JP2017034334A - 電子デバイス、電子機器および移動体 - Google Patents
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Abstract
【課題】スペースを有効活用することのできる電子デバイス、この電子デバイスを備えた信頼性の高い電子機器および移動体を提供する。【解決手段】電子デバイス1は、基板2と、基板2に設けられた振動素子3と、基板2との間に振動素子3を収容する空洞部5を形成するように基板2に設けられた被覆構造体4と、を有し、被覆構造体4は、振動素子3と電気的に接続された配線層432、434およびインダクタ612を有する。また、被覆構造体4は、空洞部5に接続された連通孔41aを有する被覆層41と、連通孔41aを封止するように被覆層41上に配置され、導電性を有する封止層42と、を有し、封止層42に、インダクタ612が形成されている。【選択図】図1
Description
本発明は、電子デバイス、電子機器および移動体に関するものである。
例えば、特許文献1の電子装置は、基板と、基板に設けられたMEMS構造体と、MEMS構造体を覆う被覆構造体と、を有している。
このような電子装置では、内部空間がMEMS構造体を囲むために比較的大きく形成されており、それに伴って、内部空間を形成する被覆構造体も比較的大きなものとなる。しかしながら、本文献の電子装置では、被覆構造体の余ったスペースに任意の部材(例えば、インダクタ、容量、抵抗等の回路素子)を配置する等の工夫がされておらず、スペースを無駄にしているという問題がある。
本発明の目的は、スペースを有効活用することのできる電子デバイス、この電子デバイスを備えた信頼性の高い電子機器および移動体を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例の電子デバイスは、基板と、
基板に設けられた機能素子と、
前記基板との間に前記機能素子を収容する内部空間を形成するように前記基板に設けられた被覆構造体と、を有し、
前記被覆構造体は、前記機能素子と電気的に接続された配線層および回路素子を有することを特徴とする。
これにより、被覆構造体内のスペースを有効活用することのできる電子デバイスとなる。
本適用例の電子デバイスは、基板と、
基板に設けられた機能素子と、
前記基板との間に前記機能素子を収容する内部空間を形成するように前記基板に設けられた被覆構造体と、を有し、
前記被覆構造体は、前記機能素子と電気的に接続された配線層および回路素子を有することを特徴とする。
これにより、被覆構造体内のスペースを有効活用することのできる電子デバイスとなる。
[適用例2]
本適用例の電子デバイスでは、前記回路素子は、受動素子であることが好ましい。
これにより、回路素子を形成し易くなる。
本適用例の電子デバイスでは、前記回路素子は、受動素子であることが好ましい。
これにより、回路素子を形成し易くなる。
[適用例3]
本適用例の電子デバイスでは、前記被覆構造体は、
前記内部空間に接続された貫通孔を有する天井層と、
前記貫通孔を封止するように前記天井層上に配置され、導電性を有する封止層と、を有し、
前記封止層に、前記回路素子の少なくとも一部が配置されていることが好ましい。
このように、もともと必要な層から回路素子を形成することで、被覆構造体の大型化や複雑化等を抑制することができる。
本適用例の電子デバイスでは、前記被覆構造体は、
前記内部空間に接続された貫通孔を有する天井層と、
前記貫通孔を封止するように前記天井層上に配置され、導電性を有する封止層と、を有し、
前記封止層に、前記回路素子の少なくとも一部が配置されていることが好ましい。
このように、もともと必要な層から回路素子を形成することで、被覆構造体の大型化や複雑化等を抑制することができる。
[適用例4]
本適用例の電子デバイスでは、前記基板の平面視で、
前記回路素子は、少なくとも一部が前記機能素子と重なって配置されていることが好ましい。
これにより、回路素子と機能素子とをより短い経路で接続することができ、ノイズの発生をより効果的に低減することができる。
本適用例の電子デバイスでは、前記基板の平面視で、
前記回路素子は、少なくとも一部が前記機能素子と重なって配置されていることが好ましい。
これにより、回路素子と機能素子とをより短い経路で接続することができ、ノイズの発生をより効果的に低減することができる。
[適用例5]
本適用例の電子デバイスでは、前記回路素子は、前記被覆構造体内で前記配線層と電気的に接続されていることが好ましい。
これにより、装置構成が簡単となる。
本適用例の電子デバイスでは、前記回路素子は、前記被覆構造体内で前記配線層と電気的に接続されていることが好ましい。
これにより、装置構成が簡単となる。
[適用例6]
本適用例の電子デバイスでは、前記機能素子は、振動素子であることが好ましい。
これにより、例えば、電子デバイスに回路を組み合わせることで、発振器として用いることができる。
本適用例の電子デバイスでは、前記機能素子は、振動素子であることが好ましい。
これにより、例えば、電子デバイスに回路を組み合わせることで、発振器として用いることができる。
[適用例7]
本適用例の電子機器は、上記適用例の電子デバイスを有していることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
本適用例の電子機器は、上記適用例の電子デバイスを有していることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
[適用例8]
本適用例の移動体は、上記適用例の電子デバイスを有していることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い移動体が得られる。
本適用例の移動体は、上記適用例の電子デバイスを有していることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い移動体が得られる。
以下、本発明の電子デバイス、電子機器および移動体を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る電子デバイスについて説明する。
まず、本発明の第1実施形態に係る電子デバイスについて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子デバイスを示す断面図である。図2は、図1に示す電子デバイスが有する振動素子の平面図である。図3は、図1に示す電子デバイスが有する回路素子(封止層)の平面図である。図4ないし図13は、それぞれ、図1に示す電子デバイスの製造方法を説明する断面図である。なお、図1は、図2中のA−A線断面図である。また、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
≪電子デバイス≫
図1に示す電子デバイス1は、例えば、所定周波数の信号を発振する発振器として用いられる。このような電子デバイス1は、基板2と、機能素子としての振動素子3と、被覆構造体4と、空洞部(収容空間)5と、半導体回路(回路)6と、を有する。
図1に示す電子デバイス1は、例えば、所定周波数の信号を発振する発振器として用いられる。このような電子デバイス1は、基板2と、機能素子としての振動素子3と、被覆構造体4と、空洞部(収容空間)5と、半導体回路(回路)6と、を有する。
基板2は、上面に開放する凹部24を有するベース基板21と、凹部24の内面上に積層された第1絶縁膜22と、第1絶縁膜22上に積層された第2絶縁膜23と、を有する。ベース基板21は、例えば、シリコン基板で構成され、第1絶縁膜22は、例えば、シリコン酸化膜(SiO2膜)で構成され、第2絶縁膜23は、例えば、シリコン窒化膜(SiN膜)で構成されている。
なお、シリコン基板は、例えば、シリコン単結晶基板上にシリコン単結晶をエピタキシャル成長させたものを用いてもよい。ただし、ベース基板21としては、シリコン基板に限定されず、例えば、SOI基板を用いることができる。また、第1絶縁膜22および第2絶縁膜23としては、製造時にベース基板21を保護し、また、各部の短絡等を防ぐことができれば特に限定されない。
また、ベース基板21の凹部24よりも外側の部分には半導体回路6の少なくとも一部が作り込まれている。半導体回路6は、例えば、振動素子3を励振させるための発振回路を有し、その他にも、例えば、必要に応じて、位相同期回路(PLL回路)や、発振回路からの出力周波数を整数倍にする逓倍回路(周波数調整回路)や、信号を所定の出力形式に変換して出力する出力回路や、メモリー等を有する。
このような半導体回路6には、必要に応じて、MOSトランジスタ、キャパシタ、インダクタ、抵抗、ダイオード、配線等の回路素子61が含まれている。このように、電子デバイス1内に、半導体回路6を作り込むことで、例えば、電子デバイス1と半導体回路6とが別体で構成された場合と比較して、装置全体の小型化を図ることができる。また、半導体回路6を振動素子3に近接して配置することができるため、振動素子3から出力される信号にノイズが乗り難く、優れた精度の電子デバイス1となる。なお、図1では、説明の便宜上、半導体回路6として、MOSトランジスタ611およびインダクタ612のみを図示している。
また、図2に示すように、凹部24内には壁部71と、柱状の4本の柱部72(72a〜72d)と、が設けられている。
4つの柱部72は、壁部71の内側(すなわち空洞部5内)に設けられており、平面視で、振動素子3の周囲に沿って互いに離間して設けられている。これら4つの柱部72は、被覆構造体4を支える支柱として機能し、被覆構造体4の下方(空洞部5内)への撓み変形を抑制する。そのため、例えば、被覆構造体4と振動素子3との接触を防止することができる。また、4つの柱部72は、振動素子3が有する電極を外部へ引き出すための配線(電気経路)の一部としても用いられる。このように、柱部72を配線の一部として用いることで、別途配線を引き回す必要がなく、電子デバイス1の装置構成が簡単となると共に、電子デバイス1の小型化を図ることができる。このような柱部72は、例えば、リン、ボロン等の不純物をドープ(拡散または注入)したポリシリコンで構成されている。なお、柱部72の数としては、4つに限定されない。
壁部71は、枠状をなし、平面視で振動素子3および柱部72の周囲を囲むように、凹部24の底面に立設されている。そして、壁部71の内側が空洞部5となっている。また、壁部71は、隣り合う柱部72a、72bの間に入り込むように内側へ突出した突出部711と、隣り合う柱部72b、72cの間に入り込むように内側へ突出した突出部712と、隣り合う柱部72c、72dの間に入り込むように内側へ突出した突出部713と、隣り合う柱部72d、72aの間に入り込むように内側へ突出した突出部714と、を有する。
このような突出部711、712、713、714を設けることで、空洞部5の体積が減少する。そのため、空洞部5を形成する際のエッチング時間を短縮することができたり、空洞部5を真空封止する際の真空引き時間を短縮することができたりする。また、これら4つの突出部711〜714は、柱部72と共に、被覆構造体4を支えている。よって、被覆構造体4の下方への撓み変形がより抑制される。このような壁部71は、例えば、ポリシリコンで構成されている。
また、壁部71の外周側(すなわち壁部71と凹部24の内側面との間)には壁部71を補強する補強部73が設けられている。これにより、電子デバイス1の機械的強度を高めることができる。なお、補強部73は、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)で構成されている。
被覆構造体4は、基板2の上面側に設けられ、凹部24の開口を塞いでいる。これにより、基板2と被覆構造体4の間に気密封止された空洞部5が形成される。この空洞部5には振動素子3が配置されており、これにより、振動素子3を保護することができると共に、振動素子3を所定の環境下で駆動することができる。
このような被覆構造体4は、図1に示すように、被覆層41と、被覆層41上に積層された封止層42と、封止層42および基板2上に積層された構造体43と、を有する。
被覆層41は、絶縁層411と、絶縁層411上に積層された導電層412と、を有する。
被覆層41は、空洞部5の内外を連通する複数の連通孔41aを有する。この連通孔41aは、製造時に空洞部5内の犠牲層をエッチングにより除去するためのリリースホールである。なお、連通孔41aは、基板2の平面視で、振動素子3と重ならないように配置することが好ましい。これにより、封止層42で連通孔41aを封止する際に、連通孔41aを通過した封止材料が振動素子3に付着し難くなり、振動素子3の駆動周波数の変化を抑制することができる。
また、導電層412は、絶縁層411を貫通して設けられ、柱部72と電気的に接続されているコンタクト部412aを有する。このようなコンタクト部412aは、柱部72と同様に、振動素子3を半導体回路6に電気的に接続するための配線の一部として用いられる。なお、このような被覆層41上には封止層42が設けられているが、封止層42と導電層412とが接触しないように(電気的に接続されないように)、導電層412と封止層42との間には図示しない絶縁膜が形成されている。
このような被覆層41では、絶縁層411は、例えば、窒化ケイ素(SiN)で構成されており、導電層412は、例えば、リン、ボロン等の不純物をドープ(拡散または注入)したポリシリコンで構成されている。
封止層42は、被覆層41(絶縁層411)上に積層され、連通孔41aを塞いでいる。これにより、空洞部5が気密封止される。このように、空洞部5を気密封止することで、空洞部5に収容された振動素子3の雰囲気を安定させることができる。なお、空洞部5の環境としては、特に限定されないが、真空状態(減圧状態)となっていることが好ましい。これにより、粘性抵抗が減り、より効率的かつ安定的に振動素子3を駆動することができる。
また、封止層42は、コンタクト部412a上に周囲から島状に独立して配置され、コンタクト部412aと電気的に接続されているコンタクト部421を有する。このようなコンタクト部421は、柱部72およびコンタクト部412aと同様に、振動素子3を半導体回路6に電気的に接続するための配線(電気経路)の一部として用いられる。
また、封止層42は、図1および図3に示すように、半導体回路6に含まれるインダクタ612と、インダクタ612の周囲を囲む枠状の枠部422と、を有する。なお、インダクタ612と枠部422は、物理的に離間しており、直流的に絶縁されている。このように、封止層42にインダクタ612を配置することで、封止層42(被覆構造体4)のスペースを有効活用することができる。特に、封止層42は、空洞部5の気密性を担保するために、他の導電層(例えば、後述する配線層432、434等)に比べて厚く形成される。そのため、その分、インダクタ612の膜厚を厚くすることができ、インダクタ612の電気抵抗を低くすることができる。
また、インダクタ612は、被覆構造体4内において配線層432、434と電気的に接続されている。そのため、インダクタ612と配線層432、434とを被覆構造体4の外側で電気的に接続する場合と比較して、インダクタ612の接続を容易に行うことができる。また、インダクタ612と配線層432、434とを被覆構造体4の外側で電気的に接続する場合と比較して、インダクタ612と振動素子3との間の配線距離を短くすることもできる。
また、インダクタ612は、図3に示すように、基板2の平面視で、少なくとも一部が振動素子3と重なって配置されている。インダクタ612をこのように配置することで、インダクタ612と振動素子3との間の配線距離をより短くすることができる。また、電子デバイス1の面内方向への広がりを抑えることができる。ただし、インダクタ612の配置としては、これに限定されず、反対に、基板2の平面視で振動素子3と重ならないように配置されていてもよい。
また、被覆構造体4内に配置される回路素子を、本実施形態のようなインダクタ612や、後述する第2、第3実施形態で述べるキャパシタ613、抵抗体614のような受動素子とすることで、より簡単に、半導体プロセスを用いて被覆構造体4と同時に形成することができる。
一方、枠部422は、グランドに接続(接地)されることが好ましい。これにより、枠部422が電磁シールドとして機能し、外界からの影響を受け難い電子デバイス1となる。
このような封止層42としては、例えば、Al、Cu、W、Ti、TiN等の金属材料(導電性材料)を用いることができる。
構造体43は、図1に示すように、層間絶縁膜431と、層間絶縁膜431上に形成された配線層432と、配線層432および層間絶縁膜431上に形成された層間絶縁膜433と、層間絶縁膜433上に形成された配線層434と、配線層434および層間絶縁膜433上に形成された表面保護層435と、を有する。このうち、配線層432、434は、半導体回路6の配線として機能している。また、表面保護層435は、電子デバイス1を水分、ゴミ、傷などから保護する。半導体回路6は、配線層432、434によって電子デバイス1の上面に引き出され、配線層434の一部が表面保護層435から露出しており、当該部分が外部接続端子434’となる。
このような構造体43では、層間絶縁膜431、433は、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)で構成されており、配線層432、434は、例えば、アルミニウム(Al)で構成されており、表面保護層435は、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(SiN)、ポリイミド、エポキシ樹脂等で構成されている。
以上、被覆構造体4について説明した。このような被覆構造体4によれば、その内部に回路素子61を配置しているため、被覆構造体4のスペースを有効活用することができる。そのため、電子デバイス1の外側に配置される構成要素を減らすことができ、電子デバイス1を含む装置全体の小型化を図ることができる。
なお、本実施形態では、インダクタ612が封止層42から形成されているが、インダクタ612は、例えば、配線層432、434のいずれかから形成されていてもよい。また、インダクタ612に加えて、配線層432や配線層434から形成された他の回路素子(キャパシタ、抵抗体等)を有していてもよい。
振動素子3は、静電駆動型の振動素子であり、図1および図2に示すように、基板2上に設けられた基板電極31および振動部電極32を有する。
振動部電極32は、凹部24の底面に設けられた固定部33と、固定部33と空隙を隔てて対向配置された振動体34と、振動体34および固定部33の間に配置され、振動体34を固定部33に支持する支持部35と、を有する。また、振動体34は、その中央部に位置し、固定部33に支持された基部341と、基部341に接続された4つの振動部342、343、344、345と、を有し、略十字状をなす。なお、振動部の数は、特に限定されず、1〜3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。
一方、基板電極31は、凹部24の底面に設けられ、振動部342に対向配置された電極部311と、凹部24の底面に設けられ、振動部344に対向配置された電極部312と、を有する。
基板電極31および振動部電極32は、それぞれ、柱部72を介して半導体回路6(配線層432、434)と電気的に接続されており、半導体回路6から基板電極31と振動部電極32との間に所定周波数(振動部電極32の共振周波数とほぼ等しい周波数)の交番電圧が印加されると、振動体34と基板電極31との間に発生する静電力によって、振動部342、344と振動部343、345とが互いに逆相で振動する。そして、この振動に基づく信号(周波数信号)が基板電極31(または振動部電極32)から出力され、出力された信号を半導体回路6で処理することで、所定周波数の信号を出力することができる。
これら基板電極31および振動部電極32は、例えば、リン、ボロン等の不純物をドープ(拡散または注入)したポリシリコンで構成されている。
≪電子デバイスの製造方法≫
次に、図4ないし図13に基づいて、電子デバイス1の製造方法を説明する。なお、以下では説明の便宜上、半導体回路6が有する回路素子の製造工程については、その説明を一部省略する。各回路素子は、下記に説明する工程と同じ工程や、下記に示す工程の合間の工程で、作り込むことができる。
次に、図4ないし図13に基づいて、電子デバイス1の製造方法を説明する。なお、以下では説明の便宜上、半導体回路6が有する回路素子の製造工程については、その説明を一部省略する。各回路素子は、下記に説明する工程と同じ工程や、下記に示す工程の合間の工程で、作り込むことができる。
まず、図4に示すように、シリコン基板であるベース基板21を用意し、フォトリソグラフィー技法およびエッチング技法を用いてベース基板21の上面に凹部24を形成し、その後、ベース基板21の上面側に第1絶縁膜22および第2絶縁膜23を順に成膜する。第1絶縁膜22および第2絶縁膜23は、例えば、ベース基板21の表面にSiO2膜を熱酸化法で成膜した後、このSiO2膜上にSiN膜をスパッタリング法、CVD法等を用いて形成することで得られる。
次に、第2絶縁膜23上にポリシリコンの膜をスパッタリング法、CVD法等を用いて形成しつつ、同時にリン、ボロン等の不純物を注入することで、導電性のポリシリコン膜を形成し、このポリシリコン膜をパターニングすることで、図5に示すように、基板電極31(電極部311、312)、固定部33、配線(図示せず)、柱部72の一部および壁部71の一部を形成する。ただし、これら各部の形成方法は上述の方法に限定されず、例えば、各部のパターニングを終えてから、各部にリン、ボロン等の不純物をドープして導電性を付与してもよい。
次に、図6に示すように、CVD法により、SiO2膜からなる第1犠牲層91を形成し、形成した第1犠牲層91に支持部35、柱部72および壁部71に対応する開口を形成する。ただし、第1犠牲層91は、CVD法ではなく、熱酸化法、スパッタリング法等により形成してもよい。また、前記開口は、フォトリソグラフィー技法およびエッチング技法を用いて形成する。
次に、第1犠牲層91上にポリシリコンの膜をスパッタリング法、CVD法等を用いて形成しつつ、同時にリン、ボロン等の不純物を注入することで、導電性のポリシリコン膜を形成し、このポリシリコン膜をパターニングすることで、図7に示すように、支持部35、振動体34、柱部72および壁部71を形成する。これにより、振動素子3が得られる。
次に、CVD法により、図8に示すように、SiO2膜からなる第2犠牲層92を形成し、さらに、第2犠牲層92に所定の開口を形成する。次に、図9に示すように、第2犠牲層92上にSiN膜からなる絶縁層411を成膜し、この絶縁層411上にポリシリコンをスパッタリング法、CVD法等を用いて形成しつつ、同時にリン、ボロン等の不純物を注入することで、導電性のポリシリコン膜からなる導電層412を形成する。そして、これら絶縁層411および導電層412に連通孔41aを形成する。これにより、被覆層41が得られる。
次に、化学機械研磨(CMP)によって、図10に示すように、ベース基板21の上面211上に積層された第1絶縁膜22および第2絶縁膜23を除去して、ベース基板21の上面211を露出させる。これにより、例えば、ベース基板21の上面211にMOSトランジスタ611を作り込むことができる。
次に、図11に示すように、第1、第2犠牲層91、92のリリースエッチングを行なう。これにより、連通孔41aを介して第1、第2犠牲層91、92が除去され、空洞部5が形成されると共に振動素子3がリリースされる。
次に、空洞部5を真空引きした状態で、図12に示すように、導電層412上にアルミニウム層からなる封止層42を形成して連通孔41aを封止し、封止層42をパターニングすることでコンタクト部421、インダクタ612および枠部422を形成する。
次に、図13に示すように、ベース基板21上にシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜431を成膜し、層間絶縁膜431をCMP(化学機械研磨)等によって平坦化する。次に、層間絶縁膜431上に、配線層432、層間絶縁膜433、配線層434および表面保護層435を順に形成する。以上によって、図1に示す電子デバイス1が得られる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る電子デバイスについて説明する。
次に、本発明の第2実施形態に係る電子デバイスについて説明する。
図14は、本発明の第2実施形態に係る電子デバイスを示す断面図である。図15は、図14に示す電子デバイスが有する回路素子(封止層)の平面図である。
以下、本発明の第2実施形態に係る電子デバイスについて説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
第2実施形態の電子デバイスは、被覆構造体内に配置される回路素子が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態の電子デバイス1では、図14に示すように、被覆構造体4内に回路素子61としてのキャパシタ613が配置されている。キャパシタ613は、下部電極613aと、下部電極613aと対向配置された上部電極613bと、下部電極613aと上部電極613bとの間に配置された絶縁膜613cと、で構成されており、下部電極613aが封止層42から形成されている。また、上部電極613bは、例えば、下部電極613aと同じ材料(すなわち、Al、Cu、W、Ti、TiN等の金属材料)で構成され、絶縁膜613cは、例えば、SiN、SiO2等で構成されている。このような材料によれば、キャパシタ613を、半導体プロセスを用いて被覆構造体4と一括形成することができる。
なお、キャパシタ613の配置としては、上記の配置に限定されない。例えば、本実施形態では、上部電極613bが配線層432、434とは異なる層から形成されているが、上部電極613bを配線層432から形成してもよい。また、例えば、下部電極613aを配線層432から形成し、上部電極613bを配線層434から形成してもよい。また、本実施形態では、図15に示すように、基板2の平面視で、キャパシタ613の少なくとも一部が振動素子3と重なって配置されているが、キャパシタ613は、振動素子3と重ならないように配置されていてもよい。
以上のような第2実施形態よっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る電子デバイスについて説明する。
図16は、本発明の第3実施形態に係る電子デバイスを示す断面図である。
次に、本発明の第3実施形態に係る電子デバイスについて説明する。
図16は、本発明の第3実施形態に係る電子デバイスを示す断面図である。
以下、本発明の第3実施形態に係る電子デバイスについて説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
第3実施形態の電子デバイスは、被覆構造体内に配置される回路素子が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態の電子デバイス1では、図16に示すように、被覆構造体4内に回路素子61としての抵抗体614が配置されている。抵抗体614は、例えば、リン、ボロン等の不純物をドープ(拡散または注入)したポリシリコンで構成されている。
以上のような第3実施形態よっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る電子機器について説明する。
次に、本発明の第4実施形態に係る電子機器について説明する。
図17は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1108を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、例えば、発振器として用いられる電子デバイス1が内蔵されている。そのため、パーソナルコンピューター1100は、より高性能で、高い信頼性を発揮することができる。
図18は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204及び送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1208が配置されている。このような携帯電話機1200には、例えば、発振器として用いられる電子デバイス1が内蔵されている。そのため、携帯電話機1200は、より高性能で、高い信頼性を発揮することができる。
図19は、本発明の電子機器を適用したデジタルスチールカメラの構成を示す斜視図である。
デジタルスチールカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。デジタルスチールカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部1310が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行なう構成になっており、表示部1310は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。
また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCD等を含む受光ユニット1304が設けられている。撮影者が表示部1310に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。このようなデジタルスチールカメラ1300には、例えば、発振器として用いられる電子デバイス1が内蔵されている。そのため、デジタルスチールカメラ1300は、より高性能で、高い信頼性を発揮することができる。
なお、本発明の電子機器は、図17のパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図18の携帯電話機、図19のデジタルスチールカメラの他にも、例えば、スマートフォン、タブレット端末、時計、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター等に適用することができる。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係る移動体について説明する。
図20は、本発明の移動体を適用した自動車を示す斜視図である。
次に、本発明の第5実施形態に係る移動体について説明する。
図20は、本発明の移動体を適用した自動車を示す斜視図である。
自動車(移動体)1500には、例えば発振器として用いられる電子デバイス1が搭載されている。電子デバイス1は、例えば、キーレスエントリー、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS…Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター、車体姿勢制御システム、等の電子制御ユニット(ECU…electronic control unit)に広く適用できる。このように、自動車1500は、電子デバイス1を有しているため、より高性能で、高い信頼性を発揮することができる。
以上、本発明の電子デバイス、発振器、電子機器および移動体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、前述した各実施形態では、基板に凹部を形成することで、基板と蓋部との間に空洞部を形成した構成について説明しているが、基板と蓋部の構成としては、これに限定されない。例えば、基板に凹部を設けずに、蓋部の下面(基板側)に凹部を形成することで、基板と蓋部との間に空洞部を形成してもよいし、基板および蓋部の間に、枠状の構造体を介在させて、枠状の構想体の内周面と基板の上面とによって凹部を形成してもよい。すなわち、凹部の底面と壁面とが別部材から形成されており、これらが一体的に形成されていなくてもよい。
また、前述した各実施形態では、機能素子としての振動素子を有し、発振器として用いることのできる電子デバイスについて説明したが、電子デバイスの用途(機能素子の種類)としては、これに限定されない。例えば、機能素子としてピエゾ抵抗素子を有し、電子デバイスは、このピエゾ抵抗素子の抵抗値変化から、受けた圧力を検知する圧力検知装置として用いるものであってもよい。
また、前述した各実施形態では、被覆構造体内に形成される回路素子がインダクタ、キャパシタ、抵抗である場合について説明したが、被覆構造体内に形成される回路素子としては、これに限定されず、この他の受動素子として、例えば、コンデンサであってもよい。また、受動素子に限定されず、例えば、トランジスタ等の能動素子であってもよい。
1…電子デバイス、2…基板、21…ベース基板、211…上面、22…第1絶縁膜、23…第2絶縁膜、24…凹部、3…振動素子、31…基板電極、311…電極部、312…電極部、32…振動部電極、33…固定部、34…振動体、341…基部、342、343、344、345…振動部、35…支持部、4…被覆構造体、41…被覆層、41a…連通孔、411…絶縁層、412…導電層、412a…コンタクト部、42…封止層、421…コンタクト部、422…枠部、43…構造体、431…層間絶縁膜、432…配線層、433…層間絶縁膜、434…配線層、434’…外部接続端子、435…表面保護層、5…空洞部、6…半導体回路、61…回路素子、611…MOSトランジスタ、612…インダクタ、613…キャパシタ、613a…下部電極、613b…上部電極、613c…絶縁膜、614…抵抗体、71…壁部、711、712、713、714…突出部、72…柱部、72a…柱部、72b…柱部、72c…柱部、72d…柱部、73…補強部、91…第1犠牲層、92…第2犠牲層、1100…パーソナルコンピューター、1102…キーボード、1104…本体部、1106…表示ユニット、1108…表示部、1200…携帯電話機、1202…操作ボタン、1204…受話口、1206…送話口、1208…表示部、1300…デジタルスチールカメラ、1302…ケース、1304…受光ユニット、1306…シャッターボタン、1308…メモリー、1310…表示部、1500…自動車
Claims (8)
- 基板と、
基板に設けられた機能素子と、
前記基板との間に前記機能素子を収容する内部空間を形成するように前記基板に設けられた被覆構造体と、を有し、
前記被覆構造体は、前記機能素子と電気的に接続された配線層および回路素子を有することを特徴とする電子デバイス。 - 前記回路素子は、受動素子である請求項1に記載の電子デバイス。
- 前記被覆構造体は、
前記内部空間に接続された貫通孔を有する天井層と、
前記貫通孔を封止するように前記天井層上に配置され、導電性を有する封止層と、を有し、
前記封止層に、前記回路素子の少なくとも一部が配置されている請求項1または2に記載の電子デバイス。 - 前記基板の平面視で、
前記回路素子は、少なくとも一部が前記機能素子と重なって配置されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子デバイス。 - 前記回路素子は、前記被覆構造体内で前記配線層と電気的に接続されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子デバイス。
- 前記機能素子は、振動素子である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電子デバイス。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電子デバイスを有していることを特徴とする電子機器。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電子デバイスを有していることを特徴とする移動体。
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JP2018183860A (ja) * | 2017-04-27 | 2018-11-22 | セイコーエプソン株式会社 | Mems素子、電子機器および移動体 |
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2015
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JP7005988B2 (ja) | 2017-04-27 | 2022-01-24 | セイコーエプソン株式会社 | Mems素子、電子機器および移動体 |
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