JP2017049467A - ピアノのダンパー駆動装置 - Google Patents

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Kosuke Tanaka
功介 田中
康浩 北村
Yasuhiro Kitamura
康浩 北村
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【課題】ハーフペダルの実行に適したダンパーペダルの踏込み位置を演奏者に容易に理解させることができるピアノのダンパー駆動装置を提供する。【解決手段】ダンパーペダル2と、これに連結されたペダル突揚棒3と、ペダル突揚棒3で突き上げられて回動することにより、ダンパー24を駆動するラウドレバー4と、ペダル突揚棒3を上下方向に案内するためのペダル突揚棒ガイド12と、ガイド孔12aに取り付けられ、ペダル突揚棒3の摺動途中に一時的に嵌合した状態に係合するブッシュ13と、を備える。ペダル突揚棒3には嵌合凹部が設けられ、ブッシュ13には、ダンパーペダル2の踏込み操作に伴い、ダンパー24が弦Sに所定の接触度合で接したときに、嵌合凹部に嵌合する嵌合リングが設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、ピアノのダンパー駆動装置に関し、特に演奏者がダンパーペダルを踏み込んでいる状態のときに、ダンパーが所定の接触度合で弦に接していることを、演奏者に伝えることが可能なピアノのダンパー駆動装置に関する。
従来、グランドピアノのダンパー駆動装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。このダンパー駆動装置は、ラウド効果を得るために踏込み操作されるダンパーペダル(以下単に「ペダル」という)と、このペダルに連結され、上下方向に延びるペダル突揚棒と、このペダル突揚棒で突き上げられることによって回動することより、ダンパーを上下方向に駆動するラウドレバーなどを備えている。ダンパーは、水平に張られた弦に対し、その上側において上下方向に移動することで離接自在に構成されており、鍵が押鍵されていない離鍵状態では、弦に上方から当接している。
鍵が押鍵されると、その鍵に対応する弦からダンパーが上方に離れ、ハンマーで打弦された弦の振動を許容することで、ピアノ音が発生する。一方、鍵が離鍵されると、ダンパーが元の位置に戻り、弦に当接することによって弦の振動を停止し、発音が停止される。また、演奏中に、前記ペダルが演奏者によって大きく踏み込まれると、全てのダンパーが弦から離れる。これにより、押鍵に伴ってハンマーで打弦された弦によるピアノ音が延びるとともに他の弦の共鳴によって、ラウド効果が得られる。
また、演奏者は、ペダルを半分程度、踏み込むことにより、ピアノ音の延び具合を調整する、いわゆるハーフペダルを行うこともある。このハーフペダルでは、弦に対するダンパーの接触度合として、ダンパーが弦に浅く接する程度であり、その弦の振動によるピアノ音が完全には止音されず、ビブラートのような演奏効果を得ることができる。
特開2002−14669号公報
しかし、上記のハーフペダルを行う場合、次のような問題がある。すなわち、一般に、グランドピアノでは、ピアノメーカにより、あるいは同一機種でもピアノの個体差により、ペダル操作の際の遊びや踏み代が異なり、特にハーフペダルを適切に行えるペダルの踏込み位置も異なっている。また、ピアノは、ポータブルタイプの楽器と異なり、備付けタイプの楽器であり、演奏者は初めて触るピアノで演奏するケースが少なくない。特に、コンクール参加やコンサートの場合には、事前に十分なリハーサルを行えない場合があり、このような場合には、演奏者は、ペダルをどの程度踏み込めばハーフペダルが適切に行えるかを短時間で習得しなければならず、演奏者にとっては負担が非常に大きい。
また、ダンパーは、その底部に設けられたダンパーフェルトを介して、弦に上方から当接するものであるため、経年変化などにより、ダンパーフェルトが縮みやすく、その場合には、ハーフペダルを適切に行えるペダルの踏込み位置が変化してしまうという問題もある。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、ダンパーが所定の接触度合で弦に接していることを演奏者に伝えることができ、それにより、例えばハーフペダルの実行に適したダンパーペダルの踏込み位置を演奏者に容易に理解させることができるピアノのダンパー駆動装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、水平に延びるように張設された弦に対し、その上側において離接自在のダンパーを駆動するピアノのダンパー駆動装置であって、支点を中心として揺動自在に構成され、ダンパーを駆動するために踏込み操作されるダンパーペダルと、上下方向に延び、下端部がダンパーペダルに連結されたペダル突揚棒と、回動自在に構成され、ペダル突揚棒が下方から当接し、ペダル突揚棒で突き上げられることによって回動することにより、ダンパーを駆動するラウドレバーと、ペダル突揚棒が貫通するガイド孔を有し、ペダル突揚棒を上下方向に案内するための不動のペダル突揚棒ガイドと、このペダル突揚棒ガイドのガイド孔に取り付けられ、ペダル突揚棒が摺動自在に係合するとともに、その摺動途中に一時的に嵌合した状態に係合する係合部材と、を備え、ペダル突揚棒は、長さ方向の所定位置に、凹状及び凸状の一方に形成された嵌合部を有しており、係合部材は、凹状及び凸状の他方に形成され、ダンパーペダルの踏込み操作に伴い、ダンパーが所定の接触度合で弦に接したときに、嵌合部が嵌合する被嵌合部を有していることを特徴とする。
この構成によれば、ダンパーペダルを踏込み操作することにより、ペダル突揚棒が、ペダル突揚棒ガイドのガイド孔を介して案内されながら上方に駆動される。この駆動されたペダル突揚棒により、ラウドレバーが突き上げられ、回動することによって、ダンパーが駆動される。また、この場合、ペダル突揚棒は、不動のペダル突揚棒ガイドのガイド孔を貫通し、そのガイド孔に取り付けられた係合部材に対して、摺動自在に係合するとともに、その摺動途中に一時的に嵌合した状態に係合する。具体的には、ペダル突揚棒の長さ方向の所定位置には、凹状及び凸状の一方に形成された嵌合部が設けられる一方、係合部材には、凹状及び凸状の他方に形成された被嵌合部が設けられている。そして、ダンパーペダルの踏込み操作に伴い、ダンパーが所定の接触度合で弦に接したときに、ペダル突揚棒の嵌合部が、係合部材の被嵌合部に嵌合する。上記の嵌合部が、被嵌合部に対して、嵌合していない状態から嵌合した状態に変化したときに、その変化(例えばクリック感)が、ペダル突揚棒及びダンパーペダルを介して、演奏者の足に伝わる。したがって、弦に対するダンパーの接触度合が、例えばハーフペダルの実行に適したものであるときに、ペダル突揚棒の嵌合部が係合部材の被嵌合部に嵌合するように設定することにより、ハーフペダルの実行に適したダンパーペダルの踏込み位置を演奏者に容易に理解させることができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のピアノのダンパー駆動装置において、係合部材は、上下方向に延びる筒状に形成され、被嵌合部が、弾性材料から成り、係合部材の内周面に、周方向に沿って延びかつ内方に向かって突出する凸状に形成されており、嵌合部が、ペダル突揚棒の外周面に、周方向に沿って延びかつ外方に向かって開放する凹状に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、係合部材が上下方向に延びる筒状に形成されていて、その内周面に、被嵌合部が設けられている。この被嵌合部は、弾性材料から成り、係合部材の内周面に、周方向に沿って延びかつ内方に向かって突出する凸状に形成されている。一方、嵌合部は、ペダル突揚棒の外周面に、周方向に沿って延びかつ外方に向かって開放する凹状に形成されている。ペダル突揚棒の嵌合部と、係合部材の被嵌合部とが嵌合していない状態では、係合部材の被嵌合部は、係合部材の内側を貫通するペダル突揚棒の外周面によって押し潰された状態になる。一方、嵌合部と被嵌合部が嵌合した状態では、押し潰されていた被嵌合部が復元し、その際の振動や衝撃が、ペダル突揚棒及びペダルを介して、演奏者の足に伝わる。上記のような被嵌合部を有する係合部材、及び嵌合部を有するペダル突揚棒による比較的簡単な構成により、演奏者がハーフペダルの実行に適したダンパーペダルの踏込み位置を理解可能なダンパー駆動装置を、容易に実現することができる。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のピアノのダンパー駆動装置において、係合部材は、外周面に雄ねじを有しており、雄ねじを介して、ガイド孔に上下方向に移動自在にねじ込まれていることを特徴とする。
この構成によれば、係合部材が、外周面の雄ねじを介して、ガイド孔にねじ込まれているので、その係合部材を、回転させることによって、上下方向に容易に移動させることができる。これにより、係合部材の内周面に設けられた被嵌合部の高さを、容易に調整することができる。したがって、経年変化などにより、ダンパーが所定の接触度合で弦に接するときのダンパーペダルの踏込み位置が変化した場合でも、その変化に応じて、係合部材の被嵌合部の高さを調整することで、ダンパーが所定の接触度合で弦に接するときに嵌合部が被嵌合部に嵌合する状態を容易に設定することができる。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載のピアノのダンパー駆動装置において、係合部材の上下方向の一方の端部には、工具を用いて係合部材を回転操作する際に、工具が係合可能な工具係合部が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、係合部材の上下方向の一方の端部に設けられた工具係合部に、工具を係合させ、その工具を操作することによって、係合部材を回転させながら、上下方向に容易に移動させることができ、それに伴い、被嵌合部の高さ調整を容易に行うことができる。
本発明の一実施形態によるダンパー駆動装置を示す側面図である。 ペダル突揚棒ガイドに取り付けられたブッシュを示しており、(a)は外観図、(b)は縦断面図、(c)はペダル突揚棒との関係を示す縦断面図である。 ダンパー機構を示す斜視図である。 弦に対するダンパーの接触度合を説明するための図であり、(a)はダンパーが弦に深く接した状態、(b)はダンパーが弦から離れた状態、(c)はダンパーが弦に浅く接し、ハーフペダルの実行に適した状態を示す。 ペダル突揚棒の嵌合凹部とブッシュの嵌合リングとの関係を説明するための図であり、(a)はダンパーペダルが踏み込まれる前の状態、(b)はダンパーペダルが大きく踏み込まれたときの状態、(c)は嵌合凹部と嵌合リングが嵌合した状態を示す。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態によるピアノのダンパー駆動装置を示している。同図に示すように、このダンパー駆動装置1は、弦Sが水平に延びるように張設されたグランドピアノに適用されたものであり、ダンパーペダル2と、上下方向に延び、ダンパーペダル2に連結されたペダル突揚棒3と、このペダル突揚棒3で突き上げられることによって上方に回動するラウドレバー4と、このラウドレバー4によって上方に駆動されるリフティングレール突揚棒5と、このリフティングレール突揚棒5の上側に設けられたダンパー機構6とを備えている。
ダンパーペダル2は、前後方向(図1の左右方向)に所定長さ延び、上下方向に延びるペダル柱11の下端部に、支点2aを中心として揺動自在に設けられている。
ペダル突揚棒3は、鉄などから成る金属製の丸棒で構成され、下端部がダンパーペダル2の後端部(図1の右端部)に連結されている。また、ペダル突揚棒3は、その上部がペダル柱11の背面上部に不動に取り付けられた木製のペダル突揚棒ガイド12を貫通した状態で、これによって上下方向に案内されるように支持されている。ペダル突揚棒ガイド12は、所定の厚さを有するブロック状に形成されており、ペダル突揚棒3が上下方向に貫通するガイド孔12aが形成されている。また、このペダル突揚棒ガイド12のガイド孔12aには、円筒状に形成され、ペダル突揚棒3が摺動自在に係合するブッシュ13(係合部材)が取り付けられている。
図2(a)及び(b)は、ブッシュ13の外観及び縦断面をそれぞれ示している。両図に示すように、ブッシュ13は、円筒状のブッシュ本体14と、その内面に固定されたリング状の嵌合リング15(被嵌合部)とで構成されている。ブッシュ本体14は、金属又は合成樹脂から成り、ペダル突揚棒ガイド12のガイド孔12aの径とほぼ同じ外径を有するとともに、ペダル突揚棒3の直径よりも若干大きい内径を有している。また、ブッシュ本体14の外周面のほぼ上半部には、雄ねじ14aが形成されるとともに、下部には、横断面が六角形に形成され、レンチなどの工具が係合可能な工具係合部14bが設けられている。さらに、ブッシュ本体14の内周面には、嵌合リング15を取り付けるための取付溝14cが、周方向に沿って延びるように形成されている。
嵌合リング15は、ゴムなどの弾性材料から成り、ブッシュ本体14の内径よりも大きい外径を有するとともに、ブッシュ本体14の内径よりも小さい内径を有し、断面が円形に形成されている。そして、この嵌合リング15は、外縁部がブッシュ本体14の取付溝14cに嵌まった状態で、かつ内縁部がブッシュ本体14の内周面よりも内方に突出した状態で、ブッシュ本体14の内面に固定されている。
このように構成されたブッシュ13は、雄ねじ14aを介して、ペダル突揚棒ガイド12のガイド孔12aに下方からねじ込まれている。
また、ペダル突揚棒3には、上部の所定位置に、前記嵌合リング15に嵌合可能な凹状の嵌合凹部3a(嵌合部)が形成されている。この嵌合凹部3aは、図2(c)に示すように、ペダル突揚棒3の外周面に、周方向に沿って延びかつ外方に向かって開放するように形成され、嵌合リング15の内周側の半部と相補的な形状を有している。
図3は、ダンパー機構6を部分的に示している。このダンパー機構6は、ダンパーレバーレール21、リフティングレール22、複数のダンパーレバー23及びダンパー24(ダンパーレバー23及びダンパー24はそれぞれ1つのみ図示)などを備えている。ダンパーレバーレール21は、アルミニウムの押出成形品で構成され、左右方向に並設された複数の鍵(図示せず)の後ろ側に、その並び方向に延びるように配置されている。複数のダンパーレバー23は、鍵ごとに設けられ、後端部(図3の右端部)がダンパーレバーフレンジ25を介してダンパーレバーレール21に回動自在に支持されるとともに、前端部が、対応する鍵の後端部に上方から対向している。また、ダンパーレバー23には、回動自在のダンパーワイヤーフレンジ26と、そのフレンジ26から上方に延びるダンパーワイヤー27とが順に設けられている。そして、このダンパーワイヤー27の上端部に、ダンパー24が取り付けられている。
ダンパー24は、前後方向に延びかつ側面形状が山形に形成された木製のダンパーヘッド24aと、その下面に取り付けられた前後2つのダンパーフェルト24b、24bとで構成されている。各ダンパーフェルト24bは、フェルトをブロック状に形成したものである。なお、図3に例示したダンパーフェルト24bには、下方に向かって幅が広がるように開放し、前後方向の全体わたって延びるV字状の溝24cが形成されている。
また、リフティングレール22は、アルミニウムの押出成形品で構成され、複数のダンパーレバー23の下側に、その並び方向に延び、これらに対向するように配置されている。各ダンパーレバー23は、パイロットスクリュー28を介して、リフティングレール22上に載置されている。また、リフティングレール22は、図示しない複数の連結部品を介して、ダンパーレバーレール21に連結されている。複数の連結部品のうちの最も外側の2つには、左右方向に延びかつ外方に突出する左右2つのピン(図示せず)が設けられており、これらのピンがピアノ本体(図示せず)に回動自在に支持されている。これにより、ダンパーレバーレール21及びリフティングレール22は、上記2つのピンを中心として一体に回動自在になっている。さらに、リフティングレール22は、その底部が前記リフティングレール突揚棒5の上端部に連結されている。
次に、以上のように構成されたダンパー駆動装置1の動作について説明する。なお、図4は、弦Sに離接するダンパー24の動作を示しており、また、図5は、ペダル突揚棒ガイド12のブッシュ13に対するペダル突揚棒3の動作を示している。また、図4(a)及び図5(a)は、鍵が押鍵されておらず、かつダンパーペダル3が踏み込まれていない状態を示している。
鍵が押鍵されると、その後端部でダンパーレバー23が突き上げられ、上方に回動する。これに伴い、ダンパー24は、図4(a)及び(b)の順に、上方に移動し、ダンパーフェルト24bが弦Sから離れる。その直後、図示しないハンマーが弦Sを下方から打弦することにより、弦Sが振動し、ピアノ音が発生する。また、鍵が離鍵されると、ダンパーレバー23が下方に復帰回動するのに伴い、ダンパー24は、図4(b)及び(a)の順に、下方に移動し、ダンパーフェルト24bが弦Sに当接する。これにより、ダンパーレバー23やダンパー24などの重さにより弦Sの振動が停止され、止音される。
また、演奏中にダンパーペダル2が大きく踏み込まれると、ペダル突揚棒3は、図5(a)及び(b)の順に、上方に移動し、ラウドレバー4を突き上げ、上方に回動させることにより、リフティングレール突揚棒5が上方に移動する。このリフティングレール突揚棒5によってリフティングレール22が突き上げられることにより、ダンパーレバーレール21と一体に上方に回動する。これにより、全てのダンパーレバー23が上方に回動し、図4(b)に示すように、全てのダンパー24が上方に移動することによって、弦Sから一斉に離れ、ラウド効果が得られる。また、ダンパーペダル2への踏込みが解除されると、ペダル突揚棒3は、図5(b)及び(a)の順に、下方に移動し、ダンパーレバーレール21及びリフティングレール22が自重で下方に復帰回動する。これにより、図4(a)に示すように、全てのダンパー24が下方に移動して元の位置に戻り、弦Sに当接する。
また、ハーフペダルを実行する場合には、ダンパーペダル2を半分程度、踏み込んだ状態に維持する。この場合、ダンパー24は、図4(c)に示すような状態、具体的には、ハーフペダルを適切に行えるよう、弦Sに浅く接した状態(所定の接触度合)であり、このときに、ペダル突揚棒3の嵌合凹部3aが、図5(c)に示すように、ブッシュ13の嵌合リング15に嵌合する。これらが嵌合していない状態では、図5(a)及び(b)に示すように、嵌合リング15がペダル突揚棒3の外周面によって押し潰された状態になっている。一方、嵌合凹部3aが嵌合リング15に嵌合した状態では、押し潰されていた嵌合リング15が復元し、その際の振動や衝撃が、例えばクリック感のように、ペダル突揚棒3及びダンパーペダル2を介して、演奏者の足に伝わる。
このように、本実施形態によれば、演奏者がダンパーペダル2を踏み込み、ダンパー24のダンパーフェルト24bが弦Sに浅く接した状態になったとき、すなわち弦Sに対するダンパー24の接触度合がハーフペダルの実行に適したものであるときに、ペダル突揚棒3の嵌合凹部3aが、ブッシュ13の嵌合リング15に嵌合することで、その際に生じるクリック感などを、演奏者に伝えることができる。これにより、演奏者は、ハーフペダルの実行に適したダンパーペダル2の踏込み位置を容易に理解することができる。
また、ブッシュ13の嵌合リング15の高さを調整する場合、レンチなどの工具をブッシュ13の工具係合部14に係合させ、その工具を用いてブッシュ13を回転させることにより、上下方向に移動するブッシュ13とともに嵌合リング15を上下方向に容易に移動させることができる。したがって、経年変化などにより、ハーフペダルに適したダンパーペダル2の踏込み位置が変化した場合でも、その変化に応じて、嵌合リング15の高さを調整することで、ダンパー24がハーフペダルに適した接触度合で弦Sに接するときにペダル突揚棒3の嵌合凹部3aがブッシュ13の嵌合リング15に嵌合する状態を容易に設定することができる。
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、ペダル突揚棒3に凹状の嵌合凹部3aを設ける一方、ブッシュ13に凸状の嵌合リング15を設けたが、これらの凹凸関係を逆にして、互いに嵌合するように構成することも可能である。また、ブッシュ13の外周面には、上側に雄ねじ14aを、下側に工具係合部14bを設けたが、これらの上下関係を逆にして、ブッシュを構成することも可能である。ただしこの場合には、ブッシュをペダル突揚棒ガイド12のガイド孔12aに上方からねじ込む。
また、実施形態では、嵌合リング15の材料についてはゴムを例示したが、嵌合凹部3aが嵌合リング15に嵌合したときに、そのことを、ペダル突揚棒3及びダンパーペダル2を介して、演奏者に伝えられるものであれば、嵌合リング15を構成するものとして、弾性を有する種々の材料を採用することが可能である。また、実施形態で示したダンパー駆動装置1の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
1 ダンパー駆動装置
2 ダンパーペダル
2a ダンパーペダルの支点
3 ペダル突揚棒
3a 嵌合凹部(嵌合部)
4 ラウドレバー
5 リフティングレール突揚棒
6 ダンパー機構
12 ペダル突揚棒ガイド
12a ガイド孔
13 ブッシュ(係合部材)
14 ブッシュ本体
14a 雄ねじ
14b 工具係合部
14c 取付溝
15 嵌合リング(被嵌合部)
21 ダンパーレバーレール
22 リフティングレール
23 ダンパーレバー
24 ダンパー
24a ダンパーヘッド
24b ダンパーフェルト
S 弦

Claims (4)

  1. 水平に延びるように張設された弦に対し、その上側において離接自在のダンパーを駆動するピアノのダンパー駆動装置であって、
    支点を中心として揺動自在に構成され、ダンパーを駆動するために踏込み操作されるダンパーペダルと、
    上下方向に延び、下端部が前記ダンパーペダルに連結されたペダル突揚棒と、
    回動自在に構成され、前記ペダル突揚棒が下方から当接し、当該ペダル突揚棒で突き上げられることによって回動することにより、前記ダンパーを駆動するラウドレバーと、
    前記ペダル突揚棒が貫通するガイド孔を有し、当該ペダル突揚棒を上下方向に案内するための不動のペダル突揚棒ガイドと、
    このペダル突揚棒ガイドの前記ガイド孔に取り付けられ、前記ペダル突揚棒が摺動自在に係合するとともに、その摺動途中に一時的に嵌合した状態に係合する係合部材と、
    を備え、
    前記ペダル突揚棒は、長さ方向の所定位置に、凹状及び凸状の一方に形成された嵌合部を有しており、
    前記係合部材は、凹状及び凸状の他方に形成され、前記ダンパーペダルの踏込み操作に伴い、前記ダンパーが所定の接触度合で前記弦に接したときに、前記嵌合部が嵌合する被嵌合部を有していることを特徴とするピアノのダンパー駆動装置。
  2. 前記係合部材は、上下方向に延びる筒状に形成され、
    前記被嵌合部が、弾性材料から成り、前記係合部材の内周面に、周方向に沿って延びかつ内方に向かって突出する凸状に形成されており、
    前記嵌合部が、前記ペダル突揚棒の外周面に、周方向に沿って延びかつ外方に向かって開放する凹状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のピアノのダンパー駆動装置。
  3. 前記係合部材は、外周面に雄ねじを有しており、当該雄ねじを介して、前記ガイド孔に上下方向に移動自在にねじ込まれていることを特徴とする請求項2に記載のピアノのダンパー駆動装置。
  4. 前記係合部材の上下方向の一方の端部には、工具を用いて当該係合部材を回転操作する際に、当該工具が係合可能な工具係合部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のピアノのダンパー駆動装置。
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