JP2017036180A - 13族窒化物結晶の製造方法および13族窒化物結晶の製造装置 - Google Patents

13族窒化物結晶の製造方法および13族窒化物結晶の製造装置 Download PDF

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Naoya Miyoshi
直哉 三好
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純一 和田
昌弘 林
Masahiro Hayashi
昌弘 林
正二 皿山
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正二 皿山
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Abstract

【課題】クラック発生の低減を図り、結晶製造の歩留まり向上を図る。
【解決手段】アルカリ金属と13族元素とを含む混合融液と、窒素とを反応させて種結晶からフラックス法により13族窒化物結晶を製造する13族窒化物結晶の製造方法において、前記混合融液を保持する反応容器として、窒化物を主材料とし、0.1wt%〜20.0wt%の酸化物材料を含有した反応容器を用いることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、13族窒化物結晶の製造方法および13族窒化物結晶の製造装置に関する。
窒化ガリウム(GaN)等の13族窒化物結晶は、青色発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)等の発光素子、高周波・高出力電子デバイス等の半導体デバイス材料として知られている。発光素子の高輝度化、高効率化、あるいは、半導体デバイスの低コスト化、実用化のためには、13族窒化物結晶の高品質化と低価格化が望まれている。
13族窒化物結晶の製造方法として、13族金属とアルカリ金属との混合融液(フラックス)中に窒素を溶解させて13族窒化物結晶を成長させるフラックス法がある。フラックス法は比較的低温低圧下で結晶成長が可能であるため、製造コスト低減に有効である。
特許文献1は、透明で転移密度の少ないバルク状単結晶を収率良く製造することを目的として、希土類酸化物、例えば、酸化イットリウム(Y)の反応容器を用いて、フラックス法によりGaN結晶を製造する技術を開示している。
しかしながら、結晶にクラックが発生することで、結晶製造の歩留まりが低下するという課題があった。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、アルカリ金属と13族元素とを含む混合融液と、窒素とを反応させて種結晶からフラックス法により13族窒化物結晶を製造する13族窒化物結晶の製造方法において、前記混合融液を保持する反応容器として、窒化物を主材料とし、0.1wt%〜20.0wt%の酸化物材料を含有した反応容器を用いることを特徴とする。
本発明によれば、クラック発生を低減することができる。
図1は、実施形態にかかる13族窒化物結晶の製造方法において用いられる結晶製造装置の概略的な構成例を示した図である。 図2は、c面を主面とする種結晶上にフラックス法で成長させた13族窒化物結晶の構造を示す模式図である。 図3は、比較例4で製造したGaN結晶の撮影画像である。
以下に添付図面を参照して、13族窒化物結晶の製造方法および13族窒化物結晶の製造装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明において、図には発明が理解できる程度に構成要素の形状、大きさ及び配置が概略的に示されているに過ぎず、これにより本発明が特に限定されるものではない。また、複数の図に示される同様の構成要素については同一の符号を付して示し、その重複する説明を省略する場合がある。
――装置構成――
まず、本実施形態の結晶製造方法で用いられる結晶製造装置の構成例について、図1を用いて説明する。
図1は、実施形態にかかる13族窒化物結晶の製造方法において用いられる結晶製造装置1の概略的な構成例を示した図である。当該結晶製造装置1は、フラックス法により13族窒化物結晶7を製造するための装置である。
反応容器13は、アルカリ金属と13族元素とを含む混合融液5(フラックス)と、板状の種結晶6とを内部に保持し、混合融液5中で種結晶6から13族窒化物結晶7を成長させるための容器である。
<反応容器の好適な材質>
本実施形態では、反応容器13として、窒化物材料を主材料とし、副材料として酸化物材料を含有した材料を用いて製造されたものを用いる。
主材料は、窒化物材料であれば特に限定されず、例えば、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化ケイ素(Si)、窒化チタン(TiN)等が挙げられる。また、窒化物材料として、複数種類の窒化物を混合した混合窒化物を用いても良い。
また、主材料としては、窒化アルミニウム(AlN)を用いることが特に好ましい。これは、他の窒化物材料と比較すると、AlNは混合融液に溶出しにくい材料であるためである。
窒化物材料は、13族窒化物結晶の結晶成長工程(即ち、結晶成長条件の雰囲気下)において、本実施形態の混合融液5に溶出する。一方で、上記窒化物材料の中でAlNは混合融液5に溶出しにくい。従って、AlNを反応容器13の主材料として用いることにより、反応容器13の構成物質が結晶成長工程において混合融液5内に溶出することを抑制できる。
副材料は、酸化物材料であれば特に限定されず、例えば、酸化アルミニウム(Al)、酸化ホウ素(B)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化シリコン(SiO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化リチウム(LiO)、酸化インジウム(In)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化クロミウム(CrO)、酸化ゲルマニウム(GeO)、酸化チタン(TiO)等が挙げられる。また、酸化物材料として、複数種類の酸化物を混合した混合酸化物を用いてもよい。
副材料としては、酸化物材料の中で比較的、混合融液5に溶出しにくい材料であるAlまたはYが好ましく、混合融液5に特に溶出しにくい材料であるYがさらに好ましい。また、反応容器13には、構成材料としてYが0.1wt%〜20.0wt%含有されていることが好ましい。
酸化物材料は、13族窒化物結晶の結晶成長工程(即ち、結晶成長条件の雰囲気下)において、本実施形態の混合融液5に溶出する。一方で、上記酸化物材料の中でYまたはAlは混合融液5に溶出しにくい。特にYは混合融液5に溶出しにくい。従って、Yを反応容器13の副材料として用いることにより、反応容器13の構成物質が結晶成長工程において混合融液5内に溶出することを抑制できる。
また、反応容器13は、窒化物材料と酸化物材料との焼結体であることが好ましい。
<反応容器の好適な材質に関する考察>
ここで、発明者らがこれまでに行った実験結果に基づき考察した、クラックの発生要因、および、クラック発生の抑制方法について説明する。尚、本発明は以下で述べる考察により何ら限定されるものではない。
図2は、c面を主面とする種結晶上にフラックス法で成長させた13族窒化物結晶7の構造を示す模式図である。図2(A)は、13族窒化物結晶7を、種結晶6の主面(c面)側から見た平面図である。図2(B)は、13族窒化物結晶7のc軸方向に沿う断面図である。
図2に示すように、フラックス法により製造された13族窒化物結晶7(GaN結晶)においては、種結晶6の主面(c面)上にc面成長領域32Aが六角形状に成長し、c面成長領域32Aの周囲に{10−11}成長領域32Bが成長する。
発明者らによる実験結果によれば、結晶成長工程において{10−11}成長領域32Bに酸素が優先的に取り込まれ、{10−11}成長領域32Bの格子定数が変化するという傾向が見出された。そして、これにより{10−11}成長領域32Bとc面成長領域32Aとの界面で格子歪みが生じ、この格子歪みがクラック発生の原因となっていることが分かった。(詳細は、比較例4にて後述する。)
従って、13族窒化物結晶7におけるクラック発生を抑制するためには、{10−11}成長領域32Bに取り込まれる酸素量を制限することが有効であると考えられる。
フラックス法による13族窒化物結晶の製造工程において考えられる酸素の供給経路として、以下の3つが挙げられる。
(経路1)気相から結晶中への酸素の溶け込み
(経路2)混合融液5から結晶中への酸素の溶け込み
(経路3)反応容器13から結晶中への酸素の溶け込み
(経路1)については、断熱材から放出される酸素、および、装置内の残存酸素の影響が考えられる。この影響についての検証は、断熱材の構成、または、外部容器である耐圧容器11のパージに関する記載において後述する。(経路2)については、原料中に不純物として含まれている酸素の影響が考えられる。この影響についての検証は、原料に関する記載とともに後述する。端的に述べると、発明者らがこれまで提案した結晶製造方法において、(経路1)および(経路2)による酸素供給の影響はすでに十分に低減できていることが検証された。そこで本実施形態では、(経路3)の影響を低減することを図るものである。
以下に、(経路3)に関する考察についてより詳細に説明する。
・反応容器に酸化物を用いる場合の課題
一般的に、フラックス法では反応容器としてアルミナ(Al)やイットリア(Y)、サファイアといった酸化物セラミックスが用いられることが多く、これらはフラックス中に溶出することが知られている(特許文献1参照)。溶出した反応容器の構成材料は、フラックス中にコロイド状に分散するものもあれば、イオン化して溶解するものもある。コロイド状に分散したものは、微粒子が核発生点となり、多結晶化の原因となったり、結晶内に内包(インクルージョン)され、クラックの発生要因となったりする。一方、イオン化して溶解したものは、結晶内の構成元素を置換、もしくは格子間に取り込まれ、結晶を着色させたり、格子歪を生じさせてクラックの発生要因となったりする。{10−11}成長領域32Bには酸素が多く取り込まれていることから、反応容器の構成材料はフラックス中に溶解しており、反応容器のフラックス中への溶出を抑制する必要があった。発明者らの実験によれば、イットリアやサファイアは比較的低温ではフラックスに対する耐食性が高いため、アルミナに比べてフラックス中への溶出量は少ないが、結晶成長温度が870℃を超えるとフラックス中への溶出量が増大することが判明した。反応容器の純度や結晶成長時間によってもフラックス中への溶出量は異なるが、アルミナやイットリア、サファイアといった酸化物材料の反応容器を用いた場合は、結晶成長中に0.01〜20.0wt%程度の構成材料の溶出が見られた。
そこで、反応容器からの酸素の供給を抑制するために、酸化物ではなく窒化物の反応容器を用いるという手段も考えられる。しかしながら窒化物の反応容器を用いる場合には、以下のような課題がある。
・反応容器に窒化物を用いる場合の課題
フラックス法では反応容器として、窒化ホウ素(BN)や窒化アルミニウム(AlN)といった窒化物セラミックスも用いられている。これらの反応容器を用いた場合、得られる結晶は、{10−11}成長領域においても透明となる。SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry;二次イオン質量分析法)測定の結果では、{10−11}成長領域の酸素含有量は1016〜1017cm−3と少ないことも判明した。
一方で、窒化ホウ素や窒化アルミニウムといった窒化物材料の反応容器を用いた場合、反応容器が生成物である13族窒化物結晶と同じ窒化物であるため、フラックスとの接触部において容易に核発生してしまうという課題がある。核発生量が多いと、新たな核にも原料が消費されるため原料効率が悪く、種結晶を優先的に成長させたい場合には好ましくない。また、新たに核発生した結晶(雑晶)と種結晶から成長した結晶とが結合してしまうと、種結晶から成長した結晶を雑晶から分離して回収することが難しい。そして、無理に分離を試みて結晶に力を加えると、結晶にクラックが発生したり、さらには割れてしまったりする等の課題がある。
・反応容器の好適な材質について
以上のように、反応容器を酸化物材料で構成した場合は、反応容器とフラックスとの接触部分における核発生はし難く、種結晶を優先的に成長させることが可能であるが、{10−11}成長領域の酸素濃度が高くなり、クラックが発生しやすい。一方で、反応容器を窒化物材料で構成した場合は、{10−11}成長領域の酸素濃度は低減できるが、種結晶以外から核発生した雑晶と、種結晶から成長した結晶が結合してしまうと、両者を分離する際にクラックが発生してしまう。
即ち、酸化物材料のみで構成された反応容器、あるいは、窒化物材料のみで構成された反応容器では、{10−11}成長領域の酸素濃度を低く抑えること、および、雑晶の発生を抑制することを両立させることができない。
そこで発明者らは、窒化物材料と酸化物材料の特性を組合せることで、{10−11}成長領域の酸素濃度を低く抑えつつ、種結晶を優先的に成長させることができるのではないかという発想に至った。すなわち、窒化物材料を主材料とし、酸化物材料を微量含有させた反応容器を用いれば、{10−11}成長領域の酸素濃度を低く抑えつつ、雑晶の発生を抑制することができるのではないかとの発想を得た。
窒化物材料を主材料とし、酸化物材料を微量含有させた反応容器を用いる場合、酸化物材料の含有量(濃度)を制御することが重要となる。すなわち、酸化物材料が少なすぎれば、窒化物材料を反応容器に用いた場合と同様に種結晶以外にも核発生が生じてしまう。一方で、酸化物材料が多すぎれば、酸化物材料を反応容器に用いた場合と同様に{10−11}成長領域の酸素濃度が高くなってしまう。そこで本実施形態では、反応容器における酸素の好適な含有量(含有濃度)を、上述のように提案したものである。
図1に示すように、反応容器13内には、種結晶6とバッフル14が設置される。また、反応容器13内には、後述する[1]原料設置工程にて原料であるアルカリ金属、13族元素が投入された後、後述する[2]溶解工程にて混合融液5が形成される。
種結晶6としては、13族窒化物の単結晶基板を用いる。種結晶6としては、主面がc面である平板上の基板を用いることが好ましい。当該形状の種結晶6を用いれば、種結晶6から成長させた13族窒化物結晶7の断面を大面積化することができ、大容量の13族窒化物結晶7を種結晶6の主面上に成長させられるからである。
種結晶6の主面のオフ角は<0001>から2度以内であることが好ましい。更に好ましくは、種結晶6の主面のオフ角は<0001>から0.5度以内であることが好ましい。
オフ角とは、種結晶6の表面と、種結晶6を構成する13族窒化物結晶構造の(0001)の結晶格子面とがなす角度のことである。オフ角が大きいほど、結晶中に取り込まれるインクルージョン(含有物)の量は増加し、オフ角が小さいほどインクルージョンの量は減少する。インクルージョンとは、結晶成長工程において、13族窒化物結晶7中に混合融液5の成分や反応容器から溶出した粒子が内包されたもののことである。
これまでに、オフ角が2度より大きいとインクルージョン量は増加しやすく、オフ角が0.5度以内であればインクルージョン量が極めて少なくなるという傾向が分かっている。また、種結晶6のオフ角は、成長した13族窒化物結晶7の転位密度にも影響を与える。オフ角が大きいほど転位密度は小さくなり、オフ角が小さいほど転位密度は大きくなる傾向がある。従って、オフ角を好適な範囲内とすることで、インクルージョン量の制御と、転位密度の低減とを両立させることができる。
これらの事実に基づき、種結晶6の主面のオフ角は<0001>から0度以上2度以内であることが好ましく、更に好ましくは、種結晶6の主面のオフ角は<0001>から0.5度以内であるとよい。
種結晶6の主面は平面状であることが好ましく、より好ましくは鏡面であると良い。このような表面形状とすれば、種結晶6の主面に存在する複数のオフ角を上述した好適な範囲内に収めやすくできる。
種結晶6には、気相成長法で製造された13族窒化物結晶を用いることが好ましい。気相成長法としてはHVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法、MO−CVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法等を用いればよい。
尚、種結晶6には、液相成長法で製造された13族窒化物結晶を用いてもよい。液相成長法としてはフラックス法、アモノサーマル法が挙げられる。
13族窒化物結晶7として窒化ガリウム(GaN)を種結晶6から成長させる際には、種結晶6としてサファイア等の異種基板が付いていない自立型のGaN基板を用いることが好ましい。これにより、種結晶6と13族窒化物結晶7との間で熱膨張率を一致させることができ、両結晶間に生じる熱応力を極力低減して、クラックの発生を防止することができる。
混合融液5は、アルカリ金属と13族元素とを含む融液である。混合融液5は、[1]原料設置工程にて反応容器13内に投入された原料等が、[2]溶解工程にて溶融することにより反応容器13内に形成される。尚、[1][2]の各工程については後述する。
アルカリ金属としては、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、及びカリウム(K)から選ばれる少なくとも1つを用いる。13族元素としては、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びタリウム(Tl)から選ばれる少なくとも1つを用いる。
好ましくは、アルカリ金属として純度99.95%以上のNaを用い、13族元素としてGaを用いるとよい。Naの純度が99.95%未満である場合、混合融液5の表面に雑結晶が生じ、結晶成長速度が低下したり、結晶成長自体が抑止されたりする場合がある。
混合融液5に含まれる13族元素とアルカリ金属とのモル比は、特に限定されるものではない。好ましくは、13族元素とアルカリ金属との総モル数に対するアルカリ金属のモル比を40%〜95%とするとよい。
混合融液5には、添加物やドーパントを含めても良い。添加物としては炭素(C)や、リチウム(Li)、カリウム(K)等のアルカリ金属や、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属を入れる場合がある。ドーパントとしては、13族窒化物結晶7中でn型ドーパントとして機能するゲルマニウム(Ge)等を入れる場合がある。
添加剤として炭素を投入する際、炭素の量は特に限定されるものではないが、13族元素とアルカリ金属との総モル数に対して0.1at%〜5.0at%の範囲で添加することが望ましい。好ましくは0.4at%〜2.0at%であり、さらに好ましくは0.5at%〜1.2at%である。
ドーパントとしてゲルマニウムを投入する際、ゲルマニウムの量は特に限定されるものではないが、13族元素のモル数に対して、0.1at%〜5at%の範囲で投入することが望ましい。好ましくは0.5at%〜3.0at%であり、さらに好ましくは1.5at%〜2.5at%である。
バッフル14(じゃま板)は、ターンテーブル25により反応容器13を回転・停止させた際に、混合融液5をより攪拌混合し易くするための部材である。バッフル14があることで、反応容器13の回転に伴い、混合融液5が効率良く撹拌される。反応容器13を回転させない場合には、バッフル14は設置しなくてもよい。
耐圧容器11は例えばステンレスにより構成される。耐圧容器11の内部には内部容器12が設置されている。内部容器12の内部には更に反応容器13が収容される。
内部容器12は例えばステンレスにより構成される。内部容器12は耐圧容器11内のターンテーブル25上に着脱可能に設置される。ターンテーブル25は回転軸26に固定され、耐圧容器11の外側に設けられた回転機構27により回転可能である。
回転機構27はモータ等により回転軸26を回転させる機構である。回転機構27は、各種インタフェースを介して制御部28に接続されている。制御部28は、マイコン等のプロセッサ、メモリ、論理回路等により構成されており、メモリ内のプログラムに従って回転軸26の回転速度、回転方向等を制御する。尚、制御部28の構成は特に限定されず、例えばモータ等に接続したPC等が回転機構27の回転動作を制御してもよい。
回転軸26の回転に伴い、ターンテーブル25上の内部容器12、反応容器13および反応容器13内のバッフル14等は回転軸26を中心として回転される。尚、回転軸26の回転に伴い回転される構成はこれらに限られるものではない。例えば更にヒータ29が回転するような構成としてもよい。あるいは、反応容器13のみが回転してもよい。反応容器13の回転に伴い、反応容器13内の混合融液5が撹拌される。
図1に示すように、耐圧容器11の内部空間110には、配管31が接続されており、内部容器12の内部空間120にも同様に、配管32が接続されている。配管32は、内部容器12に収容された反応容器13内に、13族窒化物結晶の原料である窒素(N)ガスを供給するための配管である。配管31は、内部空間110に、内部空間110内の全圧を調整するための希釈ガスを供給するための配管である。
配管31および配管32に接続された配管33は、上流部分で窒素供給管34と希釈ガス供給管35とに分岐している。
希釈ガスは、混合融液5中のアルカリ金属(例えば、Na)の蒸発を抑制する目的で全圧を高める際に使用するが、希釈ガスは使用せずともよい。希釈ガスとしては、不活性ガスのアルゴン(Ar)ガスを用いることが望ましいが、これに限定されず、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)等を用いてもよい。希釈ガスの純度としては99.9999%以上であることが好ましい。
窒素ガスは、ガスボンベ等から窒素供給管34に流入し、圧力制御装置で圧力が調整された後、バルブ44を介して配管33に流入する。一方、希釈ガスは、ガスボンベ等から希釈ガス供給管35に流入し、圧力制御装置で圧力が調整された後、バルブ45を介して配管33に流入する。このようにして圧力が調整された窒素ガス及び希釈ガスは配管33内で混合されて、混合ガスとなる。
上述の混合ガスは、配管33、バルブ46、配管31を経て、耐圧容器11の内部空間110に供給される。また、混合ガスは、配管33、バルブ47、バルブ48、配管32を経て、内部容器12の内部空間120に供給される。
上述のように反応容器13の上部は蓋で覆われているが、密閉蓋ではないため、反応容器13の内部空間130は、内部容器12の内部空間120と連通している。即ち、内部空間120と内部空間130とは、略同一雰囲気、略同一圧力となる。尚、内部容器12は結晶製造装置1に対して着脱可能に設けられている。
図1に示すように、耐圧容器11内の内部容器12の外周及び底部の下にはヒータ29が設置されている。ヒータ29は、内部容器12、及び、内部容器12に収容されている反応容器13を加熱し、混合融液5の温度を調節する。
また、ヒータ29の外周には断熱材49を用いた断熱構造が設けられている。断熱材49としては、酸化物材料は極力排して、非酸化物材料を用いることが好ましい。
一般的な高温用断熱材としては、アルミナやシリカ等、酸化物材料のセラミックファイバー或いはセラミックフェルトが用いられることが多い。しかしながら、これら酸化物材料の断熱材は吸湿性が高い。従って、耐圧容器11から内部容器12を出し入れする作業時に、耐圧容器11が大気開放されると、酸化物材料の断熱材は大気中の成分(例えば、水分や酸素分子)を吸着してしまう。すると、結晶成長工程において内部空間110が加熱されると、酸化物材料の断熱材に吸着した分子が脱離して、13族窒化物結晶7に対する不必要な酸素の供給源となってしまう。脱離酸素量は制御が困難であるから、できる限り脱離酸素が13族窒化物結晶7内に混入することは避けることが好ましい。
これに対して、本実施形態の結晶製造装置1では、上述のように非酸化物材料のみで断熱構造を構成したので、13族窒化物結晶7への不要な酸素混入を防止することができる。
――結晶製造工程――
次に、本実施形態にかかる結晶製造方法が含む各工程について説明する。本実施形態の13族窒化物結晶の結晶製造方法は、[1]原料設置工程、[2]溶解工程、[3]結晶成長工程、[4]降温工程、[5]結晶回収工程を含む。
[1]原料設置工程
反応容器13への原料の投入は、不活性ガス雰囲気下のグローブボックス内で行うことが好ましい。グローブボックス内の酸素濃度を0.10ppm以下、露点を−100℃以下に管理した状態で、反応容器13に固体または液体の原料を投入するとよい。原料の投入手順について特に制約はないが、一例として、種結晶6、カーボン、その他の添加物、ナトリウム、ガリウムの順で原料を反応容器13に投入するとよい。
グローブボックス内で反応容器13内に上述の原料等を投入した後、反応容器13の上部の開口部を反応容器13の蓋で覆う。その後、グローブボックス内で反応容器13を内部容器12に収容し、内部容器12の上部の開口部を内部容器12の蓋で覆う。その後、反応容器13を収容した内部容器12を、グローブボックス外に取り出す。次に、反応容器13を収容した内部容器12を、結晶製造装置1の耐圧容器11に速やかに設置する。そして、耐圧容器11内を窒素ガスで複数回パージした後、所定の圧力まで耐圧容器11内に窒素ガスを充填する。
窒素ガスの純度は99.99995%以上であることが好ましい。99.99995%未満であっても結晶は成長するが、結晶中の酸素含有量を低減するには、原料に含まれる酸素量は極力少ない方が好ましい。
[2]溶解工程、[3]結晶成長工程
上述のようにして内部空間130に窒素ガス、希釈ガスを充填した後、ヒータ29に通電して内部容器12及び反応容器13を結晶成長温度まで加熱する。すると、反応容器13内で原料の13族元素(例えばGa)、アルカリ金属(例えばNa)、その他の添加物等が溶融し、混合融液5(フラックス)が生成する。この混合融液5に、所定の窒素分圧の原料ガスを接触させることにより、気相から混合融液5中に窒素が溶解する。混合融液5中に溶解した窒素は、種結晶6の表面に供給され、13族窒化物結晶7が種結晶6を核として結晶成長していく。
以上、原料の13族元素、アルカリ金属、その他の添加物等が溶融して混合融液5が生成する工程と、混合融液5に気相の窒素が溶解する工程とを含めて、本実施形態にかかる溶解工程と称する。
また、混合融液5により13族窒化物結晶の原料が種結晶6の表面(特に主面)に供給されて、種結晶6上に13族窒化物結晶7が成長する工程を、本実施形態にかかる結晶成長工程と称する。
結晶成長工程において、回転機構27により反応容器13を回転させて、混合融液5を撹拌すると、混合融液5中の窒素濃度の分布を均一に保つことができる。そして、混合融液5中の窒素濃度を均一な分布として、13族窒化物結晶7を長時間にわたって結晶成長させると、高品質且つ大容量の13族窒化物結晶7を製造することができる。
結晶成長工程における反応容器13の回転方法は特に限定されないが、混合融液5の激しい撹拌は雑結晶の発生の原因となるため好ましくない。また、一定速度で回転させ続けると、混合融液5の流速が、反応容器13または種結晶6または成長した13族窒化物結晶7の回転速度と等しくなり、混合融液5の撹拌効果が得られなくなる。そのため、制御部28により、加速、減速、反転等を含めた回転制御を行って、混合融液5を撹拌することが好ましい。本実施形態では、ヒータ29に通電後、原料が融解して混合融液5が形成された時点で、混合融液5の攪拌が行われていることが好ましい。
結晶成長時間は、目的のサイズや厚さによって決定されるが、数10時間〜1000時間程度とする。この間、温度や窒素分圧、回転速度、回転加速度、回転減速度、回転時間、回転停止時間等のパラメータは任意に変更させてもよい。
[4]降温工程
結晶成長終了後の降温速度は、結晶成長開始時の昇温速度と同じか、昇温速度よりも緩やかにすると良い。
種結晶6がフラックス法以外の製法で製造されたものである場合、種結晶6と成長した13族窒化物結晶7内の不純物濃度とが異なる。従って、種結晶6と、種結晶6から成長した13族窒化物結晶7との間に、熱膨張係数の差が生じ、降温時にクラックが発生する可能性がある。つまり、昇温速度は、種結晶6、あるいは、反応容器13のヒートショックのみを考慮すれば良いが、降温速度は、熱膨張係数差によるクラックの発生について考慮する必要がある。尚、昇温速度および降温速度の速度調節は、ヒータ29に接続された温度調節器にプログラムを組んで行えばよい。
[5]結晶回収工程
結晶成長が終了し、室温程度まで温度が下がってから、反応容器13を収容したまま内部容器12を耐圧容器11から取り出す。反応容器13内には、成長した13族窒化物結晶7とともに、ナトリウム、ガリウム、ガリウム−ナトリウム合金等が残留している。従って、反応容器13ごとエタノール等のアルコールに浸してナトリウムを除去する。もしくは、不活性ガス雰囲気下のグローブボックス内で、ナトリウムを溶融して反応容器13から流し出した後、反応容器13をエタノール等のアルコールに浸してナトリウムを除去する。作業効率を考えれば、ナトリウムは溶融して流し出した方が効率がよい。
ナトリウム除去後の反応容器13には、13族窒化物結晶7とともに、ガリウム、ガリウム−ナトリウム合金が残留している。ガリウム−ナトリウム合金は50℃以上のお湯と反応させてナトリウム成分のみを溶解させ、ガリウムを回収すればよい。もしくは、硝酸、塩酸、王水等の酸でナトリウム成分を溶解させて、ガリウムを回収すればよい。ガリウム−ナトリウム合金を除去後、反応容器13に残った13族窒化物結晶7を取り出して、王水等の酸で洗浄する。これにより、残留成分を取り除いた13族窒化物結晶7を得ることができる。
尚、ここでは、アルカリ金属としてナトリウム、13族元素としてガリウムを用いた場合の処理内容について説明したが、その他のアルカリ金属、13族元素を用いた場合も同様に薬品処理を行えばよい。
以上述べたように、[1]原料設置工程、[2]溶解工程、[3]結晶成長工程、[4]降温工程、[5]結晶回収工程を経て、本実施形態にかかる13族窒化物結晶7を製造することができる。
以上説明した通り、本実施形態にかかる結晶製造方法によれば、結晶成長工程にある13族窒化物結晶への酸素供給量を制限することができるので、クラックの発生の低減を図り、結晶製造の歩留まりを向上することができる。
また、本実施形態にかかる反応容器13を用いれば、酸化物材料の反応容器を用いた場合に比べて、c面成長領域においても酸素含有量の少ない13族窒化物結晶を製造することができる。酸素は13族窒化物結晶内でn型キャリアとして振舞う。従って、13族窒化物結晶内の酸素含有量がコントロールされていないと、ドーパントによるキャリア濃度の制御が困難になる。即ち、導電性を制御した13族窒化物結晶基板を製造するような場合、混合融液5中に溶存する酸素濃度は低い方が好ましい。これに対して、本実施形態にかかる結晶製造方法によれば、c面成長領域において酸素含有量を制限できるので、ドーパントによるキャリア濃度の制御を適切に行い易くすることができる。
また、フラックス法では、結晶内にインクルージョンが取り込まれてしまうという課題がある。要因の一つは、結晶成長工程で不純物がステップの前進を妨げバンチングを起こす現象であり、ステップバンチングが生じるとインクルージョンが取り込まれ易くなる。特にオフ角の大きな板状種結晶の表面にはステップが多く存在するため、ステップバンチングが生じてインクルージョンが取り込まれ易い。
これに対して、本実施形態にかかる結晶製造方法では、混合融液5中に溶存する酸素量を制限できるので、酸素に起因するステップバンチングの発生を抑制することができる。ステップバンチングの発生を抑制することにより、結晶成長工程においてインクルージョンが結晶中に取り込まれることを抑制することができる。
以下に本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。本実施例では、13族窒化物結晶7として窒化ガリウム(GaN)結晶を製造した。
実施例1〜5および比較例1〜4では、反応容器13の材質、即ち、主材料、副材料とその含有量を変化させてGaN結晶の結晶製造を行った。その他の条件については、いずれの製造工程においても同一とした。表1に、反応容器13の材質と、得られたGaN結晶の評価とを示す。
――結晶製造工程――
以下、結晶製造工程の詳細について記載する。実施例1〜5および比較例1〜4では、上述した結晶製造装置1(図1参照)を用いて13族窒化物結晶7を製造した。また、以下の説明での符号は、上記実施形態で説明した結晶製造装置1(図1参照)と対応している。
原料設置工程においては、高純度Ar雰囲気のグローブボックス内で、反応容器13内に、バッフル14と、種結晶6とを設置した。反応容器13の材質は、表1に示した通りである。バッフル14は各実施例において、反応容器13と同じ材質のものを用いた。種結晶6は、HVPE法により製造されたGaN結晶基板を用いた。種結晶6はφ2インチ(φ50.8mm)、厚さ0.4mmで、鏡面仕上げのものを用いた。種結晶6の主面はc面であり種結晶6の中心オフ角は0.2°であった。
次に、反応容器13内に炭素(C)とゲルマニウム(Ge)を入れ、加熱して液体にしたナトリウム(Na)を入れた。ナトリウムが固化した後、反応容器13にガリウム(Ga)を入れた。ガリウムとナトリウムとのモル比は、0.30:0.70とした。炭素は、ガリウムとナトリウムの総モル数に対して、0.7at%とした。ゲルマニウムは、ガリウムのモル数に対して、2.0at%とした。使用したガリウムおよびナトリウムの純度を表2に示す。
表2に示すように、原料の純度は十分に高いものを用いており、原料には不純物として酸素が含まれていないとみなすことができるレベルである。しかしながらナトリウムは大気中で酸化され易いので、原料仕込み時の酸素混入については十分留意した。即ち、上述したように、ガリウム、ナトリウムの反応容器13内への仕込みは、酸素濃度0.10ppm未満、露点−100℃未満のアルゴン雰囲気下グローブボックス内で行った。表面が酸化されて変色することは見受けられなかったため、仕込み時に原料の一部が酸化して酸素供給源となったとしても、そのレベルはppmオーダであると考えられる。このように本実施例では、原料に含まれる不純物から{10−11}成長領域への酸素供給の影響(上述の(経路2)参照)は、十分に除去されているといえる。
その後、反応容器13を内部容器12内に収納し、内部容器12をグローブボックスから取出して耐圧容器11内のターンテーブル25上に設置した。耐圧容器11を密閉し、窒素ガスで10回パージした後、内部容器12内の窒素ガス圧力を2.8MPaにした。次に、ヒータ29に通電し、結晶成長温度まで昇温させた。結晶成長工程における温度条件は890℃、窒素ガス圧力を3.8MPaとした。
ここで、結晶製造装置1内に残存する酸素としては、原料となる窒素ガスに含まれる酸素と、パージ後に装置内に残存する大気中の酸素が考えられる。大気中の酸素は、パージを10回行った後に2.8MPaまで加圧すると、理論的には2.8×1011倍に希釈されることとなる。従って、残存酸素の影響は、窒素ガスに含まれる酸素に比べれば無視できるレベルといえる。そして、実施例で使用した窒素ガスの純度は99.99995%以上であるので、窒素ガスに含まれる酸素の影響も無視できるレベルといえる。このように本実施例では、装置内の残存酸素が、{10−11}成長領域への酸素供給源となりうる可能性(上述の(経路1)参照)は、十分に除去できているといえる。
結晶成長工程ではターンテーブル25を回転させ、反応容器13内の混合融液5を攪拌した。ターンテーブル25は加速、回転、減速、停止を繰返し行い、混合融液5と13族窒化物結晶7に相対速度が発生するように回転させた。この状態で200時間保持し、種結晶6にGaN結晶を結晶成長させた。
結晶成長工程の終了後、降温工程を経て、結晶回収工程を行った。即ち、エタノール、水、酸を用いて反応容器13からGaN結晶を取り出した。
――評価――
いずれの実施例、比較例においても、取り出したGaN結晶は、m軸方向の長さが54mmで六角形状をしており、六角形状の結晶の外周は{10−11}面で囲まれていた。GaN結晶の厚さは3.5mmであった。
<評価1>反応容器13の主材料をAlNとし、副材料をYとした際の評価(実施例1〜4、比較例1〜2)
実施例1〜4に示すように、Yの含有量が0.1wt%〜20.0wt%である場合には、{10−11}成長領域内、c面内、ともにクラックは発生しなかった。また、実施例1〜4では、雑晶発生に伴う結晶の割れも無かった。
一方、比較例1に示すように、Yの含有量が0.08wt%の場合には、雑晶発生に伴う結晶の割れが生じてしまった。また、比較例2に示すように、Yの含有量が2.0wt%の場合には、{10−11}成長領域内、c面内、ともにクラックが発生してしまった。
以上より、反応容器13の主材料をAlNとし、添加酸化物をYとした際には、Yの含有量を0.1wt%〜20.0wt%とすると、クラックの無いGaN結晶を得られることが分かった。
尚、実施例1〜3に示すように、Yの含有量が0.1wt%〜8.0wt%である場合、{10−11}成長領域は無色透明であった。一方、実施例4に示すように、Yの含有量が20.0wt%である場合、{10−11}成長領域は黒色に着色していた。
<評価2>反応容器13の主材料をBNとし、副材料をBとした際の評価(実施例5、比較例3)
実施例5に示すように、Bの含有量が0.20wt%である場合には、{10−11}成長領域内、c面内、ともにクラックは発生しなかった。反応容器13の内壁には雑晶が発生していたが、GaN結晶を割ることなく回収することができた。
一方、比較例3に示すように、Bの含有量が0.05wt%である場合には、{10−11}成長領域内、c面内、ともにクラックは発生しなかった。しかしながら、反応容器13の内壁には雑晶が大量に発生しており、雑晶を取り除いてGaN結晶を取り出そうとしたところ、GaN結晶は割れてしまった。
以上より、反応容器13の主材料をBNとし添加酸化物をBとした際にも、主材料をAlNとし添加酸化物をYとした際と同様に、Bの含有量を0.1wt%〜20.0wt%とするとクラック発生を防止できることが推察できる。
<評価3>反応容器13の主材料をAlとし、酸化物材料を添加していない際の評価(比較例4)
比較例4に示すように、反応容器13の主材料をAlとした場合には、図3に示すように、GaN結晶には{10−11}領域、c面内ともにクラックが発生していた。尚、反応容器13内に雑晶は発生していなかった。
図3は、比較例4で製造したGaN結晶の撮影画像である。図3(A)は、GaN結晶を主面であるc面側から撮影した画像である。図3(B)は、GaN結晶の端面付近を−c面側から撮影した画像である。
図3(A)に示すように、種結晶6の主面上には、六角形状のc面成長領域32Aが成長しており、c面成長領域32Aの周囲には{10−11}成長領域32Bが全周に渡って形成されていた。図3(A)および(B)に示すように、{10−11}成長領域32Bは黒く着色していた。図3(A)に示すように、c面成長領域32AにはクラックKが多数発生していた。
また、図3(B)の矢印で示すように、{10−11}成長領域32Bにはクラックが多数発生していた。また、{10−11}成長領域32Bから、種結晶6内、および、厚膜化したc面成長領域32A内へのクラックの伝播が観察された。このため、{10−11}成長領域32Bからのクラック伝播が、c面成長領域32Aにおけるクラック発生の主要因になっていることが推測できる。即ち、比較例4の結果から、{10−11}成長領域32Bにおけるクラック発生を抑制すれば、厚膜化したc面成長領域32Aにおいてもクラックの発生を抑制することができる可能性が見出された。
c面成長領域32Aと{10−11}成長領域32Bと、の格子定数を測定した。その結果、c面成長領域32Aの格子定数は、c軸方向が5.1849Å、a軸方向が3.1881Åであり、{10−11}成長領域23Bの格子定数は、c軸方向が5.1857Å、a軸方向が3.1882Åであった。{10−11}成長領域23Bの方がc面成長領域32Aよりもc軸方向、a軸方向ともに大きかった。
また、c面成長領域32Aと、{10−11}成長領域32Bとについて、二次イオン質量分析法(SIMS)により酸素濃度を測定した。その結果、格子定数を測定したc面成長領域32Aの酸素濃度は2×1017cm−3であった。また、格子定数を測定した{10−11}成長領域32Bの酸素濃度は5×1019cm−3であった。即ち、c面成長領域32Aよりも{10−11}成長領域32Bの方が多くの酸素を取り込んでいることが分かった。
尚、これまでにも同様の結晶製造工程により製造したGaN結晶において、{10−11}成長領域が図3に示すように黒色に着色していた場合があった。そして、SIMS測定の結果、{10−11}成長領域32Bの酸素濃度は1017〜1020cm−3程度であり、c面成長領域における酸素濃度は1015〜1018cm−3程度であるという結果が得られていた。即ち、{10−11}成長領域32Bの方がc面成長領域32Aよりも多くの酸素を取り込んでいるという比較例4の結果は、従来の結果と同様の傾向を示している。
SIMS結果および格子定数の結果から、c面成長領域32Aと{10−11}成長領域32Bとの酸素濃度の違いによって格子定数に差が生じ、GaN結晶内に歪みが導入されたことが推測される。そして、この結晶の歪みにより、GaN結晶、特に、厚膜化した{10−11}成長領域32B内にクラックが発生したものと考えられる。
以上の結果より、{10−11}成長領域32Bの酸素含有量が多い場合に、13族窒化物結晶(例えばGaN結晶)にクラックが発生し易くなると考えられる。これに対して、上記実施例1〜4では、反応容器13の酸素含有量を好適な値としたため、{10−11}成長領域32Bへの酸素の取り込みを抑制して結晶歪みを低減し、クラックの発生を抑制することができたものと考えられる。
このように、上記実施例および比較例の検討結果から、窒化物を主材料とし、0.1wt%〜20.0wt%の酸化物材料を含有した反応容器13を用いることにより、13族窒化物結晶におけるクラックの発生を低減することができた。なお、酸化物材料を1.0wt%〜20.0wt%とすることにより、より雑晶の発生を抑えることができる。
また、好適な実施例としては、反応容器13の主材料が窒化物焼結体であり、当該窒化物焼結体は窒化アルミニウム(AlN)であるとよいことが確認できた。また、反応容器13の副材料として含まれる酸化物材料は、酸化イットリウム(Y)であるとよいことが確認できた。
より好適な実施例として、反応容器13の主材料が窒化アルミニウムであり、副材料として酸化イットリウムを0.1wt%〜20.0wt%含有した反応容器13を用いた場合に、クラック発生を抑制してGaN結晶を製造することができた。
別の好適な実施例としては、反応容器13の主材料が窒化物焼結体であり、当該窒化物焼結体が窒化ホウ素(BN)であるとよいことが確認できた。またこの際に、反応容器13の副材料として含まれる酸化物材料が酸化ホウ素(B)であるとよいことが確認できた。一例として、反応容器13の主材料をBNとし、副材料としてBを0.05wt%含有させた場合に、クラック発生を抑制してGaN結晶を製造することができた。
尚、上記実施例および比較例においては13族窒化物結晶としてGaN結晶を製造した例を示したが、上述と同様の作用あるいは考察により、GaN結晶以外の13族窒化物結晶の製造工程においても、本実施形態の結晶製造方法を適用可能である。
1 結晶製造装置
5 混合融液
6 種結晶
7 13族窒化物結晶
11 耐圧容器
12 内部容器
13 反応容器
14 バッフル
25 ターンテーブル
29 ヒータ
34 窒素供給管
35 希釈ガス供給管
特許第4398762号公報

Claims (8)

  1. アルカリ金属と13族元素とを含む混合融液と、窒素とを反応させて種結晶からフラックス法により13族窒化物結晶を製造する13族窒化物結晶の製造方法において、
    前記混合融液を保持する反応容器として、窒化物を主材料とし、0.1wt%〜20.0wt%の酸化物材料を含有した反応容器を用いることを特徴とする、13族窒化物結晶の製造方法。
  2. 前記酸化物材料は、1.0wt%〜20.0wt%であることを特徴とする、請求項1に記載の13族窒化物結晶の製造方法。
  3. 前記反応容器の主材料が窒化物焼結体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の13族窒化物結晶の製造方法。
  4. 前記反応容器の主材料が窒化アルミニウムであることを特徴とする、請求項1ないし3の何れか一に記載の13族窒化物結晶の製造方法。
  5. 前記反応容器に含まれる前記酸化物材料が、酸化イットリウムであることを特徴とする、請求項1ないし4の何れか一に記載の13族窒化物結晶の製造方法。
  6. 前記反応容器の主材料が窒化ホウ素であることを特徴とする、請求項1ないし3の何れか一に記載の13族窒化物結晶の製造方法。
  7. 前記反応容器に含まれる前記酸化物材料が、酸化ホウ素であることを特徴とする、請求項1ないし6の何れか一に記載の13族窒化物結晶の製造方法。
  8. フラックス法により13族窒化物結晶を製造する製造装置であって、
    アルカリ金属と13族金属を含む混合融液を保持する反応容器と、前記反応容器を内部に収容し、内部に窒素ガスを保持する外部容器と、前記反応容器を加熱するヒータと、を備え、
    前記反応容器は、窒化物を主材料とし、0.1wt%〜20.0wt%の酸化物材料を含有した材料で構成される、
    ことを特徴とする13族窒化物結晶の製造装置。
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