JP2017036376A - インクジェットインク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】着色剤、エステルガム、少なくともエタノールを含む有機溶剤、ジメチルポリシロキサンおよびその側鎖型変性物からなる群より選ばれた少なくとも1種のシリコーンオイル、およびグリセリン脂肪酸エステルを含むインクジェットインクである。
【選択図】なし
Description
すなわち水性のインクジェットインクは、当該インクジェットインク中に含まれる水がポーラスな表面から錠剤の内部へ浸透することによって速やかに乾燥(浸透乾燥)されるため、滲みや、あるいは印字直後の未乾燥の状態で他の錠剤と接触することによるインクジェットインクの転移等のない鮮明な印字を得ることができる。
そのため水性のインクジェットインクを速やかに乾燥させることはできず、上記滲みや転移等を生じて印字の鮮明性が低下しやすいという問題がある。
しかし従来の速乾性のインクジェットインクは、上記エタノール等の表面張力が水よりも小さいため濡れ性が高くなりすぎて、インクジェットプリンタのノズルの周囲に滲んで濡れ拡がるいわゆるパドリングを生じやすい上、パドリングしたインクジェットインクが乾燥してノズルの詰りによる吐出不良等を生じやすい。
なお特許文献1〜4に記載のインクジェットインクはいずれも、ノズルからインクジェットインクを連続的に吐出させながら、その飛翔軌道を制御して印字をする連続式(コンティニュアス型)のインクジェットプリンタでの使用を前提としている。
また、特に医薬品の場合は、その種別等を確実に識別できるようにしなければならない。そのためインクジェットインクには、上述したように印字の際に速乾性の不足による滲みや、未乾燥の状態で他の錠剤と接触することによるインクジェットインクの転移、あるいは吐出不良によるドット抜けや欠け等を生じにくいだけでなく、乾燥後にも印字の定着性、耐擦過性に優れ、乾燥後の接触によるかすれをも生じにくくできることが求められる。
特許文献1〜4に記載の発明では、バインダとしてセラック、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース等を用いており、これらのバインダは造膜性が強いため、印字の耐擦過性を向上して乾燥後の接触によるかすれを防止する効果には優れている。
これに対し、本発明でバインダとして用いているエステルガムは弾性がなく、造膜性が弱く硬もろいものであるため、特にノズルの開口内等で固まりかけても次の新たなインクジェットインクの吐出によって容易に除去できる。
その上、エステルガムはバインダとして、FC錠等の表面に対する適度の定着性も有している。
そしてパドリングを生じると、インク滴の吐出が妨げられて飛翔軌道が変化したり、所定体積のインク滴が吐出されなかったり、あるいはインク滴が全く吐出されなかったりする結果、連続印字性が低下しやすい。
そこで本発明では、さらに前述した特定のシリコーンオイルと、グリセリン脂肪酸エステルとを添加している。
このうちシリコーンオイルはインクジェットインクの濡れ性を抑えて、パドリングの発生とそれに伴う連続印字性の低下とを抑制したり、FC錠等の表面でインクジェットインクが濡れ拡がるのを抑制して、印字の鮮明性を向上したりするために機能する。
これに対し本発明では、シリコーンオイルとともにグリセリン脂肪酸エステルを併用することで、インクジェットインクの濡れ性が低くなりすぎるのを抑制できる。
したがって本発明によれば、着色剤とともに上記の各成分を併用することにより、速乾性や印字の定着性、耐擦過性に優れる上、特にオンデマンド型のインクジェットプリンタに使用した際のノズルの詰りによる吐出不良の発生と、それにともなう連続印字性や間欠印字性の低下とを現状よりも良好に抑制でき、FC錠等の錠剤やカプセル剤などに滲み、転移、かすれ、ドット抜け、欠け等のない鮮明な印字をすることが可能なインクジェットインクを提供できる。
バインダとしてのエステルガムとしては、天然樹脂であるロジンから誘導されるエステル樹脂であって、古くから粘着・接着剤のタッキファイヤやチューインガムの基礎剤等として使用されている種々の化合物がいずれも使用可能である。
かかるエステルガムとしては、例えば荒川化学工業(株)製のAA−G、AA−L、A、AAV、105、AT等のロジンエステルや、同社製のH、HP等の水素化ロジンエステル等の1種または2種以上が挙げられる。特に連続印字性や間欠印字性の低下とそれによるドット抜けや欠けの発生とを防止する効果の点でロジンエステルが好ましい。
シリコーンオイルとしては、式(a):
このうち式(a)で表される、ポリシロキサンの両末端および側鎖が全てメチル基であるジメチルポリシロキサンとしては、例えば信越化学工業(株)製のKF-96シリーズの、25℃での動粘度によって分類される各種製品が挙げられる。
ジメチルポリシロキサンのポリエーテル変性物としては、例えばジメチル,メチル(ポリエチレンオキサイドメチルエーテルキャップド)シロキサン〔東レ・ダウコーニング(株)製のFZ−2123、25℃での動粘度:85mm2/s〕、ポリ〔ジメチルシロキサン−co−メチル(3−ヒドロキシプロピル)シロキサン〕−graft−ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル〔シグマ−アルドリッチ社製、25℃での動粘度:45mm2/s以下〕等の、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体の1種または2種以上が挙げられる。
(グリセリン脂肪酸エステル)
グリセリン脂肪酸エステルとしては、例えばステアリン酸、オレイン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸等の各種脂肪酸とグリセリンとの反応生成物である脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリド、ならびに上記各種脂肪酸とポリグリセリンとの反応生成物であるポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
HLBが上記の範囲未満、または上記範囲を超えるグリセリン脂肪酸エステルを使用した場合には、このいずれにおいてもノズルからインク滴をまっすぐに吐出させることができず、インク滴の飛翔軌道に曲がりを生じ、印字が乱れて印字品質が低下するおそれがある。
坂本薬品工業(株)製のSYグリスター MSW−7S〔モノステアリン酸デカグリセリル、HLB:13.4〕、TS−7S〔トリステアリン酸デカグリセリル、HLB:10.0〕、MS−5S〔モノステアリン酸ヘキサグリセリル、HLB:11.6〕、MO−7S〔モノオレイン酸デカグリセリル、HLB:12.9〕、MO−5S〔モノオレイン酸ヘキサグリセリル、HLB:11.6〕、ML−500〔モノラウリン酸ヘキサグリセリル、HLB:13.4〕、ML−310〔モノラウリン酸テトラグリセリル、HLB:10.4〕。
(比R1)
シリコーンオイルが式(a)のジメチルポリシロキサンであるとき、かかるジメチルポリシロキサンとグリセリン脂肪酸エステルは、前述した両者の機能の兼ね合いを考慮すると、ジメチルポリシロキサンの25℃での動粘度K〔mm2/s〕、当該ジメチルポリシロキサンの、インクジェットインクの総量中の含有量w1(質量%)、およびグリセリン脂肪酸エステルの、インクジェットインクの総量中の含有量w2(質量%)から、式(1):
すなわち比R1がこの範囲未満では、ジメチルポリシロキサンによる、インクジェットインクの濡れ性を抑える効果が不十分になり、パドリングとそれに伴う連続印字性の低下を生じたり、インクジェットインクがFC錠等の表面で濡れ拡がって印字の鮮明性が低下したりするおそれがある。
なお比R1を設定するに際し、ジメチルポリシロキサンを、含有量w1(質量%)だけでなく、当該含有量w1にジメチルポリシロキサンの25℃での動粘度Kを掛け合わせた数値K×w1で規定しているのは下記の理由による。
また鎖長が長く動粘度Kが大きいジメチルポリシロキサンほど、先に説明した、インクジェットインクの濡れ性を抑える効果が大きい。
そのため動粘度Kの異なるジメチルポリシロキサンを同じ含有量w1で含有させても、同じ効果は得られない。
なおジメチルポリシロキサンの含有量w1は、当該ジメチルポリシロキサンの動粘度Kにもよるが、当該動粘度Kが1mm2/s以上、特に5mm2/s以上で、かつ200mm2/s以下、特に100mm2/s以下であるとき、0.005質量%以上、特に0.01質量%以上であるのが好ましく、1質量%以下であるのが好ましい。
これに対し、ジメチルポリシロキサンの含有量w1を上記の範囲とすることにより、当該ジメチルポリシロキサンをエタノール等の有機溶剤と均一に相溶させて、均一で吐出性能等に優れたインクジェットインクを得ることができる。
(有機溶剤)
有機溶剤としては、少なくともエタノールを用いる。
エタノールは、先述したように揮発乾燥性に優れるため、インクジェットインクに良好な速乾性を付与できる。
かかる他の有機溶剤としては、例えばブタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等の炭素数3〜4のアルコールや、2−エトキシエタノール(エチレングリコールモノエチルエーテル)、2−メトキシエタノール(エチレングリコールモノメチルエーテル)等のエチレングリコールエーテルなどの1種または2種以上が挙げられる。
間欠印字性の低下を抑制するには、エステルガムが最初から有機溶剤にぎりぎりで溶解している程度であるのが好ましく、そのためにはエステルガムの溶解性の低いエタノールは必須の成分である。
炭素数3〜4のアルコールの含有量は、エタノールの含有量に対する質量比で表して1/10〜1/2の範囲、またはインクジェットインクの総量の5質量%以上、20質量%以下であるのが好ましい。
一方、上記範囲より炭素数3〜4のアルコールが多い場合には相対的にエタノールが少なくなるため、インクジェットインクの速乾性が低下して滲みや、あるいは未乾燥の状態で他の錠剤と接触することによるインクジェットインクの転移等を生じやすくなるおそれがある。
これに対し、炭素数3〜4のアルコールの含有量を上記の範囲とすることにより、エタノールと炭素数3〜4のアルコールの機能を良好にバランスさせて、上述した各種の問題を生じにくいインクジェットインクを得ることができる。
他の有機溶剤のうちエチレングリコールエーテルは、やはりエステルガムの溶解性に優れている。
これに対しエチレングリコールエーテルは、インクジェットインクを上記表面から内部へ縦に浸透させる性質を有しており、インクジェットインクの面方向への濡れ拡がりを抑制して印字の鮮明性を向上する効果にも優れている。
この範囲よりエチレングリコールエーテルが少ない場合にはエスエルガムの溶解性が不足するため、当該エステルガムが析出しやすくなって、インクジェットインクの安定性が低下するおそれがある。また、インクジェットインクの面方向への広がりを抑制して印字の鮮明性を向上する効果が不十分になるおそれもある。
また、先に説明したエタノールを併用することによる効果が得られず、インクジェットインクの間欠印字性が低下して、ドット抜けや欠けを生じやすくなるおそれもある。
エチレングリコールエーテルとしては、印字の鮮明性と間欠印字性のバランスに優れるため、特に2−エトキシエタノールが好適に使用される。
また、例えばインクジェットインクの表面張力や粘度、乾燥性等をインクジェット印字に適した範囲に調整するため、有機溶剤としては、さらにエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、ジエタノールアミン、ベンジルアルコール等の比較的沸点の高い有機溶剤を併用してもよい。
(セルロース系樹脂)
本発明のインクジェットインクには、さらに他のバインダとしてセルロース系樹脂を含有させてもよい。
セルロース系樹脂としては、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、結晶セルロース等の1種または2種以上が挙げられる。
ヒドロキシプロピルセルロースとしては、例えば日本曹達(株)製のセルニー(登録商標)SSL、SL、L、M、H等の1種または2種以上が挙げられる。
(比R2)
セルロース系樹脂を併用する場合は、エステルガムの含有量w3(質量%)とセルロース系樹脂の含有量w4(質量%)から、式(2):
すなわち比R2がこの範囲未満では、エステルガムと比べて造膜性が強いセルロース系樹脂が多くなるため、連続印字性や間欠印字性が低下してドット抜けや欠けを生じやすくなるおそれがある。
一方、比R2が上記の範囲を超える場合には、セルロース系樹脂を併用することによる前述した効果が不十分になって定着性や耐擦過性が低下するおそれがある。
また上記併用系において、エステルガムの含有量w3は、インクジェットインクの総量の0.5質量%以上であるのが好ましく、2.5質量%以下であるのが好ましい。
一方、上記の範囲よりエステルガムが多い場合には連続印字性や間欠印字性が低下して、ドット抜けや欠けを生じやすくなるおそれがある。
セルロース系樹脂の含有量w4は、上記エステルガムの含有量w3とともに、式(2)の範囲を満足しうる範囲に設定すればよい。
(着色剤)
着色剤としては、食品添加物もしくは医薬品添加物として使用が認められた種々の顔料、染料等がいずれも使用可能である。例えば黒色の着色剤としてはカーボンブラックが好ましい。
着色剤の種類および含有量は、印字に求められる色味や色濃度等に応じて適宜調整できる。
(その他の成分)
インクジェットインクをアルカリ性にして、特にセルロース系樹脂等の他のバインダの溶解性を向上したり、インクジェットプリンタのヘッドの金属部材の腐食を防止したりするため、インクジェットインクにはpH調整剤を含有させてもよい。
また有機アミンとしては、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチルモノエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノ−1−プロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールアミンおよびこれらの誘導体等の1種または2種以上が挙げられる。
(含有量)
エタノールの含有量は、以上で説明した各成分の残量である。すなわち、上記各成分にエタノールを加えた総量が100質量%となるように、エタノールの含有量を設定すればよい。
本発明のインクジェットインクは、先述したコンティニュアス型、およびオンデマンド型の種々のインクジェットプリンタに好適に使用できる。特にオンデマンド型のサーマル方式のインクジェットプリンタに使用して、FC錠等の錠剤やカプセル剤などの表面に滲み、インクの転移、かすれ、ドット抜け、欠け等のない鮮明な印字をすることが可能である。
バインダとしては、エステルガムとしてのロジンエステル〔前出の荒川化学工業(株)製のAA−G〕と、セルロース系樹脂としてのヒドロキシプロピルセルロース〔前出の日本曹達(株)製のセルニーSSL〕を用いた。
またシリコーンオイルとしては、25℃での動粘度Kが5mm2/sであるジメチルポリシロキサン〔信越化学工業(株)製のKF-96L−5cs〕を用い、グリセリン脂肪酸エステルとしては、モノステアリン酸デカグリセリル〔前出の日光ケミカルズ(株)製のNIKKOL DECAGLYN 1−SV、HLB:12.0〕を用いた。
上記の各成分をブタノール、2−エトキシエタノール、プロピレングリコール、ジエタノールアミンおよびエタノールとともに、下記表1に示す含有量となるように混合したのち、5μmのメンブランフィルタを用いてろ過してインクジェットインクを調製した。
〈実施例2〉
エステルガムとして、ロジンエステルに代えて水素化ロジンエステル〔前出の荒川化学工業(株)製のH〕を同量含有させたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈実施例3〉
シリコーンオイルの含有量を0.02質量%とし、全量が100質量%となるようにエタノールの含有量を調整したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈実施例4〉
シリコーンオイルの含有量を0.01質量%、グリセリン脂肪酸エステルの含有量を0.2質量%とし、全量が100質量%となるようにエタノールの含有量を調整したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈実施例5〉
シリコーンオイルとして、25℃での動粘度Kが100mm2/sであるジメチルポリシロキサン〔信越化学工業(株)製のKF-96L−100cs〕を用い、その含有量を0.1質量%とするとともに、全量が100質量%となるようにエタノールの含有量を調整したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈実施例6〉
シリコーンオイルとして、25℃での動粘度Kが100mm2/sであるジメチルポリシロキサン〔信越化学工業(株)製のKF-96L−100cs〕を用い、その含有量を0.15質量%とするとともに、全量が100質量%となるようにエタノールの含有量を調整したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈実施例7〉
シリコーンオイルとして、ジメチルポリシロキサンのポリエーテル変性物であるジメチル,メチル(ポリエチレンオキサイドメチルエーテルキャップド)シロキサン〔東レ・ダウコーニング(株)製のFZ−2123、25℃での動粘度:85mm2/s〕を用い、その含有量を0.1質量%とするとともに、全量が100質量%となるようにエタノールの含有量を調整したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈実施例8〉
エステルガムとしてのロジンエステルの含有量を1.25質量%、セルロース樹脂としてのヒドロキシプロピルセルロースの含有量を1.25質量%としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈実施例9〉
エステルガムとしてのロジンエステルの含有量を2.1質量%、セルロース樹脂としてのヒドロキシプロピルセルロースの含有量を0.35質量%とし、全量が100質量%となるようにエタノールの含有量を調整したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈実施例10〉
エステルガムとしてのロジンエステルの含有量を1.1質量%、セルロース樹脂としてのヒドロキシプロピルセルロースの含有量を1.4質量%としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈実施例11〉
エステルガムとしてのロジンエステルの含有量を2.1質量%、セルロース樹脂としてのヒドロキシプロピルセルロースの含有量を0.3質量%とし、全量が100質量%となるようにエタノールの含有量を調整したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈実施例12〉
セルロース樹脂としてのヒドロキシプロピルセルロースに代えて、セラックを同量含有させたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
比R1は10、比R2は1.5であった。
グリセリン脂肪酸エステルとして、モノオレイン酸デカグリセリル〔前出の日光ケミカルズ(株)製のNIKKOL DECAGLYN 1−OV、HLB:12.0〕を同量含有させたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
比R1は10、比R2は1.5であった。
グリセリン脂肪酸エステルとして、モノミリスチン酸デカグリセリル〔前出の日光ケミカルズ(株)製のNIKKOL DECAGLYN 1−M、HLB:14.0〕を同量含有させたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
比R1は10、比R2は1.5であった。
グリセリン脂肪酸エステルとして、ジイソステアリン酸デカグリセリル〔前出の日光ケミカルズ(株)製のNIKKOL DECAGLYN 2−ISV、HLB:10.0〕を同量含有させたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
比R1は10、比R2は1.5であった。
グリセリン脂肪酸エステルとして、モノステアリン酸デカグリセリル〔日光ケミカルズ(株)製のNIKKOL DECAGLYN 1−50SV、HLB:15.0〕を同量含有させたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
比R1は10、比R2は1.5であった。
グリセリン脂肪酸エステルとして、トリオレイン酸デカグリセリル〔日光ケミカルズ(株)製のNIKKOL DECAGLYN 3−OV、HLB:7.0〕を同量含有させたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
比R1は10、比R2は1.5であった。
エステルガムを含有させず、バインダとして、セルロース樹脂としてのヒドロキシプロピルセルロース1.25質量%およびセラック1.25質量%を含有させたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
比R1は10であった。
グリセリン脂肪酸エステルを含有させず、全量が100質量%となるようにエタノールの含有量を調整したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
比R2は1.5であった。
〈比較例3〉
シリコーンオイルを含有させず、全量が100質量%となるようにエタノールの含有量を調整したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈鮮明性評価〉
オンデマンド型のサーマル方式のインクジェットプリンタ〔ビデオジェット(株)製のPrint Mail Wide Array〕を使用して、実施例、比較例で調製したインクジェットインクにより、FC錠の表面に4ポイントの小文字「abcdefg」を印字した。そして印字を目視にて観察して、下記の基準で印字の鮮明性を評価した。
△:鮮明性が「○」に比べて僅かに劣っていたが通常レベル。
×:「△」より鮮明性に劣っていた。不良。
〈印字パターン〉
以下の連続印字性、間欠印字性の評価では、
* フォントサイズ11ポイントの大文字「ABCDE」、小文字「abcdefg」が正字体およびイタリック体でそれぞれ1列ずつ2列、
* 1.2cm×1.2cmのQRコード(登録商標)1つ、
* 1.2cm×1.2cmのベタ部1つ、および
* バーコード1つ
を1列として列ごとにフォントの太さを違えて4列配列した印字パターンを印字して評価した。
前出のオンデマンド型のサーマル方式のインクジェットプリンタを使用して、実施例、比較例で調製したインクジェットインクにより、1000枚のオフセットコート紙上に前述した印字パターンを連続印字した。そして1000枚目の印字のうちベタ部を目視にて観察して、下記の基準で連続印字性を評価した。
△:小さなドット抜けがありわずかな筋が見られたものの通常レベル。
×:「△」よりドット抜けが大きくはっきりとした筋が見られた。不良。
××:連続印字の初期に、インクジェットインクの供給不良によるかすれを生じ、ごく短期間で印字不可となった。極めて不良。
前出のオンデマンド型のサーマル方式のインクジェットプリンタを使用して、実施例、比較例で調製したインクジェットインクにより、オフセットコート紙上に前述した印字パターンを印字し、10分間静置後に再び印字した。そして10分間静置後の印字のうち文字を目視にて観察して、下記の基準で連続印字性を評価した。
△:わずかにかけが見られたが文字は判読可能であった。通常レベル。
×:欠けが見られ文字を判読できなかった。不良。
〈耐擦過性評価〉
前出のオンデマンド型のサーマル方式のインクジェットプリンタを使用して、実施例、比較例で調製したインクジェットインクにより、FC錠の表面に4ポイントの小文字「abcdefg」を印字した。
○:印字に変化なく綿棒も汚れなかった。良好。
△:綿棒がうっすら黒くなったが印字に変化はなかった。通常レベル。
×:印字がかすれ綿棒が黒くなった。不良。
前出のオンデマンド型のサーマル方式のインクジェットプリンタを使用して、実施例、比較例で調製したインクジェットインクにより、50m/分の印字速度で複数本の平行な罫線を連続して印刷した。そして印字した罫線を目視にて観察して、下記の基準で吐出安定性を評価した。
△:罫線が若干波打ち気味か、または罫線の間隔に若干のばらつきが見られたが通常レベル。
×:「△」より罫線の波打ちが大きいか、もしくは間隔のばらつきが大きかった。不良。
実施例1〜7の結果より、シリコーンオイルとしては、印字の鮮明性を向上するために、式(a)で表されるジメチルポリシロキサンが好ましいこと、当該ジメチルポリシロキサンを使用する場合はその25℃での動粘度K〔mm2/s〕、と含有量w1(質量%)、ならびにグリセリン脂肪酸エステルの含有量w2(質量%)から、前述した式(1)で求められる比R1が1以上、100以下であるのが好ましいことが判った。
実施例1、12の結果より、エステルガムと併用する他のバインダとしては、セラックよりもセルロース系樹脂が好ましいことが判った。
Claims (4)
- 着色剤、エステルガム、少なくともエタノールを含む有機溶剤、ジメチルポリシロキサンおよびその側鎖型変性物からなる群より選ばれた少なくとも1種のシリコーンオイル、およびグリセリン脂肪酸エステルを含むインクジェットインク。
- 前記グリセリン脂肪酸エステルは、HLBが10以上、14以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
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