JP2017053049A - 多軸挿入編物基材および繊維強化複合材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】引っ張り方向による変形の差が小さく、かつ多方向への賦形性に優れる多軸挿入編物基材、および機械特性に優れた繊維強化複合材料を提供する。
【解決手段】複数本の強化繊維22が一方向に引き揃えられた第1の強化繊維シート24および第2の強化繊維シート(図示略)が、強化繊維22の軸方向が二方向となるように積み重ねられた多軸積重物20と、多軸積重物20における第1の強化繊維シート24および第2の強化繊維シートを一体化するように編成されたステッチング糸条32からなる拘束編地30とを有し、拘束編地30の編組織が、二重組織である、多軸挿入編物基材10。
【選択図】図1
【解決手段】複数本の強化繊維22が一方向に引き揃えられた第1の強化繊維シート24および第2の強化繊維シート(図示略)が、強化繊維22の軸方向が二方向となるように積み重ねられた多軸積重物20と、多軸積重物20における第1の強化繊維シート24および第2の強化繊維シートを一体化するように編成されたステッチング糸条32からなる拘束編地30とを有し、拘束編地30の編組織が、二重組織である、多軸挿入編物基材10。
【選択図】図1
Description
本発明は、多軸挿入編物基材、および多軸挿入編物基材を有する繊維強化複合材料に関する。
各種の強化繊維と各種のマトリックス樹脂とを複合化した繊維強化複合材料は、軽量で優れた機械特性を有するため、航空宇宙用途(航空機部材等)、自動車用途(自動車部材)、スポーツ用途(スポーツ用具、自転車部材等)、建造用途(建造物の補強材料等)、一般産業用途等に広く用いられている。
繊維強化複合材料の製造方法としては、例えば、成形型の上にマトリックス樹脂組成物が未含浸の強化繊維基材を積み重ねたものに、マトリックス樹脂組成物を含浸させ、硬化させる成形法(ハンドレイアップ法、レジントランスファーモールディング(RTM)法、バキュームアシストレジントランスファーモールディング(VaRTM)法等)が知られている。
含浸に用いられる強化繊維基材としては、強化繊維糸条を経糸および緯糸のいずれか一方または両方とする強化繊維織物基材;複数本の強化繊維が一方向に引き揃えられた強化繊維シートの2枚以上が、強化繊維の軸方向が二方向以上となるように積み重ねられた多軸積重物を、これら強化繊維シートを一体化するように編成されたステッチング糸条からなる拘束編地で拘束した多軸挿入編物基材(多軸ステッチ基材、多軸織物基材とも称される。)等が挙げられる。
これら強化繊維基材のうち、多軸挿入編物基材は、下記の利点を有することから、注目されている。
・強化繊維織物基材に比べ、強化繊維糸条同士を織成する手間がないため、生産性に優れ、また、織目を有しないため、機械特性に優れる。
・強化繊維の目付を大きくできるため、積み重ね作業が大幅に省力化され、安価な繊維強化複合材料を製造できる。
・強化繊維織物基材に比べ、強化繊維糸条同士を織成する手間がないため、生産性に優れ、また、織目を有しないため、機械特性に優れる。
・強化繊維の目付を大きくできるため、積み重ね作業が大幅に省力化され、安価な繊維強化複合材料を製造できる。
多軸挿入編物基材は、通常、多軸挿入編物基材の基準方向(通常は長さ方向)を0度としたとき、強化繊維の軸方向が+45度の強化繊維シートと、強化繊維の軸方向が−45度の強化繊維シートとを積み重ねたものとされる。しかし、強化繊維の軸方向が0度の強化繊維シートや90度の強化繊維シートを有しない多軸挿入編物基材は、多軸積重物のバイアス方向(0度方向や90度方向)の引っ張りに対して変形しやすい。そのため、多軸挿入編物基材を製造する工程、多軸挿入編物基材をカットする工程、マトリックス樹脂組成物を多軸挿入編物基材に含浸する工程、マトリックス樹脂組成物が含浸された多軸挿入編物基材をプリフォーム化(予備成形)する工程、プリフォームを成形する工程等の中間工程において、強化繊維の乱れが発生しやすく、取り扱いにくいという問題がある。
中間工程における強化繊維の軸方向の角度のズレが抑えられた多軸挿入編物基材としては、拘束編地を、特定条件を満たすステッチング糸条からなる鎖編(チェーンステッチ)の編地としたものが提案されている(特許文献1)。
特許文献1の多軸挿入編物基材における拘束編地のウエール方向を多軸挿入編物基材の0度方向としており、拘束編地が鎖編のため、特許文献1の多軸挿入編物基材は、多軸挿入編物基材の0度方向の引っ張りに対して変形しにくい。しかし、特許文献1の多軸挿入編物基材は、依然として多軸挿入編物基材の90度方向の引っ張りに対して変形しやすい。そのため、特許文献1の多軸挿入編物基材を成形型の凹凸部、湾曲部等の複雑な形状部分に沿わせる場合、適合できる成形型の形状に制限がある。適合性の低い形状部分においては、特許文献1の多軸挿入編物基材で強化繊維に皺が生じて、最終的に得られる繊維強化複合材料の機械特性の低下を招く。
本発明は、引っ張り方向による変形の差が小さく、かつ多方向への賦形性に優れる多軸挿入編物基材、および機械特性に優れた繊維強化複合材料を提供する。
本発明は、下記の態様を有する。
<1>複数本の強化繊維が一方向に引き揃えられた強化繊維シートの2枚以上が、前記強化繊維の軸方向が二方向以上となるように積み重ねられた多軸積重物と、前記多軸積重物における前記2枚以上の強化繊維シートを一体化するように編成されたステッチング糸条からなる拘束編地とを有し、前記拘束編地の編組織が、二重組織である、多軸挿入編物基材。
<2>前記拘束編地のウエール方向が、前記多軸積重物のバイアス方向とされている、<1>の多軸挿入編物基材。
<3>前記二重組織が、プレーントリコット編、ダブルトリコット編、ダブルコード編、ハーフトリコット編、逆ハーフおよびサテントリコット編からなる群から選ばれる1種である、<1>または<2>の多軸挿入編物基材。
<4>前記強化繊維が、炭素繊維、ガラス繊維およびアラミド繊維からなる群から選ばれる1種以上である、<1>〜<3>のいずれかの多軸挿入編物基材。
<5>前記強化繊維シートの1枚あたりの強化繊維の目付が、100〜2,000g/m2である、<1>〜<4>のいずれかの多軸挿入編物基材。
<6>前記<1>〜<5>のいずれかの多軸挿入編物基材と、マトリックス樹脂とを有する、繊維強化複合材料。
<1>複数本の強化繊維が一方向に引き揃えられた強化繊維シートの2枚以上が、前記強化繊維の軸方向が二方向以上となるように積み重ねられた多軸積重物と、前記多軸積重物における前記2枚以上の強化繊維シートを一体化するように編成されたステッチング糸条からなる拘束編地とを有し、前記拘束編地の編組織が、二重組織である、多軸挿入編物基材。
<2>前記拘束編地のウエール方向が、前記多軸積重物のバイアス方向とされている、<1>の多軸挿入編物基材。
<3>前記二重組織が、プレーントリコット編、ダブルトリコット編、ダブルコード編、ハーフトリコット編、逆ハーフおよびサテントリコット編からなる群から選ばれる1種である、<1>または<2>の多軸挿入編物基材。
<4>前記強化繊維が、炭素繊維、ガラス繊維およびアラミド繊維からなる群から選ばれる1種以上である、<1>〜<3>のいずれかの多軸挿入編物基材。
<5>前記強化繊維シートの1枚あたりの強化繊維の目付が、100〜2,000g/m2である、<1>〜<4>のいずれかの多軸挿入編物基材。
<6>前記<1>〜<5>のいずれかの多軸挿入編物基材と、マトリックス樹脂とを有する、繊維強化複合材料。
本発明の多軸挿入編物基材は、引っ張り方向による変形の差が小さく、かつ多方向への賦形性に優れる。
本発明の繊維強化複合材料は、機械特性に優れる。
本発明の繊維強化複合材料は、機械特性に優れる。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「多軸挿入編物基材の基準方向」は、拘束編地のウエール方向とする。また、多軸挿入編物基材の基準方向を0度方向とし、多軸挿入編物基材の基準方向に直交する方向を90度方向とする。以下、すべての角度は、多軸挿入編物基材の基準方向を0度とし、この基準方向に対する角度で表現する。
「強化繊維の軸方向の角度」は、多軸挿入編物基材の基準方向(0度方向)に対する強化繊維の軸方向の傾きを示す角度である。
「多重積層物のバイアス方向」とは、多重積層物の面方向と平行な方向に多軸積重物を引っ張った際に、多重積層物が伸びやすい方向を意味する。例えば、多軸挿入編物基材の基準方向(0度方向)に対し、強化繊維の軸方向が+45度の強化繊維シートと、強化繊維の軸方向が−45度の強化繊維シートとを積み重ねた多重積層物の場合、多重積層物のバイアス方向は、多軸挿入編物基材の0度方向または90度方向となる。
「拘束編地のウエール方向」とは、拘束編地においてたてに連続したニードルループの列の方向を意味する。
「拘束編地のコース方向」とは、拘束編地においてよこに並んだニードルループの列の方向を意味する。
「ニードルループ」とは、編地におけるループの山の部分を意味する。
「シンカループ」とは、編地におけるループの谷の部分を意味する。具体的には、ニードルループ間を繋ぐ部分である。
「閉じ目」とは、たて編の基本編目で、交差したループを意味する。
「開き目」とは、たて編の基本編目で、交差しないで左右に開いたループを意味する。
「ウエール」とは、たてに連続したニードルループの列を意味する。
「コース」とは、よこに並んだニードルループの列を意味する。
「たて編」とは、たて方向にループをつなぎ合せた編物を意味する。
「ラッピング」とは、針に糸を巻き付ける操作を意味する。
「多軸挿入編物基材の基準方向」は、拘束編地のウエール方向とする。また、多軸挿入編物基材の基準方向を0度方向とし、多軸挿入編物基材の基準方向に直交する方向を90度方向とする。以下、すべての角度は、多軸挿入編物基材の基準方向を0度とし、この基準方向に対する角度で表現する。
「強化繊維の軸方向の角度」は、多軸挿入編物基材の基準方向(0度方向)に対する強化繊維の軸方向の傾きを示す角度である。
「多重積層物のバイアス方向」とは、多重積層物の面方向と平行な方向に多軸積重物を引っ張った際に、多重積層物が伸びやすい方向を意味する。例えば、多軸挿入編物基材の基準方向(0度方向)に対し、強化繊維の軸方向が+45度の強化繊維シートと、強化繊維の軸方向が−45度の強化繊維シートとを積み重ねた多重積層物の場合、多重積層物のバイアス方向は、多軸挿入編物基材の0度方向または90度方向となる。
「拘束編地のウエール方向」とは、拘束編地においてたてに連続したニードルループの列の方向を意味する。
「拘束編地のコース方向」とは、拘束編地においてよこに並んだニードルループの列の方向を意味する。
「ニードルループ」とは、編地におけるループの山の部分を意味する。
「シンカループ」とは、編地におけるループの谷の部分を意味する。具体的には、ニードルループ間を繋ぐ部分である。
「閉じ目」とは、たて編の基本編目で、交差したループを意味する。
「開き目」とは、たて編の基本編目で、交差しないで左右に開いたループを意味する。
「ウエール」とは、たてに連続したニードルループの列を意味する。
「コース」とは、よこに並んだニードルループの列を意味する。
「たて編」とは、たて方向にループをつなぎ合せた編物を意味する。
「ラッピング」とは、針に糸を巻き付ける操作を意味する。
<多軸挿入編物基材>
本発明の多軸挿入編物基材は、複数本の強化繊維が一方向に引き揃えられた強化繊維シートの2枚以上が、強化繊維の軸方向が二方向以上となるように積み重ねられた多軸積重物と、多軸積重物における2枚以上の強化繊維シートを一体化するように編成されたステッチング糸条からなる拘束編地とを有する。
本発明の多軸挿入編物基材は、複数本の強化繊維が一方向に引き揃えられた強化繊維シートの2枚以上が、強化繊維の軸方向が二方向以上となるように積み重ねられた多軸積重物と、多軸積重物における2枚以上の強化繊維シートを一体化するように編成されたステッチング糸条からなる拘束編地とを有する。
具体的には、多軸積重物の第2の面に沿うように拘束編地のニードルループを形成し、ニードルループ間を繋ぐ拘束編地のシンカループを多軸積重物の厚さ方向に貫通させてその一部が多軸積重物の第1の面に沿うように形成することによって、多軸積重物を拘束編地によって拘束し、一体化したものである。
図1は、本発明の多軸挿入編物基材の一例を示す正面図であり、多軸積重物の第1の面側から見た図である。
多軸挿入編物基材10は、多軸挿入編物基材の基準方向(0度方向)に対し、強化繊維22の軸方向が+45度とされた第1の強化繊維シート24、およびその下に重ねられた強化繊維の軸方向が−45度とされた第2の強化繊維シート(図示略)からなる多軸積重物20と、多軸積重物20を拘束し、一体化したステッチング糸条32からなるプレーントリコット編の拘束編地30(図2参照)とを有する。
多軸挿入編物基材10は、多軸挿入編物基材の基準方向(0度方向)に対し、強化繊維22の軸方向が+45度とされた第1の強化繊維シート24、およびその下に重ねられた強化繊維の軸方向が−45度とされた第2の強化繊維シート(図示略)からなる多軸積重物20と、多軸積重物20を拘束し、一体化したステッチング糸条32からなるプレーントリコット編の拘束編地30(図2参照)とを有する。
多軸挿入編物基材10においては、拘束編地のニードルループが、多軸積重物20の第2の面(裏面)に沿うように形成され、拘束編地30のシンカループが、多軸積重物20の厚さ方向に貫通し、かつその一部が多軸積重物20の第1の面(表面)に沿うように形成されている。
多軸挿入編物基材10においては、拘束編地30のウエール方向が多軸挿入編物基材10の基準方向とされている。すなわち、拘束編地のウエール方向が多軸積重物のバイアス方向(多軸挿入編物基材の0度方向または90度方向)のうちの1つの方向とされている。
多軸挿入編物基材10においては、拘束編地30のウエール方向が多軸挿入編物基材10の基準方向とされている。すなわち、拘束編地のウエール方向が多軸積重物のバイアス方向(多軸挿入編物基材の0度方向または90度方向)のうちの1つの方向とされている。
(強化繊維)
強化繊維は、各種繊維の長繊維からなるものである。
強化繊維としては、無機繊維、有機繊維、金属繊維、これらの複合繊維等が挙げられる。
無機繊維としては、炭素繊維、黒鉛繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、タングステンカーバイト繊維、ボロン繊維、ガラス繊維等が挙げられる。
有機繊維としては、アラミド繊維、高密度ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等が挙げられる。
金属繊維としては、例えば、ステンレスの繊維、鉄の繊維、金属を被覆した炭素繊維等が挙げられる。
強化繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
強化繊維としては、繊維強化複合材料の機械特性(強度、弾性率等)に優れる点から、炭素繊維、ガラス繊維およびアラミド繊維からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
強化繊維は、各種繊維の長繊維からなるものである。
強化繊維としては、無機繊維、有機繊維、金属繊維、これらの複合繊維等が挙げられる。
無機繊維としては、炭素繊維、黒鉛繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、タングステンカーバイト繊維、ボロン繊維、ガラス繊維等が挙げられる。
有機繊維としては、アラミド繊維、高密度ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等が挙げられる。
金属繊維としては、例えば、ステンレスの繊維、鉄の繊維、金属を被覆した炭素繊維等が挙げられる。
強化繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
強化繊維としては、繊維強化複合材料の機械特性(強度、弾性率等)に優れる点から、炭素繊維、ガラス繊維およびアラミド繊維からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
(強化繊維シート)
強化繊維シートは、複数本の強化繊維を互いに平行に配列するように一方向に引き揃えたものである。
強化繊維シートとしては、強化繊維のクリンプが小さく、機械特性に優れる強化繊維複合材料を得られることから、ノンクリンプファブリック(NCF)が好ましい。
強化繊維シートは、複数本の強化繊維を互いに平行に配列するように一方向に引き揃えたものである。
強化繊維シートとしては、強化繊維のクリンプが小さく、機械特性に優れる強化繊維複合材料を得られることから、ノンクリンプファブリック(NCF)が好ましい。
強化繊維シートの1枚あたりの強化繊維の目付は、100〜2,000g/m2が好ましく、200〜800g/m2がより好ましい。強化繊維シートの1枚あたりの強化繊維の目付が前記範囲の下限値以上であれば、強化繊維を引き揃える際に、強化繊維シートの形状を保持するためのステッチング糸条の拘束による目隙が少なく、均一で機械特性が安定した強化繊維シートが得られる。強化繊維シートの1枚あたりの強化繊維の目付が前記範囲の上限値以下であれば、強化繊維シートの形状を保持するためにステッチング糸条を編成する際に、ニードル貫通による毛羽発生が少なく、機械特性に優れた強化繊維シートが得られる。
強化繊維が炭素繊維である場合は、強化繊維シートの1枚あたりの厚さは、0.1〜2mmが好ましく、0.2〜0.8mmがより好ましい。
(多軸積重物)
多軸積重物は、強化繊維シートの2枚以上が、強化繊維の軸方向が二方向以上となるように各強化繊維シートにおける強化繊維の軸方向を異ならせて積み重ねられたものである。
多軸積重物としては、複数方向に優れた機械特性を有し、かつ、成形時の熱反りを抑制する点から、強化繊維シートの2枚以上が、強化繊維の軸方向が直交するように積み重ねられ、かつ各強化繊維シートにおける強化繊維の軸方向が厚さ方向で対称とされたものが好ましい。
多軸積重物は、強化繊維シートの2枚以上が、強化繊維の軸方向が二方向以上となるように各強化繊維シートにおける強化繊維の軸方向を異ならせて積み重ねられたものである。
多軸積重物としては、複数方向に優れた機械特性を有し、かつ、成形時の熱反りを抑制する点から、強化繊維シートの2枚以上が、強化繊維の軸方向が直交するように積み重ねられ、かつ各強化繊維シートにおける強化繊維の軸方向が厚さ方向で対称とされたものが好ましい。
多軸積重物の好ましい構成としては、2枚の強化繊維シートからなる場合は、多軸挿入編物基材の基準方向(0度方向)に対し、強化繊維の軸方向が+45度である第1の強化繊維シートと、強化繊維の軸方向が−45度である第2の強化繊維シートとを積み重ねた構成[+45度/−45度];強化繊維の軸方向が−45度である第1の強化繊維シートと、強化繊維の軸方向が+45度である第2の強化繊維シートとを積み重ねた構成[−45度/+45度]等が挙げられる。4枚の強化繊維シートからなる場合は、多軸挿入編物基材の基準方向(0度方向)に対し、強化繊維の軸方向が+45度である第1の強化繊維シートと、強化繊維の軸方向が−45度である第2の強化繊維シートと、強化繊維の軸方向が−45度である第3の強化繊維シートと、強化繊維の軸方向が+45度である第4の強化繊維シートとを積み重ねた構成[+45度/−45度/−45度/+45度]が挙げられる。
(ステッチング糸条)
ステッチング糸条は、特に限定されない。ステッチング糸条としては、ナイロン糸、ポリエステル糸、ガラス繊維糸、アラミド繊維糸等が挙げられる。
ステッチング糸条は、芯鞘構造のものであってもよい。芯鞘構造のステッチング糸条は、芯部および鞘部のいずれか一方または両方の材料に応じた機能性を有する。例えば、鞘部として低融点の材料(低融点ナイロン等)であり、芯部が高融点の材料(ポリエステル等)である芯鞘構造のステッチング糸条であれば、成形時の加熱によって芯部が残り、成形時における強化繊維の乱れが抑制される。
ステッチング糸条は、特に限定されない。ステッチング糸条としては、ナイロン糸、ポリエステル糸、ガラス繊維糸、アラミド繊維糸等が挙げられる。
ステッチング糸条は、芯鞘構造のものであってもよい。芯鞘構造のステッチング糸条は、芯部および鞘部のいずれか一方または両方の材料に応じた機能性を有する。例えば、鞘部として低融点の材料(低融点ナイロン等)であり、芯部が高融点の材料(ポリエステル等)である芯鞘構造のステッチング糸条であれば、成形時の加熱によって芯部が残り、成形時における強化繊維の乱れが抑制される。
(拘束編地)
拘束編地は、多軸積重物における2枚以上の強化繊維シートを一体化するように編成されたステッチング糸条からなる。
拘束編地の編組織は、二重組織であれば特に限定されない。拘束編地の編組織としては、引っ張り方向による変形の差が小さい多軸挿入編物基材を得やすい点から、同種または異種のたて編の組織を2つ組み合わせた二重組織が好ましく、プレーントリコット編、ダブルトリコット編、ダブルコード編、ハーフトリコット編、逆ハーフおよびサテントリコット編からなる群から選ばれる1種がより好ましい。
拘束編地は、多軸積重物における2枚以上の強化繊維シートを一体化するように編成されたステッチング糸条からなる。
拘束編地の編組織は、二重組織であれば特に限定されない。拘束編地の編組織としては、引っ張り方向による変形の差が小さい多軸挿入編物基材を得やすい点から、同種または異種のたて編の組織を2つ組み合わせた二重組織が好ましく、プレーントリコット編、ダブルトリコット編、ダブルコード編、ハーフトリコット編、逆ハーフおよびサテントリコット編からなる群から選ばれる1種がより好ましい。
プレーントリコット編は、2枚のおさのたて糸で、互いに反対方向にシングルトリコット編をさせた二重組織である。ダブルデンビ編ともいう。プレーントリコット編の拘束編地の正面図を図2に示し、編成記号によるプレーントリコット編の編組織図を図3に示す。
ダブルトリコット編は、2列針床のトリコット編機で編まれたシングルトリコット編の二重組織である。編成記号によるダブルトリコット編の編組織図を図4に示す。
ダブルコード編は、2枚のおさのたて糸で、互いに反対方向にシングルコード編をさせた二重組織である。ダブルバーコード編ともいう。編成記号によるダブルコード編の編組織図を図5に示す。
ハーフトリコット編は、2枚のおさのたて糸のうち、前おさのたて糸でシングルコード編を、後おさのたて糸でシングルトリコット編をさせた二重組織である。シャルムーズ編ともいう。編成記号によるハーフトリコット編の編組織図を図6に示す。
逆ハーフは、2枚のおさのたて糸で、前おさおよび後おさの運動をハーフトリコット編の場合とは逆にして編まれた二重組織である。編成記号による逆ハーフの編組織図を図7に示す。
サテントリコット編は、2枚のおさのうち、前おさでシングルサテン編を、後おさで前おさと反対方向にシングルトリコット編をさせた二重組織である。編成記号によるサテントリコット編の編組織図を図8に示す。
ここで、二重組織を構成する各たて編の組織は、下記のとおりである。
シングルトリコット編は、1枚のおさのたて糸を、隣接する針に交互にラッピングさせた、たて編の基本組織である。シングルデンビ編ともいう。シングルトリコット編の拘束編地の正面図を図9に示し、編成記号によるシングルトリコット編の編組織図を図10に示す。
シングルトリコット編は、1枚のおさのたて糸を、隣接する針に交互にラッピングさせた、たて編の基本組織である。シングルデンビ編ともいう。シングルトリコット編の拘束編地の正面図を図9に示し、編成記号によるシングルトリコット編の編組織図を図10に示す。
シングルコード編は、1枚のおさのたて糸を、1針おいた次の針に交互にラッピングさせた、たて編の組織である。シングルコード編の拘束編地を示す正面図を図11に示し、編成記号によるシングルコード編の編組織図を図12に示す。
シングルサテン編は、1枚のおさのたて糸を、2針おいた次の針に交互にラッピングさせた、たて編の組織である。編成記号によるシングルサテン編の編組織図を図13に示す。
また、他のたて編の組織である鎖編は、下記のとおりである。
鎖編は、毎コース同一針にラッピングさせた鎖状の編目のたて編の組織である。チェーンステッチ、ピラーステッチともいう。鎖編の拘束編地の正面図を図14に示す。
鎖編は、毎コース同一針にラッピングさせた鎖状の編目のたて編の組織である。チェーンステッチ、ピラーステッチともいう。鎖編の拘束編地の正面図を図14に示す。
二重組織からなる編地は、例えば、図2に示すプレーントリコット編のように、ウエールとウエールとを繋ぐシンカループ(図中黒線部分)が交差しているため、緻密で堅牢な編地となりやすい。そのため、引っ張り方向による変形の差が小さい多軸挿入編物基材を得やすい。一方、1つのたて編の組織からなる編地は、例えば、図9に示すシングルトリコット編や図14に示す鎖編のように、シンカループ(図中黒線部分)が交差していない。そのため、得られる多軸挿入編物基材は、引っ張り方向による変形の差が大きくなる。
なお、編地自体は、二重組織であってもある程度の伸縮性を有していることから、多方向への賦形性に優れる。
なお、編地自体は、二重組織であってもある程度の伸縮性を有していることから、多方向への賦形性に優れる。
本発明の多軸挿入編物基材においては、拘束編地のウエール方向が多軸積重物のバイアス方向のうちの1つの方向とされていることが好ましい。
拘束編地のウエール方向を多軸積重物のバイアス方向とすることによって、例えば、図2に示すプレーントリコット編のように、ウエールとウエールとを繋ぐシンカループ(図中黒線部分)が多軸積重物のバイアス方向(多軸積重物の伸びやすい方向)と交差する。そのため、引っ張り方向による変形の差がさらに小さい多軸挿入編物基材を得やすい。
拘束編地のウエール方向を多軸積重物のバイアス方向とすることによって、例えば、図2に示すプレーントリコット編のように、ウエールとウエールとを繋ぐシンカループ(図中黒線部分)が多軸積重物のバイアス方向(多軸積重物の伸びやすい方向)と交差する。そのため、引っ張り方向による変形の差がさらに小さい多軸挿入編物基材を得やすい。
拘束編地における編目は、特に限定されず、閉じ目であってもよく、開き目であってもよく、閉じ目と開き目との組み合わせであってもよい。
拘束編地におけるコース方向のウエールの密度は、密度が低いと拘束が緩く取り扱い性が悪くなり、密度が高いとループ数が多いため生産性が悪くなる点から、1.4〜6.7回/cmが好ましく、2.0〜4.0回/cmがより好ましい。
拘束編地におけるコース方向のウエールの間隔は、間隔が小さいと生産性が悪くなり、間隔が大きいと拘束が緩く取り扱い性が悪くなる点から、2.5〜25.4mmが好ましく、5.0〜10.2mmがより好ましい。
拘束編地におけるコース方向のウエールの密度は、密度が低いと拘束が緩く取り扱い性が悪くなり、密度が高いとループ数が多いため生産性が悪くなる点から、1.4〜6.7回/cmが好ましく、2.0〜4.0回/cmがより好ましい。
拘束編地におけるコース方向のウエールの間隔は、間隔が小さいと生産性が悪くなり、間隔が大きいと拘束が緩く取り扱い性が悪くなる点から、2.5〜25.4mmが好ましく、5.0〜10.2mmがより好ましい。
(作用機序)
以上説明した本発明の多軸挿入編物基材にあっては、強化繊維シートの2枚以上が積み重ねられた多軸積重物が、ウエールとウエールとを繋ぐシンカループが交差している二重組織からなる緻密で堅牢な拘束編地で拘束され、一体化されている。そのため、引っ張り方向による変形の差が小さい。
本発明の多軸挿入編物基材は、中間工程において強化繊維の乱れが発生しにくく、多方向への伸縮が可能なため、成形型の凹凸部、湾曲部等の複雑な形状部分に沿わせることが容易であり、多方向への賦形性に優れ、取り扱い性に優れている。
以上説明した本発明の多軸挿入編物基材にあっては、強化繊維シートの2枚以上が積み重ねられた多軸積重物が、ウエールとウエールとを繋ぐシンカループが交差している二重組織からなる緻密で堅牢な拘束編地で拘束され、一体化されている。そのため、引っ張り方向による変形の差が小さい。
本発明の多軸挿入編物基材は、中間工程において強化繊維の乱れが発生しにくく、多方向への伸縮が可能なため、成形型の凹凸部、湾曲部等の複雑な形状部分に沿わせることが容易であり、多方向への賦形性に優れ、取り扱い性に優れている。
<繊維強化複合材料>
本発明の繊維強化複合材料は、本発明の多軸挿入編物基材と、マトリックス樹脂とを有する。
本発明の繊維強化複合材料は、本発明の多軸挿入編物基材と、マトリックス樹脂とを有する。
(マトリックス樹脂)
マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂の硬化物、熱可塑性樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂の硬化物、熱可塑性樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、変性ポリオレフィン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリカーボネイト、ポリアミドイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブチレン−スチレン共重合体、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリエステル、アクリロニトリル−スチレン共重合体等が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ナイロン6とナイロン66との共重合体ナイロンのように共重合したものであってもよい。
熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ナイロン6とナイロン66との共重合体ナイロンのように共重合したものであってもよい。
マトリックス樹脂は、繊維強化複合材料の要求物性に応じて、各種添加剤(難燃剤、耐候性改良剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、相溶化剤、導電性フィラー等)を含んでいてもよい。
(繊維強化複合材料の製造方法)
繊維強化複合材料は、成形型の上にマトリックス樹脂組成物が未含浸の多軸挿入編物基材の1枚または2枚以上を配置し、これにマトリックス樹脂組成物を含浸させた後、プリフォーム化し、これを成形、硬化させることによって製造できる。または、多軸挿入編物基材にマトリックス樹脂組成物を含浸させてプリプレグとし、これを成形、硬化させることによって製造できる。
繊維強化複合材料は、成形型の上にマトリックス樹脂組成物が未含浸の多軸挿入編物基材の1枚または2枚以上を配置し、これにマトリックス樹脂組成物を含浸させた後、プリフォーム化し、これを成形、硬化させることによって製造できる。または、多軸挿入編物基材にマトリックス樹脂組成物を含浸させてプリプレグとし、これを成形、硬化させることによって製造できる。
(作用機序)
以上説明した本発明の繊維強化複合材料にあっては、本発明の多軸挿入編物基材を有するため、強化繊維に皺が生じにくい。そのため、優れた機械特性を有する。
以上説明した本発明の繊維強化複合材料にあっては、本発明の多軸挿入編物基材を有するため、強化繊維に皺が生じにくい。そのため、優れた機械特性を有する。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(引っ張り方向による変形の差)
多軸挿入編物基材の0度方向および90度方向が試験片の対角線となるように多軸挿入編物基材から100mm×100mmの試験片を2枚切り出した。
図15に示すように、試験片100と同心であり、かつ各辺が試験片100の各辺と平行とされた50mm×50mmの四角形を、試験片100に描画し、評価範囲102とした。
図15に示すように、菱型の試験片100の0度方向の対角線が上下方向となるように、上下方向の2つの角をそれぞれ上部つかみ治具110(横:48mm、縦:20mm)および下部つかみ治具120(横:48mm、縦:20mm)に固定した。つかむ範囲は、角から対角線方向に20mmとした。上部つかみ治具110を試験架台(図示略)に吊るし、下部つかみ治具120には錘130を吊るし、試験片100に引張荷重を加えた。下部つかみ治具120および錘の総質量は100gとした。
試験片100に引張荷重を加えた後の伸長した状態で、評価範囲102の0度方向の下側の角の角度αを測定した。伸長前の角度α(90度)から伸長後の角度αからを引いた値を角度の変化量とした。
多軸挿入編物基材の0度方向および90度方向が試験片の対角線となるように多軸挿入編物基材から100mm×100mmの試験片を2枚切り出した。
図15に示すように、試験片100と同心であり、かつ各辺が試験片100の各辺と平行とされた50mm×50mmの四角形を、試験片100に描画し、評価範囲102とした。
図15に示すように、菱型の試験片100の0度方向の対角線が上下方向となるように、上下方向の2つの角をそれぞれ上部つかみ治具110(横:48mm、縦:20mm)および下部つかみ治具120(横:48mm、縦:20mm)に固定した。つかむ範囲は、角から対角線方向に20mmとした。上部つかみ治具110を試験架台(図示略)に吊るし、下部つかみ治具120には錘130を吊るし、試験片100に引張荷重を加えた。下部つかみ治具120および錘の総質量は100gとした。
試験片100に引張荷重を加えた後の伸長した状態で、評価範囲102の0度方向の下側の角の角度αを測定した。伸長前の角度α(90度)から伸長後の角度αからを引いた値を角度の変化量とした。
同様に、別の菱型の試験片100の90度方向の対角線が上下方向となるように、上下方向の2つの角をそれぞれ上部つかみ治具110および下部つかみ治具120に固定し、試験片100に引張荷重を加え、評価範囲102の90度方向の下側の角度αを測定し、角度の変化量を求めた。
(実施例1)
強化繊維として、炭素繊維(三菱レイヨン社製、パイロフィル(登録商標)TRW40 50L)を用い、複数本の強化繊維が一方向に引き揃えられた、強化繊維の目付が150g/m2の強化繊維シートを作製した。
多軸挿入編物基材の基準方向(0度方向)に対し、強化繊維の軸方向が+45度/−45度に交差するように2枚の強化繊維シートを積み重ね、多軸積重物とした。
多軸積重物を、ポリエステル糸(Tenzler社製、dtex78f36 text.roh halbmatt、78dtex、36フィラメント)を編成してなるプレーントリコット編の拘束編地にて、拘束編地のウエール方向が多軸挿入編物基材の0度方向となるように拘束し、一体化して、図1に示すような多軸挿入編物基材を作製した。拘束編地におけるコース方向のウエールの密度は3回/cmであり、コース方向のウエールの間隔は5mmであった。引っ張り方向による角度の変化量を表1に示す。
強化繊維として、炭素繊維(三菱レイヨン社製、パイロフィル(登録商標)TRW40 50L)を用い、複数本の強化繊維が一方向に引き揃えられた、強化繊維の目付が150g/m2の強化繊維シートを作製した。
多軸挿入編物基材の基準方向(0度方向)に対し、強化繊維の軸方向が+45度/−45度に交差するように2枚の強化繊維シートを積み重ね、多軸積重物とした。
多軸積重物を、ポリエステル糸(Tenzler社製、dtex78f36 text.roh halbmatt、78dtex、36フィラメント)を編成してなるプレーントリコット編の拘束編地にて、拘束編地のウエール方向が多軸挿入編物基材の0度方向となるように拘束し、一体化して、図1に示すような多軸挿入編物基材を作製した。拘束編地におけるコース方向のウエールの密度は3回/cmであり、コース方向のウエールの間隔は5mmであった。引っ張り方向による角度の変化量を表1に示す。
(比較例1)
拘束編地の編組織を鎖編(拘束編地のウエール方向が多軸挿入編物基材の0度方向)に変更した以外は、実施例1と同様にして、図16に示すような多軸挿入編物基材12を作製した。多軸挿入編物基材12は、多軸挿入編物基材の基準方向(0度方向)に対し、強化繊維22の軸方向が+45度とされた第1の強化繊維シート24、およびその下に重ねられた強化繊維の軸方向が−45度とされた第2の強化繊維シート(図示略)からなる多軸積重物20と、多軸積重物20を拘束し、一体化したステッチング糸条32からなる鎖編の拘束編地34(図14参照)とを有する。
拘束編地の編組織を鎖編(拘束編地のウエール方向が多軸挿入編物基材の0度方向)に変更した以外は、実施例1と同様にして、図16に示すような多軸挿入編物基材12を作製した。多軸挿入編物基材12は、多軸挿入編物基材の基準方向(0度方向)に対し、強化繊維22の軸方向が+45度とされた第1の強化繊維シート24、およびその下に重ねられた強化繊維の軸方向が−45度とされた第2の強化繊維シート(図示略)からなる多軸積重物20と、多軸積重物20を拘束し、一体化したステッチング糸条32からなる鎖編の拘束編地34(図14参照)とを有する。
比較例1の引っ張り方向による角度の変化量を表1に示す。
比較例1は、実施例1に対して、0度方向の変形は小さいが、90度方向の変形が大きく、実施例1の方が、プリフォーム化や成形時等において、成形型の形状による制限を受けにくく、複雑形状の繊維強化複合材料にも適合することが分かった。
比較例1は、実施例1に対して、0度方向の変形は小さいが、90度方向の変形が大きく、実施例1の方が、プリフォーム化や成形時等において、成形型の形状による制限を受けにくく、複雑形状の繊維強化複合材料にも適合することが分かった。
(比較例2)
拘束編地の編組織をシングルトリコット編(拘束編地のウエール方向が多軸挿入編物基材の0度方向)に変更した以外は、実施例1と同様にして、図17に示すような多軸挿入編物基材を作製した。多軸挿入編物基材14は、多軸挿入編物基材の基準方向(0度方向)に対し、強化繊維22の軸方向が+45度とされた第1の強化繊維シート24、およびその下に重ねられた強化繊維の軸方向が−45度とされた第2の強化繊維シート(図示略)からなる多軸積重物20と、多軸積重物20を拘束し、一体化したステッチング糸条32からなるシングルトリコット編の拘束編地36(図9参照)とを有する。
拘束編地の編組織をシングルトリコット編(拘束編地のウエール方向が多軸挿入編物基材の0度方向)に変更した以外は、実施例1と同様にして、図17に示すような多軸挿入編物基材を作製した。多軸挿入編物基材14は、多軸挿入編物基材の基準方向(0度方向)に対し、強化繊維22の軸方向が+45度とされた第1の強化繊維シート24、およびその下に重ねられた強化繊維の軸方向が−45度とされた第2の強化繊維シート(図示略)からなる多軸積重物20と、多軸積重物20を拘束し、一体化したステッチング糸条32からなるシングルトリコット編の拘束編地36(図9参照)とを有する。
比較例2の引っ張り方向による角度の変化量を表1に示す。
比較例2は、実施例1に対して、測定した引っ張り方向による角度の変化量に偏りがあり、実施例1の方が、プリフォーム化や成形時等において、成形型の形状による制限を受けにくく、複雑形状の繊維強化複合材料にも適合することが分かった。
比較例2は、実施例1に対して、測定した引っ張り方向による角度の変化量に偏りがあり、実施例1の方が、プリフォーム化や成形時等において、成形型の形状による制限を受けにくく、複雑形状の繊維強化複合材料にも適合することが分かった。
以上の結果から、実施例1は、偏りなく伸縮することが可能であり、複雑形状の繊維強化複合材料の製造に適しており、取り扱いやすいことが見込まれる。
本発明の多軸挿入編物基材は、引っ張り方向による変形の差が小さく、かつ適度に変形するため、繊維強化複合材料の強化繊維基材として有用であり、とりわけ航空宇宙用途(航空機部材等)、自動車用途(自動車部材)の繊維強化複合材料の強化繊維基材に好適である。
10 多軸挿入編物基材
12 多軸挿入編物基材
14 多軸挿入編物基材
20 多軸積重物
22 強化繊維
24 第1の強化繊維シート
30 拘束編地
32 ステッチング糸条
34 拘束編地
36 拘束編地
100 試験片
102 評価範囲
110 上部つかみ治具
120 下部つかみ治具
130 錘
12 多軸挿入編物基材
14 多軸挿入編物基材
20 多軸積重物
22 強化繊維
24 第1の強化繊維シート
30 拘束編地
32 ステッチング糸条
34 拘束編地
36 拘束編地
100 試験片
102 評価範囲
110 上部つかみ治具
120 下部つかみ治具
130 錘
Claims (6)
- 複数本の強化繊維が一方向に引き揃えられた強化繊維シートの2枚以上が、前記強化繊維の軸方向が二方向以上となるように積み重ねられた多軸積重物と、
前記多軸積重物における前記2枚以上の強化繊維シートを一体化するように編成されたステッチング糸条からなる拘束編地とを有し、
前記拘束編地の編組織が、二重組織である、多軸挿入編物基材。 - 前記拘束編地のウエール方向が、前記多軸積重物のバイアス方向とされている、請求項1記載の多軸挿入編物基材。
- 前記二重組織が、プレーントリコット編、ダブルトリコット編、ダブルコード編、ハーフトリコット編、逆ハーフおよびサテントリコット編からなる群から選ばれる1種である、請求項1または2に記載の多軸挿入編物基材。
- 前記強化繊維が、炭素繊維、ガラス繊維およびアラミド繊維からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多軸挿入編物基材。
- 前記強化繊維シートの1枚あたりの強化繊維の目付が、100〜2,000g/m2である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多軸挿入編物基材。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の多軸挿入編物基材と、
マトリックス樹脂と
を有する、繊維強化複合材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015176282A JP2017053049A (ja) | 2015-09-08 | 2015-09-08 | 多軸挿入編物基材および繊維強化複合材料 |
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- 2015-09-08 JP JP2015176282A patent/JP2017053049A/ja active Pending
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