以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、電磁リレーの長手方向を前後方向X,電磁リレーの短手方向を幅方向Y、電磁リレーの厚さ方向を上下方向Zとして説明する。
なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
本実施形態にかかる電磁リレー1は、図1および図2に示すように、略直方体状のハウジング20を備えている。
ハウジング20は、略矩形状のケース基部40と、このケース基部40を覆うように配置され、駆動ブロック50および接点ブロック60などの搭載部品を収容する収容凹部31が形成されたケースカバー30と、を備えている。
そして、このハウジング20の内部(収容凹部31の内部)には、図3および図4に示すように、接点装置10が収容されている。この接点装置10は、固定接点62aと当該固定接点62aに接離する可動接点61aとを有する接点ブロック60と、可動接点61aを固定接点62aに対して接離可能に移動させる駆動ブロック50とで構成されるものである。
すなわち、ハウジング20の内部には、固定接点62aと当該固定接点62aに接離する可動接点61aとを有する接点ブロック60と、可動接点61aを固定接点62aに対して接離可能に移動させる駆動ブロック50と、が収容されている。
駆動ブロック50は、電磁石52と、電磁石52の磁力により回転駆動されるアーマチュア51と、を備えている。
アーマチュア51は、ハウジング20に固定された支持体58に、ハウジング20に対して回転可能となるように支持されている。
この支持体58は、扁平な形状をしており、厚さ方向を上下方向Zに略一致させた状態でハウジング20に固定された固定部58aと、固定部58aの中央部から上下方向Zに突設された略円柱状の軸部58bと、を備えている。固定部58aをハウジング20に固定する手段としては、例えば、嵌合などの公知の手段を用いることができる。
一方、アーマチュア51には、断面円形状であって内径が軸部58bの外径よりも僅かに大きい軸受け穴51aが上下方向Zに貫通するように設けられている。そして、この軸受け穴51aに軸部58bを挿入することで、アーマチュア51がハウジング20に対して軸部58bの中心軸周りに回転可能に支持されるようにしている。
電磁石52は、コイル(図示せず)と、磁性体からなりコイルによって磁化される磁極片53と、を備えている。磁極片53は、前後方向Xに延在する本体部53aを備えており、この本体部53aにはコイルが巻回されている。さらに、磁極辺53は、本体部53aの前後方向Xの両端部からそれぞれ上下方向Zに突設された可変磁極部53bを有しており、全体として略U字状をしている。可変磁極部53b,53bは、それぞれコイルへの通電方向に応じた極性に励磁されるものであって、コイルが通電された際には、可変磁極部53b,53b間で極性が互いに異なるように励磁されるようになっている。
また、ハウジング20には、一端がコイルに電気的に接続されて他端がハウジング20の幅方向Yの一方側に突出した複数本(本実施形態では3本)のコイル端子57が保持されており、このコイル端子57を通じてコイルへの通電が行われる。本実施形態の電磁リレー1は、いわゆる2巻線ラッチング型であって、上記のコイルはタップを有しており、コイルの両端とタップとにコイル端子57が1個ずつ電気的に接続されている。
また、本実施形態では、図1および図2に示すように、ハウジング20にコネクタハウジング80が設けられており、コイル端子57のハウジング20から露出した部位がこのコネクタハウジング80によって囲繞されている。
また、本実施形態では、アーマチュア51は、N極を幅方向Yのうち互いに共通の方向に向けた2個の永久磁石55と、磁性体からなる2個の接極子54とを合成樹脂成型体56にインサート成形することで形成されている。
2個の接極子54は、前後方向Xの両端に配置された可変磁極部53b,53bを幅方向Yの両側から挟むように配置されており、各接極子の前後方向Xの両端部には、可変磁極部53b,53bに幅方向Yで対向する固定磁極部54aがそれぞれ形成されている。
かかる構成とすることで、電磁石52のコイルが一方向に通電されると、前後方向Xの一方側に配置された可変磁極部53bに対向する固定磁極部54aのうち幅方向Yの一方側の固定磁極部54aが当該可変磁極部53bに吸引される。また、前後方向Xの他方側に配置された可変磁極部53bに対向する固定磁極部54aのうち幅方向Yの他方側の固定磁極部54aが当該可変磁極部53bに吸引される。
一方、電磁石52のコイルが他方向に通電されると、前後方向Xの一方側に配置された可変磁極部53bに対向する固定磁極部54aのうち幅方向Yの他方側の固定磁極部54aが当該可変磁極部53bに吸引される。また、前後方向Xの他方側に配置された可変磁極部53bに対向する固定磁極部54aのうち幅方向Yの一方側の固定磁極部54aが当該可変磁極部53bに吸引される。
このように、コイルが通電されると、アーマチュア51は、ハウジング20に対して、図3の矢印D3で示す方向(図3における時計回り、もしくは、反時計回り)に回動することとなる。
なお、本実施形態では、一旦コイルが通電されると、コイルに逆方向の電流が流されるまでは、アーマチュア51の位置(および、これに連動する可動接点61a等の位置)が永久磁石55の磁力によって維持(ラッチング)されるようになっている。
また、ハウジング20には、上記のようなアーマチュア51の回動に連動して移動する可動接点61aと、この可動接点61aに離接する固定接点62aと、を備える接点ブロック60が収容されている。
接点ブロック60は、図3および図4に示すように、可動接点61aが形成された可動接点部61と、固定接点部62aが形成された固定接点部62と、を備えている。
可動接点部61は、可動接点61aと、可動接点61aが設けられて弾性変形可能な接点保持ばね61bと、を備えている。
一方、固定接点部62は、固定接点62aと、固定接点62aが設けられた板状部62bと、を備えている。
そして、可動接点部61の接点保持ばね61bには、可動側端子部63が電気的に接続されており、この可動側端子部63の先端部がハウジング20の外部に露出している。また、固定接点部62の板状部62bには、固定側端子部64が電気的に接続されており、この固定側端子部64の先端部がハウジング20の外部に露出している。
このように、本実施形態では、可動側端子部63および固定側端子部64が、接点ブロック60に電気的に接続されるとともに、先端部がハウジング20外に露出した接点端子部に相当している。
この可動側端子部63および固定側端子部64のハウジング20から露出する部位には、それぞれバスバーなどの相手側部材が電気的に接続されるようになっている。この際、図1および図2に示すように、可動側端子部63および固定側端子部64のハウジング20から露出する部位を屈曲させて、バスバーなどの相手側部材を接続させやすくするのが好ましい。なお、図3および図4に示すように、可動側端子部63および固定側端子部64のハウジング20から露出する部位を屈曲させず、一方向に突出させることも可能である。
また、図3および図4では、可動側端子部63を可動接点部61の接点保持ばね61bとは別体に形成したものを例示するとともに、固定側接点部64を固定接点部62の板状部62bと一体に形成したものを例示している。しかしながら、可動側端子部63を可動接点部61と一体に形成することも可能であるし、固定側接点部64を固定接点部62とは別体に形成することも可能である。
このように、可動接点61aおよび固定接点62bは、それぞれ可動側端子部63および固定側端子部64に電気的に接続されており、可動接点61aと固定接点62aとの離接に伴って可動側端子部63と固定側端子部64との間の電気的な接続がオンオフされるようになっている。
また、本実施形態では、可動側端子部63および固定側端子部64は、金属板で構成されており、厚さ方向を幅方向Yと略一致させるとともに、延在方向を前後方向Xと略一致させた状態で、ハウジング20内に収容されている。したがって、板状の可動側端子部63の幅方向および板状の固定側端子部64の幅方向が、上下方向Zと略一致している。
そして、アーマチュア51および可動接点部61はカード70にそれぞれ連結されており、アーマチュア51の回動に連動してカード70および可動接点部61が移動するようになっている。
カード70は、全体として扁平な形状をしており、厚さ方向を前後方向Xに略一致させた状態で、ハウジング20に対して幅方向Yに平行移動できるように設けられている。なお、アーマチュア51は、連結片59を介してカード70に連結されている。
こうすることで、電磁石52のコイルに通電して駆動ブロック50を駆動させて、アーマチュア51を図3および図4の時計回り方向に回動させると、アーマチュア51の回動に伴ってカード70が図3および図4の右方向に移動する。そして、このカード70の移動に伴って可動接点61aが図3および図4の右方向に移動する。その結果、可動接点61aが固定接点62aに接触した状態(閉状態)となる(図3参照)。
一方、電磁石52のコイルを逆方向に通電させて、アーマチュア51を図3および図4の反時計周り方向に回動させた場合には、アーマチュア51の回動に伴ってカード70が図3および図4の左方向に移動する。そして、このカード70の移動に伴って可動接点61aが図3および図4の左方向に移動する。その結果、可動接点61aが固定接点62aから離れた状態(開状態)となる(図4参照)。
なお、図3および図4で示した駆動ブロック50および接点ブロック60は一例に過ぎず、従来公知の駆動ブロックや接点ブロックの構成とすることも可能である。
ここで、本実施形態では、接着剤110を用いて接点端子部をハウジング20に固定している。具体的には、図5および図6に示すように、ハウジング20のケースカバー30に接着剤110が導入される接着剤導入溝90を設けている。そして、この接着剤導入溝90内に接点端子部の少なくとも一部を配置した状態で、接着剤導入溝90内に接着剤110を導入することで、接点端子部をハウジング20に固定している。
本実施形態では、接点端子部としての可動側端子部63および固定側端子部64を、接着剤110を用いてハウジング20にそれぞれ固定している。
すなわち、ケースカバー30には、接着剤導入溝90として、可動側端子部63をケースカバー30に固定するための可動側接着剤導入溝91と、固定側端子部64をケースカバー30に固定するための固定側接着剤導入溝92と、が形成されている。
具体的には、ケースカバー30における前後方向Xの一方側(接点端子部の先端部が露出する側)に位置する側壁32の一部を、前後方向Xの一方側に突出させて延設部33を形成している。そして、この延設部33に形成された収容凹部31を接着剤導入溝90としている。
また、延設部33には、接点端子部としての可動側端子部63および固定側端子部64が挿入されるスリット33a,33bが上下方向Zに延在するように形成されている。
そして、延設部33における収容凹部31内のスリット33a,33b間には、仕切り壁34が設けられており、この仕切り壁34によって、延設部33の収容凹部31が、幅方向Yに区画されている。すなわち、仕切り壁34が、可動側接着剤導入溝91と固定側接着剤導入溝92とを幅方向Yに区画している。
また、ケース基部40の前後方向Xの一方側には、仕切り壁42が形成されている。そして、ケース基部40を覆うようにケースカバー30を配置した際に、可動側接着剤導入溝91および固定側接着剤導入溝92の前後方向Xの他方側(接点ブロック60が配置される側)が、この仕切り壁42によって画成されるようにしている。
こうして、底面90aおよび周面90bで画成された接着剤導入溝90を形成している。このとき、接着剤導入溝90の裏面側(上下方向Zのケース基部40側)には、開口部90cが形成されている。
本実施形態では、可動側接着剤導入溝91が底面91aおよび周面91bで画成されており、可動側接着剤導入溝91の裏面側(上下方向Zのケース基部40側)に、開口部91cが形成されている。また、固定側接着剤導入溝92が底面92aおよび周面92bで画成されており、固定側接着剤導入溝92の裏面側(上下方向Zのケース基部40側)に、開口部92cが形成されている。
このように、本実施形態では、接着剤導入溝90(可動側接着剤導入溝91および固定側接着剤導入溝92)の深さ方向を上下方向Zと略一致させている。したがって、接着剤導入溝90(可動側接着剤導入溝91および固定側接着剤導入溝92)の深さ方向は、板状の接点端子部(可動側端子部63および固定側端子部64)の幅方向と略一致することとなる。そのため、接着剤導入溝90(可動側接着剤導入溝91および固定側接着剤導入溝92)は、深さが比較的深い深溝構造をしている。
ところで、接着剤導入溝90に接着剤を導入する際には、図7に示すような接着剤シリンジ100を用いるのが一般的である。
しかしながら、本実施形態では、接着剤導入溝90が比較的深い溝になっている。そのため、接着剤シリンジ100の先端を接着剤導入溝90の開口部90a近傍に配置した状態で接着剤110を溝内に導入するだけでは、接着剤110を接着剤導入溝90内部に十分にいきわたらせることができない場合があった。すなわち、本実施形態のように深溝構造をしていると、接着剤シリンジ100の先端を接着剤導入溝90の開口部90a近傍に配置した状態で、接着剤110を接着剤導入溝90内部に十分に充填させることができない場合があった。
そのため、通常では、接着剤シリンジ100の先端を接着剤導入溝90の奥(底面90a側)まで挿入した状態で、接着剤110の塗布を開始し、接着剤シリンジ100を段階的もしくは連続的に上方に移動させながら、接着剤110を塗布していた。
しかしながら、接着剤シリンジ100の先端を接着剤導入溝90の奥(底面90b側)まで挿入させた状態で接着剤110を塗布すると、接着剤110の跳ねや表面張力による盛り上がりによって、接着剤110が接着剤シリンジ100に付着してしまうことがある。そして、接着剤110が付着した接着剤シリンジ100を用いて接着剤110の塗布を行うことで、接着剤シリンジ100に付着した接着剤110が、液だれや転写によって製品(電磁リレー1)に付着してしまうことがある。
そこで、本実施形態では、接着剤シリンジ100の先端を接着剤導入溝90の奥まで挿入しなくても、接着剤110を接着剤導入溝90内に十分に導入(充填)させることができるようにした。
具体的には、接着剤導入溝90の周面90bにおける開口部90cと底面90aとの間に段差面90dを形成した。
本実施形態では、可動側接着剤導入溝91の周面91bにおける開口部91cと底面91aとの間に段差面91dを形成するとともに、固定側接着剤導入溝92の周面92bにおける開口部92cと底面92aとの間に段差面92dを形成した。
また、本実施形態では、周面91bにおける幅方向Yの両側の面に、段差面91d,91dを形成するとともに、周面92bにおける幅方向Yの両側の面に、段差面92d,92dを形成している。
さらに、本実施形態では、接点端子部を接着剤導入溝90に収容した状態で、少なくとも接点端子部側の端部90eが、接着剤導入溝90内における接点端子部の開口部側端面よりも、底面90b側に位置するように段差面90dを形成している。
具体的には、段差面91d,91dは、可動側端子部63を可動側接着剤導入溝91に収容した状態で、少なくとも可動側端子部63側の端部91e,91eが、可動側接着剤導入溝91内における可動側端子部63の開口部側端面63aよりも、底面91b側に位置するように形成されている。
一方、段差面92d,92dも、固定側端子部64を固定側接着剤導入溝92に収容した状態で、少なくとも固定側端子部64側の端部92e,92eが、固定側接着剤導入溝92内における固定側端子部64の開口部側端面64aよりも、底面92b側に位置するように形成されている。
本実施形態では、段差面91d,91dの全てが、可動側接着剤導入溝91内における可動側端子部63の開口部側端面63aよりも、底面91b側に位置するようにしている。また、段差面92d,92dの全てが、固定側接着剤導入溝92内における固定側端子部64の開口部側端面64aよりも、底面92b側に位置するようにしている。
さらに、本実施形態では、周面90bにおける段差面90dと底面90aとの間に、底面90aに向けて延在する凹部90fを形成した。
具体的には、可動側接着剤導入溝91の周面91bにおける段差面91dと底面91aとの間に、底面91aに向けて延在する凹部91fを形成している。さらに、固定側接着剤導入溝92の周面92bにおける段差面92dと底面92aとの間に、底面92aに向けて延在する凹部92fを形成した。
本実施形態では、周面91bにおける幅方向Yの両側の面に、複数の細長い凹部91fを前後方向Xに並設するとともに、周面92bにおける幅方向Yの両側の面に、複数の細長い凹部92fを前後方向Xに並設している。
そして、凹部90f(凹部91f、凹部92f)を、底面90a(底面91a、底面92a)に向かうにつれて接点端子部(可動側端子部63、固定側端子部64)に近づくように傾斜させている。
本実施形態では、周面90b(周面91b、周面92b)における段差面90d(段差面91d、段差面92d)よりも底面90a(底面91a、底面92a)側にテーパ部36を設けている。このテーパ部36は、底面90a(底面91a、底面92a)に向かうにつれて接点端子部(可動側端子部63、固定側端子部64)に近づくように傾斜している。そして、このテーパ部36に凹部90f(凹部91f、凹部92f)を設けることで、凹部90f(凹部91f、凹部92f)自体が傾斜するようにしている。
さらに、段差面90d(段差面91d、段差面92d)は、接点端子部(可動側端子部63、固定側端子部64)に向かうにつれて底面90a(底面91a、底面92a)側に傾斜するテーパ面35を有している。そして、テーパ面35の傾斜(XY平面に対する傾斜角度)を凹部90f(凹部91f、凹部92f)の傾斜(XY平面に対する傾斜角度)よりも緩やかとなるようにしている。
次に、接着剤導入溝90(可動側接着剤導入溝91、固定側接着剤導入溝92)への接着剤110の塗布工程の一例を説明する。
まず、図7に示すように、接着剤シリンジ100を接着剤導入溝90(可動側接着剤導入溝91や固定側接着剤導入溝92)の上方に配置した状態で、接着剤導入溝90内に接着剤110を塗布する(第1の接着剤充填工程)。
このとき、図8に示すように、上方に溜まった接着剤110によって開口部90cの近傍まで埋められる程度の量の接着剤110を塗布するようにするのが好ましい。
次に、図9に示すように、接着剤導入溝90以外の部位に、接着剤110を塗布する(接着剤導入溝以外の部位への接着剤塗布工程)。
本実施形態では、ケース基部40の裏面側に接着剤収容凹部41が形成されており、この接着剤収容凹部41内に接着剤を塗布することで、接着剤導入溝90以外の箇所で、駆動ブロック50や接点ブロック60、接点端子部等をハウジング20に固定している。
このように、接着剤導入溝90以外の部位に接着剤110を塗布している間に、図10に示すように、接着剤導入溝90に注入された接着剤110が接着剤導入溝の下部(底面90a側)に流れ込む。
このように、接着剤110が接着剤導入溝90の下部まで流れ込むと、接着剤導入溝90の上部(開口部90c側)には隙間Dが形成されることとなる。
そして、図11に示すように、接着剤導入溝90の上部に形成された隙間Dに再度接着剤110を充填する(第2の接着剤充填工程)。
こうして、接着剤導入溝90内に接着剤が充填される。
以上説明したように、本実施形態では、電磁リレー1は、固定接点62aと、固定接点62aに接離する可動接点61aと、を有する接点ブロック60と、可動接点61aを固定接点62aに対して接離可能に移動させる駆動ブロック50と、を備えている。
そして、接点ブロック60および駆動ブロック50がハウジング20の内部に収容されている。
また、電磁リレー1は、接点ブロック60に電気的に接続されるとともに、先端部がハウジング20外に露出した接点端子部(可動側端子部63、固定側端子部64)を備えている。
また、ハウジング20には、接点端子部(可動側端子部63、固定側端子部64)が収容されるとともに接着剤110が導入される接着剤導入溝90が形成されている。
この接着剤導入溝90は、底面90aおよび周面90bで画成されるとともに、一端に開口部90cが形成されている。
そして、周面90bにおける開口部90cと底面90aとの間に段差面90dが形成されている。
この段差面90dは、接点端子部(可動側端子部63、固定側端子部64)を接着剤導入溝90に収容した状態で、少なくとも接点端子部(可動側端子部63、固定側端子部64)の端部90eが、接着剤導入溝90内における接点端子部(可動側端子部63、固定側端子部64)の開口部側端面63a,64aよりも、底面90a側に位置している。
こうすれば、段差面90dと底面90aとの間に、接点端子部(可動側端子部63、固定側端子部64)と周面90bとで画成された細長い通路を、底面90a側に向けて形成することができる。そのため、接着剤110を毛細管現象により底面90a側までより確実に導入させることができるようになる。
その結果、接点端子部(可動側端子部63、固定側端子部64)をより強固にハウジング20に固定することができる。
また、接着剤シリンジ100の先端を接着剤導入溝90の奥まで挿入しなくても、接着剤110を接着剤導入溝90内に十分に充填させることが可能となる。
したがって、接着剤110の跳ねや表面張力による盛り上がりによって、接着剤110が接着剤シリンジ100に付着してしまうのを抑制することができる。そのため、接着剤110が付着した接着剤シリンジ100を用いて接着剤110の塗布を行うことで、接着剤シリンジ100に付着した接着剤110が、液だれや転写によって製品(電磁リレー1)に付着してしまうことが抑制される。
このように、本実施形態によれば、接点端子部をより強固にハウジング20に固定できるようにしつつ、接着剤110の製品への付着を抑制することのできる電磁リレー1を得ることができる。
なお、接着剤110の製品への付着を抑制することができれば、接着剤110が付着してしまった製品の廃棄が抑制されて、製造効率を高めることができるようになる。
また、周面90bにおける段差面90dと底面90aとの間には、底面90aに向けて延在する凹部90fが形成されている。
こうすれば、毛細管現象をより確実に発生させることができ、接着剤110をより確実に底面90a側まで導入させることができるようになる。
また、凹部90fは、底面90aに向かうにつれて接点端子部(可動側端子部63、固定側端子部64)に近づくように傾斜している。
こうすれば、溝幅が底面90aに向かうにつれて徐々に狭くなるため、底面90a側で毛細管現象が発生しやすくなる上、底面90a側に充填される接着剤110の量を少なくすることができる。したがって、より効率的、かつ、より確実に接着剤110を底面90a側まで導入することができるようになる。
また、段差面90dは、接点端子部(可動側端子部63、固定側端子部64)に向かうにつれて底面90a側に傾斜するテーパ面35を有しており、テーパ面35の傾斜が凹部90fの傾斜よりも緩やかにしている。
こうすれば、開口部90c側に接着剤110を一旦溜めることができる上、開口部90c側に溜まった接着剤110をよりスムースに底面90a側まで移動させることができるようになる。
(第2実施形態)
本実施形態にかかる電磁リレー1Aは、基本的に上記第1実施形態で示した電磁リレー1とほぼ同様の構成をしている。すなわち、電磁リレー1Aは、先端部がハウジング20外に露出した接点端子部(可動側端子部63、固定側端子部64)を備えている。
また、ハウジング20には、図12に示すように、接点端子部(可動側端子部63、固定側端子部64)が収容されるとともに接着剤110が導入される接着剤導入溝90が形成されている。
この接着剤導入溝90は、底面90aおよび周面90bで画成されるとともに、一端に開口部90cが形成されている。そして、周面90bにおける開口部90cと底面90aとの間に段差面90dが形成されている。
本実施形態においても、段差面90dは、接点端子部(可動側端子部63、固定側端子部64)を接着剤導入溝90に収容した状態で、少なくとも接点端子部(可動側端子部63、固定側端子部64)の端部90eが、接着剤導入溝90内における接点端子部(可動側端子部63、固定側端子部64)の開口部側端面63a,64aよりも、底面90a側に位置している。
さらに、本実施形態においても、ケースカバー30には、接着剤導入溝90として、可動側端子部63をケースカバー30に固定するための可動側接着剤導入溝91と、固定側端子部64をケースカバー30に固定するための固定側接着剤導入溝92と、が形成されている。
すなわち、可動側接着剤導入溝91の周面91bにおける開口部91cと底面91aとの間に段差面91dを形成するとともに、固定側接着剤導入溝92の周面92bにおける開口部92cと底面92aとの間に段差面92dを形成している。
そして、段差面91d,91dは、可動側端子部63を可動側接着剤導入溝91に収容した状態で、少なくとも可動側端子部63側の端部91e,91eが、可動側接着剤導入溝91内における可動側端子部63の開口部側端面63aよりも、底面91b側に位置するように形成されている。
一方、段差面92d,92dも、固定側端子部64を固定側接着剤導入溝92に収容した状態で、少なくとも固定側端子部64側の端部92e,92eが、固定側接着剤導入溝92内における固定側端子部64の開口部側端面64aよりも、底面92b側に位置するように形成されている。
また、本実施形態においても、周面90bにおける段差面90dと底面90aとの間に、底面90aに向けて延在する凹部90fを形成している。
具体的には、可動側接着剤導入溝91の周面91bにおける段差面91dと底面91aとの間に、底面91aに向けて延在する凹部91fを形成している。さらに、固定側接着剤導入溝92の周面92bにおける段差面92dと底面92aとの間に、底面92aに向けて延在する凹部92fを形成している。
そして、凹部90f(凹部91f、凹部92f)を、底面90a(底面91a、底面92a)に向かうにつれて接点端子部(可動側端子部63、固定側端子部64)に近づくように傾斜させている。
具体的には、周面90b(周面91b、周面92b)における段差面90d(段差面91d、段差面92d)よりも底面90a(底面91a、底面92a)側にテーパ部36を設けている。このテーパ部36は、底面90a(底面91a、底面92a)に向かうにつれて接点端子部(可動側端子部63、固定側端子部64)に近づくように傾斜している。そして、このテーパ部36に凹部90f(凹部91f、凹部92f)を設けることで、凹部90f(凹部91f、凹部92f)自体が傾斜するようにしている。
ここで、本実施形態では、XY平面と略平行となるように段差面90d(段差面91d、段差面92d)を形成している。すなわち、段差面90d(段差面91d、段差面92d)は、接着剤導入溝90の深さ方向と直交する方向に延在する(水平に延在する)平坦部37となっている。
したがって、段差面91d,91dの全てが、可動側接着剤導入溝91内における可動側端子部63の開口部側端面63aよりも、底面91b側に位置するとともに、段差面92d,92dの全てが、固定側接着剤導入溝92内における固定側端子部64の開口部側端面64aよりも、底面92b側に位置することとなる。
かかる構成とした接着剤導入溝90(可動側接着剤導入溝91、固定側接着剤導入溝92)への接着剤110の塗布は、例えば、以下の工程で行うことができる。
まず、図13に示すように、接着剤シリンジ100を接着剤導入溝90(可動側接着剤導入溝91や固定側接着剤導入溝92)の上方に配置した状態で、接着剤導入溝90内に接着剤110を塗布する(第1の接着剤充填工程)。
このとき、図14に示すように、上方に溜まった接着剤110によって開口部90cの近傍まで埋められる程度の量の接着剤110を塗布するようにするのが好ましい。
次に、接着剤導入溝90以外の部位に、接着剤110を塗布する(接着剤導入溝以外の部位への接着剤塗布工程)。この工程は、図9に示す工程と同様の工程である。
そして、接着剤導入溝90以外の部位に接着剤110を塗布している間に、図15に示すように、接着剤導入溝90に注入された接着剤110が接着剤導入溝の下部(底面90a側)に流れ込む。
このように、接着剤110が接着剤導入溝90の下部まで流れ込むと、接着剤導入溝90の上部(開口部90c側)には隙間Dが形成されることとなる。
そして、図16に示すように、接着剤導入溝90の上部に形成された隙間Dに再度接着剤110を充填する(第2の接着剤充填工程)。
こうして、接着剤導入溝90内に接着剤が充填される。
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記各実施形態では、周面90bにおける開口部90cと底面90aとの間に1つの段差面90dが形成されているものを例示しているが、複数の段差面を段階的に形成することも可能である。
また、ハウジングや接点端子部、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更することが可能である。