JP2017031129A - 水素含有液状水性化粧料及びその製造方法、エアゾール製品 - Google Patents

水素含有液状水性化粧料及びその製造方法、エアゾール製品 Download PDF

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Abstract

【課題】 低粘度であるにも関わらず、従来技術をはるかにしのぐ溶存水素濃度の持続性を有した新規な水素含有液状水性化粧料を提供する。【解決手段】 外周面に周方向の山部と高流速部となる谷部とが複数交互に連なるように形成された衝突部に対して、水素ガスとの混相流の形でこれに供給すると、水素が効率的に微粉砕され、粘度の低い化粧料本体組成物に対し水素ガスを水素微細気泡の形で大量かつ安定的に保持させることができる。このようにして製造した水素含有液状水性化粧料は、水素微細気泡を大量に含有し、25℃における粘度が500mPa・s以下に調整されるとともに、開口径18cmの円筒形内面形状を有する容器に水素含有液状水性化粧料を5L収容し20℃の大気中にて12時間経過後の、隔膜ポーラログラフ式溶存水素計にて測定した溶存水素濃度が0.3ppm以上となる。【選択図】図1

Description

この発明は水素含有液状水性化粧料とその製造方法、及びエアゾール製品に関するものである。
近年、化粧料の分野でもガス状水素の溶存により還元性を付与し、肌の保湿や美白、老化防止(アンチエイジング)などの機能を付与する試みがなされ、特許出願もなされている(特許文献1〜8)。ところで、液体に溶存する水素分子の蒸発は、Hertz‐Knudsenの法則にて知られているごとく、分子熱力学に基づき液面付近での水素分圧により速度が定まる。溶存水素を含む水性液体においては、水素分子と強い相互作用を示す液体分子種が水をはじめとしてほとんど皆無であることから、水素の蒸発速度は結局のところ液中の溶存水素種の液面までの拡散時間に支配されると考えられる。液体中の溶質の拡散速度は液体の粘度に逆比例して小さくなることが知られており、乳液やジェル、クリームのように、溶存水素を保持する液状化粧料の基材の粘度を高めれば、肌等に適用した際の水素の蒸発が抑制され、効果の持続を図ることができる。このような高粘性の水素含有化粧料は特許文献1〜4に開示がある。
また、特許文献5には、増粘剤を配合したパック剤を撹拌しながらこれに0.2MPaの加圧水素を供給し、最終的に粘度を10dPa・s(1000mPa・s(cP))以上に高めた水性組成物、具体的には化粧用ジェルが開示されている。この化粧用ジェルはアルミラミネートパックに密封されており、45℃に昇温して30日を経過しても、内容物の酸化還元電位が−70mV〜−190mVに維持され、良好な還元性を有してなることが示されている。粘度の高い組成物の溶存ガス蒸散速度が小さくなること、水素の吹込みにより液状物の酸化還元電位(ORP:Oxidation Reduction Potential)を低下させることがそれぞれ周知技術であるところ、特許文献5の特許出願は、組成物の粘度の範囲を10dPa・s〜1000dPa・sに規定しつつ、上記条件で保管後の酸化還元電位の範囲を−0.4〜0.0Vとし、さらにpH調整用の炭酸ガス濃度を規定することにより特許査定を受けている。
特開2007−308467号公報 特開2007−314496号公報 特開2008−279424号公報 特開2011−173083号公報 特許5060032号公報 特開2001−2560号公報 特開2015−86220号公報 特許4600889号公報 特開2001−2560号公報 特開2004−346053号公報 WO2006−61880号公報 WO2010/055702号公報 WO2013/012069号公報 特開2011−240206号公報 WO2013/011570号公報 特開1992−505740号公報 特開2001−278749号公報 特開2001−342113号公報 特開2004−224706号公報 特開2011−207817号公報 特開2012−140385号公報 WO2009−110515号公報 特開2010−222014号公報
発明が解決しようとする課題
しかしながら、上記の水素含有化粧料はいずれも化粧料のベースが高粘度の液体であり、低い酸化還元電位が長期間保持されるのは、高粘度により水素の蒸散や液中拡散が抑制されることに起因するものである。この点は、特許文献5における開示内容からも明らかである。たとえば、その実施例3(表1)の開示内容によると、水素添加後のパック剤をアルミラミネート袋に封入して45℃で30日間保管した後測定したORPが、粘度が150dPa・s(15000cP)のときは−160mVであったのに対し、粘度が50dPa・s(5000cP)に下がると−70mVまで上昇している。さらに、これらと同じパック剤から増粘剤を除いて処方された化粧水(粘度1.5mPa/s(cP))については(図2、表2)、30日経過後にはORPがプラスの値となり、還元性が完全に失われることが開示されている。
このことは、化粧水のような低粘度領域においては、たとえ密封状態であっても、長期間にわたってORPを低い値に維持することは非常に困難であることを示すものである。しかしながら、化粧料は本来、密封状態を破って使用者の肌等へ塗布して使用されるものである。したがって、還元性を有した状態により期待される肌等への効能(例えば、肌のたるみやしわの防止、潤い向上、美白などのアンチエイジング効果)に重要なのは、肌へ塗布される大気開放状態でのORPや溶存水素濃度の持続性なのであるが、特許文献5には大気開放状態でのORP値の変化が全く開示されていない。
比較的粘度の低い化粧水等への水素添加にかかる先行技術はこのほかにも特許文献6〜11があり、水素の添加方法は主にガスエジェクションないしミキシングによる撹拌溶解あるいは加圧法が採用されている。しかし、これらの方法で達成できる水素濃度は飽和溶存濃度により制限され、特にガスミキシング法では1ppm未満の低い値にとどまる。加圧法の場合は飽和値までは溶存濃度を高められるものの、基質をなす化粧水の粘度が低いために、肌等に適用した際の水素の蒸発速度が大きく、効果の持続に難がある。このほか、留意すべき点としては以下のようなものがある。
まず、特許文献5の出願人は、昇温された環境での密閉容器内でのORPの上昇が高粘度液については鈍く、低粘度の化粧水にあっては30日後にプラス値に転じてしまう現象につき、平成22年11月9日付の意見書において、「また、本願発明のORPの経時変化は理由は不明ですが単にHガスの飛散だけで説明できるものではありません。なぜならば本願明細書の図2(実施例2)を見れば明らかです。即ち、アルミラミネート袋に密閉保管された化粧水とパック剤からのHガスの飛散は45℃の状態でも殆ど起こらない筈です。しかしながら初期にほぼ同じORPの両組成物はその経時変化が化粧水は大きくパック剤はほとんど変化せずむしろ若干還元サイドに低下しております。この現象は単純に粘度を高くすればHガスの飛散が抑制されてORPの経時変化を軽減できるとは言えない事を示しています。」と述べている。
上記意見書では「不明」とされているものの、低粘度化粧水の場合、水素の添加により一旦下がったORPが、水素の外部への蒸散と外部からの酸素の浸透がアルミラミネート容器により阻止されているにもかかわらず上昇し、やがてプラス値になってしまうのは、化粧水の内部に酸化剤としてふるまう成分が相当量含有されていることを意味する。化粧水の添加成分の一部が緩やかな酸化剤として機能している可能性もあるが、最も重要な酸化剤の候補は原料水中に含まれる溶存酸素であると考えられる。化粧水の場合、含有成分の一部が触媒的に関与して、溶存水素が溶存酸素に消費される反応が進行する結果、ORPが徐々に増加した可能性が高い。他方、化粧水の数千倍の高粘度のパック剤の場合、溶存水素および溶存酸素の反応のための内部拡散速度が極度に減じるためにORPの上昇が鈍ると考えられ、期間中わずかではあるがORPが上昇する現象は、気泡状態で存在する水素の周囲の液への溶解がゆっくり進行するためではないかと思われる。
また、水素含有化粧水の製法を開示する特許文献8の段落0116ないし0120には、「製造した10本の化粧水の溶存水素量、酸化還元電位を、10日毎に2ケ月間測定してそれらの経時変化を調べた結果、全量が製造時点の値を保持していた。」などの記載がある。しかしながら、これらの実施形態で使用されている精製水の水温は段落0106に開示されているごとく13.6℃であり、特許文献5の加速試験で採用されている温度45℃よりも30℃以上も低い。一般に酸素分子と水素分子とが化合して水となる反応は、酸素分子及び水素分子の基底状態と、原子状酸素及び原子状水素の励起状態とのエネルギー差から見積もられる活性化エネルギーが683kJ/molと非常に高く、常温近傍では酸素分子と水素分子との反応はほとんど進まないといわれている。
しかしながら、よく知られているごとく、系に白金やパラジウムなどの貴金属触媒が存在していると、特許文献21の段落0049などにも開示されているごとく、活性化エネルギーは6〜7kJ/molと、触媒がない場合の1/100程度まで下がる。この場合、水素分子と酸素分子との反応は常温でもほとんど瞬時に完了する。アレニウスの式により、13.6℃と45℃における反応速度の倍率を見積もると、触媒がない場合は1.95×1012、白金黒を添加した場合は約1.3と非常に大きな差となる。特許文献5に開示されている結果は、明らかにこの両者の中間の活性化エネルギーを呈しているものと考えられる。いずれにしても、特許文献8のような低温の保管条件では、2か月程度の期間では溶存酸素と溶存水素との反応がほとんど進行しない可能性が高い。化粧料製品の品質保持期間は通常2〜3年といわれている。
また、特許文献8においては、化粧水中に白金コロイドを添加して、溶存水素を活性水素に転換する実施形態が参考例4(段落0121)として開示されている。具体的には、精製水に0.4ppm程度の白金コロイドを添加し、これに水素ガスを加圧条件で吹き込んで白金コロイド入り加水素水を作る。この時点での加水素水の酸化還元電位は−615mVと測定され、その後、これを用いて保湿剤や緩衝剤等の成分を室温で溶解して水相が製造され、さらに別途調製されたアルコール相を混合し、さらに染料で着色してようやく最終的な化粧水が得られている。そして、調整直後の加水素水のORPは開示されているものの、最終的に得られる白金コロイド入り化粧水については、DPPHラジカルの消去能力を除いて、溶存水素濃度やORP値がなぜか全く開示されておらず、ビンに封入後2か月経過後のORP測定結果も不明である。
これは、加水素水段階で添加した白金コロイドが強力な触媒として作用するため、水相調整ないしアルコール相混合時の大気開放により、空気中の溶存酸素が原料加水素水中の溶存水素と撹拌中に急速に反応し、ほとんど溶存水素が残留しなかったためであると考えられる。そして、仮に溶存水素が多少残留していたとしても、肌に塗付後の化粧水は大面積にて大気と接するのであり、ここに白金コロイドが含有されていれば、溶存水素は一瞬で消滅して十分な効果は期待できないであろう。なお、特許文献8においては、DPPHラジカル消去の原因を活性水素生成によるものと結論付けているが、最終調製物の溶存水素濃度やORPの測定が行われていないことと、白金の触媒能の高さを考えると、水素以外の要因により生じた現象であることも否定はできない。
つまることろ、特許文献8においては、確かに水素を吹き込んだ直後は、白金コロイドの触媒作用により溶存酸素が完全に水素と反応して取り除かれ、余剰の溶存水素によりORP値は負値を示す。しかし、その後の化粧水への調製工程において酸素との再接触は避けがたく、還元性を維持するに十分な溶存水素が残留しているとは到底考えられない。ガラス瓶に充填後、2か月経過したときのORP値が検証されているのは、例外なく白金コロイドを添加しない化粧水試料のみである点に留意すべきである。そして、白金コロイドを添加しない条件では、水素ガスを単純に吹き込む程度では溶存酸素の除去は進まず、瓶詰封入後昇温された加速環境でのORP維持は困難であると考えられるし、当然、水素の蒸散が進行する大気開放状態では、溶存水素濃度の急速な減衰は避けがたいと思われる。
次に、特許文献11の表2には、ガスミキシングにより水素添加した化粧水をペットボトル内に充てんし、64時間経過後にORPが−613mVに維持されている実施例が開示されている。また、表3には、同じ水素添加化粧水を大気開放状態で放置したときに、3時間後にORPが−413mVを維持していることを示す実施例が開示されている。しかし、ペットボトル封入による評価は常温でなされ、詳細な温度も不明である上、評価時間もわずか3日弱であって、昇温加速環境下にて還元性を維持するかどうかについては全く不明である。また、大気中放置試験についても、放置後3時間でORP値は30%近くも上昇しており、還元性を十分に持続しているとは言えない。しかし、それ以上に問題が大きいのは、容器内の液量や液面面積が全く開示されておらず、水素の蒸散速度を特定できない点にある。後述する通り、Hertz‐Knudsenの法則によると、水素が溶存した液体からの水素の蒸発速度は、液面面積をS、液体積をVとしたとき、S/Vに比例して大きくなる。たとえば、同じ体積の液でも容器の開口面積が半分になっただけで、溶存水素濃度の持続性は2倍長くなる。すなわち、容器の寸法や形状及び液体積が特定できないような溶存水素持続性の測定データは、全く意味がない。
本発明の課題は、低粘度であるにも関わらず、従来技術をはるかにしのぐ溶存水素濃度の持続性を有した新規な水素含有液状水性化粧料と、それを用いた水素含有高粘度化粧料及びそれらの製造方法、ならびにエアゾール製品を提供することにある。
課題を解決するための手段
上記の課題を解決するために、本発明の水素含有液状水性化粧料の第一は、分子状水素を含有した液状水性化粧料であって、25℃における粘度が500mPa・s未満に調整されるとともに、密閉容器に充填された水素含有液状水性化粧料を45℃の雰囲気で30日放置後の酸化還元電位が−50mV以下であることを特徴とする。
また、本発明の水素含有液状水性化粧料の第二は、分子状水素を含有した水素含有液状水性化粧料であって、25℃における粘度が500mPa・s以下に調整されるとともに、開口径18cmの円筒形内面形状を有する容器に水素含有液状水性化粧料を5L収容し20℃の大気中にて12時間経過後の、隔膜ポーラログラフ式溶存水素計にて測定した溶存水素濃度が0.3ppm以上であることを特徴とする。
また、本発明の水素含有液状水性化粧料の製造方法は、液体処理ノズルとして、一端に液体入口を、他端に液体出口を有する液体流路が形成されたノズル本体と、液体流路の内面から突出するとともに外周面に周方向の山部と高流速部となる谷部とが複数交互に連なるように形成された衝突部を有する処理コア部とを備えたものを使用し、
粘度が500mPa・s未満に調整され、かつ、得るべき水素含有液状水性化粧料の含有組成から水素を除いた組成物を化粧料本体組成物として、該化粧料本体組成物と水素ガスとの混相流を液体処理ノズルの衝突部に供給し、水素ガスを微細気泡に粉砕しつつ液体出口から流出させることにより水素含有液状水性化粧料を得ることを特徴とする。
本発明において、「水素ガス」は、純水素以外に、水素を50%以上含有した混合ガス(混合ガスの水素以外の残部は、水素との反応活性の低いガス成分であり、具体的には窒素、アルゴンなどの不活性ガスである)も概念に含む。粘度は、B型粘度計(ブルックフィールド粘度計)により、LV4ロータにより回転数60rpmにて25℃で計測した値を用いるものとする。
上記本発明に使用する液体処理ノズルの構成自体は、たとえば特許文献12〜15などで周知となっており、キャビテーションによる微細気泡の発生効果を有するものである。しかし、いずれの文献においても、これらのノズルを水素溶解への適用可能性については全く示唆されてこなかった。その理由については、水素の水に対する体積溶解率が極めて低く、また、溶解してもキャビテーションポイントでの強撹拌により急速に蒸散するために、高い溶存水素濃度を達成することは困難ではないか、と考えられてきたからである。
ところが、本発明者らが鋭意検討を行った結果、外周面に周方向の山部と高流速部となる谷部とが複数交互に連なるように形成された衝突部に対して、水素ガスとの混相流の形でこれに供給すると、当初予想とは全く想像に反して水素が効率的に微粉砕されることがわかった。そして、粘度の低い化粧料本体組成物に対し水素ガスを大量かつ安定的に保持させることに成功し、本発明を完成させるに至ったものである。
本発明の水素含有液状水性化粧料は、上記本発明の製造方法により特有に得られるものであって、容器内に密閉保持し45℃に昇温して放置したときの酸化還元電位測定値から要旨を特定した第一発明と、大気開放された容器に保持して20℃にて放置したときの溶存水素濃度測定値から要旨を特定した第二発明よりなる。第一発明では、密閉容器に充填された水素含有液状水性化粧料を45℃の雰囲気で30日放置した後も酸化還元電位が−50mV以下に維持される。これは、密閉容器内の化粧料に溶存酸素が残存していても、これと反応できる水素の絶対量が十分に確保され、ORPの上昇が抑制されるためであると考えられる。また、上記の液体処理ノズルにより一旦溶解した水素ガスが、衝突部材でのキャビテーションにより減圧沸騰しつつ微細気泡となって析出する際に溶存酸素の蒸散が促進され、結果として溶存酸素レベルも低減される点も考えられる。
このように、本発明によると、分子状水素が多量に含有されていることで、粘度が500mPa・s未満と低いにも関わらず、肌等へ塗布した後も水素は長時間にわたって高濃度にとどまり続け、保湿や美白、老化防止といった様々な効果を発揮することができる。また、容器に保存した場合にあっても、高濃度水素状態を長期間持続でき、ひいては上記水素特有の効果を発揮できる品質状態を長期間安定に保持することができる。
第一発明においては、密閉容器に充填された前記水素含有液状水性化粧料を45℃の雰囲気で30日放置後の、隔膜ポーラログラフ式溶存水素計にて測定した溶存水素濃度が0.1ppm以上確保されていることが望ましい。溶存水素濃度が0.1ppm未満では、化粧料のORPを十分な還元領域に維持することが難しい。他方、その上限値については、本発明の製造方法を採用すれば、大気圧下常温での飽和値まで溶存水素濃度を問題なく高めることができる。このとき、水素微細気泡が非常に高密度に形成される場合、隔膜ポーラログラフ式溶存水素計は大気圧下常温での飽和値を少し超えた過飽和領域の計測値を示すこともあるが、上限はおおむね2.0ppm程度までである。また、酸化還電位の下限値は、同様に−800mV程度までとなる。
また、水素ガスが水素微細気泡の形で液中に大量に保持される結果、第二発明にあっては、開口径18cmの円筒形内面形状を有する容器に水素含有液状水性化粧料を5L収容し20℃の大気中にて12時間経過後も、隔膜ポーラログラフ式溶存水素計にて測定した溶存水素濃度が0.3ppm以上確保される。この大気開放にて12時間放置後の溶存水素濃度の上限値は、化粧料の粘度の設定値を本発明に規定する範囲内で引き上げ、水素微細気泡の含有密度を高めることで、大気圧下常温での飽和値付近まで高めることができる。この場合も、水素微細気泡の形成が非常に高密度であると、隔膜ポーラログラフ式溶存水素計は大気圧下常温での飽和値を少し超えた過飽和領域の計測値を示すこともあるが、上限はおおむね2.0ppm程度までとなる。また、上記大気放置12時間後の酸化還元電位の値は−150mV以下に確保することが可能であり、その下限値はおおむね−800mV程度までとなる、
また、本発明の水素含有液状水性化粧料は、以上の第一発明の要旨と第二発明の要旨とをともに備えたものとして構成することも、当然に可能である。
以下、本発明の水素含有液状水性化粧料にさらに付加可能な要件について説明する。
本発明の方法により製造される水素含有液状水性化粧料は、前述の通り溶存酸素濃度が積極的に排出される結果、該溶存酸素濃度を2ppm未満(下限値は0ppm)とすることができる。溶存酸素濃度の提言は、特に、容器内に水素含有液状水性化粧料を密封保管する場合の酸化還元電位ないし溶存水素濃度値を長期間良好に維持する観点において有利である。
本発明において水素微細気泡とは、気泡径が1μm未満のものをいう。水素微細気泡の平均気泡径はたとえばレーザー回折式粒度計にて測定することができる。本発明の製造方法にて得られる水素含有液状水性化粧料にあっては、分子状水素の一部を水素微細気泡としても含有させることができ、その水素微細気泡の平均気泡径の値を400nm以下とすることができる。このような微細な水素気泡を多量に含有させることに、化粧料の溶存水素濃度ないし酸化還元電位の値を密閉状態及び大気開放のいずれの条件下においても、長期にわたって良好に維持することができる。該平均気泡径は、たとえば100nm前後まで縮小することが可能である。
また、大気と接触した際に、溶存水素が大気中の溶存酸素と反応して減耗することを抑制する観点から、水素含有液状水性化粧料中の貴金属(Pt、Pd等)の含有量は、0.1ppm未満であること、望ましくは含有されていないのがよい。
次に、本発明の水素含有液状水性化粧料の、その製造方法の作用について詳細に説明する。すなわち、ノズル本体において液体(化粧料本体組成物)の流れは、衝突部に衝突してその下流に迂回する際に谷部内にて絞られることにより増速し、化粧料本体組成物の液相に原料段階で含有される溶存ガス(空気など)の析出により激しいキャビテーションを起こし、その減圧沸騰作用により気泡を生じつつ液体を激しく撹拌する。これに、衝突部を高速流が迂回する際に生ずる渦流も加わり、衝突部の周辺及び直下流域には非常に顕著な強撹拌領域が形成されることとなる。キャビテーションにより発生した気泡はそれほど成長せずに上記の強撹拌領域に巻き込まれ、微細気泡が効率的に発生する。しかし、ここで、供給する液体に積極的に外部から水素ガスを導入し、液体と水素ガスとの混相流として処理コア部に供給すると、混相流を形成する水素ガスは衝突部下流の強撹拌領域に巻き込まれることで液体との混合が顕著に進み、水素の水に対する飽和溶解度が非常に小さいにもかかわらず、その溶解をきわめて効率的に行うことができる。
衝突部の下流域に強撹拌領域が形成される大きな要因の一つは、前述のごとく、供給する液体中に最初から溶存しているガス(特に空気:以下、プレ溶存ガスという)のキャビテーションによる減圧沸騰析出である。しかし、こうしたプレ溶存ガスの減圧沸騰をきっかけとして衝突部の下流域に生ずる強撹拌領域では、外部から導入される水素ガスの撹拌・溶解が、減圧沸騰で損なわれるガス量を桁違いに上回る規模により進行する。また、液体に溶解しきれなかった水素ガスも、浮上速度の非常に小さい微細気泡として液中に留まることになる。特に水素の場合、水に対する溶解度が低いために、処理コア部及び強撹拌領域では溶存水素が瞬時に飽和状態となり、流速増加に伴うわずかな減圧でも気泡が極めて析出しやすい状況が形成され、高密度に微細気泡が生成すると考えられる。
そして、水素微細気泡の析出のきっかけは、前述のごとくプレ溶存ガスである空気であり、処理コア部でのキャビテーションの進行により空気微細気泡となって消費されること、及び水素溶解が急速に進み溶存水素濃度が飽和に到達した状況で、さらに水素微細気泡が続々形成されること、などの要因により、最終的な化粧料中の溶存空気濃度すなわち溶存酸素濃度は大きく低減されるものと考えられる。
また、水素が溶存水素と水素微細気泡の両方の形態で液体中に共存することで、大気中に暴露したとき、溶存水素しか存在しない(すなわち、水素微細気泡を含まない)液体と比較して、溶存水素濃度の見かけの減少速度が低下し、高濃度の状態をより長時間維持するようになる。これは、溶存水素の蒸発速度そのものが低下するのではなく、微細気泡中の水素が周囲の液体に溶出して、溶存水素が補われることに起因するものである。これにより、雰囲気開放された状態で一定レベル以上の溶存水素濃度が求められる場合、高濃度状態の継続時間を延長できる利点につながるのである。
次に、本発明においては、化粧料本体組成物の粘度は500mPa・s以下に調整されたものが使用される。粘度が該値を超えると、たとえば化粧水として使用する場合に、肌延び性が損なわれたりすることにつながるからである。粘度の下限値は特に制限はないが、水性化粧料の場合積極的に粘性付与しない限り、おおむね1mPa・s程度の値となる。化粧料本体組成物の粘度(ひいては、結果物としての水素含有液状水性化粧料の粘度)は、望ましくは100mPa・s以下とするのがよい。
液体処理ノズルに対し化粧料本体組成物は、該液体処理ノズルの上流側に配置されたポンプにより圧送することができる。この時、水素ガスをポンプの吸入口側で添加して化粧料本体組成物と水素ガスとをポンプ内にて予備撹拌混合することにより混相流となし、液体処理ノズルに流入させることができる。このようにすると、化粧料本体組成物と、導入した水素ガスとがポンプの内部流に巻き込まれて予備粉砕された状態で液体処理ノズルに供給されるから、水素気泡の微細化をより効率的に行うことができる。ポンプは、ベーンポンプか渦流ポンプを用いることが、予備粉砕効率が高いため望ましい。
化粧料本体組成物と水素ガスとの混相流は液体処理ノズルに対し、ポンプを用いて循環供給することができる。この場合、化粧料本体組成物に対する水素ガスの添加を継続しつつ混相流の液体処理ノズルに対する循環供給を継続すれば、水素気泡の形成密度を上げながらその微細化も合わせて進行させることができる。また、水素ガスの添加を中断した状態で混相流の液体処理ノズルに対する循環供給を継続すれば、1回の通過では微細気泡まで粉砕しきれなかった径の大きい気泡も、液体処理ノズル内に発生する強撹拌領域を再度通過することで微細気泡に粉砕していくことが可能となり、微細気泡の形成密度向上に貢献する。
次に、本発明に採用可能な液体処理ノズルの、より具体的構成について説明する。
衝突部に形成する複数巻の山部は、らせん状に一体形成することができる。このようにすると、山部の形成が容易になるほか、流れに対し山部が傾斜することで、山部の稜線部を横切る流れ成分が増加し、流れ剥離に伴う乱流発生効果が著しくなるので、気泡のさらなる微細化を図ることができる。この場合、衝突部は、脚部末端側が流路内に突出するねじ部材にて形成しておくと、該ねじ部材の脚部の外周面に形成されるねじ山を山部として利用でき、製造が容易である。衝突部をたとえばJIS並目ピッチのねじ部材で構成する場合、衝突部は外径Mを1.0mm(谷部の深さは0.25mm)以上2.0mm(谷部の深さは0.40mm)以下とするのがよく、より望ましくは1.4mm(谷部の深さは0.30mm)以上1.6mm(谷部の深さは0.35mm)とするのがよい。
液体流路内への衝突部の配置形態としては、たとえばもっとも単純なものの一つとして、流路断面を二分する形で直径方向に配置する形態を例示できる。この構成は、比較的小流量の液体処理ノズルに有効である。具体的には、液体流路の内径Dを2mm以上4.5mm以下(望ましくは2mm以上3.5mm以下)に設定し、全流通断面積Stを1.2mm以上10mm以下(望ましくは1.2mm以上5mm以下)に設定するのがよく、良好な微細気泡形成効率を達成できる。
一方、衝突部は投影において中心軸線を取り囲む形態で3以上配置すること、たとえば十字形態に4つ配置することも可能である。この構成は、大流量が求められる構成において、良好な微細気泡形成効率を達成する上で有効である。絞り孔にそれぞれ形成される十字形態の衝突部の組は、たとえばノズル本体の壁部外周面側から先端が絞り孔内へ突出するようにねじ込まれる複数本のねじ部材により容易に形成できる。4本以外では、3本、5本、6本、7本、8本の中から選択することができる。
突出部を4つ十字状に配置する構成では、具体的には、液体流路の内径Dを2.5mm以上7mm以下(望ましくは2.9mm以上5.5mm以下)に設定し、全流通断面積Stを2.5mm以上35mm以下(望ましくは4mm以上13mm以下)に設定するのがよく、良好な微細気泡発生効率を達成できる。この場合、複数の衝突部の先端が集合する断面中心位置に液体流通ギャップを形成することができる。たとえば十字の中心位置に液体流通ギャップを形成すると、最も高流速となる断面中央の流れ(中心流)が液体流通ギャップの形成により妨げられにくくなり、微細気泡の発生効率がより向上する。
本発明の液体処理ノズルにおいては、ノズル本体に形成する液体流路を単一とすることができる。この場合、被処理液体の全流量を増やしたい場合は、分岐継手等によりノズルを複数並列に接続することができる。このようにすると、ノズル1本あたりの流量は小さくても、全体ではキャビテーション効果を犠牲にすることなく十分な流量が確保できるようになる。
一方、液体流路を液体入口側の流入室と液体出口側の流出室とに区画する隔壁部と、隔壁部に貫通形成され流入室と流出室とを互いに別経路にて連通させる複数の絞り孔とを備え、処理コア部は、絞り孔の内面から各々突出する形で衝突部を形成することも可能である。すなわち、複数のノズルを並列接続する場合は、衝突部が配置される処理コア部の前後の流路が各ノズルに独立して配置される構造になるが、上記の構成では、隔壁部に複数の絞り部を形成し、その前後の流路区間を、該隔壁部が区画する流入室ないし流出室に集約して、それら複数の絞り部により共有化させる形となるのである。これにより、流路が複数系統に分岐する区間は隔壁部に形成された絞り孔のみに短縮することができ、分岐流路が長くなることに由来した偏流発生の防止に貢献する。この場合も、処理コア部において複数の絞り孔のそれぞれに、ノズル本体の軸線と直交する平面への投影において衝突部が孔中心軸線を取り囲む十字形態に4つ配置し、それら4つの衝突部が形成する十字の中心位置に液体流通ギャップが形成された構成とすることができる。
以上の好ましい液体処理ノズルの構成を踏まえ、本発明の水素含有液状水性化粧料を実現する上で典型的な液体処理ノズルを例示すると、たとえば衝突部が投影において中心軸線を取り囲む十字形態に4つ配置されたM1.2以上M2.0以下(望ましくはM1.4以上M1.8以下)のねじ部材であり、液体流路の内径Dが2.5mm以上6mm以下、全流通断面積(液体流路1個あたり)が2.5mm以上20mm以下に設定されたものを使用することができる。ねじ部材の寸法が上記の範囲外になると微細気泡の形成効率が十分でなくなる場合がある。また、全流通断面積は上記の下限値未満では化粧料本体組成物の流通抵抗が高くなりすぎて処理効率の低下を招く。また、上限値を超えた場合は衝突部での流速低下により微細気泡の形成効率が十分でなくなる場合がある。
このとき、化粧料本体組成物と水素ガスとを液体処理ノズルに供給する条件としては、混相流を形成するための水素ガス流量をQ1、化粧料本体組成物の流量をQ2としたとき、液体入口側の動圧を0.1MPa以上0.5MPa以下(望ましくは0.2MPa以上0.4MPa以下)に設定し、水素ガスの化粧料本体組成物に対する流量比Q1/Q2が0.01以上0.2以下(望ましくは0.03以上0.1以下)となるように設定するのがよい。液体入口側の動圧が下限値未満では衝突部での流速低下により微細気泡の形成効率が十分でなくなる場合がある。上限については、本来制限はないが、ポンプの能力等を考慮して適宜上記のような値に定めるのがよい。また、流量比Q1/Q2が上記の下限値未満になると水素微細気泡の形成体積率を十分に確保できなくなるか、確保するのに長時間の循環が必要となる(ただし、時間についての制限が問題にならない場合は、循環を前提に流量比をさらに小さく設定することを妨げない)。他方、流量比Q1/Q2が上記の上限値を超えると衝突部の水素ガスによるホールドアップにより、気泡の粗大化を招く恐れがある。
上記の方法を採用したとき、水素微細気泡の持続性がさらに良好な化粧剤を得ることができ、たとえば20℃の大気中にて36時間という長時間放置した後にあっても、溶存水素濃度を0.3ppm以上に維持することができる。
本発明に採用可能な化粧料本体組成物は、特に限定されるものではなく、粘度が本発明に規定された範囲内に調整されたものであれば、たとえば特許文献17〜特許文献21に開示されたもの等、周知の構成を例示することができる。化粧料本体組成物に採用可能な主な構成成分を以下に列挙する。
水は液状の組成物のベースをなす成分であり、RO水やイオン交換水を使用する。
適宜、水性溶媒を配合することができる。水性溶媒としては、ポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコール共重合物またはそのアルキルエーテル、ポリエチレングリコールまたはそのアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンジカルボン酸エステル、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,2−ペンタングリコール、1,2−ヘキサングリコール、2−メチル−1,3−プロパノール、エチルカルビトール、1,2−ブチレングリコール、グリセリン等。これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用可能である。
また、通常、化粧品、医薬品等に用いられ下記の成分を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる(機能により、上記の成分と重複しているものもある)。
保湿剤:ポリエチレングリコール及びそのアルキルエーテル、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ムコ多糖、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、キトサン等。
増粘剤:セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、クインスシード、カラギーナン、ペクチン、マンナン、カードラン、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、アラビアガム、ゼラチン、ヒアルロン酸、ゼラチン、ムコ多糖、チューベロース多糖体等。
抗菌防腐剤:安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル(エチルパラベン、ブチルパラベンなど)、ヘキサクロロフェン等。
有機酸:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン、タウリン、アルギニン、ヒスチジンなどのアミノ酸とその塩。アシルサルコシン酸(例えばラウロイルサルコシンナトリウム)、グルタチオン、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸等。
各種薬剤:ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2及びその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15及びその誘導体などのビタミンB類、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル(塩)、アスコルビン酸ジパルミテートなどのビタミンC類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート、ビタミンEニコチネートなどのビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチンなどのビタミン類。ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ−オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸及びその誘導体、ヒノキチオール、ムシジン、ビサボロール、ユーカリプトール、チモール、イノシトール、サポニン類(サイコサポニン、ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポニンなど)、パントテニルエチルエーテル、エチニルエストラジオール、トラネキサム酸、セファランチン、プラセンタエキス等。
天然エキス:ギシギシ、クララ、コウホネ、オレンジ、セージ、タイム、ノコギリソウ、ゼニアオイ、センキュウ、センブリ、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サワラなどから有機溶剤、アルコール、多価アルコール、水、水性アルコールなどで抽出したもの。
界面活性剤:ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイドなどのカチオン界面活性剤。モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキセチレンソルビタン、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリコールジエーテル、ラウロイルジエタノールアマイド、脂肪酸イソプロパノールアマイド、マルチトールヒドロキシ脂肪酸エーテル、アルキル化多糖、アルキルグルコシド、シュガーエステル等の非イオン性活性剤。ルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル、ロート油、リニアドデシルベンゼン硫酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸、アシルメチルタウリン等のアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤。
金属封鎖剤:エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等。
中和剤:水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン等。
また、その他、香料、スクラブ剤、粉末、色材、美白剤、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤などの紫外線防御剤なども、安定性などを損なわない範囲で適宜配合することができる。紫外線吸収剤の例としては下記のものが使用可能である。
安息香酸系紫外線吸収剤:パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAメチルエステル等。
アントラニル酸系紫外線吸収剤:ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等。
サリチル酸系紫外線吸収剤:アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等。
桂皮酸系紫外線吸収剤:オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート、トリメトキシ桂皮酸メチルビス(トリメチルシロキサン)シリルイソペンチル等。
その他:3−(4’−メチルベンジリデン)−d,1−カンファー、3−ベンジリデン−d,1−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等。
次に、上記本発明の水素含有液状水性化粧料は、さらに増粘剤又は油相を添加することにより、25℃における粘度を500mPa・s以上に調整し、水素含有高粘度化粧料とすることができる。これにより、本発明の水素含有液状水性化粧料を、水素微細気泡を多量に含有した高粘度化粧品に転換することができ、溶存水素の蒸発が一層抑制されて高還元性の状態をより長期間保つことができるようになる。この場合、化粧料本体組成物に水素微細気泡を添加しておき、その後、増粘剤を添加して粘度を上昇させる方法のほか、増粘剤の添加と水素ガスの添加を、低粘度状態にて同時に行いつつ増粘剤の溶解ないしゲル化反応を進行させて高粘度化する方法を採用することも可能である。また、油相を用いる場合も、化粧料本体組成物に水素微細気泡を添加しておき、その後、昇温して低粘度化させた油相を加えて冷却しつつ混合し、高粘度化する方法と、油相の添加と水素ガスの添加を、昇温した低粘度状態にて同時に行いつつ冷却して高粘度化させる方法の、いずれを採用してもよい。
この場合、採用可能な増粘剤の例はすでに説明した通りである。他方、油相成分としては以下の1種又は2種以上を採用することができる。
液体油脂:アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等。
固体油脂:カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等。
ロウ類:ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル。
炭化水素油:流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等。
合成エステル油:ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等。
シリコーン油:鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)、アクリルシリコーン類等。
さらに油分中には、高級脂肪酸を一種または二種以上配合することが好適である。油分中にこれらを配合することで乳化粒子が更に微細化される。高級脂肪酸としては炭素数16〜24のものが好適であり、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、イソミリスチン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等が挙げられる。
発明の効果
本発明の作用及び効果の詳細については、「課題を解決するための手段」の欄にすでに記載したので、ここでは繰り返さない。
本発明の水素含有液状水性化粧料の製造装置の全体構成を示すブロック図。 図1の装置に使用する液体処理ノズルの一例を示す横断図。 図2の側面拡大図。 図2の液体処理ノズルの処理コア部の詳細を示す断面図。 図3の一つの絞り孔における、衝突部をなすねじ部材の配置形態を実体的に描いた拡大図。 図3の変形例を示す拡大図。 図2の処理コア部におけるねじ部材の流れ軸線方向の配置を拡大示す図。 図5の変形配置例を示す図。 衝突部における山部と谷部の作用説明図。 液体処理ノズルの作用を示す第一の説明図。 衝突部の作用を示す平面図。 図1の液体処理ノズルを用いた液体処理方法の作用説明図。 同じく第二の説明図。 図1の製造装置の変形例を示す図。 溶存水素減少曲線から化粧料中の総水素量を推定する方法を説明する図。 溶存水素濃度の減衰係数が途中で変化する場合の、化粧料中の総水素量を推定する方法を説明する図。 水素微細気泡を含有しない水素溶存液体からの水素蒸発挙動を示す模式図。 水素微細気泡を含有する水素溶存液体からの水素蒸発挙動を示す模式図。 本発明の化粧料を容器に封入した第一の製品例を示す図。 同じく第二の具体例を示す図。 同じく第二の製品例を示す図。 同じく第三の製品例を示す図。 同じく第四の製品例を示す図。 実施例の水素含有液状水性化粧料の水素添加時の溶存水素濃度上昇挙動を示すグラフ。 図23にて循環時間を40分とした場合に得られる水素含有液状水性化粧料を、大気中放置した場合の溶存水素濃度減衰挙動を示すグラフ。 同じく循環時間を60分とした場合に得られる水素含有液状水性化粧料を、大気中放置した場合の溶存水素濃度減衰挙動を示すグラフ。 図25の水素含有液状水性化粧料を大気中放置した場合の溶存水素濃度減衰挙動を、水素微細気泡を含有しない液状水性化粧料(参照液)と比較して示すグラフ。
以下、本発明を実施するための形態を添付の図面を用いて説明する。
図1は、本発明の水素含有液状水性化粧料の製造装置の一例を概念的に示すものである。該装置500において、原料となる化粧料本体組成物502は、粘度が500mPa・s以下(望ましくは100mPa・s以下、より望ましくは50mPa・s以下)に調整された状態で、タンク501に貯留されるとともに、該タンク501から延出する循環配管51の途上に、エジェクタ等で構成されるガス導入部219、送液ポンプ505及び液体処理ノズル1がこの順序で設けられている。ガス導入部219には減圧弁411及びガス供給チューブ412を介して水素ガス供給源としての水素ボンベ420から水素ガスが供給されるようになっている。なお、水素ガス供給源としては水素ボンベ以外に、電解式水素発生装置や、可逆的に水素を吸着・脱着する水素吸蔵合金を水素ガス貯留部として使用し、加熱による水素吸蔵合金からの水素脱着により水素ガスを放出する水素合金キャニスターを使用してもよい。また、送液ポンプ505は、気液混相流の送液に適したベーンポンプ、渦流ポンプにて構成され、特にベーンポンプを用いることが望ましい。
図2は液体処理ノズルの横断面を、図3はその液体入口側の軸線方向からの拡大側面を示すものである。この液体処理ノズル1は、液体流路3が形成されたノズル本体2を備える。ノズル本体2は円筒状に形成され、その中心軸線Oの向きに円形断面の液体流路が貫通形成されている。ノズル本体2には、液体流路3を液体入口4側の流入室6と液体出口5側の流出室7とに区画する隔壁部8と、隔壁部8に貫通形成され流入室6と流出室7とを互いに別経路にて連通させる複数の絞り孔9と、絞り孔9の内面から各々突出する衝突部10とからなる処理コア部COREが形成されている。図3において、隔壁部8に絞り孔2は中心軸線Oに関して軸対象となるように、同一内径にて2個形成されている。流入室6及び流出室7の各内周面は、処理コア部COREに向けて縮径するテーパ面14とされている。
図5は、そのうちの一方を拡大して示すものであり、衝突部10は外周面に周方向の山部11と高流速部となる谷部12とが複数交互に連なるように形成されている。衝突部10は、この実施形態では、脚部末端側が流路内に突出するねじ部材(以下、「ねじ部材10」ともいう)であり、結果、衝突部に形成される複数巻の山部11は、らせん状に一体形形成されている。なお、山部及び谷部は、らせん状に一体化せず、周方向に閉じたものを衝突部の軸線方向に複数密接配列してもよい。ノズル本体2の材質は、たとえばABS、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアセタール、PTFEなどの樹脂であるが、ステンレス鋼や真鍮などの金属やアルミナ等のセラミックスとしてもよく、用途に応じて適宜選択される。また、ねじ部材10の材質はたとえばステンレス鋼であるが、用途に応じて、より耐食性の高いチタンやハステロイ、インコネル(いずれも商標名)などの耐熱合金を用いてもよいし、耐摩耗性が問題となる場合は石英やアルミナなどのセラミック材料を用いることも可能である。
図3に示すように、衝突部10は、処理コア部COREにおいて複数の絞り孔9のそれぞれに、ノズル本体2の軸線Oと直交する平面への投影において、各絞り孔9の中心軸線を取り囲む十字形態に4つ配置されている。図5に示すように、各絞り孔9において、ねじ部材10と絞り孔9内周面との間には主流通領域21が形成される。また、4つの衝突部10が形成する十字の中心位置には、液体流通ギャップ15が形成されている。液体流通ギャップ15を形成する4つの衝突部10の先端面は平坦に形成され、前述の投影において液体流通ギャップ15は正方形状に形成されている。絞り孔9(液体流路)の内径Dは2.5mm以上7mm以下(望ましくは2.9mm以上5.5mm以下)に設定され、主流通領域21と液体流通ギャップ15とからなる液流通領域の全流通断面積Stは2.5mm以上35mm以下(望ましくは4mm以上13mm以下)に設定される。
図4は処理コア部COREを拡大して示すものである。絞り孔9にそれぞれ形成される衝突部の組は、ノズル本体2の壁部外周面側から先端が絞り孔9内へ突出するようにねじ込まれる4本のねじ部材により形成されている。図3に破線で示すように、ねじ部材10は、ノズル本体2の壁部に貫通形成されたねじ孔19にねじ込まれ、各ねじ孔19のねじスラスト方向途中位置にはねじ頭下面を支持するための段付き面19rが形成されている。該段付き面19rの形成位置は、ねじ部材10をねじ込んだ時に、絞り孔9内に突出するねじ脚部(すなわち、衝突部となる部分)の長さが、液体流通ギャップ15を形成するのに適正となるように調整されている。なお、小ロット生産時のように、液体処理ノズル1に流通する化粧料本体組成物の流量を小さくできる場合は、絞り孔9を1個のみとしてもよく、また、ねじ部材も直径方向に対向する2本のみとしてもよい。
図2に示すように、複数の絞り孔9の間でねじ部材10の干渉を回避するために、各絞り孔9に組み込む4つのねじ部材10の組は、それら絞り孔9の間で軸線方向にて互いにずれた位置に配置されている。また、図4においては、同一の絞り孔9内の複数のねじ部材10A,10Bと10C,10Dとは、該絞り孔9の軸線方向(流れ方向)にて互いにずれた位置に配置されている。具体的には、各絞り孔9において、同一平面上で互いに直交する位置に配置されたねじ部材の対10A,10B及び10C,10Dが、それぞれ流れ方向において互いに異なる位置(図中、上側の絞り孔9については下流側のA及びBの位置に、下側の絞り孔については上流側のC及びD位置)に配置されている。それぞれ図1の中心軸線Oと直交する平面への投影では、A及びBの位置の4つのねじ部材10A,10B、及びC及びD位置の4つのねじ部材10C,10Dが、それぞれ十字形態をなすように配置されることとなる。
図6において、絞り孔9は、それら絞り孔9の軸断面積の合計と等価な円の直径をde、絞り孔9の長さをLとして、L/deにて定義される絞り孔アスペクト比が3.5以下に設定されている。図6において、2つの絞り孔9の内径が互いに異なる一般の場合(d1,d2)は、絞り孔アスペクト比は、L/(d1+d21/2となる。図6では、2個の絞り孔9は内径と長さが互いに等しい円筒面をなすように形成されており、2つの絞り孔9の内径をdとして、絞り孔アスペクト比は0.71L/dである。絞り孔アスペクト比L/deの値は、望ましくは3以下であること、より望ましくは2.5以下であるのがよい。
図3に戻り、ノズル本体2の軸線Oと直交する平面への投影において、隔壁部8の投影領域の中心位置に定められた基準点Oから複数の絞り孔9の内周縁までの距離(絞り孔変位)Tは、該絞り孔9の内径dよりも小さくなるように、複数の絞り孔9は基準点Oの周りに近接配置されている。絞り孔変位Tは絞り孔9の内径dの望ましくは1/2以下であるのがよい。さらに、本実施形態では、同じ投影において、複数の絞り孔9の内周縁に対する外接円20の面積をSt、絞り孔9の投影領域の合計面積をSrとしたとき、K≡Sr/Stにて定義される絞り孔9集約率Kが0.2以上とされている。
また、図6に示す如く、絞り孔9の衝突部10よりも下流に位置する区間の長さ(以下、残区間という)をLp(Lp2〜Lp4の平均値)とし、絞り孔9の軸断面積の合計と等価な前述の円の直径をdeとして、Lp/deにて定義される残区間アスペクト比は1.0以下に設定されている。図6では、最も下流側に位置するねじ部材10Aに関しては、残区間の長さがゼロであるが、図7に示す如く、ねじ部材10Aに関し残区間がゼロでない長さLp1を有する場合は、上記残区間長さLpはLp1〜Lp4の平均値となる。
以下、図1の装置550を用いた水素含有液状水性化粧料の製造工程について説明する。すなわち、タンク501に粘度調整済みの化粧料本体組成物502を投入して送液ポンプ505を動作させると、タンク501からの化粧料本体組成物はガス導入部219にて水素ボンベ420からの水素ガスが供給されて混相流となり、送液ポンプ505内に吸い込まれる。混相流を形成するための水素ガス流量をQ1、化粧料本体組成物の流量をQ2としたとき、液体処理ノズル1の液体入口側の動圧は0.1MPa以上0.5MPa以下(望ましくは0.2MPa以上0.4MPa以下)に設定され、水素ガスの化粧料本体組成物に対する流量比Q1/Q2が0.01以上0.2以下(望ましくは0.03以上0.1以下)となるように設定される。
送液ポンプ505の内部では水素ガスがポンプ内撹拌流に巻き込まれることにより、水素ガス相がたとえば50〜1000μm程度の気泡に予備粉砕されて、ポンプ下流側の液体処理ノズル1に供給されるので、水素ガスの溶解効率及び1μm以下の微細気泡への粉砕効率が一層高められる。そして、混相流はこの状態で液体処理ノズル1にて水素ガスの溶解及び微細気泡への粉砕処理がなされ、タンク502に戻る。以降、タンク内の水502は循環しながら水素ガスの溶解及び微細気泡への粉砕が継続され、水素微細気泡の形成濃度が高められる。
図2の液体処理ノズル1内での作用は次のようなものである。図8に示すごとく、混相流ははまず一括してテーパ部13で絞られ、さらに個々の絞り孔9へ分配されて、主流通領域21と液体流通ギャップ15とからなる液流通領域により個別に絞られて、ねじ部材10に衝突しながらこれを通過する。ねじ部材10の外周面を通過するときに、図9に示すように流れは谷部に高速領域を、山部に低速領域をそれぞれ形成する。すると、谷部の高速領域はベルヌーイの定理により負圧領域となり、キャビテーションすなわち空気等のプレ溶存ガスの減圧析出により、気泡FBが発生する。
谷部はねじ部材10の外周に複数巻形成され、かつねじ部材10が絞り孔9内に複数配置されていることから、この減圧析出は絞り孔9内の谷部にて同時多発的に起こることとなる。すると、図10に示すように、液流がねじ部材10に衝突する際に谷部での減圧析出が沸騰的に激しく起こり、さらにねじ部材10の下流に迂回する際に生ずる渦流にこれを巻き込んで激しく撹拌する。衝突部10の周辺及び直下流域には、微小渦流FEを無数に含んだ顕著な強撹拌領域SMが形成されることとなる。気泡を析出する減圧域は衝突部10周囲の谷底付近に限られており、高速の液体流はほとんど瞬時的に該領域を通過してしまうから、発生した気泡FBはそれほど成長せずに上記の撹拌領域に巻き込まれ、過度に成長する心配がない。そして、液体処理ノズル1に供給される化粧料本体組成物には、ポンプ505で予備粉砕された水素ガスの気泡が混入して混相流を形成しているので、水素微細気泡となるべきガス相は衝突部10の下流の強撹拌領域SMに巻き込まれることで化粧料本体組成物との混合が顕著に進み、微細気泡化をきわめて効率的に行うことができる。
また、液体処理ノズル1においては、隔壁部8に複数の絞り部を形成し、その前後の流路区間を、該隔壁部8が区画する流入室6ないし流出室7に集約して、それら複数の絞り部により共有化させる構造を採用しているので、流路が複数系統に分岐する区間は隔壁部8に形成された絞り孔9のみとなる。その結果、絞り孔9内での流速の低下ないし不均一化が抑制され、水素ガスが絞り孔9の一部のものに偏ってしまう、いわゆる偏流を確実に防止することができる。すなわち、衝突部10を有する絞り孔9を複数形成することで十分なキャビテーション効果と十分な流量とを両立することができ、かつ、複数の絞り孔9間での偏流が効果的に抑制され、キャビテーション効果に基づいた微細気泡発生を安定に継続することができる。
図8は、液体処理ノズル1を流れ方向が水平になるように配置してガス溶解を行う様子を示すものである。液体入口4から混相流を導入したとき、そのガス相をなす気泡Gは重力によって上に偏って流れやすくなり、上方に位置する絞り孔9にガス相が偏りやすくなる。この場合は、ガス相流量の小さい下側の絞り孔9側での液体流F1により主に作られる強撹拌領域SMを、流出室7にてガス相流量の大きい上側の絞り孔9からの流れF2が共有できるので、同様に良好なガスの溶解・粉砕が可能である。一方、図11は、液体処理ノズル1を流れ方向が垂直になるように配置してガス溶解を行う様子を示すものである。ガスを導入する液体入口4は当然下側に位置するようにして混相流を導入することとなる。複数の絞り孔9は絞り孔アスペクト比が小さく、かつ、隔壁部8の中央付近に近接配置されているので、液相・ガス相ともに偏流は生じにくく、ガス相GBは各絞り孔9に均一に分配され、一様なガス溶解が可能となる。
水素ガスの気泡は衝突部10の谷部を通過する際に摩擦により激しく剪断され、粉砕されるとともに強撹拌領域SMに巻き込まれることで一挙に微細気泡(1μm未満)のレベルにまで粉砕される。このとき、撹拌により一旦溶存した水素ガスの一部は、谷部ないし強撹拌領域で水素微細気泡として再析出する。混相流を形成する水素ガスは強撹拌領域SMに巻き込まれることで液体との混合が顕著に進み、水素の水に対する飽和溶解度が非常に小さいにもかかわらず、その溶解をきわめて効率的に行うことができる。
強撹拌領域SMが形成される大きな要因の一つは、供給する液体中に最初から溶存しているプレ溶存ガス(特に空気)のキャビテーションによる減圧沸騰析出である。しかし、溶存空気の減圧沸騰をきっかけとして生ずる強撹拌領域SMでは、外部から導入される水素ガスの撹拌・溶解が、減圧沸騰で損なわれるガス量を桁違いに上回る規模により進行する。また、液体に溶解しきれなかった水素ガスも、浮上速度の非常に小さい微細気泡として液中に留まることになる。特に水素の場合、水に対する溶解度が低いために、処理コア部及び強撹拌領域では溶存水素が瞬時に飽和状態となり、流速増加に伴うわずかな減圧でも気泡が極めて析出しやすい状況が形成され、高密度に微細気泡が生成すると考えられる。そして、処理コア部でのキャビテーションの進行により溶存空気が微細気泡となって消費されること、及び水素溶解が急速に進み溶存水素濃度が飽和に到達した状況で、さらに水素微細気泡が続々形成されること、などの要因により、得られる化粧料中の溶存空気濃度すなわち溶存酸素濃度は大きく低減されることとなる。そして、これを大気中に暴露したとき、図13に示すように、水素が溶存水素と水素微細気泡の両方の形態で液体中に共存する本発明の化粧料(図中破線)は、溶存水素しか存在しない(すなわち、水素微細気泡を含まない)液体(図中実線)と比較して、溶存水素濃度の見かけの減少速度が低下して高濃度の状態をより長時間維持するようになる。
これは、溶存水素の蒸発速度が低下するのではなく、微細気泡中の水素が周囲の液体に溶出することに起因するものである。これにより、雰囲気開放された状態で一定レベル以上の溶存水素濃度が求められる場合、高濃度状態の継続時間を延長できる利点につながるのである。
また、液中の気泡の界面には、液面からの気泡の存在深さに応じて作用する液圧だけでなく、表面張力に基づいた内圧が作用する。表面張力に基づく圧力増分Δpは、液体の表面張力をσ、気泡径をDとしたとき、
(数3)
Δp=4σ/D
という式で表される。これはYoug−Laplaceの式として古典的に知られているものである。この式からも明確なとおり、気泡の内圧は気泡径に単純に逆比例して大きくなり、水中の気泡で考えれば、気泡径Dが3μmで気泡内圧はほぼ大気圧と等しくなる。気体の液体への溶解度は、水素のようなヘンリーの法則に従うガスの場合は圧力に比例して増大するので、気泡径Dが縮小すればするほど内圧上昇により内部の水素ガスが溶解して気泡の縮小が進み、最終的には消滅すると考えられてきた。しかし、近年の研究の進歩により、気泡はサブミクロンオーダーに縮小しても、様々な要因によりその大きな内圧上昇に耐えて安定化することがわかり、本発明の対象でもある微細気泡(ウルトラファインバブルあるいはナノバブル)として液中に残留しうる。ここで、もし、上記推定した機構により析出し、成長停止した水素気泡が数nm程度に小さかった場合、数3によれば気泡内圧は0.1GPa(1000気圧)付近まで上昇することになるが、この程度まで水中で加圧された水素分子は、水と強固に結合してクラストレートハイドレートと称されるネットワーク状の結晶構造を形成する可能性がある。このハイドレートの水素含有量は4〜5重量%と、水素の飽和溶存濃度の数万倍にも達し、表面張力により内圧保持された状態では、周囲の水の溶存水素濃度が飽和している限り、水中ではほとんど再溶解せず安定に存在し続けるものと考えられる。また、液面からの水素蒸発により周囲の液相中の溶存水素濃度が下がっても、ハイドレートが安定であれば、該ハイドレート粒子からの水素の溶出速度は小さくなり、液中の溶存水素は該粒子からゆっくりと補われることになるから、液の溶存水素濃度の見かけの減少速度も、通常の溶存水素水等と比較して大幅に小さくなると考えられる。しかし、このレベルのサイズのハイドレート粒子はレーザー散乱式粒度計では、検出限界を下回るので検知することは困難である。
以下、図13用いて、さらに詳しく説明する。
液体中に溶解した気体(溶存気体)の蒸発速度を支配する物理的関係として、Hertz−Knudsenの式がよく知られている。この式の原型は、液体単位面積から単位時間あたりに蒸発する気体の個数Z(つまり、分子数でカウントした気体の蒸発速度)を与えるものであり、
Figure 2017031129
ただし、m:気体分子1個の重量、k:ボルツマン定数、
T:液体の絶対温度、P:液面における気体の分圧
で表される。気体の場合、分子をアボガドロ数個集めれば1molとなり、その体積は温度と圧力が一定ならどんな気体でも一定になる。この点に注意し、液体が接する空間にも溶存気体の分圧Pが存在する場合について、数4は次のように書き直せることが知られている。
Figure 2017031129
ただし、v:単位面積当たりの気体のモル蒸発速度、M:気体の分子量、R:ガス定数
数5からわかることは、次の通りである。
・液温Tが一定なら、液面直上の気体分圧pに比例して気体の蒸発速度は増大する。
・液面直上の気体分圧pが空間中の気体分圧pと等しいとき、気体の蒸発は止まる。
数4に従う気体の蒸発現象は単純な1階の線形微分方程式で表され、例えば含有される水素の全てが溶存水素である場合、初期溶存水素濃度をCとして、時刻tにおける水素濃度C(t)は、図13に実線で示すごとく、ボルツマン因子型の指数関数:
Figure 2017031129
となる。純水(粘度:1mPa・s)の場合、開口径18cmの円筒形内面形状を有する容器に5L収容し、大気圧(0.1MPa)20℃にて放置したときの溶存水素濃度の減衰を測定したときのkの値は、本発明者らが繰り返し測定を行った結果、溶存水素濃度の単位をppm、経過時間の単位を分として、0.0021〜0.0024程度の一定値となることが判明している。本明細書では、このkを標準減衰係数と称し、粘度が1mPa・sの場合、その値を0.002255として定義する。また、粘度がこの値よりも大きい化粧料の場合は、化粧料本体組成物を20℃にて0.2MPaの純水素雰囲気にて、溶存水素濃度が平衡するまで水素溶解処理し、その後上記の容器に入れて大気開放して溶存水素濃度の経時変化を測定したときの減衰係数を標準減衰係数として採用する。
一方、水素微細気泡を含んだ水の場合も溶存水素濃度C’も、同様の指数関数として計測されるが、図13に示すように溶存水素濃度の減少速度は小さくなる。
Figure 2017031129
図13において、2つの減衰曲線において、溶存水素濃度が互いに等しくなる各時刻での水素の蒸発速度は、数5から互いに等しい。すなわち、
Figure 2017031129
数6及び数7から、
Figure 2017031129
ここで、数5が成立する液体は、図15に示すように、液中に溶存水素のみが存在し、水素微細気泡が含まれない液体に限られることは明らかである。なぜならば、図16に示すように、溶存水素以外に水素微細気泡(UFB)が含有されていると、液中の溶存水素濃度の変化率は、液面から蒸発する水素の蒸発速度と、水素微細気泡(あるいはハイドレート)から周囲の水への水素溶出速度との合成となって表れるからである。したがって、ある水素濃度C’(t)における溶存水素の蒸発速度は、溶存水素のみが存在する液体の曲線C(t)の、濃度C’(t)に対応する時刻(図中、上線付のt)での微分係数として与えられる。すなわち、数9も用いて、
Figure 2017031129
この水素微細気泡が含まれる液体について、時刻aから時刻bまでの期間に蒸散する水素の総量Qは、
Figure 2017031129
となる。すると、大気に暴露し始めてから、溶存水素濃度が完全に0になるまでの間に蒸散する水素量、すなわち、溶存水素と水素微細気泡とを合わせた全水素量Qtotは、時刻aを0、時刻bを∞として、数11より、
Figure 2017031129
となる。この数12を用いれば、溶存水素計では測定できない液体中の水素微細気泡も含めた全水素量を推定することが可能となる。この式は、溶存水素濃度の初期値Cに(k/k)の値を乗ずることで溶存水素と水素微細気泡とを合わせた全水素量Qtotを推定できることを意味しており、以降、「潜在水素含有係数」と称することにする。この潜在水素含有係数の値は、1.4以上に確保されていることが、大気開放時に溶存水素濃度あるいは酸化還元電位を長時間良好に保つ上で好ましく、より望ましくは、該値が3以上であるのがよい。上限値に制限はないが、たとえば10程度である。なお、溶存水素のみが液中に含まれる場合はk=kであり、Qtot=Cだから、水素微細気泡が含有される場合は、
Figure 2017031129
にて表されるQが、水素微細気泡の含有量を表すことになり、
Figure 2017031129
が、全水素量に示す水素微細気泡の比率を示すこととなる。この値は、0.29以上確保されているのがよく、より望ましくは0.67以上であるのがよい。上限値に制限はないが、たとえば0.9程度である。
次に、大気中に暴露する液体の体積Vと液面面積Sの影響であるが、これはすべて数11に基づいて考察することができる。たとえば、容器に入っている液体の初期溶存水素濃度がCであり、液面面積を1として体積だけV倍したときの減衰係数をk’、元の減衰係数をkとすれば、数12から、
(数13)
(k/k’)・C=V・C
k’=k/V
一方、体積を1として液面面積をS倍したときの減衰係数をk’、元の減衰係数をkとすれば、単位時間当たりの水素の蒸発量がS倍になるので、
(数14)
k’=S・k
数13及び数14をまとめると、
(数15)
k’=(S/V)k
すなわち、容器の体積Vと液面面積Sの、そのいずれもが異なるような2つの容器系で測定した溶存水素濃度の減衰曲線が与えられた場合、実測の濃度減衰曲線のk(減衰係数)を数15に従って変換ないし規格化すれば、容器の形状による影響を受けない比較が可能となる。本明細書においては、すでに繰り返し用いているように、液体積Vが5L、液面形状が直径18cmの円である場合を基準として採用するものとしている。
また、水素微細気泡を含有する化粧料の溶存水素濃度の減衰曲線は、図14に示すように、大気中放置開始初期において、後続の時間区間よりも減衰係数kの値が大きくなる場合がある。こうした現象は、水素微細気泡(ないしハイドレート)からの水素の溶出速度が、液面からの水素の蒸散速度よりも小さくなる場合に起こり得る。すなわち、水素ガス導入処理直後は、水素微細気泡の周囲の溶存水素濃度は飽和しているが、その溶存水素の蒸散が進行するにつれ、微細気泡からの溶存水素の補充が、水素の液面からの蒸散に追いつかないため、液面からの水素の蒸散が勝って減衰係数kの値は大きくなる。しかし、溶存水素の蒸散が進行すれば、液面からの水素蒸散と微細気泡からの水素溶出とが平衡し、減衰係数kの値は小さくなる。そして、本発明の方法により製造した化粧料の大気中での溶存水素減衰曲線は、kの値が異なる2区間に分割して指数関数フィッティングすると、より精度よく近似できることがわかっている。
この場合の全水素量の推定方法を、図14に基づいて説明する。
すなわち、開口径18cmの円筒形内面形状を有する容器に水素含有液状水性化粧料を収容し20℃の大気中にて隔膜ポーラログラフ式溶存水素計にて溶存水素濃度の経時変化を、溶存水素濃度の値が計測開始時の値の10%に到達するまで測定する。そして、各時刻における溶存水素濃度測定値を経過時間に対しプロットし、そのプロットにより得られる一連のプロット点を2つの時間区間に分割して各々指数関数により最小二乗近似したときの各区間の相関係数が最大化されるように時間区間の分割点tsを定める。その分割された時間区間の、短時間側の区間に属するプロット点への指数関数回帰曲線を短時間側回帰曲線C、長時間側の区間に属するプロット点への指数関数回帰曲線を長時間側回帰曲線Cとして、それぞれ、
Figure 2017031129
とする。
他方、水素含有液状水性化粧料の含有組成から水素を除いた組成物を化粧料本体組成物として作成し、該化粧料本体組成物を20℃にて0.2MPaの純水素雰囲気にて、溶存水素濃度が平衡するまで水素溶解処理し、その後大気開放して、水素含有液状水性化粧料と同様に溶存水素濃度の経時変化を測定したときの長時間側回帰曲線を、
Figure 2017031129
として定める。
すると、各区間での水素蒸散量(ただし、長時間側については、時刻∞まで外挿)Q、Qは、前述の数11により、それぞれ
Figure 2017031129
Figure 2017031129
従って、全水素量Qtotは、
Figure 2017031129
により算出することができる。この場合、前述の潜在水素含有係数の値は、液面からの水素蒸散と微細気泡からの水素溶出とが平衡する長時間側区間での値k/kを採用するのが妥当である。この場合も、該値は、1.4以上、望ましくは3以上であるのがよい。また、
Figure 2017031129
にて表されるQが、水素微細気泡の含有量を表すことになり、
Figure 2017031129
が、全水素量に示す水素微細気泡の比率を示すこととなる。
なお、添加する水素微細気泡の量がそれほど大きく求められない場合は、液体処理ノズル1に対し液体を1パスだけ流通させる方式を採用することもできる。図12に、該方式を具現化できる本発明のガス溶解装置の一例を示す。該装置550は、図1の装置500と多くの部分において共通しているが、タンク501から延出する配管507が、1パスの化粧料本体組成物供給配管として形成されている点が相違する(その余の構成要素については図1の装置500と同一であるので、同じ符号を付与し、説明は繰り返さない)。そして、図1と同様に、ガス導入部219には減圧弁411及びガス供給チューブ412を介して水素ガス供給源としての水素ボンベ420から水素ガスが供給される。水素ガス溶解済みの水素含有液状水性化粧料514は流出口511から回収容器512に回収される。なお、流出口511に図示しないボトリング用ノズルを取り付け、回収容器512に注入せず、化粧料の個別容器にボトリングし、密封するようにしてもよい。なお、この場合、化粧料を容器内に長期間密閉保管する間に、化粧料中に含有されていた溶存酸素と水素微細気泡とが緩やかに反応し、最終的に微細気泡が全て失われることもあり得る。
以下、本発明の水素含有液状水性化粧料の種々の製品形態について説明する。図17は、本発明の化粧料をエアレスポンプに封入した例を示すものである。このエアレスポンプは、特許文献23に図1として開示されている周知のものである。ここでは、その動作についてのみ特許文献23の記載から援用し、詳細な構成については特許文献23と同一の符号を付与して説明は省略する。使用者が加圧吐出部140を押すと、加圧吐出部140が締め蓋120の案内筒部121の内周面125に沿って下方に滑動する。このとき、弾性復元キャップ150は、加圧吐出部140によって加圧されるので、外径が弧形状に曲がり、吐出準備室Bの液状物の圧力が高まる。一方、収容スペース111内で、貯留部Dの上方空間は、密閉状態であるので、液状物112が加圧されると、この空間の空気圧力が高まり、貯留部Dの液状物112の液面に圧力を加える。これにより、液状物112が流出管166を通って排出量制限キャップ130の保持室Cに流入する。保持室Cに流入した液状物112は、その圧力によって、排出量制限キャップ130の第1切開孔133から弾性復元キャップ150の吐出準備室Bに入る。そして、吐出準備室Bの圧力が高まると、第2切開孔159が開いて、加圧吐出部140の先端噴出口143から外部に吐出され、使用者の希望部位に供給される。
使用者が加圧吐出部140から手を離すと、弾性復元キャップ150の弾性力により、加圧吐出部140が初期状態に復帰する。このとき、最終的には、第1切開孔133が開き、第2切開孔159が閉じて、吐出準備室Bに所定の液状物が蓄えられる。そして、容器110内の液状物112が使用者に供給されると、液状物112の流出量に応じて収容スペース111の貯留部Dの上方空間の圧力が空気圧よりも低下する。その結果、ピストン115が上方に移動し、空気連通穴114から容器110のシリンダ室Fに空気が流入する。したがって、使用者が加圧吐出部120を押す回数により、使用者が希望する量の液状物112が使用可能になる。また、液状物112の消費につれて、ピストン115が収容スペース111内を上方に移動する。
水素含有液状水性化粧料はエアゾール容器に収容して、エアゾール製品とすることも可能である。図13はその一例を示すものであり、エアゾール製品300は、水素含有液状水性化粧料302がエアゾール容器301内に噴射ガスとともに封入されている。具体的には、エアゾール容器301の頂部305の開口には、周知のバルブユニット306が気密に一体化されたマウンテンカップ308が組み付けられ、バルブユニット306の下端からはディップチューブ304が容器内にて下方に伸び、その下端側が内容物である水素含有液状水性化粧料302中に浸漬されている。バルブユニット306に取り付けられたノズル307を押下するとバルブが開き、水素含有液状水性化粧料302を加圧する噴射ガスがバルブユニット306内にも流入しつつ、ディップチューブ304により吸い上げられた水素含有液状水性化粧料302がノズル307から噴射ガスとともに噴射される。
次に、図14のエアゾール製品350は、水素含有液状水性化粧料302を、ガス遮断性を有した可撓性の副容器311内に封入し、該副容器311の外側を加圧する噴射用加圧ガス303とともにエアゾール容器301内に収容した構成である。該容器の構成自体は、特許文献16あるいは17により周知のものである。エアゾール容器301の頂部305の開口に、バルブユニット306が気密に一体化されたマウンテンカップ308が組み付けられている点は図13と同じであるが、バルブユニット306には噴射用加圧ガス303が流入しない構造となっている。また、副容器303はアルミラミネートフィルム製であり、バルブユニット306の下端に一体化されたディップチューブ304の下端側を外側から覆いつつ、ディップチューブ304に対し封止ブロック310によって液密に結合されている。図14は、水素含有液状水性化粧料302を充てん前の状態を示しており、ディップチューブ304の周囲に巻き畳まれた状態で仮止めバンド311bにより結束されている。
このタイプのエアゾール製品の充填アセンブリ工程はおおむね次のように実施される。すなわち、エアゾール容器301に、バルブユニット306、マウンテンキャップ308、副容器303及びディップチューブ304及び封止ブロック310からなる内部アセンブリを、マウンテンキャップ308を加締めない形でセットし、図示しないチャンバー内にてマウンテンキャップ308とエアゾール容器301の開口との隙間から空気等の噴射用加圧ガス303を副容器303とエアゾール容器301との間に加圧充填し、その状態でマウンテンキャップ308をエアゾール容器301に加締め嵌着し、噴射用加圧ガス303だけが先に充てん・封止された状態を形成する。次いで、バルブユニット306からディップチューブ304を経由して副容器303内に、使用時とは逆のパスにて水素含有液状水性化粧料302を、噴射用加圧ガス303の加圧力に抗して圧入充填する。副容器303は水素含有液状水性化粧料302の充填により、仮止めバンド311bによる結束状態を破ってエアゾール容器301内で膨張し、充填が完了する。使用時は、バルブユニット306に取り付けられたノズル307を押下するとバルブが開き、噴射用加圧ガス303の加圧によりディップチューブ304により吸い上げられた水素含有液状水性化粧料302のみがノズル307から噴射される。
次に、上記のようにして得られる水素含有液状水性化粧料は、さらに増粘剤又は油相を添加することにより、25℃における粘度を500mPa・s以上に調整し、水素含有高粘度化粧料とすることができる。たとえば図1の装置500により、タンク501内の化粧料本体組成物502を循環させつつ水素ガスを供給して微細気泡を添加して水素含有液状水性化粧料とする。その後、さらに増粘剤を添加して循環を継続すれば水素含有高粘度化粧料を得ることができる。また、タンク501内の化粧料本体組成物502に先に増粘剤を添加し、粘度が上がり切らないうちに水素ガスを導入・循環して水素含有高粘度化粧料を得るようにしてもよい。なお、水素含有高粘度化粧料をタンク501の外へ取り出し、別途増粘剤を添加・混合するようにしてもよい。
また、油相を用いる場合は、図1の装置500により、タンク501内の化粧料本体組成物502を循環させつつ水素ガスを供給して微細気泡を添加して水素含有液状水性化粧料とし、その後、タンク501外にて、昇温して低粘度化させた油相を加えて冷却しつつ混合し、高粘度化することができる。また、最終粘度が6000mPa・s程度の比較的低い値にとどまる場合は、油相の添加と水素ガスの添加を、昇温した低粘度状態にて同時に行いつつ冷却して高粘度化させるようにしてもよい。
このように製造した水素含有高粘度化粧料は、粘度が上昇している分だけ水素微細気泡の大気圧下での安定性がより高くなるので、外気を遮断する容器であれば、常圧にて封入した製品形態でも十分に成り立つ品質安定性を確保できる。図20〜図22にそのいくつかの具体例を示している。図20は、樹脂ラミネート容器355に水素含有高粘度化粧料を充てんした例であり、チューブ本体356を手で押しながら内容物を少しずつ絞り出して使用する。使用後はチューブ本体356を押さえ、内容物が流出口に摺り切りになった状態を保ってキャップ357を被せるようにする。
また、水素含有液状水性化粧料の粘度がさらに高ければ、図16に示すような広口容器360や、図17のようなボトル型容器370の活用も可能であるといえる。図16及び図17の容器は、いずれも容器本体361,371の開口361p,371p側の端部外周面に形成されたねじ部361mに,371mに対し、キャップ362,371の図示しない内周面のねじ部を螺合させることで、内容物たる水素含有液状水性化粧料の密閉保存が可能である。
以下、本発明の効果を確認するために行った試験とその結果について記載する。
化粧料本体組成物として、表1の種々の組成のものを用意した。
Figure 2017031129
※粘度はB型粘度計(ブルックフィールド社)にて25℃にて測定。
上記の各化粧料本体組成物を、図1の装置500においてタンク501に180L投入し、表2の条件で水素添加しながら循環を行った(液温20℃)。なお、使用したポンプは東振テクニカル社製のベーンポンプTVP−MS1803である。また、液体処理ノズル1は、図2〜図5に示す形態のものを使用した。ノズル本体2の材質はABS樹脂であり、液体入口4と液体出口5の内径はφ14mm、流入室6及び流出室7の流れ方向の長さはそれぞれ30mmである。コア部COREについては、絞り孔9の形成個数を図3に示す配置にて2個とし、絞り孔9の内径dはφ4.6mm、隔壁部8についてはその厚みを7.0とした。流入室6及び流出室7の内周面は、各々液体入口4と液体出口5との内周縁から、隔壁部8の対応する側の外周縁に至る連続テーパ面として形成した。衝突部10は脚部先端面が平坦に形成されたねじ部材により、具体的にはM1.4のJIS並目ピッチのなべ小ねじ(SUS304ステンレス鋼製)を使用して形成し、流通断面積は各絞り孔9について約10mmである。なお、比較例2は、実施例3と同じ化粧料本体組成物を用い、図1の液体処理ノズルから衝突部を省略した単純なベンチュリノズルを用いた以外は同じ条件で水素添加を行ったものである。
Figure 2017031129
循環中は各化粧料本体組成物に対し、市販のORP計(堀場製作所製:D−72)にて酸化還元電位を、隔膜ポーラロ電極式の溶存水素計(共栄電子研究所製:KM2100DH)にて溶存水素濃度を、それぞれ所定の時間間隔で測定した。また、循環停止後、得られた水素含有液状水性化粧料を取出口503から開口径18cmの樹脂製ビーカーに5Lだけ採取するとともに、20℃の大気中に暴露しつつ酸化還元電位及び溶存水素濃度の経時変化を測定した。なお、測定は所定の時間間隔にて、測定時のみビーカー内の液体をマグネットスターラーにより15〜30秒程度撹拌することにより実施した。得られた各試料の溶存水素濃度のデータは、経過時間に対してプロットし、すでに説明した方法により最小二乗法により指数関数近似して溶存水素減衰曲線を求め、減衰係数kを算出した。
また、これとは別途、5Lの密閉容器内に各化粧料本体組成物を入れて水素ガスを0.2MPaの圧力で密閉加圧し、20℃にて1週間保管した後開封して、同様に溶存水素減衰曲線を求め、標準減衰係数kを算出した。そして、得られたこれらの値を用いて、潜在水素含有係数k/k及び推定全水素量を各々算出した。また、循環停止後10分を経過した試料を用い、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製:SALD7100H)にて平均気泡径を測定した。さらに、各水素含有液状水性化粧料は、循環停止直後に各々500cc採取してガラス容器に摺り切りまで充てんし、キャップにより密封して恒温槽内で45℃にて30日間保管した。その後開封し、直ちに酸化還元電位及び溶存水素濃度を測定した。また、循環停止直後の化粧料の溶存酸素濃度を市販の隔膜ポーラログラフ式溶存酸素計(共栄電子研究所製:KM2100DO)により測定した。
さらに、得られた水素含有液状水性化粧料は、10人の被験者により肌伸び性の評価を実施した。具体的には化粧料0.5ccを手のひらにとって両手で伸ばし広げ、顔に塗付したときに、肌伸び性が十分と感じた被験者が9人以上の場合を「◎」、7人から8人の場合を「○」、4〜6人の場合を「△」、3人以下の場合を「×」として評価した。
以上の結果を、表1及び表3に示す。
Figure 2017031129
実施例1〜3は、粘度が1mPa・sの化粧水を本体組成物として用い、水素ガスを導入しつつ循環した時間を12分から60分の範囲内で変化させた場合の結果を示している。組成物の量は180Lであり、液循環流量が15L/分であるから、循環時間12分で全液が1巡することになる。全循環時間をこの1巡の時間で除した値が循環パス数である。したがって、12分は1パス、40分は3.3パス、60分は5パスとなる。循環中の液流量に対する水素ガス流量(標準状態換算)比は20%である。本発明にて採用する液体処理ノズルを採用せずに、ポンプ内撹拌のみで水素導入した比較例2では60分循環しても循環停止直後の溶存水素濃度は0.41ppm程度であり、大気放置にて0.5日(720分)後には0.1pp未満となり、1日後には完全に溶存水素は消失した。これに対し、5パス循環した実施例3は、循環停止直後に溶存水素濃度が常圧飽和値を上回る1.72ppmを示すばかりでなく、1日経過後も0.9ppm、3日経過後も0.37ppmという高い溶存水素濃度を示していることがわかる。また、酸化還元電位の測定値から、粘度が1mPa・sと非常に低いにも関わらず、1週間経過後も依然還元性を保っていることがわかる。また、これよりも循環時間を短くした実施例1及び実施例2は、実施例3には及ばないものの、比較例2よりははるかに良好な溶存水素濃度及び酸化還元電位の持続性を示していることがわかる。また、いずれも、レーザー回折式粒度計で測定した平均気泡径は200nm未満と、非常に小さいことがわかる。
図23は、実施例1〜3における水素導入時の溶存水素濃度の循環パス数増加に伴う変化をプロットしたグラフである(循環流量率は、液体の循環流量(15L/分)を全液体体積(180L)で除した値のことである)。これによると、循環パス数が2前後までは、溶存水素濃度が急速に増加しているが、以降は溶存水素濃度の増加が鈍り、3パス前後でほぼ頭打ちとなっている。ところが、大気中放置したときの溶存水素濃度の持続性は実施例2及び3の比較から、溶存水素濃度が頭打ちとなった後も、循環時間の延長により確実に向上していることがわかる。これは、表2において減衰係数k、潜在水素含有係数k/k、及びそれに基づいて算出した推定総水素量の値からも明らかである。特に、60分循環(循環パス数5)のものは推定総水素量が10ppmにも達し、飽和溶存水素量(約1.6ppm)のほぼ6倍もの高濃度の水素が微細気泡として含まれていることを意味する。このような高濃度の水素微細気泡が、図2〜図5に示す単純な構造の液体処理ノズルに、液体の高々20%程度の低流量の水素を比較的低圧で供給・循環するのみで形成されている点も注目すべきである。
図24は実施例2の、図25は実施例3の、実際の溶存水素減衰曲線をそれぞれ示すものである。いずれも、短時間側区間と長時間側区間とで減衰係数の異なる曲線となっており、指数関数によるフィッティングの精度も非常に高く、水素蒸発挙動は前記した数5に従うものであることが明らかである。また、図26は、実施例3の減衰曲線の長時間側区間を、比較例2の減衰曲線と比較して示すものである。溶存水素のみの化粧料と比較して、実施例の化粧料の溶存水素濃度の持続性がいかに高いが理解できる。
一方、増粘剤であるヒドロキシエチルセルロースで粘度を増大させた実施例4〜6の化粧料(循環時間は実施例3と同じ)については、溶存水素濃度の持続性が高粘度になるほど増大しており、減衰係数kの絶対値も小さくなっている。しかし、これを標準減衰係数kで除した潜在水素含有係数k/kの値は、実施例3とほぼ同じか少し大きい程度である。なお、粘度が500mPa・sを超える比較例1の化粧料も溶存水素濃度の持続性は非常に良好であるが、肌伸び性の評価に劣る結果となっている。
また、実施例1〜実施例6の化粧料は、水素添加前の本体組成物の段階では溶存酸素濃度がいずれも8ppm前後の値を示していたが、水素添加後はいずれも溶存酸素濃度が低減され、表3に示すごとく十分低い値となった。そして、ガラス容器に密封充填して45℃にて30日保管した後も、いずれも良好な溶存水素濃度及び酸化還元電位を示していることがわかる。
1 液体処理ノズル
2 ノズル本体
O 中心軸線
3 液体流路
4 液体入口
5 液体出口
6 流入室
7 流出室
8 隔壁部
9 絞り孔
10 衝突部(ねじ部材)
CORE 処理コア部
11 山部
12 谷部
15 液体流通ギャップ
302 水素含有液状水性化粧料
500,550 水素含有液状水性化粧料の製造装置
502 化粧料本体組成物
本発明の水素含有液状水性化粧料の製造装置の全体構成を示すブロック図。 図1の装置に使用する液体処理ノズルの一例を示す横断図。 図2の側面拡大図。 図2の液体処理ノズルの処理コア部の詳細を示す断面図。 図3の一つの絞り孔における、衝突部をなすねじ部材の配置形態を実体的に描いた拡大図。 図2の処理コア部におけるねじ部材の流れ軸線方向の配置を拡大示す図。 図6の変形配置例を示す図。 衝突部における山部と谷部の作用説明図。 液体処理ノズルの作用を示す説明図。 衝突部の作用を示す平面図。 図1の液体処理ノズルを用いた液体処理方法の作用説明図。 図1の製造装置の変形例を示す図。 溶存水素減少曲線から化粧料中の総水素量を推定する方法を説明する図。 溶存水素濃度の減衰係数が途中で変化する場合の、化粧料中の総水素量を推定する方法を説明する図。 水素微細気泡を含有しない水素溶存液体からの水素蒸発挙動を示す模式図。 水素微細気泡を含有する水素溶存液体からの水素蒸発挙動を示す模式図。 本発明の化粧料を容器に封入した第一の製品例を示す図。 同じく第二の具体例を示す図。 同じく第三の製品例を示す図。 同じく第四の製品例を示す図。 同じく第五の製品例を示す図。 同じく第六の製品例を示す図。 実施例の水素含有液状水性化粧料の水素添加時の溶存水素濃度上昇挙動を示すグラフ。 図23にて循環時間を40分とした場合に得られる水素含有液状水性化粧料を、大気中放置した場合の溶存水素濃度減衰挙動を示すグラフ。 同じく循環時間を60分とした場合に得られる水素含有液状水性化粧料を、大気中放置した場合の溶存水素濃度減衰挙動を示すグラフ。 図25の水素含有液状水性化粧料を大気中放置した場合の溶存水素濃度減衰挙動を、水素微細気泡を含有しない液状水性化粧料(参照液)と比較して示すグラフ。

Claims (20)

  1. 分子状水素を含有した液状水性化粧料であって、25℃における粘度が500mPa・s未満に調整されるとともに、密閉容器に充填された前記水素含有液状水性化粧料を45℃の雰囲気で30日放置後の酸化還元電位が−50mV以下であることを特徴とする水素含有液状水性化粧料。
  2. 密閉容器に充填された前記水素含有液状水性化粧料を45℃の雰囲気で30日放置後の、隔膜ポーラログラフ式溶存水素計にて測定した溶存水素濃度が0.1ppm以上である請求項1記載の水素含有液状水性化粧料。
  3. 分子状水素を含有した水素含有液状水性化粧料であって、25℃における粘度が500mPa・s以下に調整されるとともに、開口径18cmの円筒形内面形状を有する容器に前記水素含有液状水性化粧料を5L収容し20℃の大気中にて12時間経過後の、隔膜ポーラログラフ式溶存水素計にて測定した溶存水素濃度が0.3ppm以上であることを特徴とする水素含有液状水性化粧料。
  4. 密閉容器に充填された前記水素含有液状水性化粧料を45℃の雰囲気で30日放置後の酸化還元電位が−50mV以下である請求項3記載の水素含有液状水性化粧料。
  5. 密閉容器に充填された前記水素含有液状水性化粧料を45℃の雰囲気で30日放置後に開封し、隔膜ポーラログラフ式溶存水素計にて測定した溶存水素濃度が0.1ppm以上である請求項4記載の水素含有液状水性化粧料。
  6. 開口径18cmの円筒形内面形状を有する容器に前記水素含有液状水性化粧料を収容し20℃の大気中にて36時間経過後の、隔膜ポーラログラフ式溶存水素計にて測定した溶存水素濃度が0.3ppm以上である請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載の水素含有液状水性化粧料。
  7. 溶存酸素濃度が2ppm未満である請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の水素含有液状水性化粧料。
  8. 前記分子状水素の一部が水素微細気泡の形で含有され、該水素微細気泡の平均気泡径が400nm以下である請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の水素含有液状水性化粧料。
  9. 貴金属の含有量がゼロまたは0.1ppm未満である請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の水素含有液状水性化粧料。
  10. 開口径18cmの円筒形内面形状を有する容器に前記水素含有液状水性化粧料を5L収容し20℃の大気中にて隔膜ポーラログラフ式溶存水素計にて溶存水素濃度の経時変化を、溶存水素濃度の値が計測開始時の値の10%に到達するまで測定し、
    各時刻における溶存水素濃度測定値を経過時間に対しプロットし、
    前記プロットにより得られる一連のプロット点を2つの時間区間に分割して各々指数関数により最小二乗近似したときの各区間の相関係数が最大化されるように前記時間区間の分割点を定めるとき、その分割された時間区間の、短時間側の区間に属するプロット点への指数関数回帰曲線を短時間側回帰曲線C、長時間側の区間に属するプロット点への指数関数回帰曲線を長時間側回帰曲線Cとして、それぞれ、
    Figure 2017031129
    とする一方、前記水素含有液状水性化粧料の含有組成から水素を除いた組成物を化粧料本体組成物として作成し、該化粧料本体組成物を20℃にて0.2MPaの純水素雰囲気にて、溶存水素濃度が平衡するまで水素溶解処理し、その後大気開放して、前記水素含有液状水性化粧料と同様に溶存水素濃度の経時変化を測定したときの長時間側回帰曲線を、
    Figure 2017031129
    としたとき、潜在水素含有係数k/kの値が1.4以上である請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の水素含有液状水性化粧料。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の液状水素化粧料に、さらに増粘剤又は油相を添加することにより、25℃における粘度を500mPa・s以上に調整してなることを特徴とする水素含有高粘度化粧料。
  12. 請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の化粧料をエアゾール容器に充てんしてなることを特徴とするエアゾール製品。
  13. 請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の水素含有液状水性化粧料の製造方法であって、液体処理ノズルとして、一端に液体入口を、他端に液体出口を有する液体流路が形成されたノズル本体と、前記液体流路の内面から突出するとともに外周面に周方向の山部と高流速部となる谷部とが複数交互に連なるように形成された衝突部を有する処理コア部とを備えたものを使用し、
    粘度が500mPa・s未満に調整され、かつ、得るべき水素含有液状水性化粧料の含有組成から水素を除いた組成物を化粧料本体組成物として、該化粧料本体組成物と水素ガスとの混相流を前記液体処理ノズルの前記衝突部に供給し、前記水素ガスを微細気泡に粉砕しつつ前記液体出口から流出させることにより前記水素含有液状水性化粧料を得ることを特徴とする水素含有液状水性化粧料の製造方法。
  14. 前記液体処理ノズルに対し前記化粧料本体組成物を、該液体処理ノズルの上流側に配置されたポンプにより送液するとともに、前記水素ガスを前記ポンプの吸入口側で添加して前記化粧料本体組成物と前記水素ガスとを前記ポンプ内にて予備撹拌混合することにより前記混相流となし、前記液体処理ノズルに流入させる請求項13記載の水素含有液状水性化粧料の製造方法。
  15. 前記化粧料本体組成物と水素ガスとの混相流を前記液体処理ノズルに対し、ポンプを用いて循環供給する請求項13又は請求項14に記載の水素含有液状水性化粧料の製造方法。
  16. 前記化粧料本体組成物に対する前記水素ガスの添加を継続しつつ前記混相流の前記液体処理ノズルに対する循環供給を継続する請求項15に記載の水素含有液状水性化粧料の製造方法。
  17. 前記水素ガスの添加を中断した状態で前記混相流の前記液体処理ノズルに対する循環供給を継続する請求項15に記載の水素含有液状水性化粧料の製造方法。
  18. 前記液体処理ノズルとして、前記衝突部が前記投影において前記中心軸線を取り囲む十字形態に4つ配置されたM1.2以上M2.0以下のねじ部材であり、前記液体流路の内径Dが2.5mm以上6mm以下、全流通断面積が2.5mm以上20mm以下に設定されたものが使用され、
    前記混相流を形成するための水素ガス流量をQ1、前記化粧料本体組成物の流量をQ2としたとき、液体入口側の動圧を0.1MPa以上0.5MPa以下、前記水素ガスの前記化粧料本体組成物に対する流量比Q1/Q2を0.01以上0.2以下となるように前記液体処理ノズルに供給される請求項13ないし請求項17のいずれか1項に記載の水素含有液状水性化粧料の製造方法。
  19. 前記液体処理ノズルとして、前記液体流路を液体入口側の流入室と液体出口側の流出室とに区画する隔壁部と、前記隔壁部に貫通形成され前記流入室と前記流出室とを互いに別経路にて連通させる複数の絞り孔とを備え、前記処理コア部は、前記絞り孔の内面から各々突出する形で前記衝突部が形成されているものが使用される請求項18記載の水素含有液状水性化粧料の製造方法。
  20. 請求項11記載の水素添加高粘度化粧料の製造方法であって、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の水素含有液状水性化粧料に増粘剤又は油相を添加することにより、25℃における粘度を500mPa・s以上の水素含有高粘度化粧料となすことを特徴とする水素含有高粘度化粧料の製造方法。
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