JP2017043040A - 三次元造形装置及び三次元造形方法 - Google Patents

三次元造形装置及び三次元造形方法 Download PDF

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鈴木 秀行
Hideyuki Suzuki
秀行 鈴木
茂樹 池田
Shigeki Ikeda
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Abstract

【課題】複数の造形物を複数の分割プレートを用いて効率よく造形する。【解決手段】造形物をその上面で造形するための第一分割プレート41と、第一分割プレート41と並べて配置された、造形物をその上面で造形するための第二分割プレート42と、第一分割プレート41及び第二分割プレート42を独立して垂直方向に駆動可能なZ方向駆動部32と、造形材を吐出するためのヘッド部20と、第一分割プレート41又は第二分割プレート42のいずれか一方で造形物が造形された状態で、該造形物を取り出すために第一分割プレート41と第二分割プレート42の垂直方向の高さに高低差を設けた取り出し位置に移動させるよう、Z方向駆動部32を制御するためのステージ位置制御部13と、第一分割プレート41、第二分割プレート42、ヘッド部20、Z方向駆動部32を収納する筐体部3とを備える。【選択図】図22

Description

本発明は、立体造形物を作製する三次元造形装置及び三次元造形方法に関する。
従来より、造形物の基礎データである三次元データを、コンピュータの画面上で任意の姿勢に設定し、設定された姿勢に基づいて高さ方向に平行な複数の面で切断した各断面毎のデータを生成し、この各層に関する二次元データに基づいて、樹脂を順次積層することよって立体造形を行い、造形物の三次元モデルとなる造形物を生成する装置が知られている。
製品開発において試作等に用いられるラピッド・プロトタイピング(Rapid Prototyping:RP)の分野で、三次元造型が可能な積層造形法が利用されている。積層造形法としては、積層造形法は、製品の三次元CADデータをスライスし、薄板を重ね合わせたようなものを製造の元データとして作成し、それに粉体、樹脂、鋼板、紙などの材料を積層して試作品を作成する。このような積層造形法としては、インクジェット法、粉末法、光造形法、シート積層法、押し出し法等が知られている。この内、インクジェット法は、液化した樹脂を噴射した後、紫外光(UV)を照射したり、冷却するなどによって層を硬化させて造形物を形成する。
このような三次元造形装置では、造形時間がかかるので、造形時間を短縮するため、複数の造形プレートを設けることが考えられる。例えば特許文献1では、図42の断面図に示すように、ヘッド部4020と造形プレート4040を個別に設けた光造形装置が開示される。このような複数枚の造形プレートを有する三次元造形装置においては、各造形プレートを個別に動作させて、造形プレート毎に造形物をそれぞれ造形する。
このように複数枚の造形プレートを備える構成においては、造形の完了時間が一致しないことが考えられる。この場合において、一の造形プレートで造形が終了しても、すべての造形プレートでの造形が終了するまで待った上で、造形物を取り出すことが考えられる。しかしながら、一般に三次元造形装置は造形時間に長期間を有するため、すべての造形が終了するまで待つのでは、待ち時間が長くなってしまう。また、造形が終了した造形プレートは、造形物を取り出すまで次の造形作業に移れないため、折角複数台の造形プレートを用意しても、これを活用できない期間となって、造形作業に無駄が生じる。
かといって、一方の造形プレート(例えば第一造形プレート)での造形が終了した時点で、他の造形プレート(例えば第二造形プレート)の造形中に三次元造形装置を開けて、第一造形プレート上から造形物を取り出そうとすると、第二造形プレート上で造形途中の造形物に触れて、破損することが考えられる。あるいは第二造形プレート上で造形を行うヘッド部の移動中にユーザの手が触れる虞もあった。
特開2000−263650号公報
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明の目的の一は、複数の造形物を複数の造形プレートを用いて効率よく造形することを可能とした三次元造形装置及び三次元造形方法を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面に係る三次元造形装置によれば、複数の三次元状の造形物を、造形材を用いて造形するための三次元造形装置であって、造形物をその上面で造形するための第一分割プレートと、前記第一分割プレートと並べて配置された、造形物をその上面で造形するための第二分割プレートと、前記第一分割プレート及び第二分割プレートを独立して垂直方向に駆動可能なZ方向駆動部と、前記造形材を吐出するためのヘッド部と、前記第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方で造形物が造形された状態で、該造形物を取り出すために前記第一分割プレートと第二分割プレートの垂直方向の高さに高低差を設けた取り出し位置に移動させるよう、前記Z方向駆動部を制御するためのステージ位置制御部と、前記第一分割プレート、第二分割プレート、ヘッド部、Z方向駆動部を収納する筐体部とを備えることができる。上記構成により、第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方で造形物が得られ、これを取り出す際に、第一分割プレートと第二分割プレートに高低差を設けることで取り出し作業を容易に行える利点が得られる。
また、第2の側面に係る三次元造形装置によれば、前記ステージ位置制御部は、前記第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方で造形物が造形され、かつ他方では造形物が造形未完了の段階で、前記第一分割プレート又は第二分割プレートの少なくともいずれか一方を取り出し位置に移動させることができる。上記構成により、第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方で造形物が得られた後、他方の分割プレートでは未だ造形作業が継続中であっても、分割プレートを取り出し位置に移動させて安全に造形物の取り出し作業を行える利点が得られる。
さらに、第3の側面に係る三次元造形装置によれば、前記ステージ位置制御部は、前記第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方で造形物が造形されており、かつ他方で造形物が造形未完了の段階で、該他方での造形作業を一時的に中断して、前記第一分割プレート又は第二分割プレートの少なくともいずれか一方を取り出し位置に移動させることができる。上記構成により、第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方で造形物が得られた後、他方の分割プレートでは未だ造形作業が継続中であっても、分割プレートを取り出し位置に移動させて安全に造形物の取り出し作業を行える利点が得られる。
さらにまた、第4の側面に係る三次元造形装置によれば、前記ステージ位置制御部が、取り出し位置として、造形物が造形された前記第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方を、前記Z方向駆動部でもって上昇させることができる。上記構成により、第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方で造形物が造形された後に、この分割プレートを上昇させることで、三次元造形装置から造形物を取り出し易くできる。
さらにまた、第5の側面に係る三次元造形装置によれば、前記ステージ位置制御部が、取り出し位置として、造形物が造形された前記第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方を、前記Z方向駆動部でもって、最も高い位置まで上昇させることができる。上記構成により、第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方で造形物が造形された後に、この分割プレートを上昇させることで、三次元造形装置から造形物を取り出し易くできる。
さらにまた、第6の側面に係る三次元造形装置によれば、前記ステージ位置制御部が、前記第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方の内、造形物の造形作業を継続中の分割プレートの造形作業を中断し、降下させることができる。上記構成により、第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方で造形途中の分割プレートを降下させることで、造形が終了した分割プレートからの造形物を取り出し作業を行う際に、該作業領域から造形途中の造形物を物理的に離間させて、これに意図せず触れるなどの事態を回避できる。
さらにまた、第7の側面に係る三次元造形装置によれば、前記筐体部が、前記第一分割プレート及び第二分割プレートを並べた方向に、該筐体部を開放して造形物を取り出すための取り出し部を設けることができる。
さらにまた、第8の側面に係る三次元造形装置によれば、前記筐体部が、前記第一分割プレート及び第二分割プレートを並べた方向と交差する側に、該筐体部を開放して造形物を取り出すための取り出し部を設けることができる。
さらにまた、第9の側面に係る三次元造形装置によれば、さらに前記第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方で造形物の造形が完了し、かつ他方で造形作業を中断した状態において、前記造形が完了した造形物を取り出すために、前記取り出し部を開放している時間が所定の時間を超えると、警告を発する警告手段を備えることができる。上記構成により、一方の分割プレート上で造形途中の状態で、他方の分割プレート上で造形された造形物を三次元造形装置から取り出す際に取り出し部を開放している時間が長くなったり、あるいは取り出し後に取り出し部を閉塞し忘れた場合等、造形プレート上で未完了の造形物が長時間に亘って放置され、造形途中の造形物に悪影響が出る事態を、警告手段によって警告することで、未然に回避することが可能となる。
さらにまた、第10の側面に係る三次元造形装置によれば、さらに前記第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方の上面を覆うカバー部を備えることができる。上記構成により、造形物が造形された第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれかを取り出す際、他方の分割プレートをカバー部で覆うことができるので、造形途中の造形物に誤って触れるといった事態を回避でき、造形が終了した造形物のみを安全に取り出すことが可能となる。
さらにまた、第11の側面に係る三次元造形装置によれば、前記カバー部を、付加的に装着可能とできる。上記構成により、カバー部で一方の分割プレートを覆うように配置させる機構を簡素化でき、装置の低コスト化を実現できる。
さらにまた、第12の側面に係る三次元造形装置によれば、さらに前記第一分割プレート又は第二分割プレートの上面に配置されるサブプレートを備え、前記第一分割プレート又は第二分割プレートの上面に配置された前記サブプレートの上面に、造形物造形するよう構成できる。上記構成により、造形物を三次元造形装置から取り出す際は、サブプレートを第一分割プレートや第二分割プレートから外して、サブプレートごと三次元造形装置から取り出した上で、サブプレート上に造形された造形物を分離乃至剥離できるので、取り出しや分離の作業性を高めることが可能となる。特に多数の造形物を一度に造形する場合には、一々各造形物を取り出すことで時間や手間がかかり、その分だけ他方の分割プレートでの造形を中断させる時間が長くなってしまう問題を、サブプレートごと取り出すことで三次元造形装置の造形動作を速やかに再開させることが可能となって、効率がよい。
さらにまた、第13の側面に係る三次元造形装置によれば、前記ヘッド部を、前記第一分割プレートと第二分割プレートで共通とすることができる。
さらにまた、第14の側面に係る三次元造形装置によれば、前記ヘッド部が、造形材を吐出するための造形材吐出手段と、前記造形材吐出手段で、前記第一分割プレートと第二分割プレート上に吐出された造形材から、余剰分を掻き取るためのローラ部と、前記造形材を硬化させるための硬化手段とを備え、前記造形材吐出手段は、造形材として、最終的な造形物となるモデル材と、前記モデル材が張り出した張り出し部分を支え、最終的に除去されるサポート材とを、前記第一分割プレートと第二分割プレート上に、少なくとも一方向に走査しながら吐出させ、かつこれを硬化させる動作を繰り返すことで、高さ方向に所定の厚みを有するスライスを生成し、該スライスを高さ方向に積層していくことにより造形を行うことができる。
さらにまた、第15の側面に係る三次元造形装置によれば、前記ヘッド部は、前記造形材吐出手段として、造形材を吐出するための吐出ノズルを第一方向に複数配列しており、前記XY方向駆動部は、ヘッド部を、前記吐出ノズルを配列した第一方向と交差する方向である主走査方向に往復動作させると共に、主走査方向と直交する副走査方向に移動させることにより、前記ヘッド部を水平方向に駆動させるよう構成しており、前記第二分割プレートを、前記第一分割プレートと副走査方向に並べることができる。
さらにまた、第16の側面に係る三次元造形方法によれば、複数の三次元状の造形物を、造形材を用いて第一分割プレート及び第二分割プレート上にそれぞれ造形する三次元造形装置を用いた造形方法であって、前記第一分割プレート上で一の造形物の造形を行う一方、前記第二分割プレート上で他の造形物の造形を行う工程と、前記第一分割プレート上での造形物の造形作業が終了した後、前記第二分割プレート上での他の造形物が造形未完了の段階で、前記第一分割プレート及び第二分割プレートを独立して垂直方向に駆動可能なZ方向駆動部及び該Z方向駆動部を制御するためのステージ位置制御部でもって、前記第一分割プレートと第二分割プレートの垂直方向の高さに高低差を設けた取り出し位置に移動させる工程と、前記第一分割プレートから造形物を取り出す工程とを含むことができる。これにより、第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方で造形物が得られた後、他方の分割プレートでは未だ造形作業が継続中であっても、分割プレートを取り出し位置に移動させて安全に造形物の取り出し作業を行える利点が得られる。
実施例1に係る三次元造形装置を示すブロック図である。 変形例に係る三次元造形装置を示すブロック図である。 ヘッド部がXY方向に移動される様子を示す平面図である。 ヘッド部の外観を示す斜視図である。 ローラ部で造形材の余剰分を除去する状態を示す斜視図である。 図1の三次元造形装置の分割プレートを示す斜視図である。 2枚の分割プレートを主走査方向に並べた状態を示す模式平面図である。 図7の分割プレートを跨ぐように造形物を配置した状態を示す模式平面図である。 一方の分割プレートに造形物を配置した状態を示す模式平面図である。 2枚の分割プレートを副走査方向に並べた状態を示す模式平面図である。 2枚の分割プレートで造形パラメータを変化させて造形を行う様子を示す模式垂直断面図である。 3枚の分割プレートを副走査方向に並べた状態を示す模式平面図である。 3枚の分割プレートを主走査方向及び副走査方向に並べた状態を示す模式平面図である。 分割プレートの縦横を囲むように第二分割プレートを配置した状態を示す模式平面図である。 座標軸を個別に有する例を示す模式平面図である。 造形プレート上にサブプレートを載置した状態を示す断面図である。 駆動モードの詳細を示す模式図である。 第一分割プレートと第二分割プレート上に複数の造形物を配置した状態を示す斜視図である。 図19Aは同期駆動モードの動作を示すタイミングチャート、図19B〜図19Dは時系列で第一分割プレート及び第二造形プレート上の造形動作が変化していく様子を示す模式平面図である。 図20Aは一枚の造形プレートで造形する通常造形の動作を示すタイミングチャート、図20B〜図20Dは時系列で第一分割プレート及び第二造形プレート上の造形動作が変化していく様子を示す模式平面図である。 第一分割プレートと第二分割プレート上にそれぞれ配置された複数の造形物を示す斜視図である。 図21の造形物を示す平面図である。 図23Aはシングル駆動モードの動作を示すタイミングチャート、図23B〜図23Dは時系列で第一分割プレート上の造形動作が変化していく様子を示す模式平面図である。 図24Aは同時開始のマルチ駆動モードの動作を示すタイミングチャート、図24B〜図24Dは時系列で第一分割プレート及び第二造形プレート上の造形動作が変化していく様子を示す模式平面図である。 図25Aは終了後スタートのマルチ駆動モードの動作を示すタイミングチャート、図25B〜図25Dは時系列で第一分割プレート及び第二造形プレート上の造形動作が変化していく様子を示す模式平面図である。 図26Aは割り込みスタートのマルチ駆動モードの動作を示すタイミングチャート、図26B〜図26Dは時系列で第一分割プレート及び第二造形プレート上の造形動作が変化していく様子を示す模式平面図である。 図27Aは同時終了のマルチ駆動モードの動作を示すタイミングチャート、図27B〜図27Dは時系列で第一分割プレート及び第二造形プレート上の造形動作が変化していく様子を示す模式平面図である。 造形条件調整手段が造形の終了タイミングを一致させるように造形条件を調整する手順を示すフローチャートである。 筐体部に設けた取り出し部の一例を示す断面図である。 手前側の分割プレート上昇させる例を示す斜視図である。 図30において取り出し部を開放した状態を示す斜視図である。 分割プレートの上面にサブプレートを重ねる状態を示す分解斜視図である。 奥側の分割プレート上昇させる例を示す斜視図である。 図33において取り出し部を開放した状態を示す斜視図である。 図34にカバー部を配置した状態を示す斜視図である。 図35において取り出し部を開放した状態を示す斜視図である。 三次元造形装置にカバー部をセットする例を示す斜視図である。 第一取り出し部及び第二取り出し部を設けた筐体部を示す斜視図である。 図38の筐体部の断面図である。 下方に取り出し部を設けた筐体部を示す斜視図である。 図40の筐体部において手前側の分割プレートにアクセスする状態を示す断面図である。 図40の筐体部において奥側の分割プレートにアクセスする状態を示す断面図である。 支承軸を分割プレートの下面中央からオフセットさせた例を示す斜視図である。 支承軸を分割プレートの隅部の設けた例を示す斜視図である。 第三取り出し部を設けた筐体部を示す斜視図である。 図45の筐体部の断面図である。 図47Aは同時開始のマルチ造形モードの動作を示すタイミングチャート、図47B〜図47Dは時系列で第一分割プレート及び第二分割プレート上の造形動作が変化していく様子を示す模式平面図である。 図48Aは終了後スタートのマルチ造形モードの動作を示すタイミングチャート、図48B〜図48Dは時系列で第一分割プレート及び第二分割プレート上の造形動作が変化していく様子を示す模式平面図である。 図49Aは割り込みスタートのマルチ造形モードの動作を示すタイミングチャート、図49B〜図49Dは時系列で第一分割プレート及び第二分割プレート上の造形動作が変化していく様子を示す模式平面図である。 第一分割プレートの造形が終了し、第二分割プレートでの造形を継続している状態を示す模式平面図である。 第一分割プレートと第二分割プレートとが面する境界領域に造形物を配置する例を示す模式平面図である。 第一分割プレートと第二分割プレートとが面する境界領域に制限エリアを設ける例を示す模式平面図である。 第一分割プレートと第二分割プレートに制限エリアと周囲マージンを設ける例を示す模式平面図である。 制限エリアに造形物を配置する例を示す模式平面図である。 図55A〜図55Iは各分割プレートの造形段階に応じた昇降位置を示す模式断面図である。 三次元造形装置用の設定データ作成装置を示すブロック図である。 配置基準に従い造形プレートに造形物を配置する様子を示す模式図である。 配置基準に従いオブジェクトを自動抽出する手順を示すフローチャートである。 オブジェクトを配置し造形時間を表示した設定データ作成プログラムの画面を示すイメージ図である。 設定データ作成プログラムの画面を示すイメージ図である。 設定データ作成プログラムの画面を示すイメージ図である。 設定データ作成プログラムの画面を示すイメージ図である。 配置基準及び優先順位を指定しオブジェクトを自動抽出する手順を示すフローチャートである。 設定データ作成プログラムの画面を示すイメージ図である。 設定データ作成プログラムの画面を示すイメージ図である。 設定データ作成プログラムの画面を示すイメージ図である。 三次元造形装置から造形物を取り出す様子を示す模式斜視図である。 造形時間に基づき手動で分割プレート割り当てを行う様子を示す模式図である。 配置基準として造形時間を設定し自動で分割プレート割り当てを行う様子を示す模式図である。 配置基準として造形時間と優先順位を設定し自動で分割プレート割り当てを行う様子を示す模式図である。 配置基準として優先順位を設定し自動で分割プレート割り当てを行う様子を示す模式図である。 優先順位に基づき手動で分割プレート割り当てを行う様子を示す模式図である。 造形分離に基づき手動で分割プレート割り当てを行う様子を示す模式図である。 配置基準として造形分離を設定し自動で分割プレート割り当てを行う様子を示す模式図である。 設定データ作成プログラムの画面を示すイメージ図である。 「ファイルを開く」ダイヤログ画面を示すイメージ図である。 図75の表示欄にオブジェクトを表示された例を示すイメージ図である。 図77のオブジェクトを移動させる例を示すイメージ図である。 プリントデータ作成ダイヤログを示すイメージ図である。 パラメータ設定手段の他の例を示すイメージ図である。 従来の光造形装置を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための三次元造形装置及び三次元造形方法を例示するものであって、本発明は三次元造形装置及び三次元造形方法を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(実施例1)
図1に、本発明の実施例1に係る三次元造形システム100のブロック図を示す。ここでは、三次元造形装置の一例として、インクジェット方式の三次元造形装置に適用する例を説明する。この三次元造形システム100は、造形材を流動状態でインクジェット方式によって吐出、硬化させ、これを積層することによって任意の造形物を製造するものである。造形材には、最終的な造形物を構成するモデル材MAと、このモデル材MAが張り出した張り出し部分を支えるために造形され、最終的に除去されるサポート材SAとが利用される。
インクジェット方式は、液化した材料を噴射した後、少なくともモデル材MAの材料が反応して硬化する特定波長を含む光、例えば紫外光(UV光)を照射したり、冷却する等によって層を硬化させて形成する。この方法によれば、インクジェットプリンタの原理を応用できることから、高精細化が容易となる利点が得られる。
また樹脂積層方式の三次元造形装置は、最終的な造形物となるモデル材MAと、モデル材MAの張り出し(オーバーハング)部分を支え、最終的に除去されるサポート材SAの2種類の造形材を、XY方向に走査しながら造形プレート40上に吐出し、高さ方向に積層していくことにより、造形を行う。造形材であるモデル材MAとサポート材SAは、紫外光を照射することにより硬化する特性を有する樹脂で構成されている。造形材を硬化させる硬化手段24として、紫外光を照射する紫外光ランプを、モデル材MAとサポート材SAを吐出するノズルと共に、XY方向に走査し、ノズルから吐出されたモデル材MA及びサポート材SAに紫外光を照射して硬化させる。
図1に示す三次元造形システム100は、三次元造形装置2に造形物を示す造形データならびに造形条件である設定データを送出する設定データ作成装置1(図1ではコンピュータPC)と、三次元造形装置2で構成される。三次元造形装置2は、制御手段10と、ヘッド部20と、造形プレート40とを備える。ヘッド部20は、造形材吐出手段として、モデル材MAを吐出するモデル材吐出ノズル21と、サポート材SAを吐出するサポート材吐出ノズル22を備えている。またこれらの吐出された造形材から余剰分を掻き取ることによりその時点での造形物の最上層の厚みの適正化を図ると共に、造形材の表面を平滑化するためのローラ部25と、造形材を硬化させる硬化手段24も、ヘッド部20に備えられる。さらにヘッド部20を水平方向において、モデル材吐出ノズル21とサポート材吐出ノズル22から造形材を液体又は流体状態でインクジェット方式によって、造形プレート40上の適切な位置に吐出させるために、往復走査するX方向と、このX方向に直交するY方向に走査させるための水平駆動手段、及びヘッド部20と造形プレート40との高さ方向の相対位置を移動させるための垂直駆動手段として、XY方向駆動部31及びZ方向駆動部32を備えている。ここで、Y方向とはモデル材吐出ノズル21及びサポート材吐出ノズルが有する複数のオリフィスが配列した並び方向であり、X方向は水平面内においてこのY方向と直交する方向である。
コンピュータPCは、三次元形状の造形物の基礎データ、例えば三次元CAD等で設計されたモデルデータの入力を外部から受けると、まずこのCADデータを、例えばSTL(Stereo Lithography Data)データに変換し、更にこのSTLデータを複数の薄い断面体にスライスして得られる断面データを生成し、そしてこのスライスデータを、一括又は各スライス層単位にて三次元造形装置2に対して送信を行う設定データ作成装置1として機能する。この際、三次元CAD等で設計されたモデルデータ(実際は、変換後のSTLデータ)の造形プレート40上における姿勢の決定に対応し、この姿勢におけるモデル材MAにて形成されるモデルを支持することが必要な空間又は箇所に対して、サポート材SAを設ける位置の設定が行われ、これらのデータを元に各層に対応するスライスデータが形成される。制御手段10は、ローラ回転速度制御手段12と、ステージ位置制御手段13を備える。ローラ回転速度制御手段12は、ローラ本体26がモデル材MA又はサポート材SAを個別に回収する際に、各吐出ノズルから吐出されるモデル材MA又はサポート材SAの物理的特性に応じて、ローラ本体26の回転速度を変化させることができる。制御手段10は、コンピュータPCからの断面データを取り込み、そのデータに従ってヘッド部20、XY方向駆動部31及びZ方向駆動部32を制御する。この制御手段10の制御により、XY方向駆動部31が作動すると共に、ヘッド部20のモデル材吐出ノズル21及びサポート材吐出ノズル22より造形材としてのモデル材MAならびにサポート材SAを、小滴として造形プレート40上の適切な位置に吐出することにより、コンピュータPCから与えられた断面データに基づく断面形状が造形される。そして造形プレート40上に吐出された造形材の一であるモデル材MAは少なくとも硬化されて液体又は流体状態から固体に変化して硬化する。このような動作によって一層分の断面体すなわちスライスが作り出される。なお、スライスデータは、三次元造形装置2側で生成してもよいが、その際においても、各スライス層の厚み等のユーザが決定しなくてはならない造形条件を規定する造形パラメータはコンピュータPC側から三次元造形装置2へ送信しなければならない。
(スライス)
ここで「スライス」とは、造形物のz方向の積層単位であり、スライス数は高さを積層厚で除算した値となる。実際には、各スライスの厚みを決定する要件としては、各吐出ノズルからの吐出可能な最小限の単位吐出量やローラ部25のローラの上下方向における偏心によるばらつき等によって、設定可能な最小の厚みが決定される。このような観点に基づいて設定された値をスライスの最小値として、後は、ユーザが造形物に対して、求める、例えば、造形精度や造形速度の観点から各スライス量を最終的に決定できる。つまり、ユーザが造形精度を優先することを選択すれば、上述したスライス最小値又はその近傍の値にて各スライス量を決定し、一方造形速度を優先すれば、最低限の造形精度を維持した各スライス量を決定することができる。または、別の方法としては、造形精度と造形速度の比率をユーザに感覚的に選択させる方法や、ユーザに許容可能な最大造形時間を入力させることにより、いくつかの造形時間と造形精度の組み合わせを候補として表示し、その中からユーザが好む条件を選択させることも可能である。
また、一つのスライスデータに対する造形行為は、少なくともヘッド部20をX方向(ヘッド部20の主走査方向)に往復動作する際の少なくとも往路又は復路にてモデル材吐出ノズル21とサポート材吐出ノズル22から造形材を液体又は流体状態でインクジェット方式によって吐出させ、造形プレート40上に吐出された造形物が未硬化の状態にて、少なくとも往路又は復路にてその未硬化の造形物から余剰分を掻き取り、さらに表面を平滑化するためにローラ部25を作用させると共に、平滑化された造形物の表面に対して、硬化手段24から特定波長の光を照射することにより、造形物を硬化させる一連のステップを少なくとも一回行うことで行われるが、この回数は、スライスデータの厚みや要求される造形精度によって自動的に変更されることはいうまでもない。なお、造形に用いる造形材料が、所定の温度によって硬化するものであれば、本発明においては硬化手段24を冷却または加熱手段とすることもでき、また自然硬化できる場合には硬化手段を省略することもできる。
一方、また少なくとも往路又は復路にてモデル材吐出ノズル21とサポート材吐出ノズル22から吐出され、造形プレート40上に形成される一回の最大の厚みは、吐出された液滴の着弾後の断面形状が略円形を留めることが可能な単位吐出量によって決まる。
(造形プレート40)
造形プレート40は、Z方向駆動部32によって昇降自在としている。一スライスが形成されると、制御手段10によってZ方向駆動部32が制御され、造形プレート40は一スライス分の厚さに相当する距離だけ降下する。そして上記と同様な動作を繰り返し行うことにより一スライス目の上側(上表面)に新たなスライスが積層される。このように連続的に作り出された幾層もの薄いスライスが積層されて造形物が造形される。
また、造形物がZ方向(つまり高さ方向)において下方に位置する造形部分よりX−Y平面で張り出した、いわゆるオーバーハング形状を有する場合には、コンピュータPCにおいて造形物をデータ化する際に必要に応じてオーバーハング支持部形状が付加される。言い換えれば、オーバーハング形状を有する造形物とは、既に成形されたモデル材のスライスが存在しない部分の上表面に新たなモデル材のスライスが成形される部分(オーバーハング部)を有する造形物である。そして制御手段10は、最終造形物を構成するモデル材MAの造形と同時に、そのオーバーハング支持部形状に基づいて、オーバーハング支持部SBを造形する。具体的には、モデル材MAとは別のサポート材SAを、サポート材吐出ノズル22から小滴として吐出させることにより、オーバーハング支持部SBを形成する。造形後に、オーバーハング支持部SBを構成するサポート材SAを除去することで、目的の三次元の造形対象物を得ることができる。
ヘッド部20は、図3の平面図に示すように、ヘッド移動手段30により水平方向、すなわちXY方向に移動される。ヘッド部20は、図において上下にそれぞれ配置された一対のX方向(主走査方向)ガイド機構であるX方向移動レール46に支持される。ヘッド部20を支持する基台側には、X方向への駆動部(図示せず)が、一方のX方向移動レール46に沿って設けられている。また、ヘッド部20をX方向移動レール46上に載置する門型のフレームに、ヘッド部20をY方向(副走査方向)に移動させるためのY方向移動レール47が設けられる。またヘッド部20をY方向移動レール47に沿って駆動するための駆動手段(図示せず)が載置される。これらの駆動部によってヘッド部20は、XならびにY方向に移動することが可能となっている。
さらに造形プレート40が、図1に示すようにプレート昇降手段(Z方向駆動部32)によって高さ方向、すなわちZ方向に移動される。これによって、ヘッド部20と造形プレート40の相対高さを変更でき、立体的な造形が可能となる。より詳細には、まずヘッド部20は、ヘッド移動手段30によりモデル材吐出ノズル21及びサポート材吐出ノズル22より造形材としてのモデル材MAならびにサポート材SAをスライスデータに基づいた適切な箇所に吐出するために、X方向に往復動作され、各吐出ノズル21、22に各々設けられる複数のY方向に伸びるオリフィスから、モデル材MA及びサポート材SAが吐出される。さらに、図3に示すように、各吐出ノズル21、22のY方向の幅が、造形プレート40上の造形可能なY方向の幅より小さい場合で、且つ造形用のモデルデータのY方向の幅が、Y方向に伸びるオリフィスの全長より大きい場合は、各吐出ノズル21、22の所定の位置におけるX方向の往復動作の後、Y方向に各吐出ノズル21、22を所定量シフトさせ、その位置でのX方向の往復走査と共に、モデル材MA及びサポート材SAをスライスデータに基づいた適切な箇所に吐出させることを繰り返すことにより、設定された全ての造形データに対応した造形物の生成を行う。
なお図1の例では、Z方向駆動部32として造形プレート40を昇降させるプレート昇降手段を用いているが、この例に限られず、図2に示す三次元造形装置2’のように、造形プレート40’側を高さ方向に固定し、ヘッド部20’側をZ方向に移動させるZ方向駆動部32’を採用することもできる。また、XY方向への移動も、ヘッド部側を固定して、造形プレート側を移動させてもよい。さらに以上の例ではXY方向への移動を統合しているが、これを分離してもよく、例えばヘッド部側でX方向への移動、造形プレート側でY方向への移動を担当させてもよい。このようにXYZ方向への移動は、ヘッド部と造形プレートとの間で相対的に実現されれば足り、各方向に移動させる側をヘッド部側とするか、造形プレート側とするかは任意に割り振り可能である。
また、上述したような、ヘッド部20のY方向へのシフトは、各ノズルの幅を、実質的に造形プレート40の造形可能なY方向の幅と同じにすれば、その必要はないが、その際においても、例えばノズルに設けられるオリフィスの間隔で決定される造形物のY方向の解像度を高める目的として、ヘッド部20のY方向へのシフトにより、各オリフィスが、先の造形時におけるオリフィスとオリフィスの間に位置するようにシフトさせてもよい。
(制御手段10)
制御手段10は、造形材の吐出パターンを制御する。すなわちモデル材MA及びサポート材SAを、X方向における往復走査の内、少なくとも往路又は復路の一方にて造形材吐出手段により造形プレート40上に吐出させながら、ヘッド部20をX方向に往復走査させて、造形材吐出手段により造形材が造形プレート40上に吐出された後で、且つ往路又は復路の少なくともいずれか一方で、モデル材MA及びサポート材SAに対して硬化手段24で硬化させることにより、スライスを生成し、高さ方向に造形プレート40とヘッド部20の相対位置を移動させて、スライスの積層を繰り返すことにより造形を実行する。なお、詳細は後述するが、ローラ部25による造形材表面の余剰分除去乃至平滑化は、造形材吐出手段により造形材が造形プレート40上に吐出された後で、且つ硬化手段24にて造形材の表面が硬化させる前に、往路又は復路の少なくともいずれか一方で、行われる。
この制御手段10は、一回のX方向への往復走査でモデル材MA又はサポート材SAのいずれか一方の造形材を吐出して、ローラ部25による造形材の余剰分の除去と表面の平滑化を行い、更に硬化手段24により硬化させてから、次回以降の往復走査で、吐出されなかった他方の造形材を吐出して、造形材表面の余剰分除去と平滑化を行い、硬化させる。これら一連の工程を少なくとも一回行うことにより、一枚のスライスの生成を行う。いうまでもなく、一層のスライスデータに対応した上記一連の工程は、例えばユーザの求める最終的なモデルの表面精度や造形時間に応じて、複数回繰り返すことが含まれる。これにより、モデル材MA又はサポート材SAのいずれか一方を未硬化の状態でその表面に対し余剰分除去乃至平滑化し、そして硬化させた後、他方を吐出することで個別に硬化でき、これらモデル材MAとサポート材SAの界面における混合を効果的に回避できる利点が得られる。
なお、この例では先にモデル材MAを吐出し、次いでサポート材SAを吐出させる例を説明したが、逆にサポート材を先に吐出させ、次いでモデル材を吐出させてもよい。また、この例ではいずれか一方の造形材をまず吐出して、これを硬化させた後に、他方の造形材を吐出して硬化させるという、モデル材とサポート材を個別に吐出、硬化させて造形する方法を説明した。ただ、この方法に限られず、モデル材とサポート材を同時に吐出させることも可能である。
(造形材)
上述の通り、造形材には、最終的な造形物となるモデル材MAと、このモデル材MAが張り出した張り出し部分を支え、最終的に除去されるサポート材SAが用いられる。
(硬化手段24)
モデル材MAには、光硬化樹脂、例えば紫外線硬化樹脂が使用できる。この場合、硬化手段24は少なくともモデル材MAの材料が反応して硬化する特定波長を含む光を照射する光照射手段であり、例えば紫外線ランプ等の紫外線照射手段である。紫外光ランプには、ハロゲンランプや水銀灯、LED等が利用できる。またこの例では、サポート材SAも紫外線硬化樹脂としている。同じ波長の紫外線で硬化する紫外線硬化樹脂を使用する場合は、同じ紫外線照射手段を利用でき、光源を共通化できる利点が得られる。
(モデル材MA)
またモデル材MAとして、熱可塑性樹脂を使用することもできる。この場合、硬化手段24は、冷却手段となる。なおモデル材とサポート材にいずれも熱可塑性樹脂を使用する場合は、モデル材の融点をサポート材の融点よりも高いものを採用することにより、積層完了後に造形物をサポート材の融点より高く、モデル材の融点より低い温度に加熱、保温することにより、サポート材を溶融除去することができる。さらに、モデル材とサポート材の一方を光硬化樹脂、他方を熱可塑性樹脂とすることもできる。
あるいは、硬化材との化学反応により硬化可能な材料をモデル材に用いることもできる。さらにモデル材は、粘度や表面張力等の噴射特性を調整するために、必要に応じて液体改質剤を混合してもよい。また温度調整によって噴射特性を変更することもできる。モデル材の他の例としては、紫外線フォトポリマー、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン等が挙げられる。
(サポート材SA)
サポート材SAは、基本的には、上述したモデル材と同様な材料を用いることができる。ただ、サポート材は最終的に容易に除去できる材料としたいとの観点から、モデル材と類似した材料に更に除去可能な材料を添加することが望ましい。このため、具体的には水膨潤ゲル、ワックス、熱可塑性樹脂、水溶性材料、溶解性材料等が使用できる。サポート材SAの除去には、サポート材の性質に応じて水溶、加熱、化学反応、水圧洗浄等の動力洗浄や電磁波の照射により溶解させる、熱膨張差を利用した分離等の方法が適宜利用できる。特に水溶性のサポート材は、得られた造形物を水中に浸すことで容易にサポート材を除去できるので好ましい。
(ヘッド部20)
図4に、インクジェット方式の三次元造形装置のヘッド部20の一例を示す。この図に示すヘッド部20は、造形材吐出手段として、モデル材MAとサポート材SAの吐出を個別に行う専用の吐出ノズルを設けている。具体的には、モデル材MAを吐出するためのモデル材吐出ノズル21と、サポート材SAを吐出するためのサポート材吐出ノズル22を、平行に離間させて備えている。各吐出ノズルは、2つのノズル列23を設けている。各ノズル列23は、モデル材吐出ノズル21とサポート材吐出ノズル22とで、それぞれ同一ライン上に一致するように配置することで、モデル材とサポート材の分解能を一致させている。
ヘッド部20では、左からサポート材吐出ノズル22、モデル材吐出ノズル21、ローラ部25、硬化手段24が設けられている。各吐出ノズルは、圧電素子方式のインクジェットプリントヘッドの要領で、インク状の造形材を吐出する。また造形材は、吐出ノズルから吐出可能な粘度に調整される。
図4の例では、ヘッド部20が先にモデル材MAを吐出した後、サポート材SAを吐出している。またヘッド部20は往路(図において左から右)で造形材を吐出し、復路(図において右から左)では造形材の最表面からローラ部25にて余剰樹脂を掻き取り、平滑化を図った後、平滑化された樹脂を硬化手段24で硬化させている。
さらに図4の例に示すヘッド部20は、吐出ノズルを設けた吐出ヘッドユニット20Aと、ローラ部及び硬化手段を設けた回収硬化ヘッドユニット20Bとに分割されている。吐出ヘッドユニット20Aと回収硬化ヘッドユニット20Bとの間には、ヘッド部20を移動させるためのY方向移動レール47を通すレールガイド45が設けられている。ヘッド部20は、図3の平面図に示すように、Y方向移動レール47に沿ってY方向に往復移動する。さらにY方向移動レール47の両端は、ヘッド移動手段30で支承されている。ヘッド移動手段30は、造形プレート40を上下方向に跨ぐように、造形プレートの上下に沿って平行に設けた一対のX方向移動レール46に沿ってX方向に往復移動する。これによってヘッド部20は、造形プレート上でXY平面上の任意の位置に移動できる。
(余剰樹脂回収機構)
ヘッド部20はさらに、余剰に吐出された樹脂を回収するための余剰樹脂回収機構を備えている。すなわち、インクジェット方式の三次元造型装置においては、精度の良い造形を行うために、余分にモデル材やサポート材等の造形材を吐出し、造形プレート40上に吐出された樹脂の余剰分を、余剰樹脂回収機構で回収しながら造形を行っている。このような余剰樹脂回収機構を図5の模式図に示す。この図に示す余剰樹脂回収機構は、吐出されたモデル材MA及びサポート材SAの表面を未硬化の状態で押圧し、造形材の余剰分を除去し、かつ造形材表面を平滑化するためのローラ部25で構成される。図5の例では、吐出されたモデル材MAの表面を、未硬化の状態でローラ本体26で均す状態を示している。
(ローラ部25)
ローラ部25は、吐出された造形材から余剰分を掻き取るための部材である。ローラ部25によって余剰分を掻き取ることによりその時点での造形物の最上層の厚みの適正化を図ることができる。すなわちスライス層の厚さを一定に保ち、精度を維持することができる。またローラ部25でもって、造形材の表面を平滑化する機能を果たすこともできる。
図5に示すローラ部25は、回転体であるローラ本体26と、ローラ本体26の表面に対して突出するように配置されたブレード27と、ブレード27で掻き取られた造形材を溜めるバス28と、バス28に溜まった造形材を排出する吸引パイプ29とを備えている。ローラ本体26は回転自在に支承されており、未硬化の樹脂を回転しながら押圧することにより、樹脂の表面を均しつつ、余剰分を掻き取って回収する。このローラ本体26はヘッド部20の進行方向に対して逆回転(図5において時計回り)に回転され、未硬化の造形材を掻き上げる。掻き上げられた造形材は、ローラ本体26に付着してブレード27まで運ばれた後、ブレード27で掻き取られてバス28に案内される。このためブレード27は、ローラ本体26が樹脂表面に当接する際の進行方向に対して、ローラ本体26の後方の位置に配置され、バス28に向かって下り勾配の姿勢で固定される。同様に、バス(槽)28もローラ本体26に対してブレート27と同様な側に配置され、且つブレード27の下方に配置されている。また吸引パイプ29はポンプに接続されており、バス28に溜まった造形材を吸引して排出する。この例では、ローラ本体26の外形をφ20mm程度、回転速度を10回転/s程度としている。
このローラ部25は、図においてヘッド部20が右から左に進行する際に、掻き取りを行う。換言すると、左から右にヘッド部20が進行しつつ、スライスデータに基づいて、適切な位置にモデル材吐出ノズル21とサポート材吐出ノズル22から各々モデル材MAとサポート材SAを吐出する際は、ローラ部25は造形材に接触せず、同様に硬化手段24の光源からの照明も行われない。図においてヘッド部20の左から右への主走査方向の例えでは、往路にて少なくとも造形材の吐出が各ノズル21、22から実行された後の右から左方向への復路としての主走査方向において、上述したローラ部25の掻き取り動作が実行されると共に、少なくともモデル材MAを硬化するための光を照射する光源としての硬化手段24も動作することになる。
なお硬化手段24の光源は、モデル材吐出ノズル21とサポート材吐出ノズル22より進行方向に対して前方に配置されるため、光源を点灯していても、吐出され、ローラ部25によって余剰分が除去されて平滑化される前の流動可能な樹脂に照射を行うことはない。その一方で、硬化手段24の光源を積極的に必要なタイミング以外は消灯することはもちろん可能である。また一方で、硬化手段を複数設ける構成としてもよい。例えば、硬化手段として第一硬化手段と第二硬化手段とを設け、吐出後の樹脂に対して第一硬化手段で予備的に硬化を行い、次いで第二硬化手段で樹脂をより一層硬化させる。このように硬化手段を多段構成とすることで、樹脂の硬化能力を十分に発揮させることができる。またこのような場合において、第一硬化手段が予備的な硬化に留まり、第一硬化手段を経ても樹脂に未だ十分な流動性が残っている場合は、第一硬化手段による予備硬化後に、ローラ部で樹脂余剰分の掻き取りを行い、その後に第二硬化手段で硬化を行うように構成してもよい。すなわち、すべての硬化手段がローラ部の次段側に配置されることを必ずしも要しない。
図1、図4に示すように、ヘッド部20の進行方向に対してローラ部25は硬化手段24の前方、図において左側に配置されている。この結果、先に未硬化の造形材をローラ部25で掻き取った後、硬化手段24が造形材を硬化させる。このような配置によって、同一のパスで造形材の掻き取りと硬化を行うことができ、効率よく処理できる利点が得られる。
なお、X軸方向に沿うサポート材吐出用ノズル22、モデル材吐出ノズル21、ローラ部25及び硬化手段24の配列の基本的な考え方は、以下の通りである。ヘッド部20の主走査方向の往路方向をベースに考えると、サポート材吐出用ノズル22、モデル材吐出用ノズル21は、いずれか一方が他方の前方に位置すればよい。このようなノズルのレイアウトに対して、ローラ部25ならびに硬化手段24は、ローラの作用を往路で行いたい場合は、往路進行方向において、サポート材吐出用ノズル22、モデル材吐出用ノズル21の後方にローラ部25、硬化手段24の順で配置し、ローラの作用を復路で行いたい場合は、サポート材吐出用ノズル22、モデル材吐出用ノズル21の復路の進行方向において後方にローラ部25、硬化手段24の順で配置すればよい。
また、上記実施例においては、ヘッド部20から新たな最上層となるための樹脂を吐出させた後、造形途中の未硬化状態の最上層の樹脂層に対して、ローラ部25による余剰樹脂の掻き取りを行った後、硬化手段24によって少なくとも最上層の樹脂層に対する硬化のためのUV光を照射する方法を採用した。
ただ、この構成以外にも、上述の通り硬化手段を多段で構成することもできる。例えばヘッド部20から新たな最上層となるための樹脂を吐出させた後、余剰樹脂層を含む最上層に対して、硬化手段24によって一旦光を照射した後、造形途中の未硬化状態の最上層の樹脂層に対して、ローラ部25による余剰樹脂の掻き取りを行い、その後再度硬化手段24によって少なくとも最上層の樹脂層に対する硬化のためUV光を照射する方法もある。この場合、硬化手段24は、ヘッド部20において、X方向、つまりヘッド部20の主走査方向で、サポート材吐出用ノズル22、モデル材吐出用ノズル21を挟む前後方向に一対の硬化手段を設けることにより、上述のような二度の照射を行うことができる。
また、この場合、一度目の照射と二度目の照射を合わせて、最終的に所望する樹脂の硬化の程度を達成するようになるため、一度目の照射後の樹脂は硬化状態ではなく、まだその後のローラ部25による掻き取り動作のために、流動可能な、半硬化状態である。このため、この場合においても、ローラ部25による樹脂の掻き取り前の最上層の状態は、未硬化または流動可能な状態と表現することとする。
(分割プレート)
この実施例においては、造形プレートを複数の分割プレートに分割している。
さらに造形プレート40は、第一分割プレート41と第二分割プレート42に分割されている。第一分割プレート41及び第二分割プレート42の斜視図を図6に示す。この図に示すように、第一分割プレート41と第二分割プレート42は、三次元造形装置を構成する筐体部3の内部で、Z方向駆動部32によって昇降自在に支承されている。Z方向駆動部32でもって、第一分割プレート41と第二分割プレート42は、それぞれ個別に昇降される。具体的には、第一分割プレート41と第二分割プレート42の裏面側を、それぞれ支承軸33で支承し、支承軸33の動作をZ方向駆動部32で制御する。昇降動作には、例えば支承軸33をボールねじとして、ボールねじの回転をZ方向駆動部32で個別に制御して、昇降の量すなわち分割プレートの高さを制御する。
従来の三次元造型装置では、一枚の造形プレート上に造形物を造形していたが、造形可能な造形物の大きさは、造形プレートのサイズに制限される。より大きな造形物を造形しようとすれば、造形プレートを大きくすればよいが、大きな造形プレートとした場合は、小さな造形物を造形する際、効率が良くない。また三次元造形装置では一般に造形時間が数時間〜十数時間と長時間に亘るため、一旦造形が開始されると、造形作業が終了するまでは、他の造形を開始することができない。そこで、複数の造形プレートを用意し、これらを独立して動作可能とすることで、大きな造形物を造形する際は、複数の造形プレートを一体的に動作させることで、大きな一枚の造形プレートとして造形可能とする。一方で造形物が小さい場合は、一枚の造形プレートのみで造形させることで効率よく動作できる。また、一方の造形プレートで造形中に、他方の造形プレートで別の造形物の造形を開始させると行ったことも可能となる。このように、一枚の造形プレートを複数枚に分割した、複数の分割プレートを用意することで、大きな造形物の造形に対応させつつ、小さな造形物に対しても効率よく造形を行うことが可能となる。
このように、造形プレートを複数枚の分割プレートに分割するに際して、分割の方向が問題となる。各分割プレートの並べ方として、例えば図7に示すように、ヘッド部20の主走査方向に2枚の分割プレート41X、42Xを並べて配置することが考えられる。この際、ヘッド部20の移動は、一般に主走査方向への往復移動の後、副走査方向への移動を行う動作を繰り返す構成となっている。いいかえると、ヘッド部を副走査方向に移動させる前に、必ず主走査方向への往復移動が必要となるため、副走査方向に移動させる距離を短くする方が、ヘッド部の移動距離を短くし、ひいては造形速度の高速化の観点から好ましいといえる。例えば、細長い造形物を造形する際は、図8のように造形物の長手方向が主走査方向に沿うように配置した方が、図9のように造形物の長手方向が副走査方向に沿うように配置するよりも、ヘッド部の移動の効率の点では好ましいといえる。
また一般に、主走査方向へのヘッド部20の移動速度の方が、副走査方向へのヘッド部20の移動速度の方よりも速い。このため、図8に示すように分割プレート41X、42Xを跨ぐように造形物を配置すると、造形作業を短時間に終えることができる反面、2枚の分割プレートを同時に使用する関係上、分割プレートが共に占有されてしまう。このため、一方の分割プレートで造形を行いながら、他方の分割プレートも他の造形に利用するといった態様では利用できない(詳細は後述)。
一方で、図9に示すように造形物WKを縦置きに配置する場合、一方の分割プレート41Xのみを使用するので、他方の分割プレート42Xを確保でき、他の作業に割り当てるなど、作業効率が良くなるものの、走査速度が遅い副走査方向側が長くなるように造形物WKを配置している関係上、造形時間が長くなる。
そこで本実施の形態では、図10に示すように、主走査方向でなく副走査方向に分割プレートを並べる配置を採用している。このような配置例とすることで、走査速度の速い主走査方向に長くなるような姿勢で造形物WKを配置でき、造形時間を短くでき、さらに使用する分割プレートを片方だけとできるので、分割プレートの使用効率も高めることができるという利点が得られる。この例では、XY座標軸の原点側からY軸方向に、第一分割プレート41と第二分割プレート42を配置している。また、第一分割プレート41と第二分割プレート42を一体的に造形プレート40として動作させ、造形エリアを広くして大きな造形物の造形にも対応できる。
加えて、図7のように主走査方向に分割プレートを並べた配置とすると、ヘッド部20を主走査方向に移動させる際に、一方の分割プレート41Xと他方の分割プレート42Xとを同じ造形条件、例えば樹脂の吐出量やローラの押圧力、UV光の強度といった種々の造形パラメータを一定とさせる必要がある。いいかえると、一方の分割プレート41Xと他方の分割プレート42Xとで造形条件を変化させることが困難となる。なぜなら、ヘッド部20を同じ主走査方向への移動中に、毎回、分割プレート41Xと分割プレート42Xとを跨いだタイミングで、樹脂の吐出量やローラの押圧力、UV光の強度といった造形条件を変化させることが容易でないからである。
これに対して、図10に示すような配置では、一の主走査方向へのヘッド部20の移動中は同一の造形条件のままとでき、分割プレートを跨ぐ際、すなわちヘッド部20を副走査方向に移動させるタイミングでのみ、造形条件を変化させることができるので、造形条件をスムーズに切り替えることができる。また造形条件を切り替える回数も、ヘッド部20が分割プレートを跨ぐタイミングのみとなるため、図7の構成のように主走査方向への移動の際に毎回切り替える構成と比べて、遙かに切り替え回数を少なくでき、切替制御を簡素化できハードウェアへの負担も軽減できる。例えば、図11の断面図に示すように、第一分割プレート41と第二分割プレート42とで、造形パラメータとして、Z方向のピッチ、すなわち造形材の厚さを変更するような制御も可能となる。
(造形条件)
分割プレート毎に変更可能な造形条件としては、例えば以下のような造形パラメータが挙げられる。
・Z方向の積層厚さ(Z分解能):まず造形パラメータとして、造形材の吐出量が挙げられる。例えばZ方向の積層厚さを調整して、造形物のZ方向の品質や造形速度を変更できる。
・X方向の分解能:造形物のX方向の品質を調整できる。
・Y方向の分解能:造形物のY方向の品質を調整できる。
・X方向の走査速度:造形物のX方向の品質や造形速度を調整できる。特に造形時に造形材を吐出するタイミングのずれや造形物の反りの調整に有益となる。なお造形材はヘッド部をX方向に走査中に吐出されるため、その振動、空気抵抗などの影響により着弾位置がばらつく傾向がある。そのため、X方向の走査速度を遅くすることで着弾位置が安定し、造形品質を上げることに有益となる。
・Y方向への走査速度:造形物のY方向の品質や造形速度を調整できる。
・硬化手段24の強度:例えば硬化手段24として、紫外光を照射する紫外光ランプを用いる場合、そのランプ強度を調整することで、造形物の品質、例えば反りを調整できる。
・冷却能力:三次元造形装置の内部に冷却ファンを設けて、造形プレートに対して冷却ファンで送風して、造形材を硬化させる際に生じる発熱を冷却することがある。このような場合に、冷却ファンの回転数を制御するなどして冷却能力の強度を調整することで、造形物の品質を調整でき、特に反りの抑制に有利となる。
・ローラ部25の押圧力:ローラ部25の当て方を調整して、造形物の品質、例えば表面状態を制御できる。
・層間待ち時間:層間待ち時間とは、例えば一方の分割プレートで一層造形する間に、他方の分割プレートでは三層造形するような、分割プレート同士で積層の回数やタイミングを異ならせる条件を意味する。すなわち分割プレート単位では、一層造形した後に次の層を造形するまでの時間が変化することと同意である。これにより、造形速度を制御できる。
(Z方向駆動部32)
Z方向駆動部32は、第一分割プレート41と第二分割プレート42をそれぞれ個別に昇降させる。例えば図6の斜視図に示すように、Z方向駆動部32は、第一分割プレート41と第二分割プレート42の裏面側をそれぞれ個別に支承する支承軸33をボールねじとして、ボールねじの回転を個別に制御して、安定的に第一分割プレート41と第二分割プレート42を昇降させることができる。制御手段10は、第一分割プレート41、第二分割プレート42の昇降を個別に行うよう、Z方向駆動部32に制御信号を送る。なお図1等の例では、造形プレート40を支承する支承軸33を、造形プレートの裏面側の中心近傍に配置しているが、この構成に限られず、例えば中心からオフセットした位置や隅部に配置してもよい。
なお、本実施の形態では分割プレートを2枚並べた例を説明したが、分割プレートは3枚以上使用することもできる。例えば図12の変形例に示すように、3枚の分割プレートを副走査方向に並べて配置してもよい。この例では、XY座標軸の原点側からY軸方向に、第一分割プレート41、第二分割プレート42、第三分割プレート43をそれぞれ配置した例を示している。
あるいは、分割プレートの一部をさらに分割した細分割プレートとすることもできる。例えば図13に示すように、第一分割プレート41を主走査方向に分割して、2枚のサブ分割プレート41a、41bで構成している。この場合、サブ分割プレートに分割する分割プレートは、座標の原点に近い側とすることが好ましい。原点に復帰するストロークを短くして効率よく利用できるからである。図13の例では、第一分割プレート41を、XY座標軸の原点側からX軸方向に第一サブ分割プレート41a、第二サブ分割プレート41bに分割して、それぞれ配置している。
あるいはまた、一の分割プレートの縦横を囲むように他方の分割プレートを配置することもできる。例えば図14の変形例に示すように、矩形状の左下を原点に配置した第一分割プレート41Cに対し、右側と上側の辺を囲むように第二分割プレート42Cを配置してもよい。
以上のように、造形プレートを複数枚の分割プレートに分割し、各分割プレートを同一平面上に並べて配置して造形エリアを大きくしつつ、分割された各分割プレートを個別に動作可能とすることで、大きな造形物の造形を可能としつつ、小さな造形物の造形に際しては効率よく造形できるようにしている。
(座標軸)
なお、造形プレートを複数の分割プレートに分割した際の、XY方向の座標軸の持ち方については、上述の通り共通のXY座標軸とする他、図15に示すように、各分割プレート毎に個別の座標軸を持たせて制御してもよい。図の例では、第一分割プレート41の座標軸を(X1、Y1)とし、第二分割プレート42の座標軸を(X2、Y2)として、個別に座標軸を持たせている。
(サブプレート50)
造形プレート上には、造形物を直接造形する他、他の部材、例えばサブプレート50を介在させて、サブプレート50上に造形物を造形する構成としてもよい。例えば、図16の断面図に示す例では、第一分割プレート41の上面に、この第一分割プレート41とほぼ同じ大きさか、又は一回り小さい大きさの第一サブプレート51を、着脱式に載置している。同様に第二分割プレート42の上面にも、この第二分割プレート42とほぼ同じ大きさか、又は一回り小さい大きさの第二サブプレート52を着脱式に配置している。このようにすることで、各分割プレート上で造形物を造形した後に、サブプレート50を分割プレートから分離して、サブプレート50ごと、三次元造形装置から取り出すことができる。
例えば造形物の数が多い場合に、一旦サブプレートを取り出して、別のサブプレートを三次元造形装置にセットすることで、次の造形を早期に開始することができ、効率がよい。特に造形物が樹脂の場合は、最下層のモデル材が下地と接合された状態となり、造形プレート上に直接造形物を造形した場合は、造形プレートから剥離するのに手間がかかることがある。また造形物の最下層をサポート材とすることで、剥離を容易に行うことが可能であるが、この場合はサポート材が造形プレートに付着するので、造形プレートの表面を洗浄する手間がかかる。
そこで、直接造形プレート上に造形物を造形するのでなく、造形プレートと別部材のサブプレートを造形プレート上に着脱式に設置し、その上面に造形する構成とすることで、造形の終了後にはサブプレートを造形プレートから脱離することにより、一旦三次元造形装置から造形物を纏めて取り出すことが可能となる。また予備のサブプレートを代わりに三次元造形装置にセットすれば、次の造形作業を速やかに開始できるので、サブプレートから造形物を剥離したり、サブプレートの表面を綺麗に洗浄するといった作業の終了を待つことなく、効率よく造形を行える利点が得られる。
また、造形プレートを複数枚に分割した構成においては、各分割プレートごとに、サブプレートを設置することで、上述した利点を享受できる。なお本明細書において、造形材を造形プレート上に吐出あるいは積層するとは、直接造形プレート上に吐出、積層させる態様の他、上述のように、造形プレート上にサブプレート等を介在させて造形させる態様も含む。すなわち、第一分割プレート41と第二分割プレート42上に第一サブプレート51と第二サブプレート52を載置し、この上に造形材を吐出、積層させて造形する態様も含めて、「造形プレート上に造形」等と表現する。
(駆動モード)
このように複数枚の分割プレートを備える三次元造形装置は、第一分割プレート41と第二分割プレート42とを合わせて、一のプレートとして一体的に駆動させる同期駆動モードと、第一分割プレート41と第二分割プレート42とを個別的に駆動させる非同期駆動モードとを切り替え可能としている。駆動モードの概要を、図17に示す。このような駆動モードの切り替えは、例えば駆動モード選択手段65c(詳細は後述)でもって行わせる。同期駆動モードが選択された際は、第一分割プレート41と第二分割プレート42とを一体的に組み合わせた大きな造形エリアを備える三次元造形装置として、2つの分割プレートに跨る大きな造形物の造形を行うことができる。一方、非同期駆動モードが選択された際は、個々の分割プレートを個別に制御できる。非同期駆動モードはさらに、第一分割プレート41と第二分割プレート42のいずれか一方のみを使用するシングル駆動モードと、第一分割プレート41と第二分割プレート42の両方を使用するマルチ駆動モードを含む。以下、各駆動モードについて説明する。
(同期駆動モード)
同期駆動モードにおいては、第一分割プレート41と第二分割プレート42とを組み合わせた一枚の大きな造形プレートとして造形を行う都合上、造形エリア内における造形中の造形条件を共通に設定する。いいかえると、同期駆動モードにおける造形の途中で、造形条件を規定する造形パラメータを変化させることはない。一方、非同期駆動モードにおいては、造形途中で造形パラメータを変化させることがある。例えば、第一分割プレート41上での第一造形エリアでの造形を行う際と、第二造形プレート上の第二造形エリアでの造形を行うサイトで、造形パラメータを異ならせることができる。
具体的な同期駆動モードにおける造形の一例について、図18〜図19Dに基づいて説明する。ここでは、図18の斜視図に示すように、第一分割プレート41と第二分割プレート42上に、それぞれ配置された5つの造形物WK1〜WK5を造形する例を考える。同期駆動モードでは、第一分割プレート41と第二分割プレート42を一体的に動作させて、仮想的に一枚の大きな造形プレートとして使用する。このため、造形エリアを大きく確保できるので、一枚の分割プレートでは造形できないような、大きな造形物の造形も可能となる。また、第一分割プレート41と第二分割プレート42との境界部分(図19B〜図19Dにおいて破線で示す)を含めた、任意の位置に造形物を配置できる。例えば図19Bの例では、造形物WK3を第一分割プレート41と第二分割プレート42の境界部分に配置している。いいかえると、後述するマルチ駆動モードでは、このような分割プレートの境界部分に造形物を配置する設定はできないので、この点で同期駆動モードは有利となる。
同期駆動モードでは、図19Aのタイミングチャートに示すように造形の開始から造形の終了まで一貫して行われる。具体的には、図19Bに示すように、5つの造形物WK1〜WK5の造形を底面部分から開始する。この場合、高さの低い造形物WK3やWK5の造形が早めに終了するので、これらの造形物WK3、WK5の造形終了後は、図19Cに示すように、造形物WK1〜WK2、WK4のみの造形が継続される。さらに造形が進むと、造形物WK2、WK4の造形も終了し、最終的には図19Dに示すように、造形物WK1のみの造形となる。なお、この例では造形物WK2は円筒状のため、造形時間が経過しても造形される領域、すなわち造形物WK2の断面積は変化しない。一方、造形物WK1は円錐形状であるため、造形作業の経過と共に造形される領域が小さくなっていく。この同期駆動モードでは、第一分割プレート41と第二分割プレート42は同時に降下される。これにより、恰も一枚の大きな造形プレートで造形を行うのと同様の環境が実現され、一枚の分割プレートではサイズが足りずに造形できない大きな造形物でも造形が可能となる。
(一枚の分割プレートを用いた通常造形)
なお、上述した同期駆動モードでは、二枚の分割プレートを同期させて駆動することにより、仮想的に一枚の大きな造形プレートを実現している。いいかえると、二枚の分割プレートを組み合わせて仮想的な造形エリアを構成する同期駆動モードでの造形と、現実に一枚の大きな造形プレートを用いた三次元造形装置による造形とは、実質的には同じ動作となる。また、造形プレートを一枚のみを有する三次元造形装置においては、複数枚の造形プレートが存在しない以上、これらを同期するという概念も当然存在せず、よって複数の分割プレートを同期駆動あるいは非同期駆動させるための複数の駆動モードが存在せず、またこれら複数の駆動モードを切り替えるという概念も存在しないこととなる。ここでは、このような一枚の分割プレートを用いた造形を通常造形と呼び、その具体的な動作例を図20A〜図20Dに基づいて説明する。基本的に通常造形は、同期駆動モードと同様の動作となる。
図20Aのタイミングチャートに示すように、通常造形においても造形の開始から造形の終了まで一貫して行われる。具体的には、図20Bに示すように、5つの造形物WK1〜WK5の造形を底面部分から開始する。この場合、高さの低い造形物WK3やWK5の造形が早めに終了するので、これらの造形物WK3、WK5の造形終了後は、図20Cに示すように、造形物WK1〜WK2、WK4のみの造形が継続される。さらに造形が進むと、造形物WK2、WK4の造形も終了し、最終的には図20Dに示すように、造形物WK1のみの造形となる。
(非同期駆動モード)
次に、非同期駆動モードについて、図21〜図27に基づいて説明する。まず、第一分割プレート41と第二分割プレート42のいずれか一方のみを使用するシングル駆動モードの動作について説明する。なお、非同期駆動モードにおいては、第一分割プレート41と第二分割プレート42とを独立して駆動させるため、第一分割プレート41と第二分割プレート42の境界部分を跨ぐような造形物の配置はできない。よって、ここでは図18に代えて図21の斜視図に示すように、複数の造形物を配置する例を考える。
(シングル駆動モード)
まず、シングル駆動モードについて、図23A〜図23Dに基づいて説明する。このシングル駆動モードでは、いずれか一方の分割プレートのみを使用して造形を行う。例えば図21、図22の例では、第一分割プレート41のみを使用して、3つの造形物WK1WK〜WK3の造形を行う。またシングル駆動モードでは、図23Aのタイミングチャートに示すように造形の開始から造形の終了まで一貫して行われる。具体的には、図23Bに示すように、3つの造形物WK1〜WK3の造形を底面部分から開始する。この場合は、高さの最も低い造形物WK3の造形が最初に終了するので、造形物WK3の造形終了後は、図23Cに示すように、造形物WK1〜WK2のみの造形が継続される。さらに造形物WK2は造形物WK1よりも高さが低いので、造形物WK2の造形が終了すると、図23Dに示すように、造形物WK1のみの造形が継続される。
(マルチ駆動モード)
次にマルチ駆動モードについて、図24A〜図27Eに基づいて説明する。マルチ駆動モードは、第一分割プレート41と第二分割プレート42で個別の造形(造形1、造形2)を行う駆動モードであり、第一分割プレート41と第二分割プレート42のそれぞれの造形1、造形2をの開始させるタイミング、及び終了させるタイミングは、任意に設定できる。
(マルチ駆動モード:同時開始)
まず、第一分割プレート41、第二分割プレート42での造形を同時に開始させる同時スタートのマルチ駆動モードについて、図24A〜図24Dに基づいて説明する。ここでは、図24Aのタイミングチャートに示すように、第一分割プレート41と第二分割プレート42で造形を同時に開始させる一方(図24B)、造形の終了タイミングは異なる。具体的には、第二分割プレート42の造形が第一分割プレート41での造形よりも早期に終了しており(図24C、図24D)、以降は第一分割プレート41での造形のみが継続される状態となる。なお、第二分割プレート42での造形が終了した時点で、第一分割プレート41での造形が継続されている間でも、第二分割プレート42から造形物を取り出すことが可能となる。
(マルチ駆動モード:終了後スタート)
以上の同時開始のマルチ駆動モードでは、第一分割プレート41での造形と第二分割プレート42での造形とを同時に進める例を説明した。ただマルチ駆動モードはこの態様に限られず、いずれか一方の分割プレートでの造形のみを開始し、終了後に他方の分割プレートでの造形に切り替えるような手順で行わせることもできる。このような、一方の造形の終了後に他方の造形を開始させるマルチ駆動モード(終了後スタートのマルチ駆動モード)について、図25A〜図25Fに基づいて説明する。ここでは、図25Aのタイミングチャートに示すように、第一分割プレート41での造形を先に開始させ、その終了後に、第二分割プレート42の造形に切り替えて造形を継続する。具体的には、図25B〜図25Dに示すように、第一分割プレート41で造形物WK1〜WK3の造形を同時に開始する。そして第一分割プレート41での造形が終了すると、次に第二分割プレート42での造形に移行し、図25Eに示すように第二分割プレート42上での造形物WK4〜WK5の造形が開始される。そして造形物の高さの低い造形物WK5の造形が終了すると、図25Fに示すように造形物WK4の造形のみとなって、全ての造形物の造形が終了する。なおこの例でも、第一分割プレート41での造形が終了した時点で、第二分割プレート42での造形が継続されている間でも、第一分割プレート41から造形物を取り出すことが可能となる。
(マルチ駆動モード:割り込みスタート)
以上のようにマルチ駆動モードでは、同期駆動モードと異なり、各分割プレートで個別に造形が行われるので、一の分割プレートの造形を開始する時点で、他方の分割プレートの造形を開始する必要はない。例えば、一方の分割プレートの造形データを作成中に、既に作成が終了している造形データに基づいて他方の分割プレートで造形を開始することもできる。そして、造形データが作成できた時点で、この造形を一方の分割プレート上で開始するように、他方の分割プレートでの造形の継続中に割り込ませることもできる。このような割り込みスタートを許容するマルチ駆動モードについて、図26A〜図26Eに基づいて説明する。この割り込みスタートのマルチ駆動モードでは、必ずしも2つの分割プレートでの造形を同時に開始する必要はなく、また同時に終了させる必要もない。もちろん、同時に開始させたり(上述)、同時に終了させる(後述)ことを禁止するものでない。この意味で、上述した同時スタートのマルチ駆動モードと、後述する同時終了のマルチ駆動モードとを包含するものである。ただ、これらとの区別のため、ここでは一方の分割プレートでの造形の途中で、任意のタイミングで他方の分割プレートの造形を割り込ませる場合について、図26Aのタイミングチャートに示す。この例では、先に第一分割プレート41での造形1を開始した状態で、第一分割プレート41での造形1の途中で、第二分割プレート42での造形2を開始する。そして第一分割プレート41での造形1が終了すると、第二分割プレート42での造形2のみを継続する。具体的には、図26Bに示すように、第一分割プレート41での造形1、ここでは造形物WK1〜WK3の造形を開始し、造形がある程度進み図26Cに示すように造形物WK3の造形が終了した状態で、第二分割プレート42での造形2が割り込み、造形物WK4〜WK5の造形も同時に行われる。そしてさらに造形が進み、図26Dに示すように第一分割プレート41では造形物WK2の造形が終了し、また第二造形プレートでは造形物WK5の造形が終了し、残る造形物WK1、WK4の造形が各分割プレートでそれぞれ継続され、図26Eに示すように第一造形プレートで造形物WK1の造形が終了すると、第二造形プレートでの造形物WK4の造形のみが継続され、すべての造形物が造形される。
このような割り込みスタートのマルチ駆動モードでは、造形を開始する時点で各分割プレートの造形データがすべて揃っている必要がないため、効率のよい運用が可能となる。すなわち、造形データの作成に時間がかかるような場合に、すべての造形データを作成するまで待たずとも、マルチ駆動モードで使用する一方の分割プレートの造形データが作成された時点で造形を開始させ、他方の分割プレートの造形データが作成できた時点で、割り込みを実施することで、効率のよい造形作業が図られる。
あるいは、当初シングル駆動モードで一方の造形プレートのみでの造形を開始し、その造形作業中に、急遽追加の造形物が必要となったような場合、シングル駆動モードからマルチ駆動モードに切り替えて、追加の造形物を他方の分割プレートで造形するように、造形を割り込ませることが可能となり、既に実行中の造形作業の終了を待たずして、造形物の造形作業を開始することができる。
なお、この例では先に第一分割プレート41での造形が第二分割プレート42での造形よりも早く終了する例を説明したが、この例に限定されるものでなく、造形物のサイズや第一分割プレート41での造形の進み具合によっては、逆に第二分割プレート42での造形が第一分割プレート41での造形よりも早く終了する場合もあり得る。
(マルチ駆動モード:同時終了)
なお、各分割プレートでの造形に要する時間は、造形物の大きさ(特に高さ)や数によって異なる。このため図24Aの例では、同時に造形を開始しても第二分割プレート42の造形が第一分割プレート41よりも早く終了している。このように造形の終了タイミングは、通常の造形条件であれば造形物の大きさ等で決定される。
一方で、第一分割プレート41と第二分割プレート42で造形物をそれぞれ造形している際に、造形の開始タイミングは兎も角、造形の終了タイミングを一致させたい場合がある。例えば、水溶性のサポート材を使用している場合は、時間の経過と共に大気中の水分でサポート材が溶解し始めることがある。このため、造形が終了したら速やかに造形物を三次元造形装置から取り出して、サポート材を除去する等の作業を行うことがある。この際、第一分割プレート41と第二分割プレート42で造形されている造形物の終了時期が異なると、それぞれの終了タイミングで三次元造型装置のある場所にユーザが出向いて、造形物の取り出し作業を行う必要があり、効率が悪くなる。このため、両方の分割プレートで得られた造形物を、同じタイミングで全て取り出したいという要求がある。
そこで、造形物の大きさや造形の開始時間等によらず、造形の終了タイミングをほぼ同時期に一致させるよう、造形条件を自動的に変更する造形条件調整手段64fでもって造形条件を意図的に変化させることもできる。なお造形条件調整手段64fは、造形データを設定する三次元造形装置用の設定データ作成装置に設ける(詳細は後述)。
(造形終了タイミング調整機能)
ここで、造形条件調整手段64fで造形の終了タイミングを同時期に調整する造形終了タイミング調整機能の例について、図27A〜図27Eに基づいて説明する。ここでは、図27Aのタイミングチャートに示すように、先に第一分割プレート41での造形を開始させた後で、第二分割プレート42の造形を開始させた状態で、造形の終了タイミングを一致させる例を説明している。まず図27Bに示すように、第一分割プレート41での造形を開始する。次に図27Cに示すように、第二分割プレート42の造形を開始させる。この状態では、第一分割プレート41と第二分割プレート42の造形が、同じヘッド部20でもって交互に行われる。
(造形条件調整手段64f)
この際、第一分割プレート41での造形と第二分割プレート42での造形を、単純に同じ造形条件で行うのではなく、終了時期が一致するように、造形条件調整手段64fでもって、造形条件を調整する。ここで、造形条件調整手段64fでもって造形条件を調整する手順を、図28のフローチャートに基づいて説明する。まず、ステップS2801において、現在の造形条件で第一分割プレート41を継続した場合の第一分割プレート造形終了予定時間と、所期の造形条件で第二分割プレート42で造形した場合の第二分割プレート造形終了予定時間(すなわち第二分割プレート42での造形時間)を、それぞれ演算する。次にステップS2802において、演算された第一分割プレート造形終了予定時間と第二分割プレート造形終了予定時間とを比較し、いずれの造形終了予定時間が早いかを確認する。そして造形終了予定時間の差分を演算する。
次に、ステップS2803において、造形条件調整手段64fが、演算された差分に応じて、変更すべき造形条件を演算する。そして、ステップS2804において、造形条件調整手段64fで演算された造形条件が実際の造形条件として適用されるように、造形条件を書き換える。
例えば、図27Aの例において、現在設定された各造形条件では、第一分割プレート41での造形が第二分割プレート42での造形よりも先に終了すると判定された場合は、造形終了予定時間の差分に応じて、第一分割プレート41での造形を遅らせるように、第一分割プレート41側の第一造形条件を変更する。具体的には、ヘッド部で第一分割プレート41と第二分割プレート42とを交互に順次造形するのでなく、第二分割プレート42を複数層分、造形させた後、第一分割プレート41を一層分、造形させる。いいかえると、第一分割プレート41の造形を1回〜複数回、間引くようにして、第一分割プレート41での層形成を遅らせ、相対的に第二分割プレート42での造形を早める。
この結果、図27Dに示すように、第二分割プレート42での造形は所期の造形条件で継続する一方、第一分割プレート41での造形は、元の造形条件よりも遅いテンポで継続される。上述した図26Dと対比すれば明らかなとおり、円錐状の造形物WK1の造形される面積が、図27Cの状態から変化する量が小さくなっており、第一分割プレート41での造形の速度が低下している様子が確認できる。さらに造形が進み、図27Eに示すように、第二分割プレート42では造形物WK5の造形が終了し、造形物WK4の造形のみが継続される一方、第一分割プレート41での造形は、造形物WK2の造形が終了し、造形物WK1の造形が継続されている。このようにして、第一分割プレート41と第二分割プレート42の造形が、ほぼ同じタイミングで終了される。
このようにすることで、造形条件調整手段64fによって造形条件を変更させることで、造形の終了タイミングを一致させることが可能となり、複数の分割プレートから造形物を取り出す作業を同時に行うことができ、効率を高められ、また造形物の劣化等を回避できる。
以上の例では、造形時間が遅くなるいずれか一方に造形終了時間を合わせるように、他方の造形時間を遅らせるように、造形条件調整手段64fでもって造形条件を調整する例について説明した。この方法であれば、造形の精度を低下させることなく、造形終了時間を一致させることが可能となる。ただ、本発明はこの方法に限られず、造形時間の早いいずれか一方に、他方の造形時間を合わせるよう、造形を早めるように造形条件を変更することも可能である。例えばモデル材やサポート材の吐出量を増やし、走査回数を低減させる。この方法であれば、短時間で造形物が得られる反面、いずれか一方の分割プレートで得られる造形物の精度が、造形時間と共に低下する。特に、先に造形を開始していた分割プレート側で造形条件を調整する場合は、造形の途中から精度が変化することとなる。よって、造形中の分割プレートの造形条件については、精度を低下させるような造形条件の変更は行わないように、造形条件調整手段64fに制限をかけてもよい。
(変更可能な造形条件の範囲)
また、造形条件調整手段64fでもって変更可能な造形条件の範囲に、その他の制限をかけることもできる。例えば、造形時間を短縮するために積層数を低減させる場合は、一定以上の積層数の低下は分解能の低下となるため、許容できる分解能に応じて、造形条件調整手段64fで変更可能な造形条件、特に造形時間を短縮するため低減可能な積層数に制限を設けることができる。逆に、造形時間を長くして造形終了時間を遅らせるために、他方の分割プレートに比べて相対的に層の造形を間引く場合、間引く層数を多くしすぎると、造形材が劣化することがある。例えば、ある層の造形タイミングと、その上に積層される層の造形タイミングとが時間的に開きすぎると、未硬化の造形材が溶融して精度が低下することが考えられる。そこで、このような品質の低下が生じない範囲に、造形されないインターバルの長さに制限を設ける。例えば、間引く層数に制限を設ける。また、造形される面積が小さい造形物の場合は、各層の造形時間も短くなるので、この場合は間引く層数を多くすることができる。このように、造形が休止される時間に応じて、他方の分割プレートの造形を行わせることができる。
あるいは、両方の折衷案として、造形時間が遅い方は、造形終了時間を早めるように造形条件を調整し、他方造形時間が早い方は、造形終了時間を遅らせるように造形条件を調整することで、造形の精度の低下を抑えつつ、造形終了時間も早めることが可能となる。
なお、図27A〜図27Eの例では、第一分割プレート41での造形を先に開始した上で、造形の終了タイミングを一致させるよう、造形条件を変更する例について説明した。ただ、本発明はこの例に限られるものでなく、造形条件の変更が許容される範囲で、造形の終了タイミングを近付けるように、造形条件調整手段64fでもって造形条件を調整する。例えば、造形が第一分割プレート41と第二分割プレート42とで同時に開始された場合でも、造形の終了タイミングを一致させるように調整してもよい。このように、マルチ駆動モードでは、各分割プレートの造形の開始及び終了のタイミングは本来任意であるところ、種々の態様において、造形条件調整手段64fでもって造形条件を、許容される範囲で変更させることによって、造形の終了タイミングを一致させることができる。
また、造形の終了タイミングを一致させるとは、秒単位で完全に一致させる場合に限定されるものでなく、多少のずれを含んでいてもよい。例えば1分や5分、10分以内といった範囲でのタイミングのずれを許容するように、造形条件を設定することができる。
(一部の造形物の取り出し)
なお、マルチ造形モードでの造形に際して、各分割プレートでの造形に要する時間は、造形物の大きさ(特に高さ)や数によって異なる。このため図24Aの例では、同時に造形を開始しても第二分割プレート42の造形2が第一分割プレート41の造形1よりも早く終了している。この場合において、第一分割プレート41の造形1を終了するまで、第二分割プレート42を利用できないと、得られた造形物が直ちに利用できないばかりか、造形が終了しているにも拘わらず分割プレートを次の造形に利用できない状態となって、利用効率が悪くなる。また、造形が終了した造形物は、長時間放置すると吸湿等によって劣化することがあり、早めに取り出してサポート材を除去するなどの処理を行うことが好ましい場合もある。そこで、一方の分割プレートでの造形が終了した時点で、他方の分割プレートの造形が未終了であっても、造形の終了した造形物を取り出せるようにする。これによって、得られた造形物の早期の利用が可能となり、また造形物を除去することで新たな造形を開始でき、利用効率も高められる。
このように、他方の分割プレートでの造形途中に、造形が終了した分割プレートから造形物を取り出す際には、他方の分割プレートで造形途中の造形物に悪影響を与えないように留意する必要がある。すなわち、造形中の造形物に意図せず手を触れたり物が接触したりすると、未硬化の樹脂が変形して、所期の精度で造形物が得られない虞がある。そこで、造形物の取り出し作業の際に、このような接触を避けるため、取り出しに係る分割プレートと、造形途中の分割プレートとに高低差を設けるように、各分割プレートを制御する。具体的には、ステージ位置制御部13でもってZ方向駆動部32を制御し、取り出しに係る分割プレートと、造形途中の分割プレートとに高低差を設けるよう、いずれか又は両方の分割プレートを取り出し位置に移動させる。
ステージ位置制御部13は、取り出し位置として、造形物が造形された分割プレートを、Z方向駆動部32でもって上昇させることが好ましい。特に図29の断面図に示すように、造形物の取り出しのために三次元造形装置の筐体部3に、上方側に開く取り出し部4を設けている場合、三次元造形装置から造形物を取り出し易くできる。一方で造形中の分割プレートでは、一般に分割プレートとヘッド部との距離が遠くなる、いいかえると分割プレートが降下された位置にあるため、造形の終了した分割プレートを上昇させることで、造形中の分割プレートとの高低差が得られ、造形の終了した造形物WKCを取り出す際に、造形作業中の分割プレートや造形途中の造形物WKUに誤って触れる事態を回避できる。
例えば、図30に示すように、第二分割プレート42での造形2が終了し、第一分割プレート41での造形1が継続中の時点で、ユーザが第二分割プレート42から造形物WKCを取り出す場合を考える。ここでは、造形の終了した取り出しに係る造形物WKCを載せた第二分割プレート42を上昇させる。これによって、ユーザは腰を屈めたりすることなく、造形物WKCを取り出しやすくする。また、図29の断面図及び図31の斜視図に示すように、筐体部3には、上方側に開く取り出し部4を設けている。これによって、ユーザは取り出し部4から、手前側の第二分割プレート42に容易にアクセスできる。
なお取り出し部4は、図29や図31の例では、筐体部3の上面の一部から側面の上方にかけて開口された取り出し口を閉塞するように、断面視L字状に折曲された形状に形成される。ここでは、取り出し部4をウイング式に跳ね上げて開放するよう、ヒンジ状に筐体部3の上面に旋回自在に支承されている。
一方、造形途中の第一分割プレート41においては、造形物WKCの取り出しを行う前に、造形1の造形作業を一旦中止する。好ましくは、図29及び図31に示すように、第一分割プレート41をさらに降下させる。これによって、造形物WKCの取り出し作業中の第二分割プレート42から、第一分割プレート41をさらに離間させることができ、安全性を高められる。
また上述の通り、各分割プレート上に、サブプレート50を配置することで、このような造形物の取り出し作業を簡素化できる。すなわち、図16、図32等に示すように、予め分割プレート上にサブプレート50を配置し、この上に造形物を造形する構成とすれば、サブプレート50ごと三次元造形装置から取り出すことが可能となり、取り出し作業を一括して行える利点が得られる。特に多数の造形物を造形する際は、一々各造形物を分割プレートから取り外す手間を避け、大幅な省力化と時間短縮が図られる。取り出し作業の間に造形を中断する場合は、取り出し作業時間を短縮すれば、早期に造形を再開でき、時間損失を抑制できる。また造形の中断時間が長くなると、造形途中の造形物に悪影響を与えることも考えられ、このような問題も造形時間の短縮によって回避できる。さらに、造形が終了した分割プレートから造形物を排除すれば、この分割プレートで新たな造形を開始することも可能となり、三次元造形装置の利用効率も高められる。
以上の図29〜図31等の例では、手前側の第二分割プレート42から造形物WKCを取り出す例を説明した。これとは逆に、取り出し部4を設けた側に対して、奥側の第一分割プレート41で造形が終了し、手前側の第二分割プレート42で造形が継続中の場合は、図33の斜視図に示すように、取り出し位置として第一分割プレート41を上昇させる。また第二分割プレート42は、好ましくは造形を中止し、さらに降下させる。このようにして、第一分割プレート41と第二分割プレート42に高低差を設けた状態で、図34の断面図に示すように取り出し部4を開放して、ユーザは奥側の第一分割プレート41から造形物WKCを取り出す。
(カバー部58)
また、取り出し作業の際に、造形途中の造形物WKUを保護するためのカバー部58を用意することもできる。例えば、上述した図34の例では、奥側の第一分割プレート41にアクセスする際、第二分割プレート42を跨いだ作業となるため、第二分割プレート42を降下させたとしても、例えば物を不意に落とすなどして、第二分割プレート42上の造形物WKUに触れる虞がある。そこで、図35の斜視図及び図36の断面図に示すように、第二分割プレート42の上面にカバー部58を配置して、第二分割プレート42への物理的なアクセスを遮断することができる。これらの図に示す例では、カバー部58を平板状としている。カバー部58は、十分な強度を有する材質、例えば樹脂製の板材や金属板が利用できる。またカバー部58の保持には、例えば図37の三次元造形装置の斜視図に示すように、第二分割プレート42の上方に設けられた枠状5の部分に橋渡しするような状態で配置できる。枠状5は例えば、造形プレートを上昇させた位置で、この造形プレートの周囲を囲むように形成する。この例では、カバー部58を別部材として、造形物WKCの取り出しに先立ち、取り出し部4を開けた状態で、ユーザが手でカバー部58をセットしている。この構成であれば、カバー部58で一方の分割プレートを覆うように配置させる機構を簡素化でき、装置の低コスト化を実現できる。ただ、本発明はこの構成に限られず、例えばカバー部を自動で開閉する構成としてもよい。
また平板状のカバー部58を配置することで、奥側の第一分割プレート41から造形物WKCを取り出す作業も、カバー部58を造形物WKCの一時的な置き場所として利用できる。特に、サブプレート50を用いる場合は、サブプレート50の大きさが第一分割プレート41の大きさと同程度となり、重量も嵩むため、そのまま持ち上げるのは重くなる。そこで、手前側の第二分割プレート42の上面にカバー部58を配置することで、カバー部58の上面を滑らせる、あるいは引きずるようにしてサブプレート50を手前側に運びやすくできる。またこの際、カバー部58の上面高さを、第一分割プレート41の上面とほぼ同じ高さとするか、あるいはこれよりも若干低くすることが好ましい。これによってサブプレート50を持ち上げることなく手前側に移動させることが容易となる。例えば、カバー部58の上面高さと一致させるように、ステージ位置制御部13でもって第一分割プレート41側の高さを調整することで実現できる。
なお、この例では奥側の分割プレートから造形物WKCを取り出す際に、手前側の分割プレートに対してカバー部58を配置する例を説明したが、上述した図29等のように、手前側の分割プレートから造形物を取り出す際にも、奥側の分割プレートに対してカバー部を配置することもできる。
(第二取り出し部4B)
以上の例では、筐体部3に取り出し部4を一つ設ける例を説明した。ただ本発明は取り出し部の数を一に限定せず、複数設けることもできる。例えば図38の斜視図及び図39の断面図に示す例では、筐体部3を構成する矩形状の面の内、分割プレートを複数並べた方向に沿って、それぞれ取り出し部を設けている。すなわち、第二分割プレート42の側面、図38において手前側の側面に第二取り出し部4Bを設けると共に、第一分割プレート41の側面、図38において奥側の側面に、第一取り出し部4Aを設けている。これによって、第一分割プレート41からの造形物WKCの取り出しには第一取り出し部4Aを、第二分割プレート42からの造形物WKCの取り出しには第二取り出し部4Bを利用することで、第一分割プレート41、第二分割プレート42のいずれに対しても、より近いアクセスが可能となり、取り出し作業を容易に行える。特に図33や図34に示したように、遠い側の分割プレートから造形物WKCを取り出す作業の不便さを解消できる。また手前側の分割プレート上の造形物WKUを破損するリスクを回避でき、例えばカバー部をセットする手間を省くこともできる。
(第三取り出し部4C)
さらに以上の例では、取り出し部を筐体部3の上方に設ける構成について説明したが、本発明は必ずしもこの構成に限られず、例えば筐体部の下方に取り出し部を設けてもよい。例えば図40の斜視図に示すように、筐体部3の長手方向の側面の下方を開口させて、第三取り出し部4Cを設ける構成とすることもできる。この場合は、上述の例とは逆に造形物WKCを取り出したい分割プレートを降下させる。また、造形中の分割プレートは上昇させる。このように取り出し位置の制御が上記とは逆になるが、分割プレート間に高低差を設けて離間させることは同様であり、未完成の造形物WKUに触れる事態を回避できる。特に、造形未完了の分割プレートを高い位置としたことで、取り出し作業中に誤って物を落として造形中の造形物WKUに接触することがない。よってカバー部を不要とできる。また、場合によっては造形未完了の分割プレートの造形作業を中断することなく、継続させたまま取り出し作業を行うことも可能となる。
図41の断面図に示すように、手前側の分割プレート(図41の例では第二分割プレート42)から造形物WKCを取り出す際は、手前側の分割プレートを(図41の例では第一分割プレート41)降下させて、奥側の造形中の分割プレートを上昇させる。この場合は、アクセスにも優れ、容易に造形物WKCの取り出しを行える。一方、図42の断面図に示すように奥側の分割プレート(図42の例では第一分割プレート41)から造形物WKCを取り出す際は、手前側の分割プレート(図42の例では第二分割プレート42)を上昇させて、奥側の造形中の分割プレートを降下させる。この場合は、手前側の分割プレートを上昇させるZ方向駆動部32を構成する支承軸(例えばボールねじ)が邪魔となることが考えられる。特に、図6等に示すように分割プレートの下面中央に支承軸33を配置した構成では、奥側の分割プレートへのアクセスの妨げとなる。そこで、図43の斜視図に示すように、支承軸33’を分割プレートの下面中央からオフセットさせて配置することで、中央部分を空けて奥側へのアクセスを改善できる。この例では、支承軸33’を2本に分けて左右にそれぞれ設けたことで、支承軸同士の間に空間を設けている。あるいは、図44の斜視図に示すように、分割プレートの四隅に33”を設けることで、手前側の分割プレートの下面をより広く空け、一層のアクセス性を確保できる。
(第四取り出し部4D)
さらにまた以上の例では、筐体部3を構成する矩形状の面の内、分割プレートを複数並べた方向に取り出し部を設ける例を説明した。ただ取り出し部4を設ける位置は、この構成に限られず、例えば分割プレートを並べた方向と交差する面側に、取り出し部4を設けてもよい。このようにすることで、一方向からいずれの分割プレートに対してもアクセスすることが可能となり、複数の取り出し部4を設けることなく、造形物WKCの取り出しをスムーズに行える。このような例を図45の斜視図及び図46の断面図に示す。この図に示す筐体部3は、短手方向の面に第四取り出し部4Dを設けている。特に上述した図38のように、長手方向に面して対向する二面に取り出し部4をそれぞれ設ける構成では、三次元造型機を設置する場所として、長手方向の両面を空けた状態に設置しなければならず、設置場所の制約を受けることが考えられる。これに対して図45の構成であれば、三次元造形装置の短手方向の一面のみを空けておくことで、いずれの分割プレートに対してもアクセスが可能となる。
なお、上述した異なる構造の取り出し部4の内、いずれかを選択的に設ける他、複数の開口部を設けることも可能であることはいうまでもない。
このように、分割プレート同士に高低差を設けることで、分割プレート同士を物理的に離間させて、不意に造形物WKUに触れるといった事態を回避できる。なお、分割プレート間の高低差は、大きいほど好ましい。例えば、分割プレートの取り出し位置として、取り出しに係る分割プレート(上記の例では第二分割プレート42)を最も高い高さに上昇させる。あるいは、造形途中の分割プレート(上位の例では第一分割プレート41)を、最も低い高さに降下させる。また、両方の分割プレートを移動させることで、分割プレート間の距離を最大限として、一層安全性を高めることができる。なお高低差はこの例に限定されるものでなく、少なくとも、造形された造形物の高さ分以上となるように、ステージ位置制御部13でもって制御する。
なお、以上の例では造形物の取り出しの際には、ヘッド部を走査させる造形作業を一旦中断している。ただ、一方の分割プレートでの造形を継続したままで、他方の分割プレートから造形物を取り出すようにしてもよい。この場合、例えばカバー部を利用したり、造形物を載せた分割プレートを最上位置に移動させるなどして、造形作業中の造形エリアに支障を与えないような対策を講じることが好ましい。
また、このようにステージ位置制御部で分割プレートを取り出し位置に移動させるタイミングは、造形物を取り出す前であればよい。例えば、ユーザが取り出し部4を開ける際に、この開放動作をマイクロスイッチ等で検出して、ステージ位置制御部が自動的に分割プレートを取り出し位置に移動させるよう構成してもよい。
(告知手段14)
また、一方の分割プレートの造形が終了し、造形物WKCの取り出しが可能になっていることをユーザに知らせる告知手段14を設けることもできる。これによって、ユーザは造形物WKCの取り出し作業を速やかに開始することができ、効率のよい造形作業が実現される。特に、三次元造形装置の造形時間は一般に数時間〜十数時間と長く、造形の終了時刻を忘れることがあるため、ユーザに告知する手段を設けることで、ユーザに思い出させ、無駄を省いて効率のよい造形オペレーションが実現される。また告知手段14は、音、例えばブザーやチャイム、メロディといった聴覚に訴えるものの他、フラッシュライトや点滅といった視覚に訴える手段が利用できる。例えば三次元造型機にランプを設けて、造形中には赤、造形終了後には青色に変化するよう点灯色を変化させる。また、各分割プレートごとにこのようなランプを設けることもできる。あるいは、操作用あるいは動作監視用のコンピュータのモニタ画面上に告知メッセージをポップアップ表示させてもよい。さらに、ランプやブザー音などの複数の手段を適宜組み合わせてもよい。このようにして、ユーザに対して造形物の取り出しが可能となったことを告知し、ユーザは造形物の取り出しタイミングを逸することなく、速やかに取り出し作業を行うよう促される。
(開放警告手段15)
また造形物の取り出し作業終了後には、取り出し部4を閉塞して、造形作業が再開される。例えば、安全性や異物の侵入などを阻止する観点から、取り出し部4を閉塞した後に造形作業を再開するように構成される。この場合において、造形物の取り出し作業終了後に、ユーザが取り出し部4を閉塞することを忘れ、造形作業の再開が行えないことが考えられる。このような事態が生じると、造形作業が継続されずに無駄な時間が経過することに加え、造形途中の造形物WKUが長時間放置されて、吸湿等によって品質が低下することも考えられる。そこで、造形作業の中断後に、早期に造形作業が再開されるよう、取り出し部4の開放時間が所定の時間より長い場合に、ユーザに対して警告を行う開放警告手段15を設けることもできる。このようにすることで、造形物WKCの取り出し後に取り出し口を閉塞し忘れた場合や、造形物WKCの取り出し作業が極端に長引いた場合等、分割プレート上で未完了の造形物WKUが長時間に亘って放置され、造形途中の造形物WKUに悪影響が出る事態を、未然に回避することができる。なお、告知手段14と開放警告手段15は、個別の部材とする他、一の部材に統合することもできる。
(制限エリアBA)
なお、マルチ造形モードでの造形に際して、各分割プレートでの造形に要する時間は、造形物の大きさ(特に高さ)や数、あるいは造形を開始するタイミングによって異なる。このため、例えば図47Aの例では、同時に造形を開始しても第二分割プレート42の造形2が第一分割プレート41の造形1よりも早く終了している。また図48Aや図49Aの例では、第一分割プレート41の造形が第二分割プレート42の造形よりも早く終了している。
例えば図50に示すように、第一分割プレート41の造形が終了しており、第二分割プレート42での造形を継続する場合を考える。第二分割プレート42での造形を終了するまでの間、この第二分割プレート42上の第二造形エリアではモデル材やサポート材等の造形材を硬化させるため、硬化手段24からUV光が繰り返し照射される。この際、UV光の一部が漏れ光となって、すでに造形の終了した第一分割プレート41上の造形済み造形物WKCに照射されると、樹脂の変色や劣化等が生じることがあった。またヘッド部20の吐出手段20Cの吐出ノズルから吐出されたインク、すなわち粒状の造形材の一部が不良となって、第二分割プレート42上に堆積されずに周囲に飛散する。このような飛散した粒子が空気中を漂って、第一分割プレート41上の造形済みの造形物に至って付着し、さらにUV光が照射されて硬化されると、造形物の表面がドット状にざらつくといった問題もあった。
そこで、このような問題に鑑みて本実施の形態においては、分割プレート同士が隣接する境界部分に制限エリアBAを設け、この制限エリアBA上には造形物を配置しないようにする。例えば図51に示すように、第一分割プレート41と第二分割プレート42とが面する境界領域に造形物を配置するのでなく、図52に示すように、境界領域に制限エリアBAを設け、造形物を配置する際には、この緩衝領域を避けるようにしてレイアウトを行う。このようにすることで、隣接する分割プレート同士の間に物理的な緩衝地帯が設けられ、隣接する一方の分割プレート上での造形が、他方の分割プレート上で造形された造形物に悪影響を与える事態を、物理的な離間によって低減できる。
具体的には、後述する造形データの設定時に、予め制限エリアBAが設定され、制限エリアBAを除いた造形エリア上に造形物のオブジェクトを配置するようにして、造形データが設定される。すなわち、制限エリア設定手段65iでもって、第一分割プレート41と第二分割プレート42とが隣接する領域に制限エリアBAを設定する。制限エリアBAの幅は、造形中の分割プレート上に吐出された造形材を硬化させるため、硬化手段24から照射されるUV光が、他方の分割プレート上に造形された造形物に照射される影響を低減できる程度とする。
また制限エリアBAは、好ましくは接合面に対して均等に設けられる。すなわち、第一分割プレート41と第二分割プレート42の接合面を中心として、制限エリアBAを、第一分割プレート41側、及び第二分割プレート42側に対して、それぞれほぼ等しい間隔に設けられている。このようにして、一方の分割プレート上で造形物を配置できない領域が占有されることを抑え、造形物の保護と造形エリアの確保を両立させる。
(周囲マージンPM)
さらに、図53に示すように、第一分割プレート41及び第二分割プレート42の各周辺領域において、造形物の該分割プレートからの落下防止のため設けられる周囲マージンPMよりも、制限エリアBAの幅を大きくすることが好ましい。この場合、制限エリアBAの幅が周囲マージンPMよりも広いため、制限エリアBAの領域においては、周囲マージンPMと重なって消失したような状態となる。なお周囲マージンPMは、周囲マージン設定手段65hで設定される(詳細は後述)。
造形物を各分割プレート上に配置するには、制限エリア設定手段65i及び周囲マージン設定手段65hで、それぞれ制限エリアBAの幅及び周囲マージンPMの幅が設定された状態で、第一分割プレート41上の第一造形エリアと第二分割プレート42上の第二造形エリアに対して、三次元造形装置用の設定データ作成装置でもって行う。具体的には、この設定データ作成装置で造形物の三次元データを取得し、各造形物をオブジェクトとして、第一分割プレート41又は第二分割プレート42上に設定される第一造形エリア又は第二造形エリアと対応して、仮想的に設定される第一仮想造形領域又は第二仮想造形領域にオブジェクト配置手段64bで配置する。ここで第一造形エリアや第二造形エリアは、周囲マージンPMと制限エリアBAを加味して、ヘッド部20を走査させて造形物を造形可能なエリアとして設定されている。よって、これら第一造形エリア、第二造形エリアとそれぞれ対応する第一仮想造形領域、第二仮想造形領域も、周囲マージンPM及び制限エリアBAとそれぞれ対応する周囲領域、緩衝領域を加味して、オブジェクトを配置可能なエリアとして規定されている。
なお、オブジェクトの大きさによっては、どうしても第一仮想造形領域や第二仮想造形領域に配置できないことががある。例えば、図54に示すように、造形物WK1の幅が第一分割プレート41の幅よりも狭く、第一分割プレート41のみでも造形自体は物理的に可能であるものの、制限エリアBAを設定すると、造形ができない場合がある。同様に造形物WK2の幅が第二分割プレート42の幅よりも狭いものの、制限エリアBAにかかっていることがある。このような場合には、造形の実行を優先させて、造形物の一部が制限エリアBAにかかっていても、これを無視して造形を強行させるように設定することもできる。また、造形を強行するか、マルチ造形モードでの造形中止するか、あるいは二枚の分割プレートを組み合わせて一枚の造形プレートとして造形する同期駆動モードでの造形を行うかを、ユーザに選択させてもよい。さらに、このように造形物の一部が制限エリアBAにかかることをユーザに警告するための配置警告手段64gを設けることもできる(詳細は後述)。
なお、このような制限エリアBAは、隣接する分割プレートでそれぞれ個別に異なる造形を行うマルチ造形モードにおいて設定される。いいかえると、分割プレートのいずれか一方のみで造形を行うシングル造形モードや、分割プレートを組み合わせて一枚の大きな造形プレートとして造形を行うシングル造形モードにおいては、このような制限エリアBAを設ける必要はない。
(分割プレート退避処理)
また、このような造形物を保護するための方法として、造形が終了した分割プレートを照射保護位置に退避させるよう、分割プレートを移動させることもできる。すなわち、Z方向駆動部32を制御して、各分割プレートの高さを調整するステージ位置制御手段13でもって、第一分割プレート41又は第二分割プレート42の一方で造形が継続中に、他方で造形物の造形が終了した際、該造形の終了した分割プレートを降下させて照射保護位置に移動させる。このように造形が完了した分割プレートを降下させることで、造形済みの造形物を造形継続中の造形エリアから物理的に離間させることができる。すなわち、造形途中の分割プレートで硬化手段24から照射される光やその漏れ光が、造形済みの造形物に照射されて変色や劣化を生じたり、あるいは飛散したインク粒子が付着するといった事態を回避でき、造形物の保護が図られる。
照射保護位置は、好ましくは分割プレートの高さを最も低くした位置とする。これにより、造形済みの造形物を載せた分割プレートを、造形継続中の造形エリアから最大限離間させて、造形済みの造形物を保護を図ることができる。
このような造形物の保護の観点から、各分割プレートの昇降位置を制御する例を図55A〜図55Iに基づいて説明する。例えば第一分割プレート41、第二分割プレート42共に造形未完了の場合は、図55Aに示すように両者とも上昇させるた位置とする。例えば最も高い位置に移動させる。これによって、分割プレート上に何も造形物がない、いいかえると利用可能であることをユーザが目視で確認できる。また、各分割プレートの清掃を行う際にも作業を容易にできる。
次に、第二分割プレート42で造形を行い、第一分割プレート41では造形を行わない場合、例えば第二分割プレート42のみを動作させるシングル造形モードや、第二分割プレート42での造形が未だ開始されていない状態を考える。この場合は、図55Bに示すように造形を行っていない第一分割プレート41を降下させた位置とすることが好ましい。これによって、第一分割プレート41がヘッド部20に接触するリスクを回避できる。降下位置は、最下位置とする必要はない。例えば第二分割プレート42での造形の進行と共に徐々に降下されていき、最終的に造形が終了する時点での第二分割プレート42の高さと同じか、これよりも低くする。
一方で、第二分割プレート42の造形が終了すると、図55Cに示すように第二分割プレート42を上昇させて、造形物が完成していることをユーザが目視で確認しやすくする。同様に第一分割プレート41も上昇させて、この分割プレートが空き状態であることを示すようにすることが好ましい。また、必要に応じてユーザに造形が終了したことを告知手段14によって告知し、取り出しを促してもよい。
さらにユーザが第二分割プレート42から造形済みの造形物を取り出す際には、図55Dに示すように図55Eと同様、第二分割プレート42を上昇位置として取り出しやすくする。また第一分割プレート41も上昇位置とすることで、誤って第二分割プレート42上から一部の造形物が倒れたり転げ落ちたりした際に、分割プレートの下に落下しないように保護できる。このましくは、第一分割プレート41を第二分割プレート42と同じ高さに維持する。
なお図55Dの例では、三次元造形装置の筐体から造形物を取り出すための取り出し部4を第二分割プレート42側に設けた例を示している。この場合は第二分割プレート42側から造形物を取り出しやすい利点が得られる。一方、第一分割プレート41側に取り出し部4を設け、取り出し部4に対して奥側の第二分割プレート42上から造形物を取り出す際は、造形未完了の第一分割プレート41を上昇させて第二分割プレート42と同じ高さとすることで、取り出しに際して第二分割プレート42から同一平面状に延長された状態となり、作業を容易にできる。さらに、上述したサブプレートを第二分割プレート42の上面に載置している場合は、このサブプレートの上面に造形された造形物とサブプレートごと、第二分割プレート42上から第一分割プレート41上面を滑らせるような状態に移動させて取り出すことができる。
次に、第二分割プレート42のみならず、第一分割プレート41でも造形を行う、マルチ造形モードの場合について説明する。この場合、各分割プレートで造形中の場合は、図55Eに示すように造形物の造形工程に従って制御される。次に第二分割プレート42での造形が終了した場合は、図55Fに示すように第二分割プレート42を降下させる。すなわち上述の通り、造形が完了した分割プレートを降下させることで、第二分割プレート42上の造形済みの造形物を、第一分割プレート41上で造形継続中の造形エリアから離間させることができる。これにより、第一分割プレート41で硬化手段24から照射される光やその漏れ光が、第二分割プレート42上の造形済みの造形物に照射されて変色や劣化を生じたり、あるいはインク粒が飛翔して造形物に付着するといった事態を回避できる。また、必要に応じて、第二分割プレート42上で造形が終了したことを、告知手段14によってユーザに告知し、取り出しを促してもよい。
ここで、第一分割プレート41上で造形継続中に、第二分割プレート42上から造形済みの造形物を取り出す際には、図55Gに示すように第二分割プレート42を上昇させて取り出し位置とする。これにより、ユーザは第二分割プレート42上から造形物の取り出し作業を容易に行える。一方で、造形途中の造形物を載置した第一分割プレート41については逆に降下させる。このように配置することで、第二分割プレート42を、取り出しに係る第二分割プレート42から物理的に離間させることができ、造形途中の造形物にユーザが誤って触れて破損する事態を回避できる。
また、第二分割プレート42上に造形済みの造形物を載置したまま、第一分割プレート41上での造形が終了した場合は、図55Hに示すように第一分割プレート41と第二分割プレート42を共に上昇させる。このようにすることで、造形が終了していることをユーザが視認できるようにして、造形物の取り出しを促すことができる。またここでも必要に応じて、告知手段14によってユーザに音声や点灯等で告知することもできる。そしてユーザが造形物を取り出す際には、図55Iに示すように、第一分割プレート41と第二分割プレート42を上昇位置としたまま、取り出し部4から造形物をユーザが取り出す。このように取り出しに係る分割プレートを上昇位置とすることで、ユーザの手による取り出し作業を容易に行える。
このように、各分割プレートの高さをステージ位置制御手段13でもって、造形の段階に応じて調整することにより、造形物の保護や取り出しの促し、取り出し作業の容易化を図ることができる。
(三次元造形装置用の設定データ作成装置)
以上のような各駆動モードにおいて、造形物をどの造形プレートや分割プレート上のどの位置で造形するか、またその際の造形の精度、例えば造形のXY方向の分解能やZ方向のピッチといった造形条件を規定する造形パラメータは、設定データ作成装置で設定する。この設定データ作成装置は、専用のハードウエアで構成する他、汎用又は専用のコンピュータで実行される設定データ作成プログラムによっても実現される。
次に、このような三次元造形装置に造形物のデータを指示する設定データ作成装置について、図56のブロック図に基づいて説明する。この図に示す三次元造形装置用の設定データ作成装置1は、CADデータ等の三次元データを取得するための入力手段61と、取得された三次元データを、例えばSTL(Stereo Lithography Data)データに変換した三次元データにて規定される造形物を示すオブジェクトを三次元的に表示するための表示手段62と、各種設定や調整を行うための設定手段65と、設定された造形パラメータに従ってオブジェクトの最適な姿勢と配置位置を演算する演算手段64と、決定された姿勢及び位置に従って三次元造形装置を駆動する設定データを、三次元造形装置が読み込めるデータ形式に変換して、三次元造形装置側に出力するための出力手段66とを備える。
なお上述の通り、ここでは三次元造形装置の一例として、インクジェット方式の三次元造形装置に対して、三次元状の造形物の設定データを送出する設定データ作成装置を説明するが、この設定データ作成装置は、利用する三次元造形装置をインクジェット方式に特定するものでなく、他の方式でもUV硬化型樹脂や熱可塑性樹脂を用いる三次元造形装置であれば有効な手法である。
(入力手段61)
次に図56に示す設定データ作成装置の各部材について説明する。まず入力手段61は、造形物の形状を予め三次元CAD等で作成した三次元データを取り込むための部材である。三次元データとしては、規格化された汎用又は専用のデータフォーマットに従って作成されたものが利用でき、例えばSTL、STEP、IGES、Parasolid、ACIS、HSF、NGRAIN、OBJ、DXF、VRML、XVL、HTML等が利用できる。この例では、造形物と対応する三次元データであるオブジェクトを、STLとして入力する。
(表示手段62)
表示手段62は、演算手段64の演算結果や設定手段65の設定内容を表示させるための部材であり、モニタやディスプレイが利用できる。例えばLCDやCRT、有機EL等が利用できる。またタッチパネルを利用することで、表示手段62と設定手段65を兼用することもできる。
(設定手段65)
設定手段65は、パラメータ設定手段63、位置調整手段65b、駆動モード選択手段65c、終了時間指定手段65d、配置基準設定手段65e、優先プレート指定手段65f等の機能を実現する。このような設定手段65としては、マウスなどのポインティングデバイスやキーボード、コンソールなどの各種入力デバイスが利用できる。
パラメータ設定手段63は、造形パラメータを設定するための部材である。位置調整手段65bは、演算手段64で演算された最適姿勢及び最適位置をユーザが微調整したり、あるいは所望の位置、姿勢を手動で調整するための部材である。
駆動モード選択手段65cは、造形プレートを複数の分割プレートで構成する場合において、駆動モードとしてフル駆動モード、シングル駆動モード、マルチ駆動モードのいずれかを選択するための部材である。また優先プレート指定手段65fは、造形プレートが複数の分割プレートで構成されている場合、オブジェクト配置手段64bでオブジェクトをいずれかの分割プレートと対応する仮想造形領域上に配置する際に、いずれの分割プレートに優先して配置するかを指定するための部材である。
さらに終了時間指定手段65dは、造形プレートや分割プレートでの造形を終了する時間を指定するための部材である。また配置基準設定手段65eは、各々造形物と対応する複数のオブジェクトの内、いずれを造形プレートに対応する仮想造形領域中に配置するかを決定する基準となる配置基準を設定するための部材である。また配置基準設定手段65eは、優先順位指定手段65gの機能を含めることもできる(配置基準設定手段65eの詳細は後述する)。
パラメータ設定手段63で設定された一般最適化条件に従って、演算手段64はオブジェクトの最適姿勢と最適位置を演算する。また位置調整手段65bにより、オブジェクト配置手段64bで各仮想造形領域上に配置されたオブジェクトの位置をユーザが調整することができる。
(造形パラメータ)
三次元造形に際しては、必要なモデル材MAの量は、オブジェクトの姿勢や位置によらず不変であるものの、これを支持するサポート材SAの量は、モデル材MAの姿勢や配置状態に応じて変化する。よって使用するサポート材の量が少ない程、高価なサポート材の消費量を抑えて効率よく造形できるといえる。
一方で、三次元造形装置においては一般に造形時間が比較的長いという問題がある。例えばインクジェット方式の三次元造形装置においては、造形材としてモデル材MAとサポート材SAを使用し、造形プレート40上にヘッド部20を往復させながらこれらの造形材を吐出して一層分のスライスを成形する。このスライスを下層から順次積層して所望の高さの造形物を得る構成のため、造形物の高さが高くなる程スライス数が多くなり、その分だけ造形時間がかかる。このため、造形プレート40上に配置される造形物の高さを低くすることが重要となる。
(パラメータ設定手段63)
以上のように、造形時間の最小と造形材の使用量の最小の、いずれを優先するかで、オブジェクトの最適な姿勢や位置は変化する。いいかえると、これらは三次元造形の条件を規定する造形パラメータということができる。よってユーザは、造形パラメータのいずれを優先して三次元造形を行うか、その優先度をパラメータ設定手段63で指定する。このためパラメータ設定手段63は、複数の造形パラメータの内、いずれを優先して最小化するような三次元造形を行うかを設定するために用いる。
(サポート材接触面積)
また造形パラメータは、上述した造形時間と造形材(インクジェット方式ではサポート材SA)の使用量に限られず、他の指標を含めることができる。例えばサポート材とモデル材とが接触する面積も造形パラメータとして規定できる。特にインクジェット方式の場合、モデル材の表面の内、サポート材が接触している面は、表面が粗くなると共に、造形時未硬化の状態でモデル材とサポート材が接する境界面において、モデル材とサポート材が混じり合う結果、硬化後のモデル材の表面が白濁し、サポート材が接合しない面に比べ透明感、質感が悪くなり、艶消しのマット面となる。一方、モデル材の表面の内でサポート材の接触していない面は、艶や光沢のあるグロッシーな面となる。表面仕上げとしては、光沢のある方が見栄えがよいため、可能な限り光沢面すなわちグロッシー面を多くした、いいかえるとマット面を少なくすることが求められる場合がある。よって、このようなサポート材のモデル材表面に対する接触面積、すなわちマット面を最小とすることも、三次元造形の条件設定に際しては考慮されるべき、造形パラメータとして利用できる。
[演算手段64]
また演算手段64は、設定手段65で設定された種々の条件に従い、各種の演算を行うための部材である。具体的には、演算手段64は、図56に示すようにオブジェクト配置手段64b、造形時間演算手段64d、造形材量演算手段64e、造形条件調整手段64fの機能を含んでいる。
オブジェクト配置手段64bは、パラメータ設定手段63で設定された造形パラメータや優先度に基づいて、オブジェクトの姿勢と位置が最適となるよう演算する。また複数のオブジェクトが存在する場合は、各オブジェクトに対して最適姿勢及び最適位置を演算する(詳細は後述)。
造形条件調整手段64fは、造形条件を所定の条件で自動的に調整するための部材である。例えば、上述の通り複数の分割プレートを備える場合においては、造形物の大きさや造形の開始時間等によらず、造形の終了タイミングをほぼ同時期に一致させるよう、造形条件を自動的に変更するための部材である。また造形終了タイミング調整機能についても、上述の通りである。
造形時間演算手段64dは、各分割プレート毎に、分割プレート上に割り当てられたすべての造形物の造形を終了する造形終了予定時間を演算するための部材である。また造形時間演算手段64dで演算された造形終了予定時間を、表示手段62上に表示させることもできる。
さらに造形時間演算手段64dは、同期駆動モードで第一分割プレート41と第二分割プレート42を仮想的な一枚の大きな造形プレートとして用いる場合、あるいは分割プレートに代えて一枚の造形プレートを用いる場合においては、このような造形プレートに割り当てられたすべての造形物の造形を終了する造形終了予定時間を演算する。
また造形材量演算手段64eは、すべての造形物を造形するために必要な造形材の量を演算する部材である。
これにより、各分割プレート単位で造形終了予定時間や使用樹脂量の見積もり結果、あるいは一枚の造形プレートの造形終了予定時間や使用樹脂量の見積もり結果等を、表示手段62を介してユーザに提示することができる。ユーザはこの結果に基づいて、所望の造形が実現されているかどうかを確認でき、必要に応じて位置調整手段65bなどで微調整を行うことも可能となる。
(配置基準設定手段65e)
ここで、配置基準設定手段65eの詳細について説明する。配置基準設定手段65eは上述の通り、各々造形物と対応する複数のオブジェクトの内、いずれを造形プレートに対応する仮想造形領域中に配置するかを決定する基準となる配置基準を設定するための部材である。また、造形プレートが第一分割プレート41と第二分割プレート42で構成される場合は、配置基準設定手段65eでもって、これら第一分割プレート41又は第二分割プレート42に対応する第一仮想造形領域又は第二仮想造形領域のいずれの位置に配置するかを決定する基準となる配置基準を設定する。以下ではまず、造形プレートを一枚とした場合の配置基準設定手段65eの動作について。説明する。
(造形プレートに対する配置基準の設定)
入力手段61から入力された三次元データは、造形対象の複数の造形物と対応するオブジェクトを含んでいる。各オブジェクトを、造形プレート上で造形物を造形する造形エリアと対応する仮想造形領域上に配置し、さらに姿勢を決定する必要がある。このような配置位置や配置角度の決定に当たっては、ユーザが位置調整手段65bを用いて各オブジェクトを仮想造形領域の所望の位置や姿勢に手動配置する他、演算手段でもって自動的に各オブジェクトを仮想造形領域中の最適な位置や角度に配置させることもできる。このようなオブジェクトの自動配置機能は、予め装置側で設定したプリセット条件、例えば造形時間演算手段64dで演算される造形終了予定時間が最短となるような配置や姿勢、造形材(例えばサポート材)の使用量が最小となる姿勢や配置とすることができる。
また、すべてのオブジェクトを配置するのでなく、ある条件でオブジェクトを選別し、て、選別されたオブジェクトのみを配置するように演算することもできる。言い換えると、すべてのオブジェクトを無条件に選択するのでなく、オブジェクトを仮想造形領域中に配置するに際して制限を設け、この制限を満たすオブジェクトのみを造形するような動作を行わせることもできる。このような、オブジェクトの配置を制限する基準を、ここでは配置基準と呼び、配置基準設定手段65eでもって配置基準を設定する。また設定された配置基準に従って、オブジェクト配置手段64bでもって、仮想造形領域に配置するオブジェクトの抽出と、抽出された各オブジェクトの仮想造形領域中への配置位置や配置姿勢を決定する。さらに仮想造形領域中に一以上のオブジェクトを配置した状態で、表示手段62上に表示させる。
(オブジェクト配置手段64b)
オブジェクト配置手段64bは、複数のオブジェクト中から、配置基準で与えられた条件内で一定の項目が最大となるオブジェクトを抽出すると共に、抽出されたオブジェクトの位置や姿勢を演算して仮想造形領域に配置する。このように、複数のオブジェクト中から、配置基準で与えられた条件内で特定のパラメータが最大となるオブジェクトを抽出する自動抽出機能を実現している。さらにオブジェクト配置手段64bは、抽出されたオブジェクトの位置や姿勢を演算して、仮想造形領域に配置する。
(配置基準)
配置基準の例としては、所定時間内に造形を終了する制限造形時間や、造形材の残容量、あるいは造形物を造形する優先順位などのいずれか、あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。また特定のパラメータの例としては、オブジェクトの数やオブジェクトの体積などが挙げられる。例えば、与えられた制限造形時間や樹脂残量内で、オブジェクト数を最大とするように、あるいは体積が最大のオブジェクトから順に選択するように、オブジェクトを抽出して仮想造形領域に配置する。
なお配置基準として、制限造形時間を設定する理由は、例えば、ある時間内にできるだけ多くの造形を終了させたいことがあるためである。特に水溶性のサポート材を用いている場合は、造形物が得られた後は、サポート材の変質や劣化による影響を避けるため、速やかに三次元造形装置から取り出し、水槽中に投入する等してサポート材を除去することが望ましい。逆に、水槽に投入した後は、サポート材が溶融するまで待てばよいだけで、一定時間内に水槽から引き上げねばならないといった時間的な制約は、造形物の品質の観点からはない。そこで、水槽に投入できるようになるまで、すなわち造形を一定時間までに終了させたいという要求が考えられる。例えば、今から1時間後に退席することが判明している場合、退席の直前に造形物を取り出して水槽中に投入した上で退席し、着席時にはサポート材が除去されているような環境とすることで、待ち時間を節約して効率よく作業を進めることができる。また造形材の残容量は、同様に退席することが判明している場合、いいかえると退席後は造形材の補充ができないことが判明している場合には、造形が途中で中断してサポート材の劣化等に起因する品質の劣化を生じることを回避するよう、造形材を補充することなく造形可能な造形物のみの造形に設定することで、このような問題を解消できる。さらに造形物の優先順位は、直ぐに必要な造形物を優先的に造形させたり、あるいは造形を依頼したユーザの権限や重要度等に応じて、優先順を設定するといった、恣意的な、あるいは特定の要求に応えるために有用となる。
(自動抽出機能)
次に、造形物に対応した複数のオブジェクトを、具体的に配置基準に基づいて造形プレート上の造形エリアと対応する仮想造形領域に配置する例を、図57〜図62に基づいて説明する。図57は造形したい造形物WKの中から、配置基準に基づいて造形物WKを選択して、造形プレート40上に配置する様子を示している。ここでは、入力手段から入力された造形物の三次元データに対して、オブジェクト配置手段64bが、配置基準に基づいて、造形プレート40と対応する仮想造形領域VR上に配置するオブジェクトOBを抽出し、さらに各オブジェクトOBの配置位置や配置姿勢を演算して配置する。ここでは、配置基準として造形時間を指定した場合に、造形に必要な造形データを生成する手順を図58のフローチャートに基づいて説明する。
(造形時間を配置基準とするデータ生成手順)
まず、ステップS5801において、三次元データを取得する。例えばユーザが造形したい造形物と対応する三次元データを選択して入力手段から入力する。複数の造形物を造形する場合は、複数の三次元データを選択する。また、一の三次元データ中に複数の造形物を含むように予め設定することもできる。あるいは、複数の造形物と対応する三次元データを予めグループ化しておき、グループを選択することで、複数の三次元データを取得するように構成してもよい。
次にステップS5802において、造形条件を設定する。例えば造形条件として、造形プレート上に配置される造形物の姿勢、仕上げ、品質等をユーザが造形条件調整手段64fなどから指定する。また予め設定された規定の造形条件の中から、ユーザに選択させてもよい。
次にステップS5803において、オブジェクトを配置させる。ここでは、ステップS5802で設定された造形条件に基づいて、オブジェクト配置手段64bが、一以上のオブジェクトを仮想造形領域中に自動配置させる。例えば、図59のGUI画面に示すように、オブジェクトを仮想造形領域上に配置した状態を表示手段62の表示欄68に表示させる。また必要に応じて、オブジェクトの配置位置をユーザが位置調整手段65bでもって手動で微調整乃至変更することもできる。
なお、ここではオブジェクト配置手段64bが初期設定でオブジェクトを仮想造形領域上に配置する。初期設定としては、例えば入力されたオブジェクトをすべて仮想造形領域中に配置する。また、すべてのオブジェクトを配置できない場合は、ユーザに対してすべてのオブジェクトを配置できない旨を伝えるメッセージや警告を発したり、あるいは配置したいオブジェクトを選択したり、オブジェクトを配置する優先順位を指定するよう促してもよい。
次にステップS5804において、造形時間を演算する。ここでは、造形時間演算手段64dでもって、ステップS5803で配置されたオブジェクトを、実際に造形物として造形プレート上で造形するのに要する予想造形時間(見積時間)あるいは終了予定時刻を算出する。例えば、図59のGUI画面に示すように、演算された造形時間を表示手段62の操作欄70に造形時間の「見積り」として表示させる。また、表示欄68に造形時間を表示させてもよい。
次にステップS5805において、提示された造形時間を許容できるかどうかを、ユーザに判断させる。ここでは、造形時間を表示手段62に表示させて、ユーザが受け入れ可能か否かの判断を促す。許容できる場合は、例えば「OK」や「造形開始」等のボタンを押下する。これによって、ステップS5809にジャンプし、設定データ作成装置は造形に必要な造形データを生成して三次元造形装置に送出する。三次元造形装置は、この造形データに基づいて、造形を開始する。
一方、提示された造形時間では許容できない場合は、ステップS5806に進み、ユーザに配置基準を指定させる。具体的には、ユーザが許容可能な配置基準を配置基準設定手段65eで指定する。ここでは、配置基準が造形時間であるから、ユーザが許容可能な造形時間を指定する。配置基準設定手段65eの一形態として、図60のGUI画面の例では、操作欄70から、所望の造形時間をユーザが入力する。ここでは許容造形時間として、全造形見積もりよりも短い5時間を指定している。
次にステップS5807において、ステップS5806で設定された配置基準に従い、造形可能なオブジェクトを抽出し、仮想造形領域上に配置する。ここでは、指定された許容造形時間である5時間以内に造形可能な造形物と対応するオブジェクトが、オブジェクト配置手段64bにより抽出され、さらに配置位置や姿勢も自動的に演算されて、図61に示すように仮想造形領域上に表示される。また、抽出されたオブジェクトに対する造形物の造形に要する予想造形時間を表示させることもできる。図61の例では、表示欄の仮想造形領域上に配置されたオブジェクトの予想造形時間を演算し、操作欄において、「見積もり3時間10分」と表示させている。
なお、配置基準は造形時間に限らず、例えば造形材の残容量とすることもできる。この場合、現在の残容量で造形可能な造形物と対応するオブジェクトを抽出して、仮想造形領域上に配置する。
さらに、配置基準として、複数のオブジェクト中から仮想造形領域上に配置するオブジェクトを抽出する条件を複数設定することもできる。例えば、配置基準として指定した造形時間内に、造形可能なオブジェクトの数を最も多くするように抽出したり、あるいは図62に示すように、造形時間内に、造形可能なオブジェクトの体積を最も大きくするように抽出することもできる。図62の例では、オブジェクトの体積の大きいものから抽出され、表示欄の仮想造形領域上に配置されると共に、これら抽出されたオブジェクトの予想造形時間を操作欄において、「見積もり4時間50分」と表示させている。
さらに例えば、配置基準として指定した制限造形時間を効率的に利用するために、指定した制限造形時間に、演算された予想造形時間が最も近づくように、オブジェクトを抽出し、かつ抽出されたオブジェクトの位置や姿勢を調整することもできる。また、造形プレート上の造形エリアを効率よく活用できるよう、例えば制限造形時間内に造形可能なオブジェクトの内、体積の最も大きなオブジェクトを抽出し、さらに残りの造形時間内で造形可能なオブジェクトの内で最も大きなオブジェクトを抽出し、これらのオブジェクトの位置や姿勢を調整してもよい。あるいは制限造形時間内に造形可能なオブジェクトの内、造形に最も時間がかかるオブジェクトを抽出した後、次に造形に時間がかかるオブジェクトを順に配置していき、見積もり造形時間が制限造形時間に近づいたら、各オブジェクトの隙間に造形に時間がかからない比較的小さなオブジェクトを配置するようにしてもよい。あるいは造形に最も時間がかかるオブジェクトを配置した後、残りの造形時間内で造形可能なオブジェクトの数が最大となるようにオブジェクトを抽出し、これらのオブジェクトの位置や姿勢を調整してもよい。オブジェクトの位置や姿勢の調整に際しては、例えばヘッド部の座標位置やスライス数等を考慮して、造形時間が短くなるように決定される。このように、配置基準として指定された制限造形時間内に効率よくオブジェクトが造形されるよう、抽出されるオブジェクト、及びそれらの配置位置や姿勢が決定される。また与えられた造形時間をできるだけ活用する観点から、予想造形時間が制限造形時間を超えない範囲で、予想造形時間が制限造形時間に近付くように、いいかえると予想造形時間が制限造形時間と等しくなるように、オブジェクトの抽出や配置位置、姿勢等の決定が行われる。この際、造形可能なオブジェクトの数や体積が大きくなるように、言い換えると配置基準として、制限造形時間に加えて、オブジェクトの数や体積を組み合わせて指定することもできる。
このようにしてオブジェクトが配置された上で、ステップS5808において、意図したオブジェクトの配置結果が得られているかどうかの判断をユーザに促す。ユーザは仮想造形領域上に意図したようなオブジェクトの配置結果が得られているかどうかを確認し、問題がなければ、ステップS5809に移行し、造形データを生成して三次元造形装置に送出する。例えば図61や図62のGUI画面において「OK」や「造形開始」等のボタンを押下する。なお、必要に応じて自動配置されたオブジェクトの入れ替えや配置位置、姿勢の調整といった微調整をユーザに手動で行わせてもよい。この場合は、所望の調整作業を行った上で、改めてステップS5808からステップS5809に移行する。一方、所望のオブジェクトの配置結果が得られていない場合は、ステップS5806に戻り、再度配置基準の指定をやり直す。以上のようにして、配置基準に従い、複数のオブジェクト中から所望のオブジェクトを抽出して造形データを生成し、造形を行うことができる。
(優先順位設定)
この例では、オブジェクトの抽出に際して、優先順位を設定しない場合を説明した。ただ、本発明はこの構成に限らず、オブジェクトの優先順位を設定することもできる。オブジェクトの優先順位は、例えば優先順位指定手段65gで設定できる。このような例を変形例として、図63のフローチャートに基づいて説明する。このフローチャートにおいて、ステップS6301〜S6306までは、上述した図58のステップS5801〜S5806と同様であり、詳細説明を省略する。
ステップS6307において、オブジェクトの優先順位を設定する。オブジェクトの優先順位は、例えば複数のオブジェクト中から、造形したい順にオブジェクトに番号を付したり、造形に含ませたいオブジェクト(優先オブジェクト)にフラグを設定するなど、任意の方法が利用できる。逆に、最後に造形するオブジェクトなど、優先順位の低いオブジェクト(非優先オブジェクト)にだけ、そのような情報を付加してもよい。また、すべてのオブジェクトに対して優先順位情報を付する必要はなく、特定のオブジェクトに対してのみ、必要な情報を付加してもよい。
具体的には、設定手段65にオブジェクト優先順設定手段を設けて、造形に含ませたい優先オブジェクトを指定することができる。図64の例では、操作欄にオブジェクト優先順位設定手段の一態様として、「優先して配置するモデル」欄を設け、この欄に、造形に含ませたい造形物に対応する優先オブジェクトを列挙する。ここでは、「Wrench」を選択している。
このようなステップS6307での設定に応じて、ステップS6308において、配置基準と優先順位とに従いオブジェクトの抽出が行われる。例えば図64の例では、オブジェクト優先順設定手段で設定された優先オブジェクト(ここではWrench)を抽出すると共に、配置基準として指定された造形時間内(ここでは5時間以内)に、優先オブジェクトに加えて造形可能なオブジェクトを、オブジェクト配置手段64bが抽出する。さらにこの例では追加の条件として、オブジェクトの体積が最大となるよう設定されている。この結果、図65のGUI画面の例に示すように、優先オブジェクトを含む複数のオブジェクトが抽出され、表示欄の仮想造形領域上に表示されると共に、操作欄において予想造形時間「見積もり4時間50分」と表示される。
なお、指定された条件、すなわち配置基準と優先順位では、オブジェクトの抽出ができない場合は、警告メッセージを表示させる等してユーザに条件の再設定を促すことができる。例えば配置基準設定手段65eで設定された制限造形時間内には、優先オブジェクトとして指定されたオブジェクトの造形ができない場合、図66に示すような警告メッセージMNGを表示手段62に表示させる。この際、オブジェクト配置手段64bで自動抽出できなかった理由を明示することで、ユーザに対して注意すべき点を告知し、条件の再設定の際の指針とできる。例えば、「優先配置モデルだけで6時間40分かかります。設定を見直して下さい。」とのメッセージを表示させて、優先配置モデルの造形時間が、制限造形時間よりも長いことが原因であることを説明することにより、ユーザに対して、制限造形時間の再設定、又はより造形時間の短い優先オブジェクトを選択するよう促すことができる。
このようにしてオブジェクトの自動抽出が行われると、次にステップS6309において、意図したオブジェクトの配置結果が得られているかどうかの判断をユーザに促す。以降の手順は上述した図58のステップS5809と同様であり、ユーザが問題なしと判断すれば、ステップS5810に進み、造形データを生成して三次元造形装置に送出する。一方、所望のオブジェクトの配置結果が得られていない場合は、ステップS6306に戻り、再度配置基準の指定をやり直す。以上のようにして、配置基準と優先順位に従い、複数のオブジェクト中から所望のオブジェクトを抽出して造形データを生成し、造形を行うことができる。
なお、以上の例では、オブジェクトの自動抽出のためのの配置基準と、特定のオブジェクトを優先して抽出するための優先順位とを、配置基準設定手段65eと優先順位指定手段65gで個別に設定する例を説明したが、これら配置基準の設定と優先順位の設定とを統合させてもよい。すなわち、共通の設定手段や設定画面で、配置基準と優先順位のいずれか又は両方を設定するように構成することもできる。この場合は、配置基準設定手段と優先順位指定手段を共通化してもよい。
また、オブジェクト配置手段64bは、オブジェクトの配置位置と配置姿勢の両方を演算する他、いずれか一方のみを演算するように構成してもよい。例えば、オブジェクトの位置をユーザが指定した上で、配置基準に従い姿勢のみを最適となるようにオブジェクト配置手段64bでもって演算したり、あるいはオブジェクトの姿勢を固定し、オブジェクトの配置位置のみをオブジェクト配置手段64bで演算するように構成することもできる。
以上は、一枚の造形プレートでの造形を対象とした、オブジェクトの自動抽出の例について説明した。ただ、本発明はこの例に限らず、複数枚の分割プレートを備える三次元造形装置においても、複数のオブジェクト中から所望の条件に従ってオブジェクトを自動抽出する態様に適用できる。このような複数の分割プレートの例として、第一分割プレート41と第二分割プレート42を備える三次元造形装置用の設定データ作成装置における例を、以下説明する。
(駆動モード選択手段65c)
複数の分割プレートを有する場合は、上述の通りすべての分割プレートを同期させて駆動する同期駆動モードと、同期させずに駆動する非同期駆動モードが存在する(図17参照)。このような各駆動モードに応じた造形条件の設定を行うため、三次元造形装置用の設定データ作成装置は図56に示すように駆動モード選択手段65cを備えている。駆動モード選択手段65cは、上述の通り、各駆動モードに対応する造形設定として、シングル駆動モードに対応するシングル造形設定、同期駆動モードに対応するフル造形設定、マルチ駆動モードに対応するマルチ造形設定のいずれかを選択する。駆動モード選択手段65cで選択された造形設定に従い、各駆動モードでの造形に適した造形条件を設定するよう、配置基準設定手段65eで配置基準を設定する。オブジェクト配置手段64bは、配置基準設定手段65eで設定された配置基準に基づき、複数のオブジェクト中から、この配置基準を満たすオブジェクトを抽出すると共に、第一分割プレート41上の第一造形エリアに対応する第一仮想造形領域、又は第二分割プレート42上の第二造形エリアに対応する第二仮想造形領域上に配置する。この際、必要に応じて、抽出されたオブジェクトの位置又は姿勢も最適となるように演算されて、各仮想造形領域に配置される。
(オブジェクト配置手段64b)
オブジェクト配置手段64bは、配置基準設定手段65eで設定された配置基準に基づき、オブジェクトを第一分割プレート41又は第二分割プレート42上のいずれに配置するかを決定する。またオブジェクト配置手段64bは、さらに決定された第一分割プレート41又は第二分割プレート42上のオブジェクトの配置位置も演算する。さらにオブジェクト配置手段64bは、決定された第一分割プレート41又は第二分割プレート42上のオブジェクトの配置位置に、入力手段で取得されたオブジェクトを配置する処理も実行する。なおオブジェクト配置手段64bから、このような候補位置決定機能を実行する候補位置決定手段、配置の実行を行うオブジェクト配置実行手段を分離して、別部材として設けることも可能である。
なお、分割プレート上にオブジェクトを配置する最適な候補位置の演算は、例えばXY座標の原点に近い位置とすることで、ヘッド部の移動量を少なくできる。またオブジェクトの姿勢に関して、高さを低くするようにオブジェクトを寝かせた姿勢とすることで、Z方向への移動を少なくして、言い換えるとスライス数を少なくして、短時間での造形に有利となる。また、主走査方向であるX方向に長くなるような姿勢で配置することで、走査速度が副走査方向であるY方向よりも速いX方向への走査を長くし、ヘッド部の移動速度の観点から造形時間を短くできる。このように、オブジェクトの候補位置の決定には、分割プレート上のオブジェクトのXY座標位置のみならず、オブジェクトの姿勢あるいは回転角度も含むものとする。
(配置警告手段64g)
配置警告手段64gは、オブジェクト配置手段64bでオブジェクトを第一仮想造形領域又は第二仮想造形領域に配置する際、該オブジェクトの一部が該第一仮想造形領域又は第二仮想造形領域からはみ出して、制限エリアと対応する緩衝領域に位置することを警告する。これにより、オブジェクトが緩衝領域にかかっていることを警告し、ユーザに対してオブジェクトの配置位置を調整するよう促し、もって得られる造形物の品質低下を回避できる。なお、配置警告手段64gで警告を受けた際であっても、オブジェクトの大きさが第一仮想造形領域や第二仮想造形領域を超える場合には、このオブジェクトの一部が第一仮想造形領域や第二仮想造形領域からはみ出して緩衝領域に位置することを許容するように構成することもできる。
(位置調整手段65b)
配置されたオブジェクトは、表示手段62上に仮想的に表示される。ユーザは表示手段62で、第一分割プレート41と第二分割プレート42にそれぞれ配置された各オブジェクトOBを確認できる。また必要に応じて、各オブジェクトOBの配置位置や分割プレートを跨いだ移動などの微調整を行うこともできる。このような操作は、位置調整手段65bにて行う。位置調整手段65bは、オブジェクト配置手段64bで各造形プレート造形エリアと対応する仮想造形領域上に配置されたオブジェクトOBの位置を調整するための部材である。
なお以上の例では、演算手段64のオブジェクト配置手段64bが、各オブジェクトを、
・第一分割プレート41又は第二分割プレート42のいずれに配置するかを決定するプレート決定機能、
・第一分割プレート41、第二分割プレート42それぞれの、どの位置に配置するかを演算する候補位置決定機能、
・プレート決定機能と候補位置決定機能で決定された分割プレート及び候補位置に基づいて、各オブジェクトを配置する配置機能
を果たしているが、この構成に限らず、各機能を個別の部材で実行させてもよい。また、各機能は設定データ作成装置側に設ける他、三次元造形装置側に持たせることも可能である。
(優先プレート指定手段65f)
また、造形プレートが複数の分割プレートで構成されている場合は、オブジェクト配置手段64bでオブジェクトをいずれかの分割プレートと対応する仮想造形領域上に配置する際に、いずれの分割プレートに優先して配置するかを指定する優先プレート指定手段65fを設けてもよい。この場合、優先プレート指定手段65fで指定された優先分割プレートと対応する優先仮想造形領域上に、オブジェクト配置手段64bでもってオブジェクトを配置していく。この構成であれば、ユーザが所望の分割プレート側に造形物が集中して配置、造形されるように指定できる。例えば、三次元造形装置の筐体3の、完成した造形物を取り出す取り出し部4を設けた面と近い側の分割プレートを優先分割プレートとして指定することで、造形物の取り出し作業を容易に行える。特に、他方の分割プレートでの造形が未だ終了していない状態でも、優先分割プレートから造形物を取り出しやすくできる利点が得られる。例えば図67に示す三次元造形装置では、図において筐体部3の手前側に取り出し部4を設けると共に、この取り出し部4側から奥側に向かって、第一分割プレート41と第二分割プレート42を配置している。この構成であれば、奥側の第二分割プレート42の造形が未だ終了していない状態でも、手前側の第一分割プレート41から、造形が終了した造形物を取り出すことが容易となる。なお、造形物の取り出しの際には、第二造形プレートでの造形動作を一時停止することもできる。例えば取り出し部4を開いた際に、造形動作が停止されるように構成してもよい。
あるいは、ヘッド部を造形プレートの水平面内で相対的に移動させる際のXY平面の、原点に近い側に配置された分割プレートを優先分割プレートとして指定することで、ヘッド部の移動距離の点で速度上有利となる。
なお、このような優先プレート指定手段を設けず、初期設定で第一分割プレート41又は第二分割プレート42のいずれかに、優先してオブジェクトを配置するように設定することもできる。例えば、上述した取り出し部や原点に近い側の分割プレートを、初期設定で優先分割プレートとして指定することで、ユーザが優先分割プレートを指定するための優先プレート指定手段を設けることなく、取り出し作業や造形速度の利点を享受できる。
終了時間指定手段65dは、上述の通り分割プレートでの造形を終了する時間を指定するための部材である。終了時間指定手段65dで指定された終了時間に、第一分割プレート41と第二分割プレート42の造形がほぼ同時期に造形を終了するよう、造形条件調整手段64fでもって造形条件を調整する。
またオブジェクト配置手段64bは、複数のオブジェクトの内、終了時間指定手段65dで指定された時間内に造形することが可能なオブジェクトの数が最大となるよう、各オブジェクトの配置を決定する。これにより、所定の制限造形時間内で造形が可能な範囲で、可能な限り多くの造形物を配置することができる。
(優先順位指定手段65g)
また配置基準設定手段65eは、優先順位指定手段65gの機能を含むことができる。優先順位指定手段65gは、各オブジェクトに対して、造形の優先順位を指定させるための部材である。オブジェクト配置手段64bは、複数のオブジェクトの内、優先順位指定手段65gで指定された優先順位に従い、該優先順位の高いものから優先分割プレートと対応する仮想造形領域に配置されるオブジェクトの数が最大となるよう、各オブジェクトの配置を決定する。これにより、ユーザの指定した優先順位が高いものから順に、できるだけ多くの造形物を配置することができる。
さらにオブジェクト配置手段64bを、各オブジェクトと対応する造形物の造形に要する造形所要時間を取得可能とすることもできる。造形所要時間は、造形時間演算手段64dでもって演算される。この場合は、複数のオブジェクトの内、造形所要時間の短いオブジェクトから優先的に優先分割プレートと対応する仮想造形領域に配置するように、各オブジェクトの配置を決定できる。これにより、造形時間が短い造形物から優先的に優先分割プレートに配置することができ、多くの造形物を短時間で効率よく造形できる。
(周囲マージン設定手段65h)
周囲マージン設定手段65hは、第一分割プレート及び第二分割プレートの各周辺領域において、造形物の安全のため周囲マージンPMを設定する。周囲マージンPMは、例えば分割プレートの端縁ぎりぎりに造形すると、ヘッド部20の往復移動による振動等のため、造形物が隣接する分割プレートの造形物と接触したり、あるいは造形物が分割プレートから落下したりする事態を回避するために設けられる。なお、周囲マージンを予め機器側で設定した固定値とすることもでき、この場合はユーザが周囲マージンを設定するための周囲マージン設定手段65hを不要とできる。
(制限エリア設定手段65i)
制限エリア設定手段65iは、第一分割プレートと第二分割プレートとが隣接する領域に制限エリアBAを設定するため部材である。制限エリアBAは、造形物を配置しない領域であって、第一分割プレートと第二分割プレートとが対向する領域に設けられる。この制限エリアは、一方の分割プレート上に吐出された造形材を硬化させるために硬化手段24から照射されるUV光が、他方の分割プレート上に造形された造形物に照射される影響を低減するために設けられる。図67の例では、制限エリアは、矩形状の第一分割プレートと第二分割プレートが長手方向に並べて配置された状態で、互いに対向する長手方向に沿った境界部分に設けられている。一方、周囲マージンは、第一分割プレートと第二分割プレートの長手方向に沿った辺の内、制限エリアと反対側の面に設けられている。また制限エリアは、周囲マージンの少なくとも一部と直交されている。ここでは、短手方向の辺に設けられた周囲マージンと直交されている。なお、制限エリアも予め機器側で設定した固定値とすることもでき、この場合はユーザが制限エリアを設定するための制限エリア設定手段を不要とできる。
また、複数の造形物と対応するオブジェクトの、分割プレートと対応する仮想造形領域への割り振りの方法は、このような優先順位の他、用途や大きさ、設定データを作成したユーザ毎とする等、他の方法も利用できる。例えば、製品A、製品Bといった異なる製品を構成する部品を、三次元造形装置で造形する場合を考えると、得られた造形物を、製品毎に振り分ける作業が必要となる。この作業は、例えば部品が小さい場合や、部品点数が多い場合、あるいは製品Aと製品Bとで部品の形状が類似している場合などは、振り分け作業も困難となることが予想される。さらに、例えば水溶性のサポート材を用いる場合は、得られた造形物をサポート材ごと水槽に投入することで、サポート材を除去できるが、サポート材中に埋設されている部品が多いと、サポート材除去後に部品を振り分ける作業も面倒となる。このような観点から、予め造形時に、用途や装置名、グループ名、造形データの作成者、例えば造形を支持したユーザ単位で、分割プレートを分けておくことで、得られた造形物を分別する作業を容易にできる。例えば、造形後には分割プレート単位で、水槽に造形物を投入すれば、得られる部品はそのまま纏めることができ、一定用途毎に部品を仕分けする作業を省略できる。
(配置基準)
配置基準設定手段65eで設定される配置基準は、例えば、すべての造形物の造形が終了する造形終了時間の短縮化、所定の時間内に造形を終了可能な造形物の数の増加、造形物の造形の優先順位等とできる。次に、複数の造形物に対応したオブジェクトを、具体的に配置基準に基づいて分割プレートと対応する仮想造形領域に割り振る例を、図68〜図74に基づいて説明する。これらの図において示されるオブジェクトOBは、表示手段62上に表示される仮想的な分割プレートである仮想造形領域に配置、位置調整される例を示している。
(時間制限:手動設定)
まず、配置基準として、造形時間を選択した例を説明する。例えば、ある時間内にできるだけ多くの造形を終了させたいことがある。特に水溶性のサポート材を用いている場合は、造形物が得られた後は、サポート材の変質や劣化による影響を避けるため、速やかに三次元造形装置から取り出し、水槽中に投入する等してサポート材を除去することが望ましい。逆に、水槽に投入した後は、サポート材が溶融するまで待てばよいだけで、一定時間内に水槽から引き上げねばならないといった時間的な制約は、造形物の品質の観点からはない。そこで、水槽に投入できるようになるまで、すなわち造形を一定時間までに終了させたいという要求が考えられる。
このような場合に、複数のオブジェクトOBを入力手段から入力すると、図68に示すように、第一分割プレート41と第二分割プレート42の第一造形エリアと第二造形エリアにそれぞれに対応する、第一仮想造形領域VR1と第二仮想造形領域VR2に、各オブジェクトOBがオブジェクト配置手段64bにより自動的に配置される。この際のオブジェクト配置手段64bがオブジェクトOBを配置する基準は、例えば一方の分割プレートにできるだけ多くのオブジェクトOBが配置されるように自動配置される。
また各分割プレートで造形に要する造形時間が、表示手段62上に分割プレート(ここでは分割プレートに対応する仮想造形領域)毎に表示される。ユーザは、この造形時間を参照して、制限造形時間内に造形が終了するように、位置調整手段65bでもって各オブジェクトOBの割り振りを調整する。オブジェクトの移動は、例えばユーザがマウス等のポインティングデバイスで所望のオブジェクトを選択し、ドラッグ等によって所望の位置に移動させること等により行われる。またオブジェクトを分割プレート間で移動させたり、あるいは同一の分割プレート内でオブジェクトの配置位置を調整すると、造形時間演算手段64dが各分割プレートでの造形終了予定時間を再計算して、表示手段62における造形時間の表示を更新させる。このようにして、所望の制限造形時間内にできるだけ多くの造形物を造形できるよう、ユーザは試行錯誤しながらオブジェクトの割り振りと配置を決定していく。
(時間制限:自動設定)
以上は、配置基準である造形時間に基づき、ユーザが手動で各オブジェクトOBを配置する分割プレートを選択する例を説明した。次に、オブジェクト配置手段64bが自動的に、各オブジェクトOBの割り振りを実行する例を、図69及び図70に基づいて説明する。
(時間制限:自動設定:オブジェクトの優先順位なし)
まず、ユーザが配置基準設定手段65eで、制限造形時間として例えば「造形時間○○以内」等と指定する。次に、入力手段からオブジェクトOBを入力すると、入力された複数のオブジェクトOBに対して、指定された制限造形時間内に造形が終了する範囲で、最も多くの造形物が造形できるように、オブジェクト配置手段64bが、オブジェクトOBの仮想造形領域への割り当てと、割り当てられた仮想造形領域内での配置位置の候補位置を演算し、この演算結果に基づいてオブジェクトOBの自動配置を実行する。このようにして優先分割プレート(と対応する仮想造形領域VR1)に自動配置されたオブジェクトOBは、図69に示すように、表示手段62上に表示される。また、優先分割プレート上に配置できなかったオブジェクトOB’は、他方の分割プレート(と対応する仮想造形領域VR2)に配置される。さらにユーザは、この結果を表示手段62上で確認し、必要に応じてさらに、オブジェクトOBの配置先の分割プレート(と対応する仮想造形領域)や配置位置を、位置調整手段65bから行うこともできる。
(時間制限:自動設定:オブジェクトの優先順位あり)
以上の例では、配置基準として造形時間のみが指定されている場合を説明した。ただ本発明は、配置基準として、一のみならず複数を指定することもできる。例えば、造形時間に加えて、オブジェクトの優先順位を設定することもできる。次に、造形時間とオブジェクトの優先順位を配置基準に設定した例を、図70に基づいて説明する。ここでは、ユーザが配置基準設定手段65eで制限造形時間等を指定すると共に、オブジェクトに対して、造形の優先順位が予め、あるいは優先順位指定手段65gを用いてユーザにより手動で設定されているものとする。まず、入力手段からオブジェクトOBを入力する。ここでオブジェクト配置手段64bは、オブジェクトOBに設定された優先順位の高いものから配置を繰り返し、指定された制限造形時間内に造形が終了する範囲で、最も多くの造形物が造形できるよう、オブジェクトOBの割り当てを実行する。また、割り当てられた仮想造形領域VR1内での配置位置の候補位置を演算し、この演算結果に基づいてオブジェクトOBの自動配置を行い、結果を表示手段62上に表示することは、上記と同様である。また、優先分割プレート上に配置できなかったオブジェクトOB’は、他方の分割プレートと対応する仮想造形領域VR2に配置されること、さらにユーザが、必要に応じてオブジェクトOBの調整を位置調整手段65bから行えることも、上記と同様である。この方法であれば、オブジェクトOBに設定された優先順位によって、優先順位の高いオブジェクトが造形されるように割り当てが実行されるため、よりユーザの希望に添った自動配置が得られ、自動配置後の手動調整の手間も省力化が期待できる。
(優先順位)
次に、配置基準として、オブジェクトの優先順位のみを設定する例について、図71及び図72に基づいて説明する。例えば、造形物の中で、早く造形したいものと、遅くてもよいものがあるような場合、ユーザが配置基準設定手段65eで、オブジェクトの優先順位を指定することができる。優先順位は、例えば数値で、早く造形したいオブジェクトに対して、数値で優先順位を指定する。あるいは、優先する/優先しないを示すフラグをオブジェクトに設定してもよい。あるいはまた、優先度を高い順にA,B,Cあるいは0〜100%等の範囲内で指定してもよいし、さらには優先の有無を示す閾値を設定し、閾値を超えるオブジェクトを優先するように設定してもよい。このような優先順位が付与されたオブジェクトは、データのファイル名やファイルの属性等に、優先順位の情報を記録する。なお、すべてのオブジェクトに対して優先順位を指定する必要はなく、例えば上位3つまで指定するなど、優先順位を指定したいオブジェクトに対してのみ、指定することもできる。この場合、優先順位の付与されていないオブジェクトは、優先扱いされることなくオブジェクト配置手段64bで処理されることになる。
このように優先順位が設定された状態で、入力手段からオブジェクトOBを入力すると、入力された複数のオブジェクトOBに対して、オブジェクト配置手段64bは優先順位の情報を読み込み、指定された優先順位に従って、優先分割プレートと対応する仮想造形領域VR1にオブジェクトOBを割り当てる。また図71に示すように、表示手段62上にファイル名や、優先の有無を示す閾値を表示させることもできる。なお、優先されなかったオブジェクトOB’は、優先分割プレートでない他方の分割プレートと対応する仮想造形領域VR2に配置される。またユーザが、この結果を表示手段62上で確認しながら、必要に応じてさらにオブジェクトOBの配置先を位置調整手段65bで調整できることは上述の通りである。
以上の方法では、予め優先順位を配置基準設定手段65eで設定する例を説明した。ただ本発明はこの方法に限らず、ユーザが手動で優先順位に従ってオブジェクトの割り振りを行ってもよい。例えば図72に示すように、オブジェクトの形状やファイル名等を参照しながら、仮想造形領域上に優先順位の高いオブジェクトOBと低いオブジェクトOB’を分けて、ユーザが手動でオブジェクトの配置を行う。この作業は、オブジェクト配置手段64bでもって自動配置が実行された後に行うこともできる。また、ユーザによるオブジェクトの配置後に、さらにオブジェクトの配置位置の最適化のためオブジェクト配置手段64bで自動配置を実行させてもよい。
(グループ分け)
さらに、造形を指示するユーザ単位といった特定のグループ毎に、造形物を空間的に分離することもできる。すなわち、得られた造形物の割り振りを容易にするため、予め造形を指示したユーザ毎、あるいは部所毎、製品毎といったグループ単位で、オブジェクトを振り分けておき、振り分けられたオブジェクトを、同じ分割プレートで造形することにより、得られた造形物を振り分ける際の作業を省力化できる。また、プレート単位で、例えばユーザAの依頼した造形物は第一分割プレート41で、ユーザBが依頼した造形物は第二分割プレート42で、それぞれ造形するように纏める他、同じ分割プレート中で、例えば右側はユーザCの依頼した造形物、左側はユーザDの依頼した造形物といったように、領域単位で区分することもできる。
例えば図73の例では、オブジェクトの形状、ファイル名、ファイル属性などに付与された、造形依頼主であるユーザ名や部署名、製品名などのグループ情報を参照しながら、ユーザが手動で、各分割プレートに対応する仮想造形領域にオブジェクトを配置する。ここではグループAに属するオブジェクトOBを第一仮想造形領域VR1に、グループBに属するオブジェクトOB’を第二仮想造形領域VR2に、それぞれ配置している。
あるいは、オブジェクト配置手段64bにこのようなグループ分けを自動で行わせることもできる。例えば図74に示すように、ファイル名、ファイル属性などに、造形依頼主のユーザ名などの識別情報が予め付与されている場合、オブジェクト配置手段64bはそれらの情報を読み取り、自動的に各仮想造形領域にオブジェクトを配置することができる。この際、各オブジェクトに設定された識別情報を表示手段上に表示させてもよい。図74の例では、造形依頼主を示すイニシャルを予めオブジェクトのデータファイル名に付しており、ファイル名にTを有するオブジェクトOBを第一仮想造形領域VR1に、ファイル名にSを有するオブジェクトOB’を第二仮想造形領域VR2に、それぞれ配置している。
さらに、他の配置基準として、造形物の造形に要する造形材の使用量を利用することもできる。例えば造形材であるモデル材やサポート材の使用量が、三次元造形装置の現在の造形材の残容量を上回る場合は、造形途中で造形材が不足し、造形が中断することとなる。この場合は造形材を交換、あるいは補充する作業が必要となるところ、そのようなユーザによる手作業が行えない場合もある。例えば夜間や休日といった長期の不在期間中に造形を行うように三次元造形装置を駆動させる場合は、造形材の補充作業も行うことができず、造形が終了しないこととなる。そこで、造形材の残容量の範囲内とする等、造形材の使用量を一定量以下に制限した造形となるように、複数のオブジェクトの仮想造形領域への割り当てや配置位置や姿勢等を、オブジェクト配置手段64bに演算させるよう構成してもよい。この場合は、造形材の残容量を取得すると共に、造形材量演算手段64eでもって、所与の造形に必要な造形材の量を演算して、残容量の範囲内で造形可能なオブジェクトの選択をオブジェクト配置手段64bが行う。また、残容量の誤差等を考慮して、検出された残容量に対し一定のマージンを加味したり、ユーザの指定した量の範囲内でオブジェクトの選別を行うように構成してもよい。
(三次元造形装置用の設定データ作成プログラム)
上述の通り、設定データ作成装置は、専用のハードウエアで構成する他、汎用又は専用のコンピュータで実行される設定データ作成プログラムによっても実現される。ここでは市販のパーソナルコンピュータに設定データ作成プログラムをインストールして設定データ作成装置とする例を、図75〜図79のユーザインターフェース画面に基づいて説明する。図75は、設定データ作成プログラムの起動後の画面イメージである。この図においては、左側に表示手段62を構成するためのオブジェクトの表示欄68を設け、一方右側には位置調整手段65bやパラメータ設定手段63を構成する、各種操作を行うための操作欄70を、それぞれ配置している。
(表示欄68)
表示欄68においては、仮想的に造形プレート40上にオブジェクトを配置した状態を表示させることができる。造形プレート40上には、三次元造形を行う仮想造形領域VRが箱状に表示されている。仮想造形領域VRは造形プレート40上において造形可能な領域であり、この範囲内にオブジェクトを配置して、実際の三次元造形を行うための設定データを作成する。オブジェクトは三次元的に表示されており、視点を任意の位置に変更できる。また表示欄68の右上には、簡便に視点を切り替えるための視点変更アイコン69が設けられている。視点変更アイコン69は造形プレート40を情報から見た平面図を示しており、周囲には8個のカメラ状アイコンが設けられている。つまり、XY平面における任意の中心、実施例では造形プレートの仮想の中心点を指向した360度の視野の中で45度間隔に設けられた、これらのカメラ状アイコンの中の一つをクリックすると、選択されたカメラ位置から造形プレートの仮想の中心点に指向した、平面図に対する該当する方向からの視点に変更できる。また二次元表示に切り替えることも可能である。もちろん、特定のカメラ位置を選択した後、又は直接カメラの選択を行わずに、画面上に表示されるカーソルをドラッグして視野方向の微調整又は調整をユーザが行うこともできる。
(操作欄70)
操作欄70には、コンピュータに接続されたマウスやキーボードの入力デバイスで各種操作を行うためのボタン類が配置される。なおオブジェクトの移動等を行う位置調整手段65bの一形態として、操作欄70による操作の他、上述した表示欄68においてマウス操作等によりオブジェクトの移動等を行う操作も、位置調整手段65bに含まれる。
(オブジェクト一覧71)
操作欄70の上段には、オブジェクトの一覧を表示するオブジェクト一覧71が設けられる。この欄には、現在表示欄68で表示されているオブジェクトがすべて表示され、オブジェクトの名称や表面仕上げの有無等の情報が表示される。また複数のオブジェクトを選択する等の操作もここで行える。
(オブジェクト生成欄72)
また中段には、オブジェクトを生成するためのオブジェクト生成欄72が設けられ、オブジェクトの入力や削除等の操作を行うためのボタン類が配置される。このボタン類は入力手段61を構成し、具体的には、左から、オブジェクトのデータ入力を行う「読み込み」ボタン73、オブジェクトのコピーを行う「コピー」ボタン74、選択したオブジェクトの削除を行う「削除」ボタン75が設けられる。
(手動操作欄76)
さらにオブジェクト生成欄72の下には、選択されたオブジェクトに関する情報の表示や詳細設定を行う手動操作欄76が設けられる。ここでは、オブジェクトの位置や回転角度、サイズや拡大/縮小倍率等を調整できる。調整は、数値を直接入力したり、増減ボタンで増減させたり、あるいはマウス等で連続的に変化させる等の操作によって行える。また拡大/縮小時に縦横等のサイズの比率を保持したり、あるいは表面仕上げを選択する等の操作も行える。
(自動操作欄78)
さらに手動操作欄76の下段には、オブジェクト配置手段64bの一形態として、自動設定を行うための自動操作欄78が設けられる。ここでは、オブジェクトの最適姿勢を自動演算する最適姿勢決定機能を実行するための「最適姿勢」ボタン80、オブジェクトの最適位置を自動演算する最適位置決定機能を実行するための「最適配置」ボタン81、及び造形時間を演算するための「見積」ボタン82が設けられている。「見積」ボタン83を押下すると、現在の設定に従って予測される造形時間が演算され、予測造形時間表示欄に表示される。また「最適姿勢」ボタン80の下部には、造形パラメータを指定するためのパラメータ設定手段63として、造形時間最小か、造形材の使用量最小のいずれかを選択するためのラジオボタン63Aが設けられている。なお、上述したように、パラメータ設定手段63として、造形時間最小か、造形材の使用量最小のいずれかを選択する機能に加えて、またはこれに代えて、造形精度と造形速度の比率をユーザに感覚的に選択させる方法や、ユーザに許容可能な最大造形時間を入力させることにより、いくつかの造形時間と造形精度の組み合わせを候補として表示し、その中からユーザが好む条件を選択させることも可能である。また、言うまでもなく、ユーザがパラメータ設定手段63として、造形時間最小か、造形材の使用量最小のいずれかを選択し、「見積」ボタン83を押下すると、現在の設定に従って予測される造形時間が演算される。
(出力手段66)
さらに操作欄70の右下には、出力手段66として、三次元造形を実行するための「プリント」ボタン84が配置される。「プリント」ボタン84を押下すると、出力手段66から三次元造形装置に例えば、変換されたSTLデータの各スライスデータである設定データが一括又は各スライスデータ単位で出力され、三次元造形装置に対してプリント命令が指示されて、三次元造形が開始される。図75の例では、入力手段61の例としてオブジェクト生成欄72の「読み込み」ボタン73を押下すると、図76に示す「ファイルを開く」ダイヤログ画面85が開く。この画面から、ユーザは三次元データとして所望のSTLファイルを選択する。また画面右には、現在選択中の三次元データの内容がプレビュー表示され、ユーザによるデータファイルの選択作業を容易にしている。
入力手段61で三次元データが選択されると、選択された三次元データで規定されるオブジェクトが、例えば、STLデータに変換後、図75の表示欄68に表示される。この様子を図77に示す。図77の画面から、ユーザは位置調整手段65bを用いてオブジェクトOB1を選択し、任意の位置に移動させたり、あるいは傾斜や回転等、任意の姿勢に変更できる。図78に、オブジェクトOB1を回転、傾斜させて移動させた例を示す。なお、本明細書においてオブジェクトの移動には回転、傾斜を含む意味で使用する。
図77、図78の例ではオブジェクトOB1を1個のみ表示させているが、複数の三次元データを入力手段61から取り込み、任意の位置に配置することができる。また、入力された一のオブジェクトをコピーすることで、複数のオブジェクトを造形プレート40上に配置することもできる。さらに、任意のオブジェクトを削除することも可能である。これらの操作は、上述したオブジェクト生成欄72にて、「コピー」ボタン74、「削除」ボタン75を操作して行う。
ユーザは任意、又は上述した造形パラメータを指定するためのパラメータ設定手段63として、造形時間最小か、造形材の使用量最小のいずれかを選択し、「最適姿勢」ボタン80を押下することで、位置調整手段65bでオブジェクトOB1の位置と姿勢を決定した後、操作欄70の「プリント」ボタン84を押下すると、出力手段66から三次元造形装置に設定データが出力される。具体的には、図79に示すようなプリントデータ作成ダイヤログ86が表示され、三次元プリンタである三次元造形装置が読み込める形式の設定データが生成されて、三次元造形装置に転送される。以上のようにして、ユーザは設定データ作成装置を用いて設定データを作成し、三次元造形装置に対して造形を命令できる。
パラメータ設定手段63の一例は、上述した図75の操作欄70において設けられたラジオボタン63Aである。図75の例では、造形パラメータとして、造形時間最小、樹脂量最小のいずれかを指定できる。
またパラメータ設定手段63の他の例を、図80に示す。この図に示す造形パラメータ設定ダイヤログ63Bでは、造形パラメータとして、造形時間、造形材の使用量、サポート材接触面積の優先順位を規定できる。この例では、全ての造形パラメータである時間最小、樹脂量最小、マット面最小の全てに対して、造形の最適姿勢及び位置を決定する際の優先順位を数値等でユーザに指定させる。その際、優先順位付けに不要と判断するパラメータには、数値を入力しないことで、造形の最適姿勢及び位置を決定する演算から外すことができる。
本発明の三次元造形装置及び三次元造形方法は、インクジェット方式で紫外線硬化樹脂を積層した三次元造形に好適に利用できる。
100…三次元造形システム
1…設定データ作成装置
2、2’…三次元造形装置
3…筐体部
4…取り出し部;4A…第一取り出し部;4B…第二取り出し部;4C…第三取り出し部;4D…第四取り出し部
5…枠状
10…制御手段
12…ローラ回転速度制御手段
13…ステージ位置制御手段
14…告知手段
15…開放警告手段
20、20’…ヘッド部;20A…吐出ヘッドユニット;20B…回収硬化ヘッドユニット;20C…吐出手段
21…モデル材吐出ノズル
22…サポート材吐出ノズル
23…ノズル列
24…硬化手段
25…ローラ部
26…ローラ本体
27…ブレード
28…バス
29…吸引パイプ
30…ヘッド移動手段
31…XY方向駆動部
32、32’…Z方向駆動部
33、33’、33”…支承軸
40、40’…造形プレート
41、41C、41X…第一分割プレート
41a…第一サブ分割プレート;41b…第二サブ分割プレート
42、42C、42X…第二分割プレート
43…第三分割プレート
45…レールガイド
46…X方向移動レール
47…Y方向移動レール
50…サブプレート
51…第一サブプレート
52…第二サブプレート
58…カバー部
61…入力手段
62…表示手段
63…パラメータ設定手段
63A…ラジオボタン;63B…造形パラメータ設定ダイヤログ
64…演算手段;64b…オブジェクト配置手段;64d…造形時間演算手段;64e…造形材量演算手段;64f…造形条件調整手段;64g…配置警告手段
65…設定手段;65b…位置調整手段;65c…駆動モード選択手段;65d…終了時間指定手段;65e…配置基準設定手段;65f…優先プレート指定手段;65g…優先順位指定手段;65h…周囲マージン設定手段;65i…制限エリア設定手段
66…出力手段
68…表示欄
69…視点変更アイコン
70…操作欄
71…オブジェクト一覧
72…オブジェクト生成欄
73…「読み込み」ボタン
74…「コピー」ボタン
75…「削除」ボタン
76…手動操作欄
77…「表面仕上げ」欄
78…自動操作欄
80…「最適姿勢」ボタン
81…「最適配置」ボタン
82…「見積」ボタン
84…「プリント」ボタン
85…「ファイルを開く」ダイヤログ画面
86…プリントデータ作成ダイヤログ
4020…ヘッド部;4040…造形プレート
WK、WK1〜WK5…造形物
WK’、WKU…造形途中の造形物
WKC…造形の終了した造形物
MA…モデル材
SA…サポート材
PC…コンピュータ
SB…オーバーハング支持部
BA…制限エリア
PM…周囲マージン
VR…仮想造形領域
VR1…第一仮想造形領域
VR2…第二仮想造形領域
OB、OB1…オブジェクト
OB’…優先プレート上に配置できなかったオブジェクト
MNG…警告メッセージ

Claims (16)

  1. 複数の三次元状の造形物を、造形材を用いて造形するための三次元造形装置であって、
    造形物をその上面で造形するための第一分割プレートと、
    前記第一分割プレートと並べて配置された、造形物をその上面で造形するための第二分割プレートと、
    前記第一分割プレート及び第二分割プレートを独立して垂直方向に駆動可能なZ方向駆動部と、
    前記造形材を吐出するためのヘッド部と、
    前記第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方で造形物が造形された状態で、該造形物を取り出すために前記第一分割プレートと第二分割プレートの垂直方向の高さに高低差を設けた取り出し位置に移動させるよう、前記Z方向駆動部を制御するためのステージ位置制御部と、
    前記第一分割プレート、第二分割プレート、ヘッド部、Z方向駆動部を収納する筐体部と
    を備える三次元造形装置。
  2. 請求項1に記載の三次元造形装置であって、
    前記ステージ位置制御部は、前記第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方で造形物が造形され、かつ他方では造形物が造形未完了の段階で、前記第一分割プレート又は第二分割プレートの少なくともいずれか一方を取り出し位置に移動させてなる三次元造形装置。
  3. 請求項1又は2に記載の三次元造形装置であって、
    前記ステージ位置制御部は、前記第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方で造形物が造形されており、かつ他方で造形物が造形未完了の段階で、該他方での造形作業を一時的に中断して、前記第一分割プレート又は第二分割プレートの少なくともいずれか一方を取り出し位置に移動させてなる三次元造形装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の三次元造形装置であって、
    前記ステージ位置制御部が、取り出し位置として、造形物が造形された前記第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方を、前記Z方向駆動部でもって上昇させてなる三次元造形装置。
  5. 請求項4に記載の三次元造形装置であって、
    前記ステージ位置制御部が、取り出し位置として、造形物が造形された前記第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方を、前記Z方向駆動部でもって、最も高い位置まで上昇させてなる三次元造形装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の三次元造形装置であって、
    前記ステージ位置制御部が、前記第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方の内、造形物の造形作業を継続中の分割プレートの造形作業を中断し、降下させてなる三次元造形装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の三次元造形装置であって、
    前記筐体部が、前記第一分割プレート及び第二分割プレートを並べた方向に、該筐体部を開放して造形物を取り出すための取り出し部を設けてなる三次元造形装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の三次元造形装置であって、
    前記筐体部が、前記第一分割プレート及び第二分割プレートを並べた方向と交差する側に、該筐体部を開放して造形物を取り出すための取り出し部を設けてなる三次元造形装置。
  9. 請求項7又は8に記載の三次元造形装置であって、さらに、
    前記第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方で造形物の造形が完了し、かつ他方で造形作業を中断した状態において、前記造形が完了した造形物を取り出すために、前記取り出し部を開放している時間が所定の時間を超えると、警告を発する警告手段を備えてなる三次元造形装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の三次元造形装置であって、さらに、
    前記第一分割プレート又は第二分割プレートのいずれか一方の上面を覆うカバー部を備える三次元造形装置。
  11. 請求項10に記載の三次元造形装置であって、
    前記カバー部は、付加的に装着可能としてなる三次元造形装置。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の三次元造形装置であって、さらに、
    前記第一分割プレート又は第二分割プレートの上面に配置されるサブプレートを備え、
    前記第一分割プレート又は第二分割プレートの上面に配置された前記サブプレートの上面に、造形物を造形するよう構成してなる三次元造形装置。
  13. 請求項1〜12のいずれか一に記載の三次元造形装置であって、
    前記ヘッド部を、前記第一分割プレートと第二分割プレートで共通としてなる三次元造形装置。
  14. 請求項1〜13のいずれか一に記載の三次元造形装置であって、
    前記ヘッド部が、
    造形材を吐出するための造形材吐出手段と、
    前記造形材吐出手段で、前記第一分割プレートと第二分割プレート上に吐出された造形材から、余剰分を掻き取るためのローラ部と、
    前記造形材を硬化させるための硬化手段と
    を備え、
    前記造形材吐出手段は、造形材として、
    最終的な造形物となるモデル材と、
    前記モデル材が張り出した張り出し部分を支え、最終的に除去されるサポート材と
    を、前記第一分割プレートと第二分割プレート上に、少なくとも一方向に走査しながら吐出させ、かつこれを硬化させる動作を繰り返すことで、高さ方向に所定の厚みを有するスライスを生成し、該スライスを高さ方向に積層していくことにより造形を行う三次元造形装置。
  15. 請求項1〜14のいずれか一に記載される三次元造形装置であって、
    前記ヘッド部は、前記造形材吐出手段として、造形材を吐出するための吐出ノズルを第一方向に複数配列しており、
    前記XY方向駆動部は、ヘッド部を、前記吐出ノズルを配列した第一方向と交差する方向である主走査方向に往復動作させると共に、主走査方向と直交する副走査方向に移動させることにより、前記ヘッド部を水平方向に駆動させるよう構成しており、
    前記第二分割プレートは、前記第一分割プレートと副走査方向に並べられてなる三次元造形装置。
  16. 複数の三次元状の造形物を、造形材を用いて第一分割プレート及び第二分割プレート上にそれぞれ造形する三次元造形装置を用いた造形方法であって、
    前記第一分割プレート上で一の造形物の造形を行う一方、前記第二分割プレート上で他の造形物の造形を行う工程と、
    前記第一分割プレート上での造形物の造形作業が終了した後、前記第二分割プレート上での他の造形物が造形未完了の段階で、前記第一分割プレート及び第二分割プレートを独立して垂直方向に駆動可能なZ方向駆動部及び該Z方向駆動部を制御するためのステージ位置制御部でもって、前記第一分割プレートと第二分割プレートの垂直方向の高さに高低差を設けた取り出し位置に移動させる工程と、
    前記第一分割プレートから造形物を取り出す工程と
    を含む三次元造形方法。
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JP2020001229A (ja) * 2018-06-27 2020-01-09 セイコーエプソン株式会社 三次元造形物の製造方法および三次元造形装置
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