JP2017045810A - 電磁波シールド材 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁層と金属層の複合体で構成された電磁波シールド材において電磁波シールド効果を向上する。
【解決手段】少なくとも二枚の金属箔が固体状の絶縁層を介して積層された構造を有する電磁波シールド材であって、絶縁層を介して積層された二枚以上の金属箔のうち、少なくとも二枚が電気的に接続されている電磁波シールド材。
【選択図】図4

Description

本発明は電磁波シールド材に関する。とりわけ、本発明は電気・電子機器の被覆材又は外装材に関する。
近年、地球環境問題に対する関心が全世界的に高まっており、電気自動車やハイブリッド自動車といった二次電池を搭載した環境配慮型自動車の普及が進展している。これらの自動車においては、搭載した二次電池から発生する直流電流をインバータを介して交流電流に変換した後、必要な電力を交流モータに供給し、駆動力を得る方式を採用するものが多い。インバータのスイッチング動作等に起因して電磁波が発生する。電磁波は車載の音響機器や無線機器等の受信障害となることから、インバータ或いはインバータと共にバッテリーやモータ等を金属製ケース内に収容して、電磁波シールドするという対策が行われてきた(特開2003−285002号公報)。
また、自動車に限らず、通信機器、ディスプレイ及び医療機器を含め多くの電気・電子機器から電磁波が放射される。電磁波は精密機器の誤作動を引き起こす可能性があり、更には、人体に対する影響も懸念される。このため、電磁波シールド材を用いて電磁波の影響を軽減する各種の技術が開発されてきた。例えば、銅箔と樹脂フィルムとを積層してなる銅箔複合体が電磁波シールド材として用いられている(特開平7−290449号公報)。銅箔は電磁波シールド性を有し、樹脂フィルムは銅箔の補強のために積層される。また、絶縁材料からなる中間層の内側と外側にそれぞれ金属層を積層した電磁波シールド構造も知られている(特許第4602680号公報)。また、ベース基板と、前記ベース基板の一面に形成されて、金属層および高屈折率層(五酸化ニオブ)を含む複数の反復単位膜で構成された積層部材とを具備する電磁波遮断用光学部材も知られている(特開2008−21979号公報)。
特開2003−285002号公報 特開平7−290449号公報 特許第4602680号公報 特開2008−21979号公報
自動車においては燃費向上の観点から軽量化が大きな課題となっており、金属材料から樹脂材料や炭素繊維材料への転換も検討が進んでいる。しかしながら、樹脂材料や炭素繊維材料には電磁波シールド効果は期待できない。かといって金属製の電磁波シールド材の厚みを小さくし過ぎると優れたシールド効果(例えば、1MHz〜1000MHzにおいて、36dB以上)が得られない。特開平7−290449号公報、特許第4602680号公報及び特開2008−21979号公報の記載の技術は絶縁層と金属層の複合体でシールド効果を狙ったものであり、ある程度の軽量化を図ることはできるものの、未だシールド効果の改善余地が残されている。
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、絶縁層と金属層の複合体で構成された電磁波シールド材において電磁波シールド効果を向上することを課題の一つとする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねたところ、二枚以上の金属箔を固体状の絶縁層を介して積層して複合箔を形成すると共に、絶縁層を介して積層された二枚以上の金属箔のうち、少なくとも二枚を電気的に接続することで、電磁波シールド効果が有意に向上することを見出した。本発明は当該知見に基づいて完成したものであり、以下のように特定することができる。
本発明は一側面において、少なくとも二枚の金属箔が固体状の絶縁層を介して積層された構造を有する電磁波シールド材であって、絶縁層を介して積層された二枚以上の金属箔のうち、少なくとも二枚が電気的に接続されている電磁波シールド材である。
本発明に係る電磁波シールド材の一実施形態においては、電磁波シールド材を構成する金属箔のうち、最も上側に位置する金属箔と最も下側に位置する金属箔は少なくとも電気的に接続されている。
本発明に係る電磁波シールド材の別の一実施形態においては、電磁波シールド材の最上層及び最下層が共に金属箔である。
本発明に係る電磁波シールド材の更に別の一実施形態においては、絶縁層を介して積層された二枚以上の金属箔のすべてが電気的に接続されている。
本発明に係る電磁波シールド材の更に別の一実施形態においては、少なくとも二枚の金属箔は絶縁層の側縁よりも外側にはみ出た部分をそれぞれ有しており、当該はみ出た部分同士が接触することにより前記少なくとも二枚の金属箔が電気的に接続されている。
本発明に係る電磁波シールド材の更に別の一実施形態においては、少なくとも一枚の絶縁層は厚み方向に貫通した穴を有しており、当該絶縁層の上下二枚の金属箔が当該穴の内部に配置された導電性材料を介して電気的に接続されている。
本発明に係る電磁波シールド材の更に別の一実施形態においては、前記シールド材を構成するすべての絶縁層が導電性材料によって密封されている。
本発明に係る電磁波シールド材の更に別の一実施形態においては、前記シールド材を構成するすべての絶縁層が前記シールド材を構成する二枚以上の金属箔によって密封されている。
本発明に係る電磁波シールド材の更に別の一実施形態においては、少なくとも3枚の金属箔が絶縁層を介して積層された構造を有する。
本発明に係る電磁波シールド材の更に別の一実施形態においては、電磁波シールド材を構成する金属箔と絶縁層のすべての組み合わせが、σM×dM×dR≧3×10-3を満たす。
但し、式中の記号は以下を示す。
σM:金属箔の20℃における導電率(S/m)
M:金属箔の厚み(m)
R:絶縁層の厚み(m)
本発明に係る電磁波シールド材の更に別の一実施形態においては、各金属箔の20℃における導電率が1.0×106S/m以上である。
本発明に係る電磁波シールド材の更に別の一実施形態においては、各金属箔の厚みが4〜100μmである。
本発明に係る電磁波シールド材の更に別の一実施形態においては、各絶縁層の20℃における比誘電率が2.0〜10.0である。
本発明に係る電磁波シールド材の更に別の一実施形態においては、各絶縁層の厚みが4〜500μmである。
本発明に係る電磁波シールド材の更に別の一実施形態においては、金属箔の合計厚みが15〜150μmである。
本発明に係る電磁波シールド材の更に別の一実施形態においては、電磁波シールド材を構成する各金属箔において、最大厚みをA、最小厚みをBとすると、いずれの金属箔においても、B/A≧0.5である。
本発明に係る電磁波シールド材の更に別の一実施形態においては、電磁波シールド材を構成する各絶縁層において、最大厚みをC、最小厚みをDとすると、いずれの絶縁層においても、D/C≧0.5である。
本発明は別の一側面において、本発明に係る電磁波シールド材を備えた電気・電子機器用の被覆材又は外装材である。
本発明は更に別の一側面において、本発明に係る被覆材又は外装材を備えた電気・電子機器である。
本発明に係る電磁波シールド材では、二枚以上の金属箔を絶縁層を介して所定の条件下で積層したことで、金属箔と絶縁層を単純に積層するよりも優れた電磁波シールド効果を得ることが可能となる。また、本発明に係る電磁波シールド材は金属箔と絶縁層という単純な構成で構築可能であり、経済性にも優れている。
比較例1−1の電磁波シールド材の積層構造を示す。 実施例1−1の電磁波シールド材の積層構造を示す。 比較例1−2、比較例1−3の電磁波シールド材の積層構造を示す。 実施例1−2の電磁波シールド材の積層構造を示す。 試験例1における磁界シールド効果評価試験の結果を示す。 試験例2における磁界シールド効果評価試験の結果を示す。 試験例3における磁界シールド効果評価試験に使用した電磁波シールド材(a)〜(d)の積層構造を示す。 試験例3における磁界シールド効果評価試験に使用した電磁波シールド材(e)〜(i)の積層構造を示す。 試験例3における磁界シールド効果評価試験に使用した電磁波シールド材(j)〜(m)の積層構造を示す。 試験例3における磁界シールド効果評価試験の結果を示す((a)〜(d))。 試験例3における磁界シールド効果評価試験の結果を示す((e)〜(i))。 試験例3における磁界シールド効果評価試験の結果を示す((a)、(b)、(e)、(f)の比較)。 試験例3における磁界シールド効果評価試験の結果を示す((j)〜(m))。
(金属箔)
本発明に係る電磁波シールド材に使用する金属箔の材料としては特に制限はないが、交流磁界や交流電界に対するシールド特性を高める観点からは、導電性に優れた金属材料とすることが好ましい。具体的には、導電率が1.0×106S/m(20℃の値。以下同じ。)以上の金属によって形成することが好ましく、金属の導電率が10.0×106S/m以上であるとより好ましく、30.0×106S/m以上であると更により好ましく、50.0×106S/m以上であると最も好ましい。このような金属としては、導電率が約9.9×106S/mの鉄、導電率が約14.5×106S/mのニッケル、導電率が約39.6×106S/mのアルミニウム、導電率が約58.0×106S/mの銅、及び導電率が約61.4×106S/mの銀が挙げられる。導電率とコストの双方を考慮すると、アルミニウム又は銅を採用することが実用性上好ましい。本発明に係る電磁波シールド材中に使用する金属箔はすべて同一の金属であってもよいし、層毎に異なる金属を使用してもよい。また、上述した金属の合金を使用することもできる。金属箔表面には接着促進、耐環境性、耐熱及び防錆などを目的とした各種の表面処理層が形成されていてもよい。
例えば、金属面が最外層となる場合に必要とされる耐環境性、耐熱性を高めることを目的として、Auめっき、Agめっき、Snめっき、Niめっき、Znめっき、Sn合金めっき(Sn−Ag、Sn−Ni、Sn−Cuなど)、クロメート処理などを施すことができる。これらの処理を組み合わせてもよい。コストの観点からSnめっきあるいはSn合金めっきが好ましい。
また、金属箔と絶縁層との密着性を高めることを目的として、クロメート処理、粗化処理、Niめっきなどを施すことができる。これらの処理を組み合わせてもよい。粗化処理が密着性を得られやすく好ましい。
また、直流磁界に対するシールド効果を高めることを目的として、比透磁率の高い金属層を設けることができる。比透磁率の高い金属層としてはFe−Ni合金めっき、Niめっきなどが挙げられる。
銅箔を使用する場合、シールド性能が向上することから、純度が高いものが好ましく、純度は好ましくは99.5質量%以上、より好ましくは99.8質量%以上である。銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔、メタライズによる銅箔等を用いることができるが、屈曲性及び成形加工性に優れた圧延銅箔が好ましい。銅箔中に合金元素を添加して銅合金箔とする場合、これらの元素と不可避的不純物との合計含有量が0.5質量%未満であればよい。特に、銅箔中に、Sn、Mn、Cr、Zn、Zr、Mg、Ni、Si、及びAgの群から選ばれる少なくとも1種以上を合計で200〜2000質量ppm含有すると、同じ厚みの純銅箔より伸びが向上するので好ましい。
本発明に係る電磁波シールド材に使用する金属箔の厚みは、一枚当たり4μm以上であることが好ましい。4μm未満だと金属箔の延性が著しく低下し、電磁波シールド材の成形加工性が不十分となる場合がある。また、一枚当たりの箔の厚みが4μm未満だと優れた電磁波シールド効果を得るために多数の金属箔を積層する必要が出てくるため、製造コストが上昇するという問題も生じる。このような観点から、金属箔の厚みは一枚当たり10μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることが更により好ましく、20μm以上であることが更により好ましく、25μm以上であることが更により好ましく、30μm以上であることが更により好ましい。一方で、一枚当たりの箔の厚みが100μmを超えても成形加工性を悪化させることから、箔の厚みは一枚当たり100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、45μm以下であることが更により好ましく、40μm以下であることが更により好ましい。
本発明に係る電磁波シールド材においては、絶縁層を介して積層された二枚以上の金属箔のうち、少なくとも二枚が電気的に接続されていることが特徴の一つである。このため金属箔は少なくとも2層存在すれば、本発明の効果を奏することができる。しかしながら、金属箔の層が二枚だと、周波数が1MHz程度の低周波領域において30dB以上の磁界シールド特性を得るために必要な金属箔の合計厚みが大きくなってしまうし、一枚当たりの金属箔の厚みも大きくなるので成形加工性にも悪影響が出る。このため、金属箔の合計厚みを薄くしながらも優れた電磁波シールド特性を確保する観点からは、金属箔を3枚以上積層することが好ましい。金属箔を3枚以上積層することで、金属箔の合計厚みが同じだとしても金属箔が単層の場合や2枚積層する場合に比べて、シールド効果が顕著に向上する。ただし、金属箔の積層枚数は多い方が電磁波シールド特性は向上するものの、積層枚数を多くすると積層工程が増えるので製造コストの増大を招き、また、シールド向上効果も飽和する傾向にあるため、電磁波シールド材中の金属箔は5枚以下であるのが好ましく、4枚以下であるのがより好ましい。
従って、本発明に係る電磁波シールド材の一実施形態においては、金属箔の合計厚みを15〜150μmとすることができ、100μm以下とすることもでき、80μm以下とすることもでき、60μm以下とすることもできる。
シールド効果の安定性及び信頼性を考慮すると、一つの金属箔毎の厚みはばらつきが少ないことが好ましい。金属箔の厚みが場所によって異なると場所毎にシールド効果が変化するからである。具体的には、シールド壁を構成する各金属箔において、最大厚みをA、最小厚みをBとすると、いずれの金属箔においても、B/A≧0.5であることが好ましく、B/A≧0.75であることがより好ましく、B/A≧0.85であることが更により好ましく、B/A≧0.95であることが更により好ましく、B/A≒1であることがもっとも好ましい。
金属箔の厚みは断面をSEM等で観察することにより測定することができる。例えば、観察倍率1000倍では厚み方向に直角な長さ100μmの範囲を観察できる。本発明においては、任意に選択した10か所の断面を観察し、当該長さ100μmの範囲に写っている金属箔の厚みの最大値及び最小値を1断面ごとに測定し、10断面の最大値をA、最小値をBとする。
(絶縁層)
複数枚の金属箔を積層することによる電磁波シールド効果の顕著な改善は、金属箔と金属箔の間に固体状の絶縁層を挟み込むことで得られる。絶縁層を空気層のような気体や有機溶剤のような液体で構成すると金属箔同士の隙間を一定に維持するのが難しく、後述するD/C≧0.5とするのが困難である。金属箔同士を直接重ねても、金属箔の合計厚みが増えることでシールド効果が向上するものの、顕著な向上効果は得られない。これは、金属箔間に絶縁層が存在することで電磁波の反射回数が増えて、電磁波が減衰されることによると考えられる。
固体状の絶縁層としては、金属箔とのインピーダンスの差が大きいものの方が、優れた電磁波シールド効果を得る上では好ましい。大きなインピーダンスの差を生じさせるには、絶縁層の比誘電率が小さいことが必要であり、具体的には10(20℃の値。以下同じ。)以下であることが好ましく、5.0以下であることがより好ましく、3.5以下であることが更により好ましい。比誘電率は原理的には1.0より小さくなることはない。一般的に手に入る材料では低くても2.0程度であり、これ以上低くして1.0に近づけてもシールド効果の上昇は限られている一方、材料自体が特殊なものになり高価となる。コストと作用との兼ね合いを考えると、比誘電率は2.0以上であることが好ましく、2.2以上であることがより好ましい。
具体的には、絶縁層を構成する材料としてはガラス、金属酸化物、紙、天然樹脂、合成樹脂が挙げられ、加工性の観点から合成樹脂が好ましい。これらの材料には炭素繊維、ガラス繊維及びアラミド繊維などの繊維強化材を混入させることも可能である。合成樹脂としては、入手のしやすさや加工性の観点から、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)及びPBT(ポリブチレンテレフタレート)等のポリエステル、ポリエチレン及びポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリアセタール、フッ素樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ABS樹脂、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレンブタジエンゴム等が挙げられ、これらの中でも加工性、コストの理由によりPET、PEN、ポリアミド、ポリイミドが好ましい。合成樹脂はウレタンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、アミド系などのエラストマーとすることもできる。更には、合成樹脂自体が接着剤の役割を担ってもよく、この場合は金属箔が接着剤を介して積層された構造となる。接着剤としては特に制限はないが、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン系、ポリエステル系、シリコーン樹脂系、酢酸ビニル系、スチレンブタジエンゴム系、ニトリルゴム系、フェノール樹脂系、シアノアクリレート系などが挙げられ、製造しやすさとコストの理由により、ウレタン系、ポリエステル系、酢酸ビニル系が好ましい。
樹脂材料はフィルム状や繊維状の形態で積層することができる。また、金属箔に未硬化の樹脂組成物を塗布後に硬化させることで樹脂層を形成してもよいが、金属箔に貼付可能な樹脂フィルムとするのが製造しやすさの理由により好ましい。特にPETフィルムを好適に用いることができる。特に、PETフィルムとして2軸延伸フィルムを用いることにより、シールド材の強度を高めることができる。
絶縁層の厚みは特に制限されないが、一枚当たりの厚みが4μmより薄いとシールド材の(伸び)破断歪が低下する傾向にあることから、絶縁層の一枚当たりの厚みは4μm以上であることが好ましく、7μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが更により好ましく、20μm以上であることが更により好ましく、40μm以上であることが更により好ましく、80μm以上であることが更により好ましく、100μm以上であることが更により好ましい。一方、一枚当たりの厚みが600μmを超えてもシールド材の(伸び)破断歪が低下する傾向にある。そこで、絶縁層の一枚当たりの厚みは600μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましい。
シールド効果の安定性及び信頼性を考慮すると、一つの絶縁層毎の厚みはばらつきが少ないことが好ましい。絶縁層の厚みが場所によって異なると場所毎にシールド効果が変化するからである。具体的には、シールド壁を構成する各絶縁層において、最大厚みをC、最小厚みをDとすると、いずれの絶縁層においても、D/C≧0.5であることが好ましく、D/C≧0.75であることがより好ましく、D/C≧0.85であることが更により好ましく、D/C≧0.95であることが更により好ましく、D/C≒1であることがもっとも好ましい。
絶縁層の厚みは断面をSEM等で観察することにより測定することができる。例えば、観察倍率500倍では厚み方向に直角な長さ200μmの範囲を観察できる。本発明においては、任意に選択した10か所の断面を観察し、当該長さ200μmの範囲に写っている絶縁層の厚みの最大値及び最小値を1断面ごとに測定し、10断面の最大値をC、最小値をDとする。
(電磁波シールド材)
本発明に係る電磁波シールド材は上述した金属箔と絶縁層を積層することで製造可能であり、一実施形態においては少なくとも二枚の金属箔が絶縁層を介して積層された構造を有する。電磁波シールド効果の観点からは、本発明に係る電磁波シールド材は、少なくとも3枚の金属箔が絶縁層を介して積層された構造を有することが好ましい。当該要件を具備する積層構造の例としては、以下が挙げられる。括弧で表された層は適宜加えてもよいことを表す。電磁波シールド効果の観点からは、電磁波シールド材の最上層と最下層の少なくとも一方は金属箔であることが好ましく、電磁波シールド材の最上層と最下層の両方が金属箔であることが好ましい。
(1)(絶縁層)/金属箔/絶縁層/金属箔/(絶縁層)
(2)(絶縁層)/金属箔/絶縁層/金属箔/絶縁層/金属層/(絶縁層)
(3)(絶縁層)/金属箔/絶縁層/金属箔/絶縁層/金属箔/絶縁層/金属箔/(絶縁層)
(1)〜(3)においては、一つの「金属箔」は絶縁層を介することなく複数の金属箔を積層して構成することができ、一つの「絶縁層」も金属箔を介することなく複数の絶縁層を積層して構成することができる。つまり、絶縁層を介することなく積層された複数の金属箔は一枚の金属箔として捉えることができ、金属箔を介することなく積層された複数の絶縁層は一枚の絶縁層として捉えることができる。また、絶縁層や金属箔以外の層を設けることもできる。
このように、金属箔と絶縁層を交互に積層することで、電磁波シールド効果の顕著な改善が見られるが、絶縁層を介して積層された二枚以上の金属箔のうち、少なくとも二枚を電気的に接続することで更なる電磁波シールド効果の改善を図ることができる。理論によって本発明が制限されることを意図しないが、これは以下の理由によると考えられる。シールドされた電磁波は金属箔中で電流となるため、金属箔の電気容量が大きいほどシールド効果が高くなる。一方、電気容量は導電率が高いほど、金属箔が厚いほど、大きくなるのであるが、金属箔を電気的に接続すると、電気容量を大きくすることができる。例えば、二枚の金属箔を絶縁層を介して積層させたもので、二枚の金属箔を電気的に接続すると、それぞれの金属箔の電気容量が、見かけ上大きくなる(金属箔二枚分の電気容量になる)。以上のようなメカニズムにより、シールド効果が向上する。
電磁波シールド材を構成する何れの金属箔同士を電気的に接続しても改善効果は見られるが、電磁波シールド材を構成する金属箔のうち、最も上層に位置する金属箔と最も下層に位置する金属箔は少なくとも電気的に接続されていることが好ましい。更には、電磁波シールド材を構成する金属箔のすべてが電気的に接続されていることがより好ましい。
金属箔同士を電気的に接続する方法としては、特に制限はないが、金属箔自体の一部を互いに接触させる方法、金属等の外部導電性材料を介して接続する方法、及びこれらを組み合わせた方法が挙げられる。金属箔自体の一部を互いに接触させる方法としては、少なくとも二枚の金属箔に絶縁層の側縁よりも外側にはみ出た部分を設け、当該はみ出た部分同士を接触させることにより前記少なくとも二枚の金属箔を電気的に接続する方法が挙げられる。金属箔が平面視矩形の場合は、一辺がはみ出していてもよいし、二辺がはみ出していてもよいし、三辺がはみ出していてもよいし、四辺すべてがはみ出していてもよい。金属等の外部導電性材料を介して接続する方法としては、金属ワイヤや半田等の導電性材料を金属箔に接続する方法、電磁波シールド材の側面をめっきする方法、及び、絶縁層を厚み方向に貫通して穴を形成し、当該穴の内部に導電性材料をスルーホールめっき等により配置して当該絶縁層の上下二枚の金属箔を電気的に接続する方法が挙げられる。
金属箔同士を電気的に接続する場合、金属箔同士の直接又は間接的な接触面における接触抵抗が低いほどシールド効果は向上する。接触抵抗は接触面積が大きいほど低くなるが、ある面積以上になると一定になる。このような観点から、接触面における接触面積は各金属箔の片面の面積の0.05%以上が好ましく、0.1%以上がより好ましく、0.2%以上がさらに好ましい。但し、接触面積が大きくなりすぎると、絶縁層を使用することによる成形加工性の向上効果が減退することから、接触面における接触面積は各金属箔の片面の面積の50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下が更により好ましい。
電磁波シールド効果を高める観点からは、絶縁層はすべて導電性材料によって密封されていることが好ましい。これにより、絶縁層による電気的な隙間が封鎖されるので、電磁波シールド効果が向上する。絶縁層を導電性材料によって密封する方法としては特に制限は無いが、例えば以下の方法が挙げられる。
一つの方法は、シールド材を構成するすべての絶縁層をシールド材を構成する二枚以上の金属箔によって密封する方法である。当該方法の具体例は、少なくとも二枚の金属箔を絶縁層の側縁から全周にわたってはみ出させ、当該はみ出た部分同士を全周にわたって金属接合する方法である。少なくとも二枚の金属箔は最上層を構成する金属箔と最下層を構成する金属箔とすることができる。絶縁層の密封性を高める上では、すべての金属箔を絶縁層の側縁から全周にわたってはみ出させ、当該はみ出た部分同士を全周にわたって金属接合することが好ましい。金属接合の方法としては、限定的ではないが、融接、圧接、ロウ接(半田付けなど)等の各種溶接法及び超音波金属接合が挙げられる。二つ目の方法は、シールド材の積層構造の厚み方向の側面に露出している絶縁層をめっきして隠蔽する方法が挙げられる。密封性を高めるために、シールド壁の積層構造の厚み方向の側面全体をめっきすることもできる。
また、電磁波シールド材を構成する金属箔と絶縁層のすべての組み合わせが、σM×dM×dR≧3×10-3を満たすように、金属箔と絶縁層を選択することが、電磁波シールド効果を顕著に高める観点から好ましい。
本明細書で使用する各種記号は、上記のσM、dM、dRを含めて以下のように定義される。
σM:金属箔の20℃における導電率(S/m)
M:金属箔の厚み(m)
R:絶縁層のインピーダンス(Ω)=Z0×√(1/εR
εR:絶縁層の20℃における比誘電率
γR:伝搬定数=j×2π√(εR/λ);jは虚数単位
λ:波長(m):1MHzでは300m
R:絶縁層の厚み(m)
0:真空のインピーダンス=377Ω
シールド特性は、入射波の電界をEx i、磁界をHx iとし、透過波の電界をEx t、磁界をHx tとすると、四端子行列を用いて以下の関係で表すことができる。
この場合、シールド効果(SE)は、シェルクノフの式を用いると次式で表現することができる。
金属箔をシールド材として用いたときは、a=1、b=0、c=σM×dM、d=1とすることができる。これを式1に代入すると次式のようになる。
絶縁層をシールド材として用いたときは、a=1、b=ZR×γR×dR、c=γR×dR/ZR、d=1とすることができる。これを式1に代入すると次式のようになる。
更に、シールド材を積層したときのシールド特性は各層に対応する四端子行列の積で理論的には求められる。例えば、金属(M1)/樹脂(R1)/金属(M2)の積層構造でシールド材を構成したときの入射波と透過波は以下の式で表すことができる。
また、金属(M1)/樹脂(R1)/金属(M2)/樹脂(R2)/金属(M3)の積層構造でシールド材を構成したときの入射波と透過波は以下の式で表すことができる。
これを展開すると、次式が得られる。
ここで、A、B、C及びDは以下である。
A=1+ZR1γR1R1σM2M2+ZR2γR2R2σM3M3+ZR1γR1R1σM3M3+ZR1γR1R1R2γR2R2σM2M2σM3M3
B=ZR2γR2R2+ZR1γR1R1R2γR2R2σM2M2+ZR1γR1R1
C=σM1M1+σM2M2+σM3M3+γR1R1/ZR1+γR2R2/ZR2+ZR1γR1R1σM1M1+ZR1γR1R1σM1M1σM3M3+ZR1γR1R1R2γR2R2σM1M1σM2M2σM3M3+ZR2γR2R2σM2M2σM3M3+ZR2γR2R2σM3M3γR1R1/ZR1
D=ZR2γR2R2σM1M1+ZR2γR2R2σM1M1σM2M2+ZR2γR2R2σM2M2+ZR1γR1R1σM1M1+ZR2γR2R2γR1R1/ZR1
以上の例示から、金属箔と絶縁層の積層体におけるシールド効果は、使用する金属箔と絶縁層のすべての組み合わせについてのσM×dM×ZR×γR×dRを大きくすることで、向上可能であることが理論的に理解できる。しかしながら、例えば“畠山賢一著、「初めて学ぶ電磁遮へい講座」科学情報出版(2013年)、56頁”に記載されているように、従来は(ZR×γR×dR)は低周波領域では極めて小さく0に近似されるとしていたため、この考え方に従えばσM×dM×ZR×γR×dRも0として近似されるパラメータであった。これに対して本発明者は、適切な金属箔と絶縁層を組み合わせdR、σM及びdMを調整することでσM×dM×ZR×γR×dRは0には近似できない程度の大きな値となり、低周波領域においても有意な影響を与えることが分かった。
本発明者は金属箔と絶縁層の積層体におけるシールド効果の実験を繰り返す中で、1MHz程度の低周波領域であってもσM×dM×dRが有意な影響を与えていることを見出し、電磁波シールド材を構成する金属箔と絶縁層のすべての組み合わせが、σM×dM×dR≧3×10-3を満たすように、金属箔と絶縁層を選択することがシールド効果を高める上で極めて効果的であることを見出した。電磁波シールド材を構成する金属箔と絶縁層のすべての組み合わせが、σM×dM×dR≧1×10-2であることが好ましく、σM×dM×dR≧4×10-2であることがより好ましく、σM×dM×dR≧8×10-2であることが更により好ましく、σM×dM×dR≧1×10-1であることが更により好ましい。
σM×dM×dRには特段の上限は設定されないが、厚みや使用する材料との兼ね合いから、電磁波シールド材を構成する金属箔と絶縁層のすべての組み合わせについて、通常はσM×dM×dR≦10であり、典型的にはσM×dM×dR≦1である。
絶縁層と金属箔の積層方法としては、絶縁層と金属箔の間に接着剤を用いてもよく、接着剤を用いずに絶縁層を金属箔に熱圧着してもよい。接着剤を用いずに単に重ねる方法でもよいが、電磁波シールド材の一体性を考慮すれば、少なくとも端部(例えばシールド材が四角形の場合は各辺)は接着剤により又は熱圧着により接合することが好ましい。但し、絶縁層に余分な熱を加えないという点からは、接着剤を用いることが好ましい。接着剤としては先述したものと同様であり、特に制限はないが、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン系、ポリエステル系、シリコーン樹脂系、酢酸ビニル系、スチレンブタジエンゴム系、ニトリルゴム系、フェノール樹脂系、シアノアクリレート系などが挙げられ、製造しやすさとコストの理由により、ウレタン系、ポリエステル系、酢酸ビニル系が好ましい。
接着剤層の厚みは6μm以下であることが好ましい。接着剤層の厚みが6μmを超えると、金属箔複合体に積層した後に金属箔のみが破断しやすくなる。ただし、先述したような接着剤層が絶縁層の役割を兼ねる場合は、この限りではなく、絶縁層の説明で述べた厚みとすることができる。
本発明に係る電磁波シールド材の一実施形態においては、電磁波シールド材の全体厚みを50〜1500μmとすることができ、1000μm以下とすることもでき、600μm以下とすることもでき、400μm以下とすることもでき、200μm以下とすることもできる。
本発明に係る電磁波シールド材は、特に電気・電子機器(例えば、インバータ、通信機、共振器、電子管・放電ランプ、電気加熱機器、電動機、発電機、電子部品、印刷回路、医療機器等)の被覆材又は外装材、電気・電子機器に接続されたハーネスや通信ケーブルの被覆材、電磁波シールドシート、電磁波シールドパネル、電磁波シールド袋、電磁波シールド箱、電磁波シールド室など各種の電磁波シールド用途に利用することが可能である。
本発明に係る電磁波シールド材の一実施形態によれば、1MHzにおいて36dB以上の磁界シールド特性(受信側でどれだけ信号が減衰したか)をもつことができ、好ましくは40dB以上の磁界シールド特性をもつことができ、より好ましくは50dB以上の磁界シールド特性をもつことができ、更により好ましくは60dB以上の磁界シールド特性をもつことができ、更により好ましくは70dB以上の磁界シールド特性をもつことができ、例えば36〜90dBの磁界シールド特性をもつことができる。本発明においては、磁界シールド特性はKEC法によって測定することとする。KEC法とは、関西電子工業振興センターにおける「電磁波シールド特性測定法」を指す。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらは本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
<試験例1:金属箔を電気的に接続することの効果の検証>
金属箔及び絶縁フィルム(絶縁層)を、接着剤を介することなく積層して、図1〜4に示す各積層構造を有する電磁波シールド材を作製した。ここでは、金属箔として厚み17μmの平面視長方形状の圧延銅箔(20℃での導電率:58.0×106S/m)、絶縁フィルムとして厚み100μmの平面視長方形状のPET:ポリエチレンテレフタレートフィルム(20℃での比誘電率:3.2)を使用した。導電率はJIS C2525:1999のダブルブリッジ法で測定した。比誘電率はJIS C 2151:2006に記載のB法により測定した。
使用した金属箔及び絶縁フィルムの厚みの均一性は表1に記載の通りであり、試験番号に応じて異なる。比較例1−3の積層構成はD/Cが0.28である点で絶縁層の厚みのばらつきが大きいという以外は、比較例1−2と同じ積層構造である。厚みの均一性(B/A及びD/C)は前述した方法に従い、下記の測定条件で測定した。
測定機器:SEM(日立ハイテクノロジーズ社製、S−3400N)
加速電圧:15kV
観察倍率:金属箔は1000倍、絶縁層は500倍
比較例1−1(図1)及び比較例1−2、比較例1−3(図3)においては、金属箔101よりも絶縁フィルム102の方が大きく、絶縁フィルム102の四辺が金属箔101からはみ出しているため、金属箔101同士が接触しない構造となっている。一方、実施例1−1(図2)及び実施例1−2(図4)においては、絶縁フィルム102よりも金属箔101の方が大きく、金属箔101の四辺が絶縁フィルム102よりもはみ出しているため、金属箔101同士が接触している。これにより、実施例1−1及び実施例1−2の電磁波シールド材はすべての金属箔101が電気的に接続されている。実施例1−1及び実施例1−2においては、金属箔101同士は四辺がすべて半田付けにより密接していることで絶縁フィルム102はすべて金属箔101によって密封された状態となっている。実施例1−1及び実施例1−2において、はみ出し部で金属箔同士が接触している接触面の面積はそれぞれ金属箔の片面の面積の10〜15%程度である。
上記の各電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、20℃の条件下で、KEC法により種々の周波数における磁界シールド効果を評価した。結果を図5に示す。比較例1−1及び実施例1−1は、下層より、絶縁フィルム102→金属箔101→絶縁フィルム102→金属箔101→絶縁フィルム102→金属箔101の積層構造を有している点で共通であるが、実施例1−1では金属箔同士が電気的に接続されていたことで、比較例1−1よりも磁界シールド効果が高かった。同様に、比較例1−2、比較例1−3及び実施例1−2は、下層より、金属箔101→絶縁フィルム102→金属箔101→絶縁フィルム102→金属箔101の積層構造を有している点で共通であるが、実施例1−2では金属箔同士が電気的に接続されていたことで、比較例1−2よりも磁界シールド効果が高かった。特に、金属箔同士が電気的に接続することによる磁界シールド効果の向上は周波数が1〜100MHzの範囲で顕著であった。更に、比較例1−2と比較例1−3の比較から、絶縁層の厚みのばらつきを少なくする方が、磁界シールド効果が高いことが分かる。
なお、実施例1−2と比較例1−2との差は小さいように見えるが、実施例1−2の磁界シールド効果が測定限界に到達したためであり、実際の磁界シールド効果の差はより大きいと思われる。また、実施例1−1と実施例1−2を比べると、電磁波シールド材の最上層及び最下層が共に金属箔である実施例1−2の方が高い磁界シールド効果を示すことが分かる。
<試験例2:単層での磁界シールド効果の調査>
種々の金属について、単層での磁界シールド効果を調査した。使用した金属材料は下記の通りである。
(1)圧延銅箔(厚み:280μm)
(2)圧延銅箔(厚み:150μm)
(3)Znめっき鋼鈑(厚み:270μm)
(4)ケイ素鋼鈑(厚み:330μm)
(5)SUS304(厚み:330μm)
(6)SUS430(厚み:150μm)
(7)アルミニウム(厚み:300μm)
用意した金属材料を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、室温(25℃)条件下で、KEC法により磁界シールド効果を評価した。この際、周波数を0.1MHzから1000MHzまで変化させて、周波数の変化に対する磁界シールド効果の推移を調査した。
結果を図6に示す。同じ厚みであれば鉄系材料よりも導電性の高い銅が高いシールド効果を与えることが分かる。また、同一材料であれば厚みが大きい方がシールド効果が高まることが分かる。これらの材料のうちで、1MHz〜1000MHzの全領域において36dB以上の磁界シールド特性を達成することができたのは厚みが280μmの圧延銅箔と厚みが300μmのアルミニウムのみであった。これらの結果から分かるように、金属材料単独で優れた磁界シールド効果を得るには厚みをかなり大きくする必要がある。このように厚い金属箔では成形加工性が劣り、重量も重くなるため、実用性が高いとは言えない。
<試験例3:金属箔の積層枚数と磁界シールド効果との関係>
絶縁層として厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(25℃で比誘電率:3.2)を用い、金属箔として厚み17μm、33μm又は68μmの圧延銅箔(20℃で導電率:58.0×106S/m)、及び、厚み30μm又は60μmのアルミ箔(20℃で導電率:39.6×106S/m)を用い、図7〜9の(a)〜(m)に示す積層構造をもつ電磁波シールド材をそれぞれ作製した。これらの電磁波シールド材において、絶縁層を介して積層された金属箔同士は電気的に接続されていない。導電率は銅箔、アルミ箔ともにJIS C2525:1999のダブルブリッジ法で測定した。金属箔とPETフィルムの積層を接着剤を介して行った界面については、図7〜図9中、“接着剤”と表示してある。接着剤はロックペイント社製アドロックRU−80/H−5のウレタン系接着剤を使用し、厚みを3μm程度とした。接着剤との表記がない界面については銅箔とPETフィルムが単に積層されているだけである。各電磁波シールド材に対して、磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、試験例2と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
結果を図10〜13に示す。金属箔を重ねると、PETフィルムが金属箔間に積層されるか否かにかかわらず、磁界シールド効果は向上することが分かる。そして、PETフィルムが金属箔間に積層されることで磁界シールド効果は顕著に向上することが分かる。また、図11で(g)と(f)を比較することにより、PETフィルムを介して積層する場合には銅箔の合計厚みが小さくても、磁界シールド効果が高くなることが分かる。また、図12で(b)と(f)を比較すると、(b)は銅箔3枚の積層構造(銅箔の合計厚み51μm)であるのに対して、(f)は銅箔2枚の積層構造(銅箔の合計厚みは66μm)であるため、銅箔の合計厚みは(f)の方が大きいにも拘わらず、(b)の方が優れた磁界シールド効果を示した。また、図12で(b)と(e)を比較すると、両者は共に銅箔3枚の積層構造であるが、高周波領域においてはほとんど同じシールド効果を示す一方で、低周波領域においては各銅箔の厚みが大きい(e)の磁界シールド効果が優れていた。図13から、アルミ箔においても同様にPETフィルムを介して3枚以上積層することによる磁界シールド効果が確認できる。
(a)〜(m)の試験例について1MHzにおける磁界シールド特性を表2に示す。試験例3において、1MHz〜1000MHzの全領域において36dB以上の磁界シールド特性を達成することができたのは(a)、(b)、(e)、(i)、(j)、及び(k)であった。そして、(a)は銅箔の合計厚みがわずか68μmであり、試験例2で当該特性を達成した280μmの銅箔の1/4程度の厚みしかない。(j)はアルミ箔の合計厚みがわずか90μmであり、試験例2で当該特性を達成した300μmのアルミ箔の3/10しかない。PETの重量を考慮しても、大幅な軽量化が可能となることが分かる。(i)及び(k)でも目標とする特性を達成できているが、金属箔の一枚当たりの厚みが大きすぎて加工性が確保できない。
<試験例4:σM×dM×dRが磁界シールド効果に与える影響の検証>
表3に記載の各金属箔及び絶縁フィルムを準備して、実施例及び比較例の電磁波シールド材を作製した。表3に記載の各記号は以下を示す。
Cu:圧延銅箔(20℃での導電率:58.0×106S/m)
Al:アルミ箔(20℃での導電率:39.6×106S/m)
電解Cu:電解銅箔(20℃での導電率:56.0×106S/m)
Ni:ニッケル箔(20℃での導電率:14.5×106S/m)
Fe:軟鉄箔(20℃での導電率:9.9×106S/m)
sus:ステンレス箔(20℃での導電率:1.4×106S/m)
PI:ポリイミドフィルム(20℃での比誘電率:3.5)
PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム(20℃での比誘電率:3.0)
PTFE:ポリテトラフルオロエチレンフィルム(20℃での比誘電率:2.1)
PA:ポリアミドフィルム(20℃での比誘電率:6.0)
空隙:金属箔同士を空気で隔てた(20℃での比誘電率:1.0)
(比較例4−1〜4−2:金属箔一枚の磁界シールド効果)
圧延銅箔(厚み:150μm)及びアルミ箔(厚み:300μm)について、単層での磁界シールド効果を調査した。用意した金属材料を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、周波数を1MHzとし、20℃の条件下で、KEC法により磁界シールド効果を評価した。
(比較例4−3:金属箔3枚を積層したときの磁界シールド効果)
圧延銅箔(厚み:33μm)を3枚用意し、これを接着剤を介することなく単純に積層し、磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
(比較例4−4:金属箔2枚を絶縁層を介して積層したときの磁界シールド効果)
絶縁層として厚さ250μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、金属箔として厚み7μmの圧延銅箔を用い、接着剤を使用せずに単に積層することで、表3に記載の積層構造をもつ電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
(比較例4−5:金属箔2枚を絶縁層を介して積層したときの磁界シールド効果)
絶縁層として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、金属箔として厚み8μmの圧延銅箔を用い、接着剤を使用せずに単に積層することで、表3に記載の積層構造をもつ電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
(比較例4−6:金属箔2枚を空気層を介して設置したときの磁界シールド効果)
絶縁層として空気を用い、金属箔として厚み6μm及び30μmのアルミ箔を用い、表3に記載の積層構造をもつ電磁波シールド材を作製した。この例において、2枚のアルミ箔は中央部に正方形状の大きな開口部を有する銅板を挟んで空気中で50μmの間隔で平行に配置した。この電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
(比較例4−7:金属箔3枚を絶縁層を介して積層したときの磁界シールド効果:σM×dM×dR<3×10-3
絶縁層として厚さ9μmのポリイミド(PI)フィルムを用い、金属箔として厚み6μmのアルミ箔を用い、接着剤を使用せずに単に積層することで、表3に記載の積層構造をもつ電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
(実施例4−1)
絶縁層として厚さ100μmのポリイミド(PI)フィルムを用い、金属箔として厚み17μmの圧延銅箔を用い、接着剤を使用せずに単に積層することで、表3に記載の積層構造をもつ電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
(実施例4−2)
絶縁層として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、金属箔として厚み20μmのアルミ箔を用い、接着剤を使用せずに単に積層することで、表3に記載の積層構造をもつ電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
(実施例4−3)
絶縁層として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、金属箔として厚み30μmの電解銅箔を用い、接着剤を使用せずに単に積層することで、表3に記載の積層構造をもつ電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
(実施例4−4)
絶縁層として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、金属箔として厚み50μmのニッケル箔を用い、接着剤を使用せずに単に積層することで、表3に記載の積層構造をもつ電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
(実施例4−5)
絶縁層として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、金属箔として厚み50μmの軟鉄箔を用い、接着剤を使用せずに単に積層することで、表3に記載の積層構造をもつ電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
(実施例4−6)
絶縁層として厚さ500μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルムを用い、金属箔として厚み50μmのステンレス箔を用い、接着剤を使用せずに単に積層することで、表3に記載の積層構造をもつ電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
(実施例4−7)
絶縁層として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、金属箔として厚み6μmの圧延銅箔を用い、接着剤を使用せずに単に積層することで、表3に記載の積層構造をもつ電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
(実施例4−8)
絶縁層として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、金属箔として厚み17μmの圧延銅箔を用い、接着剤を使用せずに単に積層することで、表3に記載の積層構造をもつ電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
(実施例4−9)
絶縁層として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、金属箔として厚み33μmの圧延銅箔を用い、接着剤を使用せずに単に積層することで、表3に記載の積層構造をもつ電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
(実施例4−10)
絶縁層として厚さ9μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、金属箔として厚み7μm及び33μmの圧延銅箔を用い、接着剤を使用せずに単に積層することで、表3に記載の積層構造をもつ電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
(実施例4−11)
絶縁層として厚さ500μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、金属箔として厚み17μmの圧延銅箔を用い、接着剤を使用せずに単に積層することで、表3に記載の積層構造をもつ電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
(実施例4−12)
絶縁層として厚さ100μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルムを用い、金属箔として厚み17μmの圧延銅箔を用い、接着剤を使用せずに単に積層することで、表3に記載の積層構造をもつ電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
(実施例4−13)
絶縁層として厚さ100μmのポリアミド(PA)フィルムを用い、金属箔として厚み17μmの圧延銅箔を用い、接着剤を使用せずに単に積層することで、表3に記載の積層構造をもつ電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
(実施例4−14)
絶縁層として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、金属箔として厚み33μmの圧延銅箔と厚み30μmのニッケル箔を用い、接着剤を使用せずに単に積層することで、表3に記載の積層構造をもつ電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
(実施例4−15)
絶縁層として厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、金属箔として厚み12μmの圧延銅箔と厚み17μmの圧延銅箔を用い、接着剤を使用せずに単に積層することで、表3に記載の積層構造をもつ電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
(実施例4−16)
絶縁層として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、金属箔として厚み12μmの圧延銅箔を用い、接着剤を使用せずに単に積層することで、表3に記載の積層構造をもつ電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
(実施例4−17)
絶縁層として厚さ9μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、金属箔として厚み20μmのアルミ箔を用い、接着剤を使用せずに単に積層することで、表3に記載の積層構造をもつ電磁波シールド材を作製した。この電磁波シールド材を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社 型式TSES−KEC)に設置して、比較例4−1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
なお、上記の評価において、金属箔の導電率はJIS C2525:1999のダブルブリッジ法で測定した。比誘電率はJIS C 2151:2006に記載のB法により測定した。
結果を表3に示す。表3中の「最小σMMR」は、各試験例において、使用した金属箔と絶縁層のすべての組み合わせのうち、σM×dM×dRが最も小さくなる金属箔と絶縁層の組み合わせについての値である。比較例4−1及び4−2の結果から理解できるように、金属箔一枚では100μmを超える厚みに設定しても、シールド効果が31〜33dB程度しか得られない。比較例4−3の結果から理解できるように、金属箔のみを積層してもシールド効果の有意な向上は認められない。比較例4−4〜4−6の結果から理解できるように、金属箔2枚を絶縁層を介して積層しても同様である。また、比較例4−7の結果から金属箔3枚を絶縁層を介して積層した場合でも、σM×dM×dRが不十分だとシールド効果の向上は限定的であることが分かる。
一方、金属箔3枚を絶縁層を介して積層し、且つ、金属箔と絶縁層のすべての組み合わせについてσM×dM×dRが3×10-3以上である実施例4−1〜4−17においては、シールド効果が顕著に優れていることが理解できる。例えば、銅箔一枚では31.1dBのシールド効果を得るのに150μmもの厚みが必要であった比較例4−1に対して、実施例4−1ではその約1/3の厚みの銅箔しか用いていないにもかかわらず、約26dBもシールド効果が向上している。また、アルミ箔一枚では33.1dBのシールド効果を得るのに300μmもの厚みが必要であった比較例4−2に対して、実施例4−2ではその1/5の厚みのアルミ箔しか用いていないにもかかわらず、約19dBもシールド効果が向上している。
また、実施例の中でも、金属箔と絶縁層の組み合わせにおける最小σMMRが高いほうが、金属箔の総厚みを小さくしながら高いシールド効果が得られることも理解できる。例えば、実施例4−11〜4−13はすべて銅箔の総厚みが51μmであるが、最小σMMRの違いによってシールド効果に大きな差が生じていることが分かる。
101 金属箔
102 絶縁フィルム

Claims (19)

  1. 少なくとも二枚の金属箔が固体状の絶縁層を介して積層された構造を有する電磁波シールド材であって、絶縁層を介して積層された二枚以上の金属箔のうち、少なくとも二枚が電気的に接続されている電磁波シールド材。
  2. 電磁波シールド材を構成する金属箔のうち、最も上側に位置する金属箔と最も下側に位置する金属箔は少なくとも電気的に接続されている請求項1に記載の電磁波シールド材。
  3. 電磁波シールド材の最上層及び最下層が共に金属箔である請求項1又は2に記載の電磁波シールド材。
  4. 絶縁層を介して積層された二枚以上の金属箔のすべてが電気的に接続されている請求項1〜3の何れか一項に記載の電磁波シールド材。
  5. 少なくとも二枚の金属箔は絶縁層の側縁よりも外側にはみ出た部分をそれぞれ有しており、当該はみ出た部分同士が接触することにより前記少なくとも二枚の金属箔が電気的に接続されている請求項1〜4の何れか一項に記載の電磁波シールド材。
  6. 少なくとも一枚の絶縁層は厚み方向に貫通した穴を有しており、当該絶縁層の上下二枚の金属箔が当該穴の内部に配置された導電性材料を介して電気的に接続されている請求項1〜4の何れか一項に記載の電磁波シールド材。
  7. 前記シールド材を構成するすべての絶縁層が導電性材料によって密封されている請求項1〜6の何れか一項に記載の電磁波シールド材。
  8. 前記シールド材を構成するすべての絶縁層が前記シールド材を構成する二枚以上の金属箔によって密封されている請求項1〜6の何れか一項に記載の電磁波シールド材。
  9. 少なくとも3枚の金属箔が絶縁層を介して積層された構造を有する請求項1〜8の何れか一項に記載の電磁波シールド材。
  10. 電磁波シールド材を構成する金属箔と絶縁層のすべての組み合わせが、σM×dM×dR≧3×10-3を満たす請求項1〜9の何れか一項に記載の電磁波シールド材。
    但し、式中の記号は以下を示す。
    σM:金属箔の20℃における導電率(S/m)
    M:金属箔の厚み(m)
    R:絶縁層の厚み(m)
  11. 各金属箔の20℃における導電率が1.0×106S/m以上である請求項1〜10の何れか一項に記載の電磁波シールド材。
  12. 各金属箔の厚みが4〜100μmである請求項1〜11の何れか一項に記載の電磁波シールド材。
  13. 各絶縁層の20℃における比誘電率が2.0〜10.0である請求項1〜12の何れか一項に記載の電磁波シールド材。
  14. 各絶縁層の厚みが4〜500μmである請求項1〜13の何れか一項に記載の電磁波シールド材。
  15. 金属箔の合計厚みが15〜150μmである請求項1〜14の何れか一項に記載の電磁波シールド材。
  16. 電磁波シールド材を構成する各金属箔において、最大厚みをA、最小厚みをBとすると、いずれの金属箔においても、B/A≧0.5である請求項1〜15の何れか一項に記載の電磁波シールド材。
  17. 電磁波シールド材を構成する各絶縁層において、最大厚みをC、最小厚みをDとすると、いずれの絶縁層においても、D/C≧0.5である請求項1〜16の何れか一項に記載の電磁波シールド材。
  18. 請求項1〜17の何れか一項に記載の電磁波シールド材を備えた電気・電子機器用の被覆材又は外装材。
  19. 請求項18に記載の被覆材又は外装材を備えた電気・電子機器。
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