JP2017052693A - シリカガラスルツボの検査方法 - Google Patents

シリカガラスルツボの検査方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017052693A
JP2017052693A JP2016205663A JP2016205663A JP2017052693A JP 2017052693 A JP2017052693 A JP 2017052693A JP 2016205663 A JP2016205663 A JP 2016205663A JP 2016205663 A JP2016205663 A JP 2016205663A JP 2017052693 A JP2017052693 A JP 2017052693A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silica glass
glass crucible
surface defect
measurement
spectrum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016205663A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6200057B2 (ja
Inventor
俊明 須藤
Toshiaki Sudo
俊明 須藤
忠広 佐藤
Tadahiro Sato
忠広 佐藤
賢 北原
Ken Kitahara
賢 北原
真美 大原
mami Ohara
真美 大原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumco Corp
Original Assignee
Sumco Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumco Corp filed Critical Sumco Corp
Priority to JP2016205663A priority Critical patent/JP6200057B2/ja
Publication of JP2017052693A publication Critical patent/JP2017052693A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6200057B2 publication Critical patent/JP6200057B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
  • Glass Melting And Manufacturing (AREA)

Abstract

【課題】シリコンインゴットの引き上げに使用されるシリカガラスルツボにおいて、シリカガラスルツボに表面欠陥部位が発生するかどうかを予測して、シリカガラスルツボの品質を判断するシリカガラスルツボの検査方法の提供。
【解決手段】シリカガラスルツボの内表面上の測定点において、赤外吸収スペクトル又はラマンシフトを測定する測定工程、及び、得られたスペクトルと予め準備された基準スペクトルとを比較して前記測定点に表面欠陥部位が発生するかどうかを予測し、前記シリカガラスルツボの内表面の表面欠陥部位の予測発生数に基づいて表面欠陥部位の予測発生指数を算出することにより、前記シリカガラスルツボの品質を判断する判断工程を備えるシリカガラスルツボの検査方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、シリカガラスルツボの表面欠陥部位の発生を予測し、品質を判断するシリカガラスルツボの検査方法に関する。
シリコン単結晶の製造にはシリカガラスルツボを用いたチョクラルスキー法(CZ法)が採用されている。この方法は、シリコンの融点である約1420℃の高温のシリコン融液表面に種結晶を液面に水平方向に回転させながら接触させ、これを徐々に引き上げて単結晶を製造する方法であり、シリコン融液を溜めるための高純度のシリカガラスルツボが用いられている。
近年、半導体のデバイス工程の効率化等の要請から、シリコン単結晶の直径は大径化している。これに伴い、シリカガラスルツボの口径も大口径化している。シリカガラスルツボのサイズは、直径が28インチ(約71cm)、32インチ(約81cm)、36インチ(約91cm)、および40インチ(約101cm)などのものがある。直径101cmのルツボは、重量が約120kgという巨大なものであり、そこに収容されるシリコン融液の質量は900kg以上である。つまり、シリコン単結晶の引き上げ時には、約1500℃のシリコン融液が900kg以上もルツボに収容されることになる。その結果、外側のカーボンヒーターからシリコン単結晶の中心までの距離と、熔融させるポリシリコンの量は増加し、シリカガラスルツボにかかる温度の高温化を引き起こす。また、引き上げ時間の長時間化を招き、2週間以上引き上げ続ける場合もある。シリコン融液を単結晶に接触させているシリコン融液面中心部分の固液界面をシリコンの融点である1420℃付近に保つためにシリカガラスルツボの温度は1450〜1600℃という高温となっている。2週間以上かかることがあるシリコン単結晶引き上げにおいてはシリカガラスルツボのリム部の沈み込み変形量は5cm以上となることもある。
長時間高温のシリコン融液に接触していると、シリカガラスルツボの内表面には、褐色のクリストバライトが生成する。シリコン単結晶の引き上げが進行するにつれて、クリストバライトはシリカガラスルツボの内表面に対して水平方向および垂直方向に成長し、リング状の斑点(ブラウンリング)を形成する。形成したブラウンリングは、剥離しやすい。剥離したブラウンリングがシリコン融液中に落下・混入した場合、シリコン単結晶に運ばれる。この結果、引き上げられるシリコンインゴットが多結晶化し、単結晶化率を低下させる。
シリカガラスルツボの内表面に含まれる気泡も単結晶化率を低下させる要因となる。シリカガラスルツボの内表面の熔損が進むにつれて、シリカガラスルツボの内表面中の気泡は、シリコン融液に入る。シリコン融液中の気泡がシリコンインゴットに含まれることで単結晶化率は低下する。加えて、長時間の高温条件下においては、シリカガラスルツボの内表面に含まれる気泡は、著しく膨張する。膨張した気泡は、シリカガラスルツボを変形させたり、内表面を不均一にしたりする。この結果、シリコン融液において湯面振動が発生し、単結晶化率を低下させる。
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1には、所定箇所におけるブラウンリングの個数を一定範囲に限定することによって、安定してシリコン単結晶を引き上げる方法が提案されている。また、特許文献2においてはシリカガラスルツボのアモルファス成分比をレーザーラマンを用いて同定することが記載されている。
特開2005−320241号公報 特開2004−492210号公報
しかしながら、特許文献1においては、ブラウンリングの個数を一定範囲に限定することが困難であるという問題がある。
また、特許文献2記載の方法では、ブラウンリング等の表面欠陥部位の発生条件は、これまで明らかになっていないため、事前に表面欠陥部位が発生し易いルツボを出荷前に把握することが困難である。
また、ブラウンリング等の表面欠陥部位は、シリコン単結晶の引き上げ中にルツボの内表面に発生するものであるが、表面欠陥部位の発生しやすさは、ルツボごとに異なっている。つまり、実質的に同じ条件でシリコン単結晶の引き上げを行っても表面欠陥部位の発生数はルツボ毎に異なっている。
そこで、本発明は、このような事情に鑑み、シリカガラスルツボにおける表面欠陥部位の発生を予測し、品質を判断するシリカガラスルツボの検査方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは、鋭意研究を重ね、ルツボの内表面と赤外吸収スペクトル及びラマンシフトとの関係を詳細に分析することにより、シリカガラスルツボの表面欠陥部位の発生を予測できることを見出した。すなわち、本発明は、シリカガラスルツボの内表面上の測定点において、赤外吸収スペクトル又はラマンシフトを測定する測定工程、および得られたスペクトルに基づいて、前記測定点に表面欠陥部位が発生するかどうかを予測し、前記シリカガラスルツボの品質を判断する判断工程を備えることを特徴とするシリカガラスルツボの検査方法である。
合成シリカ粉を原料としたシリカガラスルツボの内表面11上をプローブ10によって走査する様子を表した模式図である。 ルツボ内におけるプローブ10の走査方向を例示した断面模式図である。 基準赤外スペクトルである。 シリカガラスの赤外スペクトルである。 使用前のシリカガラスルツボにおいて、表面欠陥部位が発生すると予想された赤外スペクトルである。 表面欠陥部位が発見された使用後のシリカガラスルツボの赤外スペクトルである。 基準ラマンシフトである。 シリカガラスのラマンシフトである。 使用前のシリカガラスルツボにおいて、表面欠陥部位が発生すると予想されたラマンシフトである。 表面欠陥部位が発見された使用後のシリカガラスルツボのラマンシフトである。
本発明に係る検査方法は、シリカガラスルツボの内表面上の測定点において、赤外吸収スペクトル又はラマンシフトを測定する測定工程、および得られたスペクトルに基づいて、前記測定点に表面欠陥部位が発生するかどうかを予測し、前記シリカガラスルツボの品質を判断する判断工程を備える。以下、詳細に説明する。
〔シリカガラスルツボ〕
本発明において、検査対象となるシリカルツボは、例えば、図2の断面図に示されるような、上端が開口し鉛直方向に延びる略円筒形の直胴部15、湾曲した底部16、および前記直胴部15と前記底部16とを連結し且つ前記底部16よりも曲率が大きいコーナー部17を備えるものである。
シリカガラスルツボは、内側に透明層20、及びその外側に気泡層14を備えることが好ましい。透明層20は、シリカガラスルツボの内側に形成されている層であり、実質的に気泡を含まない。「実質的に気泡を含まない」とは、気泡が原因で単結晶化率が低下しない程度の気泡含有率及び気泡径であることを意味する。ここで、気泡含有率とは、ルツボの単位体積に占める気泡の体積である。光学カメラを用いてルツボ内表面の画像を撮像し、ルツボ内表面を一定体積ごとに区分して基準体積W1とし、この基準体積W1に対する気泡の占有体積W2を求め、P(%)=(W2/W1)×100により算出される。気泡層14は、例えば、内部に含まれる気泡含有率が0.2%以上1%以下、且つ気泡の平均直径が20μm以上200μm以下である。
シリカガラスルツボは、例えば、次のように製造される。シリカガラスルツボの製造に使用されるシリカ粉には、結晶質である天然シリカ粉や化学合成によって製造される非晶質である合成シリカ粉がある。天然シリカ粉は、α−石英を主成分とする天然鉱物を粉砕して粉状にすることによって製造されるシリカ粉である。合成シリカ粉は、四塩化珪素(SiCl)の気相酸化(乾燥合成法)や、シリコンアルコキシド(Si(OR))の加水分解(ゾル・ゲル法)などの化学合成による手法によって製造することができる。
まず、シリカガラスルツボ用モールドに天然シリカ粉を供給する。次に、合成シリカ粉を天然シリカ粉上に供給し、アーク放電のジュール熱によりシリカ粉を熔融した後、冷却することにより、合成シリカ粉からガラス化される内面層(合成層)と天然シリカ粉からガラス化される外面層(天然層)からなるシリカガラスルツボが製造される。アーク熔融工程の初期にはシリカ粉層を強く減圧することによって気泡を除去して透明シリカガラス層(透明層)を形成し、その後、減圧を弱くすることによって気泡が残留した気泡含有シリカガラス層(気泡層)が形成される。ここで、合成シリカ粉から形成される内面層と透明層は、必ずしも一致するものではない。また、天然シリカ粉から形成される外面層と気泡層は、必ずしも一致するものではない。
シリカ粉の融解は、回転モールドの内表面での最高到達温度が2000〜2600℃になるように行うことが好ましい。最高到達温度が2000℃よりも低いとシリカガラスの構造中あるいはシリカガラス中に気泡として残存するガスが抜け切れず、シリコン単結晶中の引き上げ中に、ルツボが激しく膨張する。また、最高到達温度が2600℃よりも高いとシリカガラスの粘度が低下して形状崩れが発生するからである。
アーク熔融は、例えば、交流3相(R相、S相、T相)のアーク放電によって実施される。従って、交流3相の場合は、3本の炭素電極を使用してアーク放電を発生させることでシリカ粉層が熔融する。アーク熔融は、炭素電極の先端がモールド開口部よりも上方に位置する地点でアーク放電を開始する。これにより、モールド開口部近傍におけるシリカ粉層が優先して熔融される。その後、炭素電極を降下させモールド直胴部、コーナー部、および底部のシリカ粉層を熔融させる。
〔測定工程〕
本発明においては、シリカガラスルツボの内表面上の任意の測定点の赤外吸収スペクトル又はラマンシフトを測定する。測定点は、シリカガラスルツボの品質判断の精度を高めるために、複数であることが好ましい。複数箇所を測定することで、表面欠陥部位の発生数を事前に予想することができる。
赤外線吸収スペクトルは、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)によって測定することができる。シリカガラスルツボの内表面に赤外線を照射することによって、Si−O間の相対的位置の変動(分子振動)等を調べることができる。
具体的には、例えば、次のように赤外線吸収スペクトルを測定することができる。赤外線を照射する光源と、測定対象物からの反射波を受光する受光部とを有する図1に示されるプローブ10を用いて、合成シリカ粉を原料としたシリカガラスルツボの内表面11の赤外吸収スペクトルを測定することができる。プローブ10は、内表面11の赤外吸収スペクトルを非接触的に測定することができる。測定方法としては、プローブ10をルツボ12の内表面11に非接触的に配置し、走査方向13に向かって走査することで、赤外吸収スペクトルを測定することができる。他の走査方式としては、例えば、サンプル走査方式と光源走査方式とがある。サンプル走査方式は、サンプルを載せたステージをXY方向に駆動させて、赤外吸収スペクトルを取得する方式である。光源走査方式は、光源をXY方向に当て、それに合わせて受光部を移動させることで、サンプル上を二次元走査する方式である。いずれの走査方式を採用してもよい。
走査する方向としては、図2に示す通り、直胴部15の鉛直方向18または水平方向19としてもよい。走査は、ルツボ内表面全てを行う必要はなく、ルツボの内表面11の一部だけを走査してしてもよい。例えば、ポリシリコン融液が満たされる部位を重点的に走査してもよい。
プローブ10は、内表面11との接触を避けるため、例えば、ロボットアームに取り付けてもよい。ロボットアームは、回転角が検出可能なロータリーエンコード等を備えた回転台上に設置してもよい。これにより、容易に三次元座標が算出できる。この時、ロボットアームは、プローブ10と内表面11との接触を避け且つプローブ10と内表面11との間隔を常に一定に保つために、距離を測定可能な測距部を有してもよい。測距部は、シリカガラスルツボの内表面との距離を測定可能な半導体レーザーを備えることが好ましい。レーザー光の波長は特に限定されないが、波長600〜700nmであることが好ましい。また、赤外吸収スペクトルを測定する前に、シリカガラスルツボの三次元形状を測定し、測定した三次元形状に基づいてロボットアームを動かすことで、プローブ10と内表面11との接触回避や間隔維持を行なってもよい。赤外吸収スペクトルの測定間隔は、例えば、1〜5mmである。
ラマンシフトは、ラマン分光法により測定することができる。ラマン分光法においては、サンプルに対してレーザー等の光を照射し、分極率をもつ分子運動により生じる散乱光を測定するものである。シリカガラスにおいては、Si−O−Si結合角に起因する歪み構造に関係するピークが検出される。
ラマンシフトは、赤外線吸収スペクトルの測定と同様に、プローブ10やロボットアームを用いて測定することができる。ラマン測定の条件は、例えば、レーザー波長:785nm(100mW)、露光時間:10秒、積算回数:1回とすることができる。FT−IR測定とラマン測定を両方測定する場合は、どちらかを先に測定するか、両方同時に測定してもよい。
〔判断工程〕
本発明において行われる判断工程においては、得られたスペクトルに基づいて、測定点に表面欠陥部位が発生するかどうかを予測する。「表面欠陥部位」とは、シリコン単結晶の歩留まりに影響を与える、シリカガラスルツボに生じる異常な部分または領域を指す。例えば、ブラウンリングや気泡などである。表面欠陥部位が発生するかどうかは、スペクトルのピークに基づいて行うことができる。スペクトルのピークとは、例えば、得られたスペクトルのピーク全体または一部であってもよい。また、特定の波数の範囲内における特徴的なピークであってもよく、この場合、ある特定の波数の範囲(バンド)に注目するだけで表面欠陥部位が発生するかどうかを予測することができる。
具体的には、例えば、以下の3つの方法およびそれらの組み合わせに基づいて表面欠陥部位の発生を予測することができる。
(1)特定波数の赤外吸収スペクトルに基づく予測
本発明者らの分析の結果、波数1080から1100cm−1の間のピークおよび/または波数1150から1250cm−1の間のピークの有無は、表面欠陥部位の発生に特徴的な範囲であることが見出された。したがって、これらの範囲のピークの有無によって表面欠陥部位が発生するかどうかを予測することができる。具体的には、波数1080から1100cm−1の聞にピークが有るとき、表面欠陥部位が発生すると予測することができる。また、波数1150から1250cm−1の間にピークが有るとき、表面欠陥部位が発生すると予測することができる。定量的に判定する場合は、闇値を設定して判定を行なってもよい。
(2)特定波数のラマンスペクトルに基づく予測
本発明者らの分析の結果、ラマンシフト500から550cm−1の間のピークの有無は、異常サイトの発生に特徴的な範囲であることが見出された。したがって、これらの範囲のピークの有無によって表面欠陥部位が発生するかどうかを予測することができる。定量的に判定する場合は、閾値を設定して判定を行なってもよい。具体的には、ピークが存在するときに、表面欠陥部位が発生すると予測することができる。
(3)基準スペクトルとの比較による予測
得られたスペクトルと、予め準備された基準スペクトルとを比較して、測定点に表面欠陥部位が発生するかどうかを予測する。ここで、「予め準備された基準スペクトル」とは、例えば、シリコン単結晶引き上げ前のシリカガラスルツボの測定点において、シリコン単結品引き上げ後、測定点に表面欠陥部位が発生していた場合のスペクトルである。表面欠陥部位がブラウンリングの場合は、ブラウン色のリングの場所だけでなく、その中心や中心付近も含まれる。予め準備された基準スペクトルを用いての比較は、内表面11のスペクトルを測定した直後にしてもよく、また、複数の測定点を測定後に比較してもよい。比較の結果、両スペクトルが同等であるか否かを判断し、同等であるときに、表面欠陥部位が発生すると予測することができる。定量的に判定する場合は、闇値を設定して判定を行なってもよい。基準スペクトルとの対比は、前述の(1)および(2)に基づく予測を利用して、特定波数の範囲だけを比較して、表面欠陥部位が発生すると予測してもよい。
特定の条件下のデータ(基準スペクトル)を蓄積しておくことで、同じ条件下での実施においてより精度の高い比較を行なうことができる。また、データをフィードバックさせて精度の高い基準スペクトルを作成することもできる。
以上のようにして求められた予測から、シリカガラスルツボの品質を評価する。品質の評価は、例えば、測定点が1箇所の場合は、表面欠陥部位が発生すると予測されたとき、欠品であると評価することができる。測定点が複数の場合は、所定数の表面欠陥部位が発生すると予測されたとき、欠品であると評価することができる。
また、測定点が複数ある場合は、シリカガラスルツボの内表面の単位面積当たりの表面欠陥部位の予測発生数に基づいて、シリカガラスルツボの品質を判断することができる。単位面積あたりの表面欠陥部位の予想発生数は、平均値であってもよい。更には、シリカガラスルツボの特定の部位(例えば、直胴部、コーナー部、および底部)における単位面積あたりの表面欠陥部位の予想発生数を算出して、一定値を超えていた場合を欠品と判断してもよい。これにより、少ない測定時間であっても、シリカガラスルツボが不良であるか否かを容易に判断することができる。
〔シリコンインゴットの製造方法〕
シリコンインゴットは、(1)シリカガラスルツボ12内でポリシリコンを熔融させてシリコン融液を生成し、(2)シリコン種結晶の端部をシリコン融液中に浸けた状態で種結晶を回転させながら引き上げることによって製造することができる。シリコン単結晶の形状は、上側から円柱状のシリコン種結晶、その下に円錐状のシリコン単結晶、上部円錐底面と同じ径を持つ円柱状のシリコン単結晶、および頂点が下向きである円錐状のシリコン単結晶からなる。
シリコンインゴットの引き上げは、通常、1450〜1500℃程度で行われる。シリコン単結晶引き上げ後、ルツボの内表面を観察し、ブラウンリングの有無を確認する。確認されたブラウンリングの三次元座標を取得して、シリカガラスルツボ12を製造した時のデータと照合し、データのフィードバックを行なってもよい。
実施例
(製造例)シリカガラスルツボの製造
回転モールド法に基づいて、シリカガラスルツボを製造した。モールド口径は、32インチ(81.3cm)、モールド内表面に堆積したシリカ粉層の平均厚さは15mm、3相交流電流3本電極によりアーク放電を行った。アーク熔融工程の通電時間は90分、出力2500kVA、通電開始から10分間はシリカ粉層の真空引きを行った。シリカガラスルツボは、3つ製造した。製造したシリカガラスルツボにポリシリコンを加えて熔融し、シリコン単結晶を引き上げた。
(参考例1)FT−IR測定とラマン測定シリコン単結晶を引き上げた後、ルツボ内表面に発生したブラウンリングのFT−IR測定とラマン測定を行った。
図3ないし6は、顕微赤外反射測定装置を用いて顕微赤外反射スペクトルを測定した結果である。条件は、分解能:4cm-1、積算回数:64回(約30秒)であった。図3は、基準スペクトル、図4はシリカガラスのスペクトルである。図6は、表面欠陥部位が発見された使用後のシリカガラスルツボのスペクトルであり、図5は、使用前のシリカガラスルツボにおいて、表面欠陥部位が発生すると予想されたスペクトルである。
図6に示される通り、表面欠陥部位では波数1210から1230cm−1の付近と波数1090から1094cm−1付近にピークが存在した。一方、シリカガラス(表面欠陥部位ではない)のスペクトルにおいては、かかる波数のピークは見られなかったが、波数1120cm−1付近にピークが存在していた。このピークは、図6においては見られなかった。従って、波数1080から1100cm−1の間のピークと波数1150から1250cm−1の間のピークを、特徴のあるピークとして、また基準スペクトルとして用いることができることが分かる。
図7ないし10は、分散型顕微ラマン装置を用いて表面欠陥部位のラマンシフトを測定した結果である。条件は、レーザー波長:785nm(100mW)、露光時間:10秒、積算回数:1回であった。図7は、基準スペクトル、図8は、シリカガラスのスペクトルである。図10は、表面欠陥部位が発見された使用後のシリカガラスルツボのスペクトルであり、図9は、使用前のシリカガラスルツボにおいて、表面欠陥部位が発生すると予想されたスペクトルである。
図9に示される通り、表面欠陥部位ではラマンシフト520から530cm−1の付近にピークが存在する。一方、シリカガラス(表面欠陥部位ではない)においては、ラマンシフト520から530cm−1にピークが存在しなかった。従って、ラマンシフト500から550cm−1の間のピークを特徴のあるピークとして、また基準スペクトルとして用いることができることが分かる。
(実施例1〜3)
製造例で得られた3つの未使用シリカガラスルツボの内表面をFT−IR測定およびラマン測定した。シリカガラスルツボの内面形状の三次元形状を取得し、シリカガラスルツボの直胴部、コーナー部及び底部で測定を行った。測定点は、シリカガラスルツボの前記部位の領域(約5cm四方の領域(約25cm)から任意に選び、それぞれ20点を測定した。なお、FT−IR測定およびラマン測定の測定範囲(スポット径)は20μmである。
FT−IR測定に関しては、波数1210から1230cm−1の付近および波数1090から1094cm−1付近に特徴的なピークが存在するスペクトルが観察された。特徴的なピークが観測された測定点を表面欠陥部位の発生が予測される測定点とし対応する座標を記憶装置に格納すると共に、表面欠陥部位の予想発生指数を算出した。発生指数は、表面欠陥部位のスペクトルが観測された数を全測定箇所の数で割った値である。結果を表1に示す。
ラマン測定に関しては、ラマンシフト520から530cm−1の付近に特徴的なピークが存在するスペクトルが観察された。特徴的なピークが観測された測定点を表面欠陥部位の発生が予測される測定点とし、対応する座標を記憶装置に格納すると共に、表面欠陥部位の予想発生指数を算出した。発生指数は、表面欠陥部位のスペクトルが観測された数を全測定箇所の数で割った値である。結果を表1に示す。
FT−IR測定およびラマン測定の後、測定されたシリカガラスルツボを用いてシリコン単結晶引上げを行った。単結晶引上げ前のFT−IR測定及びラマン測定の特徴的なピークに関する座標に基づいて、単結晶引上げ後のシリカガラスルツボの内表面を確認した。その結果、特徴的なピークが存在した座標において、単結晶引上げ後のシリカガラスルツボの内表面に表面欠陥部位が観察された。表2は、測定領域約25cmあたりの表面欠陥部位の発生数の一覧である。
以上の結果から、FT−IR測定の場合は、波数1210から1230cm−1の付近のピーク及び/又は波数1090から1094cm−1付近のピークを判断基準として表面欠陥部位を発生させやすいルツボであるか否かを判定に用いることができることが分かる。ラマン測定の場合は、ラマンシフト520から530cm−1のピークを判断基準として表面欠陥部位を発生させやすいルツボであるか否かを判定に用いることができる。更に、FT−IR測定とラマン測定の基準を総合することで、より高精度に表面欠陥部位の発生サイトを検査することができる。
本発明に係る検査方法によれば、シリコン単結晶を引き上げる前から、表面欠陥部位の発生箇所を特定することができる。従って、表面欠陥部位の発生割合や密度等を事前に予想することができ、これまで不可能であった、出荷前のシリカガラスルツボに対する表面欠陥部位数の品質検査を行なうことができる。更には、一定密度の表面欠陥部位が要求されるシリカガラスルツボの品質検査も行なうことができる。

Claims (9)

  1. シリカガラスルツボの内表面上の測定点において、赤外吸収スペクトルを測定する測定工程、および
    前記測定工程で得られたスペクトルの所定位置のピークの有無に基づいて、前記測定点に表面欠陥部位が発生するかどうかを予測し、前記シリカガラスルツボの内表面の表面欠陥部位の予測発生数に基づいて表面欠陥部位の予測発生指数を算出し、前記シリカガラスルツボの品質を判断する判断工程を備えることを特徴とし、
    前記赤外吸収スペクトルの前記所定位置が、波数1080〜1100cm−1、および/または波数1150〜1250cm−1であり、
    前記測定点が複数であるシリカガラスルツボの検査方法。
  2. シリカガラスルツボの内表面上の測定点において、ラマンシフトを測定する測定工程、および
    前記測定工程で得られたスペクトルの所定位置のピークの有無に基づいて、前記測定点に表面欠陥部位が発生するかどうかを予測し、前記シリカガラスルツボの内表面の表面欠陥部位の予測発生数に基づいて表面欠陥部位の予測発生指数を算出し、前記シリカガラスルツボの品質を判断する判断工程を備えることを特徴とし、
    前記ラマンシフトの前記所定位置が、ラマンシフト500〜550cm−1であり、
    前記測定点が複数であるシリカガラスルツボの検査方法。
  3. シリカガラスルツボの内表面上の測定点において、赤外吸収スペクトル又はラマンシフトを測定する測定工程、および
    前記測定工程で得られたスペクトルと、予め準備された基準スペクトルとを比較して、前記測定点に表面欠陥部位が発生するかどうかを予測し、前記シリカガラスルツボの内表面の表面欠陥部位の予測発生数に基づいて表面欠陥部位の予測発生指数を算出し、前記シリカガラスルツボの品質を判断する判断工程を備えることを特徴とし、
    前記測定点が複数であるシリカガラスルツボの検査方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載されているシリカガラスルツボの検査方法を少なくとも2つ以上組み合わせて行うことを特徴とするシリカガラスルツボの検査方法。
  5. 前記予測発生指数は、前記予測発生数を全測定点の数で割った数である請求項1乃至4の何れかに記載のシリカガラスルツボの検査方法。
  6. 前記判断工程において、特定の条件下の前記基準スペクトルと、当該基準スペクトルと同じ条件下で得られたスペクトルと、を比較して、前記測定点に表面欠陥部位が発生するかどうかを予測する請求項3に記載のシリカガラスルツボの検査方法。
  7. 前記シリカガラスルツボは、当該シリカガラスルツボの内側に、実質的に気泡を含まない層である透明層を有する請求項1乃至6の何れかに記載のシリカガラスルツボの検査方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載のシリカガラスルツボの検査方法によりシリカガラスルツボの品質を判断する工程を有する
    シリカガラスルツボの製造方法。
  9. 請求項8に記載のシリカガラスルツボの製造方法により製造されたシリカガラスルツボを用いてシリコンインゴットの引き上げを行う工程を有する
    シリコンインゴットの製造方法。
JP2016205663A 2016-10-20 2016-10-20 シリカガラスルツボの検査方法 Active JP6200057B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016205663A JP6200057B2 (ja) 2016-10-20 2016-10-20 シリカガラスルツボの検査方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016205663A JP6200057B2 (ja) 2016-10-20 2016-10-20 シリカガラスルツボの検査方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015524912A Division JP6030764B2 (ja) 2013-06-30 2013-06-30 シリカガラスルツボの検査方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017052693A true JP2017052693A (ja) 2017-03-16
JP6200057B2 JP6200057B2 (ja) 2017-09-20

Family

ID=58320104

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016205663A Active JP6200057B2 (ja) 2016-10-20 2016-10-20 シリカガラスルツボの検査方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6200057B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004292210A (ja) * 2003-03-26 2004-10-21 Kuramoto Seisakusho Co Ltd シリコン単結晶引き上げ用石英ルツボ
US20120132133A1 (en) * 2010-11-30 2012-05-31 Japan Super Quartz Corporation Vitreous silica crucible
JP2012116716A (ja) * 2010-12-02 2012-06-21 Japan Siper Quarts Corp シリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボ及びその製造方法
JP2013112597A (ja) * 2011-11-30 2013-06-10 Japan Siper Quarts Corp シリカガラスルツボ及びその製造方法
WO2013094318A1 (ja) * 2011-12-22 2013-06-27 ジャパンスーパークォーツ株式会社 シリカガラスルツボの評価方法、シリコン単結晶の製造方法
JP2013139353A (ja) * 2011-12-29 2013-07-18 Sumco Corp シリコンガラスルツボにおける異常サイトの検査方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004292210A (ja) * 2003-03-26 2004-10-21 Kuramoto Seisakusho Co Ltd シリコン単結晶引き上げ用石英ルツボ
US20120132133A1 (en) * 2010-11-30 2012-05-31 Japan Super Quartz Corporation Vitreous silica crucible
JP2012116702A (ja) * 2010-11-30 2012-06-21 Japan Siper Quarts Corp シリカガラスルツボ
JP2012116716A (ja) * 2010-12-02 2012-06-21 Japan Siper Quarts Corp シリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボ及びその製造方法
JP2013112597A (ja) * 2011-11-30 2013-06-10 Japan Siper Quarts Corp シリカガラスルツボ及びその製造方法
WO2013094318A1 (ja) * 2011-12-22 2013-06-27 ジャパンスーパークォーツ株式会社 シリカガラスルツボの評価方法、シリコン単結晶の製造方法
US20140326172A1 (en) * 2011-12-22 2014-11-06 Sumco Corporation Method for evaluating silica glass crucible, method for producing silicon single crystals
JP2013139353A (ja) * 2011-12-29 2013-07-18 Sumco Corp シリコンガラスルツボにおける異常サイトの検査方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6200057B2 (ja) 2017-09-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104145051B (zh) 氧化硅玻璃坩埚的评价方法、单晶硅的制造方法
US9708730B1 (en) Quality-evaluated vitreous silica crucible
CN104114976B (zh) 氧化硅玻璃坩埚的三维形状测量方法、单晶硅的制造方法
JP6598142B2 (ja) シリカガラスルツボの歪測定装置、シリコン単結晶の製造方法およびシリコン単結晶の製造方法
JP5453679B2 (ja) シリカガラスルツボの製造装置及びシリカガラスルツボの製造方法
JP5844638B2 (ja) シリコンガラスルツボにおける異常サイトの検査方法
JP6067113B2 (ja) シリカガラスルツボ
JP6200057B2 (ja) シリカガラスルツボの検査方法
JP5614857B2 (ja) シリカガラスルツボの評価方法
JP6665870B2 (ja) ルツボ管理システム、ルツボ管理方法、シリカガラスルツボの製造方法、シリコンインゴットの製造方法、ホモエピタキシャルウェーハの製造方法
JP5749147B2 (ja) シリカガラスルツボの製造方法
JP5682553B2 (ja) シリカガラスルツボを用いたシリコン単結晶引上げの条件設定を支援する装置
US20230257906A1 (en) Crystal piece of monocrystalline silicon
EP3018468B1 (en) Method for evaluating suitability of silica powder for manufacturing of silica-glass crucible for pulling silicon single crystal
JP2013139355A (ja) シリコン融液への酸素供給を制御するシリカガラスルツボ

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170809

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170822

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170824

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6200057

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250