JP2017028718A - 耳孔装着型収音装置、信号処理装置、収音方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ノイズリダクション処理によらず、騒音の影響を低減したS/Nの良い音声収音を提供する。
【解決手段】耳孔装着型の収音装置として、発話音を収音する内部マイクロホン1Bが、外部から略密閉とされ且つ装着者(発話者)の外耳道と通じる空間内に設置されるようにし、収音装置の外部で生じる音を収音できるように外部マイクロホン1Cが設置される。ローパスフィルタリング処理14を経た内部マイクロホンによる収音信号とハイパスフィルタリング処理27を経た外部マイクロホンによる収音信号とを加算するために、加算部29を設ける。内部マイクロホンによる収音信号及び外部マイクロホンによる収音信号に対するノイズゲート処理12、コンプレッサ処理13のいずれかが実行し、発話収音信号のS/N改善を図る。外耳道経由の収音を行った際に生じるこもり音を低減するためのイコライジング処理を収音信号に施し音質向上を図る。
【選択図】図10

Description

本技術は、少なくともその一部が耳孔部に挿入可能に構成された装着部を有する耳孔装着型の収音装置と、上記装着部に設けられた内部マイクロホンによる収音信号について信号処理を行う信号処理装置と、収音方法とに関する。
特許第4352932号公報
近年、いわゆるスマートフォンなど通話機能を有する情報処理装置が広く普及し始めている。
このような通話機能を有する情報処理装置には、受話音の聴取と発話音の収音を可能とするためのイヤホンマイク(マイク一体型イヤホン)が用いられる。
図16は、現状において普及している一般的なイヤホンマイク(以下、従来のイヤホンマイク100と表記)の例を示している。
この図16に示すように従来のイヤホンマイク100は、受話音を聴取するためのイヤホン部101と、発話音を収音するためのマイクロホン102Aとが別々に設けられている。イヤホン部101は、装着者Hの耳に装着可能に構成され、受話音を出力するためのスピーカが内蔵されている。そして、この場合のイヤホンマイク100では、イヤホン部101に信号を伝送するためのコード上においてコード上ハウジング102が形成され、当該コード上ハウジング102内にマイクロホン102Aが形成されている。
このような構成による従来のイヤホンマイク100では、装着者(発話者)から発せられた発話音が、外界(外気)を経由してマイクロホン102Aに到達して収音されることになる。
但し、上記構成による従来のイヤホンマイク100では、発話音を収音するためのマイクロホン102Aが外部に露出された状態にある。すなわち、当該マイクロホン102Aは外部騒音(環境騒音)に直接的に接している。
このため従来のイヤホンマイク100では、発話音と共に周囲の騒音が比較的大きく収音されてしまい、発話信号のS/N(信号対雑音比)が低下する傾向となる。つまりその結果、通話の相手方において、装着者Hからの発話音声が聞こえ難くなってしまう。
上記のような騒音に伴うS/Nの悪化を抑制するにあたっては、例えばSS法(SS:Spectrum Subtraction)を始めとするいわゆるノイズリダクション処理を発話収音信号に対して行うことも考えられる。
しかしながら、このようなノイズリダクション処理の実現のためには比較的大きな処理リソースを要するものとなり、その分、製品コストや消費電力等の面で不利となってしまう。
また、上記SS法のような周波数軸での非線形処理を伴うノイズリダクション処理は、一般的に処理後の音質劣化も問題となる。
本技術は上記問題点に鑑み為されたものであり、その課題は、ノイズリダクション処理によらず、騒音の影響を低減したS/Nの良い音声収音を実現することにある。
上記課題の解決のため、本技術では耳孔装着型収音装置として以下のように構成することとした。
すなわち、少なくともその一部が耳孔部に挿入可能に構成されると共に、上記耳孔部への装着状態下においてその内部に外耳道と連接する略密閉な内部空間が形成されるように構成された装着部を備える。
また、上記装着部の上記内部空間内に配されて、上記耳孔部への装着状態下において装着者により発せられ上記外耳道を通じて伝播する発話音を収音する内部マイクロホンと、上記内部マイクロホンによる収音信号に対して低域成分を抽出するためのフィルタリング処理を施す低域抽出フィルタ部を備える。
また、上記装着部の外部音を収音するように配された外部マイクロホンと、上記外部マイクロホンによる収音信号に対して中・高域成分を抽出するためのフィルタリング処理を施す中・高域抽出フィルタ部を備える。
また、上記内部マイクロホンによる収音信号に対して高域強調型のイコライジング処理を施すイコライジング処理部を備える。
また、上記中・高域抽出フィルタ部によりフィルタリング処理が施された上記収音信号と上記低域抽出フィルタ部によりフィルタリング処理が施された上記収音信号とを加算する加算部を備える。
更に、上記内部マイクロホンによる収音信号及び上記外部マイクロホンによる収音信号に対してノイズゲート処理を施すノイズゲート処理部、又は上記内部マイクロホンによる収音信号及び上記外部マイクロホンによる収音信号に対してコンプレッサ処理を施すコンプレッサ処理部とを備えるようにした。
上記本技術によれば、発話音を収音するマイクロホン(上記内部マイクロホン)は、外部から略密閉とされ、且つ装着者(発話者)の外耳道と通じる空間内に設置されたものとなる。外部から密閉された空間内に設置されることで、騒音の影響を効果的に低減することができる。また、装着者の外耳道を経由して伝播する発話音を収音するものとしたことで、装着者から発せられ外界を伝播する発話音を収音する従来のイヤホンマイク(図16)の場合よりもS/N良く発話音を収音できる。
その上で本技術では、上記低域抽出フィルタ部により上記内部マイクロホンによる収音信号の低域成分を抽出するものとしている。後述もするように外耳道経由で伝播する発話音を収音する場合には、その収音信号の特に低域において発話音成分が外部騒音成分よりも優位となる。従って上記フィルタ部を設けたことで、発話収音信号のさらなるS/N改善を図ることができる。
或いは本技術では、上記イコライジング処理部を設ける。当該イコライジング処理部を設けることで、外耳道経由の発話音を収音した際に生じるこもり音を低減し、発話収音信号の音質向上を図ることができる。
本技術によれば、外界を伝播する発話音を収音する従来のイヤホンマイクよりもS/N良く発話音を収音できる。
また本技術よれば、収音信号に対するノイズリダクション処理は不要とでき、その結果、信号処理のリソースの増大化を防ぎ、製品コストや消費電力などの面で有利とできる。
実施の形態の収音システムが備える装着部の構造について説明するための図である。 実施の形態の収音システムによる発話音の収音の様子を模式的に示した図である。 音質改善のための信号処理系の構成について説明するための図である。 音質改善のためイコライザに設定すべき具体的な周波数特性について説明するための図である。 コンプレッサ処理についての説明図である。 内部マイクロホンによる収音信号の低域で外部騒音成分よりも発話音成分の方が優位となる点について説明するための図である。 実施例1としての収音システムの構成を示した図である。 実施の形態の収音システムが採り得る「一体型」「分離型」それぞれの構成例を示した図である。 実施例2としての収音システムの構成を示した図である。 実施例3としての収音システムの構成を示した図である。 外部マイクロホンによる収音信号の中・高域で外部騒音成分よりも発話音声成分の方が優位となる点について説明するための図である。 実施例4としての収音システムの構成を示した図である。 実施例5としての収音システムの構成を示した図である。 実施例5における制御部が実行すべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。 実施例6としての収音システムの構成を示した図である。 従来のイヤホンマイクの構成例を示した図である。
以下、本技術に係る実施の形態について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。

<1.外耳道経由の発話音収音について>
<2.音質改善のための信号処理について>
<3.低域抽出によるさらなるS/N改善>
[3-1.実施例1]
[3-2.実施例2]
[3-3.実施例3]
[3-4.実施例4]
[3-5.実施例5]
[3-6.実施例6]
<4.変形例>
<1.外耳道経由の発話音収音について>

図1は、本技術に係る実施の形態としての収音システムが備える装着部1の構造について説明するための図である。
具体的に、図1Aは装着部1の透視斜視図を表し、図1Bは装着者(発話者)Hの耳部への装着状態における装着者Hの外耳道HA、耳孔部HBと装着部1との関係を断面図により表している。
先ず装着部1は、装着者(発話者)Hの発話音を収音するべく、その内部に内部マイクロホン1Bが設けられている。
本例の場合、内部マイクロホン1Bとしては、その配置スペースを考慮してMEMSマイクロホン(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)が採用される。
装着部1は、その外形としては、装着者Hの耳孔部に対して少なくともその一部が挿入可能に構成され、それにより該装着者Hの耳部に対して装着できるようにされている。具体的に、この場合の装着部1には装着者Hの耳孔部HBに対して挿入可能な形状とされた耳孔挿入部1Aが形成されており、該耳孔挿入部1Aが耳孔部HBに対して挿入されることで装着部1が装着者Hの耳部に対して装着状態となる。
そして、装着部1は、装着者Hへの装着状態において、図1Bに示すように装着者Hの外耳道HAと連接する内部空間1Vが形成されるように構成されている。
このとき、装着部1が有する耳孔挿入部1Aは、カナル型のイヤホン部が有する耳孔挿入部と同様に、その表面部が弾性を有する材料で覆われて、装着時に耳孔部HBとの密着状態が得られるように構成されている。
このため装着時において、上記の内部空間1Vは外界から略密閉された空間となる。
内部マイクロホン1Bは、当該内部空間1V内に配されている。
図2は、装着部1を有する実施の形態の収音システムによる発話音の収音の様子を模式的に示した図である。
先ず前提として、本実施の形態の収音システムでは、発話音の収音は、装着部1を装着者Hの耳部に装着した状態で行われるものである。
装着部1の装着状態において、装着者Hが発話した場合は、該発話に伴う振動が装着者Hの声帯から骨や皮膚などを経由し外耳道HAに伝達される(図中の破線矢印)。図1にて説明したように、装着状態では、内部マイクロホン1Bが配された装着部1の内部空間1Vと外耳道HAとが外界から略密閉された状態で連接している。このため、上記のように装着者Hの外耳道HAを経由して得られる発話音を、内部マイクロホン1Bによって収音することができる。
このような実施の形態としての収音システムによれば、騒音環境下においても、装着部1の筐体内部の密閉性が十分にとれていれば、筐体の外側より伝播する騒音に対しての遮音性は十分高まるため、内部マイクロホン1Bに対する騒音の混入は十分抑えられる。つまりこれにより、外界経由で発話音を収音する従来のイヤホンマイク100(図13を参照)と比較して、S/N(信号対雑音比)よく発話音を収音することができる。
なお、このときの遮音性は、少なくとも抑制を意図する騒音の帯域がカバーできるものであればよく、その意味で完全な密閉性が求められるものではない。
<2.音質改善のための信号処理について>

上記のように外耳道HA経由で伝播する発話音を収音対象とし且つ内部マイクロホン1Bが配される内部空間1Vの密閉性を確保して収音を行う本実施の形態の収音システムによれば、従来のイヤホンマイク100よりもS/N良く発話音を収音できる。
但し、例えば通常のカナル型イヤホンのように密閉性が比較的強い場合、外耳道HA内では通常の自由空間に比べて低域でのゲイン(応答)が大きくなるため、内部マイクロホン1Bによる収音信号としては低域の応答特性が比較的大となってしまう。
この影響により、内部マイクロホン1Bによる収音信号に基づく送話音声は、低域寄りにこもったような音となってしまい、通話の相手方にとってやや聞き取り難いものとなってしまう。
そこで、上記のような低域寄りの収音信号応答特性を補正すべく、図3Aに示すようにイコライザ(EQ)としての信号処理手段を設けることが望ましい。
具体的に図3Aに示す構成では、内部マイクロホン1Bによる収音信号をマイクアンプ10で増幅した後、イコライザ11による等化処理(特性補正処理)を施すものとしている。
図4は、イコライザ11に設定すべき具体的な周波数特性について説明するための図である。
先ず、図4Aでは、外耳道HA経由の収音信号の低域ゲインが大となることを説明すべく、無騒音の状態において装着部1の外界に設置したマイクロホンにより規定の会話列を収音した際の収音信号の周波数特性(図中、▲プロットと破線の組)と、同じく無騒音の状態にて、外耳道HAと連接する内部空間1Vにて内部マイクロホン1Bにより同会話列を収音した際の収音信号の周波数特性(■プロットと一点鎖線の組)とを対比して示している。
なおこの図において、周波数特性は周波数軸上で時間的に平均化したものを示している。
外耳道HAと連接された略密閉の内部空間1V内では、発話に伴い外耳道HA内で低域の音波・振動が発生した際に、内部マイクロホン1Bの振動板は非密閉環境としての外界と比べて大きく振幅することになる。この結果、外界設置のマイクロホンよりも低域について大きなマイク出力電圧が得られるものである。
実際、図4Aを参照すると、内部マイクロホン1Bによる収音信号(■&一点鎖線)には、外界設置のマイクロホンによる収音信号(▲&破線)に対し低域の膨らみが生じていることが確認できる。
この図4Aに示すような特性を有する内部マイクロホン1Bの収音信号のままでは、通話相手方への送話音はこもり音としての明瞭度の低い音声が得られてしまい、結果、該相手方での聞き取りが困難となってしまう虞がある。
そこで、内部マイクロホン1Bによる収音信号の周波数特性を補正し、より自然な周波数特性バランスとすることで、通話相手に聴取されるべき送話音の明瞭度を向上させる。
このためには、内部マイクロホン1Bによる収音信号の周波数特性を、外界設置のマイクロホンによる収音信号の周波数特性に近づけるものとすればよい。
具体的には、図4Bに示すような伝達関数で表されるフィルタ(つまりイコライザ11)を用意し、該フィルタにより内部マイクロホン1Bの収音信号の周波数特性を補正する。すなわち、図4Bに示すような、高域強調型(低域抑制型)のフィルタ特性を有するイコライザ11によって、内部マイクロホン1Bの収音信号周波数特性を補正すればよい。
このことにより、イコライザ前よりイコライザ後の方が、より明瞭度が高く自然な音声を得ることができる。
ここで、図4Aにおいては、●プロットと実線の組により、図4Bに示すフィルタ特性を有するイコライザ11によって補正を行った後の内部マイクロホン1Bの収音信号の周波数特性を示している。
該周波数特性を参照すると、内部マイクロホン1Bによる収音信号は外界設置マイクロホンによる収音信号に近づき、より自然な周波数特性バランスとなっていることが分かる。
また、送話音の音質改善の意味では、図3Bに示すように、内部マイクロホン1Bによる収音信号に対してイコライザ11による補正と共にノイズゲート処理、及びコンプレッサ処理を施すことも有効である。
具体的に、図3Bに示す構成では、マイクアンプ10を介した内部マイクロホン1Bによる収音信号に対し、ノイズゲート処理部12によるノイズゲート処理を施した上でイコライザ11による特性補正を施している。その上で、イコライザ11を介した収音信号に対し、コンプレッサ13によるコンプレッサ処理を施すものとしている。
ノイズゲート処理部12は、ノイズゲート処理として、入力信号のレベルが一定レベル以下となると出力信号レベルを下げ(つまりゲートを閉じ)、上記一定レベルより大となると出力信号レベルを元に戻す(ゲートを開く)処理を行う。
なお、一般に行われているように、ノイズゲート処理における出力レベルの減衰の割合、ゲートの開閉エンベロープ、ゲートが反応する周波数帯域等のパラメータは、発話音の明瞭度の向上が図られるよう適切に設定する。
また、コンプレッサ13は、上記コンプレッサ処理として、入力される収音信号の時間軸振幅を整える処理を行う。
ここで、コンプレッサ13によるコンプレッサ処理について図5を参照して説明する。
図5では、図5Aによりコンプレッサ処理前の収音信号の時間軸波形を、図5Bによりコンプレッサ処理後の収音信号の時間軸波形を示している。
前述のイコライザ11は、収音信号の周波数特性を整えて音質向上を図るものであったが、コンプレッサ処理は、時間軸上において収音信号の波形を補正するものである。
前述のように本実施の形態の場合、発話音声は、装着者Hの骨や肉など人体内の振動を通じて外耳道HA経由で内部マイクロホン1Bの振動板に届くが、これは空気伝播に比べてある程度の非線形性を持つこととなる。
そのため、発話時の声の大きさによって変わる発話音声の大小の差が、通常の空気伝播を介した収音を行う場合に比して大きくなり、そのままであると収音された音声が聞き取り難くなる虞がある。
図5Aを参照すると、発話される各音声群間で音声の大小の差が大きくなっていることが確認できる。
そこでコンプレッサ13により、内部マイクロホン1Bによる収音信号の時間軸振幅を図5Bに示すように整える。すなわち、発話音声の大小の差を抑制する。
これにより、発話音声の聞き取りがより容易となり、音質の向上が図られる。
なお本実施の形態において、収音信号に対する各種信号処理は、アナログ電気回路によって実現しても良いし、ADC(A/Dコンバータ)を介してデジタル信号処理により実現するものとしても良い。
<3.低域抽出によるさらなるS/N改善>
[3-1.実施例1]

これまでの説明から理解されるように、本実施の形態では、図2において説明したような外耳道HA経由での収音を行うものとしたことで、従来のイヤホンマイク100の場合よりも収音信号のS/Nの改善が図られるものとなるが、本実施の形態ではさらなるS/Nの改善を図るべく、内部マイクロホン1Bによる収音信号に対してその低域成分を抽出するためのフィルタリング処理を施す。
ここで、先の図2で説明したような外耳道HA経由での発話音収音を行った場合、その収音信号においては、特にその低域にて外部騒音成分よりも発話音成分の方が優位となる。
図6はこの点についての説明図であり、内部マイクロホン1Bによる収音信号周波数特性として、一般的な騒音環境下での無発話部分における周波数特性(●と破線の組:騒音のみ)、発話部分における周波数特性(■と実線の組:騒音+発話音)とを示している。
なお実験において、騒音としては一般的な飛行機の機内騒音を用いた。また解析の単位は1/3オクターブである。
この図6によると、内部マイクロホン1Bによる収音信号として、騒音のみが収音された場合の信号(●&破線)よりも騒音と発話音とが収音された場合の信号(■&実線)の方が、特に低域においてそのレベルが大となっていることが確認できる。すなわち、内部マイクロホン1Bにより外耳道HA経由での発話音収音を行った場合、その収音信号の特に低域において外部騒音より発話音の方が優位となるものである(図中、内部マイクの音声優位帯域)。これは、装着部1の構造に由来する密閉・遮音機能により特に低域において騒音成分が減衰される一方で、先の図4Aのように外耳道HA経由での収音成分については特にその低域のゲインが大となることに依る。
従って、前述のように内部マイクロホン1Bによる収音信号に対してフィルタリング処理を施し、該収音信号の低域成分(内部マイクロホン1Bの音声優位帯域の成分)を抽出することで、発話収音信号のさらなるS/N改善を図ることができる。
図7は、上記のような低域成分のフィルタリング処理の併用によりさらなるS/N改善を図る実施の形態としての収音システムの構成の一例(以下、実施例1と表記)を示した図である。
なお以降の説明において、既に説明済みとなった部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
この図7に示すように、実施例1としての収音システムは、装着部1と信号処理部2とを有して構成される。
先ず、この場合の装着部1の内部空間1V内には、内部マイクロホン1Bと共に、受話音の出力を行うためのスピーカ1Sが配される。本例の場合、該スピーカ1Sとしては、その設置スペースを考慮してBA(バランスドアーマチュアー)型によるものを用いるものとしている。
そして、信号処理部2には、前述したマイクアンプ10,イコライザ11,ノイズゲート処理部12,コンプレッサ13が備えられると共に、LPF(ローパスフィルタ)14、及びアンプ15が備えられる。
本例の場合、LPF14は、マイクアンプ10とノイズゲート処理部12との間に配置され、これによりマイクアンプ10を介した後の内部マイクロホン1Bによる収音信号に対してローパスフィルタリング処理を施すようにされる。このLPF14のカットオフ周波数は、図5に示したような「内部マイクの音声優位帯域」の成分が抽出できるように適切に設定される。
なお信号処理部2において、コンプレッサ13を介した後の内部マイクロホン1Bによる収音信号は、図のように送話信号として信号処理部2の外部に出力される。
また信号処理部2には、外部より受話信号が供給される。
アンプ15は、当該受話信号を増幅し、該増幅後の受話信号に基づき装着部1内のスピーカ1Sを駆動する。これによりスピーカ1Sから上記受話信号に応じた受話音が出力される。
上記のような実施例1としての収音システムによれば、環境騒音に対して装着部1の筐体の(パッシブ)遮音性能により発話収音信号のS/Nを確保した上で、内部マイクロホン1Bによる収音信号に対しローパスフィルタリング処理を施して発話音声の優位帯域の成分を抽出することで、発話収音信号のさらなるS/N向上を図ることができる。
また図7に示す実施例1としての構成によれば、装着部1の有する遮音効果によって装着者Hが受話音を聞き取り易くなるという効果も得られる。
ところで、上記のような音声優位帯域成分の抽出のためのフィルタリング処理や前述した音質改善のための各種信号処理(イコライザ11〜コンプレッサ13)とを実現する信号処理部2を含めた実施の形態の収音システムの具体的な構成としては、該信号処理部2を装着部1に設ける「一体型」と、信号処理部2を装着部1の外部に設ける「分離型」との何れかを採用することができる。
図8は「一体型」「分離型」それぞれの構成例を示した図である。
先ず、図8Aに示す「一体型」の構成は、装着部1の筐体内部に信号処理部2を設けるものである。この場合、当該装着部1からは、外部装置50(例えばスマートフォンなどの情報処理装置)に対し送話信号(つまり信号処理部2による各種信号処理を経た後の内部マイクロホン1Bによる収音信号)を伝送することになる。また外部装置50から装着部1に対しては、受話信号が伝送されることになる。
また、図8Bに示す「分離型」の構成では、外部装置50の内部に信号処理部2を設ける。この場合、装着部1から外部装置50に対しては、内部マイクロホン1による収音信号(図中、送話音収音信号)を伝送する。また外部装置50から装着部1(スピーカ1S)に対しては、信号処理部2内のアンプ15による増幅後の受話信号(図中、受話音出力用信号)を伝送する。
[3-2.実施例2]

図9は、実施例2としての収音システムの構成についての説明図である。
実施例2は、左右の両チャンネルで収音した信号を用いたビームフォーミング処理により発話収音信号のさらなるS/N改善を図ると共に、受話音の聴取が装着者Hの両耳において行われるようにするものである。
なお以下、チャンネルについてはchとも表記する。
先ず前提として、受話信号は一般的にモノラルである。そのため実施例2では、該モノラルの受話音を両耳にて聴取させるシステムを提案する。
実施例2の収音システムは、図7に示した実施例1の収音システムと比較して、装着部3が追加されると共に、信号処理部2に代えて信号処理部20が設けられた点が異なる。
装着部3は、装着者Hの有する耳のうち装着部1が装着される側の耳とは逆側の耳に対し装着されるべきものである。装着部3は、装着部1と同様に、少なくともその一部が装着者Hの耳孔部HBに挿入可能に構成され、装着者Hの耳部に装着可能とされる。具体的に装着部3としても、装着者Hの耳孔部HBに対して挿入可能な形状とされた耳孔挿入部3Aが形成されており、該耳孔挿入部3Aが耳孔部HBに対して挿入されることで装着部3が装着者Hの耳部に対して装着状態となる。
そして装着部3としても、装着者Hへの装着状態において、装着者Hの外耳道HAと連接する内部空間3Vが形成されるように構成されていると共に、耳孔挿入部3Aは、その表面部が弾性を有する材料で覆われて、装着時に耳孔部HBとの密着状態が得られるようにされている。
装着部3の内部空間3V内には、図のように内部マイクロホン3Bが配される。本例の場合この内部マイクロホン3BについてもMEMSマイクロホンを採用している。
また装着部3の内部空間3V内には、スピーカ3Sが配置されている。本例の場合、スピーカS3としてもBA型によるものを採用している。
図示するように該スピーカ3Sは、信号処理部20に設けられたアンプ15により増幅された受話信号に基づき駆動される。この場合、アンプ15の出力は実施例1の場合と同様に装着部1側のスピーカ1Sに対しても供給されており、結果、受話信号に基づく受話音は、装着部1側と装着部3側の双方から出力されることになる。
ここで、実施例2においては、装着部1側がLch側、装着部2側がRch側とされるものとする。
信号処理部20は、実施例1の場合の信号処理部2との比較で、Rch側用のマイクアンプ21及びLPF22と、ビームフォーミング処理部23とが追加された点が異なる。
マイクアンプ21は、装着部3側の内部マイクロホン3Bによる収音信号を増幅する。
LPF22はLPF14と同等のカットオフ周波数により、内部マイクロホン3Bによる収音信号について、前述の音声優位帯域としての低域成分を抽出するローパスフィルタリング処理を行う。この場合、LPF22は、マイクアンプ21により増幅された後の内部マイクロホン3Bによる収音信号にローパスフィルタリング処理を施すようにされる。
該LPF22により、内部マイクロホン3Bによる収音信号についてもS/Nの改善が図られる。
ビームフォーミング処理部23は、Lch側に配されたLPF14を経た内部マイクロホン1Bによる収音信号(Lch側収音信号)と、Rch側に配されたLPF22を経た内部マイクロホン3Bによる収音信号(Rch側収音信号)とを入力し、ビームフォーミング処理を行う。
ここで、Lch,Rchの収音信号を用いた具体的なビームフォーミング処理の例としては、最も単純には、Lch側収音信号とRch側収音信号とを加算する処理を挙げることができる。
図9に示す構成によれば、Lch側で発話収音を行う内部マイクロホン1BとRch側で発話収音を行う内部マイクロホン3Bは、発話音源である装着者Hの口(声帯)から略等距離の位置にあることになるので、ビームフォーミング処理部23にてそれらの収音信号を加算することで、発話音源方向からの音(外耳道HA経由)を効率的に抽出し、それ以外の方向からの音(ノイズ成分)は抑制することができる。すなわち、発話収音信号のさらなるS/N改善が図られるものである。
なお、ビームフォーミング処理の具体的手法としては、上記の加算以外にも、例えば音源方向からの音声成分を収音信号についての音声解析結果から判定しその判定結果から音源方向からの音声成分のみを抽出する手法などを採り得る。このとき、上記音声解析の具体的処理としては、収音信号中の支配的な成分を判定する処理を行うものとすればよい。
何れにせよ、ここで言うビームフォーミング処理としては、音源方向からの音声成分は強調し、それ以外の方向からの音声成分は抑制させる処理を行うものとすればよい。
ビームフォーミング処理部23によるビームフォーミング処理後の収音信号は、ノイズゲート処理部12→イコライザ11→コンプレッサ13を介して、発話信号として信号処理部20の外部に出力される。
上記のような実施例2としての収音システムによれば、発話収音信号のS/N改善効果として、装着部1,3の筐体の(パッシブ)遮音性能に依る改善効果とLPF14,22による発話音声の優位帯域成分の抽出に依る改善効果とが得られた上で、さらにビームフォーミング処理部23による騒音成分の低減に依るS/N改善効果を得ることができる。
また図9に示した実施例2としての構成によれば、装着部3による遮音効果も得られることから装着者Hの両耳にて遮音効果を得ることができ、その結果、実施例1の場合との比較で受話音の聞き取り容易性が向上する。
なお実施例2において、発話収音信号のさらなるS/N改善を図るための信号処理としては、先に説明したビームフォーミング処理以外にも、例えばSS法(SS:Spectrum Subtraction)などによるノイズリダクション処理を行うものとしてもよい。
SS法のノイズリダクション処理については例えば下記参考文献1に開示されている。

・参考文献1・・・特開2010−11117号公報
また確認のため述べておくと、実施例2についても、先の図8に示したような「一体型」「分離型」の双方の構成を採り得る。
ここで、実施例2のように装着部1と装着部3の双方を設ける構成において、「一体型」の構成を採用する場合には、信号処理部20は装着部1、3の何れか一方に設けることができる。その場合、信号処理部20が設けられる一方の装着部に対しては、他方の装着部内の内部マイクロホンによる収音信号を入力し、上記一方の装着部から上記他方の装着部に対してアンプ15による増幅後の受話信号を入力することになる。
或いは、実施例2のようにビームフォーミング処理を行ってモノラル送話信号を得る構成においては、ビームフォーミング処理部23以下の構成(23,12,11,13)のみを装着部1,3の何れか一方に設ける(換言すれば信号処理部を構成する各部のうちマイクアンプ21とLPF22のみを装着部3内に設ける)構成とすることもできる。
なお上記の点は、以下で説明する各実施例についても同様である。
[3-3.実施例3]

図10は、実施例3としての収音システムの構成を示した図である。
実施例3の収音システムは、実施例1の収音システムとの比較で、装着部1に対して外部マイクロホン1Cが追加されると共に、信号処理部2に代えて信号処理部25が設けられた点が異なる。
先ず、外部マイクロホン1Cは、装着部1の筐体外部で生じる音を収音できるように設置されたマイクロホンとなる。一例として本例の場合、外部マイクロホン1Cはその収音口が装着部1の筐体表面に位置するように設置されているとする。
本例の場合、外部マイクロホン1Cについても内部マイクロホン1Bと同様にMEMSマイクロホンを用いている。
なお、外部マイクロホン1Cは、装着部1の筐体外部で生じる音を収音できるように設置されればよく、必ずしもその収音口を装着部1の筐体の外界に直接的に表出させる必要はない。
信号処理部25は、信号処理部2との比較で、マイクアンプ26、HPF(ハイパスフィルタ)27、遅延回路(図中DELAY)28、及び加算部29が追加された点が異なる。
マイクアンプ26は、外部マイクロホン1Cによる収音信号を増幅する。
またHPF27はマイクアンプ26で増幅された後の外部マイクロホン1Cによる収音信号についてハイパスフィルタリング処理を施す。
遅延回路28は、内部マイクロホン1Bによる収音信号についての信号処理系(マイクアンプ10〜加算部29の間)において設けられ、内部マイクロホン1Bによる収音信号に所定時間長による遅延を与える。
本例の場合、遅延回路28はLPF14と加算部29との間に設けられ、LPF14を介した後の内部マイクロホン1Bによる収音信号に対し所定時間長の遅延を与えるようにされている。
加算部29は、LPF14によるローパスフィルタリング処理を経た内部マイクロホン1Bによる収音信号とHPF27によるハイパスフィルタリング処理を経た外部マイクロホン1Cによる収音信号とを加算するために設けられる。具体的にこの場合の加算部29は、遅延回路28の出力信号とHPF27の出力信号とを加算する位置に設けられる。
加算部29による加算信号は、ノイズゲート処理部12とコンプレッサ13とを介した後、発話信号として信号処理部25の外部に出力される。
なおこの場合、イコライザ11、すなわち内部マイクロホン1Bによる外耳道HA経由での収音に伴い生じる低域のふくらみ(こもり音)を抑制するための等化フィルタは、内部マイクロホン1Bによる収音信号側に対してのみ機能すればよく、加算部29の手前側(すなわちHPF27の出力との合成前)に配置される。具体的に、本例においてイコライザ11は、マイクアンプ10とLPF14との間に配置されてマイクアンプ10による増幅後の内部マイクロホン1Bによる収音信号に対して等化処理を施すようにされている。
上記説明からも理解されるように、実施例3では、装着部1に外部マイクロホン1Cを設けた上で、その収音信号にHPF27によるハイパスフィルタリング処理を施した信号を、加算部29によりLPF14を介した内部マイクロホン1Bによる収音信号と加算するものとしている。
ここで、外部マイクロホン1Cでは、装着者Hの口より発せられた発話音が外界(外気)を通じて収音されることになる。またこれと共に外部マイクロホン1Cでは環境騒音も同時に収音されることになる。
外部マイクロホン1Cによる収音信号に対しHPF27によるハイパスフィルタリング処理を施しているのは、外部マイクロホン1Cの収音信号は、内部マイクロホン1Bによる収音信号の場合とは逆に、その中・高域(中域及び高域)において発話音声成分が騒音成分よりも優位となるためである。
図11はこの点につき説明するための図であり、図11Aでは、外部マイクロホン1Cによる収音信号周波数特性として、一般的な騒音環境下での無発話部分における周波数特性(●と破線の組:騒音のみ)、発話部分における周波数特性(■と実線の組:騒音+発話音)とを示している。
また図11Bでは比較として、先の図6で示したものと同様の、内部マイクロホン1Bによる収音信号についての一般的な騒音環境下での無発話部分における周波数特性(●と破線の組:騒音のみ)、発話部分における周波数特性(■と実線の組:騒音+発話音)とを示している。
なお、この場合も騒音としては一般的な飛行機の機内騒音を用い、解析の単位は1/3オクターブである。また図11Aの結果は、図11B(図6)の場合と同じ音声列を発話した場合の結果を示すものである。
図11Aを参照すると、外部マイクロホン1Cの場合は、低域においては環境騒音のみが収音された場合の信号(●&破線)、騒音と発話音とが収音された場合の信号(■&実線)のそれぞれのレベルはほぼ同等となっているのに対し、中・高域においては、騒音のみが収音された場合の信号よりも騒音と発話音とが収音された場合の信号の方がそのレベルが大となっていることが確認できる。
この結果より、外部マイクロホン1Cによる外界経由の発話音収音を行った場合には、その収音信号の特に中・高域において、騒音よりも発話音の方が優位となることが分かる(図中、外部マイクの音声優位帯域)。
図11Aの結果からも分かるように、一般に飛行機機内の騒音など実際の騒音(●&破線)は低域成分が非常に大きくなっており、高域に行くにしたがってレベルが下がる傾向とる。このため、外部マイクロホン1Cによる収音においては、発話音声成分は比較的中・高域において騒音成分より優位な傾向となるものである。
このことからも理解されるように、先の実施例3としての構成により外部マイクロホン1Cの収音信号に対しハイパスフィルタリング処理を施すことによっては、装着者Hによる発話音のうち中・高域の成分を比較的S/N良く抽出することができる。
そして、前述のように実施例3においては、HPF27を経た収音信号とLPF14を経た収音信号とが加算部29において加算される。すなわち、外部・内部の収音マイク出力信号の各々についてそれぞれ発話音収音に優位な帯域を選んでそれらを加算しているものである。
上記のような実施例3としての構成によれば、発話収音信号として、発話音の低域のみでなく中・高域の有効な情報も加えることができ、その結果、通話相手方に対してより高音質な発話音声を聴取させることができる。
なお確認のため述べておくと、HPF27のカットオフ周波数は、図11Aに示したような中・高域の音声優位帯域の成分が抽出できるように適切に設定されるものである。
なお、実施例2においては遅延回路28を設けて内部マイクロホン1Bによる収音信号を外部マイクロホン1Cによる収音信号に対して遅延させるものとしているが、これは、内部マイクロホン1Bと外部マイクロホン1Cの設置位置の差に伴う発話音声到達時間の差の吸収を意図したものである。
すなわち、遅延回路28には、装着者Hの発話音の内部マイクロホン1Bへの到達時間と外部マイクロホン1Cへの到達時間との時間差に相当する遅延時間が設定されており、これにより、例えば内部マイクロホン1Bと外部マイクロホン1Cとの離間距離が比較的大きく上記到達時間の差が比較的長い場合に生じる虞のある音質の劣化の抑制が図られるものである。
例えば両マイクの距離が1cm離れている場合、音速を約340m/secとすると約30μsec程度の遅延時間を設定すべきものとなる。
[3-4.実施例4]

図12は、実施例4としての収音システムの構成を示した図である。
実施例4、及び後述する実施例5は、S/Nや音質の向上のための各種信号処理部の処理特性を可変とし、必要に応じこれらの処理特性の切り替えを可能とすることで、例えば外部の騒音状況やユーザ(装着者H)の意図に応じた適切な改善処理が実現されるようにするものである。
図12により説明する実施例4は、ユーザ操作に応じて各部の処理特性の切り替えを行うものである。
この場合の収音システムとしては、先の実施例3の収音システム(図10)との比較で、信号処理部25に代えて信号処理部30が設けられる点が異なる。また新たにメモリ32が追加される。
信号処理部30は、信号処理部25との比較で、イコライザ11、LPF14、HPF27、ノイズゲート処理部12、及びコンプレッサ13の処理特性が可変とされている点が異なる。ここで、このように処理特性が可変とされた上記各部については、図のようにイコライザ11’、LPF14’、HPF27’、ノイズゲート処理部12’、及びコンプレッサ13’と表記する。
また信号処理部30には、制御部31が設けられる。
制御部31は、イコライザ11’、LPF14’、HPF27’、ノイズゲート処理部12’、及びコンプレッサ13’の各部の処理特性の切り替え制御を行う。
具体的に、この場合の制御部31には、外部よりモード指示信号が入力される。このモード指示信号は、ユーザ操作に応じて選択された処理モードの別を示す信号となる。
メモリ32は制御部31が読み出し可能な記憶装置であり、該メモリ32には図中のモード−処理特性対応情報32Aとして、上記モード指示信号により指示され得る各モードの情報とそのモードに対応して上記処理特性が可変とされた各部(イコライザ11’、LPF14’、HPF27’、ノイズゲート処理部12’、及びコンプレッサ13’)に設定されるべき処理特性に係る情報(以下、処理特性情報と表記)とが対応付けられた情報が格納されている。
ここで、上記処理特性情報としては、例えば上記各部の処理特性を変更するために必要となるパラメータ情報を格納しておくものとすればよい。
制御部31は、上記モード指示信号が示す特性に応じた処理特性情報を読み出し、該処理特性情報に従って上記処理特性が可変とされた各部の処理特性を変更させる。
このような実施例4としての構成により、例えば外部の騒音状況等に応じてユーザが意図した適切な処理モードによるS/N・音質の改善処理が行われるようにできる。
なお、上記ではS/N・音質改善のための処理を行う各部の全てについてその処理特性を可変とし且つ切り替えを行うものとしたが、少なくともそれら各部のうち1つについて処理特性の可変・切り替えが行われるものとすればよい。なおこの点については下記実施例5についても同様である。
[3-5.実施例5]

図13は、実施例5としての収音システムの構成を示した図である。
実施例5は、外部騒音状況について音声解析を行った結果に基づき、ユーザ操作に依らず自動的に処理特性の切り替えを行うものである。
実施例5の収音システムは、実施例4の収音システムとの比較で、信号処理部30に代えて信号処理部35が設けられる点が異なる。また、メモリ32に対してモード−処理特性対応情報32Aではなく解析結果−処理特性対応情報32Bが格納される点が異なる。
信号処理部35は、実施例4の信号処理部30との比較で、制御部31に代えて制御部36が設けられた点が異なる。
制御部36は、外部マイクロホン1Cによる収音信号に基づき外部騒音についての音声解析処理を行い、その解析結果と、解析結果−処理特性対応情報32Bの情報内容とに基づきイコライザ11’、LPF14’、HPF27’、ノイズゲート処理部12’、及びコンプレッサ13’の処理特性の切り替えを行う。
図のように本例の場合、制御部36に対してはマイクアンプ26に入力前の外部マイクロホン1Cによる収音信号を入力するものとしている。
この場合、メモリ32に格納される解析結果−処理特性対応情報32Bは、制御部36の解析結果として得られうる結果(つまり騒音状況の別に相当)を表す情報と、各解析結果に応じて上記処理特性が可変とされた各部に設定されるべき処理特性を表す処理特性情報とが対応付けられた情報とされる。
制御部36は、外部騒音についての解析結果に基づき、解析結果−処理特性対応情報32Bから対応する処理特性情報を読み出し、該読み出した処理特性情報に従って上記処理特性が可変とされた各部の処理特性を変更させる。
図14は、制御部36により実行されるべき具体的な処理の手順を表したフローチャートである。
図14において、先ずステップS101では、外部マイク出力を一定時間監視する。すなわち、この監視処理によっては、外部マイクロホン1Cによる収音信号の無発話部分(無発話期間)を検出する。
無発話部分の検出は、例えば一般的な環境騒音が発話音声と比較して(準)定常的であることを利用し、或る一定時間内のマイク出力を監視してその中でレベルが小さい期間を無発話部分として検出することで行う。
続くステップS102では、無発話検出部分において騒音解析を行う。具体的には、ステップS101の処理で無発話部分として検出された収音信号部分について、周波数解析を行うものである。
該ステップS102での周波数解析は、BPF(バンドパスフィルタ)やFFT(高速フーリエ変換)などを用いて実現できる。
ステップS102にて騒音解析を行った後は、ステップS103において、騒音解析結果に基づき各部のパラメータ制御を行う。すなわち、ステップS102による騒音解析結果とメモリ32内の解析結果−処理特性対応情報32Bの情報内容とに基づき、前述のように処理特性が可変とされた各部の処理特性の切り替えを行うものである。
上記のような実施例5としての収音システムによれば、ユーザの周囲での騒音の種類が変わっても適切に高S/N・高音質にて発話音声の収音が可能となる。
[3-6.実施例6]

図15は、実施例6としての収音システムの構成を示した図である。
実施例6は、先の実施例3で説明した外部マイクロホンとHPFとを用いたS/N・音質の改善手法と、実施例2で説明したビームフォーミングによるS/N・音質の改善手法との組み合わせに係るものである。
なお実施例6においても、先の実施例2と同様、装着部1側がLch、装着部3側がRchにそれぞれ対応するものとする。
図15において、実施例6の収音システムは、先の実施例2の収音システムとの比較で、装着部1に外部マイクロホン1Cが、また装着部3に外部マイクロホン3Cが追加されると共に、信号処理部20に代えて信号処理部40が設けられた点が異なる。
装着部3において、外部マイクロホン3Cは、装着部1側と同様の要領で筐体外部で生じる音を直接的に収音できるように設置されている。なお本例の場合、外部マイクロホン3CについてもMEMSマイクロホンが採用される。
信号処理部40は、Lch側の構成については先の実施例3の信号処理部25と同様となる。すなわち、内部マイクロホン1Bによる収音信号に対してはマイクアンプ10、イコライザ11、LPF14、及び遅延回路28が設けられ、外部マイクロホン1Cによる収音信号に対してはマイクアンプ26、HPF27がそれぞれ設けられた上で、加算部29により、それらの各部をそれぞれ介した収音信号についての加算が行われる。
また、Rch側については、上記により説明したLch側の構成と同様の構成を有する。すなわち、図のように内部マイクロホン3Bによる収音信号に対してはマイクアンプ21、イコライザ43、LPF22、及び遅延回路44が設けられ、外部マイクロホン3Cによる収音信号に対してはマイクアンプ41、HPF42がそれぞれ設けられた上で、加算部45によって、それらの各部をそれぞれ介した収音信号についての加算が行われるものである。
これによりRch側の発話収音信号についても、先の実施例2にて説明したものと同様のS/N・音質の改善効果が得られるものとなる。
なお確認のため述べておくと、装着部1と装着部3の構造が左右対象であれば、Rch側に設けられるイコライザ43のフィルタ特性、HPF42のカットオフ周波数、及び遅延回路44の遅延時間は、基本的にはそれぞれイコライザ11、HPF27、遅延回路28のものと同様でよい。
また、信号処理部40には、アンプ15が設けられる。この場合も該アンプ15により増幅されたモノラル受話信号がスピーカ1S、スピーカ3Sに対してそれぞれ供給される点は、実施例2の場合と同様である。
また、信号処理部40には、実施例2の場合と同様にビームフォーミング処理部23、ノイズゲート処理部12、及びコンプレッサ13が設けられる。
この場合のビームフォーミング処理部23は、加算部29で得られたLch側収音信号と加算部45で得られたRch側収音信号とに基づくビームフォーミング処理を行う。
このビームフォーミング処理によって、実施例2の場合のビームフォーミング処理と同様の騒音抑制効果(発話音声の抽出効果)が得られるものとなり、結果、発話収音信号についてのさらなるS/N改善が図られる。
<4.変形例>

以上、本技術に係る実施の形態について説明したが、本技術はこれまでで説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えばこれまでの説明では、内部マイクロホン、外部マイクロホンのそれぞれの収音信号における音声優位帯域の成分の抽出にあたりLPF、HPFをそれぞれ用いるものとしたが、それらの抽出にはBPFのような帯域制限フィルタを用いることもできる。
また、これまでの説明では、内部マイクロホンによる収音信号の音声優位帯域成分の抽出のための低域抽出フィルタ部と、こもり音低減のためのイコライジング処理部との双方を設ける場合を例示したが、発話収音信号のS/N向上(音質向上)にあたっては、これらのうち少なくとも何れか一方を備えるものとすればよい。
またこれまでの説明では、本技術に係る収音システムを通話用途に用いる場合を例示したが、本技術は、収音した発話信号を録音するシステムにも好適に適用できる。
またこれまでの説明では、収音はモノラルで行うものとしたが、特に上記の録音システムへの適用を考慮した場合等には、ステレオ収音を行うように構成することもできる。その場合、例えば図15の構成を例に挙げれば、該図15におけるビームフォーミング処理部23を省略し、加算部29の出力と加算部45の出力とをそれぞれ独立して出力するものとすればよい。或いは、これら加算部29の出力と加算部45の出力とにそれぞれ独立にノイズゲート処理部12・コンプレッサ13を設けるものとして、Lch送話信号とRch送話信号のそれぞれについてさらなる高音質化を図る構成とすることもできる。
またこれまでの説明では、スピーカ1S,3SについてはBA型によるものを用いるものとしたが、これに代えてダイナミック型やコンデンサ型などによるものを用いることもできる。
また内部マイクロホン1B,3Bや外部マイクロホン1C,3Cに関しても方式は特に問わない。
また、本技術は以下に示す構成とすることもできる。
(1)
少なくともその一部が耳孔部に挿入可能に構成されると共に、上記耳孔部への装着状態下においてその内部に外耳道と連接する略密閉な内部空間が形成されるように構成された装着部と、
上記装着部の上記内部空間内に配されて、上記耳孔部への装着状態下において装着者により発せられ上記外耳道を通じて伝播する発話音を収音する内部マイクロホンと
を備えると共に、
上記内部マイクロホンによる収音信号に対して低域成分を抽出するためのフィルタリング処理を施す低域抽出フィルタ部、又は、
上記内部マイクロホンによる収音信号に対して高域強調型のイコライジング処理を施すイコライジング処理部の何れかを備える
耳孔装着型収音装置。
(2)
上記装着部の外部音を収音するように配された外部マイクロホンと、
上記外部マイクロホンによる収音信号に対して中・高域成分を抽出するためのフィルタリング処理を施す中・高域抽出フィルタ部と、
上記中・高域抽出フィルタ部によりフィルタリング処理が施された上記収音信号と上記低域抽出フィルタ部によりフィルタリング処理が施された上記収音信号とを加算する加算部とを備える
上記(1)に記載の耳孔装着型収音装置。
(3)
上記内部マイクロホンから上記加算部までの間に配されて、上記加算部にて加算される上記内部マイクロホン側からの収音信号を遅延させる遅延処理部を備える
上記(2)に記載の耳孔装着型収音装置。
(4)
上記装着部として、
上記装着者の一方の耳に対して装着されるべき第1の装着部と、他方の耳に対して装着されるべき第2の装着部とを有しており、
上記第1の装着部の上記内部空間内には、上記内部マイクロホンとして第1の内部マイクロホンが配され、
上記第2の装着部の上記内部空間内には、上記内部マイクロホンとして第2の内部マイクロホンが配され、
上記低域抽出フィルタ部は、
上記第1の内部マイクロホンによる収音信号と上記第2の内部マイクロホンによる収音信号とにそれぞれ上記フィルタリング処理を施すと共に、
上記低域抽出フィルタ部によるフィルタリング処理が施された上記第1の内部マイクロホンによる収音信号と上記低域抽出フィルタ部によるフィルタリング処理が施された上記第2の内部マイクロホンによる収音信号とに基づくビームフォーミング処理を行うビームフォーミング処理部を備える
上記(1)に記載の耳孔装着型収音装置。
(5)
上記内部マイクロホンによる収音信号に対してノイズゲート処理を施すノイズゲート処理部、又は上記内部マイクロホンによる収音信号に対してコンプレッサ処理を施すコンプレッサ処理部の少なくとも何れかを備える
上記(1)〜(4)に記載の耳孔装着型収音装置。
(6)
上記低域抽出フィルタ部のフィルタ処理特性が可変とされる上記(1)〜(5)に記載の耳孔装着型収音装置。
(7)
上記中・高域抽出フィルタ部のフィルタ処理特性が可変とされる上記(2)又は(3)又は(5)に記載の耳孔装着型収音装置。
(8)
上記イコライジング処理部、又は上記ノイズゲート処理部、又は上記コンプレッサ処理部の少なくとも何れかの処理特性が可変とされる
上記(5)〜(7)に記載の耳孔装着型収音装置。
(9)
操作入力に応じて、上記低域抽出フィルタ部のフィルタ処理特性の切り替え制御を行う制御部を備える 上記(6)に記載の耳孔装着型収音装置。
(10)
外部騒音についての収音信号に基づき騒音解析を行った結果に応じて上記低域抽出フィルタ部のフィルタ処理特性の切り替え制御を行う制御部を備える
上記(6)に記載の耳孔装着型収音装置。
(11)
上記制御部は、
上記外部騒音についての収音信号のレベルが所定レベル以下となる無発話期間を検出し、該無発話期間における上記収音信号に基づいて上記騒音解析を行う
上記(10)に記載の耳孔装着型収音装置。
(12)
上記低域抽出フィルタ部、上記イコライジング処理部が上記装着部の内部に設けられる
上記(1)〜(11)に記載の耳孔装着型収音装置。
(13)
少なくともその一部が耳孔部に挿入可能に構成されると共に、上記耳孔部への装着状態下においてその内部に外耳道と連接する略密閉な内部空間が形成されるように構成された装着部の上記内部空間内に配されて、上記耳孔部への装着状態下において装着者により発せられ上記外耳道を通じて伝播する発話音を収音する内部マイクロホンによる収音信号に対して、低域成分を抽出するためのフィルタリング処理を施す低域抽出フィルタ部、又は、
上記内部マイクロホンによる収音信号に対して高域強調型のイコライジング処理を施すイコライジング処理部の何れかを備える
信号処理装置。
1,3 装着部、1A,3A 耳孔挿入部、1B,3B 内部マイクロホン、1C,3C 外部マイクロホン、1S,3S スピーカ、1V,3V 内部空間、2,20,25,30,35,40 信号処理部、10,21,26,41 マイクアンプ、11,11’,43 イコライザ、12,12’ ノイズゲート処理部、13,13’ コンプレッサ、14,14’,22 LPF(ローパスフィルタ)、15 アンプ、23 ビームフォーミング処理部、27,27’,42 HPF(ハイパスフィルタ)、28,44 遅延回路(DELAY)、29,45 加算部、31,36 制御部、32 メモリ、32A モード−処理特性対応情報、32B 解析結果−処理特性対応情報、50 外部装置

Claims (12)

  1. 少なくともその一部が耳孔部に挿入可能に構成されると共に、上記耳孔部への装着状態下においてその内部に外耳道と連接する略密閉な内部空間が形成されるように構成された装着部と、
    上記装着部の上記内部空間内に配されて、上記耳孔部への装着状態下において装着者により発せられ上記外耳道を通じて伝播する発話音を収音する内部マイクロホンと、
    上記内部マイクロホンによる収音信号に対して低域成分を抽出するためのフィルタリング処理を施す低域抽出フィルタ部と、
    上記装着部の外部音を収音するように配された外部マイクロホンと、
    上記外部マイクロホンによる収音信号に対して中・高域成分を抽出するためのフィルタリング処理を施す中・高域抽出フィルタ部と、
    上記内部マイクロホンによる収音信号に対して高域強調型のイコライジング処理を施すイコライジング処理部と、
    上記中・高域抽出フィルタ部によりフィルタリング処理が施された上記収音信号と上記低域抽出フィルタ部によりフィルタリング処理が施された上記収音信号とを加算する加算部と、
    上記内部マイクロホンによる収音信号及び上記外部マイクロホンによる収音信号に対してノイズゲート処理を施すノイズゲート処理部、又は上記内部マイクロホンによる収音信号及び上記外部マイクロホンによる収音信号に対してコンプレッサ処理を施すコンプレッサ処理部とを備える
    耳孔装着型収音装置。
  2. 上記内部マイクロホンから上記加算部までの間に配されて、上記加算部にて加算される上記内部マイクロホン側からの収音信号を遅延させる遅延処理部を備える
    請求項1に記載の耳孔装着型収音装置。
  3. 上記装着部として、
    上記装着者の一方の耳に対して装着されるべき第1の装着部と、他方の耳に対して装着されるべき第2の装着部とを有しており、
    上記第1の装着部の上記内部空間内には、上記内部マイクロホンとして第1の内部マイクロホンが配され、
    上記第2の装着部の上記内部空間内には、上記内部マイクロホンとして第2の内部マイクロホンが配され、
    上記低域抽出フィルタ部は、
    上記第1の内部マイクロホンによる収音信号と上記第2の内部マイクロホンによる収音信号とにそれぞれ上記フィルタリング処理を施すと共に、
    上記低域抽出フィルタ部によるフィルタリング処理が施された上記第1の内部マイクロホンによる収音信号と上記低域抽出フィルタ部によるフィルタリング処理が施された上記第2の内部マイクロホンによる収音信号とに基づくビームフォーミング処理を行うビームフォーミング処理部を備える
    請求項1に記載の耳孔装着型収音装置。
  4. 上記低域抽出フィルタ部のフィルタ処理特性が可変とされる請求項1に記載の耳孔装着型収音装置。
  5. 上記中・高域抽出フィルタ部のフィルタ処理特性が可変とされる請求項1に記載の耳孔装着型収音装置。
  6. 上記イコライジング処理部、又は上記ノイズゲート処理部、又は上記コンプレッサ処理部の少なくとも何れかの処理特性が可変とされる
    請求項1に記載の耳孔装着型収音装置。
  7. 操作入力に応じて、上記低域抽出フィルタ部のフィルタ処理特性の切り替え制御を行う制御部を備える
    請求項4に記載の耳孔装着型収音装置。
  8. 外部騒音についての収音信号に基づき騒音解析を行った結果に応じて上記低域抽出フィルタ部のフィルタ処理特性の切り替え制御を行う制御部を備える
    請求項4に記載の耳孔装着型収音装置。
  9. 上記制御部は、
    上記外部騒音についての収音信号のレベルが所定レベル以下となる無発話期間を検出し、該無発話期間における上記収音信号に基づいて上記騒音解析を行う
    請求項8に記載の耳孔装着型収音装置。
  10. 上記低域抽出フィルタ部、上記イコライジング処理部が上記装着部の内部に設けられる
    請求項1に記載の耳孔装着型収音装置。
  11. 少なくともその一部が耳孔部に挿入可能に構成されると共に、上記耳孔部への装着状態下においてその内部に外耳道と連接する略密閉な内部空間が形成されるように構成された装着部の上記内部空間内に配されて、上記耳孔部への装着状態下において装着者により発せられ上記外耳道を通じて伝播する発話音を収音する内部マイクロホンによる収音信号に対して、低域成分を抽出するためのフィルタリング処理を施す低域抽出フィルタ部と、
    上記装着部の外部音を収音するように配された外部マイクロホンによる収音信号に対して中・高域成分を抽出するためのフィルタリング処理を施す中・高域抽出フィルタ部と、
    上記内部マイクロホンによる収音信号に対して高域強調型のイコライジング処理を施すイコライジング処理部と、
    上記中・高域抽出フィルタ部によりフィルタリング処理が施された上記収音信号と上記低域抽出フィルタ部によりフィルタリング処理が施された上記収音信号とを加算する加算部と、
    上記内部マイクロホンによる収音信号及び上記外部マイクロホンによる収音信号に対してノイズゲート処理を施すノイズゲート処理部、又は上記内部マイクロホンによる収音信号及び上記外部マイクロホンによる収音信号に対してコンプレッサ処理を施すコンプレッサ処理部とを備える
    信号処理装置。
  12. 少なくともその一部が耳孔部に挿入可能に構成されると共に、上記耳孔部への装着状態下においてその内部に外耳道と連接する略密閉な内部空間が形成されるように構成された装着部の上記内部空間内に配された内部マイクロホンにより、上記耳孔部への装着状態下において装着者により発せられ上記外耳道を通じて伝播する発話音を収音する収音手順と、
    上記収音手順によって上記内部マイクロホンにより得られる収音信号に対して低域成分を抽出し、上記装着部の外部音を収音するように配された外部マイクロホンにより得られる収音信号に対して中・高域成分を抽出するためのフィルタリング処理、及び上記内部マイクロホンによる収音信号に対して高域強調型のイコライジング処理を施す信号処理手順と、
    上記内部マイクロホンにより得られる収音信号に対してフィルタリング処理が施された収音信号及び上記外部マイクロホンにより得られる収音信号に対してフィルタリング処理が施された収音信号とを加算する手順と、
    上記内部マイクロホンによる収音信号及び上記外部マイクロホンによる収音信号に対するノイズゲート処理、又は上記内部マイクロホンによる収音信号及び上記外部マイクロホンによる収音信号に対するコンプレッサ処理の何れかを施す手順と、
    を有する収音方法。
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