JP2017029939A - シール機構及びそれを備えた粉体処理装置並びにシール方法 - Google Patents

シール機構及びそれを備えた粉体処理装置並びにシール方法 Download PDF

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勇 師村
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憲司 村田
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Masayoshi Kawahara
正佳 河原
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Abstract

【課題】被処理物を含む混合液を用いた粉体処理の精度向上及び/又は該混合液の安全性又は信頼性の向上を実現し得る、シール機構及びそれを備えた粉体処理装置並びにシール方法を提供する。【解決手段】1つのシール機構は、第1液体91中で粉砕及び/又は混合された被処理物と第1液体との混合液92を送液する送液用羽根52と関連づけられたロータ50を備える処理室10と、ロータを回転させる回転軸体25の少なくとも一部の周囲を覆うとともに前述の混合液の流路の一部を構成するケーシング5と回転軸体の間に形成される、第2液体94を収容する液密空間80とが、ロータとケーシングとの間に設けられた隙間を介して連通する、シール機構である。加えて、このシール機構は、回転軸体に周設された回転羽根の回転によって第2液体を流動させる。【選択図】図1

Description

本発明は、シール機構及びそれを備えた粉体処理装置並びにシール方法に関するものである。
湿式粉砕機は、水等の液体に粉砕すべき被処理物を分散し、粉砕ピンやメディア等を用いて磨砕するものであり、広く利用されている。例えば、特許文献1は、回転軸に設けられた撹拌ピンと固定ピンとを備える湿式粉砕機において、その回転軸に硬質材料製の保護部材を取り付けることによって、回転軸の摩耗を防止する技術を開示している。また、特許文献2は、回転軸に設けられた撹拌ピンと固定ピンを備える湿式の混練機において、流路の途中で原料となる粉体を予め混合させておくことによって、効率的に混練する技術を開示している。
また、これまでに、本願出願人は、被処理物が、硬い造粒物または凝集物であっても、予め微粉砕を行うことなく直接供給可能な、縦型の粉体処理装置を創出し、開示している(特許文献3)。
実開平1−77847号公報 実開平5−93539号公報 特開2013−176732号公報
しかしながら、特許公報1又は2に開示される従来技術を採用した場合であっても、例えば、被処理物が医薬の錠剤のような硬い造粒物のような場合には、被処理物が液体中で十分分散しなかったり、あるいは被処理物が細かく粉砕されないまま排出され、その結果製品中に粗大粒子が混入するおそれがあった。そのため、湿式粉砕機に供給する前に予め微粉砕の処理を行ったり、あるいは粉砕後の製品を篩などにかけ粗大粒子を取り除く必要があった。しかし、そのような予備粉砕工程を用いると、吸湿性の高い性質を有する造粒物の場合には、微粉砕の処理中に空気中の水分を吸湿するため、再び固着してしまうという問題が生じる。また、有害な成分を含む造粒物を被処理物とする場合、外気中で微粉砕処理を行うと、生じた粉塵によって人体に悪影響を及ぼす可能性が高まるため、発塵しない状態で処理工程を進めることが望まれる。さらに、上記のような予備粉砕工程や粗大粒子除去工程といった余分な工程が増えることによって生産性が悪くなるため、工程数の減少と併せて、被処理物の粉砕、分散、溶解等の処理能力を増大させることによって、生産性を向上させる技術を提供することも、重要な技術課題といえる。
一方、特許文献3によれば、仮に、硬く液体中で分散しにくい造粒物または凝集物を予め微粉砕を行うことなく、直接、処理装置内に供給した場合であっても、被処理物を十分に粉砕及び/又は混合することが可能となる粉体処理装置が提供される。
しかしながら、縦型であるために小型化を実現することが容易ではなく、特に高さ制限のある空間内における設置の自由度が低いという問題がある。また、該装置の設置空間において、被処理物の供給方向又は処理後の混合液の排出方向が制限される場合、該装置をいわゆる横型(回転軸方向が重力方向に直交する方向)の装置としたり、あるいは縦型であっても、上下方向を逆さまにした(反転させた)装置とすることが要求され得る。一方、既存の縦型の装置(代表的には、粉体処理装置であるがこれに限定されない)を単に横倒にして用いると、縦型として活用していた際には構成上無視し得た諸々の問題が顕在化する。特に、該装置の主要な駆動機構(例えば、ベアリング等を含む回転機構)及び上述の液体(及び被処理物)又は異物の侵入を防止するためのシール機構(例えば、リップシール、ラビリンスシール、メカニカルシール、磁性流体シール等の公知のシール機構を含む)が上述の液体(及び被処理物)の流路の一部に近接又は連通している場所に設けられている場合は、いわゆる縦型又は横型を問わず、各種の処理(代表的には、粉体処理)の精度向上又は被処理対象の安全性又は信頼性の向上のためには避けては通れない問題となる。というのも、該液体による、該機構を構成する部品の腐食又は劣化、あるいは処理対象となる混合液への不純物の混入といった問題が生じるためである。かかる諸問題は、例えば、液体及び被処理物、あるいは処理後の混合液が、粉砕等を行うための回転刃の回転軸の駆動機構又はシール機構に接する場合に顕著に現れることになる。
本発明は、上述の諸問題の少なくとも一部を解決するものであり、仮に、液体及び被処理物の混合液の流路の一部が、該装置の主要な駆動機構(例えば、ベアリング等を含む回転機構)及び/又は公知のシール機構(例えば、メカニカルシール機構)に近接又は連通している場所に設けられている場合であっても、該混合液を用いた各種の処理(代表的には、粉体処理)の精度向上及び/又は該混合液の安全性又は信頼性の向上を実現し得る、シール機構及びそれを備えた代表例としての粉体処理装置並びにシール方法を提供に大きく貢献し得るものである。
本発明者は、液体及び被処理物の混合液の流路の一部が、上述の駆動機構及び/又は公知のシール機構に近接又は連通している場所に設けられている場合であっても、該混合物が該機構又はその部品に対して影響を及ぼさない、又はその影響を軽減するためのシール機構及びそれを備えた代表例としての粉体処理装置並びにシール方法の実現に向けて鋭意取り組んだ。その結果、該混合液の流路が連通する、該混合液の処理とは直接的に関係がない液密空間を工夫することにより、その液密空間内への該混合液(又は、該混合液の成分)の浸入を防止ないし抑制し得るとの知見を得た。また、前述の防止ないし抑制は、各種の処理(代表的には、粉体処理)において用いられる駆動機構の一例である回転機構の回転軸が重力方向に沿っていない場合に、特にその効果を発揮し得ることを見出した。本発明は上述のような知見に基づいて創出された。
本発明の1つのシール機構は、第1液体中で粉砕及び/又は混合された被処理物とその第1液体との混合液を送液する送液用羽根と関連づけられたロータを備える処理室と、前述のロータを回転させる回転軸体の少なくとも一部の周囲を覆うとともにその混合液の流路の一部を構成するケーシングと前述の回転軸体の間に形成される、第2液体を収容する液密空間とが、そのロータとそのケーシングとの間に設けられた隙間を介して連通する、シール機構である。加えて、このシール機構は、前述の回転軸体に周設された回転羽根の回転によって第2液体を流動させる。
このシール機構は、被処理物と第1液体との混合液を用いた例えば粉体処理装置において、上述の回転軸体に周設された回転羽根の回転によって液密空間内の第2液体を流動させる。その流動又は該流動に伴う液密空間内の第2液体の撹拌、循環又は旋回運動によって、第1液体及び被処理物を含む混合液が液密空間内に浸入することを高い確度で防止ないし抑制し得る。その結果、例えば粉体処理装置においては、該混合液を用いた各種の処理(代表的には、粉体処理)の精度向上及び/又は該混合液の安全性又は信頼性の向上を実現し得る。
なお、防止ないし抑制のメカニズムについては、第2液体の流動又は該流動に伴う液密空間内の第2液体の撹拌、循環又は旋回運動によって、液密空間内に第2液体の積極的な外部からの供給を要することなく、第2液体の液圧(第2液圧)を高められていると考えられる。そして、該混合液の液圧(第1液圧)に対して第2液圧を高くする、換言すれば第2液圧を陽圧にすることによって、上述のシール機構が実現されていると考えられる。また、本実施形態の作用ないし効果を実現するもう1つの可能性は、回転羽根が、回転軸体の回転軸芯周りに回転駆動することによる、液密空間内の第2液体の流動又は該流動に伴う液密空間内の第2液体の撹拌、循環又は旋回運動自身が、混合液の浸入を防止ないし抑制し得ると考えられる。
また、本発明の1つのシール方法は、第1液体中で粉砕及び/又は混合された被処理物とその第1液体との混合液を送液する送液用羽根と関連づけられたロータを備える処理室と、そのロータを回転させる回転軸体の少なくとも一部の周囲を覆うとともに前述の混合液の流路の一部を構成するケーシングと前述の回転軸体の間に形成される、第2液体を収容する液密空間とを、前述のロータと前述のケーシングとの間に設けられた隙間を介して連通させ、前述の回転軸体に周設された回転羽根の回転によって第2液体を流動させる工程を含む。
このシール方法は、被処理物と第1液体との混合液を用いた例えば粉体処理の際に、上述の回転軸体に周設された回転羽根の回転によって液密空間内の第2液体を流動させる工程を含む。その流動又は該流動に伴う液密空間内の第2液体の撹拌、循環又は旋回運動によって、第1液体及び被処理物を含む混合液が液密空間内に浸入することを高い確度で防止ないし抑制し得る。その結果、例えば粉体処理装置においては、該混合液を用いた各種の処理(代表的には、粉体処理)の精度向上及び/又は該混合液の安全性又は信頼性の向上を実現し得る。
本発明の1つのシール機構又は1つのシール方法によれば、被処理物を含む混合液が、粉体処理装置に代表される各種処理装置の駆動機構に連通する液密空間内に浸入することを高い確度で防止ないし抑制し得る。その結果、該混合液を用いた各種の処理(代表的には、粉体処理)の精度向上及び/又は該混合液の安全性又は信頼性の向上を実現し得る。
本実施形態における粉体処理装置の構成を概略的に示す説明図である。 本実施形態の粉体処理装置を分かりやすく説明するために、便宜上幾つかの領域に分類した説明図である。 本実施形態における粉砕ロータを示す概略斜視図である。 本実施形態における固定刃を示す概略斜視図である。 本実施形態の粉体処理装置のケーシング、回転軸体、及びロータの一部を拡大した図である。 本実施形態の送液用羽根と関連づけられたロータの斜視図である。 本実施形態の変形例として採用し得る、送液用羽根と関連づけられたロータの斜視図である。 本実施形態の変形例として採用し得る、送液用羽根と関連づけられたロータの斜視図である。 本実施形態の変形例として採用し得る、送液用羽根と関連づけられたロータの斜視図である。 本実施形態の変形例として採用し得る、送液用羽根と関連づけられたロータの斜視図である。 本実施形態におけるスクリーンの形状の例を示す概略斜視図である。 図5の一部(Z領域)をさらに拡大した図である。 本実施形態の回転羽根の斜視図である。 本実施形態の変形例として採用し得る、回転羽根の斜視図である。 粉砕試験で行われた工程を概略的に示す図である。
本発明の実施形態を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。なお、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。また、図中、各実施形態の要素のそれぞれは、必ずしも互いの縮尺比を保って示されてはいない。また、各図面を見やすくするために、一部の符号が省略され得る。
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態におけるシール機構、及び該シール機構を備える粉体処理装置100の構成を側面視において概略的に示す説明図である。また、図2は、粉体処理装置100を分かりやすく説明するために、便宜上幾つかの領域に分類した説明図である。
本実施形態の粉体処理装置100には、被処理物1を液体中において乳化、分散、混合、粉砕、及び溶解(以下、「粉砕等」ともいう)のうちの少なくとも一つの処理を行う湿式粉砕機であり、大別すると、2つの構成部分に分類される。
図1及び図2に示すように、その1つは、被処理物1と液体(本実施形態では、第1液体91)とを、乳化、分散、混合、粉砕、溶解のうちの少なくとも一つの処理を行うことによって生成された混合液92(以下、単に「混合液」ともいう)を送液する送液用羽根52と関連づけられたロータ50を備える処理室10である。なお、本実施形態の処理室10は、図1に示すように、ローター50のみならず、その他の部品(粉砕ロータ20、ライナ7、及びスクリーン48など)を備えている。
もう1つは、ロータ50を回転させる回転軸体25の少なくとも一部の周囲を覆うとともに混合液92の流路の一部を構成するケーシング5と回転軸体25の間に形成される、液体(本実施形態では、第2液体94)を収容する液密空間80である。
なお、本実施形態においては、架台6上に粉体処理装置100が配置されている。また、回転軸体25の回転軸が、略水平となるように配置ないし設置されていることは主たる特徴の一つである。但し、本実施形態における「略水平」とは、広義には、水平方向を0°として±10°以内であり、狭義には、水平方向を0°として±5°以内である。また、ケーシング5は、図1に示すように、複数の構成部品(5a,5b,5c,5d,5e)をボルト等によって一体化したものであってもよい。加えて、本実施形態のケーシング5は、後述する液密空間80を構成する一部としての役割も果たしている。
また、本実施形態の粉体処理装置100においては、回転刃22を備える粉砕ロータ20、及び送液用羽根52と関連づけられたロータ50は、いずれも、回転軸体25の回転軸芯周りに回転駆動するように設けられている。なお、図3は、本実施形態における粉砕ロータ20を示す概略斜視図である。本実施形態における粉砕ロータ20は、円筒状の外筒21と外筒21の外周面に設けられた3段の複数のピン状の丸棒型回転刃22を備える。
また、本実施形態においては、説明の便宜上、代表的に、粉体処理装置100を「粉砕機」として説明しているが、この「粉砕機」が、本実施形態の粉体処理装置100の構成の主たる構成を備えることにより、前述の乳化、分散、混合、溶解等を行う装置ともなり得る。
加えて、本実施形態の粉体処理装置100においては、回転軸体25の回転軸が、略水平となるように配置ないし設置されている。
次に、本実施形態におけるシール機構及び粉体処理装置100のより詳細な構成と、シール方法及び又は粉体処理装置100の処理方法について説明する。
まず、処理室10の具体的な構成と処理方法について説明する。
図1に示すように、本実施形態における処理室10は、主として、上流側空間60を形成する上流側部品5a、第1本体部5b、テーパ部(仕切部)5c、第2本体部5d、及び下流側部品5eを含むケーシング5、回転軸体25、粉砕ロータ20、一例として送液用羽根52と一体的に形成(例えば、公知のダイカスト鋳造法により形成)されることによって関連づけられたロータ50、ライナ7、及びスクリーン48とを備える。
また、図2に示すように、処理室10は、乳化、分散、混合、粉砕、溶解の各工程のうちの少なくとも一つを実現し得る循環領域(図2の領域A)と、主として被処理物1を粉砕及び/又は混合するための領域(以下、便宜上、「粉砕・混合領域」という)(図2の領域B)と、分散・溶解領域(図2の領域C)と、送液領域(図2の領域D)とから構成されている。しかしながら、本実施形態の処理室10の構成は、前述の構成に限定されない。少なくとも、処理室10が、代表的には粉砕及び/又は混合することによって生成された混合液92を送液するためのロータ50を備えれば、後で詳述する液密空間80と相俟って、本実施形態の特徴的効果が奏され得る。なお、説明の便宜上、粉体処理装置100における循環領域(領域A)及び粉砕・混合領域(領域B)の2つの領域を合わせて第一処理室と呼び、送液領域(領域D)が第二処理室と呼ぶ。そして、分散・溶解領域(領域C)によって第一処理室と第二処理室とが分離される。
ここで、処理室10は、供給口55から被処理物1を第1液体91とともに受け入れる。代表的な被処理物1の例は、造粒物、凝集体、又は顆粒状粉体等の粉体である。なお、特に被処理物1の大きさは限定されないが、代表的な被処理物1の大きさの例は、粒径が10mm以下である。また、本実施形態で採用される代表的な第1液体91は、水や、無機溶液、有機溶液、あるいはオイル類である。
また、上述のとおり、本実施形態の処理室10の一部であるケーシング5においては、上流側空間60を形成する上流側部品5a、第1本体部5b、テーパ部5c、第2本体部5d、及び下流側部品5eがボルトによって一体化されている。しかしながら、本実施形態はこの態様に限定されない。例えば、公知のダイカスト鋳造法によって一体的に形成されることも採用し得る他の一態様である。
また、ケーシング5の内壁には、第一処理室の一部を形成する円筒部70として、ライナ7が設けられている。本実施形態では、ライナ7は、その内周面に固定刃30を備えている。なお、図4は、本実施形態における固定刃30を示す概略斜視図である。
上述の構成を有するケーシング5は、円筒部70の上流側(領域A側)に、円筒部70が形成する空間に連続する上流側空間60と、被処理物1及び第1液体91を同時に又は別々にケーシング5内に供給する、第一処理室に連通する供給口55とを備える。なお、ケーシング5は、処理室10における下流側の一端には混合液92を排出する、第二処理室に連通する排出口56を備えてもよい。
また、ライナ7の下流側(領域D側) には、ライナ7と連続し、換言すれば、第一処理室に連通し、円筒部70から軸芯に沿って一様に、下流へ向かうほど小径となる、無底筒状の仕切部を形成する、ケーシング5の一部を構成するテーパ部5cが設けられている。このテーパ部5cによって、図1に示すように、いわば、漏斗状空間75が形成されることになる。
なお、本実施形態の別の態様(変形例)として、ケーシング5の内壁とライナ7との間には、後述する粉砕ロータ20の回転刃22とライナ7の固定刃30との間隔を調整するスペーサが設けられてもよい。さらに別の態様(変形例)として、ケーシング5は、冷媒又は熱媒を流すことによってケーシング5内を加熱又は冷却するためのジャケットを備えていてもよい。
また、ケーシング5内の構造は、腐食による劣化を防ぐ観点から、できる限り溶接部をなくした構成とすることが望ましい。さらに、耐磨耗あるいは耐腐食の観点から、少なくとも第1液体91又は被処理物1と接する部品であるケーシング5、粉砕ロータ20、回転刃22、ライナ7、固定刃30、及びロータ50は、SUS304、SUS316、又はSUS329J4Lなどのステンレス鋼、チタン合金、ニッケル基合金、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、又は炭化窒素などの材料で構成されるか、あるいはクロムめっきや亜鉛めっきなどのめっき処理されていることが望ましい。
本実施形態の粉体処理装置100を用いた一例としての処理方法においては、まず、供給口55から第1液体91とともに供給された被処理物1が、上流側空間60を介して、回転刃22とケーシング5の軸芯周りに回転駆動する粉砕ロータ20とが内側に設けられている円筒部70内に導入される。そうすると、被処理物1は、固定刃30と、回転軸体25に連接されて回転する粉砕ロータ20の回転刃22とから繰り返し衝撃を受けることにより粉砕等(代表的には、粉砕及び/又は混合)される。従って、本実施形態では、回転刃22と固定刃30とが協働して被処理物1を粉砕等することになる。その後、混合液92は、回転するロータ50によって排出口56から粉体処理装置100外へ排出される。
以下に、本実施形態における処理室10の領域A乃至領域Dにおける各処理方法について更に説明を加える。
図2に示す領域Aは、乳化、分散、混合、粉砕、溶解の各工程のうちの少なくとも一つを実現し得る循環領域である。主に粉砕等された被処理物1を第1液体91中で循環させながら分散及び/又は溶解させる領域と言える。本実施形態では、粉体処理装置100の上流側空間60は、循環領域として機能する。
本実施形態の上流側空間60には、被処理物1及び第1液体91を供給する供給口55が処理室10の側方に設けられている。上流側空間60の形状は、特に限定されるものではないが、上流側空間60は、上述のとおり、固定刃30と、回転刃22とにより主に粉砕等された被処理物1を循環させながら分散及び/又は溶解させる領域であるため、その被処理物1が循環しやすい形状であることが望ましい。
また、上流側空間60は、供給された被処理物1及び第1液体91を一時的に貯留するためのバッファ領域としても機能する。すなわち、仮に粉砕・混合領域で処理可能な量以上の被処理物1及び第1液体91が供給されたとしても、粉砕・混合領域の上流側に設けられた上流側空間60内で過剰量の被処理物1及び第1液体91を一旦貯留・循環させながら、粉砕・混合領域で順次粉砕等の処理が行われる。そのため、被処理物1及び第1液体91を粉体処理装置100に連続的かつ大量に供給することが可能となり、生産性が向上する。
次に、図2に示す領域Bは、粉砕・混合領域である。本実施形態では、粉体処理装置100のケーシング5における円筒部70内の領域が、粉砕・混合領域として機能する。
上述のとおり、本実施形態の円筒部70内には、ライナ7が備える固定刃30と、回転刃22を備えた粉砕ロータ20とが設けられている。また、円板状のスクリーン48が、円筒部70と漏斗状空間75との間に設けられている。
まず、円筒部70内について説明する。円筒部70内に設けられる粉砕ロータ20は、導入された被処理物1を粉砕等する。また、粉砕ロータ20は、回転軸体25に連接され、その回転刃22はライナ7の内周面近傍まで延出する。すなわち、ライナ7または固定刃30と回転刃22との間には隙間が設けられている。
本実施形態の粉体処理装置100では、粉砕ロータ20の回転によって、円筒部70内のライナ7の内周壁にそって旋回する渦流が形成され得る。粉砕ロータ20を回転させることにより、第1液体91による渦流を生じさせることができる。このため、ケーシング5内に、被処理物1が供給口55から供給されると、被処理物1が、回転刃22と固定刃30とによって粉砕等されるとともに、第1液体91及び粉砕等された被処理物1の一部は渦流によってライナ7及びケーシング5の内壁に沿って上流側へ移動する。即ち、粉砕等された被処理物1は、渦流によって上流側(領域A側)への移動及び下流側(領域B側)への移動を繰り返しながら回転刃22、固定刃30、及びライナ7との衝突によって、さらに粉砕されることになる。
また、粉砕ロータ20は、上述のとおり、乳化、分散、混合、粉砕、溶解等の目的に応じて交換可能であり、特定の形状に限定されるものではない。本実施形態の粉砕ロータ20及び回転刃22の使用態様の例、及びその他の形状の例として、特許文献3の使用態様及び図4及び図5に示されている斜め羽根型及び凹凸ディスク型等の形状を適宜採用することができる。例えば、羽根型回転刃を採用した場合の該回転刃の角度を20°以上50°以下とすることは、被処理物1及び第1液体91の粉砕・混合領域及び後述する循環領域のおける好適な滞留時間を得る上で好ましい。また、粉砕ロータ20の具体的な寸法は、特に限定されず、その適用場所や態様等に応じて適宜調整することができる。
また、本実施形態の粉砕ロータ20の速度は特に限定されない。
また、本実施形態の固定刃30の使用態様の例、及びその他の形状の例として、特許文献3の使用態及び図7に示されている形状を適宜採用することができる。被処理物1が回転刃22及び固定刃30に衝突する確率を高めることによって、被処理物1がより粉砕等され易くなり、処理能力を向上させることは、好適な一態様である。
加えて、図1に示すように、回転軸体25は円筒部70の軸芯方向に沿って設けられている。回転軸体25は、ケーシング5と同軸芯となるように配置されて、その一端が下流側に設けられた入力源(例えば、公知のモーター)Pに連結されている。なお、本実施形態とは別に、回転軸体25が、ケーシング5との関係において偏芯となるように配置される場合も採用し得る。また、回転軸体25には、粉砕ロータ20及び後述する回転羽根82が設けられている。なお、本実施形態の回転軸体25においては、粉砕ロータ20の先端部(即ち、回転刃22の先端部)の周速と、回転羽根82の先端部の周速とが互いに異なるように、回転軸(中心)から各端部までの長さが調整され得る。加えて、本実施形態の別の態様(変形例)においては、粉砕ロータ20の該端部の周速と、回転羽根82の該先端部の周速、及び/又は回転方向が互いに異なるように、回転軸体25と同芯軸である別の回転軸体が互いに独立して回転させるように複数の入力源に連結する構成を採用し得る。
次に、図2の領域Cは、分散・溶解領域である。また、図2の領域Dは、被処理物1及び第1液体91の混合液92を送液する領域(送液領域)である。本実施形態では、粉体処理装置100の漏斗状空間75の下流側端部から下流側空間9に至るまでの領域は送液領域として機能する。換言すれば、ケーシングの一部であって仕切部を形成するテーパ部5cによって、被処理物1及び第1液体91の混合液92を送液する送液領域が、循環領域、粉砕・混合領域、及び分散・溶解領域から分離されることになる。
本実施形態のテーパ部5cの傾斜面が形成する漏斗状空間75は、下流側ほど小径となる漏斗状の形状を有する。また、漏斗状空間75は、円筒部70が形成する空間と同軸芯となるように、漏斗状空間75の軸芯方向の下流側に連続している。ここで、本実施形態では、漏斗状空間75が先端側ほど小径となる漏斗状の形状を有することにより、後述する下流側空間9へ送液する流量を制限することになる。その結果、循環領域、粉砕・混合領域、及び分散・溶解領域での被処理物1の滞留時間を長くすることが可能となり、被処理物1がより粉砕等される。さらに、粉砕等された塊状又は粒状の被処理物1(以下、単に「粒子」ともいう)のうちの比較的大きな径の粒子が、渦流に乗って漏斗状空間75を形成するテーパ部5cの傾斜面に沿って上昇し、漏斗状空間75から下流側空間9への流出が留められ、その間に再度分散・溶解作用を受ける。そのため、第1液体91中に分散又は溶解するための滞留時間をより長くすることが可能となる。
なお、粉砕等された被処理物1の比較的大きな径の粒子が、漏斗状空間75を形成するテーパ部5cの傾斜面に沿ってスムーズに上昇することを可能にする観点から、仕切部の側面傾斜角度、すなわち、漏斗状空間75を形成するテーパ部5cの傾斜部分の傾斜角度は、漏斗状空間75の上端から見たときに、水平面に対して俯角5°以上60°以下となるように形成することが好ましい。これらの角度の範囲よりも急峻であれば、上述の被処理物1の滞留時間を十分に得ることができない。他方、これらの角度の範囲よりも緩やかであれば、その滞留時間が長くなりすぎて被処理物1の処理速度が低減することになる。上述の観点から言えば、漏斗状空間75を形成するテーパ部5cの傾斜部分の傾斜角度が約30°となることは、最も好ましい態様といえる。また、本実施形態においては、漏斗状空間75を形成するテーパ部5cの先端部11は曲面上に形成されているが、鋭角状に屈折させてもよい。但し、よりスムーズな流体の移動を実現する観点から言えば、漏斗状空間75を形成するテーパ部5cの先端部11は曲面上に形成されることが好ましい。
領域Dの一部を構成する本実施形態の下流側空間9は、円筒部70及び漏斗状空間75と同軸芯となるように漏斗状空間75の軸芯方向の下流側に連続している。また、下流側空間9は、送液用羽根52と関連づけられたロータ50と排出口56とを備えている。
また、領域Dの一部を構成する本実施形態のロータ50は、混合液92を排出口56に向けて送液する。ロータ50を回転させることによって、排出量を調節して、効率よく混合液92を排出させる流れを作り出す。
図5は、本実施形態の粉体処理装置100のケーシング5、回転軸体25、及びロータ50の一部を拡大した図であり、混合液92が排出口56に向けて送液される状況を具体的に説明するための図である。図5に示すように、ロータ50の回転する際には、ロータ50がケーシング5と接触しないように、ロータ50とケーシング5との間に隙間C(すなわち、クリアランス)が設けられる。隙間Cを介して、領域Dを備える処理室10と、第2液体94を収容する液密空間80とが連通している。この隙間Cは、本実施形態におけるシール機構の一部を構成する。液密空間80の構成及び作用については後で詳述する。
ここで、送液用羽根52と関連づけられたロータ50については、送液用羽根52及びロータ50のいずれについても種々の形状を使用することができる。例えば、図6は、本実施形態の送液用羽根82と関連づけられたロータ50の斜視図である。図7乃至図10は、本実施形態の別の態様(変形例)として採用し得る、送液用羽根と関連づけられたロータの斜視図である。また、図6乃至図10に示す送液用羽根と関連づけられた各種のロータのうち1種類以上を多段に、換言すれば積み重ねて使用する態様も、採用し得る他の一態様である。但し、装置全体としての小型化を図る観点から言えば、送液用羽根と関連づけられたロータの1種類を採用することが好ましい。また、ロータ50の送液用羽根は、テーパ部5cの下流側開口よりも回転軸体25中心方向内側から形成されていることが望ましい。粉砕ロータ20が回転することにより発生するテーパ部5cの内周壁に沿って旋回する渦流によって、比較的大きい粒子径の被処理物1ほど漏斗状空間75を形成するテーパ部5cの壁面に沿って上昇しやすくなる。一方、細かい粒子径の被処理物1は、ロータ50によって強制的に下流側に流れることになる。
ところで、本実施形態では、ロータ50を粉砕ロータ20と同じ回転軸体25に取り付けているが、必ずしも同じ回転軸体25に取り付ける必要はない。例えば、上述の回転羽根82と同様に、回転軸体25とは別の回転軸をケーシング5の下流側から取り付け、その回転軸にロータ50を取り付けるようにしてもよい。このような構成を採用することにより、粉砕ロータ20とロータ50との回転速度や回転方向をそれぞれ独立して変えることが可能となる。一般的に、ロータ50の回転速度が遅くなれば被処理物1及び第1液体91の排出量は減少する。従って、ロータ50の回転速度を調整することによっても、被処理物1の滞留時間を調整することが可能となる。
上述のとおり、本実施形態の排出口56は、回転刃22及び固定刃30により粉砕等された被処理物1を、混合液92の状態で、より具体的には第1液体91中に分散、溶解、又は第1液体91と乳化、あるいは第1液体91と混合した状態で排出する場所となる。このように、本実施形態の粉体処理装置100の構成を採用すれば、ケーシング5の上流側に設けられた供給口55から被処理物1を連続的に供給し、ケーシング5の下部に設けられた排出口56から連続的に取り出すという、連続操業が可能になる。なお、必要に応じて、所望の大きさに粉砕等された固形物を通過させて選別することによって上述の最終的に得られる被処理物1の粒子径のバラつきを更に低減するために、スクリーン48が採用される。
図11は、本実施形態におけるスクリーン48の形状の例を示す概略斜視図である。図11に示すように、円板状のスクリーン48は、リム部41とフィルター部45と備えている。また、フィルター部45の中心部には、回転軸体25に嵌挿される挿通孔46が形成されている。フィルター部45は、粉砕ロータ20と対抗する表面に、長径の異なる複数の長穴形状の開口部42を有している。また、リム部41は、スクリーン48とライナ7とを固定するためのボルトを通す穴であるボルト穴47を複数備えている。
また、スクリーン48の形状は、特に限定されるものではない。例えば、特許文献3に示されるスクリーンの形状も採用し得る。但し、スクリーン48の目詰まりを低減させ、効率よく粉砕処理及び溶解処理を行う観点から言えば、本実施形態のスクリーンが採用されることが好ましい。また、スクリーン48の具体的な寸法は特に限定されず、その適用場所や態様等に応じて適宜調整することができる。
次に、本実施形態のシール機構の一部を構成する液密空間80及び回転軸体25に対して周設された回転羽根82について詳述する。
図12は、図5の一部(Z領域)をさらに拡大した図である。また、図13は、本実施形態の回転羽根82の斜視図である。図5及び図12に示すように、本実施形態の液密空間80は、回転軸体25の一部と、回転軸体25の少なくとも一部の周囲を覆うとともに混合液92の流路の一部を構成するケーシング5(特に、第2本体部5d及び下流側部品5e)と、ロータ50の一部によって形成される、第2液体94が収容された空間である。そして、上述のように、液密空間80は、隙間Cを介して、混合液92の流路である送液領域(図2の領域D)と連通している。
なお、本実施形態においては、図13に示すように回転羽根82の突出部分が回転軸を中心に180°間隔で2箇所のみ設けられているが、本実施形態の変形例の一つとして、回転羽根82の突出部分が回転軸を中心に任意の等間隔(一例として、45°、60°、又は90°間隔)で設けられる回転羽根も採用され得る。また、図14は、本実施形態の別の態様(変形例)として採用し得る、回転羽根の斜視図である。加えて、上述のロータ50と同様に、各種の形状を有する羽根(図13及び図14のみならず、図6乃至図10に示された羽根の形状を含む)のうち1種類以上を多段に、換言すれば積み重ねて使用する態様も、採用し得る他の一態様である。但し、装置全体としての小型化を図る観点から言えば1種類の回転羽根を採用することが好ましい。
ここで、本実施形態のシール方法は、回転羽根82が、回転軸体25の回転軸芯周りに回転駆動することによって、液密空間80内の第2液体94を流動させる工程を含む。従って、この回転羽根82は、いわば第2液体94を撹拌させる役割、又は第2液体94の液密空間80内における循環ないし旋回運動を生じさせる役割を果たすことになる。本発明者の研究及び分析によれば、この流動又は該流動に伴う液密空間80内の第2液体94の撹拌、循環又は旋回運動によって、例えば、図12の隙間Cにおける矢印(破線)に示すような流体の流れを生み出すと考えられるため、第1液体91及び被処理物1を含む混合液92が液密空間80内に浸入することを高い確度で防止ないし抑制するというシール機構を実現することができることが確認された。なお、図12においては、ロータ50と回転羽根83の回転方向が同じであるように描かれているが、本実施形態の回転方向が互いに異なる方向に回転することも採用し得る一態様である。但し、混合液92と第2液体94の境界面の流れが互いに緩衝せず、混合状態になり難くする観点から、ロータ50と回転羽根83の回転方向が同一方向であることが好ましい。
なお、本実施形態の第2液体の例は、第1液体91と同じ液体、水(純水、イオン交換水、蒸留水など)、無機溶液、有機溶液、又はオイル類である。但し、可能な限り不純物を回転機構に代表される各機構に接触させない観点から言えば、第2液体として第1液体91と同じ液体を採用することが好ましい。
本実施形態においては、混合液92の流路の一部が、隙間C及び液密空間80を介して回転軸体25及びケーシング5等に接している。従って、混合液92が液密空間80内に浸入することを防止ないし抑制することは、混合液92による回転軸体25及びケーシング5等の腐食又は劣化、あるいはそのような腐食又は劣化と伴う混合液92への不純物の混入又は汚染につながるといった問題を顕著に軽減することになる。
また、本実施形態においては、図1及び図5に示すように、回転軸体25の端面に対してシール用液体供給部96から供給される薄い液膜のシール用液体97を介して接触する公知のメカニカルシール機構Mが採用されている。加えて、本実施形態においては、このメカニカルシール機構Mが、混合液92の流路の一部に近接又は連通している。そのため、液密空間80の存在、及び回転羽根82の回転により、メカニカルシール機構Mの腐食又は劣化、あるいはそのような腐食又は劣化と伴う混合液92への不純物の混入又は汚染を軽減することも可能となる。
なお、上述の防止ないし抑制のメカニズムについては、第2液体94の流動又は該流動に伴う液密空間80内の第2液体94の撹拌、循環又は旋回運動によって、液密空間80内に第2液体94の積極的な外部からの供給を要することなく、第2液体94の液圧(第2液圧)を高められていると考えられる。そして、該混合液92の液圧(第1液圧)に対して第2液圧を高くする、換言すれば第2液圧を陽圧にすることによって、上述のシール機構が実現されていると考えられる。また、本実施形態の作用ないし効果を実現するもう1つの可能性は、回転羽根82が、回転軸体25の回転軸芯周りに回転駆動することによる、液密空間80内の第2液体94の流動又は該流動に伴う液密空間80内の第2液体94の撹拌、循環又は旋回運動自身が、混合液92の浸入を防止ないし抑制していることである。
上述のとおり、液密空間80は、処理室10に対していわば抗力的な役割を果たすことになる。なお、回転軸体25の回転軸が、略水平である本実施形態においては、回転羽根82の先端部の周速が5m/秒以上、より好ましくは、8m/秒以上であれば、前述の効果が奏され得る。
ところで、通常、粉体処理が行われている間は、液密空間80内の第2液体94の濃度(代表的には、イオン成分等の濃度)よりも、混合液92の濃度の方が高い。そのため、回転羽根82の回転によって液密空間80内の第2液体94を流動させ続けたとしても、時間の経過に伴って、混合液92内のイオン成分等がその濃度勾配により液密空間80内に侵入することになる。これは、最終的には回転軸体25又はケーシング5等の部品の腐食又は劣化につながる。
そこで、1つの変形例として、図1及び図5に示すように、第2本体部5dが備える貫通孔84a,84bを介して、外部から新たに第2液体94を、定期的に、不定期に、又は連続して液密空間80内に送給する送給部86をさらに備えるとともに、液密空間80内の第2液体94を排出することは、より好適な一態様である。この構成を採用すれば、液密空間80内の第2液体94の濃度は低く保たれるため、第2液体94に接触する部品等の腐食又は劣化をさらに確度高く防止ないし抑制し得る。なお、前述の第1液体91の送給のタイミングと必ずしも合わせる必要はないが、送給のタイミングと合わせることは、液密空間80内の第2液体94の量を略一定に保つことが可能となるため、好ましい。さらに、このような変形例の態様においては、回転羽根82の回転による第2液体94の流動は、第2液体94の送給量を可能な限り低減することによって低コスト化、及び混合液92の品質の安定性ないし信頼性を実現することになる。
加えて、他の変形例として、液密空間80内の第2液体94のイオン濃度を、公知の濃度測定器によって定期的に、不定期に、又は連続して測定し、その濃度が所定の濃度に達したときに外部の送給部86から第2液体94を、定期的に、不定期に、又は連続して液密空間80内に送給するように制御する制御部88を、本実施形態の粉体処理装置100に、又はその他の変形例に対してさらに設けることも、好適な一態様である。
また、本実施形態の粉体処理装置100においては、回転軸体25の回転軸が、略水平となるように配置ないし設置されているが、本実施形態の配置ないし設置態様は特に限定されない。回転軸体25の回転軸が重力方向に沿うように粉体処理装置100が配置ないし設置されている場合であっても、本実施形態の効果の少なくとも一部が奏され得る。
ところで、被処理物1と第1液体91の供給口55が下方に配置され、かつ回転軸体25の回転軸が重力方向に向いて、又は重力方向に対して傾くように粉体処理装置100が配置ないし設置される場合、換言すれば、被処理物1と第1液体91の供給方向が、重力方向において下方から上方である場合(具体的な例の一つとして、図1の矢印のA方向が重力方向となるような場合)がある。この場合、第2液体94及び混合液92が、いずれも常に重力方向(下方)に力を受ける。そのため、混合液92の第1液圧より第2液体94の第2液圧を高くするための、又は液密空間80内の第2液体94の撹拌、循環又は旋回運動によって確度高く混合液92の浸入を防止ないし抑制するための、回転羽根82の周速を低く抑えることが可能となる。従って、被処理物1と第1液体91の供給口55が下方に配置され、かつ回転軸体25の回転軸が重力方向に向いて、又は重力方向に対して傾くように粉体処理装置100が配置ないし設置されることは、好適な一態様である。
一方、被処理物1と第1液体91の供給口55が上方に配置され、かつ回転軸体25の回転軸が重力方向とは逆向きとなるように、又は重力方向と逆向きの方向を基準として、その基準となる方向に対して傾くように粉体処理装置100が配置ないし設置される場合、換言すれば、被処理物1と第1液体91の供給方向が、重力方向において上方から下方である場合(具体的な例の一つとして、図1の矢印のA方向が重力方向と逆方向になるような場合)がある。この場合も、第2液体94及び混合液92が、いずれも常に重力方向(下方)に力を受ける。そうすると、この場合は、上述の例とは逆に、混合液92の第1液圧より第2液体94の第2液圧を高くするための、又は液密空間80内の第2液体94の撹拌、循環又は旋回運動によって確度高く混合液92の浸入を防止ないし抑制するための回転羽根82の周速は、早めるように調整される。
以上述べたとおり、本実施形態における粉体処理装置100によれば、混合液92による回転軸体25及びケーシング5等の腐食又は劣化、あるいはそのような腐食又は劣化と伴う混合液92への不純物の混入又は汚染を軽減することができる。また、粉体処理装置100によれば、例えば被処理物1が医薬品として用いられる錠剤のような硬い造粒物又は凝集物を予め微粉砕を行うことなく、直接、被処理物1を粉砕機内に供給した場合であっても、被処理物1の循環領域、粉砕・混合領域及び分散・溶解領域での滞留時間を確保して、被処理物1を十分に粉砕及び/又は混合させることが可能となる。そして、そのような高度な信頼性が求められる医薬品等が被処理物1であっても、該被処理物1を含む混合液92の流路への不純物の混入又は汚染を軽減することができる。
<実施例>
以下、上述の実施形態をより詳細に説明するために、実施例をあげて説明するが、上述の実施形態はこれらの例によって限定されるものではない。以下に、粉体処理装置100を用いて被処理物1の処理試験を行った結果を示す。
まず、処理試験で行われた具体的な工程は次のとおりである。図15は、処理試験で行われた工程を概略的に示す図である。本実施例においては、架台6上に粉体処理装置100が配置されている。より具体的には、第1の実施形態における回転軸体25の回転軸が、略水平となるように配置されている。なお、本実施例における「略水平」とは、水平方向を0°として±10°以内である。
本実施例の被処理物1は、ラクトース造粒品(粒径約10mm)である。また、ライナ7の内径は、140mmに設定した。テーパ部5cの傾斜角度は、30°に設定した。また、粉砕ロータ20は、8本の丸棒(φ136mm)3段型(図3に記載)である。また、固定刃30は、8本の丸棒(長さ38mm)3段型(図6に記載)である。スクリーン48は、長穴形状の開口部(短径0.5mm)を備える円板状のスクリーン(図11に記載)である。さらに、粉砕ロータ、固定刃、及びスクリーンの材質は、SUS304である。また、粉砕ロータ20の回転刃22である丸棒の先端周速は、約22m/s(回転速度3000rpm)に設定した。
図15に示すとおり、まず、ラクトース造粒品と水道水とを供給口55から粉体処理装置100内に供給した。具体的には、水道水が、液体タンク210からポンプ220を用いて、流量計230の管理下で6600kg/hで粉体処理装置100に供給された。また、被処理物1であるラクトース造粒品は、被処理物供給機240から、1600kg/hで粉体処理装置100に供給された。
第1液体91とともに供給された被処理物1を、固定刃30と、回転する粉砕ロータ20とによって処理し、粉砕、分散、及び/又は混合等された被処理物1を、水道水とともに粉体処理装置100から排出させた。排出口56からの排出量は、流量計250の管理下で8200kg/hであった。また、本実施例の条件において、運転動力は20kWであった。
排出された被処理物1及び水道水を、回収タンク260に回収することにより、本実施形態の処理能力(代表的には粉砕能力)を、ふるい上の質量割合で評価した。具体的には、回収された被処理物1及び水道水を0.29mmの目開きのふるいを用いてふるい、そのふるい上に残った被処理物1の質量を測定して得た値を、粉体処理装置100に供給した被処理物1の質量で除して質量割合(%)が求められた。その結果、0.29mmのふるい上の質量割合は、4質量%という良好な結果であった。
以上の結果から、本実施形態の粉体処理装置100によって、液体供給量が6600kg/hであり、ラクトース造粒品供給量が1600kg/hであるという条件であっても、従来は不可能であった大量の硬い被処理物1を予め微粉砕させることなく、粉砕、分散、及び/又は混合等の処理をすることが可能であることが明らかとなった。
上述のとおり、本実施形態における粉体処理装置によれば、被処理物1が硬い造粒物からなるものであっても、予め微粉砕を行うことなく乳化、分散、混合、粉砕、溶解等の工程が可能である。また、本実施形態における粉体処理装置を用いることによって、大量の処理が可能となる。従って、生産性、工業性に優れた粉体処理装置の提供に大きく貢献するものである。さらに、第1の実施形態における回転軸体25の回転軸が、略水平となるように配置されている場合であっても、液密空間80内の第2液体94の流動又は該流動に伴う液密空間80内の第2液体94の撹拌、循環又は旋回運動によって、第1液体91及び被処理物1を含む混合液92が液密空間80内に浸入することを高い確度で防止ないし抑制するというシール機構を実現することが確認できた。
<その他の実施形態>
上述の実施形態においては、円筒部の軸芯方向にケーシングと同軸に配置された回転軸体に、粉砕ロータが設けられ、固定刃がケーシングの内壁に備えられたライナに設けられていたが、粉砕ロータと固定刃との態様は、それらの態様に限定されない。例えば、円筒部の軸芯部分に固定刃を設け、円筒部の内周面に沿って設けられた回転筒に粉砕ロータが備えられることも、採用し得る他の一態様である。
また、上述の実施形態においては、液密空間80を構成する壁面の一部が、ロータ50の下流側の一面によって構成されているが、上述の実施形態はそのような態様に限定されない。例えば、ロータ50とケーシング5との間に設けられた隙間Cが形成されていれば、ロータ50とは異なる部材(例えば、ドーナツ形状の平板状部材)が、ロータ50の下流側であって回転羽根82の上流側に回転軸体25に周設される態様も採用し得る他の一態様である。但し、部品数の増加によるメンテナンスの困難性、又はコストの増加等を考慮すれば、液密空間80を構成する壁面の一部が、ロータ50の下流側の一面によって構成されることが好ましい。
以上述べたとおり、上述の各実施形態の開示は、それらの実施形態の説明のために記載したものであって、本発明を限定するために記載したものではない。加えて、各実施形態の他の組合せを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
1 被処理物
5 ケーシング
5a 上流側部品
5b 第1本体部
5c テーパ部(仕切部)
5d 第2本体部
5e 下流側部品
6 架台
7 ライナ
9 下流側空間
10 処理室
11 先端部
20 粉砕ロータ
22 回転刃
21 外筒
25 回転軸体
30 固定刃
41 リム部
42 開口部
45 フィルター部
46 挿通孔
47 ボルト穴
48 スクリーン
50 ロータ
52 送液用羽根
55 供給口
56 排出口
60 上流側空間
70 円筒部
75 漏斗状空間
80 液密空間
82 回転羽根
84a,84b 貫通孔
86 送給部
88 制御部
91 第1液体
92 混合液
94 第2液体
96 シール用液体供給部
97 シール用液体
100 粉体処理装置
210 液体タンク
220 ポンプ
230 流量計
240 被処理物供給機
250 流量計
260 回収タンク

Claims (9)

  1. 第1液体中で粉砕及び/又は混合された被処理物と前記第1液体との混合液を送液する送液用羽根と関連づけられたロータを備える処理室と、
    前記ロータを回転させる回転軸体の少なくとも一部の周囲を覆うとともに前記混合液の流路の一部を構成するケーシングと前記回転軸体の間に形成される、第2液体を収容する液密空間とが、
    前記ロータと前記ケーシングとの間に設けられた隙間を介して連通する、シール機構であって、
    前記回転軸体に周設された回転羽根の回転によって第2液体を流動させる、
    シール機構。
  2. 前記回転軸体の回転軸が、重力方向に対して傾いている、
    請求項1に記載のシール機構。
  3. 前記回転軸体の回転軸が、略水平であるとともに、前記回転羽根の周速が5m/秒以上である、
    請求項1又は請求項2に記載のシール機構。
  4. 前記第2液体を流動させることにより、前記混合液の第1液圧よりも、前記第2液体の第2液圧が高くなる、
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシール機構。
  5. 前記第2液体を、定期的に、不定期に、又は連続して、前記液密空間内に送給する送給部をさらに備える、
    請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシール機構。
  6. 前記回転軸体の回転軸周りに回転駆動する回転刃によって、前記被処理物が前記第1液体中で粉砕及び/又は混合され、
    前記回転刃の周速が、15m/秒以上である、
    請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のシール機構。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のシール機構を備えた、
    粉体処理装置。
  8. 第1液体中で粉砕及び/又は混合された被処理物と前記第1液体との混合液を送液する送液用羽根と関連づけられたロータを備える処理室と、
    前記ロータを回転させる回転軸体の少なくとも一部の周囲を覆うとともに前記混合液の流路の一部を構成するケーシングと前記回転軸体の間に形成される、第2液体を収容する液密空間とを、
    前記ロータと前記ケーシングとの間に設けられた隙間を介して連通させ、
    前記回転軸体に周設された回転羽根の回転によって第2液体を流動させる工程を含む、
    シール方法。
  9. 前記第2液体を流動させることにより、前記混合液の第1液圧よりも、前記第2液体の第2液圧が高くなる、
    請求項8に記載のシール方法。
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