JP2017032674A - 能動型振動騒音抑制装置 - Google Patents

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Naoya Ogami
直哉 大上
征範 山本
Yukinori Yamamoto
征範 山本
光由 近藤
Mitsuyoshi Kondo
光由 近藤
岩本 寛
Hiroshi Iwamoto
寛 岩本
克彦 中野
Katsuhiko Nakano
克彦 中野
将樹 那須
Masaki Nasu
将樹 那須
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Abstract

【課題】予測フィルタを用いる場合において、予測フィルタの予測精度を高くすることで、振動又は騒音の抑制効果を高くすることができる能動型振動騒音抑制装置を提供する。【解決手段】抑制装置(100)は、伝達特性推定値Ghの逆フィルタGh−1を記憶する逆フィルタ記憶部(120)と、評価点(21)における抑制対象推定信号dh(n)を逆フィルタGh−1に入力した場合に、逆フィルタGh−1の出力である現在の理想制御信号qh(n)を算出する理想制御信号算出部(130)と、現在の理想制御信号qh(n)及び複数の過去の理想制御信号q1hを予測フィルタHに入力した場合に、予測フィルタHの出力である将来の理想制御信号q2h(n+k)(kは1以上の整数)を算出すると共に、将来の理想制御信号q2h(n+k)を制御信号u(n+k)として駆動装置(10)に出力する制御信号算出部(160)とを備える。【選択図】図2

Description

本発明は、能動的に振動又は騒音を抑制する装置に関するものである。
振動又は騒音が発生する事象において、評価点における振動又は騒音を能動的に抑制する装置が知られている。例えば、自動車において、乗員が感じるロードノイズを低減する装置が、特許文献1−2に記載されている。
特許文献1には、サスペンションに取り付けた加速度センサにより参照信号としての加速度を検出し、マイクロフォンにより誤差信号としての車室内音圧を検出し、車室内に取り付けたスピーカにより制御音(二次音)を出力することで、ロードノイズを消音することが記載されている。特許文献2には、フロアパネルに加振器を設けて、フロアパネルを振動させることによって二次音源を発生することが記載されている。また、特許文献3にも、参照信号を用いて、観測点周辺の音圧レベルを低減することが記載されている。
特許文献1−3においては、参照信号を検出するためのセンサが必要となる。制御信号は、参照信号に依存するため、適切な参照信号を取得しなければ、評価点におけるロードノイズの低減効果を得ることができない場合がある。そのため、参照信号を検出するセンサの適切な配置位置は、自動車の種類に応じて異なる。また、制御音又は制御振動を発生させる装置と参照信号を検出するセンサとは離れた位置に配置される。そのため、配線などの取り回しを考慮する配置とする必要があり、高コスト化を招来する。
また、特許文献4には、参照信号を用いずに、適応予測による騒音キャンセル方式を用いる騒音キャンセル装置が記載されている。当該装置は、評価点(騒音キャンセル点)における誤差信号(合成音信号)g(n)を検出するマイクロフォン12と、制御信号(騒音キャンセル信号)y(n)を入力して評価点(騒音キャンセル点)にキャンセル音Scを出力するスピーカ11と、制御信号(騒音キャンセル信号)y(n)に基づいて評価点(騒音キャンセル点)におけるキャンセル音Scを模擬した信号s(n)を算出するキャンセル音伝搬特性付与部13と、誤差信号g(n)からキャンセル音信号s(n)を差し引いて、評価点における騒音Snを模擬した騒音信号d(n)を算出する騒音信号発生部15と、模擬した騒音信号d(n)を入力されるFIR型デジタルフィルタで構成され、騒音キャンセル信号y(n)’を出力するデジタルフィルタ16と、デジタルフィルタ出力y(n)’の符号を反転して制御信号(騒音キャンセル信号)y(n)を出力する符号反転部17とを備える。
ここで、デジタルフィルタ16の係数は、適応予測器19により予測した騒音信号d(n)’と騒音信号発生部15にて算出された騒音信号d(n)とが一致するように適応予測処理を行ってデジタルフィルタ16の係数を決定される。
特開平3−203792号公報 特開平7−199965号公報 特許第3508150号公報 特許第3405755号公報
ここで、特許文献4において、適応予測器は、騒音信号d(n)に一致する信号を予測している。騒音信号d(n)の予測精度が高くなければ、FIR型デジタルフィルタ(予測フィルタ)を用いて生成された制御信号y(n)によって、評価点において適切に騒音をキャンセルすることができない。そのため、騒音信号d(n)の予測精度は、非常に重要となる。しかし、騒音信号d(n)は、非常に複雑な信号である。そのため、予測精度を常に高くすることは容易でない。
本発明は、予測フィルタを用いる場合において、予測フィルタの予測精度を高くすることで、振動又は騒音の抑制効果を高くすることができる能動型振動騒音抑制装置を提供することを目的とする。
本発明の能動型振動騒音抑制装置は、制御信号u(n)に基づいて制御振動又は制御音を発生させる駆動装置と、評価点において、抑制対象d(n)である振動又は騒音に前記制御振動又は制御音を合成した誤差信号e(n)を検出する誤差信号検出器と、前記誤差信号e(n)が小さくなるように前記制御信号u(n)を算出する制御装置と、を備える。
前記制御装置は、前記誤差信号e(n)と前記制御信号u(n)とに基づいて、前記評価点における前記抑制対象d(n)の推定値である抑制対象推定信号dh(n)を算出する抑制信号算出部と、前記制御信号u(n)を入力とし且つ前記評価点における前記制御振動又は制御音を出力とした場合の伝達特性推定値をGhと定義した場合に、前記伝達特性推定値Ghの逆フィルタGh−1を記憶する逆フィルタ記憶部と、前記抑制信号算出部により算出される前記抑制対象推定信号dh(n)を前記逆フィルタGh−1に入力した場合に、前記逆フィルタGh−1の出力である現在の理想制御信号qh(n)を算出する理想制御信号算出部と、前記理想制御信号算出部により算出された前記現在の理想制御信号qh(n)及び複数の過去の理想制御信号q1hを記憶する理想制御信号記憶部と、前記現在の理想制御信号qh(n)及び前記複数の過去の理想制御信号q1hを予測フィルタに入力した場合に、前記予測フィルタの出力である将来の理想制御信号q2h(n+k)(kは1以上の整数)を算出すると共に、前記将来の理想制御信号q2h(n+k)を制御信号u(n+k)として前記駆動装置に出力する制御信号算出部と、を備える。
本発明によれば、予測フィルタは、評価点における抑制対象推定信号dh(n)ではなく、理想の制御信号qh(n)を予測するフィルタである。理想の制御信号qh(n)は、抑制対象推定信号dh(n)を逆フィルタGh−1に入力したときの出力である。このように、予測フィルタは、抑制対象推定信号dh(n)そのものを予測するフィルタではなく、抑制対象推定信号dh(n)に対してフィルタ(逆フィルタGh−1)を介在させた信号を予測するフィルタである。従って、理想の制御信号qh(n)は、抑制対象推定信号dh(n)に比べて、フィルタ(逆フィルタGh−1)を介在させる分、予測しやすい信号となっている。そのため、予測フィルタによる予測精度が高くできるため、評価点における振動又は騒音の抑制効果が高くなる。
ここで、理想制御信号qh(n)は、理想制御信号算出部により、抑制対象推定信号dh(n)を逆フィルタGh−1に入力した場合に、逆フィルタGh−1の出力として得られる信号である。逆フィルタGh−1は、制御信号u(n)を入力とし且つ評価点における制御振動又は制御音の推定値を出力とした場合の伝達特性推定値Ghの逆フィルタである。つまり、理想の制御信号qh(n)は、当該理想の制御信号qh(n)に相当する信号を駆動装置に入力させた場合に、評価点において抑制対象推定信号dh(n)に相当する信号となる。その意味で、上記qh(n)は、理想の制御信号との表現を用いている。
第一実施形態の能動型振動騒音抑制装置の一例を自動車に適用した場合の配置図を示す。 第一実施形態の能動型振動騒音抑制装置の制御ブロック図である。 逆フィルタ記憶部に記憶される逆フィルタの算出処理を示すフローチャートである。 第二実施形態の能動型振動騒音抑制装置の制御ブロック図である。 第三実施形態の能動型振動騒音抑制装置における逆フィルタ記憶部に記憶される逆フィルタと、周波数帯域との関係である。 第三実施形態の逆フィルタの決定処理を示すフローチャートである。 第五実施形態における能動型振動騒音抑制装置の他の例を自動車に適用した場合の配置図を示す。
<第一実施形態>
(1.抑制装置の概要及び配置)
第一実施形態の能動型振動騒音抑制装置(以下、「抑制装置」と称する)100について、図1を参照して説明する。図1には、抑制装置100が自動車における騒音抑制装置である場合に、抑制装置100の自動車における配置を示す。抑制装置100は、自動車の車室内において乗員が感じるロードノイズを抑制する装置を例に挙げる。
ロードノイズは、自動車の走行によって生じる路面からの振動が車輪1からサスペンション装置2、タイヤハウス5等を介してフロアパネル3に伝搬される結果、フロアパネル3が振動することによって車室内に発生する。そこで、抑制装置100は、ロードノイズに相当する騒音のうち、乗員が感じる騒音を抑制する。抑制装置100は、図1に示すように、駆動装置10と、誤差信号検出器20と、制御装置30とを備える。ここで、抑制装置100は、上記の他に、参照信号を検出するためのセンサなどを必要としない。
駆動装置10は、制御信号u(n)に基づいて制御音v(n)を発生させるスピーカである。駆動装置10は、シート4に着座する乗員の耳元を向くように配置される。そして、駆動装置10と、誤差信号検出器20が配置される評価点21との距離をできるだけ短くすることが望まれる。そこで、駆動装置10は、例えば、シート4のヘッドレスト4a内に配置する。駆動装置10は、シート4の他、抑制対象範囲の近傍であれば、天板などに配置することもできる。
誤差信号検出器20は、評価点21において、抑制対象d(n)である騒音に制御音を合成した誤差信号e(n)を検出する。抑制対象d(n)は、路面からの振動に起因して、自動車の構成部品が振動することによって発生する騒音(ロードノイズ)であって、評価点21に伝達される騒音である。誤差信号検出器20は、例えば、音を検出可能なマイクロフォンである。誤差信号検出器20は、駆動装置10と同様に、ヘッドレスト4a内に配置される。また、誤差信号検出器20は、乗員が装着する器具(例えば眼鏡など)に配置してもよい。ここで、誤差信号検出器20は、後述する伝達特性G2のむだ時間を考慮すると、駆動装置10の近傍に配置するのが良い。
制御装置30は、誤差信号e(n)が小さくなるように、駆動装置10を駆動するための制御信号u(n)を算出する。制御装置30は、サンプリングカウント値nにおける誤差信号e(n)を用いて、サンプリングカウント値(n+k)における制御信号u(n+k)を算出する。すなわち、将来の制御信号u(n+k)を算出する。
(2.抑制装置100の詳細構成)
次に、抑制装置100の詳細構成について、図2を参照して説明する。抑制装置100は、上述したように、駆動装置10と、誤差信号検出器20と、制御装置30とを備える。図2において、W,G,G1,G2は、伝達特性を示し、Hは、適応フィルタを示す。
Wは、ロードノイズの発生源(例えば車輪1)から評価点21に至るまでの一次経路における伝達特性である。Gは、制御装置30によって制御信号u(n)が出力されてから、評価点21に至るまでの二次経路における伝達特性である。すなわち、伝達特性Gは、制御信号u(n)を入力とし、且つ、評価点21における制御音y(n)を出力とした場合の伝達特性である。
G1は、制御信号u(n)が出力されてから、駆動装置10が制御音v(n)を出力するまでの伝達特性である。すなわち、伝達特性G1は、制御信号u(n)を入力とし、且つ、駆動装置10による制御音v(n)を出力とした場合の伝達特性である。G2は、駆動装置10が制御音v(n)を出力してから、評価点21に至るまでの伝達特性である。伝達特性G2は、駆動装置10による制御音v(n)を入力とし、且つ、評価点21における制御音y(n)を出力とした場合の伝達特性である。
また、図2において、記号の上に付している「^」は、ハットと称し、同定値又は推定値を意味する。ただし、記載の都合上、文章中においては、「^」を「h」として記載する。また、Gh−1は、伝達特性推定値Ghの逆フィルタである。すなわち、評価点21における制御音y(n)を入力とし、且つ、制御信号u(n)を出力とした場合の伝達特性に相当する。
制御装置30は、抑制信号算出部110、逆フィルタ記憶部120、理想制御信号算出部130、理想制御信号記憶部140、予測フィルタ算出部150及び制御信号算出部160を備える。
抑制信号算出部110は、誤差信号e(n)と現在の制御信号u(n)とに基づいて、評価点21における抑制対象d(n)の推定値である抑制対象推定信号dh(n)を算出する。抑制信号算出部110の詳細な処理は、以下の通りである。抑制信号算出部110は、予め算出された二次経路の伝達特性Gの同定値Ghを記憶しておく。二次経路の伝達特性の同定値Ghは、例えば、ロードノイズが発生しない状態において、所定の制御信号u(n)を駆動装置10に出力した場合に検出される誤差信号e(n)と、当該所定の制御信号u(n)とに基づいて、得られる。
そして、抑制信号算出部110の制御音算出部111が、制御信号u(n)を二次経路の伝達特性の同定値Ghの入力信号とした場合に、出力信号yh(n)を得る。この出力信号yh(n)は、評価点21に伝達された制御音y(n)の推定値である。そして、抑制信号算出部110の減算器112が、誤差信号e(n)から出力信号yh(n)を減算することで、抑制対象推定信号dh(n)を算出する。
逆フィルタ記憶部120は、伝達特性推定値Ghの逆フィルタGh−1を記憶する。逆フィルタGh−1は、上述した出力信号yh(n)(評価点21における制御音の推定値)を入力とし、且つ、現在の制御信号u(n)を出力とした場合の伝達特性に相当する。ただし、本実施形態においては、逆フィルタGh−1は、単なる伝達特性推定値Ghの逆フィルタではなく、所定の周波数帯域を抽出する機能を合わせ持つ。逆フィルタの算出処理については、後述する。
理想制御信号算出部130は、抑制信号算出部110により算出される抑制対象推定信号dh(n)を逆フィルタGh−1に入力した場合に、逆フィルタGh−1の出力である現在の理想制御信号qh(n)を算出する。ただし、上述したように、逆フィルタGh−1は、所定の周波数帯域を抽出するため、本実施形態においては、抑制対象推定信号dh(n)を入力とした場合に、所定の周波数帯域を抽出された現在の理想制御信号qh(n)を出力することになる。
ここで、理想の制御信号qh(n)は、理想制御信号算出部130により、抑制対象推定信号dh(n)を逆フィルタGh−1に入力した場合に、逆フィルタGh−1の出力として得られる信号である。逆フィルタGh−1は、制御信号u(n)を入力とし且つ評価点21における制御音の推定値yh(n)を出力とした場合の伝達特性推定値Ghの逆フィルタである。つまり、理想の制御信号qh(n)は、当該理想の制御信号qh(n)に相当する信号を駆動装置10に入力させた場合に、評価点21において抑制対象推定信号dh(n)に相当する信号となる。その意味で、上記qh(n)は、理想の制御信号との表現を用いている。
理想制御信号記憶部140は、理想制御信号算出部130によって算出された理想の制御信号qh(n)を逐次記憶する。つまり、理想制御信号記憶部140は、現在の理想制御信号qh(n)のみならず、複数の過去の理想制御信号q1hを記憶する。ここでは、理想制御信号記憶部140には、現在のサンプリングカウント値nからj個前のサンプリングカウント値(n−j)に至る複数の過去の理想制御信号q1h(n−1)〜q1h(n−j)を記憶する。なお、jは整数である。また、サンプリングカウント値を特定せずに単に過去の理想制御信号は、q1hと標記し、サンプリングカウント値を特定した過去の理想制御信号q1hは、添え字を付記する。また、特定の範囲内のサンプリングカウント値における複数の過去の理想制御信号q1hは、添え字に、当該範囲の端部のサンプリングカウント値を標記する。
予測フィルタ算出部150は、複数の過去の理想制御信号q1hに基づいて、現在の理想制御信号qh(n)を予測する予測フィルタHを算出する。予測フィルタ算出部150の詳細な処理は、以下の通りである。予測フィルタ算出部150は、k値過去信号取得部151、j個連続過去信号取得部152、予測フィルタ決定部153及び加算器154を備える。
k値過去信号取得部151は、k個前の信号を取得する遅延タップである。k値過去信号取得部151は、理想制御信号記憶部140に記憶される情報の中から、現在のサンプリングカウント値nよりk個前のサンプリングカウント値(n−k)における過去の理想制御信号q1h(n−k)を取得する。
j個連続過去信号取得部152は、k値過去信号取得部151の過去時点よりさらに1個ずつ前の信号をそれぞれ取得する複数の遅延タップにより構成される。j個連続過去信号取得部152は、理想制御信号記憶部140に記憶される情報の中から、サンプリングカウント値(n−k)よりさらにj個前までの連続した複数のサンプリングカウント値(n−k−1)〜(n−k−j)における複数の過去の理想制御信号q1h(n−k−1)〜q1h(n−k−j)を取得する。なお、複数の過去の理想制御信号q1h(n−k−1)〜q1h(n−k−j)は、q1h(n−k−1|n−k−j)と同様の意味である。
予測フィルタ決定部153は、予測フィルタHを決定する。本実施形態においては、予測フィルタHは、FIR型デジタルフィルタである。予測フィルタ決定部153は、k値過去信号取得部151及びj個連続過去信号取得部152により得られる(j+1)個の過去の理想制御信号q1h(n−k|n−k−j)を現時点の予測フィルタHへの入力とする場合に、予測フィルタHの出力信号q2h(n)を算出する。ここで、予測フィルタ決定部153の出力信号q2h(n)は、現在の理想制御信号qh(n)に相当する。つまり、予測フィルタHは、(j+1)個の過去の理想制御信号q1h(n−k|n−k−j)を入力とし、且つ、現在の理想制御信号qh(n)の相当値を出力とした場合のフィルタである。なお、本実施形態においては、出力信号q2h(n)は、現在の理想制御信号qh(n)に対して位相が反転される。
加算器154は、理想制御信号算出部130により算出される現在の理想制御信号qh(n)と出力信号q2h(n)との加算値であるフィルタ誤差e1(n)を算出する。そして、加算器154にて得られるフィルタ誤差e1(n)は、予測フィルタ決定部153に出力され、予測フィルタ決定部153における適用制御に用いられる。
つまり、予測フィルタ決定部153は、(j+1)個の過去の理想制御信号q1h(n−k|n−k−j)に基づいて、フィルタ誤差e1(n)が小さくなるように、適応制御により予測フィルタHを算出する。すなわち、予測フィルタ決定部153は、(j+1)個の過去の理想制御信号q1h(n−k|n−k−j)及びフィルタ誤差e1(n)に基づいて適応制御により予測フィルタ係数を更新することで、予測フィルタHを得る。
制御信号算出部160は、現在の理想制御信号qh(n)とj個の過去の理想制御信号d1h(n−1|n−j)と予測フィルタHとに基づいて、駆動装置10に出力する将来の制御信号u(n+k)を算出する。なお、図2において、制御信号算出部160から駆動装置10に至る線種は、途中を二点鎖線とするが、駆動装置10に入力された現在の制御信号u(n)と将来の制御信号u(n+k)とを分かりやすく区別するための図示である。
制御信号算出部160は、j個連続過去信号取得部161と、予測フィルタ処理部162と、符号反転部163とを備える。
j個連続過去信号取得部161は、現在時点より1個ずつ前の信号をそれぞれ取得する複数の遅延タップにより構成される。j個連続過去信号取得部161は、理想制御信号記憶部140に記憶される情報の中から、サンプリングカウント値nよりj個前までの複数のサンプリングカウント値(n−1)〜(n−j)における複数の過去の理想制御信号q1h(n−1|n−j)を取得する。
予測フィルタ処理部162は、予測フィルタ決定部153により決定された予測フィルタHを用いて、現在のサンプリングカウント値nよりk個先のサンプリングカウント値(n+k)における将来の理想制御信号q2h(n+k)を算出する。ここで、予測フィルタ決定部153における予測フィルタHは、現在時刻nよりk個前及びそれ以上前における複数の過去の理想制御信号q1h(n−k|n−k−j)に基づいて、現在の理想制御信号qh(n)に相当する出力信号q2h(n)を出力する。つまり、予測フィルタ処理部162は、入力される複数の信号の最新時点より、サンプリングカウント値kだけ先の時点における信号を算出することになる。
予測フィルタ処理部162は、現在の理想制御信号qh(n)及びj個の過去の理想制御信号q1h(n−1|n−j)を入力するため、現在時点よりサンプリングカウント値kだけ先の時点のサンプリングカウント値(n+k)における出力信号q2h(n+k)を算出する。
符号反転部163は、予測フィルタ処理部162により算出される将来の理想制御信号q2h(n+k)の符号を反転させた将来の制御信号u(n+k)を算出する。符号反転部163は、将来の理想制御信号q2h(n+k)の符号を反転させることで、将来の制御信号u(n+k)を算出する。この制御信号u(n+k)は、上述したように、駆動装置10に入力される。
なお、符号反転部163は必須の構成ではない。例えば、予測フィルタ決定部153において、符号の反転も加味した予測フィルタHを算出することで、将来の理想制御信号q2h(n+k)をそのまま制御信号u(n+k)として使用することができる。なお、この場合は、予測フィルタ算出部150において、加算器154は、減算器に置き換えられる。
(3.逆フィルタの算出処理)
次に、逆フィルタ記憶部120に記憶される逆フィルタGh−1の算出処理について、図3を参照して説明する。ここで、本実施形態においては、上述したように、逆フィルタGh−1は、伝達特性推定値Ghの単なる逆フィルタではなく、所定の周波数帯域を抽出する機能を合わせ持つ逆フィルタである。すなわち、図2において、逆フィルタGh−1は、抑制対象推定信号dh(n)を入力とした場合に、所定の周波数帯域を抽出された現在の理想制御信号qh(n)を出力する。
逆フィルタ算出処理は、演算処理装置(図示せず)により行う。演算処理装置は、図3に示すように、モデル信号としてのホワイトノイズに対してFFT処理を行うことで、モデルFFT信号を生成する(S1)。
続いて、演算処理装置は、モデルFFT信号から所定の周波数帯域の抽出を行って、モデルFFT抽出信号を生成する(S2)。ここで、所定の周波数帯域は、FminからFmaxまでの帯域である。モデルFFT抽出信号の生成は、バンドパスフィルタを用いる。なお、モデルFFT抽出信号の生成は、必要に応じて、ローパスフィルタやハイパスフィルタを用いてもよい。
続いて、演算処理装置は、モデルFFT抽出信号に対して逆FFT処理を行うことで、モデル抽出信号Inを生成する(S3)。このようにして生成されたモデル抽出信号Inは、ホワイトノイズのうち所定の周波数帯域を抽出した信号となる。ここで、上記のように、FFT処理を行った後に所定の周波数帯域の抽出処理を行ったが、FFT処理を行わず、モデル信号に対して直接所定の周波数帯域の抽出処理を行うこともできる。しかし、FFT処理を行った後に抽出処理を行うことで、位相の遅れ(時間遅れ)を少なくできるため、信号の予測精度を向上できる。そのため、本実施形態においては、FFT処理を行うこととした。
続いて、演算処理装置は、モデル抽出信号Inを伝達特性推定値Ghに入力して、モデル出力信号Outを生成する(S4)。伝達特性推定値Ghは、抑制信号算出部110の制御音算出部111に記憶されている。
続いて、演算処理装置は、モデル抽出信号Inとモデル出力信号Outとから、逆フィルタGh−1を算出する。モデル抽出信号Inは、上述したように、所定の周波数帯域を抽出された信号である。また、モデル出力信号Outは、上記モデル抽出信号Inを伝達特性推定値Ghに入力させた場合の出力信号である。従って、逆フィルタGh−1の算出に際して、安定したフィルタを求めることができる。
(4.実施形態の効果)
上述したように、抑制装置100の制御装置30は、誤差信号e(n)と制御信号u(n)とに基づいて、評価点21における抑制対象d(n)の推定値である抑制対象推定信号dh(n)を算出する抑制信号算出部110と、制御信号u(n)を入力とし且つ評価点21における制御音を出力とした場合の伝達特性推定値をGhと定義した場合に、伝達特性推定値Ghの逆フィルタGh−1を記憶する逆フィルタ記憶部120と、抑制信号算出部110により算出される抑制対象推定信号dh(n)を逆フィルタGh−1に入力した場合に、逆フィルタGh−1の出力である現在の理想制御信号qh(n)を算出する理想制御信号算出部130と、理想制御信号算出部130により算出された現在の理想制御信号qh(n)及び複数の過去の理想制御信号q1hを記憶する理想制御信号記憶部140と、現在の理想制御信号qh(n)及び複数の過去の理想制御信号q1hを予測フィルタHに入力した場合に、予測フィルタHの出力である将来の理想制御信号q2h(n+k)(kは1以上の整数)を算出すると共に、将来の理想制御信号q2h(n+k)を制御信号u(n+k)として駆動装置10に出力する制御信号算出部160とを備える。
予測フィルタHは、評価点21における抑制対象推定信号dh(n)ではなく、理想の制御信号qh(n)を予測するフィルタである。理想の制御信号qh(n)は、抑制対象推定信号dh(n)を逆フィルタGh−1に入力したときの出力である。このように、予測フィルタHは、抑制対象推定信号dh(n)そのものを予測するフィルタではなく、抑制対象推定信号dh(n)に対してフィルタ(逆フィルタGh−1)を介在させた信号を予測するフィルタである。従って、理想制御信号qh(n)は、抑制対象推定信号dh(n)に比べて、フィルタ(逆フィルタGh−1)を介在させる分、予測しやすい信号となっている。そのため、予測フィルタHによる予測精度が高くできるため、評価点21における振動又は騒音の抑制効果が高くなる。
また、逆フィルタGh−1は、図3に示す処理によって算出されるため、逆フィルタGh−1は、抑制対象推定信号dh(n)を入力とした場合に、所定の周波数帯域(Fmin〜Fmax)を抽出された現在の理想制御信号qh(n)を出力するフィルタとなる。そのため、逆フィルタGh−1そのものの算出が、安定して行うことができる。さらに、理想制御信号算出部130が算出した理想制御信号qh(n)は、所定の周波数帯域に相当する信号となるため、より情報の少ない信号となる。そして、制御信号算出部160は、当該理想制御信号qh(n)を用いて予測フィルタHにより、将来の理想制御信号q2h(n+k)を算出する。つまり、理想制御信号qh(n)は、より予測しやすい信号となっている。そのため、予測フィルタHによる予測精度が高くできるため、評価点21における振動又は騒音の抑制効果が高くなる。
また、制御装置30は、理想制御信号記憶部140に記憶されている現在の理想制御信号qh(n)及び複数の過去の理想制御信号q1hを用いて、複数の過去の理想制御信号q1hを入力とし且つ現在の理想制御信号qh(n)を出力とした場合のフィルタである予測フィルタHを算出する予測フィルタ算出部150を備える。
つまり、予測フィルタ算出部150における入力信号と出力信号との時間差(kに相当する時間)は、複数の過去の理想制御信号q1hの最新時点と現在時点との差となる。従って、制御信号算出部160は、入力信号のうち最新信号である現在時点から上記の時間差分だけ先となる将来時点における理想制御信号q2h(n+k)を確実に得ることができる。
また、予測フィルタ算出部150は、所定の(j+1)個(jは整数)の複数の過去の理想制御信号q1h(n−k|n−k−j)に基づいて、現在の理想制御信号qh(n)を予測する予測フィルタHを算出する。さらに、制御信号算出部160は、現在の理想制御信号qh(n)及び所定のj個の複数の過去の理想制御信号q1h(n−1|n−j)を予測フィルタHに入力した場合に、予測フィルタHの出力である将来の理想制御信号q2h(n+k)を算出する。当該構成により、制御信号算出部160は、入力信号のうち最新信号である現在時点から予測フィルタHによる時間差分だけ先となる将来時点における理想制御信号q2h(n+k)を確実に得ることができる。
また、抑制装置100の演算処理装置(図示せず)は、モデル信号から所定の周波数帯域を抽出したモデル抽出信号Inを生成し(図3のS2)、モデル抽出信号Inを伝達特性推定値Ghに入力した場合のモデル出力信号Outを生成し(図3のS4)、モデル抽出信号In及びモデル出力信号Outを用いて、モデル出力信号Outを入力とし且つモデル抽出信号Inを出力とするフィルタである逆フィルタGh−1を算出する。これにより、上述した逆フィルタGh−1を確実に算出できる。
また、モデル抽出信号Inの生成に際して、モデル信号に対してFFT処理を行ったモデルFFT信号から、所定の周波数帯域の抽出処理を行った。これにより、位相遅れがより少なくなり、予測精度が向上する。ただし、この場合には、逆FFT処理を行う必要がある。
<第二実施形態>
第二実施形態の抑制装置200について、図4を参照して説明する。抑制装置200は、第一実施形態の抑制装置100に対して、制御信号算出部260を異にする。他の構成は、同一であるため、説明を省略する。
制御信号算出部260は、予測フィルタ処理部162と符号反転部163との間に、バンドパスフィルタ264を備える。バンドパスフィルタ264により抽出する周波数帯域は、逆フィルタGh−1を生成する際に用いる周波数帯域と同一である。すなわち、バンドパスフィルタ264により抽出する周波数帯域は、FminからFmaxまでの帯域である。
バンドパスフィルタ264は、予測フィルタ処理部162により算出される将来の理想制御信号q2h(n+k)から、所定の周波数帯域Fmin〜Fmaxを抽出する。そして、符号反転部163が、所定の周波数帯域を抽出された将来の理想制御信号q2h(n+k)の符号を反転させて、将来の制御信号u(n+k)を算出する。
このように、制御信号算出部260は、算出された将来の理想制御信号q2h(n+k)から、所定の周波数帯域Fmin〜Fmaxを抽出した信号を制御信号u(n+k)として駆動装置10に出力する。これにより、評価点21において、抑制対象d(n)のうちの所定の周波数成分に対する抑制効果が高くなる。
<第三実施形態>
次に、第三実施形態の抑制装置100について、図2に加えて、図5−図6を参照して説明する。第三実施形態の抑制装置100の構成は、第一実施形態の抑制装置100と同様である。
第三実施形態において、逆フィルタ記憶部120には、図5に示すように、周波数帯域の異なる複数の逆フィルタGah−1,Gbh−1,Gch−1が記憶されている。第一実施形態においては、逆フィルタGh−1は、周波数帯域(Fmin〜Fmax)を抽出するフィルタとした。本実施形態においては、逆フィルタGah−1は、周波数帯域(Fmin1〜Fmax1)を抽出し、逆フィルタGbh−1は、周波数帯域(Fmin2〜Fmax2)を抽出し、逆フィルタGch−1は、周波数帯域(Fmin3〜Fmax3)を抽出する。ここで、各周波数は、式(1)の関係を有する。
Fmin1 < Fmin2 < Fmin3
Fmax3 < Fmax2 < Fmax1 ・・・ (1)
つまり、逆フィルタGah−1の周波数帯域(Fmin1〜Fmax1)が最も広く、逆フィルタGbh−1、逆フィルタGch−1の順に、周波数帯域が狭くなる。なお、それぞれの逆フィルタGah−1,Gbh−1,Gch−1の算出処理は、図3のS2において、抽出する周波数帯域を変更すればよい。
続いて、理想制御信号算出部130は、複数の逆フィルタGah−1,Gbh−1,Gch−1の中から1つを選択して、選択された逆フィルタGh−1を用いて現在の理想制御信号qh(n)を算出する。理想制御信号算出部130において、算出に用いる逆フィルタGh−1の決定処理について、図6を参照して説明する。
理想制御信号算出部130は、逆フィルタGah−1を初期値とする(S11)。つまり、初期においては、できるだけ広範囲の周波数帯域(Fmin1〜Fmax1)を抑制対象とできるようにする。
続いて、理想制御信号算出部130は、誤差信号検出器20により検出される誤差信号e(n)が第一閾値Th1以下であるかを判定する(S12)。逆フィルタGah−1を用いる場合において、誤差信号e(n)が第一閾値Th1以下である場合には(S12:Yes)、理想制御信号算出部130は、逆フィルタGah−1を用い続ける。
一方、逆フィルタGah−1を用いる場合において、誤差信号e(n)が第一閾値Th1より大きい場合には(S12:No)、理想制御信号算出部130は、逆フィルタGbh−1を用いる(S13)。つまり、抑制装置100は、広範囲の周波数帯域(Fmin1〜Fmax1)では誤差が大きくなるため、抑制対象とする周波数帯域を少し狭くする。
続いて、理想制御信号算出部130は、逆フィルタGbh−1を用いる場合において、誤差信号e(n)が第一閾値Th1以下であるかを判定する(S14)。誤差信号e(n)が第一閾値Th1以下である場合には(S14:Yes)、理想制御信号算出部130は、さらに、誤差信号e(n)が第二閾値Th2以下であるかを判定する(S15)。ここで、第二閾値Th2は、第一閾値Th1より小さい。
逆フィルタGbh−1を用いる場合において、誤差信号e(n)が第二閾値Th2以下でない場合には(S15:No)、理想制御信号算出部130は、逆フィルタGbh−1を用い続ける。
一方、逆フィルタGbh−1を用いる場合において、誤差信号e(n)が第二閾値Th2以下である場合には(S15:Yes)、理想制御信号算出部130は、逆フィルタGah−1に戻す(S16)。つまり、抑制装置100は、狭くした周波数帯域(Fmin2〜Fmax2)では誤差が十分に小さいため、抑制対象とする周波数帯域を再び広くする。
逆フィルタGbh−1を用いる場合において、誤差信号e(n)が第一閾値Th1より大きい場合には(S14:No)、理想制御信号算出部130は、逆フィルタGch−1を用いる(S17)。つまり、抑制装置100は、周波数帯域(Fmin2〜Fmax2)ではまだ誤差が大きくなるため、抑制対象とする周波数帯域を少し狭くする。
続いて、理想制御信号算出部130は、逆フィルタGch−1を用いる場合において、誤差信号e(n)が第二閾値Th2以下であるかを判定する(S18)。逆フィルタGch−1を用いる場合において、誤差信号e(n)が第二閾値Th2以下でない場合には(S18:No)、理想制御信号算出部130は、逆フィルタGch−1を用い続ける。一方、逆フィルタGch−1を用いる場合において、誤差信号e(n)が第二閾値Th2以下である場合には(S18:Yes)、理想制御信号算出部130は、逆フィルタGbh−1に戻す(S13)。つまり、抑制装置100は、狭くした周波数帯域(Fmin3〜Fmax3)では誤差が十分に小さいため、抑制対象とする周波数帯域を再び広くする。
このように、理想制御信号算出部130は、誤差信号e(n)に基づいて選択された逆フィルタGh−1を用いて、現在の理想制御信号qh(n)を算出するようにしている。これにより、予測精度が低下して、評価点21において抑制効果が得られない場合には、周波数帯域を狭くすることで、予測精度を向上させることができる。その結果、周波数帯域は狭くなるが、評価点21における抑制効果を確実に得ることができる。そして、周波数帯域を狭くした後に抑制効果が高くなれば、再び広範囲の周波数帯域を対象とすることで、再び広範囲の周波数帯域における抑制効果を得ることができる。
<第四実施形態>
第三実施形態においては、理想制御信号算出部130は、誤差信号e(n)を第一閾値Th1及び第二閾値Th2との判定対象として、逆フィルタGh−1を決定した。この他に、予測フィルタ算出部150における加算器154による出力である誤差e1(n)を判定対象とすることもできる。この場合、第三実施形態における誤差信号e(n)を、誤差e1(n)に置換すればよい。
つまり、理想制御信号算出部130が、予測フィルタ算出部150の出力信号q2h(n)と理想制御信号算出部130により算出された現在の理想制御信号qh(n)との差e1(n)に基づいて逆フィルタGh−1を選択し、選択された逆フィルタGh−1を用いて現在の理想制御信号qh(n)を算出する。この場合においても、第三実施形態と同様の効果を奏する。
<第五実施形態>
上記実施形態の抑制装置100,200は、騒音抑制装置とした。本実施形態の抑制装置300は、振動抑制装置とした場合を対象とする。ここで、ロードノイズは、上述したように、自動車の走行によって生じる路面からの振動が車輪1からサスペンション装置2を介してフロアパネル3に伝搬される結果、フロアパネル3が振動することによって車室内に発生する。そこで、抑制装置300は、振動がフロアパネル3に伝搬される前に抑制することによって、フロアパネル3自体の振動を抑制することとし、結果としてロードノイズを抑制する。
抑制装置300は、図7に示すように、駆動装置310と、誤差信号検出器320と、制御装置330とを備える。本実施形態においても、抑制装置300は、上記の他に、参照信号を検出するためのセンサなどを必要としない。
駆動装置310は、制御信号u(n)に基づいて制御振動v(n)を発生させる加振器である。駆動装置310は、例えばタイヤハウス5に配置される。駆動装置310は、例えば、ソレノイドやボイルコイルなどの電磁アクチュエータを備えており、電流が供給されることで能動的に加振力を発生する。つまり、駆動装置310により発生される加振力は、駆動装置310が設置されているタイヤハウス5を振動する。この加振力は、主として車両上下方向の力としている。
誤差信号検出器320は、評価点21において、抑制対象d(n)である騒音に制御振動を合成した誤差信号e(n)を検出する。誤差信号検出器320は、駆動装置310と同様に、例えばタイヤハウス5に配置される。つまり、抑制対象d(n)は、誤差信号検出器320が配置される部位の振動であって、評価点21に伝達される振動である。誤差信号検出器320は、例えば、振動を検出可能な加速度センサである。
制御装置330は、上記実施形態の制御装置30と実質的に同様である。ただし、制御装置330は、振動である誤差信号e(n)が小さくなるように、加振器である駆動装置310を駆動するための制御信号u(n)を算出する点は、上記とは異なる。
つまり、本実施形態における抑制装置300は、誤差信号検出器320が配置されるタイヤハウス5において、路面からの振動に起因する振動を抑制することができる。その結果、フロアパネル3の振動が抑制され、乗員が感じるロードノイズが抑制される。
なお、本実施形態において、駆動装置310及び誤差信号検出器320は、タイヤハウス5に配置したが、路面からの振動に起因する振動が伝達される部位であれば良く、例えば、サスペンションメンバに配置することも可能である。また、抑制装置300は、最終的にロードノイズを抑制することを目的として説明したが、振動そのものを抑制することを目的とすることもできる。ただし、抑制装置300により抑制可能な振動は、相関を有することが必要である。
100,200,300:能動型振動騒音抑制装置、 10,310:駆動装置、 20,320:誤差信号検出器、 21:評価点、 30,330:制御装置、 110:抑制信号算出部、 120:逆フィルタ記憶部、 130:理想制御信号算出部、 140:理想制御信号記憶部、 150:予測フィルタ算出部、 160,260:制御信号算出部

Claims (8)

  1. 制御信号u(n)に基づいて制御振動又は制御音を発生させる駆動装置と、
    評価点において、抑制対象d(n)である振動又は騒音に前記制御振動又は制御音を合成した誤差信号e(n)を検出する誤差信号検出器と、
    前記誤差信号e(n)が小さくなるように前記制御信号u(n)を算出する制御装置と、
    を備え、
    前記制御装置は、
    前記誤差信号e(n)と前記制御信号u(n)とに基づいて、前記評価点における前記抑制対象d(n)の推定値である抑制対象推定信号dh(n)を算出する抑制信号算出部と、
    前記制御信号u(n)を入力とし且つ前記評価点における前記制御振動又は制御音を出力とした場合の伝達特性推定値をGhと定義した場合に、前記伝達特性推定値Ghの逆フィルタGh−1を記憶する逆フィルタ記憶部と、
    前記抑制信号算出部により算出される前記抑制対象推定信号dh(n)を前記逆フィルタGh−1に入力した場合に、前記逆フィルタGh−1の出力である現在の理想制御信号qh(n)を算出する理想制御信号算出部と、
    前記理想制御信号算出部により算出された前記現在の理想制御信号qh(n)及び複数の過去の理想制御信号q1hを記憶する理想制御信号記憶部と、
    前記現在の理想制御信号qh(n)及び前記複数の過去の理想制御信号q1hを予測フィルタに入力した場合に、前記予測フィルタの出力である将来の理想制御信号q2h(n+k)(kは1以上の整数)を算出すると共に、前記将来の理想制御信号q2h(n+k)を制御信号u(n+k)として前記駆動装置に出力する制御信号算出部と、
    を備える、能動型振動騒音抑制装置。
  2. 前記逆フィルタGh−1は、前記抑制対象推定信号dh(n)を入力とした場合に、所定の周波数帯域を抽出された前記現在の理想制御信号qh(n)を出力するフィルタである、請求項1に記載の能動型振動騒音抑制装置。
  3. 前記制御信号算出部は、算出された前記将来の理想制御信号q2h(n+k)から、前記所定の周波数帯域を抽出した信号を前記制御信号u(n+k)として前記駆動装置に出力する、請求項2に記載の能動型振動騒音抑制装置。
  4. 前記制御装置は、前記理想制御信号記憶部に記憶されている前記現在の理想制御信号qh(n)及び前記複数の過去の理想制御信号q1hを用いて、前記複数の過去の理想制御信号q1hを入力とし且つ前記現在の理想制御信号qh(n)を出力とした場合のフィルタである前記予測フィルタを算出する予測フィルタ算出部を備える、請求項1−3の何れか一項に記載の能動型振動騒音抑制装置。
  5. 前記予測フィルタ算出部は、所定の(j+1)個(jは整数)の前記複数の過去の理想制御信号q1h(n−k|n−k−j)に基づいて、前記現在の理想制御信号qh(n)を予測する前記予測フィルタを算出し、
    前記制御信号算出部は、前記現在の理想制御信号qh(n)及び所定のj個の前記複数の過去の理想制御信号q1h(n−1|n−j)を前記予測フィルタに入力した場合に、前記予測フィルタの出力である前記将来の理想制御信号q2h(n+k)を算出する、請求項4に記載の能動型振動騒音抑制装置。
  6. 前記逆フィルタ記憶部は、周波数帯域の異なる複数の前記逆フィルタGh−1を記憶し、
    前記理想制御信号算出部は、前記誤差信号e(n)に基づいて選択された前記逆フィルタGh−1を用いて、前記現在の理想制御信号qh(n)を算出する、請求項2に記載の能動型振動騒音抑制装置。
  7. 前記逆フィルタGh−1は、前記抑制対象推定信号dh(n)を入力とした場合に、所定の周波数帯域を抽出された前記現在の理想制御信号qh(n)を出力するフィルタであり、
    前記逆フィルタ記憶部は、周波数帯域の異なる複数の前記逆フィルタGh−1を記憶し、
    前記理想制御信号算出部は、前記予測フィルタ算出部の出力と前記理想制御信号算出部により算出された前記現在の理想制御信号qh(n)との差e1(n)に基づいて前記逆フィルタGh−1を選択し、選択された前記逆フィルタGh−1を用いて、前記現在の理想制御信号qh(n)を算出する、請求項4又は5に記載の能動型振動騒音抑制装置。
  8. 前記能動型振動騒音抑制装置は、
    モデル信号から所定の周波数帯域を抽出したモデル抽出信号を生成し、
    前記モデル抽出信号を前記伝達特性推定値Ghに入力した場合のモデル出力信号を生成し、
    前記モデル抽出信号及び前記モデル出力信号を用いて、前記モデル出力信号を入力とし且つ前記モデル抽出信号を出力とするフィルタである前記逆フィルタGh−1を算出する、請求項2,3,6又は7に記載の能動型振動騒音抑制装置。
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