JP2017040506A - センサ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】初回運転時においても、早期に安定して特定ガス濃度を検知することができるセンサ制御装置を提供すること。
【解決手段】センサ制御装置は、ガスセンサと制御部とを備えている。制御部は、検知素子の活性化後、一定の時間S1の間、検知素子を加熱する第1加熱処理(S107)を実行する第1加熱処理手段と、第1加熱処理後、第2酸素ポンプセルに対して一定の電流を一定の時間T1供給し、第2測定室内の酸素濃度を低下させる第1予備制御(S109〜S111)を実行する第1予備制御手段と、検知素子の活性化後、一定の時間S2(S2<S1)の間、検知素子を加熱する第2加熱処理(S207)を実行する第2加熱処理手段と、第2加熱処理後、第2酸素ポンプセルに対して一定の電流を一定の時間T2(T2<T1)供給し、第2測定室内の酸素濃度を低下させる第2予備制御(S209〜S211)を実行する第2予備制御手段と、を備えている。
【選択図】図2
【解決手段】センサ制御装置は、ガスセンサと制御部とを備えている。制御部は、検知素子の活性化後、一定の時間S1の間、検知素子を加熱する第1加熱処理(S107)を実行する第1加熱処理手段と、第1加熱処理後、第2酸素ポンプセルに対して一定の電流を一定の時間T1供給し、第2測定室内の酸素濃度を低下させる第1予備制御(S109〜S111)を実行する第1予備制御手段と、検知素子の活性化後、一定の時間S2(S2<S1)の間、検知素子を加熱する第2加熱処理(S207)を実行する第2加熱処理手段と、第2加熱処理後、第2酸素ポンプセルに対して一定の電流を一定の時間T2(T2<T1)供給し、第2測定室内の酸素濃度を低下させる第2予備制御(S209〜S211)を実行する第2予備制御手段と、を備えている。
【選択図】図2
Description
本発明は、センサ制御装置に関する。
従来、排ガス等の検知対象ガスに含まれる特定ガスの濃度を検知するガスセンサが利用されている。例えば、特定ガスとして窒素酸化物(以下、「NOx」という)を検知するNOxセンサは、酸素イオン伝導性の固体電解質層上に多孔質の電極が形成されている酸素濃度検知セル、第1酸素ポンプセル、第2酸素ポンプセル等を有する検知素子を備えている。
NOxセンサは、酸素濃度検知セルの出力電圧が一定値となるように第1酸素ポンプセルによって第1測定室から酸素を汲み出して第1測定室内の検知対象ガスの酸素濃度を一定に制御する。また、NOxセンサは、第2酸素ポンプセルの電極間に操作電圧を印加して、第1測定室から第2測定室に導入されたガス(第1酸素ポンプセルにより酸素濃度が調整されたガス)から第2酸素ポンプセルによって酸素を汲み出す。この操作電圧の印加によって第2酸素ポンプセルに流れる電流値に基づいて、検知対象ガス中のNOx濃度を検知する。
NOxセンサを用いて、例えば、自動車等の内燃機関から排出される排ガスに含まれるNOx濃度を検知する場合、前回の内燃機関の運転が停止してから再運転するまでの経過時間に応じて、第2測定室内は大気雰囲気に近いリーン状態となる。そのため、特許文献1のように、NOxセンサには、内燃機関の起動時に、第2測定室に存在する酸素や第2測定室に面している多孔質の電極に含まれる酸素を一時的に急激に汲み出し、第2測定室内を所定の低酸素濃度状態とする予備制御を行うことにより、排ガスに含まれるNOx濃度を安定して測定可能となるまでの時間を短縮しているものがある。
ただし、特許文献1に記載のセンサ制御装置において、予備制御の制御条件は、予備制御実行前の第2測定室内が大気雰囲気に近いリーン状態であることを想定して決定される。ところが、NOxセンサの使用環境等によっては、前回の内燃機関の運転が停止してから再運転するまでの間(以下、非運転期間という)に、NOxセンサ内に未燃性物質(ガソリン等の燃料や、NOxセンサに使用される焼付防止剤等の塗布材等に含まれる揮発性物質)が侵入し、予備制御実行前の第2測定室内の酸素濃度が大気雰囲気よりも低い状態(以下、リッチ状態という)となることがある。このような場合、予備制御を実行すると、NOxセンサは第2測定室に存在する酸素を想定量よりも多く汲み出してしまい、第2測定室内は所定の低酸素濃度状態にならない。結果として、予備制御後に算出される濃度対応値が正常な値を示すまでに比較的長い時間が必要となり、早期に安定して特定ガス濃度を検知することができない。
そこで、特許文献2に記載のセンサ制御装置では、予備制御を実行する前に、所定の時間、検知素子を加熱する(検知素子が加熱された状態を維持する)加熱処理(ヒートトリートメント)を実行している。この加熱処理を実行し、第2測定室内の未燃性物質を燃焼除去することにより、予備制御実行前の第2測定室内の酸素濃度が大気雰囲気に近い雰囲気となる可能性を高めることができる。そして、予備制御を実行した後、安定して早期に特定ガス濃度の検知が可能となる。
しかしながら、従来のセンサ制御装置では、次のような問題がある。例えば、工場で製造されたNOxセンサ等のガスセンサは、梱包材により梱包され、その状態で目的地まで輸送され、その後開梱される。よって、ガスセンサを梱包してから開梱するまでの期間(以下、保管期間という)が長期間となることがある。この場合、保管期間中に、ガスセンサの第2測定室内に、有機系ガス(ガスセンサを梱包する梱包材や、ガスセンサに使用される焼付防止剤や、コネクタの防水ゴムに使用される潤滑剤等に含まれる有機系成分の揮発物)が侵入し、第2測定室内の酸素濃度が大気雰囲気よりも低い状態(リッチ状態)となることがある。
したがって、自動車等に搭載したセンサ制御装置の初回運転時(例えば、内燃機関の初回運転時)において、前記特許文献1と同様の予備制御を実行しても、前述した理由により、予備制御後に早期に安定して特定ガス濃度を検知することができない。さらに、前記特許文献2と同様の加熱処理(ヒートトリートメント)及び予備制御を実行しても、予備制御後に早期に安定して特定ガス濃度を検知することができない。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、初回運転時においても、早期に安定して特定ガス濃度を検知することができるセンサ制御装置を提供しようとするものである。
本発明のセンサ制御装置は、検知対象ガスが導入される第1測定室と、第1固体電解質層及び一対の第1電極を有し、該一対の第1電極が前記第1測定室の内側及び外側に設けられた第1酸素ポンプセルと、前記第1測定室に連通する第2測定室と、第2固体電解質層及び一対の第2電極を有し、該一対の第2電極が前記第2測定室の内側及び外側に設けられた第2酸素ポンプセルと、が設けられた検知素子を有するガスセンサと、前記第1測定室に導入された前記検知対象ガスの酸素濃度を、前記第1酸素ポンプセルへの通電によって所定の値に調整する濃度制御を行うと共に、前記第2酸素ポンプセルへ操作電圧を印加する駆動制御を行う駆動回路部と、前記操作電圧が印加された前記第2酸素ポンプセルに流れる電流の大きさに基づいて特定ガスの濃度を表す濃度対応値を算出する算出手段と、を有する制御部と、を備えたセンサ制御装置であって、前記制御部は、さらに、前記ガスセンサの前記検知素子が活性化した後、一定の時間S1の間、前記検知素子を加熱する第1加熱処理を実行する第1加熱処理手段と、前記第1加熱処理後であって前記駆動制御前に、前記第2酸素ポンプセルに対して、一定の電流を一定の時間T1供給し、前記第2測定室から該第2測定室外部に汲み出す酸素量を一定に制御することにより、前記第2測定室内の酸素濃度を低下させる第1予備制御を実行する第1予備制御手段と、前記ガスセンサの前記検知素子が活性化した後、一定の時間S2の間、前記検知素子を加熱する第2加熱処理を実行する第2加熱処理手段と、前記第2加熱処理後であって前記駆動制御前に、前記第2酸素ポンプセルに対して、一定の電流を一定の時間(T2)供給し、前記第2測定室から該第2測定室外部に汲み出す酸素量を一定に制御することにより、前記第2測定室内の酸素濃度を低下させる第2予備制御を実行する第2予備制御手段と、を備え、前記時間S1は、前記時間S2よりも長く、かつ、前記時間T1は、前記時間T2よりも長い。
前記センサ制御装置は、ガスセンサと制御部とを備えている。制御部は、一定の時間S1の間、第1加熱処理を実行する第1加熱処理手段と、一定の時間T1の間、第1予備制御を実行する第1予備制御手段と、一定の時間S2の間、第2加熱処理を実行する第2加熱処理手段と、一定の時間T2の間、第2予備制御を実行する第2予備制御手段とを備えている。そして、第1加熱処理の時間S1は、第2加熱処理の時間S2よりも長く、かつ、第1予備制御の時間T1は、第2予備制御の時間T2よりも長い。
すなわち、センサ制御装置は、初回運転時と2回目以降の運転(以下、通常運転という)時とでガスセンサの第2測定室内の状態が異なる。センサ制御装置の通常運転時は、前回の運転を停止してから再運転するまでの非運転期間が比較的短い。そのため、非運転期間中において、ガスセンサの第2測定室内に未燃性物質(ガソリン等の燃料や、ガスセンサに使用される焼付防止剤等の塗布材等に含まれる揮発性物質)が侵入し、第2測定室内の酸素濃度が大気雰囲気よりも低いリッチ状態となった場合でも、比較的短い時間の加熱処理(ヒートトリートメント)及び予備制御を実行すればよい。具体的には、比較的短い時間の加熱処理を実行して第2測定室内の未燃性物質を燃焼除去し、比較的短い時間の予備制御を実行して第2測定室内の酸素を汲み出し、所定の低酸素濃度状態とすることにより、その後、早期に安定した特定ガス濃度の検知が可能となる。
一方、センサ制御装置の初回運転時は、ガスセンサを製造してから実際に運転するまでの運転前期間(前述の保管期間を含む。保管期間とは、例えば、ガスセンサを梱包してから開梱するまでの期間である。)が前述の非運転期間に比べて非常に長い。そのため、運転前期間(特に前述の保管期間)中において、ガスセンサの第2測定室内に有機系ガス(ガスセンサを梱包する梱包材や、ガスセンサに使用されるオイル等の潤滑剤等に含まれる有機系成分の揮発物)が侵入し、第2測定室内の酸素濃度が大気雰囲気よりも低いリッチ状態となった場合に、通常運転時と同様(同じ時間)の加熱処理(ヒートトリートメント)を実行したとしても、第2測定室内の有機系ガスを十分に燃焼除去することができない。よって、通常運転時よりも長い時間の加熱処理を実行することが必要となる。
また、比較的長い時間の加熱処理を実行すると、加熱処理後の第2測定室内には、酸素(有機系ガスの燃焼反応に寄与しなかった酸素)が過剰に吸着等して存在する。そのため、通常運転時と同様(同じ時間)の予備制御を実行したとしても、この余剰酸素を第2測定室内から十分に汲み出すことができない。よって、通常運転時よりも長い時間の予備制御を実行することが必要となる。したがって、センサ制御装置の初回運転時に、通常運転時よりも長い時間の加熱処理及び予備制御を実行すれば、その後、早期に安定した特定ガス濃度の検知が可能となる。
そして、センサ制御装置は、初回運転時に、第1加熱処理及び第1予備制御を実行し、通常運転時に、第2加熱処理及び第2予備制御を実行することができる。すなわち、初回運転時に、通常運転時に実行する第2加熱処理の時間S2よりも長い時間S1で第1加熱処理を実行し、通常運転時に実行する第2予備制御の時間T2よりも長い時間T1で第1予備制御を実行することができる。これにより、センサ制御装置は、初回運転時においても、もちろん第2回目以降の通常運転時においても、早期に安定した特定ガス濃度の検知が可能となる。
また、前記センサ制御装置において、前記ガスセンサは、さらに、前記検知素子を加熱するためのヒータを備え、前記第1加熱処理手段は、前記ヒータに一定の電圧V1を印加して前記検知素子を加熱する前記第1加熱処理を実行し、前記第2加熱処理手段は、前記ヒータに一定の電圧V2を印加して前記検知素子を加熱する前記第2加熱処理を実行し、前記電圧V1は、前記電圧V2よりも低くてもよい。すなわち、第1加熱処理を実行する時間S1は、第2加熱処理を実行する時間S2よりも長い。そのため、第1加熱処理の際にヒータに印加する電圧V1を第2加熱処理の際にヒータに印加する電圧V2よりも低くすることにより、第1加熱処理を実行することによる検知素子へのダメージをできる限り低減できる。
このように、本発明によれば、初回運転時においても、早期に安定して特定ガス濃度を検知することができるセンサ制御装置を提供することができる。
なお、センサ制御装置の初回運転時とは、センサ制御装置を初めて運転制御する時をいう。例えば、センサ制御装置を自動車等に搭載し、そのセンサ制御装置を初めて運転制御する時や、自動車等に搭載する前に、センサ制御装置単体でモデルガス等を用いて初めて運転制御する時等が含まれる。
なお、センサ制御装置の初回運転時とは、センサ制御装置を初めて運転制御する時をいう。例えば、センサ制御装置を自動車等に搭載し、そのセンサ制御装置を初めて運転制御する時や、自動車等に搭載する前に、センサ制御装置単体でモデルガス等を用いて初めて運転制御する時等が含まれる。
以下、本発明を具体化したセンサ制御装置の実施形態について、図面を参照して順に説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いるものであり、記載している装置の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
(実施形態1)
図1に示すセンサ制御装置1は、特定ガスとして窒素酸化物(NOx)の濃度を検知する機能を備える。センサ制御装置1は、ガスセンサ10と、制御部5とを備える。ガスセンサ10は、自動車の排気通路(図示略)に取り付けられ、排ガス中のNOx濃度に応じた電流値を制御部5に出力する。制御部5は、ガスセンサ10と電気的に接続され、ガスセンサ10を制御する他、ガスセンサ10から出力された電流値に基づいて排ガス中のNOx濃度を表す濃度対応値(以下、「NOx濃度対応値」と言う。)を算出する。実施形態1の制御部5は、NOx濃度対応値として、NOx濃度を算出する。以下、センサ制御装置1が備える、ガスセンサ10と、制御部5とのそれぞれについて詳述する。
図1に示すセンサ制御装置1は、特定ガスとして窒素酸化物(NOx)の濃度を検知する機能を備える。センサ制御装置1は、ガスセンサ10と、制御部5とを備える。ガスセンサ10は、自動車の排気通路(図示略)に取り付けられ、排ガス中のNOx濃度に応じた電流値を制御部5に出力する。制御部5は、ガスセンサ10と電気的に接続され、ガスセンサ10を制御する他、ガスセンサ10から出力された電流値に基づいて排ガス中のNOx濃度を表す濃度対応値(以下、「NOx濃度対応値」と言う。)を算出する。実施形態1の制御部5は、NOx濃度対応値として、NOx濃度を算出する。以下、センサ制御装置1が備える、ガスセンサ10と、制御部5とのそれぞれについて詳述する。
ガスセンサ10は、検知素子11と、ヒータ素子35と、コネクタ部40と、ハウジング(図示略)とを備える。検知素子11は、3枚の板状の固体電解質体12,13,14の間に、アルミナ等からなる絶縁体15,16をそれぞれ挟み、層状をなすように形成されている。ヒータ素子35は、固体電解質体12〜14の早期活性化と、固体電解質体12〜14の活性の安定性維持とのために、固体電解質体14に積層されている。コネクタ部40は、検知素子11及びヒータ素子35とリード線を介して接続されており、ガスセンサ10と、制御部5とを電気的に接続するために設けられている。ハウジングは、ガスセンサ10を排気通路(図示略)に取り付けるために、検知素子11と、ヒータ素子35とを内部に保持する。以下、ガスセンサ10が備える各構成について詳述する。
まず、検知素子11の構成を説明する。検知素子11は、第1測定室23と、第2測定室30と、基準酸素室29と、第1酸素ポンプセル2(以下、「Ip1セル2」と言う。)と、酸素分圧検知セル3(以下、「Vsセル3」と言う。)と、第2酸素ポンプセル4(以下、「Ip2セル4」と言う。)とを備える。
第1測定室23は、排気通路内の排ガスが検知素子11内に最初に導入される小空間である。第1測定室23は、固体電解質体12と固体電解質体13との間に形成されている。第1測定室23の固体電解質体12側の面には電極18が配置され、固体電解質体13側の面には電極21が配置されている。第1測定室23の検知素子11における先端側には、多孔質状の第1拡散抵抗部24が設けられている。第1拡散抵抗部24は、第1測定室23内外の仕切りとして機能し、第1測定室23内への排ガスの単位時間あたりの流通量を制限する。同様に、第1測定室23の検知素子11における後端側には、多孔質状の第2拡散抵抗部26が設けられている。第2拡散抵抗部26は、第1測定室23と第2測定室30との仕切りとして機能し、第1測定室23から第2測定室30内へのガスの単位時間あたりの流通量を制限する。
第2測定室30は、固体電解質体12と、第2拡散抵抗部26及び開口部25と、固体電解質体13に設けられた開口部31と、絶縁体16と、電極28とによって囲まれた小空間である。第2測定室30は、第1測定室23と連通し、Ip1セル2によって酸素濃度が調整された後の排ガス(以下、「調整ガス」と言う。)が導入される。基準酸素室29は、絶縁体16と、電極22と、電極27とによって囲まれた小空間である。基準酸素室29内には、セラミック製の多孔質体が充填されている。
Ip1セル2は、固体電解質体12と、多孔質性の電極17,18とを備える。固体電解質体12は、例えばジルコニアを用いて形成され、酸素イオン伝導性を有する。電極17,18は、検知素子11の積層方向において固体電解質体12の両面に設けられている。電極17,18は、Ptを主成分とする材料によって形成される。Ptを主成分とする材料としては、例えば、Ptと、Pt合金と、Ptとセラミックスとを含むサーメットとが挙げられる。また、電極17,18の表面には、セラミックスからなる多孔質性の保護層19,20がそれぞれ形成されている。固体電解質体12は、本発明の「第1固体電解質層」に相当し、電極17,18は、本発明の「一対の第1電極」に相当する。
Ip1セル2は、両電極17,18間に電流を供給することで、電極17の接する雰囲気(検知素子11の外部の雰囲気)と電極18の接する雰囲気(第1測定室23内の雰囲気)との間で、酸素の汲み出し及び汲み入れ(いわゆる酸素ポンピング)を行う。
Vsセル3は、固体電解質体13と、多孔質性の電極21,22とを備える。固体電解質体13は、例えばジルコニアを用いて形成され、酸素イオン伝導性を有する。固体電解質体13は、絶縁体15を挟んで固体電解質体12と対向するように配置されている。電極21,22は、検知素子11の積層方向における固体電解質体13の両面にそれぞれ設けられている。電極21は、第1測定室23内の固体電解質体12と向き合う側の面に形成されている。電極21,22は、上述のPtを主成分とする材料によって形成される。
Vsセル3は、主として、固体電解質体13によって隔てられた雰囲気(電極21の接する第1測定室23内の雰囲気と、電極22に接する基準酸素室29内の雰囲気)間の酸素分圧差に応じて起電力を発生する。
Ip2セル4は、固体電解質体14と、多孔質性の電極27,28とを備える。固体電解質体14は、例えばジルコニアを用いて形成され、酸素イオン伝導性を有する。固体電解質体14は、絶縁体16を挟んで固体電解質体13と対向するように配置されている。固体電解質体14の固体電解質体13側の面には、上述のPtを主成分とする材料によって形成された電極27,28がそれぞれ設けられている。固体電解質体14は、本発明の「第2固体電解質層」に相当し、電極27,28は、本発明の「一対の第2電極」に相当する。
Ip2セル4は、絶縁体16によって隔てられた雰囲気(電極27に接する基準酸素室29内の雰囲気と、電極28に接する第2測定室30内の雰囲気)間において酸素の汲み出しを行う。
次に、ヒータ素子35について説明する。ヒータ素子35は、絶縁層36,37と、ヒータパターン38とを備える。絶縁層36,37は、アルミナを主成分とするシート状の形状を有する。ヒータパターン38は、絶縁層36,37の間に埋設され、ヒータ素子35内で繋がる一本の電極パターンである。ヒータパターン38は、一方の端部が接地され、他方の端部がヒータ駆動回路59に接続されている。ヒータパターン38は、Ptを主成分とする材料によって形成される。
次に、コネクタ部40について説明する。コネクタ部40は、ガスセンサ10の後端側に設けられ、端子42〜47を備える。端子42には、リード線を介して、電極17が電気的に接続されている。端子43には、リード線を介して、電極18と、電極21と、電極28とが、それぞれ同電位に電気的に接続されている。端子44には、リード線を介して、電極22が電気的に接続されている。端子45には、リード線を介して、電極27が電気的に接続されている。端子46,47には、リード線を介して、ヒータパターン38が電気的に接続されている。
次に、制御部5の構成について説明する。制御部5は、検知素子11及びヒータ素子35の制御を行うとともに、検知素子11から取得した電流Ip2に基づきNOx濃度対応値を算出し、算出したNOx濃度対応値をECU90に出力する装置である。制御部5は、駆動回路部50と、マイクロコンピュータ60と、コネクタ部70とを備える。駆動回路部50は、検知素子11と、ヒータ素子35とを制御する。マイクロコンピュータ60は、駆動回路部50を制御する。コネクタ部70は、ガスセンサ10のコネクタ部40と電気的に接続される。以下、制御部5の各構成を説明する。
駆動回路部50は、基準電圧比較回路51と、Ip1ドライブ回路52と、Vs検知回路53と、Icp供給回路54と、抵抗検知回路55と、Ip2検知回路56と、Vp2印加回路57と、定電流回路58と、ヒータ駆動回路59とを備える。各回路は、マイクロコンピュータ60からの制御信号に応じて駆動する。以下、駆動回路部50が備える各構成について詳述する。
Icp供給回路54は、Vsセル3の電極21,22間に微弱な電流Icpを供給し、第1測定室23内から基準酸素室29内への酸素の汲み出しを行う。Vs検知回路53は、電極21,22間の電圧(起電力)Vsを検知するための回路であり、その検知結果を基準電圧比較回路51に対し出力する。基準電圧比較回路51は、Vs検知回路53によって検知された電圧Vsを、基準となる基準電圧(例えば、425mV)と比較するための回路であり、その比較結果をIp1ドライブ回路52に対し出力する。
Ip1ドライブ回路52は、Ip1セル2の電極17,18間に電流Ip1を供給するための回路である。Ip1ドライブ回路52は、基準電圧比較回路51によるVsセル3の電極21,22間の電圧Vsの比較結果に基づいて、電圧Vsが予め設定された基準電圧と略一致するように、電流Ip1の大きさや向きを調整する。その結果、Ip1セル2では、第1測定室23内から検知素子11外部への酸素の汲み出し、あるいは検知素子11外部から第1測定室23内への酸素の汲み入れが行われる。換言すると、Ip1セル2では、Ip1ドライブ回路52による通電制御に基づき、Vsセル3の電極21,22間の電圧が一定値(基準電圧の値)に保たれるように、第1測定室23内の酸素濃度の調整が行われる。
抵抗検知回路55は、定期的に、予め規定された値を有する電流をVsセル3にパルス状に通電し、その通電に応答して得られる電圧変化量(電圧Vsの変化量)を検知するための回路である。抵抗検知回路55によって検知された電圧変化量を示す値は、マイクロコンピュータ60に出力され、マイクロコンピュータ60に記憶されている電圧Vsの変化量とVsセル3の内部抵抗Rpvsとが予め関連付けられたテーブルに基づいて、Vsセル3の内部抵抗(インピーダンス)Rpvsが求められる。Vsセル3の内部抵抗Rpvsは、Vsセル3の温度、即ち、検知素子11全体の温度と相関があり、マイクロコンピュータ60は、Vsセル3の内部抵抗Rpvsに基づいて、検知素子11の温度を検知する。なお、Vsセル3の内部抵抗Rpvsを表す電圧変化量を検知するための抵抗検知回路55の回路構成は例えば、特開平11−307458号公報によって公知であるため、これ以上の説明は省略する。
Ip2検知回路56は、Ip2セル4の電極28から電極27に流れた電流Ip2の値の検知を行う回路である。Vp2印加回路57は、後述する駆動制御処理の際に、Ip2セル4の電極27,28間へ操作電圧Vp2(例えば、450mV)を印加するための回路であり、第2測定室30内から基準酸素室29への酸素の汲み出しを制御する。定電流回路58は、後述する予備制御処理の際に、Ip2セル4の電極28と電極27との間に一定の値の電流Ip3(例えば、10μA)を供給するための回路である。
ヒータ駆動回路59は、固体電解質体12,13,14の温度(ガスセンサ10の温度)を所定の温度に保たせるための回路である。ヒータ駆動回路59は、マイクロコンピュータ60によって制御され、ヒータ素子35のヒータパターン38へ電流を流し、固体電解質体12,13,14(換言すると、Ip1セル2,Vsセル3,Ip2セル4)を加熱する。ヒータ駆動回路59は、固体電解質体12,13,14(詳細には、Vsセル3)が目標とする加熱温度になるように、ヒータパターン38をPWM通電してヒータパターン38に電流を供給する制御を行うことができる。
マイクロコンピュータ60は、公知のCPU61,ROM63,RAM62,信号入出力部64,及びA/Dコンバータ65を備えた演算装置である。マイクロコンピュータ60は、あらかじめ組み込まれたプログラムに従って駆動回路部50に制御信号を出力し、駆動回路部50が備える各回路の動作を制御する。ROM63には、各種プログラムと、プログラム実行時に参照される各種パラメータとが記憶されている。マイクロコンピュータ60は、内燃機関(図示略)の制御を司るECU90と、信号入出力部64を介して通信する。
コネクタ部70は、端子72〜77を備える。コネクタ部70が、コネクタ部40と接続された場合、端子72〜77はそれぞれ、端子42〜端子47に接続される。端子72には、配線を介して、Ip1ドライブ回路52が接続されている。端子73には、配線を介して、基準電位と接続されている。端子74には、配線を介して、Vs検知回路53と、Icp供給回路54と、抵抗検知回路55とがそれぞれ接続されている。端子75には、配線を介して、Ip2検知回路56と、Vp2印加回路57と、定電流回路58とが接続されている。端子76には、配線を介して、ヒータ駆動回路59が接続されている。端子77は、配線を介して、接地されている。
次に、NOx濃度を検知する場合のセンサ制御装置1の動作について説明する。排気通路(図示略)内を流通する排ガスは、第1拡散抵抗部24を介して第1測定室23内に導入される。ここで、Vsセル3には、Icp供給回路54によって電極22側から電極21側へ微弱な電流Icpが供給される。このため、排ガス中の酸素は、負極側となる電極21から酸素イオンとなって固体電解質体13内を流れ、基準酸素室29内に移動する。つまり、電極21,22間に電流Icpが供給されることによって、第1測定室23内の酸素が基準酸素室29内に送り込まれる。
Vs検知回路53では、電極21,22間の電圧Vsが検知される。検知された電圧Vsは、基準電圧比較回路51によって基準電圧(例えば、425mV)と比較されて、その比較結果がIp1ドライブ回路52に対して出力される。ここで、電極21,22間の電位差が基準電圧付近で一定となるように、第1測定室23内の酸素濃度を調整すればよい。
そこで、Ip1ドライブ回路52では、第1測定室23内に導入された排ガスの酸素濃度が濃度Cより薄い場合、電極17側が負極となるようにIp1セル2に電流Ip1を供給する。その結果、Ip1セル2では、検知素子11外部から第1測定室23内へ酸素の汲み入れが行われる。一方、第1測定室23内に導入された排ガスの酸素濃度が濃度Cより濃い場合、Ip1ドライブ回路52は、電極18が負極となるようにIp1セル2に電流Ip1を供給する。その結果、Ip1セル2では、第1測定室23内から検知素子11外部へ酸素の汲み出しが行われる。このときの電流Ip1の大きさと、電流Ip1の流れる向きとに基づき、排ガス中の酸素濃度の検知が可能である。
第1測定室23において酸素濃度が濃度Cとなるように調整された調整ガスは、第2拡散抵抗部26を介し、第2測定室30内に導入される。第2測定室30内で電極28と接触した調整ガス中のNOxは、電極28を触媒としてN2とO2とに分解(還元)される。分解された酸素は、電極28から電子を受け取り、酸素イオンとなって(解離して)固体電解質体14内を流れ、基準酸素室29内に移動する。このとき、固体電解質体14を介して一対の電極27,28間に流れる電流Ip2の値が、NOx濃度に対応しており、当該電流Ip2の値がNOx濃度対応値の算出に用いられる。
なお、実施形態1のセンサ制御装置1において、図1に示す基準電圧比較回路51,Ip1ドライブ回路52,Vs検知回路53,Icp供給回路54,及びVp2印加回路57を備える駆動回路部50は、本発明の駆動回路部として機能する。
次に、センサ制御装置1の初回運転時のメイン処理(初回運転処理)の概要について、図2を用いて説明する。本実施形態でのセンサ制御装置1の初回運転時とは、センサ制御装置1(ガスセンサ10、制御部5)を自動車等に搭載し、そのセンサ制御装置1を初めて運転制御する時である。
図2に示すように、初回運転処理では、活性化処理91aと、第1加熱処理92aと、濃度制御処理93aとを含む処理が実行される。また、濃度制御処理93aには、第1予備制御処理94aと、駆動制御処理95aとが含まれる。
活性化処理91aは、検知素子11をヒータ素子35によって加熱して、検知素子11を活性化させる処理である。活性化処理91aが実行されている場合のセンサ制御装置1の制御状態を活性化制御と言う。第1加熱処理92aは、検知素子11をヒータ素子35によって加熱する(検知素子11が加熱された状態を維持する)処理である。第1加熱処理92aが実行されている場合のセンサ制御装置1の制御状態を第1加熱制御と言う。濃度制御処理93aは、Ip1セル2への通電によって第1測定室23に導入された排ガスの酸素濃度を調整する処理である。濃度制御処理93aが実行されている場合のセンサ制御装置1の制御状態を濃度制御と言う。
また、濃度制御処理93aにおいて、第1予備制御処理94aは、駆動制御処理95aが実行される前に第2測定室30内のガス中の酸素を一定量汲み出す処理である。第1予備制御処理94aが実行されている場合のセンサ制御装置1の制御状態を第1予備制御と言う。駆動制御処理95aは、Ip2セル4への操作電圧Vp2を印加する処理である。また駆動制御処理95aでは、操作電圧Vp2が印加されたIp2セル4の電流の大きさに基づき、NOx濃度対応値を算出する処理が実行される。駆動制御処理95aが実行されている場合のセンサ制御装置1の制御状態を駆動制御と言う。
次に、センサ制御装置1の初回運転処理の具体的な内容について、図2を用いて説明する。
図2に示すように、初回運転処理は、内燃機関(図示略)の起動時にECU90からの指示を受けて、制御部5のCPU61が実行する。なお、初回運転処理において算出されたNOx濃度対応値は、初回運転処理とは別途実行される出力処理において、検知対象ガスに含まれる濃度対応値を安定して検知可能であると判断された後、所定の間隔でセンサ制御装置1のECU90に出力される。出力処理において、濃度対応値を安定して検知可能であるか否かは、予め設定された、NOx濃度対応値が所定範囲(例えば、0±5ppm)内に収まる時間が経過したか否かに基づき判断される。
図2に示すように、初回運転処理は、内燃機関(図示略)の起動時にECU90からの指示を受けて、制御部5のCPU61が実行する。なお、初回運転処理において算出されたNOx濃度対応値は、初回運転処理とは別途実行される出力処理において、検知対象ガスに含まれる濃度対応値を安定して検知可能であると判断された後、所定の間隔でセンサ制御装置1のECU90に出力される。出力処理において、濃度対応値を安定して検知可能であるか否かは、予め設定された、NOx濃度対応値が所定範囲(例えば、0±5ppm)内に収まる時間が経過したか否かに基づき判断される。
内燃機関(図示略)が起動され、ECU90からの指示が信号入出力部64に入力されると、CPU61は、センサ制御装置1の運転が初回であるか否かを判断する。具体的には、CPU61は、初回判定フラグFがリセット状態(F=0)に設定されているか否かを判断する(S100)。ここで、初回判定フラグFは、CPU61での処理に用いられる内部フラグであり、センサ制御装置1の製造直後の段階でリセット状態(F=0)に設定され、初回運転処理を行うことによってセット状態(F=1)に設定される。CPU61は、初回判定フラグFがリセット状態(F=0)に設定されていない場合(S100:NO)、初回運転処理を終了する。CPU61は、初回判定フラグFがリセット状態(F=0)に設定されている場合(S100:YES)、初回運転処理を実行する各種条件をROM63から取得する(S101)。S101では、例えば、ガスセンサ10毎に設定された、後述する時間S1及び時間T1が読み出される。
次に、CPU61は、活性化処理91aを実行する(S102〜S106)。活性化処理91aでは、CPU61は、ガスセンサ10のヒータパターン38への通電を開始させる(S102)。具体的には、CPU61は、ヒータ駆動回路59を制御して、ヒータパターン38に一定電圧V1(例えば、9V)を印加する。
次に、CPU61は、Icp供給回路54を制御して、Vsセル3に電流Icpの供給を開始する(S103)。電流Icpが供給されたVsセル3は、第1測定室23から基準酸素室29へ酸素を汲み入れる。検知素子11がヒータ素子35によって加熱され、Vsセル3の内部抵抗が低下するに従い、Vsセル3の電圧Vsは徐々に低下する。
次に、CPU61は、Vs検知回路53を介して取得される電圧Vsが所定値Vth以下であるか否かを判断する(S104)。CPU61は、電圧Vsが所定値Vth以下ではない場合(S104:NO)、電圧Vsが所定値Vth以下となるまで待機する。CPU61は、電圧Vsが所定値Vth以下である場合(S104:YES)、ヒータ電圧Vhの制御を開始する(S105)。具体的には、CPU61は、Vsセル3の内部抵抗Rpvsが目標値となるように、ヒータ駆動回路59を介してヒータ素子35への通電を制御する。目標値とは、例えば、300Ωであり、内部抵抗Rpvsが300Ωの場合、Vsセル3の温度は、約675℃と推定される。
次に、CPU61は、検知素子11が活性化したか否かを判断する(S106)。具体的には、CPU61は、Vsセル3の内部抵抗Rpvsが、閾値に達しているか否かに基づき、検知素子11が活性化されたか否かを判断する。Vsセル3の内部抵抗Rpvsは、抵抗検知回路55を介して取得された電圧Vsの変化量と、電圧Vsの変化量とVsセル3の内部抵抗とが予め関連付けられたテーブルとに基づき、別の処理によって定期的に算出される。閾値は、例えば、350Ωであり、内部抵抗Rpvsが350Ωの場合、Vsセル3の温度は、約650℃と推定される。CPU61は、内部抵抗Rpvsが閾値に達している場合に、各固体電解質体12,13,14が適切な酸素イオン伝導性を示す状態に達して検知素子11が活性化したと判断する。CPU61は、検知素子11が活性化していない場合(S106:NO)、検知素子11が活性化するまで待機する。CPU61は、検知素子11が活性化した場合(S106:YES)、活性化処理91aを終了する。
次に、CPU61は、第1加熱処理92aを実行する(S107)。具体的には、図示しない第1タイマ回路を起動し、第1タイマ回路が起動されてから時間S1経過して、タイムアウトしたかを判断する(S107)。第1タイマ回路は、検知素子11が活性化したタイミングから時間S1後にタイムアウトするように構成されている。時間S1は、例えば、60秒以上に設定することができ、実施形態1では180秒である。CPU61は、第1タイマ回路がタイムアウトしていない場合(S107:NO)、第1タイマ回路の監視を継続して行う。CPU61は、第1タイマ回路がタイムアウトした場合(S107:YES)、第1加熱処理92aを終了する。
次に、CPU61は、濃度制御処理93aを実行する(S108〜S115)。具体的には、CPU61は、Ip1ドライブ回路52を駆動させ、Ip1セル2に通電を開始する(S108)。この処理は、濃度制御を開始させる処理である。即ち、Ip1セル2への通電によって、第1測定室23に導入された排ガスの酸素濃度を所定の濃度Cに調整する処理が開始される。
次に、CPU61は、第1予備制御処理94aを実行する(S109〜S111)。第1予備制御処理94aでは、CPU61は、Ip2セル4に対して一定値の電流をガスセンサ10毎に個別に設定された一定の時間S2供給する(S109)。具体的には、CPU61は、定電流回路58を駆動させ、一定値の電流Ip3をIp2セル4に供給する。一定値の電流Ip3とは、例えば、10μAである。Ip2セル4は、電流Ip3の供給を受けて、第2測定室30に存在する酸素の汲み出しを開始する。
次に、CPU61は、図示しない第2タイマ回路を起動する(S110)。第2タイマ回路は、第2タイマ回路を起動してから時間T1後にタイムアウトするように構成されている。時間T1は、上述したようにガスセンサ10毎に設定され、ROM63に記憶されている値である。時間T1は、例えば、40〜120秒に設定することができ、実施形態1では100秒である。
次に、CPU61は、第2タイマ回路が起動されてから時間T1経過して、タイムアウトしたかを判断する(S111)。CPU61は、第2タイマ回路がタイムアウトしていない場合(S111:NO)、第2タイマ回路の監視を継続して行う。CPU61は、第2タイマ回路がタイムアウトした場合(S111:YES)、第1予備制御処理94aを終了する。
次に、CPU61は、駆動制御処理95aを実行する(S112〜S115)。具体的には、CPU61は、Ip2セル4の制御を駆動制御に切り替える(S112)。CPU61は、定電流回路58の駆動を停止させ、Vp2印加回路57を駆動させることによって、第1予備制御から駆動制御へセンサ制御装置1の制御状態を切り替える。これにより、駆動制御では、Ip2セル4へ操作電圧Vp2(例えば、450mV)が印加される。駆動制御において、S108で開始された濃度制御は継続して実行される。
次に、CPU61は、Ip2検知回路56によって検知された電流Ip2の値(より詳細には、電流Ip2を電圧変換した値)を取得し、取得した電流Ip2の値をRAM62に記憶させる(S113)。次に、CPU61はNOx濃度対応値を算出し、算出したNOx濃度対応値をRAM62に記憶させる(S114)。NOx濃度対応値は、例えば、ROM63に記憶された所定の計算式に電流Ip2の値を代入して算出される。また例えば、電流Ip2の値と、NOx濃度対応値との対応を定めるテーブルが参照され、S113で取得された電流Ip2の値に対応するNOx濃度対応値が算出される。
次に、CPU61は、ECU90から終了の指示が入力されていない場合(S115:NO)、処理をS113に戻す。CPU61は、ECU90から終了の指示が入力された場合(S115:YES)、駆動制御処理95a(濃度制御処理93a)を終了し、初回判定フラグFをセット状態(F=1)に設定する(S116)。これにより、初回運転処理を終了する。以上のように、CPU61は、初回運転処理を実行する。
なお、実施形態1のセンサ制御装置1において、図2に示すS107を実行するCPU61は、本発明の第1加熱処理手段として機能する。図2に示すS109〜S111を実行するCPU61は、本発明の第1予備制御手段として機能する。図2に示すS114を実行するCPU61は、本発明の算出手段として機能する。
次に、センサ制御装置1の通常運転時のメイン処理(通常運転処理)の概要について、図3を用いて説明する。本実施形態でのセンサ制御装置1の通常運転時とは、自動車等に搭載したセンサ制御装置1の2回目以降の運転制御時である。
図3に示すように、通常運転処理では、活性化処理91bと、第2加熱処理92bと、濃度制御処理93bとを含む処理が実行される。また、濃度制御処理93bには、第2予備制御処理94bと、駆動制御処理95bとが含まれる。
活性化処理91bは、検知素子11をヒータ素子35によって加熱して、検知素子11を活性化させる処理である。活性化処理91bが実行されている場合のセンサ制御装置1の制御状態を活性化制御と言う。第2加熱処理92bは、検知素子11をヒータ素子35によって加熱する(検知素子11が加熱された状態を維持する)処理である。第2加熱処理92bが実行されている場合のセンサ制御装置1の制御状態を第2加熱制御と言う。濃度制御処理93bは、Ip1セル2への通電によって第1測定室23に導入された排ガスの酸素濃度を調整する処理である。濃度制御処理93bが実行されている場合のセンサ制御装置1の制御状態を濃度制御と言う。
また、濃度制御処理93bにおいて、第2予備制御処理94bは、駆動制御処理95bが実行される前に第2測定室30内のガス中の酸素を一定量汲み出す処理である。第2予備制御処理94bが実行されている場合のセンサ制御装置1の制御状態を第2予備制御と言う。駆動制御処理95bは、Ip2セル4への操作電圧Vp2を印加する処理である。また駆動制御処理95bでは、操作電圧Vp2が印加されたIp2セル4の電流の大きさに基づき、NOx濃度対応値を算出する処理が実行される。駆動制御処理95bが実行されている場合のセンサ制御装置1の制御状態を駆動制御と言う。
次に、センサ制御装置1の通常運転処理の具体的な内容について、図3を用いて説明する。
図3に示すように、通常運転処理は、内燃機関(図示略)の起動時にECU90からの指示を受けて、制御部5のCPU61が実行する。なお、通常運転処理において算出されたNOx濃度対応値は、通常運転処理とは別途実行される出力処理において、検知対象ガスに含まれる濃度対応値を安定して検知可能であると判断された後、所定の間隔でセンサ制御装置1のECU90に出力される。出力処理において、濃度対応値を安定して検知可能であるか否かは、予め設定された、NOx濃度対応値が所定範囲(例えば、0±5ppm)内に収まる時間が経過したか否かに基づき判断される。
図3に示すように、通常運転処理は、内燃機関(図示略)の起動時にECU90からの指示を受けて、制御部5のCPU61が実行する。なお、通常運転処理において算出されたNOx濃度対応値は、通常運転処理とは別途実行される出力処理において、検知対象ガスに含まれる濃度対応値を安定して検知可能であると判断された後、所定の間隔でセンサ制御装置1のECU90に出力される。出力処理において、濃度対応値を安定して検知可能であるか否かは、予め設定された、NOx濃度対応値が所定範囲(例えば、0±5ppm)内に収まる時間が経過したか否かに基づき判断される。
内燃機関(図示略)が起動され、ECU90からの指示が信号入出力部64に入力されると、CPU61は、センサ制御装置1の運転が2回目以降であるか否かを判断する。具体的には、CPU61は、初回判定フラグFがセット状態(F=1)に設定されているか否かを判断する(S200)。CPU61は、初回判定フラグFがセット状態(F=1)に設定されていない場合(S200:NO)、通常運転処理を終了する。CPU61は、初回判定フラグFがセット状態(F=1)に設定されている場合(S200:YES)、通常運転処理を実行する各種条件をROM63から取得する(S201)。S201では、例えば、ガスセンサ10毎に設定された、後述する時間S2及び時間T2が読み出される。
次に、CPU61は、活性化処理91bを実行する(S202〜S206)。活性化処理91bでは、CPU61は、ガスセンサ10のヒータパターン38への通電を開始させる(S202)。具体的には、CPU61は、ヒータ駆動回路59を制御して、ヒータパターン38に一定電圧V2(例えば、12V)を印加する。
次に、CPU61は、Icp供給回路54を制御して、Vsセル3に電流Icpの供給を開始する(S203)。電流Icpが供給されたVsセル3は、第1測定室23から基準酸素室29へ酸素を汲み入れる。検知素子11がヒータ素子35によって加熱され、Vsセル3の内部抵抗が低下するに従い、Vsセル3の電圧Vsは徐々に低下する。
次に、CPU61は、Vs検知回路53を介して取得される電圧Vsが所定値Vth以下であるか否かを判断する(S204)。CPU61は、電圧Vsが所定値Vth以下ではない場合(S204:NO)、電圧Vsが所定値Vth以下となるまで待機する。CPU61は、電圧Vsが所定値Vth以下である場合(S204:YES)、ヒータ電圧Vhの制御を開始する(S205)。具体的には、CPU61は、Vsセル3の内部抵抗Rpvsが目標値となるように、ヒータ駆動回路59を介してヒータ素子35への通電を制御する。目標値とは、例えば、300Ωであり、内部抵抗Rpvsが300Ωの場合、Vsセル3の温度は、約675℃と推定される。
次に、CPU61は、検知素子11が活性化したか否かを判断する(S206)。具体的には、CPU61は、Vsセル3の内部抵抗Rpvsが、閾値に達しているか否かに基づき、検知素子11が活性化されたか否かを判断する。Vsセル3の内部抵抗Rpvsは、抵抗検知回路55を介して取得された電圧Vsの変化量と、電圧Vsの変化量とVsセル3の内部抵抗とが予め関連付けられたテーブルとに基づき、別の処理によって定期的に算出される。閾値は、例えば、350Ωであり、内部抵抗Rpvsが350Ωの場合、Vsセル3の温度は、約650℃と推定される。CPU61は、内部抵抗Rpvsが閾値に達している場合に、各固体電解質体12,13,14が適切な酸素イオン伝導性を示す状態に達して検知素子11が活性化したと判断する。CPU61は、検知素子11が活性化していない場合(S206:NO)、検知素子11が活性化するまで待機する。CPU61は、検知素子11が活性化した場合(S206:YES)、活性化処理91bを終了する。
次に、CPU61は、第2加熱処理92bを実行する(S207)。具体的には、図示しない第3タイマ回路を起動し、第3タイマ回路が起動されてから時間S2経過して、タイムアウトしたかを判断する(S207)。第3タイマ回路は、検知素子11が活性化したタイミングから時間S2後にタイムアウトするように構成されている。時間S2は、例えば、5〜10秒に設定することができ、実施形態1では5秒である。CPU61は、第3タイマ回路がタイムアウトしていない場合(S207:NO)、第3タイマ回路の監視を継続して行う。CPU61は、第3タイマ回路がタイムアウトした場合(S207:YES)、第2加熱処理92bを終了する。
次に、CPU61は、濃度制御処理93bを実行する(S208〜S215)。具体的には、CPU61は、Ip1ドライブ回路52を駆動させ、Ip1セル2に通電を開始する(S208)。この処理は、濃度制御を開始させる処理である。即ち、Ip1セル2への通電によって、第1測定室23に導入された排ガスの酸素濃度を所定の濃度Cに調整する処理が開始される。
次に、CPU61は、第2予備制御処理94bを実行する(S209〜S211)。第2予備制御処理94bでは、CPU61は、Ip2セル4に対して一定値の電流をガスセンサ10毎に個別に設定された一定の時間T2供給する(S209)。具体的には、CPU61は、定電流回路58を駆動させ、一定値の電流Ip3をIp2セル4に供給する。一定値の電流Ip3とは、例えば、10μAである。Ip2セル4は、電流Ip3の供給を受けて、第2測定室30に存在する酸素の汲み出しを開始する。
次に、CPU61は、図示しない第4タイマ回路を起動する(S210)。第4タイマ回路は、第4タイマ回路を起動してから時間T2後にタイムアウトするように構成されている。時間T2は、上述したようにガスセンサ10毎に設定され、ROM63に記憶されている値である。時間T2は、例えば、15〜50秒に設定することができ、実施形態1では20秒である。
次に、CPU61は、第4タイマ回路が起動されてから時間S2経過して、タイムアウトしたかを判断する(S211)。CPU61は、第4タイマ回路がタイムアウトしていない場合(S211:NO)、第4タイマ回路の監視を継続して行う。CPU61は、第4タイマ回路がタイムアウトした場合(S211:YES)、第2予備制御処理94bを終了する。
次に、CPU61は、駆動制御処理95bを実行する(S212〜S215)。具体的には、CPU61は、Ip2セル4の制御を駆動制御に切り替える(S212)。CPU61は、定電流回路58の駆動を停止させ、Vp2印加回路57を駆動させることによって、第2予備制御から駆動制御へセンサ制御装置1の制御状態を切り替える。これにより、駆動制御では、Ip2セル4へ操作電圧Vp2(例えば、450mV)が印加される。駆動制御において、S208で開始された濃度制御は継続して実行される。
次に、CPU61は、Ip2検知回路56によって検知された電流Ip2の値(より詳細には、電流Ip2を電圧変換した値)を取得し、取得した電流Ip2の値をRAM62に記憶させる(S213)。次に、CPU61はNOx濃度対応値を算出し、算出したNOx濃度対応値をRAM62に記憶させる(S214)。NOx濃度対応値は、例えば、ROM63に記憶された所定の計算式に電流Ip2の値を代入して算出される。また例えば、電流Ip2の値と、NOx濃度対応値との対応を定めるテーブルが参照され、S213で取得された電流Ip2の値に対応するNOx濃度対応値が算出される。
次に、CPU61は、ECU90から終了の指示が入力されていない場合(S215:NO)、処理をS213に戻す。CPU61は、ECU90から終了の指示が入力された場合(S215:YES)、駆動制御処理95b(濃度制御処理93b)を終了する。すなわち、通常運転処理を終了する。以上のように、CPU61は、通常運転処理を実行する。
なお、実施形態1のセンサ制御装置1において、図3に示すS207を実行するCPU61は、本発明の第2加熱処理手段として機能する。図3に示すS209〜S211を実行するCPU61は、本発明の第2予備制御手段として機能する。図3に示すS214を実行するCPU61は、本発明の算出手段として機能する。
<評価試験>
実施形態1のセンサ制御装置について、初回運転までの間(運転前期間)に、ガスセンサの第2測定室内に有機系ガスが侵入した場合でも、初回運転時に、早期に安定して特定ガス濃度の検知が可能となるか否か確認する評価試験を行った。具体的には、同一の構成を有するガスセンサを備えたセンサ制御装置において、互いに異なる条件1〜4のそれぞれで得られたNOx濃度対応値の経時変化を比較した。
実施形態1のセンサ制御装置について、初回運転までの間(運転前期間)に、ガスセンサの第2測定室内に有機系ガスが侵入した場合でも、初回運転時に、早期に安定して特定ガス濃度の検知が可能となるか否か確認する評価試験を行った。具体的には、同一の構成を有するガスセンサを備えたセンサ制御装置において、互いに異なる条件1〜4のそれぞれで得られたNOx濃度対応値の経時変化を比較した。
条件1は、ガスセンサの第2測定室内に有機系ガスを侵入させない状態(リーン状態)で加熱処理及び予備制御を行った場合である。条件2は、ガスセンサの第2測定室内に有機系ガスを侵入させた状態(リッチ状態)で加熱処理及び予備制御を行った場合である。条件1及び条件2では、前述の実施形態1の通常運転時のメイン処理(通常運転処理)と同様の処理を実行する。条件1及び条件2の加熱処理及び予備制御は、前述の実施形態1の通常運転処理における第2加熱処理(時間S2:5秒)及び第2予備制御(時間T2:20秒)と同様である。
条件3は、ガスセンサの第2測定室内に有機系ガスを侵入させない状態(リーン状態)で加熱処理及び予備制御を行った場合である。条件4は、ガスセンサの第2測定室内に有機系ガスを侵入させた状態(リッチ状態)で加熱処理及び予備制御を行った場合である。条件3及び条件4では、前述の実施形態1の初回運転時のメイン処理(初回運転処理)と同様の処理を実行する。条件3及び条件4の加熱処理及び予備制御は、前述の実施形態1の初回運転処理における第1加熱処理(時間S1:180秒)及び第1予備制御(時間T1:100秒)と同様である。
なお、本評価試験では、ガスセンサを密閉容器内に60時間保管(密閉容器の温度:150℃)することにより、有機系ガスをガスセンサの第2測定室内に侵入させた状態を得た。検知対象ガスは、NOxが0ppm,O2が20%、H2Oが4%、残りはN2ガスである。検知対象ガスの温度は、150℃とした。
図4、図5に評価試験の結果を示す。同図において、横軸はガスセンサが活性化してからの経過時間(単位:秒)を表し、縦軸はNOx濃度対応値(単位:ppm)を表している。同図に、条件1〜4のNOx濃度対応値の経時変化を、それぞれパターンP1〜P4で示す。
図4に示すように、P1で示す条件1は、ガスセンサの活性化後、加熱処理及び予備制御を行うことにより、予備制御の後、NOx濃度対応値が早期にゼロに収束する挙動となっている。一方、P2で示す条件2は、ガスセンサの活性化後、加熱処理及び予備制御を行うものの、予備制御の後、NOx濃度対応値が大きくマイナス側にシフトし、徐々に回復(ゼロに収束)する挙動となっている。このような挙動の場合、NOx濃度対応値がゼロに収束するまでに要する時間が長くなるため、安定して特定ガス濃度を検知できるまでの時間(待ち時間、暖気時間)が長くなる。
図5に示すように、P3で示す条件3は、ガスセンサの活性化後、加熱処理及び予備制御を行うことにより、予備制御の後、NOx濃度対応値が早期にゼロに収束する挙動となっている。また、P4で示す条件4は、ガスセンサの活性化後、加熱処理及び予備制御を行うことにより、P3で示す条件3と同様に、予備制御の後、NOx濃度対応値が早期にゼロに収束する挙動となっている。加熱処理の時間を長くしたことにより、ガスセンサの第2測定室内の有機系ガスを十分に燃焼除去できる。一方で、加熱処理の時間を長くしたことにより、加熱処理後のガスセンサの第2測定室内には、酸素(有機系ガスの燃焼反応に寄与しなかった酸素)が過剰に吸着等して存在するが、予備制御の時間を長くしたことにより、ガスセンサの第2測定室内の酸素を十分に汲み出すことができる。そして、予備制御の後、早期に安定して特定ガス濃度を検知することができる。以上により、実施形態1のセンサ制御装置は、初回運転時に、早期に安定して特定ガス濃度を検知できることがわかった。
次に、実施形態1のセンサ制御装置1における作用効果を説明する。
実施形態1のセンサ制御装置1は、初回運転(初回運転処理)時に、一定の時間S1の間、第1加熱処理92a(S107)を実行し、一定の時間T1の間、第1予備制御処理94a(S109〜S111)を実行する。また、2回目以降の運転である通常運転(通常運転処理)時に、一定の時間S2の間、第2加熱処理92b(S207)を実行し、一定の時間T2の間、第2予備制御処理94b(S209〜S211)を実行する。そして、第1加熱処理92a(S107)の時間S1は、第2加熱処理92b(S207)の時間S2よりも長く、かつ、第1予備制御処理94a(S109〜S111)の時間T1は、第2予備制御処理94b(S209〜S211)の時間T2よりも長い。
実施形態1のセンサ制御装置1は、初回運転(初回運転処理)時に、一定の時間S1の間、第1加熱処理92a(S107)を実行し、一定の時間T1の間、第1予備制御処理94a(S109〜S111)を実行する。また、2回目以降の運転である通常運転(通常運転処理)時に、一定の時間S2の間、第2加熱処理92b(S207)を実行し、一定の時間T2の間、第2予備制御処理94b(S209〜S211)を実行する。そして、第1加熱処理92a(S107)の時間S1は、第2加熱処理92b(S207)の時間S2よりも長く、かつ、第1予備制御処理94a(S109〜S111)の時間T1は、第2予備制御処理94b(S209〜S211)の時間T2よりも長い。
すなわち、センサ制御装置1は、初回運転時と2回目以降の運転(通常運転)時とでガスセンサ10の第2測定室30内の状態が異なる。したがって、初回運転時と通常運転時とで異なる処理(初回運転処理、通常運転処理)を実行する。センサ制御装置1の通常運転時は、前回の運転を停止してから再運転するまでの非運転期間が比較的短い。そのため、非運転期間中において、ガスセンサ10の第2測定室30内に未燃性物質(ガソリン等の燃料や、ガスセンサに使用される焼付防止剤等の塗布材等に含まれる揮発性物質)が侵入し、第2測定室30内の酸素濃度が大気雰囲気よりも低いリッチ状態となった場合でも、比較的短い時間の加熱処理(ヒートトリートメント)及び予備制御を実行すればよい。具体的には、比較的短い時間の加熱処理を実行して第2測定室30内の未燃性物質を燃焼除去し、比較的短い時間の予備制御を実行して第2測定室30内の酸素を汲み出し、所定の低酸素濃度状態とすることにより、その後、早期に安定した特定ガス濃度の検知が可能となる。
一方、センサ制御装置1の初回運転時は、ガスセンサ10を製造してから実際に運転するまでの運転前期間(前述の保管期間を含む。保管期間とは、例えば、ガスセンサ10を梱包してから開梱するまでの期間である。)が前述の非運転期間に比べて非常に長い。そのため、運転前期間(特に前述の保管期間)中において、ガスセンサ10の第2測定室30内に有機系ガス(ガスセンサ10を梱包する梱包材や、ガスセンサ10に使用される焼き付き防止剤や、コネクタの防水ゴムに使用される潤滑剤等に含まれる有機系成分の揮発物)が侵入し、第2測定室30内の酸素濃度が大気雰囲気よりも低いリッチ状態となった場合に、通常運転時と同様(同じ時間)の加熱処理(ヒートトリートメント)を実行したとしても、第2測定室30内の有機系ガスを十分に燃焼除去することができない。よって、通常運転時よりも長い時間の加熱処理を実行することが必要となる。
また、比較的長い時間の加熱処理を実行すると、加熱処理後の第2測定室30内には、酸素(有機系ガスの燃焼反応に寄与しなかった酸素)が過剰に吸着等して存在する。そのため、通常運転時と同様(同じ時間)の予備制御を実行したとしても、この余剰酸素を第2測定室30内から十分に汲み出すことができない。よって、通常運転時よりも長い時間の予備制御を実行することが必要となる。したがって、センサ制御装置1の初回運転時に、通常運転時よりも長い時間の加熱処理及び予備制御を実行すれば、早期に安定した特定ガス濃度の検知が可能となる。
そして、実施形態1のセンサ制御装置1は、初回運転(初回運転処理)時に、第1加熱処理92a(S107)及び第1予備制御処理94a(S109〜S111)を実行し、通常運転(通常運転処理)時に、第2加熱処理92b(S207)及び第2予備制御処理94b(S209〜S211)を実行することができる。すなわち、初回運転時に、通常運転時に実行する第2加熱処理92b(S207)の時間S2よりも長い時間S1で第1加熱処理92a(S107)を実行し、通常運転時に実行する第2予備制御処理94b(S209〜S211)の時間T2よりも長い時間T1で第1予備制御処理94a(S109〜S111)を実行することができる。これにより、センサ制御装置1は、初回運転時においても、もちろん第2回目以降の通常運転時においても、早期に安定した特定ガス濃度の検知が可能となる。
また、センサ制御装置1において、ガスセンサ10は、さらに、検知素子11を加熱するためのヒータパターン38を備えている。センサ制御装置1は、ヒータパターン38に一定の電圧V1を印加して検知素子11を加熱する第1加熱処理92a(S107)を実行し、ヒータパターン38に一定の電圧V2を印加して検知素子11を加熱する第2加熱処理92b(S207)を実行する。そして、電圧V1は、電圧V2よりも低い。すなわち、第1加熱処理92a(S107)を実行する時間S1は、第2加熱処理92b(S207)を実行する時間S2よりも長いため、第1加熱処理92a(S107)の際にヒータパターン38に印加する電圧V1を第2加熱処理92b(S207)の際にヒータパターン38に印加する電圧V2よりも低くすることにより、第1加熱処理92a(S107)を実行することによる検知素子11へのダメージをできる限り低減できる。
このように、本実施形態によれば、初回運転時においても(それ以降の通常運転時においても)早期に安定して特定ガス濃度を検知することができるセンサ制御装置1を提供することができる。
(その他の実施形態)
本発明は、前述の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
本発明は、前述の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
(1)前述の実施形態では、NOxの濃度を検知するNOxセンサを例示しているが、本発明のセンサ制御装置は、固体電解質体を用いて構成される種々のガスセンサ(例えば、酸素センサ)に適用可能である。
(2)前述の実施形態では、制御部5のCPU61が初回運転処理及び通常運転処理を実行しているが、例えば、ガスセンサが制御部を備える場合には、ガスセンサの制御部と、ガスセンサとは別体に設けられた制御部とが協働して初回運転処理及び通常運転処理を実行してもよい。
(3)前述の実施形態では、初回運転処理及び通常運転処理の各ステップがCPU61によって実行されるが、例えば、一部又は全部のステップが他の電子機器(例えば、ASIC等)によって実行されるようにしてもよい。また、各ステップが複数の電子機器(例えば、複数のCPU等)によって分散処理されるようにしてもよい。また、初回運転処理及び通常運転処理では、本発明の機能を有する範囲において、ステップの順序変更、ステップの省略、ステップの追加等が可能である。
(4)センサ制御装置の構成は適宜変更可能である。例えば、制御部5が備える駆動回路部の構成は適宜変更してもよい。また、制御部5とガスセンサ10とは、着脱不能のように一体に構成されていてもよい。また、基準酸素室29に代えて、大気導入孔が設けられたガスセンサに本発明のセンサ制御装置が適用されてもよい。
(5)前述の実施形態のメイン処理である初回運転処理及び通常運転処理は適宜変更可能である。例えば、メイン処理に従って得られるパターンは、メイン処理実行毎に同様なパターンとなる。このため、メイン処理に従って得られるパターンを補正データを用いてNOx濃度対応値を補正する処理が実行されてもよい。また、例えば、図2、図3のS114、S214において算出されるNOx濃度対応値は、検知対象ガス中の特定ガス濃度を表す値であればよく、例えば、NOx濃度対応値は、Ip2セル4の電流値に基づくアナログ出力をデジタル換算した値であってもよい。
(6)加熱処理(第1加熱処理及び第2加熱処理)の実行条件は適宜変更可能である。例えば、前述の実施形態のように、加熱処理においてヒータに一定電圧を一定時間印加するようにしてもよい。
(7)予備制御(第1予備制御及び第2予備制御)の実行条件は適宜変更可能である。例えば、前述の実施形態のように、予備制御において一定電流が、一定時間供給されてもよい。この場合、ガスセンサ10毎に予備制御の実行条件として、例えば、予備制御の一定電流の値と、通電時間と、ガスセンサ10の目標加熱温度とから選択された条件の組合せが設定されてもよいし、同一の構成を有するガスセンサ10に対して同一の制御条件が設定されてもよい。また、H2O濃度の影響を受けない環境で使用される場合等には、予備制御として操作電圧よりも大きな一定電圧が一定時間供給されてもよい。
(8)前述の実施形態では、Vsセル3の内部抵抗に基づいて検知素子11の温度を検知しているが、例えば、Vsセル3に代えて、Ip1セル2及びIp2セル4の少なくともいずれかの内部抵抗に基づいて、検知素子11の温度を検知してもよい。また、ヒータ素子35を構成するヒータパターン38の抵抗値に基づいて、検知素子11の温度を検知してもよい。
(9)前述の実施形態では、センサ制御装置1の初回運転時は、センサ制御装置1を自動車等に搭載し、そのセンサ制御装置1を初めて運転制御する時であったが、例えば、自動車等に搭載する前に、センサ制御装置1単体でモデルガス等を用いて初めて運転制御する時等であってもよい。
1…センサ制御装置
2…第1酸素ポンプセル
4…第2酸素ポンプセル
5…制御部
10…ガスセンサ
11…検知素子
12…固体電解質体(第1固体電解質層)
14…固体電解質体(第2固体電解質層)
17,18…電極(第1電極)
23…第1測定室
27,28…電極(第2電極)
30…第2測定室
50…駆動回路部
58…定電流回路(算出手段)
61…CPU(第1加熱処理手段、第1予備制御手段、第2加熱処理手段、第2予備制御手段)
2…第1酸素ポンプセル
4…第2酸素ポンプセル
5…制御部
10…ガスセンサ
11…検知素子
12…固体電解質体(第1固体電解質層)
14…固体電解質体(第2固体電解質層)
17,18…電極(第1電極)
23…第1測定室
27,28…電極(第2電極)
30…第2測定室
50…駆動回路部
58…定電流回路(算出手段)
61…CPU(第1加熱処理手段、第1予備制御手段、第2加熱処理手段、第2予備制御手段)
Claims (2)
- 検知対象ガスが導入される第1測定室と、第1固体電解質層及び一対の第1電極を有し、該一対の第1電極が前記第1測定室の内側及び外側に設けられた第1酸素ポンプセルと、前記第1測定室に連通する第2測定室と、第2固体電解質層及び一対の第2電極を有し、該一対の第2電極が前記第2測定室の内側及び外側に設けられた第2酸素ポンプセルと、が設けられた検知素子を有するガスセンサと、
前記第1測定室に導入された前記検知対象ガスの酸素濃度を、前記第1酸素ポンプセルへの通電によって所定の値に調整する濃度制御を行うと共に、前記第2酸素ポンプセルへ操作電圧を印加する駆動制御を行う駆動回路部と、前記操作電圧が印加された前記第2酸素ポンプセルに流れる電流の大きさに基づいて特定ガスの濃度を表す濃度対応値を算出する算出手段と、を有する制御部と、を備えたセンサ制御装置であって、
前記制御部は、さらに、
前記ガスセンサの前記検知素子が活性化した後、一定の時間S1の間、前記検知素子を加熱する第1加熱処理を実行する第1加熱処理手段と、
前記第1加熱処理後であって前記駆動制御前に、前記第2酸素ポンプセルに対して、一定の電流を一定の時間T1供給し、前記第2測定室から該第2測定室外部に汲み出す酸素量を一定に制御することにより、前記第2測定室内の酸素濃度を低下させる第1予備制御を実行する第1予備制御手段と、
前記ガスセンサの前記検知素子が活性化した後、一定の時間S2の間、前記検知素子を加熱する第2加熱処理を実行する第2加熱処理手段と、
前記第2加熱処理後であって前記駆動制御前に、前記第2酸素ポンプセルに対して、一定の電流を一定の時間T2供給し、前記第2測定室から該第2測定室外部に汲み出す酸素量を一定に制御することにより、前記第2測定室内の酸素濃度を低下させる第2予備制御を実行する第2予備制御手段と、を備え、
前記時間S1は、前記時間S2よりも長く、かつ、前記時間T1は、前記時間T2よりも長いことを特徴とするセンサ制御装置。 - 前記ガスセンサは、さらに、前記検知素子を加熱するためのヒータを備え、前記第1加熱処理手段は、前記ヒータに一定の電圧V1を印加して前記検知素子を加熱する前記第1加熱処理を実行し、前記第2加熱処理手段は、前記ヒータに一定の電圧V2を印加して前記検知素子を加熱する前記第2加熱処理を実行し、前記電圧V1は、前記電圧V2よりも低いことを特徴とする請求項1に記載のセンサ制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015161113A JP2017040506A (ja) | 2015-08-18 | 2015-08-18 | センサ制御装置 |
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JP2017040506A true JP2017040506A (ja) | 2017-02-23 |
Family
ID=58206039
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JP2015161113A Pending JP2017040506A (ja) | 2015-08-18 | 2015-08-18 | センサ制御装置 |
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JP (1) | JP2017040506A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2023500304A (ja) * | 2019-10-31 | 2023-01-05 | ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング | 測定ガスの少なくとも1つの特性を検出するセンサの動作のための電子制御ユニット |
-
2015
- 2015-08-18 JP JP2015161113A patent/JP2017040506A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2023500304A (ja) * | 2019-10-31 | 2023-01-05 | ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング | 測定ガスの少なくとも1つの特性を検出するセンサの動作のための電子制御ユニット |
JP7459247B2 (ja) | 2019-10-31 | 2024-04-01 | ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング | 測定ガスの少なくとも1つの特性を検出するセンサの動作のための電子制御ユニット |
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