以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る電子部品を示す斜視図である。なお、図1を含む以下の図では省略しているが、各部材のエッジ部分および角部分は、必要に応じて適宜、面取りされる。
図1に示す電子部品は、インダクターであり、磁性体コア1、巻線2、および磁性外装体3を有する。
図2は、図1における磁性体コア1を示す斜視図である。磁性体コア1は、略直方体形状の板状部11を有し、板状部11は、4つの側面11a,11b,11c、底面11d、および上面11eを有する。また、磁性体コア1は、板状部11の底面11dから下方へ延びる略円柱形状の芯部12を有する。つまり、芯部12は、当該電子部品の底面に対して垂直に配置される。
例えば、磁性体コア1は、フェライトコアや、金属磁性粉末を圧縮成型した圧粉コアである。特に、圧粉コアの磁性粉末としては、鉄を主成分とし、シリコン(Si)が1〜10wt%添加された磁性粉末、または、シリコン(Si)とクロム(Cr)がそれぞれ1〜10wt%添加された磁性粉末が、防錆性や比透磁率などの面で優れているので、使用上好ましい。
実施の形態1では、板状部11と芯部12は、T型コアとして一体に(つまり、1部材として)形成される。なお、磁性体コア1の表面の一部または全部は必要に応じて絶縁コーティングが施される。例えば、巻線2が接触する部分(芯部12の外周面、板状部11の底面など)に絶縁コーティングが施される。
図3は、図1における巻線2を示す斜視図である。
巻線2は、芯部12に巻回しており、平角線をエッジワイズ方式で巻回した巻回部21と、巻回部21から2つの先端22e,23eまでの2本の非巻回部22,23とを有する。図1に示すように、巻回部21には、磁性体コア1の芯部12が挿通される。
巻回部21では、平角線がエッジワイズ方式で、巻回軸に沿って螺旋状に積層させるように巻回されている。なお、エッジワイズ方式は、平角線の幅広面が巻回軸に略垂直になるようにして巻回する方式である。
この実施の形態では、2本の非巻回部22,23が同じ方向へ引き出されるように形成されている。この場合、製造上折り曲げ作業に自動機器を用いやすく、量産性向上に向いている。ただし、インダクタンス特性の調整という観点から、2本の非巻回部22,23が、互いに異なる方向へ引き出されるように形成されてもよい。
図3に示すように、2本の非巻回部22,23は、屈曲部22a,22b,23a,23bで折り曲げられて、磁性外装体3の側面および底面に沿って配置されている。
そして、2本の非巻回部22,23における、磁性外装体3の底面に沿って配置された部分22c,23cが電極部として使用される。なお、電極部(部分22c,23c)と芯部12との間には隙間があり、その隙間には磁性外装体3が充填されており、両者は互いに接触していない。
また、半田フィレットの確認のために、磁性外装体3の第1側面には、磁性外装体3の第1側面に沿って露出する第1側面露出部2a1が配置され、磁性外装体3の第2側面には、磁性外装体3の第2側面に沿って露出する第2側面露出部2b1,2b2が配置されている。
この実施の形態では、第1側面露出部2a1は、巻線2の非巻回部22の一部であり、電極部(部分22c)および巻線22の先端22eに対して電気的に接続している。
この実施の形態では、第2側面露出部2b1は、巻線2の非巻回部22の一部であり、電極部(部分22c)および巻線22の先端22eに対して電気的に接続している。
この実施の形態では、第2側面露出部2b2は、巻線2の非巻回部23の一部であり、電極部(部分23c)および巻線23の先端23eに対して電気的に接続している。
なお、図1および図3において図示されていないが、巻線2の非巻回部23の一部である別の第1側面露出部が存在する。
さらに、実施の形態1では、2本の非巻回部22,23は、屈曲部22d,23dで、巻回部21に向かって折り曲げられており、非巻回部22,23の先端22e,23eは、磁性外装体3の内部に位置している。
磁性外装体3は、巻線2の少なくとも一部および芯部12の少なくとも一部を覆うように所定の成形方法で磁性材料(フェライトや金属磁性体などの磁性粉体)および樹脂を含む混合材を成形したものである。ここでは、磁性外装体3には、金属磁性粉体が使用されている。磁性外装体3は、略直方体の外形状を有する。その略直方体の内部にその流動性のある混合材が充填され硬化されることで、磁性外装体3が形成される。なお、磁性外装体3は、例えば後述の製造方法で形成される。また、電磁気特性を調整するために、必要に応じて、磁性外装体3中の磁性粉末の量や使用する材料を変えてもよい。
磁性外装体3は、当該電子部品の底面における芯部12の周囲に、または底面全面において、充填されている。つまり、磁性外装体3の底面が当該電子部品の底面となっている。
図4は、本発明の実施の形態1に係る電子部品の一例を示す断面図である。図4に示す電子部品では、磁性外装体3は、当該電子部品の底面における芯部12の周囲に充填されている。つまり、底面においては、芯部12の先端と、その周囲で磁性外装体3が露出している。
つまり、巻線2の巻回部21と当該電子部品の底面との間に隙間41があり、その隙間41に磁性外装体3が充填されている。これにより、当該電子部品の底面側の磁路が確保される。なお、図4に示す例では、巻線2の巻回部21と板状部11との間にも隙間42があり、その隙間42に磁性外装体3が充填されている。なお、巻回部21の絶縁被膜または板状部11の絶縁被膜などで巻回部21と板状部11との間に必要な絶縁性が確保されていれば、隙間42はなくてもよい。
図5は、本発明の実施の形態1に係る電子部品の他の例を示す断面図である。図5に示す電子部品では、磁性外装体3は、当該電子部品の底面全面において充填されている。つまり、底面においては、芯部12の先端は露出しておらず、全面において磁性外装体3が露出している。
実施の形態1では、図1および図4に示すように、巻線2の巻回部21、並びに板状部11の側面11a,11b,11c、底面11d、および上面11e、さらに、磁性体コア1の芯部12を完全に覆うように、磁性外装体3が形成される。
なお、側面11a,11b,11cの一部または全部を覆わずに磁性外装体3を形成するようにしてもよい。また、上面11eを覆わずに磁性外装体3を形成するようにしてもよい。
磁性外装体3が設計上要求される絶縁性を有していない場合、磁性外装体3と巻線2との間に絶縁層が設けられる。この絶縁層は、巻線2の絶縁被膜、磁性外装体3と巻線2の電極部および側面露出部2a1,2b1,2b2との間に配置された絶縁シート、磁性外装体3の表面に施された絶縁被膜などである。なお、この絶縁シートには、例えば数十μm厚の(好ましくは0.3mm厚以上の)、ポリエステルフィルムなどの絶縁性を有する樹脂シートが使用される。また、この絶縁シートは、その中央に、芯部12の先端と同一形状の凹部や孔を有していてもよい。なお、絶縁シートの中央に孔がある場合には、芯部12の端面は、磁性外装体3の底面から露出する。
なお、巻線2において、電極部分などにおける絶縁被膜が必要に応じて剥離される。
また、磁性外装体3が設計上要求される絶縁性を有していない場合、例えば、上述の部分22c,23cのみの絶縁被膜が剥離され、部分22c,23cより先端22e,23e側の部分の絶縁被膜は剥離されない。
また、磁性外装体3が設計上要求される絶縁性を有していない場合、例えば、上述の部分22c,23cから先端22e,23eまでの絶縁被膜が剥離される場合、屈曲部22d,23dを設けず、先端22e,23eが磁性外装体3の外側に位置するようにしてもよいし、先端22e,23e(つまり、磁性外装体3の内部に位置する部分)に絶縁被膜を施して、先端22e,23eが磁性外装体3の内部に位置するようにしてもよい。
なお、磁性外装体3が設計上要求される絶縁性を有していない場合、電極部分の絶縁被膜を剥離するときには、平角線の一方の面、すなわち実装時に基板に対向する面、の絶縁被膜のみを剥離し、磁性体コア1に面する反対側の面については、絶縁被膜のみを剥離しないようにしてもよい。その場合、巻線2において、剥離された部分が磁性外装体3に接触しにくくなり、巻線2と磁性外装体3との絶縁特性が良好となる。
ただし、磁性外装体3の絶縁特性が良好である場合、上述の先端22e,23e側まで絶縁被膜を剥離してもよく、また、磁性体コア1に面する側の絶縁被膜を剥離してもよい。
ここで、実施の形態1に係る電子部品の製造方法について説明する。
第1の製造方法.
まず、平角線をエッジワイズ方式で巻回して巻線2の巻回部21が空芯コイル状に形成され、直線状の略平行な2本の非巻回部22,23が適切な長さで形成されるように平角線が切断される。
なお、平角線が絶縁被膜を有する場合には、このとき、電極部分などの所定部分の絶縁被膜が剥離される。このとき、絶縁被膜を剥離するために、例えば、紫外線発生機、カッター機、化学薬剤、またはレーザー機を利用することが可能である。特に、低コスト、局部被膜除去などを考慮すると、カッターまたはレーザーの使用が好ましい。
次に、フォーミング工程において、磁性体コア1の芯部12を巻回部21に挿通し、適切な治具または自動機器を利用して、2本の非巻回部22,23をまとめて順次折り曲げて配置して、巻線2が磁性体コア1に装着される。なお、必要に応じて、巻線2の電極部(部分22,23c)および側面露出部2a1,2b1,2b2と磁性外装体3との間に絶縁層を形成する。
そして、フォーミング工程後の巻線2および磁性体コア1が、所定の内部形状の金型内に配置される。その際、巻線2の上または上方に磁性体コア1の板状部11が位置するように、フォーミング工程後の巻線2および磁性体コア1が配置される。その際、金型の底面に、非巻回部22,23の電極部(部分22c,23c)が接触し、フォーミング工程後の巻線2および磁性体コア1は自立し、隙間41が形成される。
次に、金型内に、磁性材料および樹脂を含むスラリー状またはパテ状の混合材がディスペンサなどによって注入され所定の低圧で充填される。なお、巻線2は、このときに塑性変形しない程度の強度を有する。
スラリー状の混合材は、鉄を主成分としクロム、シリコンなどを添加した金属磁性粉末と、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの樹脂との混合物に、溶剤(アセトン、メチルエチルケトン:MEKなど)を添加して製造されており、比較的流動性が高い。
パテ状(粘土状)の混合材は、鉄を主成分としクロム、シリコン、マンガンなどを添加した金属磁性粉末と、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの樹脂との混合物に、必要に応じて溶剤(ターピネオールなど)を添加して製造されている。
例えば、パテ状の混合材は、金属磁性粉末(鉄、シリコン、およびクロムを少なくとも含有するアモルファス金属磁性粉末と鉄−シリコン−クロム系の合金粉末の1:1(wt)混合粉末)とエポキシ樹脂との構成比を91:9〜95:4(wt)として、溶剤を2%wt未満含めて(あるいは溶剤を含めずに)製造される。この混合材は、スラリー状の高い粘度を有し、混合材の塊を平面上に置いても液体のように流動、拡散しない程度に、低い流動性を有する。そのため、スラリー状の混合材より高い圧力で加圧して、パテ状の混合材が金型内に充填される。
次に、所定の乾燥条件(乾燥工程での温度条件および時間条件)下で、混合材から溶剤を蒸発させて、充填された混合材を乾燥させる。なお、溶剤を含めずに混合材を製造した場合、この乾燥工程を省くことができる。
次に、所定の硬化条件(硬化工程での温度条件および時間条件)下で、混合材を金型内で熱硬化させる。これにより、磁性外装体3が形成される。その後、金型から電子部品が取り出され、必要に応じて、磁性外装体3の表面の研磨が行われる。
第2の製造方法.
第2の製造方法では、第1の製造方法と同様に巻回部21の形成およびフォーミング工程が行われた後、巻線2の下または下方に磁性体コア1の板状部11が位置するように、フォーミング工程後の巻線2および磁性体コア1が配置される。その際、板状部11を露出させる場合には、金型の底面に、板状部11の上面11eが接触する。隙間42を形成するためには、治具を使用すればよい。
その後、第1の製造方法と同様に、混合材の充填から硬化までの処理が実行される。
第3の製造方法.
第3の製造方法では、第1の製造方法と同様に巻回部21の形成が行われた後、適切な治具または自動機器を利用して、2本の非巻回部22,23をまとめて順次折り曲げて、巻線2が生成される。
その後、巻線2の電極部(部分22,23c)を下にして、巻線2が、所定の内部形状の金型内に配置される。
次に、金型内に、磁性材料および樹脂を含むスラリー状またはパテ状の混合材がディスペンサなどによって注入され、その後、巻線2の巻回部21に磁性体コア1の芯部12が挿通され、その後、低圧力で混合材が充填され成形される。
その後、第1の製造方法と同様に、混合材の硬化までの処理が実行される。
第4の製造方法.
第4の製造方法では、第1の製造方法と同様に巻回部21の形成およびフォーミング工程が行われた後、フォーミング工程後の巻線2および磁性体コア1が横向きに配置される。
その後、第1の製造方法と同様に、混合材の充填から硬化までの処理が実行される。第4の製造方法によれば、混合材の注入時に板状部11や巻回部21が邪魔にならず円滑に混合材を注入することができる。
以上のように、実施の形態1によれば、巻線2の電極部と磁性体コア1とが互いに離間しており、巻線2の電極部と磁性体コア1との間に磁性外装体3が充填されるため、(磁性外装体3の絶縁特性によっては、巻線2の電極部と磁性外装体3との間に絶縁層が必要になるが)別途、巻線2の電極部と磁性体コア1との間に絶縁層を設ける必要がない。
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2に係る電子部品を示す斜視図である。図7は、図6における巻線および電極部材を示す斜視図である。
図6および図7に示す電子部品は、インダクターであり、磁性体コア101、巻線102、磁性外装体103、および電極部材104,105を有する。
磁性体コア101は、上述の磁性体コア1と同様の磁性体コアである。また、巻線102は、丸線を整列巻またはα巻で巻回した巻線である。巻線102には、磁性体コア101の芯部が挿通されている。
巻線102の2つの先端は、電極部材104,105にそれぞれ接続されている。実施の形態2では、巻線102は絶縁被膜を有しており、電極部材104,105に接続される先端部分の絶縁被膜が剥離され、先端部分は平板状に潰されて、電極部材104,105にそれぞれ接続される。なお、接続部104c,105cと巻線2の先端との接続は、圧着、溶接(レーザー溶接、アーク溶接、超音波溶接など、以下同様)、半田付けなどで行われる。
電極部材104,105は、銅などの導電性の材料で形成されている。電極部材104は、図6に示すように、平板状の電極部104aと、電極部104aから直立する平板状の第1側面露出部104bを有する。半田フィレットの確認のために、第1側面露出部104bは、当該電子部品の互いに対向する2つの側面の一方に沿って、磁性外装体103から露出している。また、半田フィレットの確認のために、電極部材105は、平板状の電極部105aと、電極部105aから直立する平板状の第2側面露出部105bを有する。第2側面露出部105bは、当該電子部品の互いに対向する2つの側面の他方に沿って、磁性外装体103から露出している。なお、電極部104a,105aも磁性外装体103から露出している。
さらに、第1側面露出部104bは、電極部104aに対して略平行に延びる接続部104cを有し、接続部104cには、巻線102の一方の先端が接続される。また、第2側面露出部105bは、電極部105aに対して略平行に延びる接続部105cを有し、接続部105cには、巻線102の他方の先端が接続される。
電極部104a,105aが磁性外装体103の底面に配置され側面露出部104b,105bが磁性外装体103の側面にそれぞれ配置されるように、電極部材104,105は配置される。なお、電極部材104,105と磁性体コア101の芯部との間には隙間があり、その隙間には磁性外装体103が充填されており、両者は互いに接触していない。
そして、磁性外装体103は、当該電子部品の底面における、磁性体コア101の芯部の周囲に、または底面全面において、充填されている。
なお、磁性体コア101の板状部の側面の一部または全部を覆わずに磁性外装体103を形成するようにしてもよい。また、磁性体コア101の板状部の上面を覆わずに磁性外装体103を形成するようにしてもよい。
図8は、実施の形態2に係る電子部品の一例を示す断面図である。図8に示す電子部品では、磁性外装体103は、当該電子部品の底面における磁性体コア101の芯部の周囲に充填されている。つまり、底面においては、その芯部の先端と、その周囲で磁性外装体103が露出している。
具体的には、巻線2の巻回部と当該電子部品の底面との間に隙間121があり、その隙間121に磁性外装体103が充填されている。これにより、当該電子部品の底面側の磁路が確保される。なお、図8に示す例では、巻線102の巻回部と磁性体コア101の板状部との間にも隙間122があり、その隙間122に磁性外装体103が充填されている。なお、巻線102の巻回部の絶縁被膜または磁性体コア101の板状部の絶縁被膜などでその巻回部とその板状部との間の絶縁性が確保されていれば、隙間122はなくてもよい。
なお、実施の形態1(図5)と同様に、実施の形態2において、磁性外装体103は、当該電子部品の底面全面において充填されていてもよい。その場合、底面において、磁性体コア101の芯部の先端は露出しておらず、全面において磁性外装体103が露出している。
実施の形態2では、図6および図8に示すように、巻線102の巻回部、並びに磁性体コア101の板状部の側面、底面、および上面、さらに、磁性体コア101の芯部を完全に覆うように、磁性外装体103が形成される。
磁性外装体103が設計上要求される絶縁性を有していない場合、磁性外装体103と電極部材104,105との間に絶縁層が設けられる。この絶縁層は、磁性外装体103と電極部材104,105との間に配置された絶縁シート、磁性外装体103の表面に施された絶縁被膜などである。
ここで、実施の形態2に係る電子部品の製造方法について説明する。
第1の製造方法.
まず、丸線を巻回して巻線102の巻回部が形成される。なお、丸線が絶縁被膜を有する場合には、このとき、電極部材との接続部分の絶縁被膜が実施の形態1と同様にして剥離される。
次に、巻線102の両端が、電極部材104,105にそれぞれ接続される。
図9は、実施の形態2における電極部材104,105の形成に使用される平板の一例を示す図である。その際、例えば図9に示すように、所定形状の1枚の平板151を使用して、電極部材104,105を合わせて形成してもよい。つまり、平板151の開口部152内の所定部位153に巻線102の両端を接続し、その後、その平板151を電極部材104,105の形状に(図9の場合には破線に沿って)切断して2部材とし、その2部材を(図9の場合には一点鎖線に沿って)それぞれ屈曲させて電極部材104,105を成形してもよい。
そして、巻線102および電極部材104,105が、所定の内部形状の金型内に配置される。その際、金型の底面に、巻線102が接触することなく電極部材104,105が接触し、巻線102および電極部材104,105は、図7に示すような状態で自立し、隙間121が形成される。
次に、金型内に配置された巻線102に磁性体コア101の芯部を挿通し、磁性体コア101を金型内に配置する。
そして、金型内に、実施の形態1のものと同様のスラリー状またはパテ状の混合材がディスペンサなどによって注入され所定の低圧で充填される。
次に、所定の乾燥条件(乾燥工程での温度条件および時間条件)下で、混合材から溶剤を蒸発させて、充填された混合材を乾燥させる。なお、溶剤を含めずに混合材を製造した場合、この乾燥工程を省くことができる。
次に、所定の硬化条件(硬化工程での温度条件および時間条件)下で、混合材を金型内で熱硬化させる。これにより、磁性外装体103が形成される。その後、金型から電子部品が取り出され、必要に応じて、磁性外装体103の表面の研磨が行われる。
第2の製造方法.
第2の製造方法では、磁性体コア101を配置する前に混合材を注入し、磁性体コア101を配置し、その後、混合材を所定の低圧で充填する。なお、その他の処理については第1の製造方法と同様であるので、その説明を省略する。
第3の製造方法.
第3の製造方法では、第1の製造方法と同様にして、巻線102が形成され、巻線102の両端が、電極部材104,105にそれぞれ接続される。そして、巻線102に磁性体コア101の芯部を挿通する。
次に、磁性体コア101の上または上方に巻線102および電極部材104,105が配置されるように、磁性体コア101、巻線102および電極部材104,105が、所定の内部形状の金型内に配置される。
そして、金型内に、実施の形態1のものと同様のスラリー状またはパテ状の混合材がディスペンサなどによって注入され所定の低圧で充填される。
次に、所定の乾燥条件(乾燥工程での温度条件および時間条件)下で、混合材から溶剤を蒸発させて、充填された混合材を乾燥させる。なお、溶剤を含めずに混合材を製造した場合、この乾燥工程を省くことができる。
次に、所定の硬化条件(硬化工程での温度条件および時間条件)下で、混合材を金型内で熱硬化させる。これにより、磁性外装体103が形成される。その後、金型から電子部品が取り出され、必要に応じて、磁性外装体103の表面の研磨が行われる。
第4の製造方法.
第4の製造方法では、第3の製造方法と同様にして、巻線102が形成され、巻線102の両端が、電極部材104,105にそれぞれ接続される。そして、巻線102に磁性体コア101の芯部を挿通する。
次に、磁性体コア101、巻線102および電極部材104,105が、横向きに、所定の内部形状の金型内に配置される。
その後、第3の製造方法と同様に、混合材の充填から硬化までの処理が実行される。
以上のように、実施の形態2によれば、電極部材104,105と磁性体コア101とが互いに離間しており、電極部材104,105と磁性体コア101との間に磁性外装体103が充填されるため、(磁性外装体103の絶縁特性によっては、電極部材104,105と磁性外装体103との間に絶縁層が必要になるが)別途、電極部材104,105と磁性体コア101との間に絶縁層を設ける必要がない。
実施の形態3.
図10は、本発明の実施の形態3に係る電子部品の一例を示す断面図である。実施の形態3に係る電子部品では、実施の形態2の電極部材104,105の代わりに、メッキ電極204,205が使用される。
なお、実施の形態3におけるその他の構成(磁性体コア201、巻線202、および磁性外装体203)実施の形態2のもの(磁性体コア101、巻線102、および磁性外装体103)と同様であるので、その説明を省略する。
したがって、磁性外装体203は、当該電子部品の底面における磁性体コア201の芯部の周囲に、または底面全面において、充填されている。また、磁性体コア201の板状部の上面は磁性外装体203から露出していてもよい。
実施の形態3では、巻線202の巻回部と当該電子部品の底面との間に隙間221があり、その隙間221に磁性外装体203が充填されている。これにより、当該電子部品の底面側の磁路が確保される。なお、図10に示す例では、巻線202の巻回部と磁性体コア201の板状部との間にも隙間222があり、その隙間222に磁性外装体203が充填されている。なお、巻線202の巻回部の絶縁被膜または磁性体コア201の板状部の絶縁被膜などでその巻回部とその板状部との間の絶縁性が確保されていれば、隙間222はなくてもよい。
また、メッキ電極204,205は、磁性外装体203の表面に層状に固着した金属片である。メッキ電極204,205の形成およびメッキ電極204,205と巻線202の先端との接続については、例えば特開2007−305665号公報に記載の方法で行うことができる。
メッキ電極204,205は、それぞれ、磁性外装体203の底面およびその底面に対して略垂直な側面上に形成されており、底面上に形成される部分が電極部204a,205aとなり、側面上に形成される部分が、半田フィレットの確認のための側面露出部204b,205bとなる。なお、図10においては、磁性外装体203の上面上にもメッキ電極204,205が延びているが、磁性外装体203の上面上の部分はなくてもよい。
ここで、実施の形態3に係る電子部品の製造方法について説明する。
まず、丸線を巻回して巻線102の巻回部が形成される。なお、丸線が絶縁被膜を有する場合には、このとき、電極部材との接続部分の絶縁被膜が実施の形態1と同様にして剥離される。
ここでは、上半分と下半分に分離可能な少なくとも2部材の金型が使用される。図11は、実施の形態3に係る電子部品の製造方法において使用される金型の一例を示す図である。
例えば図11に示すように、下側金型251の内部に実施の形態1,2と同様の混合材203aを敷き、磁性体コア201の芯部が上に向くように、その混合材203aの上に磁性体コア201を配置する。なお、下側金型251を可動式としてもよい。
次に、磁性体コア201の芯部に巻線102の巻回部を挿通して、巻線102の両端部分を下側金型251と上側金型252とで挟み固定して、巻線102を金型内に配置する。
そして、その金型内に、実施の形態1のものと同様のスラリー状またはパテ状の混合材がディスペンサなどによって注入され充填される。次に、所定の乾燥条件(乾燥工程での温度条件および時間条件)下で、混合材から溶剤を蒸発させて、充填された混合材を乾燥させる。
その後、金型から成形体を取り出し、巻線102の余分の先端を切り取り、メッキ電極を形成する。そして、所定の硬化条件(硬化工程での温度条件および時間条件)下で、成形体を熱硬化させる。
以上のように、実施の形態3によれば、メッキ電極204,205と磁性体コア201とが互いに離間しており、メッキ電極204,205と磁性体コア201との間に磁性外装体203が存在するため、(磁性外装体203の絶縁特性によっては、メッキ電極204,205と磁性外装体203との間に絶縁層が必要になるが)別途、メッキ電極204,205と磁性体コア201との間に絶縁層を設ける必要がない。
実施の形態4.
図12は、本発明の実施の形態4に係る電子部品の一例を示す断面図である。実施の形態4では、磁性体コア301はT型コアであり、磁性体コア301の板状部と芯部は、I型コア311および板状コア312として別々に形成され、例えば接着剤または嵌合構造により接続され、T型コアを構成する。その嵌合構造としては、例えば、板状コア312の中央に、I型コア311の端面形状に合わせた形状の凹部を設け、その凹部とI型コア311の先端とが嵌合する構造が考えられる。
なお、実施の形態4に係る電子部品のその他の構成は、実施の形態3のものと同様であるので、その説明を省略する。つまり、実施の形態4に係る電子部品は、さらに、巻線202と同様の巻線302、磁性外装体203と同様の磁性外装体303、およびメッキ電極204,205と同様のメッキ電極304,305を備える。
したがって、メッキ電極304,305は、磁性外装体303の底面およびその底面に対して略垂直な側面上に形成されており、底面上に形成される部分が電極部304a,305aとなり、側面上に形成される部分が、半田フィレットの確認のための側面露出部304b,305bとなる。なお、図12においては、磁性外装体303の上面上にもメッキ電極304,305が延びているが、磁性外装体303の上面上の部分はなくてもよい。
なお、実施の形態4では、磁性体コア301以外の構成は、実施の形態3の構成と同様であるが、その代わりに、磁性体コア301以外の構成を、実施の形態1または実施の形態2の構成と同様としてもよい。
また、実施の形態4に係る電子部品は、I型コア311および板状コア312で磁性体コア301を構成した後に、実施の形態3に係る電子部品の製造方法と同様の処理を実行することで、製造することが可能である。
また、実施の形態4に係る電子部品の製造方法として、上述の実施の形態1〜3に係る電子部品の製造方法を採用する場合、その製造方法において、金型内で、磁性体コア301のうちのI型コア311を巻線302に挿通して配置した後に、上述の混合材を注入し、上述の混合材を注入した後、I型コア311に対して板状コア312を接合させるようにしてもよい。このようにすることで、混合材の注入時に板状コア312が邪魔にならず円滑に混合材を注入することができる。
以上のように、実施の形態4によれば、メッキ電極304,305と磁性体コア301とが互いに離間しており、メッキ電極304,305と磁性体コア301との間に磁性外装体303が存在するため、(磁性外装体303の絶縁特性によっては、メッキ電極304,305と磁性外装体303との間に絶縁層が必要になるが)別途、メッキ電極304,305と磁性体コア301との間に絶縁層を設ける必要がない。
実施の形態5.
図13は、本発明の実施の形態5に係る電子部品の一例を示す断面図である。実施の形態5における磁性体コア301は、実施の形態4における磁性体コア301と同様のI型コア331および板状コア332を備える。ただし、板状コア332の中央には、I型コア311の端面形状に合わせた形状の貫通孔が設けられており、その貫通孔にI型コア311の先端部分が挿入され接合している。
なお、実施の形態5では、磁性体コア301以外の構成は、実施の形態3,4の構成と同様であるが、その代わりに、磁性体コア301以外の構成を、実施の形態1または実施の形態2の構成と同様としてもよい。なお、実施の形態5に係る電子部品の製造方法としては、実施の形態4に係る電子部品の製造方法と同様の方法を採用すればよい。
実施の形態6.
図14は、本発明の実施の形態6に係る電子部品の一例を示す断面図である。実施の形態6では、磁性体コア401は、I型コアであり、板状部を有さない。
なお、実施の形態4に係る電子部品のその他の構成は、実施の形態3のものと同様であるので、その説明を省略する。つまり、実施の形態6に係る電子部品は、さらに、巻線202と同様の巻線402、磁性外装体203と同様の磁性外装体403、およびメッキ電極204,205と同様のメッキ電極404,505を備える。
したがって、磁性外装体403は、当該電子部品の底面における磁性体コア401の芯部の周囲に、または底面全面において、充填されている。また、磁性体コア401の上面は磁性外装体403から露出していてもよい。
また、メッキ電極404,405は、磁性外装体403の底面およびその底面に対して略垂直な側面上に形成されており、底面上に形成される部分が電極部404a,405aとなり、側面上に形成される部分が、半田フィレットの確認のための側面露出部404b,405bとなる。なお、図14においては、磁性外装体403の上面上にもメッキ電極404,405が延びているが、磁性外装体403の上面上の部分はなくてもよい。
なお、実施の形態6では、磁性体コア401以外の構成は、実施の形態3の構成と同様であるが、その代わりに、磁性体コア401以外の構成を、実施の形態1または実施の形態2の構成と同様としてもよい。
また、実施の形態6に係る電子部品は、実施の形態1〜3に係る電子部品の製造方法と同様の処理を実行することで、製造することが可能である。なお、実施の形態6に係る電子部品の場合、磁性外装体403の熱硬化前に、磁性外装体403に穴を形成し、熱硬化後、その孔に磁性体コア401を挿入し固定するようにしてもよい。
以上のように、実施の形態6によれば、メッキ電極404,405と磁性体コア401とが互いに離間しており、メッキ電極404,405と磁性体コア401との間に磁性外装体403が存在するため、(磁性外装体403の絶縁特性によっては、メッキ電極404,405と磁性外装体403との間に絶縁層が必要になるが)別途、メッキ電極404,405と磁性体コア401との間に絶縁層を設ける必要がない。
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
例えば、上記の実施の形態1〜6において、磁性外装体3,103,203,303自体の絶縁特性および設計上要求される絶縁性に応じて、絶縁被膜などの絶縁層がその磁性外装体と巻線2,102,202,302,402、電極部材104,105、メッキ電極204,205,304,305,404,405との間に設けられる。