JP2017039303A - インクジェットヘッドに搭載されたインクタンクおよび前記インクタンクを有するインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクタンク内の防汚性を高めインクタンク内でのインク乾固物発生を抑制するとともに、インクの吐出安定性を確保でき、さらにインクタンク内での気泡発生およびインク中への気泡混入を抑制することが可能なインクタンク、およびインクジェット記録装置を提供する。【解決手段】インクジェットヘッドに搭載され、内部に供給されるインクが気液界面を有するインクタンク1であって、前記インクタンクの内壁のうち、インクが充填された状態でインクジェットヘッドを移動させた際の気液界面の最高到達位置h以上の領域である、撥水処理可能領域2内の一部または全部に、撥水処理が施されており、前記撥水処理可能領域以外のインクタンク内壁には、撥水処理が施されていないことを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、インクジェットヘッドに搭載されたインクタンクに関する。また本発明は、前記インクタンクを有する記録装置に関する。
インクジェット記録方式とは、インクジェットヘッド(以下、単にヘッドとも言う)のインク吐出口から微小なインク滴を記録媒体に対して吐出して印字や画像記録を行うもので、記録媒体から離間した状態で記録動作を行うことができることから、様々な材質の記録媒体や物品に記録することが可能で、幅広い用途に使用されてきている。
インクジェット記録に用いるインクジェットヘッドは、種々のタイプのヘッドが開発されてきているが、その中の例としては、圧電素子に電圧を印加して変形させることでインクが充填された圧力室を膨張及び収縮させて圧力変動を生じさせるピエゾ方式や、発熱抵抗体を通電加熱し発生した熱でインクを発泡させ、その圧力を利用するサーマル方式などのオンデマンドタイプのヘッドが開発されている。
上述したオンデマンドタイプのインクジェットヘッドを用いて記録動作を行う場合、インクジェットヘッドを移動させながら記録動作を行なうことで、種々の記録媒体や物品に容易に記録することが可能となる。その場合、移動するインクジェットヘッドにインクを供給する必要があり、例えば特許文献1及び2に記載されているように、ヘッドにインクを供給するタンク(サブタンク)をヘッドとともに移動させながら、サブタンクに機体側に配設されたメインタンクからインクを供給するようにすれば、インク切れが生じることなく記録動作を継続させていくことができ、生産効率が格段に向上する。
しかしながら、こうしたインク供給システムでは、サブタンクも移動することからサブタンク内のインクが移動に合せて変動するようになる。
この時、サブタンク内のインクが気液界面を有する場合には、ヘッドの移動とともにインクの気液界面が揺れることになり、揺れによって発生したインク飛沫がサブタンク内壁面に付着し、乾固物となることがある。そして、前記乾固物がサブタンク内壁面から剥離してインク中に混入しヘッドに供給された場合、混入した乾固物がヘッドのノズル詰まり等の不具合を引き起こすおそれがある。
この時、サブタンク内のインクが気液界面を有する場合には、ヘッドの移動とともにインクの気液界面が揺れることになり、揺れによって発生したインク飛沫がサブタンク内壁面に付着し、乾固物となることがある。そして、前記乾固物がサブタンク内壁面から剥離してインク中に混入しヘッドに供給された場合、混入した乾固物がヘッドのノズル詰まり等の不具合を引き起こすおそれがある。
インクタンク内壁面へのインク付着を抑制する手段として、例えば特許文献3には、液体貯留部、すなわちインクタンクの内壁にフッ素樹脂層を形成して撥水処理を施すことが開示されている。
しかしながら、内壁を撥水処理すると、インク付着は抑制できるものの、内壁がインクを弾くことによって、ヘッドの移動にともなって生じるインクの気液界面の揺れが大きくなる。さらに、インクの気液界面の揺れにともなってノズル近傍の負圧値の変動が大きくなる。その結果、ノズル部で形成されるメニスカス形状が不安定になり、インクの吐出安定性が低下するおそれがある。
また、内壁に撥水処理がされていることによって、ヘッドの移動とともにインクの気液界面が揺れる際、内壁がインクを弾くことによってすき間が生じ、すき間に入り込んだ空気をインクが巻き込むことによって気泡が発生しやすくなる傾向がある。そして、発生した気泡がインク中に取り込まれることによってインク中に微小な気泡が混入する可能性が高くなる。インク中への気泡混入は、吐出安定性等に影響を及ぼすおそれがあるため好ましくない。
このように、インクタンク内壁への撥水処理は、ヘッドに搭載されるインクタンクで、特にインクタンク内に供給されるインクが気液界面を有するインクタンクに対しては、未だ課題の残るものであった。
しかしながら、内壁を撥水処理すると、インク付着は抑制できるものの、内壁がインクを弾くことによって、ヘッドの移動にともなって生じるインクの気液界面の揺れが大きくなる。さらに、インクの気液界面の揺れにともなってノズル近傍の負圧値の変動が大きくなる。その結果、ノズル部で形成されるメニスカス形状が不安定になり、インクの吐出安定性が低下するおそれがある。
また、内壁に撥水処理がされていることによって、ヘッドの移動とともにインクの気液界面が揺れる際、内壁がインクを弾くことによってすき間が生じ、すき間に入り込んだ空気をインクが巻き込むことによって気泡が発生しやすくなる傾向がある。そして、発生した気泡がインク中に取り込まれることによってインク中に微小な気泡が混入する可能性が高くなる。インク中への気泡混入は、吐出安定性等に影響を及ぼすおそれがあるため好ましくない。
このように、インクタンク内壁への撥水処理は、ヘッドに搭載されるインクタンクで、特にインクタンク内に供給されるインクが気液界面を有するインクタンクに対しては、未だ課題の残るものであった。
本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであって、インクタンク内の防汚性を高めインクタンク内でのインク乾固物発生を抑制するとともに、インクの吐出安定性を確保でき、さらにインクタンク内での気泡発生およびインク中への気泡混入を抑制することが可能なインクタンク、およびインクジェット記録装置を提供するものである。
本発明にかかるインクタンクは、インクジェットヘッドに搭載され、内部に供給されるインクが気液界面を有するインクタンクであって、
前記インクタンクの内壁のうち、インクが充填された状態でインクジェットヘッドを移動させた際の気液界面の最高到達位置以上の領域である、撥水処理可能領域内の一部または全部に、撥水処理が施されており、前記撥水処理可能領域以外のインクタンク内壁には、撥水処理が施されていないことを特徴とする。
本発明にかかるインクタンクは、下記式(1)を用いて算出される、インクが充填された状態でインクジェットヘッドを移動させた際の気液界面の最高到達位置(インクタンク底部からの高さ)hを領域下限値とする撥水処理可能領域内の一部または全部に、撥水処理が施されており、前記撥水処理可能領域以外のインクタンク内壁には撥水処理が施されていないことが好ましい。
h[mm]=h0+h´
=h0+(l・|a|/2g)・・・・・(1)
h0:静止状態におけるインクの気液界面位置(インクタンク底部からの高さ)[mm]
h´:気液界面の最大揺れ量(静止状態の気液界面位置を基準に、インクジェットヘッド移動時に気液界面が揺れた場合に増加する気液界面高さの最大値)[mm]
l:インクジェットヘッド移動方向に対するインクタンクの最長幅[mm]
|a|:インクジェットヘッド移動時の最大加速度または最大減速度のうち、いずれか大きい値の絶対値[mm/sec2]
g:重力加速度[mm/sec2]
本発明にかかるインクタンクは、前記撥水処理可能領域に、天井部が含まれることが好ましい。
また、本発明にかかるインクジェット記録装置は、前記インクタンクが搭載されていることを特徴とする。
前記インクタンクの内壁のうち、インクが充填された状態でインクジェットヘッドを移動させた際の気液界面の最高到達位置以上の領域である、撥水処理可能領域内の一部または全部に、撥水処理が施されており、前記撥水処理可能領域以外のインクタンク内壁には、撥水処理が施されていないことを特徴とする。
本発明にかかるインクタンクは、下記式(1)を用いて算出される、インクが充填された状態でインクジェットヘッドを移動させた際の気液界面の最高到達位置(インクタンク底部からの高さ)hを領域下限値とする撥水処理可能領域内の一部または全部に、撥水処理が施されており、前記撥水処理可能領域以外のインクタンク内壁には撥水処理が施されていないことが好ましい。
h[mm]=h0+h´
=h0+(l・|a|/2g)・・・・・(1)
h0:静止状態におけるインクの気液界面位置(インクタンク底部からの高さ)[mm]
h´:気液界面の最大揺れ量(静止状態の気液界面位置を基準に、インクジェットヘッド移動時に気液界面が揺れた場合に増加する気液界面高さの最大値)[mm]
l:インクジェットヘッド移動方向に対するインクタンクの最長幅[mm]
|a|:インクジェットヘッド移動時の最大加速度または最大減速度のうち、いずれか大きい値の絶対値[mm/sec2]
g:重力加速度[mm/sec2]
本発明にかかるインクタンクは、前記撥水処理可能領域に、天井部が含まれることが好ましい。
また、本発明にかかるインクジェット記録装置は、前記インクタンクが搭載されていることを特徴とする。
本発明によれば、インクタンク内において、特に通常はインクと接触しない部分にインク飛沫が飛ぶなどした場合であってもインク飛沫がインクタンク内に付着するのを抑制することによって乾固物となることを抑制することができるとともに、インクの吐出安定性を確保でき、さらにインクタンク内での気泡発生およびインク中への気泡混入についても抑制することができる。
本発明にかかるインクタンクは、インクジェットヘッド(以下、単に「ヘッド」ともいう。)に搭載された状態でヘッドにインクを供給するインクタンクである。また、本発明にかかるインクタンクは、インクタンク内部に供給されているインクが気液界面を有するものである。
本発明にかかるインクタンクは、前記インクタンクの内壁のうち、インクが充填された状態でインクジェットヘッドを移動させた際の気液界面の最高到達位置以上の領域である、撥水処理可能領域内の一部または全部に、撥水処理が施されており、前記撥水処理可能領域以外のインクタンク内壁には、撥水処理が施されていないことを特徴とする。
これにより、インクタンク内において、通常はインクと接触しない部分にインク飛沫が飛ぶなどした場合であってもインク飛沫がインクタンク内に付着するのを抑制することによって乾固物となることを抑制することができる。
一方、通常の移動動作の範囲内でインクと接触する部分には撥水処理はされていないため、内壁がインクを弾くことによって、ヘッドの移動にともなって生じるインクの気液界面の揺れが大きくなることもなく、インク吐出安定性を確保することができる。さらに、インクがインクタンク内壁に密着し、気泡発生やインク中への気泡混入を抑制することができる。
これにより、インクタンク内において、通常はインクと接触しない部分にインク飛沫が飛ぶなどした場合であってもインク飛沫がインクタンク内に付着するのを抑制することによって乾固物となることを抑制することができる。
一方、通常の移動動作の範囲内でインクと接触する部分には撥水処理はされていないため、内壁がインクを弾くことによって、ヘッドの移動にともなって生じるインクの気液界面の揺れが大きくなることもなく、インク吐出安定性を確保することができる。さらに、インクがインクタンク内壁に密着し、気泡発生やインク中への気泡混入を抑制することができる。
なお、気液界面の最高到達位置については、任意の方法にて特定可能であるが、本発明においては、後述する式を用いて算出することが好ましい。
すなわち、本発明にかかるインクタンクは、下記式(1)を用いて算出される、インクが充填された状態でインクジェットヘッドを移動させた際の気液界面の最高到達位置(インクタンク底部からの高さ)hを領域下限値とする撥水処理可能領域内の一部または全部に、撥水処理が施されており、前記撥水処理可能領域以外のインクタンク内壁には撥水処理が施されていないことが好ましい。
h[mm]=h0+h´
=h0+(l・|a|/2g)・・・・・(1)
h0:静止状態におけるインクの気液界面位置(インクタンク底部からの高さ)[mm]
h´:気液界面の最大揺れ量(静止状態の気液界面位置を基準に、インクジェットヘッド移動時に気液界面が揺れた場合に増加する気液界面高さの最大値)[mm]
l:インクジェットヘッド移動方向に対するインクタンクの最長幅[mm]
|a|:インクジェットヘッド移動時の最大加速度または最大減速度のうち、いずれか大きい値の絶対値[mm/sec2]
g:重力加速度[mm/sec2]
このように、インクタンク内において、前述した式(1)によって求められる高さhの位置を撥水処理可能領域の下限値として設定し、前記撥水処理可能領域部分の一部または全部に撥水処理が施され、前記撥水処理可能領域以外のインクタンク内壁には撥水処理が施されていないことにより、インクタンク内での乾固物発生を抑制する効果と、インクの吐出安定性の確保やインクタンク内での気泡発生の抑制およびインク中への気泡混入抑制に関する効果との両立が可能となる。
すなわち、本発明にかかるインクタンクは、下記式(1)を用いて算出される、インクが充填された状態でインクジェットヘッドを移動させた際の気液界面の最高到達位置(インクタンク底部からの高さ)hを領域下限値とする撥水処理可能領域内の一部または全部に、撥水処理が施されており、前記撥水処理可能領域以外のインクタンク内壁には撥水処理が施されていないことが好ましい。
h[mm]=h0+h´
=h0+(l・|a|/2g)・・・・・(1)
h0:静止状態におけるインクの気液界面位置(インクタンク底部からの高さ)[mm]
h´:気液界面の最大揺れ量(静止状態の気液界面位置を基準に、インクジェットヘッド移動時に気液界面が揺れた場合に増加する気液界面高さの最大値)[mm]
l:インクジェットヘッド移動方向に対するインクタンクの最長幅[mm]
|a|:インクジェットヘッド移動時の最大加速度または最大減速度のうち、いずれか大きい値の絶対値[mm/sec2]
g:重力加速度[mm/sec2]
このように、インクタンク内において、前述した式(1)によって求められる高さhの位置を撥水処理可能領域の下限値として設定し、前記撥水処理可能領域部分の一部または全部に撥水処理が施され、前記撥水処理可能領域以外のインクタンク内壁には撥水処理が施されていないことにより、インクタンク内での乾固物発生を抑制する効果と、インクの吐出安定性の確保やインクタンク内での気泡発生の抑制およびインク中への気泡混入抑制に関する効果との両立が可能となる。
前記撥水処理可能領域における撥水処理は、全面に施されていることが好ましいが、それに限らず、ストライプ状、格子状、ドット状、法線状、その他適宜設定できるパターンで付与されているものであってもよい。また、不規則的なパターンで構成されていてもよい。
本発明にかかるインクタンクは、前記撥水処理可能領域に、天井部が含まれることが好ましい。天井部は特に洗浄しにくく、インクが残りやすい。そのため、天井部に撥水処理が施されていることによって、インクによる汚れを抑制し、乾固物発生を抑制する効果がさらに向上する。
前記撥水処理方法としては、特に限定するものではないが、たとえばシリコーン加工やフッ素によるコーティングがあげられる。
前記インクタンクの素材としては、たとえばアクリル樹脂やカーボンが挙げられるが、特に限定するものではなく、その他、公知のものから適宜選定すればよい。
また、本発明の他の側面であるインクジェット記録装置は、前述したインクタンクをインクジェットヘッドに搭載していることを特徴とする。
本発明にかかるインクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置としては、シリアル式とライン式の2種類があげられる。シリアル式とは、ヘッドが搭載されたキャリッジを記録媒体が搬送される搬送方向に対し、直交する方向に往復移動を繰り返しながら記録する方式である。一方、ライン式とは、位置が固定されたキャリッジの下を、記録媒体を搬送しながら記録する方式である。
特にシリアル方式はキャリッジ移動にともなうヘッド移動の繰り返しにより液面揺れが多く発生する。また生産性を上げるためにはキャリッジの移動速度を上げる必要があり、これにより液面揺れも大きくなる。そのため、本発明にかかるインクタンクは、シリアル方式のインクジェット記録装置に対してより効果的である。
ただし、ライン方式のインクジェット記録装置についても、ヘッドメンテナンス実施等でヘッドが搭載されたキャリッジを記録位置から移動させる場合があり、その際にインクタンク内で液面揺れが発生する。よって本発明は、ライン方式のインクジェット記録装置に対しても有用である。
特にシリアル方式はキャリッジ移動にともなうヘッド移動の繰り返しにより液面揺れが多く発生する。また生産性を上げるためにはキャリッジの移動速度を上げる必要があり、これにより液面揺れも大きくなる。そのため、本発明にかかるインクタンクは、シリアル方式のインクジェット記録装置に対してより効果的である。
ただし、ライン方式のインクジェット記録装置についても、ヘッドメンテナンス実施等でヘッドが搭載されたキャリッジを記録位置から移動させる場合があり、その際にインクタンク内で液面揺れが発生する。よって本発明は、ライン方式のインクジェット記録装置に対しても有用である。
以下、シリアル方式のインクジェット記録装置について、一例をあげ説明する。
図2は、本発明にかかるシリアル方式のインクジェット記録装置について、インクジェットヘッドを搭載したキャリッジとその周辺部分を示す概略図である。
キャリッジ16は、インクタンク13およびインクジェットヘッド15を搭載しており、インクタンク13には、メインタンク(図示せず)から圧送されるインクを通す第一供給チューブ11と、インクタンク13内の空気圧を管理する外部装置に接続するためのエアチューブ12が接続されている。
また、インクタンク13は、インクジェットヘッド15と第二供給チューブ14で接続されている。
なお、図2では簡易的に、一系統のインクタンクを搭載する場合を示しているが、これに限らず、複数の系統のインクタンクが搭載されていてもよい。
図2は、本発明にかかるシリアル方式のインクジェット記録装置について、インクジェットヘッドを搭載したキャリッジとその周辺部分を示す概略図である。
キャリッジ16は、インクタンク13およびインクジェットヘッド15を搭載しており、インクタンク13には、メインタンク(図示せず)から圧送されるインクを通す第一供給チューブ11と、インクタンク13内の空気圧を管理する外部装置に接続するためのエアチューブ12が接続されている。
また、インクタンク13は、インクジェットヘッド15と第二供給チューブ14で接続されている。
なお、図2では簡易的に、一系統のインクタンクを搭載する場合を示しているが、これに限らず、複数の系統のインクタンクが搭載されていてもよい。
インクタンク13は、インクタンク内に供給されるインクが気液界面を有するように設計されている。これにより、インクタンク内の負圧を一定に保つことができ、インク供給時にも負圧が変動することなく、ノズル近傍のメニスカスを一定に保つことができるため、安定してインクを吐出することができる。
キャリッジ16は、キャリッジ走査軸17上に配置される。キャリッジ16はキャリッジ走査軸17上を往復移動しつつ、キャリッジ16のインクジェットヘッド15から記録媒体に対しインクを吐出することにより、画像を形成する。
本発明にかかるインクタンクおよびインクジェット記録装置について、実施例をあげてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は本実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例においては、使用するインクタンクとして、ヘッド主走査方向のインクタンク幅lが70mmのインクタンク(アクリル樹脂)を用意した。なお、インクタンクの高さは70mmであった。
また、本実施例においては、インク充填時の静止状態の液面高さh0を50mmに設定した。記録時におけるヘッド走査時の最大加速度および最大減速度を、それぞれ1000mm/sec2に設定した。すなわち、式(1)記載の|a|を1000mm/sec2とした。
以上より、この場合に式(1)により算出される高さhは、次のようになった。
h=h0+(l・|a|/2g)
=50[mm]+(70[mm]×1000[mm/sec2]/(2×9806.7[mm/sec2])
≒54[mm]
また、本実施例においては、インク充填時の静止状態の液面高さh0を50mmに設定した。記録時におけるヘッド走査時の最大加速度および最大減速度を、それぞれ1000mm/sec2に設定した。すなわち、式(1)記載の|a|を1000mm/sec2とした。
以上より、この場合に式(1)により算出される高さhは、次のようになった。
h=h0+(l・|a|/2g)
=50[mm]+(70[mm]×1000[mm/sec2]/(2×9806.7[mm/sec2])
≒54[mm]
[実施例1]
前記インクタンクの内壁のうち、天井部を含むインクタンク底部から54mm以上の範囲を、フッ素コーティングにて撥水処理し、実施例1のインクタンクを得た。
前記インクタンクの内壁のうち、天井部を含むインクタンク底部から54mm以上の範囲を、フッ素コーティングにて撥水処理し、実施例1のインクタンクを得た。
[比較例1]
インクタンクの内壁全てをフッ素コーティングにて撥水処理した以外は、実施例1と同様にして、比較例1のインクタンクを得た。
インクタンクの内壁全てをフッ素コーティングにて撥水処理した以外は、実施例1と同様にして、比較例1のインクタンクを得た。
[比較例2]
インクタンクの内壁を撥水処理しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例2のインクタンクを得た。
インクタンクの内壁を撥水処理しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例2のインクタンクを得た。
[評価1:インク中の溶存酸素増加量]
得られた各インクタンクを、シリアル式インクジェット記録装置のインクジェットヘッドに搭載し、インクをインクタンク底部から50mmの高さまで充填した後、最大加速度と最大減速度を1000mm/sec2となるようにして、キャリッジ走査軸上を1時間、繰り返し往復移動させた。
1時間の往復移動の前後におけるインクタンク内のインク中の溶存酸素量をそれぞれ東亜DKK社製 ポータブル溶存酸素計DO−24Pを使用し測定し、インク中の溶存酸素増加量を求めた。
次いで、下記評価基準に従い、インク中の溶存酸素増加量を評価した。結果を表1に示す。
○:インク中の溶存酸素増加量が3.0ppm以下である
×:インク中の溶存酸素増加量が3.0ppmを超える
得られた各インクタンクを、シリアル式インクジェット記録装置のインクジェットヘッドに搭載し、インクをインクタンク底部から50mmの高さまで充填した後、最大加速度と最大減速度を1000mm/sec2となるようにして、キャリッジ走査軸上を1時間、繰り返し往復移動させた。
1時間の往復移動の前後におけるインクタンク内のインク中の溶存酸素量をそれぞれ東亜DKK社製 ポータブル溶存酸素計DO−24Pを使用し測定し、インク中の溶存酸素増加量を求めた。
次いで、下記評価基準に従い、インク中の溶存酸素増加量を評価した。結果を表1に示す。
○:インク中の溶存酸素増加量が3.0ppm以下である
×:インク中の溶存酸素増加量が3.0ppmを超える
[評価2:吐出安定性]
評価1における1時間の往復移動を実施した後、全ノズルより周波数20kHzにてインク吐出を実施し、下記評価基準に従い、吐出安定性について評価した。結果を表1に示す。
○:ノズルつまりがなく、良好に吐出できる
×:ノズルつまりが確認できる
評価1における1時間の往復移動を実施した後、全ノズルより周波数20kHzにてインク吐出を実施し、下記評価基準に従い、吐出安定性について評価した。結果を表1に示す。
○:ノズルつまりがなく、良好に吐出できる
×:ノズルつまりが確認できる
[評価3:インクタンク内の防汚性]
評価1における1時間の往復移動を実施した後、インクタンク内の汚れ具合を目視にて確認し、下記評価基準に従い、インクタンク内の防汚性について評価した。結果を表1に示す。
○:インクタンク内に飛散したインク滴による汚れが確認されない
×:インクタンク内に飛散したインク滴による汚れが顕著に確認できる
評価1における1時間の往復移動を実施した後、インクタンク内の汚れ具合を目視にて確認し、下記評価基準に従い、インクタンク内の防汚性について評価した。結果を表1に示す。
○:インクタンク内に飛散したインク滴による汚れが確認されない
×:インクタンク内に飛散したインク滴による汚れが顕著に確認できる
実施例1のインクタンクを搭載した場合は、溶存酸素増加量が少なく、吐出安定性の得られるものであった。また、インクタンク内に飛散したインク滴による汚れも確認されず、防汚性にも優れるものであった。
一方、比較例1のインクタンクを搭載した場合は、インクタンク内に飛散したインク滴による汚れは確認されなかったものの、インク中の溶存酸素量が増加し、微小気泡によるノズルつまりが発生する結果となった。
また、比較例1のインクタンクを搭載した場合、インクタンクの内壁と接触しているインクが弾かれることで、インク気液界面の揺れが助長される傾向もみられた。
比較例2のインクタンクを搭載した場合は、インクタンクの内壁に飛散したインク滴による汚れが顕著に確認された。
一方、比較例1のインクタンクを搭載した場合は、インクタンク内に飛散したインク滴による汚れは確認されなかったものの、インク中の溶存酸素量が増加し、微小気泡によるノズルつまりが発生する結果となった。
また、比較例1のインクタンクを搭載した場合、インクタンクの内壁と接触しているインクが弾かれることで、インク気液界面の揺れが助長される傾向もみられた。
比較例2のインクタンクを搭載した場合は、インクタンクの内壁に飛散したインク滴による汚れが顕著に確認された。
1 インクタンク
2 撥水処理可能領域
11 第一供給チューブ
12 エアチューブ
13 インクタンク
14 第二供給チューブ
15 インクジェットヘッド
16 キャリッジ
17 キャリッジ走査軸
2 撥水処理可能領域
11 第一供給チューブ
12 エアチューブ
13 インクタンク
14 第二供給チューブ
15 インクジェットヘッド
16 キャリッジ
17 キャリッジ走査軸
Claims (4)
- インクジェットヘッドに搭載され、内部に供給されるインクが気液界面を有するインクタンクであって、
前記インクタンクの内壁のうち、インクが充填された状態でインクジェットヘッドを移動させた際の気液界面の最高到達位置以上の領域である、撥水処理可能領域内の一部または全部に、撥水処理が施されており、前記撥水処理可能領域以外のインクタンク内壁には、撥水処理が施されていないことを特徴とする、インクタンク。 - 請求項1に記載のインクタンクにおいて、下記式(1)を用いて算出される、インクが充填された状態でインクジェットヘッドを移動させた際の気液界面の最高到達位置(インクタンク底部からの高さ)hを領域下限値とする撥水処理可能領域内の一部または全部に、撥水処理が施されており、前記撥水処理可能領域以外のインクタンク内壁には撥水処理が施されていないことを特徴とする、インクタンク。
h[mm]=h0+h´
=h0+(l・|a|/2g)・・・・・(1)
h0:静止状態におけるインクの気液界面位置(インクタンク底部からの高さ)[mm]
h´:気液界面の最大揺れ量(静止状態の気液界面位置を基準に、インクジェットヘッド移動時に気液界面が揺れた場合に増加する気液界面高さの最大値)[mm]
l:インクジェットヘッド移動方向に対するインクタンクの最長幅[mm]
|a|:インクジェットヘッド移動時の最大加速度または最大減速度のうち、いずれか大きい値の絶対値[mm/sec2]
g:重力加速度[mm/sec2]
- 前記撥水処理可能領域に、天井部が含まれることを特徴とする、請求項1または2に記載のインクタンク。
- 請求項1〜3のいずれかひとつに記載のインクタンクが搭載されていることを特徴とする、インクジェット記録装置。
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---|---|---|---|
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JP2017039303A true JP2017039303A (ja) | 2017-02-23 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019181712A (ja) * | 2018-04-03 | 2019-10-24 | セイコーエプソン株式会社 | 液体噴射装置 |
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2015
- 2015-08-21 JP JP2015163942A patent/JP2017039303A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019181712A (ja) * | 2018-04-03 | 2019-10-24 | セイコーエプソン株式会社 | 液体噴射装置 |
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