最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施の形態に係る位置推定装置は、移動体に携行されるセンサ部による計測結果を示す計測情報、設置された第1のセンサによる計測結果を示す第1センサ情報、および前記第1のセンサの位置情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記計測情報に基づいて前記移動体の位置を推定する位置推定部と、前記取得部によって取得された前記計測情報、前記第1センサ情報、および前記第1のセンサの位置情報に基づいて前記位置推定部による推定結果を補正する補正部とを備える。
このような構成により、移動体におけるセンサの計測情報に基づいて推定した移動体の位置を、設置されているセンサを用いて補正することができるので、たとえば、対象エリアにおいて移動体が保持するRFIDと通信するためのリーダを設けることなく、移動体の位置をより正しく推定することができる。したがって、低コストな構成で、移動体の位置をより正しく推定することができる。
(2)好ましくは、前記取得部は、前記第1センサ情報と、前記第1センサ情報の示す前記計測結果が得られたときの前記第1のセンサの位置を示す前記位置情報とを取得し、前記補正部は、前記計測情報と前記第1センサ情報とを比較し、比較結果に基づいて、前記移動体の推定位置を前記位置情報の示す前記第1のセンサの位置または前記第1のセンサの位置に基づく位置に補正する。
このように、たとえば、移動体が第1のセンサの近傍に位置している場合、計測情報の示す計測結果と第1センサ情報の示す計測結果とが略同じである可能性が高いことに着目して、これらの計測結果が略同じ場合に、移動体の推定位置を位置情報の示す第1のセンサの位置または第1のセンサの位置に基づく位置に補正する構成により、移動体の推定位置を当該移動体の実際の位置により近づけることができる。また、第1センサ情報と、当該第1センサ情報の示す計測結果が得られたときの第1のセンサの位置を示す位置情報とを取得する構成により、たとえば、第1のセンサが移動している場合においても、第1のセンサの位置を正しく取得することができるので、位置推定部による推定結果の補正を適切に行うことができる。
(3)好ましくは、前記センサ部は、第2のセンサおよび第3のセンサを含み、前記取得部は、前記第2のセンサによる計測結果を示す第2センサ情報、および前記第3のセンサによる計測結果を示す第3センサ情報を前記計測情報として取得し、前記位置推定部は、前記取得部によって取得された前記第2センサ情報に基づいて前記移動体の位置を推定し、前記補正部は、前記取得部によって取得された前記第3センサ情報、前記第1センサ情報、および前記位置情報に基づいて前記位置推定部による推定結果を補正する。
このような構成により、移動体における2つのセンサのうち、1つのセンサを用いて移動体の位置を推定し、かつ他のセンサを用いて位置推定部による推定結果の補正を行うことができる。
(4)好ましくは、前記位置推定部は、前記取得部によって取得された前記計測情報に基づいて、前記移動体の基準位置に対する相対位置、または前記基準位置および前記相対位置によって定まる位置を前記移動体の位置として推定し、前記位置推定部は、前記補正部による補正後の前記移動体の位置を新たな前記基準位置として用いる。
このように、新たな基準位置に対する相対位置、または当該新たな基準位置および当該相対位置によって定まる位置を移動体の位置として推定する構成により、位置推定部による推定結果の精度を向上させることができる。
(5)好ましくは、前記第1センサ情報および前記計測情報は、温度、湿度、磁場および気圧の少なくともいずれか1つの計測結果を含む。
このように、第1センサ情報および計測情報が、位置に応じて変化する物理量の計測結果を含む構成により、計測情報の示す値を移動体の位置に応じて変化させ、かつ第1センサ情報の示す値を設置位置に対応する値とすることができるので、第1センサ情報および計測情報に基づいて、移動体が第1のセンサの近傍に位置するか否かをより正しく判断することができる。
(6)好ましくは、前記第1のセンサは、所定空間の内部に固定して配置され、前記所定空間における前記移動体以外の対象物、および前記所定空間の少なくともいずれか一方を監視する。
このように、所定空間における移動体以外の対象物、および当該所定空間の少なくともいずれか一方を監視するために配置された第1のセンサを用いて位置推定部による推定結果の補正を行う構成により、工場等の所定空間に既に設けられている第1のセンサを流用することで新たなコストの発生を防ぐことができる。
(7)本発明の実施の形態に係る位置推定システムは、移動体に携行されるセンサ部と、設置された第1のセンサと、位置推定装置とを備え、前記センサ部は、計測結果を示す計測情報を前記位置推定装置へ送信し、前記第1のセンサは、計測結果を示す第1センサ情報を前記位置推定装置へ送信し、前記位置推定装置は、前記第1のセンサの位置情報を取得し、前記位置推定装置は、前記センサ部から受信した前記計測情報に基づいて前記移動体の位置を推定し、前記位置推定装置は、前記計測情報、前記第1のセンサから受信した前記第1センサ情報、および取得した前記第1のセンサの位置情報に基づいて、推定した前記移動体の位置を補正する。
このような構成により、移動体におけるセンサの計測情報に基づいて推定した移動体の位置を、設置されているセンサを用いて補正することができるので、たとえば、対象エリアにおいて移動体が保持するRFIDと通信するためのリーダを設けることなく、移動体の位置をより正しく推定することができる。したがって、低コストな構成で、移動体の位置をより正しく推定することができる。
(8)本発明の実施の形態に係る位置推定方法は、位置推定装置における位置推定方法であって、移動体に携行されるセンサ部による計測結果を示す計測情報、設置された第1のセンサによる計測結果を示す第1センサ情報、および前記第1のセンサの位置情報を取得するステップと、取得した前記計測情報に基づいて前記移動体の位置を推定するステップと、取得した前記計測情報、前記第1センサ情報、および前記第1のセンサの位置情報に基づいて前記移動体の位置の推定結果を補正するステップとを含む。
このような構成により、移動体におけるセンサの計測情報に基づいて推定した移動体の位置を、設置されているセンサを用いて補正することができるので、たとえば、対象エリアにおいて移動体が保持するRFIDと通信するためのリーダを設けることなく、移動体の位置をより正しく推定することができる。したがって、低コストな構成で、移動体の位置をより正しく推定することができる。
(9)本発明の実施の形態に係る位置推定プログラムは、位置推定装置において用いられる位置推定プログラムであって、コンピュータに、移動体に携行されるセンサ部による計測結果を示す計測情報、設置された第1のセンサによる計測結果を示す第1センサ情報、および前記第1のセンサの位置情報を取得するステップと、取得した前記計測情報に基づいて前記移動体の位置を推定するステップと、取得した前記計測情報、前記第1センサ情報、および前記第1のセンサの位置情報に基づいて前記移動体の位置の推定結果を補正するステップとを実行させるためのプログラムである。
このような構成により、移動体におけるセンサの計測情報に基づいて推定した移動体の位置を、設置されているセンサを用いて補正することができるので、たとえば、対象エリアにおいて移動体が保持するRFIDと通信するためのリーダを設けることなく、移動体の位置をより正しく推定することができる。したがって、低コストな構成で、移動体の位置をより正しく推定することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
[構成および基本動作]
図1は、本発明の実施の形態に係る位置推定システムの構成を示す図である。
図1を参照して、位置推定システム301は、複数の計測端末装置1と、1つの移動端末装置2と、位置推定装置101と、4つのアクセスポイント151とを備える。
図1では、複数の計測端末装置1を代表的に示しているが、1つの計測端末装置1が設けられてもよい。また、1つの移動端末装置2を代表的に示しているが、複数の移動端末装置2が設けられてもよい。また、4つのアクセスポイント151を代表的に示しているが、さらに多数または少数のアクセスポイント151が設けられてもよい。
図2は、本発明の実施の形態に係る位置推定システムにおける計測端末装置の構成を示す図である。
図2を参照して、計測端末装置1は、計測センサ31と、送信部35とを備える。
計測端末装置1において、第1のセンサである計測センサ31は、IDを有し、たとえば、温度、湿度、磁場および気圧の少なくともいずれか1つを計測対象とする。計測センサ31は、たとえば、所定の周期T1ごとに計測を行い、自己のIDおよび計測結果を示す第1センサ情報を作成して送信部35へ出力する。したがって、第1センサ情報は、たとえば、温度、湿度、磁場および気圧の少なくともいずれか1つの計測結果を含む。ここでは、計測センサ31は、たとえば温度および湿度を計測対象とする。
送信部35は、計測センサ31から第1センサ情報を受けると、たとえば、受けた第1センサ情報を含む無線信号を生成し、生成した無線信号をアクセスポイント151へ送信する。なお、送信部35は、第1センサ情報を有線によりアクセスポイント151へ送信してもよい。
図3は、本発明の実施の形態に係る位置推定システムにおける移動端末装置の構成を示す図である。
図3を参照して、移動端末装置2は、センサ部44と、送信部45とを備える。センサ部44は、PDR(Pedestrian Dead−Reckoning)用センサ42と、計測センサ43とを含む。
センサ部44において、第3のセンサである計測センサ43は、IDを有し、たとえば、温度、湿度、磁場および気圧の少なくともいずれか1つを計測対象とする。計測センサ43は、たとえば、所定の周期T2ごとに計測を行い、自己のIDおよび計測結果を示す第3センサ情報を作成する。したがって、第3センサ情報は、たとえば、温度、湿度、磁場および気圧の少なくともいずれか1つの計測結果を含む。なお、周期T2の長さおよび周期T1の長さは、同じであってもよいし、異なってもよい。
また、計測センサ43の計測対象と計測センサ31の計測対象とは、同じ計測対象を1つ以上含む。言い換えると、第1センサ情報に含まれる計測結果の種別と第2センサ情報に含まれる計測結果の種別とは、少なくとも一部重複する。
ここでは、計測センサ43の計測対象は、たとえば、計測センサ31の計測対象と同じである、すなわち温度および湿度である。
第2のセンサであるPDR用センサ42は、IDを有し、たとえば、自己の移動端末装置2の動作に関する物理量、具体的には、加速度、角速度および地磁気の少なくともいずれか1つを計測対象とする。PDR用センサ42は、たとえば、計測センサ43と同期して計測を行い、自己のIDおよび計測結果を示す第2センサ情報を作成する。なお、PDR用センサ42は、計測センサ43と同期して計測を行う構成に限らず、周期T2と異なる周期で計測を行う構成であってもよい。
センサ部44は、PDR用センサ42による計測結果および計測センサ43による計測結果を示す計測情報を作成する。より詳細には、センサ部44は、PDR用センサ42により作成された第2センサ情報、および計測センサ43により作成された第3センサ情報を含む計測情報を作成し、作成した計測情報を送信部45へ出力する。
送信部45は、センサ部44から計測情報を受けると、たとえば、受けた計測情報を含む無線信号を生成し、生成した無線信号をアクセスポイント151へ送信する。
再び図1を参照して、アクセスポイント151は、たとえば、計測端末装置1および移動端末装置2から受信する情報を中継して位置推定装置101へ送信する。
より詳細には、アクセスポイント151は、計測端末装置1から第1センサ情報を含む無線信号を受信すると、受信した無線信号から第1センサ情報を取得し、取得した第1センサ情報をたとえば有線によりネットワーク10経由で位置推定装置101へ送信する。
また、アクセスポイント151は、移動端末装置2から計測情報を含む無線信号を受信すると、受信した無線信号から計測情報を取得し、取得した計測情報をたとえば有線によりネットワーク10経由で位置推定装置101へ送信する。
[対象エリア]
図4は、本発明の実施の形態に係る位置推定システムにおける計測端末装置が設けられている対象エリアの平面図の一例である。
対象エリアA1は、たとえば屋内、すなわち所定空間の内部である。具体的には、対象エリアA1は、たとえば工場F1における屋内のフロアである。対象エリアA1には、たとえば、設備A〜Dが設けられている。対象エリアA1において、設備が設けられていないエリアはたとえば通路となっている。なお、対象エリアA1は屋外であってもよい。
移動端末装置2は、移動体に携行されて対象エリアA1を移動することが可能である。具体的には、対象エリアA1において、たとえば人間である移動体M1は、移動端末装置2を携帯しながら通路を移動することが可能である。移動体M1は、たとえば基準時刻tsにおいて位置Pa1に存在する。
計測端末装置1は、たとえば対象エリアA1に固定して配置される。具体的には、計測端末装置1である、計測端末装置1Aおよび1Bと、計測端末装置1Cおよび1Dと、計測端末装置1Eと、計測端末装置1Fおよび1Gとは、たとえば、設備Cと、設備Aと、設備Bと、設備Dとにそれぞれ固定して配置される。
また、設備A、設備Cおよび設備Dには、たとえばアクセスポイント151がそれぞれ設けられている。
また、計測端末装置1は、たとえば、対象エリアA1における移動体M1以外の設備等の対象物、および対象エリアA1の少なくともいずれか一方を監視する、すなわち計測する。ここでは、計測端末装置1A〜1Gは、たとえば対象エリアA1を計測する。
対象エリアA1における任意の位置が、たとえば、x成分、y成分およびz成分を含む座標により特定することができる。たとえば、y軸の方向は、磁北の方向と平行である。また、z軸の方向は、鉛直方向と平行である。
[位置推定装置の構成]
図5は、本発明の実施の形態に係る位置推定システムにおける位置推定装置の構成を示す図である。
図5を参照して、位置推定装置101は、取得部21と、位置推定部22と、補正部23と、記憶部24と、マップ作成部(取得部)25とを備える。
記憶部24は、たとえば、第1センサ情報、第2センサ情報および第3センサ情報を保持する。
また、記憶部24は、たとえば、計測センサ31のIDごとに、当該計測センサ31の位置を示す位置情報を保持する。具体的には、位置情報は、たとえば対象エリアA1における計測センサ31の位置を示す3次元の座標である。なお、位置情報は、たとえば対象エリアA1における計測センサ31の位置を示す2次元の座標であってもよい。以下、計測端末装置1A〜1Gにおける計測センサ31の位置情報を、それぞれ位置情報PIA〜PIGとも称する。位置情報PIA〜PIGは、たとえばユーザにより入力される。
取得部21は、たとえば、第1センサ情報、第2センサ情報、および第3センサ情報を取得する。
具体的には、取得部21は、たとえば、周期T2ごとにアクセスポイント151経由で移動端末装置2から計測情報を受信すると、受信した計測情報から第2センサ情報および第3センサ情報を取得する。そして、取得部21は、たとえば、取得した第2センサ情報および第3センサ情報の両方にインデックスnaを付して記憶部24に保存する。この際、取得部21は、たとえば、計測情報を受信するたびに、インデックスnaをそれぞれインクリメントして付する。
たとえば、第2センサ情報および第3センサ情報は周期T2ごとに作成されるので、インデックスnaの値に基づいて第2センサ情報および第3センサ情報が作成された時刻、すなわちPDR用センサ42および計測センサ43のサンプリングタイミングをそれぞれ算出することが可能である。以下、インデックスnaが付された第2センサ情報および第3センサ情報を、それぞれ第2センサ情報[na]および第3センサ情報[na]とも称する。また、インデックスnaに基づいて算出される時刻すなわちサンプリングタイミングをt[na]とも称する。
また、取得部21は、たとえば、アクセスポイント151経由で計測端末装置1から第1センサ情報を受信すると、受信した第1センサ情報に対して受信時刻を示す受信時刻情報を付して記憶部24に保存する。
[マップその1]
マップ作成部25は、計測端末装置1A〜1Gに関する情報をそれぞれ含むマップMsA〜MsG、および移動端末装置2に関する情報を含むマップMvを作成し、作成したマップMv,MsA〜MsGを保持する。マップMsA〜MsGは、たとえば計測端末装置1A〜1Gにおける計測センサ43のIDにそれぞれ対応しており、また、対応のIDを含む。
図6は、本発明の実施の形態に係る位置推定装置におけるマップ作成部により作成されるマップの内容をイメージ的に説明するための図である。
図6には、たとえば、マップ作成部25が作成するマップMsA〜MsG、およびマップMvの内容について、計測センサ31および43の計測対象が温度である場合における、任意のタイミングtaでの最新の内容がイメージ的に示されている。
具体的には、計測端末装置1A〜1Gにおける計測センサ31により計測された各温度、および移動端末装置2における計測センサ43により計測された温度が示されている。
計測センサ31および43の計測対象が湿度である場合における、タイミングtaでの最新の内容についても、図6と同様にイメージすることができる。
また、計測センサ31および43の計測対象が温度または湿度である場合における、タイミングtaと異なるタイミングでの最新の内容についても、図6と同様にイメージすることができる。
図7は、本発明の実施の形態に係る位置推定装置におけるマップ作成部により作成されるマップの一例を示す図である。図7には、計測端末装置1Aに関する情報を含むマップMsAが示される。
図7を参照して、マップ作成部25は、第1のセンサすなわち計測センサ31の位置情報を取得する。より詳細には、マップ作成部25は、たとえば、第1センサ情報と、第1センサ情報の示す計測結果が得られたときの計測センサ31の位置を示す位置情報とを取得する。
具体的には、マップ作成部25は、たとえば、記憶部24における第1センサ情報を監視し、記憶部24において新たな第1センサ情報が保存されるたびに、当該新たな第1センサ情報、および当該新たな第1センサ情報に付された受信時刻情報を記憶部24から取得する。
マップ作成部25は、たとえば、取得した第1センサ情報から計測センサ31のIDを取得し、取得したIDを用いて、保持しているマップMsA〜MsGの中から当該IDに対応するマップを特定する。
具体的には、マップ作成部25は、たとえば、取得したIDがMIAである場合、マップMsAを特定する。
マップ作成部25は、MIAのIDを有する計測センサ31のサンプリングタイミングとして、取得した受信時刻情報の示す時刻たとえば時刻tA4をマップMsAに追加する。
また、マップ作成部25は、MIAのIDを有する計測センサ31の位置情報PIAを記憶部24から取得し、取得した位置情報PIAの示す座標(xA,yA,zA)を時刻tA4に対応付けてマップMsAに追加する。
また、マップ作成部25は、取得した新たな第1センサ情報から、温度の計測結果および湿度の計測結果としてたとえばtempA4およびhumA4をそれぞれ取得し、取得したtempA4およびhumA4を時刻tA4に対応付けてマップMsAに追加する。
マップ作成部25は、たとえば、取得した新たな第1センサ情報の示すIDがMIB〜MIGである場合においても、IDがMIAである場合と同様に、それぞれ計測端末装置1B〜1Gにおける計測センサ31のサンプリングタイミング、および計測端末装置1B〜1Gの座標、ならびに当該計測センサ31による、温度の計測結果および湿度の計測結果をマップMsB〜MsGにそれぞれ追加する。
図8は、本発明の実施の形態に係る位置推定装置におけるマップ作成部により作成されるマップの一例を示す図である。図8には、移動端末装置2に関する情報を含むマップMvが示される。
図8を参照して、マップ作成部25は、記憶部24における第3センサ情報を監視し、記憶部24において新たな第3センサ情報が保存されるたびに、当該新たな第3センサ情報、および当該新たな第3センサ情報に付されたインデックスを記憶部24から取得する。
マップ作成部25は、取得したインデックス、たとえば(na1+3)に基づいて時刻t[na1+3]を算出し、移動端末装置2における計測センサ43のサンプリングタイミングとして、算出した時刻t[na1+3]をマップMvに追加する。
また、マップ作成部25は、取得した新たな第3センサ情報から、温度の計測結果および湿度の計測結果としてたとえばtempV3およびhumV3をそれぞれ取得し、取得したtempV3およびhumV3を時刻t[na1+3]に対応させてマップMvに追加する。なお、「基準位置の座標」および「推定位置の座標」については後述する。
[移動体M1の位置の推定処理]
位置推定部22は、取得部21によって取得された計測情報に基づいて移動体M1の位置を推定する。より詳細には、位置推定部22は、たとえば、取得部21によって取得された計測情報、具体的には第2センサ情報に基づいて、移動体M1の基準位置、および当該基準位置に対する相対位置によって定まる位置を移動体M1の位置として推定する。ここで、移動体M1の基準位置、および当該基準位置に対する相対位置によって定まる位置は、たとえば移動体M1の絶対位置である。
具体的には、位置推定部22は、たとえば基準時刻tsと基準時刻tsにおける移動体M1の基準位置Psとを示す基準情報を保持している。ここで、基準位置Psは、図4に示すように、たとえば、基準時刻tsにおいて移動体M1が実際に存在する位置Pa1の近傍である一方で、位置Pa1とは異なっている場合がある。これは、後述する、基準位置Psの補正が行われた場合、補正後の基準位置Psと移動体M1が実際に存在する位置Pa1とが厳密に一致しない場合があるためである。なお、基準位置Psと移動体M1が実際に存在する位置とが一致する場合があってもよい。
基準情報の内容は、たとえば補正部23により更新される。また、基準情報の内容の初期値は、たとえばユーザにより設定される。
たとえば、位置推定部22は、基準情報の内容が補正部23により更新されると、基準位置Psにおける移動体M1の速さである初速v0を仮定するとともに、更新後の基準情報をマップ作成部25へ出力する。
位置推定部22は、たとえば、第2センサ情報および基準情報に基づいて、移動体M1の基準位置Ps、および当該基準位置Psに対する相対位置によって定まる位置を移動体M1の位置として推定する。
たとえば、位置推定部22は、記憶部24における第2センサ情報を監視し、記憶部24において新たな第2センサ情報が保存されるたびに、当該新たな第2センサ情報、および当該新たな第2センサ情報に付されたインデックスを取得し、取得した第2センサ情報およびインデックス、ならびに基準情報に基づいて移動体M1の新たな位置を推定する。
位置推定部22は、基準時刻tsに対応するインデックスna1が付された第2センサ情報すなわち第2センサ情報[na1]を記憶部24から取得すると、たとえば取得した第2センサ情報[na1]の示す角速度および地磁気に基づいて基準位置Psにおける移動体M1の移動方向を算出する。これにより、位置推定部22は、算出した移動方向と仮定した初速v0とを有する、時刻t[na1]における速度ベクトル(以下、速度ベクトルv[na1]とも称する。)を算出する。
位置推定部22は、たとえば、基準位置Psおよび速度ベクトルv[na1]を用いて時刻t[na1+1]における移動体M1の絶対位置(以下、絶対位置AP[na1+1]とも称する。)を推定する。
具体的には、位置推定部22は、たとえば、移動体M1が基準位置Psから速度ベクトルv[na1]の示す方向へ、速度ベクトルv[na1]の大きさに周期T2を乗じた距離移動したと推定して絶対位置AP[na1+1]を算出する。ここで、たとえば、基準位置Psおよび絶対位置AP[na1+1]をそれぞれ始点および終点として有するベクトルの向きおよび大きさが相対位置である。
位置推定部22は、たとえば算出した絶対位置AP[na1+1]および時刻t[na1+1]を補正部23およびマップ作成部25へ出力する。
また、位置推定部22は、たとえば、第2センサ情報[na1]の示す加速度および地磁気に基づいて基準位置Psにおける移動体M1の加速度ベクトルを算出する。位置推定部22は、たとえば、算出した加速度ベクトルと速度ベクトルv[na1]とを用いて時刻t[na1+1]における速度ベクトルすなわち速度ベクトルv[na1+1]を算出する。
位置推定部22は、たとえば、絶対位置AP[na1+1]および速度ベクトルv[na1+1]を用いて時刻t[na1+2]における移動体M1の絶対位置すなわち絶対位置AP[na1+2]を算出する。ここで、たとえば、基準位置Psおよび絶対位置AP[na1+2]をそれぞれ始点および終点として有するベクトルの向きおよび大きさが相対位置である。
位置推定部22は、たとえば算出した絶対位置AP[na1+2]および時刻t[na1+2]を補正部23およびマップ作成部25へ出力する。
位置推定部22は、たとえば、第2センサ情報[na1+1]を記憶部24から取得すると、取得した第2センサ情報[na1+1]、速度ベクトルv[na1+1]および絶対位置AP[na1+2]に基づいて、速度ベクトルv[na1+2]および絶対位置AP[na1+3]を算出し、算出した絶対位置AP[na1+3]および時刻t[na1+3]を補正部23およびマップ作成部25へ出力する。ここで、たとえば、基準位置Psおよび絶対位置AP[na1+3]をそれぞれ始点および終点として有するベクトルの向きおよび大きさが相対位置である。
位置推定部22は、たとえば、時刻t[na1+3]より後の時刻における移動体M1の絶対位置AP[na1+x](xは4以上の整数。)についても同様に算出し、算出した絶対位置AP[na1+x]および時刻t[na1+x]を補正部23およびマップ作成部25へ出力する。
[マップその2]
マップ作成部25は、たとえば、位置推定部22から更新後の基準情報を受けると、受けた基準情報の示す基準時刻tsすなわち時刻t[na1]に対応する基準位置として、基準情報の示す基準位置Psの座標(xVs,yVs,zVs)をマップMvにおいてサンプリングタイミングt[na1]に対応する「基準位置の座標」の欄に書き込む。また、マップ作成部25は、たとえば、t[na1]に対応する「推定位置の座標」の欄には、基準位置Psの座標(xVs,yVs,zVs)を書き込む。
また、マップ作成部25は、たとえば、絶対位置AP[na1+y]および時刻t[na1+y](yは1以上の整数。)を位置推定部22から受けると、受けた時刻t[na1+y]に対応する推定位置として、絶対位置AP[na1+y]の座標をマップMvにおいてサンプリングタイミングt[na1+y]に対応する「推定位置の座標」の欄に書き込む。また、マップ作成部25は、たとえば、t[na1+y]に対応する「基準位置の座標」の欄には、直近の基準位置Psの座標(xVs,yVs,zVs)を書き込む。
[移動体M1の位置の補正処理]
補正部23は、取得部21によって取得された計測情報および第1センサ情報、ならびにマップ作成部25によって取得された計測センサ31の位置情報に基づいて位置推定部22による推定結果を補正する。より詳細には、補正部23は、たとえば、取得部21によって取得された第3センサ情報および第1センサ情報、ならびにマップ作成部25によって取得された計測センサ31の位置情報に基づいて位置推定部22による推定結果を補正する。
詳細には、補正部23は、たとえば、計測情報と第1センサ情報とを比較し、比較結果に基づいて、移動体M1の推定位置を位置情報の示す計測センサ31の位置に補正する。
より詳細には、補正部23は、たとえば、第3センサ情報と第1センサ情報とを比較し、比較結果に基づいて、移動体M1の推定位置を位置情報の示す計測センサ31の位置に補正する。
具体的には、たとえば、補正部23は、マップ作成部25が保持しているマップMv,MsA〜MsGに基づいて位置推定部22による推定結果を補正する。
より詳細には、補正部23は、たとえば、図8に示すマップMvを監視し、マップMvに新たなデータが追加されるたびに、新たに追加されたデータ、すなわちサンプリングタイミングSTv、基準位置の座標、推定位置の座標、温度計測結果および湿度計測結果を取得する。
また、補正部23は、たとえば、図7に示すマップMsA、および図示しないマップMsB〜MsGを監視し、マップMsA〜MsGのうちのいずれか1つのマップに新たなデータが追加されるたびに、新たに追加されたデータ、すなわちサンプリングタイミング、計測センサ31の座標、温度計測結果および湿度計測結果を取得する。
補正部23は、たとえば、マップMvからデータを取得するたびに、第1センサ情報と第3センサ情報とを比較する比較処理を行う。なお、補正部23が比較処理を行うタイミングは、マップMvから新たなデータを取得するタイミングに限らず、所定時間ごとのタイミングであってもよいし、マップMsA〜MsGのうちのいずれか1つから新たなデータを取得するタイミングであってもよい。
詳細には、補正部23は、比較処理として、たとえば、第1センサ情報の示す温度の計測結果および湿度の計測結果と第3センサ情報の示す温度の計測結果および湿度の計測結果とをそれぞれ比較する。
より詳細には、補正部23は、たとえば、マップMvにおける最新の温度の計測結果とマップMsA〜MsGにおける最新の温度の計測結果との差の絶対値DtA〜DtGをそれぞれ算出する。また、補正部23は、たとえば、マップMvにおける最新の湿度の計測結果とマップMsA〜MsGにおける最新の湿度の計測結果との差の絶対値DhA〜DhGをそれぞれ算出する。
補正部23は、たとえば、絶対値DtAが所定値Tht以内であり、かつ絶対値DhAが所定値Thh以内である場合、マップMsAに含まれる計測センサ31の座標である(xA,yA,zA)を補正候補座標CAとして取得する。また、補正部23は、たとえば、絶対値DtBが所定値Tht以内であり、かつ絶対値DhBが所定値Thh以内である場合、マップMsBに含まれる計測センサ31の座標を補正候補座標CBとして取得する。また、補正部23は、たとえば、絶対値DtCが所定値Tht以内であり、かつ絶対値DhCが所定値Thh以内である場合、マップMsCに含まれる計測センサ31の座標を補正候補座標CCとして取得する。また、補正部23は、たとえば、絶対値DtDが所定値Tht以内であり、かつ絶対値DhDが所定値Thh以内である場合、マップMsDに含まれる計測センサ31の座標を補正候補座標CDとして取得する。
また、補正部23は、たとえば、絶対値DtEが所定値Tht以内であり、かつ絶対値DhEが所定値Thh以内である場合、マップMsEに含まれる計測センサ31の座標を補正候補座標CEとして取得する。また、補正部23は、たとえば、絶対値DtFが所定値Tht以内であり、かつ絶対値DhFが所定値Thh以内である場合、マップMsFに含まれる計測センサ31の座標を補正候補座標CFとして取得する。また、補正部23は、たとえば、絶対値DtGが所定値Tht以内であり、かつ絶対値DhGが所定値Thh以内である場合、マップMsGに含まれる計測センサ31の座標を補正候補座標CGとして取得する。
補正部23は、比較処理を行った結果、補正候補座標を取得しなかった場合、次の比較処理まで待機する。
また、補正部23は、比較処理を行った結果、1つの補正候補座標を取得した場合、取得した補正候補座標を補正対象座標として採用する。
また、補正部23は、比較処理を行った結果、複数の補正候補座標を取得した場合、以下の候補選択処理を行う。
すなわち、補正部23は、たとえば、位置推定部22による推定結果に基づいて、取得した複数の補正候補座標の中から補正対象座標として採用すべき補正候補座標を選択する。
以下、たとえば、補正部23が、補正候補座標CA,CEを取得した場合における候補選択処理について説明する。
補正部23は、たとえば、図4に示すように、位置推定部22から受ける絶対位置AP[na1+1]〜AP[na1+L]に基づいて、移動端末装置2における計測センサ43が移動した軌跡TrPを認識する。
補正部23は、たとえば、最新の推定結果である絶対位置AP[na1+L]、および補正候補座標CAに基づいて計測センサ43および計測端末装置1A間の距離Dnを算出する。
また、補正部23は、たとえば、最新の推定結果である絶対位置AP[na1+L]、および補正候補座標CEに基づいて計測センサ43および計測端末装置1E間の距離Dfを算出する。
たとえば、補正部23は、距離Dnが距離Dfより短い場合、移動端末装置2における計測センサ43が計測端末装置1Aの近傍に存在する可能性が高いと判断し、補正候補座標CAを補正対象座標として選択する。
補正部23は、たとえば、補正対象座標およびサンプリングタイミングSTvを用いて基準情報を更新する。より詳細には、補正部23は、たとえば、位置推定部22が保持する基準情報における基準時刻tsおよび基準位置Psの座標を、計測センサ43の最新のサンプリングタイミングSTv、および採用または選択した補正対象座標にそれぞれ書き換える。
また、補正部23は、たとえば、計測センサ43の最新のサンプリングタイミングSTv、および採用または選択した補正対象座標を記憶部24に保存する。記憶部24に保存されたサンプリングタイミングSTvおよび補正対象座標は、たとえば、位置推定部22が位置を推定するためのアルゴリズムに用いるパラメータ等の改良に用いられる。
位置推定部22は、たとえば、補正部23による補正後の移動体M1の位置を新たな基準位置Psとして用いる。具体的には、位置推定部22は、たとえば、基準情報の内容が補正部23により更新されると、更新された基準情報の示す基準位置Psを用いて移動体M1の絶対位置を推定する。
[動作]
位置推定システム301における各装置は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のシーケンス図またはフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリからそれぞれ読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
図9は、本発明の実施の形態に係る位置推定システムにおいて、位置推定装置が計測情報、第1センサ情報および計測センサの位置情報を取得する処理のシーケンスの一例を示す図である。
図9を参照して、移動端末装置2は、たとえば周期T2ごとに計測情報を作成し、作成した計測情報を位置推定装置101へ送信する(ステップS102)。位置推定装置101は、移動端末装置2から計測情報を受信すると、受信した計測情報に含まれる第3センサ情報の示す内容、および当該計測情報を受信した時刻すなわちサンプリングタイミングをマップMvに追加する。
次に、位置推定装置101は、計測情報に含まれる第2センサ情報、および基準情報に基づいて移動体M1の位置を推定する(ステップS104)。
次に、計測端末装置1A〜1Gは、たとえば周期T1ごとに第1センサ情報を作成し、作成した第1センサ情報を位置推定装置101へ送信する(ステップS106)。位置推定装置101は、計測端末装置1A〜1Gから第1センサ情報を受信すると、受信した第1センサ情報の内容、および当該第1センサ情報を受信した時刻すなわちサンプリングタイミングをマップMsA〜MsGにそれぞれ追加する。
次に、位置推定装置101は、記憶部24から位置情報PIA〜PIGを取得する(ステップS108)。位置推定装置101は、取得した位置情報PIA〜PIGの示す座標をマップMsA〜MsGにそれぞれ追加する。
なお、上記ステップS102およびS104と、S106と、S108との順番は、上記に限らず、一部または全部の順番を変更してもよい。
図10は、本発明の実施の形態に係る位置推定装置が、移動体の位置の補正処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
移動体M1の位置の補正処理は、たとえば、位置推定装置101がマップMvに第3センサ情報の示す内容およびサンプリングタイミングを追加するたびに、すなわち周期T2ごとに行われる。
図10を参照して、まず、位置推定装置101は、第1センサ情報と第3センサ情報とを比較する比較処理を行う(ステップS202)。
次に、位置推定装置101は、比較処理を行った結果、補正候補座標を取得しなかった場合(ステップS204でNO)、移動体M1の位置の補正処理を終了する。
一方、位置推定装置101は、比較処理を行った結果、1つの補正候補座標を取得した場合(ステップS204でYESおよびステップS206でYES)、取得した補正候補座標を補正対象座標として採用する(ステップS208)。
次に、位置推定装置101は、マップMvに追加されたサンプリングタイミング、および採用した補正対象座標を用いて基準情報を更新する(ステップS212)。
また、位置推定装置101は、比較処理を行った結果、複数の補正候補座標を取得した場合(ステップS204でYESおよびステップS206でNO)、移動体M1の位置の推定結果に基づいて、取得した複数の補正候補座標の中から補正対象座標として採用すべき補正候補座標を選択する(ステップS210)。
次に、位置推定装置101は、マップMvに追加されたサンプリングタイミング、および選択した補正対象座標を用いて基準情報を更新する(ステップS212)。
なお、本発明の実施の形態に係る位置推定装置では、補正部23は、第1センサ情報と第3センサ情報とを比較し、比較結果に基づいて、移動体M1の推定位置を位置情報の示す計測センサ31の位置に補正する構成であるとしたが、これに限定するものではない。補正部23は、比較結果に基づいて、移動体M1の推定位置を位置情報の示す計測センサ31の位置に基づく位置に補正する構成であってもよい。具体的には、補正部23は、たとえば、複数の計測センサ31の示す計測結果を補間し、補間結果を用いて移動体M1の推定位置を補正する。また、補正部23は、たとえば、図4に示すように、移動体M1の推定位置を、設備Cに設けられた計測端末装置1Aの位置PAに補正する代わりに、設備Cの近傍であって通路に存在する位置PAnに補正してもよい。
また、本発明の実施の形態に係る位置推定システムでは、計測端末装置1すなわち計測センサ31は、対象エリアA1に固定して配置される構成であるとしたが、これに限定するものではない。計測センサ31は、対象エリアA1において移動する構成であってもよい。この場合、取得部21は、たとえば、移動する計測センサ31の座標を示す位置情報を取得し、取得した位置情報を記憶部24に保存する。
また、本発明の実施の形態に係る位置推定システムでは、マップ作成部25は、計測センサ31の位置情報を記憶部24から取得する構成であるとしたが、これに限定するものではない。マップ作成部25は、たとえば計測センサ31の位置情報が登録されている外部サーバから当該位置情報を取得する構成であってもよい。
また、本発明の実施の形態に係る位置推定システムでは、移動体M1は人間であるとしたが、これに限定するものではない。移動体M1は、たとえば自動車、ロボットもしくは飛行物体等の移動可能な物体または動物であってもよい。
また、本発明の実施の形態に係る位置推定装置では、位置推定部22は、計測情報に基づいて、移動体M1の基準位置、および当該基準位置に対する相対位置によって定まる位置を移動体M1の位置として推定する構成であるとしたが、これに限定するものではない。位置推定部22は、計測情報に基づいて、移動体M1の基準位置に対する相対位置を移動体M1の位置として推定する構成であってもよい。具体的には、位置推定部22は、たとえば、図8に示す「推定位置の座標」を推定する代わりに、図4に示す基準位置Ps、および軌跡TrPに含まれる絶対位置をそれぞれ始点および終点として有する位置ベクトルを算出し、算出した位置ベクトルの向きおよび大きさを相対位置として推定してもよい。
ところで、たとえば、非特許文献1に記載されているRFIDを用いて人間の居場所を管理するプレゼンス管理が行われることがある。より詳細には、たとえば、人間の居場所を検出するためのリーダが対象エリアに設けられる。RFタグを保持する人間が対象エリアを移動する場合において、RFIDおよびリーダ間の距離が無線通信可能な距離になると、RFIDおよびリーダ間において無線通信が行われる。これにより、RFIDを保持する人間が、当該リーダの近傍に位置することを認識することができる。
しかしながら、対象エリアにリーダを設ける必要があるため、コストが上がってしまうという問題がある。
これに対して、本発明の実施の形態に係る位置推定装置では、取得部21は、移動体M1に携行されるセンサ部44による計測結果を示す計測情報、設置された計測端末装置1A〜1Gに設けられている計測センサ31による計測結果を示す第1センサ情報を取得する。マップ作成部25は、計測端末装置1A〜1Gの各々における計測センサ31の位置情報PIA〜PIGを取得する。位置推定部22は、取得部21によって取得された計測情報に基づいて移動体M1の位置を推定する。そして、補正部23は、取得部21によって取得された計測情報、および第1センサ情報、ならびにマップ作成部25によって取得された位置情報PIA〜PIGに基づいて位置推定部22による推定結果を補正する。
このような構成により、移動体M1におけるセンサの計測情報に基づいて推定した移動体M1の位置を、設置されているセンサを用いて補正することができるので、たとえば、対象エリアにおいて移動体が保持するRFIDと通信するためのリーダを設けることなく、移動体M1の位置をより正しく推定することができる。したがって、低コストな構成で、移動体の位置をより正しく推定することができる。
また、本発明の実施の形態に係る位置推定装置では、取得部21は、第1センサ情報を取得する。マップ作成部25は、当該第1センサ情報の示す計測結果が得られたときの計測センサ31の位置を示す位置情報を取得する。そして、補正部23は、計測情報と第1センサ情報とを比較し、比較結果に基づいて、移動体M1の推定位置を位置情報の示す計測センサ31の位置または計測センサ31の位置に基づく位置に補正する。
このように、たとえば、移動体M1が計測センサ31の近傍に位置している場合、計測情報の示す計測結果と第1センサ情報の示す計測結果とが略同じである可能性が高いことに着目して、これらの計測結果が略同じ場合に、移動体M1の推定位置を位置情報の示す計測センサ31の位置または計測センサ31の位置に基づく位置に補正する構成により、移動体M1の推定位置を移動体M1の実際の位置により近づけることができる。また、第1センサ情報と、当該第1センサ情報の示す計測結果が得られたときの計測センサ31の位置を示す位置情報とを取得する構成により、たとえば、計測センサ31が移動している場合においても、計測センサ31の位置を正しく取得することができるので、位置推定部22による推定結果の補正を適切に行うことができる。
また、本発明の実施の形態に係る位置推定装置では、センサ部44は、PDR用センサ42および計測センサ43を含む。取得部21は、PDR用センサ42による計測結果を示す第2センサ情報、および計測センサ43による計測結果を示す第3センサ情報を計測情報として取得する。位置推定部22は、取得部21によって取得された第2センサ情報に基づいて移動体M1の位置を推定する。そして、補正部23は、取得部21によって取得された第3センサ情報、および第1センサ情報、ならびにマップ作成部25によって取得された位置情報に基づいて位置推定部22による推定結果を補正する。
このような構成により、移動体M1における2つのセンサのうち、1つのセンサを用いて移動体M1の位置を推定し、かつ他のセンサを用いて位置推定部22による推定結果の補正を行うことができる。
また、本発明の実施の形態に係る位置推定装置では、位置推定部22は、取得部21によって取得された計測情報に基づいて、移動体M1の基準位置Psに対する相対位置、または基準位置Psおよび当該相対位置によって定まる位置を移動体M1の位置として推定する。そして、位置推定部22は、補正部23による補正後の移動体M1の位置を新たな基準位置Psとして用いる。
このように、新たな基準位置Psに対する相対位置、または当該新たな基準位置Psおよび当該相対位置によって定まる位置を移動体M1の位置として推定する構成により、位置推定部22による推定結果の精度を向上させることができる。
また、本発明の実施の形態に係る位置推定装置では、第1センサ情報および計測情報は、温度、湿度、磁場および気圧の少なくともいずれか1つの計測結果を含む。
このように、第1センサ情報および計測情報が、位置に応じて変化する物理量の計測結果を含む構成により、計測情報の示す値を移動体M1の位置に応じて変化させ、かつ第1センサ情報の示す値を設置位置に対応する値とすることができるので、第1センサ情報および計測情報に基づいて、移動体M1が計測センサ31の近傍に位置するか否かをより正しく判断することができる。
また、本発明の実施の形態に係る位置推定装置では、計測センサ31は、所定空間の内部に固定して配置され、当該所定空間における移動体M1以外の設備等の対象物、および当該所定空間の少なくともいずれか一方を監視する。
このように、所定空間における移動体M1以外の対象物、および当該所定空間の少なくともいずれか一方を監視するために配置された計測センサ31を用いて位置推定部22による推定結果の補正を行う構成により、工場等の所定空間に既に設けられている計測センサ31を流用することで新たなコストの発生を防ぐことができる。
また、本発明の実施の形態に係る位置推定システムでは、移動体M1に携行されるセンサ部44は、計測結果を示す計測情報を送信部45経由で位置推定装置101へ送信する。設置される計測センサ31は、計測結果を示す第1センサ情報を送信部35経由で位置推定装置101へ送信する。位置推定装置101は、計測センサ31の位置情報を取得する。位置推定装置101は、センサ部44から受信した計測情報に基づいて移動体M1の位置を推定する。そして、位置推定装置101は、計測情報、計測センサ31から受信した第1センサ情報、および取得した計測センサ31の位置情報に基づいて、推定した移動体M1の位置を補正する。
このような構成により、移動体M1におけるセンサの計測情報に基づいて推定した移動体M1の位置を、設置されているセンサを用いて補正することができるので、たとえば、対象エリアにおいて移動体が保持するRFIDと通信するためのリーダを設けることなく、移動体M1の位置をより正しく推定することができる。したがって、低コストな構成で、移動体の位置をより正しく推定することができる。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
移動体に携行されるセンサ部による計測結果を示す計測情報、設置された第1のセンサによる計測結果を示す第1センサ情報、および前記第1のセンサの位置情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記計測情報に基づいて前記移動体の位置を推定する位置推定部と、
前記取得部によって取得された前記計測情報、前記第1センサ情報、および前記第1のセンサの位置情報に基づいて前記位置推定部による推定結果を補正する補正部とを備え、
前記第1のセンサは、対象エリアに固定して配置され、前記対象エリアにおける前記移動体以外の対象物、および前記対象エリアの少なくともいずれか一方を計測する、位置推定装置。