JP2017051516A - 洗濯機 - Google Patents

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中尾 浩
Hiroshi Nakao
浩 中尾
昊 孫
Hao Sun
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Abstract

【課題】インバータ回路によりモータを回転制御する洗濯機において、電源異常時の過電圧入力やモータ減速時の回生による一過性の過電圧入力に対する回路保護及び、電圧低下後の継続運転とを両立させる。【解決手段】インバータ回路5により駆動されるモータ6と、インバータ回路5を制御する制御手段17と、整流回路3から出力される直流電圧値を検知する直流電圧検知手段4と、商用電源1から整流回路3への電力供給/遮断を行うリレー15とを備え、制御手段17は、直流電圧検知手段4により検知した電圧値が第1の所定値を超えた場合に、リレー15を制御して整流回路3への電力を遮断すると共に、モータ6の3相を短絡して制動をかけ、その後、電圧値が前記第1の所定値よりも低く設定された第2の所定値未満になったら、再度リレー15を制御して整流回路3への電力供給を行うようにする。【選択図】図1

Description

本発明は、インバータ回路により洗濯兼脱水槽等を駆動するモータを駆動し回転数制御する洗濯機に関するものである。
近年、家庭用の洗濯機はインバータ回路により洗濯兼脱水槽等を駆動するモータの回転数を制御して脱水性能、あるいは洗浄性能を向上するものが提案されている。
従来、この種の洗濯機は、例えば下記特許文献1のように構成していた。すなわち、ホールICよりなるロータ位置検出手段の出力信号から正弦波状の3相交流電圧波形をインバータ回路により発生させて、攪拌翼あるいは洗濯兼脱水槽を駆動する直流ブラシレスモータを駆動するようにしていた。このような制御において、脱水運転時等、洗濯兼脱水槽を一旦高速回転にした後で、回転数を下げる回転数制御を行う場合、モータの発電エネルギーが、インバータ回路に電圧を供給する直流電源側に回生するために、インバータ回路の直流電圧が高くなり、条件によっては制御回路や電装部品に一時的に過電圧が印加され、最悪の場合、部品破壊に繋がる場合がある。この課題を解決する手段として、例えば特許文献2のように、モータ駆動中に、前記直流電圧の上昇値がある閾値を超えた場合、モータの駆動を停止する若しくは電源供給を遮断するという方法が考えられている。
特開2000−324873号公報 特開2003−93783号公報
しかし、過電圧時にモータの駆動を停止するだけでは、例えば中性線欠相等、本当に機器に過電圧が入力されていた場合には、従来の課題は解決できないし、電源供給を遮断してしまうと、回生による一過性の過電圧であった場合には、洗濯動作が中断されてしまうために使用性に課題が残る。
また、直流電圧が閾値1を超えたときに一旦モータの駆動を停止し、停止後更に電圧が上昇して閾値1よりも高い値に設定した閾値2を超えた場合に電源を遮断するという方式も考えられているが、この場合、閾値1と閾値2の電圧差を大きく設定しなければ実質効果が得られないため、閾値1を低くして使用性を犠牲にする、若しくは、閾値2を高くして、且つその閾値2に対応した高電圧定格の回路素子・電装部品を使用する必要があり、高コストになるという課題があった。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、コストアップすることなく、従来以上の制御回路、電子部品に対する保護性能を確保し、且つ、一過性の過電圧にも対応可能な洗濯機を提供することを目的としている。
前記従来の課題を解決するために本発明は、商用電源に接続される整流回路と、前記整流回路から出力される直流電力を交流電力に変換するインバータ回路と、前記インバータ回路により駆動され洗濯兼脱水槽等を駆動するモータと、前記インバータ回路を制御する制御手段と、前記整流回路から出力される直流電圧値を検知する直流電圧検知手段と、前
記商用電源から前記整流回路への電力供給/遮断を行う開閉器とを備え、前記制御手段は、前記直流電圧検知手段により検知した直流電圧値が第1の所定値を超えた場合に、前記開閉器を制御して前記整流回路への電力を遮断すると共に、前記モータの3相を短絡して制動をかけ、その後、前記直流電圧検知手段により検知した直流電圧値が前記第1の所定値よりも低く設定された第2の所定値未満になったら、再度前記開閉器を制御して前記整流回路への電力供給を行うようにした洗濯機である。
本発明によれば、コストアップすることなく従来同等以上の制御回路、電子部品に対する保護性能を確保し且つ、一過性の過電圧にも対応可能な洗濯機を提供できる。
本発明の実施の形態1における洗濯機の回路ブロック図 同洗濯機の制御手段のブロック図 同洗濯機のインバータ制御時の各部波形のタイムチャート 同洗濯機の脱水運転時のフローチャート 同洗濯機の縦断面図
第1の発明は、商用電源に接続される整流回路と、前記整流回路から出力される直流電力を交流電力に変換するインバータ回路と、前記インバータ回路により駆動され洗濯兼脱水槽等を駆動するモータと、前記インバータ回路を制御する制御手段と、前記整流回路から出力される直流電圧値を検知する直流電圧検知手段と、前記商用電源から前記整流回路への電力供給/遮断を行う開閉器とを備え、前記制御手段は、前記直流電圧検知手段により検知した直流電圧値が第1の所定値を超えた場合に、前記開閉器を制御して前記整流回路への電力を遮断すると共に、前記モータの3相を短絡して制動をかけ、その後、前記直流電圧検知手段により検知した直流電圧値が前記第1の所定値よりも低く設定された第2の所定値未満になったら、再度前記開閉器を制御して前記整流回路への電力供給を行うようにした洗濯機である。
これにより、過電圧になる前に、開閉器を制御して、制御回路への電力供給を遮断すると同時に、モータの3相短絡によって制動をかけることで、モータの回転エネルギーを熱として放出するため、回生による電圧上昇は完全に抑えられ、尚且つ整流用コンデンサに蓄電された電力が放電されて、直流電圧値が十分に低下した後、且つ、制御回路を駆動する電力値を下回る前に再度前記開閉器を制御して、制御回路への電力供給を再開することで、機器は完全に停止することがなく、その後自動的に運転を再開させることも可能になる。また、従来の回路構成、電装部品をそのまま利用でき、部品保護に対しては従来同等以上の保護性能であり、且つ一過性の電圧上昇であれば自動的に運転再開させることも可能なので、使用性にも配慮した洗濯機を提供できる。
第2の発明は、上記第1の発明において、前記整流回路への電力供給を再開した時に、前記直流電圧検知手段により検知した直流電圧値が第3の所定値を超えた場合、前記開閉器を制御して前記整流回路への電源供給を遮断して機器の運転を終了させる洗濯機であり、前記第3の所定値を商用電源の定格電圧の略115%に相当する直流電圧値に設定した洗濯機である。
これにより、直流電圧が十分に低下した後、電力供給を再開した時に、直流電圧が商用電源の定格電圧の略115%に相当する直流電圧値を超えている場合は、商用電源、若しくは電源回路の異常のみに特定でき、その場合に、開閉器を制御して機器の運転を完全に停止することで、制御回路、電子部品の保護、更に言えば、中性線欠相時においては、他
機器への悪影響をも排除することができるものである。
第3の発明は、上記第1の発明において、前記整流回路への電力供給を再開した時に、前記直流電圧検知手段により検知した直流電圧値の上昇速度が所定速度以上であった場合に、前記開閉器を制御して前記整流回路への電源供給を遮断して機器の運転を終了させる洗濯機である。第2の発明において、直流電圧の値によって電源異常を検知する代わりに、直流電圧値の上昇速度によって電源異常の判断を行うもので、第2の発明と同様の効果が得られるものである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態1における洗濯機の回路ブロック図である。
尚、本実施の形態においては、背景技術に記載の攪拌翼は搭載しておらず、洗濯兼脱水槽のみ搭載したドラム式洗濯機を実施例として用いている。
図1に示すように、商用電源1は、ラインフィルター2を介して整流回路3に入力され、直流電力に変換される。整流回路3は、次に示すように倍電圧整流回路を構成している。整流回路3に入力される交流電圧は、全波整流ダイオード3aによって、入力電圧が正電圧のときはコンデンサ3bに、負電圧のときはコンデンサ3cに充電される。それによって、直列接続されたコンデンサ3b、3cの両端には倍電圧直流電圧が発生し、インバータ回路5に倍電圧直流電圧が入力される。直流電圧検知手段4は、2つの固定抵抗器によって構成され、前記倍電圧直流電圧を分圧した電圧を、制御手段17に出力するものである。
インバータ回路5は、6個のパワースイッチング半導体と逆並列ダイオードよりなる3相フルブリッジインバータ回路及びその駆動回路と保護回路を内蔵したインテリジェントパワーモジュール(以下、IPMという)である。インバータ回路5の出力端子にモータ6を接続し、図5に示す洗濯兼脱水槽31を駆動する。
モータ6は、直流ブラシレスモータであり、回転子を構成する永久磁石と固定子との相対位置(回転子位置)をロータ位置検出手段7により検出する。ロータ位置検出手段7は、通常、3個のホールIC7a、7b、7cにより構成している。インバータ回路5の負電圧端子と整流回路3の負電圧端子間に電流検出手段8、いわゆるシャント抵抗を接続している。
ラインフィルター2の出力端子間には、給水弁9、排水弁10を接続し、双方向性サイリスタなどのソリッドステートリレー、またはメカニカルリレーで構成されたスイッチング手段12により制御する。
ここで、洗濯機の構成について説明する。図5に示すように、外槽30は、回転自在に配設した洗濯兼脱水槽31を内包し、吊り棒32(図示せず)により洗濯機外枠33よりつり下げられている。モータ6は、減速機構を介して洗濯兼脱水槽31を回転駆動する。給水弁9は、水道水を洗濯兼脱水槽31に給水するための電磁弁であり、排水弁10は、洗濯兼脱水槽31内の水の排水を制御する。
電源スイッチ13を押すことにより、制御回路16に電力が供給され、動作を開始する
。図1に示す開閉器であるリレー15は、電源スイッチ13が離された後でも、電力を保持するために設けられており、リレー駆動回路14を介して、制御手段17によって、開閉を制御する。
上記の構成において、制御回路16は、スイッチング手段12を制御して給水弁9、排水弁10などの動作を制御し、洗い、すすぎ、脱水の一連の工程を制御する(詳細は省略)。洗い工程においては、洗濯兼脱水槽31を左右に回転させ、布に機械力を加えて、衣類の汚れを落とし、脱水工程においては、洗濯兼脱水槽31を高速回転させ、洗濯に使った洗濯水を衣類から絞るように動作させる。
以降、モータ6制御の詳細について図2、図3を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態1における洗濯機の制御手段のブロック図、図3は、同洗濯機のインバータ制御時の各部波形のタイムチャートである。
図2示すように、制御手段17は、ロータ位置検出手段7と電圧位相設定手段18fとから電気角を演算する電気角制御手段18bと、出力電圧レベルを設定する回転数制御手段18aと、前記回転数制御手段18aの出力と前記電気角制御手段18bの出力と基本正弦波データを記憶している波形記憶手段18eのデータとからインバータ出力波形を生成する出力レベル変換回路18cと、前記出力レベル変換回路18cの出力をIPMを制御するためのPWM波形に変換・出力するPWM制御手段18dとで構成されている。
PWM制御手段18dは、キャリア信号発生回路181dにより発生させた鋸歯状波の信号vcと、電圧設定手段180dの出力信号vuを比較回路182dで比較することでPWM波形を生成する。尚、図2に示すPWM制御手段18dは、1相分の出力であり、3相出力の場合には、同様の回路を3個設けることになる。
波形記憶手段18eは、電気角に対応した所望の電圧信号(正弦波データ)を記憶したものである。
電気角制御手段18bは、ロータ位置検出手段7の出力信号を検知し回転周期を検出する回転周期検知手段182bと、回転周期とキャリア信号発生回路181dからのキャリア信号とから現在のロータ電気角を演算する電気角演算手段183bと、基準となるロータ位置検出手段7のホールIC7aの出力信号H1からの位相角φを設定する位相設定手段181bと、電気角演算手段183bにより演算したロータ電気角と位相設定手段181bで設定した位相角φより印加電圧電気角を設定する電気角設定手段180bとによって構成される。
出力レベル変換回路18cは、波形記憶手段18eより電気角に対応した振幅信号Aを呼び出す呼び出し手段180cと、呼び出し手段180cの出力信号Aに変調度G(インバータ回路5の最大出力レベルを100%としたときの、出力パーセンテイジ)を演算してPWM制御手段18dに出力する電圧演算手段181cとで構成している。
変調度Gは、回転数制御手段18aにより出力され、回転数制御手段18aは、モータ回転数を所定値に設定する回転数設定手段181aと、ロータ位置検出手段7の信号より回転数を検知する回転数検知手段180aと、検知回転数と設定回転数を比較して誤差信号を出力する回転数比較手段182aとで構成し、前記回転数比較手段182aの出力に応じて、変調度Gが制御される。
電圧位相設定手段18fは、モータ6を駆動する条件によりインバータ回路出力電圧の位相を設定制御するものである。インバータ回路出力電圧の位相と、モータ電流位相は、
かならずしも、同一位相にならないので、予めモータ6の駆動条件(目標回転数)毎に、インバータ回路出力電圧位相と、その時のモータ電流の位相を試験的に観測し、この試験データを基に、インバータ回路出力電圧位相を設定する。
この設定する位相とは、モータ誘起電圧Ecと、モータ電流の位相とが近い程、高効率になるので、この条件を満たすようなインバータ回路出力電圧位相が最適である。また、トルクを重視するときなどは、モータ誘起電圧Ecに対し、モータ電流位相が進みぎみになるような、いわゆる弱め界磁の状態にインバータ回路出力電圧位相を設定する制御方式が一般的である。
上記構成において、電気角に対応した各部波形の関係は、図3に示すようになる。図3は、モータ回転駆動時の各部波形関係を示すもので、Ecは、モータ誘起電圧の波形を示し、ロータ位置検出手段7のロータ位置信号H1、H2、H3は、電気角60度ごとに信号が変化し、基準信号H1がハイに変化したタイミングを0度とする。モータ誘起電圧Ecは、電気角30度遅れた位相となる。ロータ位置信号H1、H2、H3の変化に同期してロータ位置信号H1、H2、H3の状態データを読み込み、状態データより60度毎のロータ電気角を検出できる。
信号vcは、キャリア信号発生回路181dの鋸歯状波の出力信号で、信号vuは、出力レベル変換回路18cから電圧設定手段180dで処理されて出力される出力信号である。信号uは、信号vuとキャリア信号発生回路181dの出力データvcと大小比較したPWM波形を示す。この信号uによりインバータ回路5を駆動し、モータ6に電圧を印加することにより、モータ電流はほぼ正弦波状の電流となる。
この信号uは、U相の上アームトランジスタの駆動信号で、下アームトランジスタの駆動信号は、信号uの反転信号となる。実際にトランジスタに加える信号は、さらにターンオフタイムを考慮したデッドタイム制御が加わり、上下アームトランジスタの同時導通を禁止する期間を設けている。
上記構成において、図4を参照しながら脱水運転時の動作を説明する。図4において、制御シーケンスは、使用者による電源スイッチ13オンすなわち、制御回路16への電源供給をトリガとして開始される。
制御シーケンスの開始直後、ステップ1で整流回路3から出力される直流電圧値と電圧閾値VDC0(第3の所定値)との比較を行う。ここで、VDC0は、商用電源電圧115V時の直流電圧値である325Vに設定してある。ステップ1で直流電圧値がVDC0よりも高ければ、リレー15をオンせずに、異常報知を10秒間行うようにし、VDC0よりも低い場合に限り、リレー15をオンし、使用者による運転内容設定及び、運転開始(スタートスイッチ(図示せず)の押下)を待つ。この待ち時間中も常にステップ1の電圧判定を行い続ける。
運転開始されるとステップ2に移行し、モータ制御状態を起動制御に設定し、ステップ3に進む。
ステップ3では、モータ制御状態に応じて、起動制御、正弦波駆動制御、短絡ブレーキ制御、モータ停止の4通りの処理を行う。通常は、起動制御、正弦波駆動制御、短絡ブレーキ制御、モータ停止の順番に処理が遷移してゆき、脱水完了後のブレーキオフ中に、10秒間の終了報知を行った後に、リレー15をオフして洗濯機の運転を終了する。
ステップ4以降は、直流電圧検知による異常検知処理であり、リレー15オンの場合と
オフの場合とで処理内容が異なっている。
ステップ5〜10は、リレー15オンの場合の処理で、ステップ11以降は、リレー15オフの場合の処理である。通常は、ステップ5、ステップ8、ステップ9または10の順番に処理され、ステップ3に戻るようになる。
ステップ8で、モータ6駆動中すなわち、モータ制御状態が起動制御、または正弦波駆動制御の場合、ステップ9に移行し、直流電圧値と電圧閾値VDCH(第1の所定値)との比較を行う。ここで、VDCHは、回路最大定格電圧−10%相当の、直流420Vに設定されているものとする。直流電圧値がVDCHよりも高ければ、リレー15をオフすると共に、高電圧フラグ(図4においては高電圧Fと表記)をセットし、モータ制御状態を短絡ブレーキ制御に設定する。高電圧フラグがセットされた後、リレー15がオフしている間は、後述するステップ12の処理が行われることになる。
一方、ステップ8で、モータ6駆動中以外、すなわち、モータ制御状態がブレーキ制御またはモータオフの場合、ステップ10に移行し、直流電圧値と電圧閾値VDC0との比較を行う。ここでは、ステップ1と同様、直流電圧値がVDC0よりも高ければ、リレー15をオフし、異常報知を10秒間行った後、洗濯機の運転を終了する。
ステップ6の処理は、一度高電圧によってリレー15をオフした後で、再度リレー15をオンしてから再起動するまでの処理で、一過性の高電圧であるか、電源系の異常かどうかを判断している部分である。
ステップ6では直流電圧値と電圧閾値VDC0(第3の所定値)との比較、及び直流電圧値の上昇速度と速度閾値VDCSとの比較を行う。ここで、VDCSは、整流回路3の時定数から設定した値で、商用電源115V相当での直流電圧の上昇速度+10%相当の20V/10msに設定されているものとする。ここでは、ステップ1と同様、直流電圧値がVDC0よりも高ければ、リレー15をオフし、異常報知を10秒間行った後、洗濯機の運転を終了する。また、直流電圧値の上昇速度が速度閾値VDCSよりも速い場合も同様に、リレー15をオフし、異常報知を10秒間行った後、洗濯機の運転を終了する。
ステップ6で高電圧の判定がなされない状態で、直流電圧値が安定した場合、すなわち、ステップ7で電圧上昇速度=0を検出した場合、前述した高電圧フラグをクリアして、モータ制御状態を、起動制御に設定することで、モータ6の再起動を行う。
前述したステップ11、すなわち、リレー15オフの場合の処理は以下の通りである。過電圧対策処理中(高電圧フラグがセットされている状態)であれば、ステップ12で、直流電圧と電圧閾値VDCL(第2の所定値)との比較を行う。ここで、VDCLは、商用電源電圧85V時の直流電圧値である240Vに設定してある。ステップ12で直流電圧値がVDCLを下回れば、リレー15を再びオンし、制御回路16への電力供給を再開する。電力供給再開後は、前述したステップ6、7の処理が行われることになる。
起動制御処理は、矩形波駆動方式であり、所定のPWM設定値でモータ6を起動させるものであり、ロータが1/4から1回転してから正弦波駆動制御に切り換えるものである。矩形波駆動は、120度通電制御とも呼ばれ、正弦波駆動制御同様、直流ブラシレスモータの一般的な駆動方式であるので、その説明は省略する。また、短絡ブレーキ制御は、IPMの下側のアームトランジスタ3石を短絡する制動方式であり、これも一般的な制動方式であるので、その説明は省略する。
脱水運転を開始する際、洗濯兼脱水槽31を最終目標回転数N3(900r/min)
に向けて徐々に回転数を上昇させる制御を行う。脱水運転の場合、急激に回転数を上昇させると、洗濯兼脱水槽31内の衣類に含まれている洗濯水や洗剤の泡が一度に放出され、排水ができなくなったり、洗濯兼脱水槽31と外槽30との間に洗剤の泡が詰まり、回転数が上昇していかないという問題が発生する。そこで、衣類に含まれる洗濯水を徐々に排出するために、回転数の上昇を緩やかに制御するようにする。
前述したように、モータ6駆動中は、常に変調度Gを制御し、洗濯兼脱水槽31の回転数が設定回転数に収束するようフィードバック制御を行うので、減速制御を行う場合もある。特に、急激な負荷変動、例えば、洗濯兼脱水槽31と外槽30との間に溜まった泡や洗濯水の急激な排水の際など、目標回転数に対して、実際の回転数が大きくオーバーシュートする可能性があり、この場合には、急激な減速制御を行うことになる。
回転数の減速は、変調度Gの値を小さくし、印加電圧を低くすることにより実現するが、急速に印加電圧を低くすると、モータ6の発電エネルギーがモータ6で消費されなくなり、コンデンサ3b、3c間に電圧が回生され、直流電圧が大きく上昇してしまい、条件によっては、制御回路素子や電装部品の最大定格電圧を上回る電圧(過電圧)にまで上昇する場合もある。
以上のように、本実施の形態における洗濯機によれば、整流回路3から出力される直流電圧値が第1の所定値VDCHを超えた場合に、開閉器であるリレー15を制御して、整流回路3への電力を遮断すると共に、モータ6の3相を短絡して制動をかけるので、制御回路16への過電圧印加が確実に防止できる。
その後、直流電圧値が第2の所定値VDCL未満になったら、再度リレー15を制御して整流回路3への電力供給を行うようにし、更に、整流回路3への電力供給を再開した後、直流電圧値が安定すれば、運転を再開し、直流電圧値が安定するまでの間に、直流電圧値が予め設定した電圧閾値VDC0(第3の所定値)を超えた場合、または、直流電圧の上昇速度が予め設定した速度閾値VDCSを超えた場合、リレー15を制御して、整流回路3への電源供給を遮断して機器の運転を終了させるので、一過性の電圧上昇に対しては、自動的に運転再開を行うという使用性に配慮しつつ、万が一の商用電源1もしくは電源回路の異常の際においては、従来同等以上の機器保護性能を確保することができる。
なお、直流電圧が十分に低下した後、モータ6からの電圧回生がない状態で再度電力供給を行った際の直流電圧値は、商用電源1の電圧値がそのまま反映されたものになるはずである。日本国内において、商用電源電圧が定格±15%を超えることは通常ではあり得ないので、電力供給を再開した時に、直流電圧がそれに対応する電圧を超えている場合は商用電源1若しくは電源回路の異常のみに特定できる。その場合に、開閉器であるリレー15を制御して機器の運転を完全に停止することで、制御回路、電子部品の保護、更に言えば、中性線欠相時においては、他機器への悪影響をも排除することができるものである。
以上のように、本発明に係る洗濯機は、一般家庭で使用される洗濯機に対して効果を発揮するものであるが、家庭用だけでなく、業務用の洗濯機にも使用可能であるとともに、洗濯機の脱水動作同様に、モータを高速回転させ且つ、モータにかかる慣性モーメントの大きい機器のモータ制御に対しても応用展開可能である。
1 商用電源
2 ラインフィルター
3 整流回路
3a 全波整流ダイオード
3b コンデンサ
3c コンデンサ
4 直流電圧検知手段
5 インバータ回路
6 モータ
7 ロータ位置検出手段
8 電流検出手段
9 給水弁
10 排水弁
12 スイッチング手段
13 電源スイッチ
14 リレー駆動回路
15 リレー(開閉器)
16 制御回路
17 制御手段
30 外槽
31 洗濯兼脱水槽
33 洗濯機外枠

Claims (3)

  1. 商用電源に接続される整流回路と、前記整流回路から出力される直流電力を交流電力に変換するインバータ回路と、前記インバータ回路により駆動され洗濯兼脱水槽等を駆動するモータと、前記インバータ回路を制御する制御手段と、前記整流回路から出力される直流電圧値を検知する直流電圧検知手段と、前記商用電源から前記整流回路への電力供給/遮断を行う開閉器とを備え、前記制御手段は、前記直流電圧検知手段により検知した直流電圧値が第1の所定値を超えた場合に、前記開閉器を制御して前記整流回路への電力を遮断すると共に、前記モータの3相を短絡して制動をかけ、その後、前記直流電圧検知手段により検知した直流電圧値が前記第1の所定値よりも低く設定された第2の所定値未満になったら、再度前記開閉器を制御して前記整流回路への電力供給を行うようにした洗濯機。
  2. 前記整流回路への電力供給を再開した時に、前記直流電圧検知手段により検知した直流電圧値が第3の所定値を超えた場合、前記開閉器を制御して前記整流回路への電源供給を遮断して機器の運転を終了させる請求項1に記載の洗濯機であり、前記第3の所定値を商用電源の定格電圧の略115%に相当する直流電圧値に設定した洗濯機。
  3. 前記整流回路への電力供給を再開した時に、前記直流電圧検知手段により検知した直流電圧値の上昇速度が所定速度以上であった場合に、前記開閉器を制御して前記整流回路への電源供給を遮断して機器の運転を終了させる請求項1に記載の洗濯機。
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JP2018187198A (ja) * 2017-05-10 2018-11-29 日立アプライアンス株式会社 洗濯機
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