以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る熱転写方式の印刷制御装置としてのプリンタ100のブロック図である。101は、プリンタ100のシステム制御や演算処理を行うCPUである。102は、プリンタ100のシステム制御用プログラムを格納するFlash ROMである。CPU101は、Flash ROM102からプログラムを読み込んで、読み込んだプログラムに基づいて各部の制御を行う。103は、画像データを一時的に保存し、データ処理の作業用に用いるSDRAMである。CPU101、Flash ROM102、SDRAM103で構成される部分を、本プリンタの各制御を主に処理する主制御部104と称する。なお、後述するプリンタ100の機能や処理は、CPU101がROM102に格納されているプログラムを読み出し、このプログラムを実行することにより実現されるものである。
本実施形態に係る主制御部104は、画像データの付帯情報に関する処理を行う。ここで、付帯情報とは、画像と共に印画される情報である。なお、付帯情報は、印刷領域外に印画される。具体的には、主制御部104は、付帯情報を2次元コードにエンコードした後に画像データに変換し、さらにイエロー、マゼンタ、シアンの各色で各々印画する部分に画像データを分割する処理を行う。なお、他の例としては、主制御部104は、付帯情報を2次元コードにエンコードすることなく、付帯情報そのものを画像データに変換してもよい。
105は、デジタルカメラや携帯端末等から送られてきた画像データや、記憶媒体から読み出した画像データの画像処理を行う画像処理部である。画像処理部105は、画像データに対する解凍処理、使用用紙に応じたリサイズ処理、画像補正処理等の各種画像処理を行い、画像処理が施された画像データに基づいて印画用の印刷データを生成する。なお、他の例としては、画像処理部105の処理を、画像処理部105に替えて、主制御部104が行ってもよい。
106はサーマルヘッド制御部、107はサーマルヘッドである。サーマルヘッド制御部106は、画像処理部105で生成された印刷データを電気信号に変換しサーマルヘッド107に出力する。サーマルヘッド107は、電気信号を熱エネルギーに変換して、インクリボンの染料を用紙に転写する。
108は、サーマルヘッド107の温度を計測するヘッド温度センサである。109は、プリンタ100内の環境温度を測定する環境温度センサである。110は、ヘッドの押圧位置、退避位置等の位置を検出するヘッド位置センサである。111は、用紙の位置を検出する用紙検出センサである。112は、インクリボンの情報を検出するインクリボン検出センサである。113は、インクリボンに設けられたマーカを検出するマーカ検出センサである。
114は、モータを制御するモータドライバ部である。115は、ヘッドを印画するための押圧位置や、インクリボンカセットの交換と用紙を搬送するため退避位置に駆動するためのヘッド位置駆動モータである。116は、用紙を搬送駆動するための用紙搬送モータである。主制御部104は、上記各センサのセンサ情報と、予めプログラムされた情報によって、モータドライバ部114に命令を出し、ヘッド位置駆動モータ115や用紙搬送モータ116を駆動制御する。
117は、記憶媒体に記憶されている画像や、プリンタの操作メニューを表示するLCD等の表示部である。118は操作部であり、ユーザによる指示入力が行われる。119は通信部であり、プリンタに接続されたデジタルカメラ等の外部機器との通信を制御する。120は、プリンタに装着された記憶媒体121からの画像データの読み出しや、データの書き込みを行うメモリコントローラである。121は画像データが記憶されている記録媒体であり、プリンタに着脱可能な構成となっている。
図2は、プリンタ100及びインクリボンカセット200の外観図である。プリンタ本体130の側面には、インクリボンカセット200を装着可能にするためのインクリボンカセット挿入口131があり、インクリボンカセット200は、矢印A方向に着脱可能である。プリンタ本体130の前面には用紙トレイ210を装着可能にするための用紙トレイ挿入口132があり、用紙トレイ210は矢印B方向に着脱可能である。
表示部117及び操作部118は、プリンタ本体130の天面に配されている。ユーザは、表示部117に表示された画像や画像処理情報等を確認し、操作部118を操作することにより印画する画像を選択することができる。これに対し、プリンタ100は、ユーザ指示に従い、適宜画像を加工した上で、印画することができる。
図3は、プリンタ100に用いられるインクリボン300の平面図である。インクリボン300には、イエロー(Y)層301、マゼンタ(M)層302、シアン(C)層303の3色のインク層がベースフィルム上に塗布されている。このように、インクリボン300には、複数色のインク層が配列されている。インクリボン300には、さらにこれらのインク層に続きオーバーコート層(OC)304が、ベースフィルム上に塗布されている。
各インク層の間、シアン層303とオーバーコート層304の間、オーバーコート層304とイエロー層301の間には、各層を区分し、頭出しを行うためのマーカ311,312,313,314,315が塗布されている。各インク群の先頭に位置するイエロー層301の前にのみ、2本のマーカ311,312が設けられており、これ以外の層間には、1つのマーカ313〜315が設けられている。
主制御部104は、印画を開始すると、まず、インク群の先頭に位置するイエロー層301を検知すべく、まずインクリボン300の巻き取り駆動を制御する。そして、主制御部104は、マーカ311を検知した後に、2本目となるマーカ312が検知される予定の位置までさらにインクリボンを巻き取るよう制御する。このとき、主制御部104は、2本目のマーカ312を検知した場合に、インク群の先頭であると判別する。
なお、本実施形態のマーカ検出センサ113は、反射型の赤外センサである。通常使用するインク層中の染料とオーバーコート層中のコーティング剤は、900nm〜1000nm付近の範囲の発光波長の赤外線を吸収しない。そのため、色相に関わらず、赤外線はインクシートを透過するので、赤外遮光性のあるマーカを使用すれば、染料部とマーカ部の区分けの検出が可能である。マーカは、赤外線遮光物質を含有させることで形成できる。
図4は、本実施例のプリンタに用いる用紙400の平面図である。図4(a)は、印画前の状態の用紙400、図4(b)は、印画済みの状態の用紙400、図4(c)は、用紙400に設けられたミシン目411,412で端部がカットされた状態の用紙400を示している。矢印Fは、用紙400のプリンタ100での搬送方向を示している。なお、用紙400のうち搬送方向において前側の端辺を前辺401、後側の端辺を後辺402と称する。ミシン目411,412は、それぞれ前辺401及び後辺402から距離L1だけ離れた位置に、搬送方向Fと直交する方向に形成されている。
図4(b)に示す、印画済みの状態の用紙400に示すように、プリンタ100は、位置ずれ等を考慮して、ミシン目411,412の間の領域を中心に、ミシン目411,412よりも用紙400の外側にはみ出すように画像420を印画する。図4(c)に示すように、ユーザが希望に応じて、ミシン目411,412の部分で、前後の余白部を含む端部領域431,432を切り取ることにより、中央領域433を、搬送方向Fの長さがL2の縁なしの写真として得ることができる。
図5は、プリンタ100の側面の断面図である。図5を参照しつつ、プリンタ100の機構構成と印画に関わる基本動作について説明する。図5(a)は待機状態、図5(b)は給紙中、図5(c)は印画開始前、図5(d)は印画中、図5(e)は排紙中のプリンタ100の状態を示している。図5には、サーマルヘッド107が示されている。また、図5に示す501はサーマルヘッド支持アーム、503は放熱板、504はプラテンローラである。サーマルヘッド支持アーム501は、回動軸502を中心に回動可能に支持されている。
サーマルヘッド107は、サーマルヘッド支持アーム501によって、プリンタ本体130に支持されている。そのため、サーマルヘッド107は、図5(a)に示す退避位置1から図5(c)の退避位置2、図5(d)に示す押圧位置へと移動可能になっており、プラテンローラ504との間で圧接力を生じさせることができる。放熱板503は、サーマルヘッド107に取り付けられており、サーマルヘッド107で発生した熱を、放熱板503に移動することができるように構成されている。プラテンローラ504は、プリンタ本体130に回動自在に配置されており、用紙400の搬送に伴って回転するように構成されている。
505は搬送ローラ、506は従動ローラである。搬送ローラ505は、不図示の用紙搬送モータにより駆動され、回転駆動することができる。従動ローラ506は、搬送ローラ505に対向しているローラであり、搬送ローラ505の回転に追従して回転を行うように構成されている。507は給紙ローラ、508は排紙ローラである。給紙ローラ507は不図示の給紙駆動モータにより駆動され回転駆動することができる。排紙ローラ508は、給紙ローラ507に対向している従動ローラであり、給紙ローラ507の回転に追従して回転を行うように構成されている。
マーカ検出センサ113と対向する位置には、インクリボン300を挟んで、インクリボンカセットのケース202に貼られた反射シール203が設けられている。マーカ検出センサ113から投光された赤外光は、インクリボン300を透過して、反射シール203に反射して、再びインクリボン300を透過して、マーカ検出センサ113の受光部へ入射する。
150は用紙ガイドであり、給紙時に用紙400により持ち上げられ、図5(a)に示す位置から、図5(b)に示す位置に回動可能に支持されている。また、用紙ガイド150は、常に下方向に付勢されており、給紙時以外は、図5(a)に示す位置にある。151は加圧板であり、不図示の駆動源により回動駆動され、図5(a)に示す位置から、図5(b)に示す位置まで回動可能に構成されている。加圧板151が図5(b)の位置に駆動されると、用紙トレイ210内に回動可能に支持されたリフト板211が持ち上げられ、用紙トレイ210に収納した、用紙400の最上面の紙が給紙ローラ507に圧接されて、給紙可能になる。用紙ガイド150の下側には、用紙検出センサ111が設けられている。
図6は、プリンタ100による、通常印画処理を示すフローチャートである。ここで、通常印画処理とは、印画対象として指定された情報のみを印画し、付帯情報の印画を行わない処理である。以下、印画対象として指定された画像、すなわち印刷対象画像を対象画像と称する。図2に示すように、プリンタ本体130のインクリボンカセット挿入口131から、インクリボンカセット200が装填されると、不図示の回転規制部との係合が解除される。そして、供給ボビン204及び巻き取りボビン205が、プリンタ本体130に設けられた回転駆動機構によって回転駆動可能となる。また、用紙トレイ210がプリンタ本体130の用紙トレイ挿入口132に装着されると、用紙400が給紙可能になる。主制御部104は、インクリボンカセット200と用紙トレイ210を装着して、印画準備が整った状態で、操作部118を介してユーザから印画指示を受け付けると、通常印画処理を開始する。
S601において、主制御部104は、用紙400が給紙ローラ507と当接するよう制御する。主制御部104の制御の下、図5(b)に示すように、加圧板151が不図示の駆動源により回動駆動され、用紙トレイ210に収納された用紙400が、給紙ローラ507と当接する。次に、S602において、主制御部104は、不図示の給紙駆動源を制御することにより、給紙ローラ507を回転駆動する。これにより、用紙400が用紙トレイ210から給紙される。この際に、用紙400の先端が、用紙分離部509に当接することで、プリンタ100は、最表面の用紙400の1枚のみを分離し、給紙することができる。そして、用紙400は、用紙ガイド150を押し上げながら搬送される。このとき、用紙400の先端部が、用紙検出センサ111上に到達すると、その時点からさらに一定の搬送量送られるところで、用紙400の先端が搬送ローラ505と従動ローラ506のニップ位置まで搬送されたことがシステム上判断される。
そして、用紙400が、図5(b)に示す搬送ローラ505と従動ローラ506のニップ位置まで搬送されると、不図示の用紙搬送モータの回転により、搬送ローラ505が回転駆動して、さらに用紙が搬送される。このとき、主制御部104は、加圧板151を用紙トレイ210から退避するように駆動することで、給紙ローラ507から用紙400を離間する。そこから、主制御部104は、用紙400の搬送駆動源を搬送ローラ505へと移行する。続いて、主制御部104は、さらに搬送ローラ505を駆動する。これにより、用紙400は、サーマルヘッド107とプラテンローラ504の間を通過するように、図5(b)の矢印Gの方向に搬送される。
次に用紙400が図5(c)に示す印画開始位置まで搬送されると、主制御部104は、サーマルヘッド107を、図5(b)に示した退避位置1から、図5(c)に示した退避位置2まで移動させる。サーマルヘッド107が退避位置2に移動すると、不図示のカムによって、インクリボン300の巻き取りボビン205を回転駆動するリボン駆動系が駆動可能に切り換えられる。そして、主制御部104は、インクリボンカセット200において、巻き取りボビン205を回転させ、インクリボン300を供給ボビン204から引き出す。
次に、S603において、主制御部104は、インクリボン300の移動を制御する。具体的には、主制御部104は、まずインクリボン300の巻き取りを開始する。そして、主制御部104は、インクリボン300の巻き取り開始後、マーカ検出センサ113によって、図4に示したインクリボン300のマーカ311,312が、順に検出されるまで巻き取りを継続する。そして、主制御部104は、マーカ311,312がこの順に検出された時点で、インクリボン300の巻き取り動作を停止する。なお、マーカ312が検出された時点でインクリボン300を停止することにより、サーマルヘッド107に対向する位置に、インクリボン300のイエロー層301の印画開始位置を合わせることができる。
次に、S604において、主制御部104は、所望のカラー印画を行うため、最初にY(イエロー)印画を開始する。具体的には、主制御部104は、図示しない駆動源を制御して、サーマルヘッド支持アーム501を回動させ、サーマルヘッド107を図5(d)の押圧位置で静止させる。これにより、主制御部104は、サーマルヘッド107とプラテンローラ504でインクリボン300と用紙400を圧接するよう制御する。
次に、S605において、主制御部104は、対象画像に対応するイエローの印画を制御する。具体的には、主制御部104は、搬送ローラ505を制御して、用紙400を図5(d)の矢印Fの方向に搬送しながら、印画信号によりサーマルヘッド107の発熱体を発熱させ、イエロー層301の染料を用紙400へ熱転写させる。
この時、図示しない駆動源により、巻き取りボビン205が回転駆動されることにより、インクリボン300は、用紙400とほぼ同じ搬送速度で図5(d)の矢印Fの方向に搬送される。すると、インクリボン300は、インクリボンカセット200に回転自在に保持されているシャフト206に当接しながら搬送される。そのため、インクリボン300の搬送抵抗を小さくすることができ、インクリボン300の搬送不良による皺等の印画不良を防ぐことができる。
イエローの印画が完了すると、次に、S606において、主制御部104は、サーマルヘッド支持アーム501を回動させ、サーマルヘッド107とプラテンローラ504の圧接を解除し、サーマルヘッド107を図5(c)に示す退避位置2で静止させる。
次に、S607において、主制御部104は、マゼンタの印画を開始するためにサーマルヘッド107と対向する位置に、インクリボン300のマゼンタ層302の印画開始位置が合うように制御する。具体的には、主制御部104は、巻き取りボビン205を回転させ、インクリボン300を供給ボビン204から引き出し、インクリボン300の巻き取りを開始する。そして、主制御部104は、マーカ検出センサ113がマゼンタ層302の先頭にあるマーカ313を検知したところで、インクリボン300の巻き取りを停止するよう制御する。
次に、S608において、主制御部104は、用紙400のリターン動作を制御する。具体的には、主制御部104は、搬送ローラ505を制御して、用紙400を、図5(e)の矢印G方向に図5(c)に示す印画開始位置まで搬送する。次に、S609において、主制御部104は、サーマルヘッド107を、インクリボン300と用紙400を挟んで、プラテンローラ504に圧接するよう制御し、サーマルヘッド107を図5(d)に示す押圧位置まで移動させる。次に、S610において、主制御部104は、対象画像に対応するマゼンタの印画を制御する。そして、S611において、主制御部104は、サーマルヘッド107を図5(c)に示す退避位置2で静止させる。なお、S609〜S611の処理は、S604〜S606の処理と同様である。
続いて、主制御部104は、S612〜S616の処理を行うことにより、対象画像に対応するシアンの印画を行い、その後、S617〜S621の処理を行うことにより、対象画像に対応するオーバーコートの印画を行う。なお、S612〜S616の処理は、S607〜S611の処理と同様である。また、S617〜S620の処理は、S607〜S610の処理と同様である。
ただし、S612においては、主制御部104は、シアンの印画を開始するためにサーマルヘッド107と対向する位置に、インクリボン300のシアン層303の印画開始位置を合わせるように制御する。具体的には、主制御部104は、マーカ検出センサ113がシアン層303の先頭にあるマーカ314を検知したところで、インクリボン300の巻き取りを停止する。また、S617においては、主制御部104は、オーバーコートの印画を開始するためにサーマルヘッド107と対向する位置に、インクリボン300オーバーコート層304の印画開始位置が位置するように制御する。具体的には、主制御部104は、マーカ検出センサ113がオーバーコート層304の先頭にあるマーカ315を検知したところで、インクリボン300の巻き取りを停止する。S621において、主制御部104は、図5(c)の状態から、給紙ローラ507を回転駆動し、用紙400を給紙ローラ507と排紙ローラ508でニップさせ、プリンタ本体130の外部へ排出するよう制御する。以上で、通常印画処理が完了する。
図7及び図8を参照し、プリンタ100が利用する、インクリボン300と用紙400のサイズの関係について説明する。図7は、プリンタ100の印画部の主要素と、用紙400の関係を示す図である。図7上段には、プリンタ100の印画部の主要素の、印刷開始状態における模式断面図を示す。図7下段には、プリンタ100により印画され出力された用紙400の上面図を示す。図8は、インクリボン300と用紙400の関係を示す図である。
図7に示すように、用紙400の前辺401側のミシン目411から、距離L4だけ前辺401側の位置が印画開始位置421である。また、後ろ辺402側のミシン目412から距離L5だけ後辺402側の位置が印画終了位置422である。なお、印画開始位置421から印画終了位置422の間の領域423が、印画指定された画像、すなわち対象画像が印画される印画領域(印刷領域)である。図7に示すように、印画領域423の長さは、距離L3で示され、2つのミシン目411,412の間の距離L2よりも長い範囲に設定される。これは、用紙のサイズや搬送による位置ずれや傾きによって、印画開始位置や送り量のずれが生じても、ミシン目411,412で切り取った場合に、対象画像がミシン目411,412の間に印画されるようにしたものである。
印画開始時には、図7に示すように、サーマルヘッド107がプラテンローラ504との間にインクリボン300と用紙400を挟んで転写を行う部分よりも、用紙の先端付近は、搬送方向F側で、搬送ローラ505と従動ローラ506により挟持されている。このように、印画開始位置421から離れた位置で用紙を挟持、搬送するために、前辺401から距離L7の領域は、印画できない余白部分となる。距離L4をより大きくとり、より用紙400の前辺401に近い位置から印画を開始しようとすると、搬送ローラ505から用紙400が脱落してしまう可能性がある。そのため、距離L1は、用紙400の検出による位置ずれや用紙400や搬送機構の寸法ばらつきにより生じる、用紙400の傾きによるずれ等を考慮し、用紙400が搬送ローラ505から脱落せずに、搬送可能な距離に設定される。
また、本実施形態に係るプリンタ100が利用する用紙400は、用紙400がどちら側から装填されても使用できるように、用紙400の搬送方向Fに対して、前後対称な形状になるようにミシン目411,412が加工されている。一方、後辺402側において、縁なし写真を実現するために、ミシン目412からL5の距離の位置、すなわち印画終了位置422まで印画される。なお、用紙400には、通常の印画領域から、L6の距離だけ後端側へ寄った、Pで示した印画可能領域が残っている。距離L6を超えた位置まで印画をすると、用紙400の搬送による位置ずれや傾き、用紙400やプリンタ100の大きさのばらつきによって、用紙400の後辺402を抜けた位置で印画をしてしまう可能性がある。サーマルヘッド107が用紙400のないところで、インクリボン300のみを加熱してしまうと、インクリボン300が切れてしまうことがある。そのため、L6で示した搬送距離までの領域Pが、確実に印画可能な範囲であるといえる。
図8の下段において、斜線で示す領域PAは、対象画像が印画される距離L3の範囲と、余白部の距離L6の領域Pとを合わせた領域であり、印画可能な領域である。なお、領域PAの搬送方向の距離LA2は、L3+L6となる。これに対し、図8の上段において、斜線で示す領域RAは、インクリボン300の使用可能領域である。領域RAは、マーカ312が検出された後、印画を開始可能な位置321から次色のマーカ313の手前のマージンを取った位置322までの距離LA1の領域である。
インクリボン300の印刷開始位置321と用紙400の印画開始位置421を合わせた場合に、用紙400の搬送方向において、用紙400の領域PAの長さLA2に対して、インクリボン300の領域RAの長さLA1のほうが短い場合がある。このように、インクリボン300の長さが用紙400の長さに比べて短い場合、用紙400の未使用部分(領域P)に別の画像や情報等を印画しようとすると、インクリボン300の長さが不足して、所望の印画ができないことがあり得る。本実施形態に係るプリンタ100は、このようにインクリボン300が用紙400に比べて短い場合においても、領域Pへの画像の印画を行うことができる。
図9は、プリンタ100による、印画前データ処理を示すフローチャートである。なお、データ処理は、プリンタ100の起動後、印画処理の前に実行される処理である。S901において、主制御部104は、印刷準備処理を行った後、印刷対象の画像の選択指定を受け付ける。ユーザが表示部117に表示される指示に従い、操作部118を操作して、印画対象の画像を選択すると、主制御部104は、ユーザ操作に応じた選択指定を受け付ける。次に、S902において、主制御部104は、付帯情報を付加して印画する付帯情報印画モードに設定されているか否かを確認する。なお、プリンタ100は、ユーザ操作に応じて、印画モードを付帯情報印画モードと通常モードのいずれかに設定するものとする。ここで、付帯情報印画モードは、対象画像を印画領域に印画するのに加えて、対象画像以外に付帯情報を示す画像を余白部分に印画するモードであり、通常モードは、対象画像を印画領域に印画するモードである。
プリンタ100は、付帯情報印画モードに設定されている場合には(S902でYes)、処理をS903へ進める。プリンタ100は、付帯情報印画モードに設定されていない場合には(S902でNo)、処理をS914へ進める。S903においては、主制御部104は、付帯情報の選択指定を受け付ける。ユーザが表示部117に表示される指示に従い、操作部118を操作して付帯情報を選択すると、主制御部104は、付帯情報の選択指定を受け付ける。
図10は、付帯情報の選択指定を受け付けるための選択画面1000の一例を示す図である。選択画面1000には、印刷イメージ1010が表示されている。印刷イメージ1010には、印画対象となる情報のイメージデータである対象画像1011だけでなく、付帯情報のイメージデータである付帯画像1012が含まれている。なお、本実施形態においては、付帯画像1012は、付帯情報を示す2次元コードである。なお、図10に示す2次元コードはQRコード(登録商標)である。チェックボックス1020,1021,1022に対応付けて、保存されているURL、画像の撮影日、撮影場所のGPSデータ、ユーザがコメント入力する文字データが付帯情報として表示されている。ユーザは、チェックボックス1020,1021,1022を選択することにより、付帯情報を選択指定することができる。
図11は、S904〜S911の処理の説明図である。以下、適宜図11を参照しつつ、S904以降の処理について説明する。S903の処理の後、S904において、主制御部104は、図11に示すように、選択指定された付帯情報1100を、2次元コードにエンコードする。次に、S905において、主制御部104は、2次元コードを印画されるスペースに合わせたサイズの2値のイメージデータである付帯画像1110に変換する。
次に、S906において、主制御部104は、付帯画像1110を用紙400の搬送方向Fに垂直に分割し、複数の部分画像を得る(分割処理)。本実施形態においては、図11に示すように、主制御部104は、インクリボン300のインク群の色数に対応し、3つの部分画像(第1部分画像1111、第2部分画像1112及び第3部分画像1113)に分割する。なお、本実施形態においては、各部分画像1111〜1113の搬送方向Fの幅は等しいのが好ましいが、各幅は異なっていてもよい。
そして、主制御部104は、第1部分画像1111をイエローに割り当て、第1部分画像1111をイエローの最大階調とゼロの階調との2値で形成するイメージデータであるY部分画像1121を生成する。同様に、主制御部104は、第2部分画像1112をマゼンタに割り当て、第2部分画像1112をマゼンタの最大階調とゼロの階調との2値で形成するイメージデータであるM部分画像1122を生成する。同様に、主制御部104は、第3部分画像1113をシアンに割り当て、第3部分画像1113をシアンの最大階調とゼロの階調との2値で形成するイメージデータであるC部分画像1123を生成する。
次に、S907において、主制御部104は、3つの部分画像1121〜1123を一時的にFlash ROM102に記録する。次に、S908において、主制御部104の制御の下、画像処理部105は、印画指定された画像、すなわち対象画像を読み取る。なお、対象画像は、R(赤)、G(緑)及びB(青)ベースである。次に、S909において、主制御部104の制御の下、画像処理部105は、RGBベースの画像を補正し、所定の有彩色になるようテーブル変換を行うことで、所望の画像補正処理を行う。
次に、S910において、主制御部104の制御の下、画像処理部105は、補正結果についてYMCベースの変換処理を行う。次に、S911において、主制御部104の制御の下、画像処理部105は、YMCデータに変換された各色の対象画像に、S907において記録された対応する色の部分画像を合成する。画像処理部105は、図11に示すように、イエローの対象画像(Y対象画像)1131とY部分画像1121から、イエローの合成画像(Y合成画像)1141を生成する。画像処理部105はまた、マゼンタの対象画像(M対象画像)1132とM部分画像1122から、マゼンタの合成画像(M合成画像)1142を生成する。画像処理部105はまた、シアンの対象画像(C対象画像)1133とC部分画像1123から、シアンの合成画像(C合成画像)1143を生成する。
次に、S912において、主制御部104は、YMCデータにおいて各階調数に応じたパルス数を求めて、パルスを生成する。次に、S913において、主制御部104は、パルス変換されたデータをサーマルヘッド制御部106に送った後、付帯情報印画処理を行う。なお、付帯情報印画処理については、後述する。
一方、S100は、S902において、付帯情報印画モードに設定されていない場合には(S902でNo)、処理をS914へ進める。S914〜S916の処理は、S908〜S910の処理と同様である。続くS917の処理は、S912の処理と同様である。そして、主制御部104は、S917の処理の後、処理をS918へ進める。S918において、主制御部104は、パルス変換されたデータをサーマルヘッド制御部106に送った後、図6を参照しつつ説明した通常印画処理を行う。
図12は、付帯情報印画処理を示すフローチャートである。S1201〜S1204の処理は、図6を参照しつつ説明したS601〜S604の処理と同様である。S1204の処理の後、主制御部104は、処理をS1205へ進める。S1205において、主制御部104は、1色目のイエロー(Y)の印画(Y印画処理)を開始するよう制御する(印刷制御処理)。
図13(a)は、Y合成画像1141を示す図である。YL1は、Y合成画像1141の印画開始ラインである。YL2及びYL3は、それぞれY部分画像1121の印画開始ライン及び印画終了ラインである。また、図13(b)は、Y印画終了時点の印画済み用紙400を示す図である。この時点では、用紙400には、イエローの画像のみが印画されている。Y印画では、主制御部104は、Y合成画像1141の印画開始ラインYL1から印画終了ラインYL3まで連続して印画を行う。図13(b)に示すように、用紙400の印画領域423には、Y対象画像1131に対応する画像が印画され、領域P内の領域431には、Y部分画像1121に対応する画像が印画されている。なお、Y部分画像1121に対応する画像は、2次元コードの一部であり、この時点では、付帯情報の2次元コードは、未完成である。
ここで、図13(a)に示したY合成画像1141の印画開始ラインYL1からY部分画像1121の印画開始ラインYL2までの用紙搬送量をG1ステップとする。また、Y部分画像1121の印画開始ラインYL2から印画終了ラインYL3までの用紙搬送量をC1ステップとする。
図12に戻り、主制御部104は、Y印画が終了すると、処理をS1206へ進める。S1206において、主制御部104は、サーマルヘッド107を図5(c)に示す退避位置2に退避させる。続く、S1207〜S1215の処理は、2色目のマゼンタ(M)の印画処理(M印画処理)である。図14(a)は、M合成画像1142を示す図である。ML1は、M合成画像1142の印画開始ラインである。ML2及びML3は、それぞれM部分画像1122の印画開始ライン及び印画終了ラインである。また、図14(b)は、M印画処理終了時点の印画済み用紙400を示す図である。図14(b)に示す印画済み用紙400の印画領域423には、Y印画処理において印画されたY画像に重畳し、M印画処理において印画されたM画像が印画されている。また、領域P内の領域432には、M部分画像1122に対応する画像が印画されている。ここで、図14(a)に示したM合成画像1142の印画開始ラインML1からM部分画像1122の印画開始ラインML2までの用紙搬送量をG2ステップとする。また、M部分画像1122の印画開始ラインML2から印画終了ラインML3までの用紙搬送量をC2ステップとする。
S1207〜S1209の処理は、S607〜S609の処理と同様である。S1209の処理の後、主制御部104は、処理をS1210へ進める。S1210において、主制御部104は、M合成画像1142の印画開始ラインML1から、M部分画像1122の印画開始ラインML2までのG2ステップ搬送分だけ印画を行い、その後印画を一時停止する。これにより、図14(b)に示すように、印画領域423にM画像に重畳してY画像が印画される。
次に、S1211において、主制御部104は、サーマルヘッド107を図5(d)に示した押圧位置から図5(a)に示した退避位置1まで移動させる。なお、退避位置1においては、不図示の伝達機構部において、インクリボン300の巻き取り駆動系への伝達は解除されていて、インクリボン300の巻き取りボビン205には回転規制がかかっている。このため、インクリボン300が用紙400の移動に連れられて移動することがない。
次に、S1212において、主制御部104は、M部分画像1122をY印画の印画終了ラインYL3から転写開始するために、用紙を搬送方向FにC1ステップ搬送する。次に、S1213において、主制御部104は、サーマルヘッド107を押圧位置に移動する。次に、S1214において、主制御部104は、M合成画像1142の残りの部分であるM部分画像1122の印画開始ラインML2から印画終了ラインML3までを印画する。ここで、印画開始ラインML2は、M対象画像1132の印画終了ライン(位置)に相当するラインである。これにより、図14(b)に示すように、用紙400の領域P内の領域431に接し、かつ領域431よりも後辺402側の領域432に、M部分画像1122に対応する画像が印画される。すなわち、この時点では、左半分がイエロー単色、右半分がマゼンタ単色の未完成の2次元コードが印画されている。次に、S1215において、主制御部104は、サーマルヘッド107を図5(c)に示した退避位置2に退避させる。S1211〜S1214の処理は、M対象画像の印画終了(印刷終了)した時点で、インクリボン300の搬送を停止し、用紙400がM部分画像の印刷開始位置に搬送された時点で、搬送を再開するよう制御するインクリボン制御処理の一例である。
続く、S1216〜S1224の処理は、3色目のシアン(C)の印画処理(C印画処理)である。図15(a)は、C合成画像1143を示す図である。CL1は、C合成画像1143の印画開始ラインである。CL2及びCL3は、それぞれC部分画像1123の印画開始ライン及び印画終了ラインである。図15(b)は、C印画終了時点の印画済み用紙400を示す図である。図15(b)に示す印画済み用紙400の印画領域423には、Y印画処理において印画されたY画像及びM印画処理において印画されたM画像に重畳して、C印画処理において印画されたC画像が印画されている。また、領域Pの領域433には、C部分画像1123に対応する画像が印画されている。
S1216〜S1218の処理は、S607〜S609の処理と同様である。S1218の処理の後、主制御部104は、処理をS1219へ進める。S1219において、主制御部104は、シアンの合成画像1143のうち印画開始ラインCL1から付帯情報のシアンの部分画像1123の印画開始ラインCL2まで印画を行い、その後印画を一時停止する。これにより、図15(b)に示すように、印画領域423にM画像及びY画像に重畳してC画像が印画され、対象画像が用紙400に形成される。
次に、S1220において、主制御部104は、サーマルヘッド107を退避位置1まで移動させる。次に、S1221において、主制御部104は、用紙400をC部分画像1123の印画開始位置まで移動する。ここで、用紙400は、図13(a)に示したC1ステップと図14(a)に示したC2ステップを加算した搬送量だけ移動させる必要がある。よって、主制御部104は、用紙400を搬送方向Fに(C1+C2)ステップだけ移動させる。次に、S1222において、主制御部104は、サーマルヘッド107を押圧位置に移動させる。
次に、S1223において、主制御部104は、C合成画像1143のうち残りの部分であるC部分画像1123の印画開始ラインCL2から印画終了ラインCL3までを印画する。これにより、図15(b)に示すように、用紙400の領域P内の領域432に接し、かつ領域432よりも後辺402側の領域433に、C部分画像1123に対応する画像が印画される。そして、主制御部104は、C印画が終了すると、処理をS1124へ進める。S1124において、主制御部104は、サーマルヘッド107を図5(c)に示した退避位置2に退避させる。なお、S1220〜S1224の処理は、インクリボン制御処理の一例である。
以上の処理により、対象画像の隣に、付帯画像434としての2次元コードが形成される。付帯画像434は、左側にイエロー単色で印画された部分、中央にマゼンタ単色で印画された部分、右側にシアン単色で印画された部分を有している。付帯画像は、本来白黒で印画される画像であるが、付帯画像としての2次元コードは、読取機器が読み取るための情報であり、人が見て内容を確認するための情報ではない。このため、このように、二次元コードが複数色で印画されたとしても不都合はない。また、付帯画像434は、3色で形成されているものの、いずれの色もベースである用紙400の白色部とコントラストがとれている。したがって、2次元コードの読取機器は、付帯画像434を1つの2次元コードとして読み取ることができる。
続く、S1225〜S1229の処理は、オーバーコートの印画処理(OC印画処理)と排紙処理である。なお、S1225〜S1229の処理は、図6を参照しつつ説明したS617〜S621の処理と同様である。以上で、付帯情報印画処理が終了する。
以上のように、本実施形態に係るプリンタ100は、対象画像の印画に利用される各色のインクリボンの余った部分を利用し、付帯画像を各色に対応して分割後、印画合成する。これにより、インクリボンを有効活用し、インクリボンのサイズを大きくすることなく、主印画領域外の領域に付帯画像を印画することができる。
なお、第1の実施形態に係るプリンタ100の第1の変更例としては、余白部分に印画される付帯画像は、実施形態に限定されるものではない。他の例としては、プリンタ100は、直線状のバーが並んだバーコードで、数字や文字、又は図等を付帯画像として印画してもよい。
また、第2の変更例としては、プリンタ100は、対象画像の各色成分の画像と各色の付帯画像の部分画像が印画されればよく、そのための具体的な処理は、実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態に係るプリンタ100は、対象画像の各色成分の画像と、同一色の付帯画像の部分画像を合成し、合成画像を印画対象として処理を行ったが、これに替えて、合成を行わず、各画像に基づいて印画を行ってもよい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るプリンタ100について説明する。第2の実施形態に係るプリンタ100は、付帯画像を、イエローとマゼンタの合成色と、シアン単色の2色で印画すべく、付帯画像を2分割する。以下、第2の実施形態に係るプリンタ100について、第1の実施形態に係るプリンタ100と異なる点について説明する。
第2の実施形態に係るプリンタ100による、印画前データ処理は、図9に示す印画前データ処理とほぼ同様である。ただし、S907において、主制御部104は、付帯画像を3つではなく2つの部分画像(第1部分画像1611及び第2部分画像1612)に分割する。図16は、第2の実施形態に係るプリンタ100によるS904〜S911(図9)の処理の説明図である。
主制御部104は、第1部分画像1611をイエローとマゼンタの合成色に割り当てる。そして、主制御部104は、第1部分画像1611をイエローの最大階調とゼロの階調との2値で形成するイメージデータであるY部分画像1621を生成する。主制御部104はさらに、第1部分画像1611をマゼンタの最大階調とゼロの階調との2値で形成するイメージデータであるM部分画像1622を生成する。主制御部104はまた、第2部分画像1612をシアンに割り当て、シアンの最大階調とゼロの階調との2値で形成するイメージデータであるC部分画像1623を生成する。このように、本実施形態に係るプリンタ100は、同一部分画像に対応する異なる色成分のY部分画像1621及びM部分画像1622を生成する。
そして、主制御部104は、図16に示すように、Y対象画像1131とY部分画像1621を含むY合成画像1641を生成する。同様に、主制御部104は、M対象画像1132とM部分画像1622を含むM合成画像1642を生成し、C対象画像1133とC部分画像1623を含むC合成画像1643を生成する。
これにより、1色分のインクリボンの使用量は付帯情報を3分割する場合に比べて増えるものの、イエロー単色に比べて、白い領域とのコントラストを取りやすい色で付帯情報を印画することができる。
図17は、第2の実施形態に係るプリンタ100による、付帯情報印画処理を示すフローチャートである。図18(a)は、Y合成画像1641を示す図である。図18(a)に示すYL1は、Y合成画像1141の印画開始ラインである。YL2及びYL4は、それぞれY部分画像1621の印画開始ライン及び印画終了ラインである。図18(b)は、M合成画像1642を示す図である。図18(b)に示すML1は、M合成画像1642の印画開始ラインである。ML2及びML3は、それぞれM部分画像1622の印画開始ライン及び印画終了ラインである。図18(c)は、C合成画像1643を示す図である。図18(c)に示すCL1は、C合成画像1643の印画開始ラインである。CL2及びCL3は、それぞれC部分画像1623の印画開始ライン及び印画終了ラインである。
なお、Y部分画像1621の印画開始ラインYL2から印画終了ラインYL4までの用紙搬送量と、M部分画像1622の印画開始位置ML2から印画終了ラインML4までの用紙搬送量は等しく、これをC4ステップとする。また、C部分画像1623の印画開始ラインCL2から印画終了ラインCL4までの用紙搬送量をC5ステップとする。
図17のS1701〜S1706の処理は、図12を参照しつつ説明した付帯情報印画処理のS1201〜S1206の処理とほぼ同様である。ただし、本実施形態においては、S1705において、主制御部104は、YL3にかえて、図18に示す印画終了ラインYL4まで連続して印画を行う。主制御部104は、S1706の処理の後、処理をS1707へ進める。続くS1707〜S1711の処理は、M印画処理である。このうち、S1707〜S1709,S1711の処理は、それぞれ図12に示すS1207〜S1209,S1211の処理と同様である。S1709の処理の後、主制御部104は、処理をS1710へ進める。S1710において、主制御部104は、M合成画像1642の印画開始ラインML1からM部分画像1622まで連続して印画を行う。これにより、Y部分画像1621に対応するY画像上にM部分画像1622に対応するC画像が重ねて印画される。
S1711の処理の後、主制御部104は、処理をS1712へ進める。S1712〜S1720の処理は、C印画処理である。S1712〜S1716の処理は、図12に示すS1216〜S1220の処理と同様である。S1716の処理の後、主制御部104は、処理をS1717へ進める。S1717において、主制御部104は、用紙400をC部分画像1623の印画開始位置まで搬送方向FにC4ステップ搬送する。
次に、S1718において、主制御部104は、サーマルヘッド107を押圧位置に移動する。次に、S1719において、主制御部104は、C合成画像1643のうち残りの部分であるC部分画像1623の印画開始ラインCL2から印画終了ラインCL4までを印画する。以降、S1720〜S1725の処理は、第1の実施形態において図12を参照しつつ説明したS1225〜S1229の処理と同様である。以上で、付帯情報印画処理が終了する。なお、本実施形態に係るプリンタ100のこれ以外の構成及び処理は、第1の実施形態に係るプリンタ100の構成及び処理と同様である。
以上のように、本実施形態に係るプリンタ100によれば、コントラストを取りやすい色で、付帯画像を印画することができる。例えば、本実施形態において説明したように2次元コードを付帯画像として印画した場合には、印画されるコードパターンは、無印画部とのコントラストがデータの読み取りに必要になる。本実施形態のように、用紙の搬送方向に分割する付帯画像について、その用途によって、分割数や色の合成の組み合わせを変更しても、第1の実施形態と同様な効果は得られる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るプリンタ100について説明する。第3の実施形態に係るプリンタ100は、第2の実施形態に係るプリンタ100と同様に、付帯画像を、2分割するが、これにより得られた部分画像をマゼンタ単色と、シアン単色の2色で印画する。以下、第3の実施形態に係るプリンタ100について、他の実施形態と異なる点について説明する。前述の通り、イエローは、白色の用紙400とのコントラストが低く、見え難かったり、読み取り難かったりすることがある。そこで、本実施形態に係るプリンタ100は、付帯画像の印画には、イエローを使用せず、白色とのコントラストが高いマゼンタとシアンのみを用いることとする。
まず、第3の実施形態に係るプリンタ100による印画前データ処理について、図9及び図19を参照しつつ説明する。図19は、第3の実施形態に係るプリンタ100による、S904〜S911の処理の説明図である。なお、第3の実施形態に係るプリンタ100による、印画前データ処理は、図9に示す印画前データ処理とほぼ同様である。ただし、S907において、主制御部104は、付帯画像を3つではなく2つの部分画像(第1部分画像1911及び第2部分画像1912)に分割する。
そして、主制御部104は、第1部分画像1911をマゼンタに割り当て、第1部分画像1911をマゼンタの最大階調とゼロの階調との2値で形成するイメージデータであるM部分画像1921を生成する。同様に、主制御部104は、第2部分画像1912をシアンに割り当て、シアンの最大階調とゼロの階調との2値で形成するイメージデータであるC部分画像1922を生成する。そして、主制御部104は、図19に示すようにM対象画像1132と、M部分画像1921を含むM合成画像1942を生成し、C対象画像1133とC部分画像1922を含むC合成画像1943を生成する。
図20は、第3の実施形態に係るプリンタ100による印刷制御処理の一例としての付帯情報印画処理を示すフローチャートである。図21(a)は、Y対象画像1131を示す図である。図21(a)に示すYL1及びYL5は、それぞれY対象画像1131の印画開始ライン及び印画終了ラインである。図21(b)は、M合成画像1942を示す図である。図21(b)に示すML1は、M合成画像1942の印画開始ラインである。ML2及びML4は、それぞれM部分画像1921の印画開始ライン及び印画終了ラインである。図21(c)は、C合成画像1943を示す図である。図21(c)に示すCL1は、C合成画像1943の印画開始ラインである。CL2及びCL4は、それぞれC部分画像1922の印画開始ライン及び印画終了ラインである。
図20に示すS2001〜S2004の処理は、図17を参照しつつ説明した第2の実施形態に係る付帯情報印画処理のS1701〜S1704の処理と同様である。主制御部104は、S2004の処理の後、処理をS2005へ進める。S2005において、主制御部104は、Y印画処理を行う。イエローのイメージデータには、付帯画像の部分画像は合成されていないので、対象画像1131のみ印画されればよい。すなわち、主制御部104は、Y対象画像1131の印画開始ラインYL1から印画終了ラインYL5までのG2ステップ搬送分だけ印画を行えばよい。なお、G2ステップは、G1ステップに比べて短い。以降、S2006〜S2025の処理は、S1706〜S1725の処理と同様である。なお、本実施形態に係るプリンタ100のこれ以外の構成及び処理は、他の実施形態に係るプリンタ100の構成及び処理と同様である。
以上のように、第2の実施形態に係るプリンタ100は、Y印画において付帯画像を印画しないので、動作時間を短縮し、Yのインクリボンの長さが長くなるのを防ぐことができる。なお、以上説明したように、プリンタ100は、インクリボンに含まれる複数色を用いて付帯画像を印画すればよく、インクリボンに含まれるすべての色を利用する必要はない。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係るプリンタ100について説明する。第4の実施形態に係るプリンタ100は、付帯画像の印画サイズが大きい場合に、付帯画像を分割し、部分画像毎にインクリボンの異なる色版を用いて印画する。以下、第4の実施形態に係るプリンタ100について、他の実施形態と異なる点について説明する。
図22は、第4の実施形態に係る印画前データ処理を示すフローチャートである。S2201〜S2205の処理は、図9を参照しつつ説明した第1の実施形態に係る印画前データ処理のS901〜S905の処理と同様である。主制御部104は、S2205の処理の後、処理をS2220へ進める。S2220において、主制御部104は、操作部118を介して、ユーザにより入力された付帯画像の印画サイズの指定を受け付ける(受付処理)。次に、S2221において、主制御部104は、指定に係る印画サイズと、予め定められた規定値と、を比較する(比較処理)。そして、主制御部104は、指定に係る印画サイズが規定値以上である場合には(S2221でYes)、処理をS2206へ進める。
ここで、印画サイズ及び規定値は、搬送方向の長さである。本実施形態においては、規定値は、インクリボン300の搬送方向Fの使用可能長さから対象画像印画長さを引いた差分から、さらに必要な余白を差し引いた長さとする。なお、既定値は、インクリボンの使用可能長さと印画可能長さに基づいて決定された値であればよい。規定値は、予めプリンタ100に設定されているものとする。主制御部104は、指定に係る印画サイズが規定値未満である場合には(S2221でNo)、処理をS2222へ進める。S2206〜S2213の処理は、S906〜S913の処理と同様である。また、S2214〜S2218の処理は、S914〜S918の処理と同様である。
S2222〜S2224の処理は、S908〜910の処理と同様である。主制御部104は、S2224の処理の後、処理をS2225へ進める。S2225において、主制御部104は、付帯画像についてもYMC変換を行う。次に、S2226において、主制御部104の制御の下、画像処理部105は、YMC変換された対象画像と付帯画像を合成する。その後、主制御部104は、処理をS2212へ進める。
図23は、規定値未満の付帯画像の印画例を示す図である。図23に示す付帯画像2300の印画サイズは、規定値未満である。一方で、図15(b)に示す付帯画像434の印画サイズは、規定値以上である。また、付帯画像2300は、Y、M、Cで合成された黒色で印画されている。なお、本実施形態に係るプリンタ100のこれ以外の構成及び処理は、他の実施形態に係るプリンタ100の構成及び処理と同様である。以上のように、本実施形態に係るプリンタ100は、付帯画像の印画サイズに応じて、付帯画像を異なる色版を用いて分割して印画するか、色版を重ねて印画するかを切り替えることができる。
以上、上述した各実施形態によれば、インクリボンのサイズを大きくすることなく、主印画領域外に付帯情報を印画することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
(その他の実施例)
上述の実施形態では、印刷装置について説明した。しかし、本発明はこれに限らず、印刷装置とパーソナルコンピュータ(PC)等の制御装置を接続したシステムにより実現してもよい。この場合、PCは、上述の実施形態の主制御部104、画像処理部105、操作部118、通信部119、メモリコントローラ120、及び記憶媒体121の機能を通有し、PCにおいて印刷データの生成を行う。印刷装置は通信部を介してPCから印刷データを受け取り、受け取った印刷データに基づいて印刷処理を実行する。本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。