JP2017051995A - 逐次形成方法、逐次成形装置及び逐次形成方法用工具 - Google Patents

逐次形成方法、逐次成形装置及び逐次形成方法用工具 Download PDF

Info

Publication number
JP2017051995A
JP2017051995A JP2015179555A JP2015179555A JP2017051995A JP 2017051995 A JP2017051995 A JP 2017051995A JP 2015179555 A JP2015179555 A JP 2015179555A JP 2015179555 A JP2015179555 A JP 2015179555A JP 2017051995 A JP2017051995 A JP 2017051995A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressing tool
plate material
moving
sequential
contact portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015179555A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6493111B2 (ja
Inventor
紘敬 三輪
Hirotaka Miwa
紘敬 三輪
南部 俊和
Toshikazu Nanbu
俊和 南部
長山 森
Shin Nagayama
森 長山
内山 典子
Noriko Uchiyama
典子 内山
中川 成幸
Nariyuki Nakagawa
成幸 中川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2015179555A priority Critical patent/JP6493111B2/ja
Publication of JP2017051995A publication Critical patent/JP2017051995A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6493111B2 publication Critical patent/JP6493111B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Mounting, Exchange, And Manufacturing Of Dies (AREA)
  • Shaping Metal By Deep-Drawing, Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】加工速度の向上と加工面の表面粗さとを両立できる逐次成形方法、逐次成形装置、及び、逐次成形装置に用いる工具の提供。
【解決手段】板材2の一方の面側に設けられた固定押圧工具5と、他方の面側に設けられた移動押圧工具4とで板材を押圧し、板材と移動押圧工具及び/又は固定押圧工具を相対移動させ、上記板材を3次元形状に成形するものである。そして、上記板材の表面状態に応じて移動押圧工具と板材とが接触する加工領域を局部加熱して板材表面を溶融させて成形する。
【選択図】図3

Description

本発明は、板材に押圧工具を押し当てながら相対移動させ、上記板材を伸ばして所定の立体形状に成形加工する逐次成形方法、及び該逐次成形装置に用いる工具に係り、更に詳細には、加工速度と表面粗さとを両立できる逐次成形方法、及び該逐次成形装置に用いる工具に関する。
自動車の部品などを大量生産するための塑性加工方法として、金型を使用したプレス加工が広く用いられている。
しかしながら、プレス装置と金型とを用いた塑性加工方法では、設備が大型化するとともに、部品ごとに金型を作製しなければならず、多大な費用を要するため、消費者ニーズの多様化に対応した多品種少量生産には不向きである。また、プレス加工では作製できる部品の形状に制約があり、複雑な形状の部品の作製が困難である。
特許文献1の特許第4287912号公報には、特定形状の金型に代えて、汎用の押圧工具を板材に押し当てながら相対移動させ、上記板材を伸ばしながら所定の立体形状を成形加工する逐次成形装置が開示されている。
上記逐次成形装置は、上記押圧工具の移動を数値制御により行うため、同じ装置構成で異なる形状の部品を作製することができ、加えて、プレス加工では困難な複雑な形状の成形が可能である。そして、成形部位に潤滑剤を供給することで、押圧工具の移動速度を上げても、ステンレス板材においては押圧工具との凝着が防止され、アルミニウム板材においては割れの発生を防止できるとされる。
また、特許文献2の特許第3959455号公報には、棒状押圧工具の移動先となる加工部を局部加熱することで成形品の残留応力を解放し、寸法精度を向上させる逐次成形方法が開示されている。
特許第4287912号公報 特許第3959455号公報
しかしながら、自動車の部品などを生産する場合には、加工速度をタクトタイムに合わせるため、押圧工具の移動速度を上げる必要がある。そこで、押圧工具の移動速度を従来よりも速くすると、特許文献1、2に記載の方法では、板材と押圧工具との凝着を防止できず、加工面を粗らすため、加工速度の高速化と表面粗さをと両立させることが困難である。
本発明者らは、板材の表面を溶融させて成形することで上記板材と移動押圧工具との凝着が防止され、上記問題を解決できることを見出し、逐次成形方法による高速成形を行ったところ、新たな問題があることがその後判明した。
つまり、成形品の形状によっては、押圧工具の移動速度を高速で維持したまま加工することが困難な場合があり、摺動摩擦熱が不足して板材表面を溶融できないことが生じた。
また、成形開始時には押圧工具が相対移動することによる摺動摩擦熱が発生せず、板材表面が溶融していないため成形品の表面が粗くなることがある。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、板材の表面を溶融させて成形する逐次成形において、摺動摩擦熱が不足する場合であっても板材の表面を溶融させることができ、加工速度と加工面の表面粗さとを両立できる逐次成形方法、該逐次成形方法に用いる逐次成形装置、及び該逐次成形装置に用いる工具を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、移動押圧工具が接触する板材表面の状態に応じて、移動押圧工具と上記板材との接触部を局部加熱し、板材表面の溶融温度以上に加熱制御して加工することにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の逐次成形方法は、支持枠で周囲を支持された板材の一方の面側に設けられた固定押圧工具と、他方の面側に設けられた移動押圧工具とで上記板材を押圧し、上記板材と移動押圧工具及び/又は上記固定押圧工具を相対移動させ、上記板材を3次元形状に成形する逐次成形方法である。
そして、上記移動押圧工具が接触する板材表面の状態に応じて、上記接触部を局部加熱し、上記接触部の温度を、上記板材表面の溶融温度以上に加熱制御して成形することを特徴とする。
また、本発明の逐次成形装置は、上記逐次成形方法に用いられるものであり、板材の周囲を支持する支持枠と、板材の一方の面側に設けられた固定押圧工具と、他方の面側に設けられた移動押圧工具と、加熱装置とを備える。
上記加熱装置が、上記移動押圧工具が接触する板材表面の状態に応じて、上記移動押圧工具と上記板材との接触部を局部加熱し、接触部の温度を、上記板材表面の溶融温度以上に加熱制御して成形することを特徴とする。
また、本発明の逐次成形装置用押圧工具は、上記逐次成形装置に用いられるものであり、上記板材との接触部位が、硬質炭素を含むものであることを特徴とする。
本発明によれば、押圧工具と板材が接触する板材表面の状態に応じて、上記接触部を局所加熱することとしたため、板材表面の温度を安定して溶融温度以上に加熱することができ、表面粗さが小さい成形品を高速で形成できる逐次成形方法、該逐次成形方法に用いる逐次成形装置、及び該逐次成形装置に用いる工具を提供することができる。
逐次形成方法の加工開始前の状態を説明する図である。 逐次形成方法の加工中の状態を説明する図である。 逐次形成方法の加工中の状態を説明する図である。 移動押圧工具に三分力計を取り付けた一例を示す概略図である。 移動押圧工具に熱電対を取り付けた一例を示す概略図である 赤外線カメラで加工領域の温度を検知する状態の一例を示す概略図である。 移動押圧部材−固定押圧部材間を通電させ、局部加熱する状態を示す概略図である。 移動押圧部材−支持枠の電極間を通電させ、局部加熱する状態を示す概略図である。 (a)は移動押圧部材を自転させて局部加熱する状態を示す概略図であり、(b)は移動押圧部材を超音波振動させて局部加熱する状態を示す概略図である。 (a)は、移動押圧部材にレーザ加熱装置・ヒートガンを一体的に設けた状態を示す概略図であり、(b)は、移動押圧部材の移動方向を局部加熱する状態を示す概略図である。
本発明の逐次形成方法及び逐次形成装置について詳細に説明する。
本発明の逐次形成方法は、支持枠で支持された板材の一方の面側に設けられた固定押圧工具と、他方の面側に設けられた移動押圧工具とで上記板材を押圧し、上記板材と移動押圧工具及び/又は上記固定押圧工具を相対移動させて、上記板材を3次元形状に成形するものである。そして、上記板材と移動押圧工具とが接触する加工領域を局部加熱することで板材の表面を溶融させて成形を行うものである。
本発明の逐次形成方法は、板材の加工領域表面の温度を上昇させ、表面を溶融させることで、加工面の表面粗さを低減させると共に、移動押圧工具の移動速度、すなわち摺動速度を、従来の高速成形よりも速くすることが可能である。
そして、上記移動押圧工具が接触する板材表面の状態に応じて、上記接触部を局部加熱することで、加工領域の摺動摩擦熱が不足する場合であっても安定して板材の加工領域表面を溶融させることが可能であると共に、加工領域のみを加熱するため省エネルギー化が可能なものである。
本発明の逐次成形装置は、板材の周囲を支持する支持枠、移動押圧工具、固定押圧工具、加熱装置、板材表面状態の検知装置、数値制御型の駆動装置、及び制御装置を備える。
上記支持枠3及び移動押圧工具4は、駆動装置によって水平方向(X軸−Y軸方向)及び垂直方向(Z軸方向)に動かされて相対移動する。上記固定押圧工具5は、上下に動かされてもよい。
そして、上記支持枠3によって周囲を支持された板材2の一方の面に固定押圧工具5を当接させ、他方の面に移動押圧工具4を当接させ、移動押圧工具4と固定押圧工具5とを協働させて逐次成形を行う。
具体的には、図1に示すように、固定押圧工具5の縁部に対応する板材2の部位に移動押圧工具4を当接させる。そして、図2に示すように、移動押圧工具4を所定量下降させて板材2を押圧し、板材2を塑性変形させる。そして、図3に示すように、移動押圧工具4の高さを変えずに、数値データに基づいて移動押圧工具4が成形品の等高線上を移動するように支持枠3及び/又は移動押圧工具4を動かす。
移動押圧工具4が一つの等高線上の移動経路をたどり終わると、さらに移動押圧工具4を所定量下降させ、次の等高線上の移動経路を移動させる工程を繰り返すことで、板材2を3次元形状に成形する。
本発明は上記移動押圧工具4と上記板材2とが接触する加工領域の温度を、上記板材表面の溶融温度以上に加熱制御して加工を行う。上記移動押圧工具4が接触する板材2の表面が溶融していることで、移動押圧工具4を高速で移動させることができる。また、仮に移動押圧工具4が板材2表面を引っ掻き、凹凸が形成されたとしても、表面が溶融しているため凹凸がならされて表面が粗れることが防止される。
そして、上記移動押圧工具4が接触する板材表面の状態に応じて、上記加工領域を局部加熱することで、加工領域の板材表面の温度を安定して溶融温度以上に加熱することができる。
板材表面は、移動押圧工具4と板材2との摺動摩擦熱によって溶融される。具体的には、上記移動押圧工具4の板材2に対する相対的な移動速度を高速、例えば0.75m/sec〜5m/sec以上にすることで摺動摩擦熱により板材2の表面を溶融させることができる。
本発明は、加工領域の板材表面状態を検知し、移動押圧工具4が接触する板材表面の状態に応じて上記加工領域を局部加熱することで、上記速度を維持することが困難な場合であっても、加工領域の板材表面を確実に溶融させることができる。
上記加工領域の板材表面状態を検知する検知装置としては、移動押圧工具に設けられた三分力計6、また、移動押圧工具に設けられた熱電対7や、赤外線カメラ8を挙げることができる。
上記三分力計6は、ひずみゲージ等を使用した水平方向(X−Y方向)及び垂直方向(Z方向の力を計測するものである。三分力計6によって移動押圧工具4と板材2との摺動摩擦熱(μPV)を検知することで、予め測定された板材表面を溶融させる熱量に対する不足分がわかる。図4に三分力計を用いた逐次成形装置1の一例を示す。
ここで、上記摺動摩擦熱(μPV)は、摩擦係数(μ)、接触部の圧力(P)、及びすべり速度(V)から算出される。
そして、上記摩擦係数(μ)は、三分力計で加工抵抗(主分力、背分力、送り分力)を測定することで、摩擦力(F:主分力)及び垂直荷重(W:背分力×SINθ+送り分力COSθ、但し、θは板材と工具の角度)を算出し、摩擦力(F)/垂直荷重(W)から求めることができる。
また、上記熱電対7は移動押圧工具4の内部に設けられ、移動押圧工具を介して板材との接触部、すなわち加工領域の温度を測定するものであり、上記赤外線カメラ8は、移動押圧工具4と板材2とが接触する加工領域を撮影して温度を測定するものである。
上記熱電対7や赤外線カメラ8で、移動押圧工具4と板材2とが接触する加工領域の温度を測定することで、板材表面の溶融温度に対する不足分を検知することができる。図5は熱電対7を設けた移動押圧工具4の概略図であり、図6は赤外線カメラ8で加工領域の温度を検知する状態を示す図である。
得られた板材表面の状態、すなわち、板材表面の溶融温度に対する不足分は、制御装置に送られる。そして、制御装置は加熱装置によって移動押圧工具4と板材2とが接触する加工領域を板材表面の溶融温度以上に局部加熱する。板材表面の状態は制御装置に逐次送られ、制御装置は板材表面の状態に応じて加熱量を調節する。
上記加熱装置は、電磁気的エネルギー、力学的エネルギー、又はエネルギー線を利用するものを使用できる。
上記電磁気的エネルギーを利用するものとしては、図7に示すように、導電性を有する移動押圧工具4と導電性を有する固定押圧工具5との間を通電させるものや、図8に示すように導電性を有する移動押圧工具4と支持枠3に設けられた電極10間を通電させるものを挙げることができる。
上記導電性を有する移動押圧工具4と支持枠3に設けられた電極10間を通電させるものは、図8の(b)に示すように、板材2の周囲を支持する上記支持枠に独立した電極10を複数設け、通電させる電極を切り替えて通電するものであることが好ましい。図8の(b)の点線矢印で示すように、通電させる電極を切り替え、移動押圧工具4を移動させる方向の電極と移動押圧工具4との間で通電させ、上記移動押圧工具4の移動方向に電流を流すことで、移動押圧工具4の移動先を局部加熱することができる。
上記力学的エネルギーを利用するものとしては、図9に示すように、上記移動押圧工具4を自転及び/又は超音波振動により上記板材2を摺擦して摺動摩擦熱で加熱するものを挙げることができる。図9(a)は移動押圧工具4を自転させた状態を示す図であり、図9(b)は移動押圧工具4を超音波振動させた状態を示す図である。
上記移動押圧工具4の自転及び/又は超音波振動は、図9中、点線矢印で示す成形のための相対移動に加えて行われ、移動押圧工具4による成形停止時及び成形のための相対移動時に併せて行われる。
上記エネルギー線を利用するものとしては、接触部に光エネルギー線等を照射できればよく、例えばレーザ加熱装置11を挙げることができる。上記レーザ加熱装置11は、移動押圧工具4に設けられたホルダ12に支持され、移動押圧工具4と一体的に設けられて上記移動押圧工具4の移動先を加熱するものであることが好ましい。
なお、上記レーザ加熱装置11に代えて、電熱線で発生させた高熱の空気を吹き出すヒートガンを用いてもよい。
上記ホルダ12は、図10(b)に示すように、移動押圧工具4の中心軸に対して回転可能に形成される。点線矢印で示す移動押圧工具4の移動先にレーザ加熱装置11を向けて板材の表面を溶融させる。
上記板材表面の検出装置と加熱装置とは、任意に組み合わせて使用することができる。
次に移動押圧工具について説明する。
一般的に、摩擦熱により摩擦面の温度が高温になると、激しい凝着現象、すなわち焼き付き現象が生じる。例えば、鉄と鉄等、同種の材料を摩擦させると凝着し、成形品の表面を粗し易い。
本発明逐次形成方法においては、上記移動押圧工具として、板材の表面を構成する材料と異種材料で形成されたものを選択使用することが好ましく、さらに、上記板材と加工温度で合金化しない材料で形成されたものを選択使用することが好ましい。
上記移動押圧工具を構成する材料としては、成形する板材表面を構成する材料や、該表面材料の融点等にもよるが、例えば、炭化タングステン(WC)、高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)、粉末ハイス鋼を挙げることができ、これらは、板材との接触部位が、硬質材で形成された硬質層が表面に形成されたものであってもよく、また、上記硬質材が先端に接着接合されたものであってもよい。
上記硬質材としては、硬質炭素を含むものを使用することができ、例えば、ダイヤモンド及び/又はダイヤモンドライクカーボンを含むものを挙げることができる。上記ダイヤモンド及びダイヤモンドライクカーボンは、多結晶であることが好ましく、ダイヤモンド、ダイヤモンド焼結体(PCD)、及びダイヤモンドライクカーボンの多結晶体を挙げることができる。
上記多結晶ダイヤモンド等を含む硬質層又は硬質材を接着接合することで、板材との凝着が防止され、成形品の表面粗さを小さくすることができる。
上記多結晶ダイヤモンド等は、単結晶ダイヤモンドのように結晶面及び結晶方向により特性が異なることがなく、等方性であるため、全方位で均一な特性を示し、どのような方向からの力に対しても強く劈開し難い。さらに単結晶ダイヤモンドよりも高硬度で摩擦係数も低いため長期に亘り高速成形が可能である。
上記多結晶ダイヤモンドの平均粒径は、10μm以下であることが好ましい。10μm以下であることで、硬化層の表面粗さを低減することができ、摩擦係数を小さくできる。
平均粒径の測定は、硬化層又は硬質材の表面を撮影した写真像から、ダイヤモンド粒子の最大径(長軸径)を当該粒子の粒径とし、ランダムに選択した100個のダイヤモンド粒子について粒径を計測する。そして、これらの算術平均からダイヤモンド粒子の個数平均粒径を測定できる。
上記硬質層の厚さとしては、5μm〜1mmであることが好ましい。硬質層の厚さが上記範囲であることで、基材との密着性が向上し移動押圧工具の寿命を長くすることができる。
上記硬質材は導電材を含有することができる。導電材を含有することで移動押圧工具が導電性を有し、移動押圧工具から板材に通電することで局部加熱が可能となる。
上記導電材としては、コバルト(Co)、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、モリブテン(Mo)を挙げることができ、これらは一種又は二種以上を用いることができる。
上記硬質層は、焼結法、化学気相成長法(CVD)、物理気相成長法(PVD)等によって形成することができる。
また、移動押圧工具に上記硬質材を設ける場合は、基材の熱膨張係数が5×10−6以下であることが好ましい。ダイヤモンドの熱膨張係数との差が小さくなり、膨張収縮による硬質層等の剥がれ防止される。
上記移動押圧工具は、板材と接触する成形部分が、上記板材と加工温度で合金化しない材料で形成され、また板材と接触する成形部分に上記硬質層が形成されていればよく、必ずしも、移動押圧工具の全体が板材と合金化しない材料で形成される必要はなく、また、移動押圧工具全体に上記硬質層が形成される必要はない。
上記移動押圧工具としては棒状の工具を使用することができ、先端部の形状としては、特に制限はなく円筒、半球、円錐、多角柱、多角錐の他、回転するボールが設けられていてもよいが、半球であることが好ましい。
上記移動押圧工具が板材と接触する成形部位の表面粗さ(Ra)は、0.2μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがさらに好ましい。表面粗さ(Ra)が、0.2μm以下であることで、摩擦係数が低下し、潤滑剤を供給することなく高速成形が可能となる。また成形面の表面粗さが小さくなり、板材の耐食性が向上する。
なお、表面粗さ(Ra)は、JIS B 0601の規定に準拠し、触針式表面粗さ計を用いて測定できる。
上記固定押圧工具は、上記移動押圧工具の反対側から板材を押圧するものであり、成形品の輪郭に合致する形状を有する型を用いることができるが、成形品が簡易な形状である場合は、上記移動押圧工具と同様、棒状の工具を使用することができる。
上記支持枠は、板材の周囲を挟持するものであり、上記数値制御型の駆動装置によって水平方向及び垂直方向に動かされて、上記移動押圧工具と協働して板材と成形を行う。
上記支持枠は板材が完全にズレないように挟持するのではなく、板材を挟持する力が調節される。板材の変形により生じる応力が、板材を挟持する力よりも大きくなると板材は支持枠の間を滑って送り込まれ、仕上がり寸法が薄くなりすぎること等が防止される。
板材を挟持する力はバネ等の一定の弾性力を有するものによって調節してもよく、挟持力を出力するアクチュエータ等によって調節してもよい。
上記制御装置は固定押圧工具の高さ、移動押圧工具及び支持枠の位置、並びに押圧力を検出し、成形品の数値データに基づいて上記移動押圧工具が成形品の等高線上を移動するように駆動装置を数値制御して成形を行う。
制御装置としては、例えばマイクロコンピュータを応用した数値制御方式の電子制御装置を用いることができる。電子制御装置では、部品形状を表現する各部寸法、移動押圧工具及び固定押圧工具の相対な移動の順序、押圧力の大きさや発生タイミング等を数値データとして保持し、プログラムによって自動的に駆動装置制御することができる。
本発明の逐次形成方法で形成できる板材としては、塑性変形するものであれば特に制限はなく、例えば、鋼材、ステンレス材、アルミニウム材等の金属製の板材を形成できる。
本発明の逐次形成方法は、板材の表面を溶融させて成形するものであり、融点が高い金属材料の板材を成形する場合は、融点が低い金属材料、例えば、亜鉛(融点:420℃)等でメッキされた板材とすることで、板材表面を容易に溶融することができる。
また、亜鉛メッキ鋼板は、メッキ層が厚くなるとプレス成形時にメッキ層に割れが生じやすく剥離が生じ易いが、本発明の逐次形成方法はメッキ層を溶融させて少しずつ逐次成形するため、メッキ層の剥離が防止される。
亜鉛メッキ鋼板としては、純亜鉛メッキ鋼板、合金化亜鉛メッキ鋼板のいずれであってもよい。
本発明の逐次形成方法において、上記メッキ層のすべてを溶融させる必要ななく、表面から0.5μm〜5μm程度まで溶融させればよい。0.5μm未満では表面粗さが大きくなることがあり、メッキ層の厚さにもよるが5μmを超えると基材が露出し、耐食性が低下することがある。
本発明の逐次形成方法は、摺動摩擦熱(μPV)が3×10W/m以上であることが好ましく、5×10W/m以上であることがより好ましい。摺動摩擦熱(μPV)が3×10W/m以上であることで純亜鉛メッキ層又は合金化亜鉛メッキ層を溶融させることができ表面粗さを小さくすることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[比較例1]
超硬基材の表面を、多結晶ダイヤモンドでコーティングした厚さ7μmの硬質層を有する移動押圧部材(先端の曲率半径R:3mm)を、ダイレスNCフォーミング装置(株式会社アミノ製)に取り付け、移動押圧部材の平均摺動速度を0.75m/secとし、摺動摩擦熱(μPV)がおよそ5×10W/mとなる条件で、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板(GA材、板厚:0.8mm、メッキ厚さ:7μm)を逐次成形した。
成形品の表面粗さを任意に5か所測定した。測定結果を表1に示す。
[実施例1]
導電材(Co)を含む多結晶ダイヤモンドコーティング層を表面に有する移動押圧部材に替え、該移動押圧部材に三分力計を取り付けて摺動摩擦熱(μPV)を検知しながら、摺動摩擦熱に応じて、合金化溶融亜鉛メッキ層が溶融する温度まで、移動押圧部材と固定押圧部材間を通電させて局部加熱して成形する他は比較例1と同様にして逐次成形した。
比較例1と同じ箇所の表面粗さを測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2017051995
上記結果から、移動押圧工具が接触する板材表面の状態に応じて、接触部を局部加熱することで成形品の表面粗さを低減できることがわかる。
1 逐次成形装置
2 板材
3 支持枠
4 移動押圧部材
5 固定押圧部材
6 三分力計
7 熱電対
8 赤外線カメラ
9 通電用電源
10 電極
11 レーザ加熱装置
12 ホルダ

Claims (14)

  1. 支持枠で周囲を支持された板材の一方の面側に設けられた固定押圧工具と、他方の面側に設けられた移動押圧工具とで上記板材を押圧し、上記板材と移動押圧工具及び/又は上記固定押圧工具を相対移動させ、上記板材を3次元形状に成形する逐次成形方法であって、
    上記移動押圧工具と上記板材との接触部の温度を、上記板材表面の溶融温度以上に加熱制御して加工するものであり、
    上記加熱制御が、上記移動押圧工具が接触する板材表面の状態に応じて、上記接触部を局部加熱するものであることを特徴とする逐次成形方法。
  2. 上記加熱制御が、移動押圧工具と板材との摺動摩擦熱に応じて加熱量を調節するものであることを特徴とする請求項1に記載の逐次成形方法。
  3. 上記加熱制御が、上記接触部の温度に応じて加熱量を調節するものであることを特徴とする請求項1に記載の逐次成形方法。
  4. 上記板材が、亜鉛メッキ鋼板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の逐次成形方法。
  5. 上記請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の逐次成形方法に用いられる逐次成形装置であって、
    板材の周囲を支持する支持枠と、板材の一方の面側に設けられた固定押圧工具と、他方の面側に設けられた移動押圧工具と、板材表面の検出装置と、加熱装置とを備え、
    上記移動押圧工具と上記板材との接触部の温度を、上記板材表面の溶融温度以上に加熱して加工するものであり、
    上記加熱装置が、上記移動押圧工具が接触する板材表面の状態に応じて、上記接触部を局部加熱するものであることを特徴とする逐次成形装置。
  6. 上記加熱装置が、導電性を有する移動押圧工具と導電性を有する固定押圧工具であり、上記移動押圧工具と上記固定押圧工具との間を通電させて局部加熱するものであることを特徴とする請求項5に記載の逐次成形装置。
  7. 上記加熱装置が、導電性を有する移動押圧工具と独立した電極を複数備える支持枠であり、上記移動押圧工具と上記支持枠の電極との間を通電させて局部加熱するものであることを特徴とする請求項5に記載の逐次成形装置。
  8. 上記加熱装置が、上記支持枠の通電させる電極を切り替えて、上記板材を流れる電流の向きを変え、上記移動押圧工具の移動方向に通電させるものであることを特徴とする請求項7に記載の逐次成形装置。
  9. 上記加熱装置が、上記移動押圧工具を自転及び/又は超音波振動させて局部加熱するものであることを特徴とする請求項5に記載の逐次成形装置。
  10. 上記加熱装置が、上記接触部にエネルギー線を照射し、局部加熱するものであることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1つの項に記載の逐次成形装置。
  11. 上記請求項5〜10のいずれか1つの項に記載の逐次成形装置用押圧工具であって、
    上記板材との接触部位が、硬質炭素を含むものであることを特徴とする逐次成形装置用移動押圧工具。
  12. 上記硬質炭素が、多結晶ダイヤモンド又は多結晶ダイヤモンドライクカーボンであることを特徴とする請求項11に記載の逐次成形装置用押圧工具。
  13. 上記板材との接触部位が、導電材をさらに含むことを特徴とする請求項11又は12に記載の逐次成形装置用移動押圧工具。
  14. 上記板材との接触部位の表面粗さ(Ra)が、0.2μm以下であることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1つの項に記載の逐次成形装置用押圧工具。
JP2015179555A 2015-09-11 2015-09-11 逐次成形方法、逐次成形装置及び逐次成形方法用工具 Active JP6493111B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015179555A JP6493111B2 (ja) 2015-09-11 2015-09-11 逐次成形方法、逐次成形装置及び逐次成形方法用工具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015179555A JP6493111B2 (ja) 2015-09-11 2015-09-11 逐次成形方法、逐次成形装置及び逐次成形方法用工具

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017051995A true JP2017051995A (ja) 2017-03-16
JP6493111B2 JP6493111B2 (ja) 2019-04-03

Family

ID=58320181

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015179555A Active JP6493111B2 (ja) 2015-09-11 2015-09-11 逐次成形方法、逐次成形装置及び逐次成形方法用工具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6493111B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2563068A (en) * 2017-06-02 2018-12-05 Gkn Aerospace Services Ltd Friction forming
JP2018192487A (ja) * 2017-05-15 2018-12-06 日産自動車株式会社 摺動機構
KR20210057567A (ko) * 2019-11-12 2021-05-21 선문대학교 산학협력단 초음파 진동 인가 점진성형법을 이용한 판재의 제조방법
WO2021229254A1 (ja) 2020-05-14 2021-11-18 日産自動車株式会社 逐次成形用工具
KR102490932B1 (ko) * 2021-09-14 2023-01-27 한국생산기술연구원 점진 성형 장치

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003027203A (ja) * 2001-07-11 2003-01-29 Nippon Steel Corp 加熱成形用鋼板の加熱方法
JP2008080359A (ja) * 2006-09-27 2008-04-10 Aisin Seiki Co Ltd 逐次成形装置
JP2009279607A (ja) * 2008-05-21 2009-12-03 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 金属母材の成形方法
JP2010214468A (ja) * 2009-02-23 2010-09-30 Kumamoto Univ 板材の成形方法及び装置
KR20110124557A (ko) * 2010-05-11 2011-11-17 한국과학기술원 외부 열원을 구비한 점진적 성형 공정을 이용한 난성형 금속 합금 판재의 성형 방법

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003027203A (ja) * 2001-07-11 2003-01-29 Nippon Steel Corp 加熱成形用鋼板の加熱方法
JP2008080359A (ja) * 2006-09-27 2008-04-10 Aisin Seiki Co Ltd 逐次成形装置
JP2009279607A (ja) * 2008-05-21 2009-12-03 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 金属母材の成形方法
JP2010214468A (ja) * 2009-02-23 2010-09-30 Kumamoto Univ 板材の成形方法及び装置
KR20110124557A (ko) * 2010-05-11 2011-11-17 한국과학기술원 외부 열원을 구비한 점진적 성형 공정을 이용한 난성형 금속 합금 판재의 성형 방법

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7033399B2 (ja) 2017-05-15 2022-03-10 日産自動車株式会社 摺動機構
JP2018192487A (ja) * 2017-05-15 2018-12-06 日産自動車株式会社 摺動機構
US11524325B2 (en) * 2017-06-02 2022-12-13 Gkn Aerospace Services Limited Friction forming
CN110891707A (zh) * 2017-06-02 2020-03-17 Gkn航空服务有限公司 摩擦成型
WO2018220400A1 (en) * 2017-06-02 2018-12-06 Gkn Aerospace Services Limited Friction forming
GB2563068B (en) * 2017-06-02 2022-10-12 Gkn Aerospace Services Ltd Friction forming
GB2563068A (en) * 2017-06-02 2018-12-05 Gkn Aerospace Services Ltd Friction forming
KR20210057567A (ko) * 2019-11-12 2021-05-21 선문대학교 산학협력단 초음파 진동 인가 점진성형법을 이용한 판재의 제조방법
KR102289337B1 (ko) * 2019-11-12 2021-08-12 선문대학교 산학협력단 초음파 진동 인가 점진성형법을 이용한 판재의 제조방법
WO2021229254A1 (ja) 2020-05-14 2021-11-18 日産自動車株式会社 逐次成形用工具
CN115551654A (zh) * 2020-05-14 2022-12-30 日产自动车株式会社 逐次成形用工具
US20230191471A1 (en) * 2020-05-14 2023-06-22 Nissan Motor Co., Ltd. Sequential molding tool
US11819900B2 (en) 2020-05-14 2023-11-21 Nissan Motor Co., Ltd. Sequential molding tool
KR102490932B1 (ko) * 2021-09-14 2023-01-27 한국생산기술연구원 점진 성형 장치

Also Published As

Publication number Publication date
JP6493111B2 (ja) 2019-04-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6493111B2 (ja) 逐次成形方法、逐次成形装置及び逐次成形方法用工具
EP1899089B1 (en) Asymmetric incremental sheet forming system
US10092975B2 (en) Solid state additive manufacturing system
JP6493112B2 (ja) 逐次成形方法及び該逐次成形方法用工具
US20140191443A1 (en) Preparation method of tungsten carbide sintered body for friction stir welding tool
JP5988411B2 (ja) 試料保持具
SE1051066A1 (sv) Utförande av en ytrelief på punktsvetsningselektroder
US20070040291A1 (en) Optical element forming mold and manufacturing method thereof
US20100015465A1 (en) Method of and a device for forming a projection on a metal member and a metal part processed by the method of forming a projection
CN107900339B (zh) 一种超声振动3d打印装置及打印方法
Aizawa et al. Large area micro-texture imprinting onto metallic sheet via CNC stamping
KR20100080770A (ko) 금속박 가공용 롤러
JP6546953B2 (ja) スパッタリングターゲット−バッキングプレート接合体及びその製造方法
CN111411330B (zh) 锂靶材组件的制造方法
CN112091343A (zh) 一种钼靶材与背板的钎焊方法
CN108441861B (zh) 一种集束电极电火花沉积加工多层膜的方法及装置
CN109689268B (zh) 用于金属焊接的流体冷却的接触末端组件
JP2000232937A (ja) 電磁調理器の鍋および該鍋の製造方法
JP2003221244A5 (ja)
JP2012066285A (ja) アルミニウム板加工金型
KR102013926B1 (ko) 통전성형방법
EP4021670A2 (en) An additive manufacturing machine
TWI227182B (en) Thermal-chemical diamond film polishing device and method thereof
JP6515387B2 (ja) 超硬工具及びその製造方法
JP5256680B2 (ja) 電鋳法における形状転写導電層の形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181107

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181119

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181227

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190205

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190218

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6493111

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151