JP2017026025A - 固定式等速自在継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】継手の作動角が大きい領域で異音(ボールの打音)が発生せず、かつ、常用角ではトルク損失が小さい固定式等速自在継手を実現する。
【解決手段】トルク伝達ボールをポケット5a、5a1に保持すると共に外側継手部材の球状内周面と内側継手部材の球状外周面にそれぞれ嵌合する球状外周面10と球状内周面を有する保持器5を備え、外側継手部材の曲線状のトラック溝の曲率中心と内側継手部材の曲線状のトラック溝の曲率中心が継手中心に対して軸方向反対側に等距離オフセットされた固定式等速自在継手において、保持器5のポケット5a、5a1とトルク伝達ボールとの間の初期ポケットすきまが、常用角におけるボール移動領域で正すきまであり、かつ、常用角におけるボール移動領域以外の領域では負すきまであることを特徴とする。
【選択図】図11

Description

この発明は、自動車、航空機、船舶や各種産業機械の動力伝達系に使用され、具体的には、例えば、FF車や4WD車などで使用されるドライブシャフトやプロペラシャフト等に組み込まれて、角度変位のみを許容する固定式等速自在継手に関する。
図1を参照して、固定式等速自在継手1としてのツェッパ型等速自在継手は、外側継手部材2、内側継手部材3、ボール4および保持器5を主な構成とする。外側継手部材2の球状内周面8には複数の曲線状のトラック溝6が円周方向等間隔に、かつ軸方向に沿って形成されている。内側継手部材3の球状外周面9には、外側継手部材2のトラック溝6と対向する複数の曲線状のトラック溝7が円周方向等間隔に、かつ軸方向に沿って形成されている。外側継手部材2のトラック溝6と内側継手部材3のトラック溝7との間にトルクを伝達する複数のボール4が1個ずつ組み込まれている。外側継手部材2の球状内周面8と内側継手部材3の球状外周面9の間に、ボール4を保持する保持器5が配置されている。外側継手部材2の外周と、内側継手部材3に連結されたシャフト12の外周とをブーツ13で覆い、継手内部には、潤滑剤としてグリースが封入されている。
外側継手部材2の球状内周面8と内側継手部材3の球状外周面9の曲率中心は、いずれも、継手の中心Oに形成されている。これに対して、外側継手部材2のトラック溝6の曲率中心Aと、内側継手部材3のトラック溝7の曲率中心Bは、継手の中心Oに対して軸方向反対側に等距離f1オフセットされている。これにより、継手が作動角をとった場合、外側継手部材2と内側継手部材3の両軸線がなす角度を二等分する平面上にボール4が常に案内され、二軸間で等速に回転トルクが伝達されることになる。
固定式等速自在継手1は、8個ボールタイプのツェッパ型等速自在継手で、従来の6個ボールの等速自在継手に比べて、トラックオフセット量f1を小さくし、ボールの個数を増やし、かつ直径を小さくしたことにより、6個のボールを用いた固定式等速自在継手と同等以上の強度、負荷容量および耐久性を確保し、軽量・コンパクトで、トルク損失の少ない高効率な等速自在継手を実現している。このような固定式等速自在継手の保持器のポケットとボールとの間の軸方向すきま(以下、ポケットすきまという。)は、特許文献1に記載されているように、中間嵌め、もしくは、しまり嵌めに設定される。これは、負すきまが過大になるとボールの円滑な運動が阻害され、逆に正すきまが過大になると異音(ボールの打音)が発生したりするためである。
特開2006−5186号公報
ドライブシャフトに使用する等速自在継手のトルク損失は、自動車の駆動系部品の中では比較的小さく、入力トルクに対するトルク損失の比は1%以下に達している。そのため、自動車メーカは、トランスミッションなどのトルク損失が比較的大きい部品から効率改善を図ってきたが、低燃費化競争が益々激化する昨今、等速自在継手にも更なるトルク損失の低減が求められるようになった。
このような自動車メーカの要求に対応するため、種々のポケットすきまのサンプルを製作し、ポケットすきまを正すきまにすることで、ボールの運動が円滑になり、トルク損失率の低減につながることを、実験により確認した。一方、音響試験にて、正すきまを大きくすると、継手の作動角が大きい領域で、ボールの打音が確認された。実験による確認内容の詳細は後述する。
本発明は、前述した実験で確認された問題点に鑑みて提案されたもので、その目的は、継手の作動角が大きい領域で異音(ボールの打音)が発生せず、かつ、常用角ではトルク損失が小さい固定式等速自在継手を実現することである。
本発明者らは、上記の目的を達成するため、詳細は後述する以下の検証および推考活動により本発明に至った。
(1)常用角における伝達効率の検証
(2)高作動角域における異音の検証
(3)異音の発生メカニズムの解析
(4)ポケット内におけるボールの移動軌跡の解析
(5)新たな着想
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、球状内周面に軸方向に延びる複数の曲線状のトラック溝が形成された外側継手部材と、球状外周面に軸方向に延びる複数の曲線状のトラック溝が形成された内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝とこれに対応する前記内側継手部材のトラック溝との間に配された複数個のトルク伝達ボールと、このトルク伝達ボールをポケットに保持すると共に前記外側継手部材の球状内周面と前記内側継手部材の球状外周面にそれぞれ嵌合する球状外周面と球状内周面を有する保持器を備え、前記外側継手部材の曲線状のトラック溝の曲率中心と前記内側継手部材の曲線状のトラック溝の曲率中心が継手中心に対して軸方向反対側に等距離オフセットされた固定式等速自在継手において、前記保持器のポケットと前記トルク伝達ボールとの間の初期ポケットすきまが、常用角におけるボール移動領域で正すきまであり、かつ、前記常用角におけるボール移動領域以外の領域では負すきまであることを特徴とする。
上記の構成により、継手の作動角が大きい領域で異音(ボールの打音)が発生せず、かつ、常用角ではトルク損失が小さい固定式等速自在継手を実現することができる。さらに具体的な効果として、折り曲げトルクの低減によりアイドリング振動を改善でき、ボールの動きが円滑になり摩擦力が減ることにより継手作動中の発熱が低減され、耐久寿命が向上する。
具体的には、上記のポケットの軸方向に対向する一対のポケット側面のうち、少なくとも一方のポケット側面の中央部に凹部を形成することが好ましい。これにより、常用角におけるボール移動領域で初期ポケットすきまを正すきまに確実に設定することができる。また、凹部を切削や研削などの機械加工あるいは冷間塑性加工や放電加工などで形成することができる。
上記の凹部を保持器の周方向に帯状にすることにより、継手が常用角で作動するときのボールの移動軌跡を包含させることが好ましい。これにより、加工効率よく初期ポケットすきまを正すきまに設定することができる。
上記の凹部を保持器の径方向に帯状にし、保持器の球状内周面から球状外周面まで延ばすことが好ましい。これにより、凹部をポケット側面のシェービング加工時に同時成形でき、生産性がよく製造コストを抑制できる。
上記の凹部の横断面形状を円弧状にすることにより、あるいは、テーパ面から構成することにより、常用角におけるボール移動領域とこの領域以外の領域を滑らかに接続することができる。
上記のポケット側面を、保持器の横断面において凹面で形成することにより、ポケット側面全体を、切削や研削などの機械加工あるいは冷間塑性加工や放電加工などで一度に加工することができる。
上記の凹面の横断面形状を円弧状にすることにより、あるいは、テーパ面から構成することにより、常用角におけるボール移動領域とこの領域以外の領域のポケットすきま量の変化を滑らかにすることができる。
本発明によれば、継手の作動角が大きい領域で異音(ボールの打音)が発生せず、かつ、常用角ではトルク損失が小さい固定式等速自在継手を実現することができる。さらに具体的な効果として、折り曲げトルクの低減によりアイドリング振動を改善でき、ボールの動きが円滑になり摩擦力が減ることにより継手作動中の発熱が低減され、耐久寿命が向上する。
この発明に係る第1の実施形態の固定式等速自在継手の部分縦断面図である。 図1のP−P線で矢視した固定式等速自在継手の横断面図である。 図2のボールとトラック溝を拡大した横断面図である。 ポケットすきま量とトルク損失率の関係についての知見を示すグラフである。 ポケットすきま量と異音の可聴距離の関係についての知見を示すグラフである。 (a)図は、継手が大きな作動角をとった状態を示す縦断面図で、(b)図はボールが保持器を押す力を説明する概要図である。 継手が1回転する間のポケット荷重を示すグラフである。 ポケットすきまとボールの動きを示す概要図である。 ポケット内におけるボールの移動軌跡を示す概要図である。 (a)図は保持器単体の正面図で、(b)図は斜視図である。 (a)図は、図10(a)のG−G線で矢視した横断面図で、(b)図は、(a)図におけるI部の拡大図で、(c)図は、(b)図のJ−J線で矢視した部分断面図である。 (a)図は、図10(a)のK−K線で矢視した縦断面図で、(b)図〜(e)図は、(a)図におけるL部の拡大図でポケット側面の凹部の種々の形態を示す。 (a)図は、図10(a)のG−G線で矢視した横断面図でポケット側面の凹部の変形例を示す。(b)図は、(a)図におけるI部の拡大図で、(c)図は、(b)図のJ−J線で矢視した部分断面図である。 ポケット側面の凹部の他の変形例を示し、(a)図は、図13(a)におけるI部の拡大図で、(b)図は、(a)図のJ−J線で矢視した部分断面図である。 第2の実施形態に係る固定式等速自在継手の縦断面図である。 図15のM−M線で矢視した側面図である。 第3の実施形態に係る固定式等速自在継手の縦断面図である。
以下、この発明の第1の実施形態を図1〜12に基づいて説明する。はじめに、本実施形態の固定式等速自在継手の全体構成を図1〜3に基づいて説明する。図1は本実施形態の固定式等速自在継手の部分縦断面図で、図2は、図1のP―P線で矢視した横断面図で、図3はボールとトラック溝を拡大した横断面図である。
本実施形態の固定型等速自在継手1は、ツェッパ型等速自在継手であり、図1および図2に示すように、外側継手部材2、内側継手部材3、トルク伝達ボール4(以下、単にボールという)および保持器5を主な構成とする。外側継手部材2の球状内周面8には8本の曲線状のトラック溝6が円周方向等間隔に、かつ軸方向に沿って形成されている。内側継手部材3の球状外周面9には、外側継手部材2のトラック溝6と対向する8本の曲線状のトラック溝7が円周方向等間隔に、かつ軸方向に沿って形成されている。外側継手部材2のトラック溝6と内側継手部材3のトラック溝7との間にトルクを伝達する8個のボール4が1個ずつ組み込まれている。外側継手部材2の球状内周面8と内側継手部材3の球状外周面9の間に、ボール4を保持する保持器5が配置されている。保持器5の球状外周面10は外側継手部材2の球状内周面8と、保持器5の球状内周面11は内側継手部材3の球状外周面9とそれぞれ嵌合している。
外側継手部材2の球状内周面8と内側継手部材3の球状外周面9の曲率中心は、それぞれ継手の中心Oに形成されている。これに対して、外側継手部材2の曲線状のトラック溝6の曲率中心Aと、内側継手部材3の曲線状のトラック溝7の曲率中心Bは、継手の中心Oに対して軸方向反対側に等距離f1オフセットされている。これにより、継手が作動角をとった場合、外側継手部材2と内側継手部材3の両軸線がなす角度を二等する平面上にボール4が常に案内され、二軸間で等速に回転が伝達されることになる。
内側継手部材3の内径孔17には、雌スプライン(スプラインはセレーションを含む。以下同じ。)16が形成され、中間シャフト12の端部に形成された雄スプライン19を雌スプライン16に嵌合し、トルク伝達可能に連結されている。内側継手部材3と中間シャフト12は、止め輪18により軸方向に位置決めされている。
外側継手部材2の外周と、内側継手部材3に連結されたシャフト12の外周にブーツ13を装着し、ブーツ13の両端はブーツバンド14、15により締付固定されている。ブーツ13で覆われた継手内部には、潤滑剤としてのグリースが封入されている。
外側継手部材2のマウス部2aの底部にステム部20が一体に形成され、ステム部20には、駆動車輪が取り付けられるハブ輪(図示省略)と嵌合する雄スプライン21と締結用のねじ部22が形成されている。
図3は、図2のボールとトラック溝を拡大した横断面図である。図3に示すように、ボール4は、外側継手部材2のトラック溝6と2点C12、C13でアンギュラコンタクトし、内側継手部材3のトラック溝7と2点C15、C16でアンギュラコンタクトしている。ボール中心O5と各接触点C12、C13、C15、C16を通る直線と、ボール中心O5と継手中心Oを通る直線がなす角度(接触角α)は30°以上に設定することが好ましい。
本実施形態の8個ボールタイプの固定式等速自在継手1は、図1および図2を参照して、ボール4のピッチ円直径(PCDBALL)とボール直径(DBALL)との比r1(=PCDBALL/DBALL)は3.3≦r1≦5.0、好ましくは3.5≦r1≦5.0の範囲内に設定されている。ここで、ボール4のピッチ円直径(PCDBALL)は、PCRの2倍の寸法である(PCDBALL=2×PCR)。外側継手部材2のトラック溝6の曲率中心Aとボール4の中心O5を結ぶ線分の長さ、内側継手部材3のトラック溝7の曲率中心Bとボール4の中心O5を結ぶ線分の長さが、それぞれPCRであり、両者は等しい。また、外側継手部材2の外径(DOUTER)と内側継手部材2の内径孔17の雌スプライン16のピッチ円直径(PCDSERR)との比r2(=DOUTER/PCDSERR)は2.5≦r2≦3.5の範囲内の値に設定されている。したがって、従来継手(6個ボールタイプの固定式等速自在継手)と同等以上の強度、負荷容量および耐久性を有し、かつ、外径寸法がコンパクトとなる。
本実施形態の固定式等速自在継手1の全体構成は以上のとおりであるが、本実施形態の固定式等速自在継手1の特徴は、保持器5のポケット5aとトルク伝達ボール4との間のポケットすきまが、常用角におけるボール移動領域で正すきまであり、かつ、常用角におけるボール移動領域以外の領域では負すきまに設定されていることである。これにより、継手の作動角が大きい領域で異音(ボールの打音)が発生せず、かつ、常用角ではトルク損失が小さい固定式等速自在継手を実現することができる。
ここで、固定式等速自在継手1の常用角について説明する。常用角とは、自動車のドライブシャフトの場合は、水平で平坦な路面上で2名乗車時の自動車において、ステアリングを直進状態にした時にフロントドライブシャフトの固定式等速自在継手1に生じる作動角をいう。常用角は、通常、2°〜15°程度の間で車種ごとの設計条件に応じて決定される。自動車はセダン系乗用車とSUV(スポーツ用多目的車)に大別される。セダン系乗用車は、通常、常用角は3°〜6°程度である。SUVは、バンやピックアップトラックを含む車高が高い車で、通常、常用角は6°〜12°程度である。
また、保持器5のポケット5aとボール4と間のポケットすきまを図8に基づいて説明する。図8は、保持器5の縦断面図である。保持器5には、柱部5bにより区画された周方向に8個のポケット5aが設けられている。ポケット5aの軸方向に対向する面がボール4を保持するポケット側面5a1であり、両ポケット側面5a1、5a1間の軸方向寸法をNとする。そして、二点鎖線で示したボール4の直径(DBALL)との初期ポケットすきまは、次式で表される。
初期ポケットすきま=保持器5の両ポケット側面5a1、5a1間の軸方向寸法N−ボールの直径(DBALL
初期ポケットすきまは、軸方向寸法Nよりボールの直径(DBALL)が小さい場合、正すきまとなり、逆に、軸方向寸法Nよりボールの直径(DBALL)が大きい場合、負すきまとなる。
本明細書および特許請求の範囲において、保持器のポケットとトルク伝達ボールとの間の初期ポケットすきまは、上記の意味で用いる。また、初期ポケットすきまが負すきまであるとは、すきまゼロを含む負すきまを意味する。以下の説明では、初期ポケットすきまは、単にポケットすきまと略称する。なお、図8では、理解しやすいように、ポケットすきま(正すきま)を誇張して図示している。
まず、本実施形態に至るまでの開発過程の検討結果および知見を図4〜9に基づいて説明する。
(1)常用角における伝達効率の検証
常用角領域における伝達効率を調査するため、8個ボールのツェッパ型等速自在継手としてNTN製EBJ82Mを用いて実験した(以降の実験においても同じ。)。ポケットすきま量を種々の値にしたサンプルを製作し、作動角4°、6°および8°についてトルク損失率を求めた。このサンプルにおける保持器5のポケット側面5a1は、凹凸のないフラットな従来の形態のものとした。実験結果を図4に示す。この結果、ポケットすきま量が−10μm以下になると、トルク損失率が大きくなることが確認できた。
(2)高作動角域における異音の検証
ポケットすきまが正すきまで、種々の値にしたサンプルを製作し、作動角35°および40°について実験した。実験結果を図5に示す。この結果、ポケットすきま量が+30μm以上になると、継手から離れた位置でも異音が聞こえるようになることが分かった。ポケット部は長時間の使用で摩耗が進行することから、経時劣化を見込んだポケットすきまの初期値は、負すきま、もしくはゼロに設定するのが一般的であった。そのためトルク損失率を低減することは容易ではなかった。
(3)異音の発生メカニズムの解析
ポケットすきま量と伝達損失率との関係およびポケットすきま量と異音との関係が確認できたので、次に異音の発生メカニズムを調査した。図6(a)に継手が大きな作動角θを取ったときの状態を示す。図中、破線L1は、外側継手部材2のトラック溝6とボール4の接触点の軌跡であり、破線L2は、内側継手部材3のトラック溝7とボール4の接触点の軌跡である。図6(a)の上死点の位相角を0°として、図2に示すように、反時計回りに45°、90°、135°180°225°、270°、315°、360°とする。図7は、継手が作動角40°で回転トルクを伝える場合の継手1回転中のポケット荷重の変動を示す解析結果である。図7の横軸は、任意の1個のボール4とポケット5aの継手1回転中の位相角を示し、縦軸は、ポケット荷重P5、P6を回転トルク伝達方向の荷重PNで除して無次元化した値を示す。図6(b)に示すように、ポケット荷重P5はボール4が外側継手部材2の開口側に保持器5を押す力であり、ポケット荷重P6はボール4が外側継手部材2の奥側に保持器5を押す力である。
図7の○で囲んだ位相角は、ポケット荷重の向きが反転する箇所を示し、このような位相角でボールの打音が発生すると考えられる。図示のように、位相角が約30°、60°、180°のとき、ポケット荷重が反転することが確認できた。この解析では、ポケットすきま量は10μmとした。
(4)ポケット内におけるボールの移動軌跡の解析
継手が作動角をとった場合、ボール4は、保持器5のポケット5a内で、保持器5の半径方向と周方向に摺動する。図8に示すように、周方向の摺動(図8の矢印h)は、ポケット5aの周方向の中心からボール4が柱部5bに接近するように摺動することである。この周方向の摺動は、作動角をとると、外側継手部材2と内側継手部材3とが斜交することにより、周方向に隣り合うトラック溝6、7とボール4との接点C12、C13およびC15、C16(図3参照)の周方向の間隔が変化し、これによりトラック溝6、7に拘束されたボール4がポケット5aに対して周方向に移動させられることによって生じる。
一方、ボール4のポケット5a内での半径方向の摺動(図8の矢印g)は、トラックオフセット量f1(図1参照)により生じる。その理由は、図6(a)に示すように、作動角θをとると、上死点のボール4は外側継手部材2の開口側に移動し、下死点のボール4は外側継手部材2の奥側に移動する。トラックオフセット量f1が設けられているので、外側継手部材2と内側継手部材3のトラック溝6、7は、それぞれ、溝深さが開口側で深く、奥側に行く程浅く形成されている。そのため、外側継手部材2の開口側に移動したボール4は、半径方向の外側に移動し、外側継手部材2の奥側に移動したボール4は、半径方向の内側に移動する。このように、ボール4と当接するトラック溝6、7の軸方向の位置によりボール4が半径方向に移動する。
上記のように、ボール4は保持器5のポケット5a内で保持器5の半径方向と周方向に摺動するが、この運動を集約したポケット5a内でのボール4の移動軌跡を機構解析した。図9は機構解析の結果を示す。継手1回転中にボール4(図示省略)は、ポケット側面5a1上を8の字を描くように動き、作動角が大きくなる程大きく動く。図9では、主にトルク損失を低減したい常用角(作動角6°)と、異音(ボールの打音)発生の可能性がある高作動角(作動角40°)の移動軌跡を示す。
保持器5のポケット5aの周方向の長さは、継手組立時にボールの組込に必要な組込角度(65°程度)に基づいて設定されている。この組込角度は、継手運転状態の最大作動角(47°程度)よりも大きい。ポケット5aがこのような周方向の長さを有するので、NTN製EBJ82Mの場合に、常用角(作動角6°)で、ボール4は、ポケット側面5a1の中央部から左右に1mm程度の移動幅eを有し、高作動角(作動角40°)で、0.3mm程度の移動幅fとなる。
(5)新たな着想
前述した図7と図9を対比して熟考する中で、高作動角時に異音が発生すると考えられる位相角30°、60°および180°付近のボール4の位置は、ポケット側面5a1の中央部から外れた内径側および外径側に寄っていること、およびトルク損失を最も低減したい使用頻度の高い常用角(作動角6°)のボール4の位置は、前述した移動幅eが±1mm程度を加味してもポケット側面5a1の中央部付近に留まることに着目した。この着目により、保持器5の同一のポケット側面5a1の中で常用角、高作動角におけるボール移動領域毎に好ましいポケットすきまを設定するという新たな着想を経て本実施形態に至った。
本実施形態の固定式等速自在継手1の特徴である保持器5のポケット5a(ポケット側面5a1)とボール4との間のポケットすきまが、常用角におけるボール移動領域で正すきまであり、かつ、常用角におけるボール移動領域以外の領域では負すきまに設定されている具体的な構成を図10〜12に基づいて説明する。
図10(a)は保持器単体の正面図であり、図10(b)は保持器単体の斜視図である。保持器5は、前述したように球状外周面10と球状内周面11を有し、柱部5bにより区画された周方向に8個のポケット5aが設けられている。ポケット5aの軸方向に対向するポケット側面5a1がボール4を保持する面である。本実施形態は、ポケット側面5a1の形状に特徴を有する。
ポケット側面5a1の具体的な形状を図11(a)〜図11(c)に基づいて説明する。図11(a)は、図10(a)のG−G線で矢視した横断面図で、(b)図は、(a)図におけるI部の拡大図で、(c)図は、(b)図のJ−J線で矢視した部分断面図である。図示のように、ポケット側面5a1の中央部に周方向に帯状の凹部30が形成されている。図11(c)に示す凹部30の深さaは5〜30μm程度である。ただし、図11(c)では、理解しやすいように凹部30の深さaを誇張して図示している。凹部30の深さaは5〜30μm程度と極めて浅いものであるので、凹部30の底部にボール4が当接可能な寸法関係になっている。後述する凹部の各形態および変形例においても同様に底部にボール4が当接可能な寸法関係になっている。
図11(b)に示す凹部30の長さbは、常用角における移動幅eを考慮して2〜3mm程度で、幅cは1〜2mm程度であり、継手が常用角で作動するときのボール4の移動軌跡を包含する。これにより、常用角におけるボール移動領域で初期ポケットすきまを正すきまに確実に設定することができる。また、ポケット側面5a1の中央部に周方向に帯状の凹部30を形成したので、加工効率よく初期ポケットすきまを設定することができる。
本実施形態では、凹部30は保持器5の軸方向に対向するポケット側面5a1の片側に設けられている。凹部30が設けられているので、常用角におけるボール移動領域では、両ポケット側面5a1、5a1の面間距離に凹部30の深さaを加算した寸法が、図8に示す軸方向寸法Nとなり、ポケットすきまは正すきまとなる。ポケット側面5a1の凹部30以外の面は、従来と同等のポケットすきま、すなわち、負すきまが得られるように対向する両ポケット側面5a1、5a1の面間距離を保っている。
本実施形態では、凹部30をポケット側面5a1の片側に設けたものを例示したが、これに限られず、凹部30は両側のポケット側面5a1に設けてもよい。凹部30を形成する手段は、切削や研削などの機械加工を用いてもよいし、冷間塑性加工や放電加工などを用いてもよい。凹部30の寸法として、長さbが2〜3mm程度、幅cが1〜2mm程度を例示したが、この寸法はジョイントのサイズにより適宜増減される。
ポケット側面5a1を上記の構成にしたので、使用頻度の高い常用角におけるボール移動領域でポケットすきまは正すきまとなり、高作動角におけるボール移動領域では負すきまとなる。このように、同一のポケット側面5a1の中で常用角、高作動角におけるボール移動領域毎に好ましいポケットすきまを設定できる。その結果、常用角におけるボール移動領域ではトルク損失率を確実に低減でき、かつ、高作動角におけるボール移動領域では異音の発生がない固定式等速自在継手1の実現が可能となる。さらに具体的な効果として、折り曲げトルクの低減によりアイドリング振動を改善でき、ボールの動きが円滑になり摩擦力が減ることにより継手作動中の発熱が低減され、耐久寿命が向上する。
図12(a)〜図12(e)にポケット側面の凹部の種々の形態を示す。図12(a)は、図10(a)のK−K線で矢視した保持器の縦断面図であり、図12(b)〜図12(e)は、図12(a)におけるL部の拡大図である。図12(b)に示す凹部301は、前述した図11(b)および図11(c)の凹部30の横断面形状を曲率半径r1の円弧状にしたものであり、図12(c)に示す凹部302は、横断面形状を傾斜角β1のテーパ面で形成したものである。これにより、常用角におけるボール移動領域とこの領域以外の領域を滑らかに接続することができる。
図12(d)に示すポケット側面5a1は、保持器5の横断面において凹面303で形成され、ポケット側面5a1の半径方向の全幅が曲率半径r2の円弧状に形成されている。図12(e)に示すポケット側面5a1は、保持器5の横断面において凹面304で形成され、ポケット側面5a1の半径方向の全幅が傾斜角β2のテーパ面で形成されている。これにより、ポケット側面5a1全体を、切削や研削などの機械加工あるいは冷間塑性加工や放電加工などで一度に加工することができる。また、常用角におけるボール移動領域とこの領域以外の領域のポケットすきま量の変化を滑らかにすることができる。凹面303、304の周方向の長さは、2〜3mm程度あるいはそれ以上の適宜の寸法としている。凹面303、304においても、その深さは5〜30μm程度であり、使用頻度の高い常用角におけるボール移動領域のポケットすきまは正すきまとなり、高作動角におけるボール移動領域では負すきまとなる。その結果、常用角におけるボール移動領域はトルク損失率を確実に低減でき、かつ、高作動角におけるボール移動領域で異音の発生がない固定式等速自在継手1の実現が可能となる。
前述したように、凹部301、302、凹面303、304の深さは5〜30μm程度と極めて浅いものであるので、曲率半径r1、r2は相応に大きなものであり、傾斜角β1、β2は相応に小さなものである。後述する変形例の曲率半径r3、傾斜角β3も同様である。
図13(a)〜図13(c)に、ポケット側面の凹部の第1の変形例を示す。図13(a)は、図10(a)のG−G線で矢視した横断面図で、図13(b)は、図13(a)におけるI部の拡大図で、図13(c)は、図13(b)のJ−J線で矢視した部分断面図である。図示のように、本変形例の凹部305は、ポケット側面5a1の中央部に径方向の幅の狭い帯状(幅1mm程度)に形成され、保持器5の球状内周面11から前記球状外周面10まで延びている.図13(c)に示すように、凹部305の横断面形状は曲率半径r3の円弧状にされている。
前述した第1の実施形態では、常用角(作動角6°)におけるボール4の移動幅e(±1mm程度)を考慮して、凹部30の長さbを2〜3mm程度に設定した。しかし、常用角におけるボール4のポケット側面5a1上の位置を観察すると、ボール4はポケット側面5a1上の座りの良い場所に留まることが確認できた。この知見を基に、凹部の更なる形態を思考した結果、凹部305をポケット側面5a1の中央部に半径方向の全幅にわたって幅の狭い帯状(幅1mm程度)に形成した本変形例を想起した。この場合も、常用角で使用する部分のポケットすきまは正すきまとなり、高作動角で使用する部分は基本的に負すきまとなる。高作動角時に帯状の凹部305をボール4が移動するが、幅の狭い帯状のため異音には至らないことが確認できた。本変形例でも、常用角におけるボール移動領域はトルク損失率を確実に低減でき、かつ、高作動角でも異音の発生がない固定式等速自在継手1の実現が可能となる。また、本変形例の凹部305であれば、ポケット側面5a1のシェービング加工時に同時成形でき、生産性がよく製造コストを抑制できる。
その他の構成については、第1の実施形態と同様であるので、同様の機能を有する部位には同一の符号(下付文字を除く)を付して、第1の実施形態における説明内容を準用し、説明を省略する。
図14(a)〜図14(b)に、ポケット側面の凹部の第2の変形例を示す。図14(a)は、図11(a)におけるI部の拡大図で、図14(b)は、図14(a)のJ−J線で矢視した部分断面図である。図示のように、本変形例の凹部306は、第1の変形例と同様、ポケット側面5a1の中央部に径方向の幅の狭い帯状(幅1mm程度)に形成され、保持器5の球状内周面11から球状外周面10まで延びている。図14(b)に示すように、凹部306の横断面形状は傾斜角β3のテーパ面で形成されている。この点が、第1の変形例と異なるが、他の構成や作用については、第1の変形例と同様であるので、同様の機能を有する部位には同一の符号(下付文字を除く)を付して、第1の変形例で説明した内容を準用し、説明を省略する。
次に、第2の実施形態に係る固定式等速自在継手を図15および図16に基づいて説明する。図15は、固定式等速自在継手の部分縦断面図で、図16は、図15のM−M線で矢視した側面図である。本実施形態の固定式等速自在継手11は、6個のボールを使用したツェッパ型等速自在継手である。6個のボールを使用した点が第1の実施形態と異なるが、その他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、同様の機能を有する部位には同一の符号(下付文字を除く)を付して、第1の実施形態で説明した内容を準用し、要点のみを説明する。
本実施形態の固定型等速自在継手11は、外側継手部材21、内側継手部材31、ボール41および保持器51を主な構成とする。外側継手部材21の球状内周面81には6本の曲線状のトラック溝61が円周方向等間隔に、かつ軸方向に沿って形成されている。内側継手部材31の球状外周面91には、外側継手部材21のトラック溝61と対向する6本の曲線状のトラック溝71が円周方向等間隔に、かつ軸方向に沿って形成されている。外側継手部材21のトラック溝61と内側継手部材31のトラック溝71との間にトルクを伝達する6個のボール41が1個ずつ組み込まれている。外側継手部材21の球状内周面81と内側継手部材31の球状外周面91の間に、ボール41を保持する保持器51が配置されている。保持器51の球状外周面101は外側継手部材21の球状内周面81と、保持器51の球状内周面111は内側継手部材31の球状外周面91とそれぞれ嵌合している。
外側継手部材21の球状内周面81と内側継手部材31の球状外周面91の曲率中心は、それぞれ継手の中心Oに形成されている。これに対して、外側継手部材21の曲線状のトラック溝61の曲率中心A1と、内側継手部材31の曲線状のトラック溝71の曲率中心B1は、継手の中心Oに対して軸方向反対側に等距離f2オフセットされている。これにより、継手が作動角をとった場合、外側継手部材21と内側継手部材31の両軸線がなす角度を二等する平面上にボール41が常に案内され、二軸間で等速に回転が伝達されることになる。
保持器51には周方向に6個のポケット5a1が設けられている。ポケット5a1の軸方向に対向するポケット側面5a11がボール41を保持する面である。図示は省略するが、本実施形態おいても、ポケット側面5a11に第1の実施形態およびその変形例と同様の凹部や凹面が形成されている。このため、使用頻度の高い常用角におけるボール移動領域のポケットすきまは正すきまとなり、高作動角におけるボール移動領域は負すきまとなる。その結果、常用角常用角におけるボール移動領域はトルク損失率を確実に低減でき、かつ、高作動角でも異音の発生がない固定式等速自在継手11の実現が可能となる。
本発明の第3の実施形態に係る固定式等速自在継手を図17に基づいて説明する。図17は固定式等速自在継手の部分縦断面図である。本実施形態の固定式等速自在継手12は、6個のボールを使用したアンダーカットフリー型等速自在継手である。6個のボールを使用しトラック溝にアンダーカットがない点が第1の実施形態と異なるが、その他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、同様の機能を有する部位には同一の符号(下付文字を除く)を付して、第1の実施形態で説明した内容を準用し、要点のみを説明する。
本実施形態の固定型等速自在継手12は、外側継手部材22、内側継手部材32、ボール42および保持器52を主な構成とする。外側継手部材22の球状内周面82には6本の曲線状のトラック溝62が円周方向等間隔に、かつ軸方向に沿って形成されている。内側継手部材32の球状外周面92には、外側継手部材22のトラック溝62と対向する6本の曲線状のトラック溝72が円周方向等間隔に、かつ軸方向に沿って形成されている。外側継手部材22の曲線状のトラック溝62は、外側継手部材22の開口側に直線状のトラック溝部62Sを備えている。一方、内側継手部材32の曲線状のトラック溝72は、外側継手部材22の奥側に直線状のトラック溝部72Sを備えている。外側継手部材22のトラック溝62と内側継手部材32のトラック溝72との間にトルクを伝達する6個のボール42が1個ずつ組み込まれている。外側継手部材22の球状内周面82と内側継手部材32の球状外周面92の間に、ボール42を保持する保持器52が配置されている。保持器52の球状外周面102は外側継手部材22の球状内周面82と、保持器52の球状内周面112は内側継手部材32の球状外周面92とそれぞれ嵌合している。
保持器52の球状外周面102および外側継手部材22の球状内周面82の曲率中心C2と、保持器52の球状内周面112および内側継手部材32の球状外周面92の曲率中心D2は、継手の中心Oに対して軸方向反対側に等距離f4オフセットされている。また、外側継手部材22の曲線状のトラック溝62の曲率中心A2と、内側継手部材32の曲線状のトラック溝72の曲率中心B2は、継手の中心Oに対して軸方向反対側に等距離f3オフセットされている。本実施形態の固定式等速自在継手12においても、継手が作動角をとった場合、外側継手部材22と内側継手部材32の両軸線がなす角度を二等する平面上にボール42が常に案内され、二軸間で等速に回転が伝達されることになる。
本実施形態の固定式等速自在継手12は、曲線状のトラック溝62、72が、その一部に直線状のトラック溝部62S、72Sをそれぞれ備えているので、アンダーカットがないトラック溝となる。この固定式等速自在継手12は、外側継手部材22の開口側に直線状のトラック溝部62Sの存在により、より大きな作動角に対応することができる。
保持器52には周方向に6個のポケット5a2が設けられている。ポケット5a2の軸方向に対向するポケット側面5a12がボール42を保持する面である。図示は省略するが、本実施形態おいても、ポケット側面5a12に第1の実施形態およびその変形例と同様の凹部や凹面が形成されている。このため、使用頻度の高い常用角におけるボール移動領域のポケットすきまは正すきまとなり、高作動角におけるボール移動領域は負すきまとなる。その結果、常用角におけるボール移動領域はトルク損失率を確実に低減でき、かつ、高作動角でも異音の発生がない固定式等速自在継手11の実現が可能となる。
自動車の実際の走行状態として、急カーブの道路や交差点等では、固定式等速自在継手に生じる作動角は上記常用角より大きくなるが、以上説明した実施形態および変形例の固定式等速自在継手1、11、12では、急カーブの道路や交差点等の大きな作動角での使用頻度は少ないので、常用角の範囲で継手効率の向上(トルク損失率の低減)を図ることにより、総合的にみて継手効率を向上させることができる。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1 固定式等速自在継手
2 外側継手部材
3 内側継手部材
4 トルク伝達ボール
5 保持器
5a ポケット
5a1 ポケット側面
6 トラック溝
7 トラック溝
8 球状内周面
9 球状外周面
10 球状外周面
11 球状内周面
12 中間シャフト
13 ブーツ
30 凹部
A 曲率中心
B 曲率中心
2 曲率中心
2 曲率中心
BALL ボールの直径
N 軸方向寸法
O 継手中心
f1 オフセット量
f2 オフセット量
f3 オフセット量

Claims (9)

  1. 球状内周面に軸方向に延びる複数の曲線状のトラック溝が形成された外側継手部材と、球状外周面に軸方向に延びる複数の曲線状のトラック溝が形成された内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝とこれに対応する前記内側継手部材のトラック溝との間に配された複数個のトルク伝達ボールと、このトルク伝達ボールをポケットに保持すると共に前記外側継手部材の球状内周面と前記内側継手部材の球状外周面にそれぞれ嵌合する球状外周面と球状内周面を有する保持器を備え、前記外側継手部材の曲線状のトラック溝の曲率中心と前記内側継手部材の曲線状のトラック溝の曲率中心が継手中心に対して軸方向反対側に等距離オフセットされた固定式等速自在継手において、
    前記保持器のポケットと前記トルク伝達ボールとの間の初期ポケットすきまが、常用角におけるボール移動領域で正すきまであり、かつ、前記常用角におけるボール移動領域以外の領域では負すきまであることを特徴とする固定式等速自在継手。
  2. 前記ポケットの軸方向に対向する一対のポケット側面のうち、少なくとも一方のポケット側面の中央部に凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の固定式等速自在継手。
  3. 前記凹部が前記保持器の周方向に帯状であることを特徴とする請求項2に記載の固定式等速自在継手。
  4. 前記凹部が前記保持器の径方向に帯状であり、前記保持器の前記球状内周面から前記球状外周面まで延びていることを特徴とする請求項2に記載の固定式等速自在継手。
  5. 前記凹部の横断面形状が円弧状であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の固定式等速自在継手。
  6. 前記凹部の横断面形状がテーパ面からなることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の固定式等速自在継手。
  7. 前記ポケット側面が前記保持器の横断面において凹面で形成されていることを特徴とする請求項2に記載の固定式等速自在継手。
  8. 前記凹面の横断面形状が円弧状であることを特徴とする請求項7に記載の固定式等速自在継手。
  9. 前記凹面の横断面形状がテーパ面からなることを特徴とする請求項7に記載の固定式等速自在継手。
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