JP2017040490A - 気体分子成分検出装置、検出方法および検出装置の作製方法 - Google Patents

気体分子成分検出装置、検出方法および検出装置の作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】絶縁基板上に形成したシリコンナノ結晶薄膜を利用し、より簡便に微小水分量などを測定できる気体分子成分検出装置および検出方法を提供する。
【解決手段】絶縁基板上、若しくは、絶縁体で表面が被覆された基板上に、表面修飾分子が無いシリコンナノ結晶薄膜が積層され、シリコンナノ結晶薄膜の電気伝導特性を測定する手段が設けられた構成を備える。微小な水分量の変化で薄膜の電気伝導度が大きく変化し、微小水分センサとして利用できる。水分量以外に、メタノール、エタノール、アセトン、トルエンの成分量の微小な変化も、薄膜の電気伝導度の変化で検出可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、微小な水分量などを測定するセンシング技術に関するものである。
従来の微小水分量の測定法は、キャビティーリングダウン法と呼ばれる高反射率ミラー2枚から構成されるキャビティーを用いた光学測定で、ppb(parts per billion)レベルの水分量の測定が行われている。しかし、この測定法では、レーザーやキャビティーといった光学系を測定環境内にセットアップする必要があり、簡便な測定法とは言い難い。
微小な水分量を簡便に測定するセンシングデバイスとして、ポーラス(多孔質)シリコンナノ薄膜を用いた湿度センサが知られている。
例えば、特許文献1や非特許文献1では、CVDを用いて基板上に堆積させたポーラスシリコンナノ薄膜を用いた湿度センサが開示されており、当該湿度センサでは湿度の変化に対してオンオフ比で6桁までの電流値の変化があったと報告されている。
また、非特許文献2では、ガラス基板上にインクジェット印刷された銀電極の上にポーラスシリコン粒子を形成させた湿度センサが開示されており、当該湿度センサでは良好な感度と再現性ある結果が得られたと報告されている。
また、特許文献2では、ポーラスシリコン層の表面を酸化した感湿素子が開示されている。
その他、シリコン系材料の湿度センサとしてポーラスシリコン以外にシリコンナノワイヤを利用したものや、シリコン系材料以外の微結晶材料の湿度センサとしてSnO、ZrO、TiO、ZnO等の金属酸化物を利用したものが知られている。このように、湿度センサの材料として、従来からシリコンナノ結晶の材料は広く知られている。
米国特許US6399177号 特開昭64−026139号公報
A. Kaan Kalkan, Journal of Applied Physics 88, 555 (2000) T. Jalkanen, Applied Physics Letters 101, 263110 (2012)
上述の如く、微小な水分量を簡便に測定するセンシングデバイスとして、ポーラス(多孔質)シリコンナノ薄膜を用いた湿度センサが知られているが、ポーラス(多孔質)ではなく、シリコンナノ結晶粒子が平坦かつ高密度に配置された薄膜を用いたセンシングデバイスは報告されていない。
一方で、大面積電子デバイスの新しい形成方法として、半導体ナノ結晶コロイドの塗布により半導体ナノ結晶薄膜を形成するプロセスが注目されている。この半導体ナノ結晶コロイドの塗布により平坦かつ高密度な薄膜を形成するためには、溶液中でのナノ結晶の沈殿ならびに凝集をほぼ完全に抑制し、個々に分散させることが重要である。そのため、シリコンナノ結晶の凝集を抑制して個々の分散性を高めるべく、シリコンナノ結晶の粒子表面に分子修飾を行う必要があった。
しかしながら、シリコンナノ結晶の粒子表面に分子修飾を行うと、表面修飾された分子の特性によってシリコンナノ結晶薄膜の特性が左右されることになる。そこで、本発明者らは、シリコンナノ結晶の粒子表面に分子修飾しないで、かつ、ポーラス(多孔質)ではなく、シリコンナノ結晶粒子が平坦かつ高密度に配置された薄膜を用いたセンシングデバイスを開発し、その電気伝導特性を調べて本発明に至った。
すなわち、本発明は、絶縁基板上に形成したシリコンナノ結晶薄膜を利用し、より簡便に微小水分量などを測定できる気体分子成分検出装置および検出方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、シリコンナノ結晶の粒子表面に分子修飾しないシリコンナノ結晶薄膜を用いたセンシングデバイスの電気伝導特性を鋭意検討した結果、薄膜中のシリコンナノ結晶粒子間に形成されるトンネル障壁を利用し、微小な水分量の変化で薄膜の電気伝導度が大きく変化することの知見を得た。
すなわち、本発明の気体分子成分検出装置は、絶縁基板、若しくは、絶縁体で表面が被覆された基板と、基板に積層されたシリコンナノ結晶薄膜と、シリコンナノ結晶薄膜の電気伝導特性を測定する手段を備え、シリコンナノ結晶薄膜を構成するシリコンナノ結晶粒子は、粒子表面にホウ素(B)とリン(P)がドーピングされた構成を有する。
上記構成によれば、微小な水分量の変化で薄膜の電気伝導度が大きく変化し、微小水分センサとして利用できる。また、水分量以外に、メタノール、エタノール、アセトン、トルエンの成分量の微小な変化も、薄膜の電気伝導度の変化で検出可能である。
シリコンナノ結晶薄膜は、シリコンナノ結晶表面に、ホウ素とリンがドーピングされることにより、表面修飾分子を用いずに極性溶媒中にシリコンナノ結晶粒子を個々に分散させ、シリコンナノ結晶コロイドを調製し、このコロイドの塗布によるシリコンナノ結晶薄膜を絶縁基板上に形成できる。
本発明の気体分子成分検出装置において、シリコンナノ結晶粒子は、平均粒径3〜7nmであることが好ましい。平均粒径3〜7nmの範囲では、後述するデータから、水分量の変化に対してオンオフ比で4桁以上の電流値の変化がある。
本発明の気体分子成分検出装置におけるシリコンナノ結晶薄膜は、シリコンナノ結晶粒子の表面にホウ素とリンをシリコンの固溶限界濃度より高濃度にドーピングされたシリコンナノ結晶コロイド塗布膜であることを特徴とする。
次に、本発明の気体分子成分検出方法は、上述の気体分子成分検出装置を用いて、シリコンナノ結晶薄膜の電気伝導度の変化を測定し、気体分子の吸着と脱離を判別することにより行う。
ここで、電気伝導度の変化は、気体分子が吸着した場合には、シリコンナノ結晶薄膜を流れる電流量が少なくとも1桁上昇する。一方、気体分子が脱離した場合には、電流量が少なくとも1桁下降する。
気体分子は、メタノール、エタノール、アセトン、トルエンの何れかの蒸気、若しくは、水蒸気である。
特に、気体分子が水分子であれば、電気伝導度の変化は、水分子が吸着した場合には、シリコンナノ結晶薄膜を流れる電流量が少なくとも4桁上昇し、水分子が脱離した場合には、電流量が少なくとも4桁下降する。
本発明の気体分子成分検出方法は、気体分子が水分子であれば、電気伝導度の変化は、水蒸気圧に対して正の相関がある。従って、水分子が吸着、脱離といったオンオフだけではなく、電気伝導度の変化によって、水分量を測定できるのである。
次に、本発明の気体分子成分検出装置の作製方法について説明する。本発明の気体分子成分検出装置の作製方法は、絶縁基板上、若しくは、絶縁体で表面が被覆された基板上に、シリコンナノ結晶コロイドを塗布して薄膜を作製するステップと、薄膜の電気伝導特性を測定するための電気回路を基板上に配設するステップを備えた検出装置の作製方法において、シリコンナノ結晶コロイドは、シリコンナノ結晶粒子の表面にホウ素(B)とリン(P)をシリコンの固溶限界濃度よりより高濃度にドーピングして調整されたことを特徴とする。
本発明によれば、真空チャンバーやガス中に含まれる微小な水分量などの測定を簡便に行うことができるといった効果がある。
気体分子成分検出装置の構造説明図 気体分子成分検出装置の作製フロー図 気体分子成分検出装置の作製方法の説明図 Siナノ結晶薄膜の電気伝導度の温度依存性を示すグラフ 水分子の吸着/脱離による電気伝導度の変化を示すグラフ 水蒸気、窒素、酸素に対する電気伝導度の応答性を示すグラフ 水分子の吸着/脱離による電気伝導度の変化を示すグラフ(B,Pの同時ドープとアンドープのSiナノ結晶薄膜の対比) 有機溶媒蒸気による電気伝導度の依存性を示すグラフ 電気伝導度の水蒸気圧依存性を示すグラフ 電気伝導度のSiナノ結晶粒子サイズ依存性を示すグラフ Siナノ結晶粒子サイズ毎の電気伝導度の温度依存性を示すグラフ Siナノ結晶の赤外吸収スペクトル Siナノ結晶の赤外吸収スペクトルにおけるO−H(V)領域の拡大図 Siナノ結晶薄膜の電気伝導過程の模式説明図
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
(気体分子成分検出装置の構造)
図1は、気体分子成分検出装置の構造の一例を示している。気体分子成分検出装置は、絶縁基板となる石英基板2上にAu電極3が形成され、その上に、Siナノ結晶粒子が平坦かつ高密度に配置されたSiナノ結晶薄膜1が形成されている。2つのAu電極3は一方がプラス電極となり他方がマイナス電極となるように電源回路4が構築される。プラス電極とマイナス電極のAu電極3の間にあるSiナノ結晶薄膜1に電流が流れる。図示しないが、電源回路4には流れる電流を測定する回路があり、Siナノ結晶薄膜1の電気伝導度を測定できるようになっている。プラスとマイナスのAu電極3の間隔は200μmである。電極間隔および電極形状については、特に限定されないが、抵抗を低くすべく、電極間隔は短く、各々の電極を櫛形にして噛み合わせて電極幅を大きくする方が感度を向上できるであろう。
Siナノ結晶粒子の粒径(直径)は平均粒径が3nmである。特に、平均粒径を明示しない限り、以下の説明は、全て平均粒径が3nmのSiナノ結晶薄膜に関する説明である。なお、電気伝導度の測定は大気中で行っている。
(気体分子成分検出装置の作製フロー)
図2,図3は、気体分子成分検出装置の作製フローを示している。先ず、高周波スパッタリング法 (Radio Frequency Sputtering)を用いて、ボロンリンシリケートガラス(BPSG:Boron Phosphorus Silicate Glass)膜11を作製する(図2のステップS01、図3(1)を参照)。次に、作製したBPSG膜11に対して、窒素雰囲気で1050〜1200℃で30分間、アニール処理を施して、BPSG膜11中にSiナノ結晶12を成長させる(図2のステップS02、図3(2)を参照)。その際、Siナノ結晶に、ボロン(B)とリン(P)を同時にドーピングして、ボロン/リンがドーピングされたSiナノ結晶粒子を得る(図2のステップS03)。
ここで、BPSG膜11を作製した時点で、既にBPSG膜中にボロンとリンが入っている。BPSG膜11のアニール処理中に、Siナノ結晶12がBPSG膜11中に形成されるが、その形成過程において、ボロンとリンがSiナノ結晶12に同時に取り込まれることにより、Siナノ結晶の中にボロンとリンが同時に不純物ドーピングされることになる。
不純物ドーピング量の制御は、高周波スパッタリングの条件を変えて制御することが可能である。本作製フローでは、図3(1)に示すように、スパッタリングのターゲットとして、Si基板、リンシリケートガラス(PSG:Phosphosilicate glass)ターゲット及びタブレット状の三酸化ホウ素(B)を配置して、同時にスパッタリングを行っているが、これらの材料の配置の仕方で、不純物ドーピングの濃度をある程度調節できる。
なお、ボロンとリンを同時にドーピングする方法としては、Si基板であればイオン注入法が行われているが、本発明者らが知る限りでは、Siナノ結晶中にボロンとリンを同時にドーピングする他のやり方は見当たらない。
次に、BPSG層をフッ化水素酸14(HF)(46wt%) で除去し、ボロンとリンが同時にドーピングされたSiナノ結晶15を取り出す(図2のステップS04、図3(3)を参照)。その後、メタノール(MeOH)16に溶媒を置換して、Siナノ結晶15が個々に分散した
Siナノ結晶コロイド溶液を調製する(図2のステップS05、図3(4)を参照)。メタノール(MeOH)は極性溶媒であるが、この極性溶媒中に表面修飾分子を用いることなくSiナノ結晶を個々に分散させることができる。
Siナノ結晶コロイド溶液を塗布する基板について説明する。既知の方法(例えば、シャドウマスク法)により、石英基板上にAu電極を構築する(図3(5)を参照)。ここでは、電極間隔(L)200μm、電極幅(W)5mm、電極厚さ(t)200nmのAu電極/石英基板を準備する。
そして、準備したAu電極/石英基板を紫外線/オゾン(UV/O)クリーニング処理した後、調製したSiナノ結晶コロイド溶液を基板上にスピンコートして(図2のステップS06、図3(6)を参照)、Siナノ結晶薄膜を作製する。
(Siナノ結晶薄膜の電気伝導度特性について)
作製したSiナノ結晶薄膜の電気伝導度の温度依存性について、図4に示すグラフを参照して説明する。図4のグラフは、横軸がAu電極間の電圧(kV/cm)、縦軸が電流値(A)である。大気中で測定し、基板温度が22,28,42,55,67,79,93℃の7種類の状態の際のSiナノ結晶薄膜の電気伝導度をグラフ中に示している。直流電源を用いて電極につなげているが、つなげる向きをプラス/マイナス逆にした場合も測定しているため、横軸中央を0電圧としている。図4のグラフから、基板温度が上昇するほど、薄膜を流れる電流値が減少することがわかる。これは、Siナノ結晶薄膜に吸着している水分子が脱離したことにより、電流値が減少したと推察する。
次に、図5のグラフを参照して、水分子の吸着/脱離による電気伝導度の変化について説明する。図5のグラフは、横軸が時間(分)、縦軸が電流値(A)である。グラフ上部にある帯体は、排気している時間帯、空気(Air)導入の時間帯をそれぞれ示している。すなわち、5分までは排気しているが、5〜8分はAir導入しており、8〜10分は再び排気している。そして、10〜13分は再びAir導入しており、13〜15分は排気している。このように排気とAir導入を繰り返している。Air導入されると、空気中の水蒸気も同時に導入されることになる。
図5のグラフから、分子(水分子)の吸着、脱離により電気伝導度を表す電流値が10−6〜10−7A付近から10−11〜10−12A付近まで最大5桁変化していることがわかる。ここで、電極間の電圧は50Vである。
次に、図6のグラフを参照して、水蒸気、窒素、酸素に対する電気伝導度の応答性について説明する。図6のグラフは、図5のグラフと同様、横軸が時間(分)、縦軸が電流値(A)である。図6のグラフでは、図5のグラフとは異なり、排気している時間帯、Air導入の時間帯を示していないが、その代わり、ガス導入タイミング、真空引き開始タイミングを矢印で示している。すなわち、図6のグラフ中、凸形状のグラフが4回現れるが、その1つ1つの凸形状のグラフで左上頂点部がガス導入タイミングであり、右上頂点部が真空引き開始タイミングで、図示するようにグラフが変化しているのである。
図6のグラフから、窒素あるいは酸素雰囲気下では、大気中ほど電流が流れないことがわかった。一方、水蒸気雰囲気下では、電気伝導度が5桁上昇していることから、水分子が電気伝導に寄与していると推察する。
次に、図7のグラフを参照して、ボロン(B)とリン(P)の同時ドープのSiナノ結晶薄膜とアンドープのSiナノ結晶薄膜の対比における水分子の吸着/脱離による電気伝導度の応答性について説明する。図7のグラフは、図5のグラフと同様、横軸が時間(分)、縦軸が電流値(A)である。図7のグラフから、ボロン(B)とリン(P)をドープしないSiナノ結晶薄膜(アンドープのSiナノ結晶薄膜)を使用した場合、測定が進むにつれてオンオフ比が減少していくことがわかった。これは、アンドープのSiナノ結晶薄膜では、測定中に酸化が進むことが要因であると推察する。一方、ボロン(B)とリン(P)の同時ドープのSiナノ結晶薄膜では、測定が進んでもオンオフ比は一定である。これは、B,P同時ドープのSiナノ結晶薄膜では安定的に測定が可能であることを示しており、B,P同時ドープのSiナノ結晶薄膜を用いる利点である。
次に、図8のグラフを参照して、有機溶媒蒸気による電気伝導度の依存性について説明する。図8のグラフは、図6と同様なグラフであり、横軸が時間(分)、縦軸が電流値(A)である。
図8のグラフでは、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、アセトン(Acetone)、トルエン(Toluene)の蒸気、および水蒸気(Water)についての電気伝導度を示している。ここで、電極間の電圧は50Vである。
図8のグラフから、メタノール、エタノール、アセトン、トルエンの蒸気で電流値が増加していることがわかった。オンオフ比は水ほど高くなく、有機溶媒蒸気の中で最もオンオフ比が高いメタノール(MeOH)でも、最大で4桁程度であった。
次に、図9のグラフを参照して、電気伝導度の水蒸気圧依存性について説明する。図9のグラフは、横軸が水蒸気圧(Pa)、縦軸が電流値(A)である。水の飽和蒸気圧は、常温(300K)で、3500(Pa)である。
図9のグラフから、電気伝導度は水蒸気圧に対して正の相関があることがわかった。なお、グラフ中、100Pa以下の圧力では、電流値が電流測定の下限以下であり、プロットが横ばいになっているが、実際のところ、100Pa以下の圧力でも100Pa以上の圧力の場合と同様なプロットになっているであろう。
次に、図10のグラフを参照して、電気伝導度のSiナノ結晶粒子サイズ依存性について説明する。図10のグラフは、横軸がSiナノ結晶粒子サイズ(nm)、縦軸(左)が電流値(A)、縦軸(右)が薄膜表面積(m)である。図10のグラフには、Siナノ結晶粒子サイズが3,5,7,10(nm)の4種類についてプロットしている。なお、真空度は4.6Paである。
図10のグラフから、分子の吸着による電気伝導度変化の応答性は粒子サイズに依存していることがわかった。特に、Siナノ結晶粒子サイズが3,5,7(nm)の3種類は、オンオフ比が4桁程度であり、オンオフ比が2桁程度の10(nm)の場合と比べて良好であった。
次に、図11のグラフを参照して、Siナノ結晶粒子サイズ毎の電気伝導度の温度依存性について説明する。図11のグラフは、横軸が基板温度(℃)、縦軸が電流値(A)である。図11のグラフには、Siナノ結晶粒子サイズが3,5,7,10(nm)の4種類についてプロットしている。なお、電極間の電圧は25Vである。
図11のグラフから、常温から100℃近くに温度が上昇すると、吸着分子の脱離により電気伝導度が低下することがわかった。具体的には、常温付近では10−8Aオーダの電流値であるが、100℃近くになると10−12Aオーダの電流値となり、3〜4桁変化していた。
ここで、Siナノ結晶の赤外吸収スペクトルについて、図12,図13を参照して説明すると共に、Siナノ結晶薄膜の電気伝導過程の推察について、図14の模式図を参照しながら説明する。
図12は、平均粒径が7nmのSiナノ結晶の赤外吸収スペクトルを示している。Siナノ結晶は、結晶表面にボロン(B)とリン(P)が同時にドーピングされており、赤外吸収スペクトルから、Si−O(酸素)結合、B(ボロン)−O(酸素)結合、Si−H(水素)結合、O−H結合がSiナノ結晶に存在することがわかっている。
Siナノ結晶の表面組成は、Si−O(酸素)結合が80〜90%、Si−H(水素)結合が10〜20%、B(ボロン)−O(酸素)結合が1%程度である。すなわち、Siナノ結晶粒子の表面は殆どがO(酸素)と結合しており、最も外側の第1層はO(酸素)かH(水素)が終端され、表面から第2層のSiの一部がボロン(B)やリン(P)に置換されている。
図13は、Siナノ結晶の赤外吸収スペクトルにおけるO−H(V)領域の拡大図である。1630(cm−1)にあるピークは、吸着水分子あるいは水和物の存在を示すことが知られており、また1700(cm−1)にあるピークは、水和物の存在を示すことが知られている。1700(cm−1)にあるピークが示す結合は、1630(cm−1)にあるピークが示す結合よりも水素結合が強いことが知られている。
表面修飾分子が無く、結晶表面にボロン(B)とリン(P)が同時にドーピングされたシリコンナノ結晶薄膜の場合、上述の如く、置換されるボロン(B)の量がリン(P)の量に比べて多いため、Siナノ結晶は全体として負に帯電している。そのため、Siナノ結晶粒子は、凝集せず、負の電荷同士の反発力によって一定の間隙を有して並んでいる。
図14に示すように、Siナノ結晶粒子が一定の間隙を有して並んでいるため、これらの間隙に吸着水分子(図中のA)が入り込むことができる。間隙に吸着水分子が入り込んだ状態では、電気伝導パスは吸着水分子表面またはSiナノ結晶内部になるので、トンネルバリアが減少し、電流が流れやすくなり、電気伝導度が向上するのであろう。しかし、加熱下または真空下では、水分子が間隙から脱離するので、電流が流れにくくなり、電気伝導度は低下するのであろう。
本発明は、微小水分センサに有用である。
1,21 Siナノ結晶薄膜
2,17 石英基板
3,18 Au電極
4 電源回路
11 ボロンリンシリケートガラス(BPSG)膜
12,15 Siナノ結晶
13 容器
14 フッ化水素酸(HF)
16 メタノール(MeOH)
19 スポイド
20 Siナノ結晶コロイド溶液

Claims (10)

  1. 絶縁基板、若しくは、絶縁体で表面が被覆された基板と、
    前記基板に積層されたシリコンナノ結晶薄膜と、
    前記シリコンナノ結晶薄膜の電気伝導特性を測定する手段を備える装置において、
    前記シリコンナノ結晶薄膜を構成するシリコンナノ結晶粒子は、粒子表面にホウ素(B)とリン(P)がドーピングされたことを特徴とする気体分子成分検出装置。
  2. 前記ホウ素(B)とリン(P)は、シリコンの固溶限界濃度より高濃度にドーピングされたシリコンナノ結晶コロイド塗布膜であることを特徴とする請求項1に記載の気体分子成分検出装置。
  3. 前記シリコンナノ結晶粒子は、平均粒径3〜7nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の気体分子成分検出装置。
  4. 請求項1〜3の何れかの気体分子成分検出装置が、水分子の吸着と脱離の判別用として用いられる微小水分センサ。
  5. 請求項1〜3の何れかの気体分子成分検出装置を用いて、前記シリコンナノ結晶薄膜の電気伝導度の変化を測定し、気体分子の吸着と脱離を判別することを特徴とする気体分子成分検出方法。
  6. 前記電気伝導度の変化は、
    気体分子が吸着した場合には、前記シリコンナノ結晶薄膜を流れる電流量が少なくとも1桁上昇し、
    気体分子が脱離した場合には、電流量が少なくとも1桁下降する、ことを特徴とする請求項5に記載の気体分子成分検出方法。
  7. 前記気体分子は、メタノール、エタノール、アセトン、トルエンの何れかの蒸気、若しくは、水蒸気であることを特徴とする請求項5又は6に記載の気体分子成分検出方法。
  8. 前記気体分子が水分子であり、
    前記電気伝導度の変化は、
    水分子が吸着した場合には、前記シリコンナノ結晶薄膜を流れる電流量が少なくとも4桁上昇し、
    水分子が脱離した場合には、電流量が少なくとも4桁下降する、ことを特徴とする請求項5に記載の気体分子成分検出方法。
  9. 前記気体分子が水分子であり、
    前記電気伝導度の変化は、
    水蒸気圧に対して正の相関があることを特徴とする請求項5に記載の気体分子成分検出方法。
  10. 絶縁基板上、若しくは、絶縁体で表面が被覆された基板上に、シリコンナノ結晶コロイドを塗布して薄膜を作製するステップと、
    前記薄膜の電気伝導特性を測定するための電気回路を前記基板上に配設するステップ、
    を備えた検出装置の作製方法において、
    前記シリコンナノ結晶コロイドは、シリコンナノ結晶粒子の表面にホウ素(B)とリン(P)をシリコンの固溶限界濃度よりより高濃度にドーピングして調整されたことを特徴とする気体分子成分検出装置の作製方法。
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