本実施形態では、光線検出素子および光線検出素子が設置された電子機器の特徴的な例について、図1〜図40に従って説明する。以下、実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
第1の実施形態にかかわる光線検出素子について図1〜図12に従って説明する。光線検出素子は赤外線、遠赤外線及びテラヘルツ波の光を検出する素子である。図1は、光線検出素子の構造を示す模式平面図である。図1に示すように、光センサー及び赤外光センサーとしての光線検出素子1は四角形のベース基板2を備え、ベース基板2の周囲には枠部3が設置されている。枠部3はベース基板2を保護する機能を有している。ベース基板2には格子状に画素4が配列している。画素4の行数及び列数は特に限定されない。画素4の個数が多い方が精度良く被検出物の形状を認識することができる。本実施形態では、図をわかり易くするために光線検出素子1は16行16列の画素4を備えた装置とした。そして、1つの画素4には1つの検出素子5が設置されている。
図2は検出素子の構造を示す模式平面図であり、図3は検出素子の構造を示す模式側断面図である。図2及び図3に示すように、ベース基板2上には反射膜6が設置されている。反射膜6は所定の形状に形成されている。そして、ベース基板2上には反射膜6を覆って第1絶縁層7が設置されている。ベース基板2の材質はシリコンである。反射膜6の材質は特に限定されないが、反射率の高い材質が好ましく窒化チタンアルミや窒化チタンを用いることができる。第1絶縁層7の材質は特に限定されないが窒化シリコン、炭窒化シリコン、二酸化シリコン等を用いることができる。本実施形態では例えば二酸化シリコンを用いている。ベース基板2の第1絶縁層7側の面には配線や駆動回路等の回路が形成されている。第1絶縁層7はベース基板2上の回路を覆うことにより予定外の電流の流動を防止する。ベース基板2と反射膜6との間に配線を設置するときには、第1絶縁層7をベース基板2と反射膜6との間に設置してもよい。
第1絶縁層7上には第1柱部8及び第2柱部9が立てて設置されている。第1柱部8及び第2柱部9の材質は第1絶縁層7と同じ材質である。第1柱部8及び第2柱部9の形状は四角錐の頂点を平坦にした角錐台の形状となっている。第1絶縁層7の上側、第1柱部8及び第2柱部9の側面には第1保護層10が設置されている。第1保護層10は第1柱部8及び第2柱部9等を形成するときに用いるエッチング液から第1絶縁層7、第1柱部8及び第2柱部9を保護する層である。第1柱部8及び第2柱部9及び第1絶縁層7がエッチング液に耐性があるときには第1保護層10の設置を省略しても良い。
第1柱部8上には第2保護層11を介して支持部としての第1腕部12が設置され、第2柱部9の上には第2保護層11を介して腕部及び支持部としての第2腕部13が設置されている。そして、第1腕部12及び第2腕部13に接続して基板としての支持基板14が配置され、第1腕部12及び第2腕部13が支持基板14を支持している。第1柱部8、第2柱部9、第1腕部12及び第2腕部13により支持部15が構成されている。
支持部15により支持基板14はベース基板2から離して支持されている。第2保護層11は支持基板14、第1柱部8及び第2柱部9等を形成するときに用いるエッチング液から第1腕部12、第2腕部13及び支持基板14を保護する膜である。第1保護層10及び第2保護層11の材質は特に限定されないが本実施形態では例えば酸化アルミニウムを用いている。第1腕部12、第2腕部13及び支持基板14がエッチング液に耐性があるときには第2保護層11の設置を省略しても良い。
支持部15により支持基板14はベース基板2と離れており、ベース基板2と支持基板14との間は空洞16になっている。第1腕部12及び第2腕部13の形状は角柱を直角に曲げた形状となっている。これにより、第1腕部12及び第2腕部13は長くなっており、支持基板14からベース基板2に熱が伝導することを抑制する。
ベース基板2の表面と第1腕部12の表面との間には第1柱部8及び第1腕部12を貫通する第1貫通電極17が設置されている。さらに、ベース基板2の表面と第2腕部13の表面との間には第2柱部9及び第2腕部13とを貫通する第2貫通電極18が設置されている。そして、支持基板14上には第1貫通電極17と接続して第1中間電極21が設置されている。さらに、支持基板14上には第2貫通電極18と接続して第2中間電極22が設置されている。
支持基板14の材質は剛性があり加工可能であれば良く特に限定されないが本実施形態では例えば酸化アルミ、二酸化シリコン、酸化アルミの3層構造となっている。第1貫通電極17及び第2貫通電極18の材質は導電性があり微細なパターンが形成可能であれば良く特に限定されないが例えばチタン、タングステン、アルミニウム等の金属を用いることができる。
支持基板14上には第1電極層23、変換部としての焦電体層24、第2電極層25が積層された検出部26が設置されている。検出部26は熱を電気信号に変換する焦電センサーの機能を有している。第1電極層23の材質は電導性の良い金属であればよく、さらには耐熱性のある金属が好ましい。本実施形態では例えば、第1中間電極21、第2中間電極22及び第1電極層23はイリジウム、酸化イリジウム、白金の層を支持基板14側からこの順に積層している。イリジウムは配向制御、酸化イリジウムは還元ガスバリア、白金は焦電体層24を形成するときのシード層としての機能を備えている。
検出素子5を照射する光線の一部は空洞16内に進行する。そして、反射膜6にて反射しさらに第1電極層23にて反する。空洞16の深さは照射される光線の波長の1/4になっている。このとき、光線が効率良く反射を繰り返すので支持基板14を加熱する。これにより、検出素子5は感度良く光線を検出することができる。
焦電体層24の材質は焦電効果を発揮することができる誘電体であり、温度変化に応じて電気分極量の変化を生じることができる。焦電体層24の材質にはPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)またはPZTにNb(ニオブ)を添加したPZTNを用いることができる。本実施形態では、例えば、焦電体層24の材質にPZTを用いている。
第2電極層25の材質は電導性の良い金属であればよく、さらには耐熱性のある金属が好ましい。本実施形態では例えば、第2電極層25の材質に白金、酸化イリジウム、イリジウムの層を焦電体層24側からこの順に積層している。白金は配向整合、酸化イリジウムは還元ガスバリア、イリジウムは低抵抗層としての機能を備えている。尚、第2電極層25、第1電極層23の材質は上記の例に限定されず、例えば、金、銅、鉄、アルミニウム、亜鉛、クロム、鉛、チタン等の金属やニクロム等の合金であっても良い。
検出部26の周囲には第2絶縁層27が配置されている。そして、第1腕部12上には第1中間電極21と第2電極層25とを接続する第1配線28が設置されている。第2絶縁層27には第2電極層25と対向する場所に開口27aが設置され、この開口27aにおいて第1配線28と第2電極層25とが接合されている。第2腕部13上には第2配線29が設置され、第2配線29は第2中間電極22と第1電極層23とを接続する。
第2絶縁層27の材料には二酸化シリコン、酸化アルミニウム、シリコン膜、窒化シリコン膜、二酸化シリコン膜を用いることができる。本実施形態では例えば第2絶縁層27に酸化アルミニウムと二酸化シリコンを積層した膜を用いている。
検出部26が出力する電気信号は第1配線28、第1中間電極21、第1貫通電極17、第2配線29、第2中間電極22及び第2貫通電極18によりベース基板2上の電気回路に伝達される。第1配線28は第1腕部12上から第2絶縁層27上を通って第2電極層25と接続する。第2絶縁層27には第2電極層25上に開口27aを備え、この開口27aにおいて第1配線28が第2電極層25と接続する。第2絶縁層27により、第1配線28が第1電極層23及び焦電体層24と接触することが防止されている。
さらに、検出部26、第1配線28及び第2配線29を覆って図示しない保護膜が設置されても良い。保護膜は検出部26、第1配線28及び第2配線29に塵が付着することを防止する。さらに、酸素や水分の進入により検出部26が劣化することを抑制する。検出部26、第1配線28及び第2配線29に塵が付着したり予定外の静電気が流動することを防止することができる。保護膜の材料には各種の樹脂材料が用いることができる。
第2電極層25は四角形の電極島25aがマトリックス状に配置されたパターンになっている。そして、各電極島25aは電気的に接続されている。隣り合う電極島25aの間には開口部25bが設置されている。検出素子5を照射する光線は開口部25bを通過して焦電体層24に入る。そして、焦電体層24を進行する光線のエネルギーは熱に変換される。そして、光線の光強度が強い程焦電体層24が加熱され焦電体層24の温度が上昇する。そして、検出部26の温度が上昇し、検出部26は上昇した温度を電気信号に変換して第1貫通電極17及び第2貫通電極18に出力する。
検出部26に蓄えられた熱は、第2電極層25、第1配線28、第1腕部12及び第1柱部8を通ってベース基板2に伝導する。さらに、検出部26に蓄えられた熱は、第1電極層23、第2配線29、第2腕部13及び第2柱部9を通ってベース基板2に伝導する。従って、検出素子5を照射する光線の光強度が低下するとき、時間の経過に伴って検出部26の温度が低下する。従って、検出素子5は検出素子5に照射される光線の光強度の変動を検出することができる。
図4は検出部の構造を示す要部模式側断面図である。図4に示すように、隣り合う電極島25aの間の開口部25bの距離である電極間距離25cは光線の波長の1/4の長さに設定されている。このとき、光線が開口部25bで回折し易くなる。光線が回折することにより焦電体層24内を進行する光線の光路長が長くなる。そして、光線を焦電体層24に吸収され易くすることができる。
開口部25bと対向する場所の第1電極層23において第2電極層25を向く面には法線方向が焦電体層24の厚み方向に対して傾斜する傾斜面としての反射面23aを有している。尚、焦電体層24の厚み方向は支持基板14の厚み方向と同じ方向である。反射面23aは図中右上側を向く面と左上側を向く面とが交互に配置された凹凸形状になっている。凹凸形状は電極島25aと対応しており反射面23aは複数設置されている。反射面23aの法線方向と焦電体層24の厚み方向とがなす角度である反射面角度23bは特に限定されないが本実施形態では、例えば、15度に設定されている。そして、焦電体層24の厚みを焦電体厚み24aと称す。
図5は検出部を進行する光線を説明するための模式図である。図を見易くするために焦電体層24ではハッチングが省略されている。図5に示すように、光としての光線30は支持基板14の厚み方向へ進行して開口部25bから焦電体層24に入る。光線30は赤外線、遠赤外線及びテラヘルツ波の光である。そして、光線30は反射面23aにて反射する。反射面23aの反射面角度23bは15度なので、光線30が反射面23aで反射する角度である第1反射角度30aは30度になっている。反射面23aにて反射した光線30は電極島25aに向かって進行し、電極島25aにて反射する。光線30が電極島25aで反射する角度である第2反射角度30bは60度になる。
光線30が第1電極層23で反射してから、次に第2電極層25で反射するまでの間で光線30が進行する距離を反射間光路長30cとする。第1反射角度30aが30度であるので、反射間光路長30cは2/(√3)×焦電体厚み24aとなる。従って、反射間光路長30cは焦電体厚み24aより長くなる。
焦電体層24に進入する光線30のうち焦電体層24に吸収される比率を吸収率Aとする。焦電体層24の吸光係数をεとする。焦電体層24の吸収能濃度をCとする。焦電体層24を光線30が進行する距離をdとする。このとき、A=ε×d×Cであらわせる。従って、焦電体層24を光線30が進行する距離を長くすることにより、吸収率Aを高くすることができる。本実施形態では反射間光路長30cが焦電体厚み24aより長くなるので、焦電体層24の吸収率Aを高くすることができる。
つまり、反射面23aの法線方向は焦電体層24の厚み方向に対して傾斜している。開口部25bから入る光線30は支持基板14の厚み方向に進行し、反射面23aで反射した光線30は支持基板14の厚み方向に対して斜めに進行する。反射面23aで反射した光線30が第2電極層25に到達するまでの間に焦電体層24を進行する反射間光路長30cが長くなる為、光線30を焦電体層24に吸収させ易くすることができる。従って、光線30が効率良く焦電体層24に吸収されるので、検出素子5の感度を良くすることができる。
図6は開口部で回折し焦電体層を進行する光線を説明するための模式図である。図を見易くするために焦電体層24ではハッチングが省略されている。図6に示すように、光線30は開口部25bにて回折する。開口部25bを直進する光線30を0次の回折光と称す。0次の回折光の隣の回折光が1次の回折光であり、1次の回折光の隣の回折光が2次の回折光である。1次の回折光を1次回折光30dとし、2次の回折光を2次回折光30eとする。1次回折光30d及び2次回折光30eは焦電体層24の厚み方向に対して傾いて進行する。これにより、1次回折光30d及び2次回折光30eは反射間光路長30cが0次の回折光より長くなるので焦電体層24に吸収され易い。1次回折光30d及び2次回折光30eの一部は第1電極層23で反射した後第2電極層25にて反射する。従って、0次の回折光と同様に焦電体層24に吸収され易くなっている。
次に、図7〜図12を用いて、光線検出素子1の製造方法を説明する。図7〜図12は光線検出素子の製造方法を説明するための模式図である。図7に示すように、ベース基板2上に、反射膜6を形成する。反射膜6は、例えば、蒸着法やスパッタ法により形成される。次に、反射膜6はフォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いてパターニングして形成される。以下、パターニングはフォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いることとする。
次に、ベース基板2上及び反射膜6上に、第1絶縁層7を設置する。第1絶縁層7は二酸化シリコンの層であり、例えば、TEOS(オルトケイ酸テトラエチル)を用いてCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成される。次に、第1絶縁層7には第1貫通孔17a及び第2貫通孔18aがパターニングされて形成される。次に、第1貫通孔17a及び第2貫通孔18aにそれぞれ第1貫通電極17及び第2貫通電極18が形成される。第1貫通電極17及び第2貫通電極18は、例えば、めっき法、スパッタ法により形成される。
図8に示すように、第1絶縁層7をパターニングして、第1柱部8及び第2柱部9を形成する。第1柱部8及び第2柱部9はドライエッチング法が用いられ製造条件を調整することにより側面を傾斜させることができる。次に、第1絶縁層7、第1柱部8及び第2柱部9上に第1保護層10を形成する。CVD法にて酸化アルミニウムの膜を形成する。これにより、第1絶縁層7、第1柱部8及び第2柱部9は酸化アルミニウムの膜に覆われた状態となる。
次に、第1保護層10上にCVD法を用いて二酸化シリコンからなる犠牲層31を形成する。このとき、第1柱部8及び第2柱部9を超える高さに二酸化シリコンの膜を形成し、犠牲層31の膜厚を第1柱部8及び第2柱部9の高さより厚くする。次に、CMP法(Chemical Mechanical Polishing)を用いて犠牲層31の上面を平坦にし、第1柱部8及び第2柱部9の上面と犠牲層31の面とを同一の面とする。さらに、第1柱部8及び第2柱部9の上面に残留する第1保護層10及び犠牲層31を除去する。
図9に示すように、犠牲層31上に第2保護層11を形成する。第2保護層11はCVD法やスパッタ法により形成される。次に、第2保護層11上に支持基板層14aを形成する。支持基板層14aは第1腕部12、第2腕部13及び支持基板14の元になる層である。支持基板層14aはSiO2の層であり、例えば、TEOSを原料にしたCVD法やスパッタ法により形成される。
次に、第2保護層11及び支持基板層14aをパターニングして、第1貫通孔17a及び第2貫通孔18aを形成する。第1貫通孔17a及び第2貫通孔18aは、それぞれ前工程で形成した第1貫通電極17及び第2貫通電極18が露出するように形成される。次に、第1貫通孔17aに第1貫通電極17の材料を充填し、第2貫通孔18aに第2貫通電極18の材料を充填する。第1貫通電極17、第2貫通電極18、第1中間電極21及び第2中間電極22は、例えば、めっき法、スパッタ法により形成される。以上の工程により、支持基板層14aの表面からベース基板2に繋がる。第1貫通電極17及び第2貫通電極18が形成される。
図10に示すように、支持基板層14a上に、第1中間電極21、第2中間電極22及び第1電極層23を設置する。第1中間電極21、第2中間電極22及び第1電極層23は、例えば、スパッタ法にて成膜し第1電極層23に凹凸のある反射面23aを形成する。反射面23aはマスクを用いて明暗のグラディションをつけて露光しエッチングすることにより形成する。第1電極層23に重ねて、焦電体層24及び第2電極層25をこの順で積層して形成する。これにより、検出部26が形成される。
焦電体層24は、例えば、スパッタ法やゾルゲル法にて成膜した後でパターニングすることにより形成される。本実施形態では、例えば、焦電体層24はゾルゲル法にて成膜した後で焼成した。第2電極層25は、例えば、スパッタ法にて成膜しパターニングして形成される。
図11に示すように、次に、第2電極層25上及び支持基板層14a上に、第2絶縁層27を設置する。第2絶縁層27は、例えば、スパッタ法やCVD法にて成膜しパターニングして形成される。
次に、支持基板層14a上に第2配線29を形成して、第1電極層23と第2中間電極22とを電気的に接続する。さらに、支持基板層14a上及び第2絶縁層27上に第1配線28を形成して、第2電極層25と第1中間電極21とを電気的に接続する。第1配線28及び第2配線29は、例えば、めっき法、スパッタ法にて成膜しパターニングして形成される。
図12に示すように、支持基板層14a及び第2保護層11をパターニングする。これにより、支持基板14、第1腕部12及び第2腕部13が形成される。
次に、犠牲層31を除去する。犠牲層31の除去はマスキングした後でエッチングすることにより行なわれる。そして、エッチング後にマスキングが除去され洗浄される。第1柱部8及び第2柱部9は第1保護層10に保護されているのでエッチングされずに形成される。支持基板14のベース基板2側の面も第2保護層11に保護されているのでエッチングされずに形成される。これにより、第1柱部8、第2柱部9及び空洞16が形成される。また、第1柱部8及び第2柱部9と同時に枠部3が形成されてもよい。以上の工程により光線検出素子1が完成する。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、検出素子5は支持基板14を備え、支持基板14上には第1電極層23、焦電体層24、第2電極層25の順に配置されている。光線30は第2電極層25側から検出素子5を照射する。第2電極層25には開口部25bがあり、光線30の一部は開口部25b及び焦電体層24を通過して第1電極層23に到達する。第1電極層23には反射面23aが設置され、第1電極層23に到達した光線30は反射面23aで反射する。反射面23aの法線方向は焦電体層24の厚み方向に対して傾斜している。開口部25bから入る光線30は支持基板14の厚み方向に進行し、反射面23aで反射した光線30は支持基板14の厚み方向に対して斜めに進行する。反射面23aで反射した光線30が第2電極層25に到達するまでの間に焦電体層24を進行する距離が長くなる為、光線30を焦電体層24に吸収させ易くすることができる。従って、光線30が効率良く焦電体層24に吸収されるので、検出素子5の感度を良くすることができる。
(2)本実施形態によれば、開口部25bから入る光線30は支持基板14の厚み方向に進行し、反射面23aで反射する。そして、反射面23aで反射した光線30は焦電体層24を通過して第2電極層25に到達する。そして、第2電極層25に到達した光線30は第2電極層25にて反射する。第2電極層25にて反射した光線30はさらに焦電体層24を通過し、焦電体層24に吸収される。従って、光線30が効率良く焦電体層24に吸収されるので、光線検出素子1の感度を良くすることができる。
(第2の実施形態)
次に、光線検出素子の一実施形態について図13及び図14を用いて説明する。図13は光線検出素子の構造を示す模式平面図であり、図14は、検出素子の構造を示す模式側断面図である。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、反射面の傾きが周辺部より中央部が大きい点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
すなわち、本実施形態では、図13に示すように、光センサー及び赤外光センサーとしての光線検出素子34に設置された検出素子35はベース基板2を備えている。ベース基板2上に第1柱部8及び第2柱部9が立てて設置されている。第1柱部8には第1腕部12が設置され、第2柱部9には第2腕部13が設置されている。そして、第1腕部12及び第2腕部13が支持基板14を支持する。
図14に示すように、支持基板14上には第1電極層36、焦電体層24及び第2電極層25が積層された検出部37が設置されている。図14では図を見易くするために焦電体層24のハッチングが省略されている。開口部25bと対向する場所の第1電極層36において第2電極層25を向く面には法線方向が焦電体層24の厚み方向に対して傾斜する反射面36aを有している。反射面36aは図中右上側を向く面と左上側を向く面とが交互に配置された凹凸形状になっている。
反射面36aの法線方向と焦電体層24の厚み方向とがなす角度である反射面角度が場所により異なっている。中央の電極島25aと対向する場所の反射面36aの反射面角度を第1反射面角度36bとする。中央の電極島25aの隣の電極島25aと対向する場所の反射面36aのうち中央側の反射面角度を第2反射面角度36cとする。中央の電極島25aの隣の電極島25aと対向する場所の反射面36aのうち外周側の反射面角度を第3反射面角度36dとする。中央の電極島25aの隣の電極島25aの外側に位置する場所と対向する場所の反射面36aのうち中央側の反射面角度を第4反射面角度36eとする。
そして、第1反射面角度36bは第2反射面角度36cより大きく、第2反射面角度36cは第3反射面角度36dより大きく設定されている。第3反射面角度36dは第4反射面角度36eより大きく設定されている。つまり、第1接続部14bまたは第2接続部14cとの距離が大きくなるのに従って、反射面36aの法線方向と焦電体層24の厚み方向とがなす角度が大きくなっている。
そして、第1電極層36において凹凸する反射面36aの尾根となる線を尾根線36fとし、反射面36aの谷となる線を底部としての谷線36gとする。図13に示すように、尾根線36fと谷線36gとは平行になっている。そして、第1腕部12が支持基板14と接続する場所を第1接続部14bとし、第2腕部13が支持基板14と接続する場所を第2接続部14cとする。尾根線36f及び谷線36gは第1接続部14bと第2接続部14cとを通る線に対して交差する。
電極島25aと対向する場所に尾根線36fが位置し、開口部25bと対向する場所に谷線36gが位置している。そして、尾根線36fの第1接続部14b側及び第2接続部14c側に谷線36gがある。尾根線36fの谷線36g側に支持部15がある。このことを谷線36gが支持部15に隣在すると称す。
反射面36aの一部は第1腕部12の第1接続部14b及び第2腕部13の第2接続部14cを向いている。反射面36aが第1接続部14b及び第2接続部14cを向くので、反射面36aで反射した光線30は第1接続部14b及び第2接続部14cに向かって進行する。そして、光線30は開口部25bと第1接続部14b及び第2接続部14cとの間の焦電体層24を加熱する。
第1反射面角度36b、第2反射面角度36c、第3反射面角度36d及び第4反射面角度36eは第1接続部14bまたは第2接続部14cに近い場所の方が支持基板14の中央に近い場所に比べて小さくなっている。従って、第1接続部14b及び第2接続部14cに近い場所で反射面36aに反射した光線30は第1接続部14b及び第2接続部14cに近い場所の第2電極層25に向かって進行する。そして、第1接続部14b及び第2接続部14cに近い場所の焦電体層24を加熱する。一方、中央側の場所で反射面36aに反射した光線30は第1接続部14b側または第2接続部14c側の第2電極層25に向かって進行するので、反射した場所より第1接続部14bまたは第2接続部14cに近い場所の焦電体層24を加熱する。従って、支持部15に近い場所を加熱できる。その結果、反射面36aにより加熱された熱量は第1腕部12及び第2腕部13から放熱され易いので、検出素子35は応答速度を速くできる。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、反射面36aの一部が第1接続部14b及び第2接続部14cを向く。従って、反射面36aにより加熱された熱量の一部は第1腕部12及び第2腕部13から放熱され易くなるので、検出素子35は応答速度を速くできる。
(2)本実施形態によれば、第1反射面角度36b、第2反射面角度36c及び第3反射面角度36dは第1接続部14bまたは第2接続部14cに近い場所の方が支持基板14の中央に近い場所に比べて小さくなっている。従って、支持部15に近い場所を加熱できる。
(第3の実施形態)
次に、光線検出素子の一実施形態について図15及び図16を用いて説明する。図15は光線検出素子の構造を示す模式平面図であり、図16は、検出素子の構造を示す模式側断面図である。本実施形態が第2の実施形態と異なるところは、反射面の傾きが周辺部より中央部が小さい点にある。尚、第2の実施形態と同じ点については説明を省略する。
すなわち、本実施形態では、図15に示すように、光センサー及び赤外光センサーとしての光線検出素子39に設置された検出素子40はベース基板2を備えている。ベース基板2上に第1柱部8及び第2柱部9が立てて設置されている。第1柱部8には第1腕部12が設置され、第2柱部9には第2腕部13が設置されている。そして、第1腕部12及び第2腕部13が支持基板14を支持する。
図16に示すように、支持基板14上には第1電極層41、焦電体層24及び第2電極層25が積層された検出部42が設置されている。図16では図を見易くするために焦電体層24のハッチングが省略されている。開口部25bと対向する場所の第1電極層41において第2電極層25を向く面には法線方向が焦電体層24の厚み方向に対して傾斜する反射面41aを有している。反射面41aは図中右上側を向く面と左上側を向く面とが交互に配置された凹凸形状になっている。
反射面41aの法線方向と焦電体層24の厚み方向とがなす角度である反射面角度が場所により異なっている。中央の電極島25aと対向する場所の反射面41aの反射面角度を第1反射面角度41bとする。中央の電極島25aの隣の電極島25aと対向する場所の反射面41aのうち中央側の反射面角度を第2反射面角度41cとする。中央の電極島25aの隣の電極島25aと対向する場所の反射面41aのうち外周側の反射面角度を第3反射面角度41dとする。中央の電極島25aの隣の電極島25aの外側に位置する場所と対向する場所の反射面41aのうち中央側の反射面角度を第4反射面角度41eとする。
そして、第1反射面角度41bは第2反射面角度41cより小さく、第2反射面角度41cは第3反射面角度41dより小さく設定されている。第3反射面角度41dは第4反射面角度41eより小さく設定されている。つまり、焦電体層24の重心24cとの距離が大きくなるに従って、反射面41aの法線方向と焦電体層24の厚み方向とがなす角度が大きくなっている。
そして、第1電極層41の凹凸する反射面41aの尾根となる線を尾根線41fとし、反射面41aの谷となる線を底部としての谷線41gとする。図15に示すように、尾根線41fと谷線41gとは平行になっている。尾根線41f及び谷線41gは第1接続部14bと第2接続部14cとを通る線に対して交差する。
反射面41aの一部は焦電体層24の重心24c側を向いている。重心24cを向く反射面41aでは、反射面41aで反射した光線30は重心24cに向かって進行する。そして、光線30は開口部25bと重心24cとの間の焦電体層24を加熱する。
支持部15は支持基板14の外周を支持する。焦電体層24は光線30により加熱され、焦電体層24の熱は支持部15を伝わって排熱される。反射面41aの一部が焦電体層24の重心24cを向くので、反射面41aを反射した光線30は焦電体層24の重心24cに向かって進行する。そして、光線30は重心24cに近い場所の焦電体層24を加熱する。従って、加熱された熱量は支持部15から排熱され難いので、検出素子40は感度良く光線30を検出できる。
第1反射面角度41b、第2反射面角度41c、第3反射面角度41d及び第4反射面角度41eは重心24cに近い場所の方が重心24cから遠い場所に比べて小さくなっている。従って、第1接続部14b及び第2接続部14cに近い場所で反射面41aに反射した光線30は重心24cに近い場所の第2電極層25に向かって進行する。そして、重心24cに近い場所の焦電体層24を加熱する。一方、中央側の場所で反射面41aに反射した光線30は重心24cに近い場所の第2電極層25に向かって進行するので、重心24cに近い場所の焦電体層24を加熱する。従って、反射面41aにより加熱された熱量は第1腕部12及び第2腕部13から放熱され難いので、検出素子40は少ない光量の光線30を感度良く検出できる。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、反射面41aの一部が重心24cを向く。従って、反射面41aにより加熱された熱量は第1腕部12及び第2腕部13から放熱され難いので、検出素子40は感度良く光線30を検出できる。
(2)本実施形態によれば、第1反射面角度41b、第2反射面角度41c、第3反射面角度41d及び第4反射面角度41eは焦電体層24の重心24cに近い場所の方が第1接続部14bまたは第2接続部14cに近い場所に比べて小さくなっている。従って、焦電体層24の重心24cに近い場所を加熱できる。
(第4の実施形態)
次に、光線検出素子の5つの実施形態について図17〜図21を用いて説明する。図17〜図21は検出素子の構造を示す模式側断面図である。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、第1電極層23の形状が異なる点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
すなわち、本実施形態では、図17に示すように、光センサー及び赤外光センサーとしての光線検出素子45に設置された検出素子46では支持基板14上に第1電極層47、焦電体層24及び第2電極層25が積層された検出部48が設置されている。図17では図を見易くするために焦電体層24のハッチングが省略されている。開口部25bと対向する場所の第1電極層47において第2電極層25を向く面には法線方向が焦電体層24の厚み方向に対して傾斜する反射面47aを有している。反射面47aは図中右上側を向く面と左上側を向く面とが交互に配置された凹凸形状になっている。
電極島25aの中央と対向する場所には第1電極層47が凹んだ凹部49が設置されている。電極島25aにて反射した光線30の一部が凹部49を照射する。そして、凹部49にて反射した光線30の一部がさらに電極島25aに向って進行する。従って、光線30が焦電体層24を進行する光路が長くなるので光線30が焦電体層24に吸収され易くなる。その結果、検出素子46は感度良く光線30を検出することができる。
図18に示すように、光センサー及び赤外光センサーとしての光線検出素子50に設置された検出素子51では支持基板14上に第1電極層52、焦電体層24及び第2電極層25が積層された検出部53が設置されている。図18では図を見易くするために焦電体層24のハッチングが省略されている。開口部25bと対向する場所の第1電極層52において第2電極層25を向く面には法線方向が焦電体層24の厚み方向に対して傾斜する反射面52aを有している。反射面52aは図中右上側を向く面と左上側を向く面とが交互に配置された凹凸形状になっている。
電極島25aの中央と対向する場所には第1電極層52が凹んだ凹部54が設置されている。電極島25aにて反射した光線30の一部が凹部54を照射する。そして、凹部54にて反射した光線30はさらに電極島25aに向って進行する。従って、光線30が焦電体層24を進行する光路が長くなるので光線30が焦電体層24に吸収され易くなる。その結果、検出素子51は感度良く光線30を検出することができる。
図19に示すように、光センサー及び赤外光センサーとしての光線検出素子55に設置された検出素子56では支持基板14上に第1電極層57、焦電体層24及び第2電極層25が積層された検出部58が設置されている。図19では図を見易くするために焦電体層24のハッチングが省略されている。開口部25bと対向する場所の第1電極層57において第2電極層25を向く面には法線方向が焦電体層24の厚み方向に対して傾斜する反射面57aを有している。反射面57aは図中右側を向く第1面57bと左上側を向く第2面57cとが交互に配置された凹凸形状になっている。反射面57aの形状を鋸刃形状と称す。
開口部25bを通過する光線30は第2面57cを照射して反射する。第2面57cで反射した光線30の一部は第2電極層25に向かって進行する。第2面57cで反射した光線30の一部はさらに第1面57bで反射して第2電極層25に向かって進行する。そして、光線30は第1電極層57と第2電極層25との間で反射を繰り返す。従って、光線30が焦電体層24を進行する光路が長くなるので光線30が焦電体層24に吸収され易くなる。その結果、検出素子56は感度良く光線30を検出することができる。
図20に示すように、光センサー及び赤外光センサーとしての光線検出素子59に設置された検出素子60では支持基板14上に第1電極層61、焦電体層24及び第2電極層25が積層された検出部62が設置されている。図20では図を見易くするために焦電体層24のハッチングが省略されている。開口部25bと対向する場所の第1電極層61において第2電極層25を向く面には反射面61aを有している。反射面61aは図中右上側を向く第1側面61bと左上側を向く第2側面61cとの間に図中上側を向く底面61dが配置された凹凸形状になっている。
開口部25bを通過する光線30は第1側面61b及び底面61dを照射して反射する。第1側面61bで反射した光線30は第2側面61cに向かって進行して反射する。第2側面61cで反射した光線30はさらに電極島25aに向かって進行して反射する。そして、光線30はさらに第2電極層25から第1電極層61に進行する。従って、光線30が焦電体層24を進行する光路が長くなるので光線30が焦電体層24に吸収され易くなる。その結果、検出素子60は感度良く光線30を検出することができる。
図21に示すように、光センサー及び赤外光センサーとしての光線検出素子63に設置された検出素子64では支持基板14上に第1電極層65、焦電体層24及び第2電極層25が積層された検出部66が設置されている。図21では図を見易くするために焦電体層24のハッチングが省略されている。第2電極層25と対向する場所の第1電極層65において第2電極層25を向く面には凹凸形状の反射面65aを有している。反射面65aは開口部25bと対向する場所に図中左上側を向く第1斜面65bと右上側を向く第2斜面65cが設置されている。さらに、反射面65aは電極島25aと対向する場所に図中右上側を向く第3斜面65dと左上側を向く第4斜面65eとが設置されている。
開口部25bを通過する光線30は第1斜面65b及び第2斜面65cを照射して反射する。第1斜面65bで反射した光線30は第3斜面65dに向かって進行して反射する。第3斜面65dで反射した光線30はさらに電極島25aに向かって進行して反射する。そして、光線30はさらに第2電極層25から第1電極層65に進行する。同様に、第2斜面65cで反射した光線30は第4斜面65eに向かって進行して反射する。第4斜面65eで反射した光線30はさらに電極島25aに向かって進行して反射する。そして、光線30はさらに第2電極層25から第1電極層65に進行する。従って、光線30が焦電体層24を進行する光路が長くなるので光線30が焦電体層24に吸収され易くなる。その結果、検出素子64は感度良く光線30を検出することができる。
(第5の実施形態)
次に、光線検出素子の5つの実施形態について図22〜図26を用いて説明する。図22〜図26は検出素子の構造を示す模式平面図であり、第2絶縁層27、第1配線28及び第2配線29が省略されている。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、第2電極層25の形状が異なる点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
すなわち、本実施形態では、図22に示すように、光センサー及び赤外光センサーとしての光線検出素子69に設置された検出素子70では支持基板14上に第1電極層23、焦電体層24及び第2電極層71が積層された検出部72が設置されている。第2電極層71は中央に四角形の第1電極島71aが設置され、四隅に第2電極島71bが設置されている。隣り合う第2電極島71bの間には2つの第3電極島71cが設置されている。
第1電極島71a、第2電極島71b、第3電極島71cは電気的に接続されている。それぞれの第1電極島71a、第2電極島71b、第3電極島71cの間に開口部71dが設置されている。そして、開口部71dから焦電体層24に進行する光線30は第1電極層23に反射して第2電極層71に向かって進行する。第1電極層23と第2電極層71との間で光線30は焦電体層24に吸収される。
図23に示すように、光センサー及び赤外光センサーとしての光線検出素子73に設置された検出素子74では支持基板14上に第1電極層23、焦電体層24及び第2電極層75が積層された検出部76が設置されている。第2電極層75は中央に四角形の第1電極島75aが設置され、第1電極島75aを囲んで第2電極島75bが設置されている。さらに、第2電極島75bを囲んで第3電極島75cが設置され、第3電極島75cを囲んで第4電極島75dが設置されている。
第1電極島75a、第2電極島75b、第3電極島75c及び第4電極島75dは電気的に接続されている。各第1電極島75a、第2電極島75b、第3電極島75c、第4電極島75dの間には開口部75eが設置されている。そして、開口部75eから焦電体層24に進行する光線30は第1電極層23に反射して第2電極層75に向かって進行する。第1電極層23と第2電極層75との間で光線30は焦電体層24に吸収される。
図24に示すように、光センサー及び赤外光センサーとしての光線検出素子77に設置された検出素子78では支持基板14上に第1電極層23、焦電体層24及び第2電極層79が積層された検出部80が設置されている。第2電極層79は図中右上から左下に向けて第1電極島79a〜第9電極島79iが配置されている。第1電極島79a〜第9電極島79iの中央には第5電極島79eが設置されている。電極島の面積は第5電極島79eが最も大きく第5電極島79eから第1電極島79aに向けて小さくなっている。同様に、第5電極島79eから第9電極島79iに向けて小さくなっている。さらに、第5電極島79eの図中右下には第10電極島79jが設置され、第5電極島79eの図中左上には第11電極島79kが設置されている。
第1電極島79a〜第11電極島79kは電気的に接続されている。第1電極島79a〜第11電極島79kにおいて隣り合う電極島の間には開口部79mが設置されている。そして、開口部79mから焦電体層24に進行する光線30は第1電極層23に反射して第2電極層79に向かって進行する。第1電極層23と第2電極層79との間で光線30は焦電体層24に吸収される。
図25に示すように、光センサー及び赤外光センサーとしての光線検出素子81に設置された検出素子82では支持基板14上に第1電極層23、焦電体層24及び第2電極層83が積層された検出部84が設置されている。第2電極層83は焦電体層24の中央に楕円形の第1電極島83aが設置され、第1電極島83aを囲んで楕円形の輪状の第2電極島83bが設置されている。さらに、第2電極島83bを囲んで楕円形の輪状の第3電極島83cが設置され、第3電極島83cを囲んで楕円形の輪状の第4電極島83dが設置されている。さらに、第4電極島83dを囲んで楕円形の輪状の第5電極島83eが設置されている。
第5電極島83eの図中右上側には円弧状の第6電極島83f及び第7電極島83gがこの順に配置されている。第5電極島83eの図中左下側には円弧状の第8電極島83h及び第9電極島83iがこの順に配置されている。第1電極島83a〜第9電極島83iは電気的に接続されている。第1電極島83a〜第9電極島83iにおいて隣り合う電極島の間には開口部83jが設置されている。そして、開口部83jから焦電体層24に進行する光線30は第1電極層23に反射して第2電極層83に向かって進行する。第1電極層23と第2電極層83との間で光線30は焦電体層24に吸収される。
図26に示すように、光センサー及び赤外光センサーとしての光線検出素子85に設置された検出素子86では支持基板14上に第1電極層23、焦電体層24及び第2電極層87が積層された検出部88が設置されている。第2電極層87は平行四辺形の電極島87aが4行6列のマトリックス状に配置されている。各電極島87aは電気的に接続されている。第2電極層87において隣り合う電極島87aの間には開口部87bが設置されている。そして、開口部87bから焦電体層24に進行する光線30は第1電極層23に反射して第2電極層87に向かって進行する。第1電極層23と第2電極層87との間で光線30は焦電体層24に吸収される。
(第6の実施形態)
次に、光検出部に光線検出素子を備える電子機器の1つである赤外線カメラの一実施形態について図27の赤外線カメラの構成を示すブロック図を用いて説明する。図27に示すように、光検出部及び電子機器としての赤外線カメラ91は、光学系92、光検出部93、画像処理部94、処理部95、記憶部96、操作部97、表示部98を含んで構成されている。
光学系92は、例えば1枚または複数枚のレンズやレンズの位置を移動させる駆動部等を含んで構成されている。そして、光学系92は光検出部93への物体像の結像を行う。必要に応じて光学系92はフォーカス調整や絞り調整等の機能も備えても良い。
光検出部93には上記実施形態の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85のいずれかが用いられている。光検出部93は、光線検出素子に加えて行選択回路(行ドライバー)、列線を介して検出器からのデータを読み出す読み出し回路及びA/D変換部等を備えている。そして、二次元配列された各検出器からのデータを順次読み出すことで、被写体の画像データを形成することができる。
画像処理部94は、光検出部93からのデジタルの画像データに基づいて、画像補正処理等の各種の画像処理を行う。画像データは画素データとも称す。
処理部95は、赤外線カメラ91の全体の制御を行い、赤外線カメラ91内の各ブロックの制御を行う。この処理部95は例えばCPU(Central Processing Unit)等により実現される。記憶部96は各種の情報を記憶するものであり、例えば処理部95や画像処理部94のワーク領域として機能する。操作部97は、操作者が赤外線カメラ91を操作するためのインターフェイスとなるものであり、例えば、各種ボタンやGUI(Graphical User Interface)画面等により実現される。表示部98は、例えば光検出部93により取得された画像やGUI画面等を表示するものであり、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の各種のディスプレイにより実現される。
このように、直交する二方向に検出素子5を二次元配置された光検出部93を用いて熱分布画像を提供することができる。この光検出部93を用いて、サーモグラフィー、車載用ナイトビジョンあるいは監視カメラ等の電子機器を構成することができる。
もちろん、1セル分または複数セルの検出素子5をセンサーとして用いることで物体の物理情報の解析(測定)を行う解析機器(測定機器)、火や発熱を検知するセキュリティー機器、工場等に設けられるFA(Factory Automation)機器等の各種の電子機器を構成することもできる。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、赤外線カメラ91は光検出部93を備え、光検出部93には上記実施形態の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85のいずれかが用いられている。光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85は焦電体層24を進行する光線30の光路長が長いので感度良く赤外線の受光量を検出する。光検出部93の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85は感度良く赤外線を検出するので、赤外線カメラ91は感度良く赤外線を検出する光線検出素子を備えた電子機器とすることができる。
(第7の実施形態)
次に、光検出部に光線検出素子を備えた赤外線カメラを用いた電子機器の1つである運転支援装置の一実施形態について図28及び図29を用いて説明する。図28は、運転支援装置の構成を示すブロック図であり、図29は、運転支援装置を搭載した自動車を示す概略斜視図である。
図28に示すように、電子機器としての運転支援装置101は、運転支援装置101を制御するCPUを備えた処理ユニット102と、車両外部の所定の撮像領域における赤外線を検出可能な赤外線カメラ91と、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサー104とを備えている。さらに、運転支援装置101は、車両の走行速度を検出する車速センサー105と、運転者のブレーキ操作の有無を検出するブレーキセンサー106と、スピーカー107と、表示装置108とを備えて構成されている。そして、本実施形態の赤外線カメラ91は上記実施形態における赤外線カメラ91と同じカメラが用いられている。従って、赤外線カメラ91は光検出部に光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85のいずれかを備えている。
この運転支援装置101の処理ユニット102は、例えば、赤外線カメラ91の撮像により得られる自車両周辺の赤外線画像と、ヨーレートセンサー104、車速センサー105、ブレーキセンサー106により検出される自車両の走行状態にかかる検出信号を用いる。そして、処理ユニット102は赤外線画像及び検出信号を用いて自車両の進行方向前方に存在する物体及び歩行者等の対象物を検出する。検出した対象物と自車両との接触が発生する可能性があると判断したときには、スピーカー107または表示装置108により警報を出力する。
図29に示すように、赤外線カメラ91は、自動車の前部において車幅方向の中心付近に配置されている。表示装置108は、フロントウィンドーにおいて運転者の前方視界を妨げない位置に各種情報を表示するHUD109(Head Up Display)等を備えて構成されている。
(1)本実施形態によれば、運転支援装置101は赤外線カメラ91を備えている。赤外線カメラ91は光検出部93を備え、光検出部93には上記実施形態の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85のいずれかが用いられている。光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85は焦電体層24を進行する光線30の光路長が長いので感度良く赤外線の受光量を検出する。光検出部93の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85は感度良く赤外線を検出する。従って、運転支援装置101は感度良く赤外線を検出する光線検出素子を有する赤外線カメラ91を備えた電子機器とすることができる。
(第8の実施形態)
次に、光検出部に光線検出素子を備えた赤外線カメラを用いた電子機器の1つであるセキュリティー機器の一実施形態について図30及び図31を用いて説明する。図30は、セキュリティー機器の構成を示すブロック図であり、図31はセキュリティー機器が設置された家を示す模式図である。
図30に示すように、電子機器としてのセキュリティー機器112は、監視エリアを撮影する赤外線カメラ91と、監視エリアへの侵入者を検知する光検出部としての人感センサー113を備える。人感センサー113は光検出部を備え、光検出部に検出素子5を備えている。そして、本実施形態の赤外線カメラ91は上記実施形態における赤外線カメラ91と同じカメラが用いられている。赤外線カメラ91は光検出部93に上記実施形態の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85のいずれかを備えている。
さらに、セキュリティー機器112は、赤外線カメラ91から出力された画像データを処理して監視エリアに侵入した移動体を検知する動き検知処理部114を備える。さらに、セキュリティー機器112は人感センサー113が出力する信号を用いて侵入者の検知処理を行う人感センサー検知処理部115を備える。さらに、セキュリティー機器112は画像圧縮部116を備え、画像圧縮部116は赤外線カメラ91から出力された画像データを所定の方式で圧縮する。さらに、セキュリティー機器112は通信処理部117を備え、通信処理部117は圧縮された画像データや侵入者検知情報を外部装置に送信し、セキュリティー機器112への各種設定情報等を外部装置から受信する。さらに、セキュリティー機器112は制御部118等を備え、制御部118はセキュリティー機器112の各処理部に対して条件設定、処理コマンド送信、レスポンス処理をCPU(Central Processing Unit)にて行う。セキュリティー機器112は以上の要素等で構成されている。そして、本実施形態の赤外線カメラ91は上記実施形態における赤外線カメラ91と同じカメラが用いられている。従って、赤外線カメラ91は光検出部93に上記実施形態の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85のいずれかを備えている。
動き検知処理部114は、図示しないバッファメモリーと、バッファメモリーの出力信号が入力されるブロックデータ平滑部と、ブロックデータ平滑部の出力信号が入力される状態変化検出部とを備える。そして、状態変化検出部は撮影した動画の画像であるフレームを比較する。そして、監視エリアが静止状態であれば動画で撮影した異なるフレームが同一画像の画像データとなり、移動体の侵入による状態変化があるときフレーム間の画像データで差が生じる。フレーム間の画像データで差を利用して状態変化検出部は状態変化を検知する。
図31に示すように、セキュリティー機器112は軒下に赤外線カメラ91及び人感センサー113が設置されている。そして、赤外線カメラ91は撮像エリア119を検出し、人感センサー113は検知エリア120を検出する。
(1)本実施形態によれば、セキュリティー機器112は人感センサー113及び赤外線カメラ91を備えている。赤外線カメラ91は光検出部93を備え、光検出部93には上記実施形態の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85のいずれかが用いられている。光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85は焦電体層24を進行する光線30の光路長が長いので感度良く赤外線の受光量を検出する。光検出部93の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85は感度良く赤外線を検出する。従って、セキュリティー機器112は感度良く赤外線を検出する光線検出素子を有する赤外線カメラ91を備えた電子機器とすることができる。
(第9の実施形態)
次に、光線検出部に光線検出素子を備えた赤外線カメラを用いた電子機器の1つであるゲーム機器の一実施形態について図32及び図33を用いて説明する。図32は、ゲーム機器のコントローラーの構成を示すブロック図であり、図33はコントローラーの使用方法を説明するための模式図である。
図32に示すように、ゲーム機器に用いられる電子機器としてのコントローラー123は、撮像情報演算ユニット124と、操作スイッチ125と、加速度センサー126と、コネクター127と、プロセッサー128と、無線モジュール129と、を備えて構成される。
撮像情報演算ユニット124は、撮像ユニット130と、この撮像ユニット130で撮像した画像データを処理するための画像処理回路131とを有する。撮像ユニット130は光検出部132を備え、さらに、光検出部132と接続して赤外線だけを通すフィルターである赤外線フィルター133及びレンズ等の光学系134を備えている。そして、画像処理回路131は、撮像ユニット130から得られた赤外線画像データを処理して、高輝度部分を検知し、高輝度部分の重心位置や面積を検出してこれらのデータを出力する。光検出部132には上記実施形態の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85のいずれかが用いられている。
プロセッサー128は、操作スイッチ125からの操作データと、加速度センサー126からの加速度データ及び赤外線画像の高輝度部分データを一連のコントロールデータとして無線モジュール129に出力する。無線モジュール129は所定周波数の搬送波をこのコントロールデータで変調する。無線モジュール129はアンテナ135を備え、アンテナ135から搬送波を電波信号にして出力する。
尚、コントローラー123に設けられているコネクター127を通して入力されたデータもプロセッサー128によって上述のデータと同様に処理されてコントロールデータとして無線モジュール129とアンテナ135を介して出力される。
図33に示すように、電子機器としてのゲーム機器136は、コントローラー123と、ゲーム機本体137と、ディスプレイ138と、LEDモジュール139及びLEDモジュール140とを備えている。ゲーム機器136を操作するプレイヤー141は一方の手でコントローラー123を操作してゲームをプレイすることができる。そして、コントローラー123の撮像ユニット130をディスプレイ138の画面142を向くようにすると、ディスプレイ138の近傍に設置された二つのLEDモジュール139及びLEDモジュール140から出力される赤外線を撮像ユニット130が検知する。そして、コントローラー123は、二つのLEDモジュール139,140の位置や面積情報を高輝度点の情報として取得する。輝点の位置や大きさのデータがコントローラー123から無線でゲーム機本体137に送信され、ゲーム機本体137に受信される。プレイヤー141がコントローラー123を動かすと、輝点の位置や大きさのデータが変化する。それを利用して、ゲーム機本体137はコントローラー123の動きに対応した操作信号を取得できる。そして、操作信号にしたがってゲーム機器136はゲームを進行させることができる。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ゲーム機器136のコントローラー123は光検出部132を備え、光検出部132には上記実施形態の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85のいずれかが用いられている。光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85は焦電体層24を進行する光線30の光路長が長いので感度良く赤外線の受光量を検出する。光検出部132の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85は感度良く赤外線を検出するので、ゲーム機器136は感度良く赤外線を検出する光検出部132が設置されたコントローラー123を有する電子機器とすることができる。
(第10の実施形態)
次に、光線検出部に光線検出素子を備えた赤外線カメラを用いた電子機器の1つである体温測定装置の一実施形態について図34を用いて説明する。図34は、体温測定装置の構成を示すブロック図である。
図34に示すように、電子機器としての体温測定装置145は、赤外線カメラ91と、体温分析装置146と、情報通信装置147と、ケーブル148とを備えて構成されている。本実施形態の赤外線カメラ91は上記の実施形態の赤外線カメラ91と同じカメラが用いられている。
赤外線カメラ91は所定の対象領域を撮影し、撮影された対象者149の画像情報をケーブル148を経由して体温分析装置146に送信する。体温分析装置146は、赤外線カメラ91からの熱分布画像を読み取る画像読取処理ユニットと、画像読取処理ユニットからのデータと画像分析設定テーブルに基づいて体温分析テーブルを作成する体温分析処理ユニットとを含み、体温分析テーブルに基づいて体温情報送信用データを情報通信装置147へ送信する。この体温情報送信用データは体温異常であることに対応する所定のデータを含んでいる。また、撮影領域内に複数の対象者149を含んでいると判断した場合には、対象者149の人数と体温異常者の人数の情報を体温情報送信用データに含んでもよい。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、体温測定装置145は赤外線カメラ91を備えている。赤外線カメラ91は光検出部を備え、光検出部には上記実施形態の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85のいずれかが用いられている。光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85は焦電体層24を進行する光線30の光路長が長いので感度良く赤外線の受光量を検出する。光検出部93の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85は感度良く赤外線を検出する。従って、体温測定装置145は感度良く赤外線を検出する光線検出素子を有する赤外線カメラ91を備えた電子機器とすることができる。
(第11の実施形態)
次に、光検出部に光線検出素子を備える電子機器の1つである特定物質探知装置の一実施形態について図35の特定物質探知装置の構成を示すブロック図を用いて説明する。
図35に示すように電子機器としての特定物質探知装置152は、制御ユニット153と、照射光ユニット154と、光学フィルター155と、光検出部としての撮像ユニット156と、表示部157とを備えて構成されている。撮像ユニット156は、図示しないレンズ等の光学系と光検出部を備え、該光検出部には上記実施形態の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85のいずれかが用いられている。光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85は焦電体層24を進行する光線30の光路長が長いので感度良く赤外線の受光量を検出する。光検出部の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85は感度良く赤外線を検出する。そして、光検出部が備える焦電体層24の吸収波長はテラヘルツ域となっている。
制御ユニット153は、本装置全体を制御するシステムコントローラーを含み、該システムコントローラーは制御ユニットに含まれる光源駆動部及び画像処理ユニットを制御する。照射光ユニット154は、波長が100μm〜1000μmの範囲にある電磁波であるテラヘルツ波の光線30を射出するレーザー装置と光学系を含み、テラヘルツ波の光線30を検査対象の人物158に照射する。
人物158と撮像ユニット156との間には光学フィルター155が配置されている。光学フィルター155は探知対象である特定物質159の分光スペクトルのみを通過させる。人物158から反射するテラヘルツ波の光線30は、光学フィルター155にて分離されて特定物質159の分光スペクトルのみ撮像ユニット156に受光される。撮像ユニット156で生成された画像信号は、制御ユニット153の画像処理ユニットで所定の画像処理が施され、その画像信号が表示部157へ出力される。そして人物158の衣服内等に特定物質159が存在するか否かにより受光信号の強度が異なるので特定物質159の存在が判別できる。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、特定物質探知装置152は撮像ユニット156に光検出部を備え、光検出部には上記実施形態の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85のいずれかが用いられている。光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85は焦電体層24を進行する光線30の光路長が長いので感度良く赤外線の受光量を検出する。光検出部の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85は感度良くテラヘルツ波の光線30を検出するので、特定物質探知装置152は撮像ユニット156に感度良くテラヘルツ波の光線30を検出する光線検出素子を備えた電子機器とすることができる。
(第12の実施形態)
次に、テラヘルツ波検出装置を用いたイメージング装置の一実施形態について図36〜図38を用いて説明する。図36はイメージング装置の構成を示すブロック図である。図37は、対象物のテラヘルツ帯でのスペクトルを示すグラフである。図38は、対象物の第1物質、第2物質、及び第3物質の分布を示す画像の図である。
図36に示すように電子機器としてのイメージング装置161はテラヘルツ波発生部162、光検出部としてのテラヘルツ波検出部163及び画像形成部164を備えている。テラヘルツ波発生部162はテラヘルツ波の光線30を対象物165に射出する。テラヘルツ波検出部163は対象物165を透過したテラヘルツ波の光線30または対象物165にて反射されたテラヘルツ波の光線30を検出する。画像形成部164はテラヘルツ波検出部163の検出結果に基づいて、対象物165の画像のデータである画像データを生成する。
テラヘルツ波発生部162には、例えば、量子カスケードレーザー、光伝導アンテナと短パルスレーザーとを用いた方式、非線形光学結晶を用いた差周波数発生方式を用いることができる。テラヘルツ波検出部163は光検出部を備え、光検出部には上記実施形態の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85のいずれかが用いられている。
テラヘルツ波検出部163は4種類の検出素子5を備え、各検出素子5は異なる波長のテラヘルツ波の光線30を検出する。従って、テラヘルツ波検出部163は4種類の波長のテラヘルツ波の光線30を検出することができる。イメージング装置161は2種類の検出素子を用いて2種類の波長のテラヘルツ波の光線30を検出し、対象物165を分析する装置である。
分光イメージングの対象となる対象物165が、第1物質165a、第2物質165b、及び第3物質165cにより構成されているとする。イメージング装置161は、この対象物165の分光イメージングを行う。テラヘルツ波検出部163は対象物165により反射されたテラヘルツ波の光線30を検出することとする。尚、分析に使用する波長の種類は3種類以上にしても良い。これによりさらに多くの種類の対象物165を分析することができる。
第1波長の光線30を検出する検出素子5を第1検出素子とし、第2波長の光線30を検出する検出素子5を第2検出素子とする。対象物165にて反射された光線30の第1波長の光強度を第1強度とし、第2波長の光強度を第2強度とする。第1物質165aと第2物質165bと第3物質165cとで第1強度と第2強度の差分が互いに顕著に区別できるように第1波長及び第2波長が設定されている。
図37において縦軸は検出された光線30の光強度を示し、図中上側が下側より強い強度となっている。横軸は検出された光線30の波長を示し図中右側が左側より長い波長となっている。第1特性線166は第1物質165aが反射する光線30の波長と光強度との関係を示す線である。同様に、第2特性線167は第2物質165bの特性を示し、第3特性線168は第3物質165cの特性を示している。横軸には第1波長169及び第2波長170の場所が明示されている。
対象物165が第1物質165aのとき対象物165で反射したテラヘルツ波の光線30の第1波長169の光強度を第1強度166aとし第2波長170の光強度を第2強度166bとする。第1強度166aは第1波長169における第1特性線166の値であり、第2強度166bは第2波長170における第1特性線166の値である。第2強度166bから第1強度166aを減算した値である第1波長差は正値となる。
同様に、対象物165が第2物質165bのとき対象物165で反射したテラヘルツ波の光線30の第1波長169の光強度を第1強度167aとし第2波長170の光強度を第2強度167bとする。第1強度167aは第1波長169における第2特性線167の値であり、第2強度167bは第2波長170における第2特性線167の値である。第2強度167bから第1強度167aを減算した値である第2波長差は零となる。
対象物165が第3物質165cのとき対象物165で反射したテラヘルツ波の光線30の第1波長169の光強度を第1強度168aとし第2波長170の光強度を第2強度168bとする。第1強度168aは第1波長169における第3特性線168の値であり、第2強度168bは第2波長170における第3特性線168の値である。第2強度168bから第1強度168aを減算した値である第3波長差は負値となる。
イメージング装置161が対象物165の分光イメージングを行う際は、まず、テラヘルツ波発生部162がテラヘルツ波の光線30を発生させる。そして、テラヘルツ波発生部162がテラヘルツ波の光線30を対象物165に照射する。そして、対象物165で反射されたテラヘルツ波の光線30の光強度をテラヘルツ波検出部163が検出する。この検出結果は、画像形成部164に送出される。尚、対象物165へのテラヘルツ波の光線30の照射及び対象物165で反射したテラヘルツ波の光線30の検出は検査する領域に位置する総ての対象物165に対して行う。
画像形成部164はテラヘルツ波検出部163の検出結果を用いて第2波長170における光強度から第1波長169における光強度を減算する。そして、減算した結果が正値となる部位を第1物質165aと判断する。同様に、減算した結果が零となる部位を第2物質165bと判断し、減算した結果が負値となる部位を第3物質165cと判断する。
図38に示すように、また、画像形成部164では、対象物165の第1物質165a、第2物質165b、及び第3物質165cの分布を示す画像の画像データを作成する。この画像データは画像形成部164から図示しないモニターに出力され、モニターは第1物質165a、第2物質165b、及び第3物質165cの分布を示す画像を表示する。例えば、第1物質165aの分布する領域は黒色、第2物質165bの分布する領域は灰色、第3物質165cの分布する領域は白色に色分けして表示される。以上のように、イメージング装置161では対象物165を構成する各物質の同定と、その各物質の分布測定とを同時に行うことができる。
尚、イメージング装置161の用途は、上記のものに限らない。例えば、人物に対してテラヘルツ波の光線30を照射し人物を透過または反射したテラヘルツ波の光線30を検出する。画像形成部164において検出したテラヘルツ波の光線30の検出結果の処理を行うことにより、その人物が拳銃、ナイフ、違法な薬物等を所持しているか否かを判別することもできる。テラヘルツ波検出部163には上記実施形態の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85のいずれかが用いられている。光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85は焦電体層24を進行する光線30の光路長が長いので感度良く光線30の受光量を検出する。光検出部の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85は感度良く光線30を検出する。従って、イメージング装置161は高い検出感度を有することができる。
(第13の実施形態)
次に、テラヘルツ波検出装置を用いた計測装置の一実施形態について図39を用いて説明する。図39は計測装置の構成を示すブロック図である。図39に示すように電子機器としての計測装置173は、テラヘルツ波の光線30を発生するテラヘルツ波発生部174、光検出部としてのテラヘルツ波検出部175及び計測部176を備えている。テラヘルツ波発生部174は対象物177にテラヘルツ波の光線30を照射する。テラヘルツ波検出部175は対象物177を透過する光線30または対象物177にて反射された光線30を検出する。テラヘルツ波検出部175は光検出部を備え、光検出部には上記実施形態の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85のいずれかが用いられている。計測部176はテラヘルツ波検出部175の検出結果に基づいて、対象物177を計測する。
次に、計測装置173の使用例について説明する。計測装置173により、対象物177の分光計測を行う際は、まず、テラヘルツ波発生部174により、テラヘルツ波の光線30を発生させ、その光線30を対象物177に照射する。そして、対象物177を透過した光線30または対象物177で反射された光線30をテラヘルツ波検出部175が検出する。検出結果は、テラヘルツ波検出部175から計測部176に出力される。尚、この対象物177への光線30の照射及び対象物177を透過した光線30または対象物177で反射された光線30の検出は計測範囲内に位置する総ての対象物177に対して行なわれる。
計測部176は、検出結果から各画素4を構成する検出素子5において検出されたテラヘルツ波の光線30のそれぞれの光強度を入力して対象物177の成分及びその分布等の分析を行う。テラヘルツ波検出部175には上記実施形態の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85のいずれかが用いられている。光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85は焦電体層24を進行する光線30の光路長が長いので感度良く赤外線の受光量を検出する。従って、計測装置173は高い検出感度を有することができる。
(第14の実施形態)
次に、テラヘルツ波検出装置を用いたカメラの一実施形態について図40を用いて説明する。図40はカメラの構成を示すブロック図である。図40に示すように電子機器としてのカメラ180は、テラヘルツ波発生部181、光検出部としてのテラヘルツ波検出部182、記憶部183及び制御部184を備えている。テラヘルツ波発生部181はテラヘルツ波の光線30を対象物185に照射する。テラヘルツ波検出部182は対象物185で反射されたテラヘルツ波の光線30または対象物185を透過したテラヘルツ波の光線30を検出する。テラヘルツ波検出部182には上記実施形態の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85のいずれかが用いられている。記憶部183はテラヘルツ波検出部182の検出結果を記憶する。制御部184はテラヘルツ波発生部181、テラヘルツ波検出部182及び記憶部183の動作を制御する。
カメラ180は筐体186を備え、テラヘルツ波発生部181、テラヘルツ波検出部182、記憶部183及び制御部184は筐体186に収められている。カメラ180は、対象物185にて反射したテラヘルツ波の光線30をテラヘルツ波検出部182に結像させるレンズ187を備えている。さらに、カメラ180はテラヘルツ波発生部181が射出するテラヘルツ波の光線30を筐体186の外部へ射出させるための窓部188を備えている。レンズ187や窓部188の材質は、テラヘルツ波の光線30を透過し屈折させるシリコン、石英、ポリエチレン等によって構成されている。尚、窓部188は、スリットのように単に開口が設けられている構成としてもよい。
次に、カメラ180の使用例について説明する。対象物185を撮像するとき、まず、制御部184はテラヘルツ波発生部181にテラヘルツ波の光線30を射出させる。そのテラヘルツ波の光線30は対象物185に照射する。そして、対象物185にて反射されたテラヘルツ波の光線30はレンズ187によってテラヘルツ波検出部182に結像され、テラヘルツ波検出部182が対象物185を検出する。検出結果はテラヘルツ波検出部182から記憶部183に出力されて記憶される。尚、対象物185へのテラヘルツ波の光線30の照射及び対象物185で反射されたテラヘルツ波の光線30の検出は、撮像範囲内に位置する総ての対象物185に対して行われる。また、カメラ180は検出結果を、例えば、パーソナルコンピューター等の外部装置に送信しても良い。パーソナルコンピューターは検出結果に基づいて各種の処理を行うことができる。
カメラ180のテラヘルツ波検出部182は光検出部を備え、光検出部には上記実施形態の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85のいずれかが用いられている。光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85は焦電体層24を進行する光線30の光路長が長いので感度良く光線30の受光量を検出する。光検出部の光線検出素子1、34、39、45、50、55、59、63、69、73、77、81、85は感度良く光線30を検出する。従って、カメラ180は高い検出感度を有することができる。
本実施形態は、種々の焦電型検出器に広く適用することができる。検出する光の波長は問わない。また、焦電型検出器または焦電型検出装置、あるいはそれらを有する電子機器は、例えば、供給する熱量と流体が奪う熱量とが均衡する条件下にて流体の流量を検出するフローセンサー等にも適用できる。このフローセンサーに設けられる熱伝対等に代えて本発明の焦電型検出器または焦電型検出装置を設けることができ、光以外を検出対象とすることができる。
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により種々の変更や改良を加えることも可能である。上記実施形態で説明した構成と実質的に同一の機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成にしても良い。また、上記実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成にしても良い。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、第1腕部12及び第2腕部13で支持基板14を支持していた。支持基板14は1つの腕部で支持しても良く、3つ以上の腕部で支持しても良い。腕部の個数を削減するとき腕部の検査を省けるので生産性良く製造することができる。また。腕部の個数を増やすとき、各腕部に加わる荷重が減るので支持基板14を安定して支持することができる。
(変形例2)
前記第2の実施形態では、図14における第1反射面角度36b〜第4反射面角度36eが図中で左右対称になっていた。第1反射面角度36b〜第4反射面角度36eは左右非対称でもよい。光線30が照射される状態に合わせて変えてもよい。検出素子35の感度を上げることができる。同様に、前記第3の実施形態でも第1反射面角度41b〜第4反射面角度41eは左右非対称でもよい。光線30が照射される状態に合わせて変えてもよい。検出素子40の感度を上げることができる。
(変形例3)
前記第4の実施形態では、第1電極層47〜第1電極層65の5つのパターンを例示した。第1電極層23のパターンはこれに限らず、光線30が照射される状態に合わせて変えてもよい。検出素子5の感度を上げることができる。
(変形例4)
前記第5の実施形態では、第2電極層71〜第2電極層87の5つのパターンを例示した。第2電極層25のパターンはこれに限らず、光線30が照射される状態に合わせて変えてもよい。検出素子5の感度を上げることができる。