JP2017040194A - 可変容量型ポンプ及び可変容量型ポンプの組み立て方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】一端側及び他端側の軸受部に対して、容易に適切な与圧を付与できる可変容量型ポンプ、及び可変容量型ポンプの組み立て方法を提供する。【解決手段】可変容量型ポンプ1は、回転軸20の後端側において、軸受部60Bと回転軸20に形成された受部21との間の軸方向における隙間GPに設けられるシムワッシャ70を備えている。後端側にシムワッシャ70を設ければ、一方側の軸受部60Bのみならず、回転軸20を介して他方側の軸受部60Aにも与圧を付与することができる。両側の軸受部60A,60Bに与圧を付与することが可能となる。また、シムワッシャ70は弾性材によって構成されているため、厚さの寸法調整や寸法管理等が容易になる。また、シムワッシャ70の厚さが、式(1)の関係を満たすため、隙間GPの累積公差に関わらず、適切な与圧を軸受部60A,60Bに付与することができる。【選択図】図1
Description
本発明は、可変容量型ポンプ、及び可変容量型ポンプの組み立て方法に関する。
従来から、斜板の傾角を変更することでポンプの吐出量を可変とする可変容量型ポンプが知られている。例えば、下記特許文献1には、回転軸と、回転軸に連結されて一体的に回転するシリンダブロックとを備え、シリンダブロックに形成された複数のボア内にピストンが往復動可能に収容された可変容量型ポンプが記載されている。そして、この特許文献1に記載の可変容量型ポンプでは、回転軸はケーシングに対して一対の円錐ころ軸受などの軸受を介して支持されている。そして、このような回転軸を支持する円錐ころ軸受には、通常、軸受寿命を確保するために環状の金属シムワッシャが回転軸と軸受の間に挿入されて予圧が付与されている。
ここで、上述のように、金属シムワッシャを用いて回転軸を支持する一端側及び他端側の軸受部へ適切な与圧を付与するためには、軸受やケーシングや回転軸の製造誤差などに応じて使用する金属シムワッシャの厚みを変えるなどする必要があり、当該調整が難しいという問題があった。また、回転軸の一端側及び他端側のそれぞれの軸受部に対して、予圧を付与するために金属シムワッシャを用いることは部品点数が増加して軸受部の構造が複雑になるという問題もあった。
本発明は、可変容量型ポンプの回転軸をケーシングに支持するための一端側及び他端側のそれぞれの軸受部に対して、容易に適切な与圧を付与できる軸受構造を備える可変容量型ポンプ、及び可変容量型ポンプの組み立て方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る可変容量型ポンプは、ケーシングに回転可能に支持された回転軸と、回転軸の周方向に複数のシリンダボアを有し、回転軸と一体に回転するシリンダブロックと、複数のシリンダボア内のそれぞれに摺動自在に設けられたピストンと、ピストンの先端部が摺接可能であって、回転軸に対して傾斜可能に支持された斜板と、を備え、ピストンが、斜板の傾角に応じたストロークの往復動をおこなって、作動流体の吸入および吐出をおこなう可変容量型ポンプであって、回転軸の一端側及び他端側は、それぞれ軸受部を介してケーシングに支持されており、回転軸の一端側及び他端側の少なくとも一方において、軸受部と回転軸に形成された受部との間の軸方向における隙間に挿入されて一端側及び他端側の軸受部に対して予圧を付与するシムワッシャと、を備え、シムワッシャは、弾性材によって構成され、シムワッシャの軸方向における厚さをTとし、隙間の設計寸法をδとし、隙間に対する累積公差の絶対値をAとし、シムワッシャの隙間への埋込量における、調整可能な範囲を規定する値である埋込側調整値をβとした場合、シムワッシャの厚さTは、以下の式(1)の関係を満たす。
δ+A< T ≦δ―A+β …(1)
δ+A< T ≦δ―A+β …(1)
本発明に係る可変容量型ポンプは、回転軸の一端側及び他端側の少なくとも一方において、軸受部と回転軸に形成された受部との間の軸方向における隙間に挿入されて一端側及び他端側の軸受部に対して予圧を付与するシムワッシャを備えている。回転軸の一端側及び他端側の少なくとも一方にシムワッシャを設ければ、一方側の軸受部のみならず、回転軸を介して他方側の軸受部にも与圧を付与することができる。これによって、隙間にシムワッシャを挿入するだけの簡単な構成にて、回転軸の両側の軸受部に与圧を付与することが可能となる。また、シムワッシャは弾性材によって構成されているため、金属等のシムワッシャを用いる場合に比して、隙間への埋込量の変化(すなわち厚さの変化)に対する与圧の変動幅を抑制することができる。従って、金属等のシムワッシャを用いる場合に比して厚さの寸法調整や寸法管理等が容易になる。また、シムワッシャの厚さが、累積公差を考慮した式(1)の関係を満たすため、隙間の累積公差に関わらず、適切な与圧を軸受部に付与することができる。以上によって、一端側及び他端側の軸受部に対して、容易に適切な与圧を付与できる。
本発明の他の側面に係る可変容量型ポンプにおいて、シムワッシャの厚さTは、δ+β/2に設定される。当該値は、式(1)で定められる範囲の中央値である。従って、シムワッシャの厚さTを当該値に設定することで、シムワッシャ自体の公差に関わらず、軸受部に対して適切な与圧を付与できる。
本発明の他の側面に係る可変容量型ポンプの組み立て方法は、ケーシングに回転可能に支持された回転軸と、回転軸の周方向に複数のシリンダボアを有し、回転軸と一体に回転するシリンダブロックと、複数のシリンダボア内のそれぞれに摺動自在に設けられたピストンと、ピストンの先端部が摺接可能であって、回転軸に対して傾斜可能に支持された斜板と、を備え、ピストンが、斜板の傾角に応じたストロークの往復動をおこなって、作動流体の吸入および吐出をおこなう可変容量型ポンプの組み立て方法であって、回転軸の一端側及び他端側に軸受部を設ける第1工程と、弾性材によって構成されるシムワッシャを準備する第2工程と、回転軸の一端側及び他端側の少なくとも一方において、軸受部と回転軸に形成された受部との間の軸方向における隙間にシムワッシャを挿入して一端側及び他端側の軸受部に対して予圧を付与する第3工程と、を備え、第2工程では、隙間の設計寸法δを取得し、隙間に対する累積公差の絶対値Aを取得し、シムワッシャの埋込量と軸受部の寿命との関係を直接的又は間接的に示すグラフに基づいて、シムワッシャの隙間への埋込量における、調整可能な範囲を規定する値である埋込側調整値βを取得し、シムワッシャの厚さTを以下の式(1)の関係を満たすように設定する。
δ+A< T ≦δ―A+β …(1)
δ+A< T ≦δ―A+β …(1)
本発明に係る可変容量型ポンプの組み立て方法によれば、上述の可変容量型ポンプと同様な作用・効果を得ることができる。
本発明によれば、一端側及び他端側の軸受部に対して、容易に適切な与圧を付与できる。
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。
まず、本実施形態に係る可変容量型ポンプ1の構成について説明する。可変容量型ポンプ1について、図1を参照しつつ説明する。
可変容量型ポンプ1は、ポンプハウジング10(ケーシング)と、ポンプハウジング10に回転可能に支持されるとともにポンプハウジング10から突出する突出端部を有する回転軸20と、回転軸20の周方向に複数のシリンダボア14aを有し、回転軸20と一体に回転するシリンダブロック14と、複数のシリンダボア14a内のそれぞれに摺動自在に設けられたピストン16と、ピストン16の先端部が摺接可能であって、回転軸20に対して傾斜可能に支持された斜板30と、を備えている。可変容量型ポンプ1では、ピストン16が、斜板30の傾角に応じたストロークの往復動をおこなって、作動流体の吸入および吐出をおこなう。
ポンプハウジング10は、フロントハウジング10aとメインハウジング10bとを備えており、これら両部材は図示しないネジ部材によって一体に形成されている。
ポンプハウジング10には、一端部及び他端部が軸受部60A、60Bにより回転自在に支持された回転軸20が取り付けられている。回転軸20は、そのポンプハウジング10からの突出端部が、エンジンやモータなどの図示しない動力取出装置に連結されている。動力取出装置の駆動に伴い回転軸20は回転する。
ポンプハウジング10の内部には、回転軸20に一体回転可能にスプライン嵌合されたシリンダブロック14が収容されている。シリンダブロック14には、回転軸20の周方向に所定の間隔で配置された複数のシリンダボア14aが形成されている。各シリンダボア14a内にはそれぞれピストン16が摺動自在に挿入されている。各ピストン16の一端部(図1の左端部)である頭部にはそれぞれシューが取り付けられており、それら複数のシューはリテーナプレート36により一括で保持されている。
また、ポンプハウジング10の内部におけるフロントハウジング10a側には、斜板軸受30aを介して回動可能に支持され、かつ、回転軸20の軸線方向に揺動可能な斜板30が収容されている。シリンダブロック14と回転軸20との間に設けられたばね部材34の付勢力をピボット35を介してリテーナプレート36に伝えることで、リテーナプレート36が斜板30側に押し付けられ、各ピストン16はシューを介して斜板30に摺動自在に当接される。また、シリンダブロック14はメインハウジング10bのフロントハウジング10a側と反対側の内端壁面に止着されたバルブプレート40に押接される。
そして、シリンダブロック14が回転軸20と一体的に回転されることにより、各ピストン16が斜板30の傾角により規定されたストロークを往復動されるとともに、シリンダボア14aがバルブプレート40に透設された円弧状をなす吸入ポート(不図示)および吐出ポート(不図示)と交互に連通される。これにより作動油が吸入ポートからシリンダボア14a内に吸入され、シリンダボア14a内の作動油はポンプ作用により吐出ポートから吐出される。なお、吸入通路(不図示)および吐出通路(不図示)はメインハウジング10bの他端部側の壁部に形成され、それぞれ吸入ポートおよび吐出ポートと連通されている。
可変容量型ポンプ1は、さらにコントロールピストン50を備えている。コントロールピストン50は、ポンプハウジング10のメインハウジング10bの側部に設けられたハウジング52に収容されている。
コントロールピストン50のハウジング52は、回転軸20に対して傾いた方向に延在し、かつ、斜板30の縁部に向かって延びる略円筒状の形状を有している。
ハウジング52の開口のうち、斜板30から遠い方の開口は、ネジ54によって塞がれている。それにより、ハウジング52内にはピストン収容室56が画成され、このピストン収容室56にピストン部58が収容されている。なお、ピストン収容室56のうち、ピストン部58とネジ54との間の空間は、作動油が流入する制御室56aとして機能する。
ピストン部58は、円柱状の外形を有しており、その径は、ピストン収容室56の内壁面との間に隙間がないように、かつ、ピストン収容室56においてピストン部58が摺動できるように設計される。
コントロールピストン50によれば、制御室56aへの作動油を制御することで、ピストン部58を斜板30の向きに往復動させることができる。そして、ピストン部58が斜板30の縁部30bに設けられた球32を押圧すると、斜板30の傾角が変更され、その結果、可変容量型ポンプ1の吐出容量が変更される。
次に、可変容量型ポンプ1が備える軸受構造100について説明する。軸受構造100は、回転軸20の前端側(一端側)及び後端側(他端側)に設けられる軸受部60A,60Bと、回転軸20の後端側において、軸受部60Aと回転軸20の受部21との間の軸方向における隙間に設けられるシムワッシャ70と、を備えている。軸受部60A,60Bは、適切な与圧を付与することによって軸受寿命を向上することができる転がり軸受によって構成される。軸受部60A,60Bとしては、円錐ころ軸受、玉軸受等の転がり軸受が用いられる。
図2は、回転軸20の後端側の概略拡大図である。図2に示すように、回転軸20には、周方向へ突出するように広がる受部21が形成されている。また、受部21は軸受部60Bと対向する受面21aを有している。ただし、受部21の構成は特に限定されず、受面21aを形成することができる限り、どのような構成を採用してもよい。例えば、回転軸20の径を変更した段差部を受面21aとしてもよい。受面21aから軸方向に離間した位置に軸受部60Bが設けられる。軸受部60Bは、受面21aと対向する端面60aを有している。本実施形態では、受面21aと端面60aとの間の空間が「隙間GP」と定義される。隙間GPの軸方向における設計寸法はδと表される。
シムワッシャ70は、回転軸20の受部21と軸受部60Bとの間の隙間GPを埋めることによって、軸受部60Bに与圧を付与する部材である。また、シムワッシャ70は、回転軸20を介して、他端側(ここでは前端側)の軸受部60Aにも与圧を付与できる。
シムワッシャ70は、弾性材によって構成されている環状の部材である。弾性材は、例えば二トリルゴム、フッ素ゴム、ウレタン等の材質によって構成される。図2(a)に示すように、隙間GPへの埋め込み前のシムワッシャ70の厚さTは、少なくとも隙間GPの設計寸法δよりも大きい。シムワッシャ70を隙間GPへ埋め込んだ場合、埋め込み後のシムワッシャ70の厚さは弾性変形することによって、隙間GPの設計寸法δと等しくなる(図2(b)参照)。具体的には、シムワッシャ70の端面70aが受部21の受面21aと接触し、シムワッシャ70の端面70bが軸受部60Bの端面60aと接触する。従って、厚さTのうち、設計寸法δよりも大きい部分の寸法が埋込量xに該当する。この埋込量xは、シムワッシャ70の隙間GPへの埋め込みに関する埋込側調整値β以下に設定される。
ここで、埋込側調整値βについて図4を参照して説明する。図4は、シムワッシャ70の埋込量xと、当該シムワッシャ70によって締められる軸受(ここでは軸受部60B)の設計寿命Lとの関係を示すグラフである。図中、破線で示すグラフは弾性材によって構成されるシムワッシャ70のデータを示している。ここで、要求寿命をHとした場合、当該寿命を得るためには、シムワッシャ70の埋込量がβ以下であればよいことが理解される。すなわち、埋込量がβ以下であれば適宜シムワッシャの寸法を調整してよい。このように、要求寿命Hを満たす埋込量における最大値を「埋込側調整値β」と称する。すなわち、埋込側調整値βは、シムワッシャ70の隙間GPへの埋込量における、調整可能な範囲を規定する値である。なお、実線で示すグラフは金属によって構成されるシムワッシャのデータを示す。金属のシムワッシャの埋込側調整値β´は、弾性材のシムワッシャ70の埋込側調整値βよりも小さい。このことより、シムワッシャの弾性係数を下げることで、シムワッシャの埋込量の調整の幅を拡大できることが理解される。
シムワッシャ70の軸方向における厚さTは、以下の式(1)の関係を満たす。ただし、隙間GPの軸方向の設計寸法をδとし、隙間GPに対する累積公差の絶対値をAとし、シムワッシャ70の隙間GPへの埋め込みに関する埋込側調整値をβとしている。
δ+A< T ≦δ―A+β …(1)
δ+A< T ≦δ―A+β …(1)
上述の式(1)について、図3を参照して、シムワッシャ70の厚さTの設定方法について詳細に説明する。なお、図3では、受部21の受面21aを基準面とし、当該基準面の位置をシムワッシャ70の「厚さT=0」の位置に該当するものとする。受面21aと対向することで隙間を形成する軸受部60Bの端面60aは、基準面に対して設計寸法δの位置に配置されている。ここで、設計寸法δは、設計上の理想値であって、部品等の公差が累積することで、当該設計寸法δに対して正側及び負側の両方に絶対値をAとする累積公差が存在している(図中、「累積公差」で示す横軸を参照)。
ここで、設計寸法δの位置のみを基準として考えた場合、シムワッシャ70の厚さTの範囲は、単に「δ<T≦δ+β」の範囲で規定することができる。すなわち、厚さTは、与圧を付与できるように少なくとも隙間GPの設計寸法δより大きく、埋込量xが埋込側調整値β以下の範囲であればよい。しかしながら、厚さTを当該範囲の何れかの値に設定した場合、設計寸法δに対する公差次第では、実際の製品において、厚さTが適切な範囲に該当しない場合がある。よって、厚さTの範囲は、設計寸法δに対する累積公差を考慮して設定する必要がある。
具体的には、設計寸法δの負側への累積公差が最も大きくなる場合と、正側への累積公差が最も大きくなる場合を考慮して、厚さTの範囲を設定する。なお、以下の説明においては、実際の隙間GPの寸法を「実隙間の寸法δ´」と称する。図3の「実隙間が設計下限値」で示す横軸から理解されるように、実隙間が設計上の下限値(負側への累積公差が最も大きくなる場合)に設定された場合、実隙間の寸法は「δ´=δ−A」で示される。当該位置を基準として厚さTの範囲を設定した場合、当該範囲は以下の式(2)で示される。
δ−A< T ≦δ―A+β …(2)
δ−A< T ≦δ―A+β …(2)
図3の「実隙間が設計上限値」で示す横軸から理解されるように、実隙間が設計上の上限値(正負側への累積公差が最も大きくなる場合)に設定された場合、実隙間の寸法は「δ´=δ+A」で示される。当該位置を基準として厚さTの範囲を設定した場合、当該範囲は以下の式(3)で示される。
δ+A< T ≦δ+A+β …(3)
δ+A< T ≦δ+A+β …(3)
従って、厚さTを上述の式(2)と式(3)を組み合わせた範囲に設定すれば、累積公差の大きさによらず、どのような場合であっても厚さTを好適な範囲内のものとすることができる。以上より、式(2)と式(3)を組み合わせることによって、式(1)が得られる。図3においては、斜線が付された領域が式(1)に示す範囲に該当する。
上述の斜線が付された領域を調整範囲とした場合、当該調整範囲は式(4)のように表される。ここで、厚さTを当該範囲の中央位置における値に設定した場合、シムワッシャ70自体が交差を有していたとしても、シムワッシャ70の厚さTを好適な範囲に収めることができる。従って、シムワッシャ70の厚さTは、当該中央値によって設定される「厚さ狙い値」に設定されることが好ましい。厚さ狙い値は、式(4)を用いて式(5)のように表される。当該値を選択した場合、シムワッシャ70の公差許容値は「(β―2A)/2」となる。この値は、式(1)の範囲における中央位置の値と下限値(又は上限値)との間の絶対値である。すなわち、式(6)が成り立つ。
調整範囲 = (δ−A+β)−(δ+A)=β−2A …(4)
ただし、β―2A>0
厚さ狙い値 = (δ−A+β)−(β―2A)/2 = δ + β/2 …(5)
公差許容値 = (β―2A)/2 …(6)
調整範囲 = (δ−A+β)−(δ+A)=β−2A …(4)
ただし、β―2A>0
厚さ狙い値 = (δ−A+β)−(β―2A)/2 = δ + β/2 …(5)
公差許容値 = (β―2A)/2 …(6)
以上より、図4の破線で示すグラフから埋込側調整値βの値を取得し、設計寸法δ及び累積公差の絶対値Aの値を取得し、式(1)へ代入することで、厚さTの範囲を得ることができる。また、各値を式(5)、(6)へ代入することで厚さ狙い値及び公差許容値を得ることができる。
図3を用いた上述の説明は、図4において破線で示すような弾性材によって構成されるシムワッシャ70のデータが存在する場合に成立する。一方、ベースデータとしては、金属のシムワッシャのものしか存在しない場合であっても、弾性材によって構成されるシムワッシャ70の厚さTを設定することが可能である。以下、金属のシムワッシャのベースデータ(図4に示す実線のグラフ)を用いて弾性材のシムワッシャ70の厚さTを設定する場合について説明する。
まず、弾性材のシムワッシャ70の弾性率をKとし、金属のシムワッシャの弾性率をK´とし、金属のシムワッシャの埋込量をx´とした場合、シムワッシャの押し付け力は以下の式(7)で表される。当該式(7)を変形することで式(8)が得られる。
F=K´・x´=K・x …(7)
x=(K´/K)・x´ …(8)
F=K´・x´=K・x …(7)
x=(K´/K)・x´ …(8)
ここで、式(8)において「K´/K=α」とし、当該αと金属シムワッシャの埋込側調整値β´を用いて、弾性材のシムワッシャ70の厚さTを求める。ここで、弾性材のシムワッシャ70の埋込側調整値βは「α・β´」と表される。当該関係に基づき、式(1)を変形すると、厚さTの範囲は以下の式(9)のように表される。また、上述の式(4)、(5)、(6)を変形することで、以下の式(10)、(11)、(12)が得られる。
δ+A< T ≦δ―A+α・β´ …(9)
調整範囲 ==α・β´−2A …(10)
ただし、α・β´―2A>0、すなわちα>2A/β
厚さ狙い値 = δ + α・β´/2 …(11)
公差許容値 = (α・β´―2A)/2 …(12)
δ+A< T ≦δ―A+α・β´ …(9)
調整範囲 ==α・β´−2A …(10)
ただし、α・β´―2A>0、すなわちα>2A/β
厚さ狙い値 = δ + α・β´/2 …(11)
公差許容値 = (α・β´―2A)/2 …(12)
以上より、図4の実線で示すグラフから埋込側調整値β´の値及び弾性率の関係からαの値を取得し、設計寸法δ及び累積公差の絶対値Aの値を取得し、式(9)へ代入することで、厚さTの範囲を得ることができる。また、各値を式(11)、(12)へ代入することで厚さ狙い値及び公差許容値を得ることができる。
次に、本実施形態に係る可変容量型ポンプ1の軸受構造100の組み立て方法について説明する。当該方法では、まず、回転軸20の前端側及び後端側に軸受部60A,60Bを設ける第1工程が実行される。
次に、弾性材によって構成されるシムワッシャ70を準備する第2工程が実行される。第2工程では、隙間GPの設計寸法δを取得し、隙間GPに対する累積公差の絶対値Aを取得する。また、シムワッシャ70の埋込量xと軸受部60Bの寿命との関係を直接的に示すグラフ(図4の破線で示す弾性材のシムワッシャのグラフ)又は間接的に示すグラフ(図4の実線で示す金属のシムワッシャのグラフ)に基づいて、シムワッシャ70の隙間GPへの埋め込みに関する埋込側調整値βを取得する。次に、シムワッシャ70の厚さTを以下の式(1)の関係を満たすように設定する。図4の実線で示す金属のシムワッシャのグラフを用いる場合、弾性材のシムワッシャ70の埋込側調整値βは「α・β´」で表されるため、「α・β´」を式(9)へ代入することは、実質的に埋込側調整値βを取得して式(1)へ代入することと同等であるものと見なす。従って、「α・β´」及び式(9)を用いて厚さTを設定することは、請求項における「埋込側調整値βを取得し、前記シムワッシャの厚さTを以下の式(1)の関係を満たすように設定する」の範囲に含まれるものとする。
δ+A< T ≦δ―A+β …(1)
δ+A< T ≦δ―A+α・β´ …(9)
δ+A< T ≦δ―A+β …(1)
δ+A< T ≦δ―A+α・β´ …(9)
次に、回転軸20の後端側において、軸受部60Bと回転軸20の受部21との間の軸方向における隙間GPにシムワッシャ70を設ける第3工程を実行する。これによって、軸受構造100の組み立てが完了する。
本発明の実施形態に係る可変容量型ポンプ1及び可変容量型ポンプ1の組み立て方法の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る可変容量型ポンプ1は、回転軸20の後端側において、軸受部60Bと回転軸20に形成された受部21との間の軸方向における隙間GPに挿入されて前端側及び後端側の軸受部60A,60Bに対して予圧を付与するシムワッシャ70を備えている。回転軸20の後端側にシムワッシャ70を設ければ、一方側の軸受部60Bのみならず、回転軸20を介して他方側の軸受部60Aにも与圧を付与することができる。これによって、隙間GPにシムワッシャ70を設けるだけの簡単な構成にて、回転軸20の両側の軸受部60A,60Bに与圧を付与することが可能となる。また、シムワッシャ70は弾性材によって構成されているため、金属等のシムワッシャを用いる場合に比して、隙間GPへの埋込量の変化(すなわち厚さの変化)に対する与圧の変動幅を抑制することができる。すなわち、厚さTの寸法の調整幅を拡大することができる。従って、金属等のシムワッシャを用いる場合に比して厚さの寸法調整や寸法管理、部品の在庫管理等が容易になる。また、シムワッシャ70の厚さが、累積公差を考慮した式(1)の関係を満たすため、隙間GPの累積公差に関わらず、適切な与圧を軸受部60A,60Bに付与することができる。以上によって、前端側及び後端側の軸受部60A,60Bに対して、容易に適切な与圧を付与できる。
本実施形態に係る可変容量型ポンプ1において、シムワッシャ70の厚さTは、厚さ狙い値であるδ+β/2に設定される。当該値は、式(1)で定められる範囲の中央値である。従って、シムワッシャ70の厚さTを当該値に設定することで、シムワッシャ70自体の公差に関わらず、軸受部60A,60Bに対して適切な与圧を付与できる。
本実施形態に係る可変容量型ポンプ1の組み立て方法によれば、上述の可変容量型ポンプ1と同様な作用・効果を得ることができる。
以上、本発明に係る可変容量型ポンプの好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
また、上述の実施形態では、回転軸20の後端側の軸受部60Bに対してシムワッシャ70を設けたが、これに代えて、前端側の軸受部60Aに対してシムワッシャ70を設けてもよい。あるいは、前端側及び後端側の両方の軸受部60A,60Bに対してシムワッシャを設けてもよい。この場合、式(1)〜(12)の値を半分にして、両端側のシムワッシャについて厚さTの調整をしてよい。あるいは、一方のシムワッシャの厚さを固定し、他方のシムワッシャについて厚さTの調整を行ってもよい。
1…可変容量型ポンプ、20…回転軸、60A,60B…軸受部、70…シムワッシャ、100…軸受構造。
Claims (3)
- ケーシングに回転可能に支持された回転軸と、前記回転軸の周方向に複数のシリンダボアを有し、前記回転軸と一体に回転するシリンダブロックと、前記複数のシリンダボア内のそれぞれに摺動自在に設けられたピストンと、前記ピストンの先端部が摺接可能であって、前記回転軸に対して傾斜可能に支持された斜板と、を備え、前記ピストンが、前記斜板の傾角に応じたストロークの往復動をおこなって、作動流体の吸入および吐出をおこなう可変容量型ポンプであって、
前記回転軸の一端側及び他端側は、それぞれ軸受部を介して前記ケーシングに支持されており、
前記回転軸の一端側及び他端側の少なくとも一方において、前記軸受部と前記回転軸に形成された受部との間の軸方向における隙間に挿入されて前記一端側及び他端側の軸受部に対して予圧を付与するシムワッシャと、を備え、
前記シムワッシャは、弾性材によって構成され、
前記シムワッシャの前記軸方向における厚さをTとし、
前記隙間の設計寸法をδとし、
前記隙間に対する累積公差の絶対値をAとし、
前記シムワッシャの前記隙間への埋込量における、調整可能な範囲を規定する値である埋込側調整値をβとした場合、前記シムワッシャの厚さTは、以下の式(1)の関係を満たす、可変容量型ポンプ。
δ+A< T ≦δ―A+β …(1) - 前記シムワッシャの厚さTは、δ+β/2に設定される、請求項1に記載の可変容量型ポンプ。
- ケーシングに回転可能に支持された回転軸と、前記回転軸の周方向に複数のシリンダボアを有し、前記回転軸と一体に回転するシリンダブロックと、前記複数のシリンダボア内のそれぞれに摺動自在に設けられたピストンと、前記ピストンの先端部が摺接可能であって、前記回転軸に対して傾斜可能に支持された斜板と、を備え、前記ピストンが、前記斜板の傾角に応じたストロークの往復動をおこなって、作動流体の吸入および吐出をおこなう可変容量型ポンプの組み立て方法であって、
前記回転軸の一端側及び他端側に軸受部を設ける第1工程と、
弾性材によって構成されるシムワッシャを準備する第2工程と、
前記回転軸の一端側及び他端側の少なくとも一方において、前記軸受部と前記回転軸に形成された受部との間の軸方向における隙間に前記シムワッシャを挿入して前記一端側及び他端側の軸受部に対して予圧を付与する第3工程と、を備え、
前記第2工程では、
前記隙間の設計寸法δを取得し、
前記隙間に対する累積公差の絶対値Aを取得し、
前記シムワッシャの埋込量と前記軸受部の寿命との関係を直接的又は間接的に示すグラフに基づいて、前記シムワッシャの前記隙間への埋込量における、調整可能な範囲を規定する値である埋込側調整値βを取得し、
前記シムワッシャの厚さTを以下の式(1)の関係を満たすように設定する、可変容量型ポンプの組み立て方法。
δ+A< T ≦δ―A+β …(1)
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JP2015162002A JP2017040194A (ja) | 2015-08-19 | 2015-08-19 | 可変容量型ポンプ及び可変容量型ポンプの組み立て方法 |
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Cited By (1)
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CN113431770A (zh) * | 2021-08-03 | 2021-09-24 | 江苏恒立液压科技有限公司 | 一种测量工装、测量方法及缸体垫片调试方法 |
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2015
- 2015-08-19 JP JP2015162002A patent/JP2017040194A/ja active Pending
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CN113431770B (zh) * | 2021-08-03 | 2022-08-16 | 江苏恒立液压科技有限公司 | 一种测量工装、测量方法及缸体垫片调试方法 |
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