JP5256680B2 - 電鋳法における形状転写導電層の形成方法 - Google Patents

電鋳法における形状転写導電層の形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、電鋳法における形状転写導電層の形成方法に係わり、更に詳しくはマスター型から剥離が可能で、しかも電析プロセス中には隔離しないように付着力を制御して緻密な導電層を形成する方法に関する。
一般的に、電鋳法により金型等の高精度部品を製造するには、先ずマスター型の表面に導電層を形成し、その上にニッケル層を電析により厚く成長させた後、マスター型と導電層の界面で剥離し、表面にマスター型を転写して形成した高精度部品を得るのである。ここで、導電層を含む電鋳層は機械的強度が低いので、そのままの状態で使用することは少なく、通常はマスター型から離型する前に、転写面の裏側に裏打ち部材を固定して、転写面の形状精度を維持することが一般的に行われている。
また、電鋳法をベースとした金属鏡面の作製も盛んに行われている。一般的には、金属鏡面となる導電層は、マスター型が導電体の場合には電気めっきにより、絶縁体の場合には無電解めっきにより、ウエットプロセスで作製されている。ウエットプロセスで作製した導電層はマスター型に対する密着性が良いので、通常はマスター型の表面へ剥離材を塗布し、その後金属を析出させ、分離させることで転写面を得ている(特許文献1,2参照)。そのとき、転写表面の平坦性を決定するのは、剥離材の種類と塗布量である。剥離材の膜厚は数nm程度であると考えられ、この剥離材の存在が転写面の表面粗さを悪くする原因となり、表面粗さの限界を決める。
電子ビーム蒸着やスパッタリング法などの真空中においてコーティングされる金属膜は、ウエットプロセスで作製したものと比較して、緻密で良好な膜とされており、高精度なミラー表面のコーティングのために用いられる。そのため、マスター型の表面に物理的蒸着によって導電層を作製することが考慮される。しかしながら、一般的に、無機物質表面、有機物質表面を問わず、異質の物質に蒸着を行うとき、そのままでは密着性を保つことができないため、Crをバインダー膜として用いて金属コーティングがなされている。ところが、Crをバインダー膜として金属膜を作製する方法は、このバインダー膜が転写面となるので、マスター表面と同等の粗さを持つ表面とは成り得ず、更にCrの密着性が良過ぎて、分離させることができないといった問題がある。
尚、導電層とその上に形成される電鋳層が同種の金属の場合には、特許文献3,4に記載されているように、導電層をスパッタリング法により形成すること行われている。特許文献3は、マスター型の表面に第1ニッケルスパッター膜を形成した後、その上に第1ニッケルスパッター膜の成膜エネルギーより低い成膜エネルギーを有する第2ニッケルスパッター膜を形成し、更にその上にニッケル電鋳膜を形成し、第1ニッケルスパッター膜と第2ニッケルスパッター膜の界面で剥離させるというものである。また、特許文献4は、マスター型の製造方法ではあるが、パターン形成したレジスト膜の上にスパッタリングによりNi導電膜を形成し、その上にNi電鋳層を形成し、最後にエッチングによりレジスト膜を除去するというものである。しかし、これらの方法は、マスター型の表面を直接転写するものではなく、nmオーダーの表面粗さの転写面を得ることはできない。従って、電鋳法によりnmオーダーの表面粗さが必要な光学素子を多数複製する技術として使用することはできない。
特許第3038288号公報 特開2005−120392号公報 特許第3342230号公報 特開2006−277817号公報
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、マスター型の表面に導電層、電鋳層、適宜裏打ち材を順次積層し、マスター型の表面と導電層の界面で剥離して、マスター型の形状を転写する電鋳法において、マスター型から強制剥離が可能で、しかも電析プロセス中には隔離しないように付着力を制御して導電層を形成する電鋳法における形状転写導電層の形成方法を提供することにある。
本発明は、前述の課題解決のために、マスター型の表面に導電層、電鋳層、適宜裏打ち材を順次積層し、マスター型の表面と導電層の界面で剥離して、マスター型の形状を転写する電鋳法において、マスター型の表面にアークプラズマ法によってアンカー金属を離散的に付着させ、その後、アンカー金属とは異なる金属を物理的蒸着法によって蒸着して導電層を形成してなる電鋳法における形状転写導電層の形成方法を確立した(請求項1)。
ここで、前記物理的蒸着法が、電子ビーム蒸着法又はスパッタリング法であると、緻密な導電層を形成できるので好ましい(請求項2)。
また、前記アンカー金属がCrであること(請求項3)、前記導電層がPt又はNi又はCuであり、前記電鋳層がNi又はCu又はNi−W合金であること(請求項4)がより好ましい。
そして、前記アンカー金属がCrである場合に、Cr密度(×1010(atoms/cm2))が6000〜15000であることが好ましく(請求項5)、更にCr密度(×1010(atoms/cm2))が7500〜12000であるとより好ましい(請求項6)。
ここで、前記マスター型がSi単結晶又はガラスであることが好ましい(請求項7)。
以上にしてなる本発明の電鋳法における形状転写導電層の形成方法は、物理的蒸着法によって蒸着して導電層を形成するので緻密で良好な転写面が得られ、また導電層を形成する前に、マスター型の表面にアークプラズマ法によってアンカー金属を離散的に付着させるので、マスター型の表面に対する導電層の付着力を調整することができ、それにより電鋳層をウエットプロセスにより形成する際に導電層の剥離を防止することができるとともに、電鋳層を形成後、マスター型の表面と導電層の界面で強制的剥離することができる。また、マスター型の表面にアークプラズマ法によってアンカー金属を離散的に付着させるので、アンカー金属が転写面となる導電層内に取り込まれ、転写面の表面粗さに対する影響は少ないのである。更に、アンカー金属はマスター型の表面に対する付着力に優れたものを選択し、導電層の金属は転写面として要求される特性を備えたものを選択することができる。
前記物理的蒸着法が、電子ビーム蒸着法又はスパッタリング法であると、より緻密な導電層を形成できる。Crは電気陰性度が高いので、種々の材質のマスター型に対して良好な付着力が得られ、特にSi単結晶やガラスのような材質のマスター型に対しても良好である。
アンカー金属としてCrを、アークプラズマ法によってマスター型の表面に離散的に付着させるが、Crの量を精密に調整することで、マスター型の表面と導電層の界面における付着力、つまり分離時の力を精密に制御することができる。特に、電鋳層の電析時には剥離せず、強制的に剥離可能な付着力を得るには、Cr密度(×1010(atoms/cm2))が6000〜15000であることが必要であり、更にCr密度(×1010(atoms/cm2))が7500〜12000であるとより好ましいのである。
因みに、Cr密度が7500×1010(atoms/cm2)は、120Å四方に約1個のCrが存在することに相当する。従って、Crの量は、原子一層分にも満たないので、原理的にマスター型表面の平滑性をそのまま転写することが可能である。
本発明により、数cmから数10cmの大きさで、全空間波長領域にわたってPV値が2nm以下、表面粗さがRMS:0.5nm以下の高精度な平滑表面を備えた超精密部品を形状転写により複製することができる。例えば、本発明によれば、高精度なX線用のミラー又はフレネルレンズを製造することができ、超精密光学部品の他にも同様に超精密成形金型を作製することができる。そして、様々な種類の金属の超平滑表面を、電鋳法による転写により極めて容易に得ることが可能である。
次に本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明の電鋳法における形状転写導電層の形成方法を実施するための蒸着装置を構成するアークプラズマガンと電子ビーム蒸着源の概略配置図であり、図2は主要な工程図である。
蒸着装置1は、真空チャンバー2の内部に、マスター型Mを保持するとともに、該マスター型Mに向けてアークプラズマガン3と電子ビーム蒸着源4を配置した構造であり、真空を破らずに、マスター型Mの表面にアークプラズマガン3によってアンカー金属を離散的に付着させ、その後、アンカー金属とは異なる金属を電子ビーム蒸着によって導電層を成膜できるようになっている。
ここで、前記アークプラズマガン3は、アノードとカソードを同軸型に配置した構造で、プロセスガスが不要なため純度の高い薄膜を作製でき、またパルス駆動であるため成膜レートを放電パルス数で制御でき、オングストロームオーダーの極薄膜の作製に適した蒸着源である。そして、アークプラズマガン3は、電子ビーム蒸着法やスパッタリング法による成膜よりも密着性の高い薄膜を作製することができる特長がある。本発明では、アークプラズマガン3の放電パルス数を制御して、Si単結晶で作製したマスター型Mの表面にアンカー金属(Cr)を離散的に付着させるのである。ここで、アークプラズマガン3による成膜領域は限られているので、広い面積を処理するためには、該アークプラズマガン3かマスター型Mの一方を走査する必要があり、本実施形態ではマスター型MをXY平面で平行移動させることができるようにしている。尚、本実施形態で使用したアークプラズマガン3は、アルバック社製のであり、放電パルスのアーク電圧は100Vとしている。
また、前記電子ビーム蒸着装置は、真空チャンバー2の内部に図示しない電子ビーム発生源と電子ビームのガイド・収束用の電極と磁石、及び電子ビーム蒸着源4を配置して構成され、真空中で10keV程度に加速した電子ビームを水冷の銅製ルツボ5中の蒸着原料6に照射し、原料を加熱蒸気化させて蒸着を行うものであり、Pt、Rh、Mo、Wなどの高融点金属の緻密な高純度薄膜を作製することができるものである。本実施形態では、アルバック社製の蒸着用電子ビームガン(EGK−3M)を用いている。尚、本発明では、電子ビーム蒸着装置以外の物理的蒸着法(PVD)として、スパッタリング法を用いることも可能である。
図2に示すように、先ず真空チャンバー2の内部に保持したマスター型Mの表面に、アークプラズマガンによってCrからなるアンカー金属7を離散的に付着させる(図2(a)参照)。それから、電子ビーム蒸着装置によりPtなどで導電層8を厚さ50nm程度蒸着する(図2(b)参照)。この状態で、アンカー金属7は密度が小さいので、導電層8の内部に一体的に埋没し、マスター型Mとの界面は殆どが導電層8で形成される。その後、めっき装置(図示せず)のめっき溶液内で前記導電層8を陰極として電析してNiなどの金属を厚さ50μm程度析出させて電鋳層9を形成する(図2(c)参照)。それから、マスター型Mと導電層8の界面で強制的に剥離し、マスター型Mの表面が転写された転写部品Tを得る(図2(d)参照)。
ここで、前記電鋳層9は、自己形状保持性に乏しいので、通常はマスター型Mから分離する前に、該電鋳層9の上に強度の高い裏打ち部材を固定して一体化し、所定の形状を維持するようにする。つまり、マスター型Mの表面は、所望形状を反転した形状に超精密に作製し、前述のように電鋳層9を裏打ち部材に固定した後、分離することで、マスター型Mの表面形状と表面粗さが忠実に転写された転写面を有する超精密部品が得られる。あるいは、前記電鋳層9に裏打ち部材を固定せずにマスター型Mから分離したものを、予め精確に所定曲面に表面を加工した裏打ち部材に貼り付けて、導電層8の表面形状は裏打ち部材で規定し、表面粗さはマスター型Mの表面で規定した精密部品を作製することも可能である。
本発明は、前記マスター型Mと導電層8の材質が決まった場合に、アンカー金属の種類と離散的に付着させる密度を最適に決定することが重要になる。また、アンカー金属による付着性の制御は、マスター型Mの表面状態にも影響を受ける。本発明では、形状精度が全空間波長領域にわたってPV値が2nm以下、表面粗さがRMS:0.5nm以下となる転写面を得ることを目的としているので、マスター型Mの表面はそれ以上に高精度になっている。本実施形態では、前記マスター型Mは、Si単結晶ブロックを超精密に加工したものを用いる。つまり、マスター型Mの表面は、非常に平滑であり、他の物質が付着し難い状態である。そこで、前記アンカー金属は、電気陰性度が高く、他の材料に対する付着性に優れたCrとし、X線ミラーの作製を目的としてPtで前記導電層8を成膜する。
本発明では、Cr密度の最適な範囲を見出すことが重要である。そのため、前記アークプラズマガン3の放電パルス数を制御して、マスター型Mの表面に付着させるCrの数密度を変化させて付着させ、その上に厚さ約50nmのPt導電層8を電子ビーム蒸着で成膜し、更に電析プロセスで厚さ約50μmのNi電鋳層9を形成する場合について、導電層8の付着性を調べた。その結果を表1に示している。ここで、Cr密度の測定には蛍光X線分析装置(テクノス社製のTREX610)を用い、蛍光X線強度分布から算出した。
この表1から分かるように、Cr密度(×1010(atoms/cm2))は6000〜15000の範囲が好ましい。更に好ましいCr密度(×1010(atoms/cm2))の範囲は、7500〜12000である。例えば、Cr密度が7500×1010(atoms/cm2)は、120Å四方に約1個のCrが存在することに相当し、Cr原子の大きさが数Åであることを考慮すれば、転写面となる導電層8の面積の僅かしか占有しないので、Crが不純物として表面状態に及ぼす影響は無視することができる。
通常、蒸着された薄膜は周囲から剥離が進行するので、導電層8の周囲の付着力を中央部よりも高めるべく、周囲のアンカー金属の密度を高くすることも好ましい。それにより、電析プロセス中の周囲からの剥離の発生を確実に阻止することができるとともに、電鋳層9を形成した後、強制的に剥離する工程で中央部が剥離し易いので、中央部の損傷が少なく、作業が容易になるばかりでなく、剥離した転写面中央部の精度も高くなることが期待できる。この場合、前述のCr密度の好ましい範囲のうち、周囲は高めに設定し、中央部は低めに設定するのである。
具体的には、前記アークプラズマガン3でCrを付着させる際に、図3に示すように、前記マスター型Mの表面のうち、導電層8を形成する領域をメッシュ板10で覆い、このメッシュ板10の周囲領域10Aの開口数を大きくし、中央領域10Bの開口数を小さくすることにより、中央部よりも周囲のCr密度を高くすることが可能である。あるいは、図4に示すように、Cr密度を低くしたい領域のみを所定の開口数のメッシュ板11で覆い、前記アークプラズマガン3でCrを付着させるようにすることも可能である。これらの場合において、Cr密度を周囲と中央部で連続的に変化させたい場合には、前記アークプラズマガン3のショット毎にメッシュ板10又は11、若しくはマスター型MをXY平面内で少しずつ位置をずらせば良い。
更に詳しく本実施形態を説明する。本発明は、表面を超精密に加工したマスター型Mの表面を忠実に転写して、形状精度が全空間波長領域にわたってPV値2nm以下、表面粗さはRMS:0.5nm以下となる転写部品を多数製造することを目的としている。従って、マスター型Mの表面形状と表面粗さはそれよりも超精密に加工しなければならない。本実施形態では、Si単結晶のブロック材を加工してマスター型Mを作製している。
マスター型Mの最終仕上げ加工には、EEM(Elastic Emission Machining)加工法を用いる。EEMは、微粒子を分散した加工液を被加工物の被加工面に沿って流動させて、該微粒子を被加工面上に略無荷重の状態で接触させ、その際の微粒子と被加工面界面での相互作用(一種の化学結合)により、被加工面原子を原子単位に近いオーダーで除去して加工するものである。具体的には、超純水に粒径0.1μm程度のSiO等の微粒子を分散させた加工液を、液中でワークに接近させて配した弾性回転球の回転による流動によって、あるいはノズルからの噴射によってワーク表面に沿って供給する。被加工物表面に供給された微粒子は、その表面の原子が加工物表面の原子と化学的に結合する。その際に、同時に微粒子と結合した加工物表面原子のバックボンドが弱くなるので、微粒子が加工液の流れによって移動すると、その微粒子に結合した表面原子が一緒に除去されて加工が進むのである。ここで、弾性回転球やノズルを数値制御して駆動することにより、連続的に変化する自由曲面形状に加工ができる。
そして、Crを所定の数密度で離散的に形成した前記マスター型Mの表面に、電子ビーム蒸着法を用いて緻密な導電層8を、厚みを制御して形成する。また、導電層8を所定のパターンに形成するには、目的形状を形成したマスクや、レジスト膜を用いることにより、簡単に形成することができる。ここで、導電層8は、転写面の表面を構成するので、用途に応じてその材料は選択される。斜入射X線光学用の反射ミラーを製造する場合には、X線に対して良好な反射が得られるように、導電層8としてPtをマスター型Mの表面に蒸着している。前記導電層8は、Pt以外にもNi又はCuを用いて電子ビーム蒸着法で形成することができる。
次に、前記導電層8の上に電鋳層9を電析プロセスにより形成するには、通常のスルファミン酸ニッケル電鋳浴を用い、前記導電層8を陰極としてNi電極との間に直流電流を流すと、導電層8の表面にNi金属が析出して電鋳層9が形成される。ここで、電鋳層9を形成する金属としてNiの他に、Ni−P、Ni−W、Co−W、Ni−Mo、Co−Mo、Ni−Co等の合金を用いることも可能である。例えば、Ni−W合金めっきの場合には、硫酸ニッケル:0.2mol、タングステン酸ナトリウム:0.2mol、クエン酸アンモニウム:0.4molからなる電鋳液を用い、陽極をW電極とする。ここで、電析プロセスは、めっき浴温度を室温とし、非常にゆっくりと内部応力が発生しないように金属電析を50μm程度の厚さで実施することで、得られた転写表面は、完全にマスター型表面と同等の表面粗さを有する面となる。
表面粗さがRMS:0.1nmレベルのSiウエハの表面に、アークプラズマガンによってCrを7500×1010(atoms/cm2)の密度で付着し、それから電子ビーム蒸着法によって厚さ約50nmのPt導電層を形成する。それから、電析プロセスによって、導電層の上に厚さ約50μmのNi電鋳層を形成した。
電析プロセスに用いたNiめっき浴の組成は、スルファミン酸ニッケル溶液(Ni(SONH・4HO(900g/L、比重1.5)で、浴温度は室温とし、電流密度が50mA/cmの場合(高速電析条件A)と、電流密度が1mA/cmとパルス電圧(電圧1.9V、周期は1秒間隔でONとOFFの繰り返し)の印加を併用した場合(低速電析条件B)とした。条件Aの結果を図5に、条件Bの結果を図6に示す。
図5(a)は、電鋳層の表面を共焦点レーザー顕微鏡(キーエンス社製のVK-9700)で観察した結果であり、電析プロセスで発生した水素ガスの影響で表面に100〜200μmの模様が生じている。図5(b)は、Siウエハから分離した後のPt導電層の表面を位相シフト干渉顕微鏡(ZYGO社製のNewView100)で観察した結果であり、PV値が1.641nm、RMS:0.215nmとなっており、やや表面粗さが悪化している。
図6(a)は、電鋳層の表面を共焦点レーザー顕微鏡で観察した結果であり、電析プロセスで発生した水素ガスの影響は殆どないことが分かる。図6(b)は、Siウエハから分離した後のPt導電層の表面を位相シフト干渉顕微鏡で観察した結果であり、PV値が1.112nm、RMS:0.160nmとなっている。また、図6(c)に示したPt導電層の表面の原子間力顕微鏡(AFM)像からも、PV値が1.318nm、RMS:0.122nmが得られており、略同様の結果となっている。両測定による評価により、RMS:0.1nmレベルのSiウエハの表面粗さと同程度の超平坦面が得られていることが分かる。
アークプラズマガンと電子ビーム蒸着源を備えた蒸着装置の概念図である。 本発明の概念を示す断面図であり、(a)はマスター型の表面にアンカー金属を離散的に付着させた状態、(b)はアンカー金属の上から導電層を形成した状態、(c)は導電層の上に電鋳層を形成した状態、(d)はマスター型の表面と導電層の界面で分離した状態をそれぞれ示している。 アークプラズマガンでアンカー金属を中央部より周囲が高い密度になるように付着させる際に介在させるメッシュ板と、マスター型の関係を示す簡略説明図である。 同じく他の実施形態のメッシュ板と、マスター型の関係を示す簡略説明図である。 高速電析条件で作製した結果を示し、(a)は電鋳層の表面の共焦点レーザー顕微鏡像、(b)は剥離後の導電層表面の位相シフト干渉顕微鏡像である。 低速電析条件で作製した結果を示し、(a)は電鋳層の表面の共焦点レーザー顕微鏡像、(b)は剥離後の導電層表面の位相シフト干渉顕微鏡像、(c)は剥離後の導電層表面のAFM像である。
1 蒸着装置
2 真空チャンバー
3 アークプラズマガン
4 電子ビーム蒸着源
5 銅製ルツボ
6 蒸着原料
7 アンカー金属
8 導電層
9 電鋳層
10 メッシュ板
10A 周囲領域
10B 中央領域
11 メッシュ板
M マスター型
T 転写部品

Claims (7)

  1. マスター型の表面に導電層、電鋳層、適宜裏打ち材を順次積層し、マスター型の表面と導電層の界面で剥離して、マスター型の形状を転写する電鋳法において、マスター型の表面にアークプラズマ法によってアンカー金属を離散的に付着させ、その後、アンカー金属とは異なる金属を物理的蒸着法によって蒸着して導電層を形成してなる電鋳法における形状転写導電層の形成方法。
  2. 前記、物理的蒸着法が、電子ビーム蒸着法又はスパッタリング法である請求項1記載の電鋳法における形状転写導電層の形成方法。
  3. 前記アンカー金属がCrである請求項1又は2記載の電鋳法における形状転写導電層の形成方法。
  4. 前記導電層がPt又はNi又はCuであり、前記電鋳層がNi又はCu又はNi−W合金である請求項1〜3何れかに記載の電鋳法における形状転写導電層の形成方法。
  5. Cr密度(×1010(atoms/cm2))が6000〜15000である請求項3記載の電鋳法における形状転写導電層の形成方法。
  6. Cr密度(×1010(atoms/cm2))が7500〜12000である請求項3記載の電鋳法における形状転写導電層の形成方法。
  7. 前記マスター型がSi単結晶又はガラスである請求項1〜6何れかに記載の電鋳法における形状転写導電層の形成方法。
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