺動材料は、光を反射する材質から構成され、前記フラッシュランプからの光を、前記第1の摺動材料と前記液体膜とを透過させて前記第2の摺動材料へ照射して光干渉を生じさせ、前記光検出器は、前記生じた光干渉後の光から単色光と見なせる程度に狭い波長幅の光の輝度を計測し、その際に計測する波長数は2以上であり、前記演算装置は、前記光検出器によって計測された前記2以上の光の各々の輝度に基づいて、前記液体膜の膜厚を計算する。

Claims (12)

  1. 第1の摺動材料、第2の摺動材料、透明膜、光検出器、光源、及び演算装置を備えた摺動装置であって、
    前記第1の摺動材料と前記第2の摺動材料とは、荷重を受けながら相対運動し、
    前記透明膜は、前記第1の摺動材料と前記第2の摺動材料との間に存在し、
    前記第1の摺動材料及び前記透明膜は、光を透過する材質から構成され、
    前記第2の摺動材料は、光を反射する材質から構成され、
    前記光源からの光を、前記第1の摺動材料と前記透明膜とを透過させて前記第2の摺動材料へ照射して光干渉を生じさせ、
    前記光検出器は、前記生じた光干渉後の光から単色光と見なせる程度に狭い波長幅の光の輝度を計測し、その際に計測する波長数は2以上であり、
    前記演算装置は、前記光検出器によって計測された前記2以上の光の各々の輝度に基づいて、前記透明膜の膜厚を計算する
    摺動装置。
  2. 前記演算装置は、前記光検出器によって計測された前記2以上の光の各々の輝度に基づいて、前記2以上の光の各々の輝度と前記透明膜の膜厚との関係、及び前記透明膜の膜厚を計算する請求項1記載の摺動装置。
  3. 前記光検出器は、複数の計測点について、前記2以上の光の各々の輝度を計測し、
    前記演算装置は、前記光検出器によって前記計測点の各々について計測された前記2以上の光の各々の輝度に基づいて、前記2以上の光の各々の輝度と前記透明膜の膜厚との関係を表す関係式であって、前記計測点の各々における前記透明膜の膜厚、及び前記計測点の各々において同一であると仮定した測定環境由来の未知変数を含む関係式に対して、連立方程式を解くか、又は最適化手法により、前記計測点の各々における前記透明膜の膜厚、及び前記測定環境由来の未知変数を求める請求項2記載の摺動装置。
  4. 前記測定環境由来の未知変数は、前記2以上の光の各々の表面光強度、及び前記2以上の光の各々の、前記透明膜による吸光が生じない場合の裏面光強度を含む請求項3記載の摺動装置。
  5. 前記測定環境由来の未知変数は、前記透明膜の、前記2以上の光の各々に対する吸光係数を含む請求項3又は4記載の摺動装置。
  6. 前記測定環境由来の未知変数は、前記透明膜の、前記2以上の光の各々に対する屈折率を含む請求項3〜請求項5の何れか1項記載の摺動装置。
  7. 前記関係式は、以下の式で表わされる請求項3〜請求項6の何れか1項記載の摺動装置。

    ただし、jは、前記2以上の光の各々に割り当てた番号を表し、iは、前記複数の計測点の各々に割り当てた番号を表し、I(i,j)は、前記光検出器によってi番目の計測点について計測されたj番目の光の輝度を表し、I(j)は、j番目の光の表面光強度を表し、I(j)は、j番目の光の、前記透明膜による吸光が生じない場合の裏面光強度を表し、α(j)は、前記透明膜のj番目の光に対する吸光係数を表し、n(j)は、前記透明膜のj番目の光に対する屈折率を表し、t(i)は、i番目の計測点における前記透明膜の膜厚を表し、λ(j)は、j番目の光の波長を表す。
  8. 前記2以上の光の波長は200nm〜4,000nmである請求項1〜請求項7の何れか1項記載の摺動装置。
  9. 前記透明膜は液体膜である請求項1〜請求項8の何れか1項記載の摺動装置。
  10. 前記演算装置は、前記光検出器によって前記複数の計測点のうちの一部の計測点の各々について計測された前記2以上の光の各々の輝度に基づいて、前記関係式に対して、連立方程式を解くか、又は最適化手法により、前記計測点の各々における前記透明膜の膜厚、及び前記測定環境由来の未知変数を求め、
    前記光検出器によって前記複数の計測点のうちの残りの計測点の各々について計測された前記2以上の光の各々の輝度、及び前記求められた前記測定環境由来の未知変数に基づいて、前記計測点の各々について、前記2以上の光の各々の波長に対する、前記関係式を満たす前記計測点における前記透明膜の膜厚の候補値を求め、前記2以上の光の各々の波長に対する前記計測点における前記透明膜の膜厚の候補値から、波長間の合致法を用いて前記計測点における前記透明膜の膜厚値を決定する請求項3〜請求項7の何れか1項記載の摺動装置。
  11. 前記光源から照射された光の光路上であって、前記光源と前記第1の摺動材料との間に設けられた、前記2以上の光の各々の波長を透過するバンドパスフィルタを更に含む請求項1〜請求項10の何れか1項記載の摺動装置。
  12. 前記光干渉を生じた光の光路上であって、前記光検出器と前記第1の摺動材料との間に設けられた、前記2以上の光の各々の波長を透過するバンドパスフィルタ、又は前記2以上の光の各々に分光する光分光器を更に含む請求項1〜請求項10の何れか1項記載の摺動装置。
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