JP2017032102A - 管継手 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1配管91が接続される第1端部材11と、第2配管92が接続される第2端部材21と、第1端部材11と第2端部材21とを連結しかつ第1配管91の内部と第2配管92の内部とを連通させる筒状部9とを有する管継手1であって、筒状部9は、第1端部材11に接続された内筒12と、第2端部材21に接続されかつ内筒12の外側に同心状に配置された外筒22と、内筒12の外周と外筒22の内周との間に内筒12と同心状に配置された巻板ばね30と、内筒12と外筒22との間をシールするシール材40とを有し、巻板ばね30は、内筒12を包囲する筒状に形成され、内筒12の外面と外筒22の内面とに固定されている。
【選択図】図3
Description
配管においては、温度変化による配管自体の変形が生じるほか、配管が設置された設備や建物に起因する変形が生じることがある。
このような変形が過大となると、配管の破損を招く可能性がある。
そこで、配管の途中に、変形に対する許容性を有する管継手を設置し、変形を緩和することで、配管の変形に起因する破損の回避が図られている。
また、従来技術として、一対のフランジを、周方向に連続した凹凸を有するベローズで連結し、その周囲に一対のフランジを接続する複数のタイロッドを配置した管継手が記載されている。
これに対し、軸方向の凹凸を形成した管本体部を用いることで、配管の曲げ、軸ずれを許容しつつ、捻れに対する許容性を高めることができる。
この管継手は、内管と外管とを別部材として振動伝達を防止するものであるが、この二重管構造により、配管の伸縮および捻れを許容することができる。
具体的には、管継手において、配管に対する変形つまり伸縮、軸ずれ、曲げ、捻れの許容性、なかでも捻れ変形に対する許容性を高めることが求められている。
また、特許文献2の管継手では、二重管構造それ自体は捻れへの許容性が高いものの、外筒のばねが構造的に制約となり、それ以上の許容性の向上が困難であった。
しかし、このような管継手の組み合わせ利用で、配管構成の複雑化、設置スペースの大型化、および設備コストの増大などの弊害が多く、採用しがたいものであった。
このような管継手を配管に組み込む場合、まず第1配管の端部および第2配管の端部を対向配置しておき、管継手を各々の間に配置し、第1端部材に第1配管を接続し、第2端部材に第2配管を接続する。
これにより、第1配管と第2配管とが、筒状部により連通される。
変形が各々の中心軸線方向の変位つまり伸縮変形である場合、巻板ばねの内側が外側に対して中心軸線方向に変位し、外筒に対して内筒を中心軸線方向に変位させることができる。これにより、伸縮変形を許容することができる。
変形が各々の中心軸線のずれである場合、巻板ばねを片側へと圧縮しつつ、内筒の中心軸線に対して外筒の中心軸線が平行移動させることができる。これにより、軸ずれ変形を許容することができる。
変形が各々の中心軸線まわりの捻れである場合、巻板ばねを巻き取りつつ、もしくは巻き戻しつつ、内筒と外筒とが中心軸線回りに相対回転させることができる。これにより、捻れ変形を許容することができる。
例えば、本発明の管継手では、巻数が1回でも巻板ばねの外径変動は13%以下に抑えることができる。巻板ばねの巻数を2回とするなら外径変動は6%程度とすることができ、巻数を3回とするなら外径変動は4%程度とすることができる。
このように、捻れ変形が生じた際の巻板ばねの外径変化を小さくできるため、内筒の外面と外筒の内面との間の空間に巻板ばねを確実に収容することができる。
以上のように、本発明によれば、第1端部材と内筒、第2端部材と外筒、これらの間の巻板ばねとシール手段という簡素な構成で、捻れ変形に対する許容性が高い管継手を実現することができる。
ここで、巻板ばねの巻数が2回以上かつ3回以下とは、巻板ばねの中心軸線まわりに720度(2回)から1080度(3回)までの範囲で巻かれた状態をいう。
巻数1あたりの捻り角度は(π/4)/n=π/4nであるから、変位量ΔLは;
ΔL=D/2×π/4n =πD/(8n)
となる。捻り変形を受けた際の巻板ばねの1巻きあたりの周長Lは、この分の長さが相対的に短くなるといえる。従って、捻り変形後の1巻きあたりの周長L’は;
L’=D×π−πD/8n =(1−1/8n)・πD
となり、捻り変形がない場合の周長L=πDを基準として、その(1/8n)だけ外径が変動することになる。
一方、巻数が3回より多い場合、外径変動にさほど変化がないわりに、巻板ばねの材料である板材が長くなり、材料コストや重量が増すことになる。
従って、巻板ばねの巻数は、2回以上かつ3回以下とすることが、実用上好ましいといえる。
また、複数の巻板ばねを軸方向に並べるため、単一の巻板ばねを用いる場合に比べて、軸方向への変形性が高まり、伸縮変形の許容性を高めることができる。
この際、内筒と外筒との間の隙間をシール材と巻板ばねとで共用することができ、筒状部の軸方向に十分な長さでシールすることができるので、シール手段としてのシール性能を十分なものとすることができる。
なお、シール手段としては、シール材の充填に限らず、他の構成であってもよい。例えば、内筒と外筒との間に、巻板ばねに隣接してエラストマ材料のシール部材を設置し、あるいはラビリンスシールなどの機械的シールを設置してもよい。
このような締結部材は、複数を外筒の外周に所定間隔で配置してもよい。締結部材としては、金属製あるいは合成樹脂製(繊維強化含む)の、棒材やロープあるいはコイルばね状の部材とすることができる。
〔第1実施形態〕
図1から図4には、本発明の第1実施形態の管継手1が示されている。
管継手1は、図3に示すように、軸線A方向に対向配置された第1配管91および第2配管92を相互に接続するものである。
本実施形態の管継手1は、第1配管91が接続される第1端部材11と、第2配管92が接続される第2端部材21とを有し、各々の間には第1配管91と第2配管92とを連通させる筒状部9が設置されている。
外筒22は、内筒12より大径の断面円形の鋼管で形成され、その一端が第2端部材21の表面に当接され、全周を溶接することで固定されている。
さらに、内筒12の外面と外筒22の内面との間には円筒状の空間が形成され、この空間に巻板ばね30が設置される。
巻板ばね30は、長尺の鋼板を軸線Aまわりに2回分巻いて筒状に形成したものであり(巻数=2)、その内側端縁301および外側端縁302はそれぞれ直角に折り曲げられている。
図2に示すように、巻板ばね30は、内筒12の外面と外筒22の内面との間に同心状に配置され、内側端縁301が内側受部121に係止されるとともに、外側端縁302が外側受部221に係止される。
例えば、内側端縁301を内側受部121に係止させた状態で、巻板ばね30の巻き付け方向(または巻き解し方向でもよい)に外側端縁302を移動させ、巻板ばね30に反力が生じた状態で外側受部221に係止させることで、このような予圧を付与することができる。
これらの巻板ばね31,32は、各々の予圧方向が逆向きとされている。
これにより、内筒12と外筒22とは、互いに逆向きとなる巻板ばね31,32の予圧が釣り合う位置で静止させることができる。
そして、第1端部材11と外筒22の先端との間の隙間から、流動状態のシール材40を注入し、内筒12の外面と外筒22の内面との間に充填してゆく。この際、内筒12の先端と第2端部材21との間の隙間は、一時的に養生テープ等で封止しておくことが望ましい。
シール材40が外筒22の端部まで充填されたら、その状態でシール材40を固化させることで、シール材40の設置ができる。
本実施形態の管継手1においては、第1端部材11および第2端部材21により第1配管91および第2配管92と接続することができる。そして、接続状態では、筒状部9の内筒12を通して、第1配管91および第2配管92を連通させることができる。これにより、継手としての機能が得られる。
このため、内筒12の外面と外筒22の内面との間の空間は巻板ばね30の外径に対して+6%〜−6%の幅で確保すればよく、具体的には外筒22の内径を内筒12の外径の12%(6%×2)とすれば十分であり、巻板ばね30を筒状部9に確実に収容することができる。
この際、内筒12と外筒22との間の隙間をシール材40と巻板ばね30とで共用することができ、軸線Aに沿って十分な長さで内筒12と外筒22とをシールすることができるので、シール手段としてのシール性能を十分なものとすることができる。
このように、本実施形態の管継手1は、構成部品が簡素であるだけでなく、製造工程も簡素化することができる。
また、2つの巻板ばね31,32を軸線Aに沿って並べるため、単一の巻板ばねを用いる場合に比べて、軸線A方向への変形性が高まり、伸縮変形の許容性を高めることができる。
例えば、巻板ばね30の荷重は、ヤング率E、板幅B、板厚h、自由状態での半径Rnとして、次の式で近似することができる。
P=(1/24)E・B・h3・Rn 2
また、巻板ばね30の固有振動数foは、ねじり方向のばね定数Kθ、管継手1に接続される配管(第1配管91および第2配管92)の、管継手1の変位に関与する範囲の部分の慣性モーメントIとして、次式のようになる。
fo=(1/2)π・(Kθ/I)−2
この式におけるばね定数Kθは、前述したヤング率Eおよび板厚hで決まることから、ばね反力(荷重P)および固有振動数foは、巻板ばね30とする鋼板の板厚hで調整することができる。
図5には、本発明の第2実施形態の管継手1Aが示されている。
前述した第1実施形態の管継手1では、筒状部9の内筒12と外筒22との間にシール材40を充填していた。
これに対し、本実施形態の管継手1Aでは、内筒12の先端部の外面と外筒22の内面との間に、エラストマ製のシール部材41を設置している。
シール部材41は、2つの巻板ばね30とともに軸線Aに沿って並んで配置され、これらの内筒12、外筒22、巻板ばね30とともに筒状部9Aを構成している。
ただし、第1実施形態におけるシール材40による効果は得られない。一方で、シール材40の充填に比べて、エラストマ製のシール部材41の設置であるため、製造作業は簡単にできる。
図6には、本発明の第3実施形態の管継手1Bが示されている。
前述した第1実施形態の管継手1では、第1端部材11と内筒12とで第1部品10を形成し、第2端部材21と外筒22とで第2部品20を形成していた。また、内筒12、外筒22、2つの巻板ばね30およびシール材40は、筒状部9の軸線A方向のほぼ全長にわたって形成されていた。
また、第2部品20Bは、第2端部材21と補助筒23Bと外筒22Bとで形成されている。このうち、第2端部材21および補助筒23Bは、第1部品10Bの第1端部材11および内筒12Bと同一である。
従って、第1部品10Bを流用し、筒状部9Bの半分以下の長さの外筒22Bを補助筒23Bの先端に接続することで、第2部品20Bを製造することができる。
巻板ばね30Bは、軸線A方向の長さが半分以下とされているが、第1実施形態の巻板ばね30と同様に形成されている。
これらの内筒12B、外筒22B、補助筒23B、巻板ばね30Bおよびシール材40により、筒状部9Bが構成されている。
ただし、第1実施形態に比べて内筒12B、外筒22B、巻板ばね30Bおよびシール材40の軸線A方向の長さが半分以下となるため、各変形の許容限界が制限される可能性がある。
一方で、第2部品20Bは、第1部品10Bと同じ部品を用いて製造することができ、これらの共用化により、搬送ないし製造作業の効率化、搬送ないし製造コストの低減などを図ることができる。
図7には、本発明の第4実施形態の管継手1Cが示されている。
本実施形態の管継手1Cは、基本構成が前述した第1実施形態の管継手1と共通である。すなわち、第1端部材11と第2端部材21との間には筒状部9が設置され、第1部品10は第1端部材11と内筒12を有し、第2部品20は第2端部材21と外筒22を有する。
ここで、本実施形態の管継手1Cにおいては、外筒22の外側に、第1端部材11と第2端部材21とを連結する複数の締結部材50が設置されている。
締結部材50は、弾性変形して伸長可能な部材とされ、例えば、金属製、合成樹脂製または繊維強化樹脂製の棒材、同様材質製のロープあるいはコイルばね状の部材を用いることができる。
さらに、本実施形態では、締結部材50により第1端部材11と第2端部材21とが連結され、各々の相対移動を抑制することができる。このため、第1配管91と第2配管92とが大きく相対変位した場合であっても、筒状部9に大きな変形が生じることを抑制することができる。
本発明は、前述した各実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
前述した実施形態では、それぞれ2つの巻板ばね30を軸線A方向に配列したが、巻板ばね30は軸線A方向に3つ以上を配列してもよい。
このように、巻板ばね30を2回以上で3回以下の巻数とすることで、捻り変形の許容正を高めつつ、外径変化を抑えることができる。
ただし、本発明において、巻板ばね30の巻数は、2回未満あるいは3回より多くてもよい。
また、巻板ばね30として板材を巻く場合、板材の連続方向に巻くことに限らず、連続方向を斜めにして巻くことにより、巻板ばね30の外側と内側とが軸線A方向にずれた螺旋状となるように形成してもよい。
ただし、コンパクトに収容するためには、前記実施形態のように、同じ幅の板材をその連続方向に巻くことが望ましい。
Claims (5)
- 第1配管が接続される第1端部材と、第2配管が接続される第2端部材と、前記第1端部材と前記第2端部材との間に設置されかつ前記第1配管の内部と前記第2配管の内部とを連通させる筒状部とを有する管継手であって、
前記筒状部は、前記第1端部材に接続された内筒と、前記第2端部材に接続されかつ前記内筒の外側に前記内筒と同心状に配置された外筒と、前記内筒の外周と前記外筒の内周との間に前記内筒と同心状に配置された巻板ばねと、前記内筒と前記外筒との間をシールするシール手段とを有し、
前記巻板ばねは、前記内筒を包囲する筒状に形成され、前記巻板ばねの内側端縁は、前記内筒の外面に固定され、前記巻板ばねの外側端縁は、前記外筒の内面に固定されていることを特徴とする管継手。 - 請求項1に記載した管継手において、
前記巻板ばねは、前記筒状部の中心軸線まわりの巻数が2回以上かつ3回以下であることを特徴とする管継手。 - 請求項1または請求項2に記載した管継手において、
前記巻板ばねは、前記筒状部の中心軸線に沿って複数配列され、かつ隣接する前記巻板ばねは、互いに逆向きに巻かれていることを特徴とする管継手。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載した管継手において、
前記シール手段は、前記内筒と前記外筒との間に充填されたシール材であり、前記巻板ばねは前記シール材で包囲されていることを特徴とする管継手。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載した管継手において、
前記外筒の外側には、前記第1端部材と前記第2端部材とを連結しかつ弾性変形して伸長可能な締結部材が設置されていることを特徴とする管継手。
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