JP2017045044A - レジストパターン形成方法及び化学増幅型感放射線性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い感度でナノエッジラフネスが小さく高解像度のレジストパターンを形成できるレジストパターン形成方法の提供を目的とする。【解決手段】本発明は、酸の作用により現像液への溶解性が変化する第1成分、第1波長の放射線を含む第1露光光の作用により酸を発生する第2成分、並びに第1露光光の作用により増感体に変化する増感体前駆体を含有する化学増幅型感放射線性樹脂組成物を用いて基板にレジスト膜を形成する工程と、第1露光光でレジスト膜を露光する第1露光工程と、第1波長よりも長い第2波長の放射線を含む第2露光光でレジスト膜を露光する第2露光工程と、有機溶媒を主成分とする現像液で第2露光光で露光されたレジスト膜を現像する工程とを備え、増感体前駆体の第2波長における吸光度を(IPP)、増感体の第2波長における吸光度を(IP)としたときの(IPP)/(IP)の値が0.2以下であるレジストパターン形成方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、レジストパターン形成方法及び化学増幅型感放射線性樹脂組成物に関する。
半導体デバイスの露光工程において、回路の高集積化と高速度化に伴い、より微細なパターンが求められている。パターン微細化の手法として、主に露光源の短波長化が求められており、例えば、極端紫外線(EUV、波長:13.5nm)は、次世代半導体デバイスの製造に有望な技術として盛んに開発されている。しかし、量産適用に必要な高出力(100W)を持つ光源装置の開発が困難で、現状では10Wレベルに留まっており、パターン潜像を形成するための露光に時間がかかる。また、電子線(EB)を用いた電子線直接描画法では、ビーム径が小さいことから高寸法精度で微細なパターンを形成することができる反面、パターンが複雑で大面積になるほど描画に時間がかかる。このように、EUVや電子線を用いた露光技術では、微細なパターンを形成できるものの、スループットが低いという問題があった。
この問題を解決すべく、露光時間をできるだけ減らすように、レジスト材料の高感度化が進められている。例えば、特許文献1に開示されているレジスト組成物では、特定の樹脂及び化合物を含む組成によって、感度及び解像度の向上を図っていた。
特開2002−174894号公報
しかしながら、感度、解像度、ナノエッジラフネス(LER)というレジストの重要な3つの性能の間にはトレードオフの関係があり、レジストの高感度化を行った場合、解像度やLERが低下するという問題が生じる。このため、LERを低下させずにレジストを高解像度化かつ高感度化するには限界があり、スループットが低いという問題を十分に解決することができなかった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、トレードオフの関係を解決し、レジストの感度を向上させることができ、かつLERが小さく、高解像度のレジストパターンを形成することができるレジストパターン形成方法及びこのレジストパターン形成方法に用いられる化学増幅型感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
本発明のレジストパターン形成方法は、酸の作用により現像液への溶解性が変化する第1成分(以下、「[A]成分」ともいう)、第1波長(以下、「波長(I)」ともいう)の放射線を含む第1露光光(以下、「露光光(I)」ともいう)の作用により酸を発生する第2成分(以下、「[B]成分」ともいう)、並びに露光光(I)の作用により増感体に変化する増感体前駆体(以下、「[C]増感体前駆体」ともいう)を含有する化学増幅型感放射線性樹脂組成物(以下、「感放射線性樹脂組成物(I)」ともいう)を用いて、基板にレジスト膜を形成する工程(以下、「レジスト膜形成工程」ともいう)と、露光光(I)で上記レジスト膜を露光する第1露光工程(以下、「露光工程(1)」ともいう)と、波長(I)よりも長い第2波長(以下、「波長(II)」ともいう)の放射線を含む第2露光光(以下、「露光光(II)」ともいう)で、露光光(I)で露光されたレジスト膜を露光する第2露光工程(以下、「露光工程(2)」ともいう)と、有機溶媒を主成分とする現像液(以下、「現像液(I)」ともいう)で、露光光(II)で露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「現像工程」ともいう)とを備え、[C]増感体前駆体の波長(II)における吸光度を(IPP)、上記増感体の波長(II)における吸光度を(I)としたときの(IPP)/(I)の値が0.2以下であるレジストパターン形成方法である。
本発明の化学増幅型感放射線性樹脂組成物は、当該レジストパターン形成方法に用いられる化学増幅型感放射線性樹脂組成物であって、酸の作用により現像液への溶解性が変化する[A]成分、波長(I)の放射線を含む露光光(I)の作用により酸を発生する[B]成分、及び露光光(I)の作用により増感体に変化する増感体前駆体を含有することを特徴とする。
本発明のレジストパターン形成方法及び化学増幅型感放射線性樹脂組成物によれば、高い感度で、ナノエッジラフネスが小さく、高解像度のレジストパターンを形成することができる。
(a)〜(e)は、本実施形態のレジストパターン形成方法の工程を示す模式図である。 本実施形態のレジストパターン形成方法におけるエネルギー照射量−残膜率曲線を示す図である。 本実施形態のレジストパターン形成方法におけるエネルギー照射量−時間曲線を示す図である。 本発明の他の実施形態に係るレジストパターン形成方法の工程を説明する図である。 本発明の更なる実施形態に係るレジストパターン形成方法の工程を説明する図である。 (a)〜(d)は、本発明の更なる実施形態に係るレジストパターン形成方法の工程を説明する図である。 (a)〜(c)は、本発明のレジストパターン形成方法の具体例1を説明する図である。 (a)〜(d)は、本発明のレジストパターン形成方法の具体例2を説明する図である。 (a)〜(d)は、本発明のレジストパターン形成方法の具体例3を説明する図である。 (a)〜(e)は、本発明のレジストパターン形成方法の具体例4を説明する図である。 本実施形態における化学反応式である。 DOMeBzHとDOMeBzOの吸収率を示すグラフである。 本実施形態における酸、増感体及びクエンチャーの濃度変化を示す模式図であり、(a)は露光光(I)の照射直後の濃度を示し、(b)は露光光(I)の照射によって生成された酸とクエンチャーとが中和した後の濃度を示し、(c)は露光光(II)を照射した後の濃度を示す。 ラインパターンを上方から見た際の模式的な平面図である。 ラインパターン形状の模式的な断面図である。
以下、図面を参照して、本発明によるレジストパターン形成方法及び感放射線性樹脂組成物(I)の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。
図1〜図3を参照して、本発明の実施形態に係るレジストパターン形成方法を説明する。図1は、本実施形態のレジストパターン形成方法の工程を示す模式図である。図2は、本実施形態のレジストパターン形成方法におけるエネルギー照射量−残膜率曲線を示す図である。図3は、本実施形態のレジストパターン形成方法におけるエネルギー照射量−時間曲線を示す図である。本実施形態のレジストパターン形成方法は、ステップS101〜ステップS110によって実行される。
<レジスト膜形成工程>
まず、図1(a)に示すように、レジスト膜形成工程(S101)において、基板11にレジスト膜12を形成する。具体的には、基板11(例えばウェハー)を用意し、基板11上に化学増幅型感放射線性樹脂組成物(I)を塗布してプリベークを行うことでレジスト膜12を形成する。感放射線性樹脂組成物(I)については後述する。本発明は、後述する現像工程における現像液(I)として有機溶媒を主成分とする現像液を用いるので、露光部分が現像液(I)に不溶又は難溶となり、未露光部分が現像液(I)に溶解するため、ネガ型のレジストパターンが形成される。
レジスト膜の形成方法としては、例えば感放射線性樹脂組成物(I)を基板上に、すなわち、基板に直接積層させて、又は後述する有機下層膜上若しくは後述するシリコン含有膜上に塗布して塗膜を形成し、この塗膜をプレベークする方法等が挙げられる。感放射線性樹脂組成物(I)の塗布方法としては、例えばスピンコート法、ロールコート法、ディップ法等が挙げられる。プレベークの温度の下限としては、50℃が好ましく、80℃がより好ましい。プレベークの温度の上限としては、150℃が好ましく、120℃がより好ましい。プレベークの時間の下限としては、10秒が好ましく、30秒がより好ましい。プレベークの時間の上限としては、600秒が好ましく、300秒がより好ましい。レジスト膜の平均厚みの下限としては、10nmが好ましく、20nmがより好ましい。上記平均厚みの上限としては、300nmが好ましく、150nmがより好ましい。
図2に示すように、レジスト膜へ照射したエネルギー量が閾値Ea(以下、「潜像形成エネルギー」ともいう)を超えると、レジスト膜12には潜像が形成され、潜像が形成された部分は、現像液(I)に難溶となる。エネルギー量が更に増加して閾値Et(以下、「必要エネルギー量」ともいう)を超えると、潜像が形成した部分は現像液(I)に不溶又は難溶となる。
<有機下層膜形成工程>
レジスト膜形成工程の前に、上記基板の上記レジスト膜を形成する面側に有機下層膜を形成する工程を備えていてもよい。
有機下層膜としては、例えばレジスト下層膜用組成物を用いて形成する有機膜、従来公知のCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成される炭素膜等が挙げられる。レジスト下層膜用組成物としては、従来公知のものを使用でき、例えばNFC HM8005(JSR社)等が挙げられる。有機下層膜の形成方法としては、例えばレジスト下層膜用組成物を基板上に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を加熱処理及び/又は紫外光の照射を行うことにより硬化させる方法等が挙げられる。レジスト下層膜用組成物の塗布方法としては、例えばスピンコート法、ロールコート法、ディップ法等が挙げられる。加熱温度の下限としては、150℃が好ましく、180℃がより好ましい。加熱温度の上限としては、500℃が好ましく、350℃がより好ましい。加熱時間の下限としては、30秒が好ましく、45秒がより好ましい。加熱時間の上限としては、1,200秒が好ましく、600秒がより好ましい。有機下層膜の平均厚みの下限としては、50nmが好ましく、70nmがより好ましい。上記平均厚みの上限としては、500nmが好ましく、300nmがより好ましい。
<シリコン含有膜形成工程>
また、上記有機下層膜形成工程と上記レジスト膜形成工程の間に、上記有機下層膜の上記レジスト膜を形成する面側にシリコン含有膜を形成する工程を備えていてもよい。
シリコン含有膜は、例えばポリシロキサン及び溶媒を含有するポリシロキサン組成物を用いて形成される。ポリシロキサンとしては、シロキサン結合を有するポリマーである限り特に限定されないが、下記式(i)で表されるシラン化合物を含む化合物の加水分解縮合物が好ましい。
Figure 2017045044
上記式(i)中、Rは、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基又はシアノ基である。上記アルキル基の水素原子の一部又は全部は、エポキシアルキルオキシ基、酸無水物基又はシアノ基で置換されていてもよい。上記アリール基の水素原子の一部又は全部は、ヒドロキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。Xは、ハロゲン原子又は−ORである。但し、Rは、1価の有機基である。aは、0〜3の整数である。但し、R及びXがそれぞれ複数の場合、複数のR及びXはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
で表される炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等の直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソアミル基等の分岐状のアルキル基等が挙げられる。これらの中で、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
で表される炭素数2〜10のアルケニル基としては、例えばエテニル基、1−プロペン−1−イル基、1−プロペン−2−イル基、1−プロペン−3−イル基、1−ブテン−1−イル基、1−ブテン−2−イル基、1−ブテン−3−イル基、1−ブテン−4−イル基、2−ブテン−1−イル基、2−ブテン−2−イル基、1−ペンテン−5−イル基、2−ペンテン−1−イル基、2−ペンテン−2−イル基、1−ヘキセン−6−イル基、2−ヘキセン−1−イル基、2−ヘキセン−2−イル基等が挙げられる。
で表される炭素数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基等が挙げられる。
エポキシアルキルオキシ基におけるエポキシ基は、オキシラニル基及びオキセタニル基の両方が含まれる。
エポキシアルキルオキシ基で置換されたアルキル基としては、例えば2−グリシジルオキシエチル基、3−グリシジルオキシプロピル基、4−グリシジルオキシブチル基等のオキシラニルアルキルオキシ基;3−エチル−3−オキセタニルプロピル基、3−メチル−3−オキセタニルプロピル基、3−エチル−2−オキセタニルプロピル基、2−オキセタニルエチル基等のオキセタニルアルキルオキシ基等が挙げられる。これらの中で3−グリシジルオキシプロピル基、3−エチル−3−オキセタニルプロピル基が好ましい。
酸無水物基で置換されたアルキル基としては、例えば2−無水コハク酸基置換エチル基、3−無水コハク酸基置換プロピル基、4−無水コハク酸基置換ブチル基等が挙げられる。これらの中で、3−無水コハク酸基置換プロピル基がより好ましい。
シアノ基で置換されたアルキル基としては、例えば2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基等が挙げられる。
ヒドロキシ基で置換されたアリール基としては、例えば4−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル基、4−ヒドロキシナフチル基等が挙げられる。これらの中で、4−ヒドロキシフェニル基が好ましい。ハロゲン原子で置換されたアリール基としては、例えばクロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基等が挙げられる。
上記Xで表されるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
の1価の有機基としては、アルキル基及びアルキルカルボニル基が好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びt−ブチル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。アルキルカルボニル基としては、メチルカルボニル基及びエチルカルボニル基が好ましい。
上記ポリシロキサンを合成する加水分解縮合の反応条件としては、シラン化合物の少なくとも一部を加水分解して、加水分解性基(−OR)をシラノール基に変換し、縮合反応を起こさせるものである限り、特に限定されるものではないが、例えばシラン化合物の加水分解性基の合計量1モルに対して、好ましくは0.1モル以上3モル以下、より好ましくは0.3モル以上2モル以下、さらに好ましくは0.5モル以上1.5モル以下の水を用い、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等の溶媒中、シュウ酸等の酸触媒、アミン等の塩基触媒などの触媒存在下、好ましくは40℃以上200℃以下、より好ましくは50℃以上150℃以下の反応温度、好ましくは30分以上24時間以下、より好ましくは1時間以上12時間以下の反応時間で加水分解縮合反応を行うこと等が挙げられる。
得られるポリシロキサンのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)の下限としては、500が好ましく、1,000がより好ましく、1,500がさらに好ましく、2,000が特に好ましい。上記Mwの上限としては、50,000が好ましく、30,000がより好ましく、15,000がさらに好ましく、5,000が特に好ましい。
シリコン含有膜の形成方法としては、例えばポリシロキサン組成物を、有機下層膜のレジスト膜を形成する面側に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を加熱処理及び/又は紫外光の照射を行うことにより硬化させる方法等が挙げられる。ポリシロキサン組成物の塗布方法としては、例えばスピンコート法、ロールコート法、ディップ法等が挙げられる。加熱温度の下限としては、150℃が好ましく、180℃がより好ましい。加熱温度の上限としては、500℃が好ましく、350℃がより好ましい。加熱時間の下限としては、30秒が好ましく、45秒がより好ましい。加熱時間の上限としては、1,200秒が好ましく、600秒がより好ましい。シリコン含有膜の平均厚みの下限としては、10nmが好ましく、20nmがより好ましい。上記平均厚みの上限としては、500nmが好ましく、300nmがより好ましい。
<保護膜形成工程>
レジスト膜形成工程と、次に説明する露光工程(1)との間に、上記レジスト膜の上記基板とは反対の面側に保護膜形成用組成物により保護膜を形成する工程を備えていてもよい。
保護膜の形成により、液浸露光を行う場合の液浸液がレジスト膜へと直接接触することを防ぎ、レジスト膜内部への液浸液の浸透及びレジスト膜成分の液浸液への溶出によるレジスト性能の劣化を抑制し、また、液浸液への溶出成分による露光装置のレンズ汚染を防止することができる。また、EUV、電子線等の放射線を用いる露光の際に、レジスト膜からのアウトガスの蒸散を低減することができるので、露光装置の汚染を防止することができる。
保護膜形成用組成物は、重合体及び溶媒を含有する。この重合体としては、フッ素原子及び/又はケイ素原子を有する重合体が好ましい。このような重合体を含む保護膜は、有機溶媒を主成分とする現像液(I)への溶解性がより良好となるため、保護膜の溶け残り等を抑制することができる。フッ素原子及び/又はケイ素原子を有する重合体としては、例えば後述する感放射線性樹脂組成物(I)の[F]重合体として例示したものと同様の重合体等が挙げられる。
保護膜形成用組成物が含有する溶媒としては、レジスト膜を溶解せず、かつ良好なレジストパターンを形成する観点から、レジスト膜を溶解しないものが好ましく、後述する現像液(I)とは異なる溶媒がより好ましい。このような溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、フッ素系溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。これらの中で、フッ素原子を含まないアルコール系溶媒が好ましい。保護膜形成用組成物の全溶媒量に対するアルコール系溶媒、フッ素系溶媒及び炭化水素系溶媒以外の溶媒の含有量の上限としては、30質量%が好ましく、20質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましい。保護膜形成用組成物は、溶媒を1種又は2種以上含有していてもよい。
保護膜形成用組成物の固形分濃度の下限としては、塗布性向上の観点から、0.01質量%が好ましく、0.1質量%がより好ましく、1質量%がさらに好ましい。上記固形分濃度の上限としては、20質量%が好ましく、15質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましい。
保護膜の形成方法としては、例えば保護膜形成用組成物をレジスト膜上に塗布して塗膜を形成し、この塗膜をプレベークする方法等が挙げられる。保護膜形成用組成物の塗布方法としては、例えばスピンコート法、ロールコート法、ディップ法等が挙げられる。プレベークの温度の下限としては、50℃が好ましく、80℃がより好ましい。プレベークの温度の上限としては、150℃が好ましく、120℃がより好ましい。プレベークの時間の下限としては、10秒が好ましく、30秒がより好ましい。プレベークの時間の上限としては、600秒が好ましく、300秒がより好ましい。保護膜の平均厚みの下限としては、10nmが好ましく、20nmがより好ましい。上記平均厚みの上限としては、300nmが好ましく、150nmがより好ましい。
<露光工程(1)>
次に、図1(b)に示すように、露光工程(1)(S103)において、露光光(I)の照射によってレジスト膜12を露光する。露光光(I)の照射により、レジスト膜12内の[B]成分から酸が発生し、また、[C]増感体前駆体から増感体が生成する。レジスト膜12には、[B]成分からの酸の発生及び[C]増感体前駆体からの増感体の生成の両方が起こる。[B]成分から発生した酸の作用により、[A]成分において極性変換、架橋、分解反応等が起こり、その結果、[A]成分の現像液への溶解性が変化する。現像によりレジストパターンを形成するには、[B]成分からの一定量の酸の発生が必要である。
露光工程(1)は、例えば真空又は不活性雰囲気で行われる。露光光(I)は、レジスト膜12を上方から照射するように、露光光源21から出射される。ここでは、露光光(I)はレジスト膜12内の一面に照射される。図1に示すように、露光光(I)は例えばレジスト膜12内の全面に照射される。しかし、露光光(I)はレジスト膜12内の全体に対して、パターン状等、一部の領域のみに照射されてもよい。なお、露光光(I)は、例えば可視光、UV(紫外線)、DUV(深紫外線)、EUV、X線のような電磁波である。また、露光光(I)は電子線やイオンビームであってもよい。露光光(I)としては、これらの中で、EUV及び電子線が好ましい。
図2に示すように、露光工程(1)(S103)において、露光光(I)の照射量Efは、潜像形成エネルギー量Eaを超えない照射量である。即ち、露光工程(1)(S103)では、[B]成分から現像時にレジストパターンを形成するのに必要な量よりも少ない酸を生成する。このため、露光工程(1)(S103)を実行した段階では、現像液においてレジスト膜12は不溶化又は難溶化せず、レジストパターンは形成されない。
<保持工程>
露光工程(1)の後、図1(c)に示すように、保持工程(S105)において、レジスト層12の状態を保持する工程を備えていてもよい。具体的には、後述する露光工程(2)(S107)が実行されるまでに、プリベークを行うことなく、環境を制御し、露光工程(1)(S103)において露光光(I)を照射したレジスト膜12内の[B]成分から発生した酸の量及び[C]増感体前駆体から生成した増感体の量の減少を抑制する。
例えば、レジスト膜12周辺の環境は、露光工程(1)において生成した酸及び増感体の量の減少を制御できる雰囲気である。酸及び増感体の量の減少を制御できる雰囲気は、塩基性物質を含まない不活性ガス雰囲気又は真空雰囲気であってもよい。また、塩基性物質及び/又は酸素を遮断する保護膜が設けられてもよい。不活性ガス雰囲気の場合には、不活性ガスとして、例えば窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が用いられ、減圧、加圧下で用いることが可能である。真空雰囲気の場合には、レジスト膜12の周辺が真空下であれば良く、好ましくは、レジスト膜12の周辺を1Pa以下の真空にする。不活性ガス雰囲気又は真空雰囲気の環境中では、レジスト膜12に生成された増感体の量の減少が抑制される。
また、レジスト膜12周辺の環境は、レジスト膜12中の酸及び/又は増感体の量を増大できる雰囲気又は液体であってもよい。酸及び/又は増感体の量を増大できる雰囲気として活性ガス雰囲気を使用する。活性ガス雰囲気として、例えば吸収波長シフト用の反応性ガスを使用する。酸及び増感体の量を増大できる活性液体として、例えば吸収波長シフト用の反応性液体を使用する。レジスト膜12に生成された増感体は、活性ガス又は活性液体と反応し、後述する露光工程(2)(S107)において活性物質α又は安定物質α1に変換される。活性物質α又は安定物質α1は[C]増感体前駆体から生成した増感体と同様に増感体として機能し得る。活性物質αは、例えば芳香族化合物ラジカル、ヨウ素化合物ラジカルであり、安定物質α1は例えば芳香族化合物、ヨウ素化合物である。なお、活性液体を使用した場合には、露光工程(2)(S107)が実行される前にレジスト膜12から活性液体を除去してもよく、活性液体を除去せずに露光工程(2)(S107)を実行してもよい。
また、環境の制御の手法として、レジスト膜12の温度を制御する手法を用いてもよい。レジスト膜12の温度がある閾値温度を超えると酸及び/又は増感体の量が減少するため、レジスト層12の温度を閾値温度以下に保持することにより、レジスト膜12の酸及び/又は増感体の量の減少を抑制することができる。例えば、露光工程(1)(S103)の後に、保持工程(S105)において急冷処理を行うことによってレジスト膜12の温度を閾値温度以下に下げる。閾値温度は例えば30℃である。また、露光工程(1)(S103)を所定の温度以下で行い、保持工程(S105)においてレジスト膜12の温度を閾値温度以下のままに保持してもよい。
また、露光工程(2)(S107)が実行されるまでの間に、レジスト膜12が予期しない放射線に照射されると、酸及び/又は増感体の量が減少してしまうことがある。このため、保持工程(S105)において、レジスト膜12を放射線に照射されない環境に位置させる。
また、酸及び/又は増感体の量は時間が経過するにつれて減少するため、露光工程(1)(S103)と後述する露光工程(2)(S107)との間の経過時間を制御することで、レジスト膜12の酸及び/又は増感体の量の減少を抑制することもできる。露光工程(1)から後述する露光工程(2)までの時間は、60分以内であることが好ましい。なお、温度、照度又は時間の制御は、レジスト膜12周辺の環境の制御と同時に行われてもよい。
<露光工程(2)>
露光工程(1)(S103)又は保持工程(S105)の後に、図1(d)に示すように、露光工程(2)(S107)を実行する。露光工程(2)では、露光光(II)の照射によって、露光光(I)で露光されたレジスト膜12を露光する。具体的には、露光光(II)は、上記波長(I)よりも長い波長(II)を含み、[C]増感体前駆体から生成した増感体、活性物質α及び/又は安定物質α1に作用し、[B]成分から酸を発生させる放射線である。露光光(II)によって照射されたレジスト膜12の部位では、[C]増感体前駆体から生成した増感体及び活性物質α/安定物質α1の作用により、[C]増感体前駆体の生成、及び[B]成分からの酸(又はこの酸とは構造が異なる酸)の発生が起こる。また、露光光(II)は、増感体及び活性物質α/安定物質α1の作用により[B]成分から酸を発生させると共に、レジスト膜12において、[B]成分から酸を発生させる放射線であってもよい。この場合、露光光(II)によって照射されたレジスト膜12の部位では、[B]成分から酸(又はこの酸とは構造が異なる酸)が生成すると共に、増感体及び活性物質α/安定物質α1の作用により[C]増感体前駆体から増感体が生成し、また、[B]成分から酸(又はこの酸とは構造が異なる酸)が発生する。図2に示すように、露光工程(2)(S107)において、露光光(II)の照射量Epは、潜像形成エネルギー量Eaを超えない照射量であり、且つ露光光(II)の照射量Epと露光光(I)の照射量Efの総和は、必要エネルギー量Etを超える。言い換えると、露光工程(2)(S107)において、増感体及び活性物質α/安定物質α1の作用により[B]成分から発生した酸の量は、露光工程(1)(S103)において[B]成分から酸を生成しない場合を除き、現像時にレジストパターンを形成するのに必要な量よりも少ないが、露光工程(1)(S103)において[B]成分から生成された酸の量と露光工程(2)(S107)において[B]成分から得られた酸の量との総和は、現像時にレジストパターンを形成するのに必要な量を超える。
露光光(II)は、レジスト膜12を上方から照射するように、露光光源(2)22から出射される。露光光源(2)22は、露光光(I)を出射する露光光源(1)21と同一であってもよく、露光光源(1)21と異なってもよい。ここでは、露光光(I)を照射したレジスト膜12の領域内に対して、露光光(II)をパターン状に照射する。なお、露光光(II)は、形成するパターンの解像度に応じて選択でき、例えばUV、DUV、EUV、X線のような電磁波であってよく、電子線やイオンビームであってもよい。露光工程(2)は、例えば真空雰囲気、活性ガス雰囲気又は不活性雰囲気で行われる。このように、レジスト膜12には、露光光(I)のみによって照射された露光部位(A)121と、露光光(I)及び露光光(II)の両方によって照射された露光部位(B)122を有する(図1参照)。
<現像工程>
露光工程(2)の後に、図1(e)に示すように、現像工程(S110)を実行する。
現像工程において、レジスト膜12を現像する。レジスト膜12の現像は、例えば、ポストエクスポージャーベーク(PEB)を行った後、基板11を現像液槽に入れること等によって実行される。本実施形態において、レジスト膜12の露光部位(A)121が受けた照射量Efは、潜像形成エネルギー量Eaを超えていない。露光部位(A)121で[B]成分から生成された酸の量がレジストパターンの形成に必要な量より少ないため、現像液において露光部位(A)121は溶解する。一方、レジスト膜12の露光部位(B)122が受けたエネルギー量Es(即ち、Ef+Ep)は、必要エネルギー量Etを超えている。露光部位(A)122では、露光工程(1)において[B]成分から生成された酸の量と、増感体等の作用により生成した酸の量との総和がレジストパターンの形成に必要な量を超えているため、現像液に露光部位(B)122は現像液に不溶又は難溶となる。このように、基板11上には、所定のレジストパターンが形成される。
現像工程において、有機溶媒を主成分とする現像液(I)が用いられる。有機溶媒を主成分とする現像液(I)を用いて現像することで、特にトレンチパターンやホールパターンのような露光面積が少ないパターンを形成する場合にアルカリ水溶性現像液を用いたポジ型像を形成する場合と比べて高解像度のパターンを形成することが可能となる。アルカリ水溶性現像液を用いたポジ型像を形成する場合、露光部が狭小なため光学コントラストが乏しくパターンの微細化には限界がある。一方有機溶媒を主成分とする現像液(I)を用いて現像する場合は露光部の光学コントラストが十分に取れる面積のパターン露光となるため高解像のパターンを形成することが可能となる。「有機溶媒を主成分とする」とは、現像液(I)中の有機溶媒が通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上であることをいう。現像液(I)における有機溶媒以外の成分としては、例えば水、シリコンオイル等が挙げられる。
有機溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。
アルコール系溶媒としては、例えば
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エーテル系溶媒等が挙げられる。
エーテル系溶媒としては、例えば
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のジアルキルエーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶媒;
ジフェニルエーテル、アニソール等の芳香環含有エーテル系溶媒等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えば
アセトン、ブタノン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチルアミルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン等の鎖状ケトン系溶媒:
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒:
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等が挙げられる。
アミド系溶媒としては、例えば
N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の環状アミド系溶媒; N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒などが挙げられる。
エステル系溶媒としては、例えば
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸3−メチルブチル、酢酸2−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル等の酢酸エステル系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の多価アルコール部分エーテルアセテート系溶媒;
γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒;
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;
乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミルグリコール酸メチル等のヒドロキシ酸エステル系溶媒;
シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル系溶媒;
ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸iso−アミル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチルなどが挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、例えば
n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、iso−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、iso−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、iso−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、iso−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−iso−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
これらの中で、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒及びエステル系溶媒が好ましく、モノアルコール系溶媒、多価アルコール部分エーテル系溶媒、芳香環含有エーテル系溶媒、鎖状ケトン系溶媒、環状ケトン系溶媒、鎖状アミド系溶媒、酢酸エステル系溶媒、ラクトン系溶媒及びヒドロキシ酸エステルがより好ましく、エタノール、2−プロパノール、ジブチルエーテル、アニソール、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルアセトアミド、酢酸3−メチルブチル、酢酸n−ブチル、γ−ブチロラクトン及び乳酸エチルがさらに好ましい。現像液(I)は、有機溶媒を1種又は2種以上含有していてもよい。
現像液(I)は、有機溶媒以外に、後述する[A]重合体において生じた極性基とイオン結合、水素結合、共有結合、配位結合、双極子相互作用又はこれらの組み合わせを形成する第1化合物(以下、「[M]化合物」ともいう)をさらに含有することが好ましい。
[M]化合物としては、例えば含窒素化合物、オニウム塩、オニウム塩を有する高分子、塩基性ポリマー、リン系化合物等が挙げられる。以下、各化合物について説明する。
(含窒素化合物)
含窒素化合物は、1以上の窒素原子を含む化合物である。含窒素化合物は、[A]重合体において生じた−COOH等の極性基と、水素結合、共有結合及び/又は双極子相互作用を形成することができる。
含窒素化合物が有する窒素原子の数としては1でもよく、2以上であってもよい。
含窒素化合物の分子量の下限としては、50が好ましく、100がより好ましい。上記分子量の上限としては、900が好ましく、700がより好ましい。
含窒素化合物としては、例えば下記式(A)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2017045044
上記式(A)中、Rは、単結合又はn価の有機基である。Rは、単結合、置換若しくは非置換のメチレン基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基又は2価の芳香族基である。Rは、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。nは、1〜8の整数である。nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。但し、R及びRが共に単結合である場合はない。
で表されるn価の有機基としては、例えば炭素原子、窒素原子、−NH−、−NR−、−O−、−S−、カルボニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、芳香族基、ヘテロ環基、これらの2種以上を組み合わせた基、これらの基が有する水素原子の一部又は全部を置換基で置換した基等が挙げられる。Rは、1価の有機基であり、好ましくは、アルキル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基である。Rとしては、アルキル基、窒素原子、−NH−及び−NR−が好ましい。これらの基が有する置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルケニルカルボニル基、アルケニルカルボニルオキシ基、アルケニルオキシカルボニル基、アルキニル基、アルキニレンオキシ基、アルキニレンカルボニル基、アルキニレンカルボニルオキシ基、アルキニレンオキシカルボニル基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、アラルキルカルボニル基、アラルキルカルボニルオキシ基、アラルキルオキシカルボニル基、ヒドロキシ基、アミド基、カルボキシ基、シアノ基、フッ素原子等が挙げられる。
で表されるアルキレン基の炭素数としては、2〜40が好ましく、2〜20がより好ましく、2〜12がさらに好ましい。Rで表されるアルケニレン基及びアルキニレン基の炭素数としては、2〜40が好ましく、2〜20がより好ましく、2〜12がさらに好ましい。Rで表されるシクロアルキレン基の炭素数としては、3〜40が好ましく、3〜20がより好ましく、5〜12がさらに好ましい。Rで表される1価の芳香族基には、非ベンゼン系芳香族基も含まれ、例えばベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等の炭化水素又は芳香族複素環化合物から1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
nとしては、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。
含窒素化合物としては、例えばnが1の化合物として、トリペンチルアミン、トリオクチルアミン等が、nが2の化合物として、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルトリメチレンジアミン等が、nが3以上の化合物として、下記式で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2017045044
Figure 2017045044
(オニウム塩)
オニウム塩は、オニウムカチオンとアニオンとを含む化合物である。オニウム塩は、[A]重合体において生じた−COOH等の極性基と、水素結合及び/又は双極子相互作用を形成することができる。
オニウム塩としては、例えばアンモニウム塩、ホスホニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、カルボニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。また、オニウム塩に含まれるカチオンとしては、複素芳香環のヘテロ原子上に正電荷を有するものも含む。そのようなオニウム塩としては、例えば、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩などが挙げられる。
オニウム塩としては、1分子中に2個以上のオニウムイオン原子を有する多価オニウム塩であってもよい。多価オニウム塩としては、2個以上のカチオンが、共有結合により連結されている化合物が好ましい。多価オニウム塩としては、例えばジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられる。
オニウム塩に含まれるアニオンとしては、1価であっても多価であってもよい。1価のアニオンとしては、スルホン酸アニオン、ギ酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルフィン酸アニオン、ホウ素アニオン、ハロゲン化物イオン、フェノールアニオン、アルコキシアニオン、水酸化物イオン等が挙げられる。2価のアニオンとしては、例えばシュウ酸イオン、フタル酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、酒石酸イオン、リンゴ酸イオン、乳酸イオン、硫酸イオン、ジグリコール酸イオン、2、5−フランジカルボン酸イオン等が挙げられる。
1価のアニオンとしては、例えばCl、Br、I、AlCl 、AlCl 、BF 、PF 、ClO 、NO 、CHCOO、CFCOO、CHSO 、CFSO 、(CFSO、(CFSO、AsF 、SbF 、NbF 、TaF 、F(HF) 、(CN)、CSO 、(CSO、CCOO、(CFSO)(CFCO)N、C19COO、(CHPO 、(CPO 、COSO 、C13OSO 、C17OSO 、CH(OCOSO 、C(CH)SO 、(CPF 、CHCH(OH)COO、B(C 、FSO 、C、(CFCHO、(CFCHO、C(CH、COCCOO等が挙げられる。
オニウム塩に含まれるオニウムカチオンとしては、例えば下記式で表されるカチオン等が挙げられる。
Figure 2017045044
Figure 2017045044
Figure 2017045044
Figure 2017045044
オニウム塩に含まれるアニオンとしては、例えば下記式で表されるアニオン等も挙げられる。
Figure 2017045044
オニウム塩としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2017045044
Figure 2017045044
Figure 2017045044
Figure 2017045044
Figure 2017045044
Figure 2017045044
オニウム塩が含むアニオンの共役酸のpKaの下限としては、4.0が好ましく、5.0がより好ましい。上記pKaの上限としては、11.0が好ましく、10.5がより好ましい。アニオンの共役酸のpKaを上記範囲とすることで、レジストパターンのパターン倒れをより抑制することができる。なお、上記pKaは、ACD/ChemSketch(ACD/Labs 8.00 Release Product Version:8.08)により求めた計算値である。
以下に、アニオンの共役酸のpKaの値を示す。
Figure 2017045044
オニウム塩のカチオンを構成する全原子の原子量の総和に対する全炭素原子の原子量の総和(炭素原子の個数×12/カチオンを構成する全原子の原子量の総和)の比の下限としては、0.4が好ましく、0.5がより好ましい。上記比の上限としては、0.75が好ましく、0.65がより好ましい。
オニウム塩としては、下記式(B−1)で表される化合物及び下記式(B−2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2017045044
上記式(B−1)及び(B−2)中、Mは、それぞれ独立して、窒素カチオン、リンカチオン、硫黄カチオン又はヨウ素カチオンである。Rは、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。m1は、2〜4の整数である。Mが窒素カチオン又はリンカチオンの場合、m2は3である。Mが硫黄カチオンの場合、m2は2である。Mがヨウ素カチオンの場合、m2は1である。Rが複数の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、互いに合わせられこれらが結合するMと共に環構造を形成していてもよい。Lは、2価の連結基である。Yは、それぞれ独立して、1価のアニオンである。
としては、窒素カチオンが好ましい。
で表される1価の有機基としては、1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間にヘテロ原子含有基を含む基、上記炭化水素基及びヘテロ原子含有基を含む基が有する水素原子の一部又は全部を置換基で置換した基等が挙げられる。
炭化水素基としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等の鎖状炭化水素基;シクロアルキル基、シクロアルケニル基等の脂環式炭化水素基;アリール基、アラルキル基等の芳香族炭化水素基などが挙げられる。鎖状炭化水素基の炭素数としては、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。脂環式炭化水素基の炭素数としては、3〜20が好ましく、5〜15がより好ましい。芳香族炭化水素基の炭素数としては、6〜20が好ましく、6〜10がより好ましい。
ヘテロ原子含有基のヘテロ原子としては、例えばハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子等が挙げられる。ヘテロ原子含有基としては、例えば−Y−、−N(R)−、−C(=Y)−、−CON(R)−、−C(=Y)Y−、−SO−、−SON(R)−、ハロゲン原子、これらの2種以上を組み合わせた基等が挙げられる。Y〜Yは、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はテルル原子であり、中でも、取扱いがより簡便である観点から、酸素原子及び硫黄原子が好ましい。R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基である。tは、1〜3の整数である。芳香族炭化水素基の炭素−炭素間にヘテロ原子含有基が含まれる場合、芳香族複素環基が構成される。
としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基及びこれらの基の炭素−炭素間にヘテロ原子含有基を含む基が好ましい。
複数のRが互いに合わせられ形成される環構造が芳香族性を有する場合、オニウム塩のカチオンとしては、例えば下記式(C−1)で表されるピリジニウムカチオン等が挙げられる。また、Rがさらにヘテロ原子を含む場合、オニウム塩のカチオンとしては、例えば下記式(C−2)で表されるイミダゾリウムカチオン等が挙げられる。
Figure 2017045044
上記式(C−1)及び(C−2)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基である。複数のRは互いに結合してこれらが結合する炭素鎖と共に環を形成してもよい。Rは、上記式(B−1)と同義である。
で表される2価の連結基としては、置換若しくは非置換の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−SO−、−NR−、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、又はこれらの2種以上を組み合わせた基等が挙げられる。Rは、アルキル基である。これらの中で、置換若しくは非置換の2価の炭化水素基が好ましく、置換又は非置換の炭素数1〜8の2価の鎖状炭化水素基、置換又は非置換の炭素数3〜10の脂環式炭化水素基及び置換又は非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基がより好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基及びフェニレン基がさらに好ましい。
(オニウム塩を有する高分子)
オニウム塩を有する高分子は、オニウム塩構造を側鎖または主鎖に有する高分子である。オニウム塩を有する高分子は、[A]重合体において生じた−COOH等の極性基と、水素結合及び/又は双極子相互作用を形成することができる。オニウム塩の定義は、上述したオニウム塩の定義と同じである。オニウム塩を有する高分子としては、例えばオニウム塩構造を含む構造単位を有する重合体等が挙げられる。
オニウム塩を有する高分子としては、例えば下記式(D−1)で表される構造単位を有する重合体等が挙げられる。
Figure 2017045044
上記式(D−1)中、Rは、水素原子又はアルキル基である。Lは、2価の連結基である。Aは、上記式(B−1)及び(B−2)のいずれかで表されるオニウム塩から1個の水素原子を除いた基である。
で表されるアルキル基の炭素数としては、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。
で表される2価の連結基としては、例えば上記Lの2価の連結基として例示したものと同様の基等が挙げられる。これらの中で、アルキレン基、アリーレン基、−COO−及びこれらの2種以上を組み合わせた基が好ましく、アルキレン基がより好ましい。
オニウム塩を含む構造単位を有する重合体を構成する全構造単位に対する上記式(D−1)で表される構造単位の含有割合の下限としては、30モル%が好ましく、50モル%がより好ましい。上記含有割合の上限としては、100モル%が好ましく、90モル%がより好ましい。
上記オニウム塩を有する高分子のMwの下限としては、1,000が好ましく、2,000がより好ましい。上記Mwの上限としては、30,000が好ましく、10,000がより好ましい。
上記式(D−1)で表される構造単位としては、下記式(D−2)で表される構造単位が好ましい。
Figure 2017045044
上記式(D−2)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。
、L及びYは、上記式(D−1)と同義である。
上記式(D−2)で表される構造単位としては、下記式(D−3)〜(D−5)で表される構造単位が好ましい。
Figure 2017045044
上記式(D−3)〜(D−5)中、R、R及びYは、上記式(D−2)と同義である。
上記式(D−4)中、Lは、−O−、−NH−又は−NR−である。Lは、アルキレン基である。
(塩基性ポリマー)
塩基性ポリマーは、プロトン受容性基を有するポリマーである。塩基性ポリマーは、このプロトン受容性基により、後述する[A]重合体に生じる極性基と、水素結合、共有結合、配位結合及び/又は双極子相互作用を形成することができる。プロトン受容性基は、塩基性ポリマーの主鎖及び側鎖のいずれに含まれていてもよい。
塩基性ポリマーは、通常、プロトン受容性基を含む構造単位を有する重合体であるが、さらに、プロトン受容性基を含まない構造単位を有していてもよい。
プロトン受容性基としては、例えばアミノ基、ホスフィノ基等が挙げられる。「アミノ基」とは、1級アミノ基、2級アミノ基及び3級アミノ基を含む概念である。なお、2級アミノ基には、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、ヘキサヒドロトリアジノ基等の環状2級アミノ基も含まれる。「ホスフィノ基」とは、1級ホスフィノ基、2級ホスフィノ基及び3級ホスフィノ基を含む概念である。プロトン受容性基としては、アミノ基が好ましい。
アミノ基を含む側鎖としては、例えば下記式で表される構造等が挙げられる。
Figure 2017045044
Figure 2017045044
Figure 2017045044
Figure 2017045044
上記式中、※は、塩基性ポリマーの主鎖と結合する部位を示す。
上記アミノ基を有する塩基性ポリマーとしては、例えば、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリピリミジン、ポリトリアゾール、ポリキノリン、ポリインドール、ポリプリン、ポリビニルピロリドン、ポリベンズイミダゾール等が挙げられる。
プロトン受容性基を含む構造単位としては、例えば下記式(E)で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2017045044
上記式(E)中、Rは、水素原子又はアルキル基である。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。Lは、2価の連結基である。
で表されるアルキル基の炭素数としては、1〜4が好ましく、1及び2がより好ましい。
及びRで表される1価の有機基としては、例えば上記Rの有機基として例示したものと同様の基等が挙げられる。
で表される2価の連結基としては、例えば上記Lの2価の連結基として例示したものと同様の基等が挙げられる。これらの中で、アルキレン基、アリーレン基、−COO−及びこれらの2種以上を組み合わせた基が好ましく、アルキレン基がより好ましい。
上記式(E)で表される構造単位としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2017045044
Figure 2017045044
プロトン受容性基を含む構造単位を有する重合体を構成する全構造単位に対する上記式(E)で表される構造単位の含有割合の下限としては、40モル%が好ましく、70モル%がより好ましい。上記含有割合の上限としては、100モル%が好ましく、90モル%がより好ましい。
塩基性ポリマーのMwの下限としては1,000が好ましく、2,000がより好ましい。上記Mwの上限としては、30,000が好ましく、10,000がより好ましい。
(リン系化合物)
リン系化合物は、1以上の3価のリン原子を含む化合物である。リン系化合物の分子量の下限としては、70が好ましく、100がより好ましい。上記分子量の上限としては
、500が好ましく、300がより好ましい。
リン系化合物としては、下記式(F−1)で表される化合物及び下記式(F−2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2017045044
上記式(F−1)及び(F−2)中、Rは、それぞれ独立して、1価の有機基である。Lは、2価の連結基である。
で表される1価の有機基としては、例えば上記Rの有機基として例示したものと同様の基等が挙げられる。
で表される2価の連結基としては、例えば上記Lの2価の連結基として例示したものと同様の基等が挙げられる。これらの中で、2価の炭化水素基が好ましい。
リン系化合物としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2017045044
図1及び図2を参照して本実施形態のレジストパターン形成方法を説明した。本実施形態では、露光光(II)を照射してパターン潜像を形成する前に、露光光(I)の照射によってレジスト膜12に[B]成分から酸を生成している。露光工程(2)で[B]成分から発生する酸の量を減らすことができるため、露光光(II)の照射時間を短縮することができ、又は安価で低出力の光源を露光光(II)の光源として使用できる。例えば、露光光(II)としてEUVを用いて、EUVをレジスト膜12にパターン状に照射してパターン潜像を形成する場合では、本実施形態によれば、EUVの照射時間を短縮することができるため、低出力の光源を用いても高いスループットが得られる。このように、本実施形態によれば、トレードオフの関係を解決し、パターン解像度を維持しながらレジスト膜12の感度を向上できる。また、露光工程のスループットの向上が実現され、露光システムの大幅な低コスト化が達成される。また、低出力の光源が適用可能なため、光源装置、露光装置内の消耗部品の寿命が長くなり、保守及び運転コストも大幅に低減できる。
また、本実施形態では、露光工程(1)と露光工程(2)との間に、レジスト膜12における酸及び/又は増感体の量の減少を抑制する保持工程を実行してもよい。酸及び/又は増感体の量の減少を抑制しない場合には、露光工程(1)の後に、時間の経過につれてレジスト膜12における酸及び/又は増感体の量が減少する。このため、露光工程(2)では、減少した分の酸及び/又は増感体を生成するためのエネルギーを再びレジスト膜に供給する必要がある。一方、本実施形態においては、レジスト膜12における酸及び/又は増感体の量の減少を抑制しているため、レジスト膜12における酸及び/又は増感体の量が維持されており、露光工程(2)でレジスト膜12に供給するエネルギー量が比較的少なくて済む。その結果、レジスト膜12の感度が向上し、露光時間を短縮し、露光工程のスループットを更に向上することができる。
なお、本実施形態では、露光工程(1)において、レジスト膜12内の一面にわたって露光光(I)を照射し、露光工程(2)において、レジスト膜12内に、パターン状に露光光(II)を照射していたが、本発明はこれに限定されない。露光光(I)の照射量Efと露光光(II)の照射量Epとの総和が必要エネルギー量Etを超えていれば、露光工程(1)において、レジスト膜12内に、パターン状に露光光(I)を照射した後、露光工程(2)において、レジスト膜12内の一面にわたって、露光光(II)を照射してもよい。なお、この場合には、露光光(I)は、形成するパターンの解像度に応じて選択され得、例えばUV、DUV、EUV、X線のような電磁波であってよく、電子線であってもよい。露光光(II)は、例えば可視光、UV、DUV、EUVのような電磁波であってもよく、また、電子線やイオンビームであってもよい。
図4は、本発明の他の実施形態に係るレジストパターン形成方法の工程を説明する図である。以下、図4及び図1を参照して本実施形態のレジストパターン形成方法を説明する。本実施形態では、運搬ステップ(S104)を更に包含することを除いて、図1〜図3を参照して説明した実施形態と同様なステップを有しているため、説明に必要な部分のみを図示して説明を行う。
運搬工程は、露光工程(1)と露光工程(2)との間に実行される。運搬工程において、露光工程(1)が行われる位置から露光工程(2)が行われる位置に基板11を運搬する。運搬工程は、例えば、露光工程(1)が行われる位置と露光工程(2)が行われる位置との間を移動するステージのような運搬手段によって実行される。なお、図4に示すように、運搬工程は、保持工程と同時に実行し得る。この場合には、運搬途中においてもレジスト膜12における酸及び/又は増感体の量の減少を抑制できるため好適である。
図1及び図4を参照して本実施形態のレジストパターン形成方法を説明した。本実施形態では、運搬工程を更に包含しているため、露光工程(1)が行われる位置と露光工程(2)が行われる位置とが異なる場合には、基板11を適切な位置に運搬することができる。
図5は、本発明の更なる実施形態に係るレジストパターン形成方法の工程を説明する図である。以下、図5及び図1を参照して本実施形態のレジストパターン形成方法を説明する。本実施形態のレジストパターン形成方法は、レジスト膜形成ステップ(S101)、露光工程(1)(S103)、保持工程(S105)、露光工程(2)(S107)及び現像工程(S110)を包含する。本実施形態において、露光工程(1)と露光工程(2)とは同時に実行される。レジスト膜形成ステップと現像工程は図1〜図3を参照して説明した実施形態と同様に実行されるため、説明に必要な部分のみを図示して説明を行う。
本実施形態において、露光光(I)は、基板11を透過してレジスト膜12を下方から照射するように、露光光源21から出射される。露光光(II)は、レジスト膜12を上方から照射するように、露光光源22から出射される。露光光(I)として、基板11を透過できる放射線を使用する。基板11が透光性を有する場合、露光光(I)は可視光、UV、DUV、EUV、X線のような電磁波であり得るが、そのうちX線は透過力が強くレジスト膜12に到達しやすいため好適である。
本実施形態によれば、露光工程(1)が終了してから露光工程(2)が実行されるまでの時間を省くことができる。その結果、露光工程のスループットを更に向上することができ、時間の経過によるレジスト膜12における酸及び/又は増感体の量の減少を効果的に抑制することができる。なお、露光工程(1)と露光工程(2)を同時に実行する場合においても、レジスト膜12に対して露光光(I)が到達した後に露光光(II)が到達するため、レジスト膜12における酸及び/又は増感体の量の減少を確実に抑制するように、露光工程(1)及び露光工程(2)は、保持工程と同時に実行し得る。
なお、図5では、露光光(I)は、レジスト膜12を下方から照射し、露光光(II)は、レジスト膜12を上方から照射していたが、本発明はこれに限定されない。露光光(I)は、レジスト膜12を上方から照射し、露光光(II)は、レジスト膜12を下方から照射してもよい。なお、露光光(I)及び露光光(II)のいずれも、レジスト膜12に対して斜めに照射してもよい。
図6は、本発明の更なる実施形態に係るレジストパターン形成方法の工程を説明する図である。以下、図6、図1及び図2を参照して本実施形態のレジストパターン形成方法を説明する。本実施形態のレジストパターン形成方法は、レジスト膜形成ステップ(S101)、露光工程(1)(S103)、保持工程(S105)、露光工程(2)(S107)及び現像工程(S110)を包含する。露光工程(1)が2つの照射ステップによって実行される点と、露光工程(2)が1つの照射ステップによって実行される点とを除いて、その他の工程は図1〜図3を参照して説明した実施形態と同様に実行されるため、説明に必要な部分のみを図示して説明を行う。
本実施形態において、図6(a)及び図6(b)に示すように、露光工程(1)は、パターン露光工程(i)(S103a)と全面露光工程(i)(S103b)とを包含する。図6(a)に示すように、パターン露光工程(i)において、レジスト膜12内に、パターン状に露光光(I)を照射する。図6(b)に示すように、全面露光工程(i)において、レジスト膜12内の一面に露光光(I)を照射する。パターン露光工程(i)と全面露光工程(i)における露光光(I)の合計の照射量Efは、潜像形成エネルギー量Eaを超えない照射量である。このように、露光工程(1)を実行した後、レジスト膜12は、露光光(I)によって一回のみ照射された露光部位(a)123と、露光光(I)によって二回照射された露光部位(b)124とを有する。
露光工程(1)が終了して図6(c)に示すように保持工程(S105)を実行してもよい。次いで露光工程(2)を実行する。図6(d)に示すように、露光工程(2)は、パターン露光工程(ii)(S107a)を包含する。パターン露光工程(ii)において、レジスト膜12内に、パターン状に露光光(II)を照射する。具体的には、レジスト膜12の露光部位(b)124に対して露光光(II)を照射する。露光光(II)の照射量は、照射後に露光部位(b)124における露光光(I)の照射量Efと露光光(II)の照射量Epの総和が必要エネルギー量Etを超える量とする。
本実施形態において、レジスト膜12の露光部位(a)123が受けた照射量Efは、潜像形成エネルギー量Eaを超えていないため、現像工程において露光部位(a)123は不溶化又は難溶化しない。一方、レジスト膜12の露光部位(b)124が受けたエネルギー量Esは、必要エネルギー量Etを超えているため、現像工程において露光部位(b)124は不溶化又は難溶化する。このように、基板11上には、所定のレジストパターンが形成される。
なお、図6において、露光工程(1)は2つの照射ステップによって実行され、露光工程(2)は1つの照射ステップによって実行されていたが、本発明はこれに限定されない。露光工程(1)が1つの照射ステップによって実行され、露光工程(2)が2つの照射ステップによって実行されてもよく、露光工程(1)及び露光工程(2)のいずれも2つ以上の露光工程によって実行されてもよい。例えば、露光工程(1)が全面露光工程(i)を包含し、露光工程(2)が全面露光工程(ii)とパターン露光工程(ii)とを包含してもよい。
また、露光工程(1)及び/又は露光工程(2)が2つの照射方法によって実行される場合、2つの照射方法は同様な方法(全面露光とパターン露光のいずれか一方)であってもよく、異なる照射方法であってもよい。異なる照射方法によって実行される場合には、全面露光とパターン露光のどちらかが先行して実行されてもよい。
更に、図6において、露光工程(1)と露光工程(2)のいずれにもパターン露光工程を包含していたが、本発明はこれに限定されない。レジスト膜12にパターン潜像を形成できればよく、露光工程(1)と露光工程(2)とのうちのいずれか一方がパターン露光工程を包含してもよい。
なお、図示しないが、本発明のレジストパターン形成方法は、露光工程において一般的に実行される処理工程を更に包含してもよい。例えば露光工程(2)の後に実行される熱処理(PEB、例えばパルス熱処理)工程や、レジスト膜をポジ型とネガ型との間に反転させる反転処理工程を更に包含してもよい。
以下、図7〜図10を参照しながら、具体例を用いて本実施形態のレジストパターン形成方法を説明する。図7は、本発明のレジストパターン形成方法の具体例1を説明する図であり、図8は、本発明のレジストパターン形成方法の具体例2を説明する図であり、図9は、本発明のレジストパターン形成方法の具体例3を説明する図であり、図10は、本発明のレジストパターン形成方法の具体例4を説明する図である。なお、以下の具体例では、レジスト膜12を化学増幅型感放射線性樹脂組成物(I)により形成する。
[具体例1]
図7(a)に示すように、露光工程(1)を実行する。露光工程(1)において、露光光(I)をパターン状に照射する。露光工程(1)を実行すると、露光光(I)によってパターン状に照射された部分には、[B]成分から酸が発生し、[C]増感体前駆体から増感体が生成する。この時、パターン状の照射量が低いため、現像工程を実行してもレジスト膜12にレジストパターンが形成されない。
次に、図7(b)に示すように、保持工程を実行する。保持工程において、レジスト膜12を不活性ガス雰囲気又は真空雰囲気の環境に位置させる。レジスト膜12内の[B]成分から発生した酸の量及び[C]増感体前駆体から生成した増感体の量の減少が抑制される。
保持工程の後、又は同時に、露光工程(2)を実行する。露光工程(2)において、露光光(II)を一面に照射する。図7(b)に示すように、露光光(II)としては、未照射のレジスト膜12の領域では実質的に[B]成分からの酸及び[C]増感体前駆体からの増感体が生成せず、かつ[C]増感体前駆体から生成した増感体を活性化するような露光光(II)を適切に選択する。露光光(II)の照射によって、レジスト膜12の露光部位(a)123の領域では[C]増感体前駆体から増感体が生成する、及び/又は[B]成分から酸(若しくはこの酸とは構造が異なる酸若しくは酸の前駆体)が発生する。
このように、露光工程(2)では、露光光(II)を一面に照射しても、最初にパターン状に照射した部分にのみ酸が生成し、且つ、[C]増感体前駆体から発生した増感体の活性化は最初にパターン状に照射した部分のみに一面照射によって起こる。このため、大量の酸が最初にパターン状に照射した部分のみに生成し、塩基であるクエンチャーと酸の中和後も酸は最初にパターン状に照射した部分のみに生成する。
その後、加熱工程、及び現像工程を実行し、図7(c)に示すようにレジストパターンが形成される。
[具体例2]
図8(a)に示すように、露光工程(1)を実行する。露光工程(1)において、露光光(I)をパターン状に照射する。露光工程(1)を実行すると、露光光(I)によってパターン状に照射された部分には、[B]成分からの酸の発生と[C]増感体前駆体からの増感体の生成との両方が起こる。この時、パターン状照射の量が低いため、現像工程を実行してもレジスト膜12にレジストパターンが形成されない。
次に、図8(b)に示すように、保持工程を実行する。保持工程において、レジスト膜12を活性ガス雰囲気又は活性液体の環境に位置させ、[C]増感体前駆体から生成した増感体と反応させる。増感体は、この後の露光工程(2)において反応効率が高い活性物質α/安定物質α1に変換される。
次に、図8(c)に示すように、活性雰囲気又は活性液体の環境で露光工程(2)を実行する。露光工程(2)において、露光光(II)を一面に照射する。露光光(II)としては、未照射のレジスト膜12の領域では実質的に[B]成分からの酸及び[C]増感体前駆体からの増感体が生成せず、かつ活性物質α/安定物質α1のみを活性化する露光光(II)を適切に選択する。露光光(II)の照射によって、[C]増感体前駆体からの増感体の生成、及び/又は[B]成分からの酸若しくは酸の前駆体の生成が起こる。増感体は、活性雰囲気又は活性液体と反応して再び活性物質α/安定物質α1に変換される。
このように、露光工程(2)では、露光光(II)を一面に照射しても、最初にパターン状に照射した部分にのみ酸が生成し、且つ、活性物質α/安定物質α1は最初にパターン状に照射した部分のみに一面照射によって再生される。このため、大量の酸が最初にパターン状に照射した部分のみに生成し、クエンチャーと酸の中和後も酸は最初にパターン状に照射した部分のみに発生する。
その後、加熱工程、及び現像工程を実行し、図8(d)に示すように、レジストパターンが形成される。
[具体例3]
図9(a)に示すように、1回目の露光工程(1)を実行する。露光工程(1)において、露光光(I)を一面に照射する。
図9(b)に示すように、2回目の露光工程(1)を実行する。2回目の露光工程(1)において、露光光(I)をパターン状に照射する。露光光(I)によってパターン状に照射された部分には、[B]成分からの酸の発生と[C]増感体前駆体からの増感体の生成の両方が起こる。この時、パターン状の照射の露光量が低いため、現像工程を実行してもレジスト膜12にレジストパターンが形成されない。なお2回目の露光工程(1)を実行する前に1回目の露光工程(1)を実行することで、2回目の露光工程(1)において[B]成分からの酸の発生と[C]増感体前駆体からの増感体の生成が効率よく起こる。
次に、図9(c)に示すように、保持工程を実行する。保持工程において、レジスト膜12を不活性ガス雰囲気又は真空雰囲気の環境に位置させる。レジスト膜12内の[B]成分から発生した酸の量と[C]増感体前駆体から生成した増感体の量の減少が抑制される。
保持工程と同時に、露光工程(2)を実行する。露光工程(2)において、露光光(II)を一面に照射する。露光光(II)として、未照射のレジスト膜12の領域ではレジスト反応が起きず、[C]増感体前駆体から生成した増感体のみを活性化する露光光(II)を適切に選択する。露光光(II)の照射によって、[C]増感体前駆体からの増感体の生成及び[B]成分からの酸(若しくはこの酸とは構造が異なる酸若しくは酸の前駆体)の生成が起こる。
このように、露光工程(II)では、露光光(II)を一面に照射しても、最初にパターン状に照射した部分にのみ酸前駆体が生成し、且つ、増感体は最初にパターン状に照射した部分のみに一面照射によって再生される。このため、大量の酸が最初にパターン状に照射した部分のみに生成し、クエンチャーと酸の中和後も酸は最初にパターン状に照射した部分のみに生成する。
その後、加熱工程、及び現像工程を実行し、図9(d)に示すように、レジストパターンが形成される。
[具体例4]
図10(a)に示すように、1回目の露光工程(1)を実行する。露光工程(1)において、露光光(I)を一面に照射する。
図10(b)に示すように、2回目の露光工程(1)を実行する。2回目の露光工程(1)において、露光光(I)をパターン状に照射する。露光光(I)によってパターン状に照射された部分には、[B]成分からの酸の発生と[C]増感体前駆体からの増感体の生成との両方が起こる。この時、パターン状の照射の露光量が低いため、現像工程を実行してもレジスト膜12にレジストパターンが形成されない。なお、2回目の露光工程(I)を実行する前に1回目の露光工程(1)を実行することで、2回目の露光工程(1)において[B]成分からの酸の発生と[C]増感体前駆体からの増感体の生成が効率よく起こる。
次に、図10(c)に示すように、保持工程を実行する。保持工程において、レジスト膜12を活性ガス雰囲気又は活性液体の環境に位置させ、増感体と反応させる。増感体は、この後の露光工程(2)において反応効率が高い活性物質α/安定物質α1に変換される。
次に、図10(d)に示すように、活性雰囲気又は活性液体の環境で露光工程(2)を実行する。露光工程(2)において、露光光(II)を一面に照射する。露光光(II)として、未照射のレジスト膜12の領域ではレジスト反応が起きず、活性物質α/安定物質α1のみを活性化する放射線を適切に選択する。露光光(II)の照射によって、[C]増感体前駆体からの増感体の生成、及び[B]成分からの酸(若しくはこの酸とは構造が異なる酸若しくは酸の前駆体)の生成が起こる。増感体は、活性雰囲気又は活性液体と反応して再び活性物質α/安定物質α1に変換される。
このように、露光工程(2)では、露光光(II)を一面に照射しても、最初にパターン状に照射した部分にのみ酸前駆体が生成し、且つ、活性物質α/安定物質α1は最初にパターン状に照射した部分のみに一面照射によって再生される。このため、大量の酸が最初にパターン状に照射した部分のみに生成し、クエンチャーと酸の中和後も酸は最初にパターン状に照射した部分のみに生成する。
その後、加熱工程、及び現像工程を実行し、図10(e)に示すように、レジストパターンが形成される。
具体例1〜具体例4で説明したように、本発明のレジストパターン形成方法によって、通常よりはるかに低露光量のパターン状の照射で、適切なレジスト設計、適切な露光光源の選択等によって高解像度のレジストパターンを形成することができる。
なお、上述した具体例では、露光工程(2)において、露光光(II)として、露光光(I)が未照射の領域のレジスト膜12と反応しない放射線を選択していたが、本発明はこれに限定されない。露光工程(2)において、露光光(II)として、露光光(I)が未照射の領域のレジスト膜12とネガ型の反応が起きるように露光光を選択してもよい。
図1〜図10を参照して説明した実施形態のレジストパターン形成方法では、露光工程(1)において生成した酸及び増感体の量の減少を抑制するように保持工程を含有していたが、本発明はこれに限定されない。以下、本発明の他の実施形態に係るレジストパターン形成方法を説明する。本実施形態のレジストパターン形成方法は、レジスト膜形成工程と露光工程(1)と露光工程(2)と現像工程とを備える。レジスト膜形成工程、露光工程(1)及び現像工程については、図1〜図10を参照して上述した実施形態のレジスト膜形成工程(S101)、露光工程(1)(S105)及び現像工程(S110)と同様に行われるため、説明を省略する。
露光工程(2)では、露光光(I)の照射によって酸及び増感体が生成した状態で、露光光(II)の照射によって、レジスト膜においてパターン潜像を形成する。具体的には、レジスト膜内に増感体が存在している状態で、レジスト膜にパターン潜像を形成する。露光工程(2)は、増感体が多く存在している状態で行われることが好ましい。レジスト膜において酸及び増感体が生成した状態でパターン潜像を形成すれば、露光光(II)の照射によって増感体の作用により[B]成分から酸を生成させることができる。なお、本実施形態のレジストパターン形成方法は、レジスト膜において生成した酸及び増感体の量の減少を抑制する保持工程を更に備えてもよい。保持工程は、図1〜図10を参照して説明した実施形態の保持工程(S105)と同様に行われるため、ここでは説明を省略する。
図1〜図10を参照して説明した実施形態のレジストパターン形成方法では、レジスト膜12に増感体を生成すると共に、増感体の作用により直接的に[B]成分から酸を生成し、又は増感体を活性物質α/安定物質α1に変換した後に活性物質α/安定物質α1を用いて[B]成分から酸を生成していたが、本発明はこれに限定されない。レジスト膜に安定物質B1を生成すると共に、安定物質B1の作用により直接的に[B]成分から酸を生成し、又は安定物質B1を活性物質α/安定物質α1に変換した後に、活性物質α/安定物質α1の作用により[B]成分から酸を生成してもよい。以下、本発明の他の実施形態に係るレジストパターン形成方法を説明する。
本実施形態のレジストパターン形成方法は、レジスト膜形成工程と安定物質生成工程と変換工程と露光工程(2)と現像工程とを含有する。レジスト膜形成工程及び現像工程については、図1〜図10を参照して上述した実施形態のレジスト膜形成工程(S101)と現像工程(S110)と同様に行われるため、説明を省略する。
安定物質生成工程において、露光光(I)の照射によってレジスト膜に安定物質を生成する。具体的には、露光光(I)の照射により、レジスト膜12には、[B]成分からの酸と安定物質B1との両方が生成する。なお、安定物質B1は例えば芳香族ヨウ素化合物、芳香族硫黄化合物である。
変換工程において、レジスト膜12内の露光光(I)の照射領域において安定物質B1を変換する。具体的には、後述する露光工程(2)(S107)が実行されるまでに、環境の制御によって、上記安定物質生成工程において生成されたレジスト膜12内の安定物質B1を活性物質α/安定物質α1に変換する。変換の手法としては、前述した実施形態において説明したように、活性ガス雰囲気又は活性液体を使用し得る。
露光工程(2)において、露光光(II)の照射によって、安定物質B1が生成されたレジスト膜にパターン潜像を形成する。具体的には、露光光(II)は、露光光(I)の照射領域において安定物質B1及び活性物質α/安定物質α1の作用により[B]成分から酸を発生する放射線である。露光光(II)によって照射されたレジスト膜12の露光光(I)の照射部位では、安定物質B1及び活性物質α/安定物質α1の作用により、安定物質B1及び[B]成分から酸(若しくはこの酸とは構造が異なる酸若しくは酸の前駆体)が生成する。
なお、上述したように、露光光(I)をパターン状に照射し、露光光(II)を一面に照射してもよい。以下に、露光光(I)をパターン状に照射し、露光光(II)を一面に照射する場合に好適に用いられる感放射線性樹脂組成物(I)を説明する。
本実施形態の感放射線性樹脂組成物(I)は、酸の作用により現像液への溶解性が変化する[A]成分、波長(I)の放射線を含む露光光(I)の作用により酸を発生する[B]成分、並びに露光光(I)の作用により増感体に変化する[C]増感体前駆体を含有する。本実施形態の感放射線性樹脂組成物(I)から形成されるレジスト膜において、露光光(I)の照射によって、[B]成分から酸が発生し、また、[C]増感体前駆体から増感体が生成するが、この増感体によるレジスト反応を促進させる露光光(II)のみを照射しても酸も増感体も生成しない。本実施形態の感放射線性樹脂組成物(I)([A]成分及び[C]増感体前駆体)は露光光(II)に対して透明であることが望ましい。このように、[C]増感体前駆体に露光光(I)が照射されると、異なる波長で強い吸収を示す増感体が生成される。
本実施形態の感放射線性樹脂組成物(I)において、露光光(I)の照射によって[C]増感体前駆体から生成された増感体に露光光(II)が照射されると、露光光(II)を吸収して、[B]成分からの酸の発生が促進される。一方、露光光(I)の照射されなかったレジスト膜の領域においては露光光(II)が照射されても酸も増感体も生成しない。
本実施形態の感放射線性樹脂組成物(I)に、露光光(I)をパターン状に照射すると、パターン状に増感体が生成される。その後、露光光(II)をレジスト膜の所定の領域に照射すると、増感体に起因してレジスト反応が進行する。このため、所定のレジストパターンを簡便に形成させることができる。
感放射線性樹脂組成物(I)は、[A]〜[C]成分以外にも、[D]クエンチャー、[E]溶媒及び[A]成分よりもフッ素原子及びケイ素原子の合計質量含有率が大きい重合体(以下、「[F]重合体」ともいう)を含有していてもよく、上記成分以外のその他の成分を含有していてもよい。以下、各成分について説明する。
[[A]成分]
[A]成分は、酸の作用により現像液への溶解性が変化する成分である。[A]成分は、上記性質を有する限り特に限定されず、高分子化合物だけでなく、低分子化合物を含むものであってもよいが、高分子化合物が好ましい。この高分子化合物としては、酸の作用により酸解離性基が解離することによって極性基を生じる基(以下、「基(a)」ともいう)を含む第1重合体(以下、「[A]重合体」ともいう)が好ましい。
([A]重合体)
[A]重合体は、基(a)を含む重合体である。[A]重合体は、通常、基(a)を含む構造単位(以下、「構造単位(I)」ともいう)を有する。[A]重合体は、構造単位(I)以外に、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位(II)を有することが好ましく、構造単位(I)及び構造単位(II)以外のその他の構造単位を有していてもよい。[A]重合体は、上記構造単位をそれぞれ1種又は2種以上有していてもよい。以下、各構造単位について説明する。
(構造単位(I))
構造単位(I)は、基(a)を含む構造単位である。
(基(a))
基(a)は、酸の作用により酸解離性基が解離することによって極性基を生じる基である。基(a)としては、例えば極性基が有する水素原子が酸解離性基で置換された基等が挙げられる。極性基としては、例えばアルコール性ヒドロキシ基、フェノール性ヒドロキシ基等のヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基等が挙げられる。
基(a)としては、例えば下記式(1)で表される基等が挙げられる。
Figure 2017045044
上記式(1)中、Yは、1価の極性基から1個の水素原子を除いた2価の基である。Rは、炭素数1〜20の1価の酸解離性基である。
で表される酸解離性基としては、例えば3級アルキル基、3級シクロアルキル基、1−アルコキシ置換アルキル基、1−シクロアルキルオキシ置換アルキル基等が挙げられ、例えばt−ブチル基、1−メチルシクロペンタン−1−イル基、1−エチルシクロペンタン−1−イル基、1−i−プロピルシクロペンタン−1−イル基、2−エチルアダマンタン−2−イル基、1−シクロヘキシルエトキシエチル基等が挙げられる。
構造単位(I)としては、例えば下記式(2−1)で表される構造単位(構造単位(I−1)ともいう)、下記式(2−2)で表される構造単位(構造単位(I−2)ともいう)等が挙げられる。
Figure 2017045044
上記式(2−1)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rは、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の炭化水素基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜20の脂環構造を表す。
上記式(2−2)中、Rは、水素原子又はメチル基である。Lは、単結合、−COO−又は−CONH−である。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基である。
構造単位(I−1)としては下記式(2−1−1)〜(2−1−4)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−1−1)〜(I−1−4)」ともいう)が好ましい。構造単位(I−2)としては、下記式(2−2−1)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−2−1)」ともいう)が好ましい。
Figure 2017045044
上記式(2−1−1)〜(2−1−4)中、R〜Rは、上記式(2−1)と同義である。nは、それぞれ独立して、1〜4の整数である。
上記式(2−2−1)中、R〜Rは、上記式(2−2)と同義である。
構造単位(I−1)としては例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2017045044
Figure 2017045044
上記式中、Rは、上記式(2−1)と同義である。
構造単位(I−2)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2017045044
上記式中、Rは、上記式(2−2)と同義である。
構造単位(I−1)としては、構造単位(I−1−1)及び構造単位(I−1−2)が好ましく、1−アルキルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び2−アルキルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位がより好ましい。
構造単位(I−2)としては、構造単位(I−2−1)が好ましく、1−シクロアルキルオキシアルカン−1−イルオキシスチレンに由来する構造単位がより好ましい。
構造単位(I)の含有割合の下限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、30モル%がさらに好ましく、40モル%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、80モル%が好ましく、70モル%がより好ましく、60モル%がさらに好ましく、55モル%が特に好ましい。上記含有割合を上記範囲とすることで、感度、ナノエッジラフネス性能及び解像性をより向上させることができる。
[構造単位(II)]
構造単位(II)は、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位である。[A]重合体が構造単位(II)を有することで、感度、ナノエッジラフネス性能及び解像性をより向上させることができる。また、得られるレジストパターンと基板との密着性をより向上させることができる。
構造単位(II)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2017045044
Figure 2017045044
Figure 2017045044
Figure 2017045044
上記式中、RL1は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
構造単位(II)としては、ラクトン構造を含む構造単位及び環状カーボネート構造を含む構造単位が好ましく、ラクトン構造を含む基を有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び環状カーボネート構造を含む基を有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位がより好ましい。
[A]重合体が構造単位(II)を有する場合、構造単位(II)の含有割合の下限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、30モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、80モル%が好ましく、70モル%がより好ましく、60モル%がさらに好ましい。構造単位(II)の含有割合を上記範囲とすることで、感度、ナノエッジラフネス性能及び解像性をさらに向上させることができる。また、得られるレジストパターンと基板との密着性をさらに向上させることができる。
[その他の構造単位]
[A]重合体は、上記構造単位(I)及び(II)以外にもその他の構造単位を有していてもよい。上記その他の構造単位としては、例えばフェノール性ヒドロキシ基を含む構造単位、アルコール性ヒドロキシ基を含む構造単位、ケトン性カルボニル基、シアノ基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基又はこれらの組み合わせを含む構造単位、非解離性の1価の脂環式炭化水素基を含む(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位等が挙げられる。その他の構造単位の含有割合の上限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、20モル%が好ましく、10モル%がより好ましい。
[A]成分の含有量の下限としては、感放射線性樹脂組成物(I)の全固形分に対して、70質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、85質量%がさらに好ましい。「全固形分」とは、感放射線性樹脂組成物(I)中の[E]溶媒以外の成分の総和をいう。
[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)の下限としては、6,000が好ましく、7,000がより好ましく、8,000がさらに好ましく、10,000が特に好ましい。上記Mwの上限としては、100,000が好ましく、30,000がより好ましく、20,000がさらに好ましく、15,000が特に好ましい。[A]重合体のMwを上記範囲とすることで、膜減りを抑制することができる。
[A]重合体のポリスチレン換算数平均分子量(Mn)の下限としては、3,000が好ましく、3,500がより好ましく、4,000がさらに好ましく、5,000が特に好ましい。上記Mnの上限としては、60,000が好ましく、20,000がより好ましく、15,000がさらに好ましく、10,000が特に好ましい。
[A]重合体のGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対するMwの比(Mw/Mn)の下限としては、通常1であり、1.3が好ましい。上記比の上限としては、5が好ましく、3がより好ましく、2がさらに好ましく、1.7が特に好ましい。
本明細書における重合体のMw及びMnは、以下の条件によるGPCを用いて測定される値である。
GPCカラム:例えば東ソー社の「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本及び「G4000HXL」1本
カラム温度:40℃
溶出溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
[[B]成分]
[B]成分は、露光光(I)の作用により酸を発生する成分である。感放射線性樹脂組成物(I)における[B]成分の含有形態としては、[A]成分とは異なる成分として含有されていてもよく、上述の[A]重合体の一部として組み込まれ、すなわち、[A]重合体に含まれるものであってもよく、これらの両方の含有形態であってもよい。[B]成分は、[A]成分とは異なる成分として含有される場合、後述するような低分子化合物の形態(以下、「[B]酸発生剤」ともいう)でも、重合体の形態であっても、これらの両方の形態であってもよい。
[B]酸発生剤としては、例えばオニウム塩化合物、N−スルホニルオキシイミド化合物、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物等が挙げられる。
オニウム塩化合物としては、例えばスルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。
[B]酸発生剤の具体例としては、例えば特開2009−134088号公報の段落[0080]〜[0113]に記載されている化合物等が挙げられる。
[B]酸発生剤としては、下記式(3)で表される化合物が好ましい。[B]酸発生剤が下記構造を有することで、[A]成分が有する構造との相互作用等により発生する酸のレジスト膜中の拡散長がより適度に短くなると考えられ、その結果、感放射線性樹脂組成物(I)の感度、ナノエッジラフネス性能及び解像性をより向上させることができる。
Figure 2017045044
上記式(3)中、Rp1は、環員数6以上の環構造を含む1価の基である。Rp2は、2価の連結基である。Rp3及びRp4は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は炭素数1〜20の1価のフッ素化炭化水素基である。Rp5及びRp6は、それぞれ独立して、フッ素原子又は炭素数1〜20の1価のフッ素化炭化水素基である。np1は、0〜10の整数である。np2は、0〜10の整数である。np3は、1〜10の整数である。np1が2以上の場合、複数のRp2は同一でも異なっていてもよい。np2が2以上の場合、複数のRp3は同一でも異なっていてもよく、複数のRp4は同一でも異なっていてもよい。np3が2以上の場合、複数のRp5は同一でも異なっていてもよく、複数のRp6は同一でも異なっていてもよい。Xは、1価の感放射線性オニウムカチオンである。
p1で表される環員数6以上の環構造を含む1価の基としては、例えば環員数6以上の脂環構造を含む1価の基、環員数6以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基、環員数6以上の芳香環構造を含む1価の基、環員数6以上の芳香族複素環構造を含む1価の基等が挙げられる。
上記環員数6以上の脂環構造としては、例えば
シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造、シクロノナン構造、シクロデカン構造、シクロドデカン構造等の単環のシクロアルカン構造;
シクロヘキセン構造、シクロヘプテン構造、シクロオクテン構造、シクロデセン構造等の単環のシクロアルケン構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環のシクロアルカン構造;
ノルボルネン構造、トリシクロデセン構造等の多環のシクロアルケン構造などが挙げられる。
上記環員数6以上の脂肪族複素環構造としては、例えば
ヘキサノラクトン構造、ノルボルナンラクトン構造等のラクトン構造;
ヘキサノスルトン構造、ノルボルナンスルトン構造等のスルトン構造;
オキサシクロヘプタン構造、オキサノルボルナン構造等の酸素原子含有複素環構造;
アザシクロヘキサン構造、ジアザビシクロオクタン構造等の窒素原子含有複素環構造; チアシクロヘキサン構造、チアノルボルナン構造のイオウ原子含有複素環構造などが挙げられる。
上記環員数6以上の芳香環構造としては、例えば
ベンゼン構造、ナフタレン構造、フェナントレン構造、アントラセン構造等が挙げられる。
上記環員数6以上の芳香族複素環構造としては、例えばフラン構造、ピラン構造、ベンゾピラン構造等の酸素原子含有複素環構造、ピリジン構造、ピリミジン構造、インドール構造等の窒素原子含有複素環構造などが挙げられる。
p1の環構造の環員数の下限としては、7が好ましく、8がより好ましく、9がさらに好ましく、10が特に好ましい。一方、上記環員数の上限としては、15が好ましく、14がより好ましく、13がさらに好ましく、12が特に好ましい。上記環員数を上記範囲とすることで、上述の酸の拡散長をさらに適度に短くすることができ、その結果、感放射線性樹脂組成物(I)の感度、ナノエッジラフネス性能及び解像性をさらに向上させることができる。
p1の環構造が有する水素原子の一部又は全部は、置換基で置換されていてもよい。
上記置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基等が挙げられる。
これらの中でヒドロキシ基が好ましい。
p1としては、これらの中で、環員数6以上の脂環構造を含む1価の基及び環員数6以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基が好ましく、環員数8以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基がより好ましく、ノルボルナンラクトン−2−イル基がさらに好ましい。
p2で表される2価の連結基としては、例えばカルボニル基、エーテル基、カルボニルオキシ基、スルフィド基、チオカルボニル基、スルホニル基、2価の炭化水素基等が挙げられる。Rp2で表される2価の連結基としては、カルボニルオキシ基、スルホニル基、アルカンジイル基及びシクロアルカンジイル基が好ましく、カルボニルオキシ基及びシクロアルカンジイル基がより好ましい。
p3及びRp4で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20のアルキル基等が挙げられる。Rp3及びRp4で表される炭素数1〜20の1価のフッ素化炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20のフッ素化アルキル基等が挙げられる。Rp3及びRp4としては、水素原子、フッ素原子及びフッ素化アルキル基が好ましく、フッ素原子及びパーフルオロアルキル基がより好ましく、フッ素原子及びトリフルオロメチル基がさらに好ましい。
p5及びRp6で表される炭素数1〜20の1価のフッ素化炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20のフッ素化アルキル基等が挙げられる。Rp5及びRp6としては、フッ素原子及びフッ素化アルキル基が好ましく、フッ素原子及びパーフルオロアルキル基がより好ましく、フッ素原子及びトリフルオロメチル基がさらに好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
p1としては、0〜5の整数が好ましく、0〜3の整数がより好ましく、1〜3の整数がさらに好ましい。
p2としては、0〜5の整数が好ましく、0〜3の整数がより好ましく、1及び2がさらに好ましい。
p3としては、1〜5の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1及び2がさらに好ましい。
で表される1価の感放射線性オニウムカチオンは、露光光(I)の照射により分解するカチオンである。露光部では、この感放射線性オニウムカチオンの分解により生成するプロトンと、スルホネートアニオンとからスルホン酸を生じる。上記Xで表される1価の感放射線性オニウムカチオンとしては、例えば下記式(X−1)で表されるカチオン(以下、「カチオン(X−1)」ともいう)、下記式(X−2)で表されるカチオン(以下、「カチオン(X−2)」ともいう)、下記式(X−3)で表されるカチオン(以下、「カチオン(X−3)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2017045044
上記式(X−1)中、Ra1、Ra2及びRa3は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、−OSO−R若しくは−SO−Rであるか、又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造を表す。R及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数5〜25の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。k1、k2及びk3は、それぞれ独立して0〜5の整数である。Ra1〜Ra3並びにR及びRがそれぞれ複数の場合、複数のRa1〜Ra3並びにR及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記式(X−2)中、Rb1は、置換若しくは非置換の炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜8の芳香族炭化水素基である。k4は0〜7の整数である。Rb1が複数の場合、複数のRb1は同一でも異なっていてもよく、また、複数のRb1は、互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。
b2は、置換若しくは非置換の炭素数1〜7の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6若しくは7の芳香族炭化水素基である。k5は、0〜6の整数である。Rb2が複数の場合、複数のRb2は同一でも異なっていてもよく、また、複数のRb2は互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。rは、0〜3の整数である。Rb3は、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。tは、0〜2の整数である。
上記式(X−3)中、Rc1及びRc2は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、−OSO−R若しくは−SO−Rであるか、又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造を表す。R及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数5〜25の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。k6及びk7は、それぞれ独立して0〜5の整数である。Rc1、Rc2、R及びRがそれぞれ複数の場合、複数のRc1、Rc2、R及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
a1〜Ra3、Rb1、Rb2、Rc1及びRc2で表される非置換の直鎖状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が挙げられる。
a1〜Ra3、Rb1、Rb2、Rc1及びRc2で表される非置換の分岐状のアルキル基としては、例えばi−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
a1〜Ra3、Rc1及びRc2で表される非置換の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
b1及びRb2で表される非置換の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、ベンジル基等が挙げられる。
b3で表される2価の有機基としては、例えば上記式(3)のLの2価の有機基として例示したものと同様の基等が挙げられる。
アルキル基及び芳香族炭化水素基が有する水素原子を置換していてもよい置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基等が挙げられる。これらの中で、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
a1〜Ra3、Rb1、Rb2、Rc1及びRc2としては、非置換の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素化アルキル基、非置換の1価の芳香族炭化水素基、−OSO−R”及び−SO−R”が好ましく、フッ素化アルキル基及び非置換の1価の芳香族炭化水素基がより好ましく、フッ素化アルキル基がさらに好ましい。R”は、非置換の1価の脂環式炭化水素基又は非置換の1価の芳香族炭化水素基である。
式(X−1)におけるk1、k2及びk3としては、0〜2の整数が好ましく、0及び1がより好ましく、0がさらに好ましい。式(X−2)におけるk4としては、0〜2の整数が好ましく、0及び1がより好ましく、1がさらに好ましい。k5としては、0〜2の整数が好ましく、0及び1がより好ましく、0がさらに好ましい。rとしては、2及び3が好ましく、2がより好ましい。tとしては、0及び1が好ましく、0がより好ましい。式(X−3)におけるk6及びk7としては、0〜2の整数が好ましく、0及び1がより好ましく、0がさらに好ましい。
としては、これらの中で、カチオン(X−1)及びカチオン(X−3)が好ましく、トリフェニルスルホニウムカチオン、4−シクロヘキシルスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムカチオン及びジフェニルヨードニウムカチオンがより好ましい。
上記式(3)で表される酸発生剤としては例えば下記式(3−1)〜(3−15)で表される化合物(以下、「化合物(3−1)〜(3−15)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2017045044
上記式(3−1)〜(3−15)中、Xは、1価の感放射線性オニウムカチオンである。
[B]酸発生剤としては、オニウム塩化合物が好ましく、化合物(3−15)及びノナフルオロ−n−ブタン−1−スルホネートのオニウム塩化合物がより好ましい。
[B]成分は、例えば[A]重合体中に、下記式(4)で表される構造単位等の構造単位として含まれていてもよい。
Figure 2017045044
上記式(4)中、Rp7は、水素原子又はメチル基である。Lは、単結合、−O−又は炭素数1〜20の2価の有機基である。Rp8は、炭素数1〜10のフッ素化アルカンジイル基である。Xは、1価の感放射線性オニウムカチオンである。
p7としては、上記式(4)で表される構造単位を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子及びメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
としては、−COO−が好ましい。
p8としては、炭素数1〜4のフッ素化アルカンジイル基が好ましく、炭素数1及び2のフッ素化アルカンジイル基がより好ましく、1,2−ジフルオロエタン−1,2−ジイル基がさらに好ましい。
[B]成分から発生する酸の水/オクタノール分配係数の常用対数値(logP値)の下限としては、1.5が好ましく、2.0がより好ましく、2.5がさらに好ましい。上記logP値の上限としては、12.0が好ましく、11.0がより好ましく、10.5がさらに好ましい。logP値を上記範囲とすることで、有機溶媒を主成分とする現像液を用いるレジストパターン形成において、ラインエッジラフネスがより良好になり、線幅の面内均一性及びブリッジマージンに優れたレジストパターンを得ることができる。その理由は必ずしも明確ではないが、例えばlogP値を上記範囲とすることで、有機溶媒を主成分とする現像液(I)に対して、[B]成分から発生する酸及び[B]成分がより均一かつより迅速に溶解できること等が挙げられる。すなわち、logP値を上記上限以下とすることで、[B]成分から発生する酸、及び[B]成分のアニオンの疎水性が適度な範囲となり、その結果、現像工程において、酸及び[B]成分同士の疎水的相互作用による凝集が抑制されることにより、現像が均一に進行すること等が考えられる。一方、logP値を上記下限以上とすることで、[B]成分から発生する酸及び[B]成分が現像液(I)に十分に溶解し、その結果、不溶物の析出等が抑制されること等が考えられる。さらに、logP値を上記範囲とすることで、現像均一性が向上し、ラインパターンが膨潤しにくくなり、その結果、パターン間におけるブリッジ形成が抑制されることにより、ブリッジマージンが向上すると考えられる。
ここで、logP値とは、オクタノール/水の分配係数の対数値であり、分子の親疎水性を表す重要なパラメータとして知られている。化合物のlogP値を求める方法としては、大別すると、実験的に実測して求める方法と、計算により求める方法とが知られている。
以下、logP値の算出方法について説明する。logP値を実測する場合、下記文献に記載の方法により、実測して求めることができる。また、計算によりlogP値を算出する場合、計算により算出したlogP値(以下、「ClogP値」ともいう)は下記の文献記載のフラグメント法、又は下記市販のソフトウェアパッケージ1及び/若しくは2を用いて計算により求めることができる。本明細書におけるlogP値は、このClogP値を指し、明細書中に記載したlogP値の数値は下記ソフトウェアパッケージ2を用いて計算した「ClogP値」の数値である。
文献:C.Hansch及びA.Leo、“Substituent Constants for Correlation Analysis in Chemistry and Biology (John Wiley & Sons, New York, 1969)
ソフトウェアパッケージ1:MedChem Software (Release 3.54,1991年8月、Medicinal Chemistry Project, Pomona College,Claremont,CA)
ソフトウェアパッケージ2:Chem Draw Ultra ver.8.0.(2003年4月、CambridgeSoft Corporation,USA)
logP値が1.5以上12.0以下の酸を発生する化合物(以下、「化合物(I)」ともいう)としては、アニオン中に炭素数2以上のフッ素置換されていない炭化水素骨格を含む基を有する化合物(以下、「化合物(I−1)」ともいう)が好ましい。[B]酸発生剤として化合物(I−1)を用いることにより、有機溶媒を主成分とする現像液を用いたレジストパターン形成において、ラインエッジラフネスがより良好になり、線幅の面内均一性及びブリッジマージンもさらに良好になる。フッ素置換されていない炭化水素骨格を含む基の炭素数としては、3以上が好ましく、4以上がよりに好ましい。
炭素数2以上のフッ素置換されていない炭化水素骨格を含む基としては、例えば炭素数2以上のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アシルアミノ基、オキソアルキル基、アルキルスルホニルオキシ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルホニルアミノ基、アルキルアミノスルホニル基等の2価の基、これらの2価の基から1個の水素原子を除いた3価の基、これらの3価の基から1個の水素原子を除いた4価の基などが挙げられる。
アルキル基としては、例えばエチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ネオペンチル基、t−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、2−エチルヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、メンチル基、アダマンチルメチル基、アダマンチルエチル基、シクロヘキシルエチル基などのアルキル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えばエトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、t−アミルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、メンチルオキシ基、アダマンチルメトキシ基、アダマンチルエトキシ基、シクロヘキシルエトキシ基等が挙げられる。
炭素数2以上のフッ素置換されていない炭化水素骨格は、化合物(I−1)のアニオン中のいずれの位置に有していても良いが、アニオンの末端に有する方が好ましい。
化合物(I−1)が発生する酸としては、例えば下記式で表される酸等が挙げられる。
Figure 2017045044
化合物(I)が発生する酸としては、下記式(I)又は(I’)で表される酸等も挙げられる。
Figure 2017045044
上記式(I)及び(I’)中、Aは、2価の連結基である。A及びAは、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は−N(Rxb)−である。Rxbは、水素原子、置換若しくは非置換のアリール基、アルキル基、アルコキシアルキル基、シクロアルキル基又はオキサシクロアルキル基である。Aは、単結合又は−CO−である。Raは、水素原子又は1価の有機基である。nは、2又は3である。Rbは、n価の連結基である。Aが−N(Rxb)−の場合、RaとRxb又はRbとRxbが結合して環構造を形成していてもよい。
で表される2価の連結基としては、メチレン基、炭素数2〜20のアルキレン基、このアルキレン基の炭素−炭素間に酸素原子、硫黄原子、−CO−、−COO−等を含む基などが挙げられる。アルキレン基の炭素数としては、2〜20が好ましく、2〜6がより好ましく、3及び4がさらに好ましい。
で表される2価の連結基としては、フッ素化アルキレン基も好ましく、−SOHに隣接する炭素原子にフッ素原子が結合するフッ素化アルキレン基がより好ましく、アルキレン基が有する水素原子数の30%以上100%以下がフッ素原子で置換されたアルキレン基がさらに好ましく、パーフルオロアルキレン基が特に好ましく、パーフロロエチレン基、パーフロロプロピレン基及びパーフロロブチレン基がさらに特に好ましい。
Rxbで表されるアリール基としては、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、フェニル基及びナフチル基がより好ましい。
Rxbで表されるアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、2−エチルヘキシル基等の分岐アルキル基などが挙げられる。
Rxbで表されるシクロアルキル基としては、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましく、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、シクロヘキシルエチル基、アダマンチルメチル基及びアダマンチルエチル基がより好ましい。
Rxbで表されるオキサシクロアルキル基としては、炭素数3〜20のオキシシクロアルキル基が好ましく、カンファー基がより好ましい。
Raで表される1価の有機基としては、炭素数1〜20の有機基が好ましく、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基等が挙げられる。Raのアルキル基、シクロアルキル基又及びアリール基としては、例えばRxbとして例示した基と同様の基等が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、例えばエテニル基、プロペニル基、ブテニル基等が挙げられる。
Rbで表されるn価の連結基としては、炭素数1〜20のn価の連結基が好ましい。2価(n=2)の連結基としては、置換及び非置換のメチレン基、炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、炭素数7〜13のアラルキレン基並びに炭素数2〜12のアルケニレン基が好ましい。3価(n=3)の連結基としては、2価の連結基から1価の水素原子を除いた基が好ましい。
が−N(Rxb)−の場合、RaとRxb又はRbとRxbが結合して形成する環構造としては、例えば単環又は多環の環員数4〜10のアザシクロアルカン構造、単環又は多環の環員数4〜10のアザオキサシクロアルカン構造等が挙げられる。
上記各基が有してもよい置換基としては、例えばハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基等が挙げられる。
式(I)及び(I’)で表されるスルホン酸としては、下記式(IA)〜(IC)及び(I’A)〜(I’C)で表されるスルホン酸が好ましい。
Figure 2017045044
上記式(IA)〜(IC)及び(I’A)〜(I’C)中、Ra’は、上記式(I)におけるRaと同義である。Rb及びnは、上記式(I’)におけるRb及びnと同義である。Ra”は、アルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基である。Rx’は、上記式(I)及び(I’)におけるRxbと同義である。n1は、1〜10の整数である。n2は、0〜10の整数である。Aは、単結合、−O−、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基である。
で表されるアルキレン基及びシクロアルキレン基は、フッ素置換されていないアルキレン基及びフッ素置換されていないシクロアルキレン基が好ましい。上記式(IA)においてRa’とRx’が結合して環を形成していることが好ましい。環構造を形成することによって、上記式(IA)で表される化合物の安定性が向上し、これを含有する感放射線性樹脂組成物(I)の保存安定性が向上する。形成される環の炭素数としては、4〜20が好ましい。Ra”で表されるアルキル基、アリール基、アラルキル基及びアルケニル基としては、例えばRaとして例示した同様の基等が挙げられる。n1+n2としては、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましい。
上記式(I)及び(I’)で表されるスルホン酸としては、下記式で表されるスルホン酸が好ましい。
Figure 2017045044
Figure 2017045044
これらの中でも、炭素数2以上のフッ素置換されていない炭化水素骨格を含むスルホン酸が好ましい。そのようなスルホン酸としては、例えば、下記式で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2017045044
化合物(I)としては、下記式(II)で表されるスルホン酸を発生するものも好ましい。
Figure 2017045044
上記式(II)中、Rfは、フッ素原子又はフッ素原子を有する有機基である。Ra1及びRb1は、それぞれ独立して、1価の有機基である。Arは、4価の芳香族基である。Xは、−SO−、−SO−、−S−又は−O−である。l’は、0〜6の整数である。m’は、0〜5の整数である。n’は、0〜5の整数である。l’及びn’が2以上の場合、複数のRa1及びRb1は、同一でも異なっていてもよい。Rfは、フッ素原子又はフッ素原子を有する有機基である。m’が2以上の場合、複数のRfは、同一でも異なっていてもよい。
a1及びRb1で表される有機基としては、例えばアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、シクロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アシルアミノ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルアミノカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルシリルオキシ基、シアノ基、これらの基の1又は複数の炭素−炭素間に酸素原子、硫黄原子、−COO−等の連結基を有する基、これらの基の水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基等が挙げられる。Ra1及びRb1で表される有機基の炭素数の下限としては、2が好ましく、4がより好ましく、6がさらに好ましく、8が特に好ましい。上記炭素数の上限としては、30が好ましく、24がより好ましい。
アルキル基としては、炭素数1〜30の直鎖状及び分岐状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。アルキル基の置換基としては、アルコキシ基、シクロアルキル基、アシル基、アシロキシ基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基が好ましい。
アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、メシチル基、ナフチル基などが挙げられる。アリール基の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシロキシ基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシカルボニル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基及びシアノ基が好ましい。
シクロアルキル基としては、炭素数3〜30の単環及び多環のシクロアルキル基が好ましく、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基、アダマンチル基等が挙げられる。シクロアルキル基の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基が好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数1〜30の直鎖又は分岐状アルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基等が挙げられる。アルコキシ基の置換基としては、アルコキシ基、アリール基、アシル基、アシロキシ基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、シロキサン基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基が好ましい。
アリールオキシ基としては、炭素数6〜20のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェノキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基が好ましい。
アラルキル基としては、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。アラルキル基の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基が好ましい。
アラルキルオキシ基は、炭素数6〜20のアラルキルオキシ基が好ましく、例えば、ベンジルオキシ基、フェネチル基のようなアラルキルオキシ基が挙げられる。アラルキルオキシ基は、置換基を有していてもよい。アラルキルオキシ基の好ましい置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、塩素原子、臭素原子、原子、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基を挙げることができる。
シクロアルコキシ基としては、炭素数3〜30の単環又は多環のシクロアルコキシ基が好ましく、例えば、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、メンチルオキシ基、アダマンチルオキシ基等が挙げられる。シクロアルコキシ基の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基が好ましい。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数1〜30のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。アルコキシカルボニル基の置換基としては、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、シクロアルキル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基が好ましい。
アリールオキシカルボニル基としては、炭素数6〜20のアリールオキシカルボニル基が好ましく、例えばフェノキシカルボニル基等が挙げられる。アリールオキシカルボニル基の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基及びシアノ基が好ましい。
アシルオキシ基としては、炭素数1〜30のアシルオキシ基が好ましく、例えばアセトキシ基、メチルブチノイルオキシ基、メチルデシノイルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、パルミトイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。アシルオキシ基の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基及びシアノ基が好ましい。
アルキルチオ基としては、炭素数1〜30のアルキルチオ基が好ましく、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、ウンデシルチオ基、ドデシルチオ基等が挙げられる。
アルキルチオ基の置換基としては、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、シクロアルキル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基が好ましい。
アリールチオ基としては、炭素数6〜20のアリールチオ基が好ましく、例えばフェニルチオ基等が挙げられる。アリールチオ基の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基及びシアノ基が好ましい。
アシル基としては、炭素数1〜30のアシル基が好ましく、例えばアセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、ブチリル基、バレリル基、パルミトイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。アシル基の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基及びシアノ基が好ましい。
アシルアミノ基としては、炭素数1〜30のアシルアミノ基が好ましく、例えばアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ブチリルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等が挙げられる。アシルアミノ基の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基及びシアノ基が好ましい。
アルケニル基としては、炭素数1〜30のアルケニル基が好ましく、例えばビニル基、プロペニル基、ブテニル基等が挙げられる。アルケニル基の置換基としては、例えば、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、シクロアルキル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基が好ましい。
アルケニルオキシ基としては、炭素数1〜30のアルケニルオキシ基が好ましく、例えばビニルオキシ基、プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基等が挙げられる。アルケニルオキシ基の置換基としては、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、シクロアルキル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基が好ましい。
アリールカルボニルオキシ基としては、炭素数6〜20のアリールカルボニルオキシ基が好ましく、フェニルカルボニルオキシ基等が挙げられる。アリールカルボニルオキシ基の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基が好ましい。
アルキルカルボニルオキシ基としては、炭素数1〜30のアルキルカルボニルオキシ基が好ましく、例えばメチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。アルキルカルボニルオキシ基の置換基としては、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、シクロアルキル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基が好ましい。
アルキルアミノカルボニル基としては、炭素数1〜30のアルキルアミノカルボニル基が好ましく、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ブチルアミノカルボニル基等が挙げられる。アルキルアミノカルボニル基の置換基としては、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、シクロアルキル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基が好ましい。
アルキルカルボニルアミノ基としては、炭素数1〜30のアルキルカルボニルアミノ基が好ましく、例えばメチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ブチルカルボニルアミノ基等が挙げられる。アルキルカルボニルアミノ基の置換基としては、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、シクロアルキル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基が好ましい。
アルキルシリルオキシ基としては、炭素数1〜30のアルキルシリルオキシ基が好ましく、例えばトリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基等が挙げられる。アルキルシリルオキシ基の置換基としては、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、シクロアルキル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基が好ましい。
a1及びRb1としては、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アシルアミノ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基及びアルキルシリルオキシ基が好ましく、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、シクロアルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アシルアミノ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基及びアルキルカルボニルアミノ基がより好ましく、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、シクロアルコキシ基、アシルアミノ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基及びアルキルカルボニルアミノ基がさらに好ましい。
RfとRa1及びRb1の炭素数の和は、好ましくは炭素数4〜34であり、より好ましくは炭素数6〜30であり、更により好ましくは炭素数8〜24である。RfとRa1及びRb1の炭素数を調整することによって酸の拡散性を調整することができ、解像力が向上する。
Arの芳香族基は、炭素数6〜20の芳香族基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。芳香族基は、更に、置換基を有していてもよい。芳香族基の好ましい更なる置換基としては、例えば、ニトロ基、スルホニルアミノ基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、カルボキシ基等を挙げることができる。
l’としては、0〜3が好ましく、0〜2がより好ましく、1及び2がさらに好ましい。n’としては、0〜3が好ましく、0〜2がより好ましく、0及び1がさらに好ましい。m’としては、2〜5が好ましく、3及び4がより好ましく、4がさらに好ましい。
上記式(II)で表されるスルホン酸としては、下記式(IIa)で表されるスルホン酸が好ましく、下記式(IIb)で表されるスルホン酸がより好ましく、下記式(IIc)で表されるスルホン酸がさらに好ましい。
Figure 2017045044
上記式(IIa)、(IIb)及び(IIc)中、Ra1、Rf、X、l’、m’、n’は、上記式(II)におけるRa1、Rf、X、l’、m’、n’と同義である。Rは、1価の有機基である。
上記式(II)で表されるスルホン酸としては、下記式で表されるスルホン酸が好ましい。
Figure 2017045044
Figure 2017045044
Figure 2017045044
これらの中で、炭素数2以上のフッ素置換されていない炭化水素骨格を有するスルホン酸が好ましい。
上記式(I)、(I’)及び(II)で表されるスルホン酸を発生する化合物としては、上記式(I)、(I’)及び(II)で表されるスルホン酸のスルホニウム塩化合物及びヨードニウム塩化合物並びに(I)、(I’)及び(II)で表されるスルホン酸のエステル化合物が好ましく、下記式(B1)〜(B5)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2017045044
上記式(B1)中、R201、R202及びR203は、それぞれ独立して、1価の有機基である。R201、R202及びR203のうち2つが結合して環構造を形成してもよい。
上記式(B2)中、R204及びR205は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のアリール基、アルキル基又はシクロアルキル基である。
上記式(B3)中、Aは、置換若しくは非置換のアルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基である。
上記式(B4)中、R208は、置換若しくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基である。R209は、アルキル基、シアノ基、オキソアルキル基又はアルコキシカルボニル基である。
上記式(B5)中、R210及びR211は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シアノ基、ニトロ基又はアルコキシカルボニル基である。R212は、水素原子、アルキル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基である。
上記式(B1)〜(B5)中、Xは、上記式(I)、(I’)又は(II)で表されるスルホン酸からプロトンを除いたスルホン酸アニオンである。
201、R202及びR203の有機基の炭素数としては、通常1〜30であり、好ましくは1〜20である。R201〜R203のうち2つが結合して形成する環構造は、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合又はカルボニル基を含んでいてもよい。
201、R202及びR203で表される有機基としては、後述する式(B1a)、(B1b)及び(B1c)で表される化合物における対応する基等が挙げられる。
化合物(I)は、上記式(B1)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。
例えば上記式(B1)で表される化合物のR201〜R203の少なくとも1つが、上記式(B1)で表されるもう1つの化合物のR201〜R203の少なくとも1つと結合した構造を有する化合物であってもよい。
上記式(B1)で表される化合物として、以下の化合物(B1a)、(B1b)及び(B1c)が好ましい。
化合物(B1a)は、上記化合物(B1)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基であるアリールスルホニム化合物、すなわちアリールスルホニウムカチオンを有する化合物である。アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよく、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基又はシクロアルキル基でもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えばトリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基及びナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
化合物(B1b)は、上記式(B1)におけるR201〜R203が、それぞれ独立して、芳香環を有さない有機基である化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を有する芳香族複素環も包含するものである。芳香環を有さない有機基の炭素数としては、通常1〜30、好ましくは1〜20である。
201〜R203としては、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基及びビニル基が好ましく、2−オキソアルキル基及び2−オキソシクロアルキル基がより好ましく、2−オキソアルキル基がより好ましい。
化合物(B1c)とは、下記式(B1c)で表される化合物、すなわちアリールアシルメチルスルホニウム塩化合物である。
Figure 2017045044
上記式(B1c)中、R213は、置換又は非置換のアリール基である。R214及びR215は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基である。Y201及びY202は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はビニル基である。R213とR214とは結合して環構造を形成してもよい。R214とR215とは結合して環構造を形成してもよい。Y201とY202とは結合して環構造を形成してもよい。Xは、上記式(I)、(I’)及び(II)で表されるスルホン酸から水素原子を除いたスルホン酸アニオンである。
213アリール基としては、フェニル基及びナフチル基が好ましい。アリール基の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基及びカルボキシ基が好ましい。
214及びR215のアルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖及び分岐状アルキル基が好ましい。シクロアルキル基としては、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましい。Y201及びY202のアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基及び2−オキソアルキル基が好ましい。Y201及びY202のシクロアルキル基としては、炭素数3〜20のシクロアルキル基及び2−オキソシクロアルキル基が好ましい。
204及びR205のアリール基としては、フェニル基及びナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。R204及びR205のアルキル基としては、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基が好ましい。R204及びR205のシクロアルキル基としては、炭素数3〜10のシクロアルキル基が好ましい。アリール基、アルキル基及びシクロアルキル基の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びフェニルチオ基が好ましい。
化合物(I)としては、上記式(B1)で表される化合物が好ましく、上記化合物(B1a)〜(B1c)がより好ましい。
化合物(I)は、トリフェニルスルホニウム構造を有することが好ましい。
化合物(I)としては、フッ素置換されていないアルキル基若しくはシクロアルキル基を含むカチオンを有するトリフェニルスルホニウム塩化合物が好ましい。
化合物(I)としては、下記式b1〜b84で表される化合物が好ましい。
Figure 2017045044
Figure 2017045044
Figure 2017045044
Figure 2017045044
Figure 2017045044
[B]成分が[B]酸発生剤の場合、[B]酸発生剤の含有量の下限としては、感放射線性樹脂組成物(I)の全固形分に対して、0.1質量%が好ましく、1質量%がより好ましく、5質量%がさらに好ましく、10質量%が特に好ましく、18質量%がさらに特に好ましく、20質量%が最も好ましい。上記含有量の上限としては、50質量%が好ましく、40質量%がより好ましく、35質量%がさらに好ましく、30質量%が特に好ましく、27質量%がさらに特に好ましく、25質量%が最も好ましい。
[B]成分が[B]酸発生剤の場合、[B]酸発生剤の含有量の下限としては、[A]成分100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、1質量部がより好ましく、5質量部がさらに好ましく、10質量部が特に好ましく、15質量部がさらに特に好ましく、20質量部が最も好ましい。上記含有量の上限としては、100質量部が好ましく、70質量部がより好ましく、50質量部がさらに好ましく、40質量部が特に好ましく、35質量部がさらに特に好ましく、30質量部が最も好ましい。
[B]酸発生剤の含有量を上記範囲とすることで、感度、ナノエッジラフネス性能及び解像性をより向上させることができる。[B]成分は、1種又は2種以上を用いることができる。
([C]増感体前駆体)
[C]増感体前駆体は、露光光(I)の作用により増感体に変化する化合物である。感放射線性樹脂組成物(I)における[C]増感体前駆体の含有形態としては、[A]成分とは異なる成分として含有されていてもよく、上述の[A]重合体の一部として組み込まれ、すなわち、[A]重合体に含まれるものであってもよく、これらの両方の含有形態であってもよい。[C]増感体前駆体は、[A]成分とは異なる成分として含有される場合、低分子化合物の形態でも、重合体の形態であっても、これらの両方の形態であってもよい。
[C]増感体前駆体の波長(II)における吸光度(IPP)の上記増感体の波長(II)における吸光度(I)に対する比((IPP)/(I))の値の上限は、0.2であり、0.15が好ましく、0.1がより好ましい。上記比の値の下限は特に限定されないが、例えば0.05である。波長(II)における増感体に対する[C]増感体前駆体の吸光度の比の値を上記範囲とすることで、当該パターン形成方法の効率をより高めることができ、その結果、感度、ナノエッジラフネス及び解像性をより向上させることができる。
[C]増感体前駆体としては、例えばビス(4−メトキシフェニル)メタノール(DOMeBzH)、ジメトキシベンズヒドロール誘導体(DOBzMM)、トリメトキシベンズヒドロール(TriOMeBzH)等が挙げられる。
レジスト膜に、露光光(I)が照射されると、[C]増感体前駆体から増感体が生成される。例えば露光光(I)は、電子線又はEUV光である。あるいは、露光光(I)はArFレーザ光であってもよい。
増感体に露光光(II)を照射すると、レジスト膜に潜像が形成される。上述したように、露光光(II)の照射は、大気中で行われてもよく、あるいは、真空中で行われてもよい。例えば、露光光(II)はUV光である。
また、感放射線性樹脂組成物(I)は、露光光(II)を吸収しない。典型的には、露光光(II)として露光光(I)よりも長波長の放射線が用いられる。露光光(I)は、露光光(II)が含む波長(II)の放射線を実質的に含まないことが好ましい。露光光(I)が波長(II)の放射線を実質的に含まないことで、レジストパターンのコントラストをより良好につけることができ、その結果、感度、ナノエッジラフネス性能及び解像性をより向上させることができる。ただし、本発明はこれに限定されず、露光光(II)として露光光(I)よりも短波長の放射線が用いられてもよい。
([D]クエンチャー)
感放射線性樹脂組成物(I)は[D]クエンチャーを含有してもよい。例えば、[D]クエンチャーは、酸と中和するものであってもよい。また、[D]クエンチャーは、増感体の前駆体となる反応中間体を失活させるものであってもよい。
[D]クエンチャーとしては、例えば下記式(5−1)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」ともいう)、同一分子内に窒素原子を2個有する化合物(以下、「含窒素化合物(II)」ともいう)、窒素原子を3個有する化合物(以下、「含窒素化合物(III)」ともいう)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
Figure 2017045044
上記式(5−1)中、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。
含窒素化合物(I)としては、例えばn−ヘキシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン等のトリアルキルアミン類;アニリン、2,6−i−プロピルアニリン等の芳香族アミン類等が挙げられる。
含窒素化合物(II)としては、例えばエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等が挙げられる。
含窒素化合物(III)としては、例えばポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等のポリアミン化合物;ジメチルアミノエチルアクリルアミド等の重合体などが挙げられる。
アミド基含有化合物としては、例えばホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
ウレア化合物としては、例えば尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリブチルチオウレア等が挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、例えばピリジン、2−メチルピリジン等のピリジン類;N−プロピルモルホリン、N−(ウンデシルカルボニルオキシエチル)モルホリン等のモルホリン類;ピラジン、ピラゾール等が挙げられる。
含窒素化合物として、酸解離性基を有する化合物を用いることもできる。このような酸解離性基を有する含窒素化合物としては、例えばN−t−ブトキシカルボニルピペリジン、N−t−ブトキシカルボニルイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール、N−(t−ブトキシカルボニル)ジ−n−オクチルアミン、N−(t−ブトキシカルボニル)ジエタノールアミン、N−(t−ブトキシカルボニル)ジシクロヘキシルアミン、N−(t−ブトキシカルボニル)ジフェニルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−アミルオキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン等が挙げられる。
また、[D]クエンチャーとして、露光により感光し弱酸を発生する光崩壊性塩基を用いることもできる。光崩壊性塩基としては、例えば露光により分解して酸拡散制御性を失うオニウム塩化合物等が挙げられる。オニウム塩化合物としては、例えば下記式(5−2−1)で表されるスルホニウム塩化合物、下記式(5−2−2)で表されるヨードニウム塩化合物等が挙げられる。
Figure 2017045044
上記式(5−2−1)及び式(5−2−2)中、R13〜R17は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子である。E及びQは、それぞれ独立して、OH、Rβ−COO、Rβ−SO 又は下記式(5−2−a)で表されるアニオンである。但し、Rβは、アルキル基、又はアラルキル基である。
Figure 2017045044
上記式(5−2−a)中、R18は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のフッ素化アルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基である。uは、0〜2の整数である。uが2の場合、2つのR18は同一でも異なっていてもよい。
上記光崩壊性塩基としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2017045044
上記光崩壊性塩基としては、これらの中で、スルホニウム塩が好ましく、トリアリールスルホニウム塩がより好ましく、トリフェニルスルホニウム塩及び4−シクロヘキシルスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム塩がさらに好ましく、サリチレート化合物、10−カンファースルホネート化合物、N−n−ブチルトリフルオロメチルスルホンアミド化合物、1,2−ジ(シクロヘキシルオキシカルボニル)エタン−1−スルホネート化合物及び1,2−ジ(ノルボルナンラクトン−2−イルオキシカルボニル)エタン−1−スルホネート化合物が特に好ましい。
感放射線性樹脂組成物(I)が[D]クエンチャーを含有する場合、[D]クエンチャーの含有量の下限としては、[A]成分100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、0.5質量部がより好ましく、1質量部がさらに好ましく、3質量部が特に好ましい。
上記含有量の上限としては、20質量部が好ましく、15質量部がより好ましく、10質量部がさらに好ましい。
([E]溶媒)
感放射線性樹脂組成物(I)は、通常、[E]溶媒を含有する。[E]溶媒は、少なくとも[A]成分、[B]成分、[C]増感体前駆体及び所望により含有される[D]クエンチャー等を溶解又は分散可能な溶媒であれば特に限定されない。
[E]溶媒としては、例えば上述の現像工程で用いる現像液が含有する有機溶媒として例示したもの等が挙げられる。
これらの中で、エステル系溶媒及びケトン系溶媒が好ましく、多価アルコール部分エーテルアセテート系溶媒、環状ケトン系溶媒及びラクトン系溶媒がより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン及びγ−ブチロラクトンがさらに好ましい。感放射線性樹脂組成物(I)は、[E]溶媒を1種又は2種以上含有していてもよい。
([F]重合体)
感放射線性樹脂組成物(I)は、[F]重合体を含有していてもよい。[F]重合体は、[A]成分よりもフッ素原子及びケイ素原子の合計質量含有率が大きい重合体である。
感放射線性樹脂組成物(I)が、[F]重合体を含有することで、レジスト膜を形成した際に、レジスト膜中の[F]重合体の撥油性的特徴により、その分布がレジスト膜表面近傍で偏在化する傾向があり、液浸露光時における酸発生剤や酸拡散制御剤等が液浸媒体に溶出することを抑制したり、現像液への溶解性を高める機能を付与することで現像欠陥を抑制したりすることができる。
[F]重合体のフッ素原子及びケイ素原子の合計質量含有率の下限としては、1質量%が好ましく、2質量%がより好ましく、4質量%がさらに好ましく、7質量%が特に好ましい。上記合計質量含有率の上限としては、60質量%が好ましく、40質量%がより好ましく、30質量%がさらに好ましい。上記合計質量含有率を上記範囲とすることで、レジスト膜表面の疎水性をより適度に調整することができる。重合体のフッ素原子及びケイ素原子の合計質量含有率は、13C−NMRスペクトル測定等により重合体の構造を求め、その構造から算出することができる。
[F]重合体としては、例えばフッ素原子を有する重合体、ケイ素原子を有する重合体等が挙げられる。
(フッ素原子を有する重合体)
[F]重合体は、下記式(6−1)で表される構造単位(以下、「構造単位(Fa)」ともいう)及び下記式(6−2)で表される構造単位(以下、「構造単位(Fb)」ともいう)の少なくとも一方を有することが好ましい。[F]重合体は、構造単位(Fa)及び構造単位(Fb)をそれぞれ1種又は2種以上有していてもよい。
(構造単位(Fa))
構造単位(Fa)は、下記式(6−1)で表される構造単位である。[F]重合体は、構造単位(Fa)を有することでフッ素原子含有率を調整することができる。
Figure 2017045044
上記式(6−1)中、R19は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Lは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−CO−O−、−SO−O−NH−、−CO−NH−又は−O−CO−NH−である。R20は、炭素数1〜6の1価のフッ素化鎖状炭化水素基又は炭素数4〜20の1価のフッ素化脂環式炭化水素基である。
19としては、構造単位(Fa)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子及びメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
20で表される炭素数1〜6の1価のフッ素化鎖状炭化水素基としては、例えばトリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、パーフルオロn−プロピル基、パーフルオロi−プロピル基、パーフルオロn−ブチル基、パーフルオロi−ブチル基、パーフルオロt−ブチル基、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。
20で表される炭素数4〜20の1価のフッ素化脂環式炭化水素基としては、例えばモノフルオロシクロペンチル基、ジフルオロシクロペンチル基、パーフルオロシクロペンチル基、モノフルオロシクロヘキシル基、ジフルオロシクロペンチル基、パーフルオロシクロヘキシルメチル基、フルオロノルボルニル基、フルオロアダマンチル基、フルオロボルニル基、フルオロイソボルニル基、フルオロトリシクロデシル基、フルオロテトラシクロデシル基等が挙げられる。
構造単位(Fa)を与える単量体としては、例えばトリフルオロメチル(メタ)アクリル酸エステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、2,2,2−トリフルオロエチルオキシカルボニルメチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロt−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、モノフルオロシクロペンチル(メタ)アクリル酸エステル、ジフルオロシクロペンチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロシクロペンチル(メタ)アクリル酸エステル、モノフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリル酸エステル、ジフルオロシクロペンチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリル酸エステル、フルオロノルボルニル(メタ)アクリル酸エステル、フルオロアダマンチル(メタ)アクリル酸エステル、フルオロボルニル(メタ)アクリル酸エステル、フルオロイソボルニル(メタ)アクリル酸エステル、フルオロトリシクロデシル(メタ)アクリル酸エステル、フルオロテトラシクロデシル(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらの中で、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
[F]重合体が構造単位(Fa)を有する場合、構造単位(Fa)の含有割合の下限としては、[F]重合体を構成する全構造単位に対して、5モル%が好ましく、10モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、95モル%が好ましく、75モル%がより好ましく、50モル%がさらに好ましい。構造単位(Fa)の含有割合を上記範囲とすることで、フッ素原子含有率をより適度に調整することができる。
(構造単位(Fb))
構造単位(Fb)は、下記式(6−2)で表される構造単位である。[F]重合体は、構造単位(Fb)を有することで疎水性が上がるため、感放射線性樹脂組成物(I)から形成されたレジスト膜表面の動的接触角をさらに向上させることができる。
Figure 2017045044
上記式(6−2)中、R21は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R22は、炭素数1〜20の(s+1)価の炭化水素基、又はこの炭化水素基のR23側の末端に酸素原子、硫黄原子、−NR’−、カルボニル基、−CO−O−若しくは−CO−NH−が結合した構造である。R’は、水素原子又は1価の有機基である。R23は、単結合、炭素数1〜10の2価の鎖状炭化水素基又は炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基である。Xは、炭素数1〜20の2価のフッ素化鎖状炭化水素基である。Aは、酸素原子、−NR”−、−CO−O−*又は−SO−O−*である。
R”は、水素原子又は1価の有機基である。*は、R24に結合する結合部位を示す。R24は、水素原子又は1価の有機基である。sは、1〜3の整数である。但し、sが2又は3の場合、複数のR23は同一でも異なっていてもよく、複数のXは同一でも異なっていてもよく、複数のAは同一でも異なっていてもよく、複数のR24は同一でも異なっていてもよい。
24で表される1価の有機基としては、例えば酸解離性基、アルカリ解離性基又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基等が挙げられる。
構造単位(Fb)としては、例えば下記式(6−2−1)〜(6−2−3)で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2017045044
上記式(6−2−1)〜(6−2−3)中、R22’は、炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。R21、X、R24及びsは、上記式(6−2)と同義である。sが2又は3の場合、複数のXは同一でも異なっていてもよく、複数のR24は同一でも異なっていてもよい。
[F]重合体が構造単位(Fb)を有する場合、構造単位(Fb)の含有割合の下限としては、[F]重合体を構成する全構造単位に対して、5モル%が好ましく、10モル%がより好ましく、15モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、90モル%が好ましく、70モル%がより好ましく、50モル%がさらに好ましい。構造単位(Fb)の含有割合を上記範囲とすることで、フッ素原子含有率をより適度に調整することができる。
(構造単位(Fc))
[F]重合体は、構造単位(Fa)及び(Fb)以外にも、酸解離性基を含む構造単位(以下、「構造単位(Fc)」ともいう。)を有してもよい(但し、構造単位(Fb)に該当するものを除く)。[F]重合体が構造単位(Fc)を有することで、得られるレジストパターンの形状がより良好になる。構造単位(Fc)としては、上述の[A]重合体における構造単位(I)等が挙げられる。
[F]重合体が構造単位(Fc)を有する場合、構造単位(Fc)の含有割合の下限としては、[F]重合体を構成する全構造単位に対し、5モル%が好ましく、25モル%がより好ましく、60モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、90モル%が好ましく、80モル%がより好ましく、75モル%がさらに好ましい。
(ケイ素原子を有する重合体)
ケイ素原子を有する重合体は、ケイ素原子を有する部分構造として、例えばアルキルシリル構造、環状シロキサン構造等を有する。ケイ素原子を有する重合体は、通常、ケイ素原子を含む構造単位を有する。
(構造単位(S))
ケイ素原子を含む構造単位としては、例えば下記式(S−1)〜(S−3)で表される基を含む構造単位(以下、「構造単位(S−1)〜(S−3)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2017045044
上記式(S−1)〜(S−3)中、R25〜R39は、それぞれ独立して、アルキル基又はシクロアルキル基である。L〜Lは、単結合又は2価の連結基である。Lは、1〜5の整数である。Lが2以上の場合、複数のR31は同一でも異なっていてもよく、複数のR32は同一でも異なっていてもよい。
25〜R39で表されるアルキル基の炭素数としては、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。R25〜R39で表されるシクロアルキル基の炭素数としては、3〜20が好ましく、3〜10がより好ましい。
〜Lで表される2価の連結基としては、例えばアルキレン基、フェニル基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、これらの2以上を組み合わせた基等が挙げられる。
ケイ素原子を含む構造単位としては、上記式(S−1)〜(S−3)で表される基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位が好ましい。
[F]重合体が構造単位(S−1)〜(S−3)を有する場合、構造単位(S−1)〜(S−3)の合計含有割合の下限としては、[F]重合体を構成する全構造単位に対し、5モル%が好ましく、25モル%がより好ましく、60モル%がさらに好ましい。上記合計含有割合の上限としては、90モル%が好ましく、80モル%がより好ましく、75モル%がさらに好ましい。
(その他の構造単位)
また、[F]重合体は、上記構造単位(Fa)〜(Fc)及び構造単位(S−1)〜(S−3)以外にも、例えばアルカリ可溶性基を含む構造単位、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位、非解離性の1価の脂環式炭化水素基を含む(メタ)アクリレートに由来する構造単位等のその他の構造単位を有していてもよい。上記アルカリ可溶性基としては、例えばカルボキシ基、スルホンアミド基、スルホ基等が挙げられる。ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位としては、上述の[A]重合体における構造単位(II)等が挙げられる。
その他の構造単位の含有割合の上限としては、[F]重合体を構成する全構造単位に対して、30モル%が好ましく、20モル%がより好ましい。
感放射線性樹脂組成物(I)が[F]重合体を含有する場合、[F]重合体の含有量の下限としては、[A]成分100質量部に対して、0.5質量部が好ましく、1質量部がより好ましく、2質量部がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、20質量部が好ましく、10質量部がより好ましく、7質量部がさらに好ましい。
(その他の成分)
感放射線性樹脂組成物(I)は、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば界面活性剤、脂環式骨格含有化合物等が挙げられる。感放射線性樹脂組成物(I)は、その他の成分をそれぞれ1種又は2種以上含有することができる。
(界面活性剤)
界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤;市販品としては、KP341(信越化学工業社)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学社)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ社)、メガファックF171、同F173(以上、DIC社)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム社)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子工業社)等が挙げられる。感放射線性樹脂組成物(I)が界面活性剤を含有する場合、その含有量の上限としては、[A]成分100質量部に対して、2質量部が好ましい。
[脂環式骨格含有化合物]
脂環式骨格含有化合物は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を改善する効果を奏する。
脂環式骨格含有化合物としては、例えば
1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;
デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル等のデオキシコール酸エステル類;
リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル等のリトコール酸エステル類;
3−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン等が挙げられる。感放射線性樹脂組成物(I)が脂環式骨格含有化合物を含有する場合、その含有量の上限としては、[A]成分100質量部に対して、5質量部が好ましい。
[感放射線性樹脂組成物(I)の調製方法]
感放射線性樹脂組成物(I)は、例えば[A]成分、[B]成分、[C]増感体前駆体、必要に応じて含有される[D]クエンチャー等及び[E]溶媒を所定の割合で混合することにより調製できる。感放射線性樹脂組成物(I)は、混合後に、例えば孔径0.2μm程度のフィルター等でろ過することが好ましい。感放射線性樹脂組成物(I)の固形分濃度の下限としては、0.1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましく、1質量%がさらに好ましい。上記固形分濃度の上限としては、50質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましい。
感放射線性樹脂組成物(I)は化学増幅系であるので、増感体は、露光光(II)を吸収して酸及び増感体を発生させ、これにより、レジスト反応が進行する。例えば、露光光(II)の照射によって、増感体の励起状態が生成される。増感体の励起状態からの電子移動で[B]成分は解離型電子付加反応を起こして分解し、酸と励起前の増感体を新たに生成する。酸と増感体は、増感体の存在する領域で露光光(II)を照射し続けると[B]成分がほぼ消失するまで生成される。
この感放射線性樹脂組成物(I)によれば、露光工程(I)において、増感体を減少させるクエンチャーによって濃度分布が狭くなった増感体を光フラッド露光することにより、増感体の励起状態が生成される。増感体の励起状態からの電子移動反応で酸発生剤を分解し、酸と励起前の増感体を新たに生成する。この酸は、増感体の存在する領域で酸発生剤がほぼ消失するまで生成される。また、酸発生剤の残存量が減少した部分では酸生成反応は遅くなり、飽和する。酸とクエンチャーの中和後の酸の濃度分布は、露光光(I)の照射された領域のほぼ中央で一定であり、端では非常に急峻に立下る。酸は、端での傾きの変化の急な濃度分布を有するように形成される。以上により、高感度化、高解像度化、低LER化、フォトンショットノイズの問題解決を同時に達成できる。
以下、具体例5及び具体例6を参照して本実施形態の感放射線性樹脂組成物(I)の好適な使用例を説明する。
[具体例5]
感放射線性樹脂組成物(I)を用意する。感放射線性樹脂組成物(I)は、[A]成分、[B]成分及び[C]増感体前駆体を含有する。本実施形態において、感放射線性樹脂組成物(I)は、露光光(I)の照射によって増感体を生成し、露光光(I)を照射せずにこの増感体によるレジスト反応を促進させる露光光(II)を照射しても増感体を生成しない。
感放射線性樹脂組成物(I)を用いてレジスト膜を形成する。レジスト膜は、例えば、スピンコート法によって基板上に形成される。
露光工程(1)を実行する。露光工程(1)において、露光光(I)をパターン状に照射する。露光光(I)が照射された部分には増感体が生成される。また、このとき、増感体とともに酸が生成する。この露光工程(1)において、パターン状照射の量が低いため、現像工程を実行してもレジスト膜にレジストパターンは形成されない。なお、具体例5では、レジスト膜における酸及び/又は増感体の量の減少を上述の保持工程により抑制してもよいが、抑制しなくてもよい。
露光工程(1)と同時に、又は、露光工程(1)を実行した後に、露光工程(2)を実行する。露光工程(2)において、露光光(II)を一面に照射する。図7に示すように、露光光(II)として、露光光(I)が未照射の領域のレジスト膜では酸及び増感体の生成が起きず、かつ増感体を活性化する露光光(II)を適切に選択する。露光光(II)の照射によって、増感体と酸発生剤との反応によって酸が発生するか、あるいは、レジスト反応が発生する。
このように、露光工程(2)では、露光光(II)を一面に照射しても、最初にパターン状に照射した部分にのみ増感体が生成し、且つ、増感体は最初にパターン状に照射した部分のみに一面照射によって活性化される。このため、大量の酸が最初にパターン状に照射した部分のみに生成し、クエンチャーと酸の中和後も酸の潜像が最初にパターン状に照射した部分のみに生成する。その後、加熱工程、及び現像工程を実行し、レジストパターンが形成される。
[具体例6]
感放射線性樹脂組成物(I)を用意する。感放射線性樹脂組成物(I)は、[A]成分、[B]成分及び[C]増感体前駆体を含有する。本実施形態において、感放射線性樹脂組成物(I)は、露光光(I)の照射によって増感体を生成し、この増感体によるレジスト反応を促進させる露光光(I)を照射しても増感体を生成しない。
感放射線性樹脂組成物(I)を用いてレジスト膜を形成する。レジスト膜は、例えば、スピンコート法によって基板上に形成される。
露光工程(1)を実行する。露光工程(1)において、露光光(I)をパターン状に照射する。露光工程(1)を実行すると、露光光(I)によってパターン状に照射された部分には、酸及び増感体が生成する。この時、パターン状照射の量が低いため、現像工程を実行してもレジスト膜にレジストパターンは形成されない。また、具体例6では、レジスト膜における酸及び増感体の量の減少を上述したように保持工程により抑制してもよいが、抑制しなくてもよい。
露光工程(1)と同時に、又は、露光工程(1)を実行した後に、露光工程(2)を実行する。露光工程(2)において、露光光(II)を一面に照射する。露光光(II)としては、露光光(I)が未照射のレジスト膜では実質的に[B]成分からの酸及び[C]増感体前駆体からの増感体が生成せず、かつ活性物質α/安定物質α1のみを活性化する露光光(II)を適切に選択する。露光光(II)の照射によって、[C]増感体前駆体からの増感体の生成、及び/又は[B]成分からの酸(若しくはこの酸とは構造の異なる酸若しくは酸の前駆体)の生成が起こる。増感体は、活性雰囲気又は活性液体と反応して再び活性物質α/安定物質α1に変換される。
このように、露光工程(2)では、露光光(II)を一面に照射しても、最初にパターン状に照射した部分にのみ酸が生成し、且つ、活性物質α/安定物質α1は最初にパターン状に照射した部分のみに一面照射によって再生される。このため、大量の酸が最初にパターン状に照射した部分のみに生成し、クエンチャーと酸の中和後も酸の潜像が最初にパターン状に照射した部分のみに生成する。その後、加熱工程、及び現像工程を実行し、レジストパターンが形成される。
[具体例7]
以下に、図11〜図13を参照して具体例7を説明する。まず、感放射線性樹脂組成物(I)を調製する。感放射線性樹脂組成物(I)は、[A]成分である重合体として、γ−ブチロラクトン−α−メタクリレート、2−(1−アダマンチル)プロパン−2−イルメタクリレート、3−ヒドロキシアダマンタン−1−イルメタクリレート、1−エチルシクロペンチルメタクリレート共重合体を含み、[C]増感体前駆体としてビス(4−メトキシフェニル)メタノール(DOMeBzH)を含み、[B]酸発生剤(PAG)としてヨードニウム塩(RIX)を含む([A]成分100質量部に対して、[C]増感体前駆体4.6質量部(3質量部以上30質量部以下、好ましくは、4質量部以上10質量部以下)、[B]酸発生剤4.6質量部(3質量部以上30質量部以下、好ましくは4質量部以上10質量部以下)。
次に、感放射線性樹脂組成物(I)をシリコン基板上にスピンコートし、プリベーク処理を行う。感放射線性樹脂組成物(I)の固形分濃度等によってスピンコート条件は変更されるが、ここではスピンコート条件は、1500rpm、30秒、プリベーク100℃、60秒である。また、クエンチャー添加量は、[B]酸発生剤の添加量の概ね1/10の質量が目安であるが、例えば、感放射線性樹脂組成物(I)の全固形分中、0.1質量%以上3.0質量%以下であり、好ましくは、0.3質量%以上1.2質量%以下である。
図11に、本実施形態において行われる化学反応式を示す。レジスト膜にパターン状の電子線を照射する。パターン状の電子線露光は、例えば、ビームドロー(TokyoTechnology社)を備えたJSM−6500F 30keVのEB露光システム(JEOL、ビーム流:12.5 及び28pA、<1E−4Pa)を使用して行われる。
パターン状の電子線を照射したときのレジスト膜内の反応メカニズムは図11の式(a−1)〜(a−5)に従って進行すると考えられる。式(a−1)に示すように、パターン状の電子線の照射により、レジスト膜をイオン化し、主に高分子ラジカルカチオン(RH・)と電子(e)を生成する。高分子ラジカルカチオン(RH+・)は、高分子(RH)と反応し、ラジカルP・とカチオン(RH(H))に分離する。
式(a−2)に示すように、電子(e)は[B]酸発生剤(R)と反応し、中性分子(RI)、ラジカル(R・)、及び、アニオン(X)を生成する。
式(a−3)に示すように、カチオン(RH(H))はアニオン(X)と反応し、高分子(RH)及び酸(HX)が生成される。
また、式(a−4)に示すように、ラジカル(R・)はDOMeBzHと反応すると、ラジカル(DOMeBzH・)が生成される。式(a−5)に示すように、このラジカルは[B]酸発生剤(R)と反応し、電子が移動し、カチオン(DOMeBzH)が生成される。さらに、式(a−6)に示すように、このカチオン(DOMeBzH)からアニオンへの陽子の移動により増感体(DOMeBzO)及び酸(HX)が生成される。
次に、パターン状の電子線を照射した後、フラッドUV(320及び365nm)を室温で照射する。フラッドUVを照射したときのレジスト膜内の反応メカニズムは図11の式(b−1)に従って進行すると考えられる。フラッドUVを照射すると、増感体(DOMeBzO)が励起される。励起状態の増感体(DOMeBzO)から[B]酸発生剤(PAG)への電子の移動により、増感体のラジカルカチオン(DOMeBzO・+)、中性分子(RI)、ラジカル(R・)及びアニオン(X)が生成される。また、フラッドUVを照射すると、パターン状の電子線を照射した際の反応と同様の反応が進行し、連鎖反応により、酸が効率よく生成される。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各種物性値の測定方法を以下に示す。
[重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)]
重合体のMw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により東ソー社のGPCカラム(「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本及び「G4000HXL」1本)を使用し、以下の条件により測定した。
溶離液:テトラヒドロフラン(和光純薬工業社)
流量:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
[低分子量成分含有量]
[A]成分の重合体中の低分子量成分(分子量1,000以下の成分)の含有量(質量%)は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、ジーエルサイエンス社の「Inertsil ODS−25μmカラム」(4.6mmφ×250mm)を使用し、以下の条件により測定した。
溶離液:アクリロニトリル/0.1質量%リン酸水溶液
流量:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
13C−NMR分析]:
核磁気共鳴装置(日本電子社の「JNM−EX400」)を使用し、測定溶媒としてDMSO−dを使用して分析を行った。
<[A]成分の合成>
[A]成分の重合体(A−1)〜(A−10)及び[F]成分の重合体(F−1)は、下記式(M−1)〜(M−9)で表される化合物(以下、「化合物(M−1)〜(M−9)」ともいう)を用いて合成した。
Figure 2017045044
[[A]重合体の合成]
[合成例1]
上記化合物(M−1)43.08g(50モル%)及び上記化合物(M−7)56.92g(50モル%)を200gの2−ブタノンに溶解し、AIBN4.21g(単量体の総量に対し5モル%)を添加して単量体溶液を調製した。100gの2−ブタノンを入れた1,000mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、撹拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合反応液を水冷して30℃以下に冷却した。2,000gのメタノール中に冷却した重合反応液を投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を400gのメタノールで2回洗浄した後、ろ別し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−1)を得た(73g、収率73%)。重合体(A−1)のMwは、7,730、Mw/Mnは1.51、低分子量成分含有量は0.05質量%であった。また、13C−NMR分析の結果、(M−1)及び(M−7)に由来する構造単位の含有割合は、47.3モル%及び52.7モル%であった。
[合成例2〜10]
合成例1において、単量体の種類及び使用量、並びにラジカル重合開始剤としてのAIBNの仕込み量(単量体の総量に対するモル%)を下記表1に記載の通りとした以外は、合成例1と同様に操作して重合体(A−2)〜(A−10)を合成した。得られた重合体の収率(%)、各構造単位の含有割合(モル%)、Mw、Mw/Mn並びに低分子量成分含有量(質量%)を表1に合わせて示す。
Figure 2017045044
[[F]重合体の合成]
[合成例11]
上記化合物(M−2)71.67g(70モル%)及び上記化合物(M−9)28.33g(30モル%)を100gの2−ブタノンに溶解し、ラジカル重合開始剤としてのジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート10.35gを添加して単量体溶液を調製した。100gの2−ブタノンを入れた1,000mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、撹拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合反応液を水冷して30℃以下に冷却した。得られた重合反応液を4L分液漏斗に移液した後、300gのn−ヘキサンでその重合反応液を均一に希釈し、1,200gのメタノールを投入して混合した。次いで、60gの蒸留水を投入し、さらに攪拌して30分静置した。次いで、下層を回収した後、溶媒置換を行って重合体(F−1)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た(収率60%)。重合体(F−1)のMwは7,200、Mw/Mnは2.00であり、低分子量成分含有量は0.07質量%であった。また、13C−NMR分析の結果、(M−2)及び(M−9)に由来する構造単位の含有割合は、71.1モル%及び28.9モル%であった。
<感放射線性樹脂組成物の調製>
感放射線性樹脂組成物の調製に用いた成分を以下に示す。
[[B]成分]
構造式を下記に示す。
B−1:ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
B−2:4−シクロヘキシルスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム4−[2−(ノルボルナンラクトン−2−イルオキシカルボニル)シクロヘキサン−1−イルカルボニルオキシ]−1,1,2−トリフルオロブタン−1−スルホネート
Figure 2017045044
[[C]増感体前駆体]
C−1:ビス(4−メトキシフェニル)メタノール
この増感体前駆体(C−1)は、酸の作用により増感体である4,4’−ジメトキシベンゾフェノン(以下、「増感体(C−1’)」ともいう)に変換される。
なお、増感体前駆体(C−1)及び増感体(C−1’)について、それぞれ0.0001質量%のシクロヘキサン溶液を調製し、これらの測定溶液の吸光度を、シクロヘキサンを参照溶媒として、分光光度計(日本分光社の「V−670」)を用いて測定した。波長320nmにおいて、測定溶液の吸光度から参照溶媒の吸光度を差し引き、増感体前駆体(C−1)及び増感体(C−1’)に起因する吸光度をそれぞれ求めた。その結果、増感体(C−1’)の吸光度は増感体前駆体(C−1)の吸光度の5倍以上であることを確認した。なお、吸光度の測定に用いたシクロヘキサン溶媒の透過率は、波長320nmにおいて95%以上であることを確認した。
[[D]クエンチャー]
構造式を下記に示す。
D−1:4−ヒドロキシ−N−t−アミロキシカルボニルピペリジン
D−2:トリフェニルスルホニウムサリチレート
D−3:トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート
D−4:トリフェニルスルホニウムN−n−ブチルトリフルオロメチルスルホンアミド D−5:4−シクロヘキシルスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム1,2−ジ(シクロヘキシルオキシカルボニル)エタン−1−スルホネート
D−6:4−シクロヘキシルスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム1,2−ジ(ノルボルナンラクトン−2−イルオキシカルボニル)エタン−1−スルホネート
Figure 2017045044
[[E]溶媒]
E−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
E−2:シクロヘキサノン
E−3:γ−ブチロラクトン
[実施例1]
[A]成分としての重合体(A−1)100質量部、[B]成分としての(B−1)11質量部、[C]増感体前駆体としての(C−1)5質量部、[D]クエンチャーとしての(D−2)4.5質量部、[E]溶媒としての(E−1)3,240質量部、(E−2)1,400質量部及び(E−3)30質量部並びに[F]重合体としての(F−1)3質量部を混合し、得られた混合溶液を孔径0.20μmのフィルターでろ過して化学増幅型感放射線性樹脂組成物(J−1)を調製した。
[実施例2〜16及び比較例1〜16]
下記表2に記載した種類及び含有量の各成分を用いた以外は、実施例1と同様にして化学増幅型感放射線性樹脂組成物(J−2)〜(J−16)及び(CJ−1)〜(CJ−16)を調製した。
Figure 2017045044
<レジストパターンの形成>
[実施例1]
東京エレクトロン社の「クリーントラックACT−8」内で、シリコンウエハ上に上記実施例1で調製した化学増幅型感放射線性樹脂組成物(J−1)をスピンコートした後、100℃、60秒の条件でPBを行い、平均膜厚50nmのレジスト膜を形成した。続いて、簡易型の電子線描画装置(日立製作所社の「HL800D」、出力;50KeV、電流密度;5.0アンペア/cm)を用いて電子線を照射し、パターニングを行った。電子線の照射後、以下(a)又は(b)の操作を行った。
(a)上記電子線の照射後、直ぐに上記クリーントラックACT−8内で、110℃、60秒の条件でPEBを行った。次いで、酢酸ブチルを用い23℃で1分間パドル法により現像し、乾燥して、ネガ型レジストパターンを形成した。
(b)東芝製のブラックライト(320nm)を用い、大気中で1mW/hの光源を用いて10分の紫外線を全面露光した。この後、直ぐに上記クリーントラックACT−8内で、110℃、60秒の条件でPEBを行った後、上記クリーントラックACT−8内で、酢酸ブチルを用い、23℃で1分間、パドル法により現像した後、乾燥して、ネガ型レジストパターンを形成した。
[実施例2〜15及び比較例1〜16]
表3に記載した感放射線性樹脂組成物、及び現像液を用いた以外は、実施例1と同様に操作し、各レジストパターンを形成した。このようにして形成されたネガ型レジストパターンについて、下記に示す感度、ナノエッジラフネス及び膜減り量についての各評価を行った。その評価結果を表3に示す。
[比較例1’]
感放射線性樹脂組成物(J−1)を用い、現像液として、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38質量%水溶液を用いた以外は、実施例1と同様に操作し、ポジ型レジストパターンを形成した。比較例1’のレジストパターンについては、感度及びナノエッジラフネスについての各評価を行った。その評価結果を表3に合わせて示す。但し、比較例1’については、ポジ現像であるため、膜減り量の評価は行わなかった。
[感度(μC/cm)]
線幅150nmのライン部と、隣り合うライン部によって形成される間隔が150nmのスペース部とからなるライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度(μC/cm)とした。感度が30(μC/cm)未満である場合は「AA(極めて良好)」と、感度が30(μC/cm)以上50(μC/cm)以下である場合は「A(良好)」と、それを超える場合は「B(不良)」と判断した。
[ナノエッジラフネス(nm)]
上記ライン・アンド・スペースパターン(1L1S)のラインパターンを、高分解能FEB測長装置(日立製作所社の「S−9220」)を用いて観察した。基板内の任意の20点を観察し、観察された形状について、図14及び図15に示すように、シリコンウエハ1上に形成したレジスト膜のライン部2の横側面2aに沿って生じた凹凸の最も著しい箇所における線幅と、設計線幅150nmとの差「ΔCD」を測定し、このΔCDの平均値をナノエッジラフネス(nm)とした。ナノエッジラフネス(nm)が15.0(nm)以下である場合は「AA(極めて良好)」と、15.0(nm)を超え16.5(nm)以下である場合は「A(良好)」と、16.5(nm)を超える場合は「B(不良)」と判断した。なお、図14及び図15で示す凹凸は、実際より誇張して記載している。
[膜減り量]
東京エレクトロン社の「クリーントラックACT−8」内で、シリコンウエハ上に上記実施例1で調製した化学増幅型感放射線性樹脂組成物(J−1)をスピンコートした後、100℃、60秒の条件でPBを行い、平均厚み50nmのレジスト膜を形成した。次に、簡易型の電子線描画装置(日立製作所社の「HL800D」、出力;50KeV、電流密度;5.0アンペア/cm)を用いて電子線を照射し、上記の150nmのライン・アンド・スペースパターンを形成する最適露光量でウエハー中心の2cm×2cmを露光した。露光後、PEBを110℃で60秒間行った。その後、下記表3に示す現像液により23℃で30秒間現像した後、乾燥を行った。一連のプロセス完了後の残存被膜の膜厚を測定し、初期膜厚から残存膜厚を引いた値を膜減り量(単位:nm)とした。なお、膜厚測定には光干渉式膜厚測定装置(大日本スクリーン製造社の「ラムダエース」)を用いた。得られた膜減り量の値を表3に合わせて示す。測定された膜減り量が、20nm未満の場合を「A(良好)」、20nm以上の場合を「B(不良)」と評価した。
Figure 2017045044
表3の結果から、実施例の感放射線性樹脂組成物によれば、高い感度で、ナノエッジラフネスが小さく、高解像度のレジストパターンを形成できることが示された。また、感放射線性樹脂組成物における[A]重合体のMwが所定範囲の場合、膜減り量を小さくできることも示された。
本発明のレジストパターン形成方法及び化学増幅型感放射線性樹脂組成物は、基板上にレジストパターンを形成する露光工程に好適に用いられる。本発明のレジストパターン形成方法及び化学増幅型感放射線性樹脂組成物によれば、レジストの感度を向上させることができる。
1 基材
2 レジストパターン
2a レジストパターンの横側面
11 基板
12 レジスト膜
121 露光部位(A)
122 露光部位(B)
21 露光光源
22 露光光源

Claims (14)

  1. 酸の作用により現像液への溶解性が変化する第1成分、第1波長の放射線を含む第1露光光の作用により酸を発生する第2成分、及び上記第1露光光の作用により増感体に変化する増感体前駆体を含有する化学増幅型感放射線性樹脂組成物を用いて、基板にレジスト膜を形成する工程と、
    上記第1露光光で上記レジスト膜を露光する第1露光工程と、
    上記第1波長よりも長い第2波長の放射線を含む第2露光光で、上記第1露光光で露光されたレジスト膜を露光する第2露光工程と、
    有機溶媒を主成分とする現像液で、上記第2露光光で露光されたレジスト膜を現像する工程と
    を備え、
    上記増感体前駆体の上記第2波長における吸光度を(IPP)、上記増感体の上記第2波長における吸光度を(I)としたときの(IPP)/(I)の値が0.2以下であるレジストパターン形成方法。
  2. 上記第1露光光が実質的に第2波長の放射線を含まない請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
  3. 上記第1露光工程が上記レジスト膜を一面に露光する工程であり、上記第2露光工程が上記第1露光光で露光されたレジスト膜をパターン状に露光する工程である請求項1又は請求項2に記載のレジストパターン形成方法。
  4. 上記第1露光工程が上記レジスト膜をパターン状に露光する工程であり、上記第2露光工程が上記第1露光光で露光されたレジスト膜を一面に露光する工程である請求項1又は請求項2に記載のレジストパターン形成方法。
  5. 上記第1成分が、酸の作用により酸解離性基が解離することによって極性基を生じる基を含む第1重合体である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のレジストパターン形成方法。
  6. 上記第2成分及び上記増感体前駆体が上記第1成分とは異なる成分である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のレジストパターン形成方法。
  7. 上記化学増幅型感放射線性樹脂組成物の全固形分に対する上記第2成分の含有量が、10質量%以上30質量%以下である請求項6に記載のレジストパターン形成方法。
  8. 上記第1重合体が、上記第2成分及び上記増感体前駆体の少なくとも一方を含む請求項5に記載のレジストパターン形成方法。
  9. 上記現像工程で用いられる現像液が、上記第1重合体において生じた極性基とイオン結合、水素結合、共有結合、配位結合、双極子相互作用又はこれらの組み合わせを形成する第1化合物をさらに含有する請求項5から請求項8のいずれか1項に記載のレジストパターン形成方法。
  10. 上記第1化合物が、含窒素化合物、オニウム塩、オニウム塩を有する高分子、塩基性ポリマー、リン系化合物又はこれらの組み合わせである請求項9に記載のレジストパターン形成方法。
  11. 上記第1露光光が、極端紫外線又は電子線である請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のレジストパターン形成方法。
  12. 上記レジスト膜形成工程の前に、
    上記基板の上記レジスト膜を形成する面側に有機下層膜を形成する工程をさらに備える請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のレジストパターン形成方法。
  13. 上記有機下層膜形成工程と上記レジスト膜形成工程との間に、
    上記有機下層膜の上記レジスト膜を形成する面側にシリコン含有膜を形成する工程をさらに備える請求項12に記載のレジストパターン形成方法。
  14. 請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のレジストパターン形成方法に用いられる化学増幅型感放射線性樹脂組成物であって、
    酸の作用により現像液への溶解性が変化する第1成分、第1波長の放射線を含む第1露光光の作用により酸を発生する第2成分、並びに上記第1露光光の作用により増感体に変化する増感体前駆体を含有することを特徴とする化学増幅型感放射線性樹脂組成物。

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