JP2017030012A - 複層鋳片の連続鋳造方法及び連続鋳造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋳片表層部の濃度が鋳片内部と比較して高い複層状の鋳片の連続鋳造方法および連続鋳造装置に関する。
【解決手段】鋳片の表層と内層の成分組成が異なる複層鋳片を製造する方法であって、タンディッシュ2を2つの室に分割し、第1室11にて取鍋1から溶鋼を受鋼しつつ、溶綱流制動用のソレノイドコイル10を備えた連通管19にて接続された第2室12にて、所定の元素あるいはその合金を連続的に添加し濃度を調整することで、2種類の成分の溶鋼をタンディッシュ内で保持し、鋳型幅方向全幅にわたって厚み方向に直流磁場を印加する直流磁場発生装置8によって形成される直流磁場帯14をはさんだストランドの上部及び下部に、タンディッシュのそれぞれの室の底部に設けた長さの異なる2つの浸漬ノズルを用いて、それぞれの溶鋼プール中で凝固によって消費される溶鋼量を鋳型内に供給する。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋳片表層部と内部の濃度が異なる複層状の鋳片を鋳造する連続鋳造方法および連続鋳造装置に関する。
表層と内層の成分組成が異なる複層状の鋳片を製造する試みは古くから行われている。例えば、特許文献1に開示された方法があげられる。特許文献1には、長さの異なる二本の浸漬ノズルを鋳型内にある溶融金属のプールに挿入し、それぞれの吐出口を深さが異なる位置に設け、さらに異種の溶融金属間に直流磁場を利用して両金属の混合を防止しながら複層鋳片を製造する方法が開示されている。
しかしながら、上記方法では二種類の成分組成が異なる溶鋼を用いるため、二種類の溶鋼を同じタイミングで別々に溶製し、連続鋳造プロセスに搬送し、また、それぞれの溶鋼の中間保持容器として、タンディッシュをそれぞれ準備する必要があり、また、表層溶鋼と内層溶鋼で注入流量が大きく異なるため、1ヒート毎の必要溶鋼量が大きく異なり、通常の製鋼工場で実現するのは困難であった。
そこで、より簡便に鋳片の表層と内層の成分組成が異なる鋳片を鋳造する方法として大きく2つの方法が検討されている。ひとつは、鋳型内幅方向に一様な磁束密度分布を有する直流磁場を厚み方向に印加することで得られる電磁制動を利用して、その直流磁場帯の上方にワイヤー、あるいは連続鋳造用パウダーに何某かの合金元素を含有させ連続的に供給することで鋳片表層を改質する方法が検討されている。
鋳型内にワイヤー等で元素を添加する方法を開示したものとして、例えば特許文献2があげられる。この方法では、鋳型内のメニスカス部よりも少なくとも200mm下方に鋳型内溶鋼を遮断する直流磁場を設けるとともに、上方の溶鋼あるいは下部の溶鋼に所定元素を添加するとともに、元素を添加した溶鋼を撹拌することを特徴とする連続鋳造による複層鋼板の製造方法である。
連続鋳造用パウダーに何某かの元素を含有させ連続的に供給する、あるいは、パウダー層の上方から連続的にパウダーと反応しにくい金属粉あるいは金属粒を供給することによって溶鋼に元素を添加する方法としては、例えば、特許文献3に開示された方法があげられる。本方法では、合金元素を含有させた連鋳用パウダーを用い、連続鋳造鋳型内の上部に電磁撹拌装置を設置して鋳型内上部溶鋼の水平断面内で合金元素を溶解・混合する撹拌流を形成し、その下方に幅方向に直流磁場を鋳片の厚み方向に印加して溶鋼中に直流磁場帯を形成し、かつ、その直流磁場帯の下方に浸漬ノズルにより溶鋼を供給して鋳造することで、合金元素の鋳片表層部の濃度が内層に比べて高い複層状の鋳片を製造する方法である。
なお、非特許文献1には、直流磁場として0.2〜0.3Tの磁場を印加することで、表層/内層の分離が図れることが開示されている。
しかしながら、鋳型内では上部にパウダー層が存在し、かつ周囲から冷却され、さらに矩形断面形状となるため、過剰な撹拌を行うことができず、濃度の均一化が図りにくい。また、ストランド上部と下部に供給する溶鋼量を独立に制御しないため、上下プール間での溶鋼混合が避けられず、分離度の高い鋳片を製造しにくいという課題があった。
鋳造後に鋳片表面を改質する方法としては、例えば、特許文献4に、鋳片の表層を誘導加熱、プラズマ加熱のいずれか一方または双方により溶融させ、溶融した鋳片の表層部分に添加元素もしくはその合金を添加することを特徴とする鋳片の表層改質方法が開示されている。しかしながら、溶融プールの体積が小さいため、成分は添加できるものの濃度の均一化を図ることが難しいことや、方法上鋳片全面を一度に溶融されることが困難であり、鋳片表層全周にわたって改質するには複数回の溶融改質を行う必要がある等の課題があった。
特開昭63−108947号公報 特開平3−243245号公報 特開平8−290236号公報 特開2004−195512号公報
E.Takeuchi, M.Zeze, H.Tanaka, H.Harada and S.Mizoguchi: Ironmaking and Steelmaking, 24(1997),257.
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、一つの取鍋、一つのタンディッシュにて連続鋳造用溶鋼を供給し、鋳片表層部の合金元素濃度が内部と比較して異なる複層状の連続鋳造鋳片を鋳造する連続鋳造方法および連続鋳造装置を提供することを目的としている。
本発明は、
(1) 鋳片の表層と内層の成分組成が異なる複層鋳片を製造する方法であって、2つの室を有するタンディッシュの、第1室にて取鍋から溶鋼を受鋼しつつ、溶綱流制動用のソレノイドコイルを備えた連通管にて接続された第2室に、前記第1室から溶綱流を制動しつつ供給し、かつ、前記第2室に所定の元素あるいはその合金を連続的に添加して前記第2室の溶鋼の濃度を調整し、2種類の成分の溶鋼をタンディッシュ内で保持し、
鋳型幅方向全幅にわたって厚み方向に直流磁場を印加する直流磁場発生装置を配置し、当該直流磁場発生装置によって形成される直流磁場帯をはさんだストランドの上部を上側溶鋼プール、下部を下側溶鋼プールとし、
タンディッシュのそれぞれの室の底部に設けた長さの異なる2つの浸漬ノズルを用いて、それぞれの溶鋼プール中で凝固によって消費される溶鋼量を鋳型内に供給することを特徴とする複層鋳片の連続鋳造方法。
(2) タンディッシュの2つの室のそれぞれの底部に設けた前記浸漬ノズルから前記上側溶鋼プールと下側溶鋼プールに溶鋼を供給するにあたり、下側溶鋼プールに供給する溶鋼量はタンディッシュのヘッドと内層溶鋼用浸漬ノズルのスライディングノズルの開度と溶鋼流量の関係を用いて、上側溶鋼プールと下側溶鋼プールの溶鋼界面位置が直流磁場発生装置の直流磁場帯内となるように供給し、上側溶鋼プールの溶鋼はタンディッシュの第2室にて成分調整された溶鋼を、鋳型内湯面レベルが一定となるように制御しつつ供給することを特徴とする(1)記載の複層鋳片の連続鋳造方法。
(3) 2つの室の間に設けた連通管の周囲を取り巻くように二つのソレノイドコイルを設置し、そのコイルが互いに異なる向きの磁力線を形成するようにそれぞれのコイルに直流電流を通電することを特徴とする(1)又は(2)記載の複層鋳片の連続鋳造方法。
(4) 鋳型内幅方向全体にわたって厚み方向に直流磁場を印加しつつ、その上方の鋳型内湯面近傍において水平断面内で旋回流を形成することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の複層鋳片の連続鋳造方法。
(5) 鋳片の表層と内層の成分組成が異なる複層鋳片を製造する装置であって、第1室と第2室を有するタンディッシュと、前記2つの室を接続しかつその周りに二つのソレノイドコイルを、そのコイルが互いに異なる向きの磁力線を形成するように配置した連通管を備え、取鍋からの溶鋼を前記第1室に注入し、第2室の溶鋼に成分を添加する成分添加装置を有し、
鋳型内では湯面近傍において水平断面内で旋回流を形成する電磁撹拌装置と、その下方に鋳型幅方向全体にわたって厚み方向に直流磁場を印加する直流磁場発生装置を備え、当該直流磁場発生装置によって形成される直流磁場帯をはさんだストランドの上部を上側溶鋼プール、下部を下側溶鋼プールとし、
更に前記タンディッシュの2つの室のそれぞれの底部に長さの異なる2つの浸漬ノズルを備え、第2室底部の浸漬ノズル(表層溶鋼用浸漬ノズル)から上側溶鋼プールに溶鋼を供給し、第1室底部の浸漬ノズル(内層溶鋼用浸漬ノズル)から下側溶鋼プールに溶鋼を供給し、それぞれの溶鋼プール中で凝固によって消費される溶鋼を、前記タンディッシュから鋳型内に供給する構造とすることを特徴とする複層鋳片の連続鋳造装置。
本発明により、取鍋は1つ、タンディッシュは1つで連続鋳造用溶鋼を供給し、タンディッシュを第1室と第2室とに分け、第1室と第2室をつなぐ連通管に2つのソレノイドコイルからなる直流磁場発生装置を設け、第2室への成分添加により取鍋から供給される母溶鋼とは異なる成分組成の溶鋼に成分調整しつつ母溶鋼との混合をタンディッシュ内、鋳型内で安定して防止することができ、表層厚み、表層濃度が鋳片全幅にわたって均一で、かつ、鋳片の表層と内層の成分組成が異なり、表層のみに高歩留で成分が添加された複層鋳片の製造が可能となる。
本方法は添加する成分についての制約は少なくNiやCだけでなく、Si,Mn,P,S,B,Nb,Ti,Al,Cu,Moに加えて、強脱酸、強脱硫元素であるCa,Mg,REM等、鋼中に含有する元素を添加することができ、鋳片の表層成分を変えることで鋼材の新たな機能を比較的簡便な方法で可能となった。
本発明の装置ならびに方法を模式的に示した正面断面図である。 直流磁場による電磁制動の原理を示した図である。(a)は鋳型内への直流磁場を印加した条件に相当し、(b)はタンディッシュ等、耐火物内の溶鋼に直流磁場を印加した条件に相当する。 (a)は、2つのソレノイドコイルを連通管周囲に設置し、逆向きの直流磁場を印加した状況を模式的に示した斜視図であり、(b)は2つのソレノイドコイル間の連通管内での電磁制動の原理を示した断面図である。 直流磁場帯により、ストランドが2つに分割された際の凝固シェル形成、表層と内層の界面がどのように形成されるかを模式的に示した図であり、(a)は鋳型内断面図、(b)は鋳片断面図である。 本発明における取鍋からの溶鋼供給量制御とタンディッシュのそれぞれの室からの溶鋼供給量の制御方法について、模式的に示した図である。 タンディッシュの連通管内に印加する磁束密度と(a)表層分離度、(b)表層濃度均一性の関係について調査した結果である。 上側溶鋼プール溶鋼供給量Q2と上側溶鋼プール凝固量G2との比(Q2/G2)と(a)表層分離度、(b)表層濃度均一度との関係について調査した結果を示す図である。 表層厚みの鋳片幅方向分布に及ぼす電磁撹拌装置による旋回流の影響を示した図である。 表内層溶鋼流量とタンディッシュの2つの室の湯面レベルの面積との比の大小関係と分離度、均一度の関係が取鍋からの注入流の有無によってどのように変化するかを示す図であり、タンディッシュヘッドが(a)は一定、(b)は時間とともに変化する。 取鍋からの注入流がない条件でタンディッシュの連通管に印加する磁束密度と表層分離度、表層濃度均一性の関係について調査した結果である。
以下に本発明の好ましい実施の形態を図1、4に基づいて説明する。まず、特許文献1にあるように、メニスカス17の下方の所定位置に直流磁場発生装置8を配置し、直流磁場帯14を形成する。直流磁場帯14においては、磁力線が鋳片の厚み方向に向かう直流磁場を印加し、磁束密度は鋳型幅方向にほぼ均一とする。このような磁束密度の直流磁場を厚み方向に印加し、直流磁場帯を形成することにより、直流磁場帯14を通過しようとする溶鋼には電磁ブレーキがかかり、直流磁場帯14上方の上側溶鋼プール15と下方の下側溶鋼プール16とが事実上遮断されることとなる。上側溶鋼プール15で凝固した凝固シェルが鋳片の表層部24を形成し、下側溶鋼プール16で凝固した凝固シェルが鋳片の内層部25を形成する。そして、直流磁場帯14部分における凝固シェルの厚さDが、鋳片の表層部の厚さに該当する。従って、直流磁場帯14を配置するメニスカスからの高さHは、目標とする表層部の厚さD、鋳型内における凝固係数K、鋳造速度VCに基づいて定めることとなる。
そのうえで、その直流磁場帯の上下それぞれに溶鋼を供給するために2本の浸漬ノズルを設置し、それぞれの溶鋼プールにおいて凝固する溶鋼量だけ、各浸漬ノズルから溶鋼を供給することで、表層と内層の成分組成が異なる鋳片が鋳造できる。ここで直流磁場帯14とは直流磁場発生装置8のコア高さと同じ範囲とする。理由はこの範囲内であれば均一な磁束密度の直流磁場が印加される。
直流磁場帯14の磁束密度は、上側溶鋼プール15と下側溶鋼プール16との間の溶鋼の入れ替わりを最小限にすることのできる磁束密度を選択する。鋳片の表層と内層の成分組成が異なる複層鋳片を製造するにあたり、それぞれの溶鋼量比を計算すると、表層厚みや鋳造幅によって変化するものの、スラブ鋳造の条件であれば、内層/表層=4〜5と圧倒的に内層の流量が多い。従って、下側溶鋼プール16へ溶鋼を供給する浸漬ノズルの吐出孔から流出した溶鋼流が、鋳型内溶鋼流動現象の大きな比率を占める。この吐出流は短辺凝固シェルに衝突して下側反転流と上側反転流を形成する。この上側反転流を抑制して直流磁場帯の通過を抑止できれば、上側溶鋼プールと下側溶鋼プールの溶鋼入れ替わりを最小限とできる。直流磁場帯の磁束密度が0.3T(テスラ)以上であれば、十分に溶鋼の入れ替わりを抑止することができる。この点は、前記非特許文献1にも記載のとおりである。
磁束密度の上限は高いほど好ましいが、超電導磁石によらず直流磁場を形成するうえではおよそ1.0Tが上限となる。鋳造条件に応じて0.3T〜1Tの範囲内で適正な磁束密度の磁場を印加すればよい。
本発明では、
[1] タンディッシュ2にて取鍋1から注入された溶鋼(以下、第1溶鋼21)の一部を成分調整することで新たな溶鋼(以下、第2溶鋼22)を作り出すこと、
[2] 1つのタンディッシュ内で2種類の溶鋼:第1溶鋼21、第2溶鋼22を保持すること、
[3] 第1溶鋼21、第2溶鋼22をそれぞれ、ストランド内の下側溶鋼プール16、上側溶鋼プール15それぞれの位置で凝固によって消費される量だけ鋳型内に安定して供給すること
の3つが必要となる。
先ず、本発明では、[1] タンディッシュ2で第1溶鋼21と成分組成の異なる第2溶鋼22をつくる。
図1に示したように、タンディッシュ2を複数室に、すなわち、取鍋からの第1溶鋼21を受ける第1室11と、第1溶鋼21にワイヤー等によって所定元素あるいはその合金を添加し成分調整を行って第2溶鋼22とする第2室12の2つの室にわけ、これらを連通管19で接続する。
さらに、取鍋1からの溶鋼(第1溶鋼21)が第1室11から連通管19を経由して供給され、所定の元素あるいはその合金をワイヤー等によって連続的に添加し成分調整を行う第2室12については、撹拌力を付与し濃度の均一化を図る。そのためには、第2室12内のタンディッシュ底部からArバブリング等により撹拌を付与することで均一混合を図ることができる。さらに好ましくは、ワイヤーを添加し撹拌を付与する領域とその後方に溶鋼を鎮静化する領域を設けることができればワイヤー添加時に巻き込まれた介在物等を浮上除去することが好ましい。このようにして、鋳型上部の上側溶鋼プール15に供給する第2溶鋼22が第2室12においてつくられる。なお、第2溶鋼22への成分添加量は第2室12内に供給される溶鋼量に応じて調整することで濃度を調整することができる。第1室11と第2室12から鋳型内への流量制御方法については後述する。
次に、本発明では、[2] 第1溶鋼21と第2溶鋼22のタンディッシュ内での混合を防止し、2つの溶鋼を1つのタンディッシュで安定的に保持する。
前述したように、本発明では、タンディッシュ2を複数室に、すなわち、取鍋1からの溶鋼を受ける第1室11と、溶鋼にワイヤー等によって所定元素あるいはその合金を添加し成分調整を行う第2室12の2つの室にわけ、これらを接続する。これによって、取鍋1からの溶鋼は第1室11に供給され、そのまま第1室11の下部に設けた浸漬ノズルから鋳型内に供給される。さらに、その残りの溶鋼が連通管19を介して第2室12に供給され、第2室12でワイヤー等によって所定元素あるいはその合金を添加し成分調整された溶鋼が第2室12の底部に設けた浸漬ノズルから鋳型内に供給される。第1室11から第2室12に溶鋼の供給があれば第1室11と第2室12の間の混合は防止される。しかしながら、取鍋交換部や鋳造末期等では取鍋からの溶鋼供給が停止する。そのため、そのような場合も含めて、第1室11と第2室12の間で混合を安定的に防止する必要がある。そこで、本発明では第1室11から第2室12に溶鋼が供給されるような条件としたうえでに第1室11と第2室12の間に設けた連通管19に何がしかの電磁ブレーキを付与し混合を安定的に防止する。
鋳型内ではストランド上下間での溶鋼の混合を防止するため、鋳型厚み方向に直流磁場を印加した。電磁制動の原理は図2(a)に模式的に示すことができ、磁場中を溶鋼が横切る溶鋼流動41によって誘導電流42が流れ、その誘導電流42と印加した直流磁場40との相互作用により溶鋼の流れとは逆向きの制動力43を溶鋼に作用する。この際、図2(a)の鋳型内であれば溶鋼の周囲に凝固シェル23が存在するため、凝固シェル23を介して誘導電流42の電気回路が形成される。その結果、溶鋼中には制動力43のみが作用する(図中左から右に流れる電流により制動力が作用)。しかしながら、図2(b)のように仮に凝固シェルが存在しなければ、(壁44が電気を流さなければ)溶鋼内で電気回路を形成する必要が生じ、壁44近傍では逆向きの電流、すなわち流れを加速する力が作用し、結果として制動力43が作用しなくなる。すなわち、タンディッシュや連通管のような耐火物製の壁44で覆われた容器内に直流磁場40を作用し、制動力を作用させるには工夫が必要となる。
本発明では、図1、4に模式的に示すように、鋳型幅全体にわたって形成される直流磁場帯14によってストランドを上側溶鋼プール15と下側溶鋼プール16の2つに分割し、上側溶鋼プール15には表層溶鋼用浸漬ノズル6から第2溶鋼22を注入し、下側溶鋼プール16には内層溶鋼用浸漬ノズル5から第1溶鋼21を注入する。直流磁場帯14の位置において、鋳片の表面側には第1溶鋼プールの溶鋼が凝固した凝固シェル(上側溶鋼プール凝固部分24)が形成されている。直流磁場帯14位置における凝固シェル断面積をS2とする。この凝固シェル断面積S2が、鋳造後鋳片の表層部面積S2となる。鋳片表面積のうちの表層部面積S2以外の部分が内層部面積S1であり、S1とS2を足した値が鋳片断面積となる。上側溶鋼プール15から凝固シェル23として下方に輸送される上側溶鋼プール凝固部分24の単位時間輸送量G2は、鋳造速度をVcとして、第1溶鋼21、第2溶鋼22の密度をρ1、ρ2とすると、
2=ρ22C
となり、下側溶鋼プール16で凝固して下方に輸送される下側溶鋼プール凝固部分25の単位時間輸送量G1は、
1=ρ11C
となる。合計鋳造量をGとすると、
G=G1+G2
となる。
次に、内層溶鋼用浸漬ノズル5から下側溶鋼プール16に供給する溶鋼量をQ1、表層溶鋼用浸漬ノズル6から上側溶鋼プール15に供給する溶鋼量をQ2とする。合計溶鋼量Qを
Q=Q1+Q2
とおく。タンディッシュから鋳型への溶鋼供給量合計(Q)については、メニスカス位置が一定を保持するように湯面レベル制御によって調整するので、
Q=G
が確保される。本発明では、各浸漬ノズルから各溶鋼プールに供給する溶鋼量について、
1=G1
2=G2
とすることにより、直流磁場帯14を経由しての溶鋼の混合を防止し、タンディッシュの第2室12で形成した第2溶鋼22の成分のままで鋳片の表層部24を形成し、第1室11における第1溶鋼21の成分のままで鋳片の内層部25を形成することができる。
そこで本発明では、[3] これら3者の溶鋼量Q、Q1、Q2、を制御し、第1溶鋼21と第2溶鋼22とが直流磁場帯14を通過して混合することのないように制御する。
具体的な制御方法について、図1、4、5を用いて説明する。
予め、適用する連続鋳造装置における鋳型内での凝固係数K(mm/min0.5)を確認しておく。メニスカス17から直流磁場帯14までの高さH、鋳造速度VCを定めることにより、直流磁場帯14における凝固シェル厚さDが
D=K√(H/VC
として求まる。求まった直流磁場帯14における凝固シェル厚さDを用いて、直流磁場帯14における凝固シェル断面積S2が定まり、前述の
2=ρ22C
によってG2が定まるので、
2=G2
となるように、表層溶鋼用浸漬ノズル6からの溶鋼注入量Q2を定めればよい。
直流磁場帯14の磁場形成範囲は、湯面からの高さHを中心として上下に幅を有している。そのため、Q1とQ2のバランスが若干変動しても、上側溶鋼プール15と下側溶鋼プール16の界面27が直流磁場帯14の磁場範囲内に収まるのであれば、溶鋼界面27位置を直流磁場帯14内に制御でき、本発明の効果を十分に発揮することができる。湯面17から直流磁場帯14上限までの距離をHH、直流磁場帯14下限までの距離をHLとおく。上側と下側の溶鋼プール界面27がHH又はHLにあるとき、凝固シェル厚さはそれぞれ
H=K√(HH/VC
L=K√(HL/VC
となる。上側溶鋼プール15での凝固量G2について、溶鋼プール界面27がHH又はHLにあるときの値をそれぞれG2H、G2Lとすると、
2H/G2≒DH/D=√(HH/H)
2L/G2≒DL/D=√(HL/H)
となる。そして、上側溶鋼プール15への溶鋼供給量Q2が、G2H〜G2Lの範囲に入っていれば、溶鋼界面27位置を直流磁場帯14内に制御でき、上側溶鋼プール15と下側溶鋼プール16との溶鋼混合を抑えて十分に良好な品質とすることができる。
一定鋳造速度VC(単位時間鋳造量=G)にて引き抜きを行い、タンディッシュから鋳型内へ供給する溶鋼量がQ(=G)である状況で、まず、取鍋1からタンディッシュ2に供給する溶鋼量がQで一定となるように制御する。タンディッシュ2に供給する溶鋼量をQとするための注入制御方法としては、秤量器35aで取鍋重量を測定して時間当たり重量変化量がQとなるように注入制御を行う方法、あるいはタンディッシュ内溶鋼ヘッドが目視できる状況であるかタンディッシュの秤量器35b、35cでタンディッシュ重量を計測できればタンディッシュ溶鋼ヘッドが一定となるように注入制御を行う方法、のいずれかを用いることができる。その結果、タンディッシュ内溶鋼ヘッドは一定の高さで保持される。この状態で、下側溶鋼プール16に供給される第1溶鋼21の流量Q1を、
1=Q−Q2=Q−G2
となるように一定に制御する。具体的には、タンディッシュ内ヘッドを一定に保持しながら、あらかじめ定めた、スライディングノズル33b開度と流量のテーブルを用いて、規定開度を一定に保持することでQ1を一定に制御する。これだけでは、鋳型内全体に供給する溶鋼量Qに対して不足しているため、成分調整された第2溶鋼22を上側溶鋼プール15に供給する表層溶鋼用浸漬ノズル6のスライディングノズル33c流量調整において、湯面レベル計31で計測する鋳型内湯面レベルが一定となるように溶鋼量Q2を制御する。その結果、合計流量Qとストランド上下で消費される溶鋼量Q1、Q2それぞれを制御することができ、
2=G2
とすることができる。これにより、鋳型内の上側溶鋼プール15では、供給される溶鋼量(Q2)と、凝固シェルとして排出される時間あたり輸送量(G2)がバランスするとともに、下側溶鋼プール16では、供給される溶鋼量(Q1)と凝固シェルとして排出される時間あたり輸送量(G1)がバランスする。そのため、直流磁場帯14を通過して混合する溶鋼流が生じないので、図5の第1溶鋼21と第2溶鋼22の界面27を安定的に維持することができる。Q1とQ2のバランスによって決まる第1溶鋼21と第2溶鋼22の界面27が直流磁場帯14の範囲内となるように制御する。
この際、内層溶鋼用浸漬ノズル5の流量調整に用いるスライディングノズル33b開度と流量との関係が毎回一定ではない等の課題が考えられる。そこで、鋳造スタート時を活用して、スライディングノズル33bの開度と流量特性の関係を把握し、特性を補正すればよい。鋳造スタート時には第2溶鋼22の成分調整はまだできていないため、内層溶鋼用浸漬ノズル5を経由しての第1溶鋼21のみで鋳造を行う。その際においても、タンディッシュ内ヘッドを一定とし、かつ、鋳型内湯面レベルを一定に制御し、スライディングノズル33bの開度と流量との関係を調整することで、流量補正が可能となる。
鋳型内への溶鋼供給量制御方法としてあるいは、まず表層溶鋼用浸漬ノズル6のスライディングノズル33c開度と溶鋼供給量の関係を予め求めておき、表層溶鋼用浸漬ノズル6からの溶鋼供給量Q2が上側溶鋼プール凝固量G2となるようにスライディングノズル33c開度を定め、内層溶鋼用浸漬ノズル5のスライディングノズル33b流量調整については、鋳型内の湯面レベルが一定になるように制御することとしても良い。
これら[1]〜[3]の3つの方法を今回新たに導入することで、取鍋は1つ、タンディッシュは1つであるが、タンディッシュでの成分添加により取鍋1から供給される第1溶鋼21とは異なる成分組成の第2溶鋼22に成分調整しつつ、タンディッシュ内での第1溶鋼21との混合を防止することができ、これら2つの溶鋼を鋳型内の異なる深さの位置に長さのことなる2つの浸漬ノズルを介してそれぞれの溶鋼量を供給しつつ、鋳型内においても2つの溶鋼の混合を防止することで、鋳片の表層と内層の成分組成が異なる複層鋳片の製造が可能となる。
なお、直流磁場によってストランドを上側溶鋼プール15と下側溶鋼プール16に分割するが、直流磁場帯14よりも上の上側溶鋼プール15に供給される溶鋼量は、直流磁場帯14よりも下の下側溶鋼プール16に供給される溶鋼量と比較して少ない。そのため、上側溶鋼プール15では、十分な溶鋼攪拌ができないことがある。本発明では、鋳型内周方向全体にわたっての凝固を均一化する手段として、上側溶鋼プール15における鋳型内湯面近傍に電磁撹拌装置9を設置し、水平断面内で旋回流を付与し、溶鋼流動ならびに凝固を周方向に均一化するのが望ましい。
以上、述べた本発明の原理を検証するため、試験連鋳機を用いて鋳造試験を行った。試験連鋳機では、幅800mm×厚170mmの鋳片の鋳造が可能である。図1に示すように、鋳型内の湯面レベルから75mm下方に電磁撹拌装置9のコア中心を設置し、鋳型内湯面近傍の水平断面内で最大0.6m/sの旋回流を付与した。加えて、湯面レベルからH=400mm下方を中心に幅方向に均一な磁束密度分布を有する直流磁場を鋳片の厚み方向に印加することができる直流磁場発生装置8を設けた。この直流磁場発生装置8のコア厚みが200mmのため、湯面レベルからの高さがHH=300mmからHL=500mmの範囲内にわたってほぼ同じ磁束密度の直流磁場を最大0.5T印加することができる。従って、第2溶鋼供給量Q2とG2との比(Q2/G2)が、G2H/G2≒√(HH/H)=0.87からG2L/G2≒√(HL/H)=1.12の範囲内であれば、溶鋼界面27位置を直流磁場帯14内に制御できるので、本発明の効果を発揮することができる。
鋳型3の上方に設けるタンディッシュ2の仕様は以下の通りである。容量は20tで、タンディッシュは複数室(第1室:12t、第2室:8t)から構成され、それぞれの室の底面に内層溶鋼用浸漬ノズル5と表層溶鋼用浸漬ノズル6の2つの浸漬ノズルを取り付けた。なお、2つの浸漬ノズルの間隔は400mmである。また、これらの室は内面が耐火物で構成された連通管19(内径100φ)で接続されている。連通管19の周りには2つのソレノイドコイル(10A、10B)からなる直流磁場発生装置7が設置されており、2つのコイルにより互いに逆向きの直流磁場が印加される。また、印加する磁束密度は最大0.2Tである。
鋳型内に溶鋼を供給する2つの浸漬ノズル(5、6)の吐出孔位置は、鋳片幅方向には幅中心をはさんでそれぞれ1/4幅位置とした。また、深さ方向には直流磁場発生装置8によって形成される直流磁場帯14の上方に表層溶鋼用浸漬ノズル6の吐出口を設け、下方に内層溶鋼用浸漬ノズル5の吐出口を設置した。具体的には、表層溶鋼用浸漬ノズル6の吐出孔位置は湯面レベルから150mmとし、内層溶鋼用浸漬ノズル5の吐出孔位置は湯面レベルから550mmとした。ここで、鋳型内の凝固係数K値はおよそ25mm/min0.5であることを確認しており、鋳造速度VC=1m/分で鋳造した際の直流磁場発生装置8の中心までで形成される表層厚は約16mmである。この表層厚みからから、直流磁場帯14位置における凝固シェル断面積(鋳造後鋳片の表層部面積)S2が定まり、この表層部面積S2と鋳造速度から、下側溶鋼プール16と上側溶鋼プール15から下方に輸送される単位時間鋳造量がそれぞれG1、G2として定まり、G1、G2に等しくなるように第1溶鋼21と第2溶鋼22の流量(Q1、Q2)を規定することができる。
第1溶鋼21と第2溶鋼22の流量制御については、鋳造開始時に内層溶鋼用浸漬ノズル5から第1溶鋼21のみで鋳造を行い、必要溶鋼流量を供給するための内層溶鋼用浸漬ノズル5のスライディングノズル33bの開度を確認した。その後、タンディッシュヘッドが一定となるように、取鍋1からの注入量を一定に制御したうえで、内層溶鋼用浸漬ノズル5からの供給溶鋼量がQ1となるようにスライディングノズル33b開度を一定で制御した。さらに、第2溶鋼22については、湯面レベルが一定となるように表層溶鋼用浸漬ノズル6のスライディングノズル33c開度調整を行い、結果として第2溶鋼22の供給量がQ2となるように制御した。
取鍋1から供給する溶鋼成分が第1溶鋼21成分であり、第1溶鋼21は低炭Alキルド鋼である。取鍋1から供給する第1溶鋼21はタンディッシュ2の第1室11に供給され、その一部は連通管19を経由して第2室12に供給される。第2室内の第2溶鋼22は第1溶鋼21に対して、前述したタンディッシュの第2室12内に0.3mm厚の軟鋼板でかしめた鉄製ワイヤー(内部にNi粒を含有:420g/m)をワイヤーフィーダー(成分添加装置34)にて添加した。Q2=G2となる鋳造においては添加速度3m/分で添加した。なお、この条件で上記Ni含有ワイヤーを添加すると、第1溶鋼21に0.5%Niを添加することに相当する。Q2とG2が相違する鋳造(下記実験2)においては、第2溶鋼中のNi含有量が0.5%となるようにワイヤーの添加速度を調整した。
鋳片内Ni濃度分布を調査するため、表層については表面から8mm位置(表層厚みの中心)、内層については表面から40mm位置(鋳片1/4厚)について、両短辺中央、1/4幅位置の表裏面、1/2幅位置の表裏面、のそれぞれ8箇所、表層、内層あわせて合計16箇所から分析試料を採取し濃度を調査した。また、表層厚については、分析試料を採取した部位について、表面から40mmまでの領域を対象に、分析試料を採取したほぼ同じ位置でサンプルを切り出し、EPMAにて厚み方向の濃度分布を調査した。添加した元素の濃度が高くなっている厚みを求めた。
得られた分析結果については以下の指標で表内層の分離度、表層濃度の均一性を評価した。鋳片表層濃度CO、鋳片内層濃度CI、取鍋内濃度CLとタンディッシュ内に添加した濃度CTから決まる表層分離度XOと鋳片表層厚み内の周方向平均値CMと標準偏差σから求められる濃度均一度Yを以下の式を用いて求めた。
O=(CO −CI)/(CT −CL ) −−−−(1)
Y=σ/CM −−−−(2)
具体的な実験方法について説明する。前述した本発明の原理を検証するため、以下、3つの実験を行った。
まず、実験1として、タンディッシュヘッドを一定に保持した条件で連結管周囲に設置した2つのソレノイドコイル(10A、10B)に印加する直流磁場の表層分離度XO、濃度均一度Yに及ぼす影響を調査した。なお、鋳型内の直流磁場帯14に印加する磁束密度を0.4Tとし、Q2=G2として直流磁場帯14を通過する溶鋼の発生を抑止し、表/内層界面位置を制動域内の450mm、鋳型内電磁撹拌装置9による撹拌流速は0.4m/sの条件でタンディッシュ2の連通管19内に印加する磁束密度を変化させて鋳造した。結果を図6に示す。磁場を印加しない条件ですでに分離度Xoは0.9前後、均一度は0.1前後となっているが、磁束密度とともにさらに分離度、均一性が良好となった。
次に、実験2として、第1、第2の流量バランスを変化させ、表層溶鋼用浸漬ノズル6からの溶鋼供給量Q2が、上側溶鋼プール15で凝固する鋳造量G2と相違する条件で鋳造し、表層分離度、濃度均一性に及ぼす影響を調査した。ここで、タンディッシュの連通管19内に印加する磁束密度は0.1T、鋳型内の直流磁場帯14に印加する直流磁場の磁束密度は0.4T、鋳型内電磁撹拌装置による撹拌流速は0.4m/sの条件で、Q2を変化させて鋳造した。結果を図7に示すが、Q2/G2=0.87〜1.12の範囲に制御した条件では、溶鋼界面27位置を直流磁場帯14内に制御できるので、表層分離度Xoは0.9以上1以下、濃度均一度Yは0.1以下となり、表層分離度、濃度均一度ともに良好な鋳片をえることができた。一方、Q2/G2<0.87の条件では、上側溶鋼プール15への溶鋼供給量が不足して、直流磁場帯14を通過して下側溶鋼プール16から上側溶鋼プール15へ溶鋼が移動するため、上側溶鋼プール15の添加元素含有量が低下することとなった。逆に、Q2/G2>1.12の条件では、上側溶鋼プール15への溶鋼供給量が過剰で、直流磁場帯14を通過して上側溶鋼プール15から下側溶鋼プール16へ溶鋼が移動するため、鋳片の内層にも添加元素が含有される結果となった。
さらに、実験3として、鋳型内直流磁場帯14に印加する磁束密度を0.4T、表内層界面位置を制動域内の450mm、タンディッシュの連通管19内に印加する磁束密度を0.1Tの条件で、上側溶鋼プール15における鋳型内電磁撹拌装置9の撹拌流速を変えて鋳造した。表層ノズル側短辺部の表層厚み、内層ノズル側短辺部の厚み、幅中央部の表層部の厚みを調査し、撹拌条件との関係を調査した。
図8には鋳型内電磁撹拌の有無による表層厚みの周方向分布の違いについて調査した結果を示した。電磁撹拌を印加しない条件では下部に溶鋼を供給するノズル側で溶鋼が停滞しやすく、表層厚みが厚くなる傾向がみられたが、0.3m/s以上の旋回流を湯面近傍で付与することで表層厚みの周方向分布を均一化することができ、好ましい。
最後に、実験4として、第1室11と第2室12の容量が異なるタンディッシュを準備し、第1室11の湯面レベルの面積ST1、第2室12の湯面レベルの面積ST2を変化させた。それぞれの室から各溶鋼プールへの溶鋼供給量をQ1、Q2とした場合、Q1/ST1とQ2/ST2との大小関係を変化させうえで、さらに第1室11と第2室12をつなぐ連結管19周囲に設置した2つのソレノイドコイル10に印加する直流磁場を一定の条件(図9)、直流磁場をかえた条件(図10)で鋳造を行い、分離度、表層濃度均一性に及ぼす影響を調査した。なお、鋳型内の直流磁場帯14に印加する磁束密度を0.4T、表/内層界面位置を制動域内の450mm、鋳型内電磁撹拌装置9による撹拌流速は0.4m/sの条件とした。取鍋からの注入を行ってタンディッシュヘッドが一定の条件と、取鍋からの注入をやめタンディッシュヘッドが時間とともに低下する条件のそれぞれで試験を行った。
結果を図9に示す。なお図9ではタンディッシュ2の連通管19に印加する磁束密度は0.1Tで一定とした。図9に示したように、タンディッシュヘッドが一定の条件(図9(a))では第1室11、第2室12の容量によらず分離度Xoは0.9以上、均一度は0.1以下となっている。一方、タンディッシュヘッドが時間とともに低下する条件(図9(b))では条件によって分離度、均一度はわずかながらではあるが変化し、Q1/ST1とQ2/ST2の大小関係で結果を説明することができた。即ち、非定常部位ではあるもののQ2/ST2−Q1/ST1>0を満足することで非定常部位含めてタンディッシュでの流動を安定化することができる。
また、図10は、Q2/ST2−Q1/ST1=−1.2となるタンディッシュを準備し、タンディッシュ2の連通管19に印加する磁束密度を0〜0.2Tで変化させた場合である。鋳造中に取鍋からの注入をやめ、タンディッシュヘッドが時間とともに低下する条件において、分離度、均一度に対して連通管19に印加する磁束密度が及ぼす影響を確認した。その結果、図10に示すように連通管19へ印加する磁束密度ともに分離度、均一度は良好となった。即ち、Q2/ST2−Q1/ST1<0となるタンディッシュを用いた場合であっても、連通管19に印加する磁束密度を高くすることにより、非定常部位含めてタンディッシュでの流動を安定化することができる。
本方法は以上のような方法で第2溶鋼の成分調整を行うので、第2溶鋼に添加する成分についての制約は少なく、NiやCだけでなく、Si,Mn,P,S,B,Nb,Ti,Al,Cu,Moに加えて、強脱酸、強脱硫元素であるCa,Mg,REM等、鋼中に含有する元素を添加することができる。このため、鋳片の表層成分を変えることで鋼材の新たな機能を比較的簡便な方法で可能となる。
図1に模式的に示した鋳造装置で低炭Alキルド鋼を鋳造する実験を行った。溶鋼の溶製は、転炉出鋼後、二次精錬にて脱ガス、成分調整した。取鍋溶鋼は250tであった。
容量50tのタンディッシュは複数室(第1室11:35t、第2室12:15t)から構成され、それぞれの室の底面に内層溶鋼用浸漬ノズル5と表層溶鋼用浸漬ノズル6の2つの浸漬ノズルを取り付けた。なお、2つの浸漬ノズルの間隔は600mmである。また、これらの室は内面が耐火物で構成された連通管19(内径200φ)で接続されている。連通管19の周りには2つのソレノイドコイル(10A、10B)からなる直流磁場発生装置7が設置されており、2つのコイルにより互いに逆向きの磁力線が形成される。また、印加する磁束密度は最大0.2Tである。
鋳型内の湯面レベルから100mm下方に電磁撹拌装置9のコア中心を設置し、鋳型内の上側溶鋼プール15中に水平断面内で最大0.6m/sの旋回流を形成した。かつ湯面レベルから450mm下方に幅方向に均一な磁束密度分布を有する直流磁場を鋳片の厚み方向に印加することができる直流磁場発生装置8を設けた。最大0.5Tの直流磁場が印加できる。この直流磁場発生装置8のコア厚みが200mmのため、湯面レベルから350〜550mmの範囲内にわたってほぼ同じ磁束密度の直流磁場を最大0.5T印加することができる。そのため、直流磁場帯14の範囲は湯面レベルからの高さがHH=350mmからHL=550mmの範囲となる。従って、第2溶鋼供給量Q2とG2との比(Q2/G2)が、G2H/G2≒√(HH/H)=0.88からG2L/G2≒√(HL/H)=1.11の範囲内であれば、溶鋼界面27位置を直流磁場帯14内に制御できるので、本発明の効果を発揮することができる。
鋳型内に溶鋼を供給する浸漬ノズルの位置については、まず、鋳片幅方向には幅中心をはさんでそれぞれ1/4幅位置とした。また、浸漬ノズルの吐出孔位置については、深さ方向には直流磁場発生装置8によって形成される制動領域(直流磁場帯14)の上側(表層溶鋼用浸漬ノズル6)と、下側(内層溶鋼用浸漬ノズル5)にそれぞれ設置した。具体的には、表層溶鋼用浸漬ノズル6の吐出孔位置は湯面レベルから200mmとし、内層溶鋼用浸漬ノズル5の吐出孔位置は湯面レベルから600mmとした。
鋳造条件は、1200mm幅、250mm厚、鋳造速度1.5m/分で鋳造した。ここで、鋳型内の凝固係数K値はおよそ25mm/min0.5であることを確認しており、鋳型内直流磁場発生装置8の中心までで形成される表層厚は約14mmである。この表層厚みから、直流磁場帯14位置における凝固シェル断面積(鋳造後鋳片の表層部面積)S2が定まり、この表層部面積S2と鋳造速度から、下側溶鋼プール16と上側溶鋼プール15から下方に輸送される単位時間鋳造量がそれぞれG1、G2として定まり、G1、G2に等しくなるように第1溶鋼と第2溶鋼の流量(Q1、Q2)を規定すると好適である。
第1溶鋼21と第2溶鋼22の流量制御については、鋳造開始時に第1溶鋼21のみで鋳造を行い、必要溶鋼流量を供給するための内層溶鋼用浸漬ノズル5のスライディングノズル33bの開度を確認した。その後、タンディッシュヘッドが一定となるように、スライディングノズル33a流量調整によって取鍋1からの注入量を一定に制御したうえで、本発明例と一部の比較例について、内層溶鋼用浸漬ノズル5からの供給溶鋼量がQ1となるようにスライディングノズル33b開度を一定で制御した。さらに、第2溶鋼22については、湯面レベル計31で計測した湯面レベルが一定となるように表層溶鋼用浸漬ノズル6のスライディングノズル33c開度調整を行い、結果として第2溶鋼の供給量がQ2となるように制御した。
タンディッシュでの成分調整について説明する。前述したタンディッシュの第2室12内に0.3mm厚の軟鋼板でかしめた鉄製ワイヤー(外径12mm、C粉含有量:226g/m)をワイヤーフィーダー(成分添加装置34)にて添加速度6m/分で添加した。ワイヤーの添加速度は、各実施例での第2溶鋼の流量Q2に対応して、第2溶鋼に0.3%Cを添加することに相当する添加速度とした。また、ワイヤー添加は取鍋1からの溶鋼注入が終了するまで継続し、注入終了とともにワイヤー供給を停止した。
次に、本発明の原理を検証するために行った実験内容について説明する。
◆実験1:タンディッシュヘッドを一定に保持した条件で第1溶鋼21,第2溶鋼22の流量バランスを変化させ、Q2/G2が変化する条件で鋳造する。
◆実験2:タンディッシュヘッドを一定に保持した条件でタンディッシュ2の連通管19部分に設置した2つのソレノイドコイルに印加する直流磁場条件を変えて鋳造する。
◆実験3:タンディッシュヘッドを一定に保持した条件で鋳型内電磁撹拌装置9の印加電流を変えて湯面近傍で形成する旋回流速を変えて鋳造する。
◆実験4:取鍋1からの注入が終了した後にタンディッシュ2の連結管19周囲に設置した2つのソレノイドコイルに印加する直流磁場条件を変えて鋳造する。
ここで、前述した実験において、鋳型内直流磁場発生装置8により0.5Tの直流磁場を印加した。
鋳片内C濃度分布を調査するため、表層については表面から7mm位置(表層厚みの中心)、内層については表面から60mm位置(鋳片1/4厚)について、両短辺中央、1/4幅位置の表裏面、1/2幅位置の表裏面、のそれぞれ8箇所、表層、内層あわせて合計16箇所から分析試料を採取し濃度を調査した。また、表層厚DRについては、分析試料を採取した部位について、表面から60mmまでの領域を対象に、分析試料を採取したほぼ同じ位置でサンプルを切り出し、EPMAにて厚み方向の濃度分布を調査した。添加した元素の濃度が高くなっている厚みを求めた。
得られた分析結果については以下の指標で表内層の分離度、表層濃度の均一性を評価した。鋳片表層濃度CO、鋳片内層濃度CI、取鍋内濃度CLとタンディッシュ内に添加した濃度CTから決まる表層分離度XOと鋳片表層厚み内の周方向平均値CMと標準偏差σから求められる濃度均一度Yを以下の式を用いて求める。
O=(CO −CI)/(CT −CL ) −−−−(1)
Y=σ/CM −−−−(2)
実験1、実験2、実験3、実験4、それぞれの結果を表1、表2、表3、表4・表5に示した。
Figure 2017030012
表1ではタンディッシュの連通管19内に印加する磁束密度は0.1T、鋳型内の直流磁場帯14に印加する直流磁場の磁束密度は0.5T、鋳型内電磁撹拌装置9による撹拌流速は0.4m/sの条件で、第2溶鋼供給量Q2とG2との比(Q2/G2)を変化して鋳造した。界面位置(メニスカス17から界面27までの距離HR)については、鋳片の表層厚DRを計測し、
R=K√(HR/VC
を逆算して求めた。
2/G2=0.88〜1.11の範囲として界面27位置が直流磁場帯14による制動域内に制御した本発明1,2,3の条件では分離度、均一度ともに良好な結果が得られた。一方、Q2/G2<0.87にはずれた比較例3,4では、界面27位置が直流磁場帯14上端に止まり、表層分離度XO、濃度均一度Yともに不良であった。Q2/G2>1.11にはずれた比較例1,2では、界面27位置が直流磁場帯14の下端位置に止まり、比較的良好な表層分離度、濃度均一性がえられたが、本発明と比較すると不十分であった。
Figure 2017030012
表2では鋳型内の直流磁場帯14に印加する磁束密度を0.5T、Q2/G2=1(表/内層界面位置を制動域内の450mm)、鋳型内電磁撹拌装置9による撹拌流速は0.4m/s、タンディッシュヘッドを一定に保持した条件で、タンディッシュの連通管19内に印加する磁束密度を変化して鋳造した。この実験では磁場印加に関わらず、すべての条件(本発明4、本発明5、比較例5)で分離度、均一度ともに良好な結果が得られた。なお、分離度、均一度の数値は磁束密度とともにさらに良好になった。
Figure 2017030012
表3では鋳型内の直流磁場帯14に印加する磁束密度を0.5T、Q2/G2=1(表内層界面位置を制動域内の450mm)、タンディッシュの連通管19内に印加する磁束密度を0.1Tの条件で、鋳型内電磁撹拌装置9の撹拌流速を変えて鋳造した。表層溶鋼用浸漬ノズル側短辺部の表層厚み、内層溶鋼用浸漬ノズル側短辺部の厚み、幅中央部の表層部の厚みを調査し、撹拌条件との関係を調査した。鋳型内電磁撹拌による撹拌流を付与しない本発明8では品質上問題にはならないものの表層厚みの不均一がみられた。一方、鋳型内電磁撹拌装置9による撹拌流を付与した本発明6,7ではいずれも表層溶鋼用浸漬ノズル6側短辺厚、内層溶鋼用浸漬ノズル5側短辺厚と幅中央部の表層厚みがほぼ同じであった。そのため、鋳型内電磁撹拌による撹拌流を付与することで表層厚みが鋳片周方向に均一になるため、好ましい。
最後に、第1室11と第2室12の容量が異なるタンディッシュを準備し、第1室11の湯面レベルの面積ST1、第2室12の湯面レベルの面積ST2を変化させた。それぞれの室から各溶鋼プールへの溶鋼供給量Q1、Q2とした場合、Q1/ST1とQ2/ST2との大小関係を変化させうえで、さらに第1室11と第2室12をつなぐ連結管19周囲に設置したソレノイドコイル10に印加する磁束密度が0.1T一定の条件で、分離度、表層濃度均一性に及ぼす影響を調査した。なお、鋳型内に印加する磁束密度を0.5T、表/内層界面位置を制動域内の450mm、鋳型内電磁撹拌装置による撹拌流速は0.4m/sの条件とした。取鍋1からの注入を行ってタンディッシュヘッドが一定の条件と、取鍋1からの注入をやめタンディッシュヘッドが時間とともに低下する条件のそれぞれで試験を行った。
Figure 2017030012
結果を表4に示す。タンディッシュヘッドが一定の条件では第1室11、第2室12の容量によらず分離度は0.9以上、均一度は0.1以下となっている。一方、タンディッシュヘッドが時間とともに低下する条件では、Q1/ST1とQ2/ST2の大小関係で結果が変化した。すなわち、Q2/ST2−Q1/ST1>0を満足する本発明例9、10では分離度>0.9、均一度<0.1を満足したが、Q2/ST2−Q1/ST1<0の条件では本発明例11,12では分離度、均一度ともに本発明例9、10よりも低値となった。
Figure 2017030012
また、表5は、Q2/ST2−Q1/ST1<0の条件となるタンディッシュを準備し、タンディッシュ2の連通管19に印加する磁束密度を0〜0.2Tで変化させた場合である。連通管19部分へ磁場を印加する条件を変化した本発明例13,14では、タンディッシュヘッドが一定の条件では分離度>0.9、均一度<0.1であり、タンディッシュヘッドが変化する条件では若干悪化したものの分離度はおよそ0.9、均一度はおよそ0.1であった。一方、磁場を印加しない比較例10は分離度は0.9を下まわり、均一度は0.1よりも悪化し、その傾向はタンディッシュヘッドが変化する条件で顕著となった。
1 取鍋
2 タンディッシュ
3 鋳型
5 内層溶鋼用浸漬ノズル
6 表層溶鋼用浸漬ノズル
7 直流磁場発生装置
8 直流磁場発生装置
9 電磁攪拌装置
10A ソレノイドコイル
10B ソレノイドコイル
11 第1室
12 第2室
13 取鍋注入流
14 直流磁場帯
15 上側溶鋼プール
16 下側溶鋼プール
17 メニスカス(湯面)
18 湯面
19 連通管
20 溶鋼
21 第1溶鋼
22 第2溶鋼
23 凝固シェル
24 上側溶鋼プール凝固部分(表層部)
25 下側溶鋼プール凝固部分(内層部)
26 溶鋼浸漬部分
27 界面
29 鋳片
30 浸漬ノズル
31 湯面レベル計
32 制御装置
33 流量調整装置(スライディングノズル)
34 成分添加装置
35 秤量器
40 直流磁場
41 溶鋼流動
42 誘導電流
43 制動力
44 壁
45 磁力線

Claims (5)

  1. 鋳片の表層と内層の成分組成が異なる複層鋳片を製造する方法であって、2つの室を有するタンディッシュの、第1室にて取鍋から溶鋼を受鋼しつつ、溶鋼流制動用のソレノイドコイルを備えた連通管にて接続された第2室に、前記第1室から溶鋼流を制動しつつ供給し、かつ、前記第2室に所定の元素あるいはその合金を連続的に添加して前記第2室の溶鋼の濃度を調整し、2種類の成分の溶鋼をタンディッシュ内で保持し、
    鋳型幅方向全幅にわたって厚み方向に直流磁場を印加する直流磁場発生装置を配置し、当該直流磁場発生装置によって形成される直流磁場帯をはさんだストランドの上部を上側溶鋼プール、下部を下側溶鋼プールとし、
    タンディッシュのそれぞれの室の底部に設けた長さの異なる2つの浸漬ノズルを用いて、それぞれの溶鋼プール中で凝固によって消費される溶鋼量を鋳型内に供給することを特徴とする複層鋳片の連続鋳造方法。
  2. タンディッシュの2つの室のそれぞれの底部に設けた浸漬ノズルから前記上側溶鋼プールと下側溶鋼プールに溶鋼を供給するにあたり、下側溶鋼プールに供給する溶鋼量はタンディッシュのヘッドと内層溶鋼用浸漬ノズルのスライディングノズルの開度と溶鋼流量の関係を用いて、上側溶鋼プールと下側溶鋼プールの溶鋼界面位置が直流磁場発生装置の直流磁場帯内となるように供給し、上側溶鋼プールの溶鋼はタンディッシュの第2室にて成分調整された溶鋼を、鋳型内湯面レベルが一定となるように制御しつつ供給することを特徴とする請求項1記載の複層鋳片の連続鋳造方法。
  3. 2つの室の間に設けた連通管の周囲を取り巻くように二つのソレノイドコイルを設置し、そのコイルが互いに異なる向きの磁力線を形成するようにそれぞれのコイルに直流電流を通電することを特徴とする請求項1又は2記載の複層鋳片の連続鋳造方法。
  4. 鋳型内幅方向全体にわたって厚み方向に直流磁場を印加しつつ、その上方の鋳型内湯面近傍において水平断面内で旋回流を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の複層鋳片の連続鋳造方法。
  5. 鋳片の表層と内層の成分組成が異なる複層鋳片を製造する装置であって、第1室と第2室を有するタンディッシュと、前記2つの室を接続しかつその周りに二つのソレノイドコイルを、そのコイルが互いに異なる向きの磁力線を形成するように配置した連通管を備え、取鍋からの溶鋼を前記第1室に注入し、第2室の溶鋼に成分を添加する成分添加装置を有し、
    鋳型内では湯面近傍において水平断面内で旋回流を形成する電磁撹拌装置と、その下方に鋳型幅方向全体にわたって厚み方向に直流磁場を印加する直流磁場発生装置を備え、当該直流磁場発生装置によって形成される直流磁場帯をはさんだストランドの上部を上側溶鋼プール、下部を下側溶鋼プールとし、
    更に前記タンディッシュの2つの室のそれぞれの底部に長さの異なる2つの浸漬ノズルを備え、第2室底部の浸漬ノズル(表層溶鋼用浸漬ノズル)から上側溶鋼プールに溶鋼を供給し、第1室底部の浸漬ノズル(内層溶鋼用浸漬ノズル)から下側溶鋼プールに溶鋼を供給し、それぞれの溶鋼プール中で凝固によって消費される溶鋼を、前記タンディッシュから鋳型内に供給する構造とすることを特徴とする複層鋳片の連続鋳造装置。
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