JP2017045888A - 接続体、素子、太陽電池素子及び太陽電池モジュール - Google Patents

接続体、素子、太陽電池素子及び太陽電池モジュール Download PDF

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靖 倉田
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Shuichiro Adachi
修一郎 足立
聡美 根本
Satomi Nemoto
聡美 根本
洋一 町井
Yoichi Machii
洋一 町井
野尻 剛
Takeshi Nojiri
剛 野尻
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Masato Yoshida
誠人 吉田
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Abstract

【課題】銅を含む被着体に対する接続部材の接続性が良好であり、かつ被着体の表面に酸化物層が存在していても良好な接続性が得られる接続体の提供。
【解決手段】被着体と、前記被着体に接続され、はんだ合金を含む接続材料とを有し、前記はんだ合金はアンチモンと、錫、銅、銀、ビスマス、インジウム、ニッケル及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも2つとを含み、アンチモンの含有率は前記はんだ合金の全質量に対し、2質量%〜10質量%であり、前記被着体は銅と、錫、ニッケル、リン、ビスマス及び鉛からなる群より選択される少なくとも3つとを含む、接続体。
【選択図】なし

Description

本発明は、接続体、素子、太陽電池素子及び太陽電池モジュールに関する。
太陽電池は一般に、半導体基板上に電極が形成された複数の太陽電池素子の電極部分が接続部材(太陽電池用リード線)で接続された太陽電池モジュールと呼ばれる構造を有する。接続部材は一般に、導電材の表面にはんだ合金層が形成されてなり、はんだ合金層を加熱溶融させて接続部材を電極と接続させる。
太陽電池素子の電極及び接続部材は通常、その表面に自然に形成される酸化物層を有し、この酸化物層が接続強度を低下させるという問題が指摘されている(例えば、特許文献1)。そこで、太陽電池の製造工程において電極及び配線材料の表面に形成された酸化物層をフラックスを用いて化学的に除去することが行われている。さらに、はんだ合金層を加熱溶融する際に再度その表面に酸化物層が形成されることを抑制すること、溶融したはんだ合金の表面張力を下げて電極への濡れ性を改善すること等もフラックスを用いることの利点として挙げられる。
しかしながら、フラックスを用いると、その残渣によって電極及び配線材料の腐食が進行する恐れがある。そのため、はんだ付け後にフラックスを完全に洗浄除去する必要があり、製造が煩雑になる、太陽電池の製造コストの上昇を招く等の問題がある。そこで、フラックスを用いずにはんだ付けする方法として、表面の酸化物層を物理的に除去しつつはんだと被着体とを接着する方法が検討されている。
表面の酸化物層を物理的に除去しつつはんだと被着体とを接着する方法としては、摩擦はんだ付け法及び超音波はんだ付け法が挙げられる(例えば、特許文献2及び3参照)。摩擦はんだ付け法は、金属被着体の表面酸化膜に溶融はんだを接触させながら、機械的摩擦によって表面酸化膜を研削除去することにより、はんだと金属被着体とを直接接触させ、金属原子の拡散により接着するはんだ付け技術である。また、超音波はんだ付け法は、金属被着体の表面酸化膜に溶融はんだを接触させながら、超音波振動により発生したキャビテーションを利用して表面酸化膜を剥離除去することによって、はんだと金属被着体とを直接接触させて、金属原子の拡散により接着するはんだ付け技術である。
一方、太陽電池の電極の材料としては銀が広く用いられているが、銀に代わる材料として銅、銅合金等の銅を含む材料が注目されている。銅は資源が豊富で、地金価格も銀より大幅に低いという利点を有するが、はんだ接続性が低いという問題がある。
特開2002−263880号公報 特許第3205423号公報 特開平9−216052号公報
特許文献2及び3に記載の方法は、機械的摩擦装置、超音波振動装置等の特殊なはんだ接着装置を必要とするが、これらの装置を用いることなく従来のはんだ付けプロセスをそのまま流用できるはんだ付け法及びそれに適した配線材料の開発も重要である。また、上述のようにはんだ接続性の低い銅を含む被着体に対する接続性に優れる配線材料の開発も重要である。
そこで本発明は、銅を含む被着体に対する接続部材の接続性が良好であり、かつ被着体の表面に酸化物層が存在していても良好な接続性が得られる接続体、並びに前記素子を用いた素子、太陽電池素子及び太陽電池モジュールを提供することを課題とする。
上記課題を解決するための具体的手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>被着体と、前記被着体に接続され、はんだ合金を含む接続材料とを有し、
前記はんだ合金はアンチモンと、錫、銅、銀、ビスマス、インジウム、ニッケル及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも2つとを含み、
アンチモンの含有率は前記はんだ合金の全質量に対し、2質量%〜10質量%であり、
前記被着体は銅と、錫、ニッケル、リン、ビスマス及び鉛からなる群より選択される少なくとも3つと、を含む、接続体。
<2>前記はんだ合金の融点が265℃以下である、<1>に記載の接続体。
<3>前記はんだ合金が亜鉛を含み、亜鉛の含有率は前記はんだ合金の全質量に対し、2質量%〜5質量%である、<1>または<2>に記載の接続体。
<4>前記接続材料が、導電材と、前記導電材の表面の少なくとも一部に存在するはんだ合金層とを有し、前記導電材は銅、銀、金及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1つを含む、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の接続体。
<5>前記導電材が純度99.99質量%以上の高純度銅からなる、<4>に記載の接続体。
<6>半導体基板と、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の接続体とを有し、前記接続体の被着体が前記半導体基板上に設けられた構造を有する、素子。
<7>半導体基板と、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の接続体とを有し、前記接続体の被着体は電極であり、前記電極が前記半導体基板上に設けられた構造を有する、太陽電池素子。
<8><7>に記載の太陽電池素子と、封止材とを有し、前記封止材は前記太陽電池素子における前記接続部材の一部が封止部分の外側に位置するように前記太陽電池素子を封止している、太陽電池モジュール。
本発明によれば、銅を含む被着体に対する接続部材の接続性が良好であり、かつ被着体の表面に酸化物層が存在していても良好な接続性が得られる接続体、並びに前記素子を用いた素子、太陽電池素子及び太陽電池モジュールが提供される。
本発明の接続部材の一実施形態の概略断面図である。 本発明の太陽電池素子の一実施形態の概略断面図である。 本発明の太陽電池素子の一実施形態の概略正面図である。 本発明の太陽電池素子の一実施形態の概略裏面図である。 本発明の太陽電池モジュールの構成の一実施形態を示す斜視図である。 接続部材の製造方法に用いる溶融はんだめっき層形成用設備の概略図である。 接続部材の製造方法に用いる溶融はんだめっき層形成用設備の要部の概略図である。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。また、本明細書において組成物中の各成分の粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。また、本明細書において「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含される。
<接続体>
本発明の接続体は、被着体と、前記被着体に接続され、はんだ合金を含む接続材料とを有し、前記はんだ合金はアンチモンと、錫、銅、銀、ビスマス、インジウム、ニッケル及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも2つとを含み、アンチモンの含有率は前記はんだ合金の全質量に対し、2質量%〜10質量%であり、前記被着体は銅と、錫、ニッケル、リン、ビスマス及び鉛からなる群より選択される少なくとも3つと、を含む。
本発明の接続体は、上記構成を有することにより、フラックスを用いずに接続部材と被着体とを良好に接続することができる。その理由は、以下のように推測される。
はんだ合金がアンチモンを含み、その含有率が2質量%であることで、はんだ合金の液相線の温度が上昇し、固相線の温度も上昇するが、固液共存領域の温度差が大きくなる。その結果、被着体の表面に酸化物層が存在していても、酸化物層への濡れ性が向上し、酸化物層に対する接着性が向上すると考えられる。他方、アンチモンの含有量が10質量%を超えると、液相線の温度が上昇して、はんだ合金を溶融するプロセスが高温になりすぎる。場合によっては酸化物被着体との濡れ性が低下する場合がある。また、はんだ合金の液状特性が変化して、導体への被覆が困難になる。本発明においては、はんだ合金のアンチモンの含有率が10質量%以下であることで、液相線の温度上昇によるはんだ合金の融点の上昇が抑制され、はんだ合金を溶融するプロセスが高温になりすぎず、濡れ性の低下が抑制されると考えられる。
本発明の接続体を構成する接続部材は、はんだ合金を含む。ある実施態様では、接続部材は銅、銀等の導体を所望の形状に成形した導電材と、導電材の表面の少なくとも一部に存在するはんだ合金層と、を有する。
接続部材が導電材と、はんだ合金層とを有する場合、導電材は酸化物層を表面に有していてもよい。すなわち、導電材の表面に自然に形成される酸化物層の全部または一部が除去されずに残存していてもよい。これは、はんだ合金が上記の組成を有することにより、被着体である導電材の表面に酸化物層が存在していても酸化物層への濡れ性に優れ、酸化物層に対する接着性が良好であるためである。
導電材とはんだ合金層とは、少なくとも機械的に接合していればよく、通常のはんだ付けのようにはんだ材料を構成する金属原子が導電材中に拡散していなくてもよい。
具体的に「機械的に接合している」とは、接続部材における導電材とはんだ合金層との引張り接着強さが1.5N/φ1.8mm以上であることを意味し、引張り接着強さが3N/φ1.8mm以上であることが好ましい。なお、引張り接着強さは、プッシュプルゲージ(テクロック社製:プッシュプルゲージDDN−705−10))を用いて、めっきの密着性試験方法(JIS H8504、1999年度版)に準じて測定される。また、同様の測定治具を使用して、接続部材の接続点(支点)と引張りの力点との距離を15mm以上に設定した簡易ピール強度試験において、ピール強度が1N/□1.5mm以上であることが好ましい。
接続部材が導電材と、はんだ合金層とを有する場合、接続部材は、例えば、はんだ材料を導電材に接触させて、そのはんだ材料の固相線温度以上、液相線温度の上下40℃付近の温度で加熱処理することで、導電材の表面にはんだ層を形成することによって得られる。ここで、はんだ合金が、固相線温度と液相線温度に5℃以上の差を有するような組成であることが、はんだ接続に有利な固液共存領域とする観点からは好ましい。このようなはんだ接続性が得られる理由は明確ではないが、例えば以下のように考えられる。
固相線温度以上、液相線温度以下の温度では、はんだ合金は液相と固相とが共存可能な状態となっている。液相線温度を越えた温度、つまり、はんだ合金全体が液相となった状態ではんだ合金を被着体に接着しようとすると、表面張力によって液相状態のはんだ合金がはじかれ易くなり、導電材表面に接着しにくくなる。これに対して、液相状態のはんだ合金と固相状態のはんだ合金とが共存した状態では、固相状態のはんだ合金が一部存在することによって液相状態のはんだ合金の表面張力が小さくなり、はんだ合金のはじきが抑えられ、また、はんだ中の気泡が排出されやすくなるために、液相状態のはんだ合金によってはんだ合金全体としての濡れ性が向上することで、導電材表面にはんだ合金の層が良好に接着されるものと考えられる。
接続部材は、銅を含む被着体との接続、特に、銅と、錫、ニッケル、リン、ビスマス及び鉛からなる少なくとも3つとを含む被着体の接続に有効である。本発明の接続体は、例えば、半導体基板と組み合わせてなる素子に適用できる。また、前記素子は、例えば太陽電池素子に適用でき、前記太陽電池素子は、太陽電池モジュールに適用することができる。
図1は導電材と、はんだ合金層とを有する接続部材の一実施形態の概略断面図である。図1に示されるように、接続部材11は、帯板状導電材等の導電材12と、その周囲に形成されるはんだ合金層13とを有する。はんだ合金層は、例えば、溶融はんだめっきにより形成される溶融はんだめっき層である。以下、導電材12の上部に形成されたはんだ合金13を上部はんだ合金層と呼び、導電材12の下部に形成されたはんだ合金層13を下部はんだ合金層と呼ぶ。
接続部材の厚みtは特に制限されない。例えば100μm以上であってよく、200μm以上であることが好ましく、240μm以上であることがより好ましい。また、厚みtは、例えば300μm以下であってよく、280μm以下であることが好ましく、260μm以下であることがより好ましい。
図1に示す接続部材11は、はんだ合金層13が圧延加工により平坦になるように形成されている。すなわち、図1の接続部材11は、導電材12が、例えば、平角導体から構成されている場合には、断面輪郭が長方形になる。導電材12の全周囲を覆うように形成されたはんだ合金層13は、断面輪郭が長方形である導電材12の長辺に相当する面(上面及び下面)に設けられた部分が平坦に形成されている。
はんだ合金層が「平坦」であるとは、導電材12の上面及び下面に形成されたはんだ合金層13の厚みがほぼ一定であることを意味する。具体的には、例えば、はんだ合金層13の厚みが最大となる箇所での厚みAと、厚みが最小となる箇所での厚みBとの比(A/B)が2以下であることを意味する。
はんだ合金層13が平坦であると、接続部材11の被着体への接続が容易となる。また、接合時に必要な熱伝導が十分に確保される。その結果、接続部材11を被着体に対して整然と設置でき、強固なはんだ付けが可能となる。
また、はんだ合金層13が平坦であると、エア吸着治具との密着性が高く移動時の落下が起こりにくい。さらに、接続材料11をボビンに巻き取る際に安定した積層状態が得られ易く、巻き崩れが起こりにくい。よって、巻き崩れにより接続材料11が絡まって引き出されなくなることがない。
導電材12としては、例えば、体積抵抗率が50μΩ・mm以下である平角線(平角導体)を用いることができる。この平角線を圧延加工することによって、凹みを有する断面形状を有する導電材12を得ることもできる。導電材12としては、断面輪郭が円形である丸線導体を用いてもよい。
平角導体の製造方法は特に制限されず、幅広の圧延材をスリットすることで平角導体を製造する方法であってもよく、丸線導体を圧延して平角導体にする方法であってもよい。
導電材の製造方法も、特に限定することがなく、アップキャスト法、SCR法、ヘズレー法、ダウンキャスト法、プロペルチェ法等が挙げられる。
導電材12の材質は、特に制限されない。具体的には、体積抵抗率が比較的小さい材料が好ましく、銅、アルミニウム、銀、金等が挙げられる。これらの中で体積抵抗率が最も低いのは銀である。従って、導電材12の材料として銀を用いると、接続材料11を用いた太陽電池の発電効率を最大限にすることができる。導電材12の材料として銅を用いると、接続材料11の製造コストを低くすることができる。導電材12としてアルミニウムを用いると、接続材料11の軽量化を図ることができる。
導電材12として銅を用いる場合、その種類は特に制限されず、タフピッチ銅、低酸素銅、無酸素銅、リン脱酸銅、純度99.99質量%以上の高純度銅等が挙げられる。導電材12の0.2%耐力を最も小さくするためには、純度が高い銅を用いるのが有利である。よって、純度99.99質量%以上の高純度銅を用いると、導電材12の0.2%耐力を小さくすることができる。タフピッチ銅又はリン脱酸銅を用いると、接続材料11の製造コストを低くすることができる。
〔はんだ合金〕
はんだ合金は、接着性をより高め且つより適切な材料コストにできる点で、アンチモンと、錫、銅、銀、ビスマス、インジウム、ニッケル及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも2つと、を含み、アンチモンの含有率がはんだ合金の全質量に対し、2質量%〜10質量%である。
一般に、高融点のはんだ合金を電子回路基板などに適用すると、接着に高温度での加熱を要し、回路等の破損を生じさせる恐れがあることから、はんだ合金の融点は、例えば、265℃以下であることが好ましく、190℃〜265℃であることがより好ましく、199℃〜245℃であることが更に好ましい。
はんだ合金は、被着体との濡れ性及び被着体との接着性の観点から、アンチモンの含有率ははんだ合金の全質量に対し、例えば、3質量%〜5質量%であることが好ましく、3質量%〜4質量%であることがより好ましい。
被着体との濡れ性及び被着体との接着性の観点から、はんだ合金が亜鉛を含み、亜鉛の含有率がはんだ合金の全質量中に対し、例えば、2質量%〜5質量%以上であることが好ましく、2質量%〜3質量%であることがより好ましい。はんだ合金が亜鉛を含むことで、被着体の表面に酸化物層が存在する場合、酸化物の酸素原子と亜鉛原子とが結合するものと考えられ、酸化物層を有する被着体に対する接着性が向上すると考えられる。また、適量の亜鉛を含有することで、はんだ合金の固相線が低下して、液相線との温度差が拡大することで、固液共存領域が拡大して、はんだ合金の被着体への濡れ性が向上すると考えられる。
はんだ合金は、鉛フリーはんだ合金であることが好ましい。鉛フリーはんだ合金として具体的には、Sn−Sb−Zn、Sn−In−Zn、Sn−Sb−In−Zn、Sn−Sb−Ag−Cu、Sn−Sb−Ag−Cu−Zn、Sn−Sb−Ag−Zn、Sn−Ag−Cu−Zn、Sn−Sb−Cu、Sn−Sb−Cu−Zn、Sn−Sb−Bi、Sn−Sb−Bi−Zn、Sn−Sb−Ni、Sn−Sb−Ni−Zn、Sn−Sb−Bi−Ni、Sn−Sb−Bi−Ni−Zn、Sn−Sb−Cu−Bi−Ni、Sn−Sb−Cu−Bi−Ni−Zn、Sn−Sb−Ag−Cu−Bi−Ni、Sn−Sb−Ag−Cu−Bi−Ni―Zn等の組成のはんだ合金を挙げることができる。本発明においては、上記したはんだ合金を特に制限なく用いることができる。
はんだ合金は、インジウムを含んでいてもよい。インジウムは単体で被着体への接着性を有し、且つはんだ合金に含有されることにより、はんだ合金の融点を下げることができる。はんだ合金がインジウムを含む場合、その含有率は、はんだ接続の長期信頼性及び経済性の観点から、はんだ合金の全質量に対し、例えば、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
はんだ合金は、必要に応じてアンチモン、錫、銅、銀、ビスマス、インジウム、ニッケル及び亜鉛以外の他の原子をさらに含んでいてもよい。他の原子としては特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。他の原子として具体的には、リン(P)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)、カドミウム(Cd)、タリウム(Tl)、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、金(Au)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、イットリウム(Y)等を挙げることができる。
はんだ合金がアンチモン、錫、銅、銀、ビスマス、インジウム、ニッケル及び亜鉛以外の原子を含む場合、その総含有率は、例えばはんだ合金の全質量に対し、1質量%以下とすることができ、融点及び酸化物被着体との接着性の観点から、例えば、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。
はんだ合金は、液相線温度と固相線温度の差が60℃以下であるものが好ましく、前記差が50℃以下であるものがより好ましい。また作業性の観点から、前記差が20℃以上であるものが好ましい。液相線温度と固相線温度との差が上記範囲内にあると、接着時の温度を制御しやすくなり、はんだ接着の作業性に優れる。
はんだ合金の液相線温度及び固相線温度は、溶融状態(液相状態)にあるはんだ材料を冷却する時のはんだ合金の温度を測定した冷却曲線を調べることによって確認することができる。液相線温度及び固相線温度は、冷却曲線に基づく接線法により求めることができる。
はんだ合金は、所望の組成を有する市販品を用いてもよいし、通常用いられる製造方法で製造したものであってもよい。具体的にははんだ合金を構成する各原料を所定の割合で混合し、これを溶融した後に急冷することで所望のはんだ合金を製造することができる。
はんだ合金は、フラックスを実質的に含有しないことが好ましい。フラックスを実質的に含有しないとは、はんだ材料中に含まれるフラックスの総量が2質量%以下であることを意味し、1質量%以下であることが好ましい。前記はんだ合金がフラックスを含有しないことで、被着体にはんだ合金を含む接続部材を接続させる際に、フラックス中の溶剤分を乾燥させる工程を省略することができ、また、被着体にはんだ合金を含む接続部材を接続させたのちのフラックス洗浄工程を省略することができ、更に、フラックス残渣による被着体の腐食を防ぐことができる。はんだ合金がフラックスを含む場合は、フラックス残渣による電極の腐食を防ぐ観点から、比較的活性の弱いフラックス、すなわちロジン系、RMA系、R系のフラックスを用いることが好ましい。
〔被着体〕
被着体は、銅と、錫、ニッケル、リン、ビスマス及び鉛からなる群より選択される少なくとも3つと、を含む。銅を含む被着体は一般にはんだ接続性が低いが、本発明によれば被着体が銅を含んでいても良好な接続性が得られる。
被着体は酸化物層を表面に有していてもよい。すなわち、被着体の表面に自然に形成される酸化物層の全部または一部が除去されずに残存していてもよい。これは、接続部材に含まれるはんだ合金が上記の組成を有することにより、被着体の表面に酸化物層が存在していても酸化物層への濡れ性に優れ、酸化物層に対する接着性が良好であるためである。
被着体と接続材料との接続性の度合いは、被着体と接続材料との引張り接着強さ及び簡易ピール強度を指標とすることができる。引張り接着強さ及び簡易ピール強度の具体的測定方法は、実施例に記載した測定方法と同様に行うことができる。
一般にはんだ接続性の低い銅または銅合金を含む被着体では、引張り接着強さと簡易ピール強度の結果に格差がある傾向を示すが、接続体のハンドリング等の観点から実用的に要求される接続性としては、特に簡易ピール強度が大きいことが要求される。
被着体の組成は、銅と、錫、ニッケル、リン、ビスマス及び鉛からなる群より選択される少なくとも3つと、を含む限りにおいて特に制限されず、用途に応じて選択できる。例えば、被着体が太陽電池の電極である場合は、電極形成の際に行われる焼成(熱処理)時の耐酸化性と、電極に要求される十分に低い体積抵抗率とする観点から、銅及びリンを少なくとも含むことが好ましく、銅及びリンを少なくとも含む合金を焼成(熱処理)して得られるものであることがより好ましい。
被着体の全質量中の銅の含有率は特に制限されず、用途に応じて選択できる。体積抵抗率の観点からは、例えば、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
被着体は、銅及びリンを含むことが好ましい。被着体が銅及びリンを含むことで、リンを含まない場合に比べて体積抵抗率のより低い被着体を得ることができる。これは、リンが焼成(熱処理)時に生じる銅酸化物に対して還元剤として機能し、銅の耐酸化性が高められるためと考えられる。これにより、焼成(熱処理)時における銅の酸化が抑えられ、体積抵抗率の低い被着体が形成されるものと推測される。なお、焼成時における銅の酸化は抑制されるものの、得られた被着体の表面にはリン及び銅の酸化物層が生成する。しかしながら、上述のように酸化物層を除去しなくてもはんだ合金と良好に接続することができる。
被着体が銅及びリンを含む場合のリンの含有率は、耐酸化性と低抵抗率の観点から、銅とリンとの総量に対し、例えば、4.5質量%〜9質量%であることが好ましく、5.5質量%〜8質量%であることがより好ましく、6.5質量%〜7.5質量%であることが更に好ましい。リン含有率が9質量%以下であることで、低い体積抵抗率を達成でき、4.5質量%以上であることで、優れた耐酸化性を達成できる。
被着体は、銅及びリンに加えて錫を含有することがより好ましい。被着体が銅、リン及び錫を含む場合の錫の含有率は、銅、リン及び錫の総量に対し、例えば、3質量%〜20質量%であることが好ましく、5質量%〜15質量%であることがより好ましく、8質量%〜12質量%であることが更に好ましい。
被着体は、例えば、上記の元素から選択される複数の元素を含む合金の粒子、上記の元素の単体からなる粒子、またはこれらの粒子の組み合わせと、必要に応じて含まれるその他の成分とからなる組成物を焼成(熱処理)して得ることができる。合金として具体的には、リン含有銅合金、リン−錫−ニッケル含有銅合金、錫−ビスマス合金、錫−鉛合金等が挙げられる。
組成物に含まれるその他の成分としては、ガラス粒子、樹脂、溶媒等が挙げられ、用途に応じて選択できる。組成物がガラス粒子を含む場合、組成物の焼成(熱処理)時において組成物の表面に酸化物であるガラス層が形成され、これによって内部の銅の酸化が抑制され、体積抵抗率の低い被着体が形成可能である。また、被着体を半導体基板等の上に形成する場合に窒化ケイ素等の反射防止層が基板上に形成されている場合、熱処理(焼成)時においてガラス粒子が窒化ケイ素を酸化して二酸化ケイ素を生成し、この二酸化ケイ素を取り込むことで反射防止層を除去し、被着体と基板とのオーミックコンタクトが形成される。効率的に二酸化ケイ素を取り込むという観点からは、鉛を含むガラス粒子を用いることが好ましい。
〔接続体の製造方法〕
本発明の接続体の製造方法は特に制限されず、公知の方法で製造することができる。例えば、基板上に被着体を形成する工程(被着体形成工程)と、前記被着体に接続材料を接続させる工程(接続工程)と、を含む方法によって製造することができる。
本発明の接続体の製造方法によれば、被着体の表面に形成される酸化物層をフラックスを用いて除去する工程を行うことなく、接続性が良好な接続体を製造することができる。このため、フラックスに起因する被着体等の腐食等の欠陥の発生が抑えられる。また、フラックス中の溶剤分を乾燥させる工程、フラックスの洗浄除去工程等を省略できる。
基板上に被着体を形成する場合の基板の種類は特に制限されない。例えば、太陽電池形成用のpn接合を有するシリコン基板、半導体デバイスに用いるシリコン基板、発光ダイオードの基材に用いられる炭化ケイ素基板等の半導体基板を挙げることができる。基板上に被着体を形成する方法は特に制限されず、公知の方法で行うことができる。
接続工程は、接続材料を被着体に押し付けながらはんだ合金を溶融させることで行うことが好ましい。これにより、はんだ合金中の固相の被着体への密着性が高まり、接続性がより向上する。接続材料の押し付けの圧力は、適宜設定することができる。例えば、200Pa〜5MPaとすることが好ましく、1kPa〜2MPaとすることがより好ましい。また、超音波はんだ接続技術を用いることも有効である。
接続工程の時間は、例えば、1秒以上とすることが好ましく、3秒以上とすることがより好ましく、10秒以上とすることが更に好ましい。これにより、はんだ合金中の固相の被着体への密着性が高まり、接続性がより向上する。
接続工程は、はんだ合金の液相線温度の上下40℃付近の温度範囲で行うことが好ましい。これにより、被着体の表面に酸化物層が存在していても、はんだ合金が良好に接着される。
<素子>
本発明の素子は、半導体基板と、本発明の接続体とを有し、前記接続体の被着体は前記半導体基板上に設けられた構造を有する。本発明の素子に用いられる被着体、接続部材及び半導体基板の詳細は、本発明の接続体について述べた事項を参照することができる。素子の製造方法は特に制限されず、例えば、本発明の接続体の製造方法と同様の方法で製造することができる。
本発明の素子においては、被着体が銅を含んでいても良好なはんだ接続性が得られ、被着体と接続部材との良好な電気的接続が得られる。また、被着体の上に酸化物層が形成されていても、酸化物層を除去することなく良好なはんだ接続性が得られる。本発明の素子の用途は特に制限されず、太陽電池素子、圧電素子、受光・発光素子等として用いることができる。
<太陽電池素子>
本発明の太陽電池素子は、半導体基板と、本発明の接続体とを有し、前記接続体の被着体は電極であり、前記電極は前記半導体基板上に設けられた構造を有する。本発明の太陽電池素子に用いられる電極である被着体、接続部材及び半導体基板の詳細は、本発明の接続体について述べた事項を参照することができる。太陽電池素子の製造方法は特に制限されず、例えば、本発明の接続体の製造方法と同様の方法で製造することができる。
本発明の素子が太陽電池素子である場合、半導体基板としては、不純物拡散層が形成されてpn接合を有するものを特に制限なく用いることができ、任意の不純物拡散層の上に上記被着体である電極が設けられる。
太陽電池素子は通常、半導体基板の受光面及びその逆側の面(裏面)の両方または一方に電極が設けられた構造を有し、本発明においてはいずれか一面の電極が上記被着体であってもよく、両面の電極が上記被着体であってもよい。太陽電池素子は、複数の太陽電池素子が連結された構造を有していてもよく、その際、各々の太陽電池素子の接続材料を介して連結していてもよい。
本発明の太陽電池素子の一実施態様について、図面を参照して詳しく説明する。
図2Aは両面電極型の太陽電池素子の概略断面図であり、半導体基板21の受光面側にn拡散層22、裏面側にp拡散層27が形成され、n拡散層22の上に窒化ケイ素等の反射防止層が形成されている。さらに、受光面側に受光面電極24が形成され、裏面側に裏面集電用電極25及び裏面出力取出電極26が形成されている。
受光面電極24、裏面集電要電極25及び裏面出力取出電極26は、それぞれ図2B及び図2Cに示すような形状を有している。本発明の太陽電池素子では、表面電極24及び裏面電極26の両方または一方が銅を含み、かつはんだ合金を含む接続材料が接続されている。
<太陽電池モジュール>
本発明の太陽電池モジュールは、本発明の太陽電池素子と、封止材とを有し、前記封止材は前記太陽電池素子における前記接続部材の一部が封止部分の外側に位置するように前記太陽電池素子を封止している。
本発明の太陽電池モジュールの一実施態様について、図面を参照して詳しく説明する。
図3は、本発明の太陽電池モジュールの一実施態様の構成を示す概略図である。太陽電池モジュールは、例えば、ガラス板31と、封止材32と、接続部材33を備えた太陽電池素子34と、封止材32と、バックシート35とをこの順に配し、真空ラミネータ等により封止してなる。接続部材33は、その一部が封止部分の外側に位置している。
太陽電池モジュールの製造方法は特に制限されず、公知の方法により行うことができる。ガラス板としては、太陽電池用ディンプル付き白板強化ガラス等が挙げられる。封止材としては、エチレンビニルアセテート(EVA)を含むEVAシートが挙げられる。バックシートとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)系又はテドラー−PET積層材料、金属箔−PET積層材料等が挙げられる。
以下、本発明の一実施形態における接続部材の製造方法の一例を図面に基づいて詳述する。 図1に示される断面形状を有する接続部材11を製造するために、導電材12の上面及び下面に溶融はんだを供給し、はんだ浴の出口ではんだめっきが固体状態となった導電材12を冷却部46(図4参照)に挿入し、冷却後のはんだめっき線を圧延ロールにより圧延することによって、導電材12の上下面に溶融はんだめっき層13を平坦になるように形成する。
一般に、固体や液体の内部では、内部分子同士に分子間力が働いているため、できるだけ小さくなろうとする性質がある。表面の分子は片側が異なる分子に囲まれているため、高い内部エネルギ状態にあり、その過剰なエネルギを安定した状態にしようとする。空気と接するはんだ(液体)の場合、空気中の分子間力ははんだ中の分子間力に比べて極めて小さいため、はんだ表面の分子は空気側の分子からは引っ張られず、はんだ内部の分子からのみ引っ張られることになる。よって、はんだ表面の分子は常にはんだの中に入っていこうとし、その結果、はんだ表面は最も表面積の少ない(はんだを構成する元素の少ない)球状になろうとする。
このような表面積を小さくするように働く力(表面張力)によって、導電材12の上下面に形成されるはんだ合金層13は、山形に膨らんだ形状ではんだが凝固して形成される。球状になるはずのはんだが球状にならないのは、はんだに導電材12との界面の相互作用力(はんだと導電材12の界面張力)がかかっているからである。
これに対し、本実施態様の接続部材11は、はんだが凝固した後にロール間に通すことで、はんだ合金層13を平坦に形成することができる。
原料を帯板状導電材に加工する加工方法としては、圧延加工、スリット加工のいずれも適用可能である。圧延加工とは、丸線を圧延して平角化する方式である。圧延加工により帯板状導電材を形成すると、長尺で長手方向に幅が均一なものが形成できる。スリット加工は、種々の幅の材料に対応できる。つまり、原料導電材の幅が長手方向に均一でなくても、幅が異なる多様な原料導電材を使用する場合でも、スリット加工によって長尺で長手方向に幅が均一なものが形成できる。
導電材12を熱処理することにより、導電材12の軟らかさを向上させることができる。導電材12の軟らかさを向上させることは、0.2%耐力を低減させるのに有効である。熱処理方法としては、連続通電加熱、連続式加熱、バッチ式加熱がある。連続して長尺にわたって熱処理するには、連続通電加熱、連続式加熱が好ましい。安定した熱処理が必要な場合には、バッチ式加熱が好ましい。酸化を防止する観点から、窒素などの不活性ガス雰囲気あるいはタフピッチ銅以外の酸素の少ない銅では水素還元雰囲気の炉を用いるのが好ましい。
導電材12は、素線(断面円形状の線材)を圧延加工し、その後、連続通電加熱炉又は連続式加熱炉又はバッチ式加熱設備で熱処理して形成してもよい。
図4に、はんだ合金層13を平坦にするための溶融めっき設備40を示す。溶融めっき設備40は、平角導体又は丸線導体からなる長尺の導電材41を送り出す送り出しリール42、はんだ浴(溶融はんだめっき槽)43、はんだ浴43内に設置され導電材42を反転させて上方に向ける反転ローラ44、はんだ浴43の外で反転ローラ44の上方に設置され、溶融はんだめっき線45を冷却する冷却部46、冷却部46の上方に上下に複数段に設置されそれぞれ左右一対のローラからなる圧延ロール47、溶融はんだめっき線45を加熱処理する加熱部48、加熱部48の上方に設置され左右一対のローラからなる圧延ロール49、最上方に設置された引き上げローラ50、及び溶融はんだめっき線45を巻き取る巻取りリール51を備える。
導電材41は、はんだ浴43に浸漬されることで上下面及び側面にはんだが供給され、反転ローラ44で反転されて上方に向かう。
図4に示されるように、溶融状態の溶融はんだめっき線45を冷却部46に送り込む。冷却部46では、例えば、50℃以下の空気を吹き付ける等の方法によって冷却することで、溶融はんだめっき線45を固体状態とする。この固体状態の溶融はんだめっき線45が複数段の圧延ロール47で圧延され、さらに圧延ロール49で圧延されることにより、最終的なめっき厚が調整され、図1に示されるようなはんだ合金層13が平坦である接続部材11が製造される。
冷却部46は、50℃以下の空気を吹き付ける場合に限定するものではなく、酸化を防止するためAr、N等の不活性ガス単体又はこれらの混合ガスを室温(25℃)以下の温度で吹き付けることで、迅速に固化させることが生産効率の観点からは望ましい。
ここで、冷却部46によるめっき膜厚の均一化(平坦化)の方法について述べる。
(1)原料銅材が帯板状導電材である場合
導電材41として、帯板状導電材(平角導体)を用いた場合には、溶融はんだめっきを塗布した後に冷却することにより、溶融はんだが導電材41の周囲に表面張力で最小サイズになる形状で固化する。このとき、導電材41の周面における溶融はんだめっきの塗布量は一定である。この溶融はんだめっき線45を圧延することにより、はんだ合金層43が塑性加工されて上下面のはんだ合金層43の厚さが一定で表面性状が均一な平角形状の接続材料11になる。
冷却(急冷)の後、塑性加工されたはんだ合金層13の加工歪を除去するため、低温加熱処理(例えば、150℃〜230℃での高周波加熱)を施すことが好ましい。これにより0.2%耐力値の低い接続材料11を溶融はんだめっき塗布工程と同一工程にてインラインで実現することができる。
(2)原料銅材を丸線とした場合
導電材12として、丸線導体を用いた場合には、丸線導体の周面に溶融はんだめっきを塗布した後に冷却することにより、溶融はんだが表面張力で最小サイズになる形状で固化する。このとき、丸線導体の周面における溶融はんだめっきの塗布量はほぼ一定厚さである。この溶融はんだめっき線45を圧延することにより丸線導体及びはんだ合金層13が塑性加工される。丸線導体が塑性変形されて帯板状導電材となる。その帯板状導電材の上下面のはんだ合金層13の厚さが均一に形成された平角形状の太陽電池用リード線11になる。
この場合にも、塑性加工された帯板状導電材とはんだ合金層の加工歪を除去するため、高温加熱処理(例えば、500〜600℃での高周波加熱)を施すことが好ましい。これにより0.2%耐力値の低い接続材料を溶融はんだめっき塗布工程と同一工程にてインラインで実現することができる。さらに冷間ロール圧延により、軽度の圧延を施すことにより、上下面のめっき膜厚の一定である精密平角線となる。ここに軽度の圧延とは、加工度が0.2%〜1%程度であることをいう。
導電材12にはんだ合金層13を平坦に形成するために、圧延ロール47は、めっき浴43の上方において導電材41の上下面(この溶融めっき設備40においては左右に位置する)を挟むように配置される。各圧延ロール47における左右一対のローラの間隔を微調整することで、はんだ合金層13のめっき厚及びはんだ合金層13の横断面形状を調整することができる。
すなわち、溶融めっき設備40において、導電材41の周囲にはんだ合金層13が形成される際、導電材12が溶融めっき設備40の上下に走行する経路は、反転ローラ44と引き上げローラ50とで決定され、その経路に対して各圧延ロール47の上下位置と左右間隔を微調整することで、上部はんだ合金層13の層厚と下部はんだ合金層13の層厚が調整できると共に全体の層厚が調整できる。全体の層厚は、先ず下部の圧延ロール47におけるローラの間隔で最初の厚さが決定され、最上部の圧延ロール49のローラの間隔で最終厚さが決定される。さらに、引き上げローラ50で溶融はんだめっき線45が反転されたとき、溶融はんだめっき線45の上面が上部はんだ合金層13となり、下面が下部のはんだ合金層13となるが、そのはんだ合金13の平坦度を決定する圧延ロールは、図で見て左側のローラが上部はんだ合金層13の平坦度を決定し、右側のローラが下部はんだ合金層13の平坦度を決定することとなるため、これら圧延ロールの経路に対する位置を調整することではんだ合金層13の平坦度を調整できる。
図5は、図4に示される装置の一部を示したものである。非酸化性ガスによって表面を覆われた(大気雰囲気の場合もある)はんだ浴57にダイス58を配置し、下方よりはんだ浴57中を通過させた導電材55をダイス58に通し、これを上方に引き上げることによってはんだ合金層56を形成する。ダイス58の内部の液面H1のレベルは、はんだ浴57の浴面H2より常に下方に位置させる。
図1に示される接続部材11のはんだ合金層13の形状と厚さは、導電材55のはんだ合金層56の厚さ及び幅の寸法、はんだ浴57の温度、導電材55の引き上げ速度、ダイス58と導電材55の間隔g、ダイス58の形状、はんだ浴57の表面張力等によって制御される。中でも、はんだ浴57の表面張力が大きく影響する。
スリット加工による導電材12は、種々の幅の材料に対応できる。つまり、導電材12の幅が長手方向に均一でなくてもまた、幅が異なる多様な導電材12を使用する場合でも、スリット加工によって長尺で長手方向に幅が均一なものが形成できる。
次に、本実施態様の接続部材11を用いた太陽電池素子の製造方法を説明する。
本発明の接続部材11を、図2に示す半導体基板21の表面電極24及び裏面電極26にはんだ付けするに際し、接続部材11及び半導体基板21の加熱温度は、はんだ合金層13のはんだの融点付近の温度に制御されることが好ましい。その理由は、接続部材11の導電材12(例えば、銅からなる)の熱膨張率と半導体基板(例えば、シリコン基板)の熱膨張率が大きく相違するためである。熱膨張率の相違によって半導体基板21にクラックを発生させる原因となる熱応力が生じる。この熱応力を小さくするには、低温接合を行うのがよい。よって、接続部材11及び半導体基板21の加熱温度は、はんだ合金層13のはんだの融点付近の温度に制御されることが好ましい。
接続部材11と表面電極24及び裏面電極26との接合時の加熱方法は、半導体基板21をホットプレート上に設置し、このホットプレートからの加熱と半導体基板21に設置された接続部材11の上方からの加熱とを併用するものであってもよい。
半導体基板21の表面電極24及び裏面電極26とはんだ合金層13との接触面積を大きくし、半導体基板21からはんだ合金層13への熱伝導を十分にするためには、はんだ合金層13を含む接続部材11の形状を平角状にするのが好ましい。
さらに、本実施態様の接続部材11は、はんだ合金層13が平坦に形成されているので、上下面が平坦である。よって、半導体基板52の表裏両面に接続部材11を接合する場合に、表面電極24にはんだ付けする接続部材11と裏面電極26にはんだ付けする接続部材11の間に位置ズレが生じない。
また、本実施態様の接続部材11は、導電材12の上下面に平坦なはんだ合金層13を厚く形成しても従来の接続部材11のように位置ずれが生じず、接合時に十分なはんだを供給できる。このため、接続部材11の接合後に太陽電池素子の表面電極上に形成されるはんだフィレットを安定した山形の形状にすることも可能である。フィレットとは、ろう付けやはんだ付けを行った継ぎ手の隙間からはみだしたろうやはんだを指す。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<実施例1>
(接続部材の導電材の作製)
銅材料(純度99質量%)を圧延加工して、幅1.5mm、厚さ0.2mmの平角線状の導電材を作製した。
(接続部材の作製)
はんだ合金の組成は、はんだ浴に投入する金属地金により制御した。すなわち、金属地金として、錫92部、アンチモン5部及び亜鉛3部となるように調整して、図4及び図5に示す装置を用いて導電材の表面にはんだ合金層が形成された接続部材1を得た。得られた接続部材のはんだ合金層の冷却曲線を熱電対及びペンレコーダを用いて調べた結果、液相線温度245℃、固相線温度201℃であった。
(引張り接着強さ測定端子の作製)
上記で得られた接続部材1を20mmの長さに切断し、その片端から1.5mmのところでL字形状になるように曲げ、更にもう一方の端から3.5mmのところでU字形状になるように曲げ、これを引張り接着強さ測定端子として用いた。
(簡易ピール強度測定端子の作製)
上記で得られた接続部材1を20mmの長さに切断し、その片端から1.5mmのところでU字形状になるように曲げ、これを簡易ピール強度測定端子として用いた。
(電極形成用組成物の調製)
5.0質量%のリンと、17.5質量%の錫と、20.0質量%のニッケルとを含むリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子(粒子径(D50%)は5.0μm、形状は略球状)を67.0部、ガラス粒子を8.0部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BC)を20.0部、及びポリアクリル酸エチル(EPA、藤倉化成(株)、重量平均分子量:155000)を5.0部混ぜ合わせ、自動乳鉢混練装置を用いて混合してペースト化し、電極形成用組成物を調製した。
ガラス粒子としては、二酸化ケイ素(SiO)3.0質量%、酸化鉛(PbO)60.0質量%、酸化ホウ素(B)18.0質量%、酸化ビスマス(Bi)5.0質量%、酸化アルミニウム(Al)5.0質量%、及び酸化亜鉛(ZnO)9.0質量%からなるガラス粒子(以下、「G01」、軟化点420℃、粒子径(D50%)2.5μm、形状は略球状)を使用した。
(電極の作製)
大きさが125mm×125mmで厚みが190μmであり、受光面にn型半導体層、テクスチャー及び反射防止膜(窒化ケイ素膜)が形成されたp型半導体基板(市販品)の裏面に、スクリーン印刷法により、前記の電極形成用組成物を図2に示されるような2本の出力取出し(バスバー)電極のパターンとなるように印刷した。この際、熱処理(焼成)後の電極のパターンが4mm幅、膜厚が約13μmとなるように、印刷条件(スクリーン版のメッシュ、印刷速度、印圧)を調整した。これを150℃に加熱したオーブンの中に15分間入れ、溶剤を蒸散により取り除いた。続いて、赤外線急速加熱炉内で大気雰囲気下、800℃で3秒〜4秒間の熱処理(焼成)を行い、銅合金からなる出力取出し電極を作製した。得られた電極の表面には、スズ系酸化物層が形成されていた。
(引っ張り接着強さ試験用接続体の作製)
上記で出力取出し電極が形成された半導体基板を、ホットプレート(アズワン(株)製;HP−1SA)の上で加熱し、温度が一定となるまで充分に時間を置いた。温度は表面温度計で出力取出し電極の表面を測定した。出力取出し電極の上に、上記で作製した引張り接着強さ測定端子のL字形状に曲げた幅1.5mm、長さ1.5mmの部分が接触するように載せ、ホットプレートと同じ温度に設定したはんだこて(太洋電機産業(株)製RV−802AS)を用いて出力取出し電極に押し付けた。このようにして、引っ張り接着強さ試験用接続体を作製した。なお、ホットプレート及びはんだこての温度は、表1に示すようにそれぞれ調節した。
(簡易ピール強度試験用接続体の作製)
上記で出力取出し電極が形成された半導体基板を、ホットプレート(アズワン(株)製;HP−1SA)の上で加熱し、温度が一定となるまで充分に時間を置いた。温度は表面温度計で出力取出し電極の表面を測定した。出力取出し電極の上に上記で作製した簡易ピール強度測定用端子のU字形状に曲げた側と反対側の端部の幅1.5mm、長さ1.5mmの部分が接触するように載せ、ホットプレートと同じ温度に設定したはんだこて(太洋電機産業(株)製RV−802AS)を用いて出力取出し電極に押し付けた。このようにして、簡易ピール強度試験用接続体を作製した。なお、ホットプレート及びはんだこての温度は、表1に示すようにそれぞれ調節した。
(接着性の評価)
接続体の接着性を、引張り接着強さ試験及び簡易ピール強度試験によって評価した。試験は、下記に示す方法によって表1に示す接続温度で行った。評価結果を表1に示す。表1における各欄の左側が引っ張り接着強さ試験の評価であり、右側が簡易ピール強度試験の評価である。
引っ張り接着強さ試験は、上記で作製した引っ張り接着強さ試験用接続体と、プッシュプルゲージ(テクロック社製:プッシュプルゲージDDN−705−10))を用いて、めっきの密着性試験方法(JIS H8504、1999年度版)に準じて測定し、以下の基準により評価した。A、B及びCを合格とし、Dを不合格とした。
A:引張り接着強さが3N/φ1.8mm以上であり、良好に接着した。
B:引張り接着強さが1.5N/φ1.8mm以上、3N/φ1.8mm未満であり、十分に接着した。
C:引張り接着強さが1.5N/φ1.8mm未満であり、接着したが、はんだがはじき気味である、接着はするが固形分が多い等の理由により、接着作業性に難があった。
D:接着しなかった(はじいてしまい接着しない、固形分が多く接着しない、及び凝固して接着しない、という状態をそれぞれ含む)。
簡易ピール強度試験は、上記で作製した簡易ピール強度試験用接続体と、同様の測定治具(引っ張り接着強さ試験で使用したプッシュプルゲージ)を使用して行った。具体的には、簡易ピール強度の評価用のはんだ被覆導電材の端部の接続点(支点)ともう一端のU字に折り曲げた側を垂直に引き上げることで、引張りの力点との距離を15mm以上に設定した簡易ピール強度試験において、ピール強度/□1.5mmを評価し、以下の基準により評価した。A’、B’及びC’を合格とし、D’を不合格とした。
A’:簡易ピール強度が2N/□15mm以上であり、良好に接着した。
B’:簡易ピール強度が1N/□15mm以上であり、2N/□15mm未満で接着した。
C’:簡易ピール強度が0.5N/□15mm以上であり、はんだが弾き気味である、接着はするが固形分が多い等の理由により、接着作業性に難があった。
D’:接着しなかった(はじいてしまい接着しない、固形分が多く接着しない、及び凝固して接着しない、という状態をそれぞれ含む)。
<実施例2>
実施例1において、接続部材のはんだ合金の組成を錫92部、アンチモン5部及び亜鉛3部から、錫90部、アンチモン5部及び亜鉛5部に変更して、接続部材2を作製し、これを用いた以外は実施例1と同様にして、接着温度と接着性の評価を行った。得られた接続部材2のはんだ合金層の冷却曲線を調べた結果、液相線温度199℃、固相線温度245℃であった。結果を表1に示す。
<実施例3>
実施例1において、接続部材のはんだ合金の組成を錫92部、アンチモン5部及び亜鉛3部から、錫87部、アンチモン10部及び亜鉛3部に変更して、これを用いた以外は実施例1と同様にして、接着温度と接着性の評価を行った。得られた接続部材3のはんだ合金層の冷却曲線を調べた結果、液相線温度201℃、固相線温度265℃であった。結果を表1に示す。
<実施例4>
実施例1において、接続部材のはんだ合金の組成を接続部材のはんだ合金の組成を錫92部、アンチモン5部及び亜鉛3部から、錫85部、アンチモン10部及び亜鉛5部に変更して、接続部材4を作製し、これを用いた以外は実施例1と同様にして、接着温度と接着性の評価を行った。得られた接続部材4のはんだ合金層の冷却曲線を調べた結果、液相線温度199℃、固相線温度265℃であった。結果を表1に示す。
<実施例5>
実施例1において、電極形成用組成物の調製方法を以下に示すように変更して、接続部材を電極に接続する際に、電極に市販のロジン系フラックスを塗布して接続部材を接続した以外は、実施例1と同様にして、接着温度と接着性の評価を行った。
電極用組成物は、6.0質量%のリンと、9.0質量%の錫と、10.0質量%のニッケルとを含むリン−錫−ニッケル含有銅合金粒子(粒子径(D50%)は5.0μm、形状は略球状)を48.3部、錫−58%ビスマス合金粒子(粒子径(D50%)は5.0μm、形状は略球状)を20.7部、ガラス粒子を6.0部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BC)を20.0部、及びポリアクリル酸エチル(EPA、藤倉化成(株)、重量平均分子量:155000)を5.0部混ぜ合わせ、自動乳鉢混練装置を用いて混合してペースト化し、電極形成用接続体を調製した。
ガラス粒子としては、二酸化ケイ素(SiO)3.0質量%、酸化鉛(PbO)72.0質量%、酸化ホウ素(B)18.0質量%、酸化アルミニウム(Al)5.0質量%、及び酸化亜鉛(ZnO)2.0質量%からなるガラス粒子(以下、「G02」、軟化点440℃、粒子径(D50%)2.5μm、形状は略球状)を使用した。
<比較例1>
実施例1において、接続部材のはんだ合金の組成を錫95部、アンチモン5部及び亜鉛3部から錫50部及び鉛50部に変更して、接続部材5を作製し、これを用いた以外は実施例1と同様にして、接着温度と接着性の評価を行った。接続部材5のはんだ合金層の冷却曲線を調べた結果、液相線温度214℃、固相線温度183℃であった。結果を表2に示す。
<比較例2>
実施例1において、接続部材のはんだ合金の組成を錫95部、アンチモン5部及び亜鉛3部から錫70部及び鉛30部に変更して、接続部材6を作製し、これを用いた以外は実施例1と同様にして、接着温度と接着性の評価を行った。接続部材5のはんだ合金層の冷却曲線を調べた結果、液相線温度192℃、固相線温度183℃であった。結果を表2に示す。
表1に示したように、はんだ合金の組成がSn−Sb−Znである実施例1〜実施例5では、固相線温度以上、かつ液相線以下の接続温度範囲において、高い引張り強さと高い簡易ピール強度が得られた。また液相線以上、かつ液相線+30℃以下の温度範囲でも、多少接続強度は低下する傾向だが、引張り強さとピール強度の双方とも急激には低下せずに接続が可能であった。
表2に示したように、はんだ合金の組成がSn−Pbである比較例1及び比較例2では、固相線温度以上、かつ液相線以下の接続温度範囲において、高い引張り強さが得られたが、簡易ピール強度は大幅に低下した。また液相線以上の温度範囲では、濡れ性が急激に低下して、引張り強さと簡易ピール強度の双方とも大幅に低下した。
このように、本発明によれば、被着体が銅を含んでいても引張り強さだけでなく、実用的に必要とされるピール強度を大幅に向上することができる。また、高い接続強度が得られる接続温度の範囲が広がり、接続プロセスのマージンも拡大することで、材料特性及びプロセス面での実用性が格段に向上する。
<実施例6>
〔太陽電池素子の作製〕
大きさが125mm×125mmで厚みが190μmであり、受光面にn型半導体層、テクスチャー及び反射防止膜(窒化珪素膜)が形成されたp型半導体基板(市販品)の受光面に、スクリーン印刷法により、銀電極形成用組成物(デュポン(株)製、導体ペーストSolamet159A)を、図3に示すような電極パターンとなるように印刷した。電極のパターンは150μm幅のフィンガーラインと1.1mm幅のバスバーとで構成され、焼成後の電極の膜厚が約5μmとなるよう、印刷条件(スクリーン版のメッシュ、印刷速度、印圧)を調整した。これを150℃に加熱したオーブンの中に15分間入れ、溶剤を蒸散により取り除いた。
次いで、p型半導体基板の裏面にスクリーン印刷法により、実施例1で作製した電極形成用組成物を図2に示すような出力取出し電極のパターンとなるように印刷した。電極のパターンは4mm幅のバスバーで構成され、熱処理(焼成)後の電極の膜厚が15μmとなるよう、印刷条件(スクリーン版のメッシュ、印刷速度、印圧)を調整した。これを150℃に加熱したオーブンの中に15分間入れ、溶剤を蒸散により取り除いた。
続いて、p型半導体基板の裏面にアルミニウム電極ペースト(PVG Solutions Inc.社製、Solar Cell Paste(Al) HyperBSF Al Paste)をスクリーン印刷により、図4に示すように、出力取出し電極を形成した部分以外の全面に印刷した。焼成後の電極の膜厚が40μmとなるよう印刷条件を調整した。これを150℃に加熱したオーブンの中に15分間入れ、溶剤を蒸散により取り除いた。更に、赤外線急速加熱炉内で大気雰囲気下、850℃で2秒間の熱処理(焼成)を行い、受光面電極および裏面の集電電極と出力取出し電極を形成した。得られた出力取出し電極の表面には、Sn−P−Oガラス酸化物の層及び銅酸化物の層が形成されていた。
次に、上記で得られたp型半導体基板の受光面及び裏面の出力取出し電極の上に、実施例1と同様にして、表1に示す組成のはんだ合金層を有する接続部材を240℃で出力取出し電極の上に接着した。その後冷却し、太陽電池素子を作製した。
〔太陽電池としての発電性能評価〕
作製した太陽電池素子の評価は、擬似太陽光として(株)ワコム電創製、WXS−155S−10、電流−電圧(I−V)評価測定器としてI−V CURVE TRACER MP−160(EKO INSTRUMENT社製)の測定装置を組み合わせて行った。
太陽電池の発電性能として、Eff(変換効率)、FF(フィルファクター)、Voc(開放電圧)及びJsc(短絡電流)を、それぞれJIS−C−8912、JIS−C−8913及びJIS−C−8914に準拠して測定した。
<比較例3>
実施例6と同様に、p型半導体基板の受光面に銀出力取出し電極を形成し、裏面にアルミニウム集電電極と銅合金出力取出し電極とを形成した。次に、受光面及び裏面の出力取出し電極の上に、比較例1と同様にして、表2に示す組成のはんだ合金層を有する接続部材を200℃で出力取出し電極の上に接着した。その後冷却し、太陽電池素子を作製した。
上記で作製した太陽電池素子について、実施例5と同様にして電流−電圧(I−V)評価を実施した。しかしながら、太陽電池素子を測定装置にセットする際のハンドリングで、出力取出し電極の上に接続した接続部材がはずれてしまい、評価不能であった。
<比較例4>
実施例6と同様に、p型半導体基板の受光面に銀出力取出し電極を形成し、裏面にアルミニウム集電電極を形成した。さらに、裏面出力取出し電極を市販の銀(Ag)ペースト(デュポン株式会社製、導体ペーストSolametPV1505)を用いて、図2に示すようなパターンとなるように印刷して形成した。実施例6と同様にして熱処理(焼成)を行い、受光面電極、裏面集電電極及び裏面出力取出し電極を形成した。
次に、上記で得られた受光面及び裏面の出力取出し銀電極の上に、事前に市販のロジン系フラックスを塗布した後に、市販のはんだ組成Su96.5Ag3Cu0.5(JISZ3282、2006年度版)による記号;液相線温度218℃、固相線温度217℃;公称)で被覆された銅線(タブ線)を乗せ、p型半導体基板を表面温度220℃のホットプレート上に載せ、250℃に設定したはんだこてで、出力取出し電極の上にはんだタブ線を接着した。その後冷却し、太陽電池素子を作製した。
上記で作製した太陽電池素子について、実施例6と同様にして電流−電圧(I−V)評価を実施した。得られた電流−電圧(I−V)評価の各測定値は、比較例4の測定値を100.0とした相対値に換算して表3に示した。
表3に示すように、実施例6の銅合金電極に本発明の実施例2の組成のはんだ合金層を有する接続部材を接続した太陽電池素子では、市販の銀ペーストを用いて形成した銀電極に市販のはんだタブ線を接続した太陽電池素子と同等の特性を得ることができた。一方、比較例3の比較例1の組成のはんだ合金層を有する接続部材を銅合金電極に接続した太陽電池素子では、測定の際のハンドリングで接続部材がはずれてしまうなど、実用的な接続強度に欠けていた。
11 接続部材;12 導電材;13 はんだ合金層;21 半導体基板;22 n型拡散層;23 反射防止層;24 受光面電極(出力取出電極);25 裏面集電用電極;26 裏面出力取出電極;27 p型拡散層;31 ガラス板;32 封止材;33 接続部材;34 太陽電池素子;35 バックシート;40 溶融めっき設備;41 導電材;42 送り出しリール;43 はんだ浴(溶融はんだめっき槽);44 反転ローラ;45 溶融はんだめっき線;46 冷却部;47 圧延ロール;48 加熱部;49 圧延ロール;50 引き上げローラ;51 巻取りリール;55 導電材;56 はんだ合金層;57 はんだ浴;58 ダイス

Claims (8)

  1. 被着体と、前記被着体に接続され、はんだ合金を含む接続材料とを有し、
    前記はんだ合金はアンチモンと、錫、銅、銀、ビスマス、インジウム、ニッケル及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも2つとを含み、
    アンチモンの含有率は前記はんだ合金の全質量に対し、2質量%〜10質量%であり、
    前記被着体は銅と、錫、ニッケル、リン、ビスマス及び鉛からなる群より選択される少なくとも3つと、を含む、接続体。
  2. 前記はんだ合金の融点が265℃以下である、請求項1に記載の接続体。
  3. 前記はんだ合金が亜鉛を含み、亜鉛の含有率は前記はんだ合金の全質量に対し、2質量%〜5質量%である、請求項1または請求項2に記載の接続体。
  4. 前記接続材料が、導電材と、前記導電材の表面の少なくとも一部に存在するはんだ合金層とを有し、前記導電材は銅、銀、金及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の接続体。
  5. 前記導電材が純度99.99質量%以上の高純度銅からなる、請求項4に記載の接続体。
  6. 半導体基板と、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の接続体とを有し、前記接続体の被着体が前記半導体基板上に設けられた構造を有する、素子。
  7. 半導体基板と、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の接続体とを有し、前記接続体の被着体は電極であり、前記電極が前記半導体基板上に設けられた構造を有する、太陽電池素子。
  8. 請求項7に記載の太陽電池素子と、封止材とを有し、前記封止材は前記太陽電池素子における前記接続部材の一部が封止部分の外側に位置するように前記太陽電池素子を封止している、太陽電池モジュール。
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