JP2017044651A - 電気化学インピーダンス測定装置、電気化学インピーダンス解析支援装置、及びそのためのプログラム - Google Patents

電気化学インピーダンス測定装置、電気化学インピーダンス解析支援装置、及びそのためのプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】利用者の作業負担が少なく、また利用者の習熟度などによって結果や作業時間に大きな差の出にくいようにする電気化学インピーダンスの測定・解析を可能とする。
【解決手段】測定対象から得られた、複素インピーダンス測定結果について、周波数に対する当該結果の虚部のグラフ(図中、左端付近の(a))に加えて、虚部の絶対値を周波数に対して両対数表示したグラフ(図中、左端付近の(b))の各点の傾きを対数表示された周波数に対してプロットしたグラフを表示する。前者のグラフのピークの前後の周波数で後者のグラフの縦軸の値が正負対称になっていないときには、前者のグラフ中のピーク中に複数のピークが隠れていることがわかるので、利用者は複数ピークが存在することを、測定対象の化学反応系に対応する等価回路の推定に利用する。
【選択図】図5

Description

本発明は電気化学インピーダンス測定装置に関し、特に測定されたインピーダンスの解析に当たって利用者に高度の経験・知識や多くの試行錯誤・計算等を要求しない電気化学インピーダンス測定装置に関する。本発明はまたそのような解析を行うに当たって利用者に支援を提供するための装置及びそのためのプログラムに関する。
例えば電池材料の電気化学特性を評価する一般的な手法として、電気化学インピーダンス測定が知られている。電気化学インピーダンス測定によって直接的に得られたデータから測定対象の等価回路の構成及び等価回路中の素子のパラメーターを解析する。これは、電池等の内部で生起している化学反応機構等の解析に有用な手法である。
しかし、精度が有限である有限個の測定データだけからでは完全に自動的に測定対象の等価回路を求めるのは一般には容易ではない。更には、そもそも測定データから等価回路を求める目的は、燃料電池の解析を例にとれば、電池内部で起こる様々な反応により複素インピーダンスプロットが複雑な形状になっているところ、それから個々の反応の寄与を、それぞれ等価回路中の回路要素として分離することで、個々の反応機構の解析を行うことである。このような目的を無視して良いのであれば、自動的な計算によって要素の組み合わせを複雑化して等価回路を組み上げていくことで、等価回路の複素インピーダンスプロットをいくらでも実測データの複素インピーダンスプロットに近づけることは、技術的には不可能ではない。しかし、これでは電気化学インピーダンス測定結果から等価回路を求める意味がなくなってしまう。従って、従来の電気化学インピーダンス測定装置で使用されていた電気化学インピーダンス解析プログラムでは、測定されたインピーダンスデータを利用者が観察して、測定対象で起こっている反応等を考えながら推定した等価回路及び当該等価回路中の各素子要素の初期パラメーターを利用者の経験に基づいて入力または大域最適化法によって概算した後に、最小自乗法を用いてこれらパラメーターの最適化を行っていた。この種の先行技術については、例えば非特許文献1、2を参照されたい。
従来の電気化学測定装置において、測定対象から直接測定された結果のデータを利用者に提示する画面の例を図1に示す。図1の画面では、その左半分に、測定された複素インピーダンステータを複素平面(横軸が実部、縦軸が虚部)上にプロットされている。このプロットにおいて、測定された個々のデータは小さな丸印で示す。また、丸印間を補完する直線或いは曲線も示されている。図1の画面の右半分の上部及び下部のグラフはそれぞれ複素インピーダンスの実部及び虚部を測定周波数に対してプロットしたものである。このように、従来の解析プログラムでは、インピーダンス測定値を3つのグラフに表示し、これを見た利用者が特に画面の左半分の複素インピーダンスプロットから、その形状に基くなどして測定対象の等価回路を推定し、またこの等価回路に含まれる各要素の可変パラメーターに初期値(初期パラメーター)を設定していた。
図2は上述のようにして利用者が推定した等価回路及びその要素の初期パラメーターを等価回路設定画面に入力した直後の状態を示す。図中、横長長方形の太枠で囲まれ、その右に「等価回路」と書かれた領域中に、この推定された等価回路が、電気化学測定装置に含まれた入力手段、例えば当業者に周知のグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を使用して入力されている。また、縦長長方形の太枠で囲まれ、その右に「初期値」として示された領域中に、これも周知の入力手段を使用して初期パラメーターが入力されている。なお、固体酸化物燃料電池等の燃料電池の電気化学インピーダンス評価には、等価回路を抵抗単独の要素並びに抵抗とコンスタントフェーズエレメント(constant phase element、CPE;CPEとはインピーダンスZがZ=1/{Y/(jω)}で表される仮想的な素子、n=1の場合にはキャパシタンスに、またn=0では抵抗になる)との並列回路である要素の直列回路で表すことによって、単純な構成の等価回路で測定結果を非常に良好に適合させることができる場合が多いことが知られており、従ってこの種の等価回路を使用することが多い。図2上部に入力されている等価回路中で「〉〉」という形状で図示されているものがCPEを表している。その他,コイル(インピーダンスはZ=iωLで表される)、コンデンサー(インピーダンスはZ=1/(iωC)で表される)、ワールブルグインピーダンス(このインピーダンスは条件によりZ=R/((iωT)0.5、Z=(R/(iω)0.5)×tanh(T×(iω)0.5)、Z=R/((iωT)0.5、Z=(R/(iω)0.5)×coth(T×(iω)0.5)で表される)、ゲリッシャーインピーダンス(このインピーダンスは近似的にZ=R/(T+iω)0.5で表される)を組み合わせて解析される。上記インピーダンス式の詳細については非特許文献3を参照されたい。
このようにして入力された等価回路及びその中に含まれる各要素の可変パラメーターの初期値である初期パラメーターを利用して、解析プログラムが最小自乗法を適用して可変パラメーターの最適値、つまりこの等価回路及び可変パラメーターの値から計算される各周波数での複素インピーダンスが測定された複素インピーダンスプロットに最小自乗法の意味で最適フィッティングするような可変パラメーターの値の組を計算する。利用者が推定した等価回路が最適なものであれば、上述の計算された可変パラメーターの組を有する等価回路から計算された複素インピーダンスプロットは、後述する図9に示すように、実測された複素インピーダンスプロットと非常によく一致する。しかし、推定した等価回路が不適切なものであった場合には、非線形最小自乗法は初期パラメーターが最適値から離れすぎていると発散することから上記計算が発散して結果が得られなかったり、あるいは収束してもその結果の複素インピーダンスプロットは実測されたものとかけ離れたものとなる。また、初期パラメーターが最適な値と大きく異なっていた場合でも、上述の理由で計算が発散したり、収束してもその収束値は一見もっともらしいが実際には不適切なものである等の問題が起こることがある。
従来は、測定されたインピーダンスの解析に当たって、抵抗、コンデンサー、CPE、コイル、ワールブルグインピーダンス及びゲリッシャーインピーダンスを素子として扱い、これらを任意に直並列接続して等価回路を設定できるようになっていた。このように、従来技術においては設定できる等価回路の自由度が非常に大きいため、最適化を行った結果を適用した等価回路全体の複素インピーダンスを計算して利用者に提示することはできても、等価回路中の意味のある部分的な構造を切り出すための統一的な手法を設定することは困難であり、従って等価回路について最適化を行った結果が当該等価回路中の部分的な構造について妥当であるかどうかを検証することは困難であった。
等価回路及びその初期パラメーターを利用者が推定する際には、通常は利用者が経験や知識から妥当と考えられるものを与えたり、あるいは測定されたデータの一部から別途簡単な理論計算を行って、その結果から推定したり経験・知識からの推定結果の妥当性をある程度検証していた。しかし、利用者にこのような判断や作業を要求することは、利用者に過大な負担を強いるだけではなく、利用者の経験や知識により測定装置から最終的に得られる結果の妥当性に大きな差が出たり、あるいは同じ結果が最終的に得られるとしても、利用者の習熟度の低い場合には過大な試行錯誤を要することがあった。
本発明の課題は、上述した従来技術の問題点を解消し、電気化学インピーダンスの測定・解析に当たって、利用者の作業負担が少なく、また利用者の習熟度などによって結果や作業時間に大きな差の出にくいようにすることにある。
本発明の一側面によれば、化学反応系の複素インピーダンスを測定する測定部と、少なくとも前記測定部からの前記複素インピーダンスの複素インピーダンスプロット及び前記複素インピーダンスの虚部の絶対値を周波数に対して両対数表示した第1のグラフの各点の傾きを対数表示された周波数に対してプロットしたグラフを利用者に提示する提示部と、前記提示を受けた利用者が推定した等価回路のパターン及びその初期パラメーターを利用者から受け取る入力部と、前記利用者から受け取った等価回路のパターン及び前記初期パラメーターから、前記等価回路の複素インピーダンスが前記受け取った複素インピーダンスに適合するように前記等価回路のパラメーターを最適化する最適化部とを設けた電気化学インピーダンス測定装置が与えられる、
ここで、前記等価回路はそれぞれ単一の素子または互いに並列接続された複数の素子からなる回路要素を直接接続したものであってよい。
また、前記回路要素を抵抗、コンデンサー、CPE、コイル、抵抗とコンデンサーの並列接続要素、抵抗とCPEの並列接続要素,抵抗とコイルの並列接続要素、ワールブルグインピーダンス及びゲリッシャーインピーダンスからなる群から選択するように利用者に提示してよい。
また、前記等価回路中の前記回路要素の少なくとも一の示す複素インピーダンスを前記最適化されたパラメーターに基づいて計算した結果を前記提示部に提示してよい。
また、前記最適化された前記等価回路のパラメーターを、前記回路要素毎にまとめて、前記回路要素の緩和時間の順に並べ替えて前記提示部に提示してよい。
また、前記入力部による前記初期パラメーターの受け取りは、前記第1のグラフ及び前記複素インピーダンスの虚部を周波数に対して表示した第2のグラフ上の点が選択されたことに応答して前記初期パラメーターを求めることであってよい。
本発明の他の側面によれば、化学反応系の複素インピーダンスを測定する測定装置から複素インピーダンスを受け取る測定データ受け取り部と、少なくとも前記測定データ受け取り部からの前記複素インピーダンスの複素インピーダンスプロット及び前記複素インピーダンスの虚部の絶対値を周波数に対して両対数表示したグラフの各点の傾きを対数表示された周波数に対してプロットした第1のグラフを利用者に提示する提示部と、利用者が推定した等価回路のパターン及びその初期パラメーターを利用者から受け取る入力部と、前記利用者から受け取った等価回路のパターン及び前記初期パラメーターから、前記等価回路の複素インピーダンスが前記受け取った複素インピーダンスに適合するように前記等価回路のパラメーターを最適化する最適化部とを設けた、電気化学インピーダンス解析支援装置が与えられる、
ここで、前記等価回路はそれぞれ単一の素子または互いに並列接続された複数の素子からなる回路要素を直接接続したものであってよい。
また、前記回路要素を抵抗、コンデンサー、CPE、コイル、抵抗とコンデンサーの並列接続要素、抵抗とCPEの並列接続要素,抵抗とコイルの並列接続要素、ワールブルグインピーダンス及びゲリッシャーインピーダンスからなる群から選択するように利用者に提示してよい。
また、前記等価回路中の前記回路要素の少なくとも一の示す複素インピーダンスを前記最適化されたパラメーターに基づいて計算した結果を前記提示部に提示してよい。
また、前記最適化された前記等価回路のパラメーターを、前記回路要素毎にまとめて、前記回路要素の緩和時間の順に並べ替えて前記提示部に提示してよい。
また、前記入力部による前記初期パラメーターの受け取りは、前記第1のグラフ及び前記複素インピーダンスの虚部を周波数に対して表示した第2のグラフ上の点が選択されたことに応答して前記初期パラメーターを求めることであってよい。
本発明の更に他の側面によれば、化学反応系から測定された複素インピーダンスを受け取り、少なくとも前記受け取った複素インピーダンスの複素インピーダンスプロット及び前記複素インピーダンスの虚部の絶対値を周波数に対して両対数表示したグラフの各点の傾きを対数表示された周波数に対してプロットした第1のグラフを利用者に提示し、利用者が推定した等価回路のパターン及びその初期パラメーターを利用者から受け取り、前記利用者から受け取った等価回路のパターン及び前記初期パラメーターから、前記等価回路の複素インピーダンスが前記受け取った複素インピーダンスに適合するように前記等価回路のパラメーターを最適化する電気化学インピーダンス解析プログラムが与えられる。
ここで、前記等価回路はそれぞれ単一の素子または互いに並列接続された複数の素子からなる回路要素を直接接続したものであってよい。
また、前記回路要素を抵抗、コンデンサー、CPE、コイル、抵抗とコンデンサーの並列接続要素、抵抗とCPEの並列接続要素,抵抗とコイルの並列接続要素、ワールブルグインピーダンス及びゲリッシャーインピーダンスからなる群から選択するように利用者に提示してよい。
また、前記等価回路中の前記回路要素の少なくとも一の示す複素インピーダンスを前記最適化されたパラメーターに基づいて計算した結果を提示してよい。
また、前記最適化された前記等価回路のパラメーターを、前記回路要素毎にまとめて、前記回路要素の緩和時間の順に並べ替えて提示してよい。
また、前記初期パラメーターの受け取りは、前記第1のグラフ及び前記複素インピーダンスの虚部を周波数に対して表示した第2のグラフ上の点が選択されたことに応答して前記初期パラメーターを求めることであってよい。
本発明によれば、測定対象から得られた化学インピーダンス測定データの解析を支援するための情報が利用者に提示されるので、利用者が関連する知識や経験をあまり有していない場合であっても、提示される情報に支援されて、等価回路の決定やその初期値を大きな間違いなしで素早く遂行することができるようになる。
従来技術に係る電気化学インピーダンス測定装置の電気化学インピーダンス解析プログラムによる測定値の表示例を示す図。 従来技術に係る電気化学インピーダンス測定装置の電気化学インピーダンス解析プログラムに対して測定対象の等価回路を設定するために使用する等価回路設定画面の表示例を示す図。 本発明の一実施形態の電気化学インピーダンス測定装置の概略構成を示す図。 本発明の一実施例の電気化学インピーダンス測定装置上で動作する電気化学インピーダンス解析プログラムの概略フローチャートの前半部を示す図。 本発明の一実施例の電気化学インピーダンス測定装置上で動作する電気化学インピーダンス解析プログラムの概略フローチャートの後半部を示す図。 本発明の一実施例において、等価回路の推定を支援するためのグラフを利用者に提示する表示画面を示す図。 本発明の一実施例において、等価回路の初期パラメーターを設定するための入力画面を示す図。 本発明の一実施例において、等価回路の初期パラメーターを設定するための入力画面を示す図。 本発明の一実施例において、適切なモデルで計算された場合の残差曲線を表示した画面の例を示す図。 本発明の一実施例において、不適切なモデルで計算された場合の残差曲線を表示した画面の例を示す図。 従来技術に係る電気化学インピーダンス測定装置における複素インピーダンスの実測値と最適化されたパラメーターから計算された複素インピーダンスとを比較して表示する画面の例を示す図。 本発明の一実施例において、最適化されたパラメーターに基づいて測定対象全体の解析曲線だけではなく、解析された部分インピーダンス曲線も表示する画面を示す図。全体の解析曲線は2つの部分インピーダンス曲線のピークの和であることが示されている。 従来技術に係るパラメーター最適化のために行った最小自乗計算結果を表示する画面の例を示す図。 本発明の一実施例において、パラメーター最適化のための最小自乗計算結果を緩和時間とともに、また緩和時間の大きさの順に並べ替えて表示した画面の例を示す図。
図3に本発明の一形態による電気化学インピーダンス測定装置10の概略構成を示す。また図4A及び図4Bには、この電気化学インピーダンス測定装置10上で動作して、以下で説明する解析を実現する電気化学解析プログラムの概略動作を示す。本発明の一形態では、測定部102によって測定対象(化学反応系20)から得た(ステップS020)測定結果を、電気化学インピーダンス測定装置10内の情報処理装置内部に設けられている提示部1046を介して利用者に提示する際に、利用者が等価回路を推定する際に役に立つグラフも追加的に提示する(S040)。更に、提示されたグラフ上の点や座標値を利用者がマウスに代表されるポインティングデバイス等の何らかの入力装置30を用いて情報処理装置104内の入力部1042に対して指定し、当該指定された値から初期パラメーターを推定できる機能(ステップS060)を付加してもよい。これにより、測定された化学インピーダンスの解析が大幅に容易になる。
利用者が等価回路を推定する際に役に立つグラフについてより具体的に説明する。抵抗とCPEとの並列回路要素の直接接続形態の回路を考えた場合、この回路全体の複素インピーダンスプロットは、良く知られているように、理想的には、大きさは様々だが、並列回路要素の各々に対応する半円が実軸上に並んだ状態に類似した形状となる。このような場合には、等価回路中の並列回路要素の個数は半円の個数と同じであるため、等価回路のパターンを求めることは容易である。ところが、実際には各種の要因によって、複素インピーダンスプロットが半円が並んでいるような理想的な形状からずれることがしばしばある。さらに問題なのは、等価回路中の2つの並列回路要素に対応するそれぞれの化学反応の緩和時間が近い場合には、これらに対応する半円が個別の半円とはならず、一つに融合して半円に類似した形状となってしまう。融合結果のこのような変形形状を一つの半円と見誤ると、並列回路要素の個数が不足した間違った等価回路を化学インピーダンス測定装置に与えてしまうことになってしまう。
本発明の一実施形態では、上述のように、複素インピーダンスプロット上で一見すると単一の半円のように見える図形が等価回路上で実際に単一の並列回路要素に対応するのか、それとも実際には上述したように緩和時間が近い複数の化学反応を表す複数の並列回路要素に対応するかを判別するために利用できる情報を、提示部1046により、表示装置40を介してグラフの形で利用者に提示する(ステップS040)。利用者に提示するグラフとは具体的には、(a)複素インピーダンスの虚部を周波数の対数に対してプロットしたグラフA、及び(b)複素インピーダンスの虚部の絶対値の対数を周波数の対数で微分した値(d(log|Zimg|)/d(log f))を周波数の対数に対してプロットしたグラフB、である。グラフBは、図形的に表現すれば、複素インピーダンスの虚部の絶対値を周波数に対して両対数表示でプロットしたカーブの傾きを示している。なお、この両対数表示されたカーブ自体も利用者に対して提示しても良い。また、グラフAは実際には従来でも表示されていたところの複素インピーダンスの虚部を周波数に対してプロットしたグラフ(図1の右下)と同じものであるので、図1に示したような従来の表示に存在していたグラフを基本的にそのまま使用する場合には、グラフAの表示を別途行う必要はないことに注意されたい。
これらのグラフの使い方を以下で説明する。先ず、グラフAの形状を観察する。測定対象中で起こっている各化学反応の緩和時間の間の差が充分な大きさであれば、このグラフ中のピークの数が等価回路中の並列回路要素の個数であるとして良い。しかし、この差が非常に小さい場合にはグラフA中の一つのピークに複数の化学反応(つまり、等価回路中の並列回路要素)が対応することがある。そこで、グラフBの形状を見ることによってこれを判断する。具体的には、グラフAのデータの絶対値を両対数表示したカーブを考えたとき、今見ているピークから周波数がある程度離れるとこのカーブの傾斜がほぼ一定となるが、この傾斜の絶対値がピークの周波数の上下で同じかどうかを確認する。グラフBは、この確認を行いやすくするために、上記カーブ(関数)を周波数の対数で微分したものである(数式表現すれば、d(log|Zimg|)/d(log f)の値をプロットしたもの)。グラフBを見ると、はたしてピークから遠ざかって元のカーブの傾斜が一定になる位置での傾斜の大きさ(グラフBで言えば、グラフがほぼ水平になっている部分の縦軸の値)が正負対称になっていないことがわかる。これにより、このピーク付近に複数のピークが重なっていると推定できる。従って、等価回路の推定及びその入力に当たっては、このピークに対応する並列回路要素を複数個(例えば2個)設けるべきであると判定する。
また、初期パラメーターも、測定対象から得られた複素インピーダンスに基づくグラフ上の特徴となる点を利用者がポインティングデバイスなどを使って指定し、当該指定された点の値やそれに対応する周波数を元に計算で設定することが可能となる(ステップS060)。これは以下の実施例中で説明する。
このようにして入力装置30及び入力部1042を介して利用者と対話的な処理を進めることで提示部1046で推定した等価回路及び初期パラメーターに基づいて、情報処理装置104内部に設けられている最適化部1044において、等価回路の複素インピーダンスが測定対象から実測された複素インピーダンスデータと最小自乗法の意味で最も近くなるように、最小自乗計算の手法を利用してフィッティングを行う(ステップS120)。このフィッティングの過程自体は従来技術と同じであって当業者には周知の事項であるため、これ以上の説明は省略する。
このようにして得られた初期パラメーターを推定した等価回路パターンに適用して、その複素インピーダンスを計算し、提示部1046を介して利用者に提示する。なお、従来技術においては、このようにして計算した等価回路全体の複素インピーダンスを、測定対象からの実測データ表示と重ねたグラフを利用者に提示することで、両者のかい離の程度を示すだけであった。これでは等価回路全体の挙動が測定対象を良好に近似しているかどうかについてのある程度の直観的な判定は可能となるが、全体として良好な近似になっているからと言って、その個別の回路要素が測定対象における個別の反応を正しく近似しているという保証はない。等価回路中の回路要素は測定対象中で起こる反応にそれぞれ対応するが、そこで起こる反応の多くのものはどのような反応であるかをある程度推定できるため、その種の反応であれば、それに対応する回路要素のパラメーターもある程度推定できる。本発明の一実施形態では、パラメーターが最適化された個々の回路要素についてもその複素インピーダンスなどの特性を利用者に提示することで、個々の回路要素についても妥当な近似になっているか否かを利用者が判定するための支援を行う(ステップS140)。
これを実現するため、本発明の一実施形態では等価回路の回路要素として、抵抗、コンデンサー、CPE、コイル、抵抗とコンデンサーとを並列接続したデバイ緩和型素子、抵抗とCPEとを並列接続した非デバイ緩和型素子、ワールブルグインピーダンス、ゲリッシャーインピーダンスから選択したものを使用できるものとし、等価回路はこのような要素を直列接続した形態を取るものとしている。等価回路の形態をこのように限定することによって、パラメーターの最適化後において、例えば提示部1046がこれら要素の部分インピーダンスを分離して計算できる。従って、このような実施形態では、全体のフィッティング曲線(周波数に対する複素インピーダンスをプロットしたカーブ)に加えて部分的な要素毎の同様な曲線を与えることができ、上述した利用者への支援が提供される。
その他、提示部1046において、実測値と推定した等価回路中のパラメーターに計算された値を設定した回路の複素インピーダンスの計算値(モデル値)との差分曲線を計算して利用者に提示することができる(ステップS080)。推定した等価回路で表現されるモデルが不適切な場合,差分曲線に系統的に変化(llogf−差分曲線図では波打った曲線,差分曲線−差分曲線図では渦を巻いたような形状)が現れる。利用者はこれらの差分曲線を確認することで、モデル式の妥当性を評価し、必要に応じて最初に推定した等価回路を修正することができる(ステップS100)。系統的な変化の例は実施例で示す。
また、上述した最小自乗計算の結果についての従来技術における提示は、等価回路中の抵抗、CPE等の各素子の最適化された値を、推定した等価回路パターン上の回路要素の配置の順番などの所定の固定された順番で単純に並べるだけであった。ところが、電気化学反応の解析では、等価回路中の回路要素の応答周波数(化学反応の緩和時間)順序が問題となることが多いので、このような従来の表示のやり方では利用者が電気化学測定装置からの解析結果を評価する際に緩和時間を自分で計算し、その結果に基づいて並べ替えを行う必要があるなど、手作業が多くなり、不便である。そこで、本発明の一実施形態では、提示部1046が等価回路中の最適化されたパラメーターを提示する際に、回路要素の緩和時間も表示するとともに、表示順を回路要素の緩和時間の大きさの順とする(ステップS140)。
本発明の一実施形態では上述のようにして測定対象からの測定データの解析、つまり等価回路の推定、そのパラメーターの最適化、及びその結果の評価を行う。結果が妥当なものであると利用者が判断すれば、これで処理が終了する。もし、結果が妥当ではない、あるいは妥当でない虞がある、と利用者が判断すれば、回路及び初期パラメーターの推定から上記サイクルを繰り返す(S160)。
なお、上記説明は測定対象の複素インピーダンス測定とその後の解析とを同一の化学インピーダンス測定装置10によって行うとして説明したが、かならずしもこのような測定・解析系の構成を取る必要はない。例えば化学インピーダンス測定装置は測定対象の化学インピーダンス測定だけを行い、その結果を情報処理装置などの別の装置が取り込んでそれ以降の解析を行うという測定・解析系構成を取っても良い。また、化学インピーダンス測定とその後の解析とを同じ場所で一連の処理として行う必要はなく、測定後に時間をおいて解析を行ったり、測定結果を通信回線などを介して別の場所にある情報処理装置へ送ってそこで解析を行うことももちろん可能である。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。なお、当然のことであるが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
以下で説明する実施例では、従来から使用されている化学インピーダンス測定装置により測定対象から得られた所定の周波数領域内の多数の周波数における複素インピーダンスデータを、表示装置及び入力装置を有し、電気化学インピーダンス解析プログラム(以下、単に解析プログラムと称する)が動作する情報処理装置に取り込み、その上で解析を行う。
図5は、測定対象の複素インピーダンスデータに基づいて解析プログラムが表示装置上に表示する画面の例を示す。測定対象からの複素インピーダンスデータから、解析プログラムによって妥当な等価回路及び等価回路中の各種のパラメーター(ここでは等価回路を構成する各回路要素中の抵抗及びCPEの値であるが、もちろんこれら以外でもよい)を求める。このため、利用者は先ずこの画面中に表示されたグラフを参照して、等価回路のパターンを推定し、また推定した等価回路パターン中の各素子の初期パラメーターを設定する。具体的に説明すれば、対数周波数を横軸,複素インピーダンスの虚部を縦軸としたグラフA(図5中の太枠で囲まれた(a)),及び横軸はグラフAと同じであり、グラフAに示されているところの複素インピーダンスの虚部の絶対値を取った後にその対数を取った値の数値微分を取った値(d(log|Zimg|)/d(log f))を縦軸とするグラフB(図5中の太枠で囲まれた(b))を利用者に提示することで、利用者による等価回路の推定を支援する。
この推定に当たって、利用者は先ずグラフAを見て、下向きのピークが一つあることを確認する。更に、グラフAに示されているところの複素インピーダンスの虚部の絶対値を取った後にその対数を取った値をプロットして得られるカーブの傾きがピークから離れた対数周波数において一定値になる部分を、グラフBのカーブを見て確認する。すると,グラフBから、ピークの左右で傾き値が異なっていることがわかる。従って、グラフAでは一つのピークと認識されるが,利用者がグラフBを参照することにより、この一見単一であるピークは実際には2つ以上のピークから構成されることが認識できる。グラフAにおいて複数のピークが確認されないことと合わせて考えると、グラフA中に示されたピークは2つのピークが重なっていると推定できる。従って、この場合にはこの一見すると単一のピークに対応して2つの並列回路要素を等価回路中に挿入すればよいことが、表示画面上に提示されるグラフを見ることによって判断可能になるので、従来の装置を使用する場合に比べて高い熟練なしで正しい等価回路の推定を行うことができる。
このようにして等価回路のパターンを推定した上で、今度は等価回路中の各回路要素中のパラメーターの初期値である初期パラメーターを推定する必要がある。ここで、等価回路に用いる回路要素のタイプを、抵抗、コンデンサー、CPE、コイル、抵抗とコンデンサーの並列接続要素、抵抗とCPEの並列接続要素、抵抗とコイルの並列接続要素,ワールブルグインピーダンス、及びゲリッシャーインピーダンスに限定し、また等価回路全体はこれらの回路要素を直列接続したものとしている。なお、このように等価回路を限定してもインピーダンススペクトルを再現できることについては、非特許文献4に示されている。これにより、等価回路の初期パラメーター推定は、グラフBにおいて一定になっている部分の値,概算でのピークが現れている周波数値及びその周波数値での虚数軸における絶対値、及び高周波域(等価回路中の全てのキャパシタンス成分のインピーダンスが0とみなせる程に充分に周波数の高い領域)での抵抗値が与えられれば、非線形最小自乗法により計算できる。
ここで「概算のピーク」と呼んでいるのは、以下の理由によるものである。先に示したCPEのインピーダンスの式における指数項nは図5の(b)で示されたグラフ(グラフB)中のカーブで水平(一定値)部分の値に相当する。また、ピークは図5の(a)で示されたグラフ(グラフA)中のカーブである。しかし、このカーブが持っている真のピーク数は未知であって、真のピーク形状、位置は不明である。よって、ここでは「概算のピーク」と呼んでいる。なお、値の読み取りのための単なる操作の点からは、「概算のピーク」は図の(a)に示すカーブの下向きピークを意味する。
具体的な操作としては、グラフB中のカーブ上で一定になっている部分(カーブがほぼ水平になっている領域)の値の取り込みを行うために、グラフB上の目標とする点を選択した上で、画面右端で太枠で囲んである領域中の初期値推定ボタン(a)をクリックすることにより値を取り込む。この操作を図6に示す。また、ピークが現れている周波数値及びその周波数値における複素インピーダンスの虚部の絶対値の取り込みについての同様な操作を図7に示す。また、高周波域での抵抗値は、図5中で太枠で囲まれて(d)と指示されているところの、測定された複素インピーダンスの実部を周波数の対数に対してプロットした(log f−Zreal)グラフDの右端値から推定できる。限定的にはlog f−Zreal図からは抵抗のみの成分読み取りになる。しかし、複素インピーダンスではlog f−Zimageとlog f−Zrealとの間にはKramers-Kronigの関係が成立する。これにより、log f−Zimageプロットで初期モデルを構築した時,適切なモデルであれば自動的にlog f−Zrealプロットの形状も合うことになる(抵抗のみの成分、縦に平衡移動する)。このようにして、初期パラメーターの推定に必要とされるデータがそろうと、解析プログラムがこれらのデータに基づいて所要の初期パラメーターを計算して自動的に設定する。なお、非特許文献5には残差曲線の例が説明されているが、この文献ではフィッティングの良さを表示しているにとどまり、系統誤差についての記載はない。
このように、初期パラメーターについてもできるだけ多くのものを画面表示されたグラフから選択して取り込むことができるようにすることで、これらの初期パラメーターの概算を手作業で行うために必要な手間及び概算を行うために必要となる知識・経験を最小化することができる。
等価回路の入力は、具体的には下記の通り行われる。図6の要素番号設定ボックスで0から順番に番号を選択する。その後、測定スペクトルにあわせて要素選択ポップアップから抵抗、コンデンサー、CPE、コイル、抵抗とコンデンサーの並列接続要素、抵抗とCPEの並列接続要素,抵抗とコイルの並列接続要素、ワールブルグインピーダンス及びゲリッシャーインピーダンス中の所望の接続要素を選択する。次に、初期値(初期パラメーター)推定用のデータ点をカーソルにて選択し,初期値推定ボタン(a)及び初期値推定ボタン(b)を押して初期値を入力する。複数の要素を入力する場合は、要素番号を変え,必要に合わせて要素をポップアップで選択して初期値入力を繰り返す。モデル(つまり等価回路)及びその初期値入力を終えたら、初期モデル計算ボタンを押して実測値との比較を行い、必要があれば初期値微調整用ボックスを用いて初期値の微修正を施す。
この実測値との比較は、既に述べたように、実測値とモデルから計算された値との差分曲線として利用者に対して提示されるグラフに基づいて行う。図5において、太枠で囲まれたグラフ(c)、(e)及び(f)がこの差分曲線である。差分曲線に上述の系統的な形状が認められる場合にはモデルが不適切であると考えられるため、等価回路中の要素の選択に戻って上述の等価回路及び初期パラメーターの設定をやり直す。
ここで、モデル、つまり等価回路、が適切であった場合の差分曲線の例を図8Aに示す。適切なモデルに基づいて初期パラメーターを設定した場合には、実測値と初期パラメーター設定済みのモデルのモデル値(当該モデルから計算された複素インピーダンスの値)から得られた残差曲線の系統的変化は無視できるか、あるいはそのような系統的変化は現れない。これに対して、不適切なモデルを用いて計算した場合の差分曲線の例を図8Bに示す。ここで、図8Bに示された表示画面中の左下及び中央下で太枠で囲まれたlog f−Zimageのプロット及びlog f−Zrealのプロットでは測定値とモデル値との残差曲線に系統的な波形曲線が現れている。更に、Zreal−Zimageプロットの残差曲線は渦巻き状曲線になっている。このような系統的な変化の有無により、モデルの妥当性をかなりの程度評価することができる。
このようにして等価回路のパターン及び初期パラメーターの推定・設定が終了したら、解析プログラムは、従来と同じく最小自乗法に基づいて与えられた等価回路中のパラメーターの最適化を行う。
本実施例では最適化の結果の表示についても利用者がその評価を行い、等価回路のパターンが適切であったか、また適切な最適化が行なわれたかを判定するための支援を利用者に提供する。
図9は従来技術に係る化学インピーダンス測定装置が、上述のような最小自乗法に基づくパラメーターの最適化後に、その結果を利用者に提示する画面の例を示す。この画面からわかるように、従来技術においては、最適化されたパラメーターを有する等価回路から計算された複素インピーダンスを、図1に示された測定対象の複素インピーダンスについての従来の表示にそのまま重ねて表示することで、利用者が両者の違いを見て、等価回路の推定及びそれに基づく最適化の結果の妥当性を評価していた。しかし、これでは上述したように測定対象全体の複素インピーダンスを等価回路全体の複素インピーダンスと比較・照合しているだけであるので、等価回路中の個々の回路要素についてはその適否を判定するための情報が不足している。その結果、全体として見ればたまたま十分な精度で測定対象を表現している妥当な等価回路らしい様相を呈するが、実際には測定対象で起こってる反応を忠実に反映していない場合があり得る。そこで、本実施例では、測定値と等価回路全体の計算結果の比較だけではなく、等価回路中の個々の回路要素(図中では「個別要素」と表記)について、その複素インピーダンス特性を表示できるようにする。
図10は、等価回路中の一連の並列回路要素のうちで図示しない手段を使用して利用者によって指定された並列回路要素について、その複素インピーダンスの虚部(左上隅の太枠内)及び実部(中央部の太枠内)を周波数に対してプロットしたグラフ、並びに複素インピーダンスプロット(右側やや上寄りの太枠内)を示す。この結果が利用者が予期している反応によって現れるはずのものとは予測の範囲を超えて食い違っていた場合には、利用者は全体の複素インピーダンスが測定対象の実測値と良い一致を示していたとしても、解析プログラムによる最適化結果の妥当性を疑って、条件を変えて上記サイクルを再度実行することができる。もちろん、等価回路全体の複素インピーダンス計算結果が実測された複素インピーダンスと充分に適合していない場合にも同様に上記サイクルを再実行する。この再実行に当たっては、当初に与えた等価回路パターンを変更したり、また初期パラメーターを変更して、最小自乗法によるパラメーターの最適化をやり直すことができる。
更に、解析時,計算された要素の応答周波数(緩和時間)順序が問題になる。しかし従来の装置では、図11に示すように、計算された値は初期値から最適化された等価回路中の抵抗、CPE等の各素子の値を表示するだけであり,応答周波数順については利用者が別途計算し直す必要がある.本実施例の解析プログラムでは、図12のように、計算された要素の緩和時間を理論に基づいて計算した後,緩和時間(図12中のw_tau1列)が短い順に結果リストを並べ直す機能を付与し,利用者が解析を行う際の作業を軽減するようにしている。
J. R. Macdonald, "LEVM/ LEVMW MANUAL, Complex nonlinear least squares imittance, inversion, and simulation fitting programs for Windows and MS-DOS"Ver. 8.12 (June 2013) (http://jrossmacdonald.com/jrm/wp-content/uploads/LEVMMANUAL-5-12-14.pdf). B. Boukamp, "A nonlinear least squares fit procedures for analysis of immittance data of electrochemical systems", Solid State Ionics, 20 (1986) 31-44. K. Kobayashi, K. Terabe, T. Sukigara, Y. Sakka, Solid State Ionics, 249-250 (2013) 78-85. P. Agarwal, M. E. Orazem, L. H. Garcia-Rubio, "Measurement Methods for Electrochemical Impedance Spectroscopy", J. Electrochem. Soc., 139 (1992) 1917-1927. P. Agarwal, O. D. Crisalle, M. Orazem, L. H. Garcia-Rubio, "Application of Measurement Models to Impedance Spectroscopy II. Determination of the Stochastic Contribution to the Error Structure", J. Electrochem. Soc., 142 (1995) 4149-4158.

Claims (18)

  1. 化学反応系の複素インピーダンスを測定する測定部と、
    少なくとも前記測定部からの前記複素インピーダンスの複素インピーダンスプロット及び前記複素インピーダンスの虚部の絶対値を周波数に対して両対数表示した第1のグラフの各点の傾きを対数表示された周波数に対してプロットしたグラフを利用者に提示する提示部と、
    前記提示を受けた利用者が推定した等価回路のパターン及びその初期パラメーターを利用者から受け取る入力部と、
    前記利用者から受け取った等価回路のパターン及び前記初期パラメーターから、前記等価回路の複素インピーダンスが前記受け取った複素インピーダンスに適合するように前記等価回路のパラメーターを最適化する最適化部と
    を設けた電気化学インピーダンス測定装置。
  2. 前記等価回路はそれぞれ単一の素子または互いに並列接続された複数の素子からなる回路要素を直接接続したものである、請求項1に記載の電気化学インピーダンス測定装置。
  3. 前記回路要素を抵抗、コンデンサー、CPE、コイル、抵抗とコンデンサーの並列接続要素、抵抗とCPEの並列接続要素,抵抗とコイルの並列接続要素、ワールブルグインピーダンス及びゲリッシャーインピーダンスからなる群から選択するように利用者に提示する、請求項2に記載の電気化学インピーダンス測定装置。
  4. 前記等価回路中の前記回路要素の少なくとも一の示す複素インピーダンスを前記最適化されたパラメーターに基づいて計算した結果を前記提示部に提示する、請求項2または3に記載の電気化学インピーダンス測定装置。
  5. 前記最適化された前記等価回路のパラメーターを、前記回路要素毎にまとめて、前記回路要素の緩和時間の順に並べ替えて前記提示部に提示する、請求項2から4の何れかに記載の電気化学インピーダンス測定装置。
  6. 前記入力部による前記初期パラメーターの受け取りは、前記第1のグラフ及び前記複素インピーダンスの虚部を周波数に対して表示した第2のグラフ上の点が選択されたことに応答して前記初期パラメーターを求めることである、請求項1から5の何れかに記載の電気化学インピーダンス測定装置。
  7. 化学反応系の複素インピーダンスを測定する測定装置から複素インピーダンスを受け取る測定データ受け取り部と、
    少なくとも前記測定データ受け取り部からの前記複素インピーダンスの複素インピーダンスプロット及び前記複素インピーダンスの虚部の絶対値を周波数に対して両対数表示したグラフの各点の傾きを対数表示された周波数に対してプロットした第1のグラフを利用者に提示する提示部と、
    利用者が推定した等価回路のパターン及びその初期パラメーターを利用者から受け取る入力部と、
    前記利用者から受け取った等価回路のパターン及び前記初期パラメーターから、前記等価回路の複素インピーダンスが前記受け取った複素インピーダンスに適合するように前記等価回路のパラメーターを最適化する最適化部と
    を設けた、電気化学インピーダンス解析支援装置。
  8. 前記等価回路はそれぞれ単一の素子または互いに並列接続された複数の素子からなる回路要素を直接接続したものである、請求項7に記載の電気化学インピーダンス解析支援装置。
  9. 前記回路要素を抵抗、コンデンサー、CPE、コイル、抵抗とコンデンサーの並列接続要素、抵抗とCPEの並列接続要素,抵抗とコイルの並列接続要素、ワールブルグインピーダンス及びゲリッシャーインピーダンスからなる群から選択するように利用者に提示する、請求項8に記載の電気化学インピーダンス解析支援装置。
  10. 前記等価回路中の前記回路要素の少なくとも一の示す複素インピーダンスを前記最適化されたパラメーターに基づいて計算した結果を前記提示部に提示する、請求項8または9に記載の電気化学インピーダンス解析支援装置。
  11. 前記最適化された前記等価回路のパラメーターを、前記回路要素毎にまとめて、前記回路要素の緩和時間の順に並べ替えて前記提示部に提示する、請求項8から10の何れかに記載の電気化学インピーダンス解析支援装置。
  12. 前記入力部による前記初期パラメーターの受け取りは、前記第1のグラフ及び前記複素インピーダンスの虚部を周波数に対して表示した第2のグラフ上の点が選択されたことに応答して前記初期パラメーターを求めることである、請求項7から11の何れかに記載の電気化学インピーダンス測定装置。
  13. 化学反応系から測定された複素インピーダンスを受け取り、
    少なくとも前記受け取った複素インピーダンスの複素インピーダンスプロット及び前記複素インピーダンスの虚部の絶対値を周波数に対して両対数表示したグラフの各点の傾きを対数表示された周波数に対してプロットした第1のグラフを利用者に提示し、
    利用者が推定した等価回路のパターン及びその初期パラメーターを利用者から受け取り、
    前記利用者から受け取った等価回路のパターン及び前記初期パラメーターから、前記等価回路の複素インピーダンスが前記受け取った複素インピーダンスに適合するように前記等価回路のパラメーターを最適化する
    電気化学インピーダンス解析プログラム。
  14. 前記等価回路はそれぞれ単一の素子または互いに並列接続された複数の素子からなる回路要素を直接接続したものである、請求項13に記載の電気化学インピーダンス解析プログラム。
  15. 前記回路要素を抵抗、コンデンサー、CPE、コイル、抵抗とコンデンサーの並列接続要素、抵抗とCPEの並列接続要素,抵抗とコイルの並列接続要素、ワールブルグインピーダンス及びゲリッシャーインピーダンスからなる群から選択するように利用者に提示する、請求項14に記載の電気化学インピーダンス解析プログラム。
  16. 前記等価回路中の前記回路要素の少なくとも一の示す複素インピーダンスを前記最適化されたパラメーターに基づいて計算した結果を提示する、請求項14または15に記載の電気化学インピーダンス解析プログラム。
  17. 前記最適化された前記等価回路のパラメーターを、前記回路要素毎にまとめて、前記回路要素の緩和時間の順に並べ替えて提示する、請求項14から16の何れかに記載の電気化学インピーダンス解析プログラム。
  18. 前記初期パラメーターの受け取りは、前記第1のグラフ及び前記複素インピーダンスの虚部を周波数に対して表示した第2のグラフ上の点が選択されたことに応答して前記初期パラメーターを求めることである、請求項13から17の何れかに記載の電気化学インピーダンス解析プログラム。
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