JP2017030228A - 液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置とそれらの製造方法 - Google Patents

液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置とそれらの製造方法 Download PDF

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信一郎 渡辺
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Abstract

【課題】薄い基板等を切断する際や把持して取り扱う際に破損を生じにくい液体吐出ヘッドを提供する。【解決手段】一方の面に圧力発生素子が形成され、他方の面の、圧力発生素子と平面的に重なる位置に圧力室3が形成される素子基板2と、素子基板の一方の面に接合される支持部材1と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法が、一方の面に、端子部17aと端子部につながっている配線とを備える支持部材を用意する工程と、配線が圧力発生素子に接続されるように、支持部材の一方の面と素子基板の一方の面とを接合する工程と、素子基板の、端子部に対向する部分を除去して切り欠き部25を形成し、切り欠き部を介して端子部を露出させる工程と、を含む。【選択図】図6

Description

本発明は、液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置とそれらの製造方法に関する。
液体吐出装置の一例であり、液体のインクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置には、一般に、液体を吐出する液体吐出ヘッドが搭載されている。液体吐出ヘッドが液体を吐出する機構として、圧電素子によって容積が収縮可能な圧力室を用いる機構が知られている。この液体吐出機構では、電圧を印加された圧電素子の変形により圧力室が収縮することによって、圧力室内のインクが加圧され、圧力室の一部に形成された吐出口から外部に向かって吐出する。
特許文献1には、1枚の基板に多数の液体吐出機構を形成した後に、基板を切断して、各々が液体吐出機構を有する複数のチップに分割することにより、1枚の基板から複数の液体吐出ヘッドを製造する方法が開示されている。この液体吐出ヘッドの製造方法について、図13を参照して説明する。
図13(a)に示すように、貫通孔である流入チャネル(液体流入路)6と流出チャネル(液体流出路)7とを有する第1の基板1と、圧力発生素子18と圧力室3と端子部17とを有する第2の基板2を、空隙形成材5およびバンプ12を介して接合する。第1の基板1にはトランジスタ19が内部に作り込まれている。また、第2の基板2の、圧力発生素子18が形成された面(一方の面)と反対側の面(他方の面)と、吐出口41を有する吐出口形成部材4とを接合する。第1の基板1と第2の基板2と吐出口形成部材4は大面積であり、流入チャネル6、流出チャネル7、圧力発生素子18、圧力室3、端子部17、空隙形成材5、バンプ12、および吐出口41からなる液体吐出機構が複数形成されている。
次に、図13(b)に示すように、第1の基板1と第2の基板2と吐出口形成部材4の積層体を切断線8に沿って切断して、多数のチップに分割する。各チップには液体吐出機構が含まれている。そして、各チップにおいて、第1の基板1の、端子部17の上の位置する部分を除去して切り欠き部25を形成して端子部17を露出させる。このようにして、端子部17が露出している複数のチップ(液体吐出ヘッド)を1つの積層体から効率よく作製する。この液体吐出ヘッドを組み込んだ液体吐出装置を構成する場合には、図13(c)に示すように、フレキシブル回路基板20を、切り欠き部25を介して端子部17に接続する。
特表2012−532772号公報
前述したチップ(液体吐出ヘッド)の製造方法では、端子部17を露出させるために、第1の基板1に切り欠き部25を形成する必要がある。しかし、特許文献1には、切り欠き部25を製造する工程や、積層体を分断して多数のチップを作製する工程については開示されていない。切り欠き部25の形成、すなわち不要部分の除去と積層体の切断(多数のチップの作製)に関して、最も一般的な方法は、吐出口形成部材4の表面に切断テープを貼り付け、第1の基板側から図13(b)に示す切断線8に沿ってブレードで切断する方法である。
高周波数の液体吐出を可能にするためには、圧力室3の各基板1,2に直交する方向の高さは低いほど有利であり、特許文献1に記載された例では25μmである。また、特許文献1に記載された例では、吐出口形成部材4の厚さは30μmである。厚さが30μm程度の薄い吐出口形成部材4に切断テープを貼る際には、吐出口形成部材4や、圧力室3を有する第2の基板2が破損する危険性が大きい。
一方、液体吐出ヘッドの量産性を考えると、各チップに分割する前の積層体において、積層体の厚さの途中まで切断(ハーフカット)して不要部分を除去して切り欠き部25を形成し、電気検査を行う。その後に、積層体を切断して複数のチップを作製することが好ましい。
仮に、前述したように薄い吐出口形成部材4に切断テープを貼り付ける際に破損を回避して切り欠き部を形成できたとしても、ハーフカットの後に残された厚さ数十μmの第2の基板2および吐出口形成部材4を把持して取り扱うことは困難である。例えば、第2の基板2および吐出口形成部材4を把持して移動させて電気検査に供する時に、第2の基板2や吐出口形成部材4に破損を生じる可能性がある。
また、ブレードを用いてハーフカットを行う場合には、ブレードの切り込み量を、空隙形成材5によって規定される第1の基板1と第2の基板2の間の空隙の範囲内に収める必要がある。それよりもブレードの切り込み量が小さすぎると、不要部分が除去されずに残って切り欠き部が形成できず、ブレードの切り込み量が大きすぎると、第2の基板2に形成された端子部17を傷つけてしまうおそれがある。
そこで本発明の目的は、薄い基板等を切断する際や把持して取り扱う際に破損を生じにくい液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置とそれらの製造方法を提供することにある。
本発明の、一方の面に圧力発生素子が形成され、他方の面の、圧力発生素子と平面的に重なる位置に圧力室が形成される素子基板と、素子基板の一方の面に接合される支持部材と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法は、一方の面に、端子部と端子部につながっている配線とを備える支持部材を用意する工程と、配線が圧力発生素子に接続されるように、支持部材の一方の面と素子基板の一方の面とを接合する工程と、素子基板の、端子部に対向する部分を除去して切り欠き部を形成し、切り欠き部を介して端子部を露出させる工程と、を含む。
本発明によると、液体吐出ヘッドの薄い基板等を切断する際や把持して取り扱う際に破損を生じにくくなる。
本発明の液体吐出ヘッドを組み込んだ液体吐出装置の要部を示す断面図である。 本発明の実施形態1の液体吐出ヘッドの製造方法の第1の基板の作製工程を示す断面図である。 実施形態1の液体吐出ヘッドの製造方法の第2の基板の作製工程を示す断面図である。 実施形態1の液体吐出ヘッドの製造方法の基板接合工程を示す断面図である。 図4に示す基板接合工程の一部を示す斜視図である。 実施形態1の液体吐出ヘッドの製造方法の切断工程を示す断面図である。 図6に示す切断工程の一部を示す斜視図および拡大図である。 本発明の実施形態2の液体吐出ヘッドの製造方法の切断工程を示す断面図である。 本発明の実施形態3の液体吐出ヘッドの製造方法の切断工程を示す断面図である。 本発明の実施形態4の液体吐出ヘッドの製造方法の切断工程を示す断面図である。 本発明の実施形態5の液体吐出ヘッドの製造方法の第1の基板の作製工程を示す断面図である。 実施形態5の液体吐出ヘッドの製造方法の切断工程を示す断面図である。 従来の液体吐出ヘッドの製造方法の切断工程と、その液体吐出ヘッドを組み込んだ液体吐出装置を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
まず、本発明によって製造される液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置の基本構造について図1を参照して簡単に説明する。この液体吐出ヘッドでは、流入チャネル(液体流入路)6が形成された第1の基板(支持部材)1と、一方の面に圧力発生素子18が形成され他方の面に圧力室3を構成する凹部を有する第2の基板(素子基板)2とが、空隙形成材5を介して積層されている。そして、第2の基板2の他方の面に吐出口形成部材4が接合されている。吐出口形成部材4は、第2の基板2の凹部を塞いで圧力室3を形成するとともに、圧力室3に連通する吐出口41を有している。第1の基板1の第2の基板2に接合される面には、圧力発生素子18にバンプ12を介して接続されている配線17bと、その配線17bにつながっている端子部17aとが設けられている。第2の基板の端子部17aに対向する部分には切り欠き部25が設けられており、端子部17aは切り欠き部25を介して露出している。
本発明の液体吐出ヘッドでは、端子部17aが、圧力発生素子18が形成されている第2の基板2ではなく、第1の基板1に設けられており、第2の基板2に切り欠き部25が形成されることによって露出している。従って、この液体吐出ヘッドを組み込んだ液体吐出装置(例えばインクジェット記録装置)を構成する場合には、液体吐出装置の制御装置(不図示)に接続されたフレキシブル回路基板20を、切り欠き部25を介して第1の基板1の端子部17aに直接接続する。フレキシブル回路基板20は液体吐出ヘッドの圧力発生素子18に信号または電力を供給する配線基板である。信号や電力が供給された圧力発生素子18は圧電変形して圧力室3の容積が縮小し、圧力室3内の液体が加圧される。加圧された液体は、圧力室3から吐出口41を介して外部に吐出される。
[実施形態1]
図2〜図6は、図1に示す液体吐出ヘッドを製造するための、本発明の実施形態1に係る方法を示している。
(第1の基板の作製工程)
第1の基板(支持部材)1を作製するために、図2(a)に示すように厚さが625μmで直径が150mmの円形のシリコンウェハー100に、流入チャネル6として直径100μmの穴を開ける。シリコンウェハー100の表面を熱酸化して絶縁膜16を形成する。次に、図2(b)に示すように、シリコンウェハー100の一方の面に、端子部17aとそれにつながっている配線17bとを形成する。その後、図2(c)に示すように、配線17bの一端(端子部17aと反対側の端部)に、高さ25μmのバンプ12を形成する。このように、本実施形態では、図13に示す従来例とは異なり、第2の基板2ではなく第1の基板1に端子部17aを形成する。なお、図2等の正面図や側面図では端子部17aと配線17bの区別が明確でないが、平面的に見ると端子部17aと配線17bの形状は異なっている。このようにして第1の基板1を用意する。
(第2の基板の作製工程)
第1の基板1の作製と並行して第2の基板(素子基板)2を作製するために、図3(a)に示すように厚さが625μmで直径が150mmの円形のシリコンウェハー100を用意する。図3(b)に示すように、シリコンウェハー100の一方の面に、振動板24となる厚さ0.8μmのSiN薄膜をLP−CVD法(low pressure chemical vapor deposition method)で成膜する。
続いて、図3(c)に示すように、SiN薄膜からなる振動板24上に、後述する上部電極21とともに圧電体22に電圧を印加するための下部電極23を形成する。下部電極23は、振動板24上に、厚さ0.01μmのTi膜と厚さ0.15μmのPt膜をこの順に成膜することで形成される。さらに、図3(d)に示すように、下部電極24の上に、圧電体22である厚さ2.0μmのPZT膜をゾルゲル法により成膜し、700℃で20分の焼成を行って結晶化させる。次いで、圧電体22の上面に上部電極21を成膜し、図3(e)に示すようにウェットエッチングでパターニングする。上部電極21は、厚さ0.01μmのTi膜と厚さ0.15μmのAu膜をこの順に成膜することで形成される。続いて、図3(f)に示すように、圧電体22をウェットエッチングして、上部電極21よりも一回り大きい形状にパターニングする。さらに、図3(g)に示すように、下部電極23をドライエッチングして一部を除去する。その後、残った下部電極23の上に保護膜(不図示)を形成してパターニングする。こうして、振動板24上に、下部電極23と圧電体22と上部電極21とからなる圧力発生素子18が形成される。
このようにして作製された第2の基板2に、図3(h)に示すように、高さ25μmの空隙形成材5を設ける。具体的には、例えば日立化成工業株式会社製のダイアタッチフィルムのDFシリーズの厚さ25μmの接着性フィルムを形成して、通常のネガレジストと同様に露光および現像を行ってパターニングする。
(第1の基板と第2の基板の接合工程)
図2(c)に示す第1の基板1の一方の面(端子部17aが形成された面)と、図3(h)に示す第2の基板2の一方の面(圧力発生素子18が形成された面)を互いに対向させて、空隙形成材5を介して接合する(図4(a),5(a)参照)。空隙形成材5は接着性フィルムなので、上面に接着剤を塗布することなく両基板1,2を接合できる。接合した両基板1,2を加圧しながら、200℃で2時間の熱硬化を実施する。それによって、空隙形成材5の高さが25μmから20μmに低減するとともに、バンプ12がつぶれて上部電極21と接合される。こうして、第1の基板1と第2の基板2とが空隙形成材5を介して接合される。
次に、図4(b)に示すように、第2の基板2の他方の面(第1の基板1との接合面の反対側の面)を研磨して厚さを625μmから80μmに低減する。さらに、図4(c),5(b)に示すように、第2の基板2の他方の面(研磨された面)に、ドライエッチングによって圧力室3を形成する。本実施形態では、図5(b)に示すように、1つの積層体ウェハーから、それぞれが6個の圧力室3を有する16のチップ9を作製するため、第2の基板に96個の圧力室3を形成する。
続いて、図4(d),5(c)に示すように、吐出口形成部材4を第2の基板2の他方の面(研磨され圧力室3が形成された面)に接合する。具体的には、第2の基板2の他方の面に不図示の接着剤を転写し、吐出口形成部材4を加圧しながら加熱して接合する。吐出口形成部材4には、圧力室3に対向する位置に吐出口41が設けられている。
このようにして構成された液体吐出機構における液体の流入経路は、図4(d)に矢印で示すように、流入チャネル6から圧力室3に至る。図示されている流入チャネル6に加えて、図示しない流出チャネルをさらに設けて循環流路を構成してもよい。
(切断工程)
図6(a)に示すように、第1の基板1の他方の面(第2の基板2との接合面と反対側の面)に切断テープ26を貼る。そして、図6(b)に示すように、ブレード27を用いて切断線8(図6(a)参照)に沿って切断して不要部分を除去する。本実施形態では、1本の切断線8に沿ってブレードで2回切り込んで切断を行う。このようにして不要部分を除去して、図6(c),7(b),7(c)に示すように切り欠き部25を形成する。それによって、端子部17aが、第2の基板2に遮られずに、切り欠き部25を介して外部に露出する。この切断工程では、図6(b)から明らかなように、ブレード27による切り込み量が、第2の基板2を完全に切断し、かつ第1の基板1の端子部17aおよび配線17bに到達しない範囲でなければならない。すなわち、ブレード27による積層体の切り込み量は、第2の基板2の厚さよりも大きく、かつ第2の基板2の厚さと空隙形成部材5の高さ(空隙の高さ)の合計よりも小さい必要がある。具体的には、本実施形態では、第2の基板2の厚さは80μmで空隙形成材5の高さは20μmであるため、ブレード27による積層体の切り込み量は、80μm以上かつ100μm未満でなければならない。このように積層体の一方の側から途中まで切り込むことをハーフカット加工と言う。
このハーフカット加工では、薄い吐出口形成部材4(厚さ30μm程度)や第2の基板2(厚さ80μm)ではなく、厚い第1の基板1(厚さ625μm)に切断テープ26を貼りつける。そのため、切断テープ26の貼り付け時や、切り欠き部25を形成した後の取り扱い(把持および移動)時に破損する可能性は小さい。図7(b)の一部を拡大して示す図7(c)から明らかなように、ウェハーは分断されずにつながった状態であるが、端子部17aは外部に露出している。従って、このようにウェハーが分断されずにつながった状態のままで電気検査を容易に行うことが可能である。
続いて、図6(c)〜6(d),7(d)に示すように、ブレード27を用いて積層体を切断線8に沿って切断し、それから切断テープ26を剥がす。それにより、図6(e),7(e)に示すように、積層体が複数の小片(チップ9)に分割される。このようにして、各々が液体吐出機構を有する複数のチップ(液体吐出ヘッド)9を得ることができる。
このようにして形成した液体吐出ヘッド9が、液体吐出装置を構成する筐体内に組み込まれ、ヘッド外部の制御装置(不図示)に接続された配線基板であるフレキシブル回路基板20が、切り欠き部25を介して端子部17aに接続される(図1参照)。こうして本発明の液体吐出装置の要部が構成される。
以上述べたように、本実施形態によれば、液体吐出ヘッドの端子部17aを露出させるためのハーフカット加工や、積層体を分断して複数のチップ9を得る際に、薄い第2の基板2や吐出口形成部材4に切断テープ26を貼り付ける必要がない。厚い第1の基板1に切断テープ26を貼り付けるため、切断テープ26を貼り付ける際に破損する危険性が小さい。また、ハーフカット加工時には薄い第2の基板2に切り込み、厚い第1の基板1は分断されずつながった状態に保たれるので、取り扱いが容易で、例えば第1の基板1を把持して移動させて電気検査に供することなどが容易に行える。
また、フレキシブル回路基板20等の配線基板が接続させる端子部17aは、厚い第1の基板1に設けられているため、薄い基板に端子部が設けられている場合に比べて、フレキシブル回路基板20の接続作業によって基板が破損する危険性が小さい。
本実施形態では、厚い第1の基板1に端子部17aが設けられ、薄い第2の基板2と吐出口形成部材4に切り欠き部25が形成されている。従って、薄い第2の基板2と吐出口形成部材4の平面形状は、厚い第1の基板1の平面形状よりも小さく、薄い第2の基板2と吐出口形成部材4が第1の基板1の側方に庇状に張り出すことがないため、破損が生じにくい。第1の基板1が、薄い第2の基板2と吐出口形成部材4の側方に庇状に張り出しても、厚さが厚いため破損しにくい。
[実施形態2]
本発明の実施形態2について、図8を参照して説明する。本実施形態では、第2の基板2の、端子部17aと対向する切り欠き部25を形成する位置に、予め凹部28を形成している。それ以外の構成や工程は実施形態1と同様なので説明を省略する。具体的には、図8(a)に示すように、第2の基板2の、端子部17aと対向する位置に、ブレードを用いる切削加工やドライエッチングによって深さ20μmの凹部28を形成する。そして、図8(b)に示すように、実施形態1と同様にブレード27を用いて切断線8(図8(a)参照)に沿って切断(2度切り)して不要部分を除去し、図8(c)に示す切り欠き部25を形成する。それにより、切り欠き部25は、第2の基板2の一方の面(第1の基板1との接合面)における開口面積よりも他方の面(吐出口形成部材4との接合面)における開口面積の方が大きくなり、凹部28の一部が段差部28aとして残る。本実施形態では、凹部28を形成することによって第2の基板2の厚さが部分的に20μm小さくなっている。従って、本実施形態では、ブレード27による積層体の切り込み量は60μm以上かつ100μm未満である。すなわち、本実施形態によるとブレード27による切り込み量の許容範囲(マージン)が40μmに広がるため、切削加工をより容易に実施でき、端子部7aを傷つけることなく不要部を除去することが容易に可能である。
本実施形態では、ブレード27によって切り込む切断線8同士の幅は、凹部28の幅よりも若干広く設定される。それにより、切り欠き部25は凹部28よりも広い幅に形成されて、図8(c)に示すように吐出口形成部材4および第2の基板2の積層体の端部は2段形状になり、段差部28aが形成される。仮にこのような段差部28aが吐出口形成部材4に形成されると、破損しやすい構成になる。しかし、本実施形態では、第2の基板2の第1の基板1との接合部分に近い位置、すなわち液体吐出ヘッドの厚さ方向の中間部に段差部28aが形成されるため、この段差部28aが破損する可能性は小さい。なお、多段構造の凹部を形成して複数段の段差部28aを形成してもよい。
[実施形態3]
本発明の実施形態3について、図9を参照して説明する。本実施形態では、図9(a)に示すように、第2の基板2の端子部17aと対向する位置の、ブレード27によって切り込む切断線8の位置にのみ凹部28が形成されている。すなわち、切り欠き部25の両端部にあたる位置にそれぞれ凹部28が形成され、切り欠き部25の中央部にあたる位置には凹部は設けられていない。それ以外の構成や工程は実施形態2と同様なので説明を省略する。本実施形態によると、図9(b)に示すように、実施形態2と同様にブレード27による切り込み量の許容範囲(マージン)が大きくなり、端子部7aを傷つけることなく不要部を除去することが容易にできる。さらに、本実施形態では、第2の基板2の切り欠き部25の中央部にあたる位置に凹部が設けられていないので、第2の基板2の強度をある程度確保でき、第2の基板2の取り扱いが容易になるとともに、研磨時にクラックが発生しにくくなる。なお、本実施形態によって形成された液体吐出ヘッドは、図6(e)に示す実施形態1の液体吐出ヘッドと実質的に同じ構成になる。
[実施形態4]
本発明の実施形態4について、図10を参照して説明する。本実施形態では、図10(a)に示すように、実施形態3と同様に第2の基板2の切り欠き部25の両端部にあたる位置にそれぞれ凹部28が形成され、切り欠き部25の中央部にあたる位置には凹部は設けられていない。この構成において、図10(b)に示すように、幅広のブレード27を用いてハーフカット加工を行う。すなわち、2つの切断線8に挟まれる範囲(不要部)を一回の切り込み工程によって一気に除去する。それ以外の構成や工程は実施形態2と同様なので説明を省略する。本実施形態によると、実施形態3と同様の効果が得られるとともに、ハーフカット加工が1回の切り込み工程で完了し、作業が容易かつ短時間になる。
[実施形態5]
本発明の実施形態5について、図11,12を参照して説明する。本実施形態では、実施形態1〜4において設けられていた空隙形成材5を設けず、第1の基板1に凹部29を形成することによって、第1の基板1と第2の基板2の間の空隙を確保する。具体的には、第1の基板1の作製時に、図11(a)に示すように、シリコンウェハー100に流入チャネル6として穴を開けるとともに、一方の面に深さ20μmの凹部29を形成し、表面を熱酸化して絶縁膜16を形成する。それから、図11(b)に示すように、シリコンウェハー100の一方の面に、端子部17aと配線17bを形成する。配線17bはシリコンウェハー100の凸状の部分と凹部29とにまたがって形成される。そして、図11(c)に示すように、配線17bの一端に高さ25μmのバンプ12を形成する。
本実施形態で用いられる第2の基板2は、実施形態1の第2の基板2から空隙形成材5を取り除いた構成、すなわち図3(g)に示す構成である。図11(c)に示す第1の基板1の一方の面(端子部17aおよび配線17bおよびバンプ12が形成された面)と、図3(g)に示す第2の基板2の一方の面(圧力発生素子18が形成された面)とが互いに対向するようにして接合する。そして、第1の基板1に切断テープ26を貼り付ける(図12(a)参照)。それから、図6に示す実施形態1の工程と実質的に同様に、図12(b),12(c)に示すようにブレード27を用いてハーフカット加工を行い、切り欠き部25を形成する。そして、図12(d)に示すようにブレード27を用いて第1の基板1を切断し、図12(e)に示すように切断テープ26を剥がして、液体吐出ヘッド9が完成する。本実施形態では、有機材料からなる空隙形成材5の代わりに、第1の基板1を構成する熱酸化シリコンを用いて空隙を形成しているので、有機材料からなる空隙形成材5よりも剛性が高く、かつ耐インク性の高い構成になる。
1 第1の基板(支持部材)
2 第2の基板(素子基板)
3 圧力室
4 吐出口形成部材
5 空隙形成材
17a 端子部
18 圧力発生素子
25 切り欠き部
27 ブレード
41 吐出口

Claims (10)

  1. 一方の面に圧力発生素子が形成され、他方の面の、前記圧力発生素子と平面的に重なる位置に圧力室が形成される素子基板と、前記素子基板の前記一方の面に接合される支持部材と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    一方の面に、端子部と該端子部につながっている配線とを備える支持部材を用意する工程と、
    前記配線が前記圧力発生素子に接続されるように、前記支持部材の前記一方の面と前記素子基板の前記一方の面とを接合する工程と、
    前記素子基板の、前記端子部に対向する部分を除去して切り欠き部を形成し、該切り欠き部を介して前記端子部を露出させる工程と、
    を含む、液体吐出ヘッドの製造方法。
  2. 前記支持部材を用意する工程において、前記支持部材には、該支持部材を貫通し、前記圧力室に液体を供給するための液体流入路が形成されている、請求項1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  3. 前記圧力室と前記圧力発生素子と前記液体流入路がそれぞれ複数形成されており、互いに接合されている前記支持部材および前記素子基板を切断することによって、複数の液体吐出ヘッドを得る、請求項1または2に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  4. 前記端子部を露出させる工程では、前記素子基板の前記他方の面から前記一方の面に向かう方向に前記素子基板を切断して前記切り欠き部を形成する、請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  5. 液体を吐出する吐出口を有する吐出口形成部材と前記素子基板の前記他方の面とを接合する工程をさらに含み、当該接合工程の後に前記端子を露出させる工程を行う、請求項4に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  6. 前記支持部材の前記一方の面と前記素子基板の前記一方の面とを接合する工程の前に、前記素子基板の、前記端子部に対向する部分に凹部を設けておく、請求項1から5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法の各工程と、
    配線基板を、前記素子基板の前記切り欠き部を介して、露出している前記端子部に接続する工程と、
    を含む、液体吐出装置の製造方法。
  8. 一方の面に圧力発生素子が形成され、他方の面の、前記圧力発生素子と平面的に重なる位置に圧力室が形成される素子基板と、前記素子基板の前記一方の面に接合される支持部材と、を有する液体吐出ヘッドであって、
    前記支持部材の一方の面に、端子部と該端子部につながっている配線とが設けられ、前記配線が前記圧力発生素子に接続されており、
    前記素子基板の、前記端子部に対向する部分に、前記端子部を露出させる切り欠き部が設けられている、液体吐出ヘッド。
  9. 前記素子基板には、前記切り欠き部の前記一方の面における開口面積よりも前記他方の面における開口面積の方が大きくなるように段差部が設けられている、請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
  10. 請求項8または9に記載の液体吐出ヘッドと、
    前記素子基板の前記切り欠き部を介して、露出している前記端子部に接続されている配線基板と、
    を含む、液体吐出装置。
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