JP2017002020A - 水素添加高粘度化粧料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来技術をはるかにしのぐ量の水素微細気泡を含有した新規な水素添加高粘度化粧料と、その製造方法とを提供する。
【解決手段】 化粧料本体組成物に水素微細気泡を配合され、20℃における粘度が300mPa・s以上6000mPa・s以下に調整されるとともに、0.7MPaの窒素ガスによる5分間の加圧処理後に残留する水素微細気泡の含有率が0.5体積%以上30体積%以下である。液体処理ノズルとして、一端に液体入口を、他端に液体出口を有する液体流路が形成されたノズル本体と、液体流路の内面から突出するとともに外周面に周方向の山部と高流速部となる谷部とが複数交互に連なるように形成された衝突部を有する処理コア部とを備えたものを使用し、粘度が300mPa・s以上6000mPa・s以下に調整された化粧料本体組成物502と水素ガスとの混相流を液体処理ノズルの衝突部に供給し、水素ガスを水素微細気泡に粉砕しつつ液体出口から流出させることにより水素添加高粘度化粧料を得る
【選択図】図1
【解決手段】 化粧料本体組成物に水素微細気泡を配合され、20℃における粘度が300mPa・s以上6000mPa・s以下に調整されるとともに、0.7MPaの窒素ガスによる5分間の加圧処理後に残留する水素微細気泡の含有率が0.5体積%以上30体積%以下である。液体処理ノズルとして、一端に液体入口を、他端に液体出口を有する液体流路が形成されたノズル本体と、液体流路の内面から突出するとともに外周面に周方向の山部と高流速部となる谷部とが複数交互に連なるように形成された衝突部を有する処理コア部とを備えたものを使用し、粘度が300mPa・s以上6000mPa・s以下に調整された化粧料本体組成物502と水素ガスとの混相流を液体処理ノズルの衝突部に供給し、水素ガスを水素微細気泡に粉砕しつつ液体出口から流出させることにより水素添加高粘度化粧料を得る
【選択図】図1
Description
この発明は水素添加高粘度化粧料とその製造方法に関するものである。
近年、化粧料の分野でもガス状水素の溶存により還元性を付与し、肌の保湿や美白、老化防止(アンチエイジング)などの機能を付与する試みがなされ、特許出願もなされている(特許文献1〜8)。特許文献1〜3は比較的粘度の低い化粧水等への水素添加にかかるものであって、水素の添加方法は主にガスエジェクションないしミキシングによる撹拌溶解(特許文献1:ガスエジェクションについては、化粧水ではないが特許文献4)、あるいは加圧法(特許文献2、3)が採用される。しかし、これらの方法で達成できる水素濃度は飽和溶存濃度により制限され、特にガスミキシング法では1ppm未満の低い値にとどまる。加圧法の場合は飽和値までは溶存濃度を高められるものの、基質をなす化粧水の粘度が低いために、肌等に適用した際の水素の蒸発速度が大きく、効果の持続に難がある。
液体に溶存する水素分子の蒸発は、ヘルツ−クヌーセンの法則にて知られているごとく、分子熱力学に基づき、液面付近での水素分圧により速度が定まる。溶存水素を含む液体においては、水素分子と強い相互作用を示す液体分子種が水をはじめとしてほとんど皆無であることから、水素の蒸発速度は結局のところ液中の溶存水素種の液面までの拡散時間に支配されると考えられる。液体中の溶質の拡散速度は液体の粘度に逆比例して小さくなることが知られており、乳液やジェル、クリームのように、溶存水素を保持する液状化粧料の基材の粘度を高めれば、肌等に適用した際の水素の蒸発が抑制され、効果の持続を図ることができる。このような高粘性の水素含有化粧料は特許文献5〜8に開示がある。
しかしながら、上記の高粘性化粧料のうち、特許文献5及び6に開示のものは、加圧法により製造した溶存水素水を油相と混合乳化してクリームないしジェルを得るものであり、出発原料である水素水の溶存水素濃度、すなわち常温・常圧の飽和溶存濃度である1.6ppm以上に水素含有量を高めることは原理的に不可能である。
また、水素を微細気泡の形で液体に添加する手法は、液体が低粘度の場合には、特許文献9〜11を例示するごとく、種々の方法が提案されているが、特許文献7においてすでに課題提起されているごとく、粘度の高い溶液は気液の混相状態を形成しにくく、ナノサイズの微細気泡は発生しにくいと考えられてきた。特に、水素ガスに関しては、粘性溶液へ水素ガスを吹き込むと気泡は大きな固まりとなって浮上し、気液コロイドとして存在することが少ない。当該の特許文献7は、粘性の高い溶液を狭い空間内で超音波振動と連動して振動させながら水素を添加する方式により、水素を微細気泡(水素コロイド)として存在させた粘性液体を得られる旨開示している。しかし、超音波により粘性液体に添加できる水素微細気泡の量は非常に限られており、このことは当該文献中でも言及されている通りである。具体的には、「超音波連続式水素コロイド生産方法」、「超音波循環式水素コロイド生産方法」及び「粘性溶液のキャビテーション連続式水素ラジカルコロイド生産方法」の3つが開示されているが、それぞれ対応する段落に以下の記載がある。
(0010)
「水素ガスの添加量は極めて少量であって、容積比で溶液流量の1〜0.1%程度である。流量は目的によって変更するが、流量を過剰にすると微細気泡の発生が起こらない。」
(0011)
「水素ガスの添加量は前の超音波循環式水素コロイド生産方法と同様、極めて少量であって、容積比で溶液流量の1〜0.1%程度である。流量は目的によって変更するが、これも前法と同様に流量を過剰に多くすると微細気泡の発生が起こらない。」
(0012)
「水素ガスの添加量は極めて少量であって、容積比で溶液流量の1〜0.1%程度である。ガス流量は目的によって変更するが、流量を多くすると大きなバブルが混入する。」
これらいずれの方法にあっても、液体への水素添加処理はワンパスであって、水素添加量がその供給流量の最大でも1%であるから、液体1Lあたりの水素添加量は10ccを超えることはない。この場合、水に対する水素の飽和溶存濃度は1.6ppmであり、水素体積に換算すると20cc程度であるから、添加した水素の大半は溶存水素となり、水素微細気泡として残留するものの量はわずかであると考えられる。
「水素ガスの添加量は極めて少量であって、容積比で溶液流量の1〜0.1%程度である。流量は目的によって変更するが、流量を過剰にすると微細気泡の発生が起こらない。」
(0011)
「水素ガスの添加量は前の超音波循環式水素コロイド生産方法と同様、極めて少量であって、容積比で溶液流量の1〜0.1%程度である。流量は目的によって変更するが、これも前法と同様に流量を過剰に多くすると微細気泡の発生が起こらない。」
(0012)
「水素ガスの添加量は極めて少量であって、容積比で溶液流量の1〜0.1%程度である。ガス流量は目的によって変更するが、流量を多くすると大きなバブルが混入する。」
これらいずれの方法にあっても、液体への水素添加処理はワンパスであって、水素添加量がその供給流量の最大でも1%であるから、液体1Lあたりの水素添加量は10ccを超えることはない。この場合、水に対する水素の飽和溶存濃度は1.6ppmであり、水素体積に換算すると20cc程度であるから、添加した水素の大半は溶存水素となり、水素微細気泡として残留するものの量はわずかであると考えられる。
他方、特許文献8には、低粘度の液体に超音波を用いて先に水素微細気泡を形成し、それが液体中に残存している間にゲル化剤を添加して高粘度の水素微細気泡含物を得る方式が開示されている。しかし、超音波を用いて導入できる水素微細気泡の量に制限がある点は何ら変わりなく、水素微細気泡を多量に含んだ高粘度化粧料とはいえない難点がある。
本発明の課題は、上記従来技術をはるかにしのぐ量の水素微細気泡を含有した新規な水素添加高粘度化粧料と、その製造方法とを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の水素添加高粘度化粧料は、化粧料本体組成物に水素微細気泡を配合した水素添加高粘度化粧料であって、25℃における粘度が300mPa・s以上6000mPa・s以下に調整されるとともに、0.7MPaの窒素ガスによる5分間の加圧処理後に残留する水素微細気泡の含有率が0.5体積%以上30体積%以下であることを特徴とする。
また、本発明の水素添加高粘度化粧料の製造方法は、液体処理ノズルとして、一端に液体入口を、他端に液体出口を有する液体流路が形成されたノズル本体と、液体流路の内面から突出するとともに外周面に周方向の山部と高流速部となる谷部とが複数交互に連なるように形成された衝突部を有する処理コア部とを備えたものを使用し、
粘度が300mPa・s以上6000mPa・s以下に調整された化粧料本体組成物と水素ガスとの混相流を液体処理ノズルの衝突部に供給し、水素ガスを水素微細気泡に粉砕しつつ液体出口から流出させることにより水素添加高粘度化粧料を得ることを特徴とする。
粘度が300mPa・s以上6000mPa・s以下に調整された化粧料本体組成物と水素ガスとの混相流を液体処理ノズルの衝突部に供給し、水素ガスを水素微細気泡に粉砕しつつ液体出口から流出させることにより水素添加高粘度化粧料を得ることを特徴とする。
本発明において、「水素ガス」は、純水素以外に、水素を50%以上含有した混合ガス(混合ガスの水素以外の残部は、水素との反応活性の低いガス成分であり、具体的には窒素、アルゴンなどの不活性ガスである)も概念に含む。粘度は、B型粘度計(ブルックフィールド粘度計)により、LV4ロータにより回転数60rpmにて25℃で計測した値を用いるものとする。
また、化粧料中の水素微細気泡の含有率は、添加したガスがすべて水素であり、かつ化粧料本体組成物の真比重が知れている場合は、得られた化粧料の見かけ比重を測定することで、その体積増分を水素微細気泡による増分として算出する。一方、これらが知れていない場合は、たとえば次のようにして特定した値を水素微細気泡の含有率とみなす。すなわち、水素は昇温により蒸発しやすくなり、その微細気泡は超音波振動の印加により合一して粗大気泡となりやすくなる。そこで、化粧料サンプルをたとえば40℃以上80℃以下の一定温度に昇温して比重を測定し、比重上昇が止まってほぼ一定となったところの値を読み取り、これを化粧料本体組成物の真比重Wと推定して、昇温前のサンプルの見かけ比重とから気泡体積率を算出する。他方、比重測定時の蒸発成分をガス分析するか、あるいは化粧料サンプルをガスクロマトグラフィーに供すれば、それらの結果からサンプル中の総水素体積を求めることができる。総水素体積が気泡体積よりも多いか等しい場合は、気泡体積のすべてが水素微細気泡になっていると考え、総水素体積が気泡体積よりも少ない場合は、総水素体積を近似的に水素微細気泡体積とみなして水素微細気泡の含有率を算出するものとする。
上記本発明に使用する液体処理ノズルの構成自体は、たとえば特許文献12〜15などで周知となっており、キャビテーションによる微細気泡の発生効果を有するものである。しかし、特許文献7においても指摘されているごとく、キャビテーション方式を用いたとしても粘度の高い液体の場合は気泡の粗大化が進みやすく、特にガスが水素の場合は微細気泡の形成効率は低いとみられていた。そのため、特許文献12〜15においてはガス溶解への利用は示唆されているものの、使用する液体は粘度の低いもの(具体的には水)が対象にされており、高粘度液体への適用は示唆されておらず、ましてやこうした高粘性液体中での微細気泡化が困難とみられていた水素の利用可能性については一切言及されてこなかったのである。
ところが、本発明者らが鋭意検討を行った結果、水素微細気泡の添加対象とするべき化粧料本体組成物の粘度が300mPa・s以上6000mPa・s以下の範囲に調整されるとき、外周面に周方向の山部と高流速部となる谷部とが複数交互に連なるように形成された衝突部に対して、水素ガスとの混相流の形でこれに供給すると、当初予想とは全く想像に反して水素が効率的に微粉砕されることがわかった。そして、粘度の高い化粧料本体組成物に対し水素ガスを水素微細気泡の形で大量かつ極めて安定的に保持させることに成功し、本発明を完成させるに至ったものである。
本発明の水素添加高粘度化粧料は上記本発明の製造方法により特有に得られるものであって、25℃における粘度が300mPa・s以上6000mPa・s以下の高い値を示すにもかかわらず、水素微細気泡は0.5体積%以上30体積%以下という、従来決して到達しえなかった含有率に到達する。これは、化粧料本体組成物よりも密度がはるかに低い水素微細気泡が高密度にて分散保持される結果、見かけ比重が水素添加前の化粧料本体組成物よりも巨視的に低下することを意味する。その見かけ比重は、0.7MPa(7気圧)の窒素ガスによる5分間の加圧処理後においても大きく変化せず、ガス状水素の大半が加圧により消滅しない微細気泡として存在するのである。
その結果、化粧料の粘度が高い分、溶存水素の蒸発速度が遅くなるのみならず、大半の水素が微細気泡の形で含有されていることで、肌等へ塗布した後も長時間にわたって高濃度にとどまり続け、保湿や美白、老化防止といった様々な効果を発揮することができる。また、容器に保存した場合にあっても、高濃度水素状態を長期間持続でき、ひいては上記水素特有の効果を発揮できる品質状態を長期間安定に保持することができる。
液中の気泡の界面には、液面からの気泡の存在深さに応じて作用する液圧だけでなく、表面張力に基づいた内圧が作用する。化粧剤を保管する容器の液面深さはそれほど大きなものではなく、結果、気泡内圧への液圧の寄与はほとんど無視でき、表面張力に基づいた圧力増分だけを考慮すればよい。この圧力増分Δpは、液体の表面張力をσ、気泡径をDとしたとき、
Δp=4σ/D ・・・・(1)
という式で表される。これはYoug−Laplaceの式として古典的に知られているものである。簡単のため、水中の気泡で考えれば、気泡径Dが3μmで気泡内圧はほぼ大気圧と等しくなり、Dが1μmでまで縮小すると気泡内圧はその約3倍、0.5μmで6倍の値に達する。気体の液体への溶解度は、水素のようなヘンリーの法則に従うガスの場合は圧力に比例して増大するので、気泡径Dが縮小すればするほど内圧上昇により内部の水素ガスが溶解して気泡の縮小が進み、最終的には消滅すると考えられてきた。しかし、近年の研究の進歩により、気泡はサブミクロンオーダーに縮小しても、様々な要因によりその大きな内圧上昇に耐えて安定化することがわかり、本発明の対象でもある微細気泡(ウルトラファインバブルあるいはナノバブル)として液中に残留しうる。
Δp=4σ/D ・・・・(1)
という式で表される。これはYoug−Laplaceの式として古典的に知られているものである。簡単のため、水中の気泡で考えれば、気泡径Dが3μmで気泡内圧はほぼ大気圧と等しくなり、Dが1μmでまで縮小すると気泡内圧はその約3倍、0.5μmで6倍の値に達する。気体の液体への溶解度は、水素のようなヘンリーの法則に従うガスの場合は圧力に比例して増大するので、気泡径Dが縮小すればするほど内圧上昇により内部の水素ガスが溶解して気泡の縮小が進み、最終的には消滅すると考えられてきた。しかし、近年の研究の進歩により、気泡はサブミクロンオーダーに縮小しても、様々な要因によりその大きな内圧上昇に耐えて安定化することがわかり、本発明の対象でもある微細気泡(ウルトラファインバブルあるいはナノバブル)として液中に残留しうる。
表面張力により内圧上昇した気泡内部のガスは反力により周囲の液相に加圧力を及ぼす。これが、気泡中のガスの溶解の駆動力となる。常圧で内圧が1気圧未満となる粗大な気泡(おおむね3μm以上)は、上記のごとく外部圧力により加圧された時は、その圧力増分により液相のガスに対する溶解度が上昇するので、気泡からのガス溶出が進み、気泡は縮小する。そして、表面張力に由来した内圧上昇Δpが外部圧力とつりあう平衡気泡径に到達すれば、そこで気泡縮小は止まる。窒素ガスによる外部圧力が0.7MPaのときの平衡気泡径はおおむね430nm程度である。化粧料本体組成物の液相主成分が水である場合、窒素加圧後の化粧料サンプルの高分解能マイクロスコープ観察画像から見積もられる平均気泡径はこの値とほぼ一致する(図19及び図20:後述)。すなわち、化粧料本体組成物は液相主成分が水である場合、含有される水素微細気泡の平均気泡径は430nm以下(すなわち、微細気泡)である、ということができる。
粘度の高い液体組成物中では気泡の浮上速度が大幅に減少するため、比較的寸法の大きい気泡も常圧下ではしばらくは消泡せず、化粧料本体組成物中に残留するが、上記のように窒素ガスで0.7MPaまで加圧すればサブミクロン寸法まで縮小する。したがって、従来のプロペラによる剪断撹拌やスタティックミキサによるガスバブリング等で得られる粗大な水素気泡が主体の組成物の場合、窒素ガスによる加圧を行うと大半の気泡は縮小し、気泡減少率は大きな値となり、場合によってはほとんどの気泡が消滅してしまうこともあり得る。しかしながら、本発明の水素添加高粘度化粧料にあっては、見かけ比重の明らかな低下を伴うほどの高体積率に水素気泡を含んでいるにも拘わらず、7気圧もの窒素加圧後においても残留する水素微細気泡が0.5体積%以上30体積%以下という高い比率になっているのである。
化粧料本体組成物の水素添加前の比重をWとしたとき、水素微細気泡を形成する水素ガスの比重wはそれよりもはるかに小さいから、水素微細気泡が0.5体積%以上30体積%以下の範囲で含有されているということは、水素添加後の化粧料の見かけ比重は0.995W以上0.700W以下となって表れる。これは、ごく普通の精度の天秤を用いれば十分に測定にかかる重量変化でもある。そして、この比重変化は水素微細気泡の含有によってもたらされるものであり、単に化粧料本体組成物に水素ガスが溶存しただけでは比重はほとんど変化しない。ガス状水素の分子量が2であり、分子サイズも極めて小さいことを考えればこれは当然のことである。
他方、0.5体積%以上30体積%以下の水素微細気泡を水素の重量含有量に換算すると、0.45W以上26.79W以下(単位:ppm)となる。化粧料本体組成物に水素微細気泡が含有されている場合、気泡周囲の液相には当然、微細気泡から溶出した(もしくは微細気泡形成時に溶解した)水素が溶存形態で含有されるから、全水素量はこれに溶存水素量を加算した値となる。得られる化粧料の溶存水素量は、たとえば酸化還元電位測定や、溶存水素計による直接測定により計測・把握するができるが、いうまでもなく、この値は溶存している水素量を表すものであって、水素微細気泡が保持するガス状水素の量を反映したものではない。たとえば、前述の特許文献7に開示の水素含有組成物では、調製後10日を経過したときの酸化還元電位が不変であることが開示されているのみであり、組成物の粘度や水素気泡の体積率に関しては全く言及されていないし、文献に開示された他の情報からの推定も不能である。
次に、上記のように特徴ある本発明の水素添加高粘度化粧料の、その製造方法の作用について詳細に説明する。すなわち、ノズル本体において液体(化粧料本体組成物)の流れは、衝突部に衝突してその下流に迂回する際に谷部内にて絞られることにより増速し、化粧料本体組成物の液相に原料段階で含有される溶存ガス(空気など)の析出により激しいキャビテーションを起こし、その減圧沸騰作用により気泡を生じつつ液体を激しく撹拌する。これに、衝突部を高速流が迂回する際に生ずる渦流も加わり、衝突部の周辺及び直下流域には非常に顕著な強撹拌領域が形成されることとなる。
そして、化粧料本体組成物の流れに外部から水素ガスを導入して混相流の形で供給すると、水素ガスの気泡は衝突部の谷部を通過する際に摩擦により激しく剪断され、化粧料本体組成物の粘性に打ち勝って粉砕されるとともに、キャビテーションによる激しい減圧沸騰に由来した衝突部下流の強撹拌領域に巻き込まれることで一挙に微細気泡(1μm未満)のレベルにまで粉砕されるものと考えられる。このとき、撹拌により一旦溶存した水素ガスが、谷部ないし強撹拌領域で水素微細気泡として再析出することも考えられる。この発明では、化粧料本体組成物の粘度が高いために、一旦剪断と撹拌により粉砕された水素気泡の再合一が、低粘度の液体を用いる場合と比較して起こりにくくなること、溶存した水素ガスが気泡として再析出する際の成長速度が小さくなることなどが、水素微細気泡の発生率向上に大きく貢献しているものと考えられる。
化粧料本体組成物の粘度は300mPa・s以上6000mPa・s以下に調整されたものを使用するが、粘度がこの下限値未満であると水素微細気泡の含有率を十分に確保できなくなる。他方、6000mPa・sを超えると、流動性低下により液体処理ノズルを流通させた時の衝突部での流速が十分確保できなくなり、微細気泡の形成効率が低下して水素微細気泡の体積率を十分に確保できなくなる。化粧料本体組成物の粘度(ひいては、結果物としての水素添加高粘度化粧料の粘度)は、望ましくは300mPa・s以上3000mPa・s以下とするのがよく、より望ましくは1000mPa・s以上2000mPa・s以下に設定するのがよい。水素微細気泡の含有率は粘度が高いほどより大きく確保することができ、1000mPa・s以上2000mPa・s以下の場合は10体積%以上25体積%以下とすることができる。
液体処理ノズルに対し化粧料本体組成物は、該液体処理ノズルの上流側に配置されたポンプにより圧送することができる。この時、水素ガスをポンプの吸入口側で添加して化粧料本体組成物と水素ガスとをポンプ内にて予備撹拌混合することにより混相流となし、液体処理ノズルに流入させることができる。このようにすると、高粘度の化粧料本体組成物と、導入した水素ガスとがポンプの内部流に巻き込まれて予備粉砕された状態で液体処理ノズルに供給されるから、水素気泡の微細化をより効率的に行うことができる。ポンプは、ベーンポンプか渦流ポンプを用いることが、予備粉砕効率が高いため望ましい。
化粧料本体組成物と水素ガスとの混相流は液体処理ノズルに対し、ポンプを用いて循環供給することができる。低粘度の液体では、一旦形成した微細気泡が強撹拌領域を再度通過する際に再合一して浮上し、微細気泡濃度の増加が鈍る場合があるが、溶存水素の蒸発速度が小さい高粘度の化粧料本体組成物においてはその再合一が生じにくいために、循環継続に伴う微細気泡の増加が非常に顕著である。この場合、化粧料本体組成物に対する水素ガスの添加を継続しつつ混相流の液体処理ノズルに対する循環供給を継続すれば、水素気泡の体積率を上げながらその微細化も合わせて進行させることができる。また、水素ガスの添加を中断した状態で混相流の液体処理ノズルに対する循環供給を継続すれば、1回の通過では微細気泡まで粉砕しきれなかった径の大きい気泡も、液体処理ノズル内に発生する強撹拌領域を再度通過することで微細気泡に粉砕していくことが可能となり、微細気泡の体積率向上に貢献する。
次に、本発明に採用可能な液体処理ノズルの、より具体的構成について説明する。
衝突部に形成する複数巻の山部は、らせん状に一体形成することができる。このようにすると、山部の形成が容易になるほか、流れに対し山部が傾斜することで、山部の稜線部を横切る流れ成分が増加し、流れ剥離に伴う乱流発生効果が著しくなるので、気泡のさらなる微細化を図ることができる。この場合、衝突部は、脚部末端側が流路内に突出するねじ部材にて形成しておくと、該ねじ部材の脚部の外周面に形成されるねじ山を山部として利用でき、製造が容易である。衝突部をたとえばJIS並目ピッチのねじ部材で構成する場合、衝突部は外径Mを1.0mm(谷部の深さは0.25mm)以上2.0mm(谷部の深さは0.40mm)以下とするのがよく、より望ましくは1.4mm(谷部の深さは0.30mm)以上1.6mm(谷部の深さは0.35mm)とするのがよい。
衝突部に形成する複数巻の山部は、らせん状に一体形成することができる。このようにすると、山部の形成が容易になるほか、流れに対し山部が傾斜することで、山部の稜線部を横切る流れ成分が増加し、流れ剥離に伴う乱流発生効果が著しくなるので、気泡のさらなる微細化を図ることができる。この場合、衝突部は、脚部末端側が流路内に突出するねじ部材にて形成しておくと、該ねじ部材の脚部の外周面に形成されるねじ山を山部として利用でき、製造が容易である。衝突部をたとえばJIS並目ピッチのねじ部材で構成する場合、衝突部は外径Mを1.0mm(谷部の深さは0.25mm)以上2.0mm(谷部の深さは0.40mm)以下とするのがよく、より望ましくは1.4mm(谷部の深さは0.30mm)以上1.6mm(谷部の深さは0.35mm)とするのがよい。
液体流路内への衝突部の配置形態としては、たとえばもっとも単純なものの一つとして、流路断面を二分する形で直径方向に配置する形態を例示できる。この構成は、比較的小流量の液体処理ノズルに有効である。具体的には、液体流路の内径Dを2mm以上4.5mm以下(望ましくは2mm以上3.5mm以下)に設定し、全流通断面積Stを1.2mm2以上10mm2以下(望ましくは1.2mm2以上5mm2以下)に設定するのがよく、良好な微細気泡形成効率を達成できる。
一方、衝突部は投影において中心軸線を取り囲む形態で3以上配置すること、たとえば十字形態に4つ配置することも可能である。この構成は、大流量が求められる構成において、良好な微細気泡形成効率を達成する上で有効である。絞り孔にそれぞれ形成される十字形態の衝突部の組は、たとえばノズル本体の壁部外周面側から先端が絞り孔内へ突出するようにねじ込まれる複数本のねじ部材により容易に形成できる。4本以外では、3本、5本、6本、7本、8本の中から選択することができる。
突出部を4つ十字状に配置する構成では、具体的には、液体流路の内径Dを2.5mm以上7mm以下(望ましくは2.9mm以上5.5mm以下)に設定し、全流通断面積Stを2.5mm2以上35mm2以下(望ましくは4mm2以上13mm2以下)に設定するのがよく、良好な微細気泡発生効率を達成できる。この場合、複数の衝突部の先端が集合する断面中心位置に液体流通ギャップを形成することができる。たとえば十字の中心位置に液体流通ギャップを形成すると、最も高流速となる断面中央の流れ(中心流)が液体流通ギャップの形成により妨げられにくくなり、微細気泡の発生効率がより向上する。
本発明の液体処理ノズルにおいては、ノズル本体に形成する液体流路を単一とすることができる。この場合、被処理液体の全流量を増やしたい場合は、分岐継手等によりノズルを複数並列に接続することができる。このようにすると、ノズル1本あたりの流量は小さくても、全体ではキャビテーション効果を犠牲にすることなく十分な流量が確保できるようになる。
一方、液体流路を液体入口側の流入室と液体出口側の流出室とに区画する隔壁部と、隔壁部に貫通形成され流入室と流出室とを互いに別経路にて連通させる複数の絞り孔とを備え、処理コア部は、絞り孔の内面から各々突出する形で衝突部を形成することも可能である。すなわち、複数のノズルを並列接続する場合は、衝突部が配置される処理コア部の前後の流路が各ノズルに独立して配置される構造になるが、上記の構成では、隔壁部に複数の絞り部を形成し、その前後の流路区間を、該隔壁部が区画する流入室ないし流出室に集約して、それら複数の絞り部により共有化させる形となるのである。これにより、流路が複数系統に分岐する区間は隔壁部に形成された絞り孔のみに短縮することができ、分岐流路が長くなることに由来した偏流発生の防止に貢献する。高粘度の化粧剤原料を流通させる場合、気泡の偏流は特に発生しやすいので、この構成の採用は均質な水素微細気泡を高体積率で形成する上で特に有効である。この場合も、処理コア部において複数の絞り孔のそれぞれに、ノズル本体の軸線と直交する平面への投影において衝突部が孔中心軸線を取り囲む十字形態に4つ配置し、それら4つの衝突部が形成する十字の中心位置に液体流通ギャップが形成された構成とすることができる。
以上の好ましい液体処理ノズルの構成を踏まえ、0.7MPaの窒素ガスによる5分間の加圧処理後の水素微細気泡の含有率が0.5体積%以上30体積%以下となる本発明の水素添加高粘度化粧料を実現する上で典型的な液体処理ノズルを例示すると、たとえば衝突部が投影において中心軸線を取り囲む十字形態に4つ配置されたM1.2以上M2.0以下(望ましくはM1.4以上M1.8以下)のねじ部材であり、液体流路の内径Dが2.5mm以上6mm以下、全流通断面積(液体流路1個あたり)が2.5mm2以上20mm2以下に設定されたものを使用することができる。ねじ部材の寸法が上記の範囲外になると微細気泡の形成効率が十分でなくなる場合がある。また、全流通断面積は上記の下限値未満では高粘性の化粧料本体組成物の流通抵抗が高くなりすぎて処理効率の低下を招く。また、上限値を超えた場合は衝突部での流速低下により微細気泡の形成効率が十分でなくなる場合がある。
このとき、化粧料本体組成物と水素ガスとを液体処理ノズルに供給する条件としては、混相流を形成するための水素ガス流量をQ1、化粧料本体組成物の流量をQ2としたとき、液体入口側の動圧を0.1MPa以上0.5MPa以下(望ましくは0.2MPa以上0.4MPa以下)に設定し、水素ガスの化粧料本体組成物に対する流量比Q1/Q2が0.01以上0.2以下(望ましくは0.03以上0.1以下)となるように設定するのがよい。液体入口側の動圧が下限値未満では衝突部での流速低下により微細気泡の形成効率が十分でなくなる場合がある。上限については、本来制限はないが、ポンプの能力等を考慮して適宜上記のような値に定めるのがよい。また、流量比Q1/Q2が上記の下限値未満になると水素微細気泡の形成体積率を十分に確保できなくなるか、確保するのに長時間の循環が必要となる(ただし、時間についての制限が問題にならない場合は、循環を前提に流量比をさらに小さく設定することを妨げない)。他方、流量比Q1/Q2が上記の上限値を超えると衝突部の水素ガスによるホールドアップにより、気泡の粗大化を招く恐れがある。
上記の方法を採用したとき、1000mPa・s以上2000mPa・s以下に粘度調整を行うことで、水素微細気泡の持続性がさらに良好な化粧剤を得ることができ、具体的には20℃の大気中にて7日間という長時間放置した後にあっても、水素微細気泡の含有率を0.5体積%以上25体積%以下の高い値に維持することが可能となる。
本発明に採用可能な化粧料本体組成物は、特に限定されるものではなく、粘度が本発明に規定された範囲内に調整されたものであれば、たとえば特許文献17〜特許文献21に開示されたもの等、周知の構成を例示することができる。化粧料本体組成物に採用可能な主な構成成分を以下に列挙する。
水は液状の組成物のベースをなす成分であり、RO水やイオン交換水を使用する。
適宜、水性溶媒を配合することができる。水性溶媒としては、ポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコール共重合物またはそのアルキルエーテル、ポリエチレングリコールまたはそのアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンジカルボン酸エステル、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,2−ペンタングリコール、1,2−ヘキサングリコール、2−メチル−1,3−プロパノール、エチルカルビトール、1,2−ブチレングリコール、グリセリン等。これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用可能である。
適宜、水性溶媒を配合することができる。水性溶媒としては、ポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコール共重合物またはそのアルキルエーテル、ポリエチレングリコールまたはそのアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンジカルボン酸エステル、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,2−ペンタングリコール、1,2−ヘキサングリコール、2−メチル−1,3−プロパノール、エチルカルビトール、1,2−ブチレングリコール、グリセリン等。これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用可能である。
油相成分としては以下の1種又は2種以上を採用することができる。
液体油脂:アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等。
液体油脂:アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等。
固体油脂:カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等。
ロウ類:ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル。
炭化水素油:流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等。
合成エステル油:ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N‐ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2‐ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等。
シリコーン油:鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)、アクリルシリコーン類等。
さらに油分中には、高級脂肪酸を一種または二種以上配合することが好適である。油分中にこれらを配合することで乳化粒子が更に微細化される。高級脂肪酸としては炭素数16〜24のものが好適であり、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、イソミリスチン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等が挙げられる。
また、通常、化粧品、医薬品等に用いられ下記の成分を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる(機能により、上記の成分と重複しているものもある)。
保湿剤:ポリエチレングリコール及びそのアルキルエーテル、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ムコ多糖、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、キトサン等。これらは増粘剤としても機能しうる。
保湿剤:ポリエチレングリコール及びそのアルキルエーテル、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ムコ多糖、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、キトサン等。これらは増粘剤としても機能しうる。
増粘剤:セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、クインスシード、カラギーナン、ペクチン、マンナン、カードラン、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、アラビアガム、ゼラチン、ヒアルロン酸、ゼラチン、ムコ多糖、チューベロース多糖体等。
抗菌防腐剤:安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル(エチルパラベン、ブチルパラベンなど)、ヘキサクロロフェン等。
抗菌防腐剤:安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル(エチルパラベン、ブチルパラベンなど)、ヘキサクロロフェン等。
有機酸:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン、タウリン、アルギニン、ヒスチジンなどのアミノ酸とその塩。アシルサルコシン酸(例えばラウロイルサルコシンナトリウム)、グルタチオン、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸等。
各種薬剤:ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2及びその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15及びその誘導体などのビタミンB類、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル(塩)、アスコルビン酸ジパルミテートなどのビタミンC類、α―トコフェロール、β―トコフェロール、γ―トコフェロール、ビタミンEアセテート、ビタミンEニコチネートなどのビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチンなどのビタミン類。ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ―オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸及びその誘導体、ヒノキチオール、ムシジン、ビサボロール、ユーカリプトール、チモール、イノシトール、サポニン類(サイコサポニン、ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポニンなど)、パントテニルエチルエーテル、エチニルエストラジオール、トラネキサム酸、セファランチン、プラセンタエキス等。
天然エキス:ギシギシ、クララ、コウホネ、オレンジ、セージ、タイム、ノコギリソウ、ゼニアオイ、センキュウ、センブリ、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サワラなどから有機溶剤、アルコール、多価アルコール、水、水性アルコールなどで抽出したもの。
界面活性剤:ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイドなどのカチオン界面活性剤。モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキセチレンソルビタン、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリコールジエーテル、ラウロイルジエタノールアマイド、脂肪酸イソプロパノールアマイド、マルチトールヒドロキシ脂肪酸エーテル、アルキル化多糖、アルキルグルコシド、シュガーエステル等の非イオン性活性剤。ルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル、ロート油、リニアドデシルベンゼン硫酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸、アシルメチルタウリン等のアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤。
金属封鎖剤:エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等。
中和剤:水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン等の。
中和剤:水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン等の。
また、その他、香料、スクラブ剤、粉末、色材、美白剤、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤などの紫外線防御剤なども、安定性などを損なわない範囲で適宜配合することができる。紫外線吸収剤の例としては下記のものが使用可能である。
安息香酸系紫外線吸収剤:パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAメチルエステル等。
アントラニル酸系紫外線吸収剤:ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等。
サリチル酸系紫外線吸収剤:アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等。
アントラニル酸系紫外線吸収剤:ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等。
サリチル酸系紫外線吸収剤:アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等。
桂皮酸系紫外線吸収剤:オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトヘキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート、トリメトキシ桂皮酸メチルビス(トリメチルシロキサン)シリルイソペンチル等。
その他:3−(4’−メチルベンジリデン)−d,1−カンファー、3−ベンジリデン−d,1−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等。
本発明の作用及び効果の詳細については、「課題を解決するための手段」の欄にすでに記載したので、ここでは繰り返さない。
以下、本発明を実施するための形態を添付の図面を用いて説明する。
図1は、本発明の水素添加高粘度化粧料の製造装置の一例を概念的に示すものである。該装置500において、原料となる化粧料本体組成物502は、粘度が300mPa・s以上6000mPa・s以下(望ましくは300mPa・s以上3000mPa・s以下、より望ましくは1000mPa・s以上2000mPa・s以下)に調整された状態で、タンク501に貯留されるとともに、該タンク501から延出する循環配管51の途上に、エジェクタ等で構成されるガス導入部219、送液ポンプ505及び液体処理ノズル1がこの順序で設けられている。ガス導入部219には減圧弁411及びガス供給チューブ412を介して水素ガス供給源としての水素ボンベ420から水素ガスが供給されるようになっている。なお、水素ガス供給源としては水素ボンベ以外に、電解式水素発生装置や、可逆的に水素を吸着・脱着する水素吸蔵合金を水素ガス貯留部として使用し、加熱による水素吸蔵合金からの水素脱着により水素ガスを放出する水素合金キャニスターを使用してもよい。また、送液ポンプ505は、気液混相流の送液に適したベーンポンプ、渦流ポンプにて構成され、特にベーンポンプを用いることが望ましい。
図1は、本発明の水素添加高粘度化粧料の製造装置の一例を概念的に示すものである。該装置500において、原料となる化粧料本体組成物502は、粘度が300mPa・s以上6000mPa・s以下(望ましくは300mPa・s以上3000mPa・s以下、より望ましくは1000mPa・s以上2000mPa・s以下)に調整された状態で、タンク501に貯留されるとともに、該タンク501から延出する循環配管51の途上に、エジェクタ等で構成されるガス導入部219、送液ポンプ505及び液体処理ノズル1がこの順序で設けられている。ガス導入部219には減圧弁411及びガス供給チューブ412を介して水素ガス供給源としての水素ボンベ420から水素ガスが供給されるようになっている。なお、水素ガス供給源としては水素ボンベ以外に、電解式水素発生装置や、可逆的に水素を吸着・脱着する水素吸蔵合金を水素ガス貯留部として使用し、加熱による水素吸蔵合金からの水素脱着により水素ガスを放出する水素合金キャニスターを使用してもよい。また、送液ポンプ505は、気液混相流の送液に適したベーンポンプ、渦流ポンプにて構成され、特にベーンポンプを用いることが望ましい。
図2は液体処理ノズルの横断面を、図3はその液体入口側の軸線方向からの拡大側面を示すものである。この液体処理ノズル1は、液体流路3が形成されたノズル本体2を備える。ノズル本体2は円筒状に形成され、その中心軸線Oの向きに円形断面の液体流路が貫通形成されている。ノズル本体2には、液体流路3を液体入口4側の流入室6と液体出口5側の流出室7とに区画する隔壁部8と、隔壁部8に貫通形成され流入室6と流出室7とを互いに別経路にて連通させる複数の絞り孔9と、絞り孔9の内面から各々突出する衝突部10とからなる処理コア部COREが形成されている。図3において、隔壁部8に絞り孔2は中心軸線Oに関して軸対象となるように、同一内径にて2個形成されている。流入室6及び流出室7の各内周面は、処理コア部COREに向けて縮径するテーパ面14とされている。
図5は、そのうちの一方を拡大して示すものであり、衝突部10は外周面に周方向の山部11と高流速部となる谷部12とが複数交互に連なるように形成されている。衝突部10は、この実施形態では、脚部末端側が流路内に突出するねじ部材(以下、「ねじ部材10」ともいう)であり、結果、衝突部に形成される複数巻の山部11は、らせん状に一体形形成されている。なお、山部及び谷部は、らせん状に一体化せず、周方向に閉じたものを衝突部の軸線方向に複数密接配列してもよい。ノズル本体2の材質は、たとえばABS、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアセタール、PTFEなどの樹脂であるが、ステンレス鋼や真鍮などの金属やアルミナ等のセラミックスとしてもよく、用途に応じて適宜選択される。また、ねじ部材10の材質はたとえばステンレス鋼であるが、用途に応じて、より耐食性の高いチタンやハステロイ、インコネル(いずれも商標名)などの耐熱合金を用いてもよいし、耐摩耗性が問題となる場合は石英やアルミナなどのセラミック材料を用いることも可能である。
図3に示すように、衝突部10は、処理コア部COREにおいて複数の絞り孔9のそれぞれに、ノズル本体2の軸線Oと直交する平面への投影において、各絞り孔9の中心軸線を取り囲む十字形態に4つ配置されている。図5に示すように、各絞り孔9において、ねじ部材10と絞り孔9内周面との間には主流通領域21が形成される。また、4つの衝突部10が形成する十字の中心位置には、液体流通ギャップ15が形成されている。液体流通ギャップ15を形成する4つの衝突部10の先端面は平坦に形成され、前述の投影において液体流通ギャップ15は正方形状に形成されている。絞り孔9(液体流路)の内径Dは2.5mm以上7mm以下(望ましくは2.9mm以上5.5mm以下)に設定され、主流通領域21と液体流通ギャップ15とからなる液流通領域の全流通断面積Stは2.5mm2以上35mm2以下(望ましくは4mm2以上13mm2以下)に設定される。
図4は処理コア部COREを拡大して示すものである。絞り孔9にそれぞれ形成される衝突部の組は、ノズル本体2の壁部外周面側から先端が絞り孔9内へ突出するようにねじ込まれる4本のねじ部材により形成されている。図3に破線で示すように、ねじ部材10は、ノズル本体2の壁部に貫通形成されたねじ孔19にねじ込まれ、各ねじ孔19のねじスラスト方向途中位置にはねじ頭下面を支持するための段付き面19rが形成されている。該段付き面19rの形成位置は、ねじ部材10をねじ込んだ時に、絞り孔9内に突出するねじ脚部(すなわち、衝突部となる部分)の長さが、液体流通ギャップ15を形成するのに適正となるように調整されている。なお、小ロット生産時のように、液体処理ノズル1に流通する化粧料本体組成物の流量を小さくできる場合は、絞り孔9を1個のみとしてもよく、また、ねじ部材も直径方向に対向する2本のみとしてもよい。
図2に示すように、複数の絞り孔9の間でねじ部材10の干渉を回避するために、各絞り孔9に組み込む4つのねじ部材10の組は、それら絞り孔9の間で軸線方向にて互いにずれた位置に配置されている。また、図4においては、同一の絞り孔9内の複数のねじ部材10A,10Bと10C,10Dとは、該絞り孔9の軸線方向(流れ方向)にて互いにずれた位置に配置されている。具体的には、各絞り孔9において、同一平面上で互いに直交する位置に配置されたねじ部材の対10A,10B及び10C,10Dが、それぞれ流れ方向において互いに異なる位置(図中、上側の絞り孔9については下流側のA及びBの位置に、下側の絞り孔については上流側のC及びD位置)に配置されている。それぞれ図1の中心軸線Oと直交する平面への投影では、A及びBの位置の4つのねじ部材10A,10B、及びC及びD位置の4つのねじ部材10C,10Dが、それぞれ十字形態をなすように配置されることとなる。
図6において、絞り孔9は、それら絞り孔9の軸断面積の合計と等価な円の直径をde、絞り孔9の長さをLとして、L/deにて定義される絞り孔アスペクト比が3.5以下に設定されている。図6において、2つの絞り孔9の内径が互いに異なる一般の場合(d1,d2)は、絞り孔アスペクト比は、L/(d12+d22)1/2となる。図6では、2個の絞り孔9は内径と長さが互いに等しい円筒面をなすように形成されており、2つの絞り孔9の内径をdとして、絞り孔アスペクト比は0.71L/dである。絞り孔アスペクト比L/deの値は、望ましくは3以下であること、より望ましくは2.5以下であるのがよい。
図3に戻り、ノズル本体2の軸線Oと直交する平面への投影において、隔壁部8の投影領域の中心位置に定められた基準点Oから複数の絞り孔9の内周縁までの距離(絞り孔変位)Tは、該絞り孔9の内径dよりも小さくなるように、複数の絞り孔9は基準点Oの周りに近接配置されている。絞り孔変位Tは絞り孔9の内径dの望ましくは1/2以下であるのがよい。さらに、本実施形態では、同じ投影において、複数の絞り孔9の内周縁に対する外接円20の面積をSt、絞り孔9の投影領域の合計面積をSrとしたとき、K≡Sr/Stにて定義される絞り孔9集約率Kが0.2以上とされている。
また、図6に示す如く、絞り孔9の衝突部10よりも下流に位置する区間の長さ(以下、残区間という)をLp(Lp2〜Lp4の平均値)とし、絞り孔9の軸断面積の合計と等価な前述の円の直径をdeとして、Lp/deにて定義される残区間アスペクト比は1.0以下に設定されている。図6では、最も下流側に位置するねじ部材10Aに関しては、残区間の長さがゼロであるが、図7に示す如く、ねじ部材10Aに関し残区間がゼロでない長さLp1を有する場合は、上記残区間長さLpはLp1〜Lp4の平均値となる。
以下、図1の装置550を用いた水素添加高粘度化粧料の製造工程について説明する。すなわち、タンク501に粘度調整済みの化粧料本体組成物502を投入して送液ポンプ505を動作させると、タンク501からの化粧料本体組成物はガス導入部219にて水素ボンベ420からの水素ガスが供給されて混相流となり、送液ポンプ505内に吸い込まれる。混相流を形成するための水素ガス流量をQ1、化粧料本体組成物の流量をQ2としたとき、液体処理ノズル1の液体入口側の動圧は0.1MPa以上0.5MPa以下(望ましくは0.2MPa以上0.4MPa以下)に設定され、水素ガスの化粧料本体組成物に対する流量比Q1/Q2が0.01以上0.2以下(望ましくは0.03以上0.1以下)となるように設定される。
送液ポンプ505の内部では水素ガスがポンプ内撹拌流に巻き込まれることにより、水素ガス相がたとえば50〜1000μm程度の気泡に予備粉砕されて、ポンプ下流側の液体処理ノズル1に供給されるので、水素ガスの溶解効率及び1μm以下の微細気泡への粉砕効率が一層高められる。そして、混相流はこの状態で液体処理ノズル1にて水素ガスの溶解及び微細気泡への粉砕処理がなされ、タンク502に戻る。以降、タンク内の水502は循環しながら水素ガスの溶解及び微細気泡への粉砕が継続され、水微細気泡の形成濃度が高められる。
図2の液体処理ノズル1内での作用は次のようなものである。図8に示すごとく、混相流ははまず一括してテーパ部13で絞られ、さらに個々の絞り孔9へ分配されて、主流通領域21と液体流通ギャップ15とからなる液流通領域により個別に絞られて、ねじ部材10に衝突しながらこれを通過する。ねじ部材10の外周面を通過するときに、図9に示すように流れは谷部に高速領域を、山部に低速領域をそれぞれ形成する。すると、谷部の高速領域はベルヌーイの定理により負圧領域となり、キャビテーションすなわち溶存ガス(原料液体中の溶存空気と、添加された水素ガスの溶存成分であり、原料液体が脱気して用いられる場合は後者のみとなる場合がある)の減圧析出により、気泡FBが発生する。
谷部はねじ部材10の外周に複数巻形成され、かつねじ部材10が絞り孔9内に複数配置されていることから、この減圧析出は絞り孔9内の谷部にて同時多発的に起こることとなる。すると、図10に示すように、液流がねじ部材10に衝突する際に谷部での減圧析出が沸騰的に激しく起こり、さらにねじ部材10の下流に迂回する際に生ずる渦流にこれを巻き込んで激しく撹拌する。衝突部10の周辺及び直下流域には、微小渦流FEを無数に含んだ顕著な強撹拌領域SMが形成されることとなる。気泡を析出する減圧域は衝突部10周囲の谷底付近に限られており、高速の液体流はほとんど瞬時的に該領域を通過してしまうから、発生した気泡FBはそれほど成長せずに上記の撹拌領域に巻き込まれ、過度に成長する心配がない。そして、液体処理ノズル1に供給される化粧料本体組成物には、ポンプ505で予備粉砕された水素ガスの気泡が混入して混相流を形成しているので、水素微細気泡となるべきガス相は衝突部10の下流の強撹拌領域SMに巻き込まれることで化粧料本体組成物との混合が顕著に進み、微細気泡化をきわめて効率的に行うことができる。
また、液体処理ノズル1においては、隔壁部8に複数の絞り部を形成し、その前後の流路区間を、該隔壁部8が区画する流入室6ないし流出室7に集約して、それら複数の絞り部により共有化させる構造を採用しているので、流路が複数系統に分岐する区間は隔壁部8に形成された絞り孔9のみとなる。その結果、絞り孔9内での流速の低下ないし不均一化が抑制され、水素ガスが絞り孔9の一部のものに偏ってしまう、いわゆる偏流を確実に防止することができる。すなわち、衝突部10を有する絞り孔9を複数形成することで十分なキャビテーション効果と十分な流量とを両立することができ、かつ、複数の絞り孔9間での偏流が効果的に抑制され、キャビテーション効果に基づいた微細気泡発生を安定に継続することができる。
図8は、液体処理ノズル1を流れ方向が水平になるように配置してガス溶解を行う様子を示すものである。液体入口4から混相流を導入したとき、そのガス相をなす気泡Gは重力によって上に偏って流れやすくなり、上方に位置する絞り孔9にガス相が偏りやすくなる。この場合は、ガス相流量の小さい下側の絞り孔9側での液体流F1により主に作られる強撹拌領域SMを、流出室7にてガス相流量の大きい上側の絞り孔9からの流れF2が共有できるので、同様に良好なガスの溶解・粉砕が可能である。一方、図10は、液体処理ノズル1を流れ方向が垂直になるように配置してガス溶解を行う様子を示すものである。ガスを導入する液体入口4は当然下側に位置するようにして混相流を導入することとなる。複数の絞り孔9は絞り孔アスペクト比が小さく、かつ、隔壁部8の中央付近に近接配置されているので、液相・ガス相ともに偏流は生じにくく、ガス相GBは各絞り孔9に均一に分配され、一様なガス溶解が可能となる。
水素ガスの気泡は衝突部10の谷部を通過する際に摩擦により激しく剪断され、化粧料本体組成物の粘性に打ち勝って粉砕されるとともに強撹拌領域SMに巻き込まれることで一挙に微細気泡(1μm未満)のレベルにまで粉砕される。このとき、撹拌により一旦溶存した水素ガスの一部は、谷部ないし強撹拌領域で水素微細気泡として再析出する。そして、化粧料本体組成物の粘度が高いために、一旦剪断と撹拌により粉砕された水素気泡の再合一は、低粘度の液体を用いる場合と比較して起こりにくくなり、また溶存した水素ガスが気泡として再析出する際の成長速度が小さくなる、低粘度の液体では、一旦形成した微細気泡が強撹拌領域を再度通過する際に再合一して浮上し、微細気泡濃度の増加が鈍る場合があるが、溶存水素の蒸発速度が小さい高粘度の化粧料本体組成物においてはその再合一が生じにくいために、循環継続に伴う微細気泡の増加が非常に顕著である。
こうして水素微細気泡が導入された化粧料本体組成物は、25℃における粘度が300mPa・s以上6000mPa・s以下の高い値を示すにもかかわらず、水素微細気泡は0.5体積%以上30体積%以下という、従来決して到達しえなかった含有率に到達する。これは、液状の化粧料本体組成物よりも密度がはるかに低い水素微細気泡が高密度にて分散保持される結果、水素添加前の化粧料本体組成物に対し、見かけ比重が巨視的に低下することを意味する。その結果、循環継続に伴い、目視でもわかるほど化粧料本体組成物の見かけ体積の増加を伴って水素微細気泡はその体積含有率を増大させる。そして、重要な点は、後述の実施例でも詳細に示すごとく、その見かけ比重が、0.7MPa(7気圧)の窒素ガスによる5分間の加圧処理後においてもそれほど減少しないという点である。これは、見かけ比重の変化に寄与するガス状水素の大半が加圧により消滅しない微細気泡として存在していることの証左でもある。たとえば、化粧料本体組成物の粘度が1000mPa・sを超えると、循環中に気泡がほとんど浮上消滅しなくなる結果、供給した全水素体積が化粧料本体組成物の見かけ体積の増分とほとんど等しくなる。窒素ガスによる加圧処理後の体積減少率が知れていれば、タンク501内の液面上昇から、導入された微細気泡の総量を容易に把握することができる。そして、微細気泡の総量が所期の値に到達したら水素ガスの供給と循環を停止し、図1の取出口503から処理済みの水素添加高粘度化粧料を取り出す。処理済みの水素添加高粘度化粧料は直ちに容器充填して製品化してもよいし、常圧ないし加圧状態で一定時間粗大な気泡を消滅させる安定化処理を行ってから容器充填するようにしてもよい。
なお、添加する水素微細気泡の量がそれほど大きく求められない場合は、液体処理ノズル1に対し液体を1パスだけ流通させる方式を採用することもできる。図12に、該方式を具現化できる本発明のガス溶解装置の一例を示す。該装置550は、図1の装置500と多くの部分において共通しているが、タンク501から延出する配管507が、1パスの化粧料本体組成物供給配管として形成されている点が相違する(その余の構成要素については図1の装置500と同一であるので、同じ符号を付与し、説明は繰り返さない)。そして、図1と同様に、ガス導入部219には減圧弁411及びガス供給チューブ412を介して水素ガス供給源としての水素ボンベ420から水素ガスが供給される。水素ガス溶解済みの水素添加高粘度化粧料514は流出口511から回収容器512に回収される。なお、流出口511に図示しないボトリング用ノズルを取り付け、回収容器512に注入せず、化粧料の個別容器にボトリングし、密封するようにしてもよい。
以下、本発明の水素添加粘性化粧料の種々の製品形態について説明する。
水素添加粘性化粧料はエアゾール製品とすることが可能である。図13はその一例を示すものであり、エアゾール製品300は、水素添加粘性化粧料302は噴射ガス303と接する状態でエアゾール容器301内に加圧封入されている。噴射ガスの種別は限定されないが、たとえば窒素やアルゴンなどの不活性ガスとすることができる。噴射ガスの充てん内圧はたとえば0.3MPa以上であり、35℃にて1.0MPaを超えない値を上限とする。エアゾール容器301内の水素添加粘性化粧料302の占有空間と噴射ガス303充填空間との合計体積に対する、水素添加粘性化粧料302の占有空間体積率は0.3以上0.7以下である(これらはすべて周知の数値範囲である)。また、エアゾール噴射性を考慮して水素添加粘性化粧料302の粘度は2000mPa・s以下に調整される。
水素添加粘性化粧料はエアゾール製品とすることが可能である。図13はその一例を示すものであり、エアゾール製品300は、水素添加粘性化粧料302は噴射ガス303と接する状態でエアゾール容器301内に加圧封入されている。噴射ガスの種別は限定されないが、たとえば窒素やアルゴンなどの不活性ガスとすることができる。噴射ガスの充てん内圧はたとえば0.3MPa以上であり、35℃にて1.0MPaを超えない値を上限とする。エアゾール容器301内の水素添加粘性化粧料302の占有空間と噴射ガス303充填空間との合計体積に対する、水素添加粘性化粧料302の占有空間体積率は0.3以上0.7以下である(これらはすべて周知の数値範囲である)。また、エアゾール噴射性を考慮して水素添加粘性化粧料302の粘度は2000mPa・s以下に調整される。
具体的には、エアゾール容器301の頂部305の開口には、周知のバルブユニット306が気密に一体化されたマウンテンカップ308が組み付けられ、バルブユニット306の下端からはディップチューブ304が容器内にて下方に伸び、その下端側が内容物である水素添加粘性化粧料302中に浸漬されている。バルブユニット306に取り付けられたノズル307を押下するとバルブが開き、水素添加粘性化粧料302を加圧する噴射ガスがバルブユニット306内にも流入しつつ、ディップチューブ304により吸い上げられた水素添加粘性化粧料302がノズル307から噴射ガスとともに噴射される。
上記の構成では、水素添加粘性化粧料302と接する状態で窒素やアルゴンなどの不活性ガスを噴射ガス303として充てんした場合、ガス平衡の物理原理により水素添加粘性化粧料302は噴射ガス303の充填空間内に継時的に蒸散する。その結果、エアゾール容器302を開封して測定した水素添加粘性化粧料302中の水素微細気泡の含有率は比較的低い値となる。たとえば0.5体積%以上5体積%以下を、その具体的な数値として例示できる。しかし、エアゾール容器302内にて数気圧もの高圧で加圧されることにより化粧料本体組成物302の水素溶解度が大幅に上昇し、かつ溶存水素が容器内空間(303)に蒸散する環境となっていることを考えれば、上記の値は、そのような過酷な環境となるエアゾール容器301内でも水素微細気泡が消滅せずに相当量残留する、ということも意味するのであり、従来全く存在しなかったエアゾール製品が実現されているのである。
水素添加粘性化粧料303の液相には微細気泡から溶出した溶存水素が含有され、エアゾール容器301内に密閉されて酸素の混入が遮断されることから、容器内の組成物は長期にわたって還元性を維持し、たとえばエアゾール容器301を開封して測定した酸化還元電位の値を−30mV以下に維持することができる。また、水素添加粘性化粧料302の粘度を、より高い数値範囲である1000mPa・s以上2000mPa・s以下に調整すれば、不活性ガスにより加圧されていても水素微細気泡の体積率減少はかなり抑制され、エアゾール容器を開封して測定した水素微細気泡の含有率を、たとえば2体積%以上確保することができる。
次に、図14のエアゾール製品350は、水素添加粘性化粧料302を、ガス遮断性を有した可撓性の副容器311内に封入し、該副容器311の外側を加圧する噴射用加圧ガス303とともにエアゾール容器301内に収容した構成である。これによると、副容器311に封入された水素添加粘性化粧料は、噴射ガス空間への水素ガスの蒸散が抑えられる。
該容器の構成自体は、特許文献16あるいは17により周知のものである。エアゾール容器301の頂部305の開口に、バルブユニット306が気密に一体化されたマウンテンカップ308が組み付けられている点は図13と同じであるが、バルブユニット306には噴射用加圧ガス303が流入しない構造となっている。また、副容器303はアルミラミネートフィルムなどの酸素遮断性(これが、結果的に水素ガスの遮断性も付与することなる)を有した樹脂製であり、バルブユニット306の下端に一体化されたディップチューブ304の下端側を外側から覆いつつ、ディップチューブ304に対し封止ブロック310によって液密に結合されている。図14は、水素添加粘性化粧料302を充てん前の状態を示しており、ディップチューブ304の周囲に巻き畳まれた状態で仮止めバンド311bにより結束されている。
このタイプのエアゾール製品の充填アセンブリ工程はおおむね次のように実施される。すなわち、エアゾール容器301に、バルブユニット306、マウンテンキャップ308、副容器303及びディップチューブ304及び封止ブロック310からなる内部アセンブリを、マウンテンキャップ308を加締めない形でセットし、図示しないチャンバー内にてマウンテンキャップ308とエアゾール容器301の開口との隙間から空気等の噴射用加圧ガス303を副容器303とエアゾール容器301との間に加圧充填し、その状態でマウンテンキャップ308をエアゾール容器301に加締め嵌着し、噴射用加圧ガス303だけが先に充てん・封止された状態を形成する。次いで、バルブユニット306からディップチューブ304を経由して副容器303内に、使用時とは逆のパスにて水素添加粘性化粧料302を、噴射用加圧ガス303の加圧力に抗して圧入充填する。副容器303は水素添加粘性化粧料302の充填により、仮止めバンド311bによる結束状態を破ってエアゾール容器301内で膨張し、充填が完了する。
使用時は、バルブユニット306に取り付けられたノズル307を押下するとバルブが開き、噴射用加圧ガス303の加圧によりディップチューブ304により吸い上げられた水素添加粘性化粧料302のみがノズル307から噴射される。この構成によると、噴射用加圧ガス303により副容器311の壁部を介して常に加圧付勢された状態を保って水素添加粘性化粧料が噴射されることから、エアゾールの内容物を使い切るまで副容器311内には空間が残留せず、水素添加粘性化粧料の液相は、多量に含有される水素微細気泡により溶存水素濃度が加圧状態での飽和値近くに維持される。その結果、不活性ガスなどと直接接触する図13のエアゾール製品300の充填形態と比較して、水素溶出に伴う微細気泡の消滅は大幅に抑制される。すなわち、副容器311を取り出し開封して測定した水素微細気泡の含有率をより大きく確保でき、たとえば3体積%以上25体積%以下とすることができる。なお、このエアゾール製品形態についても水素添加粘性化粧料の粘度は2000mPa・s以下に調整されることが望ましい。
上記の水素添加粘性化粧料は水素微細気泡の大気圧下での安定性が非常に高いことから、外気を遮断する容器であれば、図14及び図14のようなエアゾール製品に限らず、常圧にて封入した製品形態でも十分に成り立つ品質安定性を確保できる。図15〜図17にそのいくつかの具体例を示している。図15は、樹脂ラミネート容器355に水素添加粘性化粧料を充てんした例であり、チューブ本体356を手で押しながら内容物を少しずつ絞り出して使用する。使用後はチューブ本体356を押さえ、内容物が流出口に摺り切りになった状態を保ってキャップ357を被せると、容器内部には空間が残留せず、水素微細気泡の体積率が高い状態を長期にわたって維持できる。チューブ本体356の材質はアルミラミネートフィルムなど、ガス透過を遮断する材質が望ましいが、高粘度の水素添加粘性化粧料の場合は、チューブ壁部を介した水素の蒸散速度が非常に遅いので、ガス遮断性に多少劣る通常の樹脂フィルムなども十分活用できる。
この点、水素添加粘性化粧料の粘度が高ければ、図16に示すような広口容器360や、図17のようなボトル型容器370の活用も可能であるといえる。図16及び図17の容器は、いずれも容器本体361,371の開口361p,371p側の端部外周面に形成されたねじ部361mに,371mに対し、キャップ362,371の図示しない内周面のねじ部を螺合させることで、内容物たる水素添加粘性化粧料の密閉保存が可能である。内容物を使用するに伴い、その液面上方には次第に大きな空間が形成されるが、水素添加粘性化粧料の水素微細気泡の体積率が大きく、また、高粘度のため水素の蒸散が遅いので、水素添加粘性化粧料中の溶存水素濃度は、上記のように容器内に空間が残留しても長期にわったて高レベルを維持できる。
また、図14〜図17のいずれに構成においても、水素添加粘性化粧料は、容器内に空間が生じない状態で密閉されるか、あるいはガスが高圧で接触しない包装形態であるため、水素微細気泡の含有率は3体積%以上25体積%以下と高い値を確保することができる。また、大気開放して測定した酸化還元電位の値は−300mV以下に確保することができる。特に、粘度が1000mPa・s以上6000mPa・s以下の高い値に設定されている場合は、大気開放して測定した水素微細気泡の含有率を10体積%以上25体積%以下の高い値に確保できる。また、この水素微細気泡は高い経時安定性を有し、たとえば20℃の大気中にてさらに7日間放置した後でも、8体積%以上15体積%以下の高い含有率を維持することが可能である。
以下、本発明の効果を確認するために行った試験とその結果について記載する。
化粧料本体組成物として、表1の組成の乳液を用意した。
上記の乳液を、図1の装置500においてタンク501に166.5kg投入し、表2の条件で水素添加しながら循環を行った。なお、使用したポンプは東振テクニカル社製のベーンポンプTVP−MS1803である。また、液体処理ノズル1は、図2〜図5に示す形態のものを使用した。ノズル本体2の材質はABS樹脂であり、液体入口4と液体出口5の内径はφ14mm、流入室6及び流出室7の流れ方向の長さはそれぞれ30mmである。コア部COREについては、絞り孔9の形成個数を図3に示す配置にて2個とし、絞り孔9の内径dはΦ4.6mm、隔壁部8についてはその厚みを7.0とした。流入室6及び流出室7の内周面は、各々液体入口4と液体出口5との内周縁から、隔壁部8の対応する側の外周縁に至る連続テーパ面として形成した。衝突部10は脚部先端面が平坦に形成されたねじ部材により、具体的にはM1.4のJIS並目ピッチのなべ小ねじ(SUS304ステンレス鋼製)を使用して形成し、流通断面積は各絞り孔9について約10mm2である。
各循環時間における乳液体積、水素添加体積(各時間までに流した水素ガスの総量)、酸化還元電位(ORP)の測定値、及び各時間までに流した水素ガスの総量を表3に示す。なお循環パス数は、乳液の初期体積をポンプ流量で割ったものであり、タンク501内のすべての乳液が液体処理ノズルを何パス通過したかを示す数値である。
この結果からも明らかなごとく、酸化還元電位は循環パス数0.5の段階で大きく負値になっており、水素の溶存が速やかに起きていることがわかる。また、各時間における水素の添加体積が乳液の体積増分とほぼ等しい値を示し、添加した水素ガスのほぼすべてが気泡の形で乳液に取り込まれていることもわかる。
この乳液を200ccのガラス瓶に100ccずつ5本小分けして入れ、それぞれ窒素ガスを0.7MPaにて加圧充填後密封した。そして、5分後、1日後、7日後、14日後、21日後にそれぞれ1本ずつ開封し、比重とORP値とを測定した。また、比重変化をもたらす見かけ体積の増加がすべて水素気泡によりもたらされていると考えて水素気泡の体積率を算出した。以上に結果を表4に示す。
窒素加圧5分後の水素微細気泡の体積率は19%と非常に高く、気泡減少率は15.8%と低い。これは、加圧前の気泡体積の84%もが微細気泡として存在していたことを意味し、微細気泡の形成効率が極めて良好であることがわかる。さらに、エアゾール製品のごとく、窒素ガスによる加圧充填状態が長期間継続する場合も、水素微細気泡の体積率はおおむね14日経過時点で下げ止まっており、3%程度の値を継続的に維持するようになり、ORPの値も還元性を示す負値を維持していることがわかる。
窒素加圧5分後の乳液サンプルをプレパラートにとり、マイクロスコープ(キーエンスVHX−5000)により画像観察した。図18は原料とした乳液(化粧剤基本組成物)の観察画像であり、図19は水素添加/窒素加圧後の乳液(水素添加高粘度化粧剤)の観察画像である。原料の画像では水相と思われる基質中に油滴とみられる第二相が球状に分散しているのが観察される。油滴のサイズは1〜10μm程度のものが多く観察される。一方、図19の水素添加後の乳液の画像には、図18と同様の油滴以外に、それよりも明らかに寸法の小さい水素微細気泡と思われる分散物が多数密に分布していることがわかる。
そこで、双方の画像から分散粒子の抽出画像処理を施し、球近似による寸法算出と頻度計測を行った。図20はその結果をヒストグラムに表したものであり(頻度を示す柱の下に示される数字は粒径区間の下限を示すものである)、白が水素添加後乳液の、ハッチングが原料乳液の、黒が水素添加後乳液の分布と原料乳液の分布との差分をそれぞれ示すものである。1000nm(1μm)以下の粒径域において、光学観察の分解能限界に近い400nmから600nmの範囲に、水素添加後乳液は高頻度に粒子が分布しているのに対し、原料乳液はこの領域での粒子頻度が明らかに小さい。両者の差分は、図18と図19の画像観察結果及びその比較から、水素微細気泡の気泡径の分布を示していると考えられる。差分ヒストグラム上で気泡径の平均を計算すると415nmとなり、前述した7気圧での平衡気泡径とほぼ一致する値になっていることがわかる。なお、いずれのヒストグラムも400nm未満の粒子は、光学的観察手段の観察限界を下回るために表示されていないに過ぎず、微細気泡のフィルタリング要素がなく、気泡径の頻度がガウス分布等に従うことを想定すると、400nm未満の領域にさらに微細な気泡が多数存在していることはほぼ間違いないものと考えられる。
次に、窒素加圧5分後大気開放し、そのまま大気中にて放置を継続した場合の試験の結果を表5に示す。サンプルは5L採取し、直径18cmの開口を有するプラスチックビーカーに入れ、20℃にて室内放置した。比重は、それぞれ100ccサンプリングして表4と同様に0.7MPaにて5分間窒素加圧した後に測定を行っている。
大気中での比重の変化は、一週間後以降は非常に緩やかであり、窒素加圧してもほとんど比重は変化しなくなるとともに、水素微細気泡の体積率は9%近くの高い値を維持し続けていることがわかる。そして、酸化還元電位も絶対値の大きい負値を継続的に示している。また、表4及び表5のいずれの試験においても、酸化還元電位の値はサンプル製造後1週間の時点で、初期値からかなり上昇していることがわかる。これは、含まれる水素微細気泡からの水素の溶出が極めてゆっくりと進行していることを示すものである。
乳液サンプルとして、表6に示す種々の粘度のものを用意した。実施例1〜比較例6は実施例1と同じ液体処理ノズルを用い、表2と同一の条件にて水素添加を行った(比較例1は、粘度が本発明の下限値を下回るものである)。また、比較例2は、実施例1と同じ乳液を用い、図1の液体処理ノズルから衝突部を省略した単純なベンチュリノズルを用いた以外は同じ条件で水素添加を行ったものである。そして、水素添加直後、0.7MPaにて5分間の窒素加圧後、その後大気中にて1日〜21日間、乳液サンプルを放置したときの比重と粘度測定を行うとともに(いずれも、測定前に表5と試験と同様、0.7MPaにて5分間窒素加圧した後に測定を行っている)、水素微細気泡の体積率を比重変化から算出した。以上の結果を表6に示す。
使用した乳液の粘度が小さくなるほど水素微細気泡の体積率は小さくなる傾向にあるが、特に粘度が1000mPa・sより大きくなると、水素微細気泡体積率が大幅に高くなり、該体積率が大気中放置にて継時的に減少する速度も小さいことがわかる。使用した乳液の粘度が300mPa・s未満となる比較例1は十分な水素微細気泡体積率が達成されていない。さらに、本発明特有の液体処理ノズルを用いない比較例2は、ポンプ内の予備撹拌により水素添加直後は高い気泡率を示しているが、0.7MPaの窒素加圧によりほぼすべて消滅し、水素微細気泡はほとんど形成されていないことがわかる。
1 液体処理ノズル
2 ノズル本体
O 中心軸線
3 液体流路
4 液体入口
5 液体出口
6 流入室
7 流出室
8 隔壁部
9 絞り孔
10 衝突部(ねじ部材)
CORE 処理コア部
11 山部
12 谷部
15 液体流通ギャップ
302 水素添加高粘度化粧料
500,550 水素添加高粘度化粧料の製造装置
502 化粧料基本組成物
2 ノズル本体
O 中心軸線
3 液体流路
4 液体入口
5 液体出口
6 流入室
7 流出室
8 隔壁部
9 絞り孔
10 衝突部(ねじ部材)
CORE 処理コア部
11 山部
12 谷部
15 液体流通ギャップ
302 水素添加高粘度化粧料
500,550 水素添加高粘度化粧料の製造装置
502 化粧料基本組成物
Claims (19)
- 化粧料本体組成物に水素微細気泡を配合した水素添加高粘度化粧料であって、25℃における粘度が300mPa・s以上6000mPa・s以下に調整されるとともに、0.7MPaの窒素ガスによる5分間の加圧処理後に残留する水素微細気泡の含有率が0.5体積%以上30体積%以下であることを特徴とする水素添加高粘度化粧料。
- 前記化粧料本体組成物は液相主成分が水であり、前記水素微細気泡の平均気泡径が430nm以下である請求項1記載の水素添加高粘度化粧料。
- 前記粘度が1000mPa・s以上2000mPa・s以下に調整され、20℃の大気中にて7日間放置した後測定した、前記水素微細気泡の含有率が0.5体積%以上25体積%以下である請求項1又は請求項2に記載の水素添加高粘度化粧料。
- 前記粘度が300mPa・s以上6000mPa・s以下に調整されるとともに、不活性ガスからなる噴射ガスと接する状態でエアゾール容器内に加圧封入されてなり、かつ、前記エアゾール容器を大気開放して測定した前記水素微細気泡の含有率が0.5体積%以上5体積%以下である請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の水素添加高粘度化粧料。
- 前記エアゾール容器を開封して測定した酸化還元電位の値が−30mV以下である請求項4記載の水素添加高粘度化粧料。
- 前記粘度が1000mPa・s以上2000mPa・s以下に調整され、前記エアゾール容器を開封して測定した前記水素微細気泡の含有率が2体積%以上5体積%以下である請求項4又は請求項5に記載の水素添加高粘度化粧料。
- 前記粘度が300mPa・s以上6000mPa・s以下に調整されるとともにガス遮断性を有した可撓性の副容器内に封入され、該副容器の外側を加圧する噴射用加圧ガスとともにエアゾール容器内に収容されてなり、前記副容器を取り出して測定した前記水素微細気泡の含有率が3体積%以上25体積%以下である請求項1又は請求項2に記載の水素添加高粘度化粧料。
- 外気を遮断する容器内に常圧にて封入され、前記水素微細気泡の含有率が3体積%以上25体積%以下である請求項1又は請求項2に記載の水素添加高粘度化粧料。
- 酸化還元電位の値が−300mV以下である請求項7又は請求項8に記載の水素添加高粘度化粧料。
- 前記粘度が1000mPa・s以上2000mPa・s以下に調整され、大気開放して測定した前記水素微細気泡の含有率が10体積%以上25体積%以下である請求項7ないし請求項9のいずれか1項に記載の水素添加高粘度化粧料。
- 20℃の大気中にてさらに7日間放置した後測定した、前記水素微細気泡の含有率が8体積%以上15体積%以下である請求項10記載の水素添加高粘度化粧料。
- 請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の水素添加高粘度化粧料の製造方法であって、液体処理ノズルとして、一端に液体入口を、他端に液体出口を有する液体流路が形成されたノズル本体と、前記液体流路の内面から突出するとともに外周面に周方向の山部と高流速部となる谷部とが複数交互に連なるように形成された衝突部を有する処理コア部とを備えたものを使用し、
粘度が300mPa・s以上6000mPa・s以下に調整された前記化粧料本体組成物と水素ガスとの混相流を前記液体処理ノズルの前記衝突部に供給し、前記水素ガスを前記水素微細気泡に粉砕しつつ前記液体出口から流出させることにより前記水素添加高粘度化粧料を得ることを特徴とする水素添加高粘度化粧料の製造方法。 - 前記液体処理ノズルに対し前記化粧料本体組成物を、該液体処理ノズルの上流側に配置されたポンプにより圧送するとともに、前記水素ガスを前記ポンプの吸入口側で添加して前記化粧料本体組成物と前記水素ガスとを前記ポンプ内にて予備撹拌混合することにより前記混相流となし、前記液体処理ノズルに流入させる請求項12記載の水素添加高粘度化粧料の製造方法。
- 前記化粧料本体組成物と水素ガスとの混相流を前記液体処理ノズルに対し、ポンプを用いて循環供給する請求項12又は請求項13に記載の水素添加高粘度化粧料の製造方法。
- 前記化粧料本体組成物に対する前記水素ガスの添加を継続しつつ前記混相流の前記液体処理ノズルに対する循環供給を継続する請求項15に記載の水素添加高粘度化粧料の製造方法。
- 前記水素ガスの添加を中断した状態で前記混相流の前記液体処理ノズルに対する循環供給を継続する請求項14に記載の水素添加高粘度化粧料の製造方法。
- 前記液体処理ノズルとして、前記衝突部が前記投影において前記中心軸線を取り囲む十字形態に4つ配置されたM1.2以上M2.0以下のねじ部材であり、前記液体流路の内径Dが2.5mm以上6mm以下、全流通断面積が2.5mm2以上20mm2以下に設定されたものが使用され、
前記混相流を形成するための水素ガス流量をQ1、前記化粧料本体組成物の流量をQ2としたとき、液体入口側の動圧を0.1MPa以上0.5MPa以下、前記水素ガスの前記化粧料本体組成物に対する流量比Q1/Q2を0.01以上0.2以下となるように前記液体処理ノズルに供給される請求項12ないし請求項16のいずれか1項に記載の水素添加高粘度化粧料の製造方法。 - 前記液体処理ノズルとして、前記液体流路を液体入口側の流入室と液体出口側の流出室とに区画する隔壁部と、前記隔壁部に貫通形成され前記流入室と前記流出室とを互いに別経路にて連通させる複数の絞り孔とを備え、前記処理コア部は、前記絞り孔の内面から各々突出する形で前記衝突部が形成されているものが使用される請求項17記載の水素添加高粘度化粧料の製造方法。
- 前記化粧料本体組成物は粘度が1000mPa・s以上2000mPa・s以下に調整されたものが使用され、得られる前記水素添加高粘度化粧料の前記水素微細気泡の含有率を10体積%以上25体積%以下となす請求項18又は請求項19に記載の水素添加高粘度化粧料の製造方法。
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