JP2017037043A - 電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器、電極チップおよびエンドトキシンの検出方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】容器1および上記容器内に固定化された試薬2を有し、試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含む。試薬と被検体とを接触させ、遊離反応終了前の、被検体および試薬の成分の混合物である反応前混合物を形成する導入工程と、電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に収容された、遊離反応終了後の混合物である反応後混合物を形成する反応工程と、反応後混合物に含まれるペプチド化合物から遊離した上記酸化還元物質を、電極と反応させ、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンを検出する検出工程とを有する。
【選択図】図1
Description
したがって、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器(以下、検出用容器と称する場合がある。)は、エンドトキシンの濃度を精度よく、かつ、容易に検出することができる。
また、上記試薬が、上記緩衝液成分を含むことにより、測定感度を向上できる。その結果、上記検出用容器は、高感度で被検体のエンドトキシン濃度を検出できる。
上記反応時間調整部を有することにより、上記検出用容器を用いて直接電気化学反応による電流値の測定を行う場合、より具体的には、上記収容部に電極を配置して測定を行う場合、上記遊離反応終了前の上記混合物である反応前混合物により上記電極が汚染されることを防止できる。このため、上記検出用容器は、エンドトキシンの濃度を精度よく検出できるからである。
したがって、上記電極チップは、エンドトキシンの濃度を精度よく、かつ、容易に検出することができる。
したがって、上記エンドトキシンの検出方法は、エンドトキシンを精度よく、かつ、容易に検出することができる。
上記反応工程を有することにより、上記電極が、上記反応前混合物により汚染されることを防止できる。このため、上記エンドトキシンの検出方法は、エンドトキシンの濃度を精度よく検出できるからである。
以下、本発明の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器、電極チップ、エンドトキシン濃度測定装置およびエンドトキシンの検出方法について詳細に説明する。
まず、本発明の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器について説明する。
本発明の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器は、容器および上記容器内に固定化された試薬を有し、上記試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むことを特徴とするものである。
なお、この例では、上記検出用容器10は、上記容器1の上面を覆う蓋部3を有し、上記蓋部3は貫通孔3aを有し、上記貫通孔3aを導入口11として用いるものである。上記容器1は、被検体を導入する導入口11と、上記反応後混合物を収容する収容部12と、上記被検体を導入する導入口11および上記収容部12の間に接続され、上記遊離反応終了まで、上記反応前混合物を保持する反応時間調整部13と、上記導入口11および上記反応時間調整部13を接続する接続部14と、を有するものである。上記試薬2の固定化位置は、上記導入口11および上記反応時間調整部13を接続する接続部14内である。
また、図1は説明の容易のため、蓋部の記載を省略するものである。
このため、上記容器に上記被検体を導入した後に、上記緩衝液を導入する工程を行うことなく、上記反応後混合物を上記容器から取り出して測定用の電極チップに導入する、または上記反応後混合物が収容されている容器内に測定用の電極を配置することで容易にエンドトキシンの濃度を検出することが可能となる。
また、上記容器に上記被検体以外に緩衝液を導入する工程を不要とすることができる結果、上記緩衝液を導入する際中に、空気中のエンドトキシンが混入することを防ぐことができ、エンドトキシンの濃度検出の精度の低下を抑制できる。
したがって、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器は、エンドトキシンの濃度を精度よく、かつ、容易に検出することができる。
なお、上記試薬が上記緩衝液成分を含むことにより、C因子および酸化還元物質が結合したペプチド化合物を含み、上記緩衝液成分を含まない従来の試薬を用いて、別途緩衝液を添加して上記遊離反応を行った場合と比較して測定感度を向上できる理由については明確ではないが、上記被検体が上記試薬と接触した際に、上記被検体と接触する、上記C因子、上記ペプチド化合物および上記緩衝液成分の濃度を高くできることが影響していると推察される。
なお、上記遊離反応は、上記C因子を、B因子および凝固酵素前駆体と共に用いる多段階反応であってもよい。
図3および図4は、上記遊離反応が多段階反応である場合の一例を示す模式図であり、上記酸化還元物質がパラメトキシアニリン(以下、単にpMAと称する場合がある。)である例およびパラアミノフェノール(以下、単位pAPと称する場合がある。)である例を示すものである。図3および図4に例示するように、多段階の遊離反応においては、エンドトキシンを含む被検体をC因子に作用させることにより、C因子から活性型C因子を、B因子から活性型B因子を、凝固酵素前駆体から活性型凝固酵素を次々に発生させ、この活性型凝固酵素により、pMAが結合したペプチド化合物およびpAPが結合したペプチド化合物から、それぞれpMAおよびpAPを遊離させる。
上記遊離反応後の上記混合物に対して、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンを定量する。すなわち、上記遊離反応後の上記混合物には、ペプチド化合物から遊離したpMAまたはpAPが存在しており、特定の電位においてpMAまたはpAPが酸化反応する。このpMAまたはpAPの酸化反応に由来する電流値と、pMAまたはpAPの濃度、すなわちエンドトキシンの濃度との間には相関が成り立ち、この相関を利用して、エンドトキシンの濃度を定量する。
以下、本発明の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器の各構成について詳細に説明する。
本発明に用いられる試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むものである。
また、上記試薬は上記容器内に固定化されているものである。
なお、固定化されているとは、上記試薬の各成分の混合物が乾燥状態で固定されていることをいうものである。
例えば、上記C因子としては、カブトガニの血球抽出成分等の生体由来成分から単離精製されたC因子、遺伝子組換え技術によって作製された組換えC因子等を適宜使用することができる。
本発明においては、なかでも、上記C因子は、B因子および凝固酵素前駆体と共に用いられること、すなわち、上記試薬が、C因子、B因子および凝固酵素前駆体を含有する多段反応用組成物を含むことが好ましい。上記多段階の遊離反応は、上記ペプチド化合物から上記酸化還元物質を効率的に遊離させることができるからである。
上記多段反応用組成物としては、C因子、B因子および凝固酵素前駆体を含むものであれば特に限定されるものではないが、例えば、Limulus Amebocyte Lysate(LAL)といわれるカブトガニの血球抽出成分により調製されたライセート試薬を用いることができる。また、カブトガニの血球抽出成分等の生体由来成分から単離精製されたC因子、B因子および凝固酵素前駆体を組み合わせて調製されたもの等、C因子、B因子および凝固酵素前駆体の少なくとも一つとして、カブトガニの血球抽出成分等の生体由来成分から単離精製されたものを組み合わせて調製されたものもライセート試薬に含まれるものである。
さらに、上記多段反応用組成物としては、遺伝子組換え技術によって作製された組換えC因子、組み換えB因子、組み換え凝固酵素前駆体を適宜使用して調製したもの等を、「LALの同等物」として用いることもできる。
上記多段反応用組成物の上記試薬中の含有量としては、例えば、電気化学的方法に用いられるエンドトキシン測定用に市販されている1テスト分のライセート試薬と同じ含有量とすることができる。
保護基Xは、ペプチドの保護基、例えば、t−ブトキシカルボニル基(Boc)、ベンゾイル基、アセテート基等を挙げることができる。
また、多段反応用組成物用のオリゴペプチドとしては、一般式:R2−A1−A2−A3−A4−Yにおけるテトラペプチドを挙げることができる。ここで、R2は水素、ブロックしている芳香族炭化水素またはアシル基を表し、A1はIle、ValまたはLeuから選択されるL−アミノ酸またはD−アミノ酸を表し、A2はGluまたはAspを表し、A3はAlaまたはCysを表し、A4はArgを表す。
オリゴペプチドの一端に酸化還元物質が結合し、他端にペプチドの保護基が結合した多段反応用組成物用のペプチド化合物としては、具体的には、Boc−Leu−Gly−Arg−Y、アセテート−Ile−Glu−Ala−Arg−Y等が挙げられる。
上記酸化還元物質としては、具体的には、pMA等を含む下記一般式(3)で示す化合物、色素、パラアミノフェノール(pAP)等を挙げることができる。
上記色素としては、具体的には、例えば、2、4−ジニトロアニリン(DNP)、p−ニトロアニリン(pNA)、7−メトキシクマリン−4−酢酸(MCA)、Dansyl色素等を挙げることができる。
例えば、上記含有量は、上記反応後混合物を形成した際に0.1mM〜5.0mMの範囲内となる量とすることができる。
上記反応後混合物の容積としては、上記被検体の容積とほぼ同量とすることができ、数μL〜数十μLの範囲内とすることができる。
上記多段反応用組成物と上記ペプチド化合物との合計の含有量としては、例えば、1mg〜10mgの範囲内とすることができ、なかでも1mg〜4mgの範囲内であることが好ましい。高価な酵素等の含有量を少ないものとすることができ、本発明の検出容器は、低価格化を図ることができるからである。
上記緩衝液成分は、酸化還元物質を安定的に遊離できる緩衝液を生成可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、pH6.0〜9.0の範囲内、中でもpH7.0〜8.5の範囲内の緩衝液の成分であることが好ましい。これにより、酸化還元物質の遊離量を増加させることができるからである。
上記緩衝液成分は、例えば、Tris−Ac緩衝液、Tris−HCl緩衝液、リン酸緩衝液、HEPES緩衝液、PIPES緩衝液等の成分が挙げられる。
例えば、上記反応後混合物を形成した際に上記各緩衝液を生成可能な量とすることができる。
上記その他の成分としては、上記ペプチド化合物から遊離した酸化還元物質と反応可能な第2酸化還元物質を挙げることができる。上記酸化還元物質と反応した後の第2酸化還元物質を電極により酸化還元反応させることで、エンドトキシンの濃度をより精度よく検出することが可能となるからである。
上記第2酸化還元物質は、上記酸化還元物質に応じて適宜選択することができる。
また、上記試薬が多孔質構造であるか非多孔質構造であるかの判断方法としては、上記固定化されている上記試薬が白濁している場合には多孔質構造であり、透明性を有している場合には非多孔質構造であると目視により判断する方法や、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察等により確認する方法が挙げられる。
上記乾燥方法としては、上記試薬溶液から水を除去できる方法であれば特に限定されるものではなく、常温および大気圧下で乾燥する方法、減圧状態で乾燥する真空乾燥法等を用いることができる。本発明においては、なかでも、上記乾燥方法が上記真空乾燥法であることが好ましい。上記乾燥方法が上記真空乾燥法であることにより、空気中のエンドトキシンの混入を防止した状態で上記試薬溶液を乾燥させることができるからである。また、短時間で常温以下での乾燥が可能となることから、低コスト化、エンドトキシンの混入リスクの低減、上記試薬に含まれるC因子、B因子および凝固酵素前駆体等が変性し活性化しない構造となることの抑制等を図ることができるからである。また、上記乾燥方法が上記真空乾燥法等である場合には、上記試薬を多孔質構造とすることができるからである。
本発明においては、特に、上記真空乾燥法が凍結乾燥法であることが好ましい。上記試薬をより低密度な多孔質構造、すなわち、より空隙部の体積が大きく、表面積の広いものとすることができ、上記試薬は、上記被検体への溶解速度に優れたものとなるからである。
一方、上記乾燥方法が大気圧下で乾燥する方法である場合には、上記試薬溶液を乾燥して試薬とするために要するコストを低コスト化することができるからである。
本発明における容器は、上記試薬が固定化されるものである。
上記容器としては、例えば、上記遊離反応終了後の、上記被検体および上記試薬の成分の混合物である反応後混合物を収容する収容部を有するものとすることができる。
上記収容部の形状としては特に限定されるものではなく、収容部の平面視形状としては、例えば円形、楕円形、矩形等を挙げることができる。
上記収容部の断面視形状は、例えば、半円形状、矩形状等とすることができる。
ディファレンシャルパルスボルタンメトリ等を用いた電気化学式のエンドトキシンの濃度検出方法では、被検体を数μL〜数十μL程度導入して測定を行うことができることから、収容部の容量としては、1mm3〜200mm3の範囲内であることが好ましく、中でも1mm3〜100mm3の範囲内、特に1mm3〜50mm3の範囲内であることが好ましい。収容部の大きさとしては、例えば収容部の平面視形状が円形の場合には、直径が1mm〜5mm程度、深さが1mm〜10mm程度とすることができる。
上記反応時間調整部を有することにより、上記検出用容器を用いて直接電気化学反応による電流値の測定を行う場合、より具体的には、上記収容部に電極を配置して測定を行う場合、上記反応前混合物により上記電極が汚染されることを防止できる。このため、上記検出用容器は、エンドトキシンの濃度を精度よく検出できるからである。
なお、図5および図6は、本発明の検出用容器の他の例を示す概略平面図および断面図であり、上記容器1が上記反応時間調整部を含まない例を示すものである。
また、既に説明した図1および図2は、上記容器1が上記反応時間調整部13を有する例を示すものである。
なお、図5および図6中の符号については、図1および図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
上記通過時間調整流路の断面視形状は、例えば、半円形状、矩形状等とすることができる。
上記通過時間調整流路の幅および深さとしては、上記反応前混合物を上記収容部に向けて安定的に流動させることができるものであればよく、例えば、0.05mm〜5mmの範囲内とすることができる。
なお、図7および図8は、本発明の検出用容器の他の例を示す概略平面図および断面図であり、上記反応時間調整部13が蛇行形状の通過時間調整流路である例を示すものである。
また、既に説明した図1および図2は、上記反応時間調整部13が直線形状の通過時間調整流路である例を示すものである。
なお、図7および図8中の符号については、図1および図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
上記反応終了時間としては、被検体に含まれるエンドトキシン濃度を精度良く測定できるものであれば良く、上記遊離反応開始から終了するまでに要する反応時間、すなわち、上記被検体と上記試薬とが接触してから上記遊離反応が終了するまでの時間とすることができる。このような反応終了時間は、上記試薬の種類、上記被検体の量、上記容器の温度条件等によって異なるものであるが、例えば、30分以上とすることができ、なかでも、60分以上であることが好ましく、特に、120分以上であることが好ましい。上記反応終了時間が上述の範囲であることにより、上記酸化還元物質を十分に遊離させることができるからである。
上記反応終了時間の上限については、長いほど好ましいため特に限定されるものではないが、測定の簡便さ、測定時間の短縮の観点から、60分以内であることが好ましい。
なお、上記試薬が多孔質構造である場合には、上記反応終了時間は、60分以内とすることができ、なかでも、10分〜40分の範囲内であることが好ましい。上記試薬が上記多孔質構造である場合、上記遊離反応の反応速度を向上させることができ、比較的短時間で上記遊離反応を終了させることができる。このため、上記反応終了時間が上記範囲内である場合でも、上記酸化還元物質を十分に遊離させることができ、精度良く測定できるからである。
なお、図9は、上記反応時間調整部13としての堰部が、流路を塞ぐように形成され、上下に移動可能な壁である開閉堰部である例を示すものであり、図9(a)は、上記開閉堰部13が流路を閉めている状態を示し、図9(b)は上記開閉堰部13が流路を開放している状態を示すものである。
なお、図9中の符号については、図1および図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
また、上記接続部の上記被検体、上記反応前混合物および上記反応後混合物等の通過距離については、上記接続部により接続される構成間の距離に応じて適宜設定されるものである。
上記排出部としては、上記反応後混合物を所望のタイミングで上記容器外に排出可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、上記堰部と同様とすることができる。
上記排出部の形成箇所としては、上記容器の端部とすることができ、上記容器部が上記収容部を有する場合には、上記収容部より排出口側とすることができる。
上記排出部は、上記反応時間調整部と組み合わせて用いられるもの、すなわち、上記容器が上記排出部および上記反応時間調整部の両者を含むものであっても良い。例えば、上記反時間調整部として通過時間調整流路と組み合わせた場合には、本発明の検出用容器は、上記反応後混合物を安定的に上記排出部より排出できるからである。
なお、図10および図11は、本発明の検出用容器の他の例を示す概略平面図および断面図であり、上記排出部15を有する例を示すものである。
図12は、排出部を用いて上記反応後混合物を排出する方法を示す工程図であり、図12(a)は、上記排出部15が流路を閉じて、上記反応後混合物61を堰き止めている状態を示し、図12(b)は上記排出部15が流路を開放し、上記反応後混合物61を排出している状態を示すものである。
なお、図10〜図12中の符号については、図1および図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
なお、図13は、上記容器1が上記収容部12等を2セット含む例を示すものである。
また、図13中の符号については、図1および図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
例えば、上記構成材料がシリコン、ガラス等である場合には、上記形成方法としては、異方性のドライエッチング、フッ酸などを用いたウェットエッチング等を用いて、上記収容部等として用いられる凹部を形成する方法等を挙げることができる。
また、上記構成材料がシリコーン樹脂等である場合には、上記形成方法としては、シリコンウェハ上に通常のフォトリソグラフィ法を用いて上記収容部等に対応する反転形状に形成したフォトレジストを鋳型として形成し、この鋳型に対して未重合のシリコーン樹脂と重合開始剤とを混合したものを流し込み、これを加熱して硬化した後、硬化したシリコーン樹脂を鋳型から引き剥がすことにより、上記収容部等として用いられる凹部を形成する方法等を挙げることができる。
上記構成材料が樹脂材料である場合には、樹脂材料に上記収容部等に対応する反転形状の凹凸が賦型された金型を押し当て、紫外線等を照射または加熱により、上記樹脂材料を硬化させ、次いで、上記金型から上記樹脂材料の硬化物を剥離することにより、上記収容部等として用いられる凹部を形成する方法等を挙げることができる。
上記形成方法は、レーザー等を用いて上記構成材料に凹部を形成する方法であっても良い。
また、上記形成方法は、上記収容部等に対応する凹部が形成された2枚の基板を準備し、この2枚の基板の上記凹部同士が対向するように貼り合わせる方法、上記凹部として開口部が形成された1枚の基板と、平板基板とを貼り合わせる方法等であっても良い。
さらに、上記容器が上記収容部のみを有するものである場合には、市販のシャーレ、ウェルプレート、試験管等を用いても良い。
上記試薬の固定化位置は、容器内であり、導入される上記被検体と接触することができる位置であれば良い。
上記固定化位置は、上記容器が上記収容部を有する場合には、上記導入口から上記収容部までの間とすることができる。上記固定化位置は、具体的には、上記収容部内、上記導入口および上記収容部を接続する接続部内等とすることができる。
上記固定化位置は、上記容器が上記反応時間調整部を有する場合には、上記導入口から上記反応時間調整部の前までの間とすることができる。上記導入口から上記反応時間調整部の前までであることにより、上記反応時間調整部としての機能を安定的に発揮できるからである。上記固定化位置は、具体的には、上記導入口および上記反応時間調整部を接続する接続部内等とすることができる。
なお、既に説明した図1および図2ならびに図7および図8は、上記固定化位置が上記導入口11および上記反応時間調整部13を接続する接続部14内である例を示すものであり、既に説明した図5および図6は、上記固定化位置が上記収容部12内である例を示すものである。
本発明の検出用容器は、容器および試薬を有するものであるが、必要に応じてその他の構成を有するものであっても良い。
上記その他の構成は、上記容器の上面を覆う蓋部を含むことが好ましい。空気中のエンドトキシン等の混入を防止することができ、さらに、上記被検体、上記反応前混合物および上記反応後混合物等からの溶媒の揮発を防ぐことができる。したがって、上記検出用容器は、エンドトキシンの濃度を精度よく検出できるからである。
なお、既に説明した図2、図6および図8は、上記検出用容器10が上記蓋部3を有する例を示すものである。
なお、既に説明した図2、図6および図8は、上記蓋部3の形状が板状である例を示すものである。
また、上記容器が、上記収容部等に対応する凹部が形成された2枚の基板を、上記凹部同士が対向するように貼り合わせた構造である場合には、一方の基板を上記蓋部として用いることができる。
上記貫通孔の大きさとしては、被検体を導入可能な大きさであればよい。図6に例示するように上記貫通孔3aの大きさは、上記収容部12の平面視上の大きさと同様であっても良い。
上記貫通孔の形状としては特に限定されないが、貫通孔の形成し易さから、貫通孔の平面視形状は円形、楕円形が好ましい。
なお、既に説明した図2、図6および図8は、上記蓋部3が貫通孔3aを有し、上記導入口11として用いられる例を示すものである。
上記被検体としては、具体的には、透析液、注射薬、移植組織片、人工授精の受精卵の培養溶液等の医薬品や、医療用具等を挙げることができる。なお、上記被検体が固体である場合には、緩衝液等の適当な溶媒に溶解または分散したものを測定対象の被検体として用いることができる。
次に、本発明の電極チップについて説明する。
本発明の電極チップは、容器および上記容器内に固定化された試薬を有し、上記試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むものである電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器と、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に収容された、遊離反応終了後の、被検体および上記試薬の成分の混合物である反応後混合物と接触可能な位置に配置された電極と、上記電極と接続され、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシン濃度を定量する測定装置と接続されるための端子と、を含むことを特徴とするものである。
なお、この例では、上記電極チップ20は、上記電極21および上記端子23を一対にして両者を電気的に接続する導線22と、上記導線22を覆う絶縁層24と、を有するものである。また、上記電極21は、作用極21a、対極21bおよび参照電極21cを有する3電極式の電極である。
また、図14および図15では、上記電極21が上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器10に含まれる容器1内に配置される例を示すものである。また、上記反応後混合物を収容することができ、かつ、上記電極21が配置される測定部25が上記収容部12であり、上記測定部25は、上記容器1と一体で形成される例を示すものである。
図16では、上記電極21が上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器10に含まれる容器1外に配置される例を示すものである。また、上記測定部25が上記収容部12とは異なるものであり、上記測定部25は、上記容器1と別体として形成される例を示すものである。
また、図14は説明の容易のため、蓋部3の記載を省略するものである。
なお、図14〜図16中の符号については、図1および図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
したがって、上記電極チップを、エンドトキシンの濃度を精度よく、かつ、容易に検出することが可能なものとすることができる。
以下、本発明の電極チップの各構成について詳細に説明する。
なお、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器については上記「A.電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明を省略する。
本発明における電極は、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に収容された、遊離反応終了後の、被検体および上記試薬の成分の混合物である反応後混合物と接触可能な位置に配置されるものである。
上記電極としては、特に限定されるものではなく、電気化学測定に用いられる一般的な電極を使用することができる。上記電極としては、例えば、グラッシーカーボン、カーボンペースト、グラファイト、ダイヤモンドライクカーボン等の炭素電極や、Au、Pt、Pd、Ni等の電気化学的に安定な金属の電極を用いることができる。
なお、上記形成箇所が上記容器外である場合、上記電極は例えば、上記反応後混合物を収容可能であり、上記容器から上記反応後混合物を導入可能に設けられた測定部内とすることができる。
本発明における端子は、上記電極と接続され、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシン濃度を定量する測定装置と接続されるためのものである。
上記端子の材料は、上記電極の材料と同様とすることができる。上記端子の材料は、検出電流値に影響を及ぼさない導電性が確保されればよく、一般的な導電材料を使用することができるが、なかでも、導電性の観点から、Au、Pt、Ag、Pd、Ni等の金属であることが好ましい。
上記端子の形成方法は、上記電極の形成方法と同様とすることができる。
また、上記端子は、電極と同時に形成してもよく、電極とは別に形成してもよい。
本発明の電極チップは、上記検出用容器、上記電極および上記端子を有するものであるが、必要に応じてその他の構成を有するものであっても良い。
上記その他の構成は、上記電極が配置され、かつ、上記反応後混合物を収容することができ、エンドトキシン濃度を定量するために電気化学反応による電流値が測定される測定部、上記電極および上記端子を電気的に接続する導線、上記導線を覆う絶縁層を含むことができる。
また、上記電極の形成箇所が上記容器外である場合、上記測定部は、上記容器から上記反応後混合物を導入可能に設けられたものであればよく、上記容器とは別体として形成されるものとすることができる。
なお、既に説明した図14および図15は、上記測定部25が上記収容部12であり上記容器1と一体で形成されている例を示すものである。また、既に説明した図16は、上記測定部25が上記収容部12とは異なるものであり上記容器1と別体として形成されている例を示すものである。
上記容器内に収容された上記反応後混合物を上記測定部に導入する方法としては、上記容器として上記排出部を有するものを用い、上記排出部を開けて上記容器内の上記反応後混合物を上記導入口から上記測定部に導入する方法を挙げることができる。
なお、既に説明した図16は、上記測定部25が上記収容部12の排出部15側に導入口26を有する例を示すものである。
上記導線の形成方法は、上記電極の形成方法と同様とすることができる。
また、上記導線は、電極と同時に形成してもよく、電極とは別に形成してもよい。
上記絶縁層の材料としては、例えば熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等を用いることができる。
上記絶縁層の形成方法としては、導線を覆い、電極および端子を覆わないように絶縁層をパターン状に形成することができる方法であればよく、例えばフォトリソグラフィ法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法等が挙げられる。
なお、上記蓋部については、上記「A.電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
次に、本発明のエンドトキシン濃度測定装置について説明する。
本発明のエンドトキシン濃度測定装置は、電極チップの端子との電気的接続に用いられる接続端子部を有するエンドトキシン濃度測定装置であって、上記電極チップは、容器および上記容器内に固定化された試薬を有し、上記試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むものである電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器と、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に収容された、遊離反応終了後の、被検体および上記試薬の成分の混合物である反応後混合物と接触可能な位置に配置された電極と、上記電極と接続され、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシン濃度を定量する測定装置と接続されるための上記端子と、を含むことを特徴とするものである。
以下、本発明のエンドトキシン濃度測定装置の各構成について詳細に説明する。
本発明における接続端子部は、電極チップの端子との電気的接続に用いられるものである。
また、上記接続端子部に含まれる接続用端子の数は、上記電極チップの端子の数に応じて異なるものであり、上記電極チップの電極が2電極式の電極である場合には2個とすることができ、上記電極チップの電極が3電極式の電極である場合には3個とすることができる。
上記接続端子部の構成材料としては、例えば、上記「B.電極チップ」の項に記載の電極の構成材料と同様とすることができる。
本発明のエンドトキシン濃度測定装置は、上記接続端子部を有するものである。
このようなエンドトキシン濃度測定装置としては、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンの濃度を定量できるものであれば特に限定されるものではなく、一般に電気化学測定に使用される装置を用いることができ、例えばポテンショスタット、電流増幅器、これらと同等の機能を持つ装置を挙げることができる。
次に、本発明のエンドトキシンの検出方法について説明する。
本発明のエンドトキシンの検出方法は、容器および上記容器内に固定化された試薬を有し、上記試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むものである電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器の導入口から被検体を導入し、上記試薬と上記被検体とを接触させ、遊離反応終了前の、上記被検体および上記試薬の成分の混合物である反応前混合物を形成する導入工程と、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に収容された、遊離反応終了後の上記混合物である反応後混合物を形成する反応工程と、上記反応後混合物に含まれる上記ペプチド化合物から遊離した上記酸化還元物質を、電極と反応させ、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンを検出する検出工程と、を有することを特徴とするものである。
なお、図19(a)および(b)は上記導入工程であり、図19(b)および(c)は上記反応工程であり、図19(d)は上記検出工程である。
図19中の符号については、図9および図14のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
また、この例は、上記検出用容器10に含まれる容器1が、上記反応時間調整部13として、流路を塞ぐように形成され、上下に移動可能な壁である開閉堰部である例を示すものである。また、図19では、上記検出用容器10の収容部12に電極21が配置された電極チップ20を用いるものである。
したがって、上記エンドトキシンの検出方法は、エンドトキシンを精度よく、かつ、容易に検出することができる。
以下、本発明のエンドトキシンの検出方法の各工程について詳細に説明する。
本発明における導入工程は、容器、および上記容器内に固定化された試薬を有し、上記試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むものである電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器の導入口から被検体を導入し、上記試薬と上記被検体とを接触させ、遊離反応終了前の、上記被検体および上記試薬の成分の混合物である反応前混合物を形成する工程である。
本工程に用いられる検出用容器については、上記「A.電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本工程における上記被検体を導入する方法としては、上記被検体を上記導入口から導入し、上記試薬と上記被検体とを接触させることができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、ピペット等を用いて上記被検体を上記導入口から上記容器内に注ぎ込む方法とすることができる。
本発明における反応工程は、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に収容された、遊離反応終了後の上記混合物である反応後混合物を形成する工程である。
上記反応工程を有することにより、上記電極が、上記反応前混合物により汚染されることを防止できる。このため、上記エンドトキシンの検出方法は、エンドトキシンの濃度を精度よく検出できるからである。
上記反応時間調整部が上記反応前混合物の上記収容部への流動を堰き止める堰部である場合には、上記遊離反応終了後まで、上記反応前混合物を堰き止める方法を用いることができる。
また、上記反応時間調整部が上記堰部である場合、上記遊離反応終了後に上記反応後混合物を通過させる通過方法としては、例えば、上記堰部が上記開閉堰部である場合には堰部を開ける方法、上記堰部が上記変形堰部である場合には上記堰部近傍に応力を付与して上記反応後混合物が流動可能な流路を形成する方法、上記堰部が上記破損堰部である場合には上記堰部近傍に応力を付与して上記堰部を破損させる方法、上記堰部が上記洗堰部である場合には上記反応後混合物に上記収容部向きの圧力を加えて押し込む方法等が挙げられる。
本発明における検出工程は、上記反応後混合物に含まれる上記ペプチド化合物から遊離した上記酸化還元物質を、電極と反応させ、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンを検出する工程である。
本発明における検出工程では、上記反応後混合物に対して、電極と反応させ、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンを検出する。すなわち、上記遊離反応後の被検体および上記試薬の成分の混合物には、ペプチド化合物から遊離した酸化還元物質が存在しており、特定の電位において、電極と反応し、酸化還元物質が酸化反応または還元反応する。この酸化還元反応に由来する電流値と、酸化還元物質の濃度、すなわちエンドトキシンの濃度との間には相関が成り立ち、この相関を利用して、エンドトキシンの検出を行うことができる。
また、上記相関を利用することで、エンドトキシンの濃度を定量することもできる。すなわち、上記検出工程は、上記エンドトキシン濃度を定量する工程であっても良い。
なお、上記反応後混合物に含まれる上記ペプチド化合物から遊離した上記酸化還元物質を、電極と反応させるとは、上記酸化還元物質自体を電極により酸化還元反応させることに限定されず、上記酸化還元物質と反応可能な第2酸化還元物質を用いて、上記酸化還元物質と反応した後の第2酸化還元物質を電極により酸化還元反応させるものも含むものである。
また、上記検量線および測定電流値からエンドトキシンの濃度を算出することもできる。
本発明のエンドトキシンの検出方法は、上記導入工程、上記反応工程および上記検出工程を有するものであるが、必要に応じてその他の工程を有するものであっても良い。
上記混合工程における上記混合物の混合方法としては、上記各成分を十分に混合できる方法であればよく、上記電極チップに振動を与える振動処理等を挙げることができる。
上記混合工程の実施時期としては、上記導入工程後から上記反応工程より前の間とすることができる。
上記温度調節工程における上記反応前混合物の温度調節方法としては、上記電極チップを加熱することで、間接的に上記混合物を加熱する加熱処理等を挙げることができる。
上記温度調節工程の実施時期としては、上記検出工程より前とすることができる。
1.測定用試薬
本実施例で使用した測定用試薬は以下の通りである。
エンドトキシン標準品は、生化学工業社製のE.Coli O113:H10株由来USP Reference Standard Endotoxinを用いた。標準エンドトキシン溶液は、生化学工業社製のエンドスペシーES24Sに添付されているエンドトキシンフリー水を用いて調製し、使用の直前に30分間ボルテックスミキサーで激しく攪拌した。なお、エンドトキシン濃度は測定溶液中の最終濃度で示した。
ライセート試薬としては、ライセート試薬が凍結乾燥状態で1テスト分ずつ専用の試験管に封入されている、生化学工業社製のエンドスペシーES24Sを用いた。
酸化還元物質としてp−アミノフェノール(pAP)を用い、ペプチド化合物としてBoc−Leu−Gly−Arg−pAP(LGR−pAP)を用いた。
LGR−pAPは、大塚製薬社製の注射用水に溶解し、10mMのストック溶液として−20℃で保管した。
緩衝液として、下記の緩衝液a〜dを準備した。
(a)緩衝液a:生化学工業社製のエンドスペシーに添付の緩衝液
(b)緩衝液b:トリス−HCl(トリスヒドロキシメチルアミノメタン(MW121.14g/mol)を超純水に溶解後(0.1M)、塩酸でpH を7.9に調整。)
(c)緩衝液c:PBS(市販ダルベッコりん酸緩衝生理食塩末(Ca、Mg不含)500ml用を500mlの超純水に溶解後、塩酸およびNaOH水溶液でpHを7.9に調整。)
(d)緩衝液d:HEPES(MW:121.14g/mol)およびKCl(MW74.55g/mol)の含有量がそれぞれ0.1Mとなるように、ともに超純水に溶解後、NaOH水溶液でpHを7.9に調整。
本実施例における電気化学測定法で用いた装置および測定法は以下の通りである。
Ivium Technologies社製のポテンショスタットCompactStat
電極チップの電極を作用極、対極および参照極として使用し、測定を行った。なお、電極チップは、下記に示す方法により作製した。
PET基材(東レ社製、ルミラー350H10)上にスクリーン印刷にてAgペーストをパターン状に塗布し、130℃で30分間焼成することで導線および端子を形成した。
次に、上記PET基材上にスクリーン印刷によりカーボンペーストをパターン状に塗布し、120℃で15分間焼成することで作用極および対極を形成した。また、上記PET基材上にスクリーン印刷によりラサ工業製のAg/AgClペーストをパターン状に塗布し、80℃で10分間焼成することで参照極を形成した。
次に、導線を被覆する目的で、上記PET基材上にUV硬化性樹脂をスクリーン印刷によりパターン状に塗布し、ウシオ社製Deep UVランプにて100秒間露光して硬化させた。これにより、電極チップを得た。
特に断りがない場合には、リニアスイープボルタンメトリ法を用い、走査速度を20mV/sとし、走査範囲を0V→0.5Vとした。
凍結乾燥状態のライセート試薬が入った試験管へ、10mMのLGR−pAP(20μL)、緩衝液a(180μL)を添加して撹拌して試薬溶液を得た。次いで、容器に上記試薬溶液を50μLずつ入れた後、凍結乾燥を行い、水を除去した。これにより、容器と、容器内に固定化された試薬とを有する電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器を形成した。
なお、凍結乾燥は最低3時間実施した。凍結乾燥条件は、−30℃以下、30Pa以下とした。具体的には、−44℃、12Paとした。
凍結乾燥状態のライセート試薬が入った試験管を、電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器とした。
実施例1で得られた電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に、それぞれ50μLずつ500EU/Lのエンドトキシン標準溶液を添加して撹拌した後37℃のインキュベータ内で10分、30分および60分反応させた。
各反応時間経過後の反応液20μLを上記「2.装置および測定法」の項に記載の電極チップ上に移動させ、リニアスイープボルタンメトリ特性を測定し、最大出力電流値を測定した。
なお、比較例1では、電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に、50μLずつ1000EU/Lのエンドトキシン標準溶液と、10mM LGR−pAP(10μL)と、緩衝液(50μL)と、を添加した以外は、実施例1の評価方法と同様にして反応液を形成し、リニアスイープボルタンメトリ特性を測定し、最大出力電流値を測定した。
反応は、エンドトキシンがC因子へ結合する反応がトリガーとなり、B因子、凝固酵素前駆体を次々に活性化してLALカスケード反応が進む。活性化した凝固酵素によりLGR−pAPから遊離したpAPを、ウェルへ挿入した電極を用いてCV法を用いて検出し、pAPの酸化反応に由来する電流を記録した。
また、図22および図23にそれぞれ反応時間が30分および60分における実施例1および比較例1の容器を用いて測定した時のボルタモグラムを示す。
さらに、下記表1および図24に反応時間に対する最大出力電流値を示す表およびグラフを示す。
1.検出用容器の準備
緩衝液b(270μL)および10mM LGR−pAP(30μL)を混合し、その内200μLを凍結乾燥状態のライセート試薬が入った試験管へ添加して撹拌して試薬溶液を得た。
次いで、試薬溶液を50μLずつ、熱乾燥試験管に入れ、−80℃で凍結し、凍結乾燥機にて、凍結乾燥を行った。
これにより、容器と、容器内に固定化された試薬とを有する電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器を形成した。
なお、得られた、電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器については、評価までの間、冷蔵保存した。
電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に、エンドトキシン濃度が1000EU/Lのエンドトキシン標準溶液50μLを導入し、37℃で最長60分間反応を行い、反応開始後0分、15分、30分、60分のタイミングで、各反応時間経過後の反応液20μLを上記「2.装置および測定法」の項に記載の電極チップ上に移動させ、サイクリックボルトメタリー特性を測定し、最大出力電流値を測定した。なお、CV測定時の電圧レンジは、0V→0.4V→−0.1Vとした。分解能は適宜調整した。結果を図25に示す。
1.検出用容器の準備
試薬溶液を25μLずつ、熱乾燥試験管に入れ、凍結乾燥を行わなかった以外、すなわち、溶液状のまま保護した以外は、実施例2と同様にして、電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器を形成した。
電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に、エンドトキシン濃度が2000EU/Lのエンドトキシン標準溶液25μLを導入した以外は、実施例2と同様にして最大出力電流値を測定した。結果を、図25に示す。
緩衝液bの代わりに緩衝液cを用いた以外は、実施例2と同様にして電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器を形成し、サイクリックボルトメタリー特性を測定し、最大出力電流値を測定した。結果を、図26に示す。
緩衝液bの代わりに緩衝液cを用いた以外は、比較例2と同様にして電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器を形成し、サイクリックボルトメタリー特性を測定し、最大出力電流値を測定した。結果を、図26に示す。
緩衝液bの代わりに緩衝液dを用いた以外は、実施例2と同様にして電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器を形成し、サイクリックボルトメタリー特性を測定し、最大出力電流値を測定した。結果を、図27に示す。
緩衝液bの代わりに緩衝液dを用いた以外は、比較例2と同様にして電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器を形成し、サイクリックボルトメタリー特性を測定し、最大出力電流値を測定した。結果を、図27に示す。
2 … 試薬
3 … 蓋部
10 … 電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器
11 … 導入口
12 … 収容部
13 … 反応時間調整部
14 … 接続部
20 … 電極チップ
21 … 電極
22 … 導線
23 … 端子
24 … 絶縁層
25 … 測定部
30 … エンドトキシン濃度測定装置
31 … 接続端子部
41 … 被検体
51 … 反応前混合物
61 … 反応後混合物
Claims (7)
- 容器および前記容器内に固定化された試薬を有し、
前記試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むことを特徴とする電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器。 - 前記試薬が多孔質構造であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器。
- 前記容器が、遊離反応終了後の、被検体および前記試薬の成分の混合物である反応後混合物を収容する収容部と、
前記被検体を導入する導入口および前記収容部の間に接続され、前記遊離反応終了まで、前記遊離反応終了前の前記混合物である反応前混合物を保持する反応時間調整部と、
を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器。 - 上記容器の上面を覆う蓋部を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器。
- 容器および前記容器内に固定化された試薬を有し、前記試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むものである電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器と、
前記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に収容された、遊離反応終了後の、被検体および前記試薬の成分の混合物である反応後混合物と接触可能な位置に配置された電極と、
前記電極と接続され、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシン濃度を定量する測定装置と接続されるための端子と、
を含むことを特徴とする電極チップ。 - 容器および前記容器内に固定化された試薬を有し、前記試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むものである電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器の導入口から被検体を導入し、前記試薬と前記被検体とを接触させ、遊離反応終了前の、前記被検体および前記試薬の成分の混合物である反応前混合物を形成する導入工程と、
前記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に収容された、遊離反応終了後の前記混合物である反応後混合物を形成する反応工程と、
前記反応後混合物に含まれる前記ペプチド化合物から遊離した前記酸化還元物質を、電極と反応させ、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンを検出する検出工程と、
を有することを特徴とするエンドトキシンの検出方法。 - 前記反応工程の前記反応後混合物を形成する方法が、前記導入口および前記反応後混合物が収容される収容部の間に接続された反応時間調整部により、前記遊離反応終了まで、前記反応前混合物を保持する方法であることを特徴とする請求項6に記載のエンドトキシンの検出方法。
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