JP2017043906A - 連結制振構造及び連結制振方法 - Google Patents

連結制振構造及び連結制振方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017043906A
JP2017043906A JP2015165114A JP2015165114A JP2017043906A JP 2017043906 A JP2017043906 A JP 2017043906A JP 2015165114 A JP2015165114 A JP 2015165114A JP 2015165114 A JP2015165114 A JP 2015165114A JP 2017043906 A JP2017043906 A JP 2017043906A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibration
vibration damping
block
tower
tower structure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015165114A
Other languages
English (en)
Inventor
一登 背戸
Kazuto Sedo
一登 背戸
裕二 志賀
Yuji Shiga
裕二 志賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
IHI Corp
Original Assignee
IHI Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by IHI Corp filed Critical IHI Corp
Priority to JP2015165114A priority Critical patent/JP2017043906A/ja
Publication of JP2017043906A publication Critical patent/JP2017043906A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】地震対策、特に大規模地震への対策に適用し得る連結制振構造及び連結制振方法を提供する。【解決手段】隣接配置された4つのタワー構造物1A〜1Dと、当該4つのタワー構造物1A〜1Dの間に設けられたパッシブ式の4つの振動減衰装置2ab,2bc,2cd,2daとを備え、一方の対角線上に位置する2つのタワー構造物1A,1Cは第1の固有振動数を有し、他方の対角線上に位置する2つのタワー構造物1B,1Dは第2の固有振動数を有し、また第1の固有振動数と第2の固有振動数とは異なる。【選択図】図1

Description

本発明は、連結制振構造及び連結制振方法に関する。
下記特許文献1,2及び非特許文献1には、少なくとも2つの構造物をアクチュエータ(例えばリニアアクチュエータ)で連結し、当該アクチュエータを所定の制御装置で操作することにより構造物の振動を抑制する技術(制振技術)が開示されている。すなわち、この従来技術は、構造物の振動状態検出量に基づいてアクチュエータの推力を動的(アクティブ)に調節するアクティブ制振装置である。
特開平07−190136号公報 特開平08−171403号公報
松本幸人、土井文夫、背戸一登(1998)「多連ビル構造物のアクティブ振動制御」、日本機械学会論文集(C編)、64巻624号56-62頁
ところで、上記従来技術は実用化において幾つかの問題点がある。
その第1は、アクチュエータの推力に限界があるため地震対策、特に大規模地震(例えば震度6以上)に対する地震対策に適用し難いことである。近未来的に発生が予測されている大規模地震(例えば震度6以上)の振動エネルギーは比較的大きいため、アクチュエータとして大きな推力のものが必要になるが、現実的には大規模地震の振動エネルギーに対応できるアクチュエータは存在しない。また、上記従来技術の実用化例は1例あるが、高層ビルの風による渦励振対策用に設計されたもの、つまり高層ビルの渦励振による比較的小振幅の揺れに対して制振効果を発揮するものである。
その第2は、アクティブ制振装置が電源を必要とするため地震対策に適用し難いことである。特に大規模地震では電源喪失が十分に予想されるので、電源喪失によってアクティブ制振装置が正常に機能せず、この結果として構造物の制振機能が十分に発揮されないことが懸念される。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、地震対策、特に大規模地震への対策に適用し得る連結制振構造及び連結制振方法の提供を目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明では、連結制振構造に係る第1の解決手段として、隣接配置され、かつ振動特性が異なる少なくとも2つの構造物と、当該構造物の間に設けられたパッシブ型の振動減衰装置とを備える、という手段を採用する。
本発明では、連結制振構造に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、構造物は、長方形の各頂点に位置する4つであり、同一の対角線上に位置する構造物は同一の振動特性を有し、かつ、異なる対角線上に位置する構造物は異なる振動特性を有する、という手段を採用する。
本発明では、連結制振構造に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、振動減衰装置は、構造物の上端部に可動方向が水平方向となるように設けられる、という手段を採用する。
本発明では、連結制振構造に係る第4の解決手段として、上記第1〜第3のいずれかの解決手段において、振動減衰装置は、複数の振動減衰器を備える、という手段を採用する。
本発明では、連結制振構造に係る第5の解決手段として、上記第1〜第4のいずれかの解決手段において、構造物の2次モード振動の腹部に相当する高さにパッシブ型の第2の振動減衰装置を備える、という手段を採用する。
本発明では、連結制振方法に係る解決手段として、隣接配置され、かつ振動特性が異なる少なくとも2つの構造物の間に、差し渡すようにパッシブ型の振動減衰装置を設ける、という手段を採用する。
本発明によれば、大規模地震に対応し得る推力が得られると共に電力を必要としないパッシブ型の振動減衰装置を構造物間に設けるので、地震対策、特に大規模地震への対策に適用し得る連結制振構造及び連結制振方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る連結制振構造を示す正面図(a)及び水平断面を模式的に示す模式図(b)である。 本発明の一実施形態に係る連結制振構造に対応する構造模型の正面図である。 本発明の一実施形態に係る連結制振構造に対応する構造模型の上面図である。 本発明の一実施形態の構造模型の一次振動モデル(a)及び当該一次振動モデルのパラメータ値(b)である。 本発明の一実施形態の構造模型に対応する並列構造モデル(a)、結合モデル(b)及び振動モデル(c)である。 本発明の一実施形態の構造模型に定点理論を適用した場合における第1の振動特性図である。 本発明の一実施形態の構造模型に定点理論を適用した場合における第2の振動特性図である。 本発明の一実施形態の構造模型に定点理論を適用した場合における第3の振動特性図である。 本発明の一実施形態の構造模型におけるAブロック及びBブロックのインパルス応答特性図である。 本発明の一実施形態の構造模型におけるCブロック及びDブロックのインパルス応答特性図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る連結制振構造は、図1に示すように、地上に垂直に構築された4つのタワー構造物1A〜1Dを4つの振動減衰装置2ab,2bc,2cd,2daで相互に連結した構造を備える。4つのタワー構造物1A〜1Dは、水平断面形状が全て正方形かつ所定距離を隔てて隣接配置されている。このようなタワー構造物1A〜1Dは、例えば高層ビルあるいは超高層ビルである。
より具体的には、4つのタワー構造物1A〜1Dのうち、タワー構造物1Aは、直交関係にある2つの側面a1,a2のうち、一方の側面a1がタワー構造物1Bの側面b1と並行対峙するように、また他方の側面a2がタワー構造物1Dの側面d1と並行対峙するように立設されている。タワー構造物1Bは、上記側面b1がタワー構造物1Aの側面a1に並行対峙するように、また上記側面b1と直交関係にある側面b2がタワー構造物1Cの側面c1と並行対峙するように立設されている。
タワー構造物1Cは、上記側面c1がタワー構造物1Bの側面b2と並行対峙するように、また上記側面c1と直交関係にある側面c2がタワー構造物1Dの側面d2と並行対峙するように立設されている。タワー構造物1Dは、上記側面d1がタワー構造物1Aの側面a2と並行対峙すると共に上記側面d1と直交関係にある側面d2がタワー構造物1Cの側面c2と並行対峙するように立設されている。
すなわち、4つのタワー構造物1A〜1Dは、水平面上において、各側面が一定の距離を隔てて平行に対向すると共に、各々の中心が正方形の各頂点に位置する状態で地面上に構築されている。このような4つのタワー構造物1A〜1Dは、地震によって地面が振動した場合に自らの振動特性に応じた振動を起こす。
ここで、正方形の各頂点に位置する4つのタワー構造物1A〜1Dのうち、同一の対角線上に位置するものは同一の振動特性を有し、かつ、異なる対角線上に位置するものは異なる振動特性を有する。すなわち、一方の対角線上に位置するタワー構造物1A及びタワー構造物1Cは同一の振動特性S1を有し、また他方の対角線上に位置するタワー構造物1B及びタワー構造物1Dは同一の振動特性S2を有する。また、一方の対角線上に位置するタワー構造物1A及びタワー構造物1Cの振動特性S1と他方の対角線上に位置するタワー構造物1B及びタワー構造物1Dの振動特性S2とは異なる。
より具体的には、タワー構造物1A及びタワー構造物1Cは、同一の固有振動数(第1の固有振動数f1)を有し、またタワー構造物1B及びタワー構造物1Dは、上記第1の固有振動数f1とは異なる同一の固有振動数(第2の固有振動数f2)を有する。また、第1の固有振動数f1と第2の固有振動数f2とは異なる値である。
このような4つのタワー構造物1A〜1Dの間には、所定の減衰係数を有する4つの振動減衰装置2ab,2bc,2cd,2daが設けられている。これら4つの振動減衰装置2ab,2bc,2cd,2daは、パッシブ型の振動減衰装置であり、例えばオイルダンパである。なお、オイルダンパは、調圧弁付きのピストンが内装されたシリンダー内にオイルが封入されたパッシブ型の振動減衰装置として周知のものである。
より具体的には、タワー構造物1Aの上端近傍部位とタワー構造物1Bの上端近傍部位との間には、差し渡すように振動減衰装置2abが設けられ、タワー構造物1Bの上端近傍部位とタワー構造物1Cの上端近傍部位との間には、同じく差し渡すように振動減衰装置2bcが設けられている。また、タワー構造物1Cの上端近傍部位とタワー構造物1Dの上端近傍部位との間には、差し渡すように振動減衰装置2cdが設けられ、タワー構造物1Dの上端近傍部位とタワー構造物1Aの上端近傍部位との間には、同じく差し渡すように振動減衰装置2daが設けられている。
これら4つの振動減衰装置2ab,2bc,2cd,2daのうち、振動減衰装置2abは、タワー構造物1Aとタワー構造物1Bとの間で振動減衰機能を発揮するものであり、タワー構造物1Aとタワー構造物1Bとの対向方向、つまり側面a1及び側面b1の直交方向(水平方向)が可動方向(伸縮方向)となるように設けられている。また、振動減衰装置2bcは、タワー構造物1Bとタワー構造物1Cとの間で振動減衰機能を発揮するものであり、タワー構造物1Bとタワー構造物1Cとの対向方向、つまり側面b2及び側面c1の直交方向(水平方向)が可動方向(伸縮方向)となるように設けられている。
また、振動減衰装置2cdは、タワー構造物1Cとタワー構造物1Dとの間で振動減衰機能を発揮するものであり、タワー構造物1Cとタワー構造物1Dとの対向方向つまり、側面c2及び側面d2の直交方向(水平方向)が可動方向(伸縮方向)となるように設けられている。さらに、振動減衰装置2daは、タワー構造物1Dとタワー構造物1Aとの間で振動減衰機能を発揮するものであり、タワー構造物1Dとタワー構造物1Aとの対向方向、つまり側面d1及び側面a2の直交方向(水平方向)が可動方向(伸縮方向)となるように設けられている。
本実施形態に係る連結制振構造では、上記4つのタワー構造物1A〜1D及び振動減衰装置2ab,2bc,2cd,2daに加えて、4つのタワー構造物1A〜1Dを相互に繋ぐ連絡通路3が複数設けられている。すなわち、連絡通路3は、タワー構造物1Aとタワー構造物1Bとの間、タワー構造物1Bとタワー構造物1Cとの間、タワー構造物1Cとタワー構造物1Dとの間、タワー構造物1Dとタワー構造物1Aとの間に設けられており、また4つのタワー構造物1A〜1Dの複数階(複数フロア)に設けられている。このような複数の連絡通路3は、各振動減衰装置2ab,2bc,2cd,2daの振動減衰機能を阻害しない構造(伸縮構造)を備えている。
ここで、4つのタワー構造物1A〜1Dは、複数の連絡通路3で相互に接続されており、全体として1つの高層ビルあるいは超高層ビルを構成している。換言すると、4つのタワー構造物1A〜1Dは、本来であれば一棟として建設されるべき高層ビルあるいは超高層ビルを垂直方向かつ十文字に4分割し、その上で複数の連絡通路3を各階に設けた構造と捉えることができる。このような見方をした場合、タワー構造物1A〜1Dは、一棟の高層ビルあるいは超高層ビルを構成する4つのブロック構造体と捉えることができる。
次に、本実施形態に係る連結制振構造の制振作用及び制振効果について、図2〜図10をも参照して詳しく説明する。
ここで、本実施形態に係る連結制振構造の効果を示すために実構造物として建設することは費用等の面から困難である。そこで、以下では本実施形態に係る連結制振構造の模型(構造模型)を作成し、当該構造模型の数値解析モデルに基づくシミュレーション結果によって本実施形態に係る連結制振構造の制振作用及び制振効果を説明する。
上記構造模型は、図2及び図3に示す構造及び寸法のものである。すなわち、この構造模型は、基礎5(基台)上に立方体形状の枠構造体6を垂直方向に8段重ねた4つのブロックa〜dを隣接して設け、各ブロックa〜dにおける8段目の枠構造体6の間に磁気ダンパ7ab,7bc,7cd,7daを設けたものである。このような構造模型において、4つのブロックa〜dは、上述した連結制振構造のタワー構造物1A〜1Dに対応し、また4つの磁気ダンパ7ab,7bc,7cd,7daは同じく連結制振構造の振動減衰装置2ab,2bc,2cd,2daに対応する。なお、上記磁気ダンパ7ab,7bc,7cd,7daは、数値解析の利便性を考慮してオイルダンパに代えて採用したものである。
上記4つのブロックa〜dのうち、一方の対角線上に位置する2つのブロックa及びブロックcは枠構造体6の縦材の直径がφ4に設定され、他方の対角線上に位置する2つのブロックb及びブロックdは、枠構造体6の縦材の直径がφ5に設定されている。すなわち、この構造模型では、縦材の直径をブロックa,cとブロックb,dとで相違させることにより、振動特性(固有振動数)をブロックa,cとブロックb,dとで相違させている。なお、以下ではブロックaを「Aブロック」、ブロックbを「Bブロック」、ブロックcを「Cブロック」、またブロックdを「Dブロック」という。
〔構造模型のパラメータ算出〕
実際の地震、特に大規模地震において、高層ビルあるいは超高層ビルの振動対策で問題になるのは一次モードの振動である。この一次モードの振動に対応した上記構造模型の平面表示モデル(平面等価モデル)は、図4(a)に示すものとなる。そして、この平面表示モデルについて所定の構造解析プログラム(例えば「ANSYS」)を用いて数値解析を行った結果、平面表示モデルにおける各パラメータは、図4(b)に示す値となった。なお、図4(b)における等価減衰cは下式に基づいて算出した。
Figure 2017043906
また、上記構造模型では、互いに隣り合う一対のブロックと当該一対のブロック間に設けられた磁気ダンパが基本要素となるので、Aブロック、Bブロック、Cブロック及びDブロックのうち、AブロックとBブロックとを基本要素として取り上げると、当該AブロックとBブロックに対応する並列構造モデル(a)、結合モデル(b)及び振動モデル(c)は、図5に示すものとなる。
この図5の振動モデル(c)について、上記構造解析プログラムを用いて一次モード振動を数値解析した結果、固有振動数fn1,fa1、等価質量m,等価剛性kが以下のように求められた。
・Aブロックの1次モードの固有振動数:fn1=7.25[Hz]
・Aブロックの同頂部に0.4[kg]の重りを付加した時の固有振動数:fa1=6.58[Hz]
Figure 2017043906
・Bブロックの固有振動数:fn2=10.81[Hz]
・Bブロックの同頂部に0.4[kg]の重りを付加した時の固有振動数:fa2=9.84[Hz]
Figure 2017043906
〔理論解析〕
次に、上記振動モデル(c)に基づいて構造模型の理論解析を行う。
(1)運動方程式と変位振幅倍率
最初に、振動モデル(c)について運動方程式(連立方程式)を求めると、下式(1)となる。なお、この運動方程式における変数uは、基礎5の変位であり、変数xは等価質量m(質点)の変位であり、変数xは等価質量m(質点)の変位である。
Figure 2017043906
このような運動方程式(1)を解いて各質点の振幅X1,X2,Uについて整理すると下式(2),(3)が得られる。
Figure 2017043906
ここで、固有振動数ω,ω、質量比μ、減衰率ζ及び固有振動数比γを以下のように定義すると、上式(2),(3)は下式(4),(5)のように表される。
Figure 2017043906
Figure 2017043906
この式(4),(5)に基づいて定常振動下の基礎5の水平変位uの振幅Uと等価質量m,mの水平変位x,xの振幅X,Xとの間の関係、つまり変位振幅倍率|X/U|,|X/U|を求めると、次式(6)〜(8)のようになる。
Figure 2017043906
ただし、上記式(6)、(7)における「Δ」は、下式(8)によって表される。
Figure 2017043906
(2)最適調整条件
図5の振動モデル(c)は、このような式(6)〜(8)によって最終的に表されるが、この振動モデル(c)に定点理論を適用することにより減衰率ζの最適値を求める。定点理論は、動吸振器(ダイナミックダンパ)の設計手法として周知のものである。減衰率ζを「0」に設定した場合及び減衰率ζを「∞」に設定した場合における変位振幅倍率|X/U|,|X/U|を求めると、下式(9)〜(11)のようになる。
Figure 2017043906
図6は、固有振動数ω,ωについて「ω<ω」と仮定し、上式(6)、(7)で与えられる変位振幅倍率|X/U|,|X/U|の変化(振動周波数に対する変化)を示す第1の振動特性図である。この図6において,Aブロック(非減衰時)は、上式(6)において減衰率ζを「0」とした場合の変位振幅倍率|X/U|(式(9))の周波数変化を示し、Bブロック(非減衰時)は、上式(7)において減衰率ζを「0」とした場合の変位振幅倍率|X/U|(式(10))の周波数変化を示している。
ここで、式 (9 )と式 (11) の交点を「P点」、式(10)と式(11) の交点を「Q点」と定義する。このP点は、減衰率ζを0から∞まで変化させたときの変位振幅倍率|X/U|を示す全ての変化曲線が通過する点である。一方、Q点は、同様に減衰率ζを0から∞まで変化させたときの変位振幅倍率|X/U|を示す全ての変化曲線が通過する点である。すなわち、P,Q点は、減衰率ζに無関係な、つまり減衰率ζに依存しない定点である。このことから、定点理論は、振動モデル(c)に対して適用可能なものである。
ここで、定点理論では、一般に以下の2つの条件を最適調整条件とする。
〔条件1〕:P点の変位振幅倍率|X/U|とQ点の変位振幅倍率|X/U|とが等しい。
〔条件2〕:変位振幅倍率|X/U|はP点を極大点とし、変位振幅倍率|X/U|はQ点を極大点とする。
しかしながら、このような2つの条件1,2のうち、条件1は等価質量m,mを自由に変えなければならないので現実的ではない。したがって、本実施形態では、上記条件2のみを最適調整条件として採用する。
(3)最適調整条件下の応答特性
〔周波数応答特性〕
上式(6),(7)において、P点付近及びQ点付近を極大点とする周波数応答は、減衰率ζを可変することによって知ることができる。すなわち、この場合、P点における減衰率ζ及びQ点における減衰率ζについて、例えばζ=0.1、かつ、ζ=0.11に設定することによって、最適調整条件として条件2を満足する周波数応答を得ることができる。なお、上述した図4(b)における最適設計時の減衰係数は、ζ=0.1、ζ=0.11である。
図7は、ζ=0.1、かつ、ζ=0.11に設定した場合におけるAブロックの変位振幅倍率|A/U|の周波数応答及びBブロックの変位振幅倍率|B/U|の周波数特性を示し、また図8は、同じくζ=0.1、かつ、ζ=0.11に設定した場合におけるBブロックの変位振幅倍率|B/U|の周波数応答及びCブロックの変位振幅倍率|C/U|の周波数特性を示している。なお、CブロックとDブロックとの間の周波数応答は、図7に示した周波数応答と同様であり、DブロックとAブロックとの間の周波数応答は、図8と同様である。
〔インパルス応答〕
次に、条件2を最適調整条件として満足するインパルス応答について説明する。なお、このインパルス応答は、インパルス入力が基礎5に与えられた場合のAブロック、Bブロック、Cブロック及びDブロックの各頂部の時間応答である。
図9は、非減衰時及び最適減衰時におけるAブロック及びBブロックのインパルス応答を示している。基礎5へのインパルス入力に基づくAブロック及びBブロックの各頂部の振動は、インパルスが基礎5に入力された基準時点(0秒)から0.3秒が経過した時点で大きく減衰し、0.5秒経過した時点ではほぼ消滅している。
ここで、上述したようにAブロックの固有振動数はfn1=7.25[Hz]、またBブロックの固有振動数はfn2=10.81[Hz]に設定されている。この結果としてAブロック及びBブロックの振動が0.5秒程度で十分に静止していることを考えると、実際の連結制振構造の固有振動数がfn1=1.0[Hz]と想定した場合に、タワー構造物1A〜1Dの各頂部の振動は5秒程度で静止することが期待される。また、実際の連結制振構造の固有振動数をfn1=0.2[Hz]と想定した場合には、25秒程度で静止することが期待される。
図10は、非減衰時及び最適減衰時におけるCブロック及びDブロックのインパルス応答を示している。このCブロック及びDブロックのインパルス応答は、上述した図9と比較すると解るように同様なインパルス応答になっている。なお、Bブロック及びCブロックのインパルス応答、またDブロック及びAブロックのインパルス応答は、図9、図10と同様なインパルス応答であり、省略する。
このような構造模型に基づく振動モデル(c)の数値解析によって、本実施形態に係る連結制振構造の制振性能が確認された。すなわち、本実施形態によれば、固有振動数が異なるタワー構造物1Aとタワー構造物1Bとの間に振動減衰装置2abを設け、同じく固有振動数が異なるタワー構造物1Bとタワー構造物1Cとの間に振動減衰装置2bcを設け、同じく固有振動数が異なるタワー構造物1Cとタワー構造物1Dとの間に振動減衰装置2cdを設け、また同じく固有振動数が異なるタワー構造物1Dとタワー構造物1Aとの間に振動減衰装置2daを設け、さらに上記振動減衰装置2ab,2bc,2cd,2daは大規模地震に対応し得る推力が得られると共に電力を必要としないパッシブ型の振動減衰装置なので、通常規模の地震や大規模地震への対策に適用し得る連結制振構造及び連結制振方法を提供することができる。
また、本実施形態によれば、4つのタワー構造物1A〜1Dの上端近傍部位に振動減衰装置2ab,2bc,2cd,2daが設けられるので、大規模地震による4つのタワー構造物1A〜1Dの一次モード振動を効果的に減衰させることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、特に大規模地震で問題となる一次モード振動に着目して振動解析(効果解析)を行ったが、本発明に係る連結制振構造には二次モード振動や三次モード振動が発生し得る。このような二次モード振動や三次モード振動を考慮した場合、高さ方向におけるタワー構造物1A〜1Dの上端近傍部位だけではなく、タワー構造物1A〜1Dの途中部位にも第2の振動減衰装置を設けることが考えられる。この第2の振動減衰装置は、4つの振動減衰装置2ab,2bc,2cd,2daと同様なものであり、例えば二次モード振動の腹部に相当する高さ及び/または三次モード振動の腹部に相当する高さに設けられる。この場合には、一次モード振動に加えて、二次モード振動及び/または三次モード振動を効果的に減衰させることができる。
(2)上記実施形態では、4つの振動減衰装置2ab,2bc,2cd,2daを設けたが、これら振動減衰装置2ab,2bc,2cd,2daについては、各々に単一の振動減衰器から構成してもよく、または複数の振動減衰器の集合体から構成してもよい。このように複数の振動減衰器の集合体として振動減衰装置2ab,2bc,2cd,2daを構成した場合には、単一の振動減衰器から構成した場合に比較して連結制振構造の設計が容易である。
(3)上記実施形態では、4つの振動減衰装置2ab,2bc,2cd,2daとしてオイルダンパを例示したが、本発明における振動減衰装置は、オイルダンパに限定されず、パッシブ型の振動減衰装置であればオイルダンパ以外のものでもよい。また、タワー構造物1A〜1Dとして高層ビルや超高層ビルを例示したが、本発明における構造物は、高層ビルや超高層ビルに限定されない。本発明は、ビル以外の構造物にも適用可能である。
(4)上記実施形態では、4つのタワー構造物1A〜1Dの水平断面形状を正方形とすると共にタワー構造物1A〜1Dの中心の位置を正方形の各頂点としたが、本発明はこれに限定されない。例えば4つのタワー構造物1A〜1Dの水平断面形状を長辺と短辺とを有する長方形(矩形)とし、またタワー構造物1A〜1Dの中心の位置を長方形(矩形)の各頂点としてもよい。この場合の4つのタワー構造物は、長辺方向と短辺方向とで固有振動数が異なるが、図7及び図8と同様に定点であるP点及びQ点が存在するので、当該P点近傍及びQ点近傍が極大点となるように4つの振動減衰装置の減衰係数ζを決定すれば良い。
(5)上記実施形態では、4つのタワー構造物1A〜1Dを設けたが、本発明はこれに限定されない。タワー構造物は少なくとも2つ設けられていれば良く、本発明はタワー構造物の個数が2つの場合、3つの場合あるいは5個以上の場合にも適用可能である。
1A タワー構造物
1B タワー構造物
1C タワー構造物
1D タワー構造物
2ab 振動減衰装置
2bc 振動減衰装置
2cd 振動減衰装置
2da 振動減衰装置
3 連絡通路
5 基礎
7ab 磁気ダンパ
7bc 磁気ダンパ
7cd 磁気ダンパ
7da 磁気ダンパ
a ブロック(Aブロック)
b ブロック(Bブロック)
c ブロック(Cブロック)
d ブロック(Dブロック)

Claims (6)

  1. 隣接配置され、かつ振動特性が異なる少なくとも2つの構造物と、
    当該構造物の間に設けられたパッシブ型の振動減衰装置と
    を備えることを特徴とする連結制振構造。
  2. 前記構造物は、長方形の各頂点に位置する4つであり、
    同一の対角線上に位置する前記構造物は同一の振動特性を有し、かつ、異なる対角線上に位置する前記構造物は異なる振動特性を有することを特徴とする請求項1記載の連結制振構造。
  3. 前記振動減衰装置は、前記構造物の上端部に可動方向が水平方向となるように設けられることを特徴とする請求項1または2記載の連結制振構造。
  4. 前記振動減衰装置は、複数の振動減衰器を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の連結制振構造。
  5. 前記構造物の2次モード振動の腹部に相当する高さにパッシブ型の第2の振動減衰装置を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の連結制振構造。
  6. 隣接配置され、かつ振動特性が異なる少なくとも2つの構造物の間に、差し渡すようにパッシブ型の振動減衰装置を設けることを特徴とする連結制振方法。
JP2015165114A 2015-08-24 2015-08-24 連結制振構造及び連結制振方法 Pending JP2017043906A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015165114A JP2017043906A (ja) 2015-08-24 2015-08-24 連結制振構造及び連結制振方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015165114A JP2017043906A (ja) 2015-08-24 2015-08-24 連結制振構造及び連結制振方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017043906A true JP2017043906A (ja) 2017-03-02

Family

ID=58212116

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015165114A Pending JP2017043906A (ja) 2015-08-24 2015-08-24 連結制振構造及び連結制振方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017043906A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102654399B1 (ko) 2023-11-22 2024-04-05 주식회사 에이이 제진 컨테이너

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS541391B1 (ja) * 1967-08-12 1979-01-24
JPS6397774A (ja) * 1986-10-09 1988-04-28 鹿島建設株式会社 構造物間の連結部
JP2001295493A (ja) * 2000-04-14 2001-10-26 Ohbayashi Corp 構造物の連結制振装置
JP2002266517A (ja) * 2001-03-06 2002-09-18 Takenaka Komuten Co Ltd 連結制震装置を利用した免震構造
US20100043317A1 (en) * 2001-05-09 2010-02-25 Mualla Imad H Frictional damper for damping movement of structures

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS541391B1 (ja) * 1967-08-12 1979-01-24
JPS6397774A (ja) * 1986-10-09 1988-04-28 鹿島建設株式会社 構造物間の連結部
JP2001295493A (ja) * 2000-04-14 2001-10-26 Ohbayashi Corp 構造物の連結制振装置
JP2002266517A (ja) * 2001-03-06 2002-09-18 Takenaka Komuten Co Ltd 連結制震装置を利用した免震構造
US20100043317A1 (en) * 2001-05-09 2010-02-25 Mualla Imad H Frictional damper for damping movement of structures

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102654399B1 (ko) 2023-11-22 2024-04-05 주식회사 에이이 제진 컨테이너

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Xiang et al. Seismic vibration control of building structures with multiple tuned mass damper floors integrated
Farghaly et al. Optimum design of TMD system for tall buildings
Patel et al. Dynamic response of identical adjacent structures connected by viscous damper
KR20110108913A (ko) 전기캐비닛 구조물의 지진응답 감쇠를 위한 2방향 동조질량감쇠기
JP2020101081A (ja) 制振装置及びこれを備えた建物
Pastia et al. Vibration control of a frame structure using semi-active tuned mass damper
Passoni et al. Existing structures connected with dampers: state of the art and future developments
JP2017043906A (ja) 連結制振構造及び連結制振方法
JP6622568B2 (ja) 建物の制振構造
Morales Inerter-added transmissibility to control base displacement in isolated structures
Sun et al. Connecting parameters optimization on unsymmetrical twin-tower structure linked by sky-bridge
Yanik et al. Seismic vibration control of three dimensional structures with a simple approach
JP2000136651A (ja) 構造物の連結制振装置
JP5251936B2 (ja) 構造物の制振構造
JPH11200661A (ja) 連結構造物の制振方法
KR100994175B1 (ko) 하이브리드 진동 격리장치
JP2013147930A (ja) 制振建物
JP4788134B2 (ja) 構造物の制振構造
Sandoval et al. Study of structural control in coupled buildings
KR20120128523A (ko) 구체의 진자운동을 이용한 지진 격리장치
Li Vibration transmissibility of two-DOF vibrating systems
JP2017040102A (ja) 建物の制振構造
JP5290786B2 (ja) 制震構造
Awchat et al. Seismic Response of Tall Building with Underground Storey Using Dampers
JP2020037862A (ja) 建物の制振構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170824

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170825

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180620

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180626

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20181218