JP2017045551A - 扁平形電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 長期間にわたって優れた密閉性を維持し得る扁平形電池を製造する方法を提供する。【解決手段】 本発明の扁平形電池の製造方法は、オーステナイト系またはオーステナイト・フェライト系ステンレス鋼材を絞り加工して形成した断面が略コの字状であって、底面部、折り曲げ部および側面部のビッカース硬さが140〜320(HV)であり、その差が底面部のビッカース硬さの15%以内で、かつ、側面部の厚みが0.1〜0.3mmの金属缶を外装缶として用い、前記外装缶の側面部の開口部側を内方にかしめ、前記折り曲げ部と前記底面部とのビッカース硬さの差を90(HV)以下とし、前記側面部の開口部付近と前記折り曲げ部とのビッカース硬さの差を50(HV)以上とすることにより、扁平形電池を製造する。【選択図】 図1

Description

本発明は、長期間にわたって優れた密閉性を維持し得る扁平形電池を製造する方法に関するものである。
扁平形電池の外装缶は、一般に、ニッケルメッキされた鋼板やステンレス鋼板などの金属板を絞り加工することによって形成されており、使用される電池系の電位で安定に存在できることや、優れた密閉性を実現できることなどが要求される。
特に最近では、より長期間にわたって優れた密閉性を維持することが求められるようになっており、従来よりも優れた封止構造を実現することが検討されている。
扁平形電池においては、外装缶の側面を内方にかしめて電池の封止を行っており、封止性能を高めるには、より高強度の金属缶を外装缶に用いることが望ましいが、金属缶の強度が大きくなると、かしめ加工が難しくなるほか、かしめた後にスプリングバックが生じて、側面、特に肩部(かしめ部)が電池の外側へ開き気味になることでガスケットの押圧が十分でなくなる虞があり、電池の封止性を向上させ難いといった問題があった。
一方、比較的強度が小さい金属缶を外装缶に用いた場合には、かしめ加工が容易になり、また、かしめ加工後のスプリングバックも生じ難くなるものの、ガスケットの押圧力が大きくならないため、やはり電池の封止性の向上には限界があった。
これに対し、特許文献1には、オーステナイト系ステンレス鋼を絞り加工して外装缶を作製し、更に、800〜1200℃でアニールした後、底面部のみを冷間加工することで、底面部の硬度を側面(立ち上がり部)の硬度よりも大きくした状態で電池の組み立てを行うことにより、封口時の加工性を改善し、封口性能を高めて耐漏液性を向上させることが提案されている。
特開昭59−58754号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、外装缶の底面部をプレス加工することにより、その硬度を立ち上がり部の硬度の2〜3倍に高めることが可能であるが、底面部を冷間加工するための工程が別途必要になるほか、封口時の力が底面部に逃げて、底面部にへこみを生じるという問題が指摘されていた。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、長期間にわたって優れた密閉性を維持し得る扁平形電池を製造する方法を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の扁平形電池の製造方法は、外装缶、封止体、および前記外装缶と前記封止体との間に配置されたガスケットを有する電池容器内に、正極、負極および電解質を収容してなる扁平形電池を製造する方法であって、オーステナイト系またはオーステナイト・フェライト系ステンレス鋼材を絞り加工して、底面部と、一方に開口部を有する側面部と、前記底面部と前記側面部とを繋ぐ折り曲げ部とを有する断面が略コの字状であって、前記側面部の厚みが0.1〜0.3mmの金属缶を用い、前記金属缶における前記底面部、前記折り曲げ部および前記側面部のビッカース硬さを140〜320(HV)とし、かつ前記折り曲げ部と前記底面部とのビッカース硬さの差、および前記側面部と前記底面部とのビッカース硬さの差を、それぞれ前記底面部のビッカース硬さの15%以内として前記外装缶を製造する工程(A)と、前記外装缶の側面部の開口部側を内方にかしめ、前記折り曲げ部と前記底面部とのビッカース硬さの差を90(HV)以下とし、前記側面部の開口部付近と前記折り曲げ部とのビッカース硬さの差を50(HV)以上とする工程(B)とを有することを特徴とする。
なお、電池業界においては、高さより径の方が大きい扁平形電池をコイン形電池と呼んだり、ボタン形電池と呼んだりしているが、そのコイン形電池とボタン形電池との間に明確な差はなく、本発明法により製造される扁平形電池には、コイン形電池、ボタン形電池のいずれもが含まれる。
本発明によれば、長期間にわたって優れた密閉性を維持し得る扁平形電池を製造する方法を提供することができる。
本発明に係る扁平形電池の一例を模式的に表す縦断面図である。 本発明で外装缶として使用する金属缶の一例を模式的に表す縦断面図である。 図2に示す金属缶について、ビッカース硬さの測定箇所を説明するための図面である。 図1に示す扁平形電池に係る外装缶について、ビッカース硬さの測定箇所を説明するための図面である。
図1に、本発明に係る扁平形電池の一例を模式的に表す縦断面図を示す。図1に示す扁平形電池1は、外装缶2と封止体3とガスケット7とを有する電池容器内に、正極4、負極5および電解質(図示しない)を収容してなるものであり、正極4と負極5との間には、セパレータ6が介在している。
外装缶2は、底面部2aと、一方(図1中上方)に開口部を有する側面部2cと、底面部2aと側面部2cとを繋ぐ折り曲げ部2bとを有しており、側面部2cは、図中上方に向かう直線部2dと、ガスケット7へ押圧するために内方にかしめられたかしめ部2eとを有している。
図1の電池1では、外装缶2が正極4と接して電気的に接続することで正極端子を兼ねており、また、封止体3が負極5と接して電気的に接続することで負極端子を兼ねているが、電池の用途などによっては、外装缶が負極端子を兼ね、封止体が正極端子を兼ねていてもよい。
本発明では、外装缶に、オーステナイト系またはオーステナイト・フェライト系ステンレス鋼材を絞り加工して形成された金属缶を使用する。
図2に、本発明で外装缶として使用する金属缶の一例を模式的に表す縦断面図を示す。図2に示すように、本発明で使用する金属缶20は、底面部20aと、一方に開口部を有する側面部20cと、底面部20aと側面部20cとを繋ぐ折り曲げ部20bとを有する断面が略コの字状のものである。
本発明で外装缶に使用する金属缶は、オーステナイト系またはオーステナイト・フェライト系ステンレス鋼材(鋼板)を絞り加工して、図2に示すような形状としたものである。
また、図3および図4には、前記金属缶および組み立て後の電池の外装缶について、後述するビッカース硬さの測定箇所を、それぞれA1〜G1およびA2〜G2で示している。なお、図4中、A2〜G2の位置は、それぞれ図3中のA1〜G1と対応する位置としている。また、図3および図4中のA1並びにA2は、金属缶および外装缶の底面部の中央部に位置し、C1並びにC2は、底面部と側面部との間で金属缶および外装缶の曲率が最も小さくなっている部分に位置し、G1並びにG2は、金属缶および外装缶の側面部の開口端付近に位置している。
前記のような種類のステンレス鋼材を絞り加工した場合、底面部20a(図3のA1〜B1)のビッカース硬さは鋼材が有する値からあまり変化しないが、折り曲げ部20b(図3のC1)および側面部20c(図3のD1〜G1)は加工硬化によってビッカース硬さが増大する。そして、このような金属缶を外装缶に使用して電池を組み立てると、前記のビッカース硬さの増大によって外装缶にスプリングバックが生じて、電池の密閉性が損なわれてしまう。
そこで、本発明では、まず、工程(A)において、前記金属缶における折り曲げ部および側面部のビッカース硬さを所定値にし、かつ折り曲げ部および側面部のビッカース硬さを、底面部のビッカース硬さと同等かまたはそれに近い値に調整する。
具体的には、本発明の工程(A)では、前記金属缶における底面部、折り曲げ部および側面部のビッカース硬さを140(HV)以上、好ましくは160(HV)以上、より好ましくは200(HV)以上、更に好ましくは240(HV)以上であって、320(HV)以下の範囲に調整する。オーステナイト系ステンレス鋼やオーステナイト・フェライト系ステンレス鋼は、鋼材として供される状態でのビッカース硬さが、およそ140(HV)以上320(HV)以下である。よって、工程(A)を経た金属缶は、絞り加工によって増大した硬度が低下して、元の硬度に近い値となっている。
また、本発明の工程(A)では、前記金属缶における折り曲げ部と底面部とのビッカース硬さの差、および側面部と底面部とのビッカース硬さの差を、それぞれ底面部のビッカース硬さの15%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは7%以内とする。すなわち、工程(A)を経た金属缶は、全体にわたってビッカース硬さの均一性が高くなっている。
本明細書でいう金属缶の各箇所のビッカース硬さは、金属缶をエポキシ樹脂で固めたものを切断し、断面を研磨してビッカース硬さの測定箇所を表面に露出させた測定試料を作製し、これを用いてJIS Z 2244の規定に従って測定した値である。
工程(A)を経て金属缶のビッカース硬さが前記のように調整されることで、電池を組み立てた際の外装缶のスプリングバックが良好に抑制される。
工程(A)において、金属缶のビッカース硬さを前記のように調整するには、例えば、金属缶を800〜1200℃でアニール処理すればよい。なお、アニール処理は、水素気流中などの非酸化性雰囲気下で実施することが好ましく、また、処理時間は、5分以上1時間以下とすることが好ましい。
外装缶に使用する金属缶は、前記の通り、オーステナイト系ステンレス鋼材またはオーステナイト・フェライト系ステンレス鋼材を絞り加工して形成したものである。
金属缶の形成に使用するオーステナイト系ステンレス鋼材としては、JIS規格における種類の記号で、SUS301、SUS301L、SUS301J1、SUS302B、SUS303、SUS304、SUS304Cu、SUS304L、SUS304N1、SUS304N2、SUS304LN、SUS304J1、SUS304J2、SUS305、SUS309S、SUS310S、SUS312L、SUS315J1、SUS315J2、SUS316、SUS316L、SUS316N、SUS316LN、SUS316Ti、SUS316J1、SUS316J1L、SUS317、SUS317L、SUS317LN、SUS317J1、SUS317J2、SUS836L、SUS890L、SUS321、SUS347、SUSXM7、SUSXM15J1などが挙げられる。また、前記以外のオーステナイト系ステンレス鋼材として、NAS304LG(SUS305相当の鋼種)なども例示することができる。
また、金属缶の形成に使用するオーステナイト・フェライト系ステンレス鋼材としては、JIS規格における種類の記号で、SUS329J1、SUS329J3L、SUS329J4Lが挙げられる。
金属缶を形成するためのステンレス鋼材は、前記例示のものの中から、電池に要求される特性などに応じて適切なものを選択すればよい。例えば、本発明に係る扁平形電池を、磁気センサを装着した腕時計などのように、微弱な磁界を測定する機器の電源とする場合などには、金属缶の磁性が測定結果に影響を与えるのを防ぐため、前記例示の各ステンレス鋼材の中から、非磁性タイプのもの(例えば、Niの含有量が8%以上、好ましくは10%以上のもの)を選択することが好ましい。
前記のステンレス鋼材を金属缶とするための絞り加工は、常法に従って行えばよい。
外装缶とするための金属缶には、側面部の厚みが0.1mm以上0.3mm以下のものを使用する。このような厚みの金属缶を用いることで、前記ビッカース硬さに調整した際の電池の密閉性を維持する機能を高めることができる。なお、金属缶は、底面部の厚みも0.1mm以上0.3mm以下であることが好ましい。
工程(A)を実施した後は、この工程(A)によって硬度を調整した金属缶を外装缶に用いて扁平形電池を組み立てる。電池の組み立ては、例えば、ガスケットを装着した封止体の内面に負極を入れ、ここにセパレータを介して正極を重ね、更に封止体に電解質を入れる。なお、負極、セパレータおよび正極は、予め重ね合わせた電極体の形で、封止体に入れてもよい。その後、封止体の開口部(ガスケットの開口部)に外装缶を被せた後に、本発明に係る工程(B)により、外装缶〔工程(A)を経た前記金属缶〕の開口部側を内方(ガスケット側)にかしめて、扁平形電池とする。
そして、本発明に係る工程(B)では、前記のかしめによる加工硬化により、側面部の開口部付近(図3のG1)、すなわち、電池とした後の外装缶に係るかしめ部(図1中、2e)の開口部付近(図4のG2)のビッカース硬さを、折り曲げ部(図4のC2)のビッカース硬さよりも50(HV)以上大きくする一方で、前記折り曲げ部のビッカース硬さは、底面部の中央部(図4のA2)のビッカース硬さとの差が90(HV)以下となるようにする。
すなわち、かしめる際に、折り曲げ部のビッカース硬さの上昇を一定範囲に抑制することにより、スプリングバックが生じるのを防ぐことができ、一方、側面部の開口部付近では一定以上の加工硬化を生じさせることにより、かしめ部とガスケットとの間の密閉性が向上し、かかる箇所からの電解質の漏出を良好に抑制できるようになる。
かしめ部とガスケットとの間の密閉性をより向上させるためには、かしめた後の側面部の開口部付近のビッカース硬さは、230(HV)以上であることが好ましく、250(HV)以上であることがより好ましく、260(HV)以上であることが特に好ましく、一方、ビッカース硬さが高くなりすぎてスプリングバックが生じるのを防ぐため、350(HV)以下であることが好ましく、330(HV)以下であることがより好ましく、300(HV)以下であることが特に好ましい。
外装缶のかしめは、常法に従って行えばよいが、前記のビッカース硬さとするためには、例えば、図1に示しているように、外装缶の側面部2cの折り曲げ部2b側に、直線部2dが形成されるようにかしめることが好ましい。
本発明に係る扁平形電池は、一次電池(アルカリ一次電池、非水電解質一次電池など)の態様を取ることができ、また、二次電池(アルカリ二次電池、非水電解質二次電池など)の態様を取ることもできる。
扁平形電池の正極には、正極活物質、導電助剤およびバインダを含有する正極合剤をペレット状に成形した正極合剤成形体や、前記正極合剤で形成された正極合剤層を集電体の片面または両面に有する構造のものが使用できる。
扁平形電池がアルカリ電池(一次電池または二次電池)の場合に使用可能な正極活物質としては、酸化銀(酸化第一銀、酸化第二銀など);二酸化マンガン;オキシ水酸化ニッケル;銀とコバルト、ニッケルまたはビスマスとの複合酸化物;などが挙げられる。
正極活物質として酸化銀を使用する場合、その酸化銀は顆粒状であることが好ましい。通常、酸化銀は、粒径が0.1〜5μmの微粉末状で供されるが、この酸化銀を造粒して顆粒状にして用いると、微粉末の状態で用いた場合よりも抵抗が低くなるため、電池の負荷特性をより向上させることができる。
酸化銀を微粉末の状態で用いた場合には、抵抗を低減するには、より多量の導電助剤を添加する必要があるが、導電助剤として使用する炭素材料はかさ密度が小さいため、これをあまりに多量に添加すると活物質である酸化銀の充填量を高めることが困難になる。これに対し、顆粒状の酸化銀を用いると、秤量性が向上してバラツキが低減したり、また、加圧成形した場合に充填性が高まり成形性が向上するので、抵抗が低減すると共に、複数の正極(ひいては扁平形電池)を製造した場合に、個々の特性がより安定化する。更に、導電助剤として添加する炭素材料の使用量も低減でき、酸化銀の充填量を増やすこともできる。
更に、例えば、酸化第一銀では、炭素材料と次式のような反応を起こして還元されるため、放電性能が低下する。
2AgO+C→4Ag+CO
しかしながら、酸化銀を顆粒にすることによって、前記反応が抑制される上に、前述したように炭素材料の添加量も低減できるので、更に酸化銀の還元反応が抑制されることになり、放電特性(特に低温重負荷特性)がより良好となる。
正極活物質として顆粒状酸化銀を使用する場合には、その粒径が、好ましくは50μm以上、より好ましくは75μm以上であって、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下であり、また、そのかさ密度が、好ましくは1.5g/cm以上、より好ましくは1.8g/cm以上であって、好ましくは3.5g/cm以下、より好ましくは2.6g/cm以下である。このような形態の酸化銀であれば、粉末状のものに比較して流動性がよく、前記の通り、秤量性・成形性が向上し、抵抗が低下して反応性が向上するため、負荷特性がより優れたものとなり、また、製造される正極(延いては扁平形電池)個々の特性がより安定化する。なお、ここでいう顆粒状酸化銀の粒径は、Honeywell社製のマイクロトラック粒度分布計「9320−X100」を用いて、レーザー光の散乱により、粒子個数nおよび各粒子の直径dを測定し、算出した数平均粒子径である。また、ここでいう顆粒状酸化銀のかさ密度は、JIS R 1628に規定のかさ密度測定方法に準じて、所定量の顆粒状酸化銀を容器に入れ、かさ密度測定装置を用いて求めた値である。
また、扁平形電池が非水電解質電池(一次電池または二次電池)の場合に使用可能な正極活物質としては、二酸化マンガン;バナジウム酸化物、ニオブ酸化物、チタン酸化物、二硫化鉄などの硫化物;フッ化黒鉛;LiMn(0<x<2)、LiMnO(0<x<1)などのリチウム含有マンガン酸化物、LiTi5/3(4/3≦x<7/3)、LiMnやその元素の一部を他元素で置換したスピネル構造の複合酸化物、Li1+x(−0.1<x<0.1、M:Co、Ni、Mn、Al、Mgなど)で表される層状構造のリチウム含有複合酸化物、LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Feなど)で表されるオリビン型化合物などの各種リチウム含有複合酸化物;などが挙げられる。
前記層状構造のリチウム含有複合酸化物としては、LiCoOなどのコバルト酸リチウムやLiNi1−aCoa−bAl(0.1≦a≦0.3、0.01≦b≦0.2)などの他、少なくともCo、NiおよびMnを含む酸化物(LiMn1/3Ni1/3Co1/3、LiMn5/12Ni5/12Co1/6、LiNi3/5Mn1/5Co1/5など)などを例示することができる。
正極合剤に係る導電助剤には、例えば、アセチレンブラック;ケッチェンブラック;チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類;炭素繊維;などの炭素材料の他、金属繊維などの導電性繊維類;フッ化カーボン;銅、ニッケルなどの金属粉末類;ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料;などを用いることができる。
正極合剤に係るバインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)などが挙げられる。
正極は、正極合剤成形体の場合には、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダ、更には必要に応じて電解質(電解液)などを混合して調製した正極合剤を所定の形状に加圧成形することで製造することができる。
また、正極合剤層と集電体とを有する形態の正極の場合には、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを水またはN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶媒に分散させて正極合剤含有組成物(スラリー、ペーストなど)を調製し(バインダは溶媒に溶解していてもよい)、これを集電体上に塗布し乾燥し、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することができる。
ただし、正極は、前記の各方法で製造されたものに限定されず、他の方法で製造したものであってもよい。
正極に係る正極合剤中の組成としては、正極活物質の量が80〜98質量%であることが好ましく、導電助剤の含有量が1.5〜10質量%であることが好ましく、バインダの含有量が0.5〜10質量%であることが好ましい。
正極合剤成形体の場合、その厚みは、0.15〜4mmであることが好ましい。他方、正極合剤層と集電体とを有する形態の正極の場合、正極合剤層の厚み(集電体の片面あたりの厚み)は、30〜300μmであることが好ましい。
正極に集電体を用いる場合には、その集電体としては、例えば、SUS316、SUS430、SUS444などのステンレス鋼;アルミニウムやアルミニウム合金;を素材とするものが挙げられ、その形態としては、平織り金網、エキスパンドメタル、ラス網、パンチングメタル、金属発泡体、箔(板)などが例示できる。集電体の厚みは、例えば、0.05〜0.2mmであることが好ましい。このような集電体の表面には、カーボンペーストや銀ペーストなどのペースト状導電材を塗布しておくことも望ましい。
扁平形電池がアルカリ電池(一次電池または二次電池)の場合の負極には、亜鉛粒子または亜鉛合金粒子(以下、両者を纏めて「亜鉛系粒子」という場合がある)を含有するものが使用される。このような負極では、前記粒子中の亜鉛が活物質として作用する。亜鉛合金粒子の合金成分としては、例えば、インジウム(例えば含有量が質量基準で50〜500ppm)、ビスマス(例えば含有量が質量基準で50〜500ppm)などが挙げられる(残部は亜鉛および不可避不純物である)。負極の有する亜鉛系粒子は、1種単独でもよく、2種以上であってもよい。
ただし、亜鉛系粒子には、合金成分として水銀を含有しないものを使用することが好ましい。このような亜鉛系粒子を使用している電池であれば、電池の廃棄による環境汚染を抑制できる。また、水銀の場合と同じ理由から、亜鉛系粒子には、合金成分として鉛を含有しないものを使用することが好ましい。
亜鉛系粒子としては、例えば、全粉末中、粒径が100〜200μmの粉末の割合が、50体積%以上、より好ましくは90体積%以上であるものが挙げられる。ここでいう亜鉛系粒子における粒径が100〜200μmの粉末の体積割合は、前記の「顆粒状酸化銀」の粒径測定法と同じ測定方法および測定装置で測定したものである。
扁平形電池がアルカリ電池である場合の負極には、例えば、前記の亜鉛系粒子の他に、必要に応じて添加されるゲル化剤(ポリアクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセルロースなど)を含み、これにアルカリ電解液を加えることで構成される負極剤(ゲル状負極)が使用できる。負極中のゲル化剤の量は、例えば、0.5〜1.5質量%とすることが好ましい。
また、扁平形電池がアルカリ電池の場合の負極は、前記のようなゲル化剤を実質的に含有しない非ゲル状の負極とすることもできる(なお、非ゲル状負極の場合、亜鉛系粒子近傍に存在する電解液が増粘しなければ構わないので、「ゲル化剤を実質的に含有しない」とは、電解液粘度への影響がない程度に含有していてもよい、という意味である)。ゲル状負極の場合には、亜鉛系粒子の近傍に、ゲル化剤と共に電解液が存在しているが、ゲル化剤の作用によってこの電解液が増粘しており、電解液の移動、ひいては電解液中のイオンの移動が抑制されている。このため、負極での反応速度が抑えられ、これが電池の負荷特性(特に重負荷特性)の向上を阻害しているものと考えられる。これに対し、負極を非ゲル状として、亜鉛系粒子近傍に存在する電解液の粘度を増大させずに電解液中のイオンの移動速度を高く保つことで、負極での反応速度を高めて、負荷特性(特に重負荷特性)をより高めることができる。
扁平形電池が非水電解質電池(一次電池または二次電池)の場合の負極には、負極活物質およびバインダなどを含有する負極合剤層を集電体の片面または両面に形成した構造のものや、負極活物質となる金属箔などをそのまま用いたもの、更には、負極活物質となる金属箔と集電体とを積層した構造のものなどを使用することができる。
扁平形電池が非水電解質一次電池の場合の負極活物質としては、金属リチウム、リチウム合金(リチウム−アルミニウム合金)などが挙げられる。
また、扁平形電池が非水電解質二次電池の場合の負極活物質としては、金属リチウム、リチウム合金(リチウム−アルミニウム合金)などのほか、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などの炭素材料;Si、Snなどのリチウムとの合金化が可能な元素を含む合金;SiやSnの酸化物:などが挙げられる。
負極合剤層を有する負極の場合のバインダには、正極合剤に係るバインダとして先に例示した各種バインダと同じものを用いることができる。また、負極合剤層には導電助剤を含有させてもよく、その場合の導電助剤としては、正極合剤に係る導電助剤として先に例示した各種導電助剤と同じものを用いることができる。
負極合剤層と集電体とを有する形態の負極の場合、例えば、負極活物質およびバインダ、更には必要に応じて導電助剤などを水またはNMPなどの有機溶媒に分散させて負極合剤含有組成物(スラリー、ペーストなど)を調製し(バインダは溶媒に溶解していてもよい)、これを集電体上に塗布し乾燥し、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することができる。
ただし、負極は、前記の各方法で製造されたものに限定されず、他の方法で製造したものであってもよい。
負極合剤層の組成としては、例えば、負極活物質の含有量が70〜99質量%であることが好ましく、バインダの含有量が1〜30質量%であることが好ましい。また、導電助剤を使用する場合には、負極合剤層における導電助剤の含有量は、1〜20質量%であることが好ましい。更に、負極合剤層の厚みは、集電体の片面あたり、1〜100μmであることが好ましい。
負極の集電体には、例えば、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンまたはそれらの合金などからなる箔、パンチドメタル、エキスパンドメタル、網などを用い得るが、通常、厚みが5〜30μmの銅箔が好適に用いられる。
扁平形電池において、正極と負極との間にはセパレータを介在させる。扁平形電池がアルカリ電池の場合のセパレータには、ビニロンとレーヨンを主体とする不織布、ビニロン・レーヨン不織布(ビニロン・レーヨン混抄紙)、ポリアミド不織布、ポリオレフィン・レーヨン不織布、ビニロン紙、ビニロン・リンターパルプ紙、ビニロン・マーセル化パルプ紙などを用いることができる。また、親水処理された微孔性ポリオレフィンフィルム(微孔性ポリエチレンフィルムや微孔性ポリプロピレンフィルムなど)とセロファンフィルムとビニロン・レーヨン混抄紙のような吸液層(電解液保持層)とを積み重ねたものをセパレータとしてもよい。アルカリ電池の場合のセパレータの厚みは、20〜500μmであることが好ましい。
また、扁平形電池が非水電解質電池の場合のセパレータには、ポリオレフィン製の微多孔膜(微孔性ポリオレフィンフィルム)や不織布を好適に用いることができる。特に、二次電池の場合は、80℃以上(より好ましくは100℃以上)170℃以下(より好ましくは150℃以下)において、空孔が閉塞する性質(すなわちシャットダウン機能)を有していることが好ましく、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)の微多孔膜が好ましく用いられる。
前記以外のセパレータとしては、ポリイミド、ポリアミド、アラミド、ポリフェニレンサルファイドなど耐熱性を有する樹脂の微多孔膜や不織布を例示することもできる。
セパレータが微多孔膜である場合の厚みは、10〜30μmであることが好ましく、不織布である場合の厚みは、20〜500μmであることが好ましい。
集電体を有する正極と、金属箔からなる負極または集電体を有する負極とを使用する場合には、正極と負極とをセパレータを介して積層した積層体(積層電極体)や、この積層体を渦巻状に巻回した巻回体(巻回電極体)といった電極体の形態で扁平形電池に使用することができる。これらの電極体に係る正極や負極と、外装缶や封止体との電気的接続は、常法(集電タブを介するなど)に従って行えばよい。
扁平形電池がアルカリ電池である場合の電解質(電池容器内に注入する電解質の他、正極合剤成形体に使用したり、負極剤に使用したりする電解質も含む)には、アルカリ電解質(アルカリ電解液)が使用される。前記のアルカリ電解質としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物の水溶液からなるアルカリ水溶液や、それに酸化亜鉛を添加したものなどを用いることができる。アルカリ電解液中のアルカリ金属の水酸化物の濃度としては、例えば水酸化カリウムの場合、28〜38質量%であることが好ましく、また、酸化亜鉛を使用する場合、その濃度は、1.0〜4.0質量%であることが好ましい。
また、扁平形電池が非水電解質電池である場合の電解質には、リチウム塩を有機溶媒に溶解させた溶液(非水電解液)が使用される。この場合のリチウム塩としては、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF などの無機リチウム塩;LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(ROSO〔ここでRはフルオロアルキル基〕などの有機リチウム塩;などが挙げられる。
また、非水電解液に係る有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;プロピオン酸メチルなどの鎖状エステル;γ−ブチロラクトンといった環状エステル;ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどの鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリルといったニトリル類;エチレングリコールサルファイトなどの亜硫酸エステル類;などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても構わない。なお、より良好な特性の電池とするためには、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒など、高い導電率を得ることができる組み合わせで用いることが望ましい。また、これらの非水電解液に安全性や充放電サイクル性、高温貯蔵性といった特性を向上させる目的で、ビニレンカーボネート類、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロへ軋るベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの添加剤を適宜加えることもできる。
リチウム塩の非水電解液中の濃度としては、0.5〜1.5mol/lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/lとすることがより好ましい。
また、非水電解液は、公知のポリマーなどのゲル化剤を用いてゲル状(ゲル状電解質)としてもよい。
扁平形電池の封止体には、例えば、ステンレス鋼で構成されたものが使用できるが、負極活物質として亜鉛系粒子を用いるアルカリ電池の場合には、負極と接する面は銅または黄銅などの銅合金で構成され、その本体部分はステンレス鋼で構成され、外面側、すなわち、負極と接する面と反対側の面はニッケルで構成されたものが好適である。
ガスケットの素材には、PP、ナイロンなどを使用できるほか、電池の用途との関係で耐熱性が要求される場合には、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル(PEE)、ポリスルフォン(PSF)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの、融点が240℃を超える耐熱樹脂を使用することもできる。
扁平形電池の平面視での形状は、円形でもよく、四角形(正方形・長方形)などの多角形であってもよい。また、多角形の場合には、その角を曲線状としていてもよい。
正極合剤成形体を用いた扁平形電池においては、ガスケットが外装缶の底にまで到達している、所謂中入れ構造とすることができるが、図1に示すように、外装缶2の内側底面とガスケット7との間に正極(正極合剤成形体)3の外周部が配置された所謂底敷構造を採用することが好ましい。中入れ構造の電池の場合には、その内容積のうち、発電に関与しないガスケットの占有容積分が大きい。これに対し、図1に示す電池では、底敷構造を採用することで、電池内における正極の充填量(正極活物質の充填量)をより高めており、これにより更なる高容量化を図ることができる。
なお、底敷構造の電池では、ガスケットの底面が正極合剤成形体と接するため、ガスケットの底面が正極合剤成形体よりも硬い外装缶の底と接する中入れ構造の電池に比べて密閉性が低下しやすいが、本発明に係る扁平形電池では、前記の各作用によって、底敷構造とした場合にも、高い密閉性を長期にわたって維持できる。
本発明に係る扁平形電池は、従来から知られている各種扁平形電池と同じ用途に適用することができるが、優れた密閉性を維持することができるため、例えばカプセル型内視鏡カメラなどの小型医療機器の駆動電源としても好適に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
平均粒径が150μmの顆粒状にした酸化第一銀(正極活物質)95質量%と、黒鉛(導電助剤)5質量%とを含有する混合物を金型に充填し、直径8.9mm、高さ0.75mmの円板状に加圧成形して正極合剤成形体を作製し、これに下記の電解液の一部を含浸させた。
また、負極には、Alを1000ppm、Biを100ppm、Inを500ppmおよびMgを5ppm含有する亜鉛合金(無水銀亜鉛合金)の粉末を用いた。なお、この亜鉛合金粉末は、前記の方法により求めた粒径が75μm以下の粒子の割合が25質量%で、平均粒径が120μmであった。
更に、電解液には、酸化亜鉛を4質量%、および水酸化インジウムを1000ppm溶解させた水酸化カリウム濃度が36質量%の水溶液を用いた。
外装缶用の金属缶は、以下のようにして作製した。厚み300μmのSUS329J4L鋼板〔ビッカース硬さ280(HV)〕を絞り加工して、図2に示す断面形状の金属缶(底面部20aの厚み:300μm、側面部20cの厚み:300μm)を作製した。絞り加工後の金属缶は、ビッカース硬さが後記の表1に示す値となり、底面部の中央部(図3のA1):296(HV)、折り曲げ部(図3のC1):378(HV)、側面部の開口部付近(図3のG1):386(HV)であった。
前記の金属缶を、水素気流中で、1100℃で10分間アニール処理して〔工程(A)〕、外装缶用の金属缶を得た。アニール処理後の金属缶のビッカース硬さも、併せて表1に示すが、底面部の中央部:280(HV)、折り曲げ部:276(HV)、側面部の開口部付近:278(HV)となり、折り曲げ部のビッカース硬さと底面部の中央部のビッカース硬さとの差が、底面部の中央部のビッカース硬さの1.4%、側面部のビッカース硬さと底面部の中央部のビッカース硬さとの差が、底面部の中央部のビッカース硬さの0.7%であった。
なお、ビッカース硬さの測定には、株式会社アカシ(現株式会社ミツトヨ)のマイクロビッカース硬さ試験機(MVK−H1)を用い、3個の試料の測定値の平均値で示した。また、F1の位置については、ビッカース硬さの測定を行わなかったが、E1のビッカース硬さとG1のビッカース硬さの間の値になっていると考えられる。
Figure 2017045551
また、電池組み立て用の封止体は、銅−ステンレス鋼(SUS304)−ニッケルの3層クラッド板を用いて作製した。更に、セパレータには、株式会社ユアサメンブレンシステムの「YG2152」を用いた。このセパレータは、厚みが20μmのセロハンフィルムと、厚みが30μmのグラフトフィルムとを積層してなるものであり、前記グラフトフィルムは、ポリエチレン主鎖にアクリル酸をグラフト共重合させた構造を有するグラフト共重合体で構成されている。また、電解液保持層として、厚みが200μmのビニロン−レーヨン混抄紙を用いた。セパレータおよび電解液保持層は、直径9.2mmの円形に打ち抜いて用いた。
前記の封止体の開口部にナイロン66製のガスケットを被せた封止体の内側に負極、電解液保持層、およびセパレータを順に入れ、電解液を注入した後に、外装缶用の金属缶を被せ、金属缶の開口部側を内方にかしめて〔工程(B)〕、図1に示す底敷構造で、直径9.5mm、厚さ2.7mmの扁平形アルカリ一次電池(扁平形酸化銀電池)を作製した。なお、図1では電解液保持層は図示していないが、実施例1の電池では、電解液保持層はセパレータ6の上面側(負極5側)に配置した。
作製した実施例1の電池のうちの3個について、外装缶のビッカース硬さを測定して平均値を求めた結果を後記の表2に示すが、折り曲げ部(図4のC2)のビッカース硬さ:291(HV)は、底面部の中央部(図4のA2)のビッカース硬さ:285(HV)との差が6(HV)と小さく、一方、かしめ部(図1中2e)の開口部付近(図4のG2)のビッカース硬さ:371(HV)は、前記折り曲げ部のビッカース硬さよりも80(HV)大きくすることができた。
実施例2
直径9.1mm、高さ0.25mmの円板状に加圧成形した正極合剤成形体を用い、外装缶として、SUS304鋼板を絞り加工した後に実施例1と同じ条件でアニール処理を行った金属缶を用いて、電池のサイズを直径9.5mm、厚さ1.3mmに変更した以外は実施例1と同様にして、扁平形アルカリ一次電池を作製した。
実施例3
外装缶として、NAS304LG鋼板を絞り加工した後に実施例1と同じ条件でアニール処理を行った金属缶を用いた以外は実施例2と同様にして、扁平形アルカリ一次電池を作製した。
比較例1
絞り加工後の金属缶をアニール処理せずに、そのまま外装缶として用いた以外は、実施例1と同様にして扁平形アルカリ一次電池を作製した。
比較例2
絞り加工後の金属缶をアニール処理せずに、そのまま外装缶として用いた以外は、実施例2と同様にして扁平形アルカリ一次電池を作製した。
比較例3
絞り加工後の金属缶をアニール処理せずに、そのまま外装缶として用いた以外は、実施例3と同様にして扁平形アルカリ一次電池を作製した。
実施例および比較例の扁平形アルカリ一次電池の外装缶のビッカース硬さを表2に示す。なお、表2における各欄の、括弧を付していない数値は、外装缶のビッカース硬さであり、括弧内の数値は、かしめる前の金属缶のビッカース硬さを示している。
Figure 2017045551
表2に示す通り、実施例1〜3の電池は、外装缶の折り曲げ部のビッカース硬さと底面部の中央部のビッカース硬さとの差が6〜66(HV)と小さい値であったのに対し、比較例1〜3の電池では、93〜134(HV)と大きくなっていた。
また、実施例1〜3の電池は、外装缶の側面部の開口部付近のビッカース硬さと前記折り曲げ部のビッカース硬さとの差を61〜80(HV)と大きくすることができたが、比較例1の電池では、10(HV)の差しか生じなかった。
実施例1〜3および比較例1〜3の扁平形アルカリ一次電池各100個を、温度60℃、相対湿度90%の環境下で貯蔵して、貯蔵後14日目および21日目に、アルカリ電解液の漏出(漏液)が生じた電池の割合を調べた。各電池の漏液の有無は光学顕微鏡(倍率:15倍)で観察し、封止体とガスケットの境界面付近に軽微な結晶の晶出が認められたものを「漏液あり」とすることで判定した。
前記の評価結果を表3に示す。
Figure 2017045551
前記の評価の結果、工程(A)および工程(B)を経て作製した外装缶を使用した実施例1〜3の各電池は、14日間の貯蔵では、100個全てにおいて漏液が認められず、また21日間の長期貯蔵でも10〜20%の電池で漏液が認められただけで、長期間にわたって優れた密閉性が維持できていた。
特に、実施例2および実施例3の電池においても、かしめた後の、外装缶の側面部の開口部付近のビッカース硬さをより好適な値としたことにより、電池の厚みが2mm以下と薄くなり、良好な封止性を得るのが難しいにもかかわらず、長期間にわたって優れた密閉性を維持することができた。
これに対し、工程(A)での硬度調整を実施していない外装缶を使用した比較例1〜3の電池では、14日間の貯蔵でも5〜30%の電池で漏液が認められ、21日間の貯蔵では40〜90%もの電池で漏液が認められており、密閉性を維持する機能が実施例の電池よりも劣っていた。
1 扁平形電池
2 外装缶
2a 底面部
2b 折り曲げ部
2c 側面部
2d 直線部
2e かしめ部
3 封止体
4 正極
5 負極
6 セパレータ
7 ガスケット
20 金属缶
20a 底面部
20b 折り曲げ部
20c 側面部

Claims (2)

  1. 外装缶、封止体、および前記外装缶と前記封止体との間に配置されたガスケットを有する電池容器内に、正極、負極および電解質を収容してなる扁平形電池を製造する方法であって、
    オーステナイト系またはオーステナイト・フェライト系ステンレス鋼材を絞り加工して、底面部と、一方に開口部を有する側面部と、前記底面部と前記側面部とを繋ぐ折り曲げ部とを有する断面が略コの字状であって、前記側面部の厚みが0.1〜0.3mmの金属缶を用い、前記金属缶における前記底面部、前記折り曲げ部および前記側面部のビッカース硬さを140〜320(HV)とし、かつ前記折り曲げ部と前記底面部とのビッカース硬さの差、および前記側面部と前記底面部とのビッカース硬さの差を、それぞれ前記底面部のビッカース硬さの15%以内として前記外装缶を製造する工程(A)と、
    前記外装缶の側面部の開口部側を内方にかしめ、前記折り曲げ部と前記底面部とのビッカース硬さの差を90(HV)以下とし、前記側面部の開口部付近と前記折り曲げ部とのビッカース硬さの差を50(HV)以上とする工程(B)とを有することを特徴とする扁平形電池の製造方法。
  2. 前記工程(A)において、前記金属缶を800〜1200℃でアニール処理する請求項1に記載の扁平形電池の製造方法。
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