JP2017041210A - 制御装置及び減速機システム - Google Patents

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Abstract

【課題】指令値に基づく軌跡に対して追従精度を向上する制御技術を提供することを目的とする。【解決手段】本出願は、少なくとも1つの孔が偏心した位置に形成された揺動歯車部を有する揺動型減速機を駆動するモータを制御する制御装置を開示する。制御装置は、前記モータの回転角を表す入力回転角に関する入力情報を取得する角度取得部と、揺動型減速機の内部の部材の弾性変形に由来する第1角度伝達誤差と、揺動型減速機の製造誤差に由来する第2角度伝達誤差と、を推定する推定部と、第1角度伝達誤差及び第2角度伝達誤差に応じて補償電流値を決定し、補償電流値を用いて、指令電流値を補正することにより、モータへ供給される電流の大きさを設定する補正部と、を備える。推定部は、少なくとも1つの孔の数を表す孔数に基づいて、第1角度伝達誤差を、推定する。【選択図】図17

Description

本発明は、揺動型減速機を制御するための制御技術に関する。
産業用ロボットや工作機械といった様々な技術分野において、減速機の角度伝達誤差の低減が要求されている。角度伝達誤差の低減に対する要求に応じて、様々な制御技術が提案されている(特許文献1及び2を参照)。
特許文献1は、減速機の入力側に配置されたエンコーダと、減速機の出力側に配置されたエンコーダと、を用いて、角度伝達誤差を低減することを提案する。特許文献2は、予め取得された誤差補正データを用いて、角度伝達誤差を低減することを提案する。
特開2012−122509号公報 特開2003−223225号公報
特許文献1の開示技術は、複数のエンコーダを必要とする。したがって、特許文献1の開示技術が組み込まれた制御装置の製造コストは高くなる。
特許文献1の開示技術は、減速機の出力側でのエンコーダの配置を必要とする。一方、減速機の出力側でのエンコーダの配置が望ましくない技術分野(たとえば、産業用ロボットの技術分野)が存在する。したがって、特許文献1の開示技術は、汎用性において課題を有する。
特許文献2の開示技術は、減速機それぞれに対する固有の誤差補正データを予め作成することを要求する。したがって、特許文献2の開示技術は、誤差補正データの作成及び管理において、使用者に多大な労力を要求する。
特許文献2によれば、誤差補正データは、負荷に起因する角度伝達誤差の変化を考慮することなく作成される。したがって、減速機に負荷が加わっている条件下においては、特許文献2の開示技術は、角度伝達誤差を十分に低減することはできない。このように、角度伝達誤差により指令値に基づく軌跡に対して追従精度(軌跡追従精度)が良くない。
本発明は、指令値に基づく軌跡に対して追従精度を向上することができる制御技術を提供することを目的とする。
本発明の一局面に係る制御装置は、少なくとも1つの孔が偏心した位置に形成された揺動歯車部を有する揺動型減速機を駆動するモータを制御する。制御装置は、前記モータの回転角を表す入力回転角に関する入力情報を取得する角度取得部と、前記揺動型減速機の内部の部材の弾性変形に由来する第1角度伝達誤差と、前記揺動型減速機の製造誤差に由来する第2角度伝達誤差と、を推定する推定部と、前記第1角度伝達誤差及び前記第2角度伝達誤差に応じて補償電流値を決定し、前記補償電流値を用いて、指令電流値を補正することにより、前記モータへ供給される電流の大きさを設定する補正部と、を備える。前記推定部は、前記少なくとも1つの孔の数を表す孔数に基づいて、前記第1角度伝達誤差を、推定する。
上記構成によれば、揺動歯車部には、少なくとも1つの孔が偏心した位置に形成されるので、揺動歯車部の運動にともなって、剛性変動が生ずる。剛性変動は、軸の捩れ振動を引き起こす。この結果、揺動型減速機に、第1角度伝達誤差が生ずる。したがって、揺動歯車部に形成された孔の数は、第1角度伝達誤差の因子として作用する。
推定部は、上述の因果関係を鑑みて、少なくとも1つの孔に起因する振動成分を、揺動歯車部に形成された孔の数に基づいて、推定することができる。少なくとも1つの孔に起因する振動成分は、複数の揺動型減速機それぞれの固有のデータを用いることなく、推定されるので、制御装置は、様々な揺動型減速機に簡便に利用可能である。補正部は、推定された振動成分に応じて決定された補正電流値を用いて、指令電流値を補正するので、揺動型減速機の角度伝達誤差は、十分に低減される。加えて、推定部は、揺動型減速機の製造誤差に由来する第2角度伝達誤差を推定するので、制御装置は、揺動型減速機の製造誤差に由来する角度伝達誤差をも低減することに貢献する。したがって、制御装置は、指令値に基づく軌跡に対して追従精度を向上することができる。
上記構成において、前記第1角度伝達誤差は、軸ねじれ振動であってもよい。
上記構成によれば、推定部は、軸ねじれ振動を、揺動歯車部に形成された孔の数に基づいて、推定するので、制御装置は、複数の揺動型減速機それぞれの固有のデータを用いることなく、揺動型減速機の角度伝達誤差を十分に低減することができる。
上記構成において、前記第1角度伝達誤差は、前記少なくとも1つの孔に起因する振動成分であってもよい。
上記構成によれば、推定部は、少なくとも1つの孔に起因する振動成分を、揺動歯車部に形成された孔の数に基づいて、推定するので、制御装置は、複数の揺動型減速機それぞれの固有のデータを用いることなく、揺動型減速機の角度伝達誤差を十分に低減することができる。
上記構成において、前記推定部は、前記入力情報と、前記モータへ供給された電流の大きさと、を入力とし、前記第1角度伝達誤差を推定する状態観測器を含んでもよい。
上記構成によれば、状態観測器は、モータの回転角を表す入力回転角に関する入力情報と、モータへ供給された電流の大きさと、を入力して、第1角度伝達誤差を推定することができる。制御装置は、揺動型減速機の出力側からの情報を用いることなく、揺動型減速機の角度伝達誤差を低減することができるので、制御装置を用いて機械装置を設計する設計者は、制御に必要とされる情報を取得するための設備を簡素化することができる。設計者は、揺動型減速機の出力側での情報取得設備の配置が困難な条件下においても、制御装置を用いて、揺動型減速機の角度伝達誤差を低減することができる。
上記構成において、前記状態観測器は、周期的に変動する外乱因子を入力として、前記第1角度伝達誤差を推定してもよい。
上記構成によれば、状態観測器は、周期的に変動する外乱因子を入力として、第1角度伝達誤差を推定するので、揺動型減速機が、周期的に変動する外乱因子の存在下で使用されても、制御装置は、揺動型減速機の角度伝達誤差を十分に低減することができる。
上記構成において、前記揺動型減速機は、前記揺動歯車部に噛み合うN本の内歯を含み、且つ、減速比Rで、前記モータの角速度ωを減速してもよい。前記孔数は、自然数kで表されてもよい。前記推定部は、前記第1角度伝達誤差の角周波数ωを数1から算出し、前記角周波数ωを行列成分として含む離散時間状態空間モデルを用いて前記第1角度伝達誤差を推定してもよい。
Figure 2017041210
上記構成によれば、推定部は、角周波数ωを行列成分として含む離散時間状態空間モデルを用いて第1角度伝達誤差を推定するので、推定部は、揺動型減速機の内部の部材の弾性変形によって引き起こされる角度伝達誤差を適切に推定することができる。
上記構成において、前記揺動歯車部は、N個の揺動歯車を含んでもよい。前記N個の揺動歯車それぞれには、k個の孔が形成されてもよい。前記自然数kは、数2から算出されてもよい。
Figure 2017041210
上記構成によれば、制御装置は、単数又は複数の揺動歯車を有する揺動型減速機を駆動するモータを制御するために好適に利用可能である。したがって、制御装置は、様々な揺動型減速機とともに用いられるモータの制御に利用可能である。
上記構成において、前記推定部は、前記第2角度伝達誤差の角周波数ωd1を数3から算出し、前記角周波数ωd1を行列成分として含む離散時間状態空間モデルを用いて前記第2角度伝達誤差を推定してもよい。
Figure 2017041210
上記構成によれば、推定部は、角周波数ωd1を行列成分として含む離散時間状態空間モデルを用いて第2角度伝達誤差を推定するので、推定部は、揺動型減速機の製造誤差によって引き起こされる角度伝達誤差を適切に推定することができる。
上記構成において、前記補正部は、前記第2角度伝達誤差と、前記揺動型減速機の粘性摩擦特性と、前記揺動型減速機の負荷軸の慣性モーメントと、から、前記角周波数ωd1で振動するトルク振動を算出するトルク算出部と、前記トルク振動が低減されるように前記補償電流値を算出する電流算出部と、を含んでもよい。
上記構成によれば、電流算出部は、トルク算出部によって算出されたトルク振動が低減されるように、補償電流値を算出するので、揺動型減速機の角度伝達誤差は、十分に低減される。
上記構成において、前記電流算出部は、前記トルク振動から補償電流の大きさを表す電流データを生成し、前記電流データから、前記角周波数ωd1で変動する周波数成分を抽出することによって、前記補償電流値を決定してもよい。
上記構成によれば、電流算出部は、トルク振動から補償電流の大きさを表す電流データを生成し、電流データから、角周波数ωd1で変動する周波数成分を抽出することによって、補償電流値を決定するので、補償電流値に含まれるノイズは低減される。したがって、制御装置は、モータを精度よく制御することができる。
本発明の他の局面に係る減速機システムは、少なくとも1つの孔が偏心した位置に形成された揺動歯車部を有する揺動型減速機と、前記揺動型減速機を駆動するモータと、前記モータを制御する制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記モータの回転角を表す入力回転角に関する入力情報を取得する角度取得部と、前記揺動型減速機の内部の部材の弾性変形に由来する第1角度伝達誤差と、前記揺動型減速機の製造誤差に由来する第2角度伝達誤差と、を推定する推定部と、前記第1角度伝達誤差及び前記第2角度伝達誤差に応じて補償電流値を決定し、前記補償電流値を用いて、指令電流値を補正することにより、前記モータへ供給される電流の大きさを設定する補正部と、を含む。前記推定部は、前記少なくとも1つの孔の数を表す孔数に基づいて、前記第1角度伝達誤差を、推定する。
上記構成によれば、推定部は、揺動歯車部に形成された孔の数に基づいて、揺動歯車部の孔に起因する剛性変動によって引き起こされる第1角度伝達誤差を推定することができる。第1角度伝達誤差は、複数の揺動型減速機それぞれの固有のデータを用いることなく、推定されるので、制御装置は、様々な揺動型減速機に簡便に利用可能である。補正部は、推定された角度誤差に応じて決定された補正電流値を用いて、指令電流値を補正するので、揺動型減速機の角度伝達誤差は、十分に低減される。加えて、推定部は、揺動型減速機の製造誤差に由来する第2角度伝達誤差を推定するので、制御装置は、揺動型減速機の製造誤差に由来する角度伝達誤差をも低減することに貢献する。したがって、減速機システムは、指令値に基づく軌跡に対して追従精度を向上することができる。
本発明は、指令値に基づく軌跡に対して追従精度を向上することができる汎用性のある制御技術を提供することができる。
減速機システムの例示的な機能構成を表す概略的なブロック図である。 例示的な揺動型減速機の概略的な断面図である。 図2Aに示されるA−A線に沿う揺動型減速機の概略的な断面図である。 図2Aに示される揺動型減速機の概略図である。 図3に示される揺動型減速機の揺動歯車に作用する力を表す概略図である。 図1に示される減速機システムの制御ブロック線図である。 図5に示される減速機システムの制御回路の例示的な制御動作を表す概略的なフローチャートである。 補償電流値による補正がない条件下で得られた試験データを示す。 補償電流値による補正がある条件下で得られた試験データを示す。 図7Aに示されるデータから得られたFFT解析の結果を示す。 図7Bに示されるデータから得られたFFT解析の結果を示す。 減速機システムの制御ブロック線図である(第2実施形態)。 図9に示される減速機システムの例示的な制御動作を表す概略的なフローチャートである。 第3実施形態の減速機システムの例示的な機能構成を表す概略的なブロック図である。 図11に示される減速機システムの制御ブロック線図である。 外乱負荷を表す数式の概念的モデルである。 図11に示される減速機システムの例示的な制御動作を表す概略的なフローチャートである。 補償電流値による補正がない条件下で得られた試験データを示す。 補償電流値による補正がある条件下で得られた試験データを示す。 図15Aに示されるデータから得られたFFT解析の結果を示す。 図15Bに示されるデータから得られたFFT解析の結果を示す。 第4実施形態の減速機システムの制御ブロック線図である。 揺動型減速機の出力速度と、揺動型減速機を駆動するモータへ入力される指令電流と、を表すグラフである。 揺動型減速機の出力速度と、揺動型減速機を駆動するモータへ入力される指令電流と、を表すグラフである。 揺動型減速機の出力速度と、揺動型減速機を駆動するモータへ入力される指令電流と、を表すグラフである。 揺動型減速機の出力速度と、揺動型減速機を駆動するモータへ入力される指令電流と、を表すグラフである。 図18Aに示される出力速度のデータに対する空間FFT解析から得られた空間周波数スペクトルを表すグラフである。 図18Bに示される出力速度のデータに対する空間FFT解析から得られた空間周波数スペクトルを表すグラフである。 図18Cに示される出力速度のデータに対する空間FFT解析から得られた空間周波数スペクトルを表すグラフである。 図18Dに示される出力速度のデータに対する空間FFT解析から得られた空間周波数スペクトルを表すグラフである。
添付の図面を参照して、揺動型減速機を駆動するモータに対する制御技術に関する様々な実施形態が以下に説明される。制御技術は、以下の説明によって、明確に理解可能である。
<第1実施形態>
<本発明者等が見出した揺動型減速機の課題>
一般的に、減速機は、弾性、バックラッシや角度伝達誤差といった伝達特性を有する。これらの伝達特性は、減速機が組み込まれた装置の動作精度を悪化させる。産業用ロボットといった技術分野において、波動歯車装置や揺動型減速機が用いられることが多い。波動歯車装置や揺動型減速機は、一般的な減速機と比べて、精度よく動力を伝達することができる。
揺動型減速機は、高い減速比で動力を伝達することができ、且つ、非常に小さなバックラッシを有する。揺動型減速機は、小型であり、且つ、高い剛性を有する。これらの特性を鑑みて、揺動型減速機は、大型ロボットや産業用ロボット中において、高い剛性が要求される部位にしばしば利用される。
揺動型減速機は、環状に配列された複数の内歯と、複数の内歯に噛み合う揺動歯車部と、を有する。揺動歯車部は、内歯によって規定される定円に内接しながら移動する。
揺動型減速機を設計する設計者は、揺動型減速機の設計上及び/又は製造上の理由から、揺動歯車部に形成された孔に、シャフトや他の部材を挿通させることがある。しかしながら、孔が形成された部位は、揺動歯車部の剛性を局所的に低下させることもある。
本発明者等は、揺動歯車部に形成された孔が、モータの回転角と、揺動型減速機の回転角と、の間の角度誤差に周期的な変動を与え、角度伝達誤差を大きくすることを見出した。第1実施形態において、揺動歯車部に形成された孔に起因する角度伝達誤差を低減する制御技術が説明される。
<減速機システム>
図1は、減速機システム100の例示的な機能構成を表す概略的なブロック図である。図1を参照して、減速機システム100が説明される。
減速機システム100は、モータ200と、エンコーダ300と、制御回路400と、揺動型減速機500と、を備える。モータ200は、制御回路400の制御下で、揺動型減速機500を駆動する。本実施形態において、制御装置は、制御回路400によって例示される。
エンコーダ300は、モータ200に取り付けられてもよい。エンコーダ300は、モータ200の回転角を表す入力回転角に関する入力情報を生成する。本実施形態において、入力情報は、モータ200の回転角を表す。代替的に、入力情報は、モータ200の角速度やモータ200の回転角に関する他の情報を表してもよい。本実施形態の制御原理は、入力情報が表す特定の内容に限定されない。
本実施形態において、入力情報を生成する装置として、エンコーダ300が利用される。代替的に、入力情報を生成することができる他の装置が、減速機システム100に用いられてもよい。本実施形態の制御原理は、入力情報を生成するための特定の技術に限定されない。
制御回路400は、微分器410と、状態観測器420と、補正部430と、指令情報生成部440と、駆動部450と、を含む。上述の入力情報は、エンコーダ300から微分器410へ出力される。微分器410は、入力情報が表す回転角に対して微分演算し、モータ200の角速度を算出する。モータ200の角速度に関する角速度情報は、微分器410から状態観測器420及び指令情報生成部440へ出力される。本実施形態において、角度取得部は、微分器410によって例示される。入力情報が、モータ200の角速度を表すならば、角度取得部は、入力情報が入力される入力ポートであってもよい。本実施形態の制御原理は、角度取得部の特定の構造や特定の機能に限定されない。
状態観測器420は、揺動型減速機500の揺動歯車部に形成された孔の数に基づいて、入力情報によって表される入力回転角と、揺動型減速機500の回転角を表す出力回転角と、の間の軸ねじれ振動θを推定する。軸ねじれ振動θは、以下の数式によって定義されてもよい。本実施形態において、推定部は、状態観測器420によって例示される。角度誤差は、軸ねじれ振動θによって例示される。
Figure 2017041210
軸ねじれ振動θに関する上述の定義式は、揺動型減速機500の角速度の変数(ω)を含む。しかしながら、本実施形態の制御原理は、揺動型減速機500の出力動作の直接的な測定を要することなく、軸ねじれ振動θを推定することを可能にする。軸ねじれ振動θを推定するための様々な演算技術は、後述される。軸ねじれ振動θの推定値を表すデータは、状態観測器420から補正部430へ出力される。
補正部430は、第1電流決定部431と、第2電流決定部432と、補正処理部433と、を含む。軸ねじれ振動θの推定値を表すデータは、状態観測器420から第1電流決定部431及び第2電流決定部432へ出力される。第1電流決定部431は、軸ねじれ振動θの推定値を表すデータに応じて、補償電流の大きさを表す補償電流値を決定する。第2電流決定部432は、軸ねじれ振動θの推定値を表すデータに応じて、状態フィードバック電流の大きさを表す状態フィードバック電流値を決定する。補正処理部433は、指令情報生成部440によって生成された指令電流値を、補償電流値と状態フィードバック電流値とを用いて補正する。
本実施形態において、補正部430は、補償電流値に加えて、状態フィードバック電流値を用いて、指令電流値を補正する。代替的に、補正部430は、補正電流値のみを用いて、指令電流値を補正してもよい。本実施形態の制御原理は、指定電流値を補正するための特定の演算技術に限定されない。
指令情報生成部440は、位置指令生成部441と、速度指令生成部442と、電流指令生成部443と、を含む。位置指令生成部441は、エンコーダ300から、上述の入力情報を受け取る。位置指令生成部441は、外部装置(図示せず)から、モータ200の回転角を指示する指示情報を受け取る。位置指令生成部441は、入力情報を、指示情報と対比し、指示情報によって指定された回転角からのモータ200の現在の回転角の偏差を算出する。算出された偏差に関する偏差情報は、位置指令生成部441から速度指令生成部442へ出力される。
速度指令生成部442は、微分器410からモータ200の角速度を表す角速度情報を受け取る。速度指令生成部442は、偏差情報と、角速度情報と、を用いて、速度を指示する速度指令情報を生成する。速度指令情報は、速度指令生成部442から電流指令生成部443へ出力される。
電流指令生成部443は、速度指令情報に基づいて、指令電流値を決定する。指令電流値を表す情報は、電流指令生成部443から補正処理部433へ出力される。補正処理部433は、上述の如く、指令電流値を、補償電流値と状態フィードバック電流値とを用いて補正する。
指令情報生成部440は、一般的なフィードバック制御技術を用いて、指令電流値を決定してもよい。したがって、本実施形態の制御原理は、指令電流値を決定するための特定の方法に限定されない。
補正処理部433は、指令電流値を、補償電流値と状態フィードバック電流値とを用いて補正し、モータ200へ供給される供給電流の大きさを設定する。モータ200へ供給される供給電流の大きさを表す供給電流情報は、補正処理部433から、状態観測器420及び駆動部450へ出力される。
駆動部450は、供給電流情報によって表される大きさの電流を、駆動信号として、モータ200へ出力する。モータ200は、駆動信号に応じて、回転運動をする。
本実施形態において、駆動部450は、制御回路400に組み込まれた駆動回路として形成される。代替的に、駆動部450は、制御回路400から分離されてもよい。例えば、駆動部450は、上述の供給電流情報から駆動信号を生成するプログラムを実行するデジタルシグナルプロセッサであってもよい。本実施形態の制御原理は、駆動部450の特定の構造や特定の機能に限定されない。
上述の如く、状態観測器420は、モータ200の角速度に関する角速度情報を、微分器410から受け取り、且つ、モータ200へ供給される供給電流の大きさを表す供給電流情報を、補正処理部433から受け取る。状態観測器420は、角速度情報と供給電流情報とを、上述の軸ねじれ振動θの推定に利用する。
<揺動型減速機>
図1を参照して説明された減速機システム100の原理は、様々な揺動型減速機を駆動するために利用可能である。
図2A及び図2Bは、例示的な揺動型減速機500Aを示す。図2Aは、揺動型減速機500Aの概略的な断面図である。図2Bは、図2Aに示されるA−A線に沿う揺動型減速機500Aの概略的な断面図である。揺動型減速機500Aは、図1を参照して説明された揺動型減速機500として利用可能である。図1乃至図2Bを参照して、揺動型減速機500Aが説明される。
揺動型減速機500Aは、外筒部510と、キャリア部520と、揺動歯車部530と、駆動機構540と、を備える。図2A及び図2Bは、入力軸210を示す。入力軸210は、図1を参照して説明されたモータ200のシャフトであってもよい。図1を参照して説明されたエンコーダ300は、入力軸210に取り付けられ、入力軸210の回転角を表す入力回転角に関する入力情報を生成してもよい。
外筒部510は、外筒511と、複数の内歯ピン512と、を含む。外筒511は、キャリア部520、揺動歯車部530及び駆動機構540が収容される円筒状の内部空間を規定する。入力軸210は、円筒状の内部空間の中心軸に沿って延出する。各内歯ピン512は、入力軸210の延出方向に延びる円柱状の部材である。各内歯ピン512は、外筒511の内壁に形成された溝部に嵌入される。したがって、各内歯ピン512は、外筒511によって適切に保持される。
複数の内歯ピン512は、入力軸210周りに略一定間隔で配置される。各内歯ピン512の半周面は、外筒511の内壁から入力軸210に向けて突出する。したがって、複数の内歯ピン512は、揺動歯車部530と噛み合う内歯として機能する。
キャリア部520は、基部521と、端板部522と、位置決めピン523と、固定ボルト524と、を含む。キャリア部520は、全体的に、円筒形状をなす。キャリア部520は、外筒部510に対して相対的に回転することができる。キャリア部520が、固定されるならば、外筒部510は、入力軸210の回転に応じて回転する。外筒部510が固定されるならば、キャリア部520は、入力軸210の回転に応じて回転する。入力軸210は、キャリア部520又は外筒部510の回転軸RXに沿って延出する。
基部521は、基板部525と、3つのシャフト部526と、を含む。3つのシャフト部526それぞれは、基板部525から端板部522に向けて延びる。3つのシャフト部526それぞれの先端面には、ネジ孔527及びリーマ孔528が形成される。位置決めピン523は、リーマ孔528へ挿入される。この結果、端板部522は、基部521に対して精度よく位置決めされる。固定ボルト524は、ネジ孔527に螺合する。この結果、端板部522は、基部521に適切に固定される。
揺動歯車部530は、基板部525と端板部522との間に配置される。3つのシャフト部526は、揺動歯車部530を貫通し、端板部522に接続される。
揺動歯車部530は、第1揺動歯車531と、第2揺動歯車532と、を含む。第1揺動歯車531は、基板部525と第2揺動歯車532との間に配置される。第2揺動歯車532は、端板部522と第1揺動歯車531との間に配置される。
第1揺動歯車531は、形状及び大きさにおいて、第2揺動歯車532と同様である。第1揺動歯車531及び第2揺動歯車532は、内歯ピン512に噛み合いながら、外筒511内を周回移動する。したがって、第1揺動歯車531及び第2揺動歯車532の中心は、入力軸210の回転軸RX周りを周回することとなる。
第1揺動歯車531の周回位相は、第2揺動歯車532の周回位相から略180°ずれている。第1揺動歯車531は、外筒部510の複数の内歯ピン512のうち半数に噛み合う間、第2揺動歯車532は、複数の内歯ピン512のうち残りの半数に噛み合う。したがって、揺動歯車部530は、外筒部510又はキャリア部520を回転させることができる。
駆動機構540は、3つの伝達歯車541と、3本のクランク軸542と、主軸受部543と、3つのクランク軸受部544と、を含む。入力軸210の先端部には、3つの伝達歯車541と噛み合う歯車部211が形成される。したがって、3つの伝達歯車541は、入力軸210から駆動力を受けることができる。
3つのクランク軸542それぞれは、第1端部545と、第2端部546と、を含む。第1端部545は、キャリア部520の基板部525によって取り囲まれる。第2端部546は、キャリア部520の端板部522によって取り囲まれる。
3つのクランク軸542それぞれは、円柱状のシャフト部547と、第1クランク部548と、第2クランク部549と、を含む。シャフト部547は、第1端部545から第2端部546まで軸線AXに沿って真っ直ぐに伸びる。第1クランク部548及び第2クランク部549は、軸線AXから偏心した円板状の部材である。第1揺動歯車531と第2揺動歯車532との間の周回位相差は、第1クランク部548及び第2クランク部549によって決定される。
伝達歯車541は、第1端部545に取り付けられる。入力軸210が回転すると、3つのクランク軸542それぞれは回転する。この結果、第1クランク部548及び第2クランク部549は、軸線AX周りに偏心回転する。
主軸受部543は、外筒部510とキャリア部520との間に配置される。主軸受部543は、第1主軸受551と、第2主軸受552と、を含む。第1主軸受551は、外筒部510内で、基部521を回転可能に支持する。第2主軸受552は、外筒部510内で、端板部522を回転可能に支持する。したがって、キャリア部520は、外筒部510に対して相対的に回転することができる。
3つのクランク軸受部544それぞれは、第1クランク軸受553と、第2クランク軸受554と、を含む。第1クランク軸受553は、第1クランク部548と第1揺動歯車531との間に配置される。第1クランク軸受553は、第1クランク部548を回転可能に支持する。クランク軸542が回転すると、第1クランク部548が偏心回転するので、第1揺動歯車531は、複数の内歯ピン512と噛み合いながら、外筒部510内で周回移動することができる。第2クランク軸受554は、第2クランク部549と第2揺動歯車532との間に配置される。第2クランク軸受554は、第2クランク部549を回転可能に支持する。クランク軸542が回転すると、第2クランク部549が偏心回転するので、第2揺動歯車532は、複数の内歯ピン512と噛み合いながら、外筒部510内で周回移動することができる。
上述の「数4」において用いられた減速比Rは、入力軸210の歯車部211、伝達歯車541、内歯ピン512の数、第1揺動歯車531及び第2揺動歯車532の歯数によって決定される。
<角度伝達誤差の発生因子>
図3は、揺動型減速機500Aの概略図である。図2A及び図3を参照して、角度伝達誤差の発生因子となる孔が説明される。
図3は、外筒部510内に配置された揺動歯車533を示す。揺動歯車533は、図2Aを参照して説明された第1揺動歯車531及び第2揺動歯車532それぞれに対応する。したがって、揺動歯車533に関する説明は、第1揺動歯車531及び第2揺動歯車532の両方に適用可能である。
揺動歯車533には、中央孔534、3つのクランク孔535及び3つのシャフト孔536が形成されている。
図2Aを参照して説明された入力軸210は、中央孔に挿通される。中央孔534は、図2Aを参照して説明された入力軸210の直径よりも長い直径を有する。したがって、揺動歯車533は、外筒部510の内壁に沿って周回移動することができる。
クランク孔535内には、クランク軸542及びクランク軸受部544が配置される。クランク孔535は、クランク軸542とクランク軸受部544とによって全体的に満たされるので、クランク孔535の領域は、略剛体としてみなされる。したがって、クランク孔535は、角度伝達誤差にほとんど寄与しないと考えられる。
シャフト孔536には、図2Aを参照して説明されたシャフト部526が挿通される。揺動歯車533の上述の周回運動を許容するため、シャフト孔536は、シャフト部526の断面より広く形成される。
図4は、揺動歯車533に作用する力を表す概略図である。図3及び図4を参照して、角度伝達誤差を生じさせる孔が説明される。
図4は、各内歯ピン512から延びる直線Lを示す。各直線Lは、揺動歯車533中の点Pに向けて延びる。図4の各直線Lは、揺動歯車533が、内歯ピン512から受ける力を表す。したがって、図4は、内歯ピン512から受ける力が、揺動歯車533中の一点に集中することを表す。
図4は、外筒部510の中心点Cを更に示す。揺動歯車533が、外筒部510内で周回移動すると、点Pは、中心点C周りに円軌跡を描きながら移動する。中央孔534は、中心点Cを中心として形成されるので、揺動歯車533が周回移動している間、中央孔534から点Pまでの距離は略一定である。このことは、中央孔534が、角度伝達誤差にほとんど寄与しないことを意味する。
中央孔534とは異なり、3つシャフト孔536は、中心点Cから偏心した位置に形成される。点Pが、3つのシャフト孔536のうち1つに近づくと、点Pに接近されたシャフト孔536の周囲で変形が生じやすくなる。したがって、シャフト孔536は、角度伝達誤差の発生因子となる。
<制御原理>
図5は、減速機システム100の制御ブロック線図である。図1、図2A、図3及び図5を参照して、減速機システム100が更に説明される。
図5に示される制御ブロック線図は、アクチュエータセクションと制御セクションとに分けられる。アクチュエータセクションは、図1を参照して説明されたモータ200及び揺動型減速機500を表す。制御セクションは、図1を参照して説明された制御回路400を表す。
アクチュエータセクションは、揺動歯車部に形成された孔に起因する角度伝達誤差の振動成分を表すブロックを、一般的な2慣性共振系モデルに追加することによって作成されている。2慣性共振系モデルは、周知であるので、シャフト孔536に起因する振動成分(以下、振動成分θerrと称される)を算出する振動成分ブロック110が、主に説明される。以下の表は、アクチュエータセクションにおいて用いられる記号の定義を示す。
Figure 2017041210
振動成分ブロック110は、以下の数式から、振動成分θerrを算出する。
Figure 2017041210
振幅Aは、揺動型減速機500に加わる負荷に影響される変数として考えられてもよい。揺動型減速機500に加わる負荷が大きいならば、振幅Aは、大きな値であってもよい。揺動型減速機500に加わる負荷が小さいならば、振幅Aは、小さな値であってもよい。
位相φは、揺動型減速機500の構造によって決定される変数として考えられてもよい。位相φの値は、揺動歯車部に形成された孔の配置パターンや他の構造的因子に応じて、決定されてもよい。
上述の数式は、揺動型減速機500の様々な構造の振動成分θerrの算出ために利用可能である。揺動型減速機500の揺動歯車部は、1つの揺動歯車を有してもよい。代替的に、揺動型減速機500の揺動歯車部は、複数の揺動歯車を有してもよい。したがって、揺動歯車部の孔の数kは、以下の数式によって表されてもよい。
Figure 2017041210
上述の「数6」が、図2Aを参照して説明された揺動型減速機500Aに適用されるならば、「N」の値は、「2」(第1揺動歯車531及び第2揺動歯車532)である。「k」は、角度伝達誤差に寄与する孔の数を意味する。したがって、上述の「数6」が、図2Aを参照して説明された揺動型減速機500Aに適用されるならば、「k」の値は、「3」(3つのシャフト孔536(図3を参照))である。
アクチュエータセクションにおいて、2慣性系共振系モデルから算出された軸ねじれ振動θから振動成分θerrを差し引いた量が、角度伝達誤差として取り扱われる。制御セクションは、振動成分θerrが低減されるように構築される。
制御セクションには、微分ブロック411が示されている。微分ブロック411は、モータ200の回転角θに対して微分演算を行い、モータ200の角速度ωを算出する。微分ブロック411は、図1を参照して説明された微分器410に対応する。
制御セクションには、オブザーバ421が示されている。オブザーバ421は、角度伝達誤差の角周波数ω(すなわち、上述の「数5」の角周波数成分)を算出する。角周波数ωは、以下の数式によって表されてもよい。
Figure 2017041210
上述の「数7」が、図2Aを参照して説明された揺動型減速機500Aに適用されるならば、「N」の値は、内歯ピン512の本数である。
オブザーバ421は、角周波数ωを行列成分として含む離散時間状態空間モデルを用いて、軸ねじれ振動θを推定する。オブザーバ421は、上述の離散時間状態空間モデルを用いて、モータ200の角速度ωと、揺動型減速機500の角速度ωと、を更に推定してもよい。オブザーバ421は、図1を参照して説明された状態観測器420に対応する。
制御セクションには、第1BPFブロック434、トルク算出ブロック435、動力学補償器436及び第2BPFブロック437が示されている。推定された軸ねじれ振動θを表す軸ねじれ振動データは、オブザーバ421から第1BPFブロック434へ出力される。第1BPFブロック434は、軸ねじれ振動データから角度伝達誤差の角周波数ωで変動する周波数成分を抽出するバンドパスフィルタとして機能する。第1BPFブロック434によって処理された軸ねじれ振動データは、トルク算出ブロック435へ出力される。
トルク算出ブロック435は、軸ねじれ振動θに、揺動型減速機500のバネ特性を表す伝達関数Kを乗算し、角周波数ωで振動するトルク振動τを表すトルク振動データを生成する。トルク振動データは、トルク算出ブロック435から動力学補償器436へ出力される。本実施形態において、トルク算出部は、第1BPFブロック434とトルク算出ブロック435とによって例示される。
トルク算出ブロック435によって算出されたトルク振動τは、揺動歯車部に形成された孔によって引き起こされたトルク振動に対応する。動力学補償器436は、トルク振動τが低減されるように、補償電流値Icmpを算出し、電流データを生成する。補償電流値Icmpを表す電流データは、動力学補償器436から第2BPFブロック437へ出力される。
第2BPFブロック437は、電流データから角度伝達誤差の角周波数ωで変動する周波数成分を抽出するバンドパスフィルタとして機能する。抽出された周波数成分のデータによって、指令電流値の補正に用いられる補償電流値Icmpが最終的に決定される。本実施形態において、電流算出部は、動力学補償器436と第2BPFブロック437とによって例示される。第1BPFブロック434、トルク算出ブロック435、動力学補償器436及び第2BPFブロック437は、図1を参照して説明された第1電流決定部431に対応する。
制御セクションには、状態フィードバック制御を行う状態フィードバックブロック438が示されている。上述の如く、軸ねじれ振動θの推定値を表すデータ、モータ200の角速度ωの推定値を表すデータ及び揺動型減速機500の角速度ωの推定値を表すデータは、オブザーバ421から状態フィードバックブロック438へ出力される。状態フィードバックブロック438は、軸ねじれ振動θの推定値を表すデータ、モータ200の角速度ωの推定値を表すデータ及び揺動型減速機500の角速度ωの推定値を表すデータを用いて、状態フィードバック電流の大きさを表す状態フィードバック電流値Isfbを決定する。状態フィードバック制御に関する様々な演算技術が、状態フィードバックブロック438に適用されてもよい。本実施形態の制御原理は、状態フィードバック電流値Isfbを決定するための特定の演算技術に限定されない。
制御セクションには、加え合わせ点461,462が示されている。加え合わせ点461において、指令電流値Icmdに正の補償電流値Icmpが加入される。加え合わせ点462において、指令電流値Icmdに負の状態フィードバック電流値Isfbが加入される。加え合わせ点461,462は、図1を参照して説明された補正処理部433に対応する。
制御セクションには、加え合わせ点444が示されている。加え合わせ点444には、外部装置(図示せず)によって指示されたモータ200の目標回転角θ refを表す信号が入力される。加えて、加え合わせ点444には、モータ200の回転角θを表す信号が入力される。モータ200の回転角θを表す信号は、図1を参照して説明されたエンコーダ300によって生成される信号に対応する。加え合わせ点444において、目標回転角θ refとモータ200の回転角θとの間の差が算出される。加え合わせ点444は、図1を参照して説明された位置指令生成部441に対応する。
制御セクションには、PD制御の比例項として用いられる伝達関数Kppを表す比例項ブロック445、PD制御の微分項として用いられる伝達関数Kpdを表す微分項ブロック446及び加え合わせ点447,448が示されている。比例項ブロック445において、目標回転角θ refとモータ200の回転角θとの間の差及び伝達関数Kppが乗算される。微分項ブロック446において、微分ブロック411によって算出されたモータ200の角速度ω及び伝達関数Kpdが乗算される。加え合わせ点447において、これらの乗算の結果得られた差分値が、速度指令値ω refとして決定される。
速度指令値ω refは、加え合わせ点448に入力される。微分ブロック411によって算出されたモータ200の角速度ωも、加え合わせ点448に入力される。加え合わせ点448において、速度指令値ω refと角速度ωとの差(速度偏差)が算出される。比例項ブロック445、微分項ブロック446及び加え合わせ点447,448は、図1を参照して説明された速度指令生成部442に対応する。
制御セクションには、PI制御の比例項として用いられる伝達関数Kを表す比例項ブロック471、PI制御の積分項として用いられる伝達関数K/sを表す積分項ブロック472及び加え合わせ点473が示されている。加え合わせ点448において算出された速度偏差に関するデータは、比例項ブロック471及び積分項ブロック472それぞれにおいて処理される。比例項ブロック471での処理によって得られたデータ及び積分項ブロック472での処理によって得られたデータは、加え合わせ点473で足し合わされる。この結果、指令電流値Icmdが決定される。比例項ブロック471、積分項ブロック472及び加え合わせ点473は、図1を参照して説明された電流指令生成部443に対応する。
上述の如く、指令電流値Icmdは、加え合わせ点461,462において、補償電流値Icmp及び状態フィードバック電流値Isfbによって補正される。補正された指令電流値Icmdによって規定される大きさの電流が、その後、モータ200へ供給される。
図6は、制御回路400の例示的な制御動作を表す概略的なフローチャートである。図1、図5及び図6を参照して、制御回路400の制御動作が説明される。
(ステップS105)
ステップS105において、エンコーダ300は、モータ200の回転角θを検出する。検出された回転角θを表す信号は、エンコーダ300から微分器410(微分ブロック411)へ出力される。その後、ステップS110が実行される。
(ステップS110)
ステップS110において、微分器410(微分ブロック411)は、モータ200の角速度ωを算出する。角速度ωは、以下の数式によって算出されてもよい。角速度ωの算出の後、ステップS115が実行される。
Figure 2017041210
(ステップS115)
ステップS115において、状態観測器420(オブザーバ421)は、角度伝達誤差の角周波数ωを算出する(上述の「数7」を参照)。その後、ステップS120が実行される。
(ステップS120)
ステップS120において、状態観測器420(オブザーバ421)の離散時間状態空間モデルが設定される。ステップS115において算出された角周波数ωは、離散時間状態空間モデルの行列成分として用いられる。離散時間状態空間モデルの設定の後、ステップS125が実行される。
(ステップS125)
ステップS125において、状態観測器420(オブザーバ421)は、軸ねじれ振動θ(上述の「数4」を参照)、モータ200の角速度ω及び揺動型減速機500の角速度ωといった状態量を推定する。軸ねじれ振動θの推定値を表すデータは、第1電流決定部431へ出力される。軸ねじれ振動θの推定値を表すデータ、モータ200の角速度ωの推定値を表すデータ及び揺動型減速機500の角速度ωの推定値を表すデータは、第2電流決定部432へ出力される。その後、ステップS130が実行される。
(ステップS130)
ステップS130において、第1電流決定部431は、第1BPFブロック434及び第2BPFブロック437の中心周波数ωを設定する。第1BPFブロック434及び第2BPFブロック437の中心周波数ωは、上述の「数7」を参照して説明された角周波数ωを算出するための数式から算出されてもよい(すなわち、ω=ω)。中心周波数ωの設定の後、ステップS135が実行される。
(ステップS135)
ステップS135において、第1電流決定部431は、第1BPFブロック434及び第2BPFブロック437の離散時間状態空間モデルを設定する。ステップS130において算出された角周波数ωは、第1BPFブロック434及び第2BPFブロック437の散時間状態空間モデルの行列成分として用いられる。離散時間状態空間モデルの設定の後、ステップS140が実行される。
(ステップS140)
ステップS140において、第1電流決定部431(第1BPFブロック434)は、軸ねじれ振動θの推定値を表すデータから、角周波数ωで変動する周波数成分を抽出する。その後、ステップS145が実行される。
(ステップS145)
ステップS145において、第1電流決定部431(トルク算出ブロック435)は、軸ねじれ振動θの推定値を表すデータからトルク振動τを表すトルク振動データを生成する。ステップS140において、不要な周波数成分が、軸ねじれ振動θの推定値を表すデータから取り除かれているので、第1電流決定部431(トルク算出ブロック435)は、トルク振動τを精度よく算出することができる。トルク振動データの生成の後、ステップS150が実行される。
(ステップS150)
ステップS150において、第1電流決定部431(動力学補償器436)は、トルク振動データから補償電流値Icmpを算出する。その後、ステップS155が実行される。
(ステップS155)
ステップS155において、第1電流決定部431(第2BPFブロック437)は、補償電流値Icmpを表すデータから角周波数ωで変動する周波数成分を抽出し、指令電流値Icmdの補正に用いられる補償電流値Icmpを決定する。ステップS155において、不要な周波数成分が、補償電流値Icmpを表すデータから取り除かれるので、指令電流値Icmdは、補償電流値Icmpによって精度よく補正される。補償電流値Icmpの決定の後、ステップS160が実行される。
(ステップS160)
ステップS160において、指令情報生成部440(位置指令生成部441,速度指令生成部442)は、速度指令値ω refを算出する。速度指令値ω refは、以下の数式から算出されてもよい。速度指令値ω refの算出の後、ステップS165が実行される。
Figure 2017041210
(ステップS165)
ステップS165において、速度偏差が加算される。ステップS165における処理は、以下の数式によって表されてもよい。速度偏差の加算の後、ステップS170が実行される。
Figure 2017041210
(ステップS170)
ステップS170において、電流指令生成部443は、指令電流値Icmdを算出する。指令電流値Icmdは、以下の数式から算出されてもよい。指令電流値Icmdの算出の後、ステップS175が実行される。
Figure 2017041210
(ステップS175)
ステップS175において、第2電流決定部432(状態フィードバックブロック438)は、状態フィードバック電流値Isfbを算出する。状態フィードバック電流値Isfbは、以下の数式から算出されてもよい。状態フィードバック電流値Isfbの算出の後、ステップS180が実行される。
Figure 2017041210
(ステップS180)
ステップS180において、補正処理部433(加え合わせ点462)は、指令電流値Icmdに、負の状態フィードバック電流値Isfbを加入する。ステップS180における処理は、以下の数式によって表されてもよい。指令電流値Icmdへの状態フィードバック電流値Isfbの加入の後、ステップS185が実行される。
Figure 2017041210
(ステップS185)
ステップS185において、補正処理部433(加え合わせ点461)は、指令電流値Icmdに、正の補償電流値Icmpを加入する。ステップS185における処理は、以下の数式によって表されてもよい。指令電流値Icmdへの補償電流値Icmpの加入の後、ステップS190が実行される。
Figure 2017041210
(ステップS190)
ステップS190において、補正処理部433は、指令電流値Icmdを駆動部450のD/Aチャネルへ出力する。駆動部450は、指令電流値Icmdに応じて、駆動信号をモータ200へ出力する。
<状態観測器>
図1、図5及び図6を参照して、状態観測器420(オブザーバ421)が説明される。
図5に示されるアクチュエータセクションにおいて、状態変数x及び入力uは、以下の数式で表される。
Figure 2017041210
図5に示されるアクチュエータセクションにおける状態方程式は、以下の数式によって与えられる。
Figure 2017041210
連続系における状態観測器420(オブザーバ421)の状態方程式及び行列は、以下の数式によって与えられる。以下の数式において、「u」は、状態観測器420(オブザーバ421)への入力を表す行列を表す。
Figure 2017041210
離散時間モデルへの上述の連続時間モデルの変換によって、以下の状態方程式及び行列が得られる。
Figure 2017041210
図6を参照して説明されたステップS120において、上述の「数18」に示される行列の演算が実行される。
<バンドパスフィルタ>
図5及び図6を参照して、第1BPFブロック434及び第2BPFブロック437が説明される。
第1BPFブロック434及び第2BPFブロック437の伝達関数は、以下の数式によって表されてもよい。以下の数式中、「Q」は、ゲイン曲線の鋭さ(通過域幅)を決定する選択度(Quality Factor)を表す。
Figure 2017041210
第1BPFブロック434及び第2BPFブロック437の連続時間モデルから離散時間モデルへの変換によって、以下の行列が得られる。
Figure 2017041210
図6を参照して説明されたステップS130において、上述の「数20」に示される行列の演算が実行される。
<動力学補償器>
図5及び図6を参照して、動力学補償器436が説明される。
動力学補償器436は、補償電流Icmpから外乱トルクτdisまでの伝達関数の逆システムとして設定される。動力学補償器436は、以下の数式によって表される。
Figure 2017041210
<実証試験>
本発明者等は、図2Aを参照して説明された揺動型減速機500Aの設計原理に基づいて構築された減速機を用いて、角度伝達誤差の低減効果を検証した。使用された減速機は、2つの揺動歯車(N=2)と、40本の内歯ピン(N=40)と、を備える。各揺動歯車には、3つのシャフト孔(k=3)が形成されている。
減速機は、40本の内歯ピンを備えるので、各揺動歯車が、外筒部の内壁に沿って一周するのに、クランク軸は40回転する必要がある。クランク軸が1回転する間、各揺動歯車に、6回の剛性変動が生ずる。したがって、各揺動歯車が、外筒部の内壁に沿って一周する間に、減速機内では、240回の剛性変動が発生することとなる。
図7A及び図7Bは、実証試験の結果を表すグラフである。図7Aは、補償電流値による補正がない条件下で得られた試験データを示す。図7Bは、補償電流値による補正がある条件下で得られた試験データを示す。
図7A及び図7Bの横軸は、減速機の出力回転角を表す。図7A及び図7Bの縦軸は、角度伝達誤差を表す。図7A及び図7Bに示される角度伝達誤差は、正規化され、パーセンテージで表される。図7A及び図7Bのグラフの縦軸の縮尺は等しいので、図7Aに示される角度伝達誤差と図7Bに示される角度伝達誤差との間の直接的な比較は可能である。
図7Aに示されるデータと図7Bに示されるデータとの間の比較から、補償電流値による補正がある条件下において、角度伝達誤差は、約30%低減されることが実証された。
本発明者等は、図7A及び図7Bに示されるデータを用いて、FFT解析を行った。本実施形態の制御原理によって角度伝達誤差が低減されているならば、240の角周波数成分が補償電流によって低減されていることとなる。
図8A及び図8Bは、FFT解析の結果を表すグラフである。図8Aは、図7Aに示されるデータから得られたFFT解析の結果を示す。図8Bは、図7Bに示されるデータから得られたFFT解析の結果を示す。
図8A及び図8Bのグラフの横軸は、角周波数を示す。図8Aのグラフと図8Bのグラフとを対比すると、240の角周波数成分が、大幅に低減されていることが分かる。したがって、本実施形態の制御原理が、角度伝達誤差を効果的に低減できることが実証された。
<第2実施形態>
第1実施形態に関連して説明されたオブザーバは、軸ねじれ振動を出力する。代替的に、オブザーバは、歯車部に形成された孔に起因する振動成分を出力してもよい。第2実施形態において、歯車部に形成された孔に起因する振動成分を出力するオブザーバを備える減速機システムが説明される。
図9は、減速機システム100(図1を参照)の制御ブロック線図である。第1実施形態及び第2実施形態の間で共通して用いられる符号及び記号は、当該共通の符号及び記号が付された要素が、第1実施形態と同一の機能を有することを意味する。したがって、第1実施形態の説明は、これらの要素に援用される。図1、図5及び図9を参照して、減速機システム100が説明される。
第1実施形態と同様に、図9に示される制御ブロック線図は、アクチュエータセクションと制御セクションとに分けられる。アクチュエータセクションは、図1を参照して説明されたモータ200及び揺動型減速機500を表す。制御セクションは、図1を参照して説明された制御回路400を表す。アクチュエータセクションの構造は、第1実施形態と同一である。したがって、第1実施形態の説明は、アクチュエータセクションに援用される。
第1実施形態と同様に、制御セクションは、微分ブロック411と、動力学補償器436と、第2BPFブロック437と、状態フィードバックブロック438と、加え合わせ点444,447,448,461,462,473と、比例項ブロック445,471と、微分項ブロック446と、積分項ブロック472と、を含む。第1実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
制御セクションは、オブザーバ421Aと、トルク算出ブロック435Aと、を更に備える。第1実施形態とは異なり、オブザーバ421Aは、振動成分θerrを出力する。上述の「数15」によって示されるように、状態変数xは、振動成分θerrを行列の成分として含むので、オブザーバ421Aは、図5を参照して説明されたオブザーバ421と構造的に同一であってもよい。
第1実施形態とは異なり、振動成分θerrは、オブザーバ421Aからトルク算出ブロック435Aへ直接的に出力される。トルク算出ブロック435Aは、振動成分θerrに、揺動型減速機500(図1を参照)のバネ特性を表す伝達関数Kを乗算し、角周波数ωで振動するトルク振動τを表すトルク振動データを生成する。トルク振動データは、トルク算出ブロック435Aから動力学補償器436へ出力される。本実施形態において、トルク算出部は、トルク算出ブロック435Aによって例示される。
トルク算出ブロック435Aによって算出されたトルク振動τは、揺動歯車部に形成された孔によって引き起こされたトルク振動に対応する。動力学補償器436は、トルク振動τが低減されるように、補償電流値Icmpを算出し、電流データを生成する。補償電流値Icmpを表す電流データは、動力学補償器436から第2BPFブロック437へ出力される。
第2BPFブロック437は、電流データから角度伝達誤差の角周波数ωで変動する周波数成分を抽出するバンドパスフィルタとして機能する。抽出された周波数成分のデータによって、指令電流値の補正に用いられる補償電流値Icmpが最終的に決定される。
図10は、減速機システム100の例示的な制御動作を表す概略的なフローチャートである。図1、図9及び図10を参照して、制御回路400の制御動作が説明される。
(ステップS205)
ステップS205において、エンコーダ300は、モータ200の回転角θを検出する。検出された回転角θを表す信号は、エンコーダ300から微分器410(微分ブロック411)へ出力される。その後、ステップS210が実行される。
(ステップS210)
ステップS210において、微分器410(微分ブロック411)は、モータ200の角速度ωを算出する。角速度ωは、上述の「数8」によって算出されてもよい。角速度ωの算出の後、ステップS215が実行される。
(ステップS215)
ステップS215において、状態観測器420(オブザーバ421A)は、角度伝達誤差の角周波数ωを算出する(上述の「数7」を参照)。その後、ステップS220が実行される。
(ステップS220)
ステップS220において、状態観測器420(オブザーバ421A)の離散時間状態空間モデルが設定される。ステップS215において算出された角周波数ωは、離散時間状態空間モデルの行列成分として用いられる。離散時間状態空間モデルの設定の後、ステップS225が実行される。
(ステップS225)
ステップS225において、状態観測器420(オブザーバ421A)は、軸ねじれ振動θ(上述の「数4」を参照)、モータ200の角速度ω、揺動型減速機500の角速度ω及び振動成分θerrといった状態量を推定する。振動成分θerrの推定値を表すデータは、第1電流決定部431へ出力される。軸ねじれ振動θの推定値を表すデータ、モータ200の角速度ωの推定値を表すデータ及び揺動型減速機500の角速度ωの推定値を表すデータは、第2電流決定部432へ出力される。その後、ステップS230が実行される。
(ステップS230)
ステップS230において、第1電流決定部431は、第2BPFブロック437の中心周波数ωを設定する。第2BPFブロック437の中心周波数ωは、上述の「数7」を参照して説明された角周波数ωを算出するための数式から算出されてもよい(すなわち、ω=ω)。中心周波数ωの設定の後、ステップS235が実行される。
(ステップS235)
ステップS235において、第1電流決定部431は、第2BPFブロック437の離散時間状態空間モデルを設定する。ステップS230において算出された角周波数ωは、第2BPFブロック437の散時間状態空間モデルの行列成分として用いられる。離散時間状態空間モデルの設定の後、ステップS245が実行される。
(ステップS245)
ステップS245において、第1電流決定部431(トルク算出ブロック435A)は、振動成分θerrの推定値を表すデータからトルク振動τを表すトルク振動データを生成する。トルク振動データの生成の後、ステップS250が実行される。
(ステップS250)
ステップS250において、第1電流決定部431(動力学補償器436)は、トルク振動データから補償電流値Icmpを算出する。その後、ステップS255が実行される。
(ステップS255)
ステップS255において、第1電流決定部431(第2BPFブロック437)は、補償電流値Icmpを表すデータから角周波数ωで変動する周波数成分を抽出し、指令電流値Icmdの補正に用いられる補償電流値Icmpを決定する。ステップS255において、不要な周波数成分が、補償電流値Icmpを表すデータから取り除かれるので、指令電流値Icmdは、補償電流値Icmpによって精度よく補正される。補償電流値Icmpの決定の後、ステップS260が実行される。
(ステップS260)
ステップS260において、指令情報生成部440(位置指令生成部441,速度指令生成部442)は、速度指令値ω refを算出する。速度指令値ω refは、上述の「数9」から算出されてもよい。速度指令値ω refの算出の後、ステップS265が実行される。
(ステップS265)
ステップS265において、速度偏差が加算される。ステップS265における処理は、上述の「数10」によって表されてもよい。速度偏差の加算の後、ステップS270が実行される。
(ステップS270)
ステップS270において、電流指令生成部443は、指令電流値Icmdを算出する。指令電流値Icmdは、上述の「数11」から算出されてもよい。指令電流値Icmdの算出の後、ステップS275が実行される。
(ステップS275)
ステップS275において、第2電流決定部432(状態フィードバックブロック438)は、状態フィードバック電流値Isfbを算出する。状態フィードバック電流値Isfbは、上述の「数12」から算出されてもよい。状態フィードバック電流値Isfbの算出の後、ステップS280が実行される。
(ステップS280)
ステップS280において、補正処理部433(加え合わせ点462)は、指令電流値Icmdに、負の状態フィードバック電流値Isfbを加入する。ステップS280における処理は、上述の「数13」によって表されてもよい。指令電流値Icmdへの状態フィードバック電流値Isfbの加入の後、ステップS285が実行される。
(ステップS285)
ステップS285において、補正処理部433(加え合わせ点461)は、指令電流値Icmdに、正の補償電流値Icmpを加入する。ステップS285における処理は、上述の「数14」によって表されてもよい。指令電流値Icmdへの補償電流値Icmpの加入の後、ステップS290が実行される。
(ステップS290)
ステップS290において、補正処理部433は、指令電流値Icmdを駆動部450のD/Aチャネルへ出力する。駆動部450は、指令電流値Icmdに応じて、駆動信号をモータ200へ出力する。
<第3実施形態>
第1実施形態及び第2実施形態に関連して説明されたオブザーバは、ステップ関数のように急激に変化する外乱トルクを考慮して、角度誤差を推定することができる。しかしながら、減速機が組み込まれるシステムは、周期的に変化する外乱負荷を受けることもある。第3実施形態において、周期的に変化する外乱負荷が存在する環境下においても、角度伝達誤差を低減することができる減速機システムが説明される。
図11は、減速機システム100Bの例示的な機能構成を表す概略的なブロック図である。第1実施形態及び第3実施形態の間で共通して用いられる符号及び記号は、当該共通の符号及び記号が付された要素が、第1実施形態と同一の機能を有することを意味する。したがって、第1実施形態の説明は、これらの要素に援用される。図11を参照して、減速機システム100Bが説明される。
第1実施形態と同様に、減速機システム100Bは、モータ200と、エンコーダ300と、揺動型減速機500と、を備える。第1実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
減速機システム100Bは、制御回路400Bを更に備える。第1実施形態と同様に、制御回路400Bは、微分器410と、補正部430と、指令情報生成部440と、駆動部450と、を含む。第1実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
制御回路400Bは、状態観測器420Bと、負荷演算部480と、を更に含む。第1実施形態と同様に、状態観測器420Bは、モータ200の角速度に関する角速度情報を、微分器410から受け取る。負荷演算部480は、周期的に変動する高次の外乱負荷(たとえば、重力負荷)に関する演算処理を実行する。演算処理の結果は、負荷演算部480から状態観測器420Bへ出力される。本実施形態において、外乱因子は、負荷演算部480が処理する外乱負荷によって例示される。
図12は、減速機システム100B(図11を参照)の制御ブロック線図である。第2実施形態及び第3実施形態の間で共通して用いられる符号及び記号は、当該共通の符号及び記号が付された要素が、第2実施形態と同一の機能を有することを意味する。したがって、第2実施形態の説明は、これらの要素に援用される。図11及び図12を参照して、減速機システム100Bが説明される。
第2実施形態と同様に、図12に示される制御ブロック線図は、アクチュエータセクションと制御セクションとに分けられる。アクチュエータセクションは、図11を参照して説明されたモータ200及び揺動型減速機500を表す。制御セクションは、図11を参照して説明された制御回路400Bを表す。アクチュエータセクションの構造は、第2実施形態と同一である。したがって、第2実施形態の説明は、アクチュエータセクションに援用される。
第2実施形態と同様に、制御セクションは、微分ブロック411と、トルク算出ブロック435Aと、動力学補償器436と、第2BPFブロック437と、状態フィードバックブロック438と、加え合わせ点444,447,448,461,462,473と、比例項ブロック445,471と、微分項ブロック446と、積分項ブロック472と、を含む。第2実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
制御セクションは、オブザーバ421Bと負荷演算ブロック481を更に備える。負荷演算ブロック481は、以下の数式を用いて、周期的に変動する高次の外乱負荷τを演算する。
Figure 2017041210
外乱負荷τは、負荷演算ブロック481からオブザーバ421Bへ出力される。オブザーバ421Bは、モータ200の角速度ω及び外乱負荷τを入力として用いて、第2実施形態に関連して説明された様々な推定値を出力する。外乱負荷τがオブザーバ421Bへの入力として利用されるので、上述の「数17」中の行列「u」は、外乱負荷τを行列成分として含む。
図13は、上述の「数22」に示される数式の概念的モデルである。図12及び図13を参照して、上述の「数22」に用いられる記号が説明される。
図13は、揺動型減速機500と、アーム501と、ウェイト502と、を示す。上述の「数22」中の記号「m」は、ウェイト502の質量を意味する。上述の「数22」中の記号「l」は、アーム501の長さを意味する。上述の「数22」中の記号「g」は、重力加速度を意味する。ウェイト502が揺れるならば、上述の「数22」に示される数式に従う外乱負荷が発生する。
図14は、減速機システム100Bの例示的な制御動作を表す概略的なフローチャートである。図11、図12及び図14を参照して、制御回路400Bの制御動作が説明される。
(ステップS305)
ステップS305において、エンコーダ300は、モータ200の回転角θを検出する。検出された回転角θを表す信号は、エンコーダ300から微分器410(微分ブロック411)へ出力される。その後、ステップS310が実行される。
(ステップS310)
ステップS310において、微分器410(微分ブロック411)は、モータ200の角速度ωを算出する。角速度ωは、上述の「数8」によって算出されてもよい。角速度ωの算出の後、ステップS315が実行される。
(ステップS315)
ステップS315において、状態観測器420B(オブザーバ421B)は、角度伝達誤差の角周波数ωを算出する(上述の「数7」を参照)。その後、ステップS317が実行される。
(ステップS317)
ステップS317において、負荷演算部480(負荷演算ブロック481)は、外乱負荷τを算出する(上述の「数22」を参照)。その後、ステップS320が実行される。
(ステップS320)
ステップS320において、状態観測器420B(オブザーバ421B)の離散時間状態空間モデルが設定される。ステップS315において算出された角周波数ωは、離散時間状態空間モデルの行列成分として用いられる。ステップ317において算出された外乱負荷τは、状態観測器420B(オブザーバ421B)への入力として用いられる。離散時間状態空間モデルの設定の後、ステップS325が実行される。
(ステップS325)
ステップS325において、状態観測器420B(オブザーバ421B)は、軸ねじれ振動θ(上述の「数4」を参照)、モータ200の角速度ω、揺動型減速機500の角速度ω及び振動成分θerrといった状態量を推定する。振動成分θerrの推定値を表すデータは、第1電流決定部431へ出力される。軸ねじれ振動θの推定値を表すデータ、モータ200の角速度ωの推定値を表すデータ及び揺動型減速機500の角速度ωの推定値を表すデータは、第2電流決定部432へ出力される。その後、ステップS330が実行される。
(ステップS330)
ステップS330において、第1電流決定部431は、第2BPFブロック437の中心周波数ωを設定する。第2BPFブロック437の中心周波数ωは、上述の「数7」を参照して説明された角周波数ωを算出するための数式から算出されてもよい(すなわち、ω=ω)。中心周波数ωの設定の後、ステップS335が実行される。
(ステップS335)
ステップS335において、第1電流決定部431は、第2BPFブロック437の離散時間状態空間モデルを設定する。ステップS330において算出された角周波数ωは、第2BPFブロック437の散時間状態空間モデルの行列成分として用いられる。離散時間状態空間モデルの設定の後、ステップS345が実行される。
(ステップS345)
ステップS345において、第1電流決定部431(トルク算出ブロック435A)は、振動成分θerrの推定値を表すデータからトルク振動τを表すトルク振動データを生成する。トルク振動データの生成の後、ステップS350が実行される。
(ステップS350)
ステップS350において、第1電流決定部431(動力学補償器436)は、トルク振動データから補償電流値Icmpを算出する。その後、ステップS355が実行される。
(ステップS355)
ステップS355において、第1電流決定部431(第2BPFブロック437)は、補償電流値Icmpを表すデータから角周波数ωで変動する周波数成分を抽出し、指令電流値Icmdの補正に用いられる補償電流値Icmpを決定する。ステップS355において、不要な周波数成分が、補償電流値Icmpを表すデータから取り除かれるので、指令電流値Icmdは、補償電流値Icmpによって精度よく補正される。補償電流値Icmpの決定の後、ステップS360が実行される。
(ステップS360)
ステップS360において、指令情報生成部440(位置指令生成部441,速度指令生成部442)は、速度指令値ω refを算出する。速度指令値ω refは、上述の「数9」から算出されてもよい。速度指令値ω refの算出の後、ステップS365が実行される。
(ステップS365)
ステップS365において、速度偏差が加算される。ステップS365における処理は、上述の「数10」によって表されてもよい。速度偏差の加算の後、ステップS370が実行される。
(ステップS370)
ステップS370において、電流指令生成部443は、指令電流値Icmdを算出する。指令電流値Icmdは、上述の「数11」から算出されてもよい。指令電流値Icmdの算出の後、ステップS375が実行される。
(ステップS375)
ステップS375において、第2電流決定部432(状態フィードバックブロック438)は、状態フィードバック電流値Isfbを算出する。状態フィードバック電流値Isfbは、上述の「数12」から算出されてもよい。状態フィードバック電流値Isfbの算出の後、ステップS380が実行される。
(ステップS380)
ステップS380において、補正処理部433(加え合わせ点462)は、指令電流値Icmdに、負の状態フィードバック電流値Isfbを加入する。ステップS380における処理は、上述の「数13」によって表されてもよい。指令電流値Icmdへの状態フィードバック電流値Isfbの加入の後、ステップS385が実行される。
(ステップS385)
ステップS385において、補正処理部433(加え合わせ点461)は、指令電流値Icmdに、正の補償電流値Icmpを加入する。ステップS385における処理は、上述の「数14」によって表されてもよい。指令電流値Icmdへの補償電流値Icmpの加入の後、ステップS390が実行される。
(ステップS390)
ステップS390において、補正処理部433は、指令電流値Icmdを駆動部450のD/Aチャネルへ出力する。駆動部450は、指令電流値Icmdに応じて、駆動信号をモータ200へ出力する。
<実証試験>
本発明者等は、図2Aを参照して説明された揺動型減速機500Aの設計原理に基づいて構築された減速機を用いて、角度伝達誤差の低減効果を検証した。使用された減速機は、2つの揺動歯車(N=2)と、40本の内歯ピン(N=40)と、を備える。各揺動歯車には、3つのシャフト孔(k=3)が形成されている。
減速機は、40本の内歯ピンを備えるので、各揺動歯車が、外筒部の内壁に沿って一周するのに、クランク軸は40回転する必要がある。クランク軸が1回転する間、各揺動歯車に、6回の剛性変動が生ずる。したがって、各揺動歯車が、外筒部の内壁に沿って一周する間に、減速機内では、240回の剛性変動が発生することとなる。
図15A及び図15Bは、実証試験の結果を表すグラフである。図15Aは、補償電流値による補正がない条件下で得られた試験データを示す。図15Bは、補償電流値による補正がある条件下で得られた試験データを示す。
図15A及び図15Bの横軸は、減速機の出力回転角を表す。図15A及び図15Bの縦軸は、角度伝達誤差を表す。図15A及び図15Bに示される角度伝達誤差は、正規化され、パーセンテージで表される。図15A及び図15Bのグラフの縦軸の縮尺は等しいので、図15Aに示される角度伝達誤差と図15Bに示される角度伝達誤差との間の直接的な比較は可能である。
図15Aに示されるデータと図15Bに示されるデータとの間の比較から、補償電流値による補正がある条件下において、角度伝達誤差は、約20%低減されることが実証された。
本発明者等は、図15A及び図15Bに示されるデータを用いて、FFT解析を行った。本実施形態の制御原理によって角度伝達誤差が低減されているならば、240の角周波数成分が補償電流によって低減されていることとなる。
図16A及び図16Bは、FFT解析の結果を表すグラフである。図16Aは、図15Aに示されるデータから得られたFFT解析の結果を示す。図16Bは、図15Bに示されるデータから得られたFFT解析の結果を示す。
図16A及び図16Bのグラフの横軸は、角周波数を示す。図16Aのグラフと図16Bのグラフとを対比すると、240の角周波数成分が、大幅に低減されていることが分かる。したがって、本実施形態の制御原理が、角度伝達誤差を効果的に低減できることが実証された。
<第4実施形態>
本発明者等は、第1実施形態乃至第3実施形態に関連して説明された制御原理に基づき、更に改良された制御技術を開発した。第4実施形態において、改良された制御技術が説明される。
第1実施形態乃至第3実施形態に関連して説明された如く、上述の「数7」によって示される角周波数ωの振動成分は、減速機の角度誤差に大きな影響を与える。上述の如く、角周波数ωの振動成分は、歯車部に形成された孔の数に起因して生ずる。すなわち、角周波数ωの振動成分は、減速機の内部で生じた弾性変形に由来する。
図8A及び図16Aに示されるチャートから、減速機の内部で生じた弾性変形に由来する角周波数ωの振動成分に加えて、下記の「数23」によって定義される角周波数ωd1の振動成分も、減速機の角度誤差に大きな影響を与えることが分かる。角周波数ωd1の振動成分は、減速機の製造誤差に由来すると考えられる。「数23」によって定義される角周波数ωd1は、「数7」によって示される角周波数ωの定義式中の変数kに「1」の値を代入したものに相当する。
Figure 2017041210
本発明者等は、減速機の内部で生じた弾性変形に由来する角周波数ωの振動成分及び減速機の製造誤差に由来する角周波数ωd1の振動成分からの影響を効果的に低減する制御モデルを構築した。本発明者等によって構築された制御モデルは、図2Aを参照して説明された揺動型減速機500Aを制御対象として取り扱う。しかしながら、本実施形態の原理は、歯車部に形成された孔の数において相違する様々な減速機に適用可能である。したがって、本実施形態の原理は、減速機の特定の構造に限定されない。
図17は、第4実施形態の減速機システム100Cの制御ブロック線図である。第3実施形態及び第4実施形態の間で共通して用いられる符号及び記号は、当該共通の符号及び記号が付された要素が、第3実施形態と同一の機能を有することを意味する。したがって、第3実施形態の説明は、これらの要素に援用される。図1、図2A、図12及び図17を参照して、減速機システム100Cが説明される。
第3実施形態と同様に、図17に示される制御ブロック線図は、アクチュエータセクションと制御セクションとに分けられる。図17に示されるアクチュエータセクションは、入力因子として、角周波数ωνaを含む点においてのみ、図12に示されるアクチュエータセクションとは相違する。したがって、図12を参照して説明されたアクチュエータセクションに関する説明は、図17に示されるアクチュエータセクションに援用される。角周波数ωνaは、以下の「数24」によって定義されてもよい。
Figure 2017041210
上述の如く、減速機システム100Cは、図2Aに示される揺動型減速機500Aを制御するために設計されているので、アクチュエータセクション中の振動成分θerrを出力するブロック中の数式(上述の「数5」)の中の変数「k」に数値「6」が代入される。
制御セクション中の記号「T」は、サンプリング間隔を意味する。サンプリング間隔「T」は、図1を参照して説明されたエンコーダ300の分解能によって決定されてもよい。
制御セクションは、ブロック482,483を含む。ブロック483中に示される数式の「J項」は、慣性変動による動力学成分を表す。ブロック483中に示される数式の「C項」は、遠心力やコリオリ力を表す。ブロック483中に示される数式の「D項」は、摩擦力を表す。ブロック483中に示される数式の「G項」は、重力負荷を表す。本発明者等は、「J項」、「C項」及び「D項」を無視し、「G項」のみを考慮する制御モデルを構築した。したがって、ブロック482,483は、協働して、図12を参照して説明された負荷演算ブロック481に対応する演算処理を行い、外乱負荷τを出力する。
制御セクションは、微分ブロック411Cを含む。部分ブロック411Cは、離散的な微分処理を実行し、モータ200(図1を参照)の角速度ωを出力する。微分ブロック411Cは、図12を参照して説明された微分ブロック411に対応する。
制御セクションは、オブザーバ421Cを含む。第3実施形態と同様に、外乱負荷τ及びモータ200の角速度ωは、オブザーバ421Cに入力される。オブザーバ421Cの状態方程式は、以下の「数25」によって表される。
Figure 2017041210
上述の行列式中の「ωd6」は、揺動型減速機500Aの内部で生じた弾性変形に由来する角度伝達誤差の角周波数ω(数7を参照:k=6)を意味する。
第3実施形態と同様に、オブザーバ421Cは、軸ねじれ振動θ(上述の「数4」を参照)、モータ200の角速度ω、揺動型減速機500Aの角速度ω及び振動成分θerrといった状態量の推定値を表すデータを生成することができる。第3実施形態とは異なり、減速機システム100Cは、軸ねじれ振動θ(上述の「数4」を参照)、モータ200(図1を参照)の角速度ω、揺動型減速機500Aの角速度ωの推定値を表すデータを使用することなく、揺動型減速機500Aを制御する。
制御セクションは、トルク算出ブロック435Cを含む。一方、第3実施形態と同様に、振動成分θerrの推定値を表すデータは、オブザーバ421Cからトルク算出ブロック435Cへ出力される。トルク算出ブロック435C中に示される記号「Ksn」は、トルク算出ブロック435Cが揺動型減速機500Aのバネ特性のノミナル値を用いた伝達関数であることを意味する。ノミナル値は、所定の同定試験によって得られる。トルク算出ブロック435Cは、図12を参照して説明されたトルク算出ブロック435Aに対応する。第3実施形態と同様に、トルク算出ブロック435Cは、振動成分θerrの推定値を表すデータからトルク振動τの推定値を表すトルク振動データを生成する。
オブザーバ421Cは、上述の「数25」に表される状態方程式を用いて、角周波数ωνaの推定値を表すデータ及び角周波数ωνaの微分値の推定値を表すデータを生成することができる。制御セクションは、ブロック491,492を含む。ブロック491中に示される記号「DLn」は、ブロック491が、負荷軸の粘性摩擦係数のノミナル値を用いた伝達関数であることを意味する。ブロック492中に示される記号「JLn」は、ブロック491が、負荷軸の慣性モーメントのノミナル値を用いた伝達関数であることを意味する。これらのノミナル値は、所定の同定試験によって得られる。減速機システム100Cは、これらのブロック491,492の出力値を足し合わせ、角周波数ωνaで変動するトルク振動τνaの推定値を算出する(以下の「数26」を参照)。
Figure 2017041210
制御セクションは、動力学補償器493,494を含む。トルク振動τの推定値を表すトルク振動データは、トルク算出ブロック435Cから動力学補償器493へ出力される。動力学補償器493は、トルク振動τが低減されるように、補償電流値Icmpを算出し、電流データを生成する。動力学補償器493は、図12を参照して説明された動力学補償器436に対応する。
動力学補償器494は、上述の「数26」のから得られたトルク振動τνaの推定値を表すデータを受け取る。動力学補償器494は、トルク振動τνaが低減されるように、補償電流値Icmpを算出し、電流データを生成する。
動力学補償器493,494のブロック中に表される記号「Z」は、遅れ演算子である。以下の「数27」は、動力学補償器493,494の伝達関数を表す。
Figure 2017041210
制御セクションは、BPFブロック495,496を含む。BPFブロック495は、電流データから角度伝達誤差の角周波数ωd6で変動する周波数成分を抽出する。BPFブロック495の伝達関数は、上述の「数19」中の「ω」が角周波数ωd6に置き換えられたものに対応する。BPFブロック496は、電流データから角度伝達誤差の角周波数ωd1で変動する周波数成分を抽出する。BPFブロック495の伝達関数は、上述の「数19」中の「ω」が角周波数ωd1に置き換えられたものに対応する。
制御セクション中の記号「SW」,「SW」は、本発明者等が、制御セクションに組み込んだスイッチを意味する。制御セクション中の記号「I ref」は、モータ200の目標電流値を意味する。本発明者等が、スイッチSW,SWをオンにすると、BPFブロック495,496によって抽出された周波数成分の補償電流値Icmpが、目標電流値I refに加算される。本発明者等が、スイッチSWをオンする一方で、スイッチSWをオフにすると、BPFブロック496によって抽出された周波数成分の補償電流値Icmpのみが目標電流値I refに加算される。本発明者等が、スイッチSWをオフする一方で、スイッチSWをオンにすると、BPFブロック495によって抽出された周波数成分の補償電流値Icmpのみが目標電流値I refに加算される。これらの加算処理のうち1つによって、指令電流値Icmdが決定される。
制御セクションは、ZOHブロック497(ZOH:zero orderhold)を含む。ZOHブロック497は、モータ200の回転角のサンプリングの間、電流値を保持するために組み込まれている。第1実施形態乃至第3実施形態に関連して説明された制御セクションには、ZOHブロック497は示されていないが、第1実施形態乃至第3実施形態の制御セクションも離散的なデータを処理するので、第1実施形態乃至第3実施形態の制御セクションもZOHブロック497と同様の処理を行う。
図18A乃至図18Dは、揺動型減速機500Aの出力速度と、揺動型減速機500Aを駆動するモータ200(図1を参照)へ入力される指令電流と、を表すグラフである。図18A乃至図18Dに示されるグラフは、図17を参照して説明された制御セクションの制御下で得られている。図17乃至図18Dを参照して、本発明者等によって実行された制御セクションの実証試験が説明される。
図18Aに示されるように、スイッチSW,SWがともにオフにされると、指令電流値Icmdは、滑らかな正弦波を描く一方で、出力速度は、大きな振幅且つ長い周期で変動する波曲線及び小さな振幅且つ短い周期で変動する波曲線が重畳された波形を描く。
図18Bに示されるように、スイッチSWのみがオンにされると、出力速度は、小さな振幅且つ短い周期で変動する波形を描く。図18Cに示されるように、スイッチSWのみがオンにされると、出力速度は、大きな振幅且つ長い周期で変動する波形を描く。
図18Dに示されるように、スイッチSW,SWがともにオンされると、出力速度は、最も小さな振動振幅を有する波形を描く。
本発明者等は、図18A乃至図18Dに示される出力速度のデータに対して、空間FFT解析を行った。図19Aは、図18Aに示される出力速度のデータに対する空間FFT解析から得られた空間周波数スペクトルを表すグラフである。図19Bは、図18Bに示される出力速度のデータに対する空間FFT解析から得られた空間周波数スペクトルを表すグラフである。図19Cは、図18Cに示される出力速度のデータに対する空間FFT解析から得られた空間周波数スペクトルを表すグラフである。図19Dは、図18Dに示される出力速度のデータに対する空間FFT解析から得られた空間周波数スペクトルを表すグラフである。
図19Aに示されるように、スイッチSW,SWがともにオフにされると、内歯ピンの数(40)に相当する周波数成分及び内歯ピンの数と歯車部の孔の数との積(240)に相当する周波数成分は、高い値を示す。
図19Bに示されるように、スイッチSWのみがオンにされると、内歯ピンの数と歯車部の孔の数との積(240)に相当する周波数成分は、図19Aに示されるスペクトルと略同じレベルに維持される一方で、内歯ピンの数(40)に相当する周波数成分は、顕著に低減される。
図19Cに示されるように、スイッチSWのみがオンにされると、内歯ピンの数(40)に相当する周波数成分は、図19Aに示されるスペクトルと略同じレベルに維持される一方で、内歯ピンの数と歯車部の孔の数との積(240)に相当する周波数成分は、顕著に低減される。
図19Aに示されるように、スイッチSW,SWがともにオンにされると、内歯ピンの数(40)に相当する周波数成分及び内歯ピンの数と歯車部の孔の数との積(240)に相当する周波数成分はともに、図19Aに示されるスペクトルと比べて顕著に低いレベルに抑えられる。
表2は、振動のピーク値を示す。表2に示される如く、本発明者等は、減速機システム100C(図17を参照)が、70.6%もの振動抑制を達成したことを確認した。
Figure 2017041210
上述の様々な実施形態の原理は、減速機の制御に対する要求に適合するように、組み合わされてもよい。
上述の実施形態の原理は、揺動型減速機を利用する装置に好適に利用される。
100・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・減速機システム
200・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・モータ
400,400B・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・制御回路
410・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・微分器
411,411C・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・微分ブロック
420,420B・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・状態観測器
421,421A,421B,421C・・・・・・・・・・オブザーバ
430・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・補正部
434・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第1BPFブロック
435,435A・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・トルク算出ブロック
436・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・動力学補償器
437・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第2BPFブロック
491,492・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ブロック
493,494・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・動力学補償器
495,496・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・BPFブロック
500,500A・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・揺動型減速機
512・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・内歯ピン
530・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・揺動歯車部
531・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第1揺動歯車
532・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第2揺動歯車
533・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・揺動歯車
536・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シャフト孔

Claims (11)

  1. 少なくとも1つの孔が偏心した位置に形成された揺動歯車部を有する揺動型減速機を駆動するモータを制御する制御装置であって、
    前記モータの回転角を表す入力回転角に関する入力情報を取得する角度取得部と、
    前記揺動型減速機の内部の部材の弾性変形に由来する第1角度伝達誤差と、前記揺動型減速機の製造誤差に由来する第2角度伝達誤差と、を推定する推定部と、
    前記第1角度伝達誤差及び前記第2角度伝達誤差に応じて補償電流値を決定し、前記補償電流値を用いて、指令電流値を補正することにより、前記モータへ供給される電流の大きさを設定する補正部と、を備え、
    前記推定部は、前記少なくとも1つの孔の数を表す孔数に基づいて、前記第1角度伝達誤差を、推定する
    制御装置。
  2. 前記第1角度伝達誤差は、軸ねじれ振動である
    請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記第1角度伝達誤差は、前記少なくとも1つの孔に起因する振動成分である
    請求項1に記載の制御装置。
  4. 前記推定部は、前記入力情報と、前記モータへ供給された電流の大きさと、を入力とし、前記第1角度伝達誤差を推定する状態観測器を含む
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載の制御装置。
  5. 前記状態観測器は、周期的に変動する外乱因子を入力として、前記第1角度伝達誤差を推定する
    請求項4に記載の制御装置。
  6. 前記揺動型減速機は、前記揺動歯車部に噛み合うN本の内歯を含み、且つ、減速比Rで、前記モータの角速度ωを減速し、
    前記孔数は、自然数kで表され、
    前記推定部は、前記第1角度伝達誤差の角周波数ωを数1から算出し、前記角周波数ωを行列成分として含む離散時間状態空間モデルを用いて前記第1角度伝達誤差を推定する
    請求項1乃至5のいずれか1項に記載の制御装置。
    Figure 2017041210
  7. 前記揺動歯車部は、N個の揺動歯車を含み、
    前記N個の揺動歯車それぞれには、k個の孔が形成され、
    前記自然数kは、数2から算出される
    請求項6に記載の制御装置。
    Figure 2017041210
  8. 前記推定部は、前記第2角度伝達誤差の角周波数ωd1を数3から算出し、前記角周波数ωd1を行列成分として含む離散時間状態空間モデルを用いて前記第2角度伝達誤差を推定する
    請求項6又は7に記載の制御装置。
    Figure 2017041210
  9. 前記補正部は、前記第2角度伝達誤差と、前記揺動型減速機の粘性摩擦特性と、前記揺動型減速機の負荷軸の慣性モーメントと、から、前記角周波数ωd1で振動するトルク振動を算出するトルク算出部と、前記トルク振動が低減されるように前記補償電流値を算出する電流算出部と、を含む
    請求項8に記載の制御装置。
  10. 前記電流算出部は、前記トルク振動から補償電流の大きさを表す電流データを生成し、前記電流データから、前記角周波数ωd1で変動する周波数成分を抽出することによって、前記補償電流値を決定する
    請求項9に記載の制御装置。
  11. 少なくとも1つの孔が偏心した位置に形成された揺動歯車部を有する揺動型減速機と、
    前記揺動型減速機を駆動するモータと、
    前記モータを制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記モータの回転角を表す入力回転角に関する入力情報を取得する角度取得部と、前記揺動型減速機の内部の部材の弾性変形に由来する第1角度伝達誤差と、前記揺動型減速機の製造誤差に由来する第2角度伝達誤差と、を推定する推定部と、前記第1角度伝達誤差及び前記第2角度伝達誤差に応じて補償電流値を決定し、前記補償電流値を用いて、指令電流値を補正することにより、前記モータへ供給される電流の大きさを設定する補正部と、を含み、
    前記推定部は、前記少なくとも1つの孔の数を表す孔数に基づいて、前記第1角度伝達誤差を、推定する
    減速機システム。
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