JP2017037043A - 電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器、電極チップおよびエンドトキシンの検出方法 - Google Patents

電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器、電極チップおよびエンドトキシンの検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エンドトキシンの濃度を精度よく、かつ、容易に検出することを可能とする電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器を提供する。
【解決手段】容器1および上記容器内に固定化された試薬2を有し、試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含む。試薬と被検体とを接触させ、遊離反応終了前の、被検体および試薬の成分の混合物である反応前混合物を形成する導入工程と、電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に収容された、遊離反応終了後の混合物である反応後混合物を形成する反応工程と、反応後混合物に含まれるペプチド化合物から遊離した上記酸化還元物質を、電極と反応させ、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンを検出する検出工程とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンドトキシンの濃度を精度よく、かつ、容易に検出することを可能とする電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に関するものである。
エンドトキシンはグラム陰性菌の細胞壁に存在する物質であり、発熱性等の種々の生物活性を有している。そのため、例えば透析液、注射薬、移植組織片、人工授精の受精卵の培養溶液等の医薬品や医療用具がエンドトキシンで汚染された場合、極微量でも重篤な結果を招くことがあり、これらのエンドトキシンの汚染量は厳密に管理されなければならない。しかしながら、エンドトキシンは環境中に普遍的に存在し、さらに耐熱性を有するために加熱除去が困難であり、混入防止管理は非常に難しい。
エンドトキシンの検出試験には定性試験および定量試験があり、定性試験としてはゲル化法、定量試験としては比濁法、特許文献1に記載される比色法、蛍光法が一般に知られている。いずれの方法においても、高精度の検出を行うには煩雑な手順や長時間を要する。そのため、簡便な操作で迅速な検出方法が求められている。
このような問題に対して、特許文献2には、色素が結合したペプチドと、エンドトキシンと反応することによりペプチドから上記色素を遊離させるライセート試薬と、を含む測定用試薬を用い、ディファレンシャルパルスボルタンメトリを適用した電気化学式のエンドトキシンの濃度検出方法が記載されている。この方法においては、ディファレンシャルパルスボルタンメトリを適用することにより、ペプチドから遊離した色素の還元に由来する電流ピークと、ペプチドに結合した色素の還元に由来する電流ピークとを分離して得ることができ、エンドトキシンの濃度を高い精度で検出することができる。
特許第5118849号公報 特許第5561613号公報
しかしながら、特許文献2に記載の電気化学式のエンドトキシン濃度検出方法では、上記測定用試薬に、緩衝液を混合する工程が必要になり作業が煩雑であるといった問題がある。また、上記測定用試薬に緩衝液を混合する工程中に、空気中のエンドトキシンが混入し、上記濃度検出の精度が低下する可能性があるといった問題がある。
本発明は、エンドトキシンの濃度を精度よく、かつ、容易に検出することを可能とする電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、容器および上記容器内に固定化された試薬を有し、上記試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むことを特徴とする電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器を提供する。
本発明によれば、C因子および酸化還元物質が結合したペプチド化合物と共に、緩衝液成分を含む試薬が上記容器内に固定化されていることにより、緩衝液の添加を行うことなく被検体を上記容器内に導入することのみで、電気化学反応による電流値の測定対象となる反応後混合物、すなわち、遊離反応終了後の、上記被検体および前記試薬の成分の混合物を得ることが可能となる。
したがって、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器(以下、検出用容器と称する場合がある。)は、エンドトキシンの濃度を精度よく、かつ、容易に検出することができる。
また、上記試薬が、上記緩衝液成分を含むことにより、測定感度を向上できる。その結果、上記検出用容器は、高感度で被検体のエンドトキシン濃度を検出できる。
本発明においては、上記試薬が多孔質構造であることが好ましい。上記容器内に固定化されている上記試薬が多孔質構造であることにより、上記試薬が上記被検体に速やかに溶解するからである。その結果、上記検出用容器は、より短時間で被検体のエンドトキシン濃度を検出できるからである。
本発明においては、上記容器が、遊離反応終了後の、被検体および上記試薬の成分の混合物である反応後混合物を収容する収容部と、上記被検体を導入する導入口および上記収容部の間に接続され、上記遊離反応終了まで、上記遊離反応終了前の上記混合物である反応前混合物を保持する反応時間調整部と、を有することが好ましい。
上記反応時間調整部を有することにより、上記検出用容器を用いて直接電気化学反応による電流値の測定を行う場合、より具体的には、上記収容部に電極を配置して測定を行う場合、上記遊離反応終了前の上記混合物である反応前混合物により上記電極が汚染されることを防止できる。このため、上記検出用容器は、エンドトキシンの濃度を精度よく検出できるからである。
本発明においては、上記容器の上面を覆う蓋部を有することが好ましい。空気中のエンドトキシン等の混入を防止することができ、さらに、上記被検体、上記反応前混合物および上記反応後混合物等からの溶媒の揮発を防ぐことができる。したがって、上記検出用容器は、エンドトキシンの濃度を精度よく検出できるからである。
本発明は、容器および上記容器内に固定化された試薬を有し、上記試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むものである電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器と、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に収容された、遊離反応終了後の、被検体および上記試薬の成分の混合物である反応後混合物と接触可能な位置に配置された電極と、上記電極と接続され、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシン濃度を定量する測定装置と接続されるための端子と、を含むことを特徴とする電極チップを提供する。
本発明によれば、C因子および酸化還元物質が結合したペプチド化合物と共に、緩衝液成分を含む試薬が上記容器内に固定化されていることにより、緩衝液の添加を行うことなく被検体を上記容器内に導入することのみで、電気化学反応による電流値の測定対象となる、上記反応後混合物を得ることが可能となる。
したがって、上記電極チップは、エンドトキシンの濃度を精度よく、かつ、容易に検出することができる。
本発明は、容器および上記容器内に固定化された試薬を有し、上記試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むものである電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器の導入口から被検体を導入し、上記試薬と上記被検体とを接触させ、遊離反応終了前の、上記被検体および上記試薬の成分の混合物である反応前混合物を形成する導入工程と、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に収容された、遊離反応終了後の上記混合物である反応後混合物を形成する反応工程と、上記反応後混合物に含まれる上記ペプチド化合物から遊離した上記酸化還元物質を、電極と反応させ、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンを検出する検出工程と、を有することを特徴とするエンドトキシンの検出方法を提供する。
本発明によれば、C因子および酸化還元物質が結合したペプチド化合物と共に、緩衝液成分を含む試薬が上記容器内に固定化されている検出用容器を用いることにより、緩衝液の添加を行うことなく被検体を上記容器内に導入することのみで、電気化学反応による電流値の測定対象となる、上記反応後混合物を得ることが可能となり、また、空気中のエンドトキシンの混入等を少ないものとすることができる。
したがって、上記エンドトキシンの検出方法は、エンドトキシンを精度よく、かつ、容易に検出することができる。
本発明においては、上記反応工程の上記反応後混合物を形成する方法が、上記導入口および上記反応後混合物が収容される収容部の間に接続された反応時間調整部により、上記遊離反応終了まで、上記反応前混合物を保持する方法であることが好ましい。
上記反応工程を有することにより、上記電極が、上記反応前混合物により汚染されることを防止できる。このため、上記エンドトキシンの検出方法は、エンドトキシンの濃度を精度よく検出できるからである。
本発明は、エンドトキシンの濃度を精度よく、かつ、容易に検出することを可能とする電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器を提供できるといった効果を奏する。
本発明の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器の一例を示す概略平面図である。 図1のA−A線断面図である。 本発明における多段階反応の一例を示す模式図である。 本発明における多段階反応の他の例を示す模式図である。 本発明の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器の他の例を示す概略平面図である。 図5のB−B線断面図である。 本発明の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器の他の例を示す概略平面図である。 図7のC−C線断面図である。 本発明の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器の使用方法の一例を示す工程図である。 本発明の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器の他の例を示す概略平面図である。 図10のD−D線断面図である。 本発明の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器の使用方法の一例を示す工程図である。 本発明の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器の他の例を示す概略平面図である。 本発明の電極チップの一例を示す概略平面図である。 図14のE−E線断面図である。 本発明の電極チップの他の例を示す概略断面図である。 本発明のエンドトキシン濃度測定装置の一例を示す概略断面図である。 本発明のエンドトキシン濃度測定装置の使用方法の一例を示す工程図である。 本発明のエンドトキシンの検出方法の一例を示す工程図である。 実施例1におけるリニアスイープボルタモグラムである。 比較例1におけるリニアスイープボルタモグラムである。 実施例1および比較例1における反応時間30分でのリニアスイープボルタモグラムである。 実施例1および比較例1における反応時間60分でのリニアスイープボルタモグラムである。 実施例1および比較例1における反応時間に対するピーク電流を示すグラフである。 実施例2および比較例2における反応時間に対するピーク電流を示すグラフである。 実施例3および比較例3における反応時間に対するピーク電流を示すグラフである。 実施例4および比較例4における反応時間に対するピーク電流を示すグラフである。
本発明は、電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器、それを用いた電極チップ、それを用いてエンドトキシン濃度の検出を行うエンドトキシン濃度測定装置およびエンドトキシンの検出方法に関するものである。
以下、本発明の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器、電極チップ、エンドトキシン濃度測定装置およびエンドトキシンの検出方法について詳細に説明する。
A.電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器
まず、本発明の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器について説明する。
本発明の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器は、容器および上記容器内に固定化された試薬を有し、上記試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むことを特徴とするものである。
このような本発明の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器について図を参照して説明する。図1は、本発明の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器の一例を示す概略平面図である。図2は、図1のA−A線断面図である。図1および図2に例示するように、本発明の検出用容器10は、容器1および上記容器1内に固定化された試薬2を有し、上記試薬2は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むものである。
なお、この例では、上記検出用容器10は、上記容器1の上面を覆う蓋部3を有し、上記蓋部3は貫通孔3aを有し、上記貫通孔3aを導入口11として用いるものである。上記容器1は、被検体を導入する導入口11と、上記反応後混合物を収容する収容部12と、上記被検体を導入する導入口11および上記収容部12の間に接続され、上記遊離反応終了まで、上記反応前混合物を保持する反応時間調整部13と、上記導入口11および上記反応時間調整部13を接続する接続部14と、を有するものである。上記試薬2の固定化位置は、上記導入口11および上記反応時間調整部13を接続する接続部14内である。
また、図1は説明の容易のため、蓋部の記載を省略するものである。
本発明によれば、C因子および酸化還元物質が結合したペプチド化合物と共に、緩衝液成分を含む試薬が上記容器内に固定化されていることにより、緩衝液の添加を行うことなく被検体を上記容器内に導入することのみで、被検体および上記試薬の成分の混合物、すなわち、被検体と、C因子、ペプチド化合物および緩衝液成分等の試薬の成分との混合物を形成し、その混合物中において後述する遊離反応が進行する。このように、被検体を上記容器内に導入することのみで、電気化学反応による電流値の測定対象となる上記反応後混合物、すなわち、上記遊離反応後の、上記被検体および上記試薬の成分の混合物を得ることが可能となる。
このため、上記容器に上記被検体を導入した後に、上記緩衝液を導入する工程を行うことなく、上記反応後混合物を上記容器から取り出して測定用の電極チップに導入する、または上記反応後混合物が収容されている容器内に測定用の電極を配置することで容易にエンドトキシンの濃度を検出することが可能となる。
また、上記容器に上記被検体以外に緩衝液を導入する工程を不要とすることができる結果、上記緩衝液を導入する際中に、空気中のエンドトキシンが混入することを防ぐことができ、エンドトキシンの濃度検出の精度の低下を抑制できる。
したがって、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器は、エンドトキシンの濃度を精度よく、かつ、容易に検出することができる。
また、上記試薬が、上記緩衝液成分を含むことにより、測定感度を向上できる。その結果、上記検出用容器は、高感度で被検体のエンドトキシン濃度を検出できる。
なお、上記試薬が上記緩衝液成分を含むことにより、C因子および酸化還元物質が結合したペプチド化合物を含み、上記緩衝液成分を含まない従来の試薬を用いて、別途緩衝液を添加して上記遊離反応を行った場合と比較して測定感度を向上できる理由については明確ではないが、上記被検体が上記試薬と接触した際に、上記被検体と接触する、上記C因子、上記ペプチド化合物および上記緩衝液成分の濃度を高くできることが影響していると推察される。
ここで、上記遊離反応は、エンドトキシンを含む被検体を上記C因子に作用させることにより、C因子から活性型C因子を生成し、次いで、この活性型C因子により、酸化還元物質が結合したペプチド化合物から酸化還元物質を遊離させることができる。
なお、上記遊離反応は、上記C因子を、B因子および凝固酵素前駆体と共に用いる多段階反応であってもよい。
図3および図4は、上記遊離反応が多段階反応である場合の一例を示す模式図であり、上記酸化還元物質がパラメトキシアニリン(以下、単にpMAと称する場合がある。)である例およびパラアミノフェノール(以下、単位pAPと称する場合がある。)である例を示すものである。図3および図4に例示するように、多段階の遊離反応においては、エンドトキシンを含む被検体をC因子に作用させることにより、C因子から活性型C因子を、B因子から活性型B因子を、凝固酵素前駆体から活性型凝固酵素を次々に発生させ、この活性型凝固酵素により、pMAが結合したペプチド化合物およびpAPが結合したペプチド化合物から、それぞれpMAおよびpAPを遊離させる。
上記遊離反応後の上記混合物に対して、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンを定量する。すなわち、上記遊離反応後の上記混合物には、ペプチド化合物から遊離したpMAまたはpAPが存在しており、特定の電位においてpMAまたはpAPが酸化反応する。このpMAまたはpAPの酸化反応に由来する電流値と、pMAまたはpAPの濃度、すなわちエンドトキシンの濃度との間には相関が成り立ち、この相関を利用して、エンドトキシンの濃度を定量する。
具体的には、電極電位が酸化電位以上になると、例えば、pMAの場合には、下記式(1)のスキームに従って電子を放出し、酸化され、pAPの場合には、下記式(2)のスキームに従って電子を放出し、酸化される。
このときにpMAまたはpAPから放出されて作用極が受け取る電子が電流として観察される。電気化学反応により測定される電流値は、pMAまたはpAPの濃度に比例する。エンドトキシンの濃度および多段階反応の進行には相関があるため、エンドトキシンの濃度および生じたpMAまたはpAPの濃度、すなわち電流値にも相関が生じる。したがって、エンドトキシンの濃度および電流値の相関を示した検量線を予め作成することにより、電流値から、エンドトキシンの濃度を測定することができる。
電気化学反応を用いたエンドトキシンの濃度検出は、電極表面での反応の検出が可能となり、微量の被検体でもエンドトキシンの濃度を測定することができる。したがって、上記検出容器は、微量の被検体でもエンドトキシンの濃度検出が可能になるのみならず、迅速な検出が可能となる。さらに、C因子にB因子および凝固酵素前駆体を含むいわゆるライセート試薬や、C因子等の高価な酵素の使用を大幅に節減することができ、上記検出用容器は、安価にエンドトキシンの濃度検出ができる。
電気化学反応を用いたエンドトキシンの濃度検出方法は、比色法のように、光により検出する方法ではないため、透明性の低い被検体や、組織液等の多成分系の被検体も測定対象にできると考えられ、実用性が極めて高い。
このように本発明においては、医療現場で、手軽で迅速かつ高精度なエンドトキシンの定量が可能となり、血液と直接接する医薬品や医療器具に対して、エンドトキシンの厳重な混入防止管理を行うことができる。
本発明の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器は、上記容器および上記試薬を有するものである。
以下、本発明の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器の各構成について詳細に説明する。
1.試薬
本発明に用いられる試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むものである。
また、上記試薬は上記容器内に固定化されているものである。
なお、固定化されているとは、上記試薬の各成分の混合物が乾燥状態で固定されていることをいうものである。
上記C因子としては、エンドトキシンにより活性型C因子を生成し、さらに活性型C因子により上記ペプチド化合物から上記酸化還元物質を遊離させる遊離反応を生じさせることができるものであれば特に限定されるものではない。
例えば、上記C因子としては、カブトガニの血球抽出成分等の生体由来成分から単離精製されたC因子、遺伝子組換え技術によって作製された組換えC因子等を適宜使用することができる。
本発明においては、なかでも、上記C因子は、B因子および凝固酵素前駆体と共に用いられること、すなわち、上記試薬が、C因子、B因子および凝固酵素前駆体を含有する多段反応用組成物を含むことが好ましい。上記多段階の遊離反応は、上記ペプチド化合物から上記酸化還元物質を効率的に遊離させることができるからである。
上記多段反応用組成物としては、C因子、B因子および凝固酵素前駆体を含むものであれば特に限定されるものではないが、例えば、Limulus Amebocyte Lysate(LAL)といわれるカブトガニの血球抽出成分により調製されたライセート試薬を用いることができる。また、カブトガニの血球抽出成分等の生体由来成分から単離精製されたC因子、B因子および凝固酵素前駆体を組み合わせて調製されたもの等、C因子、B因子および凝固酵素前駆体の少なくとも一つとして、カブトガニの血球抽出成分等の生体由来成分から単離精製されたものを組み合わせて調製されたものもライセート試薬に含まれるものである。
さらに、上記多段反応用組成物としては、遺伝子組換え技術によって作製された組換えC因子、組み換えB因子、組み換え凝固酵素前駆体を適宜使用して調製したもの等を、「LALの同等物」として用いることもできる。
上記C因子または上記多段反応用組成物の上記試薬中の含有量については、安定的にエンドトキシンの濃度を検出できるものであれば特に限定されるものではなく、本発明の検出用容器の種類、サイズ等に応じて適宜設定されるものである。
上記多段反応用組成物の上記試薬中の含有量としては、例えば、電気化学的方法に用いられるエンドトキシン測定用に市販されている1テスト分のライセート試薬と同じ含有量とすることができる。
上記酸化還元物質が結合したペプチド化合物としては、酸化還元物質と、酸化還元物質が結合しているオリゴペプチドと、を有するものであればよく、オリゴペプチドの一端に酸化還元物質が結合し、他端にペプチドの保護基が結合したものを用いることができる。このようなペプチド化合物は、例えば、X−A−Yで示されるものを挙げることができる。ここで、Xは保護基、Aはオリゴペプチド、Yは上記酸化還元物質を表す。
保護基Xは、ペプチドの保護基、例えば、t−ブトキシカルボニル基(Boc)、ベンゾイル基、アセテート基等を挙げることができる。
上記オリゴペプチドとしては、C因子または多段反応用組成物の作用によって酸化還元物質を遊離することができるものであれば特に限定されるものではない。中でも、オリゴペプチドは、アミノ酸数が2〜10、特に2〜5、さらには3〜4のものが好ましい。
C因子の作用によって酸化還元物質を遊離可能なC因子用のオリゴペプチドとしては、例えば、C因子用のトリペプチドとして、Val−Pro−Arg、Asp−Pro−Arg、Leu−Gly−Arg等を挙げることができる。
また、上記多段反応用組成物の作用によって酸化還元物質を遊離可能な多段反応用組成物用のトリペプチドとしては、Leu−Gly−Arg、Thr−Gly−Arg等を例示することができる。また、多段反応用組成物用のトリペプチドとしては、例えば、一般式:R−Gly−Arg−YにおけるL−アミノ酸を有するトリペプチドを挙げることができる。ここで、RはN−ブロックされたアミノ酸を表す。
また、多段反応用組成物用のオリゴペプチドとしては、一般式:R−A−A−A−A−Yにおけるテトラペプチドを挙げることができる。ここで、Rは水素、ブロックしている芳香族炭化水素またはアシル基を表し、AはIle、ValまたはLeuから選択されるL−アミノ酸またはD−アミノ酸を表し、AはGluまたはAspを表し、AはAlaまたはCysを表し、AはArgを表す。
オリゴペプチドの一端に酸化還元物質が結合し、他端にペプチドの保護基が結合した多段反応用組成物用のペプチド化合物としては、具体的には、Boc−Leu−Gly−Arg−Y、アセテート−Ile−Glu−Ala−Arg−Y等が挙げられる。
上記酸化還元物質としては、活性化したC因子または上記活性型凝固酵素により上記ペプチド化合物から遊離することができ、さらに、特定の電位で酸化反応または還元反応を生じるものであればよい。
上記酸化還元物質としては、具体的には、pMA等を含む下記一般式(3)で示す化合物、色素、パラアミノフェノール(pAP)等を挙げることができる。
上記色素としては、具体的には、例えば、2、4−ジニトロアニリン(DNP)、p−ニトロアニリン(pNA)、7−メトキシクマリン−4−酢酸(MCA)、Dansyl色素等を挙げることができる。
(式(3)中、Rは、−O−C2n+1または−S−C2n+1であり、nは1から4までの整数である。)
本発明においては、上記一般式(3)で示した化合物がpMAであることが好ましい。上記一般式(3)で示した化合物のアルキル鎖が短い程、水溶性が高くなり、かつ、活性化したC因子または上記活性型凝固酵素が、上記ペプチド化合物に含まれるオリゴペプチドのペプチド配列を認識しやすくなる。このため、酸化還元物質としてオリゴペプチドに結合している上記一般式(3)で示す化合物がpMAであることにより、上記ペプチド化合物は、上記活性化したC因子等との反応性が高まるからである。
本発明においては、上記酸化還元物質が、pMAまたはpAPであることが好ましい。ペプチド化合物から遊離したpMAおよびpAPと、ペプチド化合物に結合したpMAおよびpAPとは、酸化還元電位が異なっており、その差が比較的大きい。そのため、ペプチド化合物から遊離したpMAおよびpAPの酸化反応に由来する電流と、ペプチド化合物に結合したpMAおよびpAPの酸化反応に由来する電流とを容易に分離して得ることができる。したがってpMAまたはpAPが結合したペプチド化合物を用いることにより、ペプチド化合物から遊離したpMAまたはpAPの濃度が極微量であっても、エンドトキシンの濃度を高い精度で検出することができるからである。
上記ペプチド化合物の上記試薬中の含有量については、安定的にエンドトキシンの濃度を検出できるものであれば特に限定されるものではなく、本発明の検出用容器の種類等に応じて適宜設定されるものである。
例えば、上記含有量は、上記反応後混合物を形成した際に0.1mM〜5.0mMの範囲内となる量とすることができる。
上記反応後混合物の容積としては、上記被検体の容積とほぼ同量とすることができ、数μL〜数十μLの範囲内とすることができる。
また、上記C因子または上記多段反応用組成物と、上記酸化還元物質が結合したペプチド化合物との合計の含有量は、安定的にエンドトキシンの濃度を検出できるものであれば特に限定されるものではなく、本発明の検出用容器の種類、サイズ等に応じて適宜設定されるものである。
上記多段反応用組成物と上記ペプチド化合物との合計の含有量としては、例えば、1mg〜10mgの範囲内とすることができ、なかでも1mg〜4mgの範囲内であることが好ましい。高価な酵素等の含有量を少ないものとすることができ、本発明の検出容器は、低価格化を図ることができるからである。
上記緩衝液成分は、緩衝液から水を乾燥除去した際に残る緩衝液の固形分であり、純水を添加することにより所望の緩衝能を示す緩衝液を生成可能なものであればよい。
上記緩衝液成分は、酸化還元物質を安定的に遊離できる緩衝液を生成可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、pH6.0〜9.0の範囲内、中でもpH7.0〜8.5の範囲内の緩衝液の成分であることが好ましい。これにより、酸化還元物質の遊離量を増加させることができるからである。
上記緩衝液成分は、例えば、Tris−Ac緩衝液、Tris−HCl緩衝液、リン酸緩衝液、HEPES緩衝液、PIPES緩衝液等の成分が挙げられる。
上記緩衝液成分の上記試薬中の含有割合については、所望のpH範囲の緩衝液を生成可能なものであれば特に限定されるものではなく、本発明の検出用容器の種類等に応じて適宜設定されるものである。
例えば、上記反応後混合物を形成した際に上記各緩衝液を生成可能な量とすることができる。
上記試薬は、C因子、ペプチド化合物および緩衝液成分を少なくとも含み、さらに、B因子および凝固酵素前駆体を含むことが好ましいものであるが、さらに必要に応じてその他の成分を含むものであっても良い。
上記その他の成分としては、上記ペプチド化合物から遊離した酸化還元物質と反応可能な第2酸化還元物質を挙げることができる。上記酸化還元物質と反応した後の第2酸化還元物質を電極により酸化還元反応させることで、エンドトキシンの濃度をより精度よく検出することが可能となるからである。
上記第2酸化還元物質は、上記酸化還元物質に応じて適宜選択することができる。
上記試薬は、多数の孔を有し、同じ体積を持つ孔の無い構造(非多孔質構造)よりも表面積が拡大されている多孔質構造であっても良く、非多孔質構造であっても良い。上記容器内に固定化されている上記試薬が多孔質構造である場合には、上記試薬が上記被検体に速やかに溶解するからである。また、上記非多孔質構造である場合には、上記試薬の乾燥方法として後述するような常温常圧での乾燥方法を用いることができ、簡便な設備で上記試薬を形成できるからである。
また、上記試薬が多孔質構造であるか非多孔質構造であるかの判断方法としては、上記固定化されている上記試薬が白濁している場合には多孔質構造であり、透明性を有している場合には非多孔質構造であると目視により判断する方法や、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察等により確認する方法が挙げられる。
上記試薬の形成方法としては、上記試薬を上記容器内に固定化できる方法であれば特に限定されるものではなく、上記C因子または上記多段反応用組成物、上記ペプチド化合物および上記緩衝液成分や、上記その他の成分等の試薬の成分を含む試薬溶液を調製した後、上記容器内の上記試薬を固定化する位置に上記試薬溶液を塗布し乾燥する方法を用いることができる。
上記乾燥方法としては、上記試薬溶液から水を除去できる方法であれば特に限定されるものではなく、常温および大気圧下で乾燥する方法、減圧状態で乾燥する真空乾燥法等を用いることができる。本発明においては、なかでも、上記乾燥方法が上記真空乾燥法であることが好ましい。上記乾燥方法が上記真空乾燥法であることにより、空気中のエンドトキシンの混入を防止した状態で上記試薬溶液を乾燥させることができるからである。また、短時間で常温以下での乾燥が可能となることから、低コスト化、エンドトキシンの混入リスクの低減、上記試薬に含まれるC因子、B因子および凝固酵素前駆体等が変性し活性化しない構造となることの抑制等を図ることができるからである。また、上記乾燥方法が上記真空乾燥法等である場合には、上記試薬を多孔質構造とすることができるからである。
本発明においては、特に、上記真空乾燥法が凍結乾燥法であることが好ましい。上記試薬をより低密度な多孔質構造、すなわち、より空隙部の体積が大きく、表面積の広いものとすることができ、上記試薬は、上記被検体への溶解速度に優れたものとなるからである。
一方、上記乾燥方法が大気圧下で乾燥する方法である場合には、上記試薬溶液を乾燥して試薬とするために要するコストを低コスト化することができるからである。
2.容器
本発明における容器は、上記試薬が固定化されるものである。
このような容器としては、上記試薬を固定化することができ、導入口から被検体を導入することにより、上記試薬と上記被検体と、を接触させ、上記遊離反応を生じさせることができるものであれば特に限定されるものではない。
上記容器としては、例えば、上記遊離反応終了後の、上記被検体および上記試薬の成分の混合物である反応後混合物を収容する収容部を有するものとすることができる。
上記収容部は、上記反応後混合物を収容するものである。
上記収容部の形状としては特に限定されるものではなく、収容部の平面視形状としては、例えば円形、楕円形、矩形等を挙げることができる。
上記収容部の断面視形状は、例えば、半円形状、矩形状等とすることができる。
ディファレンシャルパルスボルタンメトリ等を用いた電気化学式のエンドトキシンの濃度検出方法では、被検体を数μL〜数十μL程度導入して測定を行うことができることから、収容部の容量としては、1mm〜200mmの範囲内であることが好ましく、中でも1mm〜100mmの範囲内、特に1mm〜50mmの範囲内であることが好ましい。収容部の大きさとしては、例えば収容部の平面視形状が円形の場合には、直径が1mm〜5mm程度、深さが1mm〜10mm程度とすることができる。
上記容器は、上記被検体を導入する導入口および上記収容部の間に接続され、上記遊離反応終了まで、上記遊離反応終了前の上記混合物である反応前混合物を保持する反応時間調整部を有するものであることが好ましい。
上記反応時間調整部を有することにより、上記検出用容器を用いて直接電気化学反応による電流値の測定を行う場合、より具体的には、上記収容部に電極を配置して測定を行う場合、上記反応前混合物により上記電極が汚染されることを防止できる。このため、上記検出用容器は、エンドトキシンの濃度を精度よく検出できるからである。
なお、図5および図6は、本発明の検出用容器の他の例を示す概略平面図および断面図であり、上記容器1が上記反応時間調整部を含まない例を示すものである。
また、既に説明した図1および図2は、上記容器1が上記反応時間調整部13を有する例を示すものである。
なお、図5および図6中の符号については、図1および図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
上記反応時間調整部としては、上記遊離反応終了まで、上記反応前混合物を保持することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、上記反応前混合物の通過時間が上記遊離反応の反応終了時間以上となる通過距離を有する通過時間調整流路、上記遊離反応終了まで、上記反応前混合物の上記収容部への流動を堰き止める堰部等を挙げることができる。
上記通過時間調整流路の平面視形状としては、上記反応前混合物を上記収容部に向けて安定的に流動させることができるものであればよく、直線形状、複数の折れ曲がり部を有する蛇行形状等とすることができる。
上記通過時間調整流路の断面視形状は、例えば、半円形状、矩形状等とすることができる。
上記通過時間調整流路の幅および深さとしては、上記反応前混合物を上記収容部に向けて安定的に流動させることができるものであればよく、例えば、0.05mm〜5mmの範囲内とすることができる。
なお、図7および図8は、本発明の検出用容器の他の例を示す概略平面図および断面図であり、上記反応時間調整部13が蛇行形状の通過時間調整流路である例を示すものである。
また、既に説明した図1および図2は、上記反応時間調整部13が直線形状の通過時間調整流路である例を示すものである。
なお、図7および図8中の符号については、図1および図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
上記通過時間調整流路を流動する反応前混合物の流動速度は、上記流路の上記反応前混合物の流動面の上記反応前混合物に対する濡れ性を調整することにより、調整することができる。
上記通過時間調整流路の通過距離は上記反応前混合物の通過時間が上記遊離反応の反応終了時間以上となる距離であれば良く、上記流路の幅および深さ等に応じて適宜設定されるものである。
上記反応終了時間としては、被検体に含まれるエンドトキシン濃度を精度良く測定できるものであれば良く、上記遊離反応開始から終了するまでに要する反応時間、すなわち、上記被検体と上記試薬とが接触してから上記遊離反応が終了するまでの時間とすることができる。このような反応終了時間は、上記試薬の種類、上記被検体の量、上記容器の温度条件等によって異なるものであるが、例えば、30分以上とすることができ、なかでも、60分以上であることが好ましく、特に、120分以上であることが好ましい。上記反応終了時間が上述の範囲であることにより、上記酸化還元物質を十分に遊離させることができるからである。
上記反応終了時間の上限については、長いほど好ましいため特に限定されるものではないが、測定の簡便さ、測定時間の短縮の観点から、60分以内であることが好ましい。
なお、上記試薬が多孔質構造である場合には、上記反応終了時間は、60分以内とすることができ、なかでも、10分〜40分の範囲内であることが好ましい。上記試薬が上記多孔質構造である場合、上記遊離反応の反応速度を向上させることができ、比較的短時間で上記遊離反応を終了させることができる。このため、上記反応終了時間が上記範囲内である場合でも、上記酸化還元物質を十分に遊離させることができ、精度良く測定できるからである。
上記堰部は、上記遊離反応終了まで、上記反応前混合物の上記収容部への流動を堰き止めることができ、かつ、上記反応後混合物を上記収容部に流動可能なものであればよく、例えば、取り外し可能な壁、門扉等の開閉機構を有する開閉堰部;逆止弁等のように、所定の応力を付与することによる変形により上記反応後混合物が流動可能な流路を形成し、応力の解除により応力付与前の形状に戻る変形堰部;ガラス等の脆質性の材料を用いて形成された壁、厚みの薄い壁等の、所定の応力を付与することで破損し、上記反応後混合物が流動可能な開口部が形成される破損堰部;流路の下側半分等、流路の底辺から所定の高さまでのみを塞ぐ壁等、上記反応後混合物に上記収容部向きの圧力を加えた際に、上記反応後混合物が乗り越え可能な高さの洗堰部等を挙げることができる。
なお、図9は、上記反応時間調整部13としての堰部が、流路を塞ぐように形成され、上下に移動可能な壁である開閉堰部である例を示すものであり、図9(a)は、上記開閉堰部13が流路を閉めている状態を示し、図9(b)は上記開閉堰部13が流路を開放している状態を示すものである。
なお、図9中の符号については、図1および図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
上記容器は、必要に応じて、上記導入口および上記収容部の間、上記導入口および上記反応時間調整部の間、上記反応時間調整部および上記収容部の間等を接続する接続部を有するものであっても良い。
上記接続部の断面視形状、平面視形状、幅および深さについては、上記被検体、上記反応前混合物および上記反応後混合物等を安定的に流動可能なものであればよく、例えば、上記通過時間調整流路の断面視形状、平面視形状、幅および深さと同様とすることができる。
また、上記接続部の上記被検体、上記反応前混合物および上記反応後混合物等の通過距離については、上記接続部により接続される構成間の距離に応じて適宜設定されるものである。
上記容器は、上記容器内に収容されている上記反応後混合物を上記容器外に排出させるための排出部を有するものであっても良い。上記容器外で上記反応後混合物のエンドトキシン濃度の測定を上記容器外で行う場合に、上記反応後混合物の排出が容易になるからである。
上記排出部としては、上記反応後混合物を所望のタイミングで上記容器外に排出可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、上記堰部と同様とすることができる。
上記排出部の形成箇所としては、上記容器の端部とすることができ、上記容器部が上記収容部を有する場合には、上記収容部より排出口側とすることができる。
上記排出部は、上記反応時間調整部と組み合わせて用いられるもの、すなわち、上記容器が上記排出部および上記反応時間調整部の両者を含むものであっても良い。例えば、上記反時間調整部として通過時間調整流路と組み合わせた場合には、本発明の検出用容器は、上記反応後混合物を安定的に上記排出部より排出できるからである。
なお、図10および図11は、本発明の検出用容器の他の例を示す概略平面図および断面図であり、上記排出部15を有する例を示すものである。
図12は、排出部を用いて上記反応後混合物を排出する方法を示す工程図であり、図12(a)は、上記排出部15が流路を閉じて、上記反応後混合物61を堰き止めている状態を示し、図12(b)は上記排出部15が流路を開放し、上記反応後混合物61を排出している状態を示すものである。
なお、図10〜図12中の符号については、図1および図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
上記容器は、2セット以上の上記収容部12等を有するものであっても良い。
なお、図13は、上記容器1が上記収容部12等を2セット含む例を示すものである。
また、図13中の符号については、図1および図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
上記容器を構成する構成材料としては、上記容器を安定的に形成でき、上記遊離反応を阻害しないものであれば特に限定されるものではなく、シリコン、ガラス等の無機材料、アクリル樹脂、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等のシリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂材料等を挙げることができる。また、上記構成材料は単一材料であっても良く、2以上の材料を組み合わせて用いるものであっても良い。
上記容器の形成方法としては、所望の形状の上記容器を安定的に形成できる方法であれば特に限定されるものではなく、上記容器の構成材料等により適宜選択することができる。
例えば、上記構成材料がシリコン、ガラス等である場合には、上記形成方法としては、異方性のドライエッチング、フッ酸などを用いたウェットエッチング等を用いて、上記収容部等として用いられる凹部を形成する方法等を挙げることができる。
また、上記構成材料がシリコーン樹脂等である場合には、上記形成方法としては、シリコンウェハ上に通常のフォトリソグラフィ法を用いて上記収容部等に対応する反転形状に形成したフォトレジストを鋳型として形成し、この鋳型に対して未重合のシリコーン樹脂と重合開始剤とを混合したものを流し込み、これを加熱して硬化した後、硬化したシリコーン樹脂を鋳型から引き剥がすことにより、上記収容部等として用いられる凹部を形成する方法等を挙げることができる。
上記構成材料が樹脂材料である場合には、樹脂材料に上記収容部等に対応する反転形状の凹凸が賦型された金型を押し当て、紫外線等を照射または加熱により、上記樹脂材料を硬化させ、次いで、上記金型から上記樹脂材料の硬化物を剥離することにより、上記収容部等として用いられる凹部を形成する方法等を挙げることができる。
上記形成方法は、レーザー等を用いて上記構成材料に凹部を形成する方法であっても良い。
また、上記形成方法は、上記収容部等に対応する凹部が形成された2枚の基板を準備し、この2枚の基板の上記凹部同士が対向するように貼り合わせる方法、上記凹部として開口部が形成された1枚の基板と、平板基板とを貼り合わせる方法等であっても良い。
さらに、上記容器が上記収容部のみを有するものである場合には、市販のシャーレ、ウェルプレート、試験管等を用いても良い。
3.試薬の固定化位置
上記試薬の固定化位置は、容器内であり、導入される上記被検体と接触することができる位置であれば良い。
上記固定化位置は、上記容器が上記収容部を有する場合には、上記導入口から上記収容部までの間とすることができる。上記固定化位置は、具体的には、上記収容部内、上記導入口および上記収容部を接続する接続部内等とすることができる。
上記固定化位置は、上記容器が上記反応時間調整部を有する場合には、上記導入口から上記反応時間調整部の前までの間とすることができる。上記導入口から上記反応時間調整部の前までであることにより、上記反応時間調整部としての機能を安定的に発揮できるからである。上記固定化位置は、具体的には、上記導入口および上記反応時間調整部を接続する接続部内等とすることができる。
なお、既に説明した図1および図2ならびに図7および図8は、上記固定化位置が上記導入口11および上記反応時間調整部13を接続する接続部14内である例を示すものであり、既に説明した図5および図6は、上記固定化位置が上記収容部12内である例を示すものである。
4.電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器
本発明の検出用容器は、容器および試薬を有するものであるが、必要に応じてその他の構成を有するものであっても良い。
上記その他の構成は、上記容器の上面を覆う蓋部を含むことが好ましい。空気中のエンドトキシン等の混入を防止することができ、さらに、上記被検体、上記反応前混合物および上記反応後混合物等からの溶媒の揮発を防ぐことができる。したがって、上記検出用容器は、エンドトキシンの濃度を精度よく検出できるからである。
なお、既に説明した図2、図6および図8は、上記検出用容器10が上記蓋部3を有する例を示すものである。
上記蓋部の形状としては、上記容器の上面を覆うことができるものであればよく、板状とすることができる。
なお、既に説明した図2、図6および図8は、上記蓋部3の形状が板状である例を示すものである。
また、上記容器が、上記収容部等に対応する凹部が形成された2枚の基板を、上記凹部同士が対向するように貼り合わせた構造である場合には、一方の基板を上記蓋部として用いることができる。
上記蓋部は貫通孔を有していてもよい。貫通孔を導入口とすることができる。
上記貫通孔の大きさとしては、被検体を導入可能な大きさであればよい。図6に例示するように上記貫通孔3aの大きさは、上記収容部12の平面視上の大きさと同様であっても良い。
上記貫通孔の形状としては特に限定されないが、貫通孔の形成し易さから、貫通孔の平面視形状は円形、楕円形が好ましい。
なお、既に説明した図2、図6および図8は、上記蓋部3が貫通孔3aを有し、上記導入口11として用いられる例を示すものである。
上記蓋部は、再閉可能なものであっても良い。上記蓋部を開けて上記容器に上記被検体を導入した後再閉することで、空気中のエンドトキシン等の混入を防止することができ、上記検出用容器を、上記濃度検出の精度に優れたものとすることができるからである。
本発明の検出用容器は、被検体のエンドトキシン濃度の検出に用いられるものであり、電気化学反応による電流値の測定対象となる上記反応後混合物の形成に用いられるものである。
上記被検体としては、具体的には、透析液、注射薬、移植組織片、人工授精の受精卵の培養溶液等の医薬品や、医療用具等を挙げることができる。なお、上記被検体が固体である場合には、緩衝液等の適当な溶媒に溶解または分散したものを測定対象の被検体として用いることができる。
B.電極チップ
次に、本発明の電極チップについて説明する。
本発明の電極チップは、容器および上記容器内に固定化された試薬を有し、上記試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むものである電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器と、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に収容された、遊離反応終了後の、被検体および上記試薬の成分の混合物である反応後混合物と接触可能な位置に配置された電極と、上記電極と接続され、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシン濃度を定量する測定装置と接続されるための端子と、を含むことを特徴とするものである。
このような本発明の電極チップについて図を参照して説明する。図14は、本発明の電極チップの一例を示す概略平面図である。図15は、図14のE−E線断面図である。また、図16は、本発明の電極チップの他の例を示す概略断面図である。図14〜図16に例示するように、本発明の電極チップ20は、容器1および上記容器1内に固定化された試薬2を有し、上記試薬2は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むものである電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器10と、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器10に収容された上記反応後混合物と接触可能な位置に配置された電極21と、上記電極21と接続され、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシン濃度を定量する測定装置と接続されるための端子23と、を有するものである。
なお、この例では、上記電極チップ20は、上記電極21および上記端子23を一対にして両者を電気的に接続する導線22と、上記導線22を覆う絶縁層24と、を有するものである。また、上記電極21は、作用極21a、対極21bおよび参照電極21cを有する3電極式の電極である。
また、図14および図15では、上記電極21が上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器10に含まれる容器1内に配置される例を示すものである。また、上記反応後混合物を収容することができ、かつ、上記電極21が配置される測定部25が上記収容部12であり、上記測定部25は、上記容器1と一体で形成される例を示すものである。
図16では、上記電極21が上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器10に含まれる容器1外に配置される例を示すものである。また、上記測定部25が上記収容部12とは異なるものであり、上記測定部25は、上記容器1と別体として形成される例を示すものである。
また、図14は説明の容易のため、蓋部3の記載を省略するものである。
なお、図14〜図16中の符号については、図1および図2のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
本発明によれば、C因子および酸化還元物質が結合したペプチド化合物と共に、緩衝液成分を含む試薬が上記容器内に固定化されていることにより、緩衝液の添加を行うことなく被検体を上記容器内に導入することのみで、電気化学反応による電流値の測定対象となる、上記反応後混合物を得ることが可能となる。
したがって、上記電極チップを、エンドトキシンの濃度を精度よく、かつ、容易に検出することが可能なものとすることができる。
本発明の電極チップは、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器、上記電極および上記端子を有するものである。
以下、本発明の電極チップの各構成について詳細に説明する。
なお、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器については上記「A.電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明を省略する。
1.電極
本発明における電極は、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に収容された、遊離反応終了後の、被検体および上記試薬の成分の混合物である反応後混合物と接触可能な位置に配置されるものである。
上記電極としては、特に限定されるものではなく、電気化学測定に用いられる一般的な電極を使用することができる。上記電極としては、例えば、グラッシーカーボン、カーボンペースト、グラファイト、ダイヤモンドライクカーボン等の炭素電極や、Au、Pt、Pd、Ni等の電気化学的に安定な金属の電極を用いることができる。
上記電極としては、作用極および対極を含む2電極式の電極、作用極、対極および参照電極を含む3電極式の電極、2本の作用極と対極および参照電極とを含む4電極式の電極等を用いることができるが、通常、上記3電極式の電極が用いられる。
上記電極の形成箇所としては、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に収容された上記反応後混合物と接触可能な位置であれば特に限定されるものではなく、上記検出用容器に含まれる容器内であっても良く、上記検出用容器に含まれる容器外であっても良い。
なお、上記形成箇所が上記容器外である場合、上記電極は例えば、上記反応後混合物を収容可能であり、上記容器から上記反応後混合物を導入可能に設けられた測定部内とすることができる。
上記電極の形成方法としては、上記容器内に上記電極を安定的に形成できる方法であれば特に限定されるものではないが、上記容器を準備し上記容器内に導電膜を形成した後にフォトリソグラフィ法により上記導電膜をパターニングする方法や、マスク蒸着法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法等を用いて所望のパターン状の電極を形成する方法が挙げられる。
2.端子
本発明における端子は、上記電極と接続され、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシン濃度を定量する測定装置と接続されるためのものである。
上記端子の材料は、上記電極の材料と同様とすることができる。上記端子の材料は、検出電流値に影響を及ぼさない導電性が確保されればよく、一般的な導電材料を使用することができるが、なかでも、導電性の観点から、Au、Pt、Ag、Pd、Ni等の金属であることが好ましい。
上記端子の形成方法は、上記電極の形成方法と同様とすることができる。
また、上記端子は、電極と同時に形成してもよく、電極とは別に形成してもよい。
3.電極チップ
本発明の電極チップは、上記検出用容器、上記電極および上記端子を有するものであるが、必要に応じてその他の構成を有するものであっても良い。
上記その他の構成は、上記電極が配置され、かつ、上記反応後混合物を収容することができ、エンドトキシン濃度を定量するために電気化学反応による電流値が測定される測定部、上記電極および上記端子を電気的に接続する導線、上記導線を覆う絶縁層を含むことができる。
上記測定部は、上記電極の形成箇所に応じて形成されるものである。例えば、上記電極が上記容器に含まれる上記収容部内に配置される場合、上記収容部が上記測定部として用いられ、上記測定部は上記収容部を含む容器と一体として形成されるものとすることができる。
また、上記電極の形成箇所が上記容器外である場合、上記測定部は、上記容器から上記反応後混合物を導入可能に設けられたものであればよく、上記容器とは別体として形成されるものとすることができる。
なお、既に説明した図14および図15は、上記測定部25が上記収容部12であり上記容器1と一体で形成されている例を示すものである。また、既に説明した図16は、上記測定部25が上記収容部12とは異なるものであり上記容器1と別体として形成されている例を示すものである。
上記測定部が上記容器とは別体として形成される場合、上記測定部は、上記容器から上記反応後混合物を導入可能に設けられたものであればよく、上記容器から上記反応後混合物が導入可能な導入口を有するものとすることができる。
上記容器内に収容された上記反応後混合物を上記測定部に導入する方法としては、上記容器として上記排出部を有するものを用い、上記排出部を開けて上記容器内の上記反応後混合物を上記導入口から上記測定部に導入する方法を挙げることができる。
なお、既に説明した図16は、上記測定部25が上記収容部12の排出部15側に導入口26を有する例を示すものである。
上記容器と別体として形成される上記測定部の平面視形状、断面視形状および容量としては、上記電極が配置され、かつ、上記反応後混合物を収容することができるものであれば特に限定されるものではないが、上記「A.電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器」の項に記載の収容部と同様とすることができる。
上記導線の材料は、上記電極の材料と同様とすることができる。上記導線の材料は、検出電流値に影響を及ぼさない導電性が確保されればよく、一般的な導電材料を使用することができるが、なかでも、導電性の観点から、Au、Pt、Ag、Pd、Ni等の金属であることが好ましい。
上記導線の形成方法は、上記電極の形成方法と同様とすることができる。
また、上記導線は、電極と同時に形成してもよく、電極とは別に形成してもよい。
上記電極チップは、導線を覆うように絶縁層を有するものとすることができる。絶縁層により、導線の酸化を抑制するとともに、ショートを防ぐことができるからである。
上記絶縁層の材料としては、例えば熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等を用いることができる。
上記絶縁層の形成方法としては、導線を覆い、電極および端子を覆わないように絶縁層をパターン状に形成することができる方法であればよく、例えばフォトリソグラフィ法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法等が挙げられる。
上記その他の構成は、上記容器および上記測定部の上面を覆う蓋部を含むことが好ましい。空気中のエンドトキシン等の混入を防止することができ、上記電極チップは、上記濃度検出の精度に優れたものとなるからである。
なお、上記蓋部については、上記「A.電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
C.エンドトキシン濃度測定装置
次に、本発明のエンドトキシン濃度測定装置について説明する。
本発明のエンドトキシン濃度測定装置は、電極チップの端子との電気的接続に用いられる接続端子部を有するエンドトキシン濃度測定装置であって、上記電極チップは、容器および上記容器内に固定化された試薬を有し、上記試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むものである電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器と、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に収容された、遊離反応終了後の、被検体および上記試薬の成分の混合物である反応後混合物と接触可能な位置に配置された電極と、上記電極と接続され、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシン濃度を定量する測定装置と接続されるための上記端子と、を含むことを特徴とするものである。
このような本発明のエンドトキシン濃度測定装置について図を参照して説明する。図17は、本発明の濃度測定装置30の一例を示す概略図である。図17に例示するように、本発明のエンドトキシン濃度測定装置30は、電極チップの端子との電気的接続に用いられる接続端子部31を有するものであって、上記電極チップは、容器および上記容器内に固定化された試薬を有し、上記試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むものである電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器と、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に収容された、遊離反応終了後の、被検体および上記試薬の成分の混合物である反応後混合物と接触可能な位置に配置された電極と、上記電極と接続され、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシン濃度を定量する測定装置と接続されるための上記端子と、を含むものである。
図18は、本発明のエンドトキシン濃度測定装置の使用方法の一例を示す工程図である。図18に例示するように、本発明のエンドトキシン濃度測定装置の使用方法は、本発明のエンドトキシン濃度測定装置30と、上記電極チップ20と、を準備し、上記電極チップ20を上記エンドトキシン濃度測定装置30に所定の力pで押し込むことにより(図18(a))、上記電極チップ20の上記端子23と、上記エンドトキシン濃度測定装置30が有する接続端子部31とを接触させた後、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンの濃度を定量する方法とすることができる(図18(b))。
本発明によれば、上述の電極チップと共に用いられることにより、上記エンドトキシン濃度測定装置を、エンドトキシンの濃度を精度よく検出可能なものとすることができる。
本発明のエンドトキシン濃度測定装置は、上記接続端子部を有するものである。
以下、本発明のエンドトキシン濃度測定装置の各構成について詳細に説明する。
1.接続端子部
本発明における接続端子部は、電極チップの端子との電気的接続に用いられるものである。
また、上記接続端子部に含まれる接続用端子の数は、上記電極チップの端子の数に応じて異なるものであり、上記電極チップの電極が2電極式の電極である場合には2個とすることができ、上記電極チップの電極が3電極式の電極である場合には3個とすることができる。
上記接続端子部の構成材料としては、例えば、上記「B.電極チップ」の項に記載の電極の構成材料と同様とすることができる。
上記接続端子部の数は、1台のエンドトキシン濃度測定装置当たり少なくとも1以上であればよいが、2以上であっても良い。上記接続端子部の数が2以上であることで、2以上の電極チップを用いて同時にエンドトキシン濃度の測定を行うことができるからである。
なお、上記電極チップについては、上記「B.電極チップ」の項に記載の内容と同様とすることができるのでここでの説明を省略する。
2.エンドトキシン濃度測定装置
本発明のエンドトキシン濃度測定装置は、上記接続端子部を有するものである。
このようなエンドトキシン濃度測定装置としては、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンの濃度を定量できるものであれば特に限定されるものではなく、一般に電気化学測定に使用される装置を用いることができ、例えばポテンショスタット、電流増幅器、これらと同等の機能を持つ装置を挙げることができる。
D.エンドトキシンの検出方法
次に、本発明のエンドトキシンの検出方法について説明する。
本発明のエンドトキシンの検出方法は、容器および上記容器内に固定化された試薬を有し、上記試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むものである電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器の導入口から被検体を導入し、上記試薬と上記被検体とを接触させ、遊離反応終了前の、上記被検体および上記試薬の成分の混合物である反応前混合物を形成する導入工程と、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に収容された、遊離反応終了後の上記混合物である反応後混合物を形成する反応工程と、上記反応後混合物に含まれる上記ペプチド化合物から遊離した上記酸化還元物質を、電極と反応させ、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンを検出する検出工程と、を有することを特徴とするものである。
このような本発明のエンドトキシンの検出方法について図を参照して説明する。図19は、本発明のエンドトキシンの検出方法の一例を示す工程図である。図19に例示するように、本発明のエンドトキシンの検出方法は、容器1および上記容器1内に固定化された試薬2を有し、上記試薬2は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むものである電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器10の導入口11から被検体41を導入し、上記試薬2と上記被検体41とを接触させ(図19(a))、遊離反応終了前の、被検体および上記試薬の成分の混合物である反応前混合物51を形成し(図19(b))、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器10に収容された、遊離反応終了後の上記混合物である反応後混合物61を形成し(図19(c))、上記反応後混合物61に含まれる上記ペプチド化合物から遊離した上記酸化還元物質を、電極21と接触させることで、電極21と反応させ、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンを検出する方法である(図19(d))。
なお、図19(a)および(b)は上記導入工程であり、図19(b)および(c)は上記反応工程であり、図19(d)は上記検出工程である。
図19中の符号については、図9および図14のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
また、この例は、上記検出用容器10に含まれる容器1が、上記反応時間調整部13として、流路を塞ぐように形成され、上下に移動可能な壁である開閉堰部である例を示すものである。また、図19では、上記検出用容器10の収容部12に電極21が配置された電極チップ20を用いるものである。
本発明によれば、C因子および酸化還元物質が結合したペプチド化合物と共に、緩衝液成分を含む試薬が上記容器内に固定化されている検出用容器を用いることにより、緩衝液の添加を行うことなく被検体を上記容器内に導入することのみで、電気化学反応による電流値の測定対象となる、上記反応後混合物を得ることが可能となり、また、空気中のエンドトキシンの混入等を少ないものとすることができる。
したがって、上記エンドトキシンの検出方法は、エンドトキシンを精度よく、かつ、容易に検出することができる。
本発明のエンドトキシンの検出方法は、上記導入工程、上記反応工程および上記検出工程を有するものである。
以下、本発明のエンドトキシンの検出方法の各工程について詳細に説明する。
1.導入工程
本発明における導入工程は、容器、および上記容器内に固定化された試薬を有し、上記試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むものである電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器の導入口から被検体を導入し、上記試薬と上記被検体とを接触させ、遊離反応終了前の、上記被検体および上記試薬の成分の混合物である反応前混合物を形成する工程である。
本工程に用いられる検出用容器については、上記「A.電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本工程における上記被検体を導入する方法としては、上記被検体を上記導入口から導入し、上記試薬と上記被検体とを接触させることができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、ピペット等を用いて上記被検体を上記導入口から上記容器内に注ぎ込む方法とすることができる。
2.反応工程
本発明における反応工程は、上記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に収容された、遊離反応終了後の上記混合物である反応後混合物を形成する工程である。
本工程において、上記反応後混合物を形成する方法としては、上記反応後混合物を安定的に形成できる方法であれば特に限定されるものではないが、上記導入口および上記反応後混合物が収容される収容部の間に接続された反応時間調整部により、上記遊離反応終了まで、上記反応前混合物を保持する方法であることが好ましい。
上記反応工程を有することにより、上記電極が、上記反応前混合物により汚染されることを防止できる。このため、上記エンドトキシンの検出方法は、エンドトキシンの濃度を精度よく検出できるからである。
上記反応時間調整部としては、上記被検体を導入する導入口および上記収容部の間に接続され、上記遊離反応終了まで、上記遊離反応終了前の上記混合物である反応前混合物を保持することができるものであれば特に限定されるものではなく、上記「A.電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本工程における上記遊離反応終了まで、上記反応前混合物を上記反応時間調整部で保持し、上記反応後混合物を形成する方法としては、上記反応時間調整部の種類に応じて異なるものである。
例えば、上記反応時間調整部が上記通過時間調整流路である場合には、上記方法は、上記通過時間調整流路の上記反応前混合物の通過距離、幅、高さを調整する方法とすることができる。また、上記方法は、上記通過時間調整流路の上記反応前混合物に対する濡れ性を調整する方法であっても良い。
上記反応時間調整部が上記反応前混合物の上記収容部への流動を堰き止める堰部である場合には、上記遊離反応終了後まで、上記反応前混合物を堰き止める方法を用いることができる。
また、上記反応時間調整部が上記堰部である場合、上記遊離反応終了後に上記反応後混合物を通過させる通過方法としては、例えば、上記堰部が上記開閉堰部である場合には堰部を開ける方法、上記堰部が上記変形堰部である場合には上記堰部近傍に応力を付与して上記反応後混合物が流動可能な流路を形成する方法、上記堰部が上記破損堰部である場合には上記堰部近傍に応力を付与して上記堰部を破損させる方法、上記堰部が上記洗堰部である場合には上記反応後混合物に上記収容部向きの圧力を加えて押し込む方法等が挙げられる。
3.検出工程
本発明における検出工程は、上記反応後混合物に含まれる上記ペプチド化合物から遊離した上記酸化還元物質を、電極と反応させ、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンを検出する工程である。
本発明における検出工程では、上記反応後混合物に対して、電極と反応させ、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンを検出する。すなわち、上記遊離反応後の被検体および上記試薬の成分の混合物には、ペプチド化合物から遊離した酸化還元物質が存在しており、特定の電位において、電極と反応し、酸化還元物質が酸化反応または還元反応する。この酸化還元反応に由来する電流値と、酸化還元物質の濃度、すなわちエンドトキシンの濃度との間には相関が成り立ち、この相関を利用して、エンドトキシンの検出を行うことができる。
また、上記相関を利用することで、エンドトキシンの濃度を定量することもできる。すなわち、上記検出工程は、上記エンドトキシン濃度を定量する工程であっても良い。
なお、上記反応後混合物に含まれる上記ペプチド化合物から遊離した上記酸化還元物質を、電極と反応させるとは、上記酸化還元物質自体を電極により酸化還元反応させることに限定されず、上記酸化還元物質と反応可能な第2酸化還元物質を用いて、上記酸化還元物質と反応した後の第2酸化還元物質を電極により酸化還元反応させるものも含むものである。
電気化学反応による測定方法としては、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンの検出またはエンドトキシンの濃度を定量できる方法であれば特に限定されるものではなく、例えばアンペロメトリ法、ボルタンメトリ法等が挙げられる。アンペロメトリ法としては、クロノアンペロメトリ法が例示される。ボルタンメトリ法としては、ノーマルパルスボルタンメトリ法、ディファレンシャルパルスボルタンメトリ法、サイクリックボルタンメトリ法、リニアスイープボルタンメトリ法等が例示される。中でも、測定が簡単であることから、アンペロメトリ法が好ましい。
アンペロメトリ法による測定においては、例えば、上記反応後混合物に、電極を入れ、アンペロメトリ法に基づく測定を行う。すなわち、作用極に一定電位を印加した状態で、流れる電流を測定する。電位は参照極に対して制御し、電流は作用極および対極の間を流れる。電流値が小さいとき等には、対極を設けずに、参照極に対極の役割を担わせてもよい。また、上記の一定電位を電極に印加開始してから一定時間経過後の電流を測定する方法は、一定時間後の電流値を一点または複数点読み取る方法であっても良く、電圧印加時間を横軸に、電流値を縦軸にプロットしたグラフを用いる方法であっても良い。エンドトキシンの濃度および一定時間経過後の電流値の相関を示した検量線を予め作成することにより、測定電流値からエンドトキシンの検出、すなわち、エンドトキシンの存在の有無を判断できる。エンドトキシンの存在の有無の判断方法としては、例えば、上記検量線からエンドトキシンが存在すると判断できる電流値である閾値を設定し、その閾値以上の電流値が測定されるか否かにより判断する方法を用いることができる。
また、上記検量線および測定電流値からエンドトキシンの濃度を算出することもできる。
4.エンドトキシンの検出方法
本発明のエンドトキシンの検出方法は、上記導入工程、上記反応工程および上記検出工程を有するものであるが、必要に応じてその他の工程を有するものであっても良い。
上記その他の工程は、上記導入工程後に、上記反応前混合物の各成分を混合する混合工程を含むことが好ましい。上記混合工程を有することにより、上記混合物を各成分が十分に混合したものとすることが可能となるからである。
上記混合工程における上記混合物の混合方法としては、上記各成分を十分に混合できる方法であればよく、上記電極チップに振動を与える振動処理等を挙げることができる。
上記混合工程の実施時期としては、上記導入工程後から上記反応工程より前の間とすることができる。
上記その他の工程は、上記反応前混合物を保持する間、上記反応前混合物を所定の温度に調節する温度調節工程を含むことが好ましい。上記多段階反応および上記遊離反応を活性化することができるからである。本工程により調節される上記反応前混合物の温度としては、20℃〜50℃の範囲内であることが好ましく、なかでも25〜45℃の範囲内であることが好ましく、特に30℃〜40℃の範囲内であることが好ましく、なかでも特に37℃程度であることが好ましい。
上記温度調節工程における上記反応前混合物の温度調節方法としては、上記電極チップを加熱することで、間接的に上記混合物を加熱する加熱処理等を挙げることができる。
上記温度調節工程の実施時期としては、上記検出工程より前とすることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[準備]
1.測定用試薬
本実施例で使用した測定用試薬は以下の通りである。
(1)標準エンドトキシン溶液
エンドトキシン標準品は、生化学工業社製のE.Coli O113:H10株由来USP Reference Standard Endotoxinを用いた。標準エンドトキシン溶液は、生化学工業社製のエンドスペシーES24Sに添付されているエンドトキシンフリー水を用いて調製し、使用の直前に30分間ボルテックスミキサーで激しく攪拌した。なお、エンドトキシン濃度は測定溶液中の最終濃度で示した。
(2)ライセート試薬
ライセート試薬としては、ライセート試薬が凍結乾燥状態で1テスト分ずつ専用の試験管に封入されている、生化学工業社製のエンドスペシーES24Sを用いた。
(3)ペプチド化合物
酸化還元物質としてp−アミノフェノール(pAP)を用い、ペプチド化合物としてBoc−Leu−Gly−Arg−pAP(LGR−pAP)を用いた。
LGR−pAPは、大塚製薬社製の注射用水に溶解し、10mMのストック溶液として−20℃で保管した。
(4)緩衝液
緩衝液として、下記の緩衝液a〜dを準備した。
(a)緩衝液a:生化学工業社製のエンドスペシーに添付の緩衝液
(b)緩衝液b:トリス−HCl(トリスヒドロキシメチルアミノメタン(MW121.14g/mol)を超純水に溶解後(0.1M)、塩酸でpH を7.9に調整。)
(c)緩衝液c:PBS(市販ダルベッコりん酸緩衝生理食塩末(Ca、Mg不含)500ml用を500mlの超純水に溶解後、塩酸およびNaOH水溶液でpHを7.9に調整。)
(d)緩衝液d:HEPES(MW:121.14g/mol)およびKCl(MW74.55g/mol)の含有量がそれぞれ0.1Mとなるように、ともに超純水に溶解後、NaOH水溶液でpHを7.9に調整。
2.装置および測定法
本実施例における電気化学測定法で用いた装置および測定法は以下の通りである。
(1)測定装置
Ivium Technologies社製のポテンショスタットCompactStat
(2)電極
電極チップの電極を作用極、対極および参照極として使用し、測定を行った。なお、電極チップは、下記に示す方法により作製した。
(a)導線および端子の形成
PET基材(東レ社製、ルミラー350H10)上にスクリーン印刷にてAgペーストをパターン状に塗布し、130℃で30分間焼成することで導線および端子を形成した。
(b)電極の形成
次に、上記PET基材上にスクリーン印刷によりカーボンペーストをパターン状に塗布し、120℃で15分間焼成することで作用極および対極を形成した。また、上記PET基材上にスクリーン印刷によりラサ工業製のAg/AgClペーストをパターン状に塗布し、80℃で10分間焼成することで参照極を形成した。
(c)絶縁層の形成
次に、導線を被覆する目的で、上記PET基材上にUV硬化性樹脂をスクリーン印刷によりパターン状に塗布し、ウシオ社製Deep UVランプにて100秒間露光して硬化させた。これにより、電極チップを得た。
(3)測定法
特に断りがない場合には、リニアスイープボルタンメトリ法を用い、走査速度を20mV/sとし、走査範囲を0V→0.5Vとした。
[実施例1]
凍結乾燥状態のライセート試薬が入った試験管へ、10mMのLGR−pAP(20μL)、緩衝液a(180μL)を添加して撹拌して試薬溶液を得た。次いで、容器に上記試薬溶液を50μLずつ入れた後、凍結乾燥を行い、水を除去した。これにより、容器と、容器内に固定化された試薬とを有する電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器を形成した。
なお、凍結乾燥は最低3時間実施した。凍結乾燥条件は、−30℃以下、30Pa以下とした。具体的には、−44℃、12Paとした。
[比較例1]
凍結乾燥状態のライセート試薬が入った試験管を、電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器とした。
[評価]
実施例1で得られた電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に、それぞれ50μLずつ500EU/Lのエンドトキシン標準溶液を添加して撹拌した後37℃のインキュベータ内で10分、30分および60分反応させた。
各反応時間経過後の反応液20μLを上記「2.装置および測定法」の項に記載の電極チップ上に移動させ、リニアスイープボルタンメトリ特性を測定し、最大出力電流値を測定した。
なお、比較例1では、電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に、50μLずつ1000EU/Lのエンドトキシン標準溶液と、10mM LGR−pAP(10μL)と、緩衝液(50μL)と、を添加した以外は、実施例1の評価方法と同様にして反応液を形成し、リニアスイープボルタンメトリ特性を測定し、最大出力電流値を測定した。
反応は、エンドトキシンがC因子へ結合する反応がトリガーとなり、B因子、凝固酵素前駆体を次々に活性化してLALカスケード反応が進む。活性化した凝固酵素によりLGR−pAPから遊離したpAPを、ウェルへ挿入した電極を用いてCV法を用いて検出し、pAPの酸化反応に由来する電流を記録した。
図20(実施例1)および図21(比較例1)に、反応時間をそれぞれ(A)10分、(B)30分、(C)60分に設定し、濃度500EU/Lのエンドトキシン標準溶液とライセート試薬とを反応させた時のボルタモグラムを示す。LALカスケード反応によってLGR−pMAから遊離するpAPの酸化反応に由来する最大出力電流値が0.3V付近に確認された。
また、図22および図23にそれぞれ反応時間が30分および60分における実施例1および比較例1の容器を用いて測定した時のボルタモグラムを示す。
さらに、下記表1および図24に反応時間に対する最大出力電流値を示す表およびグラフを示す。
図20〜図24および表1より、試薬が緩衝液成分を含む実施例1は、比較例1より出力電流感度が大きいことが確認できた。
[実施例2]
1.検出用容器の準備
緩衝液b(270μL)および10mM LGR−pAP(30μL)を混合し、その内200μLを凍結乾燥状態のライセート試薬が入った試験管へ添加して撹拌して試薬溶液を得た。
次いで、試薬溶液を50μLずつ、熱乾燥試験管に入れ、−80℃で凍結し、凍結乾燥機にて、凍結乾燥を行った。
これにより、容器と、容器内に固定化された試薬とを有する電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器を形成した。
なお、得られた、電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器については、評価までの間、冷蔵保存した。
2.評価
電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に、エンドトキシン濃度が1000EU/Lのエンドトキシン標準溶液50μLを導入し、37℃で最長60分間反応を行い、反応開始後0分、15分、30分、60分のタイミングで、各反応時間経過後の反応液20μLを上記「2.装置および測定法」の項に記載の電極チップ上に移動させ、サイクリックボルトメタリー特性を測定し、最大出力電流値を測定した。なお、CV測定時の電圧レンジは、0V→0.4V→−0.1Vとした。分解能は適宜調整した。結果を図25に示す。
[比較例2]
1.検出用容器の準備
試薬溶液を25μLずつ、熱乾燥試験管に入れ、凍結乾燥を行わなかった以外、すなわち、溶液状のまま保護した以外は、実施例2と同様にして、電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器を形成した。
2.評価
電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に、エンドトキシン濃度が2000EU/Lのエンドトキシン標準溶液25μLを導入した以外は、実施例2と同様にして最大出力電流値を測定した。結果を、図25に示す。
[実施例3]
緩衝液bの代わりに緩衝液cを用いた以外は、実施例2と同様にして電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器を形成し、サイクリックボルトメタリー特性を測定し、最大出力電流値を測定した。結果を、図26に示す。
[比較例3]
緩衝液bの代わりに緩衝液cを用いた以外は、比較例2と同様にして電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器を形成し、サイクリックボルトメタリー特性を測定し、最大出力電流値を測定した。結果を、図26に示す。
[実施例4]
緩衝液bの代わりに緩衝液dを用いた以外は、実施例2と同様にして電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器を形成し、サイクリックボルトメタリー特性を測定し、最大出力電流値を測定した。結果を、図27に示す。
[比較例4]
緩衝液bの代わりに緩衝液dを用いた以外は、比較例2と同様にして電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器を形成し、サイクリックボルトメタリー特性を測定し、最大出力電流値を測定した。結果を、図27に示す。
図25〜図27より、実施例2〜4は、比較例2〜4より出力電流感度が大きいことが確認できた。緩衝液を含む試薬溶液を凍結乾燥させることにより、凍結乾燥なしの試薬に比べてCV特性酸化出力電流が大幅に上昇することが確認できた。また、幅広い緩衝液において同様の効果が得られることが確認できた。
1 … 容器
2 … 試薬
3 … 蓋部
10 … 電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器
11 … 導入口
12 … 収容部
13 … 反応時間調整部
14 … 接続部
20 … 電極チップ
21 … 電極
22 … 導線
23 … 端子
24 … 絶縁層
25 … 測定部
30 … エンドトキシン濃度測定装置
31 … 接続端子部
41 … 被検体
51 … 反応前混合物
61 … 反応後混合物

Claims (7)

  1. 容器および前記容器内に固定化された試薬を有し、
    前記試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むことを特徴とする電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器。
  2. 前記試薬が多孔質構造であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器。
  3. 前記容器が、遊離反応終了後の、被検体および前記試薬の成分の混合物である反応後混合物を収容する収容部と、
    前記被検体を導入する導入口および前記収容部の間に接続され、前記遊離反応終了まで、前記遊離反応終了前の前記混合物である反応前混合物を保持する反応時間調整部と、
    を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器。
  4. 上記容器の上面を覆う蓋部を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器。
  5. 容器および前記容器内に固定化された試薬を有し、前記試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むものである電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器と、
    前記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に収容された、遊離反応終了後の、被検体および前記試薬の成分の混合物である反応後混合物と接触可能な位置に配置された電極と、
    前記電極と接続され、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシン濃度を定量する測定装置と接続されるための端子と、
    を含むことを特徴とする電極チップ。
  6. 容器および前記容器内に固定化された試薬を有し、前記試薬は、C因子、酸化還元物質が結合したペプチド化合物および緩衝液成分を含むものである電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器の導入口から被検体を導入し、前記試薬と前記被検体とを接触させ、遊離反応終了前の、前記被検体および前記試薬の成分の混合物である反応前混合物を形成する導入工程と、
    前記電気化学式エンドトキシン濃度検出用容器に収容された、遊離反応終了後の前記混合物である反応後混合物を形成する反応工程と、
    前記反応後混合物に含まれる前記ペプチド化合物から遊離した前記酸化還元物質を、電極と反応させ、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンを検出する検出工程と、
    を有することを特徴とするエンドトキシンの検出方法。
  7. 前記反応工程の前記反応後混合物を形成する方法が、前記導入口および前記反応後混合物が収容される収容部の間に接続された反応時間調整部により、前記遊離反応終了まで、前記反応前混合物を保持する方法であることを特徴とする請求項6に記載のエンドトキシンの検出方法。
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