JP2017030012A - 複層鋳片の連続鋳造方法及び連続鋳造装置 - Google Patents
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【解決手段】鋳片の表層と内層の成分組成が異なる複層鋳片を製造する方法であって、タンディッシュ2を2つの室に分割し、第1室11にて取鍋1から溶鋼を受鋼しつつ、溶綱流制動用のソレノイドコイル10を備えた連通管19にて接続された第2室12にて、所定の元素あるいはその合金を連続的に添加し濃度を調整することで、2種類の成分の溶鋼をタンディッシュ内で保持し、鋳型幅方向全幅にわたって厚み方向に直流磁場を印加する直流磁場発生装置8によって形成される直流磁場帯14をはさんだストランドの上部及び下部に、タンディッシュのそれぞれの室の底部に設けた長さの異なる2つの浸漬ノズルを用いて、それぞれの溶鋼プール中で凝固によって消費される溶鋼量を鋳型内に供給する。
【選択図】図1
Description
(1) 鋳片の表層と内層の成分組成が異なる複層鋳片を製造する方法であって、2つの室を有するタンディッシュの、第1室にて取鍋から溶鋼を受鋼しつつ、溶綱流制動用のソレノイドコイルを備えた連通管にて接続された第2室に、前記第1室から溶綱流を制動しつつ供給し、かつ、前記第2室に所定の元素あるいはその合金を連続的に添加して前記第2室の溶鋼の濃度を調整し、2種類の成分の溶鋼をタンディッシュ内で保持し、
鋳型幅方向全幅にわたって厚み方向に直流磁場を印加する直流磁場発生装置を配置し、当該直流磁場発生装置によって形成される直流磁場帯をはさんだストランドの上部を上側溶鋼プール、下部を下側溶鋼プールとし、
タンディッシュのそれぞれの室の底部に設けた長さの異なる2つの浸漬ノズルを用いて、それぞれの溶鋼プール中で凝固によって消費される溶鋼量を鋳型内に供給することを特徴とする複層鋳片の連続鋳造方法。
(2) タンディッシュの2つの室のそれぞれの底部に設けた前記浸漬ノズルから前記上側溶鋼プールと下側溶鋼プールに溶鋼を供給するにあたり、下側溶鋼プールに供給する溶鋼量はタンディッシュのヘッドと内層溶鋼用浸漬ノズルのスライディングノズルの開度と溶鋼流量の関係を用いて、上側溶鋼プールと下側溶鋼プールの溶鋼界面位置が直流磁場発生装置の直流磁場帯内となるように供給し、上側溶鋼プールの溶鋼はタンディッシュの第2室にて成分調整された溶鋼を、鋳型内湯面レベルが一定となるように制御しつつ供給することを特徴とする(1)記載の複層鋳片の連続鋳造方法。
(3) 2つの室の間に設けた連通管の周囲を取り巻くように二つのソレノイドコイルを設置し、そのコイルが互いに異なる向きの磁力線を形成するようにそれぞれのコイルに直流電流を通電することを特徴とする(1)又は(2)記載の複層鋳片の連続鋳造方法。
(4) 鋳型内幅方向全体にわたって厚み方向に直流磁場を印加しつつ、その上方の鋳型内湯面近傍において水平断面内で旋回流を形成することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の複層鋳片の連続鋳造方法。
(5) 鋳片の表層と内層の成分組成が異なる複層鋳片を製造する装置であって、第1室と第2室を有するタンディッシュと、前記2つの室を接続しかつその周りに二つのソレノイドコイルを、そのコイルが互いに異なる向きの磁力線を形成するように配置した連通管を備え、取鍋からの溶鋼を前記第1室に注入し、第2室の溶鋼に成分を添加する成分添加装置を有し、
鋳型内では湯面近傍において水平断面内で旋回流を形成する電磁撹拌装置と、その下方に鋳型幅方向全体にわたって厚み方向に直流磁場を印加する直流磁場発生装置を備え、当該直流磁場発生装置によって形成される直流磁場帯をはさんだストランドの上部を上側溶鋼プール、下部を下側溶鋼プールとし、
更に前記タンディッシュの2つの室のそれぞれの底部に長さの異なる2つの浸漬ノズルを備え、第2室底部の浸漬ノズル(表層溶鋼用浸漬ノズル)から上側溶鋼プールに溶鋼を供給し、第1室底部の浸漬ノズル(内層溶鋼用浸漬ノズル)から下側溶鋼プールに溶鋼を供給し、それぞれの溶鋼プール中で凝固によって消費される溶鋼を、前記タンディッシュから鋳型内に供給する構造とすることを特徴とする複層鋳片の連続鋳造装置。
[1] タンディッシュ2にて取鍋1から注入された溶鋼(以下、第1溶鋼21)の一部を成分調整することで新たな溶鋼(以下、第2溶鋼22)を作り出すこと、
[2] 1つのタンディッシュ内で2種類の溶鋼:第1溶鋼21、第2溶鋼22を保持すること、
[3] 第1溶鋼21、第2溶鋼22をそれぞれ、ストランド内の下側溶鋼プール16、上側溶鋼プール15それぞれの位置で凝固によって消費される量だけ鋳型内に安定して供給すること
の3つが必要となる。
G2=ρ2S2VC
となり、下側溶鋼プール16で凝固して下方に輸送される下側溶鋼プール凝固部分25の単位時間輸送量G1は、
G1=ρ1S1VC
となる。合計鋳造量をGとすると、
G=G1+G2
となる。
Q=Q1+Q2
とおく。タンディッシュから鋳型への溶鋼供給量合計(Q)については、メニスカス位置が一定を保持するように湯面レベル制御によって調整するので、
Q=G
が確保される。本発明では、各浸漬ノズルから各溶鋼プールに供給する溶鋼量について、
Q1=G1
Q2=G2
とすることにより、直流磁場帯14を経由しての溶鋼の混合を防止し、タンディッシュの第2室12で形成した第2溶鋼22の成分のままで鋳片の表層部24を形成し、第1室11における第1溶鋼21の成分のままで鋳片の内層部25を形成することができる。
D=K√(H/VC)
として求まる。求まった直流磁場帯14における凝固シェル厚さDを用いて、直流磁場帯14における凝固シェル断面積S2が定まり、前述の
G2=ρ2S2VC
によってG2が定まるので、
Q2=G2
となるように、表層溶鋼用浸漬ノズル6からの溶鋼注入量Q2を定めればよい。
DH=K√(HH/VC)
DL=K√(HL/VC)
となる。上側溶鋼プール15での凝固量G2について、溶鋼プール界面27がHH又はHLにあるときの値をそれぞれG2H、G2Lとすると、
G2H/G2≒DH/D=√(HH/H)
G2L/G2≒DL/D=√(HL/H)
となる。そして、上側溶鋼プール15への溶鋼供給量Q2が、G2H〜G2Lの範囲に入っていれば、溶鋼界面27位置を直流磁場帯14内に制御でき、上側溶鋼プール15と下側溶鋼プール16との溶鋼混合を抑えて十分に良好な品質とすることができる。
Q1=Q−Q2=Q−G2
となるように一定に制御する。具体的には、タンディッシュ内ヘッドを一定に保持しながら、あらかじめ定めた、スライディングノズル33b開度と流量のテーブルを用いて、規定開度を一定に保持することでQ1を一定に制御する。これだけでは、鋳型内全体に供給する溶鋼量Qに対して不足しているため、成分調整された第2溶鋼22を上側溶鋼プール15に供給する表層溶鋼用浸漬ノズル6のスライディングノズル33c流量調整において、湯面レベル計31で計測する鋳型内湯面レベルが一定となるように溶鋼量Q2を制御する。その結果、合計流量Qとストランド上下で消費される溶鋼量Q1、Q2それぞれを制御することができ、
Q2=G2
とすることができる。これにより、鋳型内の上側溶鋼プール15では、供給される溶鋼量(Q2)と、凝固シェルとして排出される時間あたり輸送量(G2)がバランスするとともに、下側溶鋼プール16では、供給される溶鋼量(Q1)と凝固シェルとして排出される時間あたり輸送量(G1)がバランスする。そのため、直流磁場帯14を通過して混合する溶鋼流が生じないので、図5の第1溶鋼21と第2溶鋼22の界面27を安定的に維持することができる。Q1とQ2のバランスによって決まる第1溶鋼21と第2溶鋼22の界面27が直流磁場帯14の範囲内となるように制御する。
XO=(CO −CI)/(CT −CL ) −−−−(1)
Y=σ/CM −−−−(2)
◆実験1:タンディッシュヘッドを一定に保持した条件で第1溶鋼21,第2溶鋼22の流量バランスを変化させ、Q2/G2が変化する条件で鋳造する。
◆実験2:タンディッシュヘッドを一定に保持した条件でタンディッシュ2の連通管19部分に設置した2つのソレノイドコイルに印加する直流磁場条件を変えて鋳造する。
◆実験3:タンディッシュヘッドを一定に保持した条件で鋳型内電磁撹拌装置9の印加電流を変えて湯面近傍で形成する旋回流速を変えて鋳造する。
◆実験4:取鍋1からの注入が終了した後にタンディッシュ2の連結管19周囲に設置した2つのソレノイドコイルに印加する直流磁場条件を変えて鋳造する。
XO=(CO −CI)/(CT −CL ) −−−−(1)
Y=σ/CM −−−−(2)
DR=K√(HR/VC)
を逆算して求めた。
2 タンディッシュ
3 鋳型
5 内層溶鋼用浸漬ノズル
6 表層溶鋼用浸漬ノズル
7 直流磁場発生装置
8 直流磁場発生装置
9 電磁攪拌装置
10A ソレノイドコイル
10B ソレノイドコイル
11 第1室
12 第2室
13 取鍋注入流
14 直流磁場帯
15 上側溶鋼プール
16 下側溶鋼プール
17 メニスカス(湯面)
18 湯面
19 連通管
20 溶鋼
21 第1溶鋼
22 第2溶鋼
23 凝固シェル
24 上側溶鋼プール凝固部分(表層部)
25 下側溶鋼プール凝固部分(内層部)
26 溶鋼浸漬部分
27 界面
29 鋳片
30 浸漬ノズル
31 湯面レベル計
32 制御装置
33 流量調整装置(スライディングノズル)
34 成分添加装置
35 秤量器
40 直流磁場
41 溶鋼流動
42 誘導電流
43 制動力
44 壁
45 磁力線
Claims (5)
- 鋳片の表層と内層の成分組成が異なる複層鋳片を製造する方法であって、2つの室を有するタンディッシュの、第1室にて取鍋から溶鋼を受鋼しつつ、溶鋼流制動用のソレノイドコイルを備えた連通管にて接続された第2室に、前記第1室から溶鋼流を制動しつつ供給し、かつ、前記第2室に所定の元素あるいはその合金を連続的に添加して前記第2室の溶鋼の濃度を調整し、2種類の成分の溶鋼をタンディッシュ内で保持し、
鋳型幅方向全幅にわたって厚み方向に直流磁場を印加する直流磁場発生装置を配置し、当該直流磁場発生装置によって形成される直流磁場帯をはさんだストランドの上部を上側溶鋼プール、下部を下側溶鋼プールとし、
タンディッシュのそれぞれの室の底部に設けた長さの異なる2つの浸漬ノズルを用いて、それぞれの溶鋼プール中で凝固によって消費される溶鋼量を鋳型内に供給することを特徴とする複層鋳片の連続鋳造方法。 - タンディッシュの2つの室のそれぞれの底部に設けた浸漬ノズルから前記上側溶鋼プールと下側溶鋼プールに溶鋼を供給するにあたり、下側溶鋼プールに供給する溶鋼量はタンディッシュのヘッドと内層溶鋼用浸漬ノズルのスライディングノズルの開度と溶鋼流量の関係を用いて、上側溶鋼プールと下側溶鋼プールの溶鋼界面位置が直流磁場発生装置の直流磁場帯内となるように供給し、上側溶鋼プールの溶鋼はタンディッシュの第2室にて成分調整された溶鋼を、鋳型内湯面レベルが一定となるように制御しつつ供給することを特徴とする請求項1記載の複層鋳片の連続鋳造方法。
- 2つの室の間に設けた連通管の周囲を取り巻くように二つのソレノイドコイルを設置し、そのコイルが互いに異なる向きの磁力線を形成するようにそれぞれのコイルに直流電流を通電することを特徴とする請求項1又は2記載の複層鋳片の連続鋳造方法。
- 鋳型内幅方向全体にわたって厚み方向に直流磁場を印加しつつ、その上方の鋳型内湯面近傍において水平断面内で旋回流を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の複層鋳片の連続鋳造方法。
- 鋳片の表層と内層の成分組成が異なる複層鋳片を製造する装置であって、第1室と第2室を有するタンディッシュと、前記2つの室を接続しかつその周りに二つのソレノイドコイルを、そのコイルが互いに異なる向きの磁力線を形成するように配置した連通管を備え、取鍋からの溶鋼を前記第1室に注入し、第2室の溶鋼に成分を添加する成分添加装置を有し、
鋳型内では湯面近傍において水平断面内で旋回流を形成する電磁撹拌装置と、その下方に鋳型幅方向全体にわたって厚み方向に直流磁場を印加する直流磁場発生装置を備え、当該直流磁場発生装置によって形成される直流磁場帯をはさんだストランドの上部を上側溶鋼プール、下部を下側溶鋼プールとし、
更に前記タンディッシュの2つの室のそれぞれの底部に長さの異なる2つの浸漬ノズルを備え、第2室底部の浸漬ノズル(表層溶鋼用浸漬ノズル)から上側溶鋼プールに溶鋼を供給し、第1室底部の浸漬ノズル(内層溶鋼用浸漬ノズル)から下側溶鋼プールに溶鋼を供給し、それぞれの溶鋼プール中で凝固によって消費される溶鋼を、前記タンディッシュから鋳型内に供給する構造とすることを特徴とする複層鋳片の連続鋳造装置。
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