JP2017026375A - 蛍光体集積ナノ粒子を用いたfishまたは免疫染色スライドの封入方法 - Google Patents

蛍光体集積ナノ粒子を用いたfishまたは免疫染色スライドの封入方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蛍光体集積ナノ粒子を用いたFISH法または免疫染色法によって染色処理を行い、水系染色試薬(例えばDAPI)で核染色を行った場合、作製される組織切片スライドにおいて、蛍光体集積ナノ粒子が遊離する問題を解消し、好ましくはさらに水系染色試薬が溶出する問題を解消する。
【解決手段】染色された組織切片上に残留した水系溶媒を油系溶媒(例えばキシレン)に置換する処理(溶媒置換処理)、および溶媒が置換された組織切片を油系封入剤で封入する処理(封入処理)をこの順に行う。好ましくは、前記溶媒置換処理の際に、実質的に水を含有しない、脱水作用を有する親水性の有機溶媒(例えば脱水エタノール)と前記油系溶媒との混合溶媒からなる脱水処理液で組織切片を脱水する処理(脱水処理)を行う。さらに好ましくは、前記脱水処理の前に、前記核染色処理で用いた水系染色試薬が溶出しない溶媒(例えばPBS)と、前記脱水処理で用いられる脱水処理液に配合される有機溶媒との混合溶媒からなる洗浄処理液で洗浄する処理(洗浄処理)を行う。
【選択図】なし

Description

本発明は、病理診断等に用いられる組織切片スライドの作製方法に関する。より詳しくは、本発明は、蛍光体集積ナノ粒子を用いたFISHまたは免疫染色により処理された組織切片スライドを、油系封入剤を用いて封入する工程に関する。
病理診断は、患者から採取した組織切片を薄切してスライドを作製し、所定の方法で染色したときの染色画像に基づいて、細胞または組織の形態を観察するとともに、特定の生体分子の発現レベルを定量、評価することにより、その患者が特定の疾患に罹患しているか否か、あるいは特定の治療薬が奏功するか否かといった様々な事象を診断する方法である。
たとえば、癌組織を採取して作製された組織切片を用いて、癌遺伝子の一種であるHER2遺伝子(HER2/neu、c-erbB-2)および/またはHER2遺伝子から産生される膜タンパク質であって癌細胞増殖因子の受容体として機能していると推定されるHER2タンパクを定量し、評価することによって、乳癌患者の予後を診断したり、分子標的治療薬「トラスツズマブ」(商品名「ハーセプチン」(登録商標)、抗HER2モノクローナル抗体)による治療効果を予測したりする病理診断が広く行われている。ヒト乳癌症例では、15〜25%でHER2遺伝子の増幅とHER2タンパクの過剰発現が認められるが、癌細胞におけるHER2の過剰発現は基本的にDNAレベルの遺伝子増幅に伴って起きている。癌組織を対象としたHER2の検査法は、DNAレベルの増幅をみる方法、RNAレベルでの過剰発現をみる方法、そしてタンパクレベルでの過剰発現をみる方法に分類される。タンパクレベルとDNAレベルでの検査法として代表的なものが、それぞれ免疫染色法ないし免疫組織化学(IHC)法と蛍光in situ ハイブリダイゼーション(FISH)法である。このようなHER2検査は臨床的に重要視されており、免疫染色法(IHC法)およびFISH法それぞれによるHER2検査の標準的な手順および判定基準(スコア)は、2007 ASCO/CAPガイドラインによって規定されている。
FISH法は、ホルマリン固定パラフィン包埋組織切片上で、蛍光標識されたHER2遺伝子用DNAプローブを用いて、癌細胞の間期核におけるHER2遺伝子のコピー数を検出する方法である。一般的には、薄切されたホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を載せたスライド(標本)を準備し、脱パラフィン処理等を行ってハイブリダイゼーションに適した状態にした後、蛍光標識プローブを反応させて核内(染色体上)のHER2遺伝子にハイブリダイズさせる。また、通常はさらに、二本鎖DNAにインターカレートする蛍光色素DAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)を用いて核(染色体)を染色する。このようにして染色された組織切片は、褪色防止剤を含有する封入剤を用いて封入処理をした後、所定の励起光を照射しながら蛍光画像が撮影される。そして、撮影されたHER2遺伝子が標識された蛍光画像とDAPIの蛍光画像とを重ねあわせ、1細胞あたりの核内(染色体上)に観察される輝点の数を計測し、その値によってHER2遺伝子が増幅されているか否かが判定される。
上記のようなFISH法の実施形態は、例えば、特許文献1(特開2013−046620号公報)を参照することができる。
一方、免疫染色法(IHC法)は、ホルマリン固定パラフィン包埋組織切片上で、蛍光標識された抗HER2抗体を用いて、細胞膜に発現しているHER2タンパクの量を検出する方法である。従来の免疫染色法(本来のIHC法)は、所定の基質を添加したときに色素を生成する酵素で標識した抗HER2抗体を利用する方法(酵素抗体法)が採用されていたが、より識別性に優れる蛍光体で標識した抗HER2抗体を利用する免疫染色法(蛍光抗体法)も利用されるようになってきている。FISH法のときと同様、薄切されたホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を載せたスライド(標本)を準備し、脱パラフィン処理等を行って免疫染色に適した状態にした後、免疫染色法では、蛍光標識抗体を反応させて細胞膜のHER2タンパクに結合させる。このようにして免疫染色された組織切片も、FISH法のときと同様、褪色防止剤を含有する封入剤を用いて封入処理をした後、所定の励起光を照射しながら蛍光画像が撮影される。そして、撮影されたHER2タンパクが標識された蛍光画像と、参照用の細胞膜が(蛍光)染色された(蛍光)画像とを重ねあわせ、一細胞あたりの細胞膜領域内に観察される輝点の数を計測し、その値によってHER2タンパクが異常発現しているか否かが判定される。
上記のような免疫染色法(蛍光抗体法)の実施形態、特に蛍光体として蛍光体集積ナノ粒子を用いた方法は、例えば、特許文献2(国際公開WO2013/035703号パンフレット)、特許文献3(国際公開WO2013/147081号パンフレット)、特許文献4(国際公開WO2014/136776号パンフレット)などを参照することができる。
特開2013−046620号公報 国際公開WO2013/035703号パンフレット 国際公開WO2013/147081号パンフレット 国際公開WO2014/136776号パンフレット
従来のFISH法においては、蛍光標識プローブを用いたハイブリダイゼーションを行い、さらにDAPIのような水系染色試薬を用いて核染色処理を行った後、褪色防止剤を含む水系封入剤を用いてカバーガラス下で封入処理を行うのが通常である。水系染色試薬と水系封入剤の両方が溶解した水溶液(緩衝溶液等)を用いることにより、核染色処理と封入処理を同時に行う場合もある。しかしながら、このような封入処理の際、特に非特異的吸着防止や所望の反応性基を連結させるためにPEGで修飾されること等によって蛍光体集積ナノ粒子が親水性になっているとき、目的遺伝子にハイブリダイズしていた蛍光体集積ナノ粒子が遊離してカバーガラスと組織切片の間に残留した液層中に移行し、蛍光画像を撮影したときのノイズになるという問題があることに気付いた。蛍光体集積ナノ粒子は蛍光色素や単独の蛍光体粒子よりもサイズが大きいため(例えば粒径は100nm程度)、目的およびプローブの核酸同士の結合が弱いと、このような問題が起こりやすい。また、染色をFISH法ではなく免疫染色で行った場合も同様に、水系封入剤を用いた封入処理の際に蛍光体集積ナノ粒子が遊離してしまう問題は起こる。
したがって、本発明は一つの側面において、蛍光体集積ナノ粒子を用いたFISH法または免疫染色法によって染色処理を行った場合、作製される組織切片スライドにおいてその蛍光体集積ナノ粒子が遊離する問題を解消することを課題とする。
発明者はさらに、そのような封入処理において、蛍光体集積ナノ粒子だけでなく核染色に用いたDAPIも核外に溶出してしまう場合があるという問題があることに気付いた。
したがって、本発明はもう一つの側面において、DAPIのような水系染色試薬を用いて核染色を行った場合に、作製される組織切片スライドにおいてその水系染色試薬が溶出する問題を解消することを課題とする。
発明者らは、蛍光体集積ナノ粒子を用いたFISH法または免疫染色法により目的生体物質の染色処理を行った後、組織切片上に残留した緩衝液等の水系溶媒を除去して油系溶媒に置換した上で、油系封入剤を用いて封入処理を行うことにより、蛍光体集積ナノ粒子の遊離を抑制することができることを見出した。
また、発明者らは、水系溶媒から油系溶媒に置換する際は、風乾して水系溶媒を除去した後に油系溶媒に浸漬するようにして行ってもよいが、脱水エタノールとキシレンの混合溶媒のように、実質的に水を含まない、脱水作用を有する水との親和性の高い(自由混和できる程度の親和性を有する)有機溶媒と油系溶媒の混合液に組織切片を浸漬して脱水処理をした後に、油系溶媒のみに浸漬して溶媒置換処理を完了することが好ましいことも見出した。
さらに、発明者らは、代表的な核染色剤(水系染色試薬)であるDAPIを用いて核染色処理をした後、上記のような混合溶媒からなる脱水処理液を用いて脱水処理を行う場合は、DNAにインターカレートしたDAPIが脱水処理液に含まれるエタノールによって溶出してしまう場合があることに気付いた。そこで、脱水処理に先だって、核染色処理に用いた水系染色試薬が溶出しない溶媒を配合した水と親和性の高い溶媒、たとえばDAPIが溶解しにくいPBSをエタノールと混合した混合溶媒に組織切片を浸漬して、洗浄処理を行うと、それに続く組織表面の脱水処理、溶媒置換処理および封入処理において、エタノール中へのDAPIの溶出を抑制することができることも見出した。
なお、特許文献3(国際公開WO2013/147081号パンフレット)には、組織標本に対する免疫染色において、蛍光体集積ナノ粒子で目的タンパク質を標識した後、“固定処理”を行う(例えば希パラホルムアルデヒド水溶液中に免疫染色された組織切片を浸漬する)ことにより、油系封入剤を用いて封入処理を行っても、蛍光標識体が油系封入剤中に溶出して染色性が失われるという問題を解消できることが記載されている。しかしながら当該文献によっては、固定処理を行うことなく、蛍光標識体の油系封入剤への溶出を抑制する方法については記載も示唆もされていない。
特に、特許文献3等に記載されている従来の標本後処理工程では、染色された組織切片を、“エタノール水溶液”に浸漬して脱水処理し、次いでキシレンに浸漬して透徹処理をした後、封入液に浸漬して封入処理をしていた。例えば、脱水処理では、エタノール水溶液中のエタノールの量を50%、70%、90%、ほぼ100%というように上げていきながら(逆に言えば、水の割合を、50%、30%、10%、ほぼ0%というように下げていきながら)、組織切片を順次それらのエタノール水溶液に浸漬し、組織中の水をエタノールに置換し、次いで、透徹工程においてキシレンに浸漬し、そのエタノールをキシレンに置換していた。このような“エタノール水溶液”を用いた処理をしていたことが、蛍光体集積ナノ粒子が遊離する問題の一因になっていたと考えられる。
また、特許文献3等には、タンパク質を標的とする免疫染色により染色処理を行った場合の封入処理について記載されているが、遺伝子(核酸)を標的とするFISHにより染色処理を行った場合の封入処理については記載されておらず、蛍光体集積ナノ粒子で標識されたプローブが遊離する問題や、FISHにより染色処理を行う場合に併用されることの多い水系染色試薬が溶出する問題を解消することについては記載されていない。
“エタノール水溶液を用いずに脱水処理を行った後、溶媒置換処理を行い、この際に別途固定処理を行う必要がない本発明は、“エタノール水溶液”を用いる従来の脱水処理およびその後の有機溶媒を用いた透徹処理、ならびに固定処理を必須とする従来技術と明確に区別されるものである。
すなわち、本発明には下記のような実施形態によって表される発明が包含される。
[1]
FISH法または免疫染色法に基づき、蛍光体集積ナノ粒子で目的生体物質を蛍光標識する処理(FISH/免疫染色処理)、水系染色試薬で核を染色する処理(核染色処理)、染色された組織切片上に残留した水系溶媒を油系溶媒に置換する処理(溶媒置換処理)、および溶媒が置換された組織切片を油系封入剤で封入する処理(封入処理)をこの順に行うことを特徴とする、FISH法または免疫染色法による染色スライドの封入方法。
[2]
前記蛍光体集積ナノ粒子が親水性である、項1に記載の染色スライドの封入方法。
[3]
前記蛍光体集積ナノ粒子が低分子有機化合物からなる蛍光色素を集積させたものである、項1または2に記載の染色スライドの封入方法。
[4]
前記蛍光体集積ナノ粒子がメラミン樹脂を母体とするものである、項1〜3のいずれか一項に記載の染色スライドの封入方法。
[5]
前記油系溶媒がキシレンである、項1〜4のいずれか一項に記載の染色スライドの封入方法。
[6]
前記溶媒置換処理の際に、脱水作用を有する水と親和性のある有機溶媒と前記油系溶媒とを含有する混合溶媒からなる脱水処理液で組織切片を脱水する処理(脱水処理)を行う、項1〜5のいずれか一項に記載の染色スライドの封入方法。
[7]
前記脱水処理液が水を実質的に含有しないものである、項6に記載の染色スライドの封入方法。
[8]
前記脱水処理液が、脱水エタノールとキシレンとの混合溶媒である、項7に記載の染色スライドの封入方法。
[9]
前記脱水処理の前に、前記核染色処理で用いた水系染色試薬が溶出しない溶媒と、前記脱水処理で用いられる脱水処理液に配合される有機溶媒とを含有する混合溶媒からなる洗浄処理液で洗浄する処理(洗浄処理)を行う、項6〜8のいずれか一項に記載の染色スライドの封入方法。
[10]
前記核染色工程で用いた水系染色試薬がDAPIであり、前記水系染色試薬が溶出しない溶媒がPBSである、項9に記載の染色スライドの封入方法。
本発明の封入方法により、蛍光体集積ナノ粒子を用いてFISH法または免疫染色法による染色や、DAPIのような水系染色試薬を用いた核染色を行った後、油系封入剤によって染色されたスライドを封入しても、蛍光体集積ナノ粒子の遊離や核染色試薬の溶出を抑制することができる。それにより、ノイズの少ない、目的遺伝子または目的タンパク質に対応する信号の認識性に優れた蛍光画像を取得し、目的とする遺伝子またはタンパク質の発現レベルの定量をより正確に行うことができるようになり、病理診断の信頼性を高めることにつながる。特に、染色処理後にしばらくの期間保管した染色スライドを観察し蛍光画像を撮影するときに、上記のような問題は起こりやすいため、本発明の封入方法の有効性は高い。
図1は、本発明の第1の作用効果である、蛍光体集積ナノ粒子の遊離の抑制について対照的に表した染色スライドの模式図である。[A]および[B]は、図1上部の染色スライド1の断面図において点線で円形に囲った領域の部分拡大図である。[A]水系封入剤5aを用いて封入された従来技術の染色スライド1。蛍光体集積ナノ粒子4が組織切片3から遊離する様子を表す。[B]油系封入剤5bを用いて封入された本発明の染色スライド1。蛍光体集積ナノ粒子4の組織切片3からの遊離が抑制されている様子を表す。 図2は、本発明の第2の作用効果である、水系染色試薬の溶出について対照的に表した染色スライドの模式図である。[A]および[B]は、図2上部の染色スライド1の断面図において点線で円形に囲った領域の部分拡大図である。[A]脱水処理に先だって、従来の洗浄処理液(例えばエタノール水溶液)8aを用いて洗浄処理を行ったときの染色スライド1。核(染色体)の染色領域7bに結合していた水系染色試薬がその周辺領域7aに溶出している様子を表す。[B]脱水処理に先だって、所定の洗浄処理液(例えばPBS・エタノール混合溶媒)を用いて洗浄処理を行ったときの染色スライド1。核(染色体)の染色領域7bに結合した水系染色試薬の溶出が抑制されている様子を表す。 図3は、本発明の染色スライドの封入方法の、第1実施形態:FISH法に基づく染色を行う場合の実施形態の例を示すフローチャートである。 図4は、本発明の染色スライドの封入方法の、第2実施形態:免疫染色法に基づく染色を行う場合の実施形態の例を示すフローチャートである。 図5は、実施例1および比較例1のそれぞれにおいて取得された蛍光画像(蛍光色素集積メラミン粒子を用いたFISH染色の蛍光画像と、DAPIを用いた核染色の蛍光画像を重ねあわせた合成画像)である。[A]比較例1:水を用いて封入した場合。矢印で指し示した円内に、遊離して浮き出た蛍光色素集積メラミン粒子の輝点がある。[B]実施例1:油系封入剤を用いて封入した場合。 図6は、実施例2および実施例3のそれぞれにおいて取得された蛍光画像(図5と同様の合成画像)である。[A]実施例3:PBS/エタノール混合溶媒による洗浄を行わなかった場合(油系封入剤を用いた封入処理は行っている)。蛍光色素集積メラミン粒子の遊離は抑制されているが、DAPIの核外への溶出が認められる。[B]実施例2:PBS/エタノール混合溶媒による洗浄を行った場合(油系封入剤を用いた封入処理も行っている)。蛍光色素集積メラミン粒子の遊離が抑制されるとともに、DAPIの核外への溶出が抑制されている。
本発明の染色スライドの封入方法は、染色処理をFISH法に基づいて行う実施形態(本明細書において「第1実施形態」と称する。)と、免疫染色法に基づいて行う実施形態(本明細書において「第2実施形態」と称する。)に大別することができる。
第1実施形態、第2実施形態いずれも、プレパラートを作製するための工程全体は、主に「標本前処理工程」、「染色工程」および「標本後処理工程」に分類することができる。
FISH法に関する一実施形態の標本前処理工程には、一般的に、脱パラフィン処理、FISH用前処理、酵素処理などが含まれる。
第1実施形態の染色工程には、FISH法に基づく染色を行う処理(FISH処理)、すなわちDNA変性処理、ハイブリダイゼーション処理、ポストハイブリダイゼーション洗浄処理などと、核染色処理(例えばDAPIによるもの)が含まれる。
第1実施形態の標本後処理工程には、溶媒置換処理、油系封入剤封入処理、必要に応じて溶媒置換処理の前に行われる洗浄処理および脱水処理が含まれる。
免疫染色法に関する2実施形態の標本前処理工程には、一般的に、脱パラフィン処理、抗原賦活化処理、洗浄処理などが含まれる。
第2実施形態の染色工程には、免疫染色法に基づく染色を行う処理(免疫染色処理)、すなわち目的生体物質を直接的に標識するか、間接的の標識するかに応じた、1次抗体処理、2次抗体処理、形態観察用染色剤処理(核染色処理を含む)などが含まれる。
第2実施形態の標本後処理工程には、第1実施形態の標本後処理工程と同様、溶媒置換処理、油系封入剤封入処理、必要に応じて溶媒置換処理の前に行われる洗浄処理および脱水処理が含まれる。
以下、本発明を実施するために必要な処理についてさらに説明する。本明細書に特に記載されていない事項、例えば、FISH法または免疫染色法に基づいて染色されたプレパラートを完成するために必要とされる工程および処理の全般的な事項や、完成したプレパラートを用いた観察・撮影工程、撮影された画像を用いた画像処理・計測工程などについては、特許文献1〜4の記載事項およびその他の一般的な技術的事項に準じた適切なものとすることができる。
(蛍光体集積粒子)
本発明では、目的とする遺伝子またはタンパク質を蛍光標識するための物質として、蛍光体集積ナノ粒子を使用する。蛍光体集積ナノ粒子は、蛍光色素や半導体ナノ粒子(量子ドット)のような蛍光体を複数個、母体となる物質に内包したり表面に付着させたりすることで集積化した、ナノサイズの(直径が1μm以下の)粒子状の蛍光体である。FISHまたは免疫染色においてこのような蛍光体集積ナノ粒子を用いることは、蛍光体を単独で(蛍光色素を一分子で、または半導体ナノ粒子を一粒子で)用いる場合と比較して、目的とする生体分子を標識した蛍光標識体1つあたりが発する蛍光の強度を増強し、細胞の自家蛍光等のノイズや他の色素との識別性を高めることができること、また励起光の照射による褪色を抑制することができることから好ましい。
蛍光体集積ナノ粒子を構成する蛍光体としては、蛍光色素や半導体ナノ粒子など、1分子または1粒子で蛍光を発することのできる物質を用いることができる。撮影される染色画像において所望の波長の蛍光(色)を発する蛍光体を選択すればよい。また、蛍光標識の対象とする生体分子が複数ある場合は、それぞれに対応した異なる波長の蛍光を発する、複数種類の蛍光体を組み合わせて用いればよい。
蛍光色素としては、例えば、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、Alexa Fluor(登録商標、インビトロジェン社製)系色素、BODIPY(登録商標、インビトロジェン社製)系色素、カスケード(登録商標、インビトロジェン社)系色素、クマリン系色素、NBD(登録商標)系色素、ピレン系色素、シアニン系色素、ペリレン系色素、オキサジン系色素など、低分子有機化合物(ポリマー等の高分子有機化合物ではないもの)からなる蛍光色素が挙げられる。中でも、スルホローダミン101およびその塩酸塩であるTexasRed(登録商標)などのローダミン系色素や、ペリレンジイミドなどのペリレン系色素は、比較的耐光性が高いため好ましい。
半導体ナノ粒子としては、例えば、II−VI族化合物、III−V族化合物、またはIV族元素からなる粒子、あるいはこれらの粒子をコアとし、その周囲をシェルとなる化合物で取り囲んだコア/シェル型の粒子(例えば、コアがCdSe、シェルがZnSである、CdSe/ZnS粒子)が挙げられる。
蛍光体集積ナノ粒子を構成する母体としては、樹脂やシリカなど、物理的または化学的な結合力でもって蛍光体を集積化することのできる物質を用いることができる。樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂等の熱硬化性樹脂;およびスチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、ASA樹脂(アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸メチル共重合体)など、1種類または2種類以上のモノマーを用いて作製される各種の単独重合体および共重合体が挙げられる。中でも、メラミン樹脂やスチレン樹脂は、蛍光色素等の蛍光体を集積させたナノ粒子を作製しやすく、また発光強度の高いナノ粒子が得られるために好ましい。
蛍光体集積ナノ粒子の実施形態の例としては、蛍光体として蛍光色素を用い、母体として樹脂を用いて作製される蛍光色素集積樹脂粒子;蛍光体として蛍光色素を用い、母体としてシリカを用いて作製される蛍光色素集積シリカ粒子;蛍光体として半導体ナノ粒子を用い、母体として樹脂を用いて作製される半導体ナノ粒子集積樹脂粒子;蛍光体として半導体ナノ粒子を用い、母体としてシリカを用いて作製される半導体ナノ粒子集積シリカ粒子などが挙げられる。
たとえば、蛍光体としてペリレンジイミド、スルホローダミン101またはその塩酸塩(テキサスレッド)等の蛍光色素を用い、母体としてメラミン樹脂、スチレン樹脂等の樹脂を用いて作製される蛍光色素集積樹脂粒子は、標識性能等に優れることから、本発明における蛍光体集積ナノ粒子として好ましい。
さらに、疎水結合による非特異的吸着を抑制する等の観点から、蛍光体集積ナノ粒子は親水性であることが好ましい。例えば、メラミン樹脂のように親水性の物質を母体として用いて蛍光体集積ナノ粒子を作製したり、蛍光体集積ナノ粒子(母体自体は、メラミン樹脂のように親水性であっても、スチレン樹脂のように疎水性であってもよい。)の表面を親水性化合物で修飾したりすることにより、親水性の蛍光体集積ナノ粒子を得ることができる。
蛍光体集積ナノ粒子の表面修飾に用いる親水性化合物は、特に限定されるものではないが、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)等の直鎖状親水性高分子が、繰り返し単位数により分子長の調整が容易であることや、末端に種々の官能基等が連結された誘導体を調製したり製品として入手したりすることが容易なことなどから好ましい。
一例として、スチレン樹脂系共重合体を母体とする蛍光体集積ナノ粒子を親水化する手法は次の通りである。モノマーの一部に所定の官能基を有する化合物を用いた共重合反応により、また共重合反応後に必要に応じて、その官能基を所定の化合物で処理して別の官能基に変換する反応をさらに行うことにより、粒子表面にアミノ基、カルボキシル基、水酸基等の官能基を有するスチレン樹脂系共重合体を作製することができる。作製されたスチレン樹脂系共重合体(例えばアミノ基を有するもの)と、その官能基と結合しうる反応性基を一端に有する親水性化合物(例えばN−ヒドロキシスクシンイミドが連結されたPEG)とを反応させることにより、スチレン樹脂系共重合体の表面をその親水性化合物で修飾することができ、親水性の蛍光体集積スチレン樹脂粒子を得ることができる。
蛍光体集積ナノ粒子の平均粒径は、通常10〜500nm、好ましくは50〜200nmであり、粒径の変動係数は、通常は20%以下、好ましくは5〜15%である。なお、蛍光体集積ナノ粒子の粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電子顕微鏡写真を撮影し、蛍光標識用樹脂粒子の断面積を計測し、その計測値を相当する円の面積としたときの直径(面積円相当径)として測定することができる。蛍光体集積ナノ粒子の集団についての平均粒径および変動係数は、十分な数(たとえば1000個)の蛍光体集積ナノ粒子のそれぞれについて上記のようにして粒径を測定した、平均粒径はその算術平均として算出され、変動係数は式:100×粒径の標準偏差/平均粒径、により算出される。
上記のような蛍光体集積ナノ粒子は公知であり、その製造に用いられる蛍光体および母体や製造方法などの詳細、実施形態の具体例については、例えば国際公開WO2013/035703号パンフレット、国際公開WO2013/147081号パンフレット、国際公開WO2014/136776号パンフレットなどを参照することができる。
<FISH処理>
本発明の第1実施形態で行われるFISH処理は、染色工程において、FISH法に基づいて目的とする遺伝子を蛍光体集積ナノ粒子で標識する処理である。
FISH法には様々な手法があり、目的とする遺伝子を蛍光標識して病理診断等に用いることのできるよう組織切片を染色することができれば特に限定されるものではないが、代表的には次のようなものが挙げられる:
蛍光体とプローブを連結した蛍光標識プローブを用意し、その蛍光標識プローブで目的遺伝子を直接的に蛍光標識し染色する方法(直接法);
プローブとビオチンを連結したビオチン修飾プローブ、および蛍光体とアビジンないしストレプトアビジンを連結したアビジン修飾蛍光体を用意し、目的遺伝子にビオチン修飾プローブを反応させた後、さらにアビジン修飾蛍光体を反応させて、アビジン−ビオチン反応を利用して目的遺伝子を間接的に蛍光標識し染色する方法(間接法)。
なお、上記の間接法において、ビオチンおよびアビジンの代わりに、ハプテン(免疫原性を有さないが抗原性を示し抗体と反応しうる比較的分子量の低い物質)および抗ハプテン抗体、たとえばジコキシゲニンおよび抗ジコキシゲニン抗体、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)および抗FITC抗原、さらには同様の特異的な反応性を有するその他の物質の組み合わせを利用することもできる。
FISH法は、上述したような各種の手法のそれぞれにとって標準的な手順および処理条件に従って行えばよい。一般的には、組織切片を載置した検体スライドをFISH法に応じた1種類または2種類以上の試薬に、適切な温度および時間条件の下、浸漬すればよい。FISHに必要な各種の試薬、すなわち蛍光標識プローブ、ビオチン修飾プローブ、アビジン修飾蛍光体などが溶解し、必要に応じてBSA等のブロッキング剤が添加された緩衝液等の溶液は、公知の方法にしたがって作製することが可能であり、市販品として入手することもできる。例えば、ニックトランスレーション法により目的遺伝子のDNAクローンのdTTPをビオチン修飾dUTPで置換することにより、DNAプローブに対して複数個のビオチンが導入されたビオチン修飾プローブを作製することができる。
FISHの対象とする目的遺伝子は特に限定されるものではないが、典型的には、FISH法に基づく病理診断の対象とされているタンパク質、例えばHER2、TOP2A、HER3、EGFR、P53、MET、その他の各種のがん・腫瘍関連遺伝子(いわゆるバイオマーカー遺伝子)、さらにはがんの増殖因子、転写制御因子、増殖制御因子受容体、転写制御因子受容体等のがんに関連する遺伝子から選択することができる。
目的遺伝子に対するプローブは、公知の方法にしたがって作製することが可能であり、市販品として入手することもできる。プローブの塩基長、塩基配列、GC含量は、ハイブリダイゼーションさせる際の条件を考慮し、適切なストリンジェンシーを有するものとなるよう調製することができる。
<核染色処理>
主に本発明の第1実施形態で行われる核染色処理は、染色工程において、水系染色試薬(水溶液の形態で用いられる核染色能を有する蛍光色素)で核染色を行う処理である。核染色処理をすることにより、細胞数をカウントし、あわせて核内(染色体上)にある目的遺伝子を蛍光標識した蛍光体集積ナノ粒子の輝点数をカウントすることができるようになる。
核の代表的な水系染色試薬としては、2本鎖DNAにインターカレートする蛍光色素であるDAPI(4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール ジヒドロクロライド)が挙げられるが、これに限定されるものではない。水系染色試薬を用いた核染色は、常法に従って行うことができる。
<免疫染色処理>
本発明の第2実施形態で行われる免疫染色処理は、染色工程において、免疫染色法に基づいて目的とするタンパク質を蛍光体集積ナノ粒子で標識する処理である。
免疫染色法には様々な手法があり、目的とするタンパク質を蛍光標識して病理診断等に用いることのできるよう組織切片を染色することができれば特に限定されるものではないが、代表的には次のようなものが挙げられる:
蛍光体と1次抗体を連結した蛍光標識1次抗体を用意し、その蛍光標識1次抗体で目的タンパク質を直接的に蛍光標識し染色する方法(1次抗体法);
1次抗体、および蛍光標識体と2次抗体を連結した蛍光標識2次抗体を用意し、目的タンパク質に1次抗体を反応させた後、その1次抗体に蛍光標識2次抗体を反応させることで、目的タンパク質を間接的に蛍光標識し染色する方法(2次抗体法);
1次抗体とビオチンを連結したビオチン修飾1次抗体、および蛍光体とアビジンないしストレプトアビジンを連結したアビジン修飾蛍光体を用意し、目的タンパク質にビオチン修飾1次抗体を反応させた後、さらにアビジン修飾蛍光体を反応させて、アビジン−ビオチン反応を利用して目的タンパク質を間接的に蛍光標識し染色する方法(アビジン−ビオチン併用1次抗体法);
1次抗体、2次抗体とビオチンを連結したビオチン修飾2次抗体、および蛍光体とアビジンないしストレプトアビジンを連結したアビジン修飾蛍光体を用意し、目的タンパク質に1次抗体を反応させ、次いでビオチン修飾2次抗体を反応させた後、さらにアビジン修飾蛍光体を反応させて、アビジン−ビオチン反応を利用して目的タンパク質を間接的に蛍光標識し染色する方法(アビジン−ビオチン併用2次抗体法)。
なお、上記のアビジン−ビオチン併用1次抗体法またはアビジン−ビオチン併用2次抗体法において、ビオチンおよびアビジンの代わりに、ハプテン(免疫原性を有さないが抗原性を示し抗体と反応しうる比較的分子量の低い物質)および抗ハプテン抗体、たとえばジコキシゲニンおよび抗ジコキシゲニン抗体、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)および抗FITC抗原、さらには同様の特異的な反応性を有するその他の物質の組み合わせを利用することもできる。
免疫染色法は、上述したような各種の手法のそれぞれにとって標準的な手順および処理条件に従って行えばよい。一般的には、組織切片を載置した検体スライドを免疫染色法に応じた1種類または2種類以上の試薬に、適切な温度および時間条件の下(例えば4℃で一晩)、浸漬すればよい。免疫染色に必要な各種の試薬、すなわち蛍光標識1次/2次抗体、ビオチン修飾1次/2次抗体、アビジン修飾2次抗体/蛍光体などが溶解し、必要に応じてBSA等のブロッキング剤が添加された緩衝液等の溶液は、公知の方法にしたがって作製することが可能であり、市販品として入手することもできる。
免疫染色の対象とする目的タンパク質は特に限定されるものではないが、典型的には、組織免疫染色法に基づく病理診断の対象とされているタンパク質、例えばHER2、TOP2A、HER3、EGFR、P53、MET、その他の各種のがん・腫瘍関連遺伝子(いわゆるバイオマーカー遺伝子)由来のタンパク質、さらにはがんの増殖因子、転写制御因子、増殖制御因子受容体、転写制御因子受容体等のがんに関連するタンパク質から選択することができる。
目的タンパク質に対するモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体(1次抗体)、ならびにそれらの抗体に対する抗体(2次抗体)は、公知の方法にしたがって作製することが可能であり、市販品として入手することもできる。
<溶媒置換処理>
本発明の第1実施形態、第2実施形態の両方で行われる溶媒置換処理は、標本後処理工程において、染色処理された組織切片上に残留した水系溶媒を油系溶媒に置換する処理である。たとえば、染色後の組織切片をPBSに浸漬して付着している余剰の染色液等を洗い流したとき、引き上げた組織切片はPBSで覆われているが、そのようなPBSの水分を除き、油系溶媒に置き換え、それで組織切片を覆うようにする処理である。
溶媒置換処理で用いられる油系溶媒としては、後述する油系封入剤に含まれる封入溶媒、すなわち水と自由混和しない有機溶媒と同様の溶媒を用いることができる。通常、油系封入剤に含まれる封入溶媒と同じ化合物を溶媒置換工程の油系溶媒として用いるが、本発明の作用効果を阻害しない場合は、それと異なる化合物を用いることも可能である。
このような油系溶媒としては、芳香族炭化水素、不飽和炭化水素力ルボニルを含む化合物(ケトン)、エステル、エーテル、アルコールの中から、上記の条件を満たす1種または2種以上を選択して用いることができる。一例として、油系封入剤の溶媒として汎用されているキシレンは、溶媒置換処理で用いる油系溶媒として好ましい。
水系溶媒から油系溶媒への置換のための手法は特に限定されるものではない。例えば、水、緩衝液等の水系溶媒が付着した組織切片を、風乾等で乾燥して水系溶媒を除去した後、容器に収容された油系溶媒に浸漬することは、溶媒置換処理の一実施形態である。また、水、緩衝液等の水系溶媒が付着した組織切片を、好ましくは洗浄処理(詳細は後述)を行ってから、特定の脱水処理液を用いる脱水処理(詳細は後述)を行った後、容器に収容された油系溶媒に浸漬することも、溶媒置換処理の一実施形態である。油系溶媒への浸漬は、通常は室温で行えばよく、浸漬時間は、通常2〜10秒、好ましくは2〜5秒である。
<封入処理>
本発明の第1実施形態、第2実施形態の両方で行われる封入処理は、標本後処理工程において、溶媒置換処理により水系溶媒が油系溶媒に置換された組織切片を、油系封入剤を用いて封入する処理である。一般的な封入剤には水系封入剤と油系封入剤(非水溶性封入剤)があるが、本発明では後者の油系封入剤を用いる。油系封入剤は、標本との屈折率差が小さいため標本を透明にできること、形態染色の色味や発色がよいこと、永久標本を作製しやすいこと、より脱水した環境にできるため標本作製時の水の混入を防止しやすいこと、標本作製時の乾燥を均一にできること、などの利点を有する。
油系封入剤を用いた封入処理のための手法や条件は特に限定されるものではないが、一般的には、検体スライド上の組織切片に油系封入剤を滴下し、カバーガラスを載せ、乾燥させればよい。以上の処理により得られる封入済みの検体スライドが、病理診断等に用いられるプレパラートとなり、作製工程は完了する。
(油系封入剤)
油系封入剤は、水と自由混和しない有機溶媒を含有する溶媒(封入溶媒)と、その溶媒に溶解する樹脂との混合物である。油系封入剤は市販されているものでも自家で調製したものでもよい。市販の油系封入剤としては、例えばDPX(シグマアルドリッチ社製。主成分:ポリスチレンポリマー約21.8%、キシレン約69.7%)、エンテランニュー(登録商標、メルク社製。主成分:アクリル樹脂、キシレン約60%)、パラマウン卜N(登録商標、ファルマ社製。主成分:アクリル樹脂、脂肪族炭化水素)を挙げることができる。市販の油系封入剤には、製品をそのままの状態で使用できるものと、製品(原液)を所定の溶媒で希釈してから使用するものがある。また、カナダバルサムなどのような天然樹脂や、ポリスチレンやポリメタクリル酸メチルなどのような合成樹脂を封入溶媒に溶かすことにより、自家で油系封入剤を調製することができる。
油系封入剤に含まれる封入溶媒は、水と自由混和しない有機溶媒を含有する溶媒であり、市販の油系封入剤に含まれている溶媒、市販の油系封入剤を希釈するための所定の溶媒、自家で油系封入剤を調製するために用いた溶媒などがこれに相当する。ここで、“水と自由混和しない”とは、水に対する溶解度が15体積%以下であることを意味する。本発明ではさらに、油系封入剤封入処理に先だって行われる溶媒置換処理で用いられる“油系溶媒”や、脱水処理で用いられる脱水処理液に配合する“油系溶媒”として、上記の“油系封入剤のための封入溶媒”と同様の物質を用いることができる。
水と自由混和しない有機溶媒としては、芳香族炭化水素、不飽和炭化水素力ルボニルを含む化合物(ケトン)、エステル、エーテル、アルコールの中から、上記の溶解度の条件を満たすものを一種または二種以上選択して用いることができる。
芳香族炭化水素の具体例としては、ベンゼン、卜ルエン、キシレン等が挙げられる。不飽和炭化水素の具体例としては、リモネン、ピネン等が挙げられる。ケトンの具体例としては、シク口ヘキサノン、メチルエチルケトン等が挙げられる。エステルの具体例としては、酢酸ブチル等を挙げることができる。エーテルの具体例としては、アニソール、1,4-ジ(2-ヒド口キシエトキシ)ベンゼン、エチレングリコールモノフェニルエーテル等が挙げられる。アルコールの具体例としては、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等が挙げられる。これらの化合物のうち、キシレン、トルエン、リモネンなどは、入手が容易であること、屈折率が組織切片に近い1.5程度であること、数十分程度で乾燥するため作業に適した乾燥速度を有するなどの点から好ましい。
油系封入剤に含まれる樹脂は、封入溶媒が蒸発した後に固形分として残る物質なので、観察に影響を与えないもの、つまりガラスに近い屈折率で透明性が高いものが適切である。着色していたり、蛍光標識体(蛍光体集積ナノ粒子)に励起光を照射したときにそれ自体が蛍光を発したりするような樹脂は、蛍光顕微鏡観察に悪影響を与えるので含まれない方がよい。そのような条件を満たす好ましい樹脂としては、例えば、カナダバルサムなどのような天然樹脂や、ポリスチレンやポリメタクリル酸メチルなどのような合成樹脂が挙げられる。
油系封入剤には、必要に応じて、褪色防止剤を配合することができる。そのための褪色防止剤としては、例えば、フェノール系、アミン系、リン系、硫黄系および不飽和炭化水素系の褪色防止剤の中から、油系封入剤の封入溶媒、つまり水と自由混和しない溶媒を含有する封入溶媒への溶解性に問題がないものを、1種または2種以上選択して用いることができる。このような褪色防止剤も、蛍光顕微鏡観察に悪影響がないよう、蛍光標識体(蛍光体集積ナノ粒子)の励起光波長(ピーク波長)と重複する450〜600nmの範囲での吸収がなく、また蛍光標識体の発光波長と重複する500〜700nmでの発光がないものが好ましい。
<脱水処理>
本発明の第1実施形態、第2実施形態の両方で行われる脱水処理は、標本後処理工程において、溶媒置換処理の際に必要に応じて行われる、染色された組織切片に含まれる水分を極力除去しておくための処理である。このような脱水処理は、従来は一般的に脱水エタノールと水の混合液を用いて行われていたが、本発明においては以下に述べるような、特定の有機溶媒と油系溶媒とを含有する混合溶媒からなる脱水処理液を用いて行われる。
(脱水処理液)
本発明における脱水処理液は、脱水作用を有する水と親和性の高い有機溶媒と油系溶媒とを含有する混合溶媒である。このような条件を満たす脱水処理液は、以下に述べるような適切な有機溶媒と油系溶媒とを適切な割合で混合することによって調製することができる。
脱水処理液は、油系溶媒と相溶性を有さず、また核染色処理に用いた水系染色試薬を溶出させるおそれのある“水”を“実質的に含まない”ことが好ましい。“実質的に含まない”とは、後述する脱水エタノールに微量に含まれる水のように、脱水処理液の調製において完全に除去することが困難な微量の水が含まれることは許容されることを意味する。
脱水処理液に含まれる油系溶媒としては、前述した油系封入剤に含まれる封入溶媒、すなわち水と自由混和しない有機溶媒と同様の溶媒を用いることができる。ただし、この油系溶媒は、水自体とは自由混和しなくても(水自体との相溶性を有さなくても)よいが、水と自由混和する水系溶媒とは自由混和する(水以外の水系溶媒との相溶性を有する)ものである必要がある。通常、油系封入剤に含まれる封入溶媒および溶媒置換工程で用いた油系溶媒と同じ化合物を、脱水処理液に配合する油系溶媒として用いるが、本発明の作用効果を阻害しない場合は、それらと異なる化合物を脱水処理液に配合する油系溶媒として用いることも可能である。
このような油系溶媒としては、芳香族炭化水素、不飽和炭化水素カルボニルを含む化合物(ケトン)、エステル、エーテル、アルコールの中から、上記の条件を満たす1種または2種以上を選択して用いることができる。一例として、次に述べる水系溶媒の代表例であるエタノールとの相溶性を有するキシレンは、脱水処理液に配合される油系溶媒として好ましい。
脱水処理液に含まれる有機溶媒としては、一般的な脱水剤と同様の、脱水作用を有する化合物を用いることができる。このような有機溶媒は、水と親和性を有し、自由混和するとともに、前述した油系溶媒とも相溶性を有し、自由混和するものである必要がある。一例として、脱水作用を有するとともに、前述した油系溶媒の代表例であるキシレンとの相溶性を有するエタノールは、脱水処理液に配合される有機溶媒として好ましい。
ただし、本発明の脱水処理液の調製に用いられる“エタノール”は実質的に水分を含まないもの、つまり“エタノール水溶液”ではなく、脱水エタノール(エタノール濃度99.5%以上)またはそれに準じる高純度のエタノールであって、それを用いて調製される脱水処理液中に水分を混入させないものである。
脱水処理は、混合する有機溶媒と油系溶媒の比率を数段階で変えた脱水処理液を用いて、複数回行ってもよい。たとえば、体積ベースの比率が、エタノール:キシレン=50:50、20:80の2種類の混合溶媒を調製し、それぞれの混合溶媒を順次用いて脱水処理するようにしてもよい。脱水処理に続いて溶媒置換処理が行われ、そこでは、脱水処理液に含まれる油系溶媒と同様の化合物のみ(たとえばキシレンのみ)を含む油系溶媒を用いた処理が行われるので、脱水処理液は、有機溶媒の比率が高く油系溶媒の比率が低いものから、有機溶媒の比率が低く油系溶媒の比率が高いものの順に用いるのが適切である。
脱水処理液を用いた脱水処理のための手法は特に限定されるものではないが、一般的には、容器に収容された脱水処理液に組織切片を浸漬するようにして行えばよい。脱水処理液への浸漬は、通常は室温で行えばよく、浸漬時間は、通常2〜10秒、好ましくは2〜5秒である。
<洗浄処理>
主に本発明の第1実施形態で行われる洗浄処理は、標本後処理工程において、脱水処理の前に必要に応じて行われる処理であって、特定の水系混合溶媒からなる洗浄処理液を用いて、染色された組織切片を洗浄する処理である。DAPIのような水系染色試薬を用いて核染色処理を行った場合は、このような洗浄処理を行うことが好ましく、あらかじめ余剰の水系染色試薬を洗い流すことにより、それが脱水処理で用いられる脱水処理液や溶媒置換処理で用いられる油系溶媒中に溶出させない。
なお、プレパラートの作製過程では、各種の溶液で検体スライドを処理した後にその検体スライドの洗浄が行われる場合があるが、本発明に係る洗浄処理は、水系染色試薬を用いた核染色処理の後、脱水処理の前に行われるものを指す。
(洗浄処理液)
本発明の洗浄処理のために用いられる洗浄処理液は、以下に述べるような2種類の溶媒を適切な割合で混合することによって調製することができる。
洗浄処理液用の第1の溶媒は、核染色処理で用いた水系染色試薬が溶出しない溶媒である。例えば、代表的な水系染色試薬であるDAPIは、試薬の溶媒として純水が用いられているが、一旦標的DNAに染色(インターカレート)したものは、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)にはほとんど溶解しない。したがって、DAPIを用いて核染色処理を行う場合は、PBSを添加することによって未反応のDAPIを洗い流すことができるので、第1の溶媒としてPBSを用いることができる。
洗浄処理液用の第2の溶媒としては、前述した脱水処理液に含まれる有機溶媒と同様の溶媒、例えば脱水エタノールを用いることができる。脱水エタノールの代わりにイソプロパノール、アセトンなどを用いることもできる。
したがって、洗浄処理液としては、例えばPBS(第1溶媒)と脱水エタノール(第2溶媒)の混合溶液を用いることができる。
洗浄処理は、混合する水系溶媒同士の比率を数段階で変えた脱水処理液を用いて、複数回行ってもよい。たとえば、第1溶媒としてPBSを用い、第2溶媒として脱水エタノールを用いる場合、体積ベースの比率が、PBS:脱水エタノール=50:50、20:80の2種類の混合液を調製し、それぞれの混合液を順次用いて洗浄処理するようにしてもよい。洗浄処理に続いて脱水処理が行われ、そこでは、洗浄処理液に含まれる第2溶媒を含む脱水処理液を用いた処理が行われるので、洗浄処理液は、第1溶媒の比率が高く第2溶媒の比率が低いものから、第1溶媒の比率が低く第2溶媒の比率が高い順に用いるのが適切である。
洗浄処理液を用いた洗浄処理のための手法は特に限定されるものではないが、一般的には、容器に収容された洗浄処理液に組織切片を浸漬するようにして行えばよい。洗浄処理液への浸漬は、通常は室温で行えばよく、浸漬時間は、通常2〜10秒、好ましくは2〜5秒である。
<I.HER2遺伝子用蛍光標識プローブの作製>
(1)ビオチン修飾BACプローブの作製
CellBiochemBiophys.2006;45(1)59の記載の方法に従って、ニックトランスレーション法により、ビオチン修飾されたBACプローブを調製した。すなわち、GSP社から購入したHER2−DNAクローン(約150kbp)1μg(5μL)に対して、ニックトランスレーション用のキット(製品名「GSP−ニックトランスレーションキット」K−015、GSP社製)をプロトコールに従って用い、当該HER2−DNAクローン(核酸分子)のdTTPをビオチン修飾dUTPで置換した。具体的な作製手順は以下の通りである。
まず、下記の試薬を遠心チューブ内で混合した。
・10×NickBuffer(Tris−HCl[pH7.2]、MgSO4、DTT)・・・2.5μL、
・BSA(Nuclease−free BSA)・・・1.5μL
・dNTP mix(dATP、dCTP、dCTP)・・・5μL
・dTTP・・・1.5μL
・Biotin−16−dUTP(製品番号1093070、Roche社製、50nmol/50μL)・・・0.2μL
・純水(Nuclease free water)・・・3μL
・上記HER2−DNAクローン約150kbp)1μgの水溶液・・・5μL
・DNA PоlymeraseI(Tris−HCl[pH7.5]、EDTA、DTT
、glycerоl)・・・1μL
・DNaseI・・・5μL
次に、上記混合試薬を15℃で4時間反応させ、70℃で10分間加熱して反応を停止させた。反応後の遠心チューブに25μLの蒸留水を添加した。ビオチン標識済みのBACプローブの反応溶液を核酸精製用マイクロスピンカラム(GEヘルスケア社製「MicroSpin S−200HR Column」、製品番号「#27−5120−01」)により精製した。
この溶液に対して、3M酢酸ナトリウム溶液(pH5.2)を約5.56μL、100%エタノールを150μL添加し、−20℃で1時間以上静置した。4℃で16000rpmで10分間遠心して沈殿を形成した。さらに、70%エタノールを500μL添加して、4℃、16000rpmで1分間遠心し上澄みを除去した。沈殿物に5〜10μLの蒸留水を添加して完全に溶解させ、最終濃度1μg/250μLのビオチン修飾BACプローブの溶液を得た。
(2)ストレプトアビジン修飾蛍光色素集積メラミン樹脂粒子の作製
"SulfoRhodamine101"(シグマアルドリッチ社製)20.3mgを水22mLに加えて溶解した。その後、この溶液に乳化重合用乳化剤"エマルゲン"(登録商標)430(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、花王株式会社製)の5%水溶液を2mL加えた。この溶液をホットスターラー上で撹拌しながら70℃まで昇温させた後、この溶液にメラミン樹脂原料"ニカラックMX−035"(日本カーバイド工業社製)を0.81g加えた。さらに、この溶液に界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸(関東化学株式会社製)の10%水溶液を1000μL加え、70℃で50分間加熱撹拌した。その後、90℃に昇温して20分間加熱撹拌した。
得られた蛍光色素集積メラミン樹脂粒子の分散液から、余剰の樹脂原料や蛍光色素等の不純物を除くため、純水による洗浄を行った。具体的には、遠心分離機"マイクロ冷却遠心機3740"(久保田商事株式会社製)にて20000Gで15分間、遠心分離し、上澄み除去後、超純水を加えて超音波照射して再分散した。遠心分離、上澄み除去および超純水への再分散による洗浄を5回繰り返した。
上記蛍光色素集積メラミン樹脂粒子0.1mgをエタノール1.5mL中に分散し、アミノプロピルトリメトキシシラン(LS−3150、信越化学工業社製)2μLを加え、8時間反応させることにより、樹脂粒子の表面に存在するヒドロキシル基をアミノ基に変換する表面アミノ化処理を行った。
2mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含有したリン酸緩衝液生理的食塩水(PBS)を用いて、上記蛍光色素集積メラミン樹脂粒子の濃度を3nMに調整した。濃度調整した蛍光色素集積メラミン樹脂粒子の分散液に対して、終濃度10mMとなるように、SM(PEG)12(スクシンイミジル−[(N−マレイミドプロピオンアミド)−ドデカエチレングリコール]エステル、サーモサイエンティフィック社製)を混合し、20℃で1時間反応させることにより、粒子表面がマレイミド基で修飾された蛍光色素集積メラミン樹脂粒子を含む混合液を得た。
この混合液を10000Gで20分間遠心分離を行い、上澄みを除去した後、2mMのEDTAを含有したPBSを加えて沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順による上記洗浄を3回行った後、マレイミド基修飾された蛍光色素集積メラミン樹脂粒子を回収した。
一方、ストレプトアビジン(和光純薬工業社製)とN−スクシミジル−S−アセチルチオ酢酸(SATA)を用いて、ストレプトアビジンに対してチオール基の付加処理を行った後、ゲル濾過して、蛍光体集積ナノ粒子に結合可能なストレプトアビジンを別途調製した。
上記の蛍光色素集積メラミン樹脂粒子とストレプトアビジンを、2mMのEDTAを含有したPBS中で混合し、室温で1時間反応させて、両者(マレイミド基とチオール基)を結合させた。その後、10mMメルカプトエタノールを添加して反応を停止させた。得られた溶液をφ=0.65μmの遠心フィルターで濃縮した後、精製用ゲル濾過カラムを用いて未反応のストレプトアビジン等を除去し、ストレプトアビジ修飾された蛍光色素集積メラミン樹脂粒子を得た。
(3)蛍光色素集積メラミン樹脂粒子BACプローブとが連結した蛍光標識体の作製
上述のようにして作製した、ビオチン標識されたBACプローブ25μL(濃度1μg/250μL)と、ストレプトアビジン標識された蛍光色素集積メラミン樹脂粒子の溶液とを混合して、室温で30分間反応させ、それぞれが有するビオチンとアビジンを結合させることにより、HER−2検出用のDNAプローブを得た。
(4)蛍光標識DNAプローブの保存
上述のように得られた蛍光標識DNAプローブをハイブリダイゼーション緩衝液(25%脱イオン化したホルムアミド、2×SSC、200ng/μLサケ精子DNA、5×デンハルト溶液、50mMのリン酸ナトリウム、pH7.0、1mMEDTA)に終濃度1〜5ng/μLとなるように希釈した。S300サイズのスピンカラム(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ)により遊離のリガンド(遊離しているストレプトアビジン、ビオチン、およびdATPの基質)を除去した。この蛍光標識DNAプローブを使用時まで−20℃で冷凍保存した。
<II.FISH法に基づく染色スライドの作製>
FISHによりHER2遺伝子のコピー数を測定した。FISHは以下に示すように、脱パラフィン処理、FISH用前処理、酵素処理(ここまで“標本前処理工程”)、プローブの準備、DNA変性処理、ハイブリダイゼーション処理、ポストハイブリダイゼーション洗浄処理(ここまで“染色工程”)、DAPIによる核染色処理、溶媒置換処理および封入処理(ここまで“検体後処理工程”)をこの順で行うことで実施した。溶媒置換処理および封入処理の実施形態により、実施例1〜3および比較例1とした。
[実施例1]
(1)標本前処理工程
(1−1)脱パラフィン処理
HER2陽性染色対照標本の検体スライド(Roche社 HER2 Dual ISH 3-in-1 コントロールスライド 商品コード:109530)を、以下の(i)〜(iv)の手順で脱パラフィン処理を行った。(i)脱パラフィン剤「ヘモディー(Hemo−De)」(株式会社ファルマ、主成分:d−リモネン、酸化防止剤)に常温で10分間浸漬する。(ii)検体スライドを新しい「Hemo−De」に常温10分間浸漬する。同じ操作を3回繰り返す。(iii)検体スライドを100%エタノールで、常温で5分間浸漬し、2回洗浄し、脱水処理を行う。(iv)検体スライドを風乾または45〜50℃のスライドウォーマー上で乾燥させる。
(1−2)FISH用前処理
DNAプローブの到達性を向上させるために、脱パラフィン処理が行われた検体スライドに対し、以下の(i)〜(vi)の手順で細胞膜および核膜のタンパク質の除去処理を行った。(i)検体スライドを0.2mоl/L HClで室温、20分間処理する。(ii)検体スライドを精製水に3分間浸漬する。(iii)検体スライドを洗浄緩衝液(2xSSC:standard sailine citrate)に3分間浸漬する。(vi)検体スライドを80℃の前処理溶液(1N NaSCN)に30分間浸漬する。(v)検体スライドを精製水に1分間浸漬する。(vi)検体スライドを洗浄緩衝液(2xSSC)に5分間浸漬し、これと同じ操作を2回繰り返す。
(1−3)酵素処理
タンパク質除去処理が行われた検体スライドに対して、以下の(i)〜(iv)の手順で酵素処理を行った。(i)前処理した検体スライドを取り出し、ペーパータオルにスライドグラスの下端をつけて余分な洗浄緩衝液を取り除く。(ii)検体スライドを37℃に加温したプロテアーゼ溶液に10〜60分間浸漬する。この浸漬処理は、細胞膜及び核膜のタンパク質、特にコラーゲンの分解をするために、25mg プロテアーゼ(2500−3000Units/mg)[ペプシン]/1M NaCl[pH2.0]50mLで37℃、60分間)で処理した。(iii)検体スライドを洗浄緩衝液に5分間浸漬する。この操作を2回繰り返す。(iv)検体スライドを風乾した。
(2)染色工程
(2−1)プローブの準備
冷凍保存しておいた蛍光標識DNAプローブ溶液を室温に戻し、正確な容量を採液可能なピペッティング操作ができる程度まで溶液の粘度を十分にさげて、ボルテックスミキサーで溶液を混和した。
(2−2)DNA変性処理
検体スライド上のDNAを変性させるために、固定処理を行った検体スライドに対し、以下の(i)〜(viii)の手順でDNA変性処理を行った。(i)検体スライドの作成前に水で湿らせたペーパータオルを底に敷いた湿潤箱(気密性の容器であり、その側面をペーパータオルでテーピングしたもの)を37℃インキュベータ内に載置して予備加熱する。(ii)変性溶液(70%ホルムアミド/SSC[150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウム])のpHが常温でpH7.0〜8.0であることを確かめる。変性溶液をコプリンジャーに入れ、変性溶液が72℃±1℃になるまで温浴槽で加温する(72±1℃の温浴槽に少なくとも30分間置く)。(iii)ハイブリダイゼーション領域がどの部分か分かるように、検体スライドの裏側に領域を囲むようにダイアモンドペン等でマークする。(iv)検体スライドを72±1℃の変性溶液の入ったコプリンジャー中に浸漬し、検体スライドのDNAを変性する。(v)ピンセットを使って、検体スライドを変性溶液から取り出し、すぐに常温の70%エタノール中に入れる。ホルムアミドを除くためにスライドを振盪する。検体スライドを1分間浸漬する。(vi)検体スライドを70%エタノールから取り出し、85%エタノール中に入れ、ホルムアミドを除くためにスライドを振盪する。検体を1分間浸漬する。100%エタノールで同じ操作を2回繰り返す。(vii)ペーパータオルに検体スライドグラスの下端をつけてエタノールを取り除き、ペーパータオルでスライドグラスの裏側を拭く。(viii)検体スライドをドライヤーで風乾した。
(2−3)ハイブリダイゼーション処理
変性処理が行われた検体スライドに対し、以下の(i)〜(iii)の手順で、蛍光標識DNAプローブのハイブリダイゼーション処理を行った。(i)検体スライドの組織切片上に蛍光標識DNAプローブ溶液を10μL添加し、すぐに22mm×22mmのカバーグラスをその上に被せ、気泡が入らないようにしながら、蛍光標識DNAプローブ溶液を均一に広げる。(ii)ペーパーボンドでカバーグラスをシールする。(iii)前もって加温した湿潤箱に検体スライドを入れて蓋をし、37℃のインキュベータで14〜18時間ハイブリダイゼーションを行う。
(2−4)ポストハイブリダイゼーション洗浄処理
ハイブリダイゼーション処理が行われた検体スライドに対し、以下の(i)〜(vi)の手順でポストハイブリダイゼーション洗浄処理を行った。(i)ポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液(2×SSC/0.3%NP−40)をコプリンジャーに入れる。72℃±1℃の温浴槽に少なくとも30分間置き、ポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液が72℃±1℃になるまで温浴槽で予備加熱をする(72℃±1℃の温浴槽に少なくとも30分間置く)。(ii)ポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液を入れたコプリンジャーをもう一つ用意し、常温に維持する。(iii)ピンセットでペーパーボンドのシールを取り除く。(iv)検体スライドをポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液の中に入れる。カバーグラスが自然に溶液中で剥がれるのを待つ。(v)溶液から検体スライドを取り出し、余分な溶液を取り去り、72±1℃に加温したポストハイブリダイゼーション洗浄緩衝液に2分間浸した。(6)コプリンジャーから検体スライドを取り出し、遮光下で風乾する。
(2−5)核染色処理
ポストハイブリダイゼーション洗浄処理が行われた検体スライドのハイブリダイゼーション領域に、10μLのDAPI染色液(2μg/mLPBS、Molecular Probes社、D1306)を添加し、25℃で10分間保持して、DAPIによる核染色処理を行った。
(3A)標本後処理工程
(3A−1)溶媒置換処理
核染色処理が行われた検体スライドを常温で60分間、風乾した後、常温で2〜10秒、キシレンに浸漬することで、溶媒置換処理を行った。
(3A−2)封入処理
溶媒置換処理が行われた検体スライドの組織上にエンテランニュー(メルク社)を滴下した。カバーガラスを被せ、常温で10分間、風乾することで、封入処理を行った。その後、シグナルの計測まで、封入処理が行われた検体スライドを遮光して保存した。
[比較例1]
標本前処理工程(1)および染色工程(2)を上述した実施例1と同様に行った後、標本後処理工程(3A)に変えて、次のような処理を行った。
核染色処理が行われた検体スライドにそのままカバーガラスを被せ、常温で10分間、風乾した。その後、シグナルの計測まで、この検体スライドを遮光して保存した。
[実施例2]
標本前処理工程(1)および染色工程(2)を上述した実施例1と同様に行った後、標本後処理工程(3A)に変えて、次のような標本後処理工程(3B)を行った。
(3B)標本後処理工程
(3B−1)洗浄処理
PBS:脱水エタノール(体積%)が50:50および20:80の、2種類のPBS・脱水エタノール混合溶媒(それぞれ第1PBS・脱水エタノール混合溶媒および第2PBS・脱水エタノール混合溶媒と呼ぶ。)を調製した。核染色処理が行われた検体スライドを常温で、第1PBS・脱水エタノール混合溶媒に2秒間浸漬し、続いて第2PBS・脱水エタノール混合溶媒にも2秒間浸漬した。
(3B−2)脱水処理
脱水エタノール:キシレン(体積%)が50:50および20:80の、2種類の脱水エタノール・キシレン混合溶媒(それぞれ脱水エタノール・キシレン混合溶媒および第2脱水エタノール・キシレン混合溶媒と呼ぶ。)を調製した。洗浄処理が行われた検体スライドを常温で、第1脱水エタノール・キシレン混合溶媒に2秒間浸漬し、続いて第2脱水エタノール・キシレン混合溶媒にも2秒間浸漬した。
(3B−3)溶媒置換処理
脱水処理が行われた検体スライドを、常温で2〜10秒、キシレンに浸漬することで、溶媒置換処理を行った。
(3B−4)封入処理
溶媒置換処理が行われた検体スライドを常温でエンテランニュー(メルク社)を滴下した後、カバーガラスを被せ、常温で10分間、風乾することで、封入処理を行った。その後、シグナルの計測まで、封入処理が行われた検体スライドを遮光して保存した。
[実施例3]
標本前処理工程(1)および染色工程(2)を上述した実施例2(すなわち実施例1)と同様に行った後、洗浄処理(3B−1)を行わなかった以外は標本後処理工程(3B)と同様にして、標本後処理工程(3B)を行った。
<III.蛍光画像の撮影および分析>
蛍光顕微鏡Zeiss imager(Camera:MRmモノクロ・冷却機能付、対物レンズ:×100油浸)を用いて、上述したような実施例1〜3および比較例1のそれぞれで作製された染色スライドの観察および蛍光画像の撮影(1000倍)を行った。蛍光色素(スルホローダミン101)集積メラミン樹脂粒子は、適切なフィルターを用いて、励起波長を575〜600nmとする励起光を照射し、蛍光波長を610〜670nmとする蛍光を観測し、その蛍光画像を取得した。DAPIは、適切なフィルターを用いて、励起波長を340〜380nmとする励起光を照射し、蛍光波長を435〜485nmとする蛍光を観測し、その蛍光画像を取得した。
実施例1〜3および比較例1の蛍光画像を図5および図6に示す。油系封入剤を用いた封入処理を行っている実施例1(図5[B])、実施例2(図6[B])および実施例3(図6[A])では、蛍光色素集積メラミン粒子の遊離が抑制されている。また、PBS/エタノール混合溶媒による洗浄を行った実施例2(図6[B])では、DAPIの溶出も抑制されている。なお、図5は1000倍の視野画像の内、一部を拡大表示したものである。
1:染色スライド
2:スライドガラス
3:組織切片
4:蛍光体集積ナノ粒子
5a:水系封入剤
5b:油系封入剤
6:カバーガラス
7a:核(染色体)の周辺領域
7b:核(染色体)の染色領域
8a:従来の洗浄処理液
8b:本発明の洗浄処理液

Claims (10)

  1. FISH法または免疫染色法に基づき、蛍光体集積ナノ粒子で目的生体物質を蛍光標識する処理(FISH/免疫染色処理)、水系染色試薬で核を染色する処理(核染色処理)、染色された組織切片上に残留した水系溶媒を油系溶媒に置換する処理(溶媒置換処理)、および溶媒が置換された組織切片を油系封入剤で封入する処理(封入処理)をこの順に行うことを特徴とする、FISH法または免疫染色法による染色スライドの封入方法。
  2. 前記蛍光体集積ナノ粒子が親水性である、請求項1に記載の染色スライドの封入方法。
  3. 前記蛍光体集積ナノ粒子が低分子有機化合物からなる蛍光色素を集積させたものである、請求項1または2に記載の染色スライドの封入方法。
  4. 前記蛍光体集積ナノ粒子がメラミン樹脂を母体とするものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の染色スライドの封入方法。
  5. 前記油系溶媒がキシレンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の染色スライドの封入方法。
  6. 前記溶媒置換処理の際に、脱水作用を有する水と親和性のある有機溶媒と前記油系溶媒とを含有する混合溶媒からなる脱水処理液で組織切片を脱水する処理(脱水処理)を行う、請求項1〜5のいずれか一項に記載の染色スライドの封入方法。
  7. 前記脱水処理液が水を実質的に含有しないものである、請求項6に記載の染色スライドの封入方法。
  8. 前記脱水処理液が、脱水エタノールとキシレンとの混合溶媒である、請求項7に記載の染色スライドの封入方法。
  9. 前記脱水処理の前に、前記核染色処理で用いた水系染色試薬が溶出しない溶媒と、前記脱水処理で用いられる脱水処理液に配合される有機溶媒とを含有する混合溶媒からなる洗浄処理液で洗浄する処理(洗浄処理)を行う、請求項6〜8のいずれか一項に記載の染色スライドの封入方法。
  10. 前記核染色工程で用いた水系染色試薬がDAPIであり、前記水系染色試薬が溶出しない溶媒がPBSである、請求項9に記載の染色スライドの封入方法。
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