JP2016076664A - 電磁波シールド材 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁波シールド特性、軽量特性、及び成形加工性に優れた電磁波シールド材を提供する。【解決手段】少なくとも3枚の金属箔が絶縁層を介して積層された構造を有する電磁波シールド材であり、金属箔の20℃における電気抵抗率が5.0×10−5Ω・m以下であり、各金属箔の厚みが4〜50μmであり、金属箔が銅箔、銅合金箔、アルミ箔又はアルミ合金箔であり、金属箔の合計厚みが50〜150μmであり、絶縁層の比誘電率が25℃で2.0〜10である。【選択図】図2

Description

本発明は電磁波シールド材に関する。とりわけ、本発明は電気・電子機器の被覆材又は外装材に関する。
近年、地球環境問題に対する関心が全世界的に高まっており、電気自動車やハイブリッド自動車といった二次電池を搭載した環境配慮型自動車の普及が進展している。これらの自動車においては、搭載した二次電池から発生する直流電流をインバータを介して交流電流に変換した後、必要な電力を交流モータに供給し、駆動力を得る方式を採用するものが多い。インバータのスイッチング動作等に起因して電磁波が発生する。電磁波は車載の音響機器や無線機器等の受信障害となることから、インバータ或いはインバータと共にバッテリーやモータ等を金属製ケース内に収容して、電磁波シールドするという対策が行われてきた(特開2003−285002号公報)。
また、自動車に限らず、通信機器、ディスプレイ及び医療機器を含め多くの電気・電子機器から電磁波が放射される。電磁波は精密機器の誤作動を引き起こす可能性があり、更には、人体に対する影響も懸念される。このため、電磁波シールド材を用いて電磁波の影響を軽減する各種の技術が開発されてきた。例えば、銅箔と樹脂フィルムとを積層してなる銅箔複合体が電磁波シールド材として用いられている(特開平7−290449号公報)。銅箔は電磁波シールド性を有し、樹脂フィルムは銅箔の補強のために積層される。また、絶縁材料からなる中間層の内側と外側にそれぞれ金属層を積層した電磁波シールド構造も知られている(特許第4602680号公報)。また、ベース基板と、前記ベース基板の一面に形成されて、金属層および高屈折率層(五酸化ニオブ)を含む複数の反復単位膜で構成された積層部材とを具備する電磁波遮断用光学部材も知られている(特開2008−21979号公報)。
特開2003−285002号公報 特開平7−290449号公報 特許第4602680号公報 特開2008−21979号公報
自動車においては燃費向上の観点から軽量化が大きな課題となっており、金属材料から樹脂材料や炭素繊維材料への転換も検討が進んでいる。しかしながら、樹脂材料や炭素繊維材料には電磁波シールド効果は期待できない。かといって金属製の電磁波シールド材の厚みを小さくし過ぎると優れたシールド効果(例えば、1MHz〜1000MHzにおいて、36dB以上)が得られない。特開平7−290449号公報に記載の技術や特許第4602680号公報の記載の技術も同様であり、優れたシールド効果を得るのに必要な電磁波シールド材の厚みはかなり大きくする必要があり、十分な軽量化が達成できず、また、優れた成形加工性を得ることもできない。特開2008−21979号公報に記載の技術は光の通過を確保するためにナノメートルオーダーの金属層を積層する技術であるため、電磁波シールド特性に限界があるし、薄すぎることで成形加工性にも難がある。
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、電磁波シールド特性、軽量特性、及び成形加工性に優れた電磁波シールド材を提供することを課題とし、特に電気・電子機器用の被覆材又は外装材として好適な電磁波シールド材を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねたところ、3枚以上の金属箔を絶縁層を介して積層することで、電磁波シールド効果が格段に向上することを見出した。本発明は当該知見に基づいて完成したものであり、以下のように特定することができる。
本発明は一側面において、少なくとも3枚の金属箔が絶縁層を介して積層された構造を有する電磁波シールド材である。
本発明に係る電磁波シールド材の一実施形態においては、金属箔の電気抵抗率が20℃で5.0×10−5Ω・m以下である。
本発明に係る電磁波シールド材の別の一実施形態においては、各金属箔の厚みが4〜50μmである。
本発明に係る電磁波シールド材の更に別の一実施形態においては、金属箔が銅箔、銅合金箔、アルミ箔又はアルミ合金箔である。
本発明に係る電磁波シールド材の更に別の一実施形態においては、金属箔の合計厚みが50〜150μmである。
本発明に係る電磁波シールド材の更に別の一実施形態においては、絶縁層の比誘電率が25℃で2.0〜10である。
本発明に係る電磁波シールド材の更に別の一実施形態においては、各絶縁層の厚みが7〜25μmである。
本発明に係る電磁波シールド材の更に別の一実施形態においては、シールド材の全体の厚みが70〜200μmである。
本発明に係る電磁波シールド材の更に別の一実施形態においては、1MHz〜1000MHzの全領域において36dB以上の磁界シールド特性をもつ。
本発明に係る電磁波シールド材の更に別の一実施形態においては、金属箔と絶縁層は接着剤により接合している箇所が存在する。
本発明は別の一側面において、本発明に係る電磁波シールド材を備えた電気・電子機器用の被覆材又は外装材である。
本発明は別の一側面において、本発明に係る被覆材又は外装材を備えた電気・電子機器である。
本発明に係る電磁波シールド材では、3枚以上の金属箔を絶縁層を介して積層したことで、使用する金属箔の合計厚みを小さくしながらも優れた電磁波シールド効果を得ることが可能となる。これにより、軽量化が達成できるほか、成形加工性も確保することができる。また、本発明に係る電磁波シールド材は金属箔と絶縁層という単純な構成で構築可能であり、経済性にも優れている。
試験例1における磁界シールド効果評価試験の結果を示す。 試験例2における磁界シールド効果評価試験に使用した電磁波シールド材(a)〜(d)の積層構造を示す。 試験例2における磁界シールド効果評価試験に使用した電磁波シールド材(e)〜(i)の積層構造を示す。 試験例2における磁界シールド効果評価試験に使用した電磁波シールド材(j)〜(m)の積層構造を示す。 試験例2における磁界シールド効果評価試験の結果を示す((a)〜(d))。 試験例2における磁界シールド効果評価試験の結果を示す((e)〜(i))。 試験例2における磁界シールド効果評価試験の結果を示す((a)、(b)、(e)、(f)の比較)。 試験例2における磁界シールド効果評価試験の結果を示す((j)〜(m))。
(金属箔)
本発明に係る電磁波シールド材に使用する金属箔の材料としては特に制限はないが、交流磁界や交流電界に対するシールド特性を高める観点からは、導電性に優れた金属材料とすることが好ましい。具体的には、電気抵抗率が5.0×10−5Ω・m(20℃の値。以下同じ。)以下の金属によって形成することが好ましく、金属の電気抵抗率が1.0×10−7Ω・m以下であるとより好ましく、7.0×10−8Ω・m以下であると更により好ましく、5.0×10−8Ω・m以下であると最も好ましい。このような金属としては、電気抵抗率が約1.0×10−7Ω・mの鉄や、電気抵抗率が約2.65×10−8Ω・mのアルミニウム、電気抵抗率が約1.68×10−8Ω・mの銅、及び電気抵抗率が約1.59×10−8Ω・mの銀が挙げられる。電気抵抗率とコストの双方を考慮すると、アルミニウム又は銅を採用することが実用性上好ましい。本発明に係る電磁波シールド材中に使用する金属箔はすべて同一の金属であってもよいし、層毎に異なる金属を使用してもよい。また、上述した金属の合金を使用することもできる。金属箔表面には接着促進、耐環境性、耐熱及び防錆などを目的とした各種の表面処理層が形成されていてもよい。
例えば、金属面が最外層となる場合に必要とされる耐環境性、耐熱性を高めることを目的として、Auめっき、Agめっき、Snめっき、Niめっき、Znめっき、Sn合金めっき(Sn−Ag、Sn−Ni、Sn−Cuなど)、クロメート処理などを施すことができる。これらの処理を組み合わせてもよい。コストの観点からSnめっきあるいはSn合金めっきが好ましい。
また金属箔と絶縁層との密着性を高めることを目的として、クロメート処理、粗化処理、Niめっきなどを施すことができる。これらの処理を組み合わせてもよい。粗化処理が密着性を得られやすく好ましい。
また、直流磁界に対するシールド効果を高めることを目的として、比透磁率の高い金属層を設けることができる。比透磁率の高い金属層としてはFe−Ni合金めっき、Niめっきなどが挙げられる。
銅箔を使用する場合、シールド性能が向上することから、純度が高いものが好ましく、純度は好ましくは99.5質量%以上、より好ましくは99.8質量%以上である。銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔、メタライズによる銅箔等を用いることができるが、屈曲性及び成形加工性に優れた圧延銅箔が好ましい。銅箔中に合金元素を添加して銅合金箔とする場合、これらの元素と不可避的不純物との合計含有量が0.5質量%未満であればよい。特に、銅箔中に、Sn、Mn、Cr、Zn、Zr、Mg、Ni、Si、及びAgの群から選ばれる少なくとも1種以上を合計で200〜2000質量ppm含有すると、同じ厚みの純銅箔より伸びが向上するので好ましい。
本発明に係る電磁波シールド材に使用する金属箔の厚みは、一枚当たり4μm以上であることが好ましい。4μm未満だと金属箔の延性が著しく低下し、シールド材の成形加工性が不十分となる場合がある。また、一枚当たりの箔の厚みが4μm未満だと優れた電磁波シールド効果を得るために多数の金属箔を積層する必要が出てくるため、製造コストが上昇するという問題も生じる。このような観点から、金属箔の厚みは一枚当たり10μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることが更により好ましく、20μm以上であることが更により好ましく、25μm以上であることが更により好ましく、30μm以上であることが更により好ましい。一方で、一枚当たりの箔の厚みが50μmを超えても成形加工性を悪化させることから、箔の厚みは一枚当たり50μm以下であることが好ましく、45μm以下であることがより好ましく、40μm以下であることが更により好ましい。
金属箔は電磁波シールド材中で少なくとも3層存在することが、金属箔の合計厚みを薄くしながらも優れた電磁波シールド特性を確保する観点から必要である。金属箔の層が1枚や2枚だと、周波数が500kHz〜1MHzの低周波領域において30dB以上の磁界シールド特性を得るために必要な金属箔の合計厚みが大きくなってしまうし、一枚当たりの金属箔の厚みも大きくなるので成形加工性にも悪影響が出る。また、金属箔を3枚以上積層することで、金属箔の合計厚みが同じだとしても金属箔が単層の場合や2枚積層する場合に比べて、10MHz〜500MHz付近のシールド効果が顕著に向上する。ただし、金属箔の積層枚数は多い方が電磁波シールド特性は向上するものの、積層枚数を多くすると積層工程が増えるので製造コストの増大を招き、また、シールド向上効果も飽和する傾向にあるため、電磁波シールド材中の金属箔は5枚以下であるのが好ましく、4枚以下であるのがより好ましい。
従って、本発明に係る電磁波シールド材の一実施形態においては、金属箔の合計厚みを50〜150μmとすることができ、100μm以下とすることもでき、80μm以下とすることもできる。
(絶縁層)
本発明に係る電磁波シールド材において、複数枚の金属箔を積層することによる電磁波シールド効果の顕著な改善は、金属箔と金属箔の間に絶縁層を挟み込むことで得られる。金属箔同士を直接重ねても、金属箔の合計厚みが増えることでシールド効果が向上するものの、顕著な向上効果は得られない。これは、金属箔間に絶縁層が存在することで電磁波の反射回数が増えて、電磁波が減衰されることによると考えられる。
絶縁層としては、金属層とのインピーダンスの差が大きいものの方が、優れた電磁波シールド効果を得る上では好ましい。大きなインピーダンスの差を生じさせるには、絶縁層の比誘電率が小さいことが必要であり、具体的には10(25℃の値。以下同じ。)以下であることが好ましく、5.0以下であることがより好ましく、3.5以下であることが更により好ましい。比誘電率は原理的には1.0より小さくなることはない。一般的に手に入る材料では低くても2.0程度であり、これ以上低くして1.0に近づけてもシールド効果の上昇は限られている一方、材料自体が特殊なものになり高価となる。コストと作用との兼ね合いを考えると、2.0(25℃の値。以下同じ。)以上であることが好ましく、2.2以上であることがより好ましい。
具体的には、絶縁層を構成する材料としてはガラス、金属酸化物、紙、天然樹脂、合成樹脂が挙げられ、加工性の観点から合成樹脂が好ましい。これらの材料には炭素繊維、ガラス繊維及びアラミド繊維などの繊維強化材を混入させることも可能である。合成樹脂としては、入手のしやすさや加工性の観点から、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)及びPBT(ポリブチレンテレフタレート)等のポリエステル、ポリエチレン及びポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリアセタール、フッ素樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ABS樹脂、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレンブタジエンゴム等が挙げられ、これらの中でも加工性、コストの理由によりPET、PEN、ポリアミド、ポリイミドが好ましい。合成樹脂はウレタンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、アミド系などのエラストマーとすることもできる。更には、合成樹脂自体が接着剤の役割を担ってもよく、この場合は金属箔が接着剤を介して積層された構造となる。接着剤としては特に制限はないが、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン系、ポリエステル系、シリコーン樹脂系、酢酸ビニル系、スチレンブタジエンゴム系、ニトリルゴム系、フェノール樹脂系、シアノアクリレート系などが挙げられ、製造しやすさとコストの理由により、ウレタン系、ポリエステル系、酢酸ビニル系が好ましい。
樹脂材料はフィルム状や繊維状の形態で積層することができる。また、金属箔に未硬化の樹脂組成物を塗布後に硬化させることで樹脂層を形成してもよいが、金属箔に貼付可能な樹脂フィルムとするのが製造しやすさの理由により好ましい。特にPETフィルムを好適に用いることができる。特に、PETフィルムとして2軸延伸フィルムを用いることにより、シールド材の強度を高めることができる。
絶縁層の厚みは特に制限されないが、一枚当たりの厚みが7μmより薄いとシールド材の(伸び)破断歪が低下する傾向にあることから、絶縁層の一枚当たりの厚みは7μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。一方、一枚当たりの厚みが25μmを超えてもシールド材の(伸び)破断歪が低下する傾向にある。そこで、絶縁層の一枚当たりの厚みは25μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。
(電磁波シールド材)
本発明に係る電磁波シールド材は、上述した金属箔と絶縁層を積層することで製造可能である。絶縁層と金属箔の積層方法としては、絶縁層と金属箔の間に接着剤を用いてもよく、接着剤を用いずに絶縁層を金属箔に熱圧着してもよい。接着剤を用いずに単に重ねる方法でもよいが、電磁波シールド材の一体性を考慮すれば、少なくとも端部(例えばシールド材が四角形の場合は各辺)は接着剤により又は熱圧着により接合することが好ましい。但し、絶縁層に余分な熱を加えないという点からは、接着剤を用いることが好ましい。接着剤としては先述したものと同様であり、特に制限はないが、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン系、ポリエステル系、シリコーン樹脂系、酢酸ビニル系、スチレンブタジエンゴム系、ニトリルゴム系、フェノール樹脂系、シアノアクリレート系などが挙げられ、製造しやすさとコストの理由により、ウレタン系、ポリエステル系、酢酸ビニル系が好ましい。
接着剤層の厚みは6μm以下であることが好ましい。接着剤層の厚みが6μmを超えると、金属箔複合体に積層した後に金属箔のみが破断しやすくなる。ただし、先述したような接着剤層が絶縁層の役割を兼ねる場合は、この限りではなく、絶縁層の説明で述べた厚みとすることができる。
本発明に係る電磁波シールド材は、少なくとも3枚の金属箔が絶縁層を介して積層された構造を有することを要する。当該要件を具備する積層構造の例としては、以下が挙げられる。括弧で表された層は適宜加えてもよいことを表す。
(1)(絶縁層)/金属箔/絶縁層/金属箔/絶縁層/金属層/(絶縁層)
(2)(絶縁層)/金属箔/絶縁層/金属箔/絶縁層/金属箔/絶縁層/金属箔/(絶縁層)
(1)及び(2)においては、一つの「金属箔」は絶縁層を介することなく複数の金属箔を積層して構成することができ、一つの「絶縁層」も金属箔を介することなく複数の絶縁層を積層して構成することができる。また、絶縁層や金属箔以外の層を設けることもできる。
本発明に係る電磁波シールド材の一実施形態においては、電磁波シールド材の全体厚みを70〜200μmとすることができ、150μm以下とすることもでき、125μm以下とすることもできる。
本発明に係る電磁波シールド材は、特に電気・電子機器(例えば、インバータ、通信機、共振器、電子管・放電ランプ、電気加熱機器、電動機、発電機、電子部品、印刷回路、医療機器等)の被覆材又は外装材、電気・電子機器に接続されたハーネスや通信ケーブルの被覆材、電磁波シールドシート、電磁波シールドパネル、電磁波シールド袋、電磁波シールド箱、電磁波シールド室など各種の電磁波シールド用途に利用することが可能である。
本発明に係る電磁波シール材の一実施形態によれば、1MHz〜1000MHzの全領域において36dB以上の磁界シールド特性(受信側でどれだけ信号が減衰したか)をもつことができ、好ましくは40dB以上の磁界シールド特性をもつことができる。本発明においては、磁界シールド特性はKEC法によって測定することとする。KEC法とは、関西電子工業振興センターにおける「電磁波シールド特性測定法」を指すものである。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらは本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
<試験例1>
種々の金属について、単層での磁界シールド効果を調査した。使用した金属材料は下記の通りである。
(1)圧延銅箔(厚み:280μm)
(2)圧延銅箔(厚み:150μm)
(3)Znめっき鋼鈑(厚み:270μm)
(4)ケイ素鋼鈑(厚み:330μm)
(5)SUS304(厚み:330μm)
(6)SUS430(厚み:150μm)
(7)アルミニウム(厚み:300μm)
用意した金属材料を磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社型式TSES−KEC)に設置して、室温(25℃)条件下で、KEC法により磁界シールド効果を評価した。この際、周波数を0.1MHzから1000MHzまで変化させて、周波数の変化に対する磁界シールド効果の推移を調査した。
結果を図1に示す。同じ厚みであれば鉄系材料よりも導電性の高い銅が高いシールド効果を与えることが分かる。また、同一材料であれば厚みが大きい方がシールド効果が高まることが分かる。これらの材料のうちで、1MHz〜1000MHzの全領域において36dB以上の磁界シールド特性を達成することができたのは厚みが280μmの圧延銅箔と厚みが300μmのアルミニウムのみであった。これらの結果から分かるように、金属材料単独で優れた磁界シールド効果を得るには厚みをかなり大きくする必要がある。このように厚い金属箔では成形加工性が劣り、重量も重くなるため、実用性が高いとは言えない。
<試験例2>
絶縁層として厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(25℃で比誘電率:3.2)を用い、金属箔として厚み17μm、33μm又は68μmの圧延銅箔(20℃で電気抵抗率:1.7×10−8Ω・m)、及び、厚み30μm又は60μmのアルミ箔(20℃で電気抵抗率:2.7×10−8Ω・m)を用い、図2〜4の(a)〜(m)に示す積層構造をもつ電磁波シールド材をそれぞれ作製した。電気抵抗率は銅箔、アルミ箔ともにJIS C2525:1999のダブルブリッチ法で測定した。金属箔とPETフィルムの積層を接着剤を介して行った界面については、図2〜図4中、“接着剤”と表示してある。接着剤はロックペイント社製アドロックRU−80/H−5のウレタン系接着剤を使用し、厚みを3μm程度とした。接着剤との表記がない界面については銅箔とPETフィルムが単に積層されているだけである。各電磁波シールド材に対して、磁界シールド効果評価装置(テクノサイエンスジャパン社型式TSES−KEC)に設置して、試験例1と同様の方法で磁界シールド効果を評価した。
結果を図5〜8に示す。金属箔を重ねると、PETフィルムが金属箔間に積層されるか否かにかかわらず、磁界シールド効果は向上することが分かる。そして、PETフィルムが金属箔間に積層されることで磁界シールド効果は顕著に向上することが分かる。また、図6で(g)と(f)を比較することにより、PETフィルムを介して積層する場合には銅箔の合計厚みが小さくても、磁界シールド効果が高くなることが分かる。また、図7で(b)と(f)を比較すると、(b)は銅箔3枚の積層構造(銅箔の合計厚み51μm)であるのに対して、(f)は銅箔2枚の積層構造(銅箔の合計厚みは66μm)であるため、銅箔の合計厚みは(f)の方が大きいにも拘わらず、(b)の方が優れた磁界シールド効果を示した。また、図7で(b)と(e)を比較すると、両者は共に銅箔3枚の積層構造であるが、高周波領域においてはほとんど同じシールド効果を示す一方で、低周波領域においては各銅箔の厚みが大きい(e)の磁界シールド効果が優れていた。図8から、アルミ箔においても同様にPETフィルムを介して3枚以上積層することによる磁界シールド効果が確認できる。
(a)〜(m)の試験例について1MHzにおける磁界シールド特性を表1に示す。試験例2において、1MHz〜1000MHzの全領域において36dB以上の磁界シールド特性を達成することができたのは(a)、(b)、(e)、(i)、(j)、及び(k)であった。そして、(a)は銅箔の合計厚みがわずか68μmであり、試験例1で当該特性を達成した280μmの銅箔の1/4程度の厚みしかない。(j)はアルミ箔の合計厚みがわずか90μmであり、試験例1で当該特性を達成した300μmのアルミ箔の3/10しかない。PETの重量を考慮しても、大幅な軽量化が可能となることが分かる。(i)及び(k)でも目標とする特性を達成できているが、金属箔の一枚当たりの厚みが大きすぎて加工性が確保できない。

Claims (12)

  1. 少なくとも3枚の金属箔が絶縁層を介して積層された構造を有する電磁波シールド材。
  2. 金属箔の20℃における電気抵抗率が5.0×10−5Ω・m以下である請求項1に記載の電磁波シールド材。
  3. 各金属箔の厚みが4〜50μmである請求項1又は2に記載の電磁波シールド材。
  4. 金属箔が銅箔、銅合金箔、アルミ箔又はアルミ合金箔である請求項1〜3の何れか一項に記載の電磁波シールド材。
  5. 金属箔の合計厚みが50〜150μmである請求項1〜4の何れか一項に記載の電磁波シールド材。
  6. 絶縁層の比誘電率が25℃で2.0〜10である請求項1〜5の何れか一項に記載の電磁波シールド材。
  7. 各絶縁層の厚みが7〜25μmである請求項1〜6の何れか一項に記載の電磁波シールド材。
  8. シールド材の全体の厚みが70〜200μmである請求項1〜7の何れか一項に記載の電磁波シールド材。
  9. 1MHz〜1000MHzの全領域において36dB以上の磁界シールド特性をもつ請求項1〜8の何れか一項記載の電磁波シールド材。
  10. 金属箔と絶縁層は接着剤により接合している箇所が存在する請求項1〜9の何れか一項記載の電磁波シールド材。
  11. 請求項1〜10の何れか一項記載の電磁波シールド材を備えた電気・電子機器用の被覆材又は外装材。
  12. 請求項11に記載の被覆材又は外装材を備えた電気・電子機器。
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