JP2017049147A - 画像処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ステレオカメラを用いて撮像された画像から被写体の3次元位置情報を認識する画像処理装置において、画像データ中における無限遠点の座標の補正を行う。【解決手段】本発明の画像処理装置は、自車両の進行方向をステレオカメラを用いて撮像して得られた一対の画像データに基づき被写体の3次元位置情報を認識する画像処理装置であって、前記一対の画像データ上における、前記自車両に対向する対向車両の点灯中の左右一対ヘッドライトの位置を検出するヘッドライト検出処理部と、所定の期間中における前記一対の画像データ上での前記左右一対のヘッドライトの移動軌跡を近似した一対の近似曲線の交点の座標を算出し、前記交点の座標に基づき、前記被写体の3次元的な位置を算出の基準となる無限遠位置の補正を行う無限遠位置補正処理部と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、車両の進行方向をステレオカメラを用いて撮像して得られた画像に基づき被写体の3次元位置情報を認識する画像処理装置に関する。
車外環境を認識する車両システムとして、自車両の進行方向を一対のカメラを備えるステレオカメラで撮像して得られた一対の画像に基づき、被写体と自車両との位置関係を認識する画像処理装置を備えるものがある。このように自車両の進行方向に存在する被写体を認識するシステムでは、被写体までの距離の情報を含めた被写体の3次元位置情報(実空間上における位置の情報)を生成する。具体的には、前記のステレオカメラにより視点の異なる一対の画像データを撮像し、当該一対の画像データ間における被写体の視差を算出し、当該視差に基づいて被写体の3次元位置情報を生成する。
前記の3次元位置情報は、一対のカメラの中央真下の点を原点とし、一対のカメラを結ぶ方向にX軸、上下方向にY軸、前後方向にZ軸とした場合の空間上の点(X,Y,Z)で表される。3次元位置情報は、三角測量の手法に基づき生成されるもので、具体的には、画像上の画素を座標(i,j)で表し、視差をdp、一対のカメラの間隔をCD、1画素当たりの視野角をPW、一対のカメラの取り付け高さをCH、カメラ正面の無限遠点の画像上でのi座標、j座標をそれぞれIV、JVとしたときに、以下の[式1]〜[式3]で表される座標変換により求まる。
X=CD/2+Z・PW・(i−IV)…[式1]
Y=CH+Z・PW・(j−JV)…[式2]
Z=CD/{PW・(dp−DP)}…[式3]
前記[式3]における「DP」は、消失点視差や無限遠対応点などとも称されるが、要するに基準画像と比較画像の間の対応点間の視差dpと、対応点までの実空間上での距離Zとが前記[式3]を満たすようにして決定される値である。以下、この「DP」については「視差オフセット値DP」と称する。
特開2003−83742号公報
画像上での無限遠点の座標(IV,JV)は、自車両の姿勢変化に応じて変化する。例えば、自車両の加減速や積載物の重量の変化により自車両の姿勢がピッチング方向に変化した場合、自車両に固定されているステレオカメラの画像データ中における無限遠点の位置が変化する。また例えば、振動や熱等に起因して自車両に対するステレオカメラの固定位置が変化した場合にも、画像データ中における無限遠点の位置が変化する。
ステレオカメラによる3次元位置情報の生成を正確に行うには、画像データ中における無限遠点の座標の変化の影響を排除することが望まれる。
本発明は前述した問題を解決するものであり、ステレオカメラを用いて撮像された画像から被写体の3次元位置情報を認識する画像処理装置において、画像データ中における無限遠点の座標の補正を行うことを目的とする。
本発明の一態様の画像処理装置は、自車両の進行方向をステレオカメラを用いて撮像して得られた一対の画像データに基づき被写体の3次元位置情報を認識する画像処理装置であって、前記一対の画像データ上における、前記自車両に対向する対向車両の点灯中の左右一対ヘッドライトの位置を検出するヘッドライト検出処理部と、所定の期間中における前記一対の画像データ上での前記左右一対のヘッドライトの移動軌跡を近似した一対の近似曲線の交点の座標を算出し、前記交点の座標に基づき、前記被写体の3次元的な位置を算出の基準となる無限遠位置の補正を行う無限遠位置補正処理部と、を備える。
本発明によれば、ステレオカメラを用いて撮像された画像から被写体の3次元位置情報を認識する画像処理装置において、画像データ中における無限遠点の座標の補正を行うことができる。
画像処理装置の構成を示すブロック図である。 実空間上において、ヘッドライトを点灯している対向車両が遠方に位置している状態(時刻T1)を示す図である。 実空間上において、ヘッドライトを点灯している対向車両が近づいた状態(時刻T2)を示す図である。 時刻T1にステレオカメラによって撮像された画像データを示す図である。 時刻T2にステレオカメラによって撮像された画像データを示す図である。 画像処理装置の動作を示すフローチャートである。 対向車両の走行軌跡が曲線状である場合の、画像データ上における一対のヘッドライトの移動軌跡の例を示す図である。 対向車両の走行軌跡が直線状である場合の、画像データ上における一対のヘッドライトの移動軌跡の例を示す図である。
以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
図1に示す本実施形態の画像処理装置1は、ステレオカメラ2が装着された車両に搭載され、ステレオカメラ2によって撮像された画像中に写っている物体(被写体)の車両に対する相対的な位置を算出する。
ステレオカメラ2は、車両の進行方向を視野に収めるように車幅方向に所定の距離だけ離間して配置された、視点の異なる一対の第1カメラ2aおよび第2カメラ2bを備える。第1カメラ2aおよび第2カメラ2bは、同期して同一のフレームレートで動画像を撮像する。
第1カメラ2aおよび第2カメラ2bは、互いの光軸が平行であり、同一の高さに設置される。第1カメラ2aおよび第2カメラ2bのそれぞれの光軸の離間距離が、基線長DCである。本実施形態では一例として、第1カメラ2aが、車両の進行方向に向かって左側に配置されており、第2カメラ2bが、車両の進行方向に向かって右側に配置されている。
ステレオカメラ2は、撮像した画像をデジタルデータに変換するA/Dコンバータや、画像に対してノイズ除去および輝度値補正等の画像補正を行う画像補正部等を備える。ステレオカメラ2は、撮像した画像をデジタルデータとして画像処理装置1に送信する。
画像処理装置1は、CPUやROM、RAM、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータより構成されている。なお、画像処理装置1は、車両の動作を制御するコンピュータを含む車両制御システム3に組み込まれていてもよいし、車両制御システム3とは別のコンピュータであってもよい。
画像処理装置1は、車両制御部3との間で通信可能である。車両制御システム3は、車両に設けられた車速センサ、舵角センサ、加速度センサおよび角速度センサ等を含むセンサ部5から入力される情報と、画像処理装置1から入力される情報と、に基づき、車両の周辺環境を含めた状況を認識し、運転支援に係る動作を実行する。
運転支援に係る動作とは、運転者に対して車線逸脱警告や衝突警告を出力する警告動作、および自動ブレーキや自動操舵等の半自動または自動の運転補助動作等を含む。ステレオカメラを用いた運転支援は公知の技術であるため詳細な説明は省略する。
画像処理装置1は、メモリ1a、3次元位置情報生成処理部1b、ヘッドライト検出処理部1c、および無限遠位置補正処理部1eを備える。
メモリ1aは、ステレオカメラ2から入力される画像のデータ等を記憶する。以下では、第1カメラ2aにより撮像される画像を第1画像データと称し、第2カメラ2bにより撮像される画像を第2画像データと称する。
3次元位置情報生成処理部1b、ヘッドライト検出処理部1c、および無限遠位置補正処理部1eは、それぞれ以下に説明する画像処理装置1が有する画像処理の機能を実行するための構成を含む。
3次元位置情報生成処理部1bは、ステレオカメラ2によって撮像された視点の異なる一対の画像データに基づき、被写体の3次元位置情報を生成する。
3次元位置情報生成処理部1bが実行する3次元位置情報生成処理は、第1画像データと第2画像データの間の対応点をパターンマッチングにより検出し、検出された対応点間の座標のずれを視差dpとして算出し、視差dpを用いて三角測量の原理により実空間上における対応点の位置の情報を3次元位置情報として生成する処理である。
前記のような視差dpとしての座標のずれを算出するにあたっては、予め第1画像データおよび第2画像データのうちの一方が「基準画像」、他方が「比較画像」として定められる。
ここで、3次元位置情報は、一対のカメラである第1カメラ2aと第2カメラ2bの中央真下の点を原点とし、一対のカメラを結ぶ方向にX軸、上下方向にY軸、前後方向にZ軸ととった場合の実空間における実座標上の点(X,Y,Z)として表される情報である。
3次元位置情報としてのX,Y,Zの各値は、画像中における水平方向に平行な軸をi軸、垂直方向に平行な軸をj軸としたときの画素の座標を(i,j)で表し、一対のカメラの間隔(基線長)をCD、1画素当たりの視野角をPW、一対のカメラの取り付け高さをCH、ステレオカメラ2の正面の無限遠点の基準画像上でのi座標、j座標をそれぞれIV、JVとしたときに、下記[式1]〜[式3]で表される座標変換により求まる。
X=CD/2+Z・PW・(i−IV) …[式1]
Y=CH+Z・PW・(j−JV) …[式2]
Z=CD/{PW・(dp−DP)} …[式3]
前記[式3]における「DP」は、消失点視差や無限遠対応点などとも称されるが、要するに基準画像と比較画像の間の対応点間の視差dpと、対応点までの実空間上での距離Zとが前記[式3]を満たすようにして決定される値である。以下、この「DP」については「視差オフセット値DP」と称する。
ヘッドライト検出処理部1cは、ステレオカメラ2によって撮像された画像データ中において、自車両に対向している対向車両の点灯中のヘッドライトの位置および視差を検出するヘッドライト検出処理を実行する。
対向車両とは、自車両の前後軸(Z軸)に平行に、自車両に近づく方向に相対的に移動する車両のことである。すなわち、自車両および対向車両のいずれか一方は停止中であってもよい。
ヘッドライト検出処理部1cは、第1画像データおよび第2画像データの双方について、対向車両の点灯中のヘッドライトの位置を検出してヘッドライトの視差を算出する。
ヘッドライト検出処理部1cが、対向車両のうちの点灯中のヘッドライトを検出し、消灯中のヘッドライトの検出を行わないのは、点灯中であればヘッドライトの光源の位置を検出することができるからである。ヘッドライトの光源の位置はステレオカメラ2の視野内において周囲との輝度差が大きく、かつ光源はほぼ点状であるため、画像処理による位置の測定の誤差を小さくすることができる。消灯中のヘッドライトは、周囲との輝度差が小さいため、例えば周辺光の変化によって画像処理によりヘッドライトとして認識される形状が変化してしまうため、位置の測定の誤差が大きくなってしまう。
図2および図3は、実座標であるX−Y平面における対向車両10を示す図である。図2および図3は、鉛直上方から見た図である。図2および図3では、自車両を描画していないが、前述のように、原点位置が自車両に搭載されたステレオカメラ2の第1カメラ2aと第2カメラ2bの中央真下の点である。図2および図3において、自車両の進行方向は、図面に正対して図の下から上に向かう方向(Z軸に沿って正の方向)である。また、対向車両の進行方向は、図面に正対して図の上から下に向かう方向(Z軸に沿って負の方向)である。なお、図では車両が道路の左側を通行する様子を示しているが、車両は道路の右側を通行する場合であってもよい。
図2は、対向車両10が自車両の前方の比較的遠い地点に位置している時刻T1の状態を示している。図3は、時刻T1において遠い地点に位置していた対向車両10が、相対移動によってより自車両に近い地点に位置している時刻T2の状態を示している。時刻T2は、時刻T1のΔT秒後の状態である。対向車両10は、ヘッドライトを点灯中である。
以下では、対向車両10のヘッドライトについて、自車両から見て左側に位置しているヘッドライトを左ヘッドライト11と称し、自車両から見て右側に位置しているヘッドライトを右ヘッドライト12と称する。
図4は、ステレオカメラ2によって前記時刻T1に撮像された画像データを示す図であり、図5は、ステレオカメラ2によって前記時刻T2に撮像された画像データを示す図である。
図4および図5では、説明のために、ステレオカメラ2によって撮像された第1画像データおよび第2画像データのうちの、第1画像データを実線で示している。また、図5においては、第2画像データ中の破線10のヘッドライトの位置を点線で示している。図5では、第1画像中の左ヘッドライトに符号11aを付し、第2画像中の左ヘッドライトに符号11bを付し、第1画像中の右ヘッドライトに符号12aを付し、第2画像中の右ヘッドライトに符号12bを付してある。
前述のように、ヘッドライト検出処理部1cは、例えば図5に示すように画像データ中の、対向車両10の左ヘッドライト11および右ヘッドライト12の位置および視差を検出する。
ヘッドライト検出処理部1cによって検出される、第1画像データ中における左ヘッドライト11aの座標を(IL1,JL1)とし、第2画像データ中の左ヘッドライト11bの座標を(IL2,JL2)とし、第1画像中における右ヘッドライト12aの座標を(IR1,JR1)とし、第2画像中の右ヘッドライト12bの座標を(IR2,JR2)とする。
また、ヘッドライト検出処理部1cによって検出される、画像データ中における左ヘッドライト11の視差dpLは、dpL=IL1−IL2により算出され、右ヘッドライト12の視差dpRは、dpR=IL1−IL2により算出される。
無限遠位置補正処理部1eは、ヘッドライト検出処理部1cによって検出された対向車両のヘッドライトの検出情報に基づいて、現在使用している無限遠位置の誤差を算出し、無限遠位置を補正(校正)する無限遠位置補正処理を実行する。
ここで、無限遠位置とは、前述の3次元位置情報生成処理で用いられる値であり、ステレオカメラ2の正面の無限遠点の基準画像上でのi座標およびj座標のことである。無限遠点の基準画像上でのi座標およびj座標の値は、前述のように(IV,JV)である。
無限遠位置の値は、自車両の姿勢変化に応じて変化する値である。例えば、自車両の加減速や積載物の重量の変化により自車両の姿勢がピッチング方向に変化した場合、自車両に固定されているステレオカメラ2の画像データ中における無限遠点の位置が変化する。また例えば、振動や熱等に起因して自車両に対するステレオカメラ2の固定位置が変化した場合にも、ステレオカメラ2の画像データ中における無限遠点の位置が変化する。
無限遠位置補正処理において、後述する処理により無限遠位置の誤差を算出した後の、無限遠点位置の補正方法は2種類ある。無限遠点位置の補正方法の1つめは、算出した誤差を打ち消すように、無限遠点の座標値(IV,JV)を書き換える方法である。また、無限遠点位置の補正方法の1つめは、無限遠点の座標値(IV,JV)は固定値として、算出した誤差を打ち消すように、画像データ上の座標軸(i−j座標)の原点を移動させる方法である。
本実施形態では一例として、無限遠位置補正処理では、算出した誤差に応じて無限遠点の座標値(IV,JV)を書き換えるものとする。
図6に、無限遠位置補正処理部1eが実行する無限遠位置補正処理のフローチャートを示す。
無限遠位置補正処理ではまずステップS10において、無限遠位置補正処理部1eは、ヘッドライト検出部1cによる、最新の画像データ上における対向車両10の点灯中のヘッドライトの検出が成功しているか否かを判定する。ステップS10では、ヘッドライト検出部1cが対向車両10の点灯中である左ヘッドライト11および右ヘッドライト12の双方を検出した場合に、ヘッドライトの検出が成功したと判定する。言い換えれば、ヘッドライト検出部1cが対向車両10の左ヘッドライト11および右ヘッドライト12の少なくとも一方を検出していない場合には、ヘッドライトの検出が失敗したと判定する。
ステップS10の判定において、ヘッドライト検出部1cによる最新の画像データ上における対向車両の点灯中のヘッドライトの検出が失敗している場合には、無限遠位置補正処理を終了する。
ステップS10の判定において、ヘッドライト検出部1cによる画像データ上における対向車両の点灯中のヘッドライトの検出が成功している場合には、ステップS20に移行する。
すなわち、ステレオカメラ2により撮像される動画像の画像データ中において、ヘッドライト検出部1cによる対向車両の点灯中のヘッドライトの検出が成功した時点で、ステップS20以降の処理が開始される。
ステップS20では、ヘッドライト検出部1cにより新たに検出された点灯中の左ヘッドライト11および右ヘッドライト12の組に識別子を付し、以後、ステレオカメラ2により撮像される動画像の画像データ中における、この点灯中の左ヘッドライト11および右ヘッドライト12の組の移動を追跡する処理を開始する。一例として、以下に説明する処理において追跡する点灯中の左ヘッドライト11および右ヘッドライト12の組のことを、ヘッドライト組xと称する。
そして、ステップS30からステップS50に示すように、無限遠位置補正処理部1eは、ステップS20で追跡を開始したヘッドライト組xがステレオカメラ2により撮像される画像データの視野から消えるまで、ヘッドライト組xの左ヘッドライト11および右ヘッドライト12の位置および視差を検出し続け、この情報をメモリ1aにヘッドライト検出情報として蓄積する。
ヘッドライト検出情報には、ヘッドライト検出処理部1cによって検出される、前述の第1画像データ中の左ヘッドライト11の座標(IL1,JL1)および右ヘッドライト12の座標(IR1,JR1)と、左ヘッドライト11の視差dpLおよび右ヘッドライト12の視差dpRと、の情報が少なくとも含まれる。
ヘッドライト組xの追跡中における、ヘッドライト検出情報の検出処理および記憶処理は、ステレオカメラ2により撮像される画像データの全てのフレームに対して行われてもよいし、所定のフレーム毎に行われてもよい。
ヘッドライト組xがステレオカメラ2の視野から消えた場合には、ステップS50において、無限遠位置補正処理部1eは、ヘッドライト組xの追跡処理を終了する。
なお、ヘッドライト組xの追跡処理の実行中に、ステレオカメラ2の視野内に、ヘッドライト組xとは異なる対向車両10の点灯中の左ヘッドライト11および右ヘッドライト12の組(ヘッドライト組y)の検出が新たに成功した場合には、無限遠位置補正処理部1eは、このヘッドライト組yについてもヘッドライト組xと同様に追跡し、ヘッドライト組yについてのヘッドライト検出情報をメモリ1aに蓄積する処理を並列的に実行する。すなわち、無限遠位置補正処理は、ヘッドライト検出部1cにより検出される対向車両10の点灯中の左ヘッドライト11および右ヘッドライト12の組の全てに対して実行される。
以上に説明したように、無限遠位置補正処理のステップS10からステップS50では、ヘッドライト組xがステレオカメラ2の視野内に現れてから消えるまで、当該ヘッドライト組xの位置および視差を検出し続け、この情報をヘッドライト検出情報として取得する。
そして、ヘッドライト組xがステレオカメラ2の視野内に現れてから消えるまでの一連のヘッドライト検出情報を取得した後に、ステップS60に移行する。ステップS60では、無限遠位置補正処理部1eは、ヘッドライト組xについてのヘッドライト検出情報を取得した期間Px中における、自車両に対する、ヘッドライト組xを有する対向車両10の相対移動の軌跡の形状と位置関係を算出する。
そして、ステップS70において、無限遠位置補正処理部1eは、ヘッドライト組xについてのヘッドライト検出情報を取得した期間Px中において、自車両と対向車両10の双方の走行軌跡が直線状であり、かつ両者の走行軌跡が平行であったか否かを、判定する。
具体的には、無限遠位置補正処理部1eは、期間Px中における、センサ部5に含まれる舵角センサの出力情報に基づき、当該期間Px中の自車両の走行軌跡が直線状であったか否かを判定する。例えば、期間Px中における自車両の舵角が中立付近の所定範囲内に収まっている場合に、無限遠位置補正処理部1eは、期間Px中における自車両の走行軌跡が直線状であったと判定する。
また、無限遠位置補正処理部1eは、ヘッドライト組xについてのヘッドライト検出情報に基づき、期間Px中の自車両に対する対向車両10の相対移動の軌跡が直線状であるか否かを判定する。図7は、ヘッドライト検出情報に含まれる、左ヘッドライト11の座標(IL1,JL1)および右ヘッドライト12の座標(IR1,JR1)をi−j座標にプロットした図である。図2および図3に示すように、対向車両が自車両の右側を通行している場合、図7に示すように、左ヘッドライト11および右ヘッドライト12は、画像データ中の中央から右方向に向かって移動する。
もし期間Px中に対向車両が直線状に走行していれば、画像データ中(i−j座標)において左ヘッドライト11および右ヘッドライト12は直線状に移動する。また、期間Px中に対向車両が進行方向を変えた場合には、図7に示すように、画像データ中における左ヘッドライト11および右ヘッドライト12の移動軌跡が曲線状になる。
そこで、本実施形態の無限遠位置補正処理部1eは、画像データ中(i−j座標)における期間Pxの左ヘッドライト11および右ヘッドライト12の軌道軌跡が、所定の曲率以上の曲線に当てはまる場合に、期間Px中の対向車両の走行軌跡が直線状ではなかったと判定する。
また、無限遠位置補正処理部1eは、同一時刻において検出された左ヘッドライト11のj座標JL1と右ヘッドライト12のj座標JR1の値の差ΔJと、同一時刻において検出された左ヘッドライト11の視差dpLと右ヘッドライト12の視差dpRとの値の差Δdpを、算出する。すなわち、ΔJ=JL1−JR1、Δdp=dpL−dpRである。
もし期間Px中に自車両および対向車両が直線状に走行しており、両者の走行軌跡が平行であれば、期間Px中の全てのΔJおよびΔdpの値は0近傍となる。そこで、本実施形態の無限遠位置補正処理部1eは、期間Px中に検出された全てのヘッドライト検出情報から算出されるΔJおよびΔdpの値が、全て0近傍の所定の範囲内である場合に、期間Px中の自車両と対向車両の走行軌跡が平行であったと判定する。
以上に説明したような処理により、ヘッドライト組xについてのヘッドライト検出情報を取得した期間Px中において、自車両と対向車両10のいずれかの走行軌跡が曲線状であった、または自車両と対向車両10の走行軌跡が直線状であっても平行ではなかった、と判定した場合(ステップS70のNO)には、ステップS130に移行し、メモリ1aに記憶されているヘッドライト組xについてのヘッドライト検出情報を消去する。
一方、ステップS70において、ヘッドライト組xについてのヘッドライト検出情報を取得した期間Px中において、自車両と対向車両10の双方の走行軌跡が直線状であり、かつ両者の走行軌跡が平行であったと判定した場合には、ステップS80に移行する。期間Px中において、自車両と対向車両10の双方の走行軌跡が直線状であり、かつ両者の走行軌跡が平行である場合には、図8に示すように、画像データ中の左ヘッドライト11および右ヘッドライト12の移動軌跡は直線状となる。
ステップS80およびステップS90では、図8に示すように、無限遠位置補正処理部1eは、ヘッドライト組xについてのヘッドライト検出情報に基づき、期間Px中における画像データ中の左ヘッドライト11および右ヘッドライト12の移動軌跡を、最小二乗法により直線近似した近似直線L1および近似直線L2を算出する。そして、ステップS100において、近似直線L1および近似直線L2の交点の座標(IVc,JVc)を算出する。
近似直線L1および近似直線L2は、直線走行中の自車両に対して、平行な反対方向に走行する対向車両10の、ステレオカメラ2の視野内における左ヘッドライト11および右ヘッドライト12の移動軌跡である。よって、この近似直線L1および近似直線L2の交点の座標(IVc,JVc)は、期間Px中におけるステレオカメラ2の正面の無限遠点の座標(消失点)である。
次に、ステップS110において、無限遠位置補正処理部1eは、ステップS100で算出した近似直線L1および近似直線L2の交点の座標(IVc,JVc)からの、現在使用している無限遠点の座標(IV,JV)の乖離値(Ie,Je)を算出する。すなわち、Ie=IVc−IV,Je=JVc−JVである。
そして、ステップS120において、無限遠位置補正処理部1eは、乖離値(Ie,Je)を用いて、次式により無限遠点の座標(IV,JV)を補正する。次式では、現在の無限遠点の座標を(IV,JV)とし、補正後の無限遠点の座標を(IV’,JV’)として示している。
IV’=IV+Ie
JV’=JV+Je
無限遠位置補正処理部1eは、補正後の無限遠点の座標(IV’,JV’)の値を、新たな無限遠点の座標(IV,JV)としてメモリ1aに記憶する。なお、前述したように、無限遠点の座標(IV,JV)は固定値として、乖離値(Ie,Je)を打ち消すように、画像データ上の座標軸(i−j座標)の原点位置を移動させることでも、無限遠位置の補正を行うことができる。
なお、本実施形態では、ステップS110において算出した乖離値(Ie,Je)の絶対値が所定の値以上である場合には、乖離値(Ie,Je)の絶対値を前記所定の値とする。言い換えれば、本実施形態では、1度の無限遠位置補正処理によって無限遠点の座標(IV,JV)を変更することのできる幅を、所定の値以下に制限している。これは、乖離値(Ie,Je)の算出過程において大きな誤差が含まれた場合に、無限遠点の座標(IV,JV)が真の値から急激に大きく逸脱してしまうことを防止するためである。
ステップS120の後に、ステップS130において、無限遠位置補正処理部1eは、メモリ1aに記憶されているヘッドライト組xについてのヘッドライト検出情報を消去し、無限遠位置補正処理を終了する。
以上に説明したように、本実施形態の画像処理装置1は、自車両の進行方向をステレオカメラ2を用いて撮像して得られた一対の画像データに基づき被写体の3次元位置情報を認識する画像処理装置であって、前記一対の画像データ上における、前記自車両に対向する対向車両10の点灯中の左右一対ヘッドライト11、12の位置を検出するヘッドライト検出処理部1cと、所定の期間Px中における前記一対の画像データ上での前記左右一対のヘッドライト11、12の移動軌跡を近似した一対の近似曲線L1、L2の交点の座標(IVc,JVc)を算出し、前記交点の座標(IVc,JVc)に基づき、前記被写体の3次元的な位置を算出の基準となる無限遠位置(IV,JV)の補正を行う無限遠位置補正処理部1eと、を備える。
このような本実施形態の画像処理装置1は、自車両の走行中に無限遠点位置の補正を行うことができるため、自車両のピッチング方向の姿勢変化やステレオカメラ2の取付状態の経時的な変化に伴い生じる無限遠点位置の変化を補正することができる。
例えば、画像データ中の白線等の路面標示から消失点を求め、当該消失点から無限遠点位置の補正を行う従来技術では、積雪等によって路面上の標示が見えない場合に無限遠点位置の補正を行うことができない。本実施形態では、対向車両の点灯中のヘッドライトを用いて無限遠点位置の補正を行うため、路面上に表示が存在しない場合や、標示が見えない場合であっても無限遠点位置の補正を行うことができる。
なお、本実施形態のステップS100で算出する近似直線L1および近似直線L2の交点の座標(IVc,JVc)は消失点であることから、被写体の3次元位置情報を算出するための前記[式3]における視差オフセット値DPの補正にも用いることができる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う画像処理装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1 画像処理装置、
1a メモリ、
1b 3次元位置情報生成処理部、
1c ヘッドライト検出処理部、
1e 無限遠位置補正処理部、
2 ステレオカメラ、
2a 第1カメラ、
2b 第2カメラ、
3 車両制御システム、
5 センサ部、
10 対向車両、
11 左ヘッドライト
12 右ヘッドライト、
CD 基線長、
DP 視差オフセット値、
DP’ 補正後の視差オフセット値、
dp 視差、
PW 1画素当たりの視野角。

Claims (2)

  1. 自車両の進行方向をステレオカメラを用いて撮像して得られた一対の画像データに基づき被写体の3次元位置情報を認識する画像処理装置であって、
    前記一対の画像データ上における、前記自車両に対向する対向車両の点灯中の左右一対ヘッドライトの位置を検出するヘッドライト検出処理部と、
    所定の期間中における前記一対の画像データ上での前記左右一対のヘッドライトの移動軌跡を近似した一対の近似曲線の交点の座標を算出し、前記交点の座標に基づき、前記被写体の3次元的な位置を算出の基準となる無限遠位置の補正を行う無限遠位置補正処理部と、
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記無限遠位置補正処理部は、前記左右一対のヘッドライトの移動軌跡の取得中において、自車両と対向車両の双方の走行軌跡が直線状であり、かつ両者の走行軌跡が平行である場合に、前記無限遠位置の補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
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